JP2004323681A - 導電性樹脂組成物およびその製造方法 - Google Patents

導電性樹脂組成物およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】基材たるオレフィン系熱可塑性エラストマに対して、所定量の合成ハイドロタルサイトを混合・存在させることにより、高温高湿環境下におけるプロトン酸のブリードを抑制し、これにより使用環境による導電性の変動幅を通常の使用に影響を与えない範囲とすると共に、該ブリードによるベタつき等の使用時における弊害を回避し得る導電性樹脂組成物およびその製造方法を提供する。
【解決手段】少なくとも基材をなすオレフィン系熱可塑性エラストマ12と、プロトン酸と共に加熱処理されたポリアニリンまたはその誘導体のコンパウンド14とからなり、金属化合物により所定の処理を施されている導電性樹脂組成物において、該エラストマ12に対して、プロトン酸に対する受酸剤として作用する合成ハイドロタルサイト16を存在させる。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、導電性樹脂組成物およびその製造方法に関し、更に詳細には、プラスチックが有する可塑性と、好適な導電性とを併有すると共に、日本の如き、高温高湿環境(以下、HH環境と云う)において含有物のブリード等を大きく低減し、特に電子潜像印刷用ロール等の素材として好適に採用され得る導電性樹脂組成物およびその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
例えば、二次電池、帯電防止剤または電解コンデンサ等に好適に使用される、所謂導電性樹脂組成物およびその製造方法の原料として、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリパラフェニレン、ポリフェニレンビニレンまたはこれらの誘導体等に代表される真性導電性高分子が好適に使用され、かつ実用化されている。そして前記真性導電性高分子は、これまで薄膜状に成形されたフィルムまたは基材表面に製膜させるコーティング材として使われており、厚みの有する成形体等としての利用例は殆ど見られなかった。
【0003】
これに対して最近、下記の特許文献1に示す如く、ポリアニリンまたはその誘導体と、ドデシルベンゼンスルホン酸等のプロトン酸と、合成ハイドロタルサイト等の金属化合物とを加熱混合することにより、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリビニルまたはアクリル等のホモまたはコポリマーに容易に混合し得る素材であるポリアニリンコンパウンドが開発された。この素材を使用することで、通常のプラスチック成形技術をそのまま用いることで、立体形状等の所要形状に溶融成形可能な導電性樹脂組成物およびその製造方法を得ることができる。前記ポリアニリンコンパウンドは、基材となる様々なポリマーとの混練において掛けられる剪断応力により、数nm〜数十nmサイズに微細化され、ドデシルベンゼンスルホン酸等のプロトン酸の界面活性作用により、該ポリマー中に極めて小さな相として安定的に分散される。そして前記ポリマー中に形成された前記分散相が三次元的に連続することにより、該ポリマーからなる成形体等が導電化されるものと考えられる。
【0004】
【特許文献1】
特許第3017903号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ここで、界面活性作用を供するドデシルベンゼンスルホン酸等のプロトン酸および金属化合物は、基材であるポリマー中にドープされたポリアニリンまたはその誘導体の、中和、可塑化および安定化並びに少量での導電化をなし得る機能を果たしており、殊に該金属化合物は該ポリマーに含有されている各物質の安定化に大きく寄与している。しかし、前記ポリアニリンまたはその誘導体の充分な安定化はなし得る一方で、該ポリアニリンまたはその誘導体のドーパントとして作用している前記プロトン酸自体の前記ポリマーからのブリードを充分に抑制することは困難であった。
