JP2004322978A - ステアバイワイヤ式の操舵装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】車両20が後進していることを検出する後進状態検出手段10を有し、後進状態が検出されたとき、方向反転部21で操作子2から入力される方位指示角を反転し、反力演算部33で反力発生モータ5の反力方向を反転し、さらに、方位指示角増幅器22の利得、補助舵角演算部31から出力される補助舵角を修正する。
【選択図】 図2
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ハンドル等の操作子の操作で車両の進行方向を制御するようにし、かつ、後進時の制御を改良したステアバイワイヤ式の操舵装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
車両等の操舵装置は、一般に、操向ハンドルと操向車輪との間をギア機構及びリンケージ等の操舵系で機械的に連結し、操向ハンドルのハンドル操作を操向車輪に伝達して操向車輪をハンドル操作に応じた舵角に転舵する。このような操舵装置では、操向ハンドルのハンドル舵角は車両の現進行方向に対する相対的な方向変化量を示すため、一定方向に進行する場合には操向ハンドルを所定位置に保される。
また、この操舵装置では、進路変更を行う場合には、進路変更開始時に一方向に転舵し、この後に走路の分離線を超えた時に他方向に転舵し、再度、進路変更終了後に直進位置に戻すための転舵を行う必要があった。
【0003】
しかし、前記のような操舵装置にあっては、車両の旋回制御に際して運転者は1つの操作量として操向ハンドルの操舵角を付与することができるが、車両の旋回挙動は横運動(左右運動)、ヨーイング、車速等により支配的な影響を受ける。したがって、運転者は意図する旋回挙動を得るには車速を考慮した操向ハンドルの操舵角θを与えることが不可欠であり、このことが車両の操縦を難しくする一因となっていた。
また、車速が速い場合等、タイヤのスリップアングルが大きく、コーナリングフォース特性の非線形性が顕著化する場合にあっては、過渡特性の影響が重畳されるため、運転者はこれらも考慮して操向ハンドルを操舵しなければならない。このため、車両の操縦の困難も著しく、車両の運転に習熟するには相当の練習が不可欠であった。
【0004】
このような問題に対処するため、本出願人は、運転者の操作により所定の絶対方位を基準とする車両の進行方位角を指示する操向指示手段と、所定の絶対方位を基準とする車両進行角を検出する進行方向検知手段と、操向指示手段で指示された進行方位角と進行方向検知手段で検出された車両進行角との偏差が零になるよう動力舵取手段を制御する制御手段とを備えた操舵装置を提唱している(特許文献1参照)。
これによれば、運転者によって所定の絶対方位に対する車両の進行方位角が指示され、この指示された進行方位角と検出された車両進行角との偏差に応じて操向車輪が転舵されるため、従来の車両における操向ハンドルを中立位置に復帰させる戻し操作が不要となる。
【0005】
また、このようにハンドル角に比例して車両の進行方位角を制御する場合には、ハンドルの操作に対して車両の向きの追従に遅れがあるとハンドル角と車両の方位角との対応関係が成立しなくなるため、これを解決して、低車速から高車速までの広い範囲に亘ってハンドル操作に対して車両の向きを追従性よく、かつ、安定に制御するために、本出願人は、制御手段に方位角偏差に基づいて舵角に係る信号を出力する舵角指定手段を設け、舵角指定手段で車速の増加に伴い出力する舵角を減少するようにし、また、舵角指定手段は偏差と出力する舵角との関係を方位角偏差の増加に伴い舵角の増加率が大きくなるよう設定する方法を提唱した(特許文献2参照)。
これらの従来の技術では、運転者の操舵角(方位指示角)に対し、所定の絶対方位を基準とする車両の進行方位角もしくは所定の絶対方位に対する進行方向との偏差が零になるように転舵手段を制御する。
【0006】
【特許文献1】
特開平1−233170号公報(第3〜5頁、第2図)
【特許文献2】
特開平10−194152号公報(第3〜8頁、第1図)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、これらの従来の技術による制御方法は、操作子から入力された方位指示角に対し、車両進行方位角をヨーレートジャイロによりヨー角速度を検出し、その値を積分してヨー角度を求め、方位指示角とヨー角度の偏差が零となるように制御し、車両の操縦を容易にする発明であるため、この制御を後進時にも用いると操作子から入力された方位指示角と発生する車両進行方位角とが前進時とは逆になり、進みたい方向に操作子を指し示すことによる操縦ができなくなるという問題が生まれる。
