JP2004314820A - 車輪支持用転がり軸受ユニット - Google Patents

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Abstract

【課題】ナット10の緊締によりホイール1を回転側フランジ15に結合固定するのに伴って、この回転側フランジ15が塑性変形するのを防止する。そして、この回転側フランジ15に結合固定したロータ2の振れを抑えて、制動時にジャダーが発生するのを防止する。
【解決手段】上記回転側フランジ15の厚さ寸法をT[mm]とし、この回転側フランジ15を構成する金属材料の降伏応力をY[MPa]とした場合に、6406T−1.019>Y>5790T−1.099を満たす。この結果、上記回転側フランジ15の塑性変形を抑えて、車輪の交換後に上記ロータ2の振れが大きくなる事を防止し、上記ジャダーの発生を抑える。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、自動車の車輪並びにロータ或はドラム等の制動用回転体を支持する車輪支持用転がり軸受ユニットの改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車の車輪を構成するホイール1、及び、制動装置であるディスクブレーキを構成する、制動用回転体であるロータ2は、例えば図13に示す様な構造により、懸架装置を構成するナックル3に回転自在に支承している。即ち、このナックル3に形成した円形の支持孔4部分に、本発明の対象となる車輪支持用転がり軸受ユニット5を構成する外輪6を、複数本のボルト7により固定している。一方、上記車輪支持用転がり軸受ユニット5を構成する、特許請求の範囲に記載した内輪であると同時に回転側軌道輪であるハブ8に上記ホイール1及びロータ2を、複数本のスタッド9とナット10とにより結合固定している。
【0003】
上記外輪6の内周面には複列の外輪軌道11a、11bを、外周面には固定側フランジ12を、それぞれ形成している。この様な外輪6は、この固定側フランジ12を上記ナックル3に、上記各ボルト7で結合する事により、このナックル3に対し固定している。
【0004】
これに対して、上記ハブ8は、ハブ本体13と内輪14とを組み合わせて成る。このうちのハブ本体13の外周面の一部で、上記外輪6の外端開口(軸方向に関して外とは、自動車への組み付け状態で幅方向外側となる部分を言い、図1、4、7、9、10、13、14の左側。反対に、自動車への組み付け状態で幅方向中央側となる、図1、4、7、9、10、13、14の右側を、軸方向に関して内と言う。本明細書全体で同じ。)から突出した部分には、特許請求の範囲に記載したフランジである回転側フランジ15を形成している。上記ホイール1及びロータ2はこの回転側フランジ15の片側面(図示の例では外側面)に、上記各スタッド9とナット10とにより、結合固定している。
【0005】
又、上記ハブ本体13の中間部外周面で、上記複列の外輪軌道11a、11bのうちの外側の外輪軌道11aに対向する部分には、第一の内輪軌道16を、上記ハブ本体13に対し直接形成している。更に、上記ハブ本体13の内端部外周面に形成した小径段部17に上記内輪14を外嵌固定して、上記ハブ8を構成している。そして、この内輪14の外周面に形成した第二の内輪軌道18を、上記複列の外輪軌道11a、11bのうちの内側の外輪軌道11bに対向させている。
【0006】
これら各外輪軌道11a、11bと第一、第二の各内輪軌道16、18との間には、それぞれが転動体である玉19、19を複数個ずつ、それぞれ保持器20、20により保持した状態で転動自在に設けている。この構成により、背面組み合わせである複列アンギュラ型の玉軸受を構成し、上記外輪6の内側に上記ハブ8を、回転自在に、且つ、ラジアル荷重及びスラスト荷重を支承自在に支持している。尚、上記外輪6の両端部内周面と、上記ハブ本体13の中間部外周面及び上記内輪14の内端部外周面との間には、それぞれシールリング21a、21bを設けて、上記各玉19、19を設けた内部空間と外部とを遮断している。更に、図示の例は、駆動輪(FR車及びRR車の後輪、FF車の前輪、4WD車の全輪)用の車輪支持用転がり軸受ユニット5である為、上記ハブ本体13の中心部に、スプライン孔22を形成している。そして、このスプライン孔22に、等速ジョイント23のスプライン軸24を挿入している。
【0007】
上述の様な車輪支持用転がり軸受ユニット5の使用時には、図13に示す様に、外輪6をナックル3に固定すると共に、ハブ本体13の回転側フランジ15に、図示しないタイヤを組み合わせたホイール1及びロータ2を固定する。又、このうちのロータ2と、上記ナックル3に固定した、図示しないサポート及びキャリパとを組み合わせて、制動用のディスクブレーキを構成する。制動時には、上記ロータ2を挟んで設けた1対のパッドをこのロータ2の制動用摩擦面である両側面に押し付ける。尚、本明細書中で制動用摩擦面とは、制動用回転体がロータである場合には、このロータの軸方向両側面を言い、制動用回転体がドラムである場合には、このドラムの内周面を言う。
