JP2004317210A - Sir測定装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】受信信号におけるコード多重されたチャネルの信号電力比によりバイアス誤差が生じた状況においても、前記バイアス誤差を補正して希望波電力対干渉波電力比SIRの測定精度を向上させること。
【解決手段】受信信号から希望波電力測定部110により測定された希望波電力と、干渉波電力測定部120により測定された干渉波電力とを用いて、SIR測定部140は、希望波電力対干渉波電力比を算出する。この希望波対干渉波電力比に含まれるバイアス誤差を、SIR測定部140が希望波電力対干渉波電力比を算出する前に、受信信号に含まれるコード多重されたチャネルの信号電力比に基づいて補正する。
【選択図】 図1
【解決手段】受信信号から希望波電力測定部110により測定された希望波電力と、干渉波電力測定部120により測定された干渉波電力とを用いて、SIR測定部140は、希望波電力対干渉波電力比を算出する。この希望波対干渉波電力比に含まれるバイアス誤差を、SIR測定部140が希望波電力対干渉波電力比を算出する前に、受信信号に含まれるコード多重されたチャネルの信号電力比に基づいて補正する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、SIR(希望波対干渉波電力比)測定装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、SIR(希望波対干渉波電力比)の測定装置として、合成前の受信信号ごとに希望波電力および干渉波電力を求めておき、次に所定の合成方法に応じて合成後のSIRを算出する測定装置がある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この測定装置によれば、精度の高いSIRを簡単な演算で測定できるとされているが、測定されたSIRには、熱雑音、希望波電力に含まれる干渉波成分、および干渉波電力に含まれる希望波成分等により生じるバイアス誤差が含まれていることがわかっている。このため、特許文献1のSIR測定装置では、バイアス誤差の影響によりSIRの測定誤差が生じ、正確なSIRとして測定することができない。
【0004】
上記バイアス誤差によるSIRの測定誤差を解消するためのSIR測定装置として、例えば、特許文献2に示すものがある。
【0005】
特許文献2のSIR測定装置では、上記バイアス誤差の大きさは、SIR測定に使用する逆拡散信号数および逆拡散信号に含まれるシンボル数等に応じて変化するものであるため、SIR測定に使用する受信信号、シンボル数、受信アンテナ数、ドップラー周波数、周波数オフセット量に応じて前記バイアス誤差を補正することで高精度なSIR測定を可能としている。
【0006】
【特許文献1】
特開平11−237419号公報
【特許文献2】
特開2002−152147号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、本発明者が、上記特許文献2のSIR測定装置をW−CDMA方式の通信装置に適用してシミュレーションを行った結果、受信信号が上り回線の個別物理チャネルDPCH(Dedicated Physical Channel)のように、SIR測定に用いられる制御用チャネルDPCCH(Dedicated Physical Control Channel)にデータチャネルDPDCH(Dedicated Physical Date Channel)がコード多重され、かつ測定されるSIR値が比較的高い高SIR領域で測定される場合、コード多重されるチャネルの送信電力比(DPCCH送信電力対DPDCH送信電力比:以下「ゲインファクタ(GF)」という)により、SIR測定精度に若干の誤差が生じる場合があることが判明した。
【0008】
図5は、上記特許文献2のSIR測定装置を用いた測定SIRの平均値についてのシミュレーションの結果を示すグラフである。図5では、測定SIRの平均値を「測定SIR」、実際に測定されたSIRを「入力SIR」とし、正しいSIR(期待値:図中の曲線s1参照)に対する測定されたSIRのうちゲインファクタが大きい場合(GF=1.0:図中の曲線s3参照)と、ゲインファクタが小さい場合(GF=0.3333:図中の曲線s2参照)の値をそれぞれ示す。なお、測定SIRの平均値を算出にあたり、数千シンボル区間の平均値を用いた。
【0009】
図5に示すように、SIRが比較的高い高SIR領域(30dB近傍)では、ゲインファクタが大きい場合(GF=1.0)と、ゲインファクタが小さい場合(GF=0.3333)とではSIR測定精度が異なっている。これは、実際に測定されるSIRが比較的高い高SIR領域で測定される場合において、ゲインファクタが大きい場合(GF=1.0)には、実際に測定されるSIR(図中の曲線s3参照)が正しいSIR(期待値:図中の曲線s1参照)とほぼ等しい値であるのに対し、ゲインファクタが小さい場合(GF=0.3333)には、実際に測定されるSIR(図中の曲線s2参照)と、正しいSIR値(期待値:図中の曲線s1参照)との差、つまりSIRの測定誤差(バイアス誤差)が大きくなっているためである。
【0010】
このバイアス誤差が生じる理由としては、送信側および受信側の装置でそれぞれ用いられるフィルタの特性の違いが挙げられる。つまり、送信側と受信側とでフィルタの特性が異なる場合、受信されるDPCCHとDPDCHとが完全に直交しなくなり、測定の際にDPDCH成分がDPCCH成分に回り込むことでISCP測定値が高めに測定されることが挙げられる。
【0011】
