JP2004315656A - 着色微粒子分散液の製造方法及びインクジェット記録用インク - Google Patents

着色微粒子分散液の製造方法及びインクジェット記録用インク Download PDF

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Akihiko Takeda
昭彦 竹田
Takahito Chiba
隆人 千葉
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Abstract

【課題】インク及び画像濃度の高濃度化により、色域拡大、画質向上に寄与する着色微粒子分散液の製造方法及びインクジェット記録用インクを提供することであり、また、高濃度と定着性・擦過性が両立した着色微粒子分散液の製造方法及びインクジェット記録用インクを提供することでありさらには、高濃度化インクを容易に製造できる技術を提供すること。
【解決手段】油溶性染料と樹脂を有機溶媒に溶解し水中に乳化分散する工程、該有機溶媒を除去し該油溶性染料と該樹脂からなる着色微粒子の分散液を得る工程、該着色微粒子の分散液を限外ろ過膜又は逆浸透膜を用いて濃縮処理する工程を有することを特徴とする着色微粒子分散液の製造方法。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、着色微粒子分散液の製造方法及びインクジェット記録用インクに関するものであり、さらに詳しくは、濃縮された着色微粒子分散液の製造方法及びこの濃縮された着色微粒子分散液からなるインクジェット記録用インクに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、プリンタ、印刷機、マーカー、筆記具等に用いられる記録材料、インキング材料にも脱溶剤化、水性化が求められてきている。特に、インクジェットに用いられる水性の記録材料としては、水溶性染料の水溶液を主体としたもの、顔料の微分散体を主体としたものが広く用いられている。
【0003】
水溶性染料を用いた水性インクとしては、主として酸性染料、直接染料、一部の食品用染料等に分類される水溶性染料の水溶液に、保湿剤としてグリコール類、アルカノールアミン類、表面張力等の調整のための界面活性剤、更に必要に応じて増粘剤等を添加したものが用いられている。
【0004】
画像濃度を上げるためには、インクの色材量を増やす方法、印字する際のインク吐出量を増やす方法がある。インクの色材量を増やす方法の場合、染料では溶解性の点から高濃度化に伴い染料の析出がおこり、インクの停滞安定性が低下する。また、顔料の場合、固形分量を増やす事は分散工程の負荷増大となり生産性が低下する。さらに、顔料は不透明であり支持体上で積層されるため、インク液の濃度増加に対し印字画像の濃度は比例して増加しない。さらに、顔料は支持体への定着性が悪く、高濃度印字においてはそれがさらに劣化する。
【0005】
印字する際のインク吐出量を増やす方法の場合、染料では画像の高濃度化は容易である。しかし、吐出量が増加すると乾燥時間も増加し、異色間でのにじみ発生が顕著となる。これは、普通紙ではさらに劣化する。顔料では、前述の通り、吐出されたインク液の固形分量と印字濃度が比例しないため、効果が弱い。さらに、従来技術は、黒(黒濃度と定着性の両立)に特化したものであり、Y(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)等の高濃度化も望まれている。
【0006】
ビニルポリマーの水分散体中の疎水性染料の封入量を多くし、色濃く、あざやかで、耐水性が一層向上したインクジェット記録用水系インクの提供することを目的として、片末端に重合性官能基を有するスチレンの単独重合体又は共重合体からなるスチレンマクロマーと、塩生成基を有する重合性不飽和単量体と、これらモノマーと共重合可能な単量体とをラジカル重合開始剤の存在下に共重合させて得られるビニルポリマーの分散体であって、該分散体中に疎水性染料が封入されてなる分散体を含有するインクジェット記録用水系インクが知られている(特許文献1参照)。しかしながらこの技術では、濃度不足であり、インク安定性、吐出性が低下して高濃度化に対応できない。
【0007】
また、特許文献1の技術の改良技術として、高レベルの着色度を有し、かつ定着性が良好なインクジェット記録用水系ブラックインクの提供することを目的とした技術(特許文献2参照)、印字濃度が高く、着色性に優れ、印字物にヨレを与えず、耐水性、耐擦過性及び耐マーカー性にも優れたインクジェット記録用水系インクを提供することを目的とした技術(特許文献3参照)が知られている。しかしながら、これらの技術でも十分な高濃度化に対応できているという状況ではない。
【0008】
【特許文献1】
特開平9−241565号公報
【0009】
【特許文献2】
特開2000−191967号公報
【0010】
【特許文献3】
特開2001−123097号公報
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
