JP2004320868A - 系統連系インバータ装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】直流電力を交流電力に逆変換して、系統電源20に接続される負荷に交流電力を供給する系統連系インバータ装置において、系統電源20に流出する電流が系統電源電圧に対して有効電流成分がゼロまたはマイナスとなるようにインバータ13を制御する制御手段15を備えた。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、系統連系インバータ装置に係り、例えば太陽電池や燃料電池等の直流電源、あるいはガスタービン発電機から生成した交流電力を整流して形成した直流電源の電圧を昇圧して、商用交流系統電源(以下、系統電源という)に接続した負荷に逆変換した交流電力を供給する系統連系インバータ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、太陽電池や燃料電池、あるいはガスタービン発電機等の小規模の発電設備が広く普及しつつある。これらの発電設備においては、太陽電池や燃料電池等で発電した直流電力、またはガスタービン発電機等により発電した交流電力を整流して得られた直流電力を、DC/DCコンバータ等により昇圧して、インバータ装置により交流電力に逆変換して負荷に電力を供給する場合が多い。このような場合には、負荷は系統電源に接続され、発電設備から電力が供給されないときには、系統電源から電力が供給されるようになっている。
【0003】
このような直流電力を交流電力に逆変換して系統電源に接続された負荷に電力を供給する系統連系インバータ装置においては、系統電源に接続されることから種々の規制が設けられている。その一つに、逆潮流の制限という規制がある。この規制は、「発電設備の構内から系統電源側に向かう有効電力の流れ(潮流)が配電用変電所のバンクにおいて生じないようにすること」というものである。即ち、発電設備により発電された有効電力は、すべて発電設備が存在する構内の線路負荷に供給され、有効電力が系統電源側に流出することを制限したものである。
【0004】
ところで、線路負荷の所要電力は時々刻々変動する。これに対して、発電設備の発電能力は、例えば太陽電池等は日照条件によって決まり、発電電力が線路負荷の所要電力に直ちに追従することができない。このため、余剰電力が生じ、系統電源側に向かうため、発電電力は約一定に保ち、疑似負荷(例えば水抵抗)を設け線路負荷の変動に応じて、そこに有効電力を吸収させるという方法が一般に採用されている(例えば、特許文献1,2参照)。
【0005】
【特許文献1】
特開2000−320401号公報
【特許文献2】
特開2002−281672号公報
【0006】
しかしながら、疑似負荷を設けることは設備設置面として比較的大きな所要面積を必要とし、また設備コストも比較的高価なものとなる。さらに、例えば電力抵抗器のような疑似負荷に逆潮流が生じないように電力を消費させる制御も面倒なものとならざるを得ない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上述した事情に鑑みて為されたもので、疑似負荷を必要とすることなく、簡易な設備構成で有効電力が系統電源側に流出する逆潮流を完全に防止することができる系統連系インバータ装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の系統連系インバータ装置は、直流電力を交流電力に逆変換して、系統電源に接続される負荷に前記交流電力を供給する系統連系インバータ装置において、前記系統電源に流出する電流が系統電源電圧に対して有効電流成分がゼロまたはマイナスとなるようにインバータを制御する制御手段を備えたことを特徴とするものである。
【0009】
ここで、前記制御手段は、系統電源に流出する電流を検出する回路と、系統電源電圧を検出する回路と、前記電流と電圧から系統電源に流出する有効電力を演算する手段と、前記有効電力と指令値とを比較して前記有効電力がゼロまたはマイナスになるように、前記インバータから供給する交流電力を制御する制御回路とからなることが好ましい。
【0010】
ここで、前記インバータの制御は、電流指令値を略一定に保ちつつ、位相角を変化することで、負荷にインバータが出力するすべての有効電力を供給するようにすることが好ましい。また、前記インバータの制御は、系統電源電圧の一周期毎に行うことが好ましい。また、前記インバータの出力有効電力を検出して、電源が出力する前記直流電力の供給量を制御することが好ましい。
【0011】
