JP2004316772A - 機械式自動変速機の変速制御装置 - Google Patents

機械式自動変速機の変速制御装置 Download PDF

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Atsushi Kumazawa
厚 熊沢
Takeshi Nakamura
中村  剛
Osamu Ogi
治 小木
Toshikuni Shirasawa
敏邦 白沢
Yukihiko Shiono
幸彦 塩野
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Abstract

【課題】機械式自動変速機の変速制御装置に関し、ドライバの加減速意思を反映できるようにして、ドライバに対してより適切な変速制御を行なえるようにする。
【解決手段】機械式自動変速機を備えた車両の加速時においてシフトアップを行なうときの変速動作を制御する装置であって、加減速意思判定手段13により、ドライバの加減速意思を判定し、ギア入れ判定手段10により、次のギア段へのギア入れが完了したか否かを判定する。そして、加減速意思判定手段13によりドライバの加速意思が判定され、且つ、ギア入れ判定手段10によりギア入れの完了が判定されたら、クラッチ制御手段16により、クラッチ9を半クラッチ接続する。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、機械式自動変速機の変速制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、自動車等の車両の変速機として、摩擦クラッチと平行2軸式変速機とからなる手動変速機を自動化した、いわゆる機械式クラッチ付き自動変速機(機械式自動変速機)が開発されている。
このような機械式自動変速機では、エンジンから駆動輪までの駆動力伝達系に流体クラッチ(トルクコンバータ)が介在しないため、トルクコンバータを用いた自動変速機(トルコンA/T)よりも伝達効率が高く、燃費の向上を図ることができる。また、トルクコンバータ特有のスリップ感がないためドライバビリティも向上する。
【0003】
また、このような機械式自動変速機では、クラッチの断接を行なうクラッチアクチュエータと、スロットル開度を調整するスロットルアクチュエータと、変速段の切り替えを行なうシフトセレクトアクチュエータとが設けられており、これらの各アクチュエータの作動をそれぞれ適宜制御することにより、変速操作が行なわれる。
【0004】
例えば図9に示すように、まず、スロットルの戻し制御が行なわれるとともに、クラッチの切断制御が行なわれ、その後、目標ギア段へのギアチェンジ(変速段の切り換え)が実行される(図9中の時点t′)。そして、ギア入れ完了後のクラッチ回転数を目標回転数とし、この目標回転数に合うようにエンジン回転数を制御し、エンジン回転数とクラッチ回転数とが一致したら、クラッチの接続制御が実行されて変速操作が完了する(図9中の時点t)。この後、ドライバのアクセル開度に応じて、即ち、ドライバの加減速意思に応じて加減速トルクをエンジンに発生させることにより、車両を加減速するようになっている。
【0005】
このように、従来の機械式自動変速機では、変速時、ドライバの加減速意思は、クラッチが完全に直結するまで車両の加減速へは反映されない。このため、変速操作が行なわれている間にトルク抜け(加速,減速感の抜け)が発生し、ドライバは空走感を抱くことになり、変速時間を長く感じてしまうことになる。
【0006】
また、上述したように、目標ギア段のクラッチ回転数を目標エンジン回転数としてエンジン回転数制御を行なった場合、エンジン回転数とクラッチ回転数とが少しでもずれていると、クラッチ接続時に、ドライバの意思とは逆方向の加速度を車両に発生させてしまう場合がある。例えば、変速後にドライバがすぐに加速したいと思っていても、エンジン回転数がクラッチ回転数よりも少しでも小さかったりすると、クラッチ接続した際に、車両に減速の駆動を与えてしまう。
【0007】