特に、ゲインファクタが小さい場合(GF=0.3333)、言い換えればDPDCH送信電力比が大きい場合の方が、ゲインファクタが大きい場合(GF=1.0)と比べて、DPCCHに含まれるDPDCH成分が大きくなる。このため、ゲインファクタが小さい場合(GF=0.3333)の方が、測定されるISCP値が高くなることからSIR測定誤差が大きくなっている。
【0012】
図6および図7にそれぞれ、ゲインファクタが小さく(GF=0.3333)、かつ、送信側と受信側のフィルタに特性差がある場合のシミュレーションの結果を示す。図6は特性差がある場合の正しいSIRと実際に測定されるSIRを示すグラフであり、特性差ありで測定されたSIRを曲線s5、特性差なしで測定されたSIRを曲線s6、正しいSIR値を期待値として曲線s4で示す。また、図7は特性差がある場合のSIRを算出するために必要な希望波電力(RSCP)のレベルと干渉波電力(ISCP)レベルを示すグラフであり、特性差ありで測定されたRSCPを曲線r1、特性差なしで測定されたRSCPを曲線r2、特性差ありで測定されたISCPを曲線i1、特性差なしで測定されたISCPを曲線i2で示す。
【0013】
これら図6および図7に示すように、ゲインファクタが小さい場合(GF=0.3333)に実際に測定されるSIRは、送信側と受信側とでフィルタの特性に差がある場合、高SIR領域ではISCP誤差が大きく、SIR測定精度は若干ではあるが劣化する。
【0014】
このように、上記特許文献2では、高精度なSIR測定を可能としているものの、特定の条件、すなわち、送信側と受信側とで異なる特性のフィルタを用いた通信システムに適用して、コード多重されたチャネルを含む受信信号からSIRを測定する際に、ゲインファクタにより高SIR領域にてバイアス誤差が生じ、若干SIRの測定精度が劣化する場合があった。
【0015】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、受信信号におけるコード多重されたチャネルの信号電力比(ゲインファクタ)によりバイアス誤差が生じうる状況においても、希望波電力対干渉波電力比SIRの測定精度を向上させることができるSIR測定装置を提供することを目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】
(1)本発明のSIR測定装置は、コード多重されたチャネルを含む受信信号から希望波対干渉波電力比を測定するSIR測定装置において、前記コード多重されたチャネルの信号電力比に基づいて、前記希望波対干渉波電力比に含まれるバイアス誤差を補正する補正手段を有する構成を採る。
【0017】
この構成によれば、コード多重されたチャネルの信号電力比に基づいて希望波電力対干渉波電力比に含まれるバイアス誤差を補正するため、コード多重されたチャネルの信号電力比によりバイアス誤差が生じうる状況においても、コード多重されたチャネルの信号電力比の大きさにかかわらず、希望波電力対干渉波電力比SIRに含まれるバイアス誤差を補正することができ、希望波電力対干渉波電力比SIRの測定精度を向上させることができる。
【0018】
(2)本発明のSIR測定装置は、上記の構成において、前記受信信号の希望波電力を測定する希望波電力測定手段と、前記受信信号の干渉波電力を測定する干渉波電力測定手段と、前記希望波電力測定手段により測定された希望波電力および前記干渉波電力測定手段により測定された干渉波電力を用いて前記希望波対干渉波電力比を算出するSIR算出手段と、を有し、前記補正手段は、前記コード多重されたチャネルの信号電力比に基づいて、前記希望波電力対干渉波電力比の算出に用いられる前記干渉波電力のバイアス誤差を補正する構成を採る。
【0019】
この構成によれば、希望波電力対干渉波電力比が比較的高い値として測定される場合に影響を与える干渉波電力に含まれるバイアス誤差を、コード多重されたチャネルの信号電力比に基づいて補正するため、希望波電力対干渉波電力比が比較的高い値として測定されても、バイアス誤差となるコード多重されたチャネルの信号電力比の大きさにかかわらず、バイアス誤差を補正して希望波電力対干渉波電力比SIRの測定精度を向上させることができる。
【0020】
(3)本発明のSIR測定装置は、上記の構成において、前記補正手段は、前記干渉波電力(I)と、前記希望波電力(S)と、前記コード多重されたチャネルの信号電力比(GF)と、前記希望波対干渉波電力比に含まれる前記バイアス誤差の補正範囲を決める補正係数(A)とを用い、下記の(式1)に基づいて、
I−A*(1/GF)*S …(式1)
但し、補正係数Aは、少なくともA<S/(GF*I)を満たす数
前記干渉波電力に含まれるバイアス誤差を補正する構成を採る。
【0021】
この構成によれば、(式1)に基づいて、干渉波電力に含まれるバイアス誤差を補正するため、希望波電力対干渉波電力比SIRが比較的高い値として測定される場合でも、バイアス誤差となるコード多重されたチャネルの信号電力比の大きさにかかわらず、バイアス誤差を補正して希望波電力対干渉波電力比SIRの測定精度を向上させることができる。
【0022】
【発明の実施の形態】
本発明の骨子は、受信信号におけるコード多重されたチャネルの信号電力比(ゲインファクタ)によりバイアス誤差が生じうる状況においても、前記コード多重されたチャネルの信号電力比に基づいて前記バイアス誤差を補正して希望波電力対干渉波電力比SIRの測定精度を向上させることである。
【0023】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0024】
図1は、本発明の一実施の形態に係るSIR(希望波対干渉波電力比)測定装置の構成を示すブロック図である。
【0025】
図1に示すSIR測定装置100は、希望波電力測定部110、干渉波電力測定部120、補正部130、およびSIR算出部140を有する。
【0026】
希望波電力測定部110は、受信信号の希望波成分の電力を測定して、希望波電力の所定区間における平均値を算出する。
【0027】
