JP2004313057A - ポリフェニレンオキシドの製造方法 - Google Patents

ポリフェニレンオキシドの製造方法 Download PDF

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Abstract

【目的】両末端が水酸基の低分子量PPOを効率よく製造する方法を提供する。
【構成】ビス(4−ヒドロキシフェニル)アルカン化合物を酵素の存在下で酸化重合させる分子量500〜30000のポリフェニレンオキシドの製造方法において、副生した4−ヒドロキシフェニルカルボニル化合物を還元して4−ヒドロキシベンジルアルコール化合物とし、これを1価フェノール化合物と反応させてビス(4−ヒドロキシフェニル)アルカン化合物として酸化重合反応に供給することを特徴とするポリフェニレンオキシドの製造方法。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリフェニレンオキシドの製造方法に関するものである。詳しくは、エポキシ樹脂、ポリカーボネート樹脂若しくはポリエステル樹脂等の原料、又はエポキシ樹脂硬化剤として有用な比較的低分子量のポリフェニレンオキシドの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ポリフェニレンオキシド(以下「PPO」という。)は良好な機械的特性、耐熱性、化学的特性、及び電気特性等を示すことから、エンジニアリングプラスチックとして自動車部品や家電部品等に広く用いられている。また、PPOをエポキシ樹脂の製造に用いられる2価フェノール化合物、又はポリカーボネート樹脂若しくはポリエステル樹脂の製造に用いられるジオール成分として用いると、それらの樹脂にPPOの有する前記諸特性を付与することができる。例えば、両末端が水酸基であって、かつ分子量が比較的低いPPOは、低誘電率等の優れた電気特性を示し、またメチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶媒や、トルエン等の芳香族系溶媒に室温で溶解するので、プリント基板などの電子材料として注目されている。
【0003】
両末端が水酸基である低分子量PPOを製造する方法としては、1価フェノール化合物を酸化重合させて得られた高分子量のPPOとポリフェノール性化合物とを過酸化物存在下で再分配させる方法(特許文献1参照)が知られている。しかしながら、この方法は過酷な条件で反応を行うため、PPOの分子量を制御することが困難である。
【0004】
またPPOの製造法としては、フェノール誘導体を酵素の存在下に有機溶媒−水混合溶媒中で反応させる方法(特許文献2参照)も知られており、この方法は温和な条件で反応が進行し、分子量を制御することが可能であるが、片方の末端のみが水酸基のPPOしか得られないものである。
ところで、ビス(4−ヒドロキシフェニル)アルカン化合物を酵素の存在下に酸化重合させると両末端が水酸基の低分子量PPOが生成するが、同時にほぼ同量の4−ヒドロキシフェニルカルボニル化合物が副生する。例えば、テトラメチルビスフェノールF、すなわち4,4’−メチレンビス(2,6−ジメチルフェノール)を酵素の存在下に酸化重合させると、PPOと3,5−ジメチル−4−ヒドロキシベンズアルデヒドとがほぼ等量ずつ生成するので、PPOの生産効率は極めて低い。
【0005】
【特許文献1】
特開平9−291148号公報
【特許文献2】
特開平9−107984号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
したがって、本発明は、両末端が水酸基の低分子量PPOを効率よく製造する方法を提供することを課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記課題に鑑み鋭意検討を加えた結果、PPOと共に生成する4−ヒドロキシフェニルカルボニル化合物のカルボニル基を還元して4−ヒドロキシベンジルアルコール化合物とし、これを1価フェノール化合物と反応させてビス(4−ヒドロキシフェニル)アルカン化合物とし、これをPPO製造系に供給することにより、低分子量PPOを効率的に製造できることができることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、本発明の要旨は、ビス(4−ヒドロキシフェニル)アルカン化合物を酵素の存在下で酸化重合させる分子量500〜30000のポリフェニレンオキシドの製造方法において、副生した4−ヒドロキシフェニルカルボニル化合物を還元して4−ヒドロキシベンジルアルコール化合物とし、これを1価フェノール化合物と反応させてビス(4−ヒドロキシフェニル)アルカン化合物として酸化重合反応に供給することを特徴とするポリフェニレンオキシドの製造方法、に存する。