JP2004319389A - 燃料電池システム - Google Patents

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Koji Yuasa
浩次 湯浅
Nobuhiko Hojo
伸彦 北條
Yukihiro Okada
行広 岡田
Yasutaka Noguchi
康孝 野口
Satoshi Shibuya
聡 渋谷
Aoi Tanaka
あおい 田中
Takashi Akiyama
崇 秋山
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Abstract

【課題】直接燃料供給型燃料電池の燃料を有効利用し電池性能を改善する。
【解決手段】第1電解質膜ならびに前記第1電解質膜を挟む原料極および水素発生極を有する第1電解質膜電極接合体と、第2電解質膜ならびに前記第2電解質膜を挟む燃料極および酸化剤極を有する第2電解質膜電極接合体と、前記原料極に、前記水素発生極に対して正の電位を印加する電位印加手段と、前記水素発生極で発生する水素を前記燃料極に供給する手段と、前記原料極に原料を供給する原料室と、前記原料極の容積よりも小さい容積を有し、前記燃料極に水素を供給する水素室とを具備し、前記原料から燃料を得、前記燃料を用いて発電することを特徴とする燃料電池システム。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、携帯機器用のポータブル電源、民生用コジェネレーションシステム、および移動体用の発電機などとして有用な燃料電池、特に高分子電解質を含む高分子電解質型燃料電池に関する。
【0002】
【従来の技術】
燃料電池は、水素などの燃料と空気などの酸化剤ガスとをガス拡散電極によって電気化学的に反応させ、電気と熱を同時に発生させるものであり、用いる電解質の種類と運転温度によって幾つかの異なるタイプに分類される。そのなかでも、高分子電解質型燃料電池では、側鎖末端基としてスルホン基が導入されたフッ素樹脂ポリマーからなる高分子電解質膜を用いるのが主流になっている。
【0003】
この高分子電解質膜に、白金族金属触媒を担持したカーボン粉末を主成分とする触媒層を密着して電極反応層が形成される。電極反応層の外面には、通気性と導電性を兼ね備えた一対の電極基材が密着して形成され、電極基材と電極反応層とがガス拡散電極を構成する。そして、2つのガス拡散電極と高分子電解質膜とが電解質膜電極接合体(MEA)を構成する。
【0004】
ガス拡散電極の外側には、電解質膜電極接合体を機械的に固定するとともに、隣接する接合体をお互いに電気的に直列に接続するための導電性のセパレータ板が配される。セパレータ板のガス拡散電極と接触する部分には、ガス拡散電極の面に燃料や酸化剤ガスなどの反応物を供給するとともに、生成ガスや余剰の反応物を運び去るための流路が形成されている。また、セパレータ板やガス拡散電極の周囲には、ガスケットやシール剤などのシール部材が配置され、反応物が直接混合したり外部へ漏逸するのを防止している。
【0005】
一対のガス拡散電極の一方には、反応ガス(燃料)として水素を含むガスを供給するのが一般的であるが、アルコールやエーテルなどの液体有機物や固体有機物の水溶液などを直接用いる場合もある。また、他方のガス拡散電極には、空気などの酸素を含んだ酸化剤ガスを供給する。通常の発電装置としての燃料電池システムにおいては、これらの電解質膜電極接合体およびセパレータ板などで構成された単セル複数個が積層されて、積層電池が構成され、それぞれのセパレータ板の流路にはマニホールドを通じて外部から水素またはアルコールなどの燃料と空気などの酸化剤ガスが供給される。
【0006】
電極反応層で発生した電流は、電極基材で集電され、セパレータ板を経て外部に取り出される。セパレータ板には、導電性、気密性および耐食性を兼ね備えるカーボン材料が用いられることが多いが、成型加工性、低コスト性および薄型化の可能性などを考慮して、ステンレス鋼などの金属で作製されたセパレータ板、またはカーボン材料と樹脂材料とを混合した樹脂組成物で作製されたセパレータ板なども用いられる。
【0007】
燃料として水素を含むガスを用いるシステムでは、メタンガス、プロパンガス、アルコールなどの有機物質を原料として用い、部分燃焼(部分改質)または水添加による改質(水蒸気改質)によって前記原料を水素ガスを豊富に含むガスに変換する改質器を備えることが必要である。しかし、改質器の構造やシステムが複雑であるため、改質器と燃料電池を含む発電装置としての燃料電池システムは、大型化してしまったり、コスト高になってしまったりするという問題があった。
