JP2004322115A - シーム溶接における電極位置調整方法およびシーム溶接装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】簡単な構成で、シーム溶接の途中であっても容易に精度良く短時間で棒電極を位置決めすることができ、ロール成形されたワークから円精度の良い円筒状の製品を得ることができるシーム溶接における電極位置調整方法およびシーム溶接装置を提供する。
【解決手段】シーム溶接装置は、ロール成形された板状のワークWを保持するクランプ手段1と、ロール成形されたワークWの軸方向長さよりも長く、ワークW内に挿入される棒電極2と、ワークWの外側から押し当てられるローラ電極3と、棒電極2を配置すべき置と対応する位置(この実施の形態では高さ)に位置決め可能に設けられた電極位置基準4と、棒電極2を電極位置基準4に対して当接させるアクチュエータ5と、を備えている。
【選択図】 図1
【解決手段】シーム溶接装置は、ロール成形された板状のワークWを保持するクランプ手段1と、ロール成形されたワークWの軸方向長さよりも長く、ワークW内に挿入される棒電極2と、ワークWの外側から押し当てられるローラ電極3と、棒電極2を配置すべき置と対応する位置(この実施の形態では高さ)に位置決め可能に設けられた電極位置基準4と、棒電極2を電極位置基準4に対して当接させるアクチュエータ5と、を備えている。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、シーム溶接における電極位置調整方法およびシーム溶接装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
シーム溶接は、ワークを重ね合わせ、一般に、少なくとも一方がローラ状の一対の電極(このローラ状の電極をローラ電極と称する)の間でワークを加圧・通電させつつローラ状の電極を転動させてワークを連続的に接合する。
【0003】
このようなシーム溶接により板状のワークをロール成形してその両端縁を互いに接合することにより円筒状の製品を得る場合には、図1に参照されるように、一方の電極を、ワーク内に挿入することが出きるように棒状に成形したものがある(この棒状に成形された電極を棒電極と称する)。棒電極は、ワークの重ね合わされた端縁に沿って所定の位置(図に示した実施の形態では所定の高さ)に配置位置決めされ、ワークを挟んでローラ電極が所定の力で押し付けられることによってワークの端縁を加圧した状態で通電される。図5の(a)に示すように、棒電極2を所定の高さPに位置させると、円精度が良好な製品が得られる。
【0004】
ところで、電極は、シーム溶接を行うのに伴って消耗し、また、ワークの一部が付着したり、互いの加圧などによって変形することがある。このように、変形した電極は、ドレッシングによって整形したり、変形量が大きく整形不能の場合には交換される。図5などに参照されるように、棒電極2の場合にはワークWに当接される部分に交換電極部分2aが着脱可能に設けられ、この交換電極部分2aのローラ電極3と対向する面がドレッシングされる。
【0005】
そして、特に棒電極2は、所定の位置Pに位置決めされる必要があるが、ドレッシングしたり交換電極部分2aを新たなものに交換したときには、ワークWに対して適当な高さに配置することができなくなる。図5の(b)に示すように、棒電極2の高さが本来の高さPよりも高い位置P’にある場合にはワークWの接合部Waが径方向内側に位置して平坦な部分が形成され、また、図5の(c)に示すように、棒電極2の高さが本来の高さPよりも低い位置P”にある場合にはワークWの接合部Waが径方向外側に突出した部分が形成されることとなり、円筒状の製品の円精度が低下する。そのため、電極を適当な位置に調整することができるよう構成されたシーム溶接機が知られている(特許文献1)。
【0006】
【特許文献1】
特開昭59‐47074号公報
【0007】
この特許文献1に開示されたシーム溶接機は、フレームと、加圧シリンダを介して前記フレームに設けられる第1電極輪と、該第1電極輪と対向して前記フレームに配設され該第1電極輪の方向に移動可能とされる第2電極輪と、該第2電極輪の移動線上で該第2電極輪の適正位置に移動可能とされる基準プレートと、周期的に前記第2電極輪及び基準プレートを移動させ該第2電極輪を適正位置に保持する制御手段と、を有することを特徴とするものである。
【0008】
そして、特許文献1には、シーム溶接を停止して、基準プレートの先端を下部電極輪(第2電極輪)の上下方向移動線上に位置させ、下部電極輪を上方向に移動させて、下部電極輪の上部先端を基準プレートの下面に当接させることにより、下部電極輪を基準位置に停止保持させることが記載されている(公報第3頁上左欄第6行〜同頁上右欄第10行)。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記特許文献1にあっては、下部電極輪を適正位置に位置決め調整しようとするときには、シーム溶接を中断させてワークがない状態としなければならないという問題や、頻繁に下部電極輪を適正位置に位置決め保持するよう調整することができないなどの問題があった。
また、特許文献1にあっては、下部電極輪に当接される基準プレートが、下部電極輪の移動方向(垂直方向)に対して略直交する方向(水平方向)に回動されるようブラケットに軸支されているため、基準プレートおよびこれが軸支されるブラケットの剛性を大きくする必要があり、また、軸支部のガタツキを抑えなければならないなどの問題があった。
【0010】
本発明は、上述した問題に鑑みてなされたもので、簡単な構成で、シーム溶接の途中であっても容易に精度良く短時間で棒電極を位置決めすることができ、さらには、ロール成形されたワークから円精度の良い円筒状の製品を得ることができるシーム溶接における電極位置調整方法およびシーム溶接装置を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
