JP2004322245A - 乾式流動研磨方法 - Google Patents

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了 有田
Shoichiro Suzuki
祥一郎 鈴木
Yoichi Fukui
洋一 福井
Kazuyo Tsuchiie
和代 土家
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Abstract

【解決手段】処理槽内に研磨メディアを充填し、この研磨メディア中に研磨すべきワークを埋没させ、上記研磨メディア、上記研磨すべきワーク又はその両方を運動させることにより上記研磨すべきワークと上記研磨メディアとを摩擦させて研磨する乾式流動研磨方法において、研磨メディアの体積とワークの体積との割合を4以上:1、研磨メディアの幅とワークの幅との割合を1.2〜5:1、研磨メディアの高さとワークの高さとの割合を1.2以上:1として研磨することを特徴とする乾式流動研磨方法。
【効果】本発明の研磨方法によれば、ワークの回転運動エネルギーを効率よくワークと研磨メディアの摩擦のエネルギーに転換でき、回転周速を増加しなくとも大きな摩擦力が得られ、長期間安定した高い研磨性を得ることができる。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、各種金属部品等の表面研磨に用いる乾式流動研磨方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
金属にめっきや塗装などの表面処理を施す際に、従来より意匠性を高めることを目的として表面研磨が行われている。この表面研磨の方法として、バフ研磨があるが、バフ研磨は、生産性が低く、研磨品質が研磨技能者の技能によって影響され、深い凹面や穴の内面や隙間といった部位の研磨ができないという欠点を有している。
【0003】
このバフ研磨の欠点を改善するため、バフ研磨に代わる研磨方法として、バレル研磨に代表される乾式流動研磨法が注目されている。この乾式流動研磨法は、ワークを研磨メディア中で回転させることで、ワークと研磨メディアを衝突させてワークを研磨する方法である。
【0004】
しかし、この乾式流動研磨法では、ワークの回転に伴って研磨メディアが流動するが、流動が過大となって研磨メディアとワークとの衝突頻度が低下して十分な研磨性が得られなかったり、ワークの研磨状態が不均一となったりするという問題点があった。
【0005】
この問題点を解決する方法として、特開昭51−148795号公報(特許文献1)には、処理槽に蓋を付けて研磨メディアを高加圧状態として研磨する方法が記載されている。しかし、この方法では、ワークを回転させるには大きな駆動力が必要となり、運転コストが高く、装置も大型化するため不経済であった。また、発火のおそれもあり、安全面からも問題がある。
【0006】
また、ワークの回転スピードを増やす方法が検討されてきたが、この方法では、装置の駆動系部品の摩耗が著しく速くなり、装置の耐久性を損なうおそれがあり、更に、駆動動力も大きくする必要があるために装置が大型化して不経済である上に、ワークの回転に伴う研磨メディアの流動も激しくなり、研磨メディアが飛び散りやすいため、この方法は、作業の衛生上、安全上に問題を有している。
更には、ワークを均一に研磨することができないこともある。
【0007】
一方、ワークの回転スピードを増加させつつ、研磨メディア量を増やす方法も検討されたが、この方法では、処理槽容積の増加に伴い装置寸法が大きくなるため、装置を設置する面積が大きくなる上、使用する研磨メディア量が増加し、不経済となる欠点があった。
【0008】
【特許文献1】
特開昭51−148795号公報
【特許文献2】
特開2000−158321号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記の問題に鑑みなされたもので、従来の装置規模でも回転周速を増加することなく研磨性を向上させることができる乾式流動研磨方法を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段及び発明の実施の形態】
