JP2004315785A - 研磨用難発泡樹脂の成形方法 - Google Patents

研磨用難発泡樹脂の成形方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 層間絶縁膜や金属配線等の、半導体デバイスウエハの表面平坦化加工に好適に用いられる研磨用難発泡樹脂の発泡体を、効率良く安定に製造する研磨用難発泡樹脂の成形方法を提供する。
【解決手段】 難発泡樹脂に後架橋剤を添加し、押出機11,12により溶融させ、10MPaを超える圧力雰囲気下でその溶融樹脂に発泡剤を溶解及び/又は混合した後、金型13より押出して該溶解及び/又は混合した地点の圧力より低い圧力雰囲気下に該溶融樹脂を曝すことで得られた発泡体21を架橋させることを特徴とし、発泡体断面の気泡の平均径が0.1μm〜100μmである。
【選択図】 図2

Description

本発明は、半導体、各種メモリーハードディスク用基板等の研磨に使用される研磨パッドに好適に用いることのできる研磨用難発泡樹脂の成形方法に関するものである。
半導体のデバイスウエハの表面平坦化加工に用いられる、代表的なプロセスである化学的機械的研磨法(CMP)の一例を図1に示す。定盤2、試料ホルダー5を回転させ、砥粒を含有する研磨スラリー4をスラリー供給用配管10を通して滴下しながら、半導体ウエハ1を研磨パッド6の表面に押しあてることにより、デバイス表面を高精度に平坦化するというものである。図1中、7は駆動用の回転軸である。なお研磨中、ドレッシングディスク3を回転させながら研磨パッド6の表面に押しあてることにより、研磨パッド6の表面状態を整えている。研磨条件はもとより、研磨パッド6、ドレッシングディスク3、研磨スラリー4、ウエハ固定用治具8およびバッキング材9等、各構成部材の特性が、研磨速度、研磨後のデバイス表面の平坦性とウエハ面内における平坦性ばらつき、およびそれらの経時変動の指標となる、ウエハ面間におけるばらつき等に代表される研磨性能に影響を及ぼすが、その中でも研磨パッド6と研磨スラリー4さらには研磨スラリー中に含まれる砥粒の及ぼす影響は極めて大きい。
従来、層間絶縁膜や金属配線等の研磨に用いられる研磨パッドとして、高分子マトリックス中に、空隙スペースを有する中空高分子微小エレメントを含浸した独立発泡体、例えば、ロデール社製のIC1000(商品名)が標準的に使用されてきた(例えば、特許文献1参照。)。従来の独立発泡体の代表的な製造方法としては、一般的に注型法と呼ばれる、高分子マトリックスの原料中に中空高分子微小エレメントを混合、分散させた後に、金型に注ぎ込み硬化させ、得られたコンパウンドをスライスする方法等が挙げられる。
注型法で得られた独立発泡体は、中空高分子微小エレメント自体のサイズのばらつきに加え、硬化過程においてコンパウンド内で分布に偏りが生じ易く、その結果、得られた独立発泡体の発泡状態が、ロット内およびロット間においてばらつき、最終的に研磨パッドになった際に、研磨性能がばらつきやすいといった問題を有するものであった。
また、一般的な物理発泡剤に比べて高価な中空高分子微小エレメントを用いる上に、例えば硬化に長時間を有する点、コンパウンドをスライスする工程が必要である等の点で、生産性が悪く、結果的に製品コストが上昇するという問題を有していた。
注型法以外には、超臨界状態の非反応性ガスを含浸させた後、常圧に戻し、その後さらに加熱することにより独立発泡体を製造する方法(バッチ式超臨界発泡法と呼ぶ)等がある(例えば、特許文献2参照。)。これは、押出機で成形した無発泡シートを高圧容器中に密閉し、発泡剤である二酸化炭素を長時間にわたりシートに含浸させた後に圧力を開放し、取り出したシートを加熱して発泡させる方法であり、注型法に比べて発泡ばらつきの小さい独立発泡体を得ることができるが、その反面、発泡剤の含浸に長時間を要するために生産性が低くなる。さらには大型の高圧設備が必要となるために、設備投資額が非常に大きくなる等の問題点があった。
