JP2004319165A - 高分子電解質型燃料電池 - Google Patents

高分子電解質型燃料電池 Download PDF

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弘樹 日下部
Kazuhito Hado
一仁 羽藤
Hideo Obara
英夫 小原
Shinsuke Takeguchi
伸介 竹口
Kiichi Shibata
礎一 柴田
Takeshi Tomizawa
猛 富澤
Toshihiro Matsumoto
敏宏 松本
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Abstract

【課題】低負荷運転時に凝縮水や生成水によるフラッディングを解消し、かつ高負荷時の圧力損失の上昇を抑制し、高効率で安定した運転が可能な燃料電池を提供する。
【解決手段】セパレータの面内に独立した入り口側および出口側マニホールド孔を有する複数の独立したガス流路を形成し、これらを直列あるいは並列に接続することで、特に低負荷運転時にもフラッディングが起こらない燃料電池を実現する。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポータブル電源、電気自動車用電源、家庭内コージェネレーションシステム等に使用される燃料電池、特に高分子電解質を用いた高分子電解質型燃料電池に関する。
【0002】
【従来の技術】
高分子電解質を用いた燃料電池は、水素を含有する燃料ガスと、空気など酸素を含有する燃料ガスとを、電気化学的に反応させることで、電力と熱とを同時に発生させるものである。この燃料電池は、基本的には、水素イオンを選択的に輸送する高分子電解質膜、および高分子電解質膜の両面に形成された一対の電極、すなわちアノードとカソードから構成される。前記の電極は、白金族金属触媒を担持したカーボン粉末を主成分とし、高分子電解質膜の表面に形成される触媒層、および触媒層の外面に形成される、通気性と電子導電性を併せ持つガス拡散層からなる。
【0003】
電極に供給される燃料ガスおよび酸化剤ガスが外にリークしたり、二種類のガスが互いに混合したりしないように、電極の周囲には高分子電解質膜を挟んでガスシール材やガスケットが配置される。これらのガスシール材やガスケットは、電極及び高分子電解質膜と一体化してあらかじめ組み立てられる。これを、MEA(電解質膜電極接合体)と呼ぶ。MEAの外側には、これを機械的に固定するとともに、隣接したMEAを互いに電気的に直列に接続するための導電性のセパレータが配置される。セパレータのMEAと接触する部分には、電極面に反応ガスを供給し、生成水や余剰ガスを運び去るためのガス流路が形成される。ガス流路は、セパレータと別に設けることもできるが、セパレータの表面に溝を設けてガス流路とする方式が一般的である。
【0004】
このガス流路への反応ガスの供給およびガス流路からの反応ガス、生成水の排出は、セパレータにマニホールド孔と呼ばれる貫通した孔を設け、ガス流路の出入り口をこのマニホールド孔に連通して、マニホールド孔から各ガス流路に反応ガスを分配することによって行われる。燃料電池は、運転中に発熱するので、電池を良好な温度状態に維持するために、冷却水等で冷却する必要がある。通常、1〜3セル毎に、冷却水を流す冷却部が設けられる。
これらのMEA、セパレータおよび冷却部を交互に重ねていき、10〜200セル積層した後、集電板と絶縁板を介して端板でこれを挟み、締結ロッドで両端から固定するのが一般的な積層電池の構造である。
【0005】
この種の電池の高分子電解質には、パーフルオロスルホン酸系の材料が使われてきた。この高分子電解質膜は、水分を含んだ状態でイオン伝導性を発現するため、通常は燃料ガスや酸化剤ガスを加湿して電池へ供給する必要がある。また、カソード側では、反応によって水が生成するため、電池の動作温度より高い露点となるように加湿されたガスが供給されると、電池内部のガス流路や電極内部で結露が発生し、水詰まりなどの現象によって電池性能が安定しなかったり、性能が低下したりする問題があった。通常、このような濡れすぎによる電池性能の低下や動作不安定が発現する現象をフラッディング現象と呼ばれる。燃料電池を発電システムとする場合には、供給ガスの加湿などを含めたシステム化が必要である。システムの簡素化、システム効率の向上のためには、供給される加湿ガスの露点を少しでも低減することが好ましい。