本発明者は、乾式流動研磨を物理的に考察し、高い効率で均一性に優れた研磨性を得るためには、ワークの回転運動エネルギーをいかに効率よく研磨メディアとワークとの摩擦力に変換できるかが重要であると考えた。つまり、乾式流動研磨における研磨性は次のようなメディア粒の挙動に影響されていると考えられる。
【0011】
乾式流動研磨の原理を説明すると、ワークが研磨メディア中を移動する際に、ワークと衝突したメディア粒がワーク表面を移動し、この移動時に生じる摩擦力によってワーク表面が研磨される。つまり、乾式流動研磨法は、ワークの回転エネルギーを摩擦のエネルギーに転換することで、ワーク表面を研磨する方法である。
【0012】
しかし、ワークの回転運動エネルギーは、ワークとメディア粒との摩擦のエネルギーに変わるだけでなく、メディア粒間で伝達されてメディア粒の運動エネルギーにも変わる。この場合、過剰なエネルギーが与えられるとメディア粒は飛散する。メディア粒に与えられた運動エネルギーが連鎖的に他のメディア粒に伝達した結果、研磨メディアの流動が生じる。この運動エネルギーの伝達によって研磨メディアの流動が生じると、研磨メディアの見かけ上の体積が増加するので、研磨メディアの見かけ密度が増加することとなる。この研磨メディアの見かけ密度の増加は、ワークとメディア粒との衝突頻度及び摩擦力を低下させるため、研磨性が悪くなる。即ち、メディア粒に与えられた運動エネルギーが、研磨メディアの見かけ体積を増大させる仕事に費やされる。
【0013】
一方、ワークの回転周速を落とすと、ワークの回転運動エネルギーを小さくすることができ、上述したような研磨メディアの流動による研磨メディアの見かけ体積の増大は生じにくくなる。しかし、ワークの回転運動エネルギーが小さくなると、摩擦のエネルギー自体も小さくなるため、研磨性が低下する。
【0014】
これらのことから、乾式流動研磨を行う場合、ワークの回転運動エネルギーがメディア粒の運動エネルギーに転換されて、上述のように研磨メディアの体積が増大することを抑制することが、高い効率で研磨を実現するのに重要であることになる。
【0015】
このような考察に基づき、本発明者は、上記目的を達成するため鋭意検討を重ねた結果、蓋等の研磨メディアへの加圧手段を用いることなく研磨メディアの見かけ体積の増大を抑制するためには、乾式流動研磨において、研磨メディアの体積とワークの体積との割合(比)、研磨メディアの幅とワークの幅との割合(比)、及び研磨メディアの高さとワークの高さとの割合(比)を最適化することが重要で、これらの割合(比)を最適化することによって、結果研磨性が向上し、かつ均一な研磨が可能であり、長期間安定した研磨性が得られること、また、処理槽内で、上記割合(比)を最適化するだけで、1つの装置で様々なワークに対して高い研磨性で均一な研磨が長期間安定して可能であることを知見し、本発明をなすに至った。
【0016】
従って、本発明は、処理槽内に研磨メディアを充填し、この研磨メディア中に研磨すべきワークを埋没させ、上記研磨メディア、上記研磨すべきワーク又はその両方を運動させることにより上記研磨すべきワークと上記研磨メディアとを摩擦させて研磨する乾式流動研磨方法において、研磨メディアの体積とワークの体積との割合を4以上:1、研磨メディアの幅とワークの幅との割合を1.2〜5:1、研磨メディアの高さとワークの高さとの割合を1.2以上:1として研磨することを特徴とする乾式流動研磨方法を提供する。
【0017】
以下、本発明につき更に詳しく説明する。
本発明に係る乾式流動研磨方法は、処理槽内に研磨メディアを充填し、この研磨メディア中に研磨すべきワークを埋没させ、研磨メディア、研磨すべきワーク又はその両方を運動させることにより研磨すべきワークと研磨メディアとを摩擦させて研磨するものである。
【0018】
研磨すべきワークと研磨メディアとを摩擦させる方法としては、研磨メディアを流動させてワークとの間に摩擦を生じさせる方法、研磨メディア中でワークを移動させることで両者間に摩擦を生じさせる方法などが採用でき、特に限定されない。なかでも、ワークを研磨メディア中に埋没させ、このワークを研磨メディア中で自転及び/又は公転させて両者間に摩擦を生じさせる方法が好適に採用できる。