したがって、本発明の目的は、インク及び画像濃度の高濃度化により、色域拡大、画質向上に寄与する着色微粒子分散液の製造方法及びインクジェット記録用インクを提供することであり、また、高濃度と定着性・擦過性が両立した着色微粒子分散液の製造方法及びインクジェット記録用インクを提供することであり、さらには、高濃度化インクを容易に製造できる技術を提供することである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記目的は、以下の手段により達成できる。
【0013】
(1) 油溶性染料と樹脂を有機溶媒に溶解し水中に乳化分散する工程、該有機溶媒を除去し該油溶性染料と該樹脂からなる着色微粒子の分散液を得る工程、該着色微粒子の分散液を限外ろ過膜又は逆浸透膜を用いて濃縮処理する工程を有することを特徴とする着色微粒子分散液の製造方法。
【0014】
(2) 前記着色微粒子の分散液を限外ろ過膜又は逆浸透膜を用いて濃縮処理する工程が、濃縮率が吸光度換算濃度で1.5倍以上となるように濃縮する工程であることを特徴とする(1)記載の着色微粒子分散液の製造方法。
【0015】
(3) 前記油溶性染料が、黒色油溶性染料であることを特徴とする(1)又は(2)記載の着色微粒子分散液の製造方法。
【0016】
(4) 前記着色微粒子が、自己分散型であることを特徴とする(1)、(2)又は(3)記載の着色微粒子分散液の製造方法。
【0017】
(5) (1)〜(4)のいずれか1項記載の着色微粒子分散液の製造方法によって得られた着色微粒子分散液を含むインクジェット記録用インク。
【0018】
【発明の実施の形態】
本発明に係る着色微粒子は、油溶性染料と樹脂から成るものであり、支持体への着色微粒子の定着性及びにじみを抑制できる。さらに本発明に係る着色微粒子分散液は限外ろ過膜又は逆浸透膜を用いて濃縮されたものであり、インク液、印字画像の高濃度化及び高濃度化インクを達成出来る。
【0019】
本発明に係る着色微粒子分散液は限外ろ過膜又は逆浸透膜を用いて濃縮されたものであるが、濃縮する前の着色微粒子分散液を得る方法としては、油溶性染料と樹脂を有機溶媒に溶解させ、次いで水を加えた後、有機溶媒を留去して水系に転相する方法が挙げられる。
【0020】
油溶性染料としては、油性染料、分散染料を用いることが好ましい。色相としては、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック、ブルー、グリーン、レッドが好ましく用いられ、特に好ましくはイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各染料である。油溶性染料の中には水溶性染料を長鎖の塩基と造塩することにより油溶性を示す染料も含まれる。
【0021】
油性染料としては、以下に限定されるものではないが、特に好ましい具体例としては、例えば、Valifast Yellow 4120、Valifast Yellow 3150、Valifast Yellow 3108、Valifast Yellow 2310N、Valifast Yellow1101、Valifast Red 3320、Valifast Red3304、Valifast Red 1306、Valifast Blue 2610、Valifast Blue 2606、Valifast Blue 1603、Oil Yellow GG−S、Oil Yellow 3G、Oil Yellow 129、Oil Yellow 107、OilYellow 105、Oil Scarlet 308、Oil Red RR、Oil Red OG、Oil Red 5B、Oil Pink 312、Oil Blue BOS、Oil Blue 613、Oil Blue2N、Oil Black BY、Oil Black BS、Oil Black 860、Oil Black 5970、Oil Black 5906、Oil Black 5905(以上、オリエント化学工業株式会社製);Kayaset Yellow SF−G、Kayaset Yellow K−CL、Kayaset Yellow GN、Kayaset YellowA−G、Kayaset Yellow 2G、Kayaset Red SF−4G、Kayaset Red K−BL、Kayaset Red A−BR、Kayaset Magenta 312、Kayaset Blue K−FL(以上、日本化薬株式会社製);FS Yellow 1015、FSMagenta 1404、FS Cyan 1522、FS Blue 1504、C.I.Solvent Yellow 88、Solvent Yellow 83、Solvent Yellow 82、Solvent Yellow 79、Solvent Yellow 56、Solvent Yellow 29、Solvent Yellow 19、Solvent Yellow 16、Solvent Yellow 14、Solvent Yellow 04、Solvent Yellow 03、Solvent Yellow 02、Solvent Yellow 01、C.I.Solvent Red 84:1、Solvent Red 84、Solvent Red 218、Solvent Red 132、Solvent Red 73、Solvent Red 72、Solvent Red 51、Solvent Red 43、Solvent Red 27、Solvent