JP2004314680A - 車両用油圧式緩衝装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】付加減衰力の発生状況や大きさなどを乗員に知らせることができる装置を提供する。
【解決手段】車体に対をなすように設けた油圧式緩衝器2,3の下部油室9に中間ユニット4の第1および第2の油室21,22を接続する。第1と第2の油室21,22を容積変化が互いに一致するように構成する。これら両油室どうしを絞り28によって連通させる。前記第1の油室21と第2の油室22との差圧を検出する差圧センサ26を中間ユニット4に設ける。この差圧センサ26の検出結果に基づいて表示が変わるように構成された表示器5を備えた。
【選択図】 図1
【解決手段】車体に対をなすように設けた油圧式緩衝器2,3の下部油室9に中間ユニット4の第1および第2の油室21,22を接続する。第1と第2の油室21,22を容積変化が互いに一致するように構成する。これら両油室どうしを絞り28によって連通させる。前記第1の油室21と第2の油室22との差圧を検出する差圧センサ26を中間ユニット4に設ける。この差圧センサ26の検出結果に基づいて表示が変わるように構成された表示器5を備えた。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、車体が傾斜するときに減衰力が相対的に大きくなる車両用油圧式緩衝装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来のこの種の車両用油圧式緩衝装置としては、例えば特開平8−132846号公報に開示されたものがある。この公報に示された油圧式緩衝装置は、車体に対をなすように設けられた第1および第2の油圧式緩衝器と、これらの油圧式緩衝器の油室に接続された中間ユニットとによって構成されている。
前記油圧式緩衝器は、シリンダ内に絞り付きピストンが嵌合され、このピストンによって画成された二つの油室の一方に前記中間ユニットが接続されている。この油圧式緩衝器内の作動油は、シリンダ内のピストンロッドの体積増減分に相当する量だけシリンダに対して出入りする。
【0003】
前記中間ユニットは、シリンダと、このシリンダ内を第1の油室と第2の油室とに画成するフリーピストンとを備えている。前記第1の油室は、前記第1の油圧式緩衝器に接続され、前記第2の油室は、前記第2の油圧式緩衝器に接続されている。また、これらの第1および第2の油室と、フリーピストンとは、このフリーピストンが移動したときの第1の油室の容積変化と第2の油室の容積変化とが互いに一致するように形成されている。
前記フリーピストンには、第1の油室と第2の油室とを連通するように絞りが設けられている。この絞りは、板ばねからなる弁体によって油通路の開口端が開閉される構成が採られている。
【0004】
このように構成された油圧式緩衝装置においては、中間ユニットの第1の油室と第2の油室とに圧力差が生じることによって、前記フリーピストンの絞りを作動油が流れて減衰力が発生する。このため、一対の油圧式緩衝器が同一方向に同一ストロークだけ作動したときには中間ユニットで減衰力が発生することはないから、このときは油圧式緩衝器の絞りのみによって減衰力が生じるが、例えば一方の油圧式緩衝器の作動方向が他方の油圧式緩衝器の作動方向と異なるような場合には、油圧式緩衝器で発生する減衰力に中間ユニットで発生した減衰力が付加される。
なお、本出願人は、本明細書に記載した先行技術文献情報で特定される先行技術文献以外には、本発明に密接に関連する先行技術文献を出願時までに見付け出すことはできなかった。
【0005】
【特許文献1】
特開平8−132846号公報(図1、図2)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上述したように構成された従来の油圧式緩衝装置は、車体の挙動に滑らかに追従するように自動的に減衰力が増減するから、中間ユニットで発生した減衰力が油圧式緩衝器で発生した減衰力に付加されていることを乗員が体感することは困難であった。
このため、中間ユニットによって付加される減衰力(以下、単に付加減衰力という)の発生状況や大きさなどを乗員に知らせることができるようにすることが要請されている。
【0007】
本発明はこのような要請に応えるためになされたもので、付加減衰力の発生状況や大きさなどを乗員に知らせることができる装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
この目的を達成するため、本発明に係る車両用油圧式緩衝装置は、車体に対をなすように設けた油圧式緩衝器の油室に連通する第1および第2の油室を有し、これらの油室の容積の変化分が常に一定の比となるように構成するとともに両油室どうしを絞りによって連通させた車両用油圧式緩衝装置において、前記第1の油室と第2の油室との圧力の差を検出する検出手段と、この検出手段の検出結果に基づいて表示が変わるように構成された表示器とを備えたものである。
【0009】
本発明によれば、第1の油室の油圧と第2の油室の差圧が検出手段によって検出され、表示器の表示が変化する。このため、前記絞りを作動油が通過することにより付加減衰力が発生したときに表示器の表示が変わるから、この表示が変化することによって付加減衰力の発生状況を乗員に知らせることができる。
【0010】
請求項2に記載した発明に係る車両用油圧式緩衝装置は、請求項1に記載した発明に係る車両用油圧式緩衝装置において、検出手段を差圧センサによって構成したものである。
この発明によれば、一つのセンサで二つの油室の差圧を検出することができる。
【0011】
請求項3に記載した発明に係る車両用油圧式緩衝装置は、請求項1または請求項2に記載した発明に係る車両用油圧式緩衝装置において、表示器は、複数の発光手段を備え、圧力の差の大きさに対応して光点の数が増減する構成とされているものである。
この発明に係る車両用油圧緩衝装置は、光点の数によって付加減衰力の大きさを乗員に知らせることができる。
【0012】
請求項4に記載した発明に係る車両用油圧式緩衝装置は、請求項1ないし請求項3のうち何れか一つの発明に係る車両用油圧式緩衝装置において、表示器は、運転者の視界に入る位置に配置されているものである。