請求項1のシーム溶接における電極位置調整方法に係る発明は、上記目的を達成するため、板状のワークをロール成形してその両端縁を重ね合わせて保持し、棒電極をワーク内に挿入してその重ね合わせた部分に沿って配置し、ローラ電極をワークの外側から押し当てて棒電極との間で加圧・通電させつつワークの重ね合わせた部分に沿って相対的に移動させるシーム溶接において、ワークの重ね合わせた部分に沿って配置させる棒電極の位置を調整する方法であって、ワークの軸方向に外れ、且つ、ワークの径方向に関して棒電極を配置すべき位置に電極位置基準を位置決めし、棒電極を移動させてそのワーク外に延出する部分を電極位置基準に当接させることにより、棒電極の位置を調整することを特徴とするものである。
また、請求項2のシーム溶接装置に係る発明は、上記目的を達成するため、ロール成形された板状のワークを、その両端縁が重ね合わさるように保持するクランプ手段と、ワーク内に挿入されてその重ね合わせた部分に沿って配置される棒電極と、ワークの外側から押し当てられて棒電極との間で加圧・通電させつつワークの重ね合わせた部分に沿って相対的に移動されるローラ電極と、を備えたシーム溶接装置であって、前記棒電極は、ワークの軸方向長さよりも長く、ワーク外に延出するように成形され、棒電極をワーク内に挿入してその重ね合わせた部分に沿って配置したときに、ワークの軸方向に外れ、且つ、ワークの径方向に関して棒電極を配置すべき位置と対応する位置に位置決め可能に電極位置基準を設け、電極位置基準に対して棒電極を当接させるためのアクチュエータを設けたことを特徴とするものである。
請求項3のシーム溶接装置に係る発明は、上記目的を達成するため、請求項2に記載の発明において、電極位置基準に当接された棒電極の位置を保持する棒電極位置保持手段を設けたことを特徴とするものである。
【0012】
請求項1の発明では、板状のワークの重ね合わせた部分に沿って配置させる棒電極の位置を調整するに際しては、最初に、ワークの軸方向に外れた位置であって、且つ、ワークの径方向に関して棒電極を配置すべき位置に電極位置基準を位置決めし、棒電極をワークの径方向外側に移動させてそのワーク外に延出する部分を電極位置基準に当接させて位置決めする。棒電極は、そのワークから軸方向に延出する部分が電極位置基準に当接されることによって、その配置されるべき位置に精度良く容易に位置決め調整される。なお、電極位置基準をワークの軸方向に外れた位置で位置決めするため、ロール成形された板状のワークを棒電極の周囲に存在させた状態であっても、すなわち、シーム溶接を完全に中断させた状態でなくとも、棒電極の位置決め調整を行うことができる。
また、請求項2の発明では、棒電極をワーク内に挿入してその重ね合わせた部分に沿って配置したときに、ワークの軸方向に外れ、且つ、ワークの径方向に関して棒電極を配置すべき位置と対応する位置に電極位置基準を位置決めし、アクチュエータを駆動させて棒電極を電極位置基準に当接させてこの位置に位置決めする。棒電極は、消耗したり、交換電極部分が新たなものに交換された場合であっても、電極位置基準に当接されることによって、その配置されるべき位置(ワークの重ね合わされた部分に対して適切に当接されローラ電極との間で加圧・通電することができる位置)に位置決め調整される。
そして、電極位置基準がワークの軸方向に外れた位置で位置決めされるため、ロール成形された板状のワークが棒電極の周囲に存在する状態であっても、すなわち、シーム溶接を完全に中断させた状態でなくとも、棒電極の位置決め調整を行うことができる。
請求項3の発明では、、請求項2に記載の発明において、電極位置基準に当接され位置決めされた棒電極の位置を棒電極位置保持手段が確実に保持する。
【0013】
【発明の実施の形態】
まず最初に、本発明のシーム溶接装置の実施の一形態を図1および図2に基づいて詳細に説明する。なお、同一符号は、同様または相当する部分を示すものとする。
本発明のシーム溶接装置は、概略、ロール成形された板状のワークWを、その両端縁が重ね合わさるように保持するクランプ手段1と、ロール成形されたワークWの軸方向長さよりも長く、ワークW内に挿入されてその重ね合わせた部分(接合部分Wa)に沿って配置されたときにワークW外に延出するように成形された棒電極2と、ワークWの外側から押し当てられて棒電極2との間でワークWの重ね合わせた部分Waを加圧・通電させつつ相対的に移動されるローラ電極3と、棒電極2のワークWから延出する部分であって、ワークWの径方向に関して棒電極2を配置すべき位置と対応する位置(この実施の形態では高さ)に位置決め可能に設けられた電極位置基準4と、棒電極2を電極位置基準4に対して当接させることができるよう設けられたアクチュエータ5と、を備えている。
さらに、本発明のシーム溶接装置は、電極位置基準4に当接された棒電極2の位置を保持する棒電極位置保持手段6を備えている。
【0014】
シーム溶接装置の基台7には一対のガイドレール8が配設されており、フレーム9が、ガイドレール8に沿って(すなわち、図1の左右方向、図2の紙面に対する垂直方向)移動することができ、且つ、後述するローラ電極3の下方からの押圧力によって浮き上がることがないように、支持されている。基台7とフレーム9との間には、例えばボールネジ機構などの駆動手段が設けられており、これによってフレーム9がガイドレール上8を移動する。
【0015】
クランプ手段1は、この実施の形態の場合、水平方向に伸長・退縮するシリンダなどからなるアクチュエータ10と、このアクチュエータ10の駆動ロッド10aの先端に設けられて水平方向に移動するクランプ部材11と、クランプ部材11の水平方向の移動を案内するガイド12と、を備えている。フレーム9の両側部にはアクチュエータ10と一対のガイド12が相対向するようにそれぞれ設けられており、アクチュエータ10の駆動ロッド10aとガイド12のロッドの先端は連結部材13に接合されている。クランプ部材11は、ロール成形されたワークWの形状や大きさに応じて成形され、連結部材13の互いの対向面にそれぞれ着脱可能に取り付けられている。板状のワークWをロール成形してクランプ部材11、11の間に配置し、アクチュエータ10を伸長駆動すると、ワークWは、クランプ部材11、11の間でその接合部Waとなる両端縁が重ね合わされるようにして保持される。この実施の形態では、ワークWは、接合部Waが下方に位置するよう保持される。
【0016】