一方、発泡体を直接押し出す方法もあるが、押出機圧力の上昇や気泡径の粗大化といった問題点があり、研磨用に適する発泡体を得るのは困難であった。
特許第3013105号公報 特開2001−261874号公報(第6−7頁)
本発明は、従来の製造方法における上記の問題点を解決するものであり、押出成形では困難であった難発泡樹脂の成形方法を提供するためのもので、その目的とするところは、研磨性能の優れた研磨用難発泡樹脂の発泡体を効率良く成形する研磨用難発泡樹脂の成形方法を提供することにある。
本発明者らは、前記従来の問題点を鑑み、鋭意検討を重ねた結果、以下の手段により、本発明を完成するに至った。
上記目的を達成するための本発明に係る研磨用難発泡樹脂の成形方法の第一の特徴構成は、難発泡樹脂に後架橋剤を添加し、押出機により溶融させ、10MPaを超える圧力雰囲気下でその溶融樹脂に発泡剤を溶解及び/又は混合した後、該溶解及び/又は混合した地点の圧力より低い圧力雰囲気下に該溶融樹脂を曝すことで得られた発泡体を架橋させることを特徴とし、発泡体断面の気泡の平均径が0.1μm〜100μmである点にある。
すなわち、難発泡樹脂に後架橋剤を添加することで可塑化効果により溶融樹脂粘度を低下させるので、成形時の圧力が低下して成形がし易くなり、また架橋を進行させることで樹脂中に網目構造ができるために、耐磨耗性、耐熱性、耐薬品性の向上に寄与し、品質の安定化が図れる。なお、成形中に架橋が進行すると、溶融樹脂粘度が増加し成形性が低下するので、ここでいう後架橋剤は、成形中は架橋が進行せず、成形後に架橋が進行するようなものを指す。
また、気泡の平均径が0.1〜100μmである独立発泡体が、高精度な研磨に好適である。気泡の平均径が0.1μm未満であると、研磨スラリー中に含まれる砥粒の凝集物および研磨の進行に伴い発生する研磨屑等が、開口した気泡内に目詰まりし易くなるので、研磨速度の研磨対象面内におけるばらつきを引き起こしやすく、さらには研磨速度の経時変動が大きくなるので好ましくない。逆に100μmを超えると、研磨対象面内においてスラリーの保持性能がばらつき易く、研磨速度の研磨対象面内におけるばらつきが大きくなるため、高精度な研磨の実現が困難となる。
そして、気泡の平均径が0.1〜100μmの独立発泡体を得るための条件は、発泡剤を樹脂に溶解混合する圧力雰囲気が10MPa以上であることである。10MPa未満では、発泡剤の溶解混合が安定に進行せず、得られた独立発泡体の発泡状態がばらつき易くなるので好ましくない。つまり、発泡剤を10MPa未満で溶解混合した場合は、得られた独立発泡体に含まれる気泡は粗大で、平均気泡径が100μm未満の気泡を得ることは非常に困難となる。
したがって、上記第一の特徴構成により、研磨性能の優れた研磨用難発泡樹脂の発泡体を効率良く成形する研磨用難発泡樹脂の成形方法が提供される。
同第二の特徴構成は、前記難発泡樹脂がJIS K 7311に準じたA硬度90以上であり、流動開始温度が200℃〜230℃である点にある。
すなわち、樹脂の硬度が研磨特性に大きく影響し、難発泡樹脂がJIS K 7311に準じたA硬度90以上であることが好ましい。また高温条件では樹脂の熱分解が進むので、流動開始温度が200℃〜230℃の難発泡樹脂が好ましい。
同第三の特徴構成は、前記難発泡樹脂が熱可塑性エラストマーである点にある。
すなわち、研磨特性に大きな影響を及ぼす硬度や圧縮率等の物性を比較的容易に制御できるという点から、ウレタン系やオレフィン系等の熱可塑性エラストマーが好適である。