【0019】
この場合、この乾式流動研磨方法に用いる研磨装置としては、例えば、特開2000−158321号公報(特許文献2)に記載されている研磨装置を使用することができる。この研磨装置は、水平方向に回転可能な遊星ギアを収容するギアボックスを有し、当該遊星ギアには、当該遊星ギアの回転に伴い自転する回転軸が鉛直下方に取り付けられている。また、当該自転軸の下端にはベベルギアが取り付けられており、このベベルギアを介して垂直方向に回転可能な水平スピンドルが取り付けられている。この水平スピンドルの先端部にワークが取り付けられる。
【0020】
上記ワークは、有底円筒形の研磨槽内に充填された研磨メディア中に埋没され、研磨メディア中を遊星ギアの運動に伴い公転しながら水平スピンドルの回転に伴い自転する。このワークの回転運動により、研磨メディアとの摩擦が生じてワークが研磨される。
【0021】
なお、このワークを研磨メディア中で自転及び/又は公転させて両者間に摩擦を生じさせる方法により研磨する場合は、ワークの重心位置での回転周速が50〜500m/min、好ましくは50〜200m/minとなるように回転させることが好適である。回転周速が500m/minより速いと、ワークの回転運動エネルギーが大きすぎて、研磨メディアの運動エネルギーが過大となり、研磨メディアが飛散して、結果安定して研磨することができない場合がある。また、回転周速が50m/minより遅いと、ワークの回転運動エネルギーが小さすぎるため、ワークと研磨メディアとの摩擦が不足し、研磨性が低下する場合がある。なお、上述の装置であれば、公転数は10〜200rpm、特に20〜150rpmとすることができる。
【0022】
本発明では、上記のような乾式流動研磨方法において、研磨メディアの体積とワークの体積との割合を4以上:1、研磨メディアの幅とワークの幅との割合を1.2〜5:1、研磨メディアの高さとワークの高さとの割合を1.2以上:1として研磨する。
【0023】
研磨メディアの体積(V)は、処理槽に研磨メディアを充填して静置したときの空間容積であり、下記式により算出することができる。
V=M/ρ
(式中、Mは研磨メディアの重量、ρは研磨メディアの嵩比重を表す。)
【0024】
一方、ワークの体積(v)は、研磨されるワークの体積である。研磨メディア中に複数のワークを埋没させて研磨する場合はそれらの体積の合計とする。また、ワーク形状が複雑で体積を求めにくい場合には、解析的手法を用いてワークを解析モデル化してワークの体積(v)を求めてもよい。即ち、例えばアルミホイールをワークとして研磨する場合、円柱状としてワークの体積(v)を算出してもよい。これら解析的手法を用いてワークの体積(v)を求める手法としては、例えば、代表長を用いて作成した解析モデルから算出する手法が挙げられる。
【0025】
研磨メディアの幅(D)は、処理槽に充填された研磨メディアの水平方向の幅である。具体的には、ワークが公転する場合にはワークの通過領域の外周円に接線を引き、この接線の垂線に相当する幅が研磨メディアの幅(D)となり、ワークが公転せず自転のみする場合には、自転軸を通る研磨メディアの中心線に相当する幅が研磨メディアの幅(D)となる。従って、水平方向の断面が円形の場合は、図1(A)のように直径をDとし、断面が楕円形の場合は、図1(B)のように、楕円の長径がDの最大値、楕円の短径がDの最小値となる。また、処理槽の中心部が仕切りで仕切られている場合には、図1(C)のように、上記垂線又は上記中心線のうち、処理槽内壁と仕切りとの間に対応する幅を研磨メディアの幅(D)とする。
【0026】
更に、本発明では、上述のように規定される研磨メディアの幅(D)が複数規定できる場合は、その全てが後述する研磨メディアの幅とワークの幅との割合を満たすようにする。
【0027】
