JP2004312810A - 多自由度超音波モータの予圧方法及び装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】固定子1と、回転子2からなる懸架固定設置タイプの多自由度超音波モータに対して、複数の弾性体4と、弾性体4を介張する弾性体固定子側取り付け材5及び弾性体回転子側取り付け材6とで構成される予圧発生手段と、回転子2及び重量物3とを直結する回転シャフト7と、回転シャフト7を軸受けするベアリング内輪8とベアリング外輪9と転動体10とからなる予圧伝達用ベアリングと、予圧伝達用ベアリングを間に組込む上側ベアリング内輪固定材11及び下側ベアリング内輪固定材12とで構成される予圧伝達手段とを具備する特徴的構成手段の採用。
【選択図】図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、多自由度超音波モータの予圧装置に関し、詳しくは、多自由度超音波モータに装設された弾性体を用いて多自由度超音波モータの回転子と固定子に予圧を与えるための、多自由度超音波モータの予圧方法及びその実施に直接使用する装置に係わる。
【0002】
【従来の技術】
近年、人間型ロボットの関節機構のような、高トルク及び高自由度を要求されるような部位におけるアクチュエータとして、従来の一自由度回転式の電磁式サーボモータに代わり、省スペース、高トルクで静音性の高い多自由度超音波モータの適用が期待されている。特に、人間型ロボットの首の部分のように、多自由度に姿勢を変えることが可能なように重量物を鉛直に支える必要のある機構等への多自由度超音波モータの応用が期待されている。
【0003】
ここで、例えば、多自由度超音波モータは、振動方向が異なる複数の圧電素子が積層された構成の固定子と、この固定子の上に密着された球状の回転子からなる。多自由度超音波モータの固定子の上の圧電素子に周波数が等しく位相の異なる交流電圧を印加すると、圧電素子に固有振動が励起され、それらの固有振動モードの組み合わせによって回転子が任意の方向に回転する。
【0004】
このように、固定子に密着した回転子を持つ多自由度超音波モータを駆動する場合に高い回転トルクを得るためには、回転子が固定子から十分に強い垂直抗力を受けるような予圧機構が必要になる。逆に、多自由度超音波モータに対して適切な予圧がなされれば、回転子の静止時において特別な駆動制御を行うことなく高静止トルクを得ることが可能となる。
【0005】
このため、多自由度超音波モータにおいては、回転子の上に穴のあいた予圧材を配置し、これによって回転子に対して鉛直方向に力を与える方式(非特許文献1)や、固定子側に電磁石を配置し、電磁石から発生する吸引力によって回転子を引き付ける方式(非特許文献2)の予圧が行われている。
【0006】
なお、上記多自由度超音波モータに適用される予圧装置の詳細については、下記の非特許文献1及び2に記載されている。
【0007】
【非特許文献1】
前野隆司,竹村研治郎,小島信行、“縦振動と横振動の縮退に基づく多自由度超音波モータの開発”、日本ロボット学会誌16巻8号、1998年11月、pp.1115−1122.
【0008】
【非特許文献2】
ユン チョルホ、庭野慎一郎、James R. Friend 、石井孝明、中村健太郎、上羽貞行、“3自由度超音波モータの球ロータ支持機構”、第23回超音波エレクトロニクスの基礎と応用に関するシンポジウム講演予稿集、2002年11月.
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、従来の多自由度超音波モータの予圧装置を用いて固定子の上に予圧材を配置する多自由度超音波モータの予圧を行おうとする場合、自ずと、その予圧材によって回転子の可動範囲が狭まってしまうという問題がある。また、回転子の可動範囲を広げるために予圧材の穴の直径を大きくすると、予圧材が回転子に与える摩擦力による抵抗トルクが大きくなってしまうという問題がある。
【0010】
さらに、電磁石を利用する予圧装置を用いて予圧を行う場合には、電磁力の距離による減衰の速さから来る有効性やその精度の限界の問題や、高い予圧力を得るためには別途高いエネルギーの電力を要するという問題があった。
【0011】
また、多自由度超音波モータの回転子の上に負荷となる重量物が機械的に固定されている場合において、回転子の回転によって重量物の姿勢が傾斜したときには、傾斜方向への倒傾力や、回転子に与えられる横力が発生し、そのために回転子から固定子に与えられる力の特性が複雑となり、これに伴って駆動制御が自ずと難しくなるという問題もある。
【0012】
ここにおいて、本発明の解決すべき主要な目的は、次のとおりである。
【0013】
即ち、本発明の第1の目的は、予圧による回転子の可動範囲の縮小を最小限に抑えることの可能な多自由度超音波モータの予圧方法及び装置を提供せんとするものである。
【0014】