同第四の特徴構成は、前記熱可塑性エラストマーがポリウレタンである点にある。
すなわち、上記熱可塑性エラストマーの中でも、研磨に重要な耐摩耗性を比較的広い範囲でコントロールすることが可能であるという点で、熱可塑性エラストマーがポリウレタンであることが最も好ましい。ポリウレタンは熱分解が230℃より徐々に始まるため、流動開始温度200℃〜230℃に適合して好ましい。
同第五の特徴構成は、前記難発泡樹脂100重量部に対し、後架橋剤0.1〜40重量部を含む点にある。
すなわち、後架橋剤の添加量が樹脂100重量部に対し架橋剤0.1未満であると、成形圧力の低下に寄与せず、架橋剤としての効果が殆ど発現しない。逆に40重量部より大きいと、架橋に寄与しないものが製品中に残存して不純物となり、あるいは製品性能を低下させる要因となるので好ましくない。したがって、後架橋剤の添加量は、樹脂100重量部に対し架橋剤0.1〜40重量部が好適である。
同第六の特徴構成は、前記発泡剤が常温・常圧で気体状態である点にある。
すなわち、常温・常圧のガスは、容易な操作で原料樹脂に溶解混合することが可能であるので、発泡剤が常温・常圧で気体状態であることが好ましい。
同第七の特徴構成は、前記発泡剤が二酸化炭素である点にある。
すなわち、原料樹脂に溶解混合し易く、取り扱いが容易であり、さらには他の発泡剤と比べて安価であるという点等から二酸化炭素がより好ましい。
同第八の特徴構成は、前記難発泡樹脂に樹脂の溶融張力を増加させる改質剤を添加する点にある。
すなわち、前記難発泡樹脂に後架橋剤と共に樹脂の溶融張力を増加させる改質剤を添加することで、上記後架橋剤による効果に加えて、樹脂の溶融張力が増加して破泡が抑制され、発泡剤の使用量が低減できる。同時に、発泡体の凹凸、スジ、焼け異物等の発生を抑制し、表面外観品質を向上させるとともに、発泡の均質化にも寄与する。特に、前記後架橋剤と上記樹脂張力増加用改質剤の両方を添加することにより、押出し時に金型出口周辺に樹脂が付着して「目やに状に」溜まる現象を低減させることができるという格別の効果を奏する。
同第九の特徴構成は、前記改質剤がアクリル変性を施したフッ素樹脂である点にある。
すなわち、前記改質剤は、適正な濃度であれば、最終製品に含まれていても研磨性能を低下させることなく、成形時においてのみ、発泡成形に好適な影響を及ぼし、かつ一般的な能力を有する押出機で樹脂と十分に混ぜ合わせることが可能である。特に、アクリル変性を施したフッ素樹脂はポリウレタンとの親和性が高く、容易に混ぜ合わせることができる。また、アクリル変性を施したフッ素樹脂は二酸化炭素との親和性が高いので、本発明において、二酸化炭素を発泡剤として用いた場合は、溶融樹脂に対する二酸化炭素の溶解及び/又は混合を促進する効果を発現し、極めて好適である。
本発明の成形方法によれば、押出成形では困難であった研磨用難発泡樹脂の発泡体を効率良く生産することが可能となり、研磨性能も向上した。また、安価な発泡剤の使用により低コストで、且つ品質の安定化にも期待できる。
本発明に係る研磨用難発泡樹脂の成形方法は、例えば半導体ウエハ等の表面研磨に用いる研磨パッドの材料となる研磨用発泡体を製造するものであり、その基本構成は、難発泡樹脂に後架橋剤を添加し、押出機により溶融させ、10MPaを超える圧力雰囲気下でその溶融樹脂に発泡剤を溶解及び/又は混合した後、該溶解及び/又は混合した地点の圧力より低い圧力雰囲気下に該溶融樹脂を曝すことで得られた発泡体を架橋させることを特徴とし、得られた発泡体断面の気泡の平均径が0.1μm〜100μmである。
本発明においては、難発泡樹脂に後架橋剤を添加することで成形時の圧力が低下して成形がし易くなり、また架橋を進行させることで、品質の安定化が図れる。ここでいう後架橋剤とは、成形中は可塑化効果により溶融樹脂粘度を低下させ、成形後に架橋が進行するようなものを指す。成形中に架橋が進行すると、溶融樹脂粘度が増加し、成形性が低下する。
