JP2004315121A - シート穿孔装置及び画像形成装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】パンチ250の作動ピン251は、ピン貫通窓221a、222aを貫通してスライダ210、211に形成された案内溝210b、211bに係合している。案内溝210b、211bは、上側水平溝部、傾斜溝部、下側傾斜溝部の3つの溝部で構成されている。スライダ210、211はシャフト287に形成されたカム溝287aに係合する係合ピン202を有するスライドホルダ201に固定されている。モータ280を正転させることで、作動ピン251が傾斜溝部をスライドし、パンチ250は穿孔位置に進出して2穴の穿孔処理を施し、逆転させることで3穴の穿孔処理を施す。パンチ250の数に対してスライダ210、211が共通化されている。
【選択図】 図2
Description
【発明の属する技術分野】
本発明はシート穿孔装置及び画像形成装置に係り、特に、複写機、プリンタ等の画像形成装置から排出されるシートに対して穿孔処理を施すシート穿孔装置及び該シート穿孔装置を備えた画像形成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
複写機、プリンタ、ファクシミリ等の画像形成装置から排出された画像形成済みのシートは、一般にパンチ等で穿孔処理が施され(ファイル用の穴が形成され)ファイルバインダに綴じられる。近年、この手間を省くため、画像形成装置の一部若しくは周辺装置として又は画像形成装置から独立したスタンドアローンタイプとして、画像形成済みのシートに穿孔処理を施すシート穿孔装置が市場に投入されている。このようなシート穿孔装置では、複数の穿孔刃に対応する複数の偏芯カムを、位相をずらして設けることで、当該カムの位相のずれに応じて異なる組合せの穿孔刃を、シートを穿孔する位置に選択的に移動させ、2穴や3穴等の穿孔処理を施している(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開平9−136762号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来技術のシート穿孔装置では、偏芯カムを使用して穿孔刃を移動させているため、穿孔刃の移動方向において偏芯カムを回転させるための余分なスペースが必要となってしまい、シート穿孔装置の大型化を招いていた。また、シートに対して穿孔処理を施す位置に穿孔刃を移動させるため、穿孔刃と同数の偏芯カムが必要となる上、偏芯カムとは別に、シートから離間した退避位置に穿孔刃を保持するためのバネが必要となってしまい、部品点数の増加に伴うシート穿孔装置の複雑化や大型化の原因となっていた。
【0005】
本発明は上記事案に鑑み、部品点数が少なくコンパクトなシート穿孔装置を提供することを課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明の第1の態様は、シートを搬入するための搬入部と、前記搬入部に搬入されたシートに穿孔処理を施す複数の穿孔刃と、前記穿孔刃を選択的な複数の組合せとし、前記組合せに応じて前記穿孔刃のうち一部の穿孔刃を前記シートに穿孔処理を施す穿孔位置に進出させるための進出部と前記一部の穿孔刃以外の穿孔刃を前記穿孔位置から退避した退避位置に止めておくための退避部とを有し、前記退避位置と前記穿孔位置との間で前記穿孔刃の全てを移動自在に支持する支持手段と、を備える。
【0007】
第1の態様では、シートに穿孔処理を施す穿孔位置に進出させるための進出部と穿孔位置から退避した退避位置に止めておくための退避部とを有する支持手段が、穿孔刃の全てを穿孔位置と退避位置との間で移動自在に支持している。穿孔刃は支持手段により選択的な複数の組合せとされ、その組合せに応じて、穿孔刃のうち一部の穿孔刃が穿孔位置に進出(移動)して搬入部に搬入されたシートに穿孔処理を施し、当該一部の穿孔刃以外の穿孔刃は退避位置に止められる(保持される)。本態様によれば、支持手段が組合せに応じて一部の穿孔刃を穿孔位置に進出させる機能と穿孔刃の全てを穿孔位置と退避位置との間で支持する機能との双方を兼ねているので、シート穿孔装置をコンパクトに構成することができる。
【0008】
第1の態様において、進出部を、組合せ毎に一部の穿孔刃を穿孔位置への進出を許容する共通部材で構成すれば、穿孔位置と退避位置との間で移動させるための部材が共通化され穿孔刃毎に設ける必要がなくなるので、シート穿孔装置をよりコンパクトに構成することができると共に、部品点数を削減することができる。この場合に、穿孔刃のうち隣り合う穿孔刃同士は異なる組合せに属するようにしてもよい。このとき、支持手段は、組合せに応じた所定位置に移動することで、穿孔刃を穿孔位置及び退避位置に位置させることが好ましい。このような態様としては、穿孔刃が突出部を有し、支持手段に突出部と係合し穿孔刃を穿孔位置又は退避位置の間で支持する所定形状の案内溝を形成してもよく、又は、穿孔刃に被係合部を形成し、支持手段が、被係合部と係合し穿孔刃を穿孔位置又は退避位置の間で支持する係合部を有するようにしてもよい。更に、支持手段をスライド自在に支持し所定位置に移動させるためのスライド手段を備えるようにしてもよい。シートを束にして穿孔処理を施す場合には、穿孔刃の進出するストロークを長くしてシート束の厚さ分を穿孔刃が貫通する必要があるが、スライド手段が、穿孔刃の進出方向と直交する方向に支持手段を支持するようにすれば、支持手段は穿孔刃の進出方向に移動しないで穿孔刃を進出させることができるので、穿孔刃の移動ストロークを確保しながら穿孔刃の進出方向におけるシート穿孔装置のコンパクト化を図ることができる。更に、支持手段を所定位置に移動させる駆動手段を備えるようにすれば、駆動手段の駆動力でシートに穿孔処理を施すことが可能となる。
【0009】
また、上記課題を解決するために、本発明の第2の態様は、シートに画像を形成する画像形成手段と、前記画像形成手段により画像が形成されたシートを搬送する搬送手段と、前記搬送手段で搬送されたシートに穿孔処理を施す複数の穿孔刃と、前記穿孔刃を選択的な複数の組合せとし、前記組合せに応じて前記穿孔刃のうち一部の穿孔刃を前記シートに穿孔処理を施す穿孔位置に進出させるための進出部と前記一部の穿孔刃以外の穿孔刃を前記穿孔位置から退避した退避位置に止めておくための退避部とを有し、前記退避位置と前記穿孔位置との間で前記穿孔刃の全てを移動自在に支持する支持手段と、を備える。本態様の画像形成装置では、第1の態様のシート穿孔装置が画像形成装置の一部又は周辺装置として用いられる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して、本発明を複写機に適用した実施の形態について説明する。