この発明によれば、運転者に表示器を見せることができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
(第1の実施の形態)
以下、本発明に係る車両用油圧式緩衝装置の一実施の形態を図1および図2によって詳細に説明する。
図1は本発明に係る車両用油圧式緩衝装置の構成を示す断面図、図2は絞りを通る作動油の流量と差圧との関係を示すグラフである。
【0014】
図1において、符号1で示すものは、この実施の形態による車両用油圧式緩衝装置である。この油圧式緩衝装置1は、自動車の前輪用懸架装置(図示せず)に用いられるもので、車体の左右方向に対をなすように設けられた第1および第2の油圧式緩衝器2,3と、これらの油圧式緩衝器2,3に接続された中間ユニット4と、この中間ユニット4に接続された表示器5とから構成されている。
【0015】
前記第1および第2の油圧式緩衝器2,3は、シリンダ6内がピストン7によって上部油室8と下部油室9とに画成され、内部が作動油で満たされている。前記ピストン7は、前記上部油室8と前記下部油室9とを連通するように絞り10が設けられている。
また、この第1、第2の油圧式緩衝器2,3は、シリンダ6の下端部が前輪懸架用リンク(図示せず)などの車体に対して上下する部位に枢支され、ピストンロッド11の上端部が自動車の車体(図示せず)に装着される状態で前輪側と車体側との間に介装されている。これらの油圧式緩衝器2,3のうち、車体右側(図1においても右側)に位置する第1の油圧緩衝器2の下部油室9と、車体左側に位置する第2の油圧シリンダ3の下部油室9は、第1および第2の油圧管12,13を介して後述する中間ユニット4の第1の油室21と第2の油室22とに連通されている。
【0016】
前記中間ユニット4は、前記第1の油圧管12が接続された第1のシリンダ23と、前記第2の油圧管13が接続された第2のシリンダ24と、これら両シリンダ23,24の内部に移動自在に嵌合されたフリーピストン25と、前記第1、第2のシリンダ23,24に取付けられた差圧センサ26などによって構成されている。前記差圧センサ26によって本発明でいう検出手段が構成されている。
前記第1のシリンダ23は、フリーピストン25の第1のピストン25aによって内部が高圧ガス室27と前記第1の油室21とに画成されている。高圧ガス室27には、高圧なN2ガスが封入され、第1の油室21には、作動油が充填されている。
【0017】
前記第2のシリンダ24は、内径が第1のシリンダ23の内径より小さくなるように形成され、前記第1のシリンダ23と同一軸線上に位置するように第1のシリンダ23に一体的に設けられている。また、この第2のシリンダ24は、フリーピストン25の第2のピストン25bによって内部が前記第1の油室21と第2の油室22とに画成されている。
【0018】
前記フリーピストン25は、前記第1のピストン25aと第2のピストン25bとが同一軸線上に位置するように形成され、これら両ピストン25a,25bが一体的に移動するように構成されている。前記第2のピストン25bは、第1の油室21と第2の油室22とを連通するように絞り28が設けられている。
このフリーピストン25と、前記第1および第2の油室21,22とは、フリーピストン25が移動したときの第1の油室21の容積変化と第2の油室22の容積変化とが互いに一致するように形成されている。
【0019】
前記第1の油室21と第2の油室22は、第1および第2のシリンダ23,24に取付けられた差圧センサ26の受圧部分(図示せず)に連通されている。
この油圧センサ26は、第1の油室21の油圧と第2の油室22の油圧との差圧ΔPを検出し、後述する表示器5に差圧データを送るように構成されている。この実施の形態においては、第2の油室22の油圧から第1の油室21の油圧を差し引いた値を差圧ΔPとして検出する構成が採られている。すなわち、差圧ΔPは、第2の油室22の油圧が第1の油室21の油圧より大きい場合に正の値になる。
【0020】
前記表示器5は、前記中間ユニット4の作動状態を乗員に知らせるためのもので、第1のLED31および第2のLED32と、これらのLED31,32を点滅させる切換手段(図示せず)とを備え、車室内の乗員から見える位置に配設されている。この実施の形態においては、前記LED31,32によって本発明でいう発光手段が構成されている。
【0021】
この実施の形態による切換手段は、前記差圧センサ26から送られた差圧値ΔPの絶対値|ΔP|を求め、この絶対値|ΔP|と予め定めた第1の判定値C1と第2の判定値C2とを比較し、この比較結果に基づいてLED31,32の点灯状態を変えるように構成されている。前記第1の判定値C1は、図2に示すように、第2の判定値C2より小さい値に設定されている。詳述すると、切換手段は、前記絶対値|ΔP|が判定値C1より小さいときには第1および第2のLED31,32を消灯状態とし、絶対値|ΔP|が判定値C1以上であってかつ判定値C2より小さいときに第1のLEDを点灯させ、絶対値|ΔP|が判定値C2以上であるときに第1および第2のLED31,32を点灯させる。
【0022】
上述したように構成された油圧式緩衝装置1は、左右の油圧式緩衝器2,3が例えば同方向へ同一作動量だけ収縮または伸長する場合は、中間ユニット4の第1の油室21に対して出入りする作動油の量と第2の油室22に対して出入りする作動油の量が一致するようになり、フリーピストン25が移動する。この場合には、減衰力は左右の油圧式緩衝器2,3の絞り10を作動油が通ることによって発生する。また、この場合は、第1の油室21の油圧と第2の油室22の油圧とが略等しくなり、前記差圧ΔPは0に近くなるから、表示器5の第1のLED31と第2のLED32は消灯状態に保たれる。
【0023】
一方、左右の油圧式緩衝器2,3の動作方向が互いに逆方向になる場合、例えば、第1の油圧式緩衝器2が収縮し、第2の油圧式緩衝器3が伸長する場合は、中間ユニット4の第1の油室21に作動油が流入し、第2の油室22から作動油が流出する。この場合は、作動油の流出入量が相殺されるように、作動油がフリーピストン25の絞り28を通って第1の油室21から第2の油室22に流入する。すなわち、この場合には、左右の油圧式緩衝器2,3の絞り10を作動油が通ることによて発生する減衰力と、中間ユニット4の絞り28を作動油が通ることによって発生する減衰力(付加減衰力)とによって車体の挙動が減衰される。