【0008】
尚、本発明の対象となる車輪支持用転がり軸受ユニットとしては、上述の図13に示す様な構造の他、図14に示す様な構造も、従来から知られている。この図14に示した従来構造の第2例の車輪支持用転がり軸受ユニット5aの場合には、ハブ本体13の外周面に形成した回転側フランジ15の一部に複数(乗用車用の場合、一般的には4〜6個所)のねじ孔25を、円周方向に関して等間隔に形成している。そして、これら各ねじ孔25に、それぞれがねじ杆部材である各ボルト26の先端部に形成した雄ねじ部27を螺合し更に緊締している。
【0009】
以上に述べた様な様な車輪支持用転がり軸受ユニット5、5aのハブ8を構成するハブ本体13の要部を焼き入れ硬化する事が、例えば特許文献1、2に記載される等により、従来から知られている。これら各特許文献1、2に記載された車輪支持用転がり軸受ユニットの場合には、ハブ本体の回転側フランジの内側面基部乃至小径段部に掛けての部分を焼き入れ硬化している。そして、走行時に加わるモーメント荷重に対する、上記回転フランジの強度を向上させると共に、上記ハブ本体の外周面各部の耐摩耗性及び転がり疲れ寿命の向上を図っている。
【0010】
一方、自動車の制動時にしばしば、ジャダーと呼ばれる、不快な騒音を伴う振動が発生する事が知られている。この様な振動の原因としては、ロータ2の側面とパッドのライニングとの摩擦状態の不均一等、各種の原因が知られているが、上記ロータ2の振れも、大きな原因となる事が知られている。即ち、このロータ2の側面はこのロータ2の回転中心に対して、本来直角となるべきものであるが、不可避な製造誤差等により、完全に直角にする事は難しい。この結果、自動車の走行時に上記ロータ2の側面は、多少とは言え、回転軸方向(図13、14の左右方向)に振れる事が避けられない。この様な振れ(図13、14の左右方向への変位量)が大きくなると、制動の為に1対のパッドのライニングを上記ロータ2の両側面に押し付けた場合に、上記ジャダーが発生する。又、上記回転側フランジ15の側面にドラムブレーキを構成するドラムを固定した場合に、このドラムの内周面がドラムの回転中心に対して完全に平行でなければ、シューをこの内周面に押し付けた場合に、やはりジャダーの如き振動が発生する。
【0011】
この様な原因で発生するジャダーを抑える為には、上記ロータ2の側面の軸方向の振れ(アキシアル振れ)、又はドラムの内周面の径方向の振れを抑える(小さくする)事が重要となる。そして、この振れを抑える為には、上記ハブ本体13の回転中心に対する回転側フランジ15の取付面28(上記ロータ2を取り付ける面)の直角度を向上させる事が重要となる。この為に従来から、特許文献3、4等に記載されている様に、車輪支持用転がり軸受ユニットの構成各部材を組み立てた後、回転側フランジの取付面を加工する事により、この取付面の直角度を向上させる技術が知られている。又、特許文献5には、回転側フランジの内径寄り部分に低剛性部を形成する事により、ホイールの固定作業に伴ってこの回転側フランジの外径寄り部分が変形した場合にも、この変形が回転側部材である外輪の内周面に形成された外輪軌道にまで及ぶ事を防止する構造が記載されている。
【0012】
【特許文献1】
特開2002−21858号公報
【特許文献2】
特開2002−87008号公報
【特許文献3】
米国特許第6,071,180号明細書
【特許文献4】
米国特許第6,364,426号明細書
【特許文献5】
特開2000−177301号公報
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
特許文献3、4等に記載されている様な技術により取付面28の直角度を向上させれば、上記ジャダーの発生を相当程度低減できると考えられる。但し、上記特許文献3、4等に記載されている様な技術により上記取付面28の直角度を向上させても、この取付面28にホイール1及びロータ2を支持固定するのに伴ってこの取付面28が歪んだ場合には、このロータ2の側面が軸方向に振れるのを、必ずしも十分に抑えられず、上記ジャダーの発生防止の効果が損なわれる。
【0014】
上記ホイール1及びロータ2を上記取付面28に支持固定するのに伴ってこの取付面28が歪むのを防止する為には、この取付面28を備えた回転側フランジ15の硬度を高くする事が考えられる。この回転側フランジ15の一部(内側面基端部)を焼き入れ硬化する技術は、特許文献1、2にも記載されているが、これら各特許文献1、2に記載された従来技術は、上記回転側フランジ15の内側面基端部を焼き入れ硬化するに留まり、上記ホイール1及びロータ2を上記取付面28に支持固定する際に応力が加わる部分の変形防止を考慮したものではない。
【0015】