【0006】
具体的には、温度28℃、湿度85RH%となるようなHH環境下においては、ドーパントであるプロトン酸が得られた導電性樹脂組成物およびその製造方法の表面に浸み出てしまい、ベタつきを感じるまでの劣悪な状態となり、更に該プロトン酸の現象により導電性が悪化してしまう問題や、ブリードしたプロトン酸が乾燥すると該導電性樹脂組成物およびその製造方法の表面において絶縁体として作用するため、該プロトン酸の減少以上に導電性が大きく悪化するという問題が確認されていた。このため日本を含む東アジア、東南アジア、南アジア、北米南部地域または南米の如き高温多湿な環境となる地域においては、如何なる用途であっても実質上利用できないという致命的な問題となっていた。
【0007】
【発明の目的】
この発明は、従来の技術に係る導電性樹脂組成物およびその製造方法における前記問題に鑑み、これを好適に解決するべく提案されたものであって、基材たるオレフィン系熱可塑性エラストマに対して、所定量の合成ハイドロタルサイトを混合・存在させることにより、HH環境下におけるプロトン酸のブリードを抑制し、これにより使用環境による導電性の変動幅を通常の使用に影響を与えない範囲とすると共に、該ブリードによるベタつき等の使用時における弊害を回避し得る導電性樹脂組成物およびその製造方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
前記課題を克服し、所期の目的を達成するため本発明に係る導電性樹脂組成物は、少なくとも基材をなすオレフィン系熱可塑性エラストマと、ポリアニリンまたはその誘導体のコンパウンドとからなり、該ポリアニリンまたはその誘導体のコンパウンド(14)は、プロトン酸と共に加熱処理することによりドープされたポリアニリンまたはその誘導体に対して、亜鉛、銅、カルシウムまたはマグネシウムの酸化物、水酸化物或いはハロゲン化物の如き金属化合物により所定の処理を施されている導電性樹脂組成物において、
前記オレフィン系熱可塑性エラストマに前記コンパウンドを混合するに先立ち、該エラストマ中に前記プロトン酸に対する受酸剤として作用する合成ハイドロタルサイトを存在させたことを特徴とする。
【0009】
前記課題を克服し、所期の目的を達成するため本願の別の発明に係る導電性樹脂組成物の製造方法は、基材をなすオレフィン系熱可塑性エラストマに対して、予めプロトン酸と共に100〜200℃で加熱処理することによりドープされたポリアニリンまたはその誘導体と、亜鉛、銅、カルシウムまたはマグネシウムの酸化物、水酸化物或いはハロゲン化物の如き金属化合物とを混合してなるポリアニリンまたはその誘導体のコンパウンドを混合して導電性樹脂組成物を製造するに際し、
前記オレフィン系可塑性エラストマと、前記プロトン酸に対する受酸剤として作用する合成ハイドロタルサイトとを混合し、
得られた混合物に対して、前記ポリアニリンまたはその誘導体のコンパウンドを混合するようにしたことを特徴とする。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明の好適な実施例に係る導電性樹脂組成物およびその製造方法について説明する。本願の発明者は、基材(マトリックス)を形成するオレフィン系熱可塑性エラストマに対して所定量の合成ハイドロタルサイトと、従来公知であるプロトン酸によりドープされ、かつ所定の金属化合物で処理されたポリアニリンまたはその誘導体を主体とする混合物、すなわち該ポリアニリンまたはその誘導体のコンパウンドとを混合することにより、該コンパウンドによる低抵抗の発現と、得られる導電性樹脂組成物のHH環境使用下におけるブリードの大幅な抑制との達成、すなわち該ブリード物質によるベタつき等を回避すると共に、環境変動に対して導電率、具体的には体積抵抗率の変化を実用使用に影響がない程度の範囲とし得ることを知見したものである。なお、本発明において通常環境および高温高湿環境とは、夫々具体的には温度10℃、湿度15RH%および温度80℃、湿度85RH%の環境を指すものとする。また体積抵抗率のおける実用使用に影響がない程度の範囲は、現状多用されている電子潜像印刷用途ロールの前述の環境変動における変動幅、具体的には該体積抵抗率を対数化した際の一般的な変動幅である2以下と設定した。