【0024】
また、この場合は、前記第1の油室21の油圧が第2の油室22の油圧より大きくなるから、差圧ΔPの絶対値が相対的に大きくなる。前記差圧ΔPは、図2に示すように、絞りを通過する作動油の量が0から増大するにしたがって次第に増大する。また、この差圧ΔPの増大率は、絞り28を通過する作動油の量が所定量に達すると次第に小さくなる。
前記差圧ΔPの絶対値|ΔP|が判定値C1に達するまでは第1および第2のLED31,32は消灯状態に保たれ、絶対値|ΔP|が判定値C1とC2の間にある場合には、第1のLED31が点灯する。また、絶対値|ΔP|が判定値C2を上回ると、第1および第2のLED31,32が点灯する。
【0025】
したがって、この実施の形態による油圧式緩衝装置1によれば、表示器5の表示が変化することによって付加減衰力の発生状況を乗員に知らせることができる。このため、この油圧式緩衝装置1が装備された車両に乗車した乗員は、中間ユニット4で付加減衰力が発生しているか否かを車体の姿勢などからでは判断できない場合でも、表示器5を見ることによって容易に判別することができる。
この実施の形態では、表示器5に複数の発光手段(第1および第2のLED31,32)が設けられ、差圧センサ26によって検出された差圧の大きさに対して光点の数が増減するから、この光点の数によって付加減衰力の大きさを知ることができる。
【0026】
この実施の形態では前輪用の油圧式緩衝器2,3に中間ユニット4を接続する例を示したが、中間ユニット4を接続する一対の油圧式緩衝器2,3は、後輪用のものや、車体左側の前輪と後輪用のものや、車体右側の前輪と後輪用のものなど、適宜変更することができる。
【0027】
(第2の実施の形態)
本発明に係る油圧式緩衝装置は図3に示すように構成することができる。
図3は他の実施の形態を示す構成図で、同図において、前記図1および図2によって説明したものと同一もしくは同等の部材については、同一符号を付し詳細な説明を適宜省略する。
【0028】
図3に示す油圧式緩衝装置1は、車体右側の前輪用の油圧式緩衝器2と後輪用の油圧式緩衝器2とが第1の中間ユニット4Aに接続され、車体左側の前輪用の油圧式緩衝器3と後輪用の油圧式緩衝器3とが第2の中間ユニット4Bに接続されている。第1の中間ユニット4Aに設けられた第1の差圧センサ26Aと、第2の中間ユニット4Bに設けられた第2の差圧センサ26Bは、一つの表示器5に接続されている。
【0029】
この表示器5は、一つのLED31が設けられ、図示していない切換手段によって前記二つの差圧センサ26の検出値に基づいてLED31の点灯・消灯が切換えられる。
この実施の形態においては、第1の差圧センサ26Aによって検出された差圧ΔP1の絶対値|ΔP1|と、第2の差圧センサ26Bによって検出された差圧ΔP2の絶対値|ΔP2|に補正係数Kを乗じた値とを加算し、この加算値の1/2の除算値が判定値C(正の値)より小さいときはLED31を消灯状態とし、前記除算値が前記判定値C以上であるときにLED13を点灯させる構成が採られている。
このように構成しても付加減衰力の発生状況をLED31によって乗員に知らせることができる。
中間ユニット4を複数設ける場合には、後述する手法によってもLED31の点灯・消灯を切換えることができる。すなわち、前記絶対値|ΔP1|が判定値Cより小さく、かつ絶対値|ΔP2|に補正係数Kを乗じた乗算値が判定値Cより小さいときにはLEDが消灯状態となり、絶対値|ΔP1|が判定値C以上であったり、絶対値|ΔP2|に補正係数Kを乗じた乗算値が判定値C以上となる場合にLEDを点灯させる。
【0030】
(第3の実施の形態)
中間ユニット4を二つ設ける場合は、図4および図5に示すように表示器にLEDを中間ユニット毎に設けることができる。
図4は他の実施の形態を示す構成図、図5は絞りを通る作動油の流量と差圧との関係を示すグラフである。これらの図において、前記図1〜図3によって説明したものと同一もしくは同等の部材については、同一符号を付し詳細な説明を適宜省略する。
【0031】
図4に示す油圧式緩衝装置1は、車体右側の前輪用の油圧式緩衝器2と後輪用の油圧式緩衝器2とが第1の中間ユニット4Aに接続され、車体左側の前輪用の油圧式緩衝器3と後輪用の油圧式緩衝器3とが第2の中間ユニット4Bに接続されている。
この実施の形態による表示器5は、前記第1の中間ユニット4Aで発生する付加減衰力の発生状況を示すための第1〜第4のLED31〜34と、第2の中間ユニット4Bで発生する付加減衰力の発生状況を示すための第5〜第8のLED35〜38と、これらのLEDの点灯・消灯を切換える切換手段(図示せず)とが設けられている。
【0032】
前記第1〜第4のLED31〜34は、表示器5の右側に上下方向に並ぶ状態で設けられ、第5〜第8のLED35〜38は、表示器5の左側に上下方向に並ぶ状態で設けられている。
この実施の形態においては、第1の中間ユニット4Aの差圧センサ26Aによって検出された差圧ΔP1が図5に示す判定値C1以下であるときは第1のLED31と第2のLED32が点灯する。
【0033】
すなわち、加速時などで車体後側の油圧式緩衝器2,3が収縮する場合であって付加減衰力が相対的に大きい場合は、表示器5の下側に位置する第1および第2のLED31,32が点灯する。判定値C1<差圧ΔP1≦判定値C2の場合は、第2のLED32のみが点灯し、判定値C2<差圧ΔP1<判定値C3の場合は、第1〜第4のLED31〜34が消灯状態になる。判定値C3≦差圧ΔP1<判定値C4の場合は、第3のLED33が点灯し、判定値C4≦差圧ΔP1の場合は、第3のLED33と第4のLED34とが点灯する。
【0034】
これと同様に、第2の中間ユニット4Bの差圧センサ26Bによって検出された差圧ΔP2が判定値C1以下であるときは、第5のLED35と第6のLED36とが点灯する。判定値C1<差圧ΔP2≦判定値C2である場合は、第6のLED36のみが点灯し、判定値C2<差圧ΔP2<判定値C3の場合は、第5〜第8のLED35〜38が消灯状態になる。判定値C3≦差圧ΔP2<判定値C4の場合は、第7のLED37が点灯し、判定値C4≦差圧ΔP2の場合は、第7のLED37と第8のLED38とが点灯する。