特許文献1には、変速時、即ちクラッチを切断してから接続するまでの時間、エンジン出力軸の回転速度を変速機入力軸の回転速度よりも所定回転速度だけ高回転側に維持し、クラッチ接続時にエンジンイナーシャを利用して変速後直ちに車両を加速させる技術が開示されている。この特許文献1の技術によれば、クラッチ接続時の変速ショックを低減しつつ、クラッチを切断してから接続するまでの期間を短くすることができ、変速時の空走感(失速感)を抑制し、加速感を向上させて運転フィーリングを向上させることが可能となる。
【0008】
【特許文献1】
特開2001−18688号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献1の技術では、上述したような変速後のドライバの加減速意思を考慮していないので、例えばドライバが変速後は現車速を維持したい場合や現車速よりも低速にしたい場合(減速したい場合)であっても、変速後は車両を加速させてしまう。つまり、ドライバの意思に反した加速度が生じてしまうおそれがある。
したがって、ドライバの加減速意思を適宜変速制御に反映させるようにして、ドライバビリティをさらに向上させるようにすることが望まれる。また、この場合、ドライバの加減速意思を変速制御にどのように反映させるかが課題となる。
【0010】
本発明は、このような課題に鑑み創案されたもので、ドライバの加減速意思を反映できるようにして、ドライバに対してより適切な変速制御を行なえるようにした、機械式自動変速機の変速制御装置を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
このため、請求項1記載の本発明の機械式自動変速機の変速制御装置は、機械式自動変速機を備えた車両の加速時においてシフトアップを行なうときの変速動作を制御する装置であって、ドライバの加減速意思を判定する加減速意思判定手段と、次のギア段へのギア入れが完了したか否かを判定するギア入れ判定手段と、該加減速意思判定手段によりドライバの加速意思が判定され、且つ、該ギア入れ判定手段によりギア入れの完了が判定されたら、クラッチを半クラッチ接続するクラッチ制御手段とをそなえたことを特徴としている。
【0012】
請求項2記載の本発明の機械式自動変速機の変速制御装置は、機械式自動変速機を備えた車両の減速時においてシフトダウンを行なうときの変速動作を制御する装置であって、ドライバの加減速意思を判定する加減速意思判定手段と、次の変速段へのギア入れが完了したか否かを判定するギア入れ判定手段と、該加減速意思判定手段によりドライバの減速意思が判定され、且つ、該ギア入れ判定手段によりギア入れの完了が判定されたら、クラッチを半クラッチ接続するクラッチ制御手段とをそなえたことを特徴としている。
【0013】
請求項3記載の本発明の機械式自動変速機の変速制御装置は、機械式自動変速機を備えた車両の加速時においてシフトダウンを行なうときの変速動作を制御する装置であって、ドライバの加減速意思を判定する加減速意思判定手段と、次の変速段へのギア入れが完了したか否かを判定するギア入れ判定手段と、該加減速意思判定手段によりドライバの加速意思が判定され、且つ、該ギア入れ判定手段によりギア入れの完了が判定されたら、クラッチを半クラッチ接続するクラッチ制御手段と、該変速機の入力軸の回転数を検出又は推定する検知手段と、該半クラッチ接続前に、エンジンの出力軸の回転数を、該検知手段により検出又は推定された変速機の入力軸の回転数よりも所定回転数だけ高くなるように制御するエンジン制御手段とをそなえたことを特徴としている。
【0014】
請求項4記載の本発明の機械式自動変速機の変速制御装置は、請求項1記載の装置において、該変速機の入力軸の回転数を検出又は推定する検知手段と、該半クラッチ接続前に、エンジンの出力軸の回転数を、該検知手段により検出又は推定された変速機の入力軸の回転数よりも所定回転数だけ高くなるように制御するエンジン制御手段とをそなえたことを特徴としている。
【0015】
請求項5記載の本発明の機械式自動変速機の変速制御装置は、請求項2記載の装置において、該変速機の入力軸の回転数を検出又は推定する検知手段と、該半クラッチ接続前に、エンジンの出力軸の回転数を、該検知手段により検出又は推定された変速機の入力軸の回転数よりも所定回転数だけ低くなるように制御するエンジン制御手段とをそなえたことを特徴としている。