Red24、Solvent Red 18、Solvent Red 01、C.I.Solvent Blue 70、Solvent Blue 67、Solvent Blue 44、Solvent Blue 40、Solvent Blue 35、Solvent Blue 11、 Solvent Blue 02、Solvent Blue 01、C.I.Solvent Black 43、Solvent Black 70、Solvent Black 34、Solvent Black 29、Solvent Black27、Solvent Black 22、Solvent Black 7、Solvent Black 3、C.I.Solvent Violet 3、C.I. Solvent Green 3及び7(以上、有本化学工業株式会社製)等が挙げられる。
【0022】
分散染料としては、特に好ましい具体例を以下に示すが、これのみに限定されるものではない。特に好ましい具体例としては、C.I.ディスパーズイエロー5、42、54、64、79、82、83、93、99、100、119、122、124、126、160、184:1、186、198、199、204、224及び237;C.I.ディスパーズオレンジ13、29、31:1、33、49、54、55、66、73、118、119及び163;C.I.ディスパーズレッド54、60、72、73、86、88、91、92、93、111、126、127、134、135、143、145、152、153、154、159、164、167:1、177、181、204、206、207、221、239、240、258、277、278、283、311、323、343、348、356及び362;C.I.ディスパーズバイオレッド33;C.I.ディスパーズブルー56、60、73、87、113、128、143、148、154、158、165、165:1、165:2、176、183、185、197、198、201、214、224、225、257、266、267、287、354、358、365及び368;並びにC.I.ディスパーズグリーン6:1及び9等が挙げられる。
【0023】
有機溶媒としては、樹脂及び油溶性染料を溶解する水不溶性の有機溶媒、例えば酢酸エチル等のエステル類、トルエン等の芳香族炭化水素類、n−ヘキサン等の脂肪族炭化水素類が挙げられる。
【0024】
樹脂としては、一般に知られているすべてのポリマーを使用可能であるが、特に好ましいポリマーは、主な官能基としてアセタール基を含有するポリマー、炭酸エステル基を含有するポリマー、水酸基を含有するポリマー、および、エステル基を有するポリマーである。上記のポリマーは、置換基を有していてもよく、その置換基は直鎖状、分岐、あるいは環状構造をとっていてもよい。また、上記の官能基を有するポリマーは、各種のものが市販されているが、常法によって合成することもできる。また、これらの共重合体は、例えば1つのポリマー分子中にエポキシ基を導入しておき、後に他のポリマーと縮重合させたり、光や放射線を用いてグラフト重合を行っても得られる。
【0025】
主な官能基としてアセタールを含有するポリマーとしては、ポリビニルブチラール樹脂などが挙げられる。例えば、#2000−L、#3000−1、#3000−2、#3000−4、#3000−K、#4000−1、#4000−2、#5000−A、#6000−C、#6000−EP(以上、電気化学工業株式会社製);BL−1、BL−1H、BL−2、BL−2H、BL−5、BL−10、BL−S、BL−SH、BX−10、BX−L、BM−1、BM−2、BM−5、BM−S、BM−SH、BH−3、BH−6、BH−S、BX−1、BX−3、BX−5、KS−10、KS−1、KS−3、KS−5(以上、積水化学工業製)などがある。
【0026】
油溶性染料と樹脂を有機溶媒に溶解し水中に乳化分散する工程においては、界面活性剤の存在下で行うことが好ましい。界面活性剤としては、公知のものを用いることができるが、代表的には、高級脂肪酸塩、アルキル硫酸塩、アルキルエステル硫酸塩、アルキルスルホン酸塩、スルホコハク酸塩、ナフタレンスルホン酸塩、アルキルリン酸塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルリン酸塩、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、グリセリンエステル、ソルビタンエステル、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド、アミンオキシド等の界面活性剤を挙げることができる。
【0027】
本発明においては、着色微粒子が自己分散型であることが好ましい。着色樹脂微粒子に自己分散性を付与するには、着色微粒子にイオン性基やノニオン性の親水性基を導入する方法などがある。このような官能基を導入するめ、分子中にラジカル重合性の不飽和結合と一般的な界面活性剤と同様の乳化、分散機能を有する反応性乳化剤を用いる事が出来る。反応性乳化剤としては、例えば、アクアロン KH−05、KH−10、RN−10、RN−20、RN−30、RN−50、RN−2025、HS−10、HS−20、HS−1025、BC−05、BC−10、BC−20、BC−1025、BC−2020(以上、第一工業株式会社製);エレミノール RS−30、JS−2(以上、三洋化成株式会社製);ラテムル S−180、S−180A(以上、花王株式会社製);アデカリアソープ ER−10、ER−20、ER−30、ER−40、SR−10、SR−20、SR−1025、PP−70、PPE−710、NE−10、NE−20、NE−30、NE−40、NE−50、SE−10N、SE−20N(以上、旭電化工業株式会社製)等が挙げられる。