したがって、この実施の形態によれば、車体が前後方向に傾斜するときの付加減衰力の大きさを第1〜第8のLED31〜38によって乗員に知らせることができる。
【0035】
(第4の実施の形態)
車体が前後方向や左右方向に傾斜したときの付加減衰力の大きさを表示器で表示する例を図6によって説明する。
図6は他の実施の形態を示す構成図で、同図において、前記図1〜図5によって説明したものと同一もしくは同等の部材については、同一符号を付し詳細な説明を適宜省略する。
【0036】
図6に示す油圧式緩衝装置1は、車体右側の前輪用の油圧式緩衝器2と車体左側の後輪用の油圧式緩衝器3とが第1の中間ユニット4Aに接続され、車体左側の前輪用の油圧式緩衝器3と車体右側の後輪用の油圧式緩衝器2とが第2の中間ユニット4Bに接続されている。
この実施の形態による表示器5は、前記第1の中間ユニット4Aで発生する付加減衰力の発生状況を示すための第1〜第4のLED31〜34と、第2の中間ユニット4Bで発生する付加減衰力の発生状況を示すための第5〜第8のLED35〜38と、これらのLEDの点灯・消灯を切換える切換手段(図示せず)とが設けられている。前記第1〜第4のLED31〜34は、表示器5の左右方向の中央部に上下方向に並ぶ状態で設けられ、前記第5〜第8のLED35〜38は、表示器5の上下方向の中央部に左右方向に並ぶ状態で設けられている。
【0037】
この実施の形態においては、第1の中間ユニット4Aの差圧センサ26Aによって検出された差圧ΔP1と、第2の中間ユニット4の差圧センサ26Bによって検出された差圧ΔP2との加算値が図5に示す判定値C1以下であるときは、第1のLED31と第2のLED32とが点灯する。判定値C1<差圧ΔP1+差圧ΔP2≦判定値C2である場合は、第2のLED32が点灯し、判定値C2<差圧ΔP1+差圧ΔP2≦判定値C3である場合は、第1〜第4のLED31〜34は消灯状態になる。判定値C3≦差圧ΔP1+差圧ΔP2<判定値C4である場合は、第3のLED33が点灯し、判定値C4≦差圧ΔP1+差圧ΔP2である場合は、第3のLED33と第4のLED34とが点灯する。
【0038】
また、差圧ΔP1−差圧ΔP2≦判定値C5である場合は、第5のLED35と第6のLED36とが点灯し、判定値C5<差圧ΔP1−差圧ΔP2判定値C6である場合は、第6のLED36が点灯する。判定値C6<差圧ΔP1−差圧ΔP2<判定値C7である場合は、第5〜第8のLED35〜38が消灯状態となり、判定値C7≦差圧ΔP1−差圧ΔP2<判定値C8である場合は、第7のLED37が点灯し、判定値C8≦差圧ΔP1−差圧ΔP2である場合は、第7のLED37と第8のLED38とが点灯する。
【0039】
上述した第3の実施の形態と第4の実施の形態に示したように、第1〜第8のLED31〜38によって車体が傾斜する方向と付加減衰力の大きさとを表示する構成を採ることにより、乗員が車体の状態を容易に想像できるようになる。このため、この油圧式緩衝装置1は、車両の運転を楽しむような乗員にとっては好ましいものとなる。
【0040】
上述した各実施の形態では発光手段としてLED31〜38を用いる例を示したが、LEDの代わりにランプを用いることができる。また、付加減衰力の大きさを表現するに当たっては、光点の数を用いる他に、色の異なるLEDやランプを用いて色によって付加減衰力の大きさを示すこともできる。
この実施の形態による油圧式緩衝装置1は、中間ユニット4に設けられた差圧センサ26によって第1の油室21の油圧と第2の油室22の油圧との差圧を検出する構成を採っているから、前記差圧を検出するに当たって油圧式緩衝器2,3側から圧力を差圧センサ26に導く構成を採る場合に較べて懸架装置の機能を損なうことがなく、小型化・軽量化を図りながら実施することができる。しかも、油圧を検出する油室と差圧センサ26との距離を可及的短縮することができるから、付加減衰力の発生を検出するに当たって応答性が高くなるとともに耐久性が向上するようになる。
【0041】
上述した実施の形態では第1の油室21の油圧と第2の油室22の油圧との差圧を差圧センサ26によって検出する例を示したが、各油室に圧力センサを設け、これらの圧力によって検出された圧力に基づいて差圧を演算により求める構成を採ることもできる。
【0042】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、第1の油室の油圧と第2の油室の差圧が検出手段によって検出され、表示器の表示が変化する。このため、前記絞りを作動油が通過することにより付加減衰力が発生したときに表示器の表示が変わるから、この表示が変化することによって付加減衰力の発生状況を乗員に知らせることができる。
【0043】
したがって、本発明に係る油圧式緩衝装置が装備された車両に乗車した乗員は、付加減衰力が発生しているか否かを車体の姿勢などからでは判断できない場合でも、表示器を見ることによって容易に判別することができる。このため、本発明によれば、車両の運転を楽しむような乗員にとっては好ましい油圧式緩衝装置を提供することができる。
【0044】
請求項2記載の発明によれば、一つのセンサで二つの油室の差圧を検出することができるから、構造が簡単で、コストダウンを図ることができる。
請求項3記載の発明によれば、光点の数によって付加減衰力の大きさを乗員に知らせることができるから、付加減衰力の発生状況がより一層わかり易くなる。
【0045】
請求項4記載の発明によれば、運転者に表示器を見せることができ、車体の状況を知らせることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る車両用油圧式緩衝装置の構成を示す断面図である。
【図2】絞りを通る作動油の流量と差圧との関係を示すグラフである。
【図3】他の実施の形態を示す構成図である。
【図4】他の実施の形態を示す構成図である。
【図5】絞りを通る作動油の流量と差圧との関係を示すグラフである。
【図6】他の実施の形態を示す構成図である。
【符号の説明】
1…油圧式緩衝装置、2,3…油圧式緩衝器、4…中間ユニット、5…表示器、9…下部油室、21…第1の油室、22…第2の油室、25…フリーピストン、26…差圧センサ、28…絞り、31〜38…第1〜第8のLED。