干渉波電力測定部120は、受信信号の干渉波成分の電力を測定して、干渉波電力の所定区間における平均値を算出する。
【0028】
補正部130は、乗算器131、132と加算器133とから構成され、SIR領域のバイアス誤差となる干渉波電力値のバイアス誤差を補正する。
【0029】
詳細には、補正部130では、希望波電力をS、干渉波電力をI、ゲインファクタをGF、バイアス誤差の補正を適用するSIR領域を設定するための補正係数をAとし、下記の(式1)を用いてバイアス誤差が補正された干渉波電力値を算出する。
I−A*(1/GF)*S …(式1)
但し、少なくともA<S/(GF*I)の関係が成り立つものとする。これは、S>A*GF*Iの関係が成り立つようなSIR領域では補正はほとんど効かなくなるためである。
【0030】
SIR算出部140は、希望波電力測定部110で算出された値と補正部130で求められた値との比を算出する。
【0031】
次いで、上記構成を有するSIR測定装置の動作について説明する。
【0032】
まず、希望波電力測定部110で、希望波電力の所定区間における平均値を算出し、乗算器132およびSIR算出部140する。また、干渉波電力測定部120で、干渉波電力の所定区間における平均値を算出し、加算器133に出力する。なお、希望波電力測定部110から出力される希望波電力の平均値は上記(式1)におけるSに相当し、干渉波電力測定部120から出力される干渉波電力の平均値は上記(式1)におけるIに相当する。
【0033】
ここで、上記平均値算出時の所定区間は、SIRの使用目的に合わせて適宜設定される。例えば、SIRが移動体通信での送信電力制御等に使用される場合には数シンボルから数十シンボル区間程度に設定され、移動体通信での回線状況の把握等のために使用される場合には数百シンボルから数千シンボル区間程度に設定される。
【0034】
そして、補正部130の乗算器131では、補正係数Aに受信信号に含まれる多重化されたチャネルの信号電力比(ゲインファクタ)の逆数が乗算される。これら補正係数およびゲインファクタは、上記(式1)におけるA、GFにそれぞれ相当する。なお、GFが小さいほど干渉波電力の測定値を大きく補正するようにする。
【0035】
そして、乗算器131にて乗算されたゲインファクタ逆数の乗算後の補正係数Aは、乗算器132に出力され、乗算器132にて希望波電力の平均値に乗算され、加算器133に出力される。
【0036】
次いで、加算器133では、干渉波電力の平均値から、ゲインファクタおよび補正係数A乗算後の希望波電力の平均値が減算される。つまり、補正部130では、上記(式1)の分母部分に相当する演算が行われる。これにより、干渉波電力の平均値に含まれる希望波成分が、逆拡散信号数分除去される。
【0037】
そして、加算器133にて、算出された希望波成分除去後の干渉波電力の平均値はSIR算出部140に出力される。
【0038】
SIR算出部140では、希望波電力の平均値が希望波成分除去後の干渉波電力の平均値で除算される。よって、SIR算出部140からは下記の(式2)に従って測定されたバイアス誤差補正後のSIRが出力される。
SIR=S/(I−A*(1/GF)*S) …(式2)
SIR:バイアス誤差補正後SIR
【0039】
これにより、ゲインファクタに基づいてバイアス誤差が補正されたSIRを得ることができる。
【0040】
次に、上記実施の形態SIR測定装置100を用いて測定したSIRのシミュレーションの結果を図2〜図4に示す。
【0041】
図2に示すシミュレーションは、ゲインファクタGFが0.3333と1.0の各場合について、係数Aを0.00011として行った。なお、図2中、GF=0.3333、GF=1.0として測定されたSIRをそれぞれ曲線s2、s3で示し、GF=0.3333、GF=1.0として本実施の形態のSIR測定装置100によりバイアス誤差補正後に測定されたSIRをそれぞれ曲線s4、s5で示す。
【0042】
図2に示すように、高SIR領域において、ゲインファクタが大きい場合(GF=1.0)に実際に算出されたSIRおよびゲインファクタが小さい場合(GF=0.3333)に実際に算出されたSIRは、共に補正後の結果では、正しいSIR(期待値)に対する誤差が小さくなっている。
【0043】
図3に、送信側と受信側のフィルタ特性が異なり、かつ高SIR領域にて算出されたSIRのシミュレーションの結果を示した。図3に示すシミュレーションは、測定したSIRを、高SIR領域においてバイアス誤差が大きくなるゲインファクタが小さい場合(GF=0.3333)のSIRとし、係数Aを0.00011として行った。なお、ゲインファクタが大きい場合(例えばGF=1.0)のSIRは、送信側と受信側とのフィルタに特性差があり、かつ高SIR領域で算出されてもバイアス誤差はほとんど生じない。このため説明は省略する。
【0044】
また、図3では、フィルタ特性差ありのSIR値を曲線s5で示し、フィルタ特性差なしのSIR値を曲線s6、正しいSIR値を期待値として曲線s4で示し、さらに、フィルタ特性差ありでバイアス誤差補正後のSIR値を曲線s7で示した。
【0045】
図3に示すように、送信側および受信側のフィルタの特性が異なる場合でも、SIR測定装置100によりバイアス誤差が補正されたSIR(図中「SIR(特性差あり_補正後)」で示す曲線s7参照)は、高SIR領域では、「特性差なし」のSIR(図中の曲線s6参照)より、「特性差あり」のSIR(図中の曲線s5参照)側にシフトされ、正しいSIR(期待値:図中の曲線s4参照)により近づいた状態となっている。
【0046】