【0016】
請求項6記載の本発明の機械式自動変速機の変速制御装置は、請求項1〜5の何れか1項に記載の装置において、エンジン回転数に対してエンジン出力トルクが零となる燃料噴射量のマップを記憶しておくマップ記憶手段をそなえ、該加減速意思判定手段は、該マップから、変速中の車速及び変速目標ギア段の減速比から算出又は推定される変速完了後のエンジン回転数に対する零トルク燃料噴射量を求め、該零トルク燃料噴射量と、変速中のドライバのアクセル開度及び上記の変速完了後のエンジン回転数から求まるドライバの要求燃料噴射量とを比較することにより、ドライバの加減速意思を判定することを特徴としている。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、図面により、本発明の実施の形態について説明する。
〔1〕第1実施形態
図1〜図7は、本発明の一実施形態としての機械式自動変速機の変速制御装置を説明するためのものである。
【0018】
本実施形態に係る車両では、図2に示すように、エンジン7と、変速機8と、クラッチ9とを備え、エンジン7の出力軸7aと変速機8の入力軸8aとがクラッチ9を介して接続されている。そして、クラッチ9を接続状態とすると、エンジン7から出力されるエンジントルクが、変速機8を介して駆動輪(図示省略)へ伝達されて車両駆動力が得られるようになっている。なお、図2中、矢印はクラッチ板の移動方向を示している。
【0019】
変速機8は、通常ATモードのほかに、ドライバがシフトレバー(図示省略)を操作することでシフトアップ及びシフトダウンを指令できるモード(マニュアルモード)を備え、後述するECU(電子制御コントロールユニット)1を通じて変速を制御される自動変速機として構成される。
【0020】
また、図1に示すように、クラッチ9は、エンジン7及び変速機8とともにECU1により制御されるようになっている。このため、ECU1には、車両の速度を検出する車速センサ2と、シフト位置を検出するシフトポジションセンサ3と、変速機8の変速段(ギア段)を検出するギアポジションセンサ4と、エンジン出力軸7aの回転数を検出又は算出するエンジン回転数センサ5と、アクセルペダル(図示省略)の踏込量を検出するアクセル開度センサ(APS)6とからの信号が入力されるようになっている。
【0021】
ギアポジションセンサ4は、変速機8のギア段の状態を示すもので、ギア段が目標とするギア段(目標ギア段)になった場合にギアポジションセンサ4から出力される信号は、シフト操作が終了した旨を示すシフト終了指令として機能する。
【0022】
ECU1では、通常ATモード時、エンジン回転数センサ5からのエンジン回転数及びアクセル開度センサ6からのアクセル開度に基づいて最適ギア段を選択するようになっており、また、マニュアルモード時、シフトポジションセンサ3からの信号に基づいてギア段を選択するようになっており、このように選択されたギア段に基づいて変速機8のギア段を制御するようになっている。
【0023】
また、ECU1には、ギア入れ判定部(ギア入れ判定手段)10,検知部(検知手段)11,マップ記憶部(マップ記憶手段)12,加減速意思判定部(加減速意思判定手段)13,変速状態判定部(変速状態判定手段)14,エンジン制御部(エンジン制御手段)15,クラッチ制御部(クラッチ制御手段)16に相当する各機能がそなえられている。
【0024】
ギア入れ判定部10は、ギアポジションセンサ4からのシフト終了指令が入力されると、ギア入れが完了したと判定する。
検知部11は、変速機入力軸8aの回転数(クラッチ回転数ともいう)を検出又は推定するものである。ここでは、例えば車速センサ2からの車速情報と目標ギア段の減速比(ギア比)とに基づいて、クラッチ回転数を推定するようになっている。なお、変速機入力軸8aに検知手段としてインプットシャフト回転速度センサを取り付け、クラッチ回転数を検出するようにしても良い。
【0025】