本発明の第2の目的は、重量物の姿勢の傾斜により回転子に発生する傾斜方向への倒傾力を最小限に抑えることの可能な多自由度超音波モータの予圧方法及び装置を提供せんとするものである。
【0015】
本発明の第3の目的は、電力のような外部エネルギーを必要とせずに高い予圧力を得ることが可能な多自由度超音波モータの予圧方法及び装置を提供せんとするものである。
【0016】
本発明の他の目的は、明細書、図面、特に特許請求の範囲の各請求項の記載から、自ずと明らかとなろう。
【0017】
【課題を解決するための手段】
まず、本発明方法においては、懸架固定設置された多自由度超音波モータにおいて、固有振動数が等しく振動方向が異なる固有振動を重層励振する固定子の端面に、前記複数の固有振動によって任意の方向に回転駆動される回転子を押圧するための多自由度超音波モータの予圧方法であって、重量物を前記回転子と一体化する回転直結手段の回転支承手段外周横面に設置面方向均等に引張弾性力を付勢して当該回転子の当該固定子を圧接する方向に常時作用する一定の予圧力を確保して前記重量物を中立平衡旋回せしめるとともに、当該重量物が倒傾するとき、前記回転支承手段の前記外周横面に回転力と分離引出した当該重量物の倒傾力に対し、倒傾反力が前記引張弾性力により平衡作用して、前記固定子への前記回転子の前記一定の予圧力を保持することにより、前記重量物の姿勢如何に拘らず当該固定子から当該回転子への動力伝達効率を最適に持続する、という特徴的構成手法を講じる。
【0018】
一方、本発明装置においては、懸架固定設置された多自由度超音波モータの回転子が固定子から垂直抗力を受けるために、当該回転子が当該固定子に対して圧接させる方向に作用する予圧力と、当該回転子の回転駆動が伝達される重量物が倒傾斜したときに、当該重量物から当該回転子に伝達される倒傾力を打ち消す倒傾反力と、を発生する弾性体を用いた予圧発生手段と、当該回転子の回転駆動により発生する回転及び倒傾力を当該重量物に伝達するとともに当該倒傾力を当該予圧発生手段に伝達して、当該予圧発生手段により発生した当該予圧力及び当該倒傾反力を当該回転子に伝達する予圧伝達手段と、を具備させる、という特徴的構成手段を講じる。
【0019】
さらに、具体的詳細に述べると、当該課題の解決では、本発明が次に列挙する上位概念から下位概念に亙る新規な特徴的構成手段を採用することにより、前記目的を達成するように為される。
【0020】
即ち、本発明方法の第1の特徴は、懸架固定設置された多自由度超音波モータにおいて、固有振動数が等しく振動方向が異なる固有振動を重層励振する固定子の端面に、前記複数の固有振動によって任意の方向に回転駆動される回転子を押圧するための多自由度超音波モータの予圧方法であって、重量物を前記回転子と一体化する回転直結手段の回転支承手段外周横面に懸架設置面方向均等に引張弾性力を付勢して当該回転子の当該固定子を圧接する方向に常時作用する一定の予圧力を確保して前記重量物を中立平衡旋回せしめるとともに、当該重量物が倒傾するとき、前記回転支承手段の前記外周横面に回転力と分離引出した当該重量物の倒傾力に対し、倒傾反力が前記引張弾性力により平衡作用して、前記固定子への前記回転子の前記一定の予圧力を保持することにより、前記重量物の姿勢如何に拘らず当該固定子から当該回転子への動力伝達効率を最適に持続してなる、多自由度超音波モータの予圧方法の構成採用にある。
【0021】
本発明方法の第2の特徴は、上記本発明方法の第1の特徴における前記回転直結手段が、軸回転力及び倒傾力を前記重量物に伝達してなる、多自由度超音波モータの予圧方法の構成採用にある。
【0022】
本発明方法の第3の特徴は、上記本発明方法の第2の特徴における前記回転支承手段が、前記軸回転を空転支承して、前記重量物の倒傾力を前記外周横面に分離引出してなる、多自由度超音波モータの予圧方法の構成採用にある。
【0023】
本発明方法の第4の特徴は、上記本発明方法の第1、第2又は第3の特徴における前記外周横面に分離引出された倒傾力が、所要長に外延伝達され、当該外延に前記設置面鉛直方向に前記引張弾性力を付勢してなる、多自由度超音波モータの予圧方法の構成採用にある。
【0024】
本発明方法の第5の特徴は、上記本発明方法の第4の特徴における前記外延伝達が、前記外周横面全方位放射状に伝達されてなる、多自由度超音波モータの予圧方法の構成採用にある。
【0025】
本発明方法の第6の特徴は、上記本発明方法の第4又は第5の特徴における前記引張弾性力が、前記多自由度超音波モータを等距離で、連続囲繞する円筒体、等間隔で囲繞するコイル発条群及びゴム紐群で代表される弾性体により、前記設置面鉛直方向に付与されてなる、多自由度超音波モータの予圧方法の構成採用にある。
【0026】