図4には、図3で示すSIRを算出するための希望波電力(RSCP:希望波レベル)と、バイアス誤差補正が行われた干渉波電力(ISCP:干渉波レベル)についてのシミュレーションの結果を示した。図4に示すシミュレーションでは、ゲインファクタを0.3333、係数Aを0.00011として行った。なお、図4では、フィルタ特性差ありのRSCP(希望波レベル)、ISCP(干渉波レベル)をそれぞれ曲線r1、i1、フィルタ特性差なしのRSCP、ISCPをそれぞれ曲線r2、i2で示し、本SIR測定装置により測定されたSIR、つまり、フィルタ特性差ありでかつバイアス誤差補正後のISCPを曲線i3で示した。
【0047】
図4に示すように、高SIR領域において測定されるRSCPは、送信側および受信側のフィルタの特性差の有無に関係なくほぼ同じ値である。また、ISCPは送信側および受信側のフィルタの特性差により誤差が生じているが、SIR測定装置100により補正されたISCP(図中の「特性差あり_補正後」のISCPを示す曲線i3参照)は、フィルタ特性差があり補正されていないISCP(図中の「特性差あり」のISCPを示す曲線i1参照)より低い値となり、送信側と受信側とでフィルタの特性差のないISCP(図中の「特性差なし」のISCPを示す曲線i2参照)により近づいた状態となっている。
【0048】
このように本実施の形態のSIR測定装置100によれば、シミュレーション結果からも明らかなように、送信側と受信側とで用いられるフィルタの特性が異なり、測定されるSIRがISCPに含まれるRSCP成分(バイアス誤差)の影響を受けやすい高SIR領域で測定されるものであっても、ISCPに含まれるRSCP成分(バイアス誤差)を補正係数AおよびゲインファクタGFを乗じたRSCPによって除去するため、実際に測定されるISCPを補正して、フィルタ特性差なしのISCP値に近づけることができ、正確なSIRを測定することができる。
【0049】
つまり、測定されるSIRにゲインファクタによるバイアス誤差が含まれる状態となっても、ゲインファクタの大きさにかかわらず、バイアス誤差を補正してSIRの測定精度をより向上させることができる。
【0050】
なお、本実施の形態のSIR測定装置100をCDMA方式の移動体通信装置に適用して、希望波電力測定部110や干渉波電力測定部120に逆拡散信号が入力される構成としてもよい。
【0051】
この場合、希望波電力測定部110は、入力される逆拡散信号の希望波成分の電力を測定して、希望波電力の所定区間における平均値を算出し、その平均値を乗算器132に算出するものとする。その際の希望波電力の平均値の算出方法としては、逆拡散信号の各々について希望波電力の所定区間における平均値を求めた後それらの平均値をすべて加算する方法や、逆拡散信号の各々について測定された希望波電力を所定区間においてすべて加算した後平均する方法等を採ることができる。
【0052】
一方、干渉波電力測定部120は、逆拡散信号の干渉波成分の電力を測定して、干渉波電力の所定区間における平均値を算出し、加算器133に出力する構成とする。なお、干渉波電力の平均値の算出方法としては、上述した希望波電力の平均値の算出方法と同様の方法を採ることができる。
【0053】
また、SIR測定装置100におけるSIRの測定を、RAKE合成後の信号を用いて行うものとしてもよい。この場合の構成の一例としては、例えば、SIR測定装置100に、RAKE合成部をさらに設け、逆拡散信号をRAKE合成して希望波電力測定部110および干渉波電力測定部120に出力する構成にすることが挙げられる。この構成の場合、希望波電力測定部110は、RAKE合成後の信号の希望波成分の電力を測定して、希望波電力の所定区間における平均値を算出し、干渉波電力測定部120は、RAKE合成後の信号の干渉波成分の電力を測定して、干渉波電力の所定区間における平均値を算出する構成にするとよい。
【0054】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、受信信号におけるコード多重されたチャネルの信号電力比(ゲインファクタ)によりバイアス誤差が生じうる状況においても、希望波電力対干渉波電力比SIRの測定精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態に係るSIR測定装置の構成を示すブロック図
【図2】本発明の一実施の形態に係るSIR測定装置により測定されたSIRを示す図
【図3】送信側と受信側のフィルタに特性差がある場合と無い場合に測定されたゲインファクタが小さいSIRを示す図
【図4】送信側と受信側のフィルタに特性差がある場合と無い場合の、SIRを算出するために必要な希望波電力レベル(RSCP)と干渉波電力レベル(ISCP)を示す図
【図5】従来の測定装置により測定されたSIRを示す図
【図6】送信側と受信側のフィルタに特性差がある場合と無い場合の、正しいSIRと実際に測定されるSIRとの差を示す図
【図7】送信側と受信側のフィルタに特性差がある場合と無い場合の、SIRを算出するために必要な希望波電力レベル(RSCP)と干渉波電力レベル(ISCP)を示す図
【符号の説明】
100 SIR測定装置
110 希望波電力測定部
120 干渉波電力測定部
130 補正部
140 SIR算出部
【発明の属する技術分野】
本発明は、SIR(希望波対干渉波電力比)測定装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、SIR(希望波対干渉波電力比)の測定装置として、合成前の受信信号ごとに希望波電力および干渉波電力を求めておき、次に所定の合成方法に応じて合成後のSIRを算出する測定装置がある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この測定装置によれば、精度の高いSIRを簡単な演算で測定できるとされているが、測定されたSIRには、熱雑音、希望波電力に含まれる干渉波成分、および干渉波電力に含まれる希望波成分等により生じるバイアス誤差が含まれていることがわかっている。このため、特許文献1のSIR測定装置では、バイアス誤差の影響によりSIRの測定誤差が生じ、正確なSIRとして測定することができない。