一方、単に上記ホイール1及びロータ2を上記取付面28に支持固定する際に応力が加わる部分の変形防止を図る為、この取付面28を焼き入れ硬化すると、上記回転側フランジ15の靱性を確保する事が難しくなる。この理由は、上記取付面28を焼き入れ硬化すると、この取付面28部分に形成された焼き入れ硬化層と、シールリング21aとの摺動に伴う摩耗防止、或は曲げモーメントに対する疲労強度向上を目的として上記回転側フランジ15の内側面基端部に形成した焼き入れ硬化層とが、近接乃至は連続する為である。周知の様に、焼き入れ硬化層は、焼き入れしていない(生の)部分に比べて靱性が低く、亀裂損傷が発生し易い。同時に、上記取付面28の精度を向上させる為の旋削加工が面倒になり、製造コストが嵩む原因となる。従って、上記回転側フランジ15の内外両側面に焼き入れ硬化層を形成する事は好ましくない。
【0016】
又、特許文献5に記載された構造は、ホイール及びロータを取付面に支持固定するのに伴って回転側フランジが変形する事を防止するのではなく、この変形が外輪軌道にまで及ぶのを防止するものである。外輪軌道の変形が防止されれば、その分だけジャダーの原因となるローラの面方向の振れを低減できるが、上記回転側フランジの変形を抑えない限り、その効果は極限られたものとなる。即ち、上記特許文献5に記載された構造では、ジャダーの発生を十分効果的に防止する事はできない。
【0017】
しかも、ナット10或はボルト26の緊締に伴う上記取付面28の歪みには、一過性の(復元する)弾性変形だけでなく、そのまま残る塑性変形(永久歪み)も含まれる事が、本発明者の研究により始めて分かった。即ち、従来は、上記ホイール1及びロータ2を上記取付面28に支持固定する事に伴う、上記取付面28の変形に就いては考慮されておらず、増して、この支持固定作業に伴って上記取付面28が塑性変形する事等、全く考えられていなかった。これに対して本発明者の研究により、この塑性変形の存在が分かった。この様な塑性変形は、車輪交換の度(タイヤのパンク時、或は偏摩耗防止の為のローテーション時)に生じ得るし、その度に変形量が増大するものと考えられる。
【0018】
この為、自動車を長期間使用する事を考慮した場合、上記ナット10或はボルト26の緊締に伴う上記取付面28の歪みを抑える事が、長期間に亙って上記ジャダーを防止する為には必要になる。単に上記ナット10或はボルト26の緊締に伴う上記取付面28の歪みを抑える事のみを考えれば、前記回転側フランジ15の厚さ寸法を大きくすれば良い。但し、上記厚さ寸法を大きくすると、車輪支持用転がり軸受ユニット5、5aの重量が増大する。この車輪支持用転がり軸受ユニット5、5aは、所謂ばね下荷重となる為、少しの重量増大も、乗り心地、走行安定性を中心とした走行性能を悪化させる原因となる。これらの事を考慮すれば、上記回転側フランジ15の厚さ寸法の増大を最小限に抑えつつ、上記ナット10或はボルト26の緊締に伴う上記取付面28の歪みを、実用上問題ない程度に抑える事が重要になる事が分かる。
本発明の車輪支持用転がり軸受ユニットは、この様な事情に鑑みて発明したものである。
【0019】
【課題を解決するための手段】
本発明の車輪支持用転がり軸受ユニットは、前述した従来から知られている車輪支持用転がり軸受ユニットと同様に、外周面に複列の内輪軌道を有する内輪と、内周面に複列の外輪軌道を有し、この内輪の周囲にこの内輪と同心に配置された外輪と、上記各内輪軌道と上記各外輪軌道との間にそれぞれ複数個ずつ、転動自在に設けられた転動体とを備える。
そして、上記内輪と上記外輪とのうちで使用時に回転する回転側軌道輪の外周面に形成したフランジの側面に、制動用回転体とホイールとをねじ杆部材により結合固定した状態で使用される。
特に、本発明の車輪支持用転がり軸受ユニットに於いては、上記フランジのうちで上記ねじ杆部材を設ける部分の厚さ寸法をT[mm]とし、このフランジを構成する金属材料の降伏応力をY[MPa]とした場合に、6406T−1.019>Y>5790T−1.099を満たす。
【0020】
【作用】
上述の様に構成する本発明の車輪支持用転がり軸受ユニットの場合には、回転側フランジの厚さ寸法の増大を最小限に抑えつつ、ナット或はボルトの緊締に伴う、この回転側フランジの取付面の歪みを、実用上問題ない程度に抑える事ができる。即ち、本発明者が行なった実験から、フランジのうちでねじ杆部材を設けた部分の厚さ寸法Tとこのフランジを構成する金属材料の降伏応力Yとを、6406T−1.019>Y>5790T−1.099なる関係を満たす範囲内に設定すれば、上記歪みを5μm以下に抑えられる事が分かった。上記ナット或はボルトの緊締に伴うこの歪みは、この緊締作業が繰り返される度に生じて積算されるが、1回毎に生じる歪みは次第に小さくなる。そして、最初の緊締に伴う歪みを5μm以下に抑えれば、通常の使用状態である限り(車輪の交換頻度が特に多くならない限り)、制動時に生じるジャダーを、一般的な運転者に不快感を与えない程度に小さく抑える事ができる。
【0021】
【発明の実施の形態】