一方、本発明装置の第1の特徴は、懸架固定設置された多自由度超音波モータにおいて、固有振動数が等しく振動方向が異なる複数の固有振動を重層励振する固定子に、前記固有振動によって任意の方向に回転駆動される回転子を押圧するための多自由度超音波モータの予圧装置であって、前記回転子が前記固定子から垂直抗力を受けるために、当該回転子の当該固定子を圧接させる方向に作用する予圧力と、当該回転子の回転駆動力を伝達される重量物が倒傾斜したときに、当該重量物から当該回転子に伝達される倒傾力を打ち消す倒傾反力と、を発生する弾性体を用いた予圧発生手段と、当該回転子の回転駆動により発生する回動力及び倒傾力を当該重量物に伝達するとともに当該重量物の当該倒傾力のみを分離引出して当該予圧発生手段に伝達し、当該予圧発生手段により発生した当該予圧力及び当該倒傾反力を当該回転子に伝達する予圧伝達手段と、を具備してなる、多自由度超音波モータの予圧装置の構成採用にある。
【0027】
本発明装置の第2の特徴は、上記本発明装置の第1の特徴における前記予圧発生手段が、前記固定子を懸架固定するとともに、当該固定子及び前記回転子を中心に囲繞する前記弾性体の各一端が止着される弾性体固定子側取り付け材と、当該弾性体固定子側取り付け材と相対向して、前記回転子の回転駆動により発生する前記重量物の倒傾力が伝達され、当該弾性体の他端が止着される弾性体回転子側取り付け材と、前記弾性体固定子側取り付け材と当該弾性体回転子側取り付け材とで止着端点間に渡り、相対峙する当該両材相互の接近習性を弾性付勢する引張弾性力を発生させる複数の前記弾性体と、を具備してなる、多自由度超音波モータの予圧装置の構成採用にある。
【0028】
本発明装置の第3の特徴は、上記本発明装置の第1又は第2の特徴における前記予圧伝達手段が、前記回転子及び前記重量物にそれぞれ両端を一体結合し、当該回転子の回転駆動から回転力及び倒傾力を当該重量物に伝達する回転シャフトと、転動体群を中に挟んで、当該回転シャフトを貫通軸受けするベアリング内輪と、当該回転シャフトの倒傾力のみを前記弾性体回転子側取り付け材に伝達させるベアリング外輪と、で構成される予圧伝達用ベアリングと、を具備してなる、多自由度超音波モータの予圧装置の構成採用にある。
【0029】
本発明装置の第4の特徴は、上記本発明装置の第3の特徴における前記弾性体回転子側取り付け材が、中央円筒部に前記ベアリング外輪を固定してなる、多自由度超音波モータの予圧装置の構成採用にある。
【0030】
本発明装置の第5の特徴は、上記本発明装置の第3又は第4の特徴における前記弾性体が、前記回転シャフトを中心として平面同心円上、等間隔に囲繞配置され、それぞれの当該弾性体は、弾性定数を均等としてなる、多自由度超音波モータの予圧装置の構成採用にある。
【0031】
本発明装置の第6の特徴は、上記本発明装置の第3、第4又は第5の特徴における前記弾性体が、前記弾性体回転子側取り付け材と前記弾性体固定子側取り付け材外延相互の対応対向する放射羽根端間に介張させるとともに、自然長以上に伸長させて保持することにより発生する引張弾性力により、前記回転子を前記固定子に圧接させる方向に予圧力を常時付与させてなる、多自由度超音波モータの予圧装置の構成採用にある。
【0032】
本発明装置の第7の特徴は、上記本発明装置の第3、第4、第5又は第6の特徴における前記弾性体回転子側取り付け材が、前記ベアリング外輪に前記中央円筒部内周面を固定されて、回転及び倒傾動する前記回転シャフトから分離引出された倒傾力のみが伝達されるとともに、前記回転子の回転中心を通り、かつ、前記多自由度超音波モータ懸架設置面と平行な面上の、前記放射羽根端に前記弾性体の止着される前記止着端点を備えてなる、多自由度超音波モータの予圧装置の構成採用にある。
【0033】
本発明装置の第8の特徴は、上記本発明装置の第3、第4、第5、第6又は第7の特徴における前記予圧伝達手段が、前記回転シャフトを貫通軸受する前記ベアリング内輪を上下から挟んで中央円筒部端を固定し、前記ベアリング外輪を外周凹環部に収容自在に形成する、当該ベアリング内輪を前記重量物側から固定する上側ベアリング内輪固定材と、当該ベアリング内輪を前記回転子側から固定する下側ベアリング内輪固定材と、を具備してなる、多自由度超音波モータの予圧装置の構成採用にある。
【0034】
本発明装置の第9の特徴は、上記本発明装置の第3、第4、第5、第6、第7又は第8の特徴における前記弾性体が、前記回転シャフトが倒傾斜するに伴いそれぞれ伸長量が異なる状態となったときに、当該伸長量に応じて発生するそれぞれ異なる大きさの弾性力により、当該回転シャフト及び前記重量物の倒傾斜により発生して前記回転子に一体伝達される前記倒傾力を打ち消して、逆方向に作用する前記倒傾反力を発生自在に設計されてなる、多自由度超音波モータの予圧装置の構成採用にある。
【0035】
本発明装置の第10の特徴は、上記本発明装置の第3、第4、第5、第6、第7、第8又は第9の特徴における前記弾性体が、前記回転シャフトが倒傾斜したときの当該弾性体それぞれの長さが自然長以上である範囲内において、当該回転シャフトの所要の最大倒傾斜角で発生する前記倒傾力と、前記倒傾反力とが平衡する前記弾性定数を備えてなる、多自由度超音波モータの予圧装置の構成採用にある。
【0036】