【0008】
即ち、従来の操作子から入力された方位指示角に対し、車両の進行方位角を検出し、例えば方位指示角と車両の進行方位角の偏差が零となるように制御する従来の操舵装置(従来のステアバイワイヤ式の操舵装置)では、後進時に操作子から入力された方位指示角と発生する車両進行方位角とが前進時とは逆になるため、進みたい方向に操作子を指し示しても操縦ができなくなるという問題が生まれる。
本発明はこの問題を解決して、後進時にも前進時と同様に、操作子を操作すれば車両をその方向に進める操舵が可能で、操縦の難しさを軽減することが可能な操舵装置の実現を課題とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、ステアバイワイヤ式の操舵装置における従来の問題点に鑑み研究を行い、運転者が車両を後進させる場合には、運転者がハンドル(ステアリングホイール)を回転させる方向と、実際の車両の旋回方向とが一致しておらず、違和感が生じること。具体的には、車両が後進する場合は、運転者がハンドルを例えば右回転(時計回り)しているのに、車両が左旋回(反時計回り)するので違和感が生じること。この後進時の違和感については、運転者のハンドルの回転方向と転舵輪の転舵方向とを何らかの手段により前進時とは逆にすると、ハンドルの回転方向と後進する車両の旋回方向とが一致するので違和感が解消されること、等に着目し、本発明を完成するに至った。
【0010】
即ち、前記課題を解決した本発明は、運転者が車両の操作を行うための操作子と転舵輪を転舵する転舵装置が切り離され、前記操作子の操作量に応じて転舵装置を駆動して転舵を行うステアバイワイヤ式の操舵装置において、車両の進行方向を検出する進行方向検出手段を備え、進行方向に応じて前記転舵輪の転舵方向と前記操作子の操作方向とを反対に切り替える構成を備えたことを特徴とする。
【0011】
これによれば、車両の進行方向が前進の場合は、例えば操作子としてのハンドルを左回転(反時計回り)させれば車両は通常通り左旋回(反時計回り)し、ハンドルを右回転(時計回り)させれば車両は通常通り右旋回(時計回り)する。一方、車両の進行方向が後進の場合は、ハンドルを右回転(時計回り)させれば転舵輪の転舵方向が前進時とは反対になるので車両は右旋回(時計回り)し、ハンドルを左回転(反時計回り)させれば同じく転舵輪の転舵方向が前進時とは反対になるので車両は左旋回(反時計回り)する。つまり、本発明の構成によれば、後進時においても、ハンドルの操作方向と、車両の旋回方向とが一致するので、従来あった後進旋回時の違和感は解消される。よって、操縦の難しさ(殊に後進時における操縦の難しさ)を軽減することが可能な操舵装置を実現することができる。
【0012】
また、本発明(請求項2)は、車両の進行方向が後進方向であるとき、車両の後部の目視可能な部分に前記操作子の操作方向に対応する車両の旋回方向を表示する旋回方向表示手段を備えたことを特徴とする。
これにより、車両の旋回方向が直に理解でき、後方を見ながら操舵する際に操作子が見えなくても旋回方向が確認でき、後進時の操縦が一層容易な操舵装置を実現することができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明にかかるステアバイワイヤ式の操舵装置(以下「操舵装置」という)の実施形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。
図1に、本発明の一実施形態にかかる操舵装置の模式構造図を示す。
図1を参照して、この発明に係る操舵装置の全体構造を説明する。
この操舵装置1は、操作子2に連結された操舵軸3に介設された方位指示角検出手段4、反力発生モータ5及びトルクセンサ(舵角センサ)6と、車速検出手段7と、進行方向検出手段8と、後進状態検出手段10と、舵角発生モータ11と、舵角検出手段12と、ECU(制御装置)13とから構成されている。操舵軸3は、図示しない車体等に回転自在に支持されている。本実施形態での操作子2は、ハンドル(ステアリングホイール、丸ハンドル)であるが、本発明は、ジョイスティックタイプ等の様々な操作子に適用することが可能である。
【0014】