【0008】
一方、これらに対して、メタンガスまたはアルコールなどの有機物質を原料として用い、電気化学的に改質して得られた水素を燃料として利用することが提案されている。例えば、特許文献1および2においては、陽極としてメタノールと水とを原料として原料極を陽極として使用し、電解を行って得た水素を燃料電池用燃料として使用する方法が開示されており、上記原料の理論分解電圧が0.1V以下であることを利用している。また、特許文献3にも、メタンと水とを原料とした方法が提案されており、原料の理論分解電圧が0.16Vであることが利用されている。
【0009】
【特許文献1】
特開2001−297779号公報
【特許文献2】
特開平11−229167号公報
【特許文献3】
特開2000−17470号公報
【0010】
しかし、スルホン基が導入されたフッ素樹脂ポリマーを高分子電解質膜に用いている場合は、反応物としてアルコールやメタンなどの有機物質を用いると、この有機物質が原料極と高分子電解質膜とを浸透して対極に移動してしまい、原料を有効に利用することができないという問題があった。そのため、特に上記特許文献2に開示されているように、対極に移動した原料を回収するシステムを設けたりする必要があった。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
以上のような従来技術の問題点に鑑み、本発明は、原料を回収するシステムを設けたりすることなく、簡単な構造で原料から水素を含む燃料を生成するとともに、この燃料を極めて有効に利用し得る燃料電池システムを提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記問題点を解決すべく、本発明は、水素イオン伝導性を有する第1電解質層ならびに前記電解質層を挟む原料極および水素発生極を有する第1電解質膜電極接合体と、
水素イオン伝導性を有する第2電解質層ならびに前記電解質層を挟む燃料極および酸化剤極を有する第2電解質膜電極接合体と、
前記原料極に、前記水素発生極に対して正の電位を印加する電位印加手段と、
前記水素発生極で発生する水素を前記燃料極に供給する手段と、
前記原料極に原料を供給する原料室と、
前記水素発生極からの水素を蓄積する水素室とを具備し、
前記水素室の容積を前記原料室の容積よりも小さくしており、
前記第1電解質膜電極接合体によって前記原料から燃料を得、前記燃料を用いて前記第2電解質膜電極接合体によって発電することを特徴とする燃料電池システムを提供する。
【0013】
さらに、本発明は、水素イオン伝導性を有する第1電解質膜ならびに前記第1電解質膜を挟む原料極および水素発生極を有する第1電解質膜電極接合体と、
水素イオン伝導性を有する第2電解質膜ならびに前記第2電解質膜を挟む燃料極および酸化剤極を有する第2電解質膜電極接合体と、
前記原料極に、前記水素発生極に対して正の電位を印加する電位印加手段と、
前記水素発生極で発生する水素を前記燃料極に供給する手段と、
前記原料極に原料を供給する原料室と、
前記水素発生極からの水素を蓄積する水素室とを具備し、
前記水素室が、前記原料室に供給される前記原料の濃度より高い濃度の前記原料で満たされており、前記原料から燃料を得、前記燃料を用いて発電する燃料電池システムをも提供する。
【0014】
上記燃料電池システムにおいては、前記原料として液体状の原料を供給することが好ましい。
また、前記水素発生極と前記燃料極とが電気的に接続されているのが好ましい。これにより複数の第1電解質膜電極接合体と第2電解質膜電極接合体とを直列または並列に接続することが容易になる。
【0015】
また、前記水素発生極と前記燃料極とが一体化されているのが好ましい。
この場合、前記水素発生極と前記燃料極とが撥水性を有する導電層を介して一体化されているのが好ましい。これにより、アルコールなどの有機物質からなる原料が、第2電解質膜電極接合体のガス拡散電極への浸透を抑制することが可能である。
【0016】
また、前記電位印加手段としては、前記第2電解質膜電極接合体を用いることができる。すなわち、前記第2電解質膜電極接合体は、燃料と酸化剤ガスによって発電をするものであるから、前記第1電解質膜電極接合体に電位を印加することが可能である。これにより、水素を生成するためのエネルギーを外部から供給する必要がなくなり、燃料電池システムの構造を簡便にすることが可能となる。