例えばポリウレタンに対する後架橋剤としては、大日精化工業(株)製の後架橋剤(商品名:クロスネートEM−30)が挙げられる。該後架橋剤をポリウレタンとブレンドしたものを常温放置または熱処理することで架橋が進行する。樹脂中に網目構造ができるために、耐磨耗性、耐熱性、耐薬品性の向上に寄与し、品質の安定化が図れることから、非常に有用である。
後架橋剤の添加量は、樹脂100重量部に対し架橋剤0.1〜40重量部が好ましく、より好ましくは0.2〜30重量部、さらに好ましくは0.3〜20重量部、特に好ましくは0.4〜10重量部、最も好ましくは1〜5重量部である。下限値未満であると、成形圧力の低下に寄与せず、架橋剤としての効果が殆ど発現しない。逆に上限値より大きいと、架橋に寄与しないものが製品中に残存して不純物となり、あるいは製品性能を低下させる要因となるので好ましくない。
本発明においては、上記難発泡樹脂に後架橋剤と共に樹脂の溶融張力を増加させる改質剤(以下、樹脂張力増加用改質剤という)を添加することで、上記後架橋剤による効果に加えて、樹脂の溶融張力が増加して破泡が抑制され、発泡剤の使用量が低減できる。同時に、発泡体の表面外観品質(凹凸、スジ、焼け異物等)を向上させるとともに、発泡の均質化にも寄与する。特に、前記後架橋剤と上記樹脂張力増加用改質剤の両方を添加することにより、押出し時に金型出口周辺に樹脂が付着して「目やに状に」溜まる現象を低減させることができるという格別の効果を奏する。
例えばポリウレタンに対する上記改質剤としては、旭硝子(株)製の改質剤(商品名:Fluon(Fluonは旭硝子株式会社の登録商標である。以下、同じ) PTFE)等のフッ素樹脂、三菱レイヨン製の熱可塑性樹脂用改質剤(商品名:メタブレン(メタブレンは三菱レイヨン株式会社の登録商標である。以下、同じ)A−3000)に代表されるアクリル変性を施したフッ素樹脂が挙げられる。
上記改質剤の添加量は、樹脂100重量部に対し改質剤0.5〜10重量部が好ましく、より好ましくは3〜10重量部、さらに好ましくは3〜7重量部である。0.5重量部未満であると、樹脂の溶融張力の増加に寄与せず、改質剤としての効果が殆ど発現しない。逆に10重量部より大きいと、製品中に残存して不純物となり、あるいは製品性能を低下させる要因となるので好ましくない。3〜10重量部にした場合には、均一で径の小さい気泡を得ることができるという格別の効果を奏し、3〜7重量部では、より均一で径の小さい気泡を得ることができる。
本発明の難発泡樹脂は、例えばJIS K 7311(ポリウレタン系熱可塑性エラストマーの試験方法)の硬さ試験に準じた測定において、A硬度90以上の表面硬度を有し、流動開始温度が200℃以上である。原料の主成分は特に限定しないが、ポリウレタン、ポリスチレン、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリエチレン、ナイロン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリブテン、ポリアセタール、ポリフェニレンオキシド、ポリビニルアルコール、ポリメチルメタクリレート、ポリカーボネート、ポリアリレート、芳香族系ポリサルホン、ポリアミド、ポリイミド、フッ素樹脂、エチレン−プロピレン樹脂、エチレン−エチルアクリレート樹脂、アクリル樹脂、ノルボルネン系樹脂、例えば、ビニルポリイソプレン−スチレン共重合体、ブタジエン−スチレン共重合体、アクリロニトリル−スチレン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体等に代表されるスチレン共重合体、あるいは天然ゴム、合成ゴム等を用いることができる。