【0004】
上記バイアス誤差によるSIRの測定誤差を解消するためのSIR測定装置として、例えば、特許文献2に示すものがある。
【0005】
特許文献2のSIR測定装置では、上記バイアス誤差の大きさは、SIR測定に使用する逆拡散信号数および逆拡散信号に含まれるシンボル数等に応じて変化するものであるため、SIR測定に使用する受信信号、シンボル数、受信アンテナ数、ドップラー周波数、周波数オフセット量に応じて前記バイアス誤差を補正することで高精度なSIR測定を可能としている。
【0006】
【特許文献1】
特開平11−237419号公報
【特許文献2】
特開2002−152147号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、本発明者が、上記特許文献2のSIR測定装置をW−CDMA方式の通信装置に適用してシミュレーションを行った結果、受信信号が上り回線の個別物理チャネルDPCH(Dedicated Physical Channel)のように、SIR測定に用いられる制御用チャネルDPCCH(Dedicated Physical Control Channel)にデータチャネルDPDCH(Dedicated Physical Date Channel)がコード多重され、かつ測定されるSIR値が比較的高い高SIR領域で測定される場合、コード多重されるチャネルの送信電力比(DPCCH送信電力対DPDCH送信電力比:以下「ゲインファクタ(GF)」という)により、SIR測定精度に若干の誤差が生じる場合があることが判明した。
【0008】
図5は、上記特許文献2のSIR測定装置を用いた測定SIRの平均値についてのシミュレーションの結果を示すグラフである。図5では、測定SIRの平均値を「測定SIR」、実際に測定されたSIRを「入力SIR」とし、正しいSIR(期待値:図中の曲線s1参照)に対する測定されたSIRのうちゲインファクタが大きい場合(GF=1.0:図中の曲線s3参照)と、ゲインファクタが小さい場合(GF=0.3333:図中の曲線s2参照)の値をそれぞれ示す。なお、測定SIRの平均値を算出にあたり、数千シンボル区間の平均値を用いた。
【0009】
図5に示すように、SIRが比較的高い高SIR領域(30dB近傍)では、ゲインファクタが大きい場合(GF=1.0)と、ゲインファクタが小さい場合(GF=0.3333)とではSIR測定精度が異なっている。これは、実際に測定されるSIRが比較的高い高SIR領域で測定される場合において、ゲインファクタが大きい場合(GF=1.0)には、実際に測定されるSIR(図中の曲線s3参照)が正しいSIR(期待値:図中の曲線s1参照)とほぼ等しい値であるのに対し、ゲインファクタが小さい場合(GF=0.3333)には、実際に測定されるSIR(図中の曲線s2参照)と、正しいSIR値(期待値:図中の曲線s1参照)との差、つまりSIRの測定誤差(バイアス誤差)が大きくなっているためである。
【0010】
このバイアス誤差が生じる理由としては、送信側および受信側の装置でそれぞれ用いられるフィルタの特性の違いが挙げられる。つまり、送信側と受信側とでフィルタの特性が異なる場合、受信されるDPCCHとDPDCHとが完全に直交しなくなり、測定の際にDPDCH成分がDPCCH成分に回り込むことでISCP測定値が高めに測定されることが挙げられる。
【0011】
特に、ゲインファクタが小さい場合(GF=0.3333)、言い換えればDPDCH送信電力比が大きい場合の方が、ゲインファクタが大きい場合(GF=1.0)と比べて、DPCCHに含まれるDPDCH成分が大きくなる。このため、ゲインファクタが小さい場合(GF=0.3333)の方が、測定されるISCP値が高くなることからSIR測定誤差が大きくなっている。
【0012】
図6および図7にそれぞれ、ゲインファクタが小さく(GF=0.3333)、かつ、送信側と受信側のフィルタに特性差がある場合のシミュレーションの結果を示す。図6は特性差がある場合の正しいSIRと実際に測定されるSIRを示すグラフであり、特性差ありで測定されたSIRを曲線s5、特性差なしで測定されたSIRを曲線s6、正しいSIR値を期待値として曲線s4で示す。また、図7は特性差がある場合のSIRを算出するために必要な希望波電力(RSCP)のレベルと干渉波電力(ISCP)レベルを示すグラフであり、特性差ありで測定されたRSCPを曲線r1、特性差なしで測定されたRSCPを曲線r2、特性差ありで測定されたISCPを曲線i1、特性差なしで測定されたISCPを曲線i2で示す。
【0013】
これら図6および図7に示すように、ゲインファクタが小さい場合(GF=0.3333)に実際に測定されるSIRは、送信側と受信側とでフィルタの特性に差がある場合、高SIR領域ではISCP誤差が大きく、SIR測定精度は若干ではあるが劣化する。
【0014】
このように、上記特許文献2では、高精度なSIR測定を可能としているものの、特定の条件、すなわち、送信側と受信側とで異なる特性のフィルタを用いた通信システムに適用して、コード多重されたチャネルを含む受信信号からSIRを測定する際に、ゲインファクタにより高SIR領域にてバイアス誤差が生じ、若干SIRの測定精度が劣化する場合があった。
【0015】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、受信信号におけるコード多重されたチャネルの信号電力比(ゲインファクタ)によりバイアス誤差が生じうる状況においても、希望波電力対干渉波電力比SIRの測定精度を向上させることができるSIR測定装置を提供することを目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】