図1〜3は、請求項1、2、3、5に対応する、本発明の実施の形態の第1例を示している。ハブ本体13の外周面外端寄り部分に設けた回転側フランジ15の一部に複数(乗用車用の場合、一般的には4〜6個所)の取付孔29を、円周方向に関して等間隔に形成している。そして、これら各取付孔29に、ねじ杆部材である各スタッド9の中間部基端寄り部分を嵌合固定している。これら各スタッド9には、基端部に外向フランジ状の鍔部30を、中間部基端寄り部分にセレーション部31を、中間部乃至先端部に雄ねじ部32を、それぞれ形成している。この様な各スタッド9は、上記各取付孔29に上記回転側フランジ15の内側から外側に向け、上記雄ねじ部32を先にして挿通し、上記セレーション部31を上記取付孔29に圧入すると共に上記鍔部30を上記回転側フランジ15の内側面に当接させた状態で、この回転側フランジ15に、回転を阻止した状態で固定している。
【0022】
本例の場合、上記回転側フランジ15の内側面のうちで上記取付孔29の開口部の周囲部分に、軸方向内方に突出した凸部33を、この取付孔29の全周を囲む状態で形成している。そして、この凸部33を形成した部分の軸方向に関する厚さ寸法Tを、上記回転側フランジ15のうちで上記凸部33から円周方向に外れた部分の厚さ寸法tよりも大きく(T>t)している。上記回転側フランジ15の外側面にロータ2を介してホイール1を突き合わせ、上記スタッド9の雄ねじ部32にナット10を螺合し更に緊締した状態で上記回転側フランジ15の外側面は、上記ホイール1の一部内側面により押圧される。
【0023】
この様に、上記回転側フランジ15の内側面に凸部33を形成した本例の場合、この凸部33を形成した部分の軸方向に関する厚さ寸法Tを、上記回転側フランジ15を構成する金属材料の降伏応力Yとの関係で規制している。即ち、前記ハブ本体13を構成する金属材料のうちで上記回転側フランジ15部分(特に上記凸部33を形成した部分)の降伏応力をY[MPa]とした場合に、6406T−1.019>Y>5790T−1.099を満たす様に、上記厚さ寸法Tと上記降伏応力Yとを規定している。この様にこれら厚さ寸法Tと降伏応力Yとを規定する事で、上記回転側フランジ15の厚さ寸法Tの増大を最小限に抑えつつ、前記各スタッド9とナット10との螺合・緊締に伴う、上記回転側フランジ15の取付面28の歪みを、実用上問題ない程度に抑える事ができる。
【0024】
即ち、本発明の車輪支持用転がり軸受ユニットの場合には、上記厚さ寸法Tと降伏応力Yとを上記関係を満たす範囲で設定する事により、上記各スタッド9とナット10とを1回緊締する事に伴う上記取付面28の歪みを、5μm以下の僅少に抑える事ができる。上記各スタッド9に対して上記各ナット10を緊締する事に伴う上記取付面28の歪みは、この緊締作業が繰り返される度に生じて積算されるが、1回毎に生じる歪みは次第に小さくなる。そして、最初の緊締に伴う歪みを5μm以下に抑えれば、通常の使用状態である限り、制動時に生じるジャダーを、一般的な運転者に不快感を与えない程度に小さく抑える事ができる。
【0025】
尚、上記降伏応力Yを上記関係を満たす値にする為には、炭素含有量が0.5〜1.1重量%の炭素鋼により前記ハブ本体13を造り、このハブ本体13のうちで前記回転側フランジ15部分に施す熱処理を工夫する。この場合に使用する炭素鋼としては、例えば、S53C(炭素含有量=0.50〜0.56重量%)、S55C(炭素含有量=0.52〜0.58重量%)、SAE1070(炭素含有量=0.65〜0.75重量%)、SUJ2(炭素含有量=0.95〜1.1重量%)が使用可能である。この様な炭素鋼を使用しつつ、例えば焼鈍の為の温度、時間を変える事により、上記降伏応力Yを所望の値にする。焼鈍の程度を著しくする程、この降伏応力は低くなる。
【0026】
又、本例の場合には、上記凸部33の内径及び外径を適切に規制する事により、上記ナット10の緊締に伴って 上記ホイール1から上記回転側フランジ15に、軸方向に加わる力が、上記凸部33に対応して厚さ寸法Tが大きくなった部分に加わる様にしている。即ち、本例の場合には、上記凸部33の外径D33(上記回転側フランジ15の円周方向に関する、この凸部33の包絡線の間隔)を、ホイール1の内側面で上記スタッド9を挿通する為の通孔34を囲む部分に形成した、次述する様な各円すい状凹面35の開口周縁部の直径D35よりも大きく(D33>D35)している。尚、本例の場合には、上記回転側フランジ15の内側面で上記取付孔29を囲む部分に、前記鍔部30の外側面を突き当てる為の座ぐり部36を形成しているが、この座ぐり部36の直径D36は、上記各円すい状凹面35の開口周縁部の直径D35よりも小さく(D36<D35)している。
【0027】
上述の様な凸部33を備えた回転側フランジ15に上記ホイール1及びロータ2を、この回転側フランジ15に固定した上記各スタッド9により、結合固定する。このうちのロータ2は、前記ハブ本体13の外周面で上記回転側フランジ15の外側に隣接する部分に形成した円筒面部37に外嵌して径方向に関する位置決めを図る。そして、この状態で、上記ロータ2に形成した通孔38に、上記各スタッド9を挿通する。