【0011】
(構成)
図1に示すように、本実施形態の複写機1は、シートに画像を形成するデジタル複写機本体1Aと、複写機本体1Aの側部に装着され複写機本体1Aにより搬送されたシートに穿孔処理を施すシート穿孔装置2と、シート穿孔装置2の下流側の側面に装着され複数のシートで構成されるシート束に綴じ処理や折り処理を施すシート後処理装置3とを備えている。
【0012】
1.複写機本体
複写機本体1Aは、原稿Dの複写画像をシートに形成する画像形成部902、画像形成部902の上方に配設され原稿Dに光を照射する光源907を有し原稿Dからの反射光を光学系908を介してCCD931に結像させ、いわゆるスキャナとして機能する画像入力部930、並びに、これら各部の動作を制御する制御部950を有して構成されている。
【0013】
画像形成部902は、外周面に潜像が形成可能な円筒状の感光ドラム914を有している。感光ドラム914の周囲には、感光ドラム914に潜像形成用の電荷を帯電させる一次帯電器919、感光ドラム914上にハードディスクに記憶された画像データに応じて変調されたレーザビームを出力するレーザユニット922、感光ドラム914に形成された静電潜像を現像してトナー像とする現像器915、シートにトナー像を転写するために帯電させる転写用帯電器916、シートに転写用帯電器916とは逆極性に帯電させて感光ドラム914から分離するための分離帯電器917、及び、感光ドラム914を清浄するクリーナ918がそれぞれ配設されている。
【0014】
レーザユニット922は、レーザビームを発生させる半導体レーザ、コリメータレンズを介して半導体レーザから出力されるレーザビームを1ライン毎のビームに変換するポリゴンミラー、ポリゴンミラーからの走査ライン毎のレーザビームを平行光に変換するfθレンズ、fθレンズからの平行光を反射して感光ドラム914に導くミラー、及び、ポリゴンミラーを回転させるモータを有して構成されている。
【0015】
感光ドラム914の下流側かつ分離帯電器917の近傍には、無端搬送ベルト920が巻き掛けられたローラが配置されており、無端搬送ベルト920は、ヒートローラ等を有しシートに形成されたトナー像を加熱・定着させるための定着器904の近傍に配置されたローラとの間で張架されている。定着器904の下流側には、画像が形成されたシートを複写機本体1Aから排出するための排出ローラ対905が配設されている。無端搬送ベルト920の下部位置、かつ、排出ローラ対905と感光ドラム914の上流側との間には、片面に画像が定着されたシートの他面に画像を形成して両面印刷を行うためのデュープレックス921が配置されている。
【0016】
複写機本体1Aの上部には原稿Dを載置するためのプラテンガラス906が配置されており、プラテンガラス906の上方には一側が複写機本体1Aの端部に固定され他側が回動可能にプラテンガラス906を覆うと共に、原稿Dをプラテンガラス906に自動給送可能な原稿自動給送装置(以下、ADFと略称する。)940が配置されている。また、複写機本体1Aの下部には、複写機本体1Aに所定サイズのシートを1枚ずつ給紙する給紙装置909が装着されている。給紙装置909は、着脱自在で、A5、A4、A3サイズのシートを収容する各カセットを有している。給紙装置909は、シートを画像形成部902に向けて給送するローラ対の回転駆動を制御する図示しない制御部で制御される。なお、シートのサイズの選択等の設定は、タッチパネル248から行うことができる。
【0017】
制御部950は、中央演算処理装置として作動するCPU(以下、CPU1Aという。)、デジタル複写機1Aの基本制御プログラムを記憶したROM、CPU1Aのワークエリアとして働くRAM及びこれらを接続する内部バスで構成されている。制御部950には外部バスが接続されている。外部バスには、画像入力部930、画像入力部930で入力されたアナログ画像データをデジタル画像データに変換するA/D変換部、画像形成部902、タッチパネル248の表示や操作命令を制御するタッチパネル制御部、画像入力部930又はパーソナルコンピュータ等の外部装置から送出される画像データを記憶するハードディスクが接続されている。また、外部バスは、図示しないステッピングモータやソレノイドを駆動/作動させるアクチュエータ制御部にも接続されている。更に、外部バスは、周辺機器との通信を行うために、図示しないインターフェースを介して、給紙装置909及びADF940の制御部、後述するシート穿孔装置2の制御部290及びシート後処理装置3の制御部149にも接続されている。
【0018】
2.シート穿孔装置
図2に示すように、シート穿孔装置2は、シートに穿孔処理を施す5個の円柱状パンチ250を有している。パンチ250は下部側に穿孔刃が形成されており、パンチ250の軸方向と直交する方向に貫通した作動ピン251を有している。パンチ250は、搬入部の一部としてのシート搬送路245(図3参照)に対して固定されたパンチガイド200に収容されている。パンチガイド200は、上側パンチガイド220と下側パンチガイド230とで構成されている。
【0019】
上側パンチガイド220は、チャネル状部材で構成されており、チャネル状部材の立ち上がり部224両端に外側に向けて断面略L字状に折り曲げられたフランジ部221、222を有している。また、立ち上がり部224の一側及びフランジ部221には連通して矩形状に切り欠かれた5つのピン貫通窓221aが形成されており、立ち上がり部224の他側及びフランジ部222にもピン貫通窓221aと対向する位置にピン貫通窓221aと同様にピン貫通窓222aが形成されている。更に、上側パンチガイド220のチャネル底部223の中央には、立ち上がり部224に形成されたピン貫通窓221a、222aの位置に対応して、パンチ250の穿孔刃が下方に進出可能な5つの円形貫通孔(不図示)が形成されている。
【0020】
一方、下側パンチガイド230もチャネル状部材で構成されており、中央平面部231と両側が上方に突出した突出平面部232とを有している。中央平面部231には、上側パンチガイド220のチャネル底部223に形成された円形貫通孔の位置に対応して、パンチ250の穿孔刃が進出可能な5つの円形貫通孔231aが形成されている。
【0021】
上側パンチガイド220のチャネル底部223及び下側パンチガイド230の突出平面部232は、両側でネジ241によりネジ締結されている。また、上側パンチガイド220のチャネル底部223と下側パンチガイド230の中央平面部231との間には、シートを搬入乃至搬送可能な搬入部の一部としての空間(以下、搬入空間という。)が形成されている。
【0022】