マップ記憶部12には、エンジン回転数に対する零トルク燃料噴射量のマップ(以下、零トルクマップという)が記憶されている。
一般に、エンジン7の内部抵抗や駆動系の抵抗により、エンジン7の燃料噴射量には、エンジン出力トルクが零となる値(零トルク燃料噴射量)が各エンジン回転数において存在する。図3に示すように、これら各エンジン回転数における零トルク燃料噴射量を結んだ線が、図3中実線で示すライン(零トルクライン)である。
【0026】
つまり、燃料噴射量が零トルクライン上にある場合、エンジン出力トルクは零であるため、車両は加速も減速もしない(即ち、エンジン7は加速トルクも出さないし、エンジンブレーキも行なわない)。また、燃料噴射量が零トルクラインよりも上側の領域にある場合、エンジン7は加速トルクを出力し、燃料噴射量が零トルクラインよりも下側の領域にある場合、エンジンブレーキを行なう。
【0027】
加減速意思判定部13では、ドライバが加速したいのか、減速したいのか、或いは現車速を維持したいのかというドライバの加減速意思を図3に示すマップに基づいて判定するように機能する。なお、零トルクラインには誤差が含まれていることが考えられるので、ここでは、零トルクラインの上側に所定量(第1の所定値)α、零トルクラインの下側に所定量(第2の所定値)αの範囲を誤差範囲とし、この幅Wの中では、零トルクとして扱うものとする。また、これら所定量α及び所定量αは等しい値であっても良く、要求される判定精度に応じて適宜設定しても良い。
【0028】
以下、このドライバの加減速意思の判定方法について、図4に示すフローチャートを参照して説明する。
まず、マップ記憶部12に記憶(用意)されている零トルクマップを参照し、この零トルクマップにおいて、エンジン回転数(図3に示す零トルクマップの横軸)を、変速中の車速及び変速目標ギア段の減速比から算出又は推定される変速完了後のエンジン回転数(つまりクラッチ回転数)TNとみなし、このエンジン回転数TNに対する零トルク燃料噴射量Fを推定する(図4に示すステップS10。以下、ステップのみ示す)。
【0029】
そして、変速中のドライバのアクセル開度と、上記のエンジン回転数TNとから求まるドライバの要求燃料噴射量FがF+αよりも大きいか否かを判定し(ステップS20)、YESの場合、ドライバは加速しようとしている(加速意思)と判定する(ステップS30)。
また、ステップS20においてNOの場合、ドライバ要求燃料噴射量FがF−αよりも小さいか否かを判定し(ステップS40)、YESの場合、ドライバは減速しようとしている(減速意思)と判定する(ステップS50)。さらに、ステップS40においてNOの場合、ドライバは現状の速度を維持しようとしている(現車速維持意思、即ち、加減速意思なし)と判定する(ステップS60)。
【0030】
このように、判定基準となる基準ライン(零トルクライン)を設けて、この基準ラインと、変速中のドライバ要求燃料噴射量から推測されるドライバのトルク要求度とを比較しているので、変速後にドライバが加速を要求しているのか、減速を要求しているのか、或いは現車速維持を要求しているのかをより正確に判定することが可能である。
【0031】
変速状態判定部14は、車速センサ2からの車速情報に基づいて、車両が現在加速中であるか減速中であるかを判定するとともに、シフトポジションセンサ3からのシフト情報に基づいて、シフトアップであるかシフトダウンであるかを判定し、さらに、これら2つの判定結果から、変速状態が「加速時シフトアップ」,「減速時シフトダウン」,「加速時シフトダウン(キックダウン)」の何れであるかを判定するようになっている。
【0032】
エンジン制御部15は、エンジン回転数を制御するように機能するもので、変速状態判定部14で「加速時シフトアップ」と判定され、且つ、加減速意思判定部13で「加速意思」と判定されたら、エンジン回転数が、検知部11から得られる次のギア段のクラッチ回転数TNよりも所定回転数α10だけ高い高回転側の回転数(目標エンジン回転数)ENになるように制御する。このときの目標エンジン回転数ENは次式で表される。
【0033】
EN=TN+α10