【0028】
次に、本発明に係る着色微粒子分散液の製造方法について説明する。
本発明に係る着色微粒子分散液は、各種の乳化法で製造することができる。それらの例は、例えば、「機能性乳化剤・乳化技術の進歩と応用展開 シー エムシー」の86ページの記載にまとめられている。本発明においては、特に、超音波、高速回転せん断、高圧による乳化分散装置を使用することが好ましい。
【0029】
超音波による乳化分散では、いわゆるバッチ式と連続式の2通りが使用可能である。バッチ式は、比較的少量のサンプル作製に適し、連続式は大量のサンプル作製に適する。連続式では、例えば、UH−600SR(株式会社エスエムテー製)のような装置を用いることが可能である。このような連続式の場合、超音波の照射時間は、分散室容積/流速×循環回数で求めることができる。超音波照射装置が複数ある場合は、それぞれの照射時間の合計としても求められる。超音波の照射時間は、実際上は3秒以上必要であり、それ以内で乳化が完了するのであれば、超音波乳化分散装置を必要としない。また、10000秒以上必要であると、工程の負荷が大きく、実際上は乳化剤の再選択などにより乳化分散時間を短くする必要がある。そのため10000秒以上は必要でない。さらに好ましくは、10秒以上、2000秒以内である。
【0030】
高速回転せん断による乳化分散装置としては、「機能性乳化剤・乳化技術の進歩と応用展開 シー エム シー」の255〜256ページに記載されているようなディスパーミキサーや、251ページに記載されているようなホモミキサー、256ページに記載されているようなウルトラミキサーなどが使用できる。これらの型式は、乳化分散時の液粘度によって使い分けることができる。これらの高速回転せん断による乳化分散機では、攪拌翼の回転数が重要である。ステーターとのクリアランスは通常0.5mm程度で、極端に狭くはできないので、せん断力は主として攪拌翼の周速に依存する。周速が5m/S以上、150m/S以内であれば本発明に係る乳化・分散に使用できる。周速が遅い場合、乳化時間を延ばしても小粒径化が達成できない場合が多く、150m/Sにするにはモーターの性能を極端に上げる必要があるからである。さらに好ましくは、20〜100m/sである。
【0031】
高圧による乳化分散では、LAB2000(エスエムテー社製)などが使用できるが、その乳化・分散能力は、乳化液にかけられる圧力に依存する。圧力は、1×10kPa〜5×10kPaの範囲が好ましい。また、必要に応じて数回乳化・分散を行い、目的の粒径を得ることができる。圧力が低すぎる場合、何度乳化分散を行っても目的の粒径は達成できない場合が多く、また、圧力を5×10kPa以上するためには、装置に大きな負荷がかかり実用的ではない。さらに好ましくは、5×10kPa〜2×10kPaである。
【0032】
これらの乳化・分散装置は単独で用いてもよいが、必要に応じて組み合わせて使用することが可能である。コロイドミルや、フロージェットミキサなども単独では本発明の目的を達成できないが、本発明の装置との組み合わせにより、単時間で乳化・分散を可能にするなど本発明の効果を高めることが可能である。
【0033】
また、本発明に係る着色微粒子分散液は、上記の装置を用いるほか、いわゆる転相乳化によっても製造することができる。ここで、転相乳化は、上記樹脂を、上記油溶性染料と共にエステル、ケトンなどの有機溶剤に溶解させ、必要に応じて中和剤を加えて該樹脂中のカルボキシル基をイオン化し、次いで水相を加えた後、上記有機溶剤を留去して水系に転相する。転相が完了した後、系を減圧下に加熱することにより、上記エステル、ケトン系溶剤を除去すると共に、所定量の水を除去して、着色微粒子分散液が得られる。
【0034】
着色微粒子を更にポリマーで被覆してコアシェル構造とすることもできる。
ポリマーシェルを設ける方法としては、コアの水系サスペンションに水溶性のポリマー分散剤を添加し吸着させる方法、モノマーを徐々に滴下し、重合と同時にコア表面に沈着させる方法、あるいは、有機溶剤に溶解したポリマーを徐々に滴下し、析出と同時にコア表面に吸着させる方法などがある。更に一段階でコアシェル形成する方法も考えられる。例えば、コアとなるポリマーと油溶性染料をシェルとなるポリマーに溶解または分散し、水中で懸濁後重合する方法や、その液を活性剤ミセルを含有する水中に徐々に滴下しながら乳化重合していく方法、などがある。あるいは、重合後にコアとなりうるモノマーとシェルとなりうるモノマーに油溶性染料を溶解または分散し、懸濁重合あるいは乳化重合する方法がある。
【0035】