【0006】
以上のように、フラッディング現象の防止、システム効率の向上、システムの簡素化などの観点から、供給ガスは、電池温度に対して少し低めの露点となるように加湿して供給することが通常であった。
しかしながら、電池の高性能化のためには、高分子電解質膜のイオン伝導度を向上させる必要があり、そのためには供給ガスの加湿を相対湿度100%に近い湿度、または相対湿度100%以上で供給することが好ましい。また、高分子電解質膜の耐久性の観点からも、供給ガスを高加湿で供給することが好ましいことがわかった。相対湿度100%に近い湿度のガスを供給しようとする場合、前述のフラッディングの発生が問題となる。
【0007】
フラッディングを回避するためには、供給ガスのセパレータ流路部分での流速を高くして、結露した水を吹き飛ばす手法が効果的である。しかしながら、供給ガス流速を増加させるためには、高い圧力でガスを供給することが必要となり、システム化した場合のガス供給ブロワまたはコンプレッサ等の補機動力を極端に増加させねばならないため、システム効率の悪化を招く。また、フラッディング現象がアノード側で発生すると、燃料ガスの欠乏を招き、これは電池にとって致命傷となってしまう。これは、燃料ガスが不足している状態で負荷電流が強制的に取られると、燃料のない状態で電子とプロトンを作るためにアノードの触媒を担持しているカーボンが雰囲気中の水と反応してしまうことによる。その結果、触媒層のカーボンの溶出により、アノードの触媒層が破壊されるのである。
【0008】
また、積層電池を搭載したシステムでは、商品性を考慮すると、電池を定格出力条件で運転するだけではなく、電力需要に応じて出力を抑えた低負荷運転ができることが不可欠である。低負荷運転では、効率を維持するために、燃料ガスや酸化剤ガスの利用率を定格運転と同じ条件にする必要がある。すなわち、定格運転時に対して、例えば負荷を1/2に押さえた場合、燃料ガスや酸化剤ガスの流量も1/2程度に低減しなければ、余分な燃料ガスや酸化剤ガスを使用することになるため発電効率が低下する。しかし、ガスの利用率を一定にして低負荷運転を行うと、ガス流路内のガス流速が低下し、凝縮水や生成水をセパレータ外に排出できず、上述のようなフラッディング現象が発生し、電池性能が低下したり、不安定になったりするという問題があった。
【0009】
このようなフラッディングの対策としては、セパレータの面内に、複数の部分に分割したガス流路を作成し、直列および並列に切り替えることによって、低負荷運転時にはガス流速を確保してフラッディング現象を回避し、かつ定格運転時には圧力損失の増大を防止する方法が考えられている(非特許文献1参照)。その方法では、分割された流路の入口と出口は、その隣の流路と共通のマニホールドで接続されており、このマニホールド孔を入口や出口あるいは封止と切り替えることによって、流路の切り替えを行うものである。実際のシステムにおいては、ガスの入口には加湿装置、排出口には熱交換器などの機器が接続されているから、上のようにマニホールド孔を入口や出口に変更して使用するためには、非常に複雑なバルブ切り替え操作が必要となる。また、上流の流路と下流の流路が一つのマニホールド孔で接続されているために、分割された流路を直列に接続した場合に、接続部のマニホールド孔で結露した凝縮水は再度、下流の流路に供給されることとなる。これによって、下流での水詰まりによるフラッディング現象発生の危険性が高くなるという問題を有している。
【0010】
【非特許文献1】
第43回電池討論会予稿集1D17(2002年10月2日)
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、それらの課題を解決するために、マニホールド孔の入口と出口の切り替えを不要として、簡単な切り替え操作によって、ガス流路の切り替えを実現できる燃料電池を提供することを目的とする。