つまり、エンジン回転数を目標エンジン回転数ENに制御することでエンジン回転数を予めクラッチ回転数に近づけ、クラッチ接続時にエンジンイナーシャを利用できるようにし、クラッチ接続後に車速を速やかに上昇させるようにしている。このため、所定回転数α10は、エンジンイナーシャを利用できるように設定すれば良く、例えば約200rpmに設定する。
【0034】
また、エンジン制御部15は、変速状態判定部14で「加速時シフトダウン」と判定され、且つ、加減速意思判定部で「加速意思」と判定された場合も、上記と同様に、エンジン回転数が目標エンジン回転数ENになるように制御する。
さらに、エンジン制御部15は、変速状態判定部14で「減速時シフトダウン」と判定され、且つ、加減速意思判定部で「減速意思」と判定されたら、エンジン回転数が、検知部11から得られる次のギア段のクラッチ回転数TNよりも所定回転数α20だけ低い低回転側の回転数(目標エンジン回転数)ENになるように制御する。このときの目標エンジン回転数ENは次式で表される。
【0035】
EN=TN−α20
つまり、エンジン回転数を目標エンジン回転数ENに制御することでエンジン回転数を予めクラッチ回転数に近づけ、クラッチ接続時にエンジンイナーシャを利用できるようにし、クラッチ接続後に車速を速やかに下降させるようにしている。この場合も、所定回転数α20は、エンジンイナーシャを利用できるように設定すれば良く、例えば約200rpmに設定する。
【0036】
また、エンジン制御部15は、加減速意思判定部13で「現車速維持意思」と判定されたら、変速状態判定部14での判定結果に関わらず、エンジン回転数をクラッチ回転数TNに制御する。つまり、クラッチ回転数TNが目標エンジン回転数ENとなる。
【0037】
クラッチ制御部16は、通常、ATモードで変速ギア段の変更が決定された場合、あるいは、マニュアルモードでシフトポジションセンサ3からのシフト指令信号(この信号の出力開始時に着目したシフト操作開始信号)が入力された場合には、クラッチ9を切断(クラッチOFF)するように制御し、ギアポジションセンサ4から目標のギア段信号(シフト操作終了指令)が入力された場合には、クラッチ9を接続(クラッチON)するように制御するようになっている。
【0038】
ただし、本変速制御装置では、クラッチ制御部16には、加減速意思判定部13,ギア入れ判定部10,変速状態判定部14からの情報が入力されるようになっており、これらの情報に基づいて、クラッチ9を半クラッチ接続するように制御するようになっている。
具体的には、変速中(即ち、クラッチ9が開放されている状態で)、以下に示す(1)〜(3)の各判定がなされた場合、クラッチ制御部16はクラッチ9を半クラッチ接続するように制御する。
【0039】
(1)変速状態判定部14で「加速時シフトアップ」と判定され、且つ、加減速意思判定部13で「加速意思」と判定された場合
(2)変速状態判定部14で「減速時シフトダウン」と判定され、且つ、加減速意思判定部13で「減速意思」と判定された場合
(3)変速状態判定部14で「加速時シフトダウン」と判定され、且つ、加減速意思判定部13で「加速意思」と判定された場合
なお、半クラッチ接続を行なうタイミングは、ギア入れ判定部10により次のギア段へのギア入れが完了した後であればいつでも良い。
【0040】
本発明の一実施形態としての機械式自動変速機の変速制御装置は、上述のように構成されているので、例えば図5に示すように、加速時のシフトアップにおいて、従来(図5に示す2点鎖線)は時点tでクラッチ9を直結していたが、本発明(図5に示す実線)では、ドライバに加速の意思があると判定された場合には、ギア入れが完了した後であって、エンジン回転数がクラッチ回転数よりも高い状態(図5中の時点t′)から半クラッチ制御を開始するので、ドライバの加速意思がより早く車両の加速度に反映されることになり、空走時間を短縮すること(即ち、時点tから時点t′に短縮すること)が可能となる。
【0041】
また、エンジン回転数のクラッチ回転数への同期が促されるので、変速時間を短縮することが可能となる。このように、ドライバに対してより適切な変速制御を行なうことができ、ドライバビリティをさらに向上させることができる。