【0011】
次に、実施例の導電性樹脂組成物を構成する各要素について製造方法に従って順次説明する。前記導電性樹脂組成物10は、図1に示す如く、その基材、すなわちマトリクスを構成するオレフィン系熱可塑性エラストマ12と、該エラストマ12内に良好な導電性を発現するよう分散されたポリアニリンまたはその誘導体のコンパウンド(以下、単にコンパウンドと云う)14と、該コンパウンド14を混合するに先立って該オレフィン系熱可塑性エラストマ12に対して混合されて、最終的に該コンパウンド14を取り巻く形で分散されてプロトン酸に対する受酸剤として作用する合成ハイドロタルサイト16とから構成される。ここで前記コンパウンド14は、予め所定条件下においてプロトン酸をポリアニリンまたはその誘導体に対して添加すると共に、所定の金属化合物により処理を施された状態の混合物である。
【0012】
前記導電性樹脂組成物10の製造方法は、図2に示す如く、基本的にコンパウンド製造工程S1、受酸剤混合工程S2および各原料混合工程S3からなる。前記コンパウンド製造工程S1は、本発明に係る導電性樹脂組成物10において所定の導電性を発現させるポリアニリンまたはその誘導体を、プロトン酸と共に加熱処理すると共に、金属化合物による処理を実施してドープ化されたポリアニリンまたはその誘導体、すなわち前記コンパウンド14を製造する工程であり、好ましくは約50〜200℃の温度、より好ましくは110〜150℃の温度においてニーダー、コンパウンダーまたはスクリューミキサー等の、特に溶融機能を有する混合装置を用いて充分に各要素が混合されるまで行なわれる。
【0013】
前記ポリアニリンまたはその誘導体としては、非置換ロイコエメラルジン、プロトエメラルジン、エメラルジン、ニグルアニリンまたはトルプトロエメラルジン形態等のプロトン酸でのドーピングにより導電性ポリマーとして作られ得る任意のポリアニリン質物質が使用可能である。好ましくはエメラルジン塩基形態のポリアニリンであることが確認されている。また、置換アニリンから作られるポリマー、または簡便なポリアニリン置換体、すなわち化学的に修飾されたポリアニリン等のポリアニリン誘導体も使用に供し得る。
【0014】
また前記ポリアニリンまたはその誘導体の混合量は、前記コンパウンド製造工程S1で得られたコンパウンド14として規定され、得られる導電性樹脂組成物10の全体に対して10〜30重量%の範囲に設定される。基本的に得られる導電性樹脂組成物10の導電性は、このコンパウンド14の混合量に反比例する数値であり、該混合量が少ないと導電性が確保できなくなる。従ってこの混合量が10重量%未満であると、一般的に本発明に係る導電性樹脂組成物10を好適な素材として製造される電子潜像印刷用途ロール等に求められる体積抵抗率である4〜12log(ρv/Ωcm)の範囲を逸脱し、好適な使用がなされなくなってしまう。一方、この混合量が30重量%を越えると、前記ポリアニリンまたはその誘導体が有する硬度が高くかつ脆いといった物性が、得られる導電性樹脂組成物10においても顕著に発現することになってしまい、ロール等の所定のニップ圧を必要とする部材への採用だけでなく、汎用的な取り扱いについても困難となってしまう問題が指摘される。
【0015】
前記プロトン酸としては、前記ポリアニリンまたはその誘導体をドーピングし得る、例えばHCl、HSO、HNO、HClO、HBF、HPF、HF、リン酸、スルホン酸、ピクリン酸、m−ニトロ安息香酸、ジクロロ酢酸または重合性酸等の様々なプロトン酸が使用できる。特にドデシルベンゼンスルホン酸(DBSA)に代表される芳香族スルホン酸等の如き有機スルホン酸が好適に使用される。