パンチ250の作動ピン251は、ピン貫通窓221a、222aを貫通してスライダ210、211に形成された案内溝210b、211b(図4参照)に係合している。案内溝210b、211bは、それぞれスライダ210、211の上側パンチガイド220に対向する面の長手方向に形成されており、上側水平溝部、下側水平溝部、並びに、上側水平溝部及び下側水平溝部間を繋ぐ傾斜溝部の3つの溝部を連接することで形成されている。また、スライダ210、211の長手方向には、案内溝210b、211bの上方に略水平のスライダ溝210a、211aが形成されている。このスライダ溝210a、211aには、それぞれ上側パンチガイド220のフランジ部221、222の先端が係合している。
【0023】
スライダ210、211は、スライダ溝210a、211a及び案内溝210b、211bが形成された面の反対面側にそれぞれ2個の突起を有しており、これらの突起が略チャネル状のスライドホルダ201の立ち下がり部に形成された矩形窓に嵌合することで、スライドホルダ201に固定されている。スライドホルダ201の一側には係合ピン202が固着されている。係合ピン202の下端部は、シャフト287に形成されたカム溝287aに係合している。シャフト287の一端はギア286に固着されており、他端は図示を省略した支持部材に回転可能に軸支されている。
【0024】
ギア286には、正逆転可能なステッピングモータ280のモータ軸に固着されたギア281、ギア281に噛合するギア282、及び、ギア283、284、285を介してモータ280の回転駆動力が伝達される。従って、シャフト287の正逆回転でカム溝287aに係合した係合ピン202により、スライドホルダ201は図2の矢印A又は矢印B方向にスライドし、スライドホルダ201はパンチ250の進出方向と直交する方向にスライダ210、211を支持している。なお、ギア286に噛合するギア285には、カム溝287aの基準位置、換言すれば、スライダ210、211に形成された案内溝210b、211bの基準位置(以下、RPと略称する。)を検出するためのRP検出片285Aが突設されている。RP検出片285A、すなわち、案内溝210b、211bのRPは検出センサ291により検出される。
【0025】
下側パンチガイド230の下方には、パンチ屑を受ける受け板(不図示)が配置されている。受け板の一側には、図示を省略したモータからの回転力により回動軸262の周りに回動することで受け板上からパンチ屑を掃き出し、受け板の下方に配置されたゴミ箱270内へパンチ屑を落下させるフラッパ261が配置されている。回動軸262には、フラッパ261の基準位置を検出するための検出片263が固着されている。検出片263、すなわち、フラッパ261の基準位置は検出センサ292で検出される。
【0026】
図3に示すように、上述した構成部材は、シート穿孔装置2のケーシングとなる装置フレーム2A内に収容されている。また、シート穿孔装置2は、シート穿孔装置2全体を制御する制御部290を有している。制御部290は、CPU(以下、CPU2という。)、CPU2が実行するプログラムやプログラムデータを予め記憶したROM、CPU2のワークエリアとして機能すると共に複写機本体1Aの制御部950から受信した設定データ等を記憶するRAM及び複写機本体1Aの制御部950との通信を行うためのインターフェース等を含んで構成されている。なお、図3において、図2に示したフラッパ261、ゴミ箱270、モータ280等は捨象している。
【0027】
3.シート後処理装置
図3に示すように、シート後処理装置3は、シート後処理装置3のケーシングとなる装置フレーム3A内に、シート穿孔装置2を介して複写機本体1Aから排出されたシートを略水平方向に排出ローラ対905の反対側に搬送する搬送ユニット100、搬送ユニット100の下方に斜めに配置されシートの端部を整合可能な整合ユニット20、整合ユニット20の下流に斜めに配置され複数枚のシートからなるシート束に綴じ処理を施すステイプラユニット30、ステイプラユニット30の下流に斜めに配置されシート束の所定位置を折り位置として折り処理を施す折りユニット50、シート束や冊子(折り処理が施されたシート束)を収積するためのスタック部、及び、シート後処理装置3の各ユニットを制御する制御部149を有している。
【0028】
搬送ユニット100は、シートをシート後処理装置3内に案内する搬送ガイド40、シートを更に下流に案内する搬入ガイド7、搬送ガイド40に配設されシートをニップ・搬送する搬送ローラ対5、搬入ガイド40内に搬送されたシートの先端を検出するシート検知センサ4、及び、搬入ガイド7の最下流に配設されシートをニップ・排出する排出ローラ対6を有している。
【0029】
整合ユニット20は、排出ローラ対6によって排出されたシートを積載する処理トレイ8を有している。処理トレイ8は、シートの下流側への搬送を付勢するために、シート搬送方向を下側として複写機本体1Aのプラテンガラス906に対し約30°に斜設されている。処理トレイ8上には、シートの両端を案内して幅寄せ整合する整合板9が設けられている。処理トレイ8の下部位置には、図示を省略した整合モータが配設されており、整合モータのモータ軸にはラック16に噛合したピニオン15が嵌着されている。整合板9の下側からは細長矩形状の固定部材が延出されており、固定部材の先端部は、処理トレイ8の幅方向に形成された長穴を挿通してラック16に固定されている。従って、整合板9は、シートのサイズに応じて整合モータの回転で処理トレイ8の幅方向に移動可能である。
【0030】
処理トレイ8の中央下部には、プーリ軸10a、11bにそれぞれプーリ10、11が嵌着されており、プーリ10、11間には無端移送ベルト12が巻き掛けられている。プーリ軸10aには搬送下ローラ18が嵌着されている。搬送下ローラ18の外周部は、処理トレイ8に形成された切り欠きを介して処理トレイ8の上面から露出している。プーリ軸10aには、正逆転可能な図示しないステッピングモータからの駆動力が伝達される。
【0031】
一方、搬送下ローラ18の上方には、二点鎖線で示すように搬送下ローラ18に当接する当接位置と、実線で示すにように搬送下ローラ18から離間した離間位置との間で移動自在な搬送上ローラ19が配設されている。搬送上ローラ19の当接位置及び離間位置間の移動は図示しないカム等の動作により行われ、搬送上ローラ19の回転力はギアを介して上述した図示しないステッピングモータから付与される。
【0032】
搬入ガイド7の下方かつ処理トレイ8の上方には、軸17aを中心に回転しシートをシート搬送方向に付勢するパドル17が配置されている。パドル17は、一定の弾力を持ったゴム材等の弾性部材が材質とされており、軸17aを中心として放射状に一体形成されたフィン17bを有している。パドル17は、シートが処理トレイ8上に排出乃至収積される際に容易に変形し、シート搬送方向への搬送に適切な付勢力を付与することが可能である。