さらに、このとき、エンジン回転数を、クラッチ回転数よりも所定回転数だけ高く設定しているので、半クラッチを行なった際、ドライバの加速意思に反する減速が車両に発生するのを防止することができる。
【0042】
また、例えば図6に示すように、減速時のシフトダウンにおいて、従来(図6に示す2点鎖線)は時点tでクラッチ9を直結していたが、本発明(図6に示す実線)では、ドライバに減速の意思があると判定された場合には、ギア入れが完了した後であって、エンジン回転数がクラッチ回転数よりも低い状態(図6中の時点t′)から半クラッチ制御を開始するので、ドライバの減速意思がより早く車両の減速度に反映されることになり、空走時間を短縮すること(即ち、時点tから時点t′に短縮すること)が可能となる。
【0043】
また、上記と同様に、エンジン回転数のクラッチ回転数への同期が促されるので、変速時間を短縮することが可能となる。
さらに、このとき、エンジン回転数を、クラッチ回転数よりも所定回転数だけ低く設定しているので、半クラッチを行なった際、ドライバの減速意思に反する加速が車両に発生するのを防止することができる。
【0044】
なお、このような減速時のシフトダウンにおいては、燃料噴射量制御によりエンジン回転数を吹き上げることでエンジン回転数をクラッチ回転数に早期に一致させることが加速時シフトアップと比べて容易ではあるが、エンジン7の制御性能等によりエンジン回転数を吹き上げることが遅い場合や、エンジン7及びミッションの相対的関係等によりギア入れが極端に早くできた場合には、燃料噴射量制御でもエンジン回転数をクラッチ回転数に早期に一致させることは困難である。このような場合に、上述した半クラッチ制御を行なうことで変速時間の短縮が可能になる。
【0045】
また、例えば図7に示すように、加速時のシフトダウン(キックダウン)において、従来(図7に示す2点鎖線)は時点t′で半クラッチ接続することによりドライバの加速意思に反した減速度が車両に発生する場合があるが、本発明(図7に示す実線)では、ドライバに加速の意思があると判定された場合には、エンジン回転数をクラッチ回転数よりも所定回転数だけ高く設定するので、ドライバの加速意思に反する減速が車両に発生するのを防止することができるとともに、より力強い加速度を車両に発生させることができる。
【0046】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
例えば、本実施形態では、変速中にドライバの加減速意思を判定する構成としたが、この判定タイミングは、変速直前であっても良い。
【0047】
また、ドライバの加減速意思を判定する方法は本実施形態の判定方法に限定されるものではない。
さらに、本実施形態では、燃料噴射量に関する零トルクマップからドライバの加減速意思を判定するように構成したが、燃料噴射量に代わって、アクセル開度に関する零トルクマップから判定することも可能である。
【0048】
例えば図8に示すように、燃料噴射量と同様に、アクセル開度にもエンジン出力トルクが零となる値(零トルクアクセル開度)が各エンジン回転数において存在している。したがって、この零トルクマップに基づいて、零トルクラインと実アクセル開度との上下関係からドライバの加速意思を判定することができる。なお、この場合も、零トルクラインには誤差が含まれていることが考えられるので、例えば零トルクラインの上側に所定量(第3の所定値)α、零トルクラインの下側に所定値(第4の所定値)αの範囲を誤差範囲とし、この幅Wの中では、零トルクとして扱うようにすればよい。
【0049】
また、ドライバ要求燃料噴射量又は実アクセル開度が零トルクラインよりも上側の領域にある場合(即ち、ドライバ加速意思と判定された場合)、ドライバ要求燃料噴射量又は実アクセル開度が上側の領域のどの位置にあるかをより細かく算出することにより、ドライバがどの程度加速を要求しているかを判定するようにしても良い。
【0050】
【発明の効果】