【0017】
【発明の実施の形態】
本発明に係る燃料電池システムの一実施の形態を、図1を参照しながら説明する。図1に示す本発明に係る燃料電池システムは、第1電解質膜電極接合体(MEA)1と第2電解質膜電極接合体(MEA)2を具備する。
第1電解質膜電極接合体1は、例えば白金−ルテニウムを触媒として含む多孔質のガス拡散電極からなる原料極11と、両面に触媒を含む電極反応層を有するガス拡散電極からなる水素発生極12とが、イオン導電性の高分子電解質膜13を挟むことによって形成されている。
また、第2電解質膜電極接合体2は、前記水素発生極12と一体化された燃料極21と、片面に触媒を含む電極反応層を有するガス拡散電極からなる酸化剤極22とが、イオン導電性の高分子電解質膜23を挟むことによって形成されている。
【0018】
そして、第1電解質膜電極接合体1および第2電解質膜電極接合体2は、導電性のセパレータ板31および32で挟み、加圧することによって一体に結合されており、高分子電解質膜13および23の周囲には、原料、燃料および酸化剤ガスが漏洩することを防止するために、シール材33が配されている。
また、セパレータ板31には、原料極11に接する面に原料を供給するための原料室34が形成されている。水素発生極12と燃料極21との間には、水素発生極12から出てきた燃料である水素を、燃料極21に供給するための水素室35が形成されている。特に、図1に示す燃料電池システムにおいては、水素発生極12と燃料極21とが一体化されており、かつ中心部に中空部を設けることによって水素室35が形成されている。
【0019】
原料室34にアルコールと水とを含む液体燃料を原料として供給し、反対側の酸化剤極室36に空気を酸化剤ガスとして供給し、原料極11の端子と酸化剤極22の端子との間に負荷を介して電気的に接続すると、通常の燃料電池のように発電機能を有する第2電解質膜電極接合体2の正極である酸化剤極22から、前記負荷を介して原料極11に正の電位が印加される。その結果、アルコールと水が反応して炭酸ガスと水素イオンが生成し、生成した水素イオンは高分子電解質膜13を経由して、中央の水素発生極12から水素室35に、水素ガスとして発生する。発生した水素ガスは燃料として水素発生極12に蓄積される。
【0020】
そして、水素発生極12と一体化された燃料極21の、もう一つの高分子電解質膜23との界面において、電極反応が起こり、燃料としての水素が再び水素イオンとなる。この水素イオンは高分子電解質膜23内を移動し、酸化剤極22に到達する。酸化剤極22においては、酸化剤極室36から供給された空気中の酸素と反応して水が生成する。この間、電流は、原料極11から、高分子電解質膜13、水素発生極12、燃料極21および高分子電解質膜23を経て、酸化剤極22の方向に流れる。
【0021】
スルホン酸基が導入されたフッ素樹脂ポリマーなどの水素イオン伝導性の多孔質体を高分子電解質膜13に用いると、原料室34に供給したアルコールの一部が濃度勾配により高分子電解質膜13を通過し、そのまま水素室35に到達してしまう可能性がある。これは一般にクロスリークと呼ばれている現象であり、現状の技術レベルでは完全に解決できていない。この問題を最小化するために、本発明に係る燃料電池システムは、水素室35の容積を原料室34の容積よりも小さくすることを特徴とする。これにより、アルコールが原料室34から水素室35にクロスリークしたとしても、水素室35のアルコール濃度がすぐに上昇し、原料室34におけるアルコール濃度と水素室35におけるアルコール濃度との差を無くし、クロスリークを停止させることが可能である。
【0022】
また、発電中に原料室34のアルコールが消費され、水素室35のアルコール濃度が原料室34のアルコール濃度よりも高くなった場合には、水素室35から原料室34に再度アルコールがクロスリークして戻ることにより、アルコール原料を有効に発電に利用することができる。
水素室34と原料室35との容積比の最適値は、燃料濃度や発電量に左右されるため一概には決定することはできないが、水素室35の容積が原料室34の容積の1/2以下であることが好ましい。
【0023】