(1)本発明のSIR測定装置は、コード多重されたチャネルを含む受信信号から希望波対干渉波電力比を測定するSIR測定装置において、前記コード多重されたチャネルの信号電力比に基づいて、前記希望波対干渉波電力比に含まれるバイアス誤差を補正する補正手段を有する構成を採る。
【0017】
この構成によれば、コード多重されたチャネルの信号電力比に基づいて希望波電力対干渉波電力比に含まれるバイアス誤差を補正するため、コード多重されたチャネルの信号電力比によりバイアス誤差が生じうる状況においても、コード多重されたチャネルの信号電力比の大きさにかかわらず、希望波電力対干渉波電力比SIRに含まれるバイアス誤差を補正することができ、希望波電力対干渉波電力比SIRの測定精度を向上させることができる。
【0018】
(2)本発明のSIR測定装置は、上記の構成において、前記受信信号の希望波電力を測定する希望波電力測定手段と、前記受信信号の干渉波電力を測定する干渉波電力測定手段と、前記希望波電力測定手段により測定された希望波電力および前記干渉波電力測定手段により測定された干渉波電力を用いて前記希望波対干渉波電力比を算出するSIR算出手段と、を有し、前記補正手段は、前記コード多重されたチャネルの信号電力比に基づいて、前記希望波電力対干渉波電力比の算出に用いられる前記干渉波電力のバイアス誤差を補正する構成を採る。
【0019】
この構成によれば、希望波電力対干渉波電力比が比較的高い値として測定される場合に影響を与える干渉波電力に含まれるバイアス誤差を、コード多重されたチャネルの信号電力比に基づいて補正するため、希望波電力対干渉波電力比が比較的高い値として測定されても、バイアス誤差となるコード多重されたチャネルの信号電力比の大きさにかかわらず、バイアス誤差を補正して希望波電力対干渉波電力比SIRの測定精度を向上させることができる。
【0020】
(3)本発明のSIR測定装置は、上記の構成において、前記補正手段は、前記干渉波電力(I)と、前記希望波電力(S)と、前記コード多重されたチャネルの信号電力比(GF)と、前記希望波対干渉波電力比に含まれる前記バイアス誤差の補正範囲を決める補正係数(A)とを用い、下記の(式1)に基づいて、
I−A*(1/GF)*S …(式1)
但し、補正係数Aは、少なくともA<S/(GF*I)を満たす数
前記干渉波電力に含まれるバイアス誤差を補正する構成を採る。
【0021】
この構成によれば、(式1)に基づいて、干渉波電力に含まれるバイアス誤差を補正するため、希望波電力対干渉波電力比SIRが比較的高い値として測定される場合でも、バイアス誤差となるコード多重されたチャネルの信号電力比の大きさにかかわらず、バイアス誤差を補正して希望波電力対干渉波電力比SIRの測定精度を向上させることができる。
【0022】
【発明の実施の形態】
本発明の骨子は、受信信号におけるコード多重されたチャネルの信号電力比(ゲインファクタ)によりバイアス誤差が生じうる状況においても、前記コード多重されたチャネルの信号電力比に基づいて前記バイアス誤差を補正して希望波電力対干渉波電力比SIRの測定精度を向上させることである。
【0023】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0024】
図1は、本発明の一実施の形態に係るSIR(希望波対干渉波電力比)測定装置の構成を示すブロック図である。
【0025】
図1に示すSIR測定装置100は、希望波電力測定部110、干渉波電力測定部120、補正部130、およびSIR算出部140を有する。
【0026】
希望波電力測定部110は、受信信号の希望波成分の電力を測定して、希望波電力の所定区間における平均値を算出する。
【0027】
干渉波電力測定部120は、受信信号の干渉波成分の電力を測定して、干渉波電力の所定区間における平均値を算出する。
【0028】
補正部130は、乗算器131、132と加算器133とから構成され、SIR領域のバイアス誤差となる干渉波電力値のバイアス誤差を補正する。
【0029】
詳細には、補正部130では、希望波電力をS、干渉波電力をI、ゲインファクタをGF、バイアス誤差の補正を適用するSIR領域を設定するための補正係数をAとし、下記の(式1)を用いてバイアス誤差が補正された干渉波電力値を算出する。
I−A*(1/GF)*S …(式1)
但し、少なくともA<S/(GF*I)の関係が成り立つものとする。これは、S>A*GF*Iの関係が成り立つようなSIR領域では補正はほとんど効かなくなるためである。
【0030】
SIR算出部140は、希望波電力測定部110で算出された値と補正部130で求められた値との比を算出する。
【0031】
次いで、上記構成を有するSIR測定装置の動作について説明する。
【0032】
まず、希望波電力測定部110で、希望波電力の所定区間における平均値を算出し、乗算器132およびSIR算出部140する。また、干渉波電力測定部120で、干渉波電力の所定区間における平均値を算出し、加算器133に出力する。なお、希望波電力測定部110から出力される希望波電力の平均値は上記(式1)におけるSに相当し、干渉波電力測定部120から出力される干渉波電力の平均値は上記(式1)におけるIに相当する。
【0033】
ここで、上記平均値算出時の所定区間は、SIRの使用目的に合わせて適宜設定される。例えば、SIRが移動体通信での送信電力制御等に使用される場合には数シンボルから数十シンボル区間程度に設定され、移動体通信での回線状況の把握等のために使用される場合には数百シンボルから数千シンボル区間程度に設定される。
【0034】
そして、補正部130の乗算器131では、補正係数Aに受信信号に含まれる多重化されたチャネルの信号電力比(ゲインファクタ)の逆数が乗算される。これら補正係数およびゲインファクタは、上記(式1)におけるA、GFにそれぞれ相当する。なお、GFが小さいほど干渉波電力の測定値を大きく補正するようにする。