一方、ワークの幅(d)は、ワークを研磨メディアに埋没させた状態でのワークの水平方向の最大幅である。例えば、図3(B)に示されるような、水平方向の断面の縦長と横長が異なるワークの場合、ワークの自転に伴い研磨メディアの幅Dを規定する垂線又は中心線の幅を規定する範囲内におけるワークの幅(d)が変化するが、このときワークの幅(d)は、その変化する中での最大値(この場合は対角線)とする。また、複数のワークが研磨メディア中に埋没している場合、同時に研磨メディアの幅Dを規定する垂線又は中心線の幅を規定する範囲内に複数(例えば、W1,W2の2つ)のワークが同時に存在し得る場合には、ワークの幅(d)はこれらの幅の合計(dW1,dW2の合計)とする。
【0028】
研磨メディアの高さ(H)は、処理槽に研磨メディアを充填し、ワークを埋没させて静置した状態での研磨メディアの高さ(深さ)であり、ワークの高さ(h)は、ワークを研磨メディアに埋没させた状態での最大高さである。なお、同一の自転軸に複数個のワークが設置されている場合は、それらワーク高さの合計がワークの高さ(h)となる。また、ワークの体積(v)と同様に、ワークの高さ(h)を解析的手法を用いてワークを解析モデル化したときの高さとしてもよい。
【0029】
図2,3は本発明の処理方法において、ワークを自転及び公転させて研磨する場合の一例を示す図である。図2に示されるように、自転軸2,2’に取り付けられワーク1,1’は、自転機構及び公転機構(いずれも図示せず)により回転され、この回転により研磨メディアとの間に摩擦が生じることによってワークが研磨される。この場合、図3に示すように、研磨メディア中には2個のワークが埋没されており、ワークの体積(v)は2つのワークの体積の合計となる。またこの場合、ワーク1,1’は直方体形状であり、直方体上面の対角線の長さがワークの幅(d)、直方体の高さがワークの高さ(h)となる。なお、図中、3は公転軸、4は研磨メディア、5は処理槽、6は仕切りを示す。
【0030】
また、ワークを自転及び公転をさせて研磨する場合においては、自転軸と公転軸の方向は同一でなくてもよく、例えば、自転軸を公転軸に対して直交する方向とすることも可能である。更に、ワークを自転のみ、又は公転のみさせて研磨することも可能である。
【0031】
本発明の研磨方法では、研磨メディアの体積(V)とワークの体積(v)との割合を4以上:1(V/v≧4)、好ましくは8以上:1(V/v≧8)、特に好ましくは8〜50:1[V/v=8〜50]とする。体積の割合(V/v)が4未満であると、ワークの回転運動から転換されるメディア粒の運動エネルギーがメディア粒間で容易に伝達してしまい、研磨メディアの見かけ上の体積が増加する結果、研磨メディアとワークとの間に生じる摩擦力が減少したり不均一となったりして研磨性が低下する。この場合、特に、ワークの回転周速が速い場合には、メディア粒の運動エネルギーが過剰となるため、研磨メディアが飛散して衛生面や作業性の面で問題が生じる。
【0032】
また、研磨メディアの幅(D)とワークの幅(d)との割合は、1.2〜5:1(D/d=1.2〜5)、好ましくは1.5〜4:1(D/d=1.5〜4)とする。幅の割合(D/d)が1.2未満であると、ワークの回転運動から転換されるメディア粒の運動エネルギーがメディア粒間で容易に伝達してしまい、ワークの運動に伴ってワークの回転方向への研磨メディア自体の運動が開始し、研磨メディアとワーク間の摩擦力が減少する結果、研磨性が低下する。この場合、特に、ワークの回転が速い場合には、ワークの振動が激しくなってワークが処理槽壁とぶつかるおそれがあり実用的でない。一方、幅の割合が5を超えると、ワーク表面での摩擦に有効となる研磨メディアの運動エネルギーが減少するため、研磨性が低下する。
【0033】
更に、研磨メディアの高さ(H)とワークの高さ(h)との割合を1.2以上:1(H/h≧1.2)、好ましくは1.5〜20:1(H/h=1.5〜20)とする。高さの比が1.2未満であると、ワークの回転運動から転換されるメディア粒の運動エネルギーがメディア粒間で容易に伝達してしまい、研磨メディアの見かけ上の体積が増加する結果、研磨メディアとワークとの間に生じる摩擦力が減少したり不均一となったりして研磨性が低下する。
【0034】