上述のようなクロスリークを抑制するために、あらかじめ水素室35を、原料室34に供給される原料よりも高濃度の原料で満たしておいてもよい。これにより、同様な原理で、原料室34から水素室35へのクロスリークを抑制することができる。さらに、水素室35のアルコール濃度が原料室34のアルコール濃度よりも高くなった場合には、水素室35から原料室34にアルコールがクロスリークして移動することにより、アルコール原料を有効に発電に利用することができる。
【0024】
また、第1電解質膜電極接合体1と第2電解質膜電極接合体2を接続する中央の水素発生極12と燃料極21の部分では、高分子電解質膜13と高分子電解質膜23とが直接接触しないようにするのが好ましい。例えば、撥水性の高い部分を設けて、この部分にガス層が存在させることが望ましい。このような構成により、アルコールなどの有機物質である原料がそのまま第2電解質膜電極接合体2の酸化剤極22に浸透することを抑制することが可能である。
【0025】
図1においては、本発明に係る燃料電池システムの理想的な一実施の形態として、第1電解質膜電極接合体1の水素発生極12と第2電解質膜電極接合体2の燃料極21とが一体化されて5層構造のシステムを示した。すなわち、原料極11の層、第1高分子電解質膜13の層、一体化した水素発生極12および燃料極21の層、第2高分子電解質膜23の層、ならびに酸化剤極22の層の5層である。
【0026】
しかし、原理上、第1電解質膜電極接合体1と第2電解質膜電極接合体を設ければ、水素発生極12と燃料極21とが一体化していなくても、第2の電解質膜電極接合体に通常の燃料電池の発電部である電解質膜電極接合体として機能させ、第1電解質膜電極接合体において原料を変換して水素を生成したり、原料としての水素の濃度を高めて燃料として濃度の高い水素を生成させれば、本発明に係る燃料電池システムを実現することが可能である。
【0027】
この場合も、第1電解質膜電極接合体の水素発生極で発生する水素が、第2電解質膜電極接合体2の燃料極に供給され、かつ両電極が電気的に接続されるように、第1電解質膜電極接合体と第2電解質膜電極接合体とを組み合わせればよい。したがって、第1電解質膜電極接合体と第2電解質膜電極接合体とは空間を隔てて物理的に分離した状態で本発明に係る燃料電池システムを構成してもよい。
【0028】
かかる構成により、燃料電池システム全体としての容積は若干大きくなるものの、耐CO被毒性が改善されると同時に、原料が酸化剤極側へ浸透することをより効果的に抑制することができるため、液体原料を用いたダイレクトアルコールタイプの燃料電池システムを構成する場合に特に効果的でありその利用価値が高い。
【0029】
また、各電極を構成するガス拡散基材や多孔質電極基材としては、カーボンペーパーの他に、可撓性を有する素材としてカーボンクロス、さらにはカーボン繊維とカーボン粉末とを混合し有機バインダーを加えて成型したカーボンフェルトなどを用いることができる。
【0030】
通常の燃料電池においては、電解質膜電極接合体に燃料や酸化剤ガスを供給するために、隣接する電解質膜電極接合体を機械的かつ電気的に接合するセパレータ板を配し、このセパレータ板の電極に接する面に溝などを設けて流路を形成する。したがって、前記セパレータ板の流路を、本発明に係る燃料電池システムにおける原料室、水素室、燃料極室および酸化剤極室として利用することができる。なお、水素発生極と燃料極室を一体化させる場合は、水素発生極と燃料極との間に空間を設け、これを水素室および燃料極室として機能させることができる。
【0031】
セパレータ板を構成する材料としては、セパレータ板に機械的強度とともに導電性およびガスバリア性を付与し得るものであればよく、例えばステンレス鋼板、カーボン材料で作製された板、カーボン材料と樹脂材料とを混合して得られる組成物で作製された板などを用いることができる。
以下に、実施例を用いて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらのみに限定されるものではない。
【0032】
【実施例】
《実施例1》
本実施例においては、図1に示す構造を有する燃料電池システムを作製した。
カーボン粉末の表面に白金触媒を担持させて得られた触媒体(触媒とカーボンとの重量比1:1)を高分子電解質のアルコール溶液に分散させ、スラリーを得た。一方、ガス拡散基材である厚さ200μmのカーボンペーパーをポリテトラフルオロエチレン(PTFE)の水性分散液に浸し、乾燥および熱処理をして撥水性の多孔質電極基材を得た。この多孔質電極基材の片面に、前記スラリーを塗布し、乾燥することによって、片面に電極反応層を有する酸化剤極22を得た。この際、触媒量は見かけ面積1cmあたり0.5mgとした。