また、フレーム9の図1における一方端側にはシリンダなどからなる昇降駆動アクチュエータ20が垂設されている。そして、棒電極2は、ロール成形されたワークWに挿入することができるように、クランプ部材11、11の間に保持されたワークWの軸方向(長手方向)に沿って配置され、その一端の上面が昇降駆動アクチュエータ20の駆動ロッド20aの先端に連結されている。。棒電極2の下面であってワークWと対応する位置には溝2bが形成されており、この溝2b内に交換電極部分2aが着脱可能に保持されている。
棒電極2は、ロール成形されたワークWの径よりの小さい径の略円柱状に形成されてなるもので、交換電極部分2aがワーク内に挿入されたときにその基端部と先端部(図1における右端部と左端部)がワークWの外に延出するように、ワークWの軸方向の長さよりも長く設定されている。
【0017】
ローラ電極3は、略円板状に成形されたもので、その外周面がクランプ部材11、11の間に保持されたワークWの軸方向に沿って転動することができるように配置されている。そして、ローラ電極3は、ワークWの接合部Waとなる重ね合わされた側縁を外側から加圧するために、後述するように位置決めされた棒電極2に向かって押圧することができるように基台7に設けられたシリンダなどのアクチュエータにその中心Cが軸支されている。この実施の形態では、ワークWを保持するクランプ手段1と棒電極2とを有するフレーム9がローラ電極3に対して移動する。
【0018】
電極位置基準4は、位置決め基準部材40と、この位置決め基準部材40を昇降移動させるアクチュエータ41と、位置決め基準部材40の昇降移動を案内するガイド42と、を備えている。位置決め基準部材40は、棒電極2の交換電極部分2aと対向する面において、両端部40aが棒電極2の交換電極部分2aの下面におけるワークから延出した部分に当接し得るように形成されると共に、その中間部40bがクランプ手段1に保持されたワークWに干渉することが無いように切り欠き形成されてなる。アクチュエータ41の駆動ロッド41aの最大伸長限(位置決め基準部材40が上昇限にあるとき)は、棒電極2の交換電極部分2aの下面を位置させるべき位置(高さ)P(図5の(a)を参照)に位置決め基準部材の両端部40aを位置させることができるよう設定されており、また、アクチュエータ41の駆動ロッド41aの最小短縮限(位置決め基準部材40が下降限にあるとき)は、フレーム9がガイドレールに沿って移動するときに、クランプ部材11間で保持されているワークWにに対して位置決め基準部材の両端部40aが干渉することが無いよう設定されている。
【0019】
図1に示すように、さらにフレーム9には、棒電極2の上面を押える押え部材60と、押え部材60を昇降駆動するシリンダなどのアクチュエータ61と、押え部材60の昇降移動をガイドするガイド62と、が設けられている。押え部材60は、その両端部60aが棒電極2の上面におけるワークWから延出した部分に当接し得るように形成されると共に、その中間部60bがワークWを保持するクランプ手段1のクランプ部材11に干渉することが無いように切り欠き形成されてなる。
【0020】
棒電極位置保持手段6は、この実施の形態の場合、図2に示すように、ガイドロッド62aの軸方向に対して傾斜する傾斜面63aが形成された孔63と、傾斜面63aと対応する傾斜面64aが形成されたクサビ部材64と、クサビ部材64をガイドロッド62aの軸方向と直交する方向に移動させるアクチュエータ65と、を備えてなる。
孔63は、ガイドロッド62aの中間であって、後述するように棒電極2が位置決めされたときに押え部材60が棒電極2の上面に当接された状態において、フレーム9の案内穴9aと略対応する位置に、ガイドロッド62aの径方向に貫通するように形成されている。傾斜面63aは、孔63の押え部材60側である下方に形成されている。フレーム9の案内穴9aは、ガイドロッド62aの軸方向と直交する方向に形成されている。クサビ部材64は、案内穴9aに嵌挿されており、その先端下面に傾斜面64aが孔63の傾斜面63aと対応するように形成されている。アクチュエータ65は、例えばエアシリンダによって構成されてなるもので、その駆動ロッド65aの先端がクサビ部材64の基端面に接続されている。
【0021】
棒電極2の昇降駆動アクチュエータ20と、押え部材60を昇降駆動するアクチュエータ61とは、棒電極2を電極位置基準4に対して当接させることができるように駆動するためのアクチュエータ5としても機能する。
【0022】
なお、棒電極2とローラ電極3を整形するドレッシング手段は、シーム溶接装置に設けることができ、また、シーム溶接装置とは別に設けることもできる。
【0023】
このように構成されたシーム溶接装置では、ワークの接合部Waとなる側縁をシーム溶接により接合するに際して、最初に、ロール成形されたワークWをクランプ部材11の間に配置して、アクチュエータ10の伸長駆動によってワークWの接合部Waとなる両側縁を重ね合わせるようにして保持する。このとき、棒電極2は、ワークWの中に配置されているが、交換電極部分2aがワークWから離れた状態とされている(図3を参照)。そして、交換電極部分2aの両端部がワークWの長手方向よりも長く設定されているため、交換電極部分2aを保持する棒電極2の先端部と基端部がワークWから延出した状態とされている。
【0024】
次いで、棒電極2の交換電極部分2aの下面が適切な高さとなるように、アクチュエータ20を伸長駆動させると共に、アクチュエータ61を伸長駆動して棒電極2のワークWから延出した部分に押さえ部材60の両端部60aを当接させた状態とし、フレーム9を移動させることによりローラ電極3に対してワークWと棒電極2を移動させ、ワークWの重ね合わされた接合部Waとなる端縁を棒電極2で押えた状態でローラ電極3によって加圧しながら通電し、シーム溶接を行う。このとき、電極位置基準4は、位置決め基準部材40がクランプ部材11に干渉しないように、アクチュエータ41が退縮駆動されている。
【0025】
ここで、棒電極2とローラ電極3は、シーム溶接を行うことにより消耗することとなる。また、棒電極2とローラ電極3は、シーム溶接を行うことにより変形するなどしてドレッシングにより整形される。ローラ電極3は、図示しないアクチュエータに支持されているため、ドレッシングによる径の変化に対応して容易に調整することができる。一方、棒電極2は、図5を用いて先に説明したように、その交換電極部分2aの下面が適切な位置(高さ)に位置決めされていないと、ワークWを円精度の良い円筒上の製品にすることができない。
【0026】