本発明装置の第11の特徴は、上記本発明装置の第3、第4、第5、第6、第7、第8、第9又は第10の特徴における前記弾性体が、前記回転シャフトが傾斜したときの倒傾斜角にかかわらず前記予圧力を一定に保ち前記弾性力が伸長量に対して一定となる、定加重弾性体である、多自由度超音波モータの予圧装置の構成採用にある。
【0037】
本発明装置の第12の特徴は、上記本発明装置の第3、第4、第5、第6、第7、第8、第9、第10又は第11の特徴における前記弾性体が、前記回転シャフトに倒傾力成分がない中立平衡状態において、それぞれ等しい自然長の複数の弾性体に、予めそれぞれ同一の伸長量を与えられて複数囲繞配置され、それぞれ等しい弾性力を発生するよう均等設定されてなる、多自由度超音波モータの予圧装置の構成採用にある。
【0038】
本発明装置の第13の特徴は、上記本発明装置の第3、第4、第5、第6、第7、第8、第9、第10、第11又は第12の特徴における前記弾性体固定子側取り付け材が、前記予圧装置が傾斜設置面上に懸架設置される場合には、上側傾斜側に臨む前記放射羽根を階段状に折曲して前記対応対向する弾性体固定子側取り付け材の放射羽根との間距を大きく取り、より長い弾性体を介張自在に形成してなる、多自由度超音波モータの予圧装置の構成採用にある。
【0039】
本発明装置の第14の特徴は、上記本発明装置の第13の特徴における前記弾性体が、前記回転子及び前記固定子の予圧に必要とする所要の弾性力に応じて、前記回転シャフトのそれぞれの倒傾斜方向における当該弾性体それぞれの伸長量を個別に設定配置されてなる、多自由度超音波モータの予圧装置の構成採用にある。
【0040】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態につき、装置例及び方法例を添付図面を参照しつつ、本発明を球状の回転子を持つ多自由度超音波モータに適用した場合を例に挙げて詳細に説明する。
【0041】
(装置例)
まず、図1は、本発明の一実施形態例に係る装置例としての多自由度超音波モータの予圧装置を示す側面断面図であり、図2は同多自由度超音波モータの予圧装置を示す平面図であり、いずれも重量物及び回転シャフトが中立平衡状態を示す。図1に示す多自由度超音波モータαの予圧装置βは、図2に示した一点鎖線Iにおける断面図であり、多自由度超音波モータα以外の予圧装置βについてのみ断面にて示すものである。
【0042】
本装置例に係る懸架固定設置された多自由度超音波モータαは、例えば、位相が異なる交流電圧を印加すると固有振動数の等しい複数の固有振動を励振する複数の圧電素子によって重合層成される固定子1と、固定子1に発生する固有振動によって任意の方向に回転駆動される球状の回転子2で構成された本実施形態例の予圧装置βは、多自由度超音波モータαの負荷となる重量物3に対して適用される。また、固定子1から回転子2への回転及び傾斜方向への拘束はない。
【0043】
図1に示すように、多自由度超音波モータαの予圧装置βは、懸架水平設置面Sに設置され、複数の弾性体4を相対峙する例えば円筒籠形の弾性体固定子側取り付け材5及び弾性体回転子側取り付け材6相互の止着端点間に懸架水平設置面Sに対して鉛直方向に介張して構成される予圧発生手段βaと、回転子2及び重量物3とを回転直結手段とする回転シャフト7、回転シャフト7を貫通軸受けするベアリング内輪8を中央円筒部11´と12´とで上下挟み込んで固定するとともに、形成された外周凹環部βb´に収容される弾性体回転子側取り付け材6の中央円筒部6´内周にベアリング外輪9を嵌め込み、これらベアリング内輪8とベアリング外輪9とこれ等に挟み込まれた転動体10群とからなる予圧伝達用ベアリングを内部に組込む、上側ベアリング内輪固定材11及び下側ベアリング内輪固定材12とで構成される回転支承手段としての予圧伝達手段βbとを具備する。
【0044】
なお、図中、5´及び6″は、放射方向に外延する弾性体固定子側取り付け材5天部及び弾性体回転子側取り付け材6のそれぞれ放射羽根群であり、弾性体固定子側取り付け材5は、中央部に振動する固定子1を、例えば振動の影響が少ない振動の節となる高さに懸架固定され、弾性体4群が設置される放射羽根5´群を天部備えるものであるが、合わせて、多自由度超音波モータα及び予圧装置β全体を支承して固定子1の振動の影響を最小限になるように懸架水平設置面Sに設置可能に形成されてもよい。
【0045】
(方法例)
前記装置例に適用した本発明の方法例につき図面を参照して詳説する。
先ず、予圧発生手段βaは、回転子2が固定子1から垂直抗力を受けるために、固定子1に対し回転子2が押圧して圧接させる方向に作用する予圧力を発生する。また、回転子2の回転駆動が回転シャフト7を介して伝達される重量物3が倒傾斜したときには重量物3から回転子2に伝達される倒傾斜方向の倒傾力を打ち消す、倒傾斜方向とは逆方向の倒傾反力を発生する。
【0046】
一方、予圧伝達手段βbは、回転子2の回転駆動により発生する回転力及び倒傾力を回転シャフト7を介して重量物3に伝達するとともに、具備する予圧伝達用ベアリングにより、この倒傾力のみを予圧発生手段βaに伝達する。また、予圧発生手段βaにより発生した予圧力及び倒傾反力を回転シャフト7を介して回転子2に伝達する。