【0033】
無端移送ベルト12には、処理トレイ8上に収積されたシート束の一側端部に端面で当接しシート束を昇降トレイ90側に押し出す押し出し爪13が固着されている。押し出し爪13にはホームポジション(以下、HPと略称する。)が設定されており、HPは、押し出し爪13の端面がプーリ軸10aの真下に位置するところとされている。無端移送ベルト12の下側には、押し出し爪13のHPを検出するために、押し出し爪13と係合する検出アームと透過型一体センサからなるアーム検出センサとが配設されている。
【0034】
また、処理トレイ8のステイプラユニット30側の上方には、斜設された処理トレイ8上を自重でシート搬送方向に落下するように付勢されかつパドル17の回転によって更に付勢されるシートの一端を規制・整合するストッパ21が配置されている。ストッパ21は、脚部と腕部とを有する断面略J字状の形状を有している。ストッパ21の腕部の一側は、不図示のソレノイドのプランジャに固定されており、腕部の他側はバネにより所定の引張力で引っ張られている。ストッパ21は、不図示のソレノイドのオン・オフにより、腕部の略中央に位置する支持軸を支点として、脚部底面(脚部の先端)が、実線で示すように処理トレイ8の上面に当接する規制位置と、二点鎖線で示すにように処理トレイ8の上面から退避した退避位置との間で移動自在とされている。
【0035】
押し出し爪13は、通常時(搬送上ローラ19が離間位置にあり、かつ、ストッパ21が退避位置にあるとき)には、昇降トレイ90側に移動可能である。従って、規制位置に位置するストッパ21で一側端部が整合されたシート束を、押し出し爪13で昇降トレイ90側に搬送したり、押し出し爪13をHPに位置させた状態で、一側端部が整合されたシート束を搬送下ローラ18と当接位置に位置する搬送上ローラ19とでニップしてステイプラユニット30側に搬送することが可能である。
【0036】
ステイプラユニット30は、整合ユニット20の下流に配置され、シート束を搬送するための搬送通路39を挟んで下方にステイプル針のカートリッジを有しステイプル針を打ち出すヘッドアセンブリ31と、上方にヘッドアセンブリ31から打ち出されたステイプル針の先端部を受けて折り曲げるアンビルアセンブリ32とを有している。ステイプラユニット30は、搬送下ローラ18と搬送上ローラ19とでニップ・搬送されたシート束の搬送距離に応じて、端部や中央部に綴じ処理を行う機能を有しており、ヘッドアセンブリ31及びアンビルアセンブリ32をシート搬送方向と交差する方向へ支持・案内するための円柱状の案内ロッド33、34を介して、シート束の複数箇所にステイプル針の綴じ処理を施すことが可能である。なお、ステイプラユニット30は、二点鎖線で示すユニット体として構成されており、ステイプル針の補充が可能なように、シート後処理装置3から引き出し可能に構成されている。
【0037】
折りユニット50は、ステイプラユニット30の下流に二点鎖線で示されるユニット体として構成されると共に、ステイプルユニット30と同様に、シート後処理装置3から引き出可能な構造を有している。
【0038】
折ユニット50の入口には、シート束をニップして下流に搬送する束搬送上ローラ51及び束搬送下ローラ52が配設されている。束搬送上ローラ51及び束搬送下ローラ52の下流には、これらのローラ対により搬送されてくるシート束を更に下流に案内するための束搬送ガイド53が配設されている。束搬送ガイド53のシート束搬送経路には、シート束の先端部を検出する透過一体型の端部検出センサ54が配置されており、制御部149は、端部検出センサ54のシート束先端検出信号に基づいて束搬送上ローラ51と束搬送下ローラ52とを圧接させると共に、シート束の搬送方向の折り位置の設定制御を行う。
【0039】
束搬送上ローラ51は、束搬送下ローラ52と圧接する位置と、束搬送下ローラ52と離間する位置(不図示)との間で移動可能に構成されており、束搬送上ローラ51と束搬送下ローラ52とは、シート束の先端部が端部検出センサ54で検出される迄は離間状態をとり、シート束の先端部が端部検出センサ54で検出されると圧接状態をとる。この圧接状態にほぼ同期して、搬送上ローラ19は当接位置から離間位置へ移行し、シート束の下流側への搬送は束搬送上ローラ51と束搬送下ローラ52との圧接搬送に引き継がれる。
【0040】
搬送ガイド53の下方には、シート束を折るために、シート束の搬送方向と交差する方向に互いに圧接するように付勢され、夫々が回転駆動される折りローラ57a、57bからなるローラ対が配設されている。また、搬送ガイド53の下流でシート束の搬送方向と交差する方向には、折りローラ57a、57bの圧接位置近傍まで先端エッジが移動し、折りローラ57a、57bの圧接位置にシート束を押し込む突き板55が配置されている。
【0041】
折りユニット50は、シートが長手方向に搬送される縦送りのときに、シート束の(搬送方向)先端部から1/2(中央)の位置に折り処理を施す。折りユニット50の下流には、シート後処理装置3の底部位置に、整合ユニット20、ステイプラユニット30及び折りユニット50の配置傾斜とは反対の傾斜面を有し折りユニット50で折り処理が施されたシート束をストックする折りシート束排出スタッカ80が配置されている。折りシート束排出スタッカ80の上方には、一端が回動可能に固定され排出されるシート束を折りシート束排出スタッカ80の傾斜面による落下力と相俟ってバネ等の付勢力により押える折りシート押え81が配置されている。
【0042】
また、シート穿孔装置2とは反対側の装置フレーム2Aの側面には、装置フレーム2Aに対して垂直方向に昇降可能な昇降トレイ90が配置されている。昇降トレイ90は、昇降トレイ支持部92で支持されている。
【0043】
制御部149は、CPU(以下、CPU3という。)、CPU3が実行するプログラムやプログラムデータを予め記憶したROM、CPU3のワークエリアとして機能すると共に複写機本体1Aの制御部950から受信した設定データ等を記憶するRAM及びインターフェース等を含んで構成されている。
【0044】
(動作)
次に、本実施形態の複写機1の動作について説明する。ADF940に原稿Dがセットされ、オペレータにより、タッチパネル248に表示された設定の変更や未設定内容の指タッチによる入力が行われた後、タッチパネル248のスタートボタンが押下されると、CPU1Aは、タッチパネル制御部250から送出されたデジタル複写機1Aの全設定情報を取り込む。以下、本発明に関連して、シートに2穴又は3穴の穿孔処理を施すモード設定がなされたものとして説明する。