【0033】
つぎに、カーボン粉末に、白金触媒に代えてルテニウムと白金とを等モル量で固溶して含む合金触媒を担持させて得られた触媒体(触媒とカーボンとの重量比1:1)を、高分子電解質のアルコール溶液に分散させ、スラリーを得た。このスラリーを上述と同様にして得た撥水性の多孔質電極基材の片面に塗布し、乾燥することによって、片面に電極反応層を有する原料極11を得た。この際、触媒量は見かけ面積1cmあたり4mgとした。
【0034】
さらに、上記と同様にして、もう1枚の撥水性の多孔質電極基材を用意し、この多孔質電極基材の両面に白金のみの電極反応層を形成してガス拡散電極を得た。このガス拡散電極は、ひとつで水素発生極12および燃料極21として用いた。この際、片面の触媒量は見かけ面積1cmあたり0.5mgとした。
【0035】
厚さが170μmの第1高分子電解質膜13と厚さが50μmの第2高分子電解質膜23を用意した。そして、前記電極とこれらの電解質膜とを、図1に示すように、原料極11―第1高分子電解質膜13―水素発生極12および燃料極21(単一のガス拡散電極)―第2高分子電解質膜23―酸化剤極22の順になるように重ね合わせ、120℃で10分間ホットプレスすることによって接合し、第1電解質膜電極接合体1および第2電解質膜電極接合体2を含む接合体を得た。
なお、原料極11および酸化剤極22は、電極反応層がそれぞれ第1高分子電解質膜13および第2高分子電解質膜23に接するように配置した。
【0036】
セパレータ板31および32は、ステンレス鋼板の片面に、蛇行した1本の流体流路を切削加工により形成することによって作製した。そして、この流体流路が原料室34および酸化剤極室36として機能させた。また、セパレータ板31および32の面上の角部分には、常法により空気またはアルコールなどの反応物の供給および生成物質の排出をするためのマニホルド孔を対角位置に設けた。なお、ステンレス鋼板の表面には、耐食性確保のために厚さ2μmの金メッキ処理を施した。
【0037】
また、原料極11、水素発生極12および燃料極21、ならびに酸化剤極22を囲む位置(周囲)には、厚さを調整した耐食性ゴムシートをシール材33として挿入した。
そして、セパレータ板31、第1電解質膜電極接合体1および第2電解質膜電極接合体2、ならびにセパレータ板32を、コイルバネを介してボルトおよびナットで締結した。
【0038】
原料極11の原料室34にメタノールと水とをモル比で1:1に混合した混合液を供給し、反対の酸化剤極22側の酸化剤極室36に空気を供給して、原料極11の端子と酸化剤極22の端子とを負荷を介して接続した。第1電解質膜電極接合体1の水素発生の部分で電圧はロスするが、第2電解質膜電極接合体2では通常の水素ガスと空気との反応による燃料電池システムと同様の電圧の発電が可能であった。
【0039】
電流密度100mA/cmで放電を行った場合には、原料極11と酸化剤極22間の電圧は0.5Vであった。また、原料極11と水素発生極12間のメタノール水溶液の水素化電解電圧は0.2Vであり、燃料極21と酸化剤極22間の電圧は通常の水素−空気燃料電池の場合と同様に0.7Vであった。
【0040】
比較のために、原料極11―第1高分子電解質膜13―酸化剤極22からなる通常の構造の燃料電池を作製し、上記と同様にメタノール水溶液と空気とを供給して電流密度100mA/cmで放電を行うと、電池電圧は0.4Vであった。これにより、本発明に係る燃料電池システムが従来のダイレクトメタノール燃料電池と比較して、優れた性能を発揮し得ることが確認された。
【0041】
ここで、原料極11、水素発生極12,燃料極21および酸化剤極22のみかけ面積をそれぞれ5cmとし、原料室34の容積を10ccとし、水素室35の容積を5ccとした。50モル%のメタノール水溶液を原料室34に10cc供給し、水素室35には純水を満たした(燃料電池システム1)。また、比較のために、原料室34の容積と水素室35の容積をともに10ccとし、それ以外は上記と同様の条件でメタノール水溶液および純水を供給した(燃料電池システム2)。
これら2種の燃料電池システムの放電試験を、負荷電流500mA(電流密度100mA/cm)の条件で行った。この際の電池温度は45℃とし、空気流量は1分間当たり100ccとした。
【0042】