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明に係る製造方法で用いるビス(4−ヒドロキシフェニル)アルカン化合物は、2分子の1価フェノール化合物と1分子の脂肪族カルボニル化合物との縮合反応により生成される化合物であり、例えば、下記一般式(I)で表される化合物が挙げられる。以下、一般式(I)のビス(4−ヒドロキシフェニル)アルカン化合物を用いた場合について、本発明を詳細に説明する。
【0010】
【化3】
Figure 2004313057
【0011】
(式中、R及びRは各々独立して、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、フェニル基、アミノ基、カルボキシル基、ニトロ基又はハロゲン原子を表し、R及びRは各々独立して、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、フェニル基、アミノ基、カルボキシル基、ニトロ基、ハロゲン原子又は水素原子を表し、Rはアルキル基又は水素原子を表す。ただし、これらのアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、フェニル基又はアミノ基は、更に置換基を有していてもよい。)
【0012】
〜Rのアルキル基、アルケニル基、アルキニル基又はアルコキシ基は、炭素数1〜4のものが好ましい。アルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基等の直鎖状アルキル基;イソプロピル基、t−ブチル基等の分岐状アルキル基;シクロヘキシル基等の環状アルキル基が挙げられる。アルケニル基としては、ビニル基、プロペニル基等が挙げられる。アルキニル基としては、エチニル基、プロピニル基等が挙げられる。アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等が挙げられる。
【0013】
また、これらのアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、フェニル基又はアミノ基が有していてもよい置換基としては、炭素数1〜4のアルキル基及びアルコキシ基、フェニル基、並びにハロゲン原子が挙げられる。
ハロゲン原子としては、弗素原子、塩素原子、臭素原子等が挙げられる。
〜Rは、通常、置換基を有していてもよいアルキル基である。炭素数1〜4のアルキル基、特にメチル基が好ましい。また、Rとしては、水素原子が好ましい。
【0014】
ビス(4−ヒドロキシフェニル)アルカン化合物としては、4,4’−メチレンビス(2,6−ジメチルフェノール)、4,4’−メチレンビス(2,3,6−トリメチルフェノール)、4,4’−メチレンビス(2,3,5,6−テトラメチルフェノール)、4,4’−メチレンビス(2,6−ジエチルフェノール)、4,4’−メチレンビス(2,6−ジブチルフェノール)、4,4’−メチレンビス(2−メチル−6−アリルフェノール)、4,4’−メチレンビス(2−メチル−6−フェニルフェノール)及び4,4’−メチレンビス(2,6−ジアリルフェノール)等が挙げられ、これらのうち4,4’−メチレンビス(2,6−ジメチルフェノール)、4,4’−メチレンビス(2,6−ジエチルフェノール)、4,4’−メチレンビス(2,6−ジブチルフェノール)又は4,4’−メチレンビス(2,6−ジアリルフェノール)、特に4,4’−メチレンビス(2,6−ジメチルフェノール)が好ましい。
【0015】
ビス(4−ヒドロキシフェニル)アルカン化合物の酸化重合は、酸化酵素、好ましくは活性中心金属として銅を含む酸化酵素の存在下に行う。銅を含む酸化酵素としては、ペルオキシターゼ、ラッカーゼ等の酸化重合能を有する酵素が挙げられる。ペルオキシターゼとしては、植物、細菌又は担子菌類に由来するもの、特に西洋山葵又は大豆に由来するものが好ましい。また、ラッカーゼとしては、植物、細菌由来又は担子菌類に由来するもの、特に微生物のPycnoporus coccineusに由来するものが好ましい。