これらは単独で用いても良いし、混合あるいは共重合させてもよいが、研磨特性に大きな影響を及ぼす硬度や圧縮率等の物性を比較的容易に制御できるという点から、例えばウレタン系やオレフィン系の熱可塑性エラストマーが好適である。その中でもさらに研磨に重要な耐摩耗性を、比較的広い範囲でコントロールすることが可能であるという点で、熱可塑性ポリウレタンエラストマーが最も好ましい。また、ポリウレタンは熱分解が230℃より徐々に始まるため、流動開始温度200℃〜230℃のものが好ましい。
本発明の成形方法においては、常温・常圧で気体状態のガスを発泡剤とすることが好ましい。このようなガスとしては、特に制限はなく、無機ガス、フロンガス、低分子量の炭化水素などの有機ガス等が挙げられるが、原料樹脂に不活性であり、ガスの回収が不要という点で無機ガスが好ましい。無機ガスとしては、常温・常圧で気体である無機物質であって、原料樹脂に溶解混合できるものであれば特に制限はなく、例えば二酸化炭素、窒素、アルゴン、ネオン、ヘリウム、酸素等が好ましいが、原料樹脂に溶解混合し易く、取り扱いが容易であり、さらには他の発泡剤と比べて安価であるという点等から二酸化炭素がより好ましい。
本発明によって得られた発泡体の平均気泡径は、0.1〜100μmが好ましい。気泡の平均径が0.1μm未満であると、研磨スラリー中に含まれる砥粒の凝集物および研磨の進行に伴い発生する研磨屑等が、開口した気泡内から排出されにくく、空孔が目詰まりし易い。その結果、研磨速度のウエハ面内におけるばらつきを引き起こしやすく、さらには研磨速度の経時変動が大きくなるので好ましくない。また、原料である樹脂の使用量の削減が困難となる。逆に100μmを超えると、ウエハ面内においてスラリーの保持性能がばらつき易く、研磨速度のウエハ面内におけるばらつきが大きくなるため、高精度な研磨の実現が困難となる恐れがある。
研磨に好適に用いられる、平均気泡径が0.1〜100μmの発泡体を得るための条件は、発泡剤を樹脂に溶解混合する圧力雰囲気が10MPa以上であることである。10MPa未満では、発泡剤の溶解混合が安定に進行せず、得られたシートの発泡状態がばらつき易くなるので好ましくない。また、発泡剤を10MPa未満で溶解混合した場合は、得られた発泡体に含まれる気泡は粗大で、平均気泡径が100μm未満の気泡を得ることは非常に困難となることからも、発泡剤を樹脂に溶解混合する圧力雰囲気は10MPa以上であることが好ましい。
本発明の成形方法の具体的としては、例えば固体ペレット樹脂と後架橋剤とを混合したもの、あるいは固体ペレット樹脂と後架橋剤と樹脂張力増加用改質剤とを混合したものを押出機中に投入し十分に混練した後に、同押出機中において発泡剤を10MPa以上の圧力雰囲気下で溶解混合した溶融樹脂を、押出機先端部に取り付けた金型を通して大気中に押し出すことにより、発泡剤を溶解混合した圧力より低い圧力雰囲気下に曝す方法が挙げられる。大気中に押し出し、架橋を進行させることで品質の安定した研磨用難発泡樹脂の発泡体が得られることが本発明の特徴であり、コンパウンドのスライス工程や発泡剤の含浸等は必要ない。また、樹脂張力増加用改質剤を混合したものでは、溶融樹脂の張力を増加させて破泡を防止し発泡剤の使用量を低減するとともに、押出し時に金型出口周辺に樹脂が溜まる「目やに」現象を低減させることで、効率良く研磨用難発泡樹脂の発泡体を成形できることも本発明の特徴である。
押出機内は、温度が100℃以上400℃未満、好ましくは120℃以上300℃未満、より好ましくは130℃以上250℃未満であり、圧力は10MPa以上70MPa未満、好ましくは13MPa以上50MPa未満、より好ましくは15MPa以上40MPa未満である。押出機としては、単軸押出機、二軸押出機、又はこれらの押出機を連結管で接続した、いわゆるタンデム型押出機を適宜選択し、使用することができる。
