JP2004315740A - インク組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】普通紙に発色性に優れ、混色にじみ、印字ムラの極めて少ない良好な画像が実現できるインク組成物、とりわけインクジェット記録方法に用いられた際、吐出安定性、インク保存安定性、放置目詰まり回復性等の信頼性の確保を実現するインク組成物の提供。
【解決手段】着色剤と、下記の式(I)で表される化合物と、トリエチレングリコールモノブチルエーテルと、水と、水溶性有機溶剤とを少なくとも含んでなる、インク組成物。
(上記式中、R1〜R7は、C1−6 アルキル基を表し、jおよびkは、1以上の整数を表し、EOはエチレンオキシ基を表し、POはプロピレンオキシ基を表し、l、mおよびnは0以上の整数を表すが、但しm+nは1以上の整数を表す。)
【選択図】 なし
【解決手段】着色剤と、下記の式(I)で表される化合物と、トリエチレングリコールモノブチルエーテルと、水と、水溶性有機溶剤とを少なくとも含んでなる、インク組成物。
(上記式中、R1〜R7は、C1−6 アルキル基を表し、jおよびkは、1以上の整数を表し、EOはエチレンオキシ基を表し、POはプロピレンオキシ基を表し、l、mおよびnは0以上の整数を表すが、但しm+nは1以上の整数を表す。)
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリエーテル変性ポリシロキサンとトリエチレングリコールモノブチルエーテルを含んでなる、特に普通紙に対し発色性、混色にじみ、印字ムラの極めて少ない良好な画像品質を実現し、吐出安定性、インク保存安定性、長期放置における目詰まり回復性に優れるインク組成物の提供をその目的としているインクジェット記録に好適なインク組成物に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
インクジェット記録は、微細なノズルからインクを小滴として吐出して、文字や図形を記録媒体表面に記録する方法である。このようなインクジェット記録に用いられるインクには種々の特性が要求されている。例えば、印刷物の発色性、吐出安定性、及び長期放置における目詰まり回復性が良好なことが挙げられる。
【0003】
特に価格的に低廉で且つ広く普及している普通紙に、高い品質の画像を実現したいという要求が依然として存在している。
この要求に対し、各種浸透溶剤及び/又は界面活性剤を添加したインクが検討されてきたが、特に界面活性剤として、シリコン系変性ポリシロキサン化合物が知られている。この化合物を含んだインク組成物もまたいくつか知られている。例えば、オルガノ変性ポリシロキサンを含む平板印刷用のインク組成物(例えば、特許文献1参照)、消泡剤として変性ポリシロキサンを含んでなるインク組成物(例えば、特許文献2参照)、特定構造を有する変性ポリシロキサンを含んでなるインクジェット記録用インク組成物(例えば、特許文献3及び4参照)、ポリエーテル変性ポリシロキサンを含んでなるインク組成物(例えば、特許文献5参照)が知られている。
【0004】
【特許文献1】
特開昭59−66475号公報
【特許文献2】
特開昭60−173068号公報
【特許文献3】
特開平5−169790号公報
【特許文献4】
特開平10−310732号公報
【特許文献5】
特開平10−279871号公報
【0005】
しかし、界面活性剤、浸透溶剤の種類及びその構造について、どのようなものでもインクジェット用インクとして特性がでるというものではない。
その種類、構造によっては、インク保存安定性に悪影響を及ぼすこともあり、印刷品質に於いても特に普通紙は、良好な品質の画像を実現し難く、各色間のブリード(色混じり)にも向上が見られないこともある。また、インクジェット用インク適正として、吐出安定性や長期放置後の目詰まり回復性等の信頼性が確保できないこともある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、今般、特定構造のポリエーテル変性ポリシロキサンとトリエチレングリコールモノブチルエーテルとを含んでなるインク組成物によれば、良好な画像が実現できるとの知見を得た。
【0007】
従って、本発明は、良好な画像が実現できるインク組成物、とりわけインクジェット記録方法に用いられた際、発色性、混色にじみ、印字ムラの極めて少ない良好な画像品質を実現し、吐出安定性、インク保存安定性、長期放置における目詰まり回復性に優れるインク組成物の提供をその目的としている。
【0008】
そして、本発明によるインク組成物は、着色剤、下記の式(I)で表される化合物と、トリエチレングリコールモノブチルエーテルと、水と、水溶性有機溶剤とを少なくとも含んでなるものである。
【0009】
【化2】
(上記式中、
R1〜R7は、独立して、C1−6 アルキル基を表し、