【0016】
前記プロトン酸のポリアニリンまたはその誘導体に対する添加量は、両者のモル比率として規定される。そしてそのモル比率は、ポリアニリンまたはその誘導体:プロトン酸=1:0.1〜1:1.1、好適には1:0.5〜1:0.7の範囲に設定される。
【0017】
前記金属化合物は、前記ポリアニリンまたはその誘導体と、プロトン酸とを混合する際または混合後に添加されるものであり、ドープされたポリアニリンの基材中での酸性発現を抑制し、かつより容易に溶融加工できるようにする、所謂安定化材の役割を担う。具体的には、亜鉛、銅、アルミニウム、チタン、鉄、ジルコニウムマグネシウム、バリウム、カルシウム、カドミウム、鉛またはスズ等の酸化物、水酸化物、ハロゲン化物、ステアリン酸塩、炭酸塩、リジノール酸塩、パルミチン酸塩、オクタン酸塩、ラウリン酸塩、フェノラート、マレイン酸塩またはオクチルチオグリコラートが単独或いは複合して使用される。これらは、前述した酸性発現抑制効果または安定化作用の何れかを優先的になし得るか等の諸要素によって適宜選択して使用される。特に、ステアリン酸亜鉛または酸化亜鉛等の亜鉛をベースとする酸化物または水酸化物の使用が、前述の双方の作用を高い水準で発現するため好適である。
【0018】
前記金属化合物のポリアニリンまたはその誘導体に対する添加量は、前記プロトン酸に対するモル比率として規定される。そしてそのモル比率は、プロトン酸:金属化合物=1:1〜1:4、好適には1:2.2〜1:2.7の範囲に設定される。
【0019】
前記受酸剤混合工程S2は、前記基材を構成するオレフィン系熱可塑性エラストマ12と、前記コンパウンド14からブリードしつつある前記プロトン酸を該エラストマ12中で吸着して該ブリードを抑制する受酸剤である合成ハイドロタルサイト16とを混合する工程である。本工程S2の実施により、前記合成ハイドロタルサイト16と導電性を発現するためのプロトン酸との接触頻度を極力低下させ得る。すなわち、導電性の良好な発現のために前記コンパウンド14は、基材である前記オレフィン系熱可塑性エラストマ12中に充分に混合・分散される必要がある。従って、本発明に係る導電性樹脂組成物10を構成する前記オレフィン系熱可塑性エラストマ12、コンパウンド14および合成ハイドロタルサイト16を一度に混合する場合、前述の如く、該コンパウンド14を該エラストマ12中に充分に混合・分散させるために、一定以上の時間をかける必要がある。
【0020】
しかし、前記3成分存在下における充分に時間をかけた混合は、前記コンパウンド14の充分な分散をなし得る一方で、該コンパウンド14と合成ハイドロタルサイト16との接触頻度を高めてしまう。前記合成ハイドロタルサイト16によるプロトン酸の吸着は、該合成ハイドロタルサイト16と該プロトン酸を含有する前記コンパウンド14との接触頻度に対して比例的な関係を有しているため、該合成ハイドロタルサイト16とコンパウンド14との接触頻度が大きいほど該プロトン酸はコンパウンド14中から減少する。すなわち、前記プロトン酸がドーパントとして作用すると、導電性が低下する問題が生じることになる。この問題を好適に回避するため、前記合成ハイドロタルサイト16とコンパウンド14との接触頻度を低く抑えつつ、該合成ハイドロタルサイト16およびコンパウンド14の前記オレフィン系熱可塑性エラストマ12への分散を充分になし得るために、本工程S2によって予め前記オレフィン系熱可塑性エラストマ12および合成ハイドロタルサイト16の混合を実施する。
【0021】
本受酸剤混合工程S2で使用され、得られる導電性樹脂組成物10の基材の主材料である前記オレフィン系熱可塑性エラストマ12としては、得られる導電性樹脂組成物10が使用される使用用途にもよるが、その永久圧縮歪みが小さい、耐熱性が高いまたはその他有用な物性を備える、例えばEPDM(エチレン・プロピレン・ジエンターポリマー)等の完全架橋型のオレフィン系熱可塑性エラストマの使用が好適である。なお前記基材の主材料には、スチレン系エラストマー、ポリスチレン、EPDMまたはABS等の各種樹脂または該樹脂の混合物が使用可能である。
