JP2004311921A - ヘテロ接合電界効果トランジスタ - Google Patents

ヘテロ接合電界効果トランジスタ Download PDF

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裕二 安藤
Hironobu Miyamoto
広信 宮本
Naotaka Iwata
直高 岩田
Takaharu Matsunaga
高治 松永
Masaaki Kuzuhara
正明 葛原
Takemoto Kasahara
健資 笠原
Kazuaki Kunihiro
和明 国弘
Hiroyuki Takahashi
裕之 高橋
Tatsuo Nakayama
達峰 中山
Nobuyuki Hayama
信幸 羽山
Yasuo Ono
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Abstract

【課題】 ソース抵抗及びドレイン抵抗を低減し、高出力特性及び雑音特性に優れたヘテロ接合電界効果トランジスタを提供する。
【解決手段】 ヘテロ接合電界効果トランジスタは、基板10上に順次に形成された、InxGa1-xN(0≦x≦1)から成るチャネル層12、AlyGa1-yN(0<y≦1)から成る電子供給層13、中間層14、及び、GaNから成るn形キャップ層15を有し、ゲート絶縁層13に接してゲート電極9が、n形キャップ層15に接してソース電極8S及びドレイン電極8Dが夫々形成されており、中間層14が、少なくとも1層のn形不純物層を含んでいる。これにより、電子供給層13とn形キャップ層15との間に発生する分極負電荷を、中間層14のイオン化正電荷によって相殺できるので、電子に対するバリヤを低減し、ソース抵抗及びドレイン抵抗を低減することができる。
【選択図】 図1


Description

本発明は、ヘテロ接合電界効果トランジスタ(Hetero-Junction Field EffectTransistor;HJFETと略する)に関し、特に、高出力、低雑音性能に優れたHJFETに関する。
図20は、従来技術によるHJFETの概略を示す図である。このようなHJFETは、例えば、江川(T.Egawa)らにより、文献1999年インターナショナル・エレクトロン・デバイス・ミーティング・ダイジェスト(1999 IEDM Digest)に報告されている。
図20(a)は、従来技術によるHJFETの断面構造を示す。このHJFETは、サファイア基板200上に順次に積層された、窒化ガリウム(GaN)層から成るバッファ層201、GaNチャネル層202、AlGaN電子供給層203、及び、n形GaNキャップ層205を有している。n形GaNキャップ層205に接してソース電極8Sとドレイン電極8Dとが形成され、オーム性接触がとられている。また、n形GaN層205及びAlGaN電子供給層203の一部を除去して形成したリセス部17には、AlGaN層203に接してゲート電極9が形成され、ショットキー性接触がとられている。
上記のヘテロ構造では、AlGaNの格子定数(a軸)がGaNより短いことに起因するピエゾ分極効果、及び、歪の無い状態でもAlGaNの原子配置が理想的配置からずれることに起因する自発性分極効果に基づいて、分極電荷が発生することが知られている。ここで、従来技術によるHJFETのチャネル層202とキャップ層205との間における電荷分布を図20(b)に示す。Ga面成長では、チャネル側へテロ界面に分極正電荷+σPOLが、キャップ側ヘテロ界面に分極負電荷−σPOLが夫々発生する。このため、チャネル側へテロ界面には2次元電子が誘起されて負電荷−σ2DEGが、キャップ層205内には空乏層が形成されて正電荷+σDONが夫々発生する。
図20(c)は、図20(b)に対応する伝導帯エネルギー分布を示すエネルギーバンド図である。縦軸はエネルギー、横軸は深さを夫々示す。チャネル側へテロ界面には量子井戸が形成されて2次元電子が生成され、また、キャップ側へテロ界面には空乏層が形成されて、電子に対するポテンシャルバリヤが生成される。
江川(T.Egawa)らにより、文献1999年インターナショナル・エレクトロン・デバイス・ミーティング・ダイジェスト(1999 IEDM Digest)
数値計算によると、上記キャップ側へテロ界面に生成されるポテンシャルバリヤの高さは、AlGaN層203のAl組成比yが0.2の時に0.9eV、y=0.4の時には3eVに達することが示される。このポテンシャルバリヤの影響で、電子がキャップ層205とチャネル層202との間を透過する際のトンネル確率が減少する。従って、GaN層205に接触してオーミック電極を形成すると、コンタクト抵抗が増大して、ソース抵抗及びドレイン抵抗を十分に低減することができない。このため、電力利得が低下し、大信号動作時の電力付加効率が低下し、雑音指数が増大するといった問題を生ずることになる。
本発明は、上記に鑑み、ソース抵抗及びドレイン抵抗を低減し、高出力特性及び雑音特性に優れたヘテロ接合電界効果トランジスタを提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明第1の視点のヘテロ接合電界効果トランジスタは、基板上に順次に形成された、InxGa1-xN(0≦x≦1)から成るチャネル層、AlyGa1-yN(0<y≦1)から成る電子供給層、中間層、及び、GaNから成るn形キャップ層を有し、前記電子供給層に接してゲート電極が、前記n形キャップ層に接してソース電極及びドレイン電極が夫々形成されたヘテロ接合電界効果トランジスタであって、前記中間層が、1層のn形不純物層、又は、少なくとも1層のn形不純物層を含む積層膜として形成されることを特徴とする。
本発明における「電子供給層」には、不純物をドーピングした層と共に、ドーピングしない層も含まれる。
アンバシャー(Ambacher)等による文献ジャーナル・オブ・アプライド・フィジクス(J.Appl.Phys.)、第85巻、第6号、第3222頁によれば、GaNチャネル層、AlyGa1-yN電子供給層、GaNキャップ層を順次に形成した場合、ピエゾ分極効果と自発性分極効果とに基づいて発生する分極電荷の面密度σPOLは、次式(1)で表される。
σPOL/q[cm-2]=1.16×1013×y2+5.24×1013×y (1)
ここで、qは素電荷(=1.60219×10-19C)である。Ga面成長の場合、チャネル側ヘテロ界面には、分極正電荷+σPOLが発生して2次元電子が誘起される。キャップ側ヘテロ界面には、分極負電荷−σPOLが発生して空乏層バリヤが形成される。
そこで、GaNキャップ層とAlyGa1-yN電子供給層との間に中間層を形成し、この中間層の少なくとも一部にn形不純物をドーピングして正電荷を供給する。これにより、上側へテロ界面の分極負電荷−σPOLを相殺することができ、電子に対する空乏バリヤを低減することができる。
ここで、イオン化不純物による面電荷密度σDONをσPOLと等しくすれば、分極負電荷−σPOLを完全に相殺することができる。σDONをσPOLの1/3倍以上とすることによっても一応の