本発明に係る着色微粒子は、シェル化したものでなくても、シェル化したものでも構わないが、本発明の効果から考えてシェル化したものがより好ましい。その場合、シェルに用いられるポリマー量としては、総ポリマー量の5質量%以上、95質量%以下であることが好ましい。シェルポリマーが5質量%より少ないとシェルの厚みが不十分で、油溶性染料を多く含有するコアの一部が粒子表面に現れ易くなる。また、シェルポリマーが多すぎると、コアの油溶性染料保護能低下を起こし易い。さらに好ましくは10質量%以上、90質量%以下である。
【0036】
油溶性染料の添加量は、総ポリマー量に対して20質量%以上、1000質量%以下であることが好ましい。油溶性染料量がポリマーに比して少なすぎると、吐出した後の画像濃度が得られず、また、油溶性染料量が多すぎるとポリマーの保護能が十分に得られない。
【0037】
実際にコアシェル化されているかを評価することは重要である。本発明においては、個々の粒子径が200nm以下と非常に微小であるため、分析方法は分解能の観点から限られる。このような目的に沿う分析方法としては、TEMやTOF−SIMSなどが適用できる。TEMによりコアシェル化した微粒子を観察する場合、カーボン支持膜上に分散液を塗布、乾燥させ観察することができる。TEMの観察像は、通常モノクロであるため、コアシェル化されているかどうかを評価するために、微粒子を染色する必要がある。コアだけの微粒子を染色しそのTEM観察を行い、シェルを設けたものと比較する。さらに、シェルを設けた微粒子と設けていない微粒子を混合し、染色し、染色度合いの異なる微粒子の割合がシェルの有無に一致しているかの確認を行う。TOF−SIMSでは、粒子表面にシェルを設けることで表面近傍の油溶性染料量がコアだけの時よりも減少していることを確認する。油溶性染料にコアシェルのポリマーに含有されていない元素がある場合、その元素をプローブとして油溶性染料含有量の少ないシェルが設けられたかを確認することができる。そのような元素がない場合、適当な染色剤を用いてシェル中の油溶性染料含有量がシェルを設けていないものと比較することができる。コアシェル粒子をエポキシ樹脂内に埋胞し、ミクロトームで超薄い切片を作成、染色を行うことでコアシェル化はより明瞭に観察できる。ポリマーや、油溶性染料にプローブとなりうる元素がある場合、TEMによってコアシェルの組成、油溶性染料のコアとシェルへの分布量を見積もることもできる。
【0038】
上記の工程で得られた着色微粒子分散液は濃度が十分ではない。本発明においては、次いで、限外ろ過膜又は逆浸透膜を用いて濃縮する工程が重要となる。この工程で用いられる限外ろ過膜ないしは逆浸透膜としては、NTU−4208、NTU−3150、NTU−3520、NTU−2120、RS−30、NTR−7410、NTR−7450、NTR−7250等(以上、日東電工社製);AIP−0013、ACP−0013、ACP−0053、AHP−0013、SEP−0013、SAP−0013、SIP−0013、SLP−0053(以上、旭化成社製)等があげられる。
【0039】
限外ろ過膜又は逆浸透膜を用いて濃縮する程度は目的に応じて任意に決められるが、本発明においては濃縮率が吸光度換算濃度で1.2倍以上となるように濃縮することが好ましく、より好ましくは1.5倍以上となるように濃縮することである。
【0040】
限外ろ過膜を用いて9.8×10〜29.4×10Pa程度に加圧して循環送液する。例えば、1.5倍濃縮する場合、原液の量が約1/1.5となるまでろ過処理を行い濃縮すればよい。
【0041】
本発明に係る着色微粒子の平均粒径は、安定性の観点から150nm以下が好ましいが、分散安定性、吐出安定性の観点から100nm以下であることが更に好ましい。
【0042】
なお、本発明においては平均粒径は以下の測定法に基づくものである。
すなわち、着色微粒子分散液中の着色微粒子の粒径は、着色微粒子分散液として、ゼータサイザー1000(マルバーン社製)を用いて着色微粒子の体積平均粒子径を測定した。
【0043】
本発明に係る着色微粒子分散液をインクジェット記録用のインクとする場合、着色微粒子分散液中の樹脂成分としては、固形分換算でインク中に1〜50質量%配合されることが好ましく、2〜30質量%配合されることが更に好ましい。樹脂成分の配合量が1質量%に満たないと、印字濃度が不十分であり、50質量%を越えるとインクの分散安定性が低下したり、ノズル先端でのインク蒸発に伴う液の増粘や粒子の凝集が起こることによって、ヘッドの目詰まりが起こる場合があるので、上記範囲内とすることが好ましい。
【0044】
本発明に係る着色微粒子分散液をインクジェット記録用のインクとして用いるには、従来公知の各種添加剤、例えば多価アルコール類のような湿潤剤、分散剤、消泡剤、防黴剤及び/又はキレート剤等を添加することが好ましい。
【0045】
湿潤剤としては、例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセリン、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールモノn−ブチルエーテル等の多価アルコール及びそのエーテル、アセテート類、N−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチルイミダゾリジノン等の含窒素化合物類の1種又は2種以上を使用することができる。これらの湿潤剤の配合量に特に制限はないが、上記インク中に好ましくは0.1〜50質量%配合することができ、更に好ましくは0.1〜30質量%配合することができる。