【0028】
又、上記ホイール1は、鋼板にプレス加工を施す事により、或は軽合金を鋳造する事により、或は軽合金に鍛造加工を施す事により造られたもので、上記各スタッド9に整合する部分に、それぞれ上記通孔34を形成している。上記ホイール1の内側面でこれら各通孔34の周囲部分は、上記鋼板を曲げ形成する事により、或は軽合金の一部に肉盗みの如き凹部を形成する事により、摺鉢状の上記円すい状凹面35を形成している。これら各円すい状凹面35は、上記ホイール1を上記回転側フランジ15に取り付ける際に、上記各通孔34に上記各スタッド9を挿通する作業の容易化を図る案内の為と、これら各スタッド9に螺合し更に緊締したナット10の緩み止めを図るべく、ばね作用を持たせる為とに設けている。
【0029】
上述の様なホイール1を上記回転側フランジ15に結合固定するには、上記各スタッド9の先半部を上記各通孔34に挿通し、これら各スタッド9の雄ねじ部32に螺合したナット10を緊締する。このナット10の緊締の結果、上記ホイール1の内面で上記各円すい状凹面35の周縁部分が上記ロータ2の内径寄り部分の外側面に当接し、図1に矢印α、αで示す様に、当該部分を軸方向内方に向け強く押圧する。図2の鎖線γは、この矢印α、αで示す様に、上記各円すい状凹面35の周縁部分が上記回転側フランジ15の外側面を押圧する(範囲のうちの内周縁)部分を表している。これに対して、前記鍔部30が上記回転側フランジ15の一部を、図1に矢印βで示す様に、軸方向外方に向け強く押圧する。尚、上記鍔部30が上記回転側フランジ15の一部を押圧する位置は前記取付孔29の周囲部分であるが、上記矢印βは、上記鍔部30に基づく力(の合力)が作用する中心に記載している。
【0030】
この様な矢印α、βで示した、逆方向に作用する力により、上記回転側フランジ15の一部で上記各取付孔29の周囲部分に、この周囲部分を折り曲げる方向の力が作用する。この力により上記回転側フランジ15の上記各取付孔29の周囲部分が変形すると、この回転側フランジ15に結合固定した前記ロータ2の両側面が前記ハブ本体13の回転に伴って軸方向に振れ、前述した様なジャダーが発生する。これに対して本例の場合には、上記各円すい状凹面35の周縁部分から上記矢印α、αで示す方向に作用する力が、前記凸部33により厚さ寸法が大きくなった部分で支承される。この様に厚さ寸法が大きくなった部分の剛性は高く、外力により変形しにくい。この結果、上記回転側フランジ15のうちで、上記各取付孔29の周囲部分の変形をより効果的に抑えて、上記ジャダーの発生を防止できる。
【0031】
尚、上記回転側フランジ15のうち、少なくとも上記各取付孔29を設けた部分の外径D15は、上記図2に鎖線γで示す、上記各円すい状凹面35の周縁部分が上記回転側フランジ15の外側面を押圧する部分の外接円の直径D よりも大きくしている。この理由は、上記矢印α、αで示す方向に加わる力を、上記回転側フランジ15により、確実に支承する為である。従って、上記回転側フランジ15のうち、上記各取付孔29から円周方向に十分に外れた部分の外径は、上記外接円の直径よりも小さくしても良い。即ち、上記回転側フランジ15の形状を、上記各取付孔29を形成した部分のみ径方向外方に突出した花弁状として、軽量化を図る事もできる。
【0032】
上述の様に本例の車輪支持用転がり軸受ユニットの場合には、前記ナット10の緊締に伴う上記回転側フランジ15の変形を抑える為に、上記回転側フランジ15のうちで前記凸部33を形成した部分の軸方向に関する厚さ寸法Tとこの回転側フランジ15を構成する金属材料の降伏応力Yとの関係を規制する事に加えて、この回転側フランジ15の軸方向の厚さ寸法を、円周方向の一部、即ち前記スタッド9を固定する為の取付孔29の周囲部分でのみ大きくしている。上記回転側フランジ15の残部でこの取付孔29の周囲部分から円周方向に外れた部分の厚さ寸法は、特に大きくしない。
【0033】
この為、上記回転側フランジ15を含むハブ本体13の重量が嵩む事を、より有効に防止できる。又、上記回転側フランジ15の内側面の一部で上記各取付孔29の周囲部分に前記各凸部33を形成する作業は、上記ハブ本体13を鍛造加工により造る際に同時に行なえる。即ち、鍛造加工時に上記回転側フランジ15の残部で、上記凸部33から外れた部分の金属材料を肉寄せする事により、これら各凸部33を形成できる。この為、これら各凸部33を形成する事に伴うコスト上昇は、僅少に抑えられる。尚、上記ナット10の緊締に伴う、上記回転側フランジ15の変形防止効果をより一層高くする為に、この回転側フランジ15の一部を焼き入れ硬化する事は自由である。但し、この場合でも、この回転側フランジ15の内外両側面に焼き入れ硬化層を形成する必要はない為、この回転側フランジ15の靱性は十分に確保できる。
【0034】