jおよびkは、独立して1以上の整数を表し、
EOはエチレンオキシ基を表し、
POはプロピレンオキシ基を表し、
l、mおよびnは0以上の整数を表すが、但しm+nは1以上の整数を表し、
EOおよびPOは、[]内においてその順序は問わず、ランダムであってもブロックであってもよい。)
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明によるインク組成物は、インク組成物を用いた記録方式に用いられる。インク組成物を用いた記録方式とは、例えば、インクジェット記録方式、ペン等による筆記用具による記録方式、その他各種印刷方式が挙げられる。特に本発明によるインク組成物は、インクジェット記録方法に好ましく用いられる。
【0011】
本発明によるインク組成物によれば、インクジェット記録方法において、発色性、混色にじみ、印字ムラの極めて少ない良好な画像品質を実現し、吐出安定性、インク保存安定性、長期放置における目詰まり回復性に優れたものを実現できる点で有利である。
【0012】
本発明によるインク組成物は、上記した式(I)の化合物を含んでなる。
【0013】
式(I)においてR1〜R7は、独立してC1−6アルキル基、好ましくはメチル基を表す。jおよびkは、独立して、1以上の整数を表すが、より好ましくは1〜2である。また、l、mおよびnは0以上の整数を表すが、但しm+nは1以上の整数を表す。
【0014】
本発明の好ましい態様によれば、式(I)の化合物として、j=kを満足するものが好ましい。また別の本発明に好ましい態様によれば、式(I)の化合物として、R1〜R7が全てメチル基を表し、jが1を表し、kが1を表し、lが1を表し、mが1以上の整数を表し、nが0を表すものが好ましい。
【0015】
式(I)の化合物は市販されており、それを利用することが可能である。例えば、ビックケミー・ジャパン株式会社より、シリコン系界面活性剤BYK−345、同346、同347、同348が利用可能である。
特に、BYK−347は上記より好ましい態様に該当するものである。
【0016】
式(I)の化合物の添加量は適宜決定されてよいが、0.03〜3重量%が好ましく、より好ましくは0.1〜2重量%程度である。
【0017】
更に、本発明の好ましい態様によれば、本発明によるインク組成物は、トリエチレングリコールモノブチルエーテルをさらに含んでなることが好ましい。その添加量は適宜決定されてよいが、1〜20重量%程度が好ましく、より好ましくは3〜10重量%程度である。
本発明によるインク組成物は、着色剤として染料及び/又は顔料を含んでなる。染料としては、水溶性染料、直接染料、塩基性染料、反応性染料のいずれも使用することができる。
【0018】
顔料としては、無機顔料および有機顔料のいずれも使用することができる。
また、染料、顔料の添加量は適宜決定されてよいが、インク組成物に対して0.1〜20重量%の範囲が好ましく、より好ましくは1〜10重量%の範囲である。
【0019】
本発明におけるインク組成物において、水は、イオン交換水、限外濾過水、逆浸透水、蒸留水等の純水、または超純水を用いることができる。また、紫外線照射、または過酸化水素添加などにより滅菌した水を用いることにより、インク組成物を長期保存する場合にカビやバクテリアの発生を防止することができるので好適である。
【0020】
本発明の好ましい態様によれば、本発明によるインク組成物は、高沸点有機溶媒からなる湿潤剤を含んでなることが好ましい。高沸点有機溶剤の好ましい例としては、グリセリン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、1,2,6−ヘキサントリオール、チオジグリコール、ヘキシレングリコール、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパンなどの多価アルコール類、尿素、N−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノンなどが挙げられ、これら一種または二種以上の混合物として用いることができる。この中でも、グリセリン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、尿素が好ましい。これらの添加量は、インク組成に対して1〜20重量%程度の範囲が好ましく、より好ましくは5〜10重量%程度の範囲である。
【0021】
本発明の好ましい態様によれば、本発明によるインク組成物には糖をさらに添加することが好ましい。糖の好ましい具体例としては、単糖類、二糖類、オリゴ糖類(三糖類および四糖類を含む)および多糖類があげられる。
【0022】
これら糖類の含有量は、インク組成物に対して1〜20重量%程度が好ましく、より好ましくは3〜10重量%程度である。
【0023】