【0016】
酵素は、その力価によって異なるが、通常ビス(4−ヒドロキシフェニル)アルカン化合物に対して0.001重量%以上、好ましくは0.01重量%以上を使用する。
ペルオキシターゼを用いる場合には、無機過酸化物又は有機過酸化物、特に無機過酸化物と併用して酸化重合反応を行うのが好ましい。無機過酸化物としては、過酸化水素が好ましく、ビス(4−ヒドロキシフェニル)アルカン化合物に対して、通常0.9倍モル以上を用いる。1倍モル以上、特に2〜5倍モルを用いるのが好ましい。
【0017】
ラッカーゼを用いる場合には、酸素の存在下に酸化重合反応を行う。反応溶液中へ酸素を溶解させるには、反応系中に酸素ガス又は空気等の酸素を含むガスを導入し攪拌翼によって細かい気泡とする手法、反応器の内側に邪魔板を設けガスを細かい気泡とする手法、又はノズルより反応溶液を高線速で空気中に噴霧する手法等を用いることができる。
【0018】
反応は、回分反応方式、または連続反応方式のいずれでも行うことができる。なお、固定化酵素を用いる場合には、酵素を充填した固定床に基質及び酸素を供給する、いわゆるトリクルベッド方式で行ってもよい。
通常は、0.001Mpa以上の酸素分圧下で反応を行う。酸素分圧が高いと、反応系に爆発性化合物が生ずることがある。一方、酸素分圧が低いと、反応速度が遅くなる。したがって、酸素分圧は0.01〜10MPa、特に0.05〜5MPaが好ましい。
【0019】
重合反応は、通常は有機溶媒と水との混合溶媒中で行う。有機溶媒としては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロピルアルコール、n−ブタノール、t−ブタノール等のアルコール類;ヘキサン、ベンゼン、トルエン等の炭化水素類;酢酸エチル等のエステル類;ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル類;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;クロロホルム等のハロゲン化炭化水素類;及びジメチルホルムアミド等の非プロトン性極性溶媒が挙げられる。有機溶媒:水の重量比は、通常1:10〜10:1、好ましくは3:10〜10:3である。有機溶媒は、単独で用いても、2種以上を混合して用いてもよい。
【0020】
反応は、通常0〜90℃、好ましくは10〜60℃で行う。
重合反応は、得られるPPOのゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定したポリスチレン換算の重量平均分子量が500〜30000、特に600〜10000、水酸基価が1.1〜2.8、特に1.3〜2.5となるように行うのが好ましい。
【0021】
反応終了後、反応生成液からPPO、4−ヒドロキシフェニルカルボニル化合物及び触媒成分を分離にするのは、蒸留、抽出、晶析、沈降、濾別等の操作を、適宜組み合わせて行えばよい。簡便なのは、反応生成液にメタノール等のPPOが貧溶である溶媒を加えて析出したPPOを濾過、洗浄、乾燥する方法である。
この重合反応により、一般式(I)で表されるビス(4−ヒドロキシフェニル)アルカン化合物から、下記一般式(II)で表される構成単位を主たる繰り返し単位とし、下記一般式(III)で表される構成単位も含有するPPOが得られる。
【0022】
【化4】
Figure 2004313057
【0023】
(式中、R〜Rは前記と同義である。)
なお、PPOは、フェニレン基が1,4−フェニレン構造をとっている一般式(II)及び(III)で表される構成単位の他に、1,2−フェニレン構造又は1,3−フェニレン構造をとっている構成単位を含有していることもある。PPO全体のフェニレン繰り返し単位における1,4−フェニレン構造の割合は、通常80%以上である。90%以上、特に95%以上であるのが好ましい。また、一般式(III)で表される構成単位はPPO全体の繰り返し単位の1%以上、特に2〜15%の割合であるのが好ましい。
【0024】
この反応生成液には、上記のようにPPOと共に下記一般式(IV)の構造で表される4−ヒドロキシフェニルカルボニル化合物が含まれている。
【0025】
【化5】