【0047】
予圧発生手段βaの具備する弾性体4群は、引っ張り方向に弾性力を発生するよう機能して、相対峙する弾性体固定子側取り付け材5と弾性体回転子側取り付け材6のそれぞれの対応対向する放射羽根5´,6″端間に亙り相互が接近する習性を付勢されて垂直に、かつ、自然長から伸長された状態で介張されている。この伸長に伴う弾性力によって中立平衡時の弾性体4群は、固定子1上端面に対する回転子2の圧接させる方向にそれぞれ等しい予圧力を発生する。
【0048】
また、本方法例において弾性体固定子側取り付け材5は、中央部を懸架水平設置面Sに平行に固定子1に固定される際、固定子1を構成する積層された部材の、例えば固定子1の励振する固有振動の節となる位置において中央部を貫着固定したものであるが、固定子1の振動の影響の少ない位置の固定子1を構成する部材を介して直接固定子1に固定しても構わない。
【0049】
予圧伝達手段βbの具備する予圧伝達用ベアリングは、回転シャフト7を軸受けするベアリング内輪9と、転動体10を介して空転するベアリング内輪8の回転の伝達を受けないベアリング外輪8とで形成するベアリング機構によって、回転子2の回転駆動により生じる回転シャフト7の倒傾斜と回転のうち、ベアリング外輪9を内周面に嵌着固定した中央円筒部6´を形成する弾性体回転子側取り付け材6に、回転シャフト7の回転力を伝達させずに、倒傾力のみを伝達する。
【0050】
回転シャフト7の倒傾斜時は、例えば複数設置された弾性体4群はそれぞれその倒傾斜方向により異なる伸長量となるものであり、この伸長量に伴い発生するそれぞれ異なる弾性力により、回転シャフト7の倒傾斜方向と逆方向のモーメントとなる倒傾反力を発生して、重量物3によって発生する倒傾斜方向に作用する倒傾力を打ち消して平衡を保つ働きをする。
【0051】
また、上側ベアリング内輪固定材11と下側ベアリング内輪固定材12は、回転シャフト7が倒傾斜したときに、重量物3から発生する倒傾力及び弾性体4群から発生する倒傾反力によって、ベアリング内輪8、ベアリング外輪9及び転動体10から構成される予圧伝達用ベアリングが分離しないようにベアリング内輪8を上下からしっかり挟み込んで上下方向に強固に固定する。
【0052】
これにより、上側ベアリング内輪固定材11と下側ベアリング内輪固定材12は、回転シャフト7を軸受けするベアリング内輪8を転動体10群の転動により空転して、ベアリング外輪9を非回転静止せしめ、ベアリング外輪9が受ける倒傾斜方向のモーメントのみが作用するように機能する。このとき、予圧伝達用ベアリングは回転シャフト7の外周面に対して軸受孔面の摩擦抵抗が低い材質でできた単体の円筒軸受部品を採用しても構わない。
【0053】
さらに、回転シャフト7の倒傾斜時に弾性体4群に発生する傾斜方向と逆方向のモーメントの大きさは、倒傾斜角の違いによって重量物3が発生する傾斜方向のモーメントの大きさとの差が変化するが、傾斜角による両モーメントの大きさの差の変化量を最小にするために、弾性体4群の弾性体回転子側取り付け材6放射羽根6″への止着端点の高さを同図一点鎖線Aに示すように回転子2の回転中心高さと同じ高さにしている。
【0054】
即ち、弾性体4群上端と弾性体回転子側取り付け材6の放射羽根6″との止着端点は、回転体2の回転中心を通り、予圧装置βの懸架水平設置面Sと平行な面である一点鎖線Aで示される面上に設けて、弾性体4群はその下端を弾性体固定子側取り付け材5の放射羽根5´に止着されて、平行する弾性体固定子側取り付け材5の放射羽根5´群と弾性体回転子側取り付け材6と垂直に配設されるものとなる。
【0055】
次に、図2に示すとおり、弾性体4群の止着位置は、弾性体回転子側取り付け材6の放射羽根6″上の、回転シャフト7を中心にして同心円状の一点鎖線B上に点対称、等距離及び等角度となるようにそれぞれ配置される。ここで、弾性体4群の止着端点及び回転シャフト7は透視図として点線により示した。各弾性体4群は、弾性定数及び弾性体自然長の等しいものを選び、回転シャフト7に倒傾斜がない場合には、各弾性体4が発生する予圧力は等しいものとなる。
【0056】
ここで、弾性体4群を回転シャフト7の回転中心線から点対称及び等角度である一点鎖線B上に外延した放射羽根5´,6″端間に配置することで、倒傾斜方向の違いによる弾性体4群それぞれが発生する倒傾斜方向と逆方向のモーメントの大きさを均質化することが可能となる。また、本方法例において例えば、回転シャフト7の倒傾斜により発生する倒傾斜方向のモーメントと、弾性体4群が発生する倒傾斜方向と逆方向のモーメントとの大きさの違いを数パーセント以内に収めるために、弾性体4の本数を8本以上にしている。
【0057】