本発明によるインク組成物は、さらにノズルの目詰まり防止剤、防腐剤、酸化防止剤、導電率調整剤、pH調整剤、粘度調整剤、表面張力調整剤、酸素吸収剤などを添加することができる。
【0024】
防腐剤・防かび剤の例としては、安息香酸ナトリウム、ペンタクロロフェノールナトリウム、2−ピリジンチオール−1−オキサイドナトリウム、ソルビン酸ナトリウム、デヒドロ酢酸ナトリウム、1,2−ジベンジンチアゾリン−3−オン(ICI社のプロキセルCRL、プロキセルBND、プロキセルGXL、プロキセルXL−2、プロキセルTN)などがあげられる。
【0025】
さらに、pH調整剤、溶解助剤、または酸化防止剤の例としては、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、プロパノールアミン、モルホリンなどのアミン類およびそれらの変成物、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウムなどの無機塩類、水酸化アンモニウム、四級アンモニウム水酸化物(テトラメチルアンモニウムなど)、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸リチウムなどの炭酸塩類その他燐酸塩など、あるいはN−メチル−2−ピロリドン、尿素、チオ尿素、テトラメチル尿素などの尿素類、アロハネート、メチルアロハネートなどのアロハネート類、ビウレット、ジメチルビウレット、テトラメチルビウレットなどのビウレット類など、L−アスコルビン酸およびその塩を挙げることができる。
【0026】
また、本発明によるインク組成物は酸化防止剤および紫外線吸収剤を含むことができ、その例としてはチバガイギーのTinuvin328、900、1130、384、292、123、144、622、770、292、Irgacor252、153、Irganox1010、1076、1035、MD1024、ランタニドの酸化物などが挙げられる。
【0027】
【実施例】
本発明を以下の実施例によってさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、表中の数値は重量%を示す。
(1)インク組成物の調製
下記の表1に示される成分を混合し、25℃で60分間撹拌した。混合液を5μmのメンブランフィルターで濾過して、インク組成物を得た。
【0028】
なおBYK347、348はシリコン系界面活性剤(ビックケミー・ジャパン製)であり、式(I)に包含される化合物である。
【0029】
【表1】
(2)評価試験
本発明の実施例のインク組成物について、インクジェットプリンターEM900C(セイコーエプソン株式会社製)に充填し、以下の評価試験を行ない、得られた結果を表2に示す。
【0030】
<評価1:印刷ムラ>
Xerox 4024(ゼロックス社)、Xerox P(ゼロックス社)、およびHanmer Mill Copy Plus(Hanmer Mill社)に、各色のインク組成物によって解像度720dpi、100%dutyで印字を行った。印字部分のOD値をOD値測定器(GRETAG社製、SPM−50)によりランダムに10ポイント測定して、その結果を以下の基準で評価した。
評価A:10ポイントのOD値の差が0.05未満である。
評価B:10ポイントのOD値の差が0.05以上0.1未満である。
評価C:10ポイントのOD値の差が0.1以上0.15未満である。
評価D:10ポイントのOD値の差が0.15以上である。
【0031】
<評価2:滲み>
評価1で得られた印事物を目視で観察し、にじみを以下の基準で評価した。
評価A:全紙においてにじみの発生がなかった。
評価B:少なくとも一種の用紙においてのみ、わずかなにじみが発生した。
評価C:全紙にひげ状のにじみが発生した。
評価D:少なくとも一種の用紙において、文字の輪郭がはっきりしないほどのにじみが発生した。
【0032】
<評価3:ブリード>
評価1と同様の記録紙および印字条件で印字を行った。但し、シアン、マゼンタ、イエローを隣り合うように印刷し、色境で不均一な色混じり(ブリード)を目視にて観察した。その結果を以下の基準で評価した。
評価AA:全紙において色混じりが全くなく、境界が鮮明であった。
評価A:全紙において色混じりがみられなかった。
評価B:少なくとも一種の用紙においてのみ、わずかな色混じりがあった。
評価C:全紙にひげ状の色混じりが発生した。
評価D:少なくとも一種の用紙において、色境界がはっきりしないほどの色混じりが発生した。
【0033】
<評価4:吐出安定性>
常温下、連続印字を行い、ドット抜けおよびインクの飛び散りの有無を観察した。その結果を以下の基準で評価した。
評価A:72時間経過時で、ドット抜けまたはインクの飛び散りの発生が10回以下である。
評価B:48〜72時間の内に、ドット抜けまたはインクの飛び散りが10回発生した。