【0045】
CPU1Aは、画像入力部930で読み取った画像データを、A/D変換部を介して取り込み、順次ハードディスクに格納する。次いで、CPU1Aは、制御部290、149にそれぞれシート穿孔装置2、シート後処理装置3に関連する設定情報を送出し、ハードディスク内の画像データに従い画像形成部902にシートへの画像形成を実行させる。
【0046】
すなわち、CPU1Aは給紙装置909に所定サイズのシートを給紙させるために給紙信号を出力する。給紙装置909の制御部は、ローラ対を回転駆動させて指示されたカセットから所定サイズのシートを給紙する。シートは、給紙装置909内のローラ対で斜行が補正され、更にタイミングが合わされて画像形成部902へ向けて搬送される。CPU1Aは1シート分の画像データを1ライン毎にレーザユニット922から感光ドラム914に照射させる。感光ドラム914は予め一次帯電器919で帯電されており、照射光により感光ドラム914に静電潜像が形成される。この静電潜像は現像器915により現像されトナー像が感光ドラム914上に形成される。
【0047】
画像形成部902では、感光ドラム914のトナー像が、転写用帯電器916により、給紙されたシート上に転写される。トナー像が転写されたシートは、分離帯電器917により転写用電器916と逆極性に帯電されて感光ドラム914から分離される。更に、分離されたシートは、無端搬送ベルト920により定着器904に搬送され、定着器904でシートに転写画像が永久定着され、シート上に画像が形成(記録)される。両面印刷のときは、デュープレックス921を介してシートの他面に画像が形成される。
【0048】
そして、画像が形成されたシートは、排出ローラ対905により複写機本体1Aからシート穿孔装置2側に排出される。排出ローラ対905の下流側には図示しないセンサが配置されており、CPU1Aは、図示しないセンサがシートの先端を検出してから所定ステップ数、排出ローラ対905を回転させたところで、シート搬送を停止させる。これにより、シートの被穿孔箇所が、シート穿孔装置2内の搬送ガイド245を介して上述した搬入空間で停止する。また、CPU1Aは、CPU2にシート搬送を停止させた旨を報知する。
【0049】
CPU1Aから報知を受けたCPU2は、CPU1Aから報知された2穴又は3穴の設定に従ってモータ280を回転させる。すなわち、2穴の設定の場合には、モータ280を正転(CW)させてスライドホルダ201を図2の矢印A方向に移動させ、3穴の設定の場合には、モータ280を逆転(CCW)させてスライドホルダ201を図2の矢印B方向に移動させる。なお、CPU2は、電源投入後の初期設定時に、検出センサ291でRP検出片285Aを検出したか否かの判定を行っており、否定判定のときは検出センサ291でRP検出片285を検出するまでモータ280を作動させることで、初期設定時にスライドホルダ201を基準位置に位置させている。
【0050】
ここで、図4を参照して、パンチ250と案内溝210b、211bとの関係について詳述する。上述したように、スライダ210、211は、スライドガイド201に固定されている。従って、スライドガイド201が基準位置に位置するときには、案内溝210b、211bもRPに位置する。図4の(2)はこの状態での案内溝210b(211b)を概念的に示したものである。
【0051】
今、図2に示したモータ280から近い順に、5個のパンチ250を250A、250B、250C、250D、250E、その作動ピン251を251A、251B、251C、251D、251Eとすると、RPでは、パンチ250Aは図4の(2)(a)、パンチ250Bは(2)(b)、パンチ250Cは(2)(c)、パンチ250Dは(2)(d)、パンチ250Eは(2)(e)の位置に位置する。換言すると、作動ピン251AはRPに位置する案内溝210b(211b)内の(2)(a)の位置、作動ピン251Bは(2)(b)の位置、作動ピン251Cは(2)(c)の位置、作動ピン251Dは(2)(d)の位置、作動ピン251Eは(2)(e)の位置にそれぞれ係合している。ここで留意すべき点は、RPにおける作動ピン251A〜251Eの案内溝210b(211b)への係合位置が、全て上述した上側水平溝部であることである。このため、パンチ250A〜250Eの穿孔刃は上側パンチガイド220のチャネル底部223より上方の退避位置に位置し(図3の状態)、仮に穿孔処理の設定がなされない場合には、シートをシート後処理装置3側にそのまま搬送することが可能である。なお、このような場合には、CPU1Aは上述したシート搬送の停止を行わず、シート穿孔装置2を経由してシート後処理装置3にシートを搬送する。
【0052】
モータ280を所定ステップ数正転させてスライドホルダ201を図2の矢印A方向に移動させると、図4の(1)に示すように、スライダ210(211)はスライドホルダ201に固定されているため、スライダ210(211)に形成された案内溝210b(211b)はRPから矢印A方向に所定距離スライドする。作動ピン251A〜251Eは、若干のアローアンスは許容されているものの、ピン貫通窓221a(222a)に規制され案内溝210b(211b)のスライドに伴って矢印A方向に移動することはできない。従って、作動ピン251Aは上側水平溝部間をスライドして(1)(a)に、作動ピン251Bは上側水平溝部から傾斜溝部を経由して下側水平溝部(1)(b)に、作動ピン251Cは上側水平溝部間をスライドして(1)(c)に、作動ピン251Dは上側水平溝部から傾斜溝部を経由して下側水平溝部(1)(d)に、作動ピン251Eは上側水平溝部間をスライドして(1)(e)にそれぞれ位置する。つまり、作動ピン251B、251Dは傾斜溝部を徐々に下側水平溝部の穿孔位置まで案内され、パンチ250B、250Dの穿孔刃はチャネル底部223に形成された円形貫通孔及び中央平面部231に形成された円形貫通孔231aを貫通する。この結果、シートには2穴の穿孔処理が施される。なお、作動ピン251A、251C、251Eは上側水平溝部間をスライドするため、パンチ250A、250C、250Eは退避位置に保持される。
【0053】