さらに、弾性体4を細い引っ張り弾性体にして本数を上げることにより、倒傾斜方向の違いによる各弾性体4がそれぞれ発生する倒傾斜方向と逆方向のモーメントの大きさの違いをさらに小さくすることが可能であり、弾性体4は、ゴムのような音の出ない材質の弾性体を採用することで静音性を保つことが可能であるが、静音性に対する必要が低い場合は、金属製のコイルバネ等でも構わない。
【0058】
さらに、弾性体4の弾性定数は、想定される回転シャフト7の最大倒傾斜角で、重量物3が発生する倒傾斜方向のモーメントと弾性体4群が発生する倒傾斜方向と逆方向のモーメントがちょうど等しくなるように選ぶことで、倒傾斜角による両モーメントの大きさの差の変化量を最小化する。また、弾性体4群の取り付け長さを長くすることによって倒傾斜角に対する両トルクの差を減らすことが可能である。
【0059】
本方法例において、回転シャフト7に許される最大倒傾斜角は、倒傾斜時に弾性体4の長さが自然長よりも短くならない範囲内の角度で決定される。例えば、倒傾斜角の動作範囲を45度に保つためには、重量物3にかかる重力の約2倍の予圧力を弾性体4の引っ張り方向の弾性力でかける必要がある。
【0060】
なお、弾性体4として、例えば、伸長量に対して弾性力が一定となる定加重弾性体を用いることによって、多自由度超音波モータαにかかる倒傾力が不明な場合に、回転シャフト7の倒傾斜によらずに予圧力を一定にするように構成しても構わない。
【0061】
ここで、水平面に設置された多自由度超音波モータαの予圧装置βに本方法例を適用する場合、回転子2、重量物3及び回転シャフト7に倒傾斜のない力の中立平衡状態において、複数配置される弾性体4は、例えば、弾性定数が等しくかつそれぞれ自然長が等しいものを、予め同じ伸長量だけ伸長させて弾性体固定子側取り付け材5の放射羽根5´及び弾性体回転子側取り付け材6に鉛直に配置させる。
【0062】
同一円上に等間隔に配置されたそれぞれ弾性定数が等しい弾性体4群は、それぞれ同じ伸長量にしたがって同じ大きさと向きの弾性力を生じるものであるから、これにより、この弾性体4群の配置された円Bの中心にある回転シャフト7における弾性力の合力は回転シャフト7のそれぞれの倒傾斜方向に等しい予圧力として作用させることが可能となる。
【0063】
次に、図3は、懸架傾斜設置面S´上において、多自由度超音波モータαに対して図1及び図2に示した多自由度超音波モータαの予圧装置βを適用させた場合の側面断面図であり、同図は、図2に示した一点鎖線IIにおける断面図であり、本発明による予圧発生手段βa´についてのみ断面にて示すものである。
【0064】
同図に示すように、懸架傾斜設置面S´や横倒しの状態において、多自由度超音波モータαに予圧装置β´が適用される場合、各弾性体4a,4b,・・・は、多くの弾性力を必要とする側の例えば弾性体4aの伸長量を予め適切な値まで大きくして配置される等、それぞれ個別に所要量設定されることで、懸架水平設置面Sに設置された多自由度超音波モータαの予圧装置βと同様の形成が可能となる。
【0065】
また、固定子1及び回転子2の予圧に必要とする所要の弾性力に応じて、回転シャフト7のそれぞれの倒傾斜方向における弾性体4a,4b,・・・それぞれの伸長量は予め設定されるものであるが、それぞれの弾性体4a,4b,・・・の弾性定数を同じにすることで、回転シャフト7の倒傾斜に伴い発生する倒傾力と倒傾反力とのそれぞれの倒傾斜方向における差を最小とすることができる。
【0066】
このとき、弾性体固定子側取り付け材5aは、配置される弾性体4a,4b,・・・それぞれの中立平衡時の伸長量に応じて弾性体固定子側取り付け材5aと弾性体回転子側取り付け材6との間の適切な距離を保つよう懸架傾斜設置面S´上向傾斜側の弾性体4a下端止着端点の放射羽根5a´を階段状に折曲した部材の設計が為されることで、弾性体4a,4b,・・・の弾性体回転子側取り付け材6との止着端点の位置を、図1の一点鎖線Aにて示すような回転子2の回転中心を含んで懸架傾斜設置面S´と平行な面内にて設定することが可能となる。
【0067】
以上、本発明の実施の形態につき、本発明を圧電素子が積層された固定子1と球状の回転子2で構成される多自由度超音波モータαに適用した場合を例に挙げて説明したが、本発明は、必ずしも上述した手段にのみ限定されるものではなく、例えば懸架水平設置面S又は懸架傾斜設置面S´に直接設置可能な振動不伝達構造を有する多自由度超音波モータαへ適用しても構わない。
【0068】
また、本実施形態例において予圧発生手段βa,βa´は、弾性体4を複数備えた場合について例を挙げて説明したが、本発明は、例えば、単に一点鎖線Bを円周として弾性体固定子側取り付け材5と弾性体回転子側取り付け材6間に介張される円筒状の弾性体1つを具備して機能構築しても構わず、後述する効果を有する範囲内において、適宜、変更実施することが可能なものである。
【0069】
【発明の効果】
以上、詳細に説明したように、本発明によれば、多自由度超音波モータの回転子に直接装着されない弾性体による予圧力を発生させることで、予圧発生手段による回転子の可動範囲の縮小を最小限に抑えることが可能となり、多自由度超音波モータの負荷となる重量物に回転子の可動範囲に伴った十分な可動範囲を与えることが可能となる。