評価C:24〜48時間の内に、ドット抜けまたはインクの飛び散りが10回発生した。
評価D:24時間以内に、ドット抜けまたはインクの飛び散りが10回発生した。
【0034】
<評価5:目詰まり回復性>
プリンターにインクを充填し、正常な印字が行えることを確認した後、印字を停止した。その後6ヶ月間、プリンターを常温(25℃)下放置した。放置後、印字を再開し、吐出不良がなく、放置前と同等な印字が得られるまでクリーニング操作を行った。そのクリーニング操作の回数を以下の基準で評価した。
評価A:0〜5回のクリーニング操作で放置前と同等の印字が得られた。
評価B:6〜10回のクリーニング操作で放置前と同等の印字が得られた。
評価C:11回のクリーニング操作では放置前と同等の印字が得られなかった。
【0035】
<評価6:インク保存安定性>
インク組成物50ccをラボランスクリュー管瓶に入れ、60℃環境下で2ヶ月間放置した。放置後のインク組成物中の凝集物(異物)発生の有無を、以下の方法、基準で評価した。
(方法)放置後インクを5μmのメンブランフィルターで濾過した際のフィルター上を顕微鏡で観察した。
評価A:フィルター上に水に不溶性の凝集物(異物)は無い。
評価B:フィルター上に水に不溶性の凝集物(異物)が見て取れた。
【0036】
<評価7:間欠印字特性>
常温下、10分間各色の空送印字を行い、その直後の印字に対してのドット抜けおよびインクの飛び散りの有無を観察した。その結果を以下の基準で評価した。
評価A:打ち始めからドット抜けまたはインクの飛び散りが無く正常に印字した。
評価B:打ち始めで僅かなよれがあるがドット抜けまたはインクの飛び散りは無かった。
評価C:打ち始めでインクの飛び散りが発生した。
評価D:打ち始めでドット抜けが発生した。
【0037】
【表2】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリエーテル変性ポリシロキサンとトリエチレングリコールモノブチルエーテルを含んでなる、特に普通紙に対し発色性、混色にじみ、印字ムラの極めて少ない良好な画像品質を実現し、吐出安定性、インク保存安定性、長期放置における目詰まり回復性に優れるインク組成物の提供をその目的としているインクジェット記録に好適なインク組成物に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
インクジェット記録は、微細なノズルからインクを小滴として吐出して、文字や図形を記録媒体表面に記録する方法である。このようなインクジェット記録に用いられるインクには種々の特性が要求されている。例えば、印刷物の発色性、吐出安定性、及び長期放置における目詰まり回復性が良好なことが挙げられる。
【0003】
特に価格的に低廉で且つ広く普及している普通紙に、高い品質の画像を実現したいという要求が依然として存在している。
この要求に対し、各種浸透溶剤及び/又は界面活性剤を添加したインクが検討されてきたが、特に界面活性剤として、シリコン系変性ポリシロキサン化合物が知られている。この化合物を含んだインク組成物もまたいくつか知られている。例えば、オルガノ変性ポリシロキサンを含む平板印刷用のインク組成物(例えば、特許文献1参照)、消泡剤として変性ポリシロキサンを含んでなるインク組成物(例えば、特許文献2参照)、特定構造を有する変性ポリシロキサンを含んでなるインクジェット記録用インク組成物(例えば、特許文献3及び4参照)、ポリエーテル変性ポリシロキサンを含んでなるインク組成物(例えば、特許文献5参照)が知られている。
【0004】
【特許文献1】
特開昭59−66475号公報
【特許文献2】
特開昭60−173068号公報
【特許文献3】
特開平5−169790号公報
【特許文献4】
特開平10−310732号公報
【特許文献5】
特開平10−279871号公報
【0005】
しかし、界面活性剤、浸透溶剤の種類及びその構造について、どのようなものでもインクジェット用インクとして特性がでるというものではない。
その種類、構造によっては、インク保存安定性に悪影響を及ぼすこともあり、印刷品質に於いても特に普通紙は、良好な品質の画像を実現し難く、各色間のブリード(色混じり)にも向上が見られないこともある。また、インクジェット用インク適正として、吐出安定性や長期放置後の目詰まり回復性等の信頼性が確保できないこともある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、今般、特定構造のポリエーテル変性ポリシロキサンとトリエチレングリコールモノブチルエーテルとを含んでなるインク組成物によれば、良好な画像が実現できるとの知見を得た。
【0007】