本発明は、また、複数のガス流路を直列に接続する時の接続マニホールド孔部分での凝縮水をセパレータ外に排出するようにして、フラッディングがなく信頼性の高い燃料電池を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
このような課題を解決するために本発明の燃料電池は、水素イオン伝導性高分子電解質膜と、前記高分子電解質膜の両面に配置した一対の電極と、前記電極の一方に燃料ガスを供給・排出し、他方の電極に酸化剤ガスを供給・排出する手段を有する一対の導電性セパレータとからなる単電池を積層したセルスタックを具備し、前記導電性セパレータの少なくとも一方の電極と対向する面内にそれぞれ独立した入り口側および出口側マニホールド孔を有する複数の独立したガス流路を有し、前記複数のガス流路を直列または並列に切り替えて運転するように構成されている。
ここで、上流側ガス流路の出口側マニホールド孔と下流側ガス流路の入り口側マニホールド孔とをセパレータの外部に設けた配管により接続して、前記複数の独立したガス流路を直列に接続する手段を有することが好ましい。
【0013】
前記上流側ガス流路の出口側マニホールド孔と下流側ガス流路の入り口側マニホールド孔との接続部分にミストトラップを備えることが好ましい。
前記導電性セパレータのガス流路が、そのガスの流れ方向が常に重力に逆らわない方向になるように設けられていることが好ましい。
前記複数の独立したガス流路は、アノードのみ、またはカソードのみでもよいが、アノードとカソードの両方においてガス流路を独立することが望ましい。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明のポイントは、セパレータの面内に独立したマニホールド孔を有する複数の独立したガス流路を持ち、燃料電池システムの簡単なバルブ切り替えによって、低負荷運転時の電池性能の低下あるいは不安定現象を回避するようにしたことである。
従来の燃料電池のセパレータの構造は、燃料ガス及び酸化剤ガスの各々のガスは、一つの入り口側マニホールドからセパレータのガス流路に供給され、一つの出口側マニホールドを介して排出される構成であった。燃料電池発電システムの商品性を高めるためには、電力需要に応じた燃料電池の負荷を、発電効率を低下させることなく変動できるようにする必要がある。そのためには、定格出力に対して負荷を増大させる場合には、それに見合った流量に燃料ガス及び酸化剤ガスの流量を増大させ、定格出力に対して負荷を減少させる場合には、それに見合った流量に燃料ガス及び酸化剤ガスの流量を減少させて運転する必要がある。
【0015】
通常、燃料電池の導電性セパレータに設けられたガス流路は、定格出力において最も適した流速となるように設計されている。従って、電力負荷を増大させた場合には、ガス流量の増大に伴ってガス流路のガス流速が増大し、電力負荷を減少する場合には、ガス流量の減少に伴ってガス流路のガス流速が減少する。ガス流路のガス流速が増大した場合には、供給ガスの圧力損失が増大するため、補機動力の増大により発電効率が若干は低下するものの、ガス流路のガス流速が増大するため、セパレータのガス流路内の結露水や生成水はむしろ効率よく除去可能となり、フラッディング現象が発生することはない。しかしながら、電力負荷を減少させる場合には、ガス流量の減少に伴ってガス流路のガス流速も減少する。ガス流路のガス流速が減少した場合には、流速の減少度合いによって、セパレータのガス流路内の結露水や生成水を効率よく除去することが困難になり、フラッディング現象が発生する。このとき、電力負荷を減少したにもかかわらず、供給ガス流量を減少させなければ、発電出力に対する補機動力の割合が相対的に大きくなり、発電システム全体での発電効率が低下する。
【0016】
本発明は、セパレータの面内に独立した入り口側および出口側マニホールド孔を有する複数の独立したガス流路を形成し、これらを直列あるいは並列に接続することで、特に低負荷運転時にもフラッディングが起こらない燃料電池を実現するものである。例えば、最高負荷発電出力と最低負荷発電出力の比が4対1とする場合、セパレータの面内のガス流路を4つに独立させて形成し、最高負荷発電時には全てのガス流路に並列にガスを供給し、最低負荷運転時には4つ全てのガス流路を直列に接続してガスを供給する。また、中間の負荷運転時には、4つの流路のうちの隣り合う2つのガス流路を直列に接続してガスを供給する。これによって、負荷変動時にも全てのガス流路において同一のガス流速を保つことができる。