【発明の属する技術分野】
本発明は、車体が傾斜するときに減衰力が相対的に大きくなる車両用油圧式緩衝装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来のこの種の車両用油圧式緩衝装置としては、例えば特開平8−132846号公報に開示されたものがある。この公報に示された油圧式緩衝装置は、車体に対をなすように設けられた第1および第2の油圧式緩衝器と、これらの油圧式緩衝器の油室に接続された中間ユニットとによって構成されている。
前記油圧式緩衝器は、シリンダ内に絞り付きピストンが嵌合され、このピストンによって画成された二つの油室の一方に前記中間ユニットが接続されている。この油圧式緩衝器内の作動油は、シリンダ内のピストンロッドの体積増減分に相当する量だけシリンダに対して出入りする。
【0003】
前記中間ユニットは、シリンダと、このシリンダ内を第1の油室と第2の油室とに画成するフリーピストンとを備えている。前記第1の油室は、前記第1の油圧式緩衝器に接続され、前記第2の油室は、前記第2の油圧式緩衝器に接続されている。また、これらの第1および第2の油室と、フリーピストンとは、このフリーピストンが移動したときの第1の油室の容積変化と第2の油室の容積変化とが互いに一致するように形成されている。
前記フリーピストンには、第1の油室と第2の油室とを連通するように絞りが設けられている。この絞りは、板ばねからなる弁体によって油通路の開口端が開閉される構成が採られている。
【0004】
このように構成された油圧式緩衝装置においては、中間ユニットの第1の油室と第2の油室とに圧力差が生じることによって、前記フリーピストンの絞りを作動油が流れて減衰力が発生する。このため、一対の油圧式緩衝器が同一方向に同一ストロークだけ作動したときには中間ユニットで減衰力が発生することはないから、このときは油圧式緩衝器の絞りのみによって減衰力が生じるが、例えば一方の油圧式緩衝器の作動方向が他方の油圧式緩衝器の作動方向と異なるような場合には、油圧式緩衝器で発生する減衰力に中間ユニットで発生した減衰力が付加される。
なお、本出願人は、本明細書に記載した先行技術文献情報で特定される先行技術文献以外には、本発明に密接に関連する先行技術文献を出願時までに見付け出すことはできなかった。
【0005】
【特許文献1】
特開平8−132846号公報(図1、図2)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上述したように構成された従来の油圧式緩衝装置は、車体の挙動に滑らかに追従するように自動的に減衰力が増減するから、中間ユニットで発生した減衰力が油圧式緩衝器で発生した減衰力に付加されていることを乗員が体感することは困難であった。
このため、中間ユニットによって付加される減衰力(以下、単に付加減衰力という)の発生状況や大きさなどを乗員に知らせることができるようにすることが要請されている。
【0007】
本発明はこのような要請に応えるためになされたもので、付加減衰力の発生状況や大きさなどを乗員に知らせることができる装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
この目的を達成するため、本発明に係る車両用油圧式緩衝装置は、車体に対をなすように設けた油圧式緩衝器の油室に連通する第1および第2の油室を有し、これらの油室の容積の変化分が常に一定の比となるように構成するとともに両油室どうしを絞りによって連通させた車両用油圧式緩衝装置において、前記第1の油室と第2の油室との圧力の差を検出する検出手段と、この検出手段の検出結果に基づいて表示が変わるように構成された表示器とを備えたものである。
【0009】
本発明によれば、第1の油室の油圧と第2の油室の差圧が検出手段によって検出され、表示器の表示が変化する。このため、前記絞りを作動油が通過することにより付加減衰力が発生したときに表示器の表示が変わるから、この表示が変化することによって付加減衰力の発生状況を乗員に知らせることができる。
【0010】
請求項2に記載した発明に係る車両用油圧式緩衝装置は、請求項1に記載した発明に係る車両用油圧式緩衝装置において、検出手段を差圧センサによって構成したものである。
この発明によれば、一つのセンサで二つの油室の差圧を検出することができる。
【0011】
請求項3に記載した発明に係る車両用油圧式緩衝装置は、請求項1または請求項2に記載した発明に係る車両用油圧式緩衝装置において、表示器は、複数の発光手段を備え、圧力の差の大きさに対応して光点の数が増減する構成とされているものである。
この発明に係る車両用油圧緩衝装置は、光点の数によって付加減衰力の大きさを乗員に知らせることができる。
【0012】
請求項4に記載した発明に係る車両用油圧式緩衝装置は、請求項1ないし請求項3のうち何れか一つの発明に係る車両用油圧式緩衝装置において、表示器は、運転者の視界に入る位置に配置されているものである。
この発明によれば、運転者に表示器を見せることができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
(第1の実施の形態)
以下、本発明に係る車両用油圧式緩衝装置の一実施の形態を図1および図2によって詳細に説明する。
図1は本発明に係る車両用油圧式緩衝装置の構成を示す断面図、図2は絞りを通る作動油の流量と差圧との関係を示すグラフである。
【0014】
図1において、符号1で示すものは、この実施の形態による車両用油圧式緩衝装置である。この油圧式緩衝装置1は、自動車の前輪用懸架装置(図示せず)に用いられるもので、車体の左右方向に対をなすように設けられた第1および第2の油圧式緩衝器2,3と、これらの油圧式緩衝器2,3に接続された中間ユニット4と、この中間ユニット4に接続された表示器5とから構成されている。
【0015】
前記第1および第2の油圧式緩衝器2,3は、シリンダ6内がピストン7によって上部油室8と下部油室9とに画成され、内部が作動油で満たされている。前記ピストン7は、前記上部油室8と前記下部油室9とを連通するように絞り10が設けられている。