一方、モータ280を所定ステップ数逆転させてスライドホルダ201を図2の矢印B方向に移動させると、図4の(3)に示すように、スライダ210(211)に形成された案内溝210b(211b)はRPから矢印B方向に所定距離スライドする。作動ピン251A〜251Eは、上述したようにピン貫通窓221a(222a)に規制され案内溝210b(211b)のスライドに伴って矢印B方向に移動することはできない。従って、作動ピン251Aは上側水平溝部から傾斜溝部を経由して下側水平溝部(3)(a)に、作動ピン251Bは上側水平溝部間をスライドして(3)(b)に、作動ピン251Cは上側水平溝部から傾斜溝部を経由して下側水平溝部(3)(c)に、作動ピン251Dは上側水平溝部間をスライドして(3)(d)に、作動ピン251Eは上側水平溝部から傾斜溝部を経由して下側水平溝部(3)(e)にそれぞれ位置する。つまり、作動ピン251A、251C、251Eは傾斜溝部を徐々に下側水平溝部の穿孔位置まで案内され、パンチ250A、250C、250Eの穿孔刃はチャネル底部223に形成された円形貫通孔及び中央平面部231に形成された円形貫通孔231aを貫通する。この結果、シートには3穴の穿孔処理が施される。なお、作動ピン251B、251Dは上側水平溝部間をスライドするため、パンチ251B、251Dは退避位置に保持される。
【0054】
従って、本実施形態では、パンチ250A〜250Eのうち隣り合うパンチ同士は異なる組合せに属している。また、スライダ210(211)に上側水平溝部、下側傾斜溝部及び傾斜溝部の3つの溝部で連接構成された案内溝210b(211b)を形成することで、パンチ250を2穴又3穴の穿孔処理を施すために選択的な組合せとしている。これら3つの溝部のうち、上側水平溝部はパンチ250を退避位置に止めておく(保持する)退避部として機能し、傾斜溝部はパンチ250を穿孔位置に進出させるための進出部として機能する。更に付言すれば、傾斜溝部は作動ピン251との係合によりパンチ250に下方向への押圧力を付与する機能を有しており、下側水平溝部は穿孔位置の最下端まで進出したパンチ250に対する節度として機能する。また、作動ピン251を案内溝210b(211b)に係合させることで、5個のパンチ250はスライダ210(211)により退避位置と穿孔位置との間で移動自在に支持されている。
【0055】
CPU2は、モータ280を正転又は逆転させてシートに2穴又は3穴の穿孔処理を施した後、モータ280を所定ステップ数逆転又は正転させ、検出センサ291がRP検出片285Aを検出したか否かを判断する。肯定判断のときはモータ280を停止させ、否定判断のときは検出センサ291がRP検出片285Aを検出するまで逆転乃至正転を行ってモータ280の回転駆動を停止させ、CPU1Aにモータ280を停止させた旨を報知する。つまり、モータ280を所定ステップ数逆転又は正転させることで、スライダ210(211)の案内溝210b(211b)はRPに位置し、穿孔位置に進出したパンチ250は退避位置に位置付けられる。これにより、シートは搬入空間に進出したパンチ250に阻まれることなく搬入空間を通過可能となる。
【0056】
CPU2から報知を受けたCPU1Aは、停止中の排出ローラ対905を回転させ、排出ローラ対905の下流側の図示しないセンサがシートの後端を検出すると、排出ローラ905の回転を停止させる。これにより、シートはシート後処理装置3に搬送される。
【0057】
CPU3は、CPU1Aからシート後処理装置3に関連する設定情報を受信すると、ヘッドアセンブリ31及びアンビルアセンブリ32を初期位置へ移動させ、シート穿孔装置2を介して複写機本体1Aからシートが排出されるまで待機する。以下、シート後処理装置3の動作について、設定モードに分けて説明する。
【0058】
(1)非綴じ処理モード
CPU1Aから非綴じ処理モードの設定情報を受信すると、CPU3は、まず、図示しないステッピングモータを駆動して、押し出し爪13を上述したHPから処理トレイ8上でシート集積基準となり押し出し爪13の端面がプーリ軸10aの真上から所定距離だけ昇降トレイ90側寄りのプレホームポジション(PreHP)に移動させて停止させる。このとき、搬送上ローラ19は離間位置にあり、ストッパ21は退避位置にある。なお、HPからPreHPへの移動は、図示しないステッピングモータへ送出するパルス数をカウントすることで行うことができる。
【0059】
これと並行して、搬送ローラ対5、排出ローラ対6の駆動ローラを回転させて複写機本体1Aからシートが搬送されてくるまで待機する。シートが排出されると、シートを搬送ローラ対5、排出ローラ対6によって処理トレイ8に搬送する。シート検知センサ4がシートを検出すると、CPU3は、整合板9を移動する整合モータ、パドル17を回転するパドルモータの起動タイミングを計る。
【0060】
シートが処理トレイ8上に排出されると、整合モータ及びパドルモータを駆動させる。この駆動により、整合板9はシート搬送方向と交差する幅方向に移動しシートの両端を整合すると共に、パドル17は予めPreHPに位置している押し出し爪13の端面にシートの端部を整列(整合)させるように回転する。この動作はシートが夫々処理トレイ8に排出される毎に繰り返される。
【0061】
所定枚数のシートが押し出し爪13の端面に整列すると、搬送モータ及びパドルモータを停止させると共に、無端移送ベルト12を移動させる図示しないステッピングモータを駆動し、押し出し爪13の端面でシート束を押しながら昇降トレイ90側に移動させる。これにより、シート束は昇降トレイ90上に積載される。シート束が昇降トレイ90に積載されると、図示を省略した昇降トレイモータを回転させて昇降トレイ90を一定量下降させ、昇降トレイモータを逆転させることで、昇降トレイ90を上昇させ、次のシート束が載置されるまでこの位置で待機させる。
【0062】
従って、綴じ処理が不要な非綴じ処理モードでは、シートをストッパ21の規制位置まで移送することなく、予め押し出し爪13をPreHPに位置させてシート束をスタックして昇降トレイ90側に押し出すので、シートに穿孔処理を施さない場合のように複写機本体1Aのシート排出速度が早くても、シート後処理装置3は、その排出速度に追随可能である。
【0063】
(2)端綴じ処理モード
CPU1Aから端綴じ処理モードの設定情報を受信すると、CPU3は、不図示のソレノイドをオン状態としてストッパ21を規制位置に位置させる。搬送ローラ対5、排出ローラ対6の駆動ローラを回転させて複写機本体1Aから排出されたシートを処理トレイ8に排出させ、整合モータ及びパドルモータを駆動させる。シートは、幅方向両端を整合板9で整合され、シートの端部はストッパ21の脚部側面まで移送されて停止する。これを特定枚数分繰り返すことで、シート束がストッパ21に規制されて整合された状態となる。
【0064】