また、ガス流路を直列に接続する場合、各ガス流路の接続は独立したマニホールド孔をセパレータの外部で配管を用いて接続することによって、中間のマニホールド孔において結露した凝縮水をセパレータの外部に排出することが可能となり、下流の流路に凝縮水が供給されないため、安定した運転が可能である。
さらに、マニホールド孔の接続部分にミストトラップを挿入することによって、凝縮水の排出を確実に行うことが可能となる。さらに、凝縮水の排出を促進するためには、各ガス流路を流れるガスは、重力に逆らわない方向に流すことが望ましい。各ガス流路を直列および並列に切り替えた際に、ガスの流れる方向が変化しないように構成すると、常に重力方向に逆らわずにガスを流すことが可能であり、より安定した運転が可能となる。
【0017】
《実施の形態1》
図1は導電性セパレータのカソード側の正面図であり、図2はその背面図でアノード側の正面図である。この導電性セパレータ10は、酸化剤ガスの第1および第2の入り口側マニホールド孔11aおよび11b、第1および第2の出口側マニホールド孔13aおよび13b、燃料ガスの第1および第2の入り口側マニホールド孔12aおよび12b、第1および第2の出口側マニホールド孔14aおよび14bを有する。このセパレータ10は、カソード側の面には、第1の入り口側マニホールド孔11aから第1の出口側マニホールド孔13aに連なる第1のガス流路21a、および第2の入り口側マニホールド孔11bから第2の出口側マニホールド孔13bに連なる第2のガス流路21bを有し、アノード側の面には、第1の入り口側マニホールド孔12aから第1の出口側マニホールド孔14aに連なる第1のガス流路22a、および第2の入り口側マニホールド孔12bから第2の出口側マニホールド孔14bに連なる第2のガス流路22bを有する。
【0018】
このセパレータを用いた燃料電池におけるガスの供給方法を以下に説明する。
まず、定格運転時の酸化剤ガスの供給方法を図1により説明する。矢印AからA’に至る経路、すなわち第1の入り口側マニホールド孔11aから第1のガス流路21aを経て第1の出口側マニホールド孔13aに至る経路と、矢印BからB’に至る経路、すなわち第2の入り口側マニホールド孔11bから第2のガス流路21bを経て第2の出口側マニホールド孔13bに至る経路との2つの経路に並列に酸化剤ガスを流す。
次に、定格の1/2の負荷で運転するときには、図3に示すように、前記の2つの経路、第1のガス流路21aと第2のガス流路21b、を直列に接続する。すなわち、第1の出口側マニホールド孔13aと第2の入り口側マニホールド孔11bとをセル外部において矢印ABで示すように接続する。これによって、矢印Aから第1の入り口側マニホールド孔11aに流入するガスは、第1および第2のガス流路21aおよび21bを直列に流れ、第2の出口側マニホールド孔13bより外部へ排出される。
燃料ガスの供給方法についても上記と全く同様である。
【0019】
図4は上記のようなセパレータを備えた積層型燃料電池の酸化剤ガスの配管を示す。この燃料電池30は、MEA1とセパレータ10とを交互に積層したセルスタック、これを挟む各一対の集電板5、絶縁板6、端板7、およびこれらを一体に締結する締結手段からなる。酸化剤ガスの供給源につながるパイプ31は、第1のパイプ31aと、バルブ35を有する第2のパイプ31bに分岐している。第1のパイプ31aは、セパレータ10の第1の入り口側マニホールド孔11aと連通して燃料電池に設けられたマニホールドにつながり、第2のパイプ31bは、セパレータ10の第2の入り口側マニホールド孔11bと連通して燃料電池に設けられたマニホールドにつながっている。同様にセパレータ10の第1の出口側マニホールド孔13aおよび第2の出口側マニホールド孔13bにそれぞれ連通するマニホールドにつながるパイプ33aおよび33bが設けられている。パイプ33aにはバルブ39が連結され、これとパイプ33bとは出口側パイプ33につながっている。パイプ31bの一端は、バイパスバルブ37を介してパイプ33aにつながっている。