次に、図4〜6は、請求項1、2、4、5に対応する、本発明の実施の形態の第2例を示している。本例は、前述した図14に示した構造に、本発明を適用した場合に就いて示している。回転側フランジ15の内側面のうちでねじ孔25の開口部の周囲部分に、軸方向内方に突出した凸部33aを、このねじ孔25の全周を囲む状態で形成している。そして、この凸部33aを形成した部分の軸方向に関する厚さ寸法Tを、上記回転側フランジ15のうちで上記凸部33aから円周方向に外れた部分の厚さ寸法tよりも大きく(T>t)している。この様な本例の場合も、ハブ本体13を構成する金属材料のうち、回転側フランジ15の円周方向一部で凸部33を形成した部分の降伏応力をY[MPa]とした場合に、6406T−1.019>Y>5790T−1.099を満たす様に、上記厚さ寸法Tと上記降伏応力Yとを規定している。回転側フランジ15に対してホイール1及びロータ2を結合固定する為のねじ杆部材を、スタッド9(図1、13参照)からボルト26に変えた事に伴う変更点を除き、他の部分の構成及び作用は、回転側フランジ15の形状、焼き入れ処理等を含め、上述した第1例の場合と同様であるから、重複する説明は省略する。
【0035】
尚、図示の例は何れも、回転側フランジ15の円周方向一部で、スタッド9を装着する為の通孔29(図1)或はボルト26を螺合させる為のねじ孔25の周囲部分に凸部33、33aを形成した構造に就いて説明した。これに対して、本発明を実施する場合には、必ずしも凸部33、33aを形成する必要はない。車輪支持用転がり軸受ユニットの重量が多少嵩んでも構わないのであれば、回転側フランジの厚さを、円周方向に関して均等にする事もできる。この場合には、この回転側フランジうちで径方向に関する位置が通孔或はねじ孔を設けた部分で、厚さ寸法Tと降伏応力Yとが、6406T−1.019>Y>5790T−1.099なる関係を満たす様にする。
【0036】
又、図7〜8に示す様な構造を採用する事により、重量並びに降伏応力Yの増大を抑えつつ、回転側フランジ15aの変形を防止する事もできる。この様な図7〜8に示した構造では、ボルト26(図4)を螺合させる為のねじ孔25を形成した部分(或はスタッドを嵌合させる為の取付孔を形成した部分)を、全周に亙って厚肉にしている。
【0037】
又、図示の各例は、駆動輪用の車輪支持用転がり軸受ユニットで、懸架装置に対し支持固定された外輪の内径側で、内輪であるハブが回転する構造に本発明を適用した場合に就いて示した。但し、本発明は、駆動輪用に限らず、従動輪(FR車及びRR車の前輪、FF車の後輪)用の車輪支持用転がり軸受ユニットにも適用できる。そして、従動輪用の車輪支持用転がり軸受ユニットのうちで、内輪回転型は勿論、懸架装置に支持された状態で回転しない内輪の周囲に、外輪であるハブを回転自在に支持する、外輪回転型の車輪支持用転がり軸受ユニットに本発明を適用する事もできる。
【0038】
尚、各例で回転側フランジを構成する金属材料の降伏応力Yを適正値にする作業は、前述した通り、例えば焼鈍の為の温度、時間を変える事により行なうが、上記回転側フランジを含むハブ本体の加工工程としてより具体的には、次の▲1▼▲2▼の様な工程が考えられる。
▲1▼ 熱間鍛造(加工後の硬度は高い)→コントロールクーリング(所定の硬度にする)→一次旋削→第一の内輪軌道等の熱処理→二次旋削(変形除去)、ドリル、タップ、ブローチ加工→その他の後処理加工
▲2▼ 熱間鍛造(加工後の硬度は高い)→焼鈍(処理後の硬度は低い)→一次旋削→焼きならし若しくは調質→(必要な場合には二次旋削)→第一の内輪軌道等の熱処理→二次若しくは三次旋削(変形除去)、ドリル、タップ、ブローチ加工→その他の後処理加工
【0039】
又、ハブ本体の内端部を径方向外方に変形して成るかしめ部により、このハブ本体の内端部に外嵌した内輪を抑え付ける構造を採用する場合には、このかしめ部を形成する、上記ハブ本体の内端部の硬度が他の部分よりも低い為、例えば、次の▲3▼の様な加工工程を採用する。
▲3▼ 熱間鍛造(加工後の硬度は高い)→コントロールクーリング(所定の硬度にする)→ハブ本体の内端部のみに焼鈍等の軟化処理→一次旋削→第一の内輪軌道等の熱処理→二次旋削(変形除去)、ドリル、タップ、ブローチ加工→その他の後処理加工→上記かしめ部を形成する為の揺動かしめ作業
【0040】
更に、ハブ本体の表面に旋削加工や穿孔加工、ねじ孔加工を施す為の工具として好ましくは、超硬合金の最外層若しくは中間層に、TiAlNをコーティングしたものを使用する。但し、焼き入れ部分に関しては、CBN工具を使用する事が好ましい。更に、ねじ孔に関しては、二次若しくは三次旋削時にドリル加工により下孔を形成した後、この下孔の内周面部分を高周波焼き戻し処理により軟化させてから、雌ねじ形成の為のタップ加工を施す事が好ましい。
【0041】
【実施例】