従って、本発明は、良好な画像が実現できるインク組成物、とりわけインクジェット記録方法に用いられた際、発色性、混色にじみ、印字ムラの極めて少ない良好な画像品質を実現し、吐出安定性、インク保存安定性、長期放置における目詰まり回復性に優れるインク組成物の提供をその目的としている。
【0008】
そして、本発明によるインク組成物は、着色剤、下記の式(I)で表される化合物と、トリエチレングリコールモノブチルエーテルと、水と、水溶性有機溶剤とを少なくとも含んでなるものである。
【0009】
【化2】
(上記式中、
R1〜R7は、独立して、C1−6 アルキル基を表し、
jおよびkは、独立して1以上の整数を表し、
EOはエチレンオキシ基を表し、
POはプロピレンオキシ基を表し、
l、mおよびnは0以上の整数を表すが、但しm+nは1以上の整数を表し、
EOおよびPOは、[]内においてその順序は問わず、ランダムであってもブロックであってもよい。)
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明によるインク組成物は、インク組成物を用いた記録方式に用いられる。インク組成物を用いた記録方式とは、例えば、インクジェット記録方式、ペン等による筆記用具による記録方式、その他各種印刷方式が挙げられる。特に本発明によるインク組成物は、インクジェット記録方法に好ましく用いられる。
【0011】
本発明によるインク組成物によれば、インクジェット記録方法において、発色性、混色にじみ、印字ムラの極めて少ない良好な画像品質を実現し、吐出安定性、インク保存安定性、長期放置における目詰まり回復性に優れたものを実現できる点で有利である。
【0012】
本発明によるインク組成物は、上記した式(I)の化合物を含んでなる。
【0013】
式(I)においてR1〜R7は、独立してC1−6アルキル基、好ましくはメチル基を表す。jおよびkは、独立して、1以上の整数を表すが、より好ましくは1〜2である。また、l、mおよびnは0以上の整数を表すが、但しm+nは1以上の整数を表す。
【0014】
本発明の好ましい態様によれば、式(I)の化合物として、j=kを満足するものが好ましい。また別の本発明に好ましい態様によれば、式(I)の化合物として、R1〜R7が全てメチル基を表し、jが1を表し、kが1を表し、lが1を表し、mが1以上の整数を表し、nが0を表すものが好ましい。
【0015】
式(I)の化合物は市販されており、それを利用することが可能である。例えば、ビックケミー・ジャパン株式会社より、シリコン系界面活性剤BYK−345、同346、同347、同348が利用可能である。
特に、BYK−347は上記より好ましい態様に該当するものである。
【0016】
式(I)の化合物の添加量は適宜決定されてよいが、0.03〜3重量%が好ましく、より好ましくは0.1〜2重量%程度である。
【0017】
更に、本発明の好ましい態様によれば、本発明によるインク組成物は、トリエチレングリコールモノブチルエーテルをさらに含んでなることが好ましい。その添加量は適宜決定されてよいが、1〜20重量%程度が好ましく、より好ましくは3〜10重量%程度である。
本発明によるインク組成物は、着色剤として染料及び/又は顔料を含んでなる。染料としては、水溶性染料、直接染料、塩基性染料、反応性染料のいずれも使用することができる。
【0018】
顔料としては、無機顔料および有機顔料のいずれも使用することができる。
また、染料、顔料の添加量は適宜決定されてよいが、インク組成物に対して0.1〜20重量%の範囲が好ましく、より好ましくは1〜10重量%の範囲である。
【0019】
本発明におけるインク組成物において、水は、イオン交換水、限外濾過水、逆浸透水、蒸留水等の純水、または超純水を用いることができる。また、紫外線照射、または過酸化水素添加などにより滅菌した水を用いることにより、インク組成物を長期保存する場合にカビやバクテリアの発生を防止することができるので好適である。
【0020】
本発明の好ましい態様によれば、本発明によるインク組成物は、高沸点有機溶媒からなる湿潤剤を含んでなることが好ましい。高沸点有機溶剤の好ましい例としては、グリセリン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、1,2,6−ヘキサントリオール、チオジグリコール、ヘキシレングリコール、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパンなどの多価アルコール類、尿素、N−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノンなどが挙げられ、これら一種または二種以上の混合物として用いることができる。この中でも、グリセリン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、尿素が好ましい。これらの添加量は、インク組成に対して1〜20重量%程度の範囲が好ましく、より好ましくは5〜10重量%程度の範囲である。