【0022】
また前記オレフィン系熱可塑性エラストマ12に混合されて前記プロトン酸に対する受酸剤として作用する合成ハイドロタルサイト16は、該オレフィン系熱可塑性エラストマ12からブリードしている前記プロトン酸だけを効率よく吸着すると共に、前記コンパウンド14中にドープされた状態の該プロトン酸の吸着を回避するものである。そしてその化学組成がMg4.3Al(OH)12.6・CO・mHOを示す人工鉱物であり、該構造中のCO部分が、例えばClイオン等と容易に置換することで受酸剤としての作用を発現するものである。なお、前記合成ハイドロタルサイト16の粒径については、基材中での反応性を高めることによってもブリード抑制効果の向上が期待できるため、より小さい方が好ましい。
【0023】
そして前記合成ハイドロタルサイト16の混合量は、得られる導電性樹脂組成物10の全体に対して1〜5重量%の範囲に設定される。この混合量が1重量%未満であると、HH環境下における使用において前記プロトン酸のブリード現象の抑制が実効を伴わないものとなってしまう。一方、この混合量が5重量%を越えると、前記合成ハイドロタルサイト16の本来的な受酸剤としての作用が強く発現し、その結果、前記コンパウンド14においてドープされている前記プロトン酸までも吸着されてしまって所定の導電性が得られなくなってしまう問題が指摘される。
【0024】
また同時に前記合成ハイドロタルサイト16は、前記コンパウンド14に含有されるプロトン酸のブリードを抑制するためのものであるため、該ブリードを好適に抑制するためには該コンパウンド14の混合量に伴って該合成ハイドロタルサイト16の混合量も増加させる必要がある。前記合成ハイドロタルサイト16は、前述([0011])した如く、基材たるオレフィン系熱可塑性エラストマ12内に分散して存在する前記コンパウンド14の周囲を取り巻くよう分散することで、該コンパウンド14内部にからブリードしてくる前記プロトン酸を抑え、該プロトン酸の該エラストマ12、すなわち導電性樹脂組成物10や該組成物10から製造された成形体表面へのブリードを抑制するものである。従って、前記合成ハイドロタルサイト16の混合量は、前記コンパウンド14の混合量に応じて一定以上の比率となるように設定されている。
【0025】
本発明において、前記合成ハイドロタルサイト16とコンパウンド14との量的関係は得られる導電性樹脂組成物10内での存在状態に左右されるため、体積百分率で表される。そして、前記コンパウンド14の体積100に対して、前記酸化亜鉛16の体積が少なくとも6体積%以上、好ましくは12体積%以上に設定されることで好適なブリード抑制作用が得られるものである。この混合比率において前記合成ハイドロタルサイト16の割合が前述の値を下回ると、前記プロトン酸のブリードを効果的に抑制し得ず、その結果、得られた導電性樹脂組成物10または該組成物10から製造された成形体の好適な使用が困難となる。
【0026】
前記各原料混合工程S3は、前記オレフィン系熱可塑性エラストマ12および合成ハイドロタルサイト16から得られた混合物と、前記コンパウンド製造工程S1で得られたコンパウンド14とを混合して導電性樹脂組成物10を得る工程である。そして本工程S3は、約80〜300℃の温度、好ましくは約130〜200℃の温度でニーダーまたはスクリューミキサー等の、特に溶融機能を有する混合装置により行なわれる。
【0027】
前述のS1、S2およびS3の3工程を経ることで得られる本発明に係る導電性樹脂組成物10は、その後各種部材の素材として好適に使用され、該部材の形状等に合わせた押出、射出またはプレス成形等によって該形状に成形されて使用に供される。本発明に係る導電性樹脂組成物10は、発現する体積抵抗率を前記コンパウンド14の混合量で任意に制御可能であると共に、基材たる熱可塑性樹脂の可塑性を生かして様々な形状に容易に加工し得るため、素材としての使用用途は極めて広くかつ汎用性の高いものである。