なお発泡剤である常温・常圧で気体状態のガスを、温度100℃以上400℃未満、圧力10MPa以上70MPa未満で樹脂に溶解及び/又は樹脂と混合する場合、その温度・圧力が該ガスの超臨界状態であることが好ましい。超臨界状態とは、臨界温度、臨界圧力以上の状態を意味し、例えば二酸化炭素の場合、30℃以上、7.3MPa以上である。超臨界状態では、液体状態よりも粘性が低くかつ拡散性が高いという特性を有し、また気体状態よりも密度が大きいことから、樹脂中に大量のガスを速やかに溶解、又は樹脂と混合させることができるので好ましい。
以下に、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明は、実施例の内容になんら限定されるものではない。
<発泡体製造設備>
本発明の実施例で使用した発泡体製造設備の概略図を図2に示す。
バレル径50mm、L/D=32の第一押出機11とバレル径65mm、L/D=36の第二押出機12を中空の単管16で連結したタンデム型押出機の先端に、リップ幅300mmのコートハンガータイプの金型13を取り付けた。
金型13から押し出された独立発泡体21は、引取機20により引き取られ、次工程に送られる。
発泡剤としては、二酸化炭素を用い、ボンベ17から取り出した後に、ガスブースターポンプ18により昇圧した二酸化炭素を、圧力調整弁19を経由してから単軸押出機11の中央前寄りに取り付けた注入口14を通して押出機中に注入した。
なお第一押出機において、溶融混練が進行する発泡剤注入口より上流側をゾーン(I)、発泡剤の溶解混合が進行する発泡剤注入口より下流側をゾーン(II)と呼び、図2中に(I)、(II)で示し、押出機中において10MPaを超える圧力雰囲気下で発泡剤を樹脂に溶解混合し、その後、発泡剤を溶解混合した圧力より低い圧力雰囲気下に曝す工程は、金型内部から大気圧雰囲気下へ発泡剤が溶解混合された溶融樹脂が押し出される、図2中に示したゾーン(III)に該当する。
<研磨性能評価>
被研磨物として、3インチのシリコンウエハ上に、電解メッキで10000ÅのCuを製膜したものを準備した。
研磨には定盤径200mmの片面研磨機を用いた。研磨機の定盤には、研磨パッドを両面テープで貼り付け、ダイヤモンドを電着したドレッシングディスクにより、荷重10kPa、定盤の回転数60rpm、ドレッシングディスクホルダーの回転数50rpmの条件で2時間、研磨パッド表面をドレッシングした後に、Cabot社製研磨スラリー(商品名:iCue5003)を流し、1分間、Cu膜を研磨した。
研磨条件としては、ウエハに加える荷重を34.3kPa(350g/cm)、定盤の回転数を70rpm、ウエハ回転数を70rpm、研磨スラリーの流量を200ml/minとした。
研磨後のウエハを洗浄、乾燥後、シート抵抗測定機を用いてCu膜厚を測定し、平均研磨速度およびウエハ面内における研磨速度ばらつき、平坦性を従来パッドと比較した。
(実施例1)
JIS K 7311に準じたA硬度で99(カタログ収載値)の大日精化製ポリウレタンP−4250(商品名:レザミンP)を100℃で4時間、棚段式乾燥機中で乾燥させた後、その樹脂ペレット100重量部に対し、架橋剤(商品名:クロスネートEM−30)を3.5重量部添加したものを原料とし、押出機ホッパー15に投入する。発泡剤として二酸化炭素を使用した。
単軸押出機11、単軸押出機12および成形用金型13の平均温度は、それぞれ219℃、195℃、および198℃に設定した。なお、ガス注入部直後の押出機内圧力は17.7MPaであり、樹脂に溶解及び/又は樹脂と混合するゾーンにおいて、発泡剤である二酸化炭素は超臨界状態であることを確認した。押出機の内圧、吐出状態が安定した後、成形用金型を出た発泡体を、10℃に制御した冷却ロールに通した後に引取機で引き取り、発泡体を得た。