上記本発明によれば、系統電源に流出する電流が系統電源電圧に対して有効電流成分がゼロまたはマイナスとなるように、換言すれば、90゜の位相差を有するように系統連系インバータ装置が制御される。したがって、発電設備から供給される直流電力は、系統連系インバータ装置にて交流電力に変換され、出力交流電力から有効電力分と無効電力分とが形成され、有効電力分はすべて線路負荷に吸収され、無効電力は線路負荷の無効電力を超える分のみが系統電源側に送出される。それ故、発電設備においては比較的に遅い速度で供給直流出力を調整することで、一定の直流出力を供給しつつ、時々刻々変動する負荷状況に対応して有効電力分と線路負荷の無効電力分のみを線路負荷に供給し、余剰の電力は無効電力として系統電源に送出するので、系統電源に有効電力が送出されるいわゆる逆潮流が完全に防止される。したがって、疑似負荷を用いることなく、いわゆる逆潮流を常に生じないようにすることができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態について添付図面を参照しながら説明する。なお、各図中同一符号は同一または相当部分を示す。
【0013】
図1は、本発明の一実施形態の系統連系インバータ装置の概略構成を示す。直流電源11は、太陽電池または燃料電池等の直流電源、あるいはガスタービン発電機の交流出力を整流して得た直流電源である。この直流電源11の出力電圧は一般に低いので、DC/DCコンバータ12等により昇圧される。そして、DC/DCコンバータ12により系統電源の交流電圧を形成するのに十分な程度に昇圧された直流電圧が、インバータ13に供給される。インバータ13には電力スイッチング素子を備え、コントローラ15より供給される例えばパルス幅変調(PWM)信号により、電力スイッチング素子がオン・オフ制御され、交流出力がその出力端より出力される。インバータ13の出力電圧波形は、PWM信号により形成されているので高調波成分を多量に含む。このため、フィルタ16により高調波成分を除去して、インバータ出力の正弦波電圧は系統電源に連系して負荷17に接続した負荷線路18に供給される。
【0014】
ここで、この直流電源11から負荷17に到る発電および電力供給設備は、発電設備設置者の構内に配置されている。そして、負荷設備17を接続した負荷線路18は、発電設備設置者の構外の系統電源20に接続されている。したがって、例えば太陽電池等の直流電源11が発電しない時間帯等においては、負荷設備17への電力の供給は、系統電源20側からの送電により行われる。また、直流電源11の発電電力量が負荷設備17の所要電力量を下回る場合には、負荷設備17で消費される電力の一部が系統電源20側から送られる。
【0015】
ところで、直流電源11の発電電力量が負荷設備17の所要電力量を上回る場合に、余剰電力を系統電源20側に送出するいわゆる売電が行われる場合があるが、有効電力の系統電源20側への送出を逆潮流として一切認めない場合もある。この実施形態の系統連系インバータ装置は、このような逆潮流が一切認められない場合に好適なものである。即ち、直流電源11の発電電力量が負荷17の所要電力量を上回る場合に、インバータ出力電力の無効電力量を制御することにより、インバータ出力電力が負荷設備17で消費する電力と釣り合うように絞る。同時に直流電源11の発電電力を比較的遅い速度で下げる制御を施すことで、結果としてインバータ出力有効電力はその全量を負荷設備17に供給し、有効電力が系統電流として系統電源側に流出しないようにしたものである。
【0016】
有効電力が系統電源20側に流出することを防止するため、系統電源20側への接続線路19に電流検出器22を備え、系統電流、特にその系統電圧に対する位相角を検出する。そして、インバータ13の出力と接続する線路21に系統電圧を検出する電圧検出器23を配置する。電流検出器22で検出された電流は電流センサ回路24により電流値および位相角が識別され、電圧検出器23で検出された系統電圧は電圧センサ回路25により電圧値がそれぞれ検出される。
【0017】
系統電流の電流値および位相角と系統電圧の電圧値とはそれぞれコントローラ15に入力され、系統電流のうち系統電源20側に向かう有効電流成分(系統電圧と同相成分)が算定される。これが、いわゆる逆潮流であり、系統電源20側に流出しないようにコントローラ15によりインバータ13の電力スイッチング素子がタイミング制御される。即ち、系統電流の大きさおよび系統電圧に対する位相角を検出することにより、系統電源20への有効電力の流れ方向および大きさを識別することが可能である。そして、有効電力が系統電源20側に流出しないようにコントローラ15でインバータ13を制御することで、逆潮流を完全に防止することが可能である。
【0018】
図2は、逆潮流を生じないようにしたコントローラの構成例を示す。系統電流の検出値(電流センサ回路24の出力)と系統電圧の検出値(電圧センサ回路25の出力)とは、有効電力演算部31に入力され、逆潮流に相当する系統電源20側に流出する有効電力(逆潮流検出値)が算定される。
【0019】
そして、逆潮流指令値(目標値)が図示しない入力手段により設定される。ここで、逆潮流指令値としては最大負荷の−5%程度が適当である。即ち、逆潮流の完全な防止のために予めマイナス側の僅かな値としておくことが好ましい。逆潮流検出値と逆潮流指令値とは加減算器32により演算され、その差分が誤差εとして出力される。誤差εは、PI演算部33に入力される。