Figure 2004313057
【0026】
(式中、R〜Rは前記と同義である。)
本発明では、反応生成液から得られる4−ヒドロキシフェニルカルボニル化合物のカルボニル基を水酸基に還元して、下記一般式(V)で表される4−ヒドロキシベンジルアルコール化合物とする。
【0027】
【化6】
Figure 2004313057
【0028】
(式中、R〜Rは前記と同義である。)
この還元は、カルボニル基を水酸基に還元することができる任意の還元剤を用いて行うことができる。経済性、分離の容易さ等から水素を用いた接触還元が好ましい。還元反応は、水素の分圧が0.001MPa以上であれば進行する。水素分圧が低いと反応速度が遅くなったり、触媒が失活したりするので、通常は0.01MPa以上の水素分圧で反応を行う。水素分圧0.05MPa以上、特に0.1MPa以上で行うのが好ましい。一方、水素分圧が高すぎると水素化分解が起こったり、ベンゼン環が還元されたりする副反応が起こることがある。したがって、通常は50MPa以下の水素分圧で反応を行う。水素分圧20MPa以下、特に10MPa以下で行うのが好ましい。
【0029】
反応温度は、還元反応が進行する任意の温度で行えばよいが、通常は10℃〜200℃で行う。25℃〜180℃で行うのが好ましい。
還元反応の触媒としては、ニッケル、白金、ロジウム、パラジウム及びルテニウム等の貴金属、並びにそれらをカーボン、シリカ、ゼオライト等の担体に担持したものが挙げられ、パラジウムを主成分とした触媒が好ましい。
【0030】
反応は、回分方式又は連続方式のいずれでも行うことができる。回分方式の場合には、触媒量は反応条件により適宜定めればよいが、通常は4−ヒドロキシフェニルカルボニル化合物に対して0.0001〜100重量倍を用いる。基質に対して0.001〜70重量倍,特に0.01〜50重量倍用いるのが好ましい。また、固定化触媒床を用いて連続方式で反応させる場合には、通常は触媒床に4−ヒドロキシフェニルカルボニル化合物及び水素を気液混相で供給する流通方式で反応を行わせるが、いわゆるトリクルベッド方式で反応させてもよい。
【0031】
反応終了後、反応生成液から4−ヒドロキシベンジルアルコール化合物を分離するには、蒸留、抽出、晶析、沈降、濾別等の操作を、適宜組み合わせて行えばよい。なお、場合によっては反応生成液をそのまま次工程での1価フェノール化合物との反応に用いてもよい。更に、還元触媒としてゼオライト等の固体酸の担体に貴金属を担持させた触媒を用いた場合には、担体の固体酸が4−ヒドロキシベンジルアルコール化合物と1価フェノール化合物との反応の酸触媒として作用するので、触媒を含んだままの反応生成液をそのまま1価フェノール化合物との反応に用いることができる。
【0032】
生成した4−ヒドロキシベンジルアルコール化合物は、次いで下記一般式(VI)で表される1価フェノール化合物と反応させて、酸化重合反応に供給する原料化合物であるビス(4−ヒドロキシフェニル)アルカン化合物(I)を生成させる。
【0033】
【化7】
Figure 2004313057
【0034】
(式中、R〜Rは前記と同義である。)
1価フェノール化合物としては、2,6−ジメチルフェノール、2,3,6−トリメチルフェノール、2,3,5,6−テトラメチルフェノール、2,6−ジエチルフェノール、2,6−ジブチルフェノール、2−メチル−6−アリルフェノール、2,6−ジアリルフェノール、2−メチル−6−ベンジルフェノール及び2−メチル−6−フェニルフェノール等が挙げられる。これらのうち、2,6−ジメチルフェノール、2,6−ジエチルフェノール、2,6−ジブチルフェノール又は2,6−ジアリルフェノール、特に2,6−ジメチルフェノールが好ましい。
【0035】
反応は1価フェノール化合物と4−ヒドロキシベンジルアルコール化合物とを混合し、触媒存在下で加熱することにより容易に進行する。
触媒としては、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸等の鉱酸;ランタノイドトリフラート等のルイス酸;ヘテロポリ酸等のポリ酸;及びイオン交換樹脂、ゼオライト、粘土等の固体酸などの酸触媒を使用することができる。これらのうち、反応生成液からの生成物の分離の簡便さから固体酸が好ましい。酸の使用量は、反応条件により適宜設定すればよく、通常は基質に対して0.001重量比以上100重量比以下で用いる。触媒量が少なすぎると反応が円滑に進行しないので、基質に対して0.01重量比以上、特に0.01重量比以上用いるのが好ましい。また、触媒量が多すぎると副反応が起こることがあるので、70重量比以下,特に60重量比以下で用いるのが好ましい。