得られた発泡体幅275mm、厚み1.1mmの発泡体をカミソリ刃により切断し、その断面を走査型電子顕微鏡S−2400(HITACHI製)で観察したところ、平均径15.5μmの気泡が、発泡体厚み方向および幅方向において、ほぼ均一に分散している状態が確認できた。
得られた発泡シートから、直径200mmの円盤を切り取り、単独で研磨パッドとして用い、Cu膜を研磨した。
(実施例2)
実施例1と同じく、大日精化製ポリウレタンP−4250(商品名:レザミンP)を100℃で4時間、棚段式乾燥機中で乾燥させた後、その樹脂ペレット100重量部に対し、三菱レイヨン製樹脂張力増加用改質剤(商品名:メタブレンA−3000)を5重量部あらかじめ二軸押出機で混合してペレットを作製し、そのペレット100重量部に対し架橋剤(商品名:クロスネートEM−30)を3.5重量部添加したものを原料とし、発泡剤として二酸化炭素を使用した。
単軸押出機11、単軸押出機12および成形用金型13の平均温度は、それぞれ216℃、190℃、および200℃に設定した。なお、ガス注入部直後の押出機内圧力は16.7MPaであり、樹脂に溶解及び/又は樹脂と混合するゾーンにおいて、発泡剤である二酸化炭素は超臨界状態であることを確認した。押出機の内圧、吐出状態が安定した後、成形用金型を出た発泡体を、10℃に制御した冷却ロールに通した後に引取機で引き取り、発泡体を得た。
得られた発泡体幅285mm、厚み1mmの発泡体をカミソリ刃により切断し、その断面を走査型電子顕微鏡S−2400(HITACHI製)で観察したところ、平均径10μmの気泡が、発泡体厚み方向および幅方向において、ほぼ均一に分散している状態が確認できた。
得られた発泡シートから、直径200mmの円盤を切り取り、単独で研磨パッドとして用い、Cu膜を研磨した。
(比較例1)
JIS K 7311に準じたA硬度で99(カタログ収載値)の大日精化製ポリウレタンP−4250(商品名:レザミンP)を100℃で4時間、棚段式乾燥機中で乾燥させた後、架橋剤は添加せずに押出機ホッパー15に投入する。発泡剤として二酸化炭素を使用した。
単軸押出機11、単軸押出機12および成形用金型13の平均温度は、実施例1と同様に、それぞれ219℃、195℃、および198℃に設定した。なお、ガス注入部直後の押出機内圧力は28.3MPaであり、樹脂に溶解及び/又は樹脂と混合するゾーンにおいて、発泡剤である二酸化炭素は超臨界状態であることを確認した。運転開始後、押出機の内圧が徐々に上昇し、それに応じて吐出状態も変化し、安定して発泡体が得られなかった。
(比較例2)
JIS K 7311に準じたA硬度で99(カタログ収載値)の大日精化製ポリウレタンP−4250(商品名:レザミンP)を100℃で4時間、棚段式乾燥機中で乾燥させた後、架橋剤は添加せずに押出機ホッパー15に投入する。発泡剤として二酸化炭素を使用した。
単軸押出機11、単軸押出機12および成形用金型13の設定温度は、実施例1よりも高く設定し、それぞれ平均温度は225℃、223℃、および220℃とした。なお、ガス注入部直後の押出機内圧力は9.3MPaであり、樹脂に溶解及び/又は樹脂と混合するゾーンにおいて、発泡剤である二酸化炭素は超臨界状態であることを確認した。押出機の内圧、吐出状態が安定した後、成形用金型を出たシートを、10℃に制御した冷却ロールに通した後に引取機で引き取り、発泡体を得た。