図2に、燃料電池システム1および2の電池電圧の経時変化を示した。原料室34に同濃度の原料を同量供給したにもかかわらず、燃料電池システム1は燃料電池システム2と比較して長時間の放電が可能であった。
上述のように供給した原料を用い、上記試験条件で放電した場合、理論的には58時間程度の放電が可能である。理論値と実測値とのズレは、メタノールの原料室34から水素室35へのクロスリークと原料室34のメタノール濃度低下に伴うメタノールの触媒層への物質移動速度の遅れに起因すると推測された。燃料電池システム1および2は、同じ構成の原料極11を有するため、両者の放電時間の差はメタノールのクロスリーク量の違いによるものであると考えられた。
【0043】
つぎに、原料室34の容積と水素室35の容積とを種々変えて検討を行ったところ、水素室35の容積が原料室34の容積よりも少しでも小さければ、燃料電池システム2よりも放電時間は伸びた。また、容積比が大きければ大きいほど放電時間の伸びの効果も大きかった。
【0044】
さらに、中央部の水素発生極12および燃料極21を構成する単一のガス拡散電極への撥水性付与の効果を調べるために、PTFEの水性ディスパージョンを用いた撥水処理を施さずに作製したガス拡散電極を用いて電解質膜電極接合体、および燃料電池システムを作製し、電池試験を行った。その結果、撥水処理を施したものに比べて早く電池性能が低下した。撥水処理を施したものの電池性能が優れているのは、撥水処理を施すことによって、中央部の水素発生極12および燃料極21で囲まれた空間などに、水などの液体で濡れていない撥水層が形成され、アルコールなどの浸透が抑制されたためと考えられた。
【0045】
なお、上記の実施例においては、原料極11にルテニウムを含む電極反応層を有する多孔質電極を用いたが、ルテニウムを用いず、全てに白金触媒を含む電極反応層を用いた場合も、同様の電池性能および耐久性が得られた。
【0046】
《実施例2》
本実施例においては、実施例1と同様に、図1に示す構造を有し、水素室35にメタノール水溶液を満たした燃料電池システムを作製した。実施例1と異なり、水素室35の容積を5ccでなく原料室34の容積と同じ10ccとし、さらに水素室35に原料室34よりも1.5倍高濃度の60モル%のメタノール水溶液を満たした。
【0047】
このようにして作製した燃料電池システム3を、実施例1と同様の条件にて試験に供した。図3に、実施例2の放電試験の結果を、実施例1の燃料電池システム2の結果とともに示した。図3から明らかなように、燃料電池システム3は、燃料電池システム2よりも飛躍的に放電時間が伸びた。さらに、燃料電池システム1よりも2倍以上放電時間が伸びた。
【0048】
この放電時間は、原料室34に供給されたメタノール水溶液の理論放電時間の約2倍であり、原料室34と水素室35との両方に供給されたメタノール水溶液の理論放電時間の合計に対して約80%の放電時間であった。実施例2の放電時間が伸びた理由は、原料室34に供給されたメタノール水溶液だけでなく、水素室35に供給されたメタノール水溶液も反応に寄与したためであると考えられた。この機構は以下のように推測された。
【0049】
放電とともに原料室34のメタノール濃度は次第に低下する。原料室34と水素室35とのメタノール濃度差がある一定値を超えると、水素室35のメタノールが第1高分子電解質膜13を通って原料室34にクロスリークして移動するようになる。その結果、もともと水素室35に供給したメタノールが原料室34で放電することとなり、放電時間が伸びたと推測できる。また、直接測定してはいないが、原料室34から水素室35へのクロスリークも、原料室34のメタノール濃度が水素室35のそれよりも低いため、実施例1に比べ減少していると推測される。このことも放電時間の伸びに寄与していると考えられる。
【0050】
つぎに、原料室34のメタノール濃度と水素室35のメタノール濃度とを種々変えて検討を行ったところ、水素室35のメタノール濃度が原料室34のメタノール濃度よりも少しでも高ければ、燃料電池システム2よりも放電時間は伸びた。また、濃度比が大きければ大きいほど放電時間の伸びの効果も大きかった。
【0051】