また、この第1、第2の油圧式緩衝器2,3は、シリンダ6の下端部が前輪懸架用リンク(図示せず)などの車体に対して上下する部位に枢支され、ピストンロッド11の上端部が自動車の車体(図示せず)に装着される状態で前輪側と車体側との間に介装されている。これらの油圧式緩衝器2,3のうち、車体右側(図1においても右側)に位置する第1の油圧緩衝器2の下部油室9と、車体左側に位置する第2の油圧シリンダ3の下部油室9は、第1および第2の油圧管12,13を介して後述する中間ユニット4の第1の油室21と第2の油室22とに連通されている。
【0016】
前記中間ユニット4は、前記第1の油圧管12が接続された第1のシリンダ23と、前記第2の油圧管13が接続された第2のシリンダ24と、これら両シリンダ23,24の内部に移動自在に嵌合されたフリーピストン25と、前記第1、第2のシリンダ23,24に取付けられた差圧センサ26などによって構成されている。前記差圧センサ26によって本発明でいう検出手段が構成されている。
前記第1のシリンダ23は、フリーピストン25の第1のピストン25aによって内部が高圧ガス室27と前記第1の油室21とに画成されている。高圧ガス室27には、高圧なN2ガスが封入され、第1の油室21には、作動油が充填されている。
【0017】
前記第2のシリンダ24は、内径が第1のシリンダ23の内径より小さくなるように形成され、前記第1のシリンダ23と同一軸線上に位置するように第1のシリンダ23に一体的に設けられている。また、この第2のシリンダ24は、フリーピストン25の第2のピストン25bによって内部が前記第1の油室21と第2の油室22とに画成されている。
【0018】
前記フリーピストン25は、前記第1のピストン25aと第2のピストン25bとが同一軸線上に位置するように形成され、これら両ピストン25a,25bが一体的に移動するように構成されている。前記第2のピストン25bは、第1の油室21と第2の油室22とを連通するように絞り28が設けられている。
このフリーピストン25と、前記第1および第2の油室21,22とは、フリーピストン25が移動したときの第1の油室21の容積変化と第2の油室22の容積変化とが互いに一致するように形成されている。
【0019】
前記第1の油室21と第2の油室22は、第1および第2のシリンダ23,24に取付けられた差圧センサ26の受圧部分(図示せず)に連通されている。
この油圧センサ26は、第1の油室21の油圧と第2の油室22の油圧との差圧ΔPを検出し、後述する表示器5に差圧データを送るように構成されている。この実施の形態においては、第2の油室22の油圧から第1の油室21の油圧を差し引いた値を差圧ΔPとして検出する構成が採られている。すなわち、差圧ΔPは、第2の油室22の油圧が第1の油室21の油圧より大きい場合に正の値になる。
【0020】
前記表示器5は、前記中間ユニット4の作動状態を乗員に知らせるためのもので、第1のLED31および第2のLED32と、これらのLED31,32を点滅させる切換手段(図示せず)とを備え、車室内の乗員から見える位置に配設されている。この実施の形態においては、前記LED31,32によって本発明でいう発光手段が構成されている。
【0021】
この実施の形態による切換手段は、前記差圧センサ26から送られた差圧値ΔPの絶対値|ΔP|を求め、この絶対値|ΔP|と予め定めた第1の判定値C1と第2の判定値C2とを比較し、この比較結果に基づいてLED31,32の点灯状態を変えるように構成されている。前記第1の判定値C1は、図2に示すように、第2の判定値C2より小さい値に設定されている。詳述すると、切換手段は、前記絶対値|ΔP|が判定値C1より小さいときには第1および第2のLED31,32を消灯状態とし、絶対値|ΔP|が判定値C1以上であってかつ判定値C2より小さいときに第1のLEDを点灯させ、絶対値|ΔP|が判定値C2以上であるときに第1および第2のLED31,32を点灯させる。
【0022】
上述したように構成された油圧式緩衝装置1は、左右の油圧式緩衝器2,3が例えば同方向へ同一作動量だけ収縮または伸長する場合は、中間ユニット4の第1の油室21に対して出入りする作動油の量と第2の油室22に対して出入りする作動油の量が一致するようになり、フリーピストン25が移動する。この場合には、減衰力は左右の油圧式緩衝器2,3の絞り10を作動油が通ることによって発生する。また、この場合は、第1の油室21の油圧と第2の油室22の油圧とが略等しくなり、前記差圧ΔPは0に近くなるから、表示器5の第1のLED31と第2のLED32は消灯状態に保たれる。
【0023】
一方、左右の油圧式緩衝器2,3の動作方向が互いに逆方向になる場合、例えば、第1の油圧式緩衝器2が収縮し、第2の油圧式緩衝器3が伸長する場合は、中間ユニット4の第1の油室21に作動油が流入し、第2の油室22から作動油が流出する。この場合は、作動油の流出入量が相殺されるように、作動油がフリーピストン25の絞り28を通って第1の油室21から第2の油室22に流入する。すなわち、この場合には、左右の油圧式緩衝器2,3の絞り10を作動油が通ることによて発生する減衰力と、中間ユニット4の絞り28を作動油が通ることによって発生する減衰力(付加減衰力)とによって車体の挙動が減衰される。
【0024】
また、この場合は、前記第1の油室21の油圧が第2の油室22の油圧より大きくなるから、差圧ΔPの絶対値が相対的に大きくなる。前記差圧ΔPは、図2に示すように、絞りを通過する作動油の量が0から増大するにしたがって次第に増大する。また、この差圧ΔPの増大率は、絞り28を通過する作動油の量が所定量に達すると次第に小さくなる。
前記差圧ΔPの絶対値|ΔP|が判定値C1に達するまでは第1および第2のLED31,32は消灯状態に保たれ、絶対値|ΔP|が判定値C1とC2の間にある場合には、第1のLED31が点灯する。また、絶対値|ΔP|が判定値C2を上回ると、第1および第2のLED31,32が点灯する。
【0025】
したがって、この実施の形態による油圧式緩衝装置1によれば、表示器5の表示が変化することによって付加減衰力の発生状況を乗員に知らせることができる。このため、この油圧式緩衝装置1が装備された車両に乗車した乗員は、中間ユニット4で付加減衰力が発生しているか否かを車体の姿勢などからでは判断できない場合でも、表示器5を見ることによって容易に判別することができる。