そこで、本発明の方法では、棒電極2の交換電極部分2aの下面を適切な位置(高さ)に位置決め調整するために、ワークWの軸方向に外れた位置で、且つ、ワークWの径方向に関して棒電極2のワークWに接する面となる交換電極部分2aを配置すべき位置と対応する位置に電極位置基準4の接合面となる両端部40aを位置決めし、棒電極2をワークWの径方向外側(この実施の形態では下方)に移動させてそのワークW外に延出した部分を電極位置基準4の両端部40aに当接させることにより、棒電極2の位置を位置決め調整することとした。
以下に、本発明のシーム溶接における電極位置調整方法の実施の一形態を、上述したように構成されたシーム溶接装置を用いた場合により、図1〜図4に基づいて説明する。なお、同一符号は、同様または相当する部分を示すものとする。
【0027】
棒電極2の交換電極部分2aは、シーム溶接によって消耗し、場合によっては変形する。そのため、この実施の形態では、一のワークWの両側縁を接合すべくシーム溶接を行う毎に、棒電極2の交換電極部分2aの下面とローラ電極3の外周面をドレッシングして整形し、棒電極2の位置決め調整を行う。なお、本発明は、ドレッシングによって棒電極2の位置が異なることに対処してその位置を調整する場合だけでなく、交換電極部分2aが消耗し、あるいは交換電極部分2aを交換したときなどに対処してその位置を調整する場合にも適応することができる。
【0028】
棒電極2の交換電極部分2aの下面は、ドレッシングされることによってその高さが異なることとなる。一方、棒電極2の交換電極部分2aの下面が位置すべき高さP、すなわち、クランプ手段1に保持されたワークWの接合部Waとなる両端縁の高さは一定である。したがって、図3に示すように、クランプ手段1によってワークWを保持したとき、棒電極2の交換電極部分2aがワークWから離れて配置されており、交換電極部分2aの下面が位置すべき高さPまでの距離Lはドレッシングによって異なることになる。
【0029】
本発明では、図4に示すように、棒電極2の高さを位置決め調整するにあたって、電極位置基準4のアクチュエータ41を伸長駆動する。アクチュエータ41の駆動ロッド41aの最大伸長限(位置決め基準部材40が最上昇位置にあるとき)は、その位置決め基準部材40の接合面となる両端部40aの高さが、アクチュエータ41の棒電極2の交換電極部分2aの下面を位置させるべき高さPと一致するように設定されている。そのため、図1に示したように、アクチュエータ20を伸長駆動させると共にアクチュエータ61を伸長駆動して(すなわちアクチュエータ5によって)棒電極2を下降させると、基準部材40の両端部40aの上面に棒電極2の交換電極部分2aのワークWから延出した部分の下面が当接されて適切な高さPに調整されることとなる。なお、押え部材60は、ワークWと干渉することなく、その両端部60aが棒電極2のワークWから延出した部分の上面に当接される。
【0030】
そして、棒電極2の位置が適切な高さに調整されると、図2に鎖線で示したように、棒電極位置保持手段6のエアシリンダなどのアクチュエータ65が案内穴9aに嵌挿されているクサビ部材64を前進させるよう駆動して、ガイドロッド62aに形成された孔63に係合させる。クサビ部材64の傾斜面64aが孔63の傾斜面63aと当接されるため、ガイドロッド62aに接続された押え部材60の高さが保持され、したがって、押え部材60に当接された棒電極2の高さも調整された位置に保持されることとなる。
【0031】
この棒電極2の位置決め調整するときに、基準部材40の両端部40aと、押え部材60の両端部60aが棒電極2のワークWから延出した部分に当接されるため、ワークWと干渉することなく、したがってシーム溶接の工程途中においてワークWが棒電極2の周囲に存在する状態で、短時間で容易に位置決め調整することができる。そして、棒電極2は、ワークW内に挿入配置するためにその一端側のみがアクチュエータ20に接続されているが、押え部材60によって押えられるため、ローラ電極3による加圧を安定して確実に受けることができる。
【0032】
【発明の効果】
請求項1の発明によれば、電極位置基準をワークの軸方向に外れ、且つ、ワークの径方向に関して棒電極を配置すべき位置に位置決めし、棒電極のワーク外に延出した部分を電極位置基準に当接させることにより、棒電極の位置を調整するという簡単な構成で、ワークが棒電極の周囲に存在する状態であっても、容易に精度良く短時間で棒電極を位置決めすることができ、さらには、ロール成形されたワークから円精度の良い円筒状の製品を得ることができるシーム溶接における電極位置調整方法を提供することができる。
また、請求項2の発明によれば、棒電極がワーク外に延出するようにワークの軸方向長さよりも長く成形され、電極位置基準が、ワークの軸方向に外れた位置であって、ワークの径方向に関して棒電極を配置すべき位置と対応する位置に位置決め可能に設け、アクチュエータが棒電極のワークから延出した部分を電極位置基準に対して当接させるよう設けられているという簡単な構成で、ワークが棒電極の周囲に存在する状態であっても、容易に精度良く短時間で棒電極を位置決めすることができ、さらには、ロール成形されたワークから円精度の良い円筒状の製品を得ることができるシーム溶接装置を提供することができる。
請求項3の発明によれば、請求項2に記載の発明において、電極位置基準に当接された棒電極の位置を記憶して保持する棒電極位置保持手段を設けたことにより、電極位置基準に当接され位置決めされた棒電極の位置を確実に保持することができるシーム溶接装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のシーム溶接装置を一部断面で示す正面図である。
【図2】図1の断面図である。
【図3】棒電極の位置決めを行う前の状態を説明するための概略図である。
【図4】図3の状態から電極位置基準の位置決め基準部材を、棒電極を当接させるための位置に位置決めした状態を示す概略図である。
【図5】棒電極の位置によるワークの接合部の形状を示す説明図である。
【符号の説明】
W ワーク
Wa 接合部
1 クランプ手段
2 棒電極
3 ローラ電極
4 電極位置基準
5 アクチュエータ
6 棒電極位置保持手段
【発明の属する技術分野】
本発明は、シーム溶接における電極位置調整方法およびシーム溶接装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