次に、本発明を完成する過程で行なった実験及びFEM解析に就いて、図9〜12を参照しつつ説明する。先ず、実験では、図9に示す様な駆動輪用の車輪支持用転がり軸受ユニット5aを用意した。この車輪支持用転がり軸受ユニット5aの構成は、前述の図14で説明したものと同様である。回転側フランジ15の厚さTは11mmとし、円周方向に亙って均一とした。この様な車輪支持用転がり軸受ユニット5aに関して、ねじ孔25部分を含め、回転側フランジ15を構成する金属材料の降伏応力Yを375〜525MPaの間で種々変化させた。この降伏応力Yの調整は、上記回転側フランジ15に鍛造加工後に施す焼鈍処理の条件を変える事により行なった。
【0042】
この様にして得られた上記回転側フランジ15に、図10に示す様に、ホイール1とロータ2とを、ボルト26により結合固定した。この結合固定時にこのボルト26に加わる軸力は、40000Nとした。この40000Nなる値は、一般的な乗用車用の車輪を固定する場合に使用されるM12〜M14程度のボルトを、過大な応力を生じさせる事なく締め付けるのに伴って生じる軸力の、ほぼ最大値である。この様にして、上記回転側フランジ15のねじ孔25部分に、車輪の結合固定に伴って加わる荷重を加えた。
【0043】
そして、図10に示す様に、上記ロータ2の側面外径寄り部分(制動時にパッドと擦れ合う部分の最外径寄り部分)に変位計の測定子39を突き当てた状態で上記ロータ2回転させ、このロータ2のアキシアル振れを測定した。又、このロータ2を取り外してから、上記回転側フランジ15の取付面28にやはり変位計の測定子39を突き当てて、この取付面28のアキシアル振れを測定した。この結果、図11に示した2本の曲線α、βを得た。このうち、実線で表した曲線αは、上記回転側フランジ15を構成する金属材料の降伏応力Yと上記ロータ2のアキシアル振れとの関係を、破線で表した曲線βは、この降伏応力Yと上記取付面28のアキシアル振れとの関係を、それぞれ表している。
【0044】
この様な実験の結果を表した図11の記載から明らかな通り、上記回転側フランジ15の厚さTが11mmの場合、上記降伏応力Yを400MPa程度以上確保しないと、上記ボルト26の緊締に伴う上記取付面28のアキシアル振れを5μm程度以下に抑える事ができず、上記ロータ2のアキシアル振れが大きく(40μmよりも大きく)なる。この為、上記回転側フランジ15への車輪の着脱作業の繰り返しに伴い、ジャダーが発生し易くなる。逆に言えば、上記降伏応力Yを400MPa程度よりも大きく確保すれば、上記ボルト26の緊締に伴う上記取付面28のアキシアル振れを5μm程度以下に抑えて、上記ロータ2のアキシアル振れを小さく抑え、上記回転側フランジ15への車輪の着脱作業の繰り返しに拘らず、ジャダーを発生しにくくできる。
【0045】
但し、上記各アキシアル振れを小さく抑えるべく、上記降伏応力Yを徒に高くする事は、上記回転側フランジ15の硬度上昇と靱性の低下とに結び付く為、好ましくない。即ち、上記取付面28のアキシアル振れを完全に0μmに抑えるべく、上記降伏応力Yを徒に高くすると、上記回転側フランジ15の硬度上昇に伴って上記取付面28の加工(研削仕上)を面倒にし、コストを上昇させる原因となる。同時に、上記回転側フランジ15の靱性を低下させて、衝撃荷重によりこの回転側フランジ15に亀裂等の損傷を発生し易くなる。これらの事を考慮すれば、上記ボルト26の緊締に伴う上記取付面28のアキシアル振れに関しては、0μmよりも僅かに大きい程度許容する事が現実的である。
【0046】
これらの事を考慮して、上記実験の結果を参考にしつつ、上記回転側フランジ15の厚さTと、上記降伏応力Yと、上記取付面28のアキシアル振れとの関係を、FEM解析により求めた。その結果を、図12に示す。この図12中、実線で示した上側の曲線イは、前記ボルト26の緊締に伴う上記取付面28のアキシアル振れがほぼ0μmに近くなる、上記厚さTと降伏応力Yとの関係(Y=6406T−1.019)を示している。又、破線で示した下側の曲線ロは、上記ボルト26の緊締に伴う上記取付面28のアキシアル振れが5μm程度になる、上記厚さTと降伏応力Yとの関係(Y=5790T−1.099)を示している。上記両曲線イ、ロの間部分が、本発明の技術的範囲である。即ち、上記厚さTと降伏応力Yとを、上記両曲線イ、ロの間部分で設定すれば、上記取付面28の仕上作業を面倒にせず、上記回転側フランジ15の靱性を確保しつつ、上記ボルト26の緊締に伴う上記取付面28のアキシアル振れを小さく抑える事ができる。具体的には、通常の使用状態である限り(車輪の交換頻度が特に多くならない限り)、制動時に生じるジャダーを、一般的な運転者に不快感を与えない程度に小さく抑える事ができる。
【0047】
【発明の効果】
本発明の車輪支持用転がり軸受ユニットは、以上に述べた通り構成され作用するので、車輪をハブの外周面に設けたフランジに固定するのに伴って、このフランジが変形する事を有効に防止できる。そして、このフランジに支持固定した制動用回転体の振れを防止して、制動時に発生する不快な騒音や振動を十分に抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の第1例を示す、図13のA部に相当する断面図。