【0046】
インクの有機溶媒としては、水溶性有機溶媒が好ましく、例えば、アルコール類(例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、セカンダリーブタノール、ターシャリーブタノール)、多価アルコール類(例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキサンジオール、ペンタンジオール、グリセリン、ヘキサントリオール、チオジグリコール)、多価アルコールエーテル類(例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、プロピレングリコールモノフェニルエーテル)、アミン類(例えば、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、モルホリン、N−エチルモルホリン、エチレンジアミン、ジエチレンジアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ポリエチレンイミン、ペンタメチルジエチレントリアミン、テトラメチルプロピレンジアミン)、アミド類(例えば、ホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等)、複素環類(例えば、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、シクロヘキシルピロリドン、2−オキサゾリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等)、スルホキシド類(例えば、ジメチルスルホキシド)等が挙げられる。
【0047】
本発明に係る着色微粒子分散液は、インクジェット記録用のインクとして用いることが最適であるが、それ以外にも、例えば、一般の万年筆、ボールペン、サインペン等の筆記具用のインクとしても使用可能である。
【0048】
【実施例】
次に、実施例により、本発明の着色微粒子分散液の製造方法を更に詳細に説明する。しかしながら、本発明は、かかる実施例に制限されるものでないことはいうまでもない。
【0049】
《着色微粒子分散液の製造》
(着色微粒子分散液−1の製造:比較例−1)
13.4gのポリビニルブチラール3000K(電気化学社製)、13.5gの油溶性染料C.I.Solvent Yellow 83(ダイワ化成社製)、205gの酢酸エチルをセパラブルフラスコに入れ、撹拌して上記樹脂及び油溶性染料を完全溶解させた。イオン交換水400gにラウリル硫酸ナトリウム9gを溶解し、この水溶液を滴下後、超音波分散機(UH−150型、株式会社エスエムテー製)を用いて、10分間乳化した。その後、減圧下で酢酸エチルを除去し、油溶性染料を含浸した着色微粒子分散液を得た。フラスコ内を窒素置換後、この着色微粒子分散液に0.4gの過硫酸カリウムを加えて溶解し、ヒーターを付して70℃に加温後、さらに6.1gのスチレン及び2gの2−ヒドロキシエチルメタクリレートの混合液を滴下しながら4時間反応させてコアシェル型の着色微粒子分散液−1を得た。平均粒径:120nm(粒子系は、ゼータサイザー1000 マルバーン社製を用いて行った体積平均粒子径)。
【0050】
(着色微粒子分散液−2の製造:比較例−2)
着色微粒子分散液−1の調整において、油溶性染料濃度が分散液の吸光度換算濃度で1.2倍となるように、ポリビニルブチラールを16.5g、C.I.Solvent Yellow 83を16.5g、ラウリル硫酸ナトリウムを9.5g、過硫酸カリウムを0.5g、スチレンを7.4g、2−ヒドロキシエチルメタクリレートを2.5gとした以外は着色微粒子分散液−1と同様の操作を行い、着色微粒子分散液−2を得た。平均粒径は、142nmであった。
【0051】
(着色微粒子分散液−3の製造:比較例−3)
着色微粒子分散液−1の調整において、油溶性染料濃度が分散液の吸光度換算濃度で1.4倍となるように、ポリビニルブチラールを19.5g、C.I.Solvent Yellow 83を19.4g、ラウリル硫酸ナトリウムを10g、過硫酸カリウムを0.58g、スチレンを8.8g、2−ヒドロキシエチルメタクリレートを2.9gとした以外は着色微粒子分散液−1と同様の操作を行い、着色微粒子分散液−3を得た。平均粒径は、185nmであった。
【0052】
(着色微粒子分散液−4の製造:実施例−1)
上記で得た着色微粒子分散液−1を、限外ろ過装置RUM−2/C10−T(日東電工社製/限外ろ過膜:NTU−3150)を用いて、油溶性染料濃度が分散液の吸光度換算濃度で1.2倍となるように濃縮し、着色微粒子分散液−4を得た。平均粒径は、123nmであった。
【0053】
(着色微粒子分散液−5の製造:実施例−2)
着色微粒子分散液−4の調整において、染料濃度が分散液の吸光度換算濃度で1.4倍となるように同様の濃縮操作を行い、着色微粒子分散液−5を得た。平均粒径は、125nmであった。
【0054】
(着色微粒子分散液−6の製造:比較例−4)