【0070】
また、回転子に機械的の固定された重量物が倒傾斜した際に、重量物の倒傾斜により回転子に発生する倒傾斜方向の倒傾力に対して、予圧発生手段が倒傾斜方向とは逆方向の倒傾反力を合わせて発生させて打ち消すことで、倒傾力の作用を最小限にすることが可能となり、回転子から固定子に与えられる力の特性を簡略化して回転子の駆動制御を容易にすることが可能となる。
【0071】
さらに、多自由度超音波モータに適切な予圧が為されることにより、回転子の静止時においても特別な駆動制御を行うことなく高静止トルクを得ることが可能となり、多自由度超音波モータに電力のような外部エネルギーを必要とせずに高い予圧力を適切に与えることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態例に係る装置例の多自由度超音波モータの予圧装置を示す側面断面図である。
【図2】同上した多自由度超音波モータの予圧装置の平面図である。
【図3】同上に示した他装置例の多自由度超音波モータの予圧装置の傾斜設置面上に設置された多自由度超音波モータに適用させた場合の側面断面図である。
【符号の説明】
α…多自由度超音波モータ
β,β´…予圧装置
βa,βa´…予圧発生手段
βb…予圧伝達手段
βb´…凹環部
1…固定子
2…回転子
3…重量物
4,4a,4b…弾性体
5,5a…弾性体固定子側取り付け材
5´,5a´,6″…放射羽根
6…弾性体回転子側取り付け材
6´…中央円筒部
7…回転シャフト
8…ベアリング内輪
9…ベアリング外輪
10…転動体
11…上側ベアリング内輪固定材
11´,12´…中央円筒部
12…下側ベアリング内輪固定材
S…懸架水平設置面
S´…懸架傾斜設置面
Claims (20)
- 懸架固定設置された多自由度超音波モータにおいて、固有振動数が等しく振動方向が異なる固有振動を重層励振する固定子の端面に、前記複数の固有振動によって任意の方向に回転駆動される回転子を押圧するための多自由度超音波モータの予圧方法であって、
重量物を前記回転子と一体化する回転直結手段の回転支承手段外周横面に懸架設置面方向均等に引張弾性力を付勢して当該回転子の当該固定子を圧接する方向に常時作用する一定の予圧力を確保して前記重量物を中立平衡旋回せしめるとともに、
当該重量物が倒傾するとき、前記回転支承手段の前記外周横面に回転力と分離引出した当該重量物の倒傾力に対し、倒傾反力が前記引張弾性力により平衡作用して、前記固定子への前記回転子の前記一定の予圧力を保持することにより、前記重量物の姿勢如何に拘らず当該固定子から当該回転子への動力伝達効率を最適に持続する、
ことを特徴とする多自由度超音波モータの予圧方法。 - 前記回転直結手段は、
軸回転力及び倒傾力を前記重量物に伝達する、
ことを特徴とする請求項1に記載の多自由度超音波モータの予圧方法。 - 前記回転支承手段は、
前記軸回転を空転支承して、前記重量物の倒傾力を前記外周横面に分離引出す、
ことを特徴とする請求項2に記載の多自由度超音波モータの予圧方法。 - 前記外周横面に分離引出された倒傾力は、
所要長に外延伝達され、
当該外延に前記設置面鉛直方向に前記引張弾性力を付勢する、
ことを特徴とする請求項1、2又は3に記載の多自由度超音波モータの予圧方法。 - 前記外延伝達は、
前記外周横面全方位放射状に伝達される、
ことを特徴とする請求項4に記載の多自由度超音波モータの予圧方法。 - 前記引張弾性力は、
前記多自由度超音波モータを等距離で、連続囲繞する円筒体、等間隔で囲繞するコイル発条群及びゴム紐群で代表される弾性体により、前記設置面鉛直方向に付与される、
ことを特徴とする請求項4又は5に記載の多自由度超音波モータの予圧方法。 - 懸架固定設置された多自由度超音波モータにおいて、固有振動数が等しく振動方向が異なる複数の固有振動を重層励振する固定子に、前記固有振動によって任意の方向に回転駆動される回転子を押圧するための多自由度超音波モータの予圧装置であって、
前記回転子が前記固定子から垂直抗力を受けるために、当該回転子の当該固定子を圧接させる方向に作用する予圧力と、当該回転子の回転駆動力を伝達される重量物が倒傾斜したときに、当該重量物から当該回転子に伝達される倒傾力を打ち消す倒傾反力と、を発生する弾性体を用いた予圧発生手段と、
当該回転子の回転駆動により発生する回動力及び倒傾力を当該重量物に伝達するとともに当該重量物の当該倒傾力のみを分離引出して当該予圧発生手段に伝達し、当該予圧発生手段により発生した当該予圧力及び当該倒傾反力を当該回転子に伝達する予圧伝達手段と、を具備する、
ことを特徴とする多自由度超音波モータの予圧装置。 - 前記予圧発生手段は、
前記固定子を懸架固定するとともに、当該固定子及び前記回転子を中心に囲繞する前記弾性体の各一端が止着される弾性体固定子側取り付け材と、