本発明の方法において用いられる研磨メディアは、メディア粒と研磨剤とからなる。当該研磨メディアは、後述するメディア粒の表面に研磨剤をコーティング又は含浸させたものを用いてもよい。また、種類の異なるメディア粒を任意に混合して用いてもよい。
【0035】
メディア粒の材質としては、トウモロコシの芯、クルミの殻、桃の種、杏の種を粉砕して整粒したもの、ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロン等のエンジニアリングプラスチックなどの高分子樹脂を成型したもの、ガラス、アルミナ、炭化珪素、ムライト質などのビーズを用いることができる。また、メディア粒の形状としては球状、シリンダー状、キュービック状、扁平針状などを用いることができる。
【0036】
更に、上記メディア粒の粒子径は、長径が0.1〜10mmの範囲のものが好ましい。特に、ワークの微細な凹部の研磨や鏡面光沢仕上げを目的とする場合には0.1〜0.5mm、酸化被膜の除去や表面層の傷の除去など研削力を必要とする場合は1〜5mmの範囲の長径を有するメディア粒を使用することが好ましい。
【0037】
一方、研磨剤は、砥粒、油脂を含有し、必要に応じて界面活性剤、有機溶剤、水等を添加したものである。
【0038】
砥粒としては、酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化クロム、酸化セリウム、酸化ジルコニウム、炭化珪素、酸化チタニウム、ダイヤモンドなどを用いることができ、目的に応じて砥粒の種類及び平均粒径を選択することができるが、砥粒の粒径は0.5〜100μmのものを使用することが好ましく、特に、ワークの微細な凹部の研磨や鏡面光沢仕上げを目的とする場合には0.5〜10μm、酸化被膜の除去や表面層の傷の除去など研削力を必要とする場合は50〜80μmの範囲の粒子径を有する砥粒を使用することが好ましい。
【0039】
一方、油脂は脂肪酸、又は脂肪酸と共に必要に応じて灯油、パラフィン等の鉱物油を配合したものであり、脂肪酸としては、炭素数が8(カプリル酸)〜22(ベヘン酸)のものが好適に用いられるが、特に融点が70℃以下のものが好ましく、更にパルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸が好ましい。
【0040】
また、鉱物油は研磨メディアに対する砥粒の付着性を向上させるために添加するが、この鉱物油の融点は、80℃以下であることが好ましい。
【0041】
なお、研磨剤中の砥粒、脂肪酸及び鉱物油の配合量は、脂肪酸を1〜30重量%、鉱物油を0〜50重量%、残部を砥粒とすることが好ましい。
【0042】
更に、研磨剤には必要に応じて界面活性剤をそのまま又は水溶液として、上述の砥粒、脂肪酸及び鉱物油の合計100重量部に対して20重量部以下で添加することが好ましい。上記界面活性剤としては、オレイン酸エステル、オレイルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル又はこれらを適宜混合して用いることができる。また、界面活性剤水溶液の濃度は1〜100重量%、特に5〜20重量%であることが好ましい。
【0043】
なお、上記の研磨剤は、研磨に用いる前にメディア粒の表面をコーティング又は含浸させて用いることもできるが、ワークとの摩擦によってワークの切削屑が付着して劣化し、研削力が低下することがあるため、この場合においても研磨の途中で適宜研磨剤を研磨メディアに更に補給しながら使用することが好ましい。また、研磨剤は粉末状、ペースト状、スラリー状等、固体状、液状のいずれでも用いることが可能であり、その添加量は、メディア粒100重量部に対して0.1〜20重量部であることが好ましい。
【0044】
なお、本発明は、例えば、アルミホイール、エンジンカバー、ショックアブソーバー等の自動車部品、ドアハンドル、水道金具等の建築部品、自転車部品、腕時計ケーシング、家具部品、PC部品、織機部品、器物、釣り具等に適用可能であるがこれに限定されるものではない。
【0045】
【実施例】