【0020】
図4には簡略化のため、カソード側配管のみを示したが、アノード側配管も対称の位置に配置することによって同様に構成できる。パイプ31から分岐したパイプ31aおよび31b、並びにパイプ33につながるパイプ33aおよび33bは、同一の管径にして、分割したパイプに均等にガスが分配できる構造とする。ここで、均等にガスを分配するには、2分割したパイプの長さを等しくして各パイプの圧力損失を等しくすることが重要であり、同時に図1で示した2つのガス流路の流路長を等しくして、独立した2つのガス流路の圧力損失を等しくすることが、ガスの均等分配を行う上で重要である。
【0021】
この燃料電池を定格の負荷で運転するときは、バルブ35および39を開き、バイパスバルブ37を閉じる。パイプ31から供給される酸化剤ガスは、パイプ31aおよび31bからそれぞれマニホールド孔11aおよび31bから第1および第2のガス流路に供給され、パイプ33aおよび33bを経てパイプ33に排出される。また、定格の1/2の負荷で運転するときは、バルブ35および39を閉じ、バイパスバルブ37を開く。パイプ31aから第1のガス流路を流れた酸化剤ガスは、パイプ33aからバイパスバルブ37およびパイプ31bを経て第2のガス流路を流れ、パイプ33bからパイプ33に排出される。
【0022】
ここでは、冷却水の流路については省略し、したがって、図1および図2では、冷却水のマニホールド孔を省略してある。しかし、ガス流路と同様に、冷却水の流路を複数に分割し、ガス流路の切替と同様に、負荷に応じて切り換えるように構成することもできる。上に示したセパレータは、カソード側セパレータとアノード側セパレータ板を兼ねるものであるが、以下のようにして冷却水による冷却部を構成することができる。一方の面に図1のような酸化剤ガスの流路を形成し、他方の面に冷却水の流路を形成したカソード側セパレータと、一方の面に図2のような燃料ガスの流路を形成し、他方の面に冷却水の流路を形成したアノード側セパレータとを、冷却水の流路が向き合うように結合した組み合わせセパレータを、適宜MEAの間に挿入するのである。ここに示したガス流路の構成から、複数に分割された冷却水の流路を構成するのは当業者には容易であろう。なお、冷却部は、セル毎に設けない場合は、ガス流路のように複数に分割しなくともよい。
【0023】
《実施の形態2》
本実施の形態では、図5に示すように、実施の形態1における第1の出口側マニホールドと第2の入り口側マニホールドとを接続するパイプにミストトラップ40を挿入した。反応ガスが相対湿度ほぼ100%となるように供給される場合、反応ガスは、第1のガス流路を通過した時点で生成水や結露水などにより、多くのミストを含んだ状態となっている。このミストが後段のガス流路に供給されると、ミストによるガス流路の閉塞が原因となってフラッディングが発生する危険性が高い。このため、上流側の第1のガス流路の出口から一度セパレータの外に排出したミストが、再度下流側のガス流路に供給されないように、ミストトラップを挿入することによって、フラッディングのない信頼性の高い運転を可能にする。このミストトラップで捕捉された水は、システムに回収され、再利用することも可能である。ミストトラップには、市販のメカニカルなミストトラップ、例えば実施例2に用いたものや、繊維状で吸水効果を有するウィック状の例えば凧糸ようなものも使用できる。
【0024】
【実施例】
以下、本発明の実施例を説明する。
《実施例1》
アセチレンブラック系カーボン粉末に、平均粒径約30Åの白金粒子を25重量%担持してカソード触媒を、また、アセチレンブラック系カーボン粉末に、平均粒径約30Åの白金−ルテニウム合金粒子を25重量%担持してアノード触媒をそれぞれ作製した。これらの触媒粉末をイソプロパノールに分散させ、これをパーフルオロカーボンスルホン酸粉末のエチルアルコール分散液に混合してペースト状のインクを調製した。これらのインクを原料としスクリーン印刷法を用いて厚み250μmのカーボン不織布の一方の面に塗工してそれぞれ触媒層を形成した。これらの触媒層中に含まれる白金量は0.3mg/cm、パーフルオロカーボンスルホン酸の量は1.2mg/cmとした。