【0036】
反応は0℃でも進行するが、加熱条件下で行うのが好ましい。通常20℃〜200℃、好ましくは40℃〜150℃で反応させる。1価フェノール化合物と4−ヒドロキシベンジルアルコール化合物との混合比は任意であるが、等モルで反応させるのが好ましい。
反応は無溶媒でも進行するが、通常は溶媒を用いる。反応溶媒としては、酸に安定なものであれば任意であり、例えば、水;メタノール等のアルコール類;1,2ジメトキシエタン等のエ−テル類;トルエン等の炭化水素類などが挙げられる。 反応溶媒は、1価フェノール化合物と4−ヒドロキシベンジルアルコール化合物とを合わせた濃度が、通常1重量%以上99重量%以下となるように用いる。この濃度が低すぎると反応が進行しにくいので、濃度は5重量%以上が好ましい。また、濃度が高すぎると副反応が起こりやすいので、濃度は80重量%以下が好ましい。
【0037】
本発明方法では、ビス(4−ヒドロキシフェニル)アルカン化合物の酸化重合反応によりPPOを製造するに際し、副生する4−ヒドロキシフェニルカルボニル化合物に1価フェノール化合物を反応させることにより生成したビス(4−ヒドロキシフェニル)アルカン化合物を酸化重合反応に供給するので、見かけ上、1価フェノール化合物からPPOを製造したと同様の結果を得ることができる。ただし、生成したPPOには、ビス(4−ヒドロキシフェニル)アルカン化合物の骨格が繰り返し単位として含まれているので、酸化重合反応を定常的に行うには、外部からビス(4−ヒドロキシフェニル)アルカン化合物を補給することが必要である。これには脂肪族カルボニル化合物、例えば下記一般式(VII)のアルデヒドを補給して1価フェノール化合物と反応させればよい。
【0038】
【化8】
−CHO (VII)
(式中、Rは前記と同義である。)
本発明方法で製造したPPOは両末端に水酸基を有しているが、この末端水酸基は、既知の方法で簡便にグリシジル化、アクリレート化でき、これら誘導体も電子材料等に有用な原料となりうる。本発明方法により得られたPPOを用いて製造されたポリカーボネート、ポリイソシアネート、ポリエーテル、ポリエステルは、種々の用途をもつ樹脂として有用なものである。
【0039】
【実施例】
以下に実施例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、反応生成物はH−NMRの化学シフトにより同定した。
(実施例1)
2,6−ジメチル−4−ヒドロキシベンズアルデヒド(東京化成社製)1.00gのメタノール10ml溶液に、5%パラジウム/カーボン(Pd/C)0.03gを加え、反応器内の空気を水素で置換した後、水素圧を0.1MPaに保ち20℃で50分間攪拌した。反応容器を脱圧し、反応液を濾過し、メタノールを留去して2,6−ジメチル−4−ヒドロキシベンジルアルコール1.01g(アルデヒド基準;収率99.7%)を白色固体として得た。これを1,2−ジメトシキエタン10.72gに溶かし、1.14モル倍の2,6−キシレノール(和光純薬社製)、及びAmberlyst15(dry)(Rohm&Hass社製)0.1gと混合し、60℃で1時間攪拌した。反応液を冷却後、濾過し、溶媒を留去して6.48mmolの4,4’−メチレンビス(2,6−ジメチルフェノール)(ベンジルアルコール基準;収率97.6%)を得た。これをトルエンから再結晶し、1.65gの精製4,4’−メチレンビス(2,6−ジメチルフェノール)を得た。
【0040】
これをアセトン・水(1:1、体積比)の混合物82.5gに溶かし、Pycnoporus coccineus由来のラッカーゼ(高研社製)4.13 mgを加え、30℃で24時間反応させた。析出した固体を濾取し、メタノールで洗浄し、乾燥してPPO0.82gを得た。また、濾液を濃縮して析出した固体を水洗し、真空乾燥させて3,5−ジメチル−4−ヒドロキシベンズアルデヒド0.716gを得た。これをメタノール11.32gに溶かし、5%Pd/C0.03gを加え、反応器を水素置換した後、水素圧を0.1MPaに保ち20℃で60分攪拌した。反応容器を脱圧し、反応液を濾過し、濾液に1.13倍モルの2,6−キシレノール(和光純薬社製)、及びAmberlyst15(dry)(Rohm&Hass社製)0.08gを加え、60℃で1時間攪拌した。反応液を冷却し、濾過し、濾液から溶媒を留去して4.60mmolの4,4’−メチレンビス(2,6−ジメチルフェノール)(アルデヒド基準;収率97.7%)を得た。これをトルエンから再結晶し、4,4’−メチレンビス(2,6−ジメチルフェノール)1.15gを得た。