さらに、中央部の水素発生極12および燃料極21を構成する単一のガス拡散電極への撥水性付与の効果を調べるために、PTFEの水性ディスパージョンを用いた撥水処理を施さずに作製したガス拡散電極を用いて電解質膜電極接合体、および燃料電池システムを作製し、電池試験を行った。その結果、撥水処理を施したものに比べて早く電池性能が低下した。撥水処理を施したものの電池性能が優れているのは、撥水処理を施すことによって、中央部の水素発生極12および燃料極21で囲まれた空間などに、水などの液体で濡れていない撥水層が形成され、アルコールなどの浸透が抑制されたためと考えられた。
【0052】
なお、上記の実施例においては、原料極11にルテニウムを含む電極反応層を有する多孔質電極を用いたが、ルテニウムを用いず、全てに白金触媒を含む電極反応層を用いた場合も、同様の電池性能および耐久性が得られた。
【0053】
以上の実施例は、原料としてメタノールを用いた場合を説明したが、同様な効果がエタノールなど他のアルコール燃料エーテルなどの液体有機物質や固体有機物質の水溶液などの原料を用いた場合にも適用可能である。なお、電解質として高分子電解質を例に説明したが、同様な効果が単分子膜などで形成された電解質膜でも得られる。また、原料室や水素室は定まった形状を有している必要はなく、多孔質電極やガス拡散電極中に空孔として形成しても同様の効果が得られる。
【0054】
【発明の効果】
本発明によれば、燃料電池システムの燃料効率が良く、燃料を回収するシステムを設けたりする必要がなく、コスト化も容易になるなど実用性は大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態における燃料電池システムの構成を示す縦断面図である。
【図2】本発明の実施例において得られた燃料電池システム1および2の性能を示す図である。
【図3】本発明の実施例において得られた燃料電池システム2および3の性能を示す図である。
【符号の説明】
1 第1電解質膜電極接合体
2 第2電解質膜電極接合体
11 原料極
12 水素発生極
13 第1高分子電解質膜
21 燃料極
22 酸化剤極
23 第2高分子電解質膜
31 セパレータ板
32 セパレータ板
33 シール材
34 原料室
35 水素室
36 酸化剤極室

Claims (7)

  1. 水素イオン伝導性を有する第1電解質膜ならびに前記第1電解質膜を挟む原料極および水素発生極を有する第1電解質膜電極接合体と、
    水素イオン伝導性を有する第2電解質膜ならびに前記第2電解質膜を挟む燃料極および酸化剤極を有する第2電解質膜電極接合体と、
    前記原料極に、前記水素発生極に対して正の電位を印加する電位印加手段と、
    前記水素発生極で発生する水素を前記燃料極に供給する手段と、
    前記原料極に原料を供給する原料室と、
    前記水素発生極からの水素を蓄積する水素室とを具備し、
    前記水素室の容積が前記原料室の容積よりも小さい燃料電池システム。
  2. 水素イオン伝導性を有する第1電解質膜ならびに前記第1電解質膜を挟む原料極および水素発生極を有する第1電解質膜電極接合体と、
    水素イオン伝導性を有する第2電解質膜ならびに前記第2電解質膜を挟む燃料極および酸化剤極を有する第2電解質膜電極接合体と、
    前記原料極に、前記水素発生極に対して正の電位を印加する電位印加手段と、
    前記水素発生極で発生する水素を前記燃料極に供給する手段と、
    前記原料極に原料を供給する原料室と、
    前記水素発生極からの水素を蓄積する水素室とを具備し、
    前記水素室が、前記原料室に供給される前記原料の濃度より高い濃度の前記原料で満たされている燃料電池システム。
  3. 前記原料が液体であることを特徴とする請求項1または2記載の燃料電池システム。
  4. 前記水素発生極と前記燃料極とが電気的に接続されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の燃料電池システム。
  5. 前記水素発生極と前記燃料極とが一体化されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の燃料電池システム。
  6. 前記水素発生極と前記燃料極とが撥水性を有する導電層を介して一体化されていることを特徴とする請求項5記載の燃料電池システム。
  7. 前記電位印加手段が前記第2電解質膜電極接合体であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の燃料電池システム。
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