2種のポリビニルブチラールBL−S(積水化学製)及びKS−10(積水化学製)をそれぞれ10g、20gのNeozapan Blue 807(BASF社製)、220gの酢酸エチルをセパラブルフラスコに入れ、撹拌して上記樹脂及び油溶性染料を完全溶解させた。イオン交換水300gにラウリル硫酸ナトリウム12gを溶解し、この水溶液を滴下後、超音波分散機(UH−150型、株式会社エスエムテー製)を用いて、10分間乳化した。その後、減圧下で酢酸エチルを除去し、油溶性染料を含浸した着色微粒子分散液を得た。フラスコ内を窒素置換後、この分散液に0.56gの亜硫酸水素ナトリウムを加えて溶解し、ヒーターを付して70℃に加温後、さらに0.56gの2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)と8gのメタクリル酸メチルの混合液を滴下しながら4時間反応させてコアシェル型の着色微粒子分散液−6を得た。平均粒径は140nmであった。
【0055】
(着色微粒子分散液−7の製造:比較例−5)
着色微粒子分散液−6の製造において、油溶性染料濃度が分散液の吸光度換算濃度で1.6倍となるように、2種のポリビニルブチラールをそれぞれ18g、Neozapan Blue 807(BASF社製)を35.5gとして酢酸エチル溶液を調整したところ、ポリビニルブチラール及び油溶性染料を完全に溶解することができなかったため、目的の分散液を得る事はできなかった。
【0056】
(着色微粒子分散液−8の製造:実施例−3)
着色微粒子分散液−6を、油溶性染料濃度が分散液の吸光度換算濃度で1.6倍となるように限外ろ過装置を用いて濃縮し、着色微粒子分散液−8を得た。平均粒径は、143nmであった。
【0057】
(着色微粒子分散液−9の製造:実施例−4)
分散液−8の調整において、染料濃度が分散液の吸光度換算濃度で2.2倍となるように同様の濃縮操作を行い、着色微粒子分散液−9を得た。平均粒径は、145nmであった。
【0058】
(着色微粒子分散液−10の製造:比較例−6)
9gのポリビニルブチラールBL−S(積水化学製)、9gの油溶性染料Oil Black 860(オリエント化学社製)、140gの酢酸エチルをセパラブルフラスコに入れ、撹拌して上記樹脂及び油溶性染料を完全溶解させた。イオン交換水275gにラウリル硫酸ナトリウム6gを溶解し、この水溶液を滴下後、超音波分散機(UH−150型、株式会社エスエムテー製)を用いて、10分間乳化した。その後、減圧下で酢酸エチルを除去し、油溶性染料を含浸した着色微粒子分散液を得た。フラスコ内を窒素置換後、この着色微粒子分散液に0.25gの亜硫酸水素ナトリウムを加えて溶解し、ヒーターを付して70℃に加温後、さらに0.25gの2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)と3.6gのメタクリル酸メチルの混合液を滴下しながら8時間反応させてコアシェル型の着色微粒子分散液−10を得た。平均粒径は129nmであった。
【0059】
(着色微粒子分散液−11の製造:比較例−7)
着色微粒子分散液−10の製造において、油溶性染料濃度が分散液の吸光度換算濃度で1.3倍となるように、ポリビニルブチラールを12g、Oil Black 860を12g、亜硫酸水素ナトリウムを0.34g、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)を0.34g、メタクリル酸メチルを4.8gとした以外は着色微粒子分散液−10と同様の操作を行い、着色微粒子分散液−11を得た。平均粒径は、153nmであった。
【0060】
(着色微粒子分散液−12の製造:比較例−8)
着色微粒子分散液−10の製造において、油溶性染料濃度が分散液の吸光度換算濃度で2.0倍となるように、ポリビニルブチラールを30g、Oil Black 860を29.7gとして酢酸エチル溶液を調整したところ、ポリビニルブチラール及び染料を完全に溶解することができなかったため、目的の分散液を得ることはできなかった。
【0061】
(着色微粒子分散液−13の製造:実施例−5)
着色微粒子分散液−10を、油溶性染料濃度が分散液の吸光度換算濃度で1.3倍となるように限外ろ過装置を用いて濃縮し、着色微粒子分散液−13を得た。平均粒径は、130nmであった。
【0062】
(着色微粒子分散液−14の製造:実施例−6)
着色微粒子分散液−13の製造において、油溶性染料濃度が分散液の吸光度換算濃度で2.0倍となるように同様の濃縮操作を行い、着色微粒子分散液−14を得た。平均粒径は、132nmであった。
【0063】
(着色微粒子分散液−15の製造:実施例−7)
着色微粒子分散液−1の製造において、ラウリル硫酸ナトリウム9gをアクアロンKH−05(第一工業製薬株式会社製)9gに変更した以外は、着色微粒子分散液−1と同様の処方及び操作を行った。次いで得られた分散液を、油溶性染料濃度が分散液の吸光度換算濃度で1.6倍となるように限外ろ過装置を用いて濃縮し、着色微粒子分散液−15を得た。平均粒径は、90nmであった。
【0064】
(着色微粒子分散液−16の製造:実施例−8)
着色微粒子分散液−6の製造において、ラウリル硫酸ナトリウム12gをアクアロンKH−05(第一工業製薬株式会社製)12gに変更した以外は、着色微粒子分散液−6と同様の処方及び操作を行った。次いで得られた着色微粒子分散液を、油溶性染料濃度が分散液の吸光度換算濃度で2.0倍となるように限外ろ過装置を用いて濃縮し、着色微粒子分散液−16を得た。平均粒径は65nmであった。