【0041】
これをアセトン・水(1:1、体積比)の混合溶媒57.5gに溶かし、Pycnoporus coccineus由来のラッカーゼ(高研社製)2.90mgを仕込み、30℃で24時間反応させた。析出した固体を濾別し、メタノールで洗浄し、乾燥してPPO0.57gを得た。また、濾液を濃縮し、析出した固体を水洗し、真空乾燥させて3,5−ジメチル−4−ヒドロキシベンズアルデヒド0.50gを得た。
【0042】
この3,5−ジメチル−4−ヒドロキシベンズアルデヒドをメタノール13.72gに溶かし、5%Pd/C0.03g、2.5モル倍の2,6−キシレノール、及びAmberlyst15(dry)0.125gを加え、反応器を水素置換した後、水素圧を0.1MPaに保ち40℃で1時間半攪拌した。反応容器を脱圧し、GC分析したところ反応液は1.61mmolの4,4’−メチレンビス(2,6−ジメチルフェノール)(アルデヒド基準;収率48%)を含有していた。
【0043】
【発明の効果】
本発明によれば、ビス(4−ヒドロキシフェニル)アルカン化合物の酸化重合反応によるPPOの製造工程で副生する4−ヒドロキシフェニルカルボニル化合物をビス(4−ヒドロキシフェニル)アルカン化合物に変換することができる。これによりPPOの生産効率が上がるので、安価なPPOを供給することができる。

Claims (4)

  1. ビス(4−ヒドロキシフェニル)アルカン化合物を酵素の存在下で酸化重合させる分子量500〜30000のポリフェニレンオキシドの製造方法において、副生した4−ヒドロキシフェニルカルボニル化合物を還元して4−ヒドロキシベンジルアルコール化合物とし、これを1価フェノール化合物と反応させてビス(4−ヒドロキシフェニル)アルカン化合物として酸化重合反応に供給することを特徴とするポリフェニレンオキシドの製造方法。
  2. ビス(4−ヒドロキシフェニル)アルカン化合物が、下記一般式(I)で表される化合物であることを特徴とする請求項1記載の製造方法。
    Figure 2004313057
    (式中、R及びRは各々独立して、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、フェニル基、アミノ基、カルボキシル基、ニトロ基又はハロゲン原子を表し、R及びRは各々独立して、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、フェニル基、アミノ基、カルボキシル基、ニトロ基、ハロゲン原子又は水素原子を表し、Rはアルキル基又は水素原子を表す。ただし、これらのアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、フェニル基又はアミノ基は、更に置換基を有していてもよい。)
  3. 酵素が、ペルオキシターゼ又はラッカーゼであることを特徴とする請求項1又は2記載の製造方法。
  4. ポリフェニレンオキシドが、下記一般式(II)及び(III)で表される繰り返し単位を有するものであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の製造方法。
    Figure 2004313057
    (式中、R〜Rは前記と同義である。)
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JP2006290989A (ja) * 2005-04-08 2006-10-26 Dainippon Ink & Chem Inc エポキシ樹脂硬化剤及びエポキシ樹脂硬化物、並びにポリフェノールの製造方法
CN103642847A (zh) * 2013-11-18 2014-03-19 济南开发区星火科学技术研究院 一种聚苯醚的制备方法

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