方位指示角検出手段4は、ロータリエンコーダ等を用いて、操舵軸3の回転を検出することで、操作子(以下「ハンドル」という)2の所定位置からの方位指示角(ハンドル角)θに係る信号をECU13へ供給するよう構成されている。なお、方位指示角(ハンドル角)θは、所定位置を北等の絶対方位、もしくは、現在の車両の進行方位等として、この方位を基準とする方位角度で表す。
【0015】
反力発生モータ5は、ハンドル2に操舵反力を与えるもので、モータと図示しないギア機構等を備え、ECU13から供給されるモータ電流の大きさに応じた操舵反力を与えるよう構成されている。
【0016】
車速検出手段7は、車速パルス(車輪速パルス)センサを利用し、車速Vに係る信号(車速パルス)をECU13へ供給している。進行方向検出手段8は、ヨーレートジャイロ等を用いて構成し、ヨーレートγに係る信号をECU13へ入力している。
【0017】
後進状態検出手段10は、トランスミッションのマニュアルシフトレバーやオートマチックシフトレバーのリバースポジションから検出するか、又は、車速検出手段(車速センサ)7の信号、或いは、その両方から車両20が前進ではなく後進を指示されていることを検出する。なお、車速検出手段7は、車両の後進を検出することのできる、例えばヘリカルギアを用いた車速パルスセンサ等を好適に使用することができる。
【0018】
舵角発生モータ11は、ECU13から出力される操舵駆動信号に基づいてラック軸14を駆動して転舵輪Tを操舵するよう構成している。なお、請求項の「転舵装置」は、この舵角発生モータ11やラック軸14等により構成される。
【0019】
そして、ECU13は、操舵角θに係る信号と、ヨーレートγに係る信号、ならびに、車速Vに係る信号とを入力として、反力発生モータ5のモータ電流の極性ならびに電流値を制御してハンドル2に操舵反力を与えるとともに、方位指示角検出手段4が示す方位指示角(ハンドル角)θに対応して車両20の方位角φを制御するよう構成されている(図2参照)。
【0020】
図2に、本実施形態の操舵装置1のECU(制御装置)13とその周辺の具体的なブロック構成図を示す。図2を参照してECU(制御装置)13の構成と動作を説明する。
【0021】
ECU13は、方向反転部21、方位指示角増幅器22、減算器23、加算器24、操作子操作速度演算部25、実舵角演算部26、実舵角モータ駆動手段27、舵角速度演算部30、補助舵角演算部31、車両進行方位角演算部32、反力演算部33、反力モータ駆動手段34から構成される。ECU13の周辺には、方位指示角検出手段4、反力発生モータ5、舵角発生モータ11、舵角検出手段12等が設けられている。
【0022】
舵角発生モータ11の作動によって実舵角が車両20に与えられて車両20の進行方向が変化し、その変化に対応するヨーレートγが生ずる。そして、車両20の進行方向の変化を積分手段16で積分した形で、車両20の方位角ψが制御される。
【0023】
なお、図2に示した車速検出手段7が車輪の回転速度に応じたパルス信号を出力する構成の場合は、ECU13内でパルス信号の周期等に基づいて車速を演算して、車速Vに係る信号を出力する車速演算手段を設ける構成としてもよい。
【0024】
方向反転部21は、方位指示角検出手段4で検出した方位指示角(ハンドル角)θに基づいた方位角目標値に係る信号に対して、後記するように前進の場合はそのまま、後進の場合はその符号を反転する処理を施して方位指示角増幅器22に出力する。これにより、前進する場合でも後進する場合でも、進行方向を基準とした車両20の旋回方向とハンドル2の回転方向が一致するようになる。このため、特に後進しながら運転操作する運転者の違和感が解消され、運転し易くなる。ちなみに、この方向反転部21は、請求項の「転舵輪の転舵方向と操作子の操作方向とを反対に切り替える構成」に該当する。
【0025】
方位指示角増幅器22は、方向反転部21からの出力を増幅するもので、方位指示角(ハンドル角)θと方位角目標値との増幅比率Kを任意に設定できるような構成をしている。
この比率Kを1.0に設定した場合、方位指示角(ハンドル角)θと方位角目標値は等しくなる。
【0026】
車両進行方位角演算部32は、進行方位検出手段8から出力されるヨーレートγに係る信号を積分する機能を備え、積分によって得られた車両20の現在の進行方位(方位角)ψに係る信号を出力する。
【0027】