【0025】
上記のようにカーボン不織布に触媒層を形成して作製したカソードおよびアノードを、電極より一回り大きい面積を有する水素イオン伝導性高分子電解質膜の中心部の両面に、それぞれの触媒層が電解質膜に接するようにホットプレスによって接合した。電極の外周縁部に露出している電解質膜部分には、厚さ250μmのフッ素系ゴムシートからなるガスケットをホットプレスによって接合した。こうして電解質膜電極接合体(MEA)を作製した。高分子電解質膜には、パーフルオロカーボンスルホン酸を30μmの厚みに薄膜化したものを用いた。
導電性セパレータは、厚さ3mmの等方性黒鉛材に機械加工によってガス流路及びマニホールド孔を形成したもので、図1及び図2に示すような構造のものである。各ガス流路の溝幅は2mm、深さは1mm、溝間のリブ幅は1mmとし、それぞれ1本パスのガス流路構成とした。また、図1及び図2には示されていないが、ガス流路に対応して冷却水の流路も分割した。
【0026】
次に、上記の導電性セパレータとMEAを交互に積層して、50セルが積層された図4のような燃料電池を組み立てた。集電板は、表面に金メッキした銅板、絶縁板はポリフェニレンサルファイド板、端板はステンレス鋼製をそれぞれ用いた。積層電池の締結圧は、電極の面積当たり10kgf/cmとし、図1で示したセパレータの上部が上となるよう積層電池を構成した。
この電池の定格運転条件は、燃料利用率75%、酸素利用率40%、電流密度0.3A/cmである。
このように作製した本実施例の固体高分子型燃料電池を70℃に保持し、アノードには70℃の露点となるように加湿・加温した燃料ガスを、カソードには70℃の露点となるように加湿・加温した空気をそれぞれ供給した。燃料ガスは、水素ガス80%、二酸化炭素20%および一酸化炭素10ppmからなる。
【0027】
この電池を定格の25%の低負荷となる電流密度0.075A/cmから定格負荷となる0.3A/cmまで電流密度を変化させて電流−電圧特性を評価した。ただし、試験中の利用率は定格条件と同等とした。その結果を図5に示す。図5には、比較のために、従来の燃料電池、すなわち1本パスのガス流路構成のセパレータを用いた比較例1の電池の特性も併記した。本実施例では、0.15A/cm以下を直列流路、0.15A/cm以上を並列流路に切り替えて試験を行った。
図5より、本実施例の燃料電池は、比較例1の電池ではガス流速の低下によってフラッディングが発生し、運転が困難となっていた0.075A/cm付近においてもフラッディングを発生せず、安定した運転ができていることがわかる。本実施例では、2つの独立した流路を用いた場合を示したが、各流路の圧損が同様であるならば、3つ以上の独立した流路を有する構成とすることも可能である。
【0028】
《実施例2》
本実施例では、実施の形態2に示すように、ミストトラップを挿入した他は実施例1と同様の電池を作製した。ミストトラップは、市販のメカニカルなミストトラップ(Armstrong社製1−LDC)を用いた。この電池を実施例1と同じ条件で電流−電圧特性を測定した。ここで、実施例2における流路全体の圧力損失は実施例1における流路全体の圧力損失の約60%として設計した。この結果を図7に示す。図7より、実施例2によれば、低圧損で安定した電池出力を得ることができることが確認された。
【0029】
《実施例3》
セパレータを図1のように構成し、かつ図1のように配置されるように電池を設置することが好ましい。先行例では、2つのガス流路を直列接続から並列接続に切り替える際に、直列接続時のガス流れ方向と逆方向にガスを流す状態が発生し、ガスの流れが重力に逆らう状態となる。重力と逆方向にガスを流す場合には、重力に逆らって、流路に発生した水滴の移動をさせなければならないため、重力方向にガスを流す場合に比較して圧力損失が大きくなる。これによって、各独立した流路のそれぞれの圧力損失に不均一が生じる。その結果、反応ガスの流量の分配に不均一が生じる。重力に逆らう方向にガスを流す部分では、水滴によるガス流路の閉塞が発生しやすく、フラッディングを発生する可能性が非常に高くなる。また、通常、冷却水の流す方向によってセル面内の温度分布は決定され、ガス入口部分の温度を低く、ガス出口部分の温度を高くするために、冷却水とガスの流れる方向を合わせることが望ましい。このような構成にすることによって、出口付近で大量に発生する生成水をスムースに排出することができる。すなわち、ガスの流れ方向が変化すると温度分布との相関が崩れ、より水詰まりが生じやすい状態となる。