以下、実験例及び実施例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記実施例、実験例に制限されるものではない。なお、実施例及び実験例で用いた研磨剤の調製は以下の通りである。
【0046】
研磨剤の調製
▲1▼研磨剤1〜3
アルミナ(平均粒径70μm)、脂肪酸(ステアリン酸とパルミチン酸(6:4)の混合物:融点50℃)、鉱物油(スピンドル油)を下記の通り配合し、混練機により80℃で混合して調製した。
研磨剤1:アルミナ70重量部、脂肪酸22重量部、鉱物油8重量部
研磨剤2:アルミナ90重量部、脂肪酸8重量部、鉱物油2重量部
研磨剤3:アルミナ40重量部、脂肪酸20重量部、鉱物油40重量部
【0047】
▲2▼研磨剤4〜6
珪石(平均粒径70μm)、脂肪酸(ステアリン酸:融点70℃)、鉱物油(パラフィンワックス)を下記の通り配合し、混練機により90℃で混合して調製した。
研磨剤4:珪石70重量部、脂肪酸22重量部、鉱物油8重量部
研磨剤5:珪石90重量部、脂肪酸8重量部、鉱物油2重量部
研磨剤6:珪石40重量部、脂肪酸20重量部、鉱物油40重量部
【0048】
▲3▼研磨剤7〜9
アルミナ(平均粒径2μm)、脂肪酸(ステアリン酸とパルミチン酸(6:4)の混合物:融点50℃)、鉱物油(ターペン)を下記の通り配合し、混練機により80℃で混合して調製した。
研磨剤7:アルミナ70重量部、脂肪酸22重量部、鉱物油8重量部
研磨剤8:アルミナ90重量部、脂肪酸8重量部、鉱物油2重量部
研磨剤9:アルミナ40重量部、脂肪酸20重量部、鉱物油40重量部
【0049】
[実験例1〜4]
研磨装置として、図4に示す研磨装置を用い、アルミニウム供試材(6063重量1000g、サイズ60mm×60mm×120mm)を、表1(実験例1)〜表4(実験例4)に示すメディア粒及び研磨剤からなる研磨メディアに埋没させ、アルミニウム供試材を自転させて研磨した。なお、図中、1,1’はワーク、2,2’は自転軸、3は公転軸、4は研磨メディア、5は処理槽、6は仕切り、7は回転機構を示す。
【0050】
供試材の回転周速を200m/min、研磨メディア温度を60℃、研磨時間を15分とし、研磨メディアの体積とワークの体積との割合(V/v)は8〜12:1とし、研磨メディアの幅とワークの幅の割合(D/d)及び研磨メディアとワークの高さの割合(H/h)は表1〜4に示す通りとした。研磨前後の供試材の重量減量を表1〜4に示す。
【0051】
上記実験例1〜4において、D/d=1.2〜5.0、かつH/h≧1.2を満たすもの(各実験例の実験条件番号1〜9)では、従来からある装置規模で回転周速200m/minとして処理しても、ワークの回転運動エネルギーがワークと研磨メディア間の摩擦のエネルギーに効率よく転換されていると考えられる結果、研磨力が十分に得られたため、供試材全体の酸化皮膜が完全にかつ均一に除去されていることが分かる。また、各種研磨メディアに対して、良好な研磨性が得られていることが分かる。一方、上記範囲を満たさないもの(各実験例の実験条件番号10〜16)は、研磨力が十分でないものが多く、完全に酸化皮膜を除去することができない上、研磨力が得られても、酸化皮膜が均一に除去されていないことが分かる。
【0052】
【表1】
Figure 2004322245
【0053】
【表2】
Figure 2004322245
【0054】
【表3】
Figure 2004322245
【0055】
【表4】
Figure 2004322245
【0056】
[実験例5〜8]
研磨装置、メディア粒、研磨剤、幅の割合(D/d)及び高さの割合(H/h)を表5[実験例5,6]、表6[実験例7,8]に記載の通りとした以外は、実施例1と同様の方法で研磨を実施した。研磨前後の供試材の重量減量を表5,6に示す。
【0057】
上記実験例5〜8において、D/d=1.2〜5.0、かつH/h≧1.2を満たすもの(各実験例の実験条件番号1〜9)では、従来からある装置規模で回転周速200m/minとして処理しても、ワークの回転運動エネルギーがワークと研磨メディア間の摩擦のエネルギーに効率よく転換されていると考えられる結果、いずれも研磨後の供試材に均一な鏡面光沢が得られることが分かる。また、各種研磨メディアに対しても同様の結果が得られていることが分かる。一方、上記範囲を満たさない(各実験例の実験条件番号10〜16)は、いずれも研磨後の供試材の光沢は不均一であることが分かる。