加算器24は、車両進行方位角演算部32から出力される車両20の現在の進行方位ψに係る信号と補助舵角演算部31で発生する舵角速度やハンドル2の操作速度や車両20の運動状態によって決まる補助舵角に係る信号とを加算し、さらに、減算器23は加算器24の加算結果を方位指示角増幅器22から出力される方位角目標値に係る信号から減算して方位角偏差Eに係る信号を実舵角演算部26へ供給する。
【0028】
実舵角演算部26は、方位角偏差Eに係る信号と、車速検出手段7で検出した車速Vに係る信号とに基づいて、舵角δに係る信号を出力する。この実舵角演算部26は、例えばROM等を用い、各方位角偏差と各車速Vとに対応して予め設定した舵角δを格納した変換テーブルで構成してもいいし、予め登録した関数式等に基づいて舵角δを演算して出力する構成としてもよい。
【0029】
図4は、実舵角演算部26の入出力特性を示すグラフである。横軸は入力である方位角偏差Eを、縦軸は出力である舵角δを、各特性曲線は車速Vが20、30、40、50及び60km/hの場合をそれぞれ示している。図4に示すように、図2の実舵角演算部26は、車速Vが増加するに伴って出力する舵角δを減少させるように構成されている。これは、低車速域では大舵角が主体の操作で、小回り性を確保するため高い利得を設定し、中高速域では小舵角が主体の操作で応答が過敏にならないように利得を低く設定しているためである(低速クイック・高速ダルの特性を設定)。
【0030】
また、各特性曲線は、方位角偏差Eの増加に伴い舵角δの増加率が大きくなる特性を有する次の式1に示す指数関数を利用して設定している。
【0031】
δ=a(ek * E −1) … 式1
δ:舵角
E:方位角偏差
a:車速に応じた定数
k:車速に応じた定数
【0032】
これは、方位指示角(ハンドル角)θの値が小さなときは、利得を小さくして過敏な応答を抑制し、方位指示角(ハンドル角)θの値が大きくなるにつれて舵角δの出力を大きくして応答性を向上させるためである。なお、指数関数に限らず2次関数や方位角偏差が小さい領域と大きい領域で傾きが変わる2つの比例関数で構成してもよい。
【0033】
実舵角モータ駆動手段27は、実舵角演算部26から出力される操舵目標値に係る信号に基づいて、舵角発生モータ11を駆動する転舵駆動信号を出力するよう構成されている。舵角発生モータ11が直流モータとギア機構等を備え、この直流モータに供給するモータ電流の極性と電流値に基づいて車両20の舵角δを制御する構成の場合、実舵角モータ駆動手段27は、操舵目標値に対応して予め設定した極性で予め設定したモータ電流を前記した直流モータに供給する。舵角発生モータ11がパルスモータ等を用いて構成されている場合には、実舵角モータ駆動手段27は、正転又は逆転パルスを必要数供給するような構成とする。
【0034】
反力演算部33は、方位角偏差Eに係る減算器23からの信号と車速Vに係る車速検出手段7からの信号とに基づいて、反力モータ駆動手段34に反力トルク目標値に係る信号を出力する。この反力演算部33は、例えばROM等を用い、各方位角偏差と各車速とに対応して予め設定した反力トルク目標値を格納した変換テーブルで構成するか、予め登録した関数式等に基づいて反力トルク目標値を演算して出力する構成としてもよい。反力モータ駆動手段34は、これを受けて反力発生モータ5を駆動してハンドル2に反力を与える。
【0035】
舵角検出手段12は、ラック軸14の位置を検出した信号から舵角δを検出して補助舵角演算部31に入力すると共に舵角速度演算部30にも入力する。舵角速度演算部30は舵角δを微分して舵角δの変化速度を求め、補助舵角演算部31に入力する。
【0036】
操作子操作速度演算部25は、方向反転部21から出力される前進、後進を判断した符号のついた方位指示角(ハンドル角)θに基づく方位角目標値に係る信号を微分してハンドル2の操作速度にかかる信号を補助舵角演算部31に入力する。
【0037】
補助舵角演算部31では、方向反転部21から入力される方位角目標値に係る信号、操作子操作速度演算部25から入力されるハンドル2の操作速度に係る信号、舵角検出手段12から入力される舵角δに係る信号、舵角速度演算部30から入力される舵角δの変化速度に係る信号、ヨーレートγに係る信号、横加速度Gに係る信号、車速検出手段7から入力される車速Vに係る信号、及び後進状態検出手段10からの信号に基づいてそのときの車両20の状態や運転状況に応じた補助舵角を演算出力して、車両進行方位角演算部32からの車両20の現在の進行方位ψに係る信号と加算器24で加算されて実舵角とされ、舵角δの補正が行われる。
【0038】