【図2】回転側フランジのみを取り出して図1の右方から見た図。
【図3】同部分斜視図。
【図4】本発明の実施の形態の第2例を示す、図14のB部に相当する断面図。
【図5】回転側フランジのみを取り出して図4の右方から見た図。
【図6】同部分斜視図。
【図7】本発明の実施の形態の第3例を示す半部断面図。
【図8】回転側フランジのみを取り出して図7の右方から見た図。
【図9】本発明を完成する過程で行なった実験に使用した車輪支持用転がり軸受ユニットの半部断面図。
【図10】同じくロータ及びホイールを結合固定した状態を示す半部断面図。
【図11】実験の結果を示す線図。
【図12】この実験の結果を勘案しつつ行なったFEM解析の結果を示す線図。
【図13】本発明の対象となる車輪支持用転がり軸受ユニットの第1例を、組み付け状態で示す断面図。
【図14】同第2例を、組み付け状態で示す断面図。
【符号の説明】
1 ホイール
2 ロータ
3 ナックル
4 支持孔
5、5a 車輪支持用転がり軸受ユニット
6 外輪
7 ボルト
8 ハブ
9 スタッド
10 ナット
11a、11b 外輪軌道
12 固定側フランジ
13 ハブ本体
14 内輪
15、15a 回転側フランジ
16 第一の内輪軌道
17 小径段部
18 第二の内輪軌道
19 玉
20 保持器
21a、21b シールリング
22 スプライン孔
23 等速ジョイント
24 スプライン軸
25 ねじ孔
26 ボルト
27 雄ねじ部
28 取付面
29 取付孔
30 鍔部
31 セレーション部
32 雄ねじ部
33、33a 凸部
34 通孔
35 円すい状凹面
36 座ぐり部
37 円筒面部
38 通孔
39 測定子

Claims (6)

  1. 外周面に複列の内輪軌道を有する内輪と、内周面に複列の外輪軌道を有し、この内輪の周囲にこの内輪と同心に配置された外輪と、上記各内輪軌道と上記各外輪軌道との間にそれぞれ複数個ずつ、転動自在に設けられた転動体とを備え、上記内輪と上記外輪とのうちで使用時に回転する回転側軌道輪の外周面に形成したフランジの側面に、制動用回転体とホイールとをねじ杆部材により結合固定した状態で使用される車輪支持用転がり軸受ユニットに於いて、上記フランジのうちで上記ねじ杆部材を設ける部分の厚さ寸法をT[mm]とし、このフランジを構成する金属材料の降伏応力をY[MPa]とした場合に、6406T−1.019>Y>5790T−1.099を満たす事を特徴とする車輪支持用転がり軸受ユニット。
  2. フランジのうちでねじ杆部材の周囲に位置し、このねじ杆部材の緊締に伴ってホイールの一部により押圧される部分の軸方向に関する厚さ寸法を、上記フランジの残部でこの押圧される部分から円周方向に外れた部分の厚さ寸法よりも大きくし、この厚さ寸法を大きくした部分で6406T−1.019>Y>5790T−1.099を満たす、請求項1に記載した車輪支持用転がり軸受ユニット。
  3. ねじ杆部材が、その基端部をフランジに形成した取付孔に圧入固定された状態で、その中間部乃至先端部をこのフランジの外側面から突出させてホイールの通孔に挿通するスタッドであり、このスタッドの先端部でこのホイールの外側面から突出させた部分に螺合したナットを緊締する事で、このホイールの内側面の一部で上記通孔の周囲部分により上記フランジの外側面の一部が押圧されるものであり、このフランジの内側面の一部で上記通孔の周囲部分により押圧される部分と反対側部分が、この反対側部分から円周方向に外れた部分よりも内方に突出する事で、この反対側部分の肉厚が大きくなっている、請求項2に記載した車輪支持用転がり軸受ユニット。
  4. ねじ杆部材がボルトであり、このボルトをホイールに形成した通孔に挿通し、その先端部をフランジに形成したねじ孔に螺合し更に緊締する事で、上記ホイールの内側面の一部で上記通孔の周囲部分により上記フランジの外側面の一部が押圧されるものであり、このフランジの内側面の一部で上記通孔の周囲部分により押圧される部分と反対側部分が、この反対側部分から円周方向に外れた部分よりも内方に突出する事で、この反対側部分の肉厚が大きくなっている、請求項2に記載した車輪支持用転がり軸受ユニット。
  5. フランジを含む回転側軌道輪が鍛造加工により造られており、ホイールの一部により押圧される部分の軸方向に関する厚さ寸法が、鍛造加工時に上記フランジの残部でこの押圧される部分から円周方向に外れた部分の金属材料を肉寄せする事によりこの外れた部分の厚さ寸法よりも大きくされている、請求項2〜4の何れかに記載した車輪支持用転がり軸受ユニット。
  6. フランジのうちで径方向に関する位置がねじ杆部材を設けた部分と一致する部分の厚さ寸法が全周に亙って同じであり、この部分で6406T−1.019>Y>5790T−1.099を満たす、請求項1に記載した車輪支持用転がり軸受ユニット。
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