【0058】
【表5】
Figure 2004322245
【0059】
【表6】
Figure 2004322245
【0060】
[実施例]
17インチアルミホイール(サイズ:425mmφ×300mm)、メディア粒としてクルミ(粒度#14)、研磨剤として研磨剤1を用い、図5に示す有底円筒状の処理槽を有する研磨装置にて研磨した。なお、図中、1,1’はワーク(アルミホイール)、2,2’は自転軸、4は研磨メディア、5は処理槽、6は仕切り、21は自転プーリー、22は公転プーリー、23は自転モーター、24は公転モーター、25はベルト、26は遊星ギアボックスを示す。
【0061】
アルミホイールは、研磨メディア温度80℃、研磨時間15分、回転周速100m/minで自転及び公転させ、V/vを8〜12、D/dを1.5〜2.0、H/hを2.0とした。
【0062】
研磨後のアルミホイールは、全体の酸化皮膜が完全かつ均一に除去されており、十分な研磨力が得られた。更に、上記と同様の方法で、研磨剤2を適宜添加しながら研磨を繰り返したところ、稼働時間が1500時間のときにも同様の研磨性を得ることができた。
【0063】
また、研磨後のアルミホイールにニッケルメッキ(メッキ厚50μm又はクロムメッキ(メッキ厚0.5μm)施したものは、バフ研磨をして同様のメッキを施したものと同等の表面外観となった。一方、研磨したホイルを脱脂した後、アロジン処理してアクリル珪塗料を膜厚100μm塗装したものの塗膜は鮮映性に優れたものであった。
【0064】
【発明の効果】
本発明の研磨方法によれば、ワークの回転運動エネルギーを効率よくワークと研磨メディアの摩擦のエネルギーに転換でき、回転周速を増加しなくとも大きな摩擦力が得られ、長期間安定した高い研磨性を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】研磨メディアの幅を説明する図である。
【図2】本発明の方法において、ワークを自転及び公転させる場合のワーク、自転軸及び公転軸の状態の一例を表す斜視図である。
【図3】本発明の方法において、ワークを自転及び公転させる場合の状態の一例の説明図であり、(A)はワーク及び処理装置の公転軸を通る縦断面図、(B)は(A)のA−A’線に沿った断面図である。
【図4】実験例で用いた研磨装置を表す縦断面図である。
【図5】実施例で用いた研磨装置を表す側面図である。
【符号の説明】
1,1’ ワーク
2,2’ 自転軸
3 公転軸
4 研磨メディア
5 処理槽
6 仕切り
7 回転機構
21 自転プーリー
22 公転プーリー
23 自転モーター
24 公転モーター
25 ベルト
26 遊星ギアボックス

Claims (1)

  1. 処理槽内に研磨メディアを充填し、この研磨メディア中に研磨すべきワークを埋没させ、上記研磨メディア、上記研磨すべきワーク又はその両方を運動させることにより上記研磨すべきワークと上記研磨メディアとを摩擦させて研磨する乾式流動研磨方法において、研磨メディアの体積とワークの体積との割合を4以上:1、研磨メディアの幅とワークの幅との割合を1.2〜5:1、研磨メディアの高さとワークの高さとの割合を1.2以上:1として研磨することを特徴とする乾式流動研磨方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2009078339A (ja) * 2007-09-27 2009-04-16 Tipton Mfg Corp 乾式バレル研磨用メディア及び乾式バレル研磨方法
JP2013542858A (ja) * 2010-08-19 2013-11-28 フェストアルピネ シュタール ゲーエムベーハー 硬化防食鋼板部材の表面仕上げ方法

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