【0035】
そして、乗算器131にて乗算されたゲインファクタ逆数の乗算後の補正係数Aは、乗算器132に出力され、乗算器132にて希望波電力の平均値に乗算され、加算器133に出力される。
【0036】
次いで、加算器133では、干渉波電力の平均値から、ゲインファクタおよび補正係数A乗算後の希望波電力の平均値が減算される。つまり、補正部130では、上記(式1)の分母部分に相当する演算が行われる。これにより、干渉波電力の平均値に含まれる希望波成分が、逆拡散信号数分除去される。
【0037】
そして、加算器133にて、算出された希望波成分除去後の干渉波電力の平均値はSIR算出部140に出力される。
【0038】
SIR算出部140では、希望波電力の平均値が希望波成分除去後の干渉波電力の平均値で除算される。よって、SIR算出部140からは下記の(式2)に従って測定されたバイアス誤差補正後のSIRが出力される。
SIR=S/(I−A*(1/GF)*S) …(式2)
SIR:バイアス誤差補正後SIR
【0039】
これにより、ゲインファクタに基づいてバイアス誤差が補正されたSIRを得ることができる。
【0040】
次に、上記実施の形態SIR測定装置100を用いて測定したSIRのシミュレーションの結果を図2〜図4に示す。
【0041】
図2に示すシミュレーションは、ゲインファクタGFが0.3333と1.0の各場合について、係数Aを0.00011として行った。なお、図2中、GF=0.3333、GF=1.0として測定されたSIRをそれぞれ曲線s2、s3で示し、GF=0.3333、GF=1.0として本実施の形態のSIR測定装置100によりバイアス誤差補正後に測定されたSIRをそれぞれ曲線s4、s5で示す。
【0042】
図2に示すように、高SIR領域において、ゲインファクタが大きい場合(GF=1.0)に実際に算出されたSIRおよびゲインファクタが小さい場合(GF=0.3333)に実際に算出されたSIRは、共に補正後の結果では、正しいSIR(期待値)に対する誤差が小さくなっている。
【0043】
図3に、送信側と受信側のフィルタ特性が異なり、かつ高SIR領域にて算出されたSIRのシミュレーションの結果を示した。図3に示すシミュレーションは、測定したSIRを、高SIR領域においてバイアス誤差が大きくなるゲインファクタが小さい場合(GF=0.3333)のSIRとし、係数Aを0.00011として行った。なお、ゲインファクタが大きい場合(例えばGF=1.0)のSIRは、送信側と受信側とのフィルタに特性差があり、かつ高SIR領域で算出されてもバイアス誤差はほとんど生じない。このため説明は省略する。
【0044】
また、図3では、フィルタ特性差ありのSIR値を曲線s5で示し、フィルタ特性差なしのSIR値を曲線s6、正しいSIR値を期待値として曲線s4で示し、さらに、フィルタ特性差ありでバイアス誤差補正後のSIR値を曲線s7で示した。
【0045】
図3に示すように、送信側および受信側のフィルタの特性が異なる場合でも、SIR測定装置100によりバイアス誤差が補正されたSIR(図中「SIR(特性差あり_補正後)」で示す曲線s7参照)は、高SIR領域では、「特性差なし」のSIR(図中の曲線s6参照)より、「特性差あり」のSIR(図中の曲線s5参照)側にシフトされ、正しいSIR(期待値:図中の曲線s4参照)により近づいた状態となっている。
【0046】
図4には、図3で示すSIRを算出するための希望波電力(RSCP:希望波レベル)と、バイアス誤差補正が行われた干渉波電力(ISCP:干渉波レベル)についてのシミュレーションの結果を示した。図4に示すシミュレーションでは、ゲインファクタを0.3333、係数Aを0.00011として行った。なお、図4では、フィルタ特性差ありのRSCP(希望波レベル)、ISCP(干渉波レベル)をそれぞれ曲線r1、i1、フィルタ特性差なしのRSCP、ISCPをそれぞれ曲線r2、i2で示し、本SIR測定装置により測定されたSIR、つまり、フィルタ特性差ありでかつバイアス誤差補正後のISCPを曲線i3で示した。
【0047】
図4に示すように、高SIR領域において測定されるRSCPは、送信側および受信側のフィルタの特性差の有無に関係なくほぼ同じ値である。また、ISCPは送信側および受信側のフィルタの特性差により誤差が生じているが、SIR測定装置100により補正されたISCP(図中の「特性差あり_補正後」のISCPを示す曲線i3参照)は、フィルタ特性差があり補正されていないISCP(図中の「特性差あり」のISCPを示す曲線i1参照)より低い値となり、送信側と受信側とでフィルタの特性差のないISCP(図中の「特性差なし」のISCPを示す曲線i2参照)により近づいた状態となっている。
【0048】
このように本実施の形態のSIR測定装置100によれば、シミュレーション結果からも明らかなように、送信側と受信側とで用いられるフィルタの特性が異なり、測定されるSIRがISCPに含まれるRSCP成分(バイアス誤差)の影響を受けやすい高SIR領域で測定されるものであっても、ISCPに含まれるRSCP成分(バイアス誤差)を補正係数AおよびゲインファクタGFを乗じたRSCPによって除去するため、実際に測定されるISCPを補正して、フィルタ特性差なしのISCP値に近づけることができ、正確なSIRを測定することができる。
【0049】
つまり、測定されるSIRにゲインファクタによるバイアス誤差が含まれる状態となっても、ゲインファクタの大きさにかかわらず、バイアス誤差を補正してSIRの測定精度をより向上させることができる。
【0050】
なお、本実施の形態のSIR測定装置100をCDMA方式の移動体通信装置に適用して、希望波電力測定部110や干渉波電力測定部120に逆拡散信号が入力される構成としてもよい。
【0051】