当該弾性体固定子側取り付け材と相対向して、前記回転子の回転駆動により発生する前記重量物の倒傾力が伝達され、当該弾性体の他端が止着される弾性体回転子側取り付け材と、
前記弾性体固定子側取り付け材と当該弾性体回転子側取り付け材とで止着端点間に渡り、相対峙する当該両材相互の接近習性を弾性付勢する引張弾性力を発生させる複数の前記弾性体と、を具備する、
ことを特徴とする請求項7に記載の多自由度超音波モータの予圧装置。 - 前記予圧伝達手段は、
前記回転子及び前記重量物にそれぞれ両端を一体結合し、当該回転子の回転駆動から回転力及び倒傾力を当該重量物に伝達する回転シャフトと、
転動体群を中に挟んで、当該回転シャフトを貫通軸受けするベアリング内輪と、当該回転シャフトの倒傾力のみを前記弾性体回転子側取り付け材に伝達させるベアリング外輪と、で構成される予圧伝達用ベアリングと、を具備する、
ことを特徴とする請求項7又は8に記載の多自由度超音波モータの予圧装置。 - 前記弾性体回転子側取り付け材は、
中央円筒部に前記ベアリング外輪を固定する、
ことを特徴とする請求項9に記載の多自由度超音波モータの予圧装置。 - 前記弾性体は、
前記回転シャフトを中心として平面同心円上、等間隔に囲繞配置され、
それぞれの当該弾性体は、弾性定数を均等とする、
ことを特徴とする請求項9又は10に記載の多自由度超音波モータの予圧装置。 - 前記弾性体は、
前記弾性体回転子側取り付け材と前記弾性体固定子側取り付け材外延相互の対応対向する放射羽根端間に介張させるとともに、
自然長以上に伸長させて保持することにより発生する引張弾性力により、前記回転子を前記固定子に圧接させる方向に予圧力を常時付与させる、
ことを特徴とする請求項9、10又は11に記載の多自由度超音波モータの予圧装置。 - 前記弾性体回転子側取り付け材は、
前記ベアリング外輪に前記中央円筒部内周面を固定されて、回転及び倒傾動する前記回転シャフトから分離引出された倒傾力のみが伝達されるとともに、前記回転子の回転中心を通り、かつ、前記多自由度超音波モータ懸架設置面と平行な面上の、前記放射羽根端に前記弾性体の止着される前記止着端点を備える、
ことを特徴とする請求項9、10、11又は12に記載の多自由度超音波モータの予圧装置。 - 前記予圧伝達手段は、
前記回転シャフトを貫通軸受する前記ベアリング内輪を上下から挟んで中央円筒部端を固定し、前記ベアリング外輪を外周凹環部に収容自在に形成する、
当該ベアリング内輪を前記重量物側から固定する上側ベアリング内輪固定材と、
当該ベアリング内輪を前記回転子側から固定する下側ベアリング内輪固定材と、
を具備する、
ことを特徴とする請求項9、10、11、12又は13に記載の多自由度超音波モータの予圧装置。 - 前記弾性体は、
前記回転シャフトが倒傾斜するに伴いそれぞれ伸長量が異なる状態となったときに、
当該伸長量に応じて発生するそれぞれ異なる大きさの弾性力により、当該回転シャフト及び前記重量物の倒傾斜により発生して前記回転子に一体伝達される前記倒傾力を打ち消して、逆方向に作用する前記倒傾反力を発生自在に設計される、
ことを特徴とする請求項9、10、11、12、13又は14に記載の多自由度超音波モータの予圧装置。 - 前記弾性体は、
前記回転シャフトが倒傾斜したときの当該弾性体それぞれの長さが自然長以上である範囲内において、当該回転シャフトの所要の最大倒傾斜角で発生する前記倒傾力と、前記倒傾反力とが平衡する前記弾性定数を備える、
ことを特徴とする請求項9、10、11、12、13、14又は15に記載の多自由度超音波モータの予圧装置。 - 前記弾性体は、
前記回転シャフトが傾斜したときの倒傾斜角にかかわらず前記予圧力を一定に保ち前記弾性力が伸長量に対して一定となる、定加重弾性体である、
ことを特徴とする請求項9、10、11、12、13、14、15又は16に記載の多自由度超音波モータの予圧装置。 - 前記弾性体は、
前記回転シャフトに倒傾力成分がない中立平衡状態において、
それぞれ等しい自然長の複数の弾性体に、予めそれぞれ同一の伸長量を与えられて複数囲繞配置され、
それぞれ等しい弾性力を発生するよう均等設定される、
ことを特徴とする請求項9、10、11、12、13、14、15、16又は17に記載の多自由度超音波モータの予圧装置。 - 前記弾性体固定子側取り付け材は、
前記予圧装置が傾斜設置面上に懸架設置される場合には、
上側傾斜側に臨む前記放射羽根を階段状に折曲して前記対応対向する弾性体固定子側取り付け材の放射羽根との間距を大きく取り、より長い弾性体を介張自在に形成する、
ことを特徴とする請求項9、10、11、12、13、14、15、16、17又は18に記載の多自由度超音波モータの予圧装置。 - 前記弾性体は、
前記回転子及び前記固定子の予圧に必要とする所要の弾性力に応じて、前記回転シャフトのそれぞれの倒傾斜方向における当該弾性体それぞれの伸長量を個別に設定配置される、
ことを特徴とする請求項19に記載の多自由度超音波モータの予圧装置。
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