【0020】
PI演算部33は、誤差εが0となるように、インバータ出力波形の振幅および位相角のフィードバック信号を生成する。但し、その位相角は0〜90゜の範囲のリミット処理が入っている。コントローラ15のPWM信号生成部34では、インバータ出力電流の指令値とPI演算部33の出力である振幅および位相角の指令値とに基づいて、インバータ部の電力スイッチング素子をオン・オフ制御するパルス幅変調(PWM)信号を生成する。生成されたPWM信号はドライバ35で電流増幅され、インバータ部を構成する電力スイッチング素子(例えばIGBT)に供給され、これをオン・オフ制御する。インバータ部13には直流部12により直流電圧が供給されているので、インバータ部13からはPWM信号に従った交流電圧波形が出力される。
【0021】
つぎに、このコントローラの制御動作について説明する。まず、系統電流および系統電圧のサンプリングは、系統電圧の一周期を単位として行う。したがって、有効電力演算部31においては、系統電圧の一周期(50Hz地区の場合は20msec、60Hz地区の場合は16.67msec)毎の系統電源側に向かう有効電力(逆潮流)が算出される。そして、この逆潮流検出値が逆潮流指令値(例えば最大負荷の−5%)と比較され、この誤差εがゼロとなるようにインバータ13で形成される交流電圧波形の振幅および位相角が制御される。また、その位相角は一定範囲内(例えば、0〜90゜)になるようにリミッタにより制限をかけている。
【0022】
インバータ出力電流は、例えばインバータ13が最高効率で運転される一定の値に設定する。したがって、インバータの出力電流と系統電圧との絶対値の積が皮相電力であり、位相角θの場合には図3(a)に示すように有効電力成分と無効電力成分とから構成される。それ故、インバータ出力電流の絶対値に対して、系統電圧との位相角θを変えることにより、任意の有効電力とこれに対応した無効電力とを出力することができる。なお、図3(b)は系統電圧波形とインバータ出力電流との関係を示すもので、位相角θを有する場合を示している。ここで、インバータ出力電流はインバータ部13の出力側に配置された電流検出器27により検出される。
【0023】
したがって、系統電源20側に向かって流れる系統電流のうち、系統電圧との同相分(即ち、逆潮流)をゼロとするように振幅および位相角θを制御することで、PI演算制御により逆潮流検出値を逆潮流指令値に追従させることができる。即ち、負荷設備17においては負荷が時々刻々変化する。そして、一周期毎に逆潮流がその指令値となるように振幅および位相角θを制御することで、負荷設備17が必要とする有効電力の大きさとなるように振幅および位相角θが調整される。
【0024】
従って、負荷設備17には所要の有効電力が供給され、且つ系統電源20側に送出される電力には有効電力成分(即ち、逆潮流)を逆潮流の指令値(例えば最大負荷の−5%)に追従させることができる。即ち、このコントローラ15によれば、時々刻々変動する負荷設備17に対してその必要とする有効電力がすべて供給され、系統電源20側からはマイナスの逆潮流(負荷17に向かう電力潮流)が形成される。そして、インバータ部13により供給される無効電力の一部は負荷設備17に供給され、残余の部分は電源系統20側に送出されることになる。
【0025】
位相角がゼロでない場合に、直流電源11の出力を徐々に下げる制御により、最終的に直流電源出力と負荷設備17の所要の有効電力とが釣り合うようになる。このため、インバータ出力或いは有効電力から直流電源を負荷に対応した出力に絞ることが好ましい。具体的には、インバータ13の出力部に設けられたCT27とPT23からの信号により、インバータ13の出力有効電力を演算装置28により算出する。そして、この有効電力がその時点で負荷17が消費する有効電力であるので、直流電源(電源部)11で直流発電電力をこの負荷消費量に見合った量に調整する。これにより、電源部11の発電電力の全量を負荷に供給して、逆潮流を防止できる。
【0026】
それ故、この系統連系インバータ装置によれば、電力抵抗器等の疑似負荷を用いることなく、負荷設備に要求される有効電力を供給すると共に系統電源20側に対しては常に最大負荷の−5%程度の逆潮流(系統電源側から送出される有効電力)を受け入れることになる。そして、上述したように逆潮流検出値の演算およびPI演算制御は系統電圧の一周期毎に行われるので、追従速度が極めて速い。また、この系統連系インバータ装置を用いたシステムでは、電力抵抗器等の疑似負荷の設備が不必要になるのみならず、有効電力の演算やPI演算はPWM信号生成のためのマイクロコンピュータ等を利用して行えるので、極めて低コストでこのシステムを実現することが可能である。
【0027】
なお、上記実施形態は本発明の実施例の一態様を述べたもので、本発明の趣旨を逸脱することなく種々の変形実施例が可能なことは勿論である。