【0028】
また本発明に係る導電性樹脂組成物10を製造するに際しては、前述した各原料の他、ガラス繊維や炭素繊維等の強化繊維、難燃剤、つや消し剤、熱安定剤、光安定剤、着色剤、滑剤その他の機能性フィラー等を、該導電性樹脂組成物10を原料として製造されるアキュミュレーター、感知要素、スイッチ、光要素、回路板、加熱要素、静電気放電エリミネーション(ESD)または電磁波シールド(EMI)等の使用用途に応じて適宜併用するようにしてもよい。
【0029】
【実験例】
以下に、本発明に係る製造方法で得られた導電性樹脂組成物と、従来の技術に係る導電性樹脂組成物とにおけるHH環境下での使用を考慮した場合の導電性の変化を計測する実験例を示す。導電性樹脂組成物を構成する各要素、具体的にはオレフィン系熱可塑性エラストマ(商品名 サントプレン201−55;エーイーエス・ジャパン製)、受酸剤である合成ハイドロタルサイト(商品名 DHT−4A−2;協和化学工業製(無水塩))およびコンパウンド(商品名 PanipolCMX;Panipol製)を、以下に示す表1(各実施例)または表2(各比較例)に記載の割合で総体積が約90mlとなるよう調整し、回転数46.5回転/分、温度190℃、時間3分間の条件で混合装置により混合して実施例1〜5および比較例1〜7に係る導電性樹脂組成物を夫々作製した。そして前記導電性樹脂組成物10gを温度190℃、圧力9.8MPaの条件でホットプレス装置により、厚さ1mmのシート状試験片とし、以下に示す測定を実施した。なお、本実験例中で使用する各機器については以下に記する。また参考例として、コンパウンドを10重量部混合すると共に、合成ハイドロタルサイトを混合しなかったものについても同様に試験片を製造・測定を実施した。
【0030】
【表1】
Figure 2004323681
【0031】
【表2】
Figure 2004323681
【0032】
(使用器具)
・混合装置:商品名 ラボプラストミル;東洋精機製、容量100ml
・ホットプレス装置:商品名 ホットプレス;テスター産業製
・抵抗測定装置:R8340A;アドバンテスト製
【0033】
(実施した測定およびその評価法)
・各試験片を、本発明における通常環境(温度10℃、湿度15RH%)下およびHH環境(温度80℃、湿度85RH%)下に夫々48時間放置し、放置後のブリードの発生状況を該試験片の表面状態を目視することで確認して、◎:殆どなし、○:良好、×:使用不可の3段階で評価し、また放置後の体積抵抗値をJISK 6911に準拠したφ50の真鍮製測定電極、内径φ70のリング状ガード電極および真鍮製の対向電極を使用し、抵抗測定装置により1〜100Vの範囲の直流電圧を15秒印加することで電気抵抗値を測定し、ここから体積抵抗率を算出した。そして夫々の環境下単独の体積抵抗率または該体積抵抗率の差により評価をした。
【0034】
(結果)
得られた各測定結果等を上記表1および表2に併記する。そして得られた結果より、前記合成ハイドロタルサイトの混合量が、全体に対して1〜5重量%の範囲に設定され、かつ前記コンパウンド100体積%に対して、少なくとも6体積%以上設定されることで、充分な導電性と、導電性を発現させるプロトン酸のHH環境下におけるブリードを抑制すると共に、使用環境による導電性の変動幅を通常の使用に影響を与えない範囲とし得ることが確認された。
【0035】
【発明の効果】
以上に説明した如く、本発明に係る導電性樹脂組成物およびその製造方法によれば、基材たるオレフィン系熱可塑性エラストマに対して、所定量の合成ハイドロタルサイトを予め混合・分散して存在させ、得られた混合物に対して導電性を発現させるポリアニリンまたはその誘導体のコンパウンドを混合するようにしたので、該コンパウンド内にドープされているプロトン酸のHH環境下におけるブリードを抑制し、これにより使用環境による導電性の変動幅を通常の使用に影響を与えない範囲とすると共に、該ブリードによるベタつき等の使用時における弊害を回避し得る導電性樹脂組成物を製造し得る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の好適な実施例に係る導電性樹脂組成物の組成的な構造を微視的に示した概略図である。