次に、シート束がストッパ21に整合された状態で搬送上ローラ19を搬送下ローラ18側に移動させシート束を挟持(ニップ)した後、不図示のソレノイドをオフ状態としてストッパ21を退避位置に位置させ、図示しないステッピングモータを非後処理モードとは逆方向に所定ステップ数駆動する。この駆動により、搬送上ローラ19及び搬送下ローラ18は、シート束を挟持したままステイプラユニット30側に、シート束の綴じ位置が初期位置にあるヘッドアセンブリ31のヘッド位置となるまで、シート束を移送する。なお、このように図示しないステッピングモータが逆方向に回転する場合には、無端移送ベルト12を張設するプーリ10とプーリ軸10aとの間に図示しないワンウェイクラッチを介在させることにより行われ、無端移送ベルト12には図示しないステッピングモータからの駆動伝達はされず無端移送ベルト12及び押し出し爪13は停止した状態を保つ。次いで、ヘッドアセンブリ31、アンビルアセンブリ32によりシート束の端部に綴じ処理を行う。なお、シート束端部の複数位置に綴じ処理を行う場合には、ステイプラユニット30を移動した後、綴じ処理を行う。
【0065】
綴じ処理が完了すると、図示しないステッピングモータにより搬送下ローラ18、搬送上ローラ19及び無端移送ベルト12を昇降トレイ90側にシート束を搬送するように駆動する。この駆動により、綴じ処理後のシート束の搬送は、搬送下ローラ18、搬送上ローラ19から押し出し爪13に引き渡される。押し出し爪13がシート束を昇降トレイ90側へ押し出すことで、シート束は昇降トレイ90に積載される。以後の昇降トレイ90の動作は上述した非後処理モードと同じなのでその説明を省略する。
【0066】
(3)中綴じ及び折り処理モード
CPU1Aから中綴じ及び折り処理モードの設定情報を受信すると、端綴じ処理モードと同様に、複写機本体1Aから排出されるシートは処理トレイ8上に積載される。処理トレイ8上にシート束が整合積載された後、搬送上ローラ19を搬送下ローラ18側に下降させてシート束を挟持すると共に、不図示のソレノイドをオフ状態としてストッパ21を退避位置に位置させる。次に、図示しないステッピングモータをノンステイプルモードとは逆方向に駆動させ、搬送上ローラ19及び搬送下ローラ18にシート束を挟持させたままステイプラユニット30側に搬送する。
【0067】
シート束の移送を開始した後、端部検出センサ54がシート束の搬送方向先端を検知すると、CPU3は、CPU1Aから受信した設定情報のうちシート長さの情報に基づき、シート搬送方向中央部を綴じ位置に一致するところまで搬送した後、図示しないステッピングモータの駆動を停止させて、シート束の搬送方向中央部に綴じ処理を行う。
【0068】
続いて、折り処理を行うために、搬送上ローラ19を離間位置とし、シート束の挟持を解除する。搬送モータ162を駆動して束搬送上ローラ51と束搬送下ローラ52とを回転させ、シート束を更に下流に搬送する。この搬送時にCPU3は、端部検出センサ54からの検出信号とRAMに記憶したシート長さ情報とから、シート束の搬送方向中央部、すなわち、綴じ位置が折り位置となるように、シート束の搬送速度を減速しながら停止させる。
【0069】
次に、折りローラ57a、57bをシート束をニップする方向に回転させると共に突き板55を下降させる。突き板55が下降すると、シート束は折りローラ57a、57bに巻き込まれ、この後、突き板55はシート束から離れる方向に移動し、シート束は更に折りローラ57a、57bで折り込まれて(ニップ搬送されて)いく。折りローラ57a、57bでニップ搬送されたシート束は、折シート束排出スタッカ80に排出され、ストックされる。
【0070】
一方、折り動作開始後、図示を省略した突き板HPセンサにより、突き板55がシート束の搬送方向長さに応じた所定回数往復運動したことが検出されると、CPU3は、折りユニット50の各部の動作を停止させる。
【0071】
(4)折り処理モード
CPU1Aから折り処理モードの設定情報を受信すると、CPU3は、上述した中綴じ及び折り処理モードと同様の処理を実行する。折り処理モードが中綴じ及び折り処理モードと異なる点は、ステイプラユニット30に綴じ処理を行わせないで折りユニット50に折り処理を実行させる点である。このためCPU3は、整合ユニット20でシート束の端部を整合した後、図示しないステッピングモータを非後処理モードとは逆方向に駆動させ、搬送上ローラ19及び搬送下ローラ18にシート束を挟持させたままステイプラユニット30側に搬送し、折り処理を行うために、搬送上ローラ19を離間位置とし、シート束の挟持を解除する。搬送モータ162を駆動して束搬送上ローラ51と束搬送下ローラ52とを回転させ、シート束を折りユニット50側に搬送して、上述したように折りユニット50に折り処理を実行させ、折り処理が施され綴じ処理されていないシート束を折シート束排出スタッカ80に排出させる。
【0072】
(作用等)
次に、本実施形態の複写機1の作用等についてシート穿孔装置2の作用等を中心に説明する。
【0073】
本実施形態のシート穿孔装置2は、スライダ210、211(案内溝210b、211b)が2穴又は3穴の穿孔処理の組合せに応じて、2穴の場合にはパンチ250B、250D(作動ピン251B、251D)を、3穴の場合にはパンチ250A、250C、250E(作動ピン251A、251C、251E)を退避位置から穿孔位置に進出させる機能と、5個の全てのパンチ250A〜250E(作動ピン251A〜251E)を穿孔位置と退避位置との間で支持する機能を有している。このため、従来技術のように、パンチ(穿孔刃)毎に、パンチを穿孔位置と退避位置とに位置付けるための偏心カムやパンチを退避位置に保持するためのバネが不要となる。従って、構成部品点数を少なくすることができると共に、シート穿孔装置2のコンパクト化を図ることができる。
【0074】
また、本実施形態のシート穿孔装置2は、2穴又は3穴の組合せ毎に一部のパンチ250を穿孔位置に進出させる案内溝210b、211bの傾斜溝部をスライダ210、211に形成したので、穿孔位置と退避位置との間で移動させるための部材が共通化されパンチ250毎に設ける必要がない。従って、構成部品点数を更に少なくすることができると共に、シート穿孔装置2をよりコンパクト化に構成することができる。
【0075】
更に、本実施形態のシート穿孔装置2では、モータ280の正逆回転により、スライドホルダ201は図2の矢印A又は矢印B方向にスライドし、スライドホルダ201はパンチ250の進出方向と直交する方向にスライダ210、211をスライド自在に支持している。このため、パンチ250の進出方向のスペースが限られていても、パンチ250の移動ストロークを十分にとることができると共に、シート穿孔装置2のパンチ250の進出方向におけるサイズのコンパクト化を図ることができる。
【0076】
なお、本実施形態では、シート穿孔装置2を複写機本体1Aの周辺機器として例示したが、本発明はこれに限定されず、スタンドアローンタイプ、複写機本体内に複写機本体と一体とされた一体タイプ、シート後処理装置に組み込まれたタイプ等種々の態様での適用可能である。