シーム溶接は、ワークを重ね合わせ、一般に、少なくとも一方がローラ状の一対の電極(このローラ状の電極をローラ電極と称する)の間でワークを加圧・通電させつつローラ状の電極を転動させてワークを連続的に接合する。
【0003】
このようなシーム溶接により板状のワークをロール成形してその両端縁を互いに接合することにより円筒状の製品を得る場合には、図1に参照されるように、一方の電極を、ワーク内に挿入することが出きるように棒状に成形したものがある(この棒状に成形された電極を棒電極と称する)。棒電極は、ワークの重ね合わされた端縁に沿って所定の位置(図に示した実施の形態では所定の高さ)に配置位置決めされ、ワークを挟んでローラ電極が所定の力で押し付けられることによってワークの端縁を加圧した状態で通電される。図5の(a)に示すように、棒電極2を所定の高さPに位置させると、円精度が良好な製品が得られる。
【0004】
ところで、電極は、シーム溶接を行うのに伴って消耗し、また、ワークの一部が付着したり、互いの加圧などによって変形することがある。このように、変形した電極は、ドレッシングによって整形したり、変形量が大きく整形不能の場合には交換される。図5などに参照されるように、棒電極2の場合にはワークWに当接される部分に交換電極部分2aが着脱可能に設けられ、この交換電極部分2aのローラ電極3と対向する面がドレッシングされる。
【0005】
そして、特に棒電極2は、所定の位置Pに位置決めされる必要があるが、ドレッシングしたり交換電極部分2aを新たなものに交換したときには、ワークWに対して適当な高さに配置することができなくなる。図5の(b)に示すように、棒電極2の高さが本来の高さPよりも高い位置P’にある場合にはワークWの接合部Waが径方向内側に位置して平坦な部分が形成され、また、図5の(c)に示すように、棒電極2の高さが本来の高さPよりも低い位置P”にある場合にはワークWの接合部Waが径方向外側に突出した部分が形成されることとなり、円筒状の製品の円精度が低下する。そのため、電極を適当な位置に調整することができるよう構成されたシーム溶接機が知られている(特許文献1)。
【0006】
【特許文献1】
特開昭59‐47074号公報
【0007】
この特許文献1に開示されたシーム溶接機は、フレームと、加圧シリンダを介して前記フレームに設けられる第1電極輪と、該第1電極輪と対向して前記フレームに配設され該第1電極輪の方向に移動可能とされる第2電極輪と、該第2電極輪の移動線上で該第2電極輪の適正位置に移動可能とされる基準プレートと、周期的に前記第2電極輪及び基準プレートを移動させ該第2電極輪を適正位置に保持する制御手段と、を有することを特徴とするものである。
【0008】
そして、特許文献1には、シーム溶接を停止して、基準プレートの先端を下部電極輪(第2電極輪)の上下方向移動線上に位置させ、下部電極輪を上方向に移動させて、下部電極輪の上部先端を基準プレートの下面に当接させることにより、下部電極輪を基準位置に停止保持させることが記載されている(公報第3頁上左欄第6行〜同頁上右欄第10行)。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記特許文献1にあっては、下部電極輪を適正位置に位置決め調整しようとするときには、シーム溶接を中断させてワークがない状態としなければならないという問題や、頻繁に下部電極輪を適正位置に位置決め保持するよう調整することができないなどの問題があった。
また、特許文献1にあっては、下部電極輪に当接される基準プレートが、下部電極輪の移動方向(垂直方向)に対して略直交する方向(水平方向)に回動されるようブラケットに軸支されているため、基準プレートおよびこれが軸支されるブラケットの剛性を大きくする必要があり、また、軸支部のガタツキを抑えなければならないなどの問題があった。
【0010】
本発明は、上述した問題に鑑みてなされたもので、簡単な構成で、シーム溶接の途中であっても容易に精度良く短時間で棒電極を位置決めすることができ、さらには、ロール成形されたワークから円精度の良い円筒状の製品を得ることができるシーム溶接における電極位置調整方法およびシーム溶接装置を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
請求項1のシーム溶接における電極位置調整方法に係る発明は、上記目的を達成するため、板状のワークをロール成形してその両端縁を重ね合わせて保持し、棒電極をワーク内に挿入してその重ね合わせた部分に沿って配置し、ローラ電極をワークの外側から押し当てて棒電極との間で加圧・通電させつつワークの重ね合わせた部分に沿って相対的に移動させるシーム溶接において、ワークの重ね合わせた部分に沿って配置させる棒電極の位置を調整する方法であって、ワークの軸方向に外れ、且つ、ワークの径方向に関して棒電極を配置すべき位置に電極位置基準を位置決めし、棒電極を移動させてそのワーク外に延出する部分を電極位置基準に当接させることにより、棒電極の位置を調整することを特徴とするものである。
また、請求項2のシーム溶接装置に係る発明は、上記目的を達成するため、ロール成形された板状のワークを、その両端縁が重ね合わさるように保持するクランプ手段と、ワーク内に挿入されてその重ね合わせた部分に沿って配置される棒電極と、ワークの外側から押し当てられて棒電極との間で加圧・通電させつつワークの重ね合わせた部分に沿って相対的に移動されるローラ電極と、を備えたシーム溶接装置であって、前記棒電極は、ワークの軸方向長さよりも長く、ワーク外に延出するように成形され、棒電極をワーク内に挿入してその重ね合わせた部分に沿って配置したときに、ワークの軸方向に外れ、且つ、ワークの径方向に関して棒電極を配置すべき位置と対応する位置に位置決め可能に電極位置基準を設け、電極位置基準に対して棒電極を当接させるためのアクチュエータを設けたことを特徴とするものである。
請求項3のシーム溶接装置に係る発明は、上記目的を達成するため、請求項2に記載の発明において、電極位置基準に当接された棒電極の位置を保持する棒電極位置保持手段を設けたことを特徴とするものである。
【0012】