【0030】
ここで、本実施例では、実施例1と同様に、セパレータを図1のように構成し、かつ図1のように配置されるように電池を設置した。本実施例によれば、ガス流路を並列に切り替えた際にも、ガスの流れ方向が変化しないために、常にフラッディングが抑制され、安定した運転が可能である。
この電池を実施例1と同じ条件で、定格時の1/2の負荷で運転した時の電圧の経時変化を図8に示す。図8には、比較例3として、強制的に第2のガス流路の入口と出口を逆転させ、重力に逆らった方向にガスを流した時の特性も示している。図8より、常に重力に逆らわない方向にガスを流すことによって、容易にかつ確実に安定した運転が可能であることがわかる。
【0031】
【発明の効果】
本発明によれば、低負荷運転時のフラッディングによる電池性能の低下を解消し、かつ高負荷時の圧力損失の上昇を抑制し、高効率で安定した運転が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態の燃料電池に用いた導電性セパレータのカソード側の正面図である。
【図2】同セパレータのアノード側の正面図である。
【図3】同セパレータのカソード側のガス流路の切り替えを示す図である。
【図4】本発明の一実施の形態の積層型燃料電池のカソード側の配管を示す斜視図である。
【図5】本発明の他の実施の形態の積層型燃料電池のカソード側の配管を示す斜視図である。
【図6】本発明の実施例1の燃料電池の電流−電圧特性を示す図である。
【図7】本発明の実施例2の燃料電池の電流−電圧特性を示す図である。
【図8】本発明の実施例3の燃料電池の電圧の経時変化を示す図である。
【符号の説明】
1 MEA
5 集電板
6 絶縁板
7 端板
10 導電性セパレータ
11a、11b 酸化剤ガスの入り口側マニホールド孔
12a、12b 燃料ガスの入り口側マニホールド孔
13a、13b 酸化剤ガスの出口側マニホールド孔
14a、14b 燃料ガスの出口側マニホールド孔
21a 酸化剤ガスの第1の流路
21b 酸化剤ガスの第2の流路
22a 燃料ガスの第1の流路
22b 燃料ガスの第2の流路
30 燃料電池
31 酸化剤ガスの供給源につながるパイプ
31a、31b 分岐パイプ
33a、33b 出口側の分岐パイプ
33 出口側パイプ
35、37、39 バルブ
40 ミストトラップ

Claims (4)

  1. 水素イオン伝導性高分子電解質膜と、前記高分子電解質膜の両面に配置した一対の電極と、前記電極の一方に燃料ガスを供給・排出し、他方の電極に酸化剤ガスを供給・排出する手段を有する一対の導電性セパレータとからなる単電池を積層したセルスタックを具備し、前記導電性セパレータの少なくとも一方の電極と対向する面内にそれぞれ独立した入り口側および出口側マニホールド孔を有する複数の独立したガス流路を有し、前記複数のガス流路を直列または並列に切り替えて運転するように構成された高分子電解質型燃料電池。
  2. 上流側ガス流路の出口側マニホールド孔と下流側ガス流路の入り口側マニホールド孔とをセパレータの外部に設けた配管により接続して、前記複数の独立したガス流路を直列に接続する手段を有する請求項1記載の高分子電解質型燃料電池。
  3. 前記上流側ガス流路の出口側マニホールド孔と下流側ガス流路の入り口側マニホールド孔との接続部分にミストトラップを備える請求項2記載の高分子電解質型燃料電池。
  4. 前記導電性セパレータのガス流路が、そのガスの流れ方向が常に重力に逆らわない方向になるように設けられている請求項1、2または3記載の高分子電解質型燃料電池。
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