【図2】実施例に係る導電性樹脂組成物の製造方法の製造工程を示す簡単なフロー図である。

Claims (11)

  1. 少なくとも基材をなすオレフィン系熱可塑性エラストマ(12)と、ポリアニリンまたはその誘導体のコンパウンド(14)とからなり、該ポリアニリンまたはその誘導体のコンパウンド(14)は、プロトン酸と共に加熱処理することによりドープされたポリアニリンまたはその誘導体に対して、亜鉛、銅、カルシウムまたはマグネシウムの酸化物、水酸化物或いはハロゲン化物の如き金属化合物により所定の処理を施されている導電性樹脂組成物において、
    前記オレフィン系熱可塑性エラストマ(12)に対して、プロトン酸に対する受酸剤として作用する合成ハイドロタルサイト(16)を存在させた
    ことを特徴とする導電性樹脂組成物。
  2. 前記合成ハイドロタルサイト(16)は、少なくとも前記コンパウンド(14)の周囲を取り巻くように分散されている請求項1記載の導電性樹脂組成物。
  3. 前記合成ハイドロタルサイト(16)は、前記導電性樹脂組成物の通常環境下における体積抵抗率の対数値と、高温高湿環境下における体積抵抗率の対数値との差が2log(ρv/Ωcm)以下に保持されている請求項1記載の導電性樹脂組成物。
  4. 得られた導電性樹脂組成物の通常環境下および高温高湿環境下における体積抵抗率の対数値が何れも12log(ρv/Ωcm)以下に設定されている請求項3記載の導電性樹脂組成物。
  5. 前記合成ハイドロタルサイト(16)の混合量は、前記コンパウンド(14)の体積を100とした場合に、該合成ハイドロタルサイト(16)の体積が少なくとも6体積%以上、好ましくは12体積%以上に設定されている請求項1〜4の何れかに記載の導電性樹脂組成物。
  6. 前記合成ハイドロタルサイト(16)の混合量は、全体に対して1〜5重量%の範囲に設定される請求項1〜5の何れかに記載の導電性樹脂組成物。
  7. 前記コンパウンド(14)の混合量は、全体に対して10〜30重量%の範囲に設定される請求項1〜6の何れかに記載の導電性樹脂組成物。
  8. 基材をなすオレフィン系熱可塑性エラストマ(12)に対して、予めプロトン酸と共に加熱処理することによりドープされたポリアニリンまたはその誘導体と、亜鉛、銅、カルシウムまたはマグネシウムの酸化物、水酸化物或いはハロゲン化物の如き金属化合物とを混合してなるポリアニリンまたはその誘導体のコンパウンド(14)を混合して導電性樹脂組成物を製造するに際し、
    前記オレフィン系可塑性エラストマ(12)と、前記プロトン酸に対する受酸剤として作用する合成ハイドロタルサイト(16)とを混合し、
    得られた混合物に対して、前記ポリアニリンまたはその誘導体のコンパウンド(14)を混合するようにした
    ことを特徴とする導電性樹脂組成物の製造方法。
  9. 前記合成ハイドロタルサイト(16)は、前記コンパウンド(14)の体積を100とした場合に、該合成ハイドロタルサイト(16)の体積が少なくとも6体積%以上、好ましくは12体積%以上混合される請求項8記載の導電性樹脂組成物の製造方法。
  10. 前記合成ハイドロタルサイト(16)は、全体に対して5重量%以下となるよう混合される請求項8または9記載の導電性樹脂組成物の製造方法。
  11. 前記コンパウンド(14)は、全体に対して10〜30重量%の範囲に設定されるよう混合される請求項8〜10の何れかに記載の導電性樹脂組成物の製造方法。
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