請求項1の発明では、板状のワークの重ね合わせた部分に沿って配置させる棒電極の位置を調整するに際しては、最初に、ワークの軸方向に外れた位置であって、且つ、ワークの径方向に関して棒電極を配置すべき位置に電極位置基準を位置決めし、棒電極をワークの径方向外側に移動させてそのワーク外に延出する部分を電極位置基準に当接させて位置決めする。棒電極は、そのワークから軸方向に延出する部分が電極位置基準に当接されることによって、その配置されるべき位置に精度良く容易に位置決め調整される。なお、電極位置基準をワークの軸方向に外れた位置で位置決めするため、ロール成形された板状のワークを棒電極の周囲に存在させた状態であっても、すなわち、シーム溶接を完全に中断させた状態でなくとも、棒電極の位置決め調整を行うことができる。
また、請求項2の発明では、棒電極をワーク内に挿入してその重ね合わせた部分に沿って配置したときに、ワークの軸方向に外れ、且つ、ワークの径方向に関して棒電極を配置すべき位置と対応する位置に電極位置基準を位置決めし、アクチュエータを駆動させて棒電極を電極位置基準に当接させてこの位置に位置決めする。棒電極は、消耗したり、交換電極部分が新たなものに交換された場合であっても、電極位置基準に当接されることによって、その配置されるべき位置(ワークの重ね合わされた部分に対して適切に当接されローラ電極との間で加圧・通電することができる位置)に位置決め調整される。
そして、電極位置基準がワークの軸方向に外れた位置で位置決めされるため、ロール成形された板状のワークが棒電極の周囲に存在する状態であっても、すなわち、シーム溶接を完全に中断させた状態でなくとも、棒電極の位置決め調整を行うことができる。
請求項3の発明では、、請求項2に記載の発明において、電極位置基準に当接され位置決めされた棒電極の位置を棒電極位置保持手段が確実に保持する。
【0013】
【発明の実施の形態】
まず最初に、本発明のシーム溶接装置の実施の一形態を図1および図2に基づいて詳細に説明する。なお、同一符号は、同様または相当する部分を示すものとする。
本発明のシーム溶接装置は、概略、ロール成形された板状のワークWを、その両端縁が重ね合わさるように保持するクランプ手段1と、ロール成形されたワークWの軸方向長さよりも長く、ワークW内に挿入されてその重ね合わせた部分(接合部分Wa)に沿って配置されたときにワークW外に延出するように成形された棒電極2と、ワークWの外側から押し当てられて棒電極2との間でワークWの重ね合わせた部分Waを加圧・通電させつつ相対的に移動されるローラ電極3と、棒電極2のワークWから延出する部分であって、ワークWの径方向に関して棒電極2を配置すべき位置と対応する位置(この実施の形態では高さ)に位置決め可能に設けられた電極位置基準4と、棒電極2を電極位置基準4に対して当接させることができるよう設けられたアクチュエータ5と、を備えている。
さらに、本発明のシーム溶接装置は、電極位置基準4に当接された棒電極2の位置を保持する棒電極位置保持手段6を備えている。
【0014】
シーム溶接装置の基台7には一対のガイドレール8が配設されており、フレーム9が、ガイドレール8に沿って(すなわち、図1の左右方向、図2の紙面に対する垂直方向)移動することができ、且つ、後述するローラ電極3の下方からの押圧力によって浮き上がることがないように、支持されている。基台7とフレーム9との間には、例えばボールネジ機構などの駆動手段が設けられており、これによってフレーム9がガイドレール上8を移動する。
【0015】
クランプ手段1は、この実施の形態の場合、水平方向に伸長・退縮するシリンダなどからなるアクチュエータ10と、このアクチュエータ10の駆動ロッド10aの先端に設けられて水平方向に移動するクランプ部材11と、クランプ部材11の水平方向の移動を案内するガイド12と、を備えている。フレーム9の両側部にはアクチュエータ10と一対のガイド12が相対向するようにそれぞれ設けられており、アクチュエータ10の駆動ロッド10aとガイド12のロッドの先端は連結部材13に接合されている。クランプ部材11は、ロール成形されたワークWの形状や大きさに応じて成形され、連結部材13の互いの対向面にそれぞれ着脱可能に取り付けられている。板状のワークWをロール成形してクランプ部材11、11の間に配置し、アクチュエータ10を伸長駆動すると、ワークWは、クランプ部材11、11の間でその接合部Waとなる両端縁が重ね合わされるようにして保持される。この実施の形態では、ワークWは、接合部Waが下方に位置するよう保持される。
【0016】
また、フレーム9の図1における一方端側にはシリンダなどからなる昇降駆動アクチュエータ20が垂設されている。そして、棒電極2は、ロール成形されたワークWに挿入することができるように、クランプ部材11、11の間に保持されたワークWの軸方向(長手方向)に沿って配置され、その一端の上面が昇降駆動アクチュエータ20の駆動ロッド20aの先端に連結されている。。棒電極2の下面であってワークWと対応する位置には溝2bが形成されており、この溝2b内に交換電極部分2aが着脱可能に保持されている。
棒電極2は、ロール成形されたワークWの径よりの小さい径の略円柱状に形成されてなるもので、交換電極部分2aがワーク内に挿入されたときにその基端部と先端部(図1における右端部と左端部)がワークWの外に延出するように、ワークWの軸方向の長さよりも長く設定されている。
【0017】
ローラ電極3は、略円板状に成形されたもので、その外周面がクランプ部材11、11の間に保持されたワークWの軸方向に沿って転動することができるように配置されている。そして、ローラ電極3は、ワークWの接合部Waとなる重ね合わされた側縁を外側から加圧するために、後述するように位置決めされた棒電極2に向かって押圧することができるように基台7に設けられたシリンダなどのアクチュエータにその中心Cが軸支されている。この実施の形態では、ワークWを保持するクランプ手段1と棒電極2とを有するフレーム9がローラ電極3に対して移動する。
【0018】