後進状態検出手段10からの信号は、ECU13に取り込まれ、後進状態であると判定された場合には、方向反転部21で入力方位角が前進時とは逆になるように入力方位指示角(ハンドル角)θを反転させる。さらに、方位指示角増幅器22でのゲインKを後進時に必要なゲインに設定して、次の実舵角演算部26に信号を送り、転舵角を発生させる。さらに後進状態であるという信号は補助舵角を後進時の操縦性に合わせるために補助舵角演算部31にも入力される。
また、運転者への操舵時のインフォメーションとして与える操舵反力も方向が逆になるため、後進状態検出手段10からの信号を反力演算部33にも送り、反力の方向も反転させる。
【0039】
以上の構成であるから、この発明に係る操舵装置は、方位角目標値と車両の現在の進行方位との方位角偏差Eに基づいて、舵角発生モータ11を駆動して車両20の進行方位を制御するとともに、反力発生モータ5を駆動して操舵反力をハンドル2へ与えることができ、さらに、後進時には舵角方向、反力方向を前進時とは逆にすると共に、後進時に合わせた操舵ができるようになっている。これにより、後進時でもハンドル2の回転方向と車両20の旋回方向とが一致するので、後進時でも直感的な車両20の操縦(ハンドル操作)を行うことができるようになる。
【0040】
なお、実舵角演算部26では、車速Vが増大するほど出力する舵角δを小さくするよう構成しているので、低速走行時は操向指示手段(ハンドル)2の操作に対する車両の方位角制御の応答性を高くし、中高速走行時では車両の挙動が過敏になることを防ぐことができる。
【0041】
図3に、本発明の操舵装置のECU13(図2参照)における後進時の方位指定角を反転するサブプログラムの処理フローチャートを示す。この図3に沿って説明する。まず、ステップ100でプログラムがスタートすると、ステップ101でチェンジギアのシフトポジション位置を入力する。そうして、ステップ102でシフトポジション位置がリバース位置かどうかを判断する。リバース位置でない場合は前進なので、ステップ108に進んでメインプログラムにリターンし、このサブプログラムを終了する。
【0042】
リバース位置の場合はステップ103に進んで車速検出手段7から車速を入力し、ステップ104で車速Vが負、即ち後進かどうかを判定する(この判定はステップ102と重複するが念のために設けられている)。車速Vが正の場合は、ステップ108に進んでメインプログラムにリターンし、このサブプログラムを終了する。
【0043】
なお、車速Vが負であれば、ステップ105で方向反転部21を働かせて、方位指示角θを反転させる。さらに、ステップ106で補助舵角演算部31での定数K1、K2を切り替え、補助舵角を後進時の操縦性に合わせたものにし、また、反力演算部33の定数Khを切り替え、反力を反転させる。その後、ステップ108に進んでメインプログラムにリターンし、このサブプログラムを終了する。
【0044】
この一連のサブプログラムによれば、リバース位置(後進位置)でも、ハンドル2の回転方向と車両20の旋回方向とが一致する。このため、ハンドル2の回転方向と車両20の旋回方向とが不一致となる従来の違和感が解消され、後進時でも運転し易くなる。なお、車両20は、通常車速を8ビットのデータ、つまり0〜255km/hのプラスの値として把握しているが、ヘリカルギアを用いた車速検出手段7等を採用してマイナスの値の車速Vを把握できる場合は、ステップ101とステップ102を省略してもよい。ちなみに、クラッチペダルを踏み込みながら坂道を車両20の自重で後進する場合等は、シフトポジションの位置と車両20の前進・後進とは必ずしも一致しないことがある。このため、マイナスの値を判別できる車速検出手段7により後進状態を検出するのがより好ましい。
【0045】
ところで、このような方法によって後進時でもハンドル2を前進時と同様に進みたい方向(旋回したい方向)に回転させる(指し示す)ことで操縦することが可能になるが、操縦に際しては進行方向が判ることが望ましい。このための後進時に進行方向を運転者に教示する表示方法の例(請求項の「旋回方向表示手段」の例)を図5及び図6に示す。
【0046】
図5はレーザ光等を用い、例えば運転者が目視可能なリアウィンドゥに設けた複数のスポットのうちの1つを光らせて後方の進行方向を運転者に教示する旋回方向表示の例で、図6は運転者が目視可能なリアウィンドゥにヘッドアップディスプレイを装着し矢印等によって進行方向を運転者に教示する旋回方向表示の例である。なお、表示は、例えば図2の方向指示角検出手段4と後進状態検出手段10の検出値を用いて制御することができる。また、表示は、舵角発生モータ11に供給される電流(モータ電流の目標値・実測値)の方向を用いて制御するようにしてもよい。また、表示を点滅させることとして車両20の旋回方向を理解し易くしてもよい。