【0065】
(着色微粒子分散液−17の製造:実施例−9)
着色微粒子分散液−10の製造において、ラウリル硫酸ナトリウム6gをアクアロンKH−05(第一工業製薬株式会社製)12gに変更した以外は、着色微粒子分散液−10と同様の処方及び操作を行った。次いで得られた着色微粒子分散液を、油溶性染料濃度が分散液の吸光度換算濃度で2.0倍となるように限外ろ過装置を用いて濃縮し、着色微粒子分散液−17を得た。平均粒径は85nmであった。
【0066】
《インクジェット記録用インクの製造》
上記の様にして得られた着色微粒子分散液−1〜着色微粒子分散液−17を用いて、それぞれの着色微粒子分散液69.7質量部に、エチレングリコール15質量部、グリセリン15質量部、サーフィノール465(日信化学工業製)0.3質量部を加え撹拌した後、0.8μmのフィルターでろ過し、インクジェット記録用インク−1〜インクジェット記録用インク−17を得た。
【0067】
《評価》
上記のように製造した着色微粒子分散液及びこの着色微粒子分散液を含むインクジェット記録用インクについて次のような評価を行った。
【0068】
〈着色微粒子分散液の吸収濃度比〉
上記のようにして得られた着色微粒子分散液−1〜着色微粒子分散液−17の吸収濃度は、分光光度計UV−2500PC(島津製作所製)を用いて測定した。着色微粒子分散液の濃度評価は、Yellow、Cyan、Blackについて、それぞれ着色微粒子分散液−1、6、10を基準とした濃度比で評価した。
【0069】
〈印字画像の反射濃度比〉
上記のようにして得られたインクジェット記録用インク−1〜インクジェット記録用インク−17を、インクジェットプリンターCL750C(セイコーエプソン社製)でインクジェットペーパーフォトライクQP(コニカ株式会社製)に濃度100%でベタプリントした。プリント画像濃度は、光学濃度計X−Rite938(X−Rite社製)を用いて反射濃度を測定した。
【0070】
印字画像の濃度評価は、Yellow、Cyan、Blackについて、それぞれインクジェット記録用インク−1、6、10を用いたプリントの反射濃度を基準とした反射濃度比で評価した。
【0071】
〈着色微粒子分散物の粒径〉
上記のようにして得られた着色微粒子分散液中の着色微粒子分散物の粒径は、着色微粒子分散液として、ゼータサイザー1000(マルバーン社製)を用いて体積平均粒子径を測定した。
【0072】
〈インクジェット記録用インクの停滞安定性〉
各インクジェット記録用インクを密閉容器中で60℃、1週間保存し、保存前後の粒径変化率で評価した。インクジェット記録用インクについて、上記方法で体積平均粒径を5回測定し、測定値の算術平均を粒径とした。評価基準は、
加熱処理の前後の粒径比=(処理後の粒径)/(処理前の粒径)
について、下記の通りとした。
【0073】
×:粒径変化率が50%以上
△:粒径変化率が20〜50%未満
○:粒径変化率が5〜20%未満
◎:粒径変化率が5%未満
評価結果を表1に示す。なお、表1において(−)は、着色微粒子分散液が製造できず未評価を意味する。
【0074】
【表1】
Figure 2004315656
【0075】
表1より、本発明に係る着色微粒子分散液である実施例−1〜実施例−9の試料は、本発明外の試料である比較例−1〜比較例−8に比べて良好な結果が得られていることがわかる。
【0076】
(実施例−10〜実施例18)
実施例−1〜実施例9において、限外ろ過装置RUM−2/C10−T(日東電工社製/限外ろ過膜:NTU−3150)に代えて、逆浸透装置(RUM−2/C10−T/逆浸透膜:NTR−7410)を用いて、油溶性染料濃度を濃縮し着色微粒子分散液を得た。また、上記と同様にしてインクジェット記録用インクを作製した。限外ろ過装置を用いて濃縮したものと同様に良好な結果が得られた。
【0077】
【発明の効果】
本発明により、インク液、画像濃度に優れ、かつ高濃度化されても停滞安定性に優れ、また高濃度化を容易に達成できる着色微粒子分散液の製造方法を提供することができた。

Claims (5)

  1. 油溶性染料と樹脂を有機溶媒に溶解し水中に乳化分散する工程、該有機溶媒を除去し該油溶性染料と該樹脂からなる着色微粒子の分散液を得る工程、該着色微粒子の分散液を限外ろ過膜又は逆浸透膜を用いて濃縮処理する工程を有することを特徴とする着色微粒子分散液の製造方法。
  2. 前記着色微粒子の分散液を限外ろ過膜又は逆浸透膜を用いて濃縮処理する工程が、濃縮率が吸光度換算濃度で1.5倍以上となるように濃縮する工程であることを特徴とする請求項1記載の着色微粒子分散液の製造方法。
  3. 前記油溶性染料が、黒色油溶性染料であることを特徴とする請求項1又は2記載の着色微粒子分散液の製造方法。
  4. 前記着色微粒子が、自己分散型であることを特徴とする請求項1、2又は3記載の着色微粒子分散液の製造方法。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項記載の着色微粒子分散液の製造方法によって得られた着色微粒子分散液を含むインクジェット記録用インク。
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