この場合、希望波電力測定部110は、入力される逆拡散信号の希望波成分の電力を測定して、希望波電力の所定区間における平均値を算出し、その平均値を乗算器132に算出するものとする。その際の希望波電力の平均値の算出方法としては、逆拡散信号の各々について希望波電力の所定区間における平均値を求めた後それらの平均値をすべて加算する方法や、逆拡散信号の各々について測定された希望波電力を所定区間においてすべて加算した後平均する方法等を採ることができる。
【0052】
一方、干渉波電力測定部120は、逆拡散信号の干渉波成分の電力を測定して、干渉波電力の所定区間における平均値を算出し、加算器133に出力する構成とする。なお、干渉波電力の平均値の算出方法としては、上述した希望波電力の平均値の算出方法と同様の方法を採ることができる。
【0053】
また、SIR測定装置100におけるSIRの測定を、RAKE合成後の信号を用いて行うものとしてもよい。この場合の構成の一例としては、例えば、SIR測定装置100に、RAKE合成部をさらに設け、逆拡散信号をRAKE合成して希望波電力測定部110および干渉波電力測定部120に出力する構成にすることが挙げられる。この構成の場合、希望波電力測定部110は、RAKE合成後の信号の希望波成分の電力を測定して、希望波電力の所定区間における平均値を算出し、干渉波電力測定部120は、RAKE合成後の信号の干渉波成分の電力を測定して、干渉波電力の所定区間における平均値を算出する構成にするとよい。
【0054】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、受信信号におけるコード多重されたチャネルの信号電力比(ゲインファクタ)によりバイアス誤差が生じうる状況においても、希望波電力対干渉波電力比SIRの測定精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態に係るSIR測定装置の構成を示すブロック図
【図2】本発明の一実施の形態に係るSIR測定装置により測定されたSIRを示す図
【図3】送信側と受信側のフィルタに特性差がある場合と無い場合に測定されたゲインファクタが小さいSIRを示す図
【図4】送信側と受信側のフィルタに特性差がある場合と無い場合の、SIRを算出するために必要な希望波電力レベル(RSCP)と干渉波電力レベル(ISCP)を示す図
【図5】従来の測定装置により測定されたSIRを示す図
【図6】送信側と受信側のフィルタに特性差がある場合と無い場合の、正しいSIRと実際に測定されるSIRとの差を示す図
【図7】送信側と受信側のフィルタに特性差がある場合と無い場合の、SIRを算出するために必要な希望波電力レベル(RSCP)と干渉波電力レベル(ISCP)を示す図
【符号の説明】
100 SIR測定装置
110 希望波電力測定部
120 干渉波電力測定部
130 補正部
140 SIR算出部
Claims (3)
- コード多重されたチャネルを含む受信信号から希望波対干渉波電力比を測定するSIR測定装置において、
前記コード多重されたチャネルの信号電力比に基づいて、前記希望波対干渉波電力比に含まれるバイアス誤差を補正する補正手段を有することを特徴とするSIR測定装置。 - 前記受信信号の希望波電力を測定する希望波電力測定手段と、
前記受信信号の干渉波電力を測定する干渉波電力測定手段と、
前記希望波電力測定手段により測定された希望波電力および前記干渉波電力測定手段により測定された干渉波電力を用いて前記希望波対干渉波電力比を算出するSIR算出手段と、を有し、
前記補正手段は、前記コード多重されたチャネルの信号電力比に基づいて、前記希望波電力対干渉波電力比の算出に用いられる前記干渉波電力のバイアス誤差を補正する、
ことを特徴とする請求項1記載のSIR測定装置。 - 前記補正手段は、
前記干渉波電力(I)と、前記希望波電力(S)と、前記コード多重されたチャネルの信号電力比(GF)と、前記希望波対干渉波電力比に含まれる前記バイアス誤差の補正範囲を決める補正係数(A)とを用い、下記の(式1)に基づいて、
I−A*(1/GF)*S …(式1)
但し、補正係数Aは、少なくともA<S/(GF*I)を満たす数
前記干渉波電力に含まれるバイアス誤差を補正する、
ことを特徴とする請求項2記載のSIR測定装置。
Priority Applications (1)
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JP2003109519A JP2004317210A (ja) | 2003-04-14 | 2003-04-14 | Sir測定装置 |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2006262077A (ja) * | 2005-03-17 | 2006-09-28 | Fujitsu Ltd | 移動局の通信環境測定方法及び移動局 |
WO2007013149A1 (ja) * | 2005-07-27 | 2007-02-01 | Mitsubishi Denki Kabushiki Kaisha | Sir検出装置および無線通信装置 |
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2003
- 2003-04-14 JP JP2003109519A patent/JP2004317210A/ja active Pending
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JP4557762B2 (ja) * | 2005-03-17 | 2010-10-06 | 富士通株式会社 | 移動局の通信環境測定方法及び移動局 |
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