【0028】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、疑似負荷を設けることなく、系統電源側に逆潮流を生じないようにした系統連系インバータ装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態の系統連系インバータ装置の概要を示すブロック図である。
【図2】図1におけるコントローラの構成例を示すブロック図である。
【図3】(a)は有効電力と無効電力との関係を示すベクトル図であり、(b)は系統電圧とインバータ出力電流との関係を示す波形図である。
【符号の説明】
11 直流電源
12 DC/DCコンバータ(直流部)
13 インバータ
15 コントローラ
16 フィルタ
17 負荷(設備)
18,19,21 線路
20 系統電源
22,27 電流検出器
23 電圧検出器
31 有効電力演算部(逆潮流演算部)
32 加減算器
33 PI演算部
34 PWM信号生成部
35 ドライバ
Claims (5)
- 直流電力を交流電力に逆変換して、系統電源に接続される負荷に前記交流電力を供給する系統連系インバータ装置において、
前記系統電源に流出する電流が系統電源電圧に対して有効電流成分がゼロまたはマイナスとなるようにインバータを制御する制御手段を備えたことを特徴とする系統連系インバータ装置。 - 前記制御手段は、系統電源に流出する電流を検出する回路と、系統電源電圧を検出する回路と、前記電流と電圧から系統電源に流出する有効電力を演算する手段と、前記有効電力と指令値とを比較して前記有効電力がゼロまたはマイナスになるように、前記インバータから供給する交流電力を制御する制御回路とからなることを特徴とする請求項1記載の系統連系インバータ装置。
- 前記インバータの制御は、電流指令値を略一定に保ちつつ、位相角を変化することで、負荷にインバータが出力するすべての有効電力を供給するようにしたことを特徴とする請求項1記載の系統連系インバータ装置。
- 前記インバータの制御は、系統電源電圧の一周期毎に行うことを特徴とする請求項1記載の系統連系インバータ装置。
- 前記インバータの出力有効電力を検出して、電源が出力する前記直流電力の供給量を制御するようにしたことを特徴とする請求項1記載の系統連系インバータ装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003109773A JP2004320868A (ja) | 2003-04-15 | 2003-04-15 | 系統連系インバータ装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003109773A JP2004320868A (ja) | 2003-04-15 | 2003-04-15 | 系統連系インバータ装置 |
Publications (1)
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---|---|
JP2004320868A true JP2004320868A (ja) | 2004-11-11 |
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ID=33470807
Family Applications (1)
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JP2003109773A Pending JP2004320868A (ja) | 2003-04-15 | 2003-04-15 | 系統連系インバータ装置 |
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Country | Link |
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JP (1) | JP2004320868A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2014027760A (ja) * | 2012-07-26 | 2014-02-06 | Mitsubishi Electric Corp | 電力変換装置および発電システム |
JP2017121149A (ja) * | 2015-12-29 | 2017-07-06 | 三菱電機株式会社 | 電力変換装置 |
-
2003
- 2003-04-15 JP JP2003109773A patent/JP2004320868A/ja active Pending
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2014027760A (ja) * | 2012-07-26 | 2014-02-06 | Mitsubishi Electric Corp | 電力変換装置および発電システム |
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