この実施の形態では、表示器5に複数の発光手段(第1および第2のLED31,32)が設けられ、差圧センサ26によって検出された差圧の大きさに対して光点の数が増減するから、この光点の数によって付加減衰力の大きさを知ることができる。
【0026】
この実施の形態では前輪用の油圧式緩衝器2,3に中間ユニット4を接続する例を示したが、中間ユニット4を接続する一対の油圧式緩衝器2,3は、後輪用のものや、車体左側の前輪と後輪用のものや、車体右側の前輪と後輪用のものなど、適宜変更することができる。
【0027】
(第2の実施の形態)
本発明に係る油圧式緩衝装置は図3に示すように構成することができる。
図3は他の実施の形態を示す構成図で、同図において、前記図1および図2によって説明したものと同一もしくは同等の部材については、同一符号を付し詳細な説明を適宜省略する。
【0028】
図3に示す油圧式緩衝装置1は、車体右側の前輪用の油圧式緩衝器2と後輪用の油圧式緩衝器2とが第1の中間ユニット4Aに接続され、車体左側の前輪用の油圧式緩衝器3と後輪用の油圧式緩衝器3とが第2の中間ユニット4Bに接続されている。第1の中間ユニット4Aに設けられた第1の差圧センサ26Aと、第2の中間ユニット4Bに設けられた第2の差圧センサ26Bは、一つの表示器5に接続されている。
【0029】
この表示器5は、一つのLED31が設けられ、図示していない切換手段によって前記二つの差圧センサ26の検出値に基づいてLED31の点灯・消灯が切換えられる。
この実施の形態においては、第1の差圧センサ26Aによって検出された差圧ΔP1の絶対値|ΔP1|と、第2の差圧センサ26Bによって検出された差圧ΔP2の絶対値|ΔP2|に補正係数Kを乗じた値とを加算し、この加算値の1/2の除算値が判定値C(正の値)より小さいときはLED31を消灯状態とし、前記除算値が前記判定値C以上であるときにLED13を点灯させる構成が採られている。
このように構成しても付加減衰力の発生状況をLED31によって乗員に知らせることができる。
中間ユニット4を複数設ける場合には、後述する手法によってもLED31の点灯・消灯を切換えることができる。すなわち、前記絶対値|ΔP1|が判定値Cより小さく、かつ絶対値|ΔP2|に補正係数Kを乗じた乗算値が判定値Cより小さいときにはLEDが消灯状態となり、絶対値|ΔP1|が判定値C以上であったり、絶対値|ΔP2|に補正係数Kを乗じた乗算値が判定値C以上となる場合にLEDを点灯させる。
【0030】
(第3の実施の形態)
中間ユニット4を二つ設ける場合は、図4および図5に示すように表示器にLEDを中間ユニット毎に設けることができる。
図4は他の実施の形態を示す構成図、図5は絞りを通る作動油の流量と差圧との関係を示すグラフである。これらの図において、前記図1〜図3によって説明したものと同一もしくは同等の部材については、同一符号を付し詳細な説明を適宜省略する。
【0031】
図4に示す油圧式緩衝装置1は、車体右側の前輪用の油圧式緩衝器2と後輪用の油圧式緩衝器2とが第1の中間ユニット4Aに接続され、車体左側の前輪用の油圧式緩衝器3と後輪用の油圧式緩衝器3とが第2の中間ユニット4Bに接続されている。
この実施の形態による表示器5は、前記第1の中間ユニット4Aで発生する付加減衰力の発生状況を示すための第1〜第4のLED31〜34と、第2の中間ユニット4Bで発生する付加減衰力の発生状況を示すための第5〜第8のLED35〜38と、これらのLEDの点灯・消灯を切換える切換手段(図示せず)とが設けられている。
【0032】
前記第1〜第4のLED31〜34は、表示器5の右側に上下方向に並ぶ状態で設けられ、第5〜第8のLED35〜38は、表示器5の左側に上下方向に並ぶ状態で設けられている。
この実施の形態においては、第1の中間ユニット4Aの差圧センサ26Aによって検出された差圧ΔP1が図5に示す判定値C1以下であるときは第1のLED31と第2のLED32が点灯する。
【0033】
すなわち、加速時などで車体後側の油圧式緩衝器2,3が収縮する場合であって付加減衰力が相対的に大きい場合は、表示器5の下側に位置する第1および第2のLED31,32が点灯する。判定値C1<差圧ΔP1≦判定値C2の場合は、第2のLED32のみが点灯し、判定値C2<差圧ΔP1<判定値C3の場合は、第1〜第4のLED31〜34が消灯状態になる。判定値C3≦差圧ΔP1<判定値C4の場合は、第3のLED33が点灯し、判定値C4≦差圧ΔP1の場合は、第3のLED33と第4のLED34とが点灯する。
【0034】
これと同様に、第2の中間ユニット4Bの差圧センサ26Bによって検出された差圧ΔP2が判定値C1以下であるときは、第5のLED35と第6のLED36とが点灯する。判定値C1<差圧ΔP2≦判定値C2である場合は、第6のLED36のみが点灯し、判定値C2<差圧ΔP2<判定値C3の場合は、第5〜第8のLED35〜38が消灯状態になる。判定値C3≦差圧ΔP2<判定値C4の場合は、第7のLED37が点灯し、判定値C4≦差圧ΔP2の場合は、第7のLED37と第8のLED38とが点灯する。
したがって、この実施の形態によれば、車体が前後方向に傾斜するときの付加減衰力の大きさを第1〜第8のLED31〜38によって乗員に知らせることができる。
【0035】
(第4の実施の形態)
車体が前後方向や左右方向に傾斜したときの付加減衰力の大きさを表示器で表示する例を図6によって説明する。
図6は他の実施の形態を示す構成図で、同図において、前記図1〜図5によって説明したものと同一もしくは同等の部材については、同一符号を付し詳細な説明を適宜省略する。
【0036】
図6に示す油圧式緩衝装置1は、車体右側の前輪用の油圧式緩衝器2と車体左側の後輪用の油圧式緩衝器3とが第1の中間ユニット4Aに接続され、車体左側の前輪用の油圧式緩衝器3と車体右側の後輪用の油圧式緩衝器2とが第2の中間ユニット4Bに接続されている。
この実施の形態による表示器5は、前記第1の中間ユニット4Aで発生する付加減衰力の発生状況を示すための第1〜第4のLED31〜34と、第2の中間ユニット4Bで発生する付加減衰力の発生状況を示すための第5〜第8のLED35〜38と、これらのLEDの点灯・消灯を切換える切換手段(図示せず)とが設けられている。前記第1〜第4のLED31〜34は、表示器5の左右方向の中央部に上下方向に並ぶ状態で設けられ、前記第5〜第8のLED35〜38は、表示器5の上下方向の中央部に左右方向に並ぶ状態で設けられている。