【0021】
本発明の好ましい態様によれば、本発明によるインク組成物には糖をさらに添加することが好ましい。糖の好ましい具体例としては、単糖類、二糖類、オリゴ糖類(三糖類および四糖類を含む)および多糖類があげられる。
【0022】
これら糖類の含有量は、インク組成物に対して1〜20重量%程度が好ましく、より好ましくは3〜10重量%程度である。
【0023】
本発明によるインク組成物は、さらにノズルの目詰まり防止剤、防腐剤、酸化防止剤、導電率調整剤、pH調整剤、粘度調整剤、表面張力調整剤、酸素吸収剤などを添加することができる。
【0024】
防腐剤・防かび剤の例としては、安息香酸ナトリウム、ペンタクロロフェノールナトリウム、2−ピリジンチオール−1−オキサイドナトリウム、ソルビン酸ナトリウム、デヒドロ酢酸ナトリウム、1,2−ジベンジンチアゾリン−3−オン(ICI社のプロキセルCRL、プロキセルBND、プロキセルGXL、プロキセルXL−2、プロキセルTN)などがあげられる。
【0025】
さらに、pH調整剤、溶解助剤、または酸化防止剤の例としては、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、プロパノールアミン、モルホリンなどのアミン類およびそれらの変成物、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウムなどの無機塩類、水酸化アンモニウム、四級アンモニウム水酸化物(テトラメチルアンモニウムなど)、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸リチウムなどの炭酸塩類その他燐酸塩など、あるいはN−メチル−2−ピロリドン、尿素、チオ尿素、テトラメチル尿素などの尿素類、アロハネート、メチルアロハネートなどのアロハネート類、ビウレット、ジメチルビウレット、テトラメチルビウレットなどのビウレット類など、L−アスコルビン酸およびその塩を挙げることができる。
【0026】
また、本発明によるインク組成物は酸化防止剤および紫外線吸収剤を含むことができ、その例としてはチバガイギーのTinuvin328、900、1130、384、292、123、144、622、770、292、Irgacor252、153、Irganox1010、1076、1035、MD1024、ランタニドの酸化物などが挙げられる。
【0027】
【実施例】
本発明を以下の実施例によってさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、表中の数値は重量%を示す。
(1)インク組成物の調製
下記の表1に示される成分を混合し、25℃で60分間撹拌した。混合液を5μmのメンブランフィルターで濾過して、インク組成物を得た。
【0028】
なおBYK347、348はシリコン系界面活性剤(ビックケミー・ジャパン製)であり、式(I)に包含される化合物である。
【0029】
【表1】
(2)評価試験
本発明の実施例のインク組成物について、インクジェットプリンターEM900C(セイコーエプソン株式会社製)に充填し、以下の評価試験を行ない、得られた結果を表2に示す。
【0030】
<評価1:印刷ムラ>
Xerox 4024(ゼロックス社)、Xerox P(ゼロックス社)、およびHanmer Mill Copy Plus(Hanmer Mill社)に、各色のインク組成物によって解像度720dpi、100%dutyで印字を行った。印字部分のOD値をOD値測定器(GRETAG社製、SPM−50)によりランダムに10ポイント測定して、その結果を以下の基準で評価した。
評価A:10ポイントのOD値の差が0.05未満である。
評価B:10ポイントのOD値の差が0.05以上0.1未満である。
評価C:10ポイントのOD値の差が0.1以上0.15未満である。
評価D:10ポイントのOD値の差が0.15以上である。
【0031】
<評価2:滲み>
評価1で得られた印事物を目視で観察し、にじみを以下の基準で評価した。
評価A:全紙においてにじみの発生がなかった。
評価B:少なくとも一種の用紙においてのみ、わずかなにじみが発生した。
評価C:全紙にひげ状のにじみが発生した。
評価D:少なくとも一種の用紙において、文字の輪郭がはっきりしないほどのにじみが発生した。
【0032】
<評価3:ブリード>
評価1と同様の記録紙および印字条件で印字を行った。但し、シアン、マゼンタ、イエローを隣り合うように印刷し、色境で不均一な色混じり(ブリード)を目視にて観察した。その結果を以下の基準で評価した。
評価AA:全紙において色混じりが全くなく、境界が鮮明であった。
評価A:全紙において色混じりがみられなかった。
評価B:少なくとも一種の用紙においてのみ、わずかな色混じりがあった。
評価C:全紙にひげ状の色混じりが発生した。