以上詳述したように、請求項1記載の本発明の機械式自動変速機の変速制御装置によれば、車両の加速時においてシフトアップが行なわれる場合、ドライバの加速意思が判定され、且つ、ギア入れの完了が判定されると、クラッチを半クラッチ接続するので、ドライバの加速意思がより早く車両の加速度に反映されることになり、空走時間を短縮することが可能となる。また、エンジン回転数のクラッチ回転数への同期が促されるので、変速時間を短縮することが可能となる。このように、ドライバに対してより適切な変速制御を行なうことができる。
【0051】
請求項2記載の本発明の機械式自動変速機の変速制御装置によれば、車両の減速時においてシフトダウンが行なわれる場合、ドライバの減速意思が判定され、且つ、ギア入れの完了が判定されると、クラッチを半クラッチ接続するので、ドライバの減速意思がより早く車両の減速度に反映されることになり、空走時間を短縮することが可能となる。また、エンジン回転数のクラッチ回転数への同期が促されるので、変速時間を短縮することが可能となる。このように、ドライバに対してより適切な変速制御を行なうことができる。
【0052】
請求項3記載の本発明の機械式自動変速機の変速制御装置によれば、車両の加速時においてシフトダウンが行なわれる場合、ドライバの加速意思が判定され、且つ、ギア入れの完了が判定されると、クラッチを半クラッチ接続するとともに、エンジンの出力軸の回転数を、変速機の入力軸の回転数よりも所定回転数だけ高くなるように制御するので、ドライバの加速意思に反する減速が車両に発生するのを防止することができるとともに、より力強い加速度を車両に発生させることができる。このように、ドライバに対してより適切な変速制御を行なうことができる。
【0053】
請求項4記載の本発明の機械式自動変速機の変速制御装置によれば、車両の加速時においてシフトアップが行なわれる場合、目標エンジン回転数を変速機入力軸の回転数よりも所定回転数だけ高く設定しているので、半クラッチを行なった際、ドライバの加速意思に反する減速が車両に発生するのを防止することができる。
【0054】
請求項5記載の本発明の機械式自動変速機の変速制御装置によれば、車両の減速時においてシフトダウンが行なわれる場合、目標エンジン回転数を変速機入力軸の回転数よりも所定回転数だけ低く設定しているので、半クラッチを行なった際、ドライバの減速意思に反する加速が車両に発生するのを防止することができる。
【0055】
請求項6記載の本発明の機械式自動変速機の変速制御装置によれば、零トルク燃料噴射量を基準として、この零トルク燃料噴射量と、ドライバの要求トルクとしてのドライバの要求燃料噴射量とを比較するのでドライバの加減速意思をより正確に判定することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る機械式自動変速機の変速制御装置を備えた車両の構成を説明するためのブロック図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る車両を模式的に示す構成図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る燃料噴射量に関する零トルクマップである。
【図4】本発明の一実施形態に係るドライバ加減速意思の判定方法の処理を示すフローチャートである。
【図5】本発明の一実施形態に係る加速時シフトアップにおける変速制御を説明するための図である。
【図6】本発明の一実施形態に係る減速時シフトダウンにおける変速制御を説明するための図である。
【図7】本発明の一実施形態に係る加速時シフトダウンにおける変速制御を説明するための図である。
【図8】本発明の変形例に係るアクセル開度に関する零トルクマップである。
【図9】従来の加速時シフトアップにおける変速制御を説明するための図である。
【符号の説明】
1 ECU
2 車速センサ
3 シフトポジションセンサ
4 ギアポジションセンサ
5 エンジン回転数センサ
6 アクセル開度センサ
7 エンジン
7a 出力軸(エンジン出力軸)
8 変速機
8a 入力軸(変速機入力軸)
9 クラッチ
10 ギア入れ判定部(ギア入れ判定手段)
11 検知部(検知手段)
12 マップ記憶部(マップ記憶手段)