【0037】
この実施の形態においては、第1の中間ユニット4Aの差圧センサ26Aによって検出された差圧ΔP1と、第2の中間ユニット4の差圧センサ26Bによって検出された差圧ΔP2との加算値が図5に示す判定値C1以下であるときは、第1のLED31と第2のLED32とが点灯する。判定値C1<差圧ΔP1+差圧ΔP2≦判定値C2である場合は、第2のLED32が点灯し、判定値C2<差圧ΔP1+差圧ΔP2≦判定値C3である場合は、第1〜第4のLED31〜34は消灯状態になる。判定値C3≦差圧ΔP1+差圧ΔP2<判定値C4である場合は、第3のLED33が点灯し、判定値C4≦差圧ΔP1+差圧ΔP2である場合は、第3のLED33と第4のLED34とが点灯する。
【0038】
また、差圧ΔP1−差圧ΔP2≦判定値C5である場合は、第5のLED35と第6のLED36とが点灯し、判定値C5<差圧ΔP1−差圧ΔP2判定値C6である場合は、第6のLED36が点灯する。判定値C6<差圧ΔP1−差圧ΔP2<判定値C7である場合は、第5〜第8のLED35〜38が消灯状態となり、判定値C7≦差圧ΔP1−差圧ΔP2<判定値C8である場合は、第7のLED37が点灯し、判定値C8≦差圧ΔP1−差圧ΔP2である場合は、第7のLED37と第8のLED38とが点灯する。
【0039】
上述した第3の実施の形態と第4の実施の形態に示したように、第1〜第8のLED31〜38によって車体が傾斜する方向と付加減衰力の大きさとを表示する構成を採ることにより、乗員が車体の状態を容易に想像できるようになる。このため、この油圧式緩衝装置1は、車両の運転を楽しむような乗員にとっては好ましいものとなる。
【0040】
上述した各実施の形態では発光手段としてLED31〜38を用いる例を示したが、LEDの代わりにランプを用いることができる。また、付加減衰力の大きさを表現するに当たっては、光点の数を用いる他に、色の異なるLEDやランプを用いて色によって付加減衰力の大きさを示すこともできる。
この実施の形態による油圧式緩衝装置1は、中間ユニット4に設けられた差圧センサ26によって第1の油室21の油圧と第2の油室22の油圧との差圧を検出する構成を採っているから、前記差圧を検出するに当たって油圧式緩衝器2,3側から圧力を差圧センサ26に導く構成を採る場合に較べて懸架装置の機能を損なうことがなく、小型化・軽量化を図りながら実施することができる。しかも、油圧を検出する油室と差圧センサ26との距離を可及的短縮することができるから、付加減衰力の発生を検出するに当たって応答性が高くなるとともに耐久性が向上するようになる。
【0041】
上述した実施の形態では第1の油室21の油圧と第2の油室22の油圧との差圧を差圧センサ26によって検出する例を示したが、各油室に圧力センサを設け、これらの圧力によって検出された圧力に基づいて差圧を演算により求める構成を採ることもできる。
【0042】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、第1の油室の油圧と第2の油室の差圧が検出手段によって検出され、表示器の表示が変化する。このため、前記絞りを作動油が通過することにより付加減衰力が発生したときに表示器の表示が変わるから、この表示が変化することによって付加減衰力の発生状況を乗員に知らせることができる。
【0043】
したがって、本発明に係る油圧式緩衝装置が装備された車両に乗車した乗員は、付加減衰力が発生しているか否かを車体の姿勢などからでは判断できない場合でも、表示器を見ることによって容易に判別することができる。このため、本発明によれば、車両の運転を楽しむような乗員にとっては好ましい油圧式緩衝装置を提供することができる。
【0044】
請求項2記載の発明によれば、一つのセンサで二つの油室の差圧を検出することができるから、構造が簡単で、コストダウンを図ることができる。
請求項3記載の発明によれば、光点の数によって付加減衰力の大きさを乗員に知らせることができるから、付加減衰力の発生状況がより一層わかり易くなる。
【0045】
請求項4記載の発明によれば、運転者に表示器を見せることができ、車体の状況を知らせることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る車両用油圧式緩衝装置の構成を示す断面図である。
【図2】絞りを通る作動油の流量と差圧との関係を示すグラフである。
【図3】他の実施の形態を示す構成図である。
【図4】他の実施の形態を示す構成図である。
【図5】絞りを通る作動油の流量と差圧との関係を示すグラフである。
【図6】他の実施の形態を示す構成図である。
【符号の説明】
1…油圧式緩衝装置、2,3…油圧式緩衝器、4…中間ユニット、5…表示器、9…下部油室、21…第1の油室、22…第2の油室、25…フリーピストン、26…差圧センサ、28…絞り、31〜38…第1〜第8のLED。
Claims (4)
- 車体に対をなすように設けた油圧式緩衝器の油室に連通する第1および第2の油室を有し、これらの油室の容積の変化分が常に一定の比となるように構成するとともに両油室どうしを絞りによって連通させた車両用油圧式緩衝装置において、前記第1の油室と第2の油室との圧力の差を検出する検出手段と、この検出手段の検出結果に基づいて表示が変わるように構成された表示器とを備えたことを特徴とする車両用油圧式緩衝装置。
- 請求項1記載の車両用油圧式緩衝装置において、検出手段を差圧センサによって構成してなる車両用油圧式緩衝装置。
- 請求項1または請求項2記載の車両用油圧式緩衝装置において、表示器は、複数の発光手段を備え、圧力の差の大きさに対応して光点の数が増減する構成とされていることを特徴とする車両用油圧式緩衝装置。
- 請求項1ないし請求項3のうち何れか一つの車両用油圧式緩衝装置において、表示器は、運転者の視界に入る位置に配置されている車両用油圧式緩衝装置。
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