評価D:少なくとも一種の用紙において、色境界がはっきりしないほどの色混じりが発生した。
【0033】
<評価4:吐出安定性>
常温下、連続印字を行い、ドット抜けおよびインクの飛び散りの有無を観察した。その結果を以下の基準で評価した。
評価A:72時間経過時で、ドット抜けまたはインクの飛び散りの発生が10回以下である。
評価B:48〜72時間の内に、ドット抜けまたはインクの飛び散りが10回発生した。
評価C:24〜48時間の内に、ドット抜けまたはインクの飛び散りが10回発生した。
評価D:24時間以内に、ドット抜けまたはインクの飛び散りが10回発生した。
【0034】
<評価5:目詰まり回復性>
プリンターにインクを充填し、正常な印字が行えることを確認した後、印字を停止した。その後6ヶ月間、プリンターを常温(25℃)下放置した。放置後、印字を再開し、吐出不良がなく、放置前と同等な印字が得られるまでクリーニング操作を行った。そのクリーニング操作の回数を以下の基準で評価した。
評価A:0〜5回のクリーニング操作で放置前と同等の印字が得られた。
評価B:6〜10回のクリーニング操作で放置前と同等の印字が得られた。
評価C:11回のクリーニング操作では放置前と同等の印字が得られなかった。
【0035】
<評価6:インク保存安定性>
インク組成物50ccをラボランスクリュー管瓶に入れ、60℃環境下で2ヶ月間放置した。放置後のインク組成物中の凝集物(異物)発生の有無を、以下の方法、基準で評価した。
(方法)放置後インクを5μmのメンブランフィルターで濾過した際のフィルター上を顕微鏡で観察した。
評価A:フィルター上に水に不溶性の凝集物(異物)は無い。
評価B:フィルター上に水に不溶性の凝集物(異物)が見て取れた。
【0036】
<評価7:間欠印字特性>
常温下、10分間各色の空送印字を行い、その直後の印字に対してのドット抜けおよびインクの飛び散りの有無を観察した。その結果を以下の基準で評価した。
評価A:打ち始めからドット抜けまたはインクの飛び散りが無く正常に印字した。
評価B:打ち始めで僅かなよれがあるがドット抜けまたはインクの飛び散りは無かった。
評価C:打ち始めでインクの飛び散りが発生した。
評価D:打ち始めでドット抜けが発生した。
【0037】
【表2】
Claims (4)
- 式(I)の化合物が、j=kを満足するものである、請求項1記載のインク組成物。
- 式(I)の化合物が、R1〜R7が全てメチル基を表し、jが1を表し、kが1を表し、lが1を表し、mが1以上の整数を表し、nが0を表すものである、請求項1または2に記載のインク組成物。
- 前記着色剤が染料である請求項1〜3のいずれかに記載のインク組成物。
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|
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Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2007016103A (ja) * | 2005-07-06 | 2007-01-25 | Seiko Epson Corp | インク組成物 |
US8313572B2 (en) | 2005-03-22 | 2012-11-20 | Seiko Epson Corporation | Metallic pigment, pigment dispersion liquid, metallic pigment ink composition, and ink jet recording method |
JP2013155376A (ja) * | 2013-03-11 | 2013-08-15 | Seiko Epson Corp | インク組成物 |
-
2003
- 2003-04-18 JP JP2003114365A patent/JP2004315740A/ja not_active Withdrawn
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US8313572B2 (en) | 2005-03-22 | 2012-11-20 | Seiko Epson Corporation | Metallic pigment, pigment dispersion liquid, metallic pigment ink composition, and ink jet recording method |
JP2007016103A (ja) * | 2005-07-06 | 2007-01-25 | Seiko Epson Corp | インク組成物 |
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