得られた幅250mm、厚み0.9mmの発泡体をカミソリ刃により切断し、その断面を走査型電子顕微鏡S−2400(HITACHI製)で観察したところ、平均径105.6μmの気泡が発泡体内に確認できた。但し、気泡形状がいびつで不均一であり、大きいものでは気泡径300μm以上のものも存在した。
得られた発泡シートから、直径200mmの円盤を切り取り、単独で研磨パッドとして用い、Cu膜を研磨した。
(比較例3)
研磨パッドとして、ロデール社製パッド(商品名:IC1000)を使用し、Cu膜を研磨した。
<評価結果>
成形性について、(比較例1)は成形できなかった。(比較例2)は成形できたが、気泡が全体的に粗大であると同時に、気泡サイズのばらつきが大きく、発泡状態が不良であった。(実施例1)および(実施例2)はいずれも問題なく成形できたが、(実施例2)では、改質剤の添加により、樹脂の溶融張力が増加して破泡が抑制され、押出機の成形用金型の出口付近に樹脂が目やに状に溜まる現象が見られなかった。
研磨性能について、(実施例1)および(実施例2)は、(比較例2)および(比較例3)に対して、研磨速度が向上し、研磨速度のばらつきが低減した。また、平坦性も実用上問題のないレベルであり、良好な研磨性能を示した。
半導体デバイスウエハの表面研磨プロセスにおいては、研磨パッドに代表される使用部材から溶出した成分が原因となるような、予期せぬ不良の発生を未然に防ぐために、添加剤等はできるだけ低濃度もしくは無添加が好ましいことから、(実施例1)が好適である。
化学的機械的研磨法(CMP)の標準的なプロセスの一例である。 実施例で使用した独立発泡体製造設備の概略図である。
符号の説明
1 半導体ウエハ
2 定盤
3 ドレッサー
4 研磨スラリー
5 試料ホルダー
6 研磨パッド
7 回転軸
8 ウエハ固定用治具
9 バッキング材
10 スラリー供給用配管
11 第一押出機
12 第二押出機
13 金型
14 発泡剤の注入用部品
15 原料ホッパー
16 中空単管
17 ボンベ
18 ガスブースターポンプ
19 圧力調整弁
20 引取機
21 独立発泡体

Claims (9)

  1. 難発泡樹脂に後架橋剤を添加し、押出機により溶融させ、10MPaを超える圧力雰囲気下でその溶融樹脂に発泡剤を溶解及び/又は混合した後、該溶解及び/又は混合した地点の圧力より低い圧力雰囲気下に該溶融樹脂を曝すことで得られた発泡体を架橋させることを特徴とし、発泡体断面の気泡の平均径が0.1μm〜100μmである研磨用難発泡樹脂の成形方法。
  2. 前記難発泡樹脂がJIS K 7311に準じたA硬度90以上であり、流動開始温度が200℃〜230℃である、請求項1記載の研磨用難発泡樹脂の成形方法。
  3. 前記難発泡樹脂が熱可塑性エラストマーである、請求項1又は2記載の研磨用難発泡樹脂の成形方法。
  4. 前記熱可塑性エラストマーがポリウレタンである、請求項3記載の研磨用難発泡樹脂の成形方法。
  5. 前記難発泡樹脂100重量部に対し、前記後架橋剤0.1〜40重量部を含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の研磨用難発泡樹脂の成形方法。
  6. 前記発泡剤が常温・常圧で気体状態である請求項1〜5のいずれか1項に記載の研磨用難発泡樹脂の成形方法。
  7. 前記発泡剤が二酸化炭素である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の研磨用難発泡樹脂の成形方法。
  8. 前記難発泡樹脂に樹脂の溶融張力を増加させる改質剤を添加する請求項1〜7のいずれか1項に記載の研磨用難発泡樹脂の成形方法。
  9. 前記改質剤がアクリル変性を施したフッ素樹脂である請求項8記載の研磨用難発泡樹脂の成形方法。
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