【0047】
この様な表示をすることによってハンドル2の方位指示角(回転量/回転角)で車両の進行方向が指示でき、進行方向がリアウィンドゥに表示されるので、後進の場合のハンドル2の操作は非常に楽になる。しかし、運転者にとってハンドル2の位置と目視ている方向が反対方向なのでまだ改良したい面(課題)が残る。これを解決するため、図7に示すように小形のリモコンの操作子2’を体の前に持ってきて操作すると前進時とほとんど変わらない操作が可能になる。
【0048】
以上説明した本発明は、前記した実施形態に限定されることなく幅広く変形実施することができる。例えば(図1、図2参照)、転舵輪の制御について、ハンドル2の回転角(目標転舵角)に応じて転舵輪Tの切れ角(実転舵角)を比例制御(位置制御)する前記実施形態で例示した制御でもよいし、ハンドル2の回転角に応じて舵角発生モータ11の出力を比例制御する制御でもよい。また、操作子は、前記した実施形態で示したような丸ハンドルとしてのハンドル2に限定されるものではなく、例えばジョイスティックタイプ等の様々な操作子に適用することができる。また、転舵輪Tの転舵を舵角発生モータ11の駆動力により行うこととしたが、油圧により転舵輪Tを駆動するようにしてもよい。なお、本発明を船舶等に適用することも可能である。
【0049】
【発明の効果】
本発明の請求項1の発明によると、後進時に後進状態であることを検知したとき、操作子の操作方向と転舵輪の転舵方向とが、前進時とは逆になるので、普段あまり行わない後進時でも操縦が容易になる。
また、本発明の請求項2の発明によると、後進時に車両の後進方向を教示する手段を備えているので、進行方位角(進行方向)が確認できて後進時の操縦がより容易になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係る操舵装置の模式構造図。
【図2】図1の操舵装置のECU(制御装置)とその周辺のブロック構成図。
【図3】図1の操舵装置における後進時の方位指定角を反転するサブプログラムのフローチャート。
【図4】図2の実舵角演算部の入出力特性を示すグラフ。
【図5】本発明の実施形態に係る操舵装置における後進時の進行方向を教示する表示方法の例。
【図6】本発明の実施形態に係る操舵装置における後進時の進行方向を教示する表示方法の例。
【図7】本発明の実施形態に係るリモコン操作子による操舵装置の例。
【符号の説明】
1…操舵装置(ステアバイワイヤ式の操舵装置)、2…ハンドル(操作子)、3…操舵軸、4…方位指示角検出手段、5…反力発生モータ、6…トルクセンサ、7…車速検出手段、8…進行方向検出手段、10…後進状態検出手段、11…舵角発生モータ、12…舵角検出手段、13…ECU(制御装置)、14…ラック軸、21…方向反転部、22…方位指示角増幅器、23…減算器、24…加算器、25…操作子操作速度演算部、26…実舵角演算部、27…実舵角モータ駆動手段、30…舵角速度演算部、31…補助舵角演算部、32…車両進行方位角演算部、33…反力演算部、34…反力モータ駆動手段
Claims (2)
- 運転者が車両の操作を行うための操作子と転舵輪を転舵する転舵装置とが切り離され、前記操作子の操作量に応じて前記転舵装置を駆動して転舵を行うステアバイワイヤ式の操舵装置において、
前記車両の進行方向を検出する進行方向検出手段を備え、この進行方向検出手段が検出した進行方向に応じて前記転舵輪の転舵方向と前記操作子の操作方向とを反対に切り替える構成を備えたことを特徴とするステアバイワイヤ式の操舵装置。 - 前記車両の進行方向が後進方向であるとき、この車両の後部の運転者が目視可能な部分に前記操作子の操作方向に対応した車両の旋回方向を表示する旋回方向表示手段を備えたことを特徴とする請求項1に記載のステアバイワイヤ式の操舵装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003124402A JP4340093B2 (ja) | 2003-04-28 | 2003-04-28 | ステアバイワイヤ式の操舵装置 |
Applications Claiming Priority (1)
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