【0077】
例えば、スタンドアローンタイプでは、上述した搬入空間が本発明の「搬入部」に対応し、「搬入部」には必ずしも本実施形態で示したシート搬送路245を含む必要はない。また、スタンドアローンタイプでは、モータ280やギヤ281〜286を除き、手動で穿孔処理を施すようにしてもよい。このようなスタンドアローンタイプでは、本実施形態のようにシートの搬送位置(穿孔処理を施す位置)の位置管理がなされない場合に備え、シートに対して穿孔位置の基準となる部材を別に有することが好ましい。
【0078】
また、シート後処理装置に組み込まれたタイプでは、例えば、シート検出センサ4、搬送ローラ対5をより下流側に配置し、搬送ガイド40にシート穿孔装置を配置するようにしてもよい。更に、本実施形態のシート後処理装置3は整合ユニット20を有しているので、整合ユニット20の下流側又はステイプラユニット30の下流側にシート穿孔装置を配置するようにしてもよい。このようにすれば、シート束に対して一括して穿孔処理を施すことができるので、より高速なシートの後処理が可能となる。この場合には、パンチ250の進出するストロークを長くしてシート束の厚さ分をパンチ250が貫通する必要があるが、上述したように、本実施形態のシート穿孔装置はスライドホルダ201がパンチ250の進出方向と直交する方向にスライダ210、211をスライド自在に支持しているので、パンチ250の移動ストロークを確保しながらパンチ250の進出方向におけるシート穿孔装置、ひいては、シート後処理装置のコンパクト化を図ることができる。
【0079】
更に、本実施形態のシート穿孔装置3では、パンチ250が作動ピン251を有しスライダ210、211の案内溝210b、211bに係合する例を示したが、スライダ210、211側に作動ピンを設け、パンチ250に作動ピンと係合する被係合部を形成するようにしてもよい。このような場合には、穿孔刃の部分のみを所望のパンチ穴を形成可能な形状とし、パンチ250の形状は円柱状に限らず作動ピンに対応させた種々の形状を採ることができる。
【0080】
そして、本実施形態のシート穿孔装置3では、2穴又は3穴の穿孔処理を施す例を示したが、本発明はこれに制限されず、ファイルバインダが要求する種々の穴形状、穴数に応じて適用可能であることは論を待たない。
【0081】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、支持手段が組合せに応じて一部の穿孔刃を穿孔位置に進出させる機能と穿孔刃の全てを穿孔位置と退避位置との間で支持する機能との双方を兼ねているので、シート穿孔装置をコンパクトに構成することができる、という効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明が適用可能な実施形態の複写機の一部破断正面図である。
【図2】実施形態の複写機のシート穿孔装置の分解斜視図である。
【図3】実施形態の複写機のシート穿孔装置及びシート後処理装置の正断面図である。
【図4】実施形態の複写機のシート穿孔装置のスライダに形成された案内溝とパンチとの位置関係を模式的に示す説明図である。
【符号の説明】
1 複写機(画像形成装置)
2 シート穿孔装置
201 スライドホルダ(スライド手段)
202 係合ピン(駆動手段の一部)
210、211 スライダ(支持手段)
210b、211b 案内溝
245 搬送ガイド(搬入部の一部)
250 パンチ(穿孔刃)
251 作動ピン(突出部)
280 モータ(駆動手段の一部)
286 ギヤ(駆動手段の一部)
287 シャフト(駆動手段の一部)
287a カム溝(駆動手段の一部)
902 画像形成部(画像形成手段の一部)
905 排出ローラ対(搬送手段の一部)
Claims (10)
- シートを搬入するための搬入部と、
前記搬入部に搬入されたシートに穿孔処理を施す複数の穿孔刃と、
前記穿孔刃を選択的な複数の組合せとし、前記組合せに応じて前記穿孔刃のうち一部の穿孔刃を前記シートに穿孔処理を施す穿孔位置に進出させるための進出部と前記一部の穿孔刃以外の穿孔刃を前記穿孔位置から退避した退避位置に止めておくための退避部とを有し、前記退避位置と前記穿孔位置との間で前記穿孔刃の全てを移動自在に支持する支持手段と、
を備えたことを特徴とするシート穿孔装置。 - 前記進出部は、前記組合せ毎に前記一部の穿孔刃を前記穿孔位置への進出を許容する共通部材で構成されたことを特徴とする請求項1に記載のシート穿孔装置。
- 前記穿孔刃のうち、隣り合う穿孔刃同士は、異なる組合せに属することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のシート穿孔装置。
- 前記支持手段は、前記組合せに応じた所定位置に移動することで、前記穿孔刃を前記穿孔位置及び前記退避位置に位置させることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のシート穿孔装置。
- 前記穿孔刃は突出部を有し、前記支持手段には前記突出部と係合し前記穿孔刃を前記穿孔位置又は前記退避位置の間で支持する所定形状の案内溝が形成されたことを特徴とする請求項4に記載のシート穿孔装置。
- 前記穿孔刃には被係合部が形成されており、前記支持手段は、前記被係合部と係合し前記穿孔刃を前記穿孔位置又は前記退避位置の間で支持する係合部を有することを特徴とする請求項4に記載のシート穿孔装置。
- 前記支持手段をスライド自在に支持し前記所定位置に移動させるためのスライド手段を更に備えたことを特徴とする請求項4乃至請求項6のいずれか1項に記載のシート穿孔装置。
- 前記スライド手段は、前記穿孔刃の進出方向と直交する方向に前記支持手段を支持することを特徴とする請求項7に記載のシート穿孔装置。
- 前記支持手段を前記所定位置に移動させる駆動手段を更に備えたことを特徴とする請求項4乃至請求項8のいずれか1項に記載のシート穿孔装置。
- シートに画像を形成する画像形成手段と、
前記画像形成手段により画像が形成されたシートを搬送する搬送手段と、
前記搬送手段で搬送されたシートに穿孔処理を施す複数の穿孔刃と、
前記穿孔刃を選択的な複数の組合せとし、前記組合せに応じて前記穿孔刃のうち一部の穿孔刃を前記シートに穿孔処理を施す穿孔位置に進出させるための進出部と前記一部の穿孔刃以外の穿孔刃を前記穿孔位置から退避した退避位置に止めておくための退避部とを有し、前記退避位置と前記穿孔位置との間で前記穿孔刃の全てを移動自在に支持する支持手段と、
を備えた画像形成装置。
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