電極位置基準4は、位置決め基準部材40と、この位置決め基準部材40を昇降移動させるアクチュエータ41と、位置決め基準部材40の昇降移動を案内するガイド42と、を備えている。位置決め基準部材40は、棒電極2の交換電極部分2aと対向する面において、両端部40aが棒電極2の交換電極部分2aの下面におけるワークから延出した部分に当接し得るように形成されると共に、その中間部40bがクランプ手段1に保持されたワークWに干渉することが無いように切り欠き形成されてなる。アクチュエータ41の駆動ロッド41aの最大伸長限(位置決め基準部材40が上昇限にあるとき)は、棒電極2の交換電極部分2aの下面を位置させるべき位置(高さ)P(図5の(a)を参照)に位置決め基準部材の両端部40aを位置させることができるよう設定されており、また、アクチュエータ41の駆動ロッド41aの最小短縮限(位置決め基準部材40が下降限にあるとき)は、フレーム9がガイドレールに沿って移動するときに、クランプ部材11間で保持されているワークWにに対して位置決め基準部材の両端部40aが干渉することが無いよう設定されている。
【0019】
図1に示すように、さらにフレーム9には、棒電極2の上面を押える押え部材60と、押え部材60を昇降駆動するシリンダなどのアクチュエータ61と、押え部材60の昇降移動をガイドするガイド62と、が設けられている。押え部材60は、その両端部60aが棒電極2の上面におけるワークWから延出した部分に当接し得るように形成されると共に、その中間部60bがワークWを保持するクランプ手段1のクランプ部材11に干渉することが無いように切り欠き形成されてなる。
【0020】
棒電極位置保持手段6は、この実施の形態の場合、図2に示すように、ガイドロッド62aの軸方向に対して傾斜する傾斜面63aが形成された孔63と、傾斜面63aと対応する傾斜面64aが形成されたクサビ部材64と、クサビ部材64をガイドロッド62aの軸方向と直交する方向に移動させるアクチュエータ65と、を備えてなる。
孔63は、ガイドロッド62aの中間であって、後述するように棒電極2が位置決めされたときに押え部材60が棒電極2の上面に当接された状態において、フレーム9の案内穴9aと略対応する位置に、ガイドロッド62aの径方向に貫通するように形成されている。傾斜面63aは、孔63の押え部材60側である下方に形成されている。フレーム9の案内穴9aは、ガイドロッド62aの軸方向と直交する方向に形成されている。クサビ部材64は、案内穴9aに嵌挿されており、その先端下面に傾斜面64aが孔63の傾斜面63aと対応するように形成されている。アクチュエータ65は、例えばエアシリンダによって構成されてなるもので、その駆動ロッド65aの先端がクサビ部材64の基端面に接続されている。
【0021】
棒電極2の昇降駆動アクチュエータ20と、押え部材60を昇降駆動するアクチュエータ61とは、棒電極2を電極位置基準4に対して当接させることができるように駆動するためのアクチュエータ5としても機能する。
【0022】
なお、棒電極2とローラ電極3を整形するドレッシング手段は、シーム溶接装置に設けることができ、また、シーム溶接装置とは別に設けることもできる。
【0023】
このように構成されたシーム溶接装置では、ワークの接合部Waとなる側縁をシーム溶接により接合するに際して、最初に、ロール成形されたワークWをクランプ部材11の間に配置して、アクチュエータ10の伸長駆動によってワークWの接合部Waとなる両側縁を重ね合わせるようにして保持する。このとき、棒電極2は、ワークWの中に配置されているが、交換電極部分2aがワークWから離れた状態とされている(図3を参照)。そして、交換電極部分2aの両端部がワークWの長手方向よりも長く設定されているため、交換電極部分2aを保持する棒電極2の先端部と基端部がワークWから延出した状態とされている。
【0024】
次いで、棒電極2の交換電極部分2aの下面が適切な高さとなるように、アクチュエータ20を伸長駆動させると共に、アクチュエータ61を伸長駆動して棒電極2のワークWから延出した部分に押さえ部材60の両端部60aを当接させた状態とし、フレーム9を移動させることによりローラ電極3に対してワークWと棒電極2を移動させ、ワークWの重ね合わされた接合部Waとなる端縁を棒電極2で押えた状態でローラ電極3によって加圧しながら通電し、シーム溶接を行う。このとき、電極位置基準4は、位置決め基準部材40がクランプ部材11に干渉しないように、アクチュエータ41が退縮駆動されている。
【0025】
ここで、棒電極2とローラ電極3は、シーム溶接を行うことにより消耗することとなる。また、棒電極2とローラ電極3は、シーム溶接を行うことにより変形するなどしてドレッシングにより整形される。ローラ電極3は、図示しないアクチュエータに支持されているため、ドレッシングによる径の変化に対応して容易に調整することができる。一方、棒電極2は、図5を用いて先に説明したように、その交換電極部分2aの下面が適切な位置(高さ)に位置決めされていないと、ワークWを円精度の良い円筒上の製品にすることができない。
【0026】
そこで、本発明の方法では、棒電極2の交換電極部分2aの下面を適切な位置(高さ)に位置決め調整するために、ワークWの軸方向に外れた位置で、且つ、ワークWの径方向に関して棒電極2のワークWに接する面となる交換電極部分2aを配置すべき位置と対応する位置に電極位置基準4の接合面となる両端部40aを位置決めし、棒電極2をワークWの径方向外側(この実施の形態では下方)に移動させてそのワークW外に延出した部分を電極位置基準4の両端部40aに当接させることにより、棒電極2の位置を位置決め調整することとした。
以下に、本発明のシーム溶接における電極位置調整方法の実施の一形態を、上述したように構成されたシーム溶接装置を用いた場合により、図1〜図4に基づいて説明する。なお、同一符号は、同様または相当する部分を示すものとする。
【0027】
棒電極2の交換電極部分2aは、シーム溶接によって消耗し、場合によっては変形する。そのため、この実施の形態では、一のワークWの両側縁を接合すべくシーム溶接を行う毎に、棒電極2の交換電極部分2aの下面とローラ電極3の外周面をドレッシングして整形し、棒電極2の位置決め調整を行う。なお、本発明は、ドレッシングによって棒電極2の位置が異なることに対処してその位置を調整する場合だけでなく、交換電極部分2aが消耗し、あるいは交換電極部分2aを交換したときなどに対処してその位置を調整する場合にも適応することができる。
【0028】