13 加減速意思判定部(加減速意思判定手段)
14 変速状態判定部(変速状態判定手段)
15 エンジン制御部(エンジン制御手段)
16 クラッチ制御部(クラッチ制御手段)

Claims (6)

  1. 機械式自動変速機を備えた車両の加速時においてシフトアップを行なうときの変速動作を制御する装置であって、
    ドライバの加減速意思を判定する加減速意思判定手段と、
    次のギア段へのギア入れが完了したか否かを判定するギア入れ判定手段と、
    該加減速意思判定手段によりドライバの加速意思が判定され、且つ、該ギア入れ判定手段によりギア入れの完了が判定されたら、クラッチを半クラッチ接続するクラッチ制御手段とをそなえた
    ことを特徴とする、機械式自動変速機の変速制御装置。
  2. 機械式自動変速機を備えた車両の減速時においてシフトダウンを行なうときの変速動作を制御する装置であって、
    ドライバの加減速意思を判定する加減速意思判定手段と、
    次の変速段へのギア入れが完了したか否かを判定するギア入れ判定手段と、
    該加減速意思判定手段によりドライバの減速意思が判定され、且つ、該ギア入れ判定手段によりギア入れの完了が判定されたら、クラッチを半クラッチ接続するクラッチ制御手段とをそなえた
    ことを特徴とする、機械式自動変速機の変速制御装置。
  3. 機械式自動変速機を備えた車両の加速時においてシフトダウンを行なうときの変速動作を制御する装置であって、
    ドライバの加減速意思を判定する加減速意思判定手段と、
    次の変速段へのギア入れが完了したか否かを判定するギア入れ判定手段と、
    該加減速意思判定手段によりドライバの加速意思が判定され、且つ、該ギア入れ判定手段によりギア入れの完了が判定されたら、クラッチを半クラッチ接続するクラッチ制御手段と、
    該変速機の入力軸の回転数を検出又は推定する検知手段と、
    該半クラッチ接続前に、エンジンの出力軸の回転数を、該検知手段により検出又は推定された変速機の入力軸の回転数よりも所定回転数だけ高くなるように制御するエンジン制御手段とをそなえた
    ことを特徴とする、機械式自動変速機の変速制御装置。
  4. 該変速機の入力軸の回転数を検出又は推定する検知手段と、
    該半クラッチ接続前に、エンジンの出力軸の回転数を、該検知手段により検出又は推定された変速機の入力軸の回転数よりも所定回転数だけ高くなるように制御するエンジン制御手段とをそなえた
    ことを特徴とする、請求項1記載の機械式自動変速機の変速制御装置。
  5. 該変速機の入力軸の回転数を検出又は推定する検知手段と、
    該半クラッチ接続前に、エンジンの出力軸の回転数を、該検知手段により検出又は推定された変速機の入力軸の回転数よりも所定回転数だけ低くなるように制御するエンジン制御手段とをそなえた
    ことを特徴とする、請求項2記載の機械式自動変速機の変速制御装置。
  6. エンジン回転数に対してエンジン出力トルクが零となる燃料噴射量のマップを記憶しておくマップ記憶手段をそなえ、
    該加減速意思判定手段は、
    該マップから、変速中の車速及び変速目標ギア段の減速比から算出又は推定される変速完了後のエンジン回転数に対する零トルク燃料噴射量を求め、該零トルク燃料噴射量と、変速中のドライバのアクセル開度及び上記の変速完了後のエンジン回転数から求まるドライバの要求燃料噴射量とを比較することにより、ドライバの加減速意思を判定する
    ことを特徴とする、請求項1〜5の何れか1項に記載の機械式自動変速機の変速制御装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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KR101744813B1 (ko) * 2015-09-14 2017-06-20 현대자동차 주식회사 수동변속기 차량의 엔진 제어 시스템 및 방법

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