棒電極2の交換電極部分2aの下面は、ドレッシングされることによってその高さが異なることとなる。一方、棒電極2の交換電極部分2aの下面が位置すべき高さP、すなわち、クランプ手段1に保持されたワークWの接合部Waとなる両端縁の高さは一定である。したがって、図3に示すように、クランプ手段1によってワークWを保持したとき、棒電極2の交換電極部分2aがワークWから離れて配置されており、交換電極部分2aの下面が位置すべき高さPまでの距離Lはドレッシングによって異なることになる。
【0029】
本発明では、図4に示すように、棒電極2の高さを位置決め調整するにあたって、電極位置基準4のアクチュエータ41を伸長駆動する。アクチュエータ41の駆動ロッド41aの最大伸長限(位置決め基準部材40が最上昇位置にあるとき)は、その位置決め基準部材40の接合面となる両端部40aの高さが、アクチュエータ41の棒電極2の交換電極部分2aの下面を位置させるべき高さPと一致するように設定されている。そのため、図1に示したように、アクチュエータ20を伸長駆動させると共にアクチュエータ61を伸長駆動して(すなわちアクチュエータ5によって)棒電極2を下降させると、基準部材40の両端部40aの上面に棒電極2の交換電極部分2aのワークWから延出した部分の下面が当接されて適切な高さPに調整されることとなる。なお、押え部材60は、ワークWと干渉することなく、その両端部60aが棒電極2のワークWから延出した部分の上面に当接される。
【0030】
そして、棒電極2の位置が適切な高さに調整されると、図2に鎖線で示したように、棒電極位置保持手段6のエアシリンダなどのアクチュエータ65が案内穴9aに嵌挿されているクサビ部材64を前進させるよう駆動して、ガイドロッド62aに形成された孔63に係合させる。クサビ部材64の傾斜面64aが孔63の傾斜面63aと当接されるため、ガイドロッド62aに接続された押え部材60の高さが保持され、したがって、押え部材60に当接された棒電極2の高さも調整された位置に保持されることとなる。
【0031】
この棒電極2の位置決め調整するときに、基準部材40の両端部40aと、押え部材60の両端部60aが棒電極2のワークWから延出した部分に当接されるため、ワークWと干渉することなく、したがってシーム溶接の工程途中においてワークWが棒電極2の周囲に存在する状態で、短時間で容易に位置決め調整することができる。そして、棒電極2は、ワークW内に挿入配置するためにその一端側のみがアクチュエータ20に接続されているが、押え部材60によって押えられるため、ローラ電極3による加圧を安定して確実に受けることができる。
【0032】
【発明の効果】
請求項1の発明によれば、電極位置基準をワークの軸方向に外れ、且つ、ワークの径方向に関して棒電極を配置すべき位置に位置決めし、棒電極のワーク外に延出した部分を電極位置基準に当接させることにより、棒電極の位置を調整するという簡単な構成で、ワークが棒電極の周囲に存在する状態であっても、容易に精度良く短時間で棒電極を位置決めすることができ、さらには、ロール成形されたワークから円精度の良い円筒状の製品を得ることができるシーム溶接における電極位置調整方法を提供することができる。
また、請求項2の発明によれば、棒電極がワーク外に延出するようにワークの軸方向長さよりも長く成形され、電極位置基準が、ワークの軸方向に外れた位置であって、ワークの径方向に関して棒電極を配置すべき位置と対応する位置に位置決め可能に設け、アクチュエータが棒電極のワークから延出した部分を電極位置基準に対して当接させるよう設けられているという簡単な構成で、ワークが棒電極の周囲に存在する状態であっても、容易に精度良く短時間で棒電極を位置決めすることができ、さらには、ロール成形されたワークから円精度の良い円筒状の製品を得ることができるシーム溶接装置を提供することができる。
請求項3の発明によれば、請求項2に記載の発明において、電極位置基準に当接された棒電極の位置を記憶して保持する棒電極位置保持手段を設けたことにより、電極位置基準に当接され位置決めされた棒電極の位置を確実に保持することができるシーム溶接装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のシーム溶接装置を一部断面で示す正面図である。
【図2】図1の断面図である。
【図3】棒電極の位置決めを行う前の状態を説明するための概略図である。
【図4】図3の状態から電極位置基準の位置決め基準部材を、棒電極を当接させるための位置に位置決めした状態を示す概略図である。
【図5】棒電極の位置によるワークの接合部の形状を示す説明図である。
【符号の説明】
W ワーク
Wa 接合部
1 クランプ手段
2 棒電極
3 ローラ電極
4 電極位置基準
5 アクチュエータ
6 棒電極位置保持手段
Claims (3)
- 板状のワークをロール成形してその両端縁を重ね合わせて保持し、
棒電極をワーク内に挿入してその重ね合わせた部分に沿って配置し、
ローラ電極をワークの外側から押し当てて棒電極との間で加圧・通電させつつワークの重ね合わせた部分に沿って相対的に移動させるシーム溶接において、
ワークの重ね合わせた部分に沿って配置させる棒電極の位置を調整する方法であって、
ワークの軸方向に外れ、且つ、ワークの径方向に関して棒電極を配置すべき位置に電極位置基準を位置決めし、
棒電極を移動させてそのワーク外に延出する部分を電極位置基準に当接させることにより、棒電極の位置を調整することを特徴とするシーム溶接における電極位置調整方法。 - ロール成形された板状のワークを、その両端縁が重ね合わさるように保持するクランプ手段と、
ワーク内に挿入されてその重ね合わせた部分に沿って配置される棒電極と、
ワークの外側から押し当てられて棒電極との間で加圧・通電させつつワークの重ね合わせた部分に沿って相対的に移動されるローラ電極と、を備えたシーム溶接装置であって、
前記棒電極は、ワークの軸方向長さよりも長く、ワーク外に延出するように成形され、
棒電極をワーク内に挿入してその重ね合わせた部分に沿って配置したときに、ワークの軸方向に外れ、且つ、ワークの径方向に関して棒電極を配置すべき位置と対応する位置に位置決め可能に電極位置基準を設け、
電極位置基準に対して棒電極を当接させるためのアクチュエータを設けたことを特徴とするシーム溶接装置。 - 電極位置基準に当接された棒電極の位置を保持する棒電極位置保持手段を設けたことを特徴とする請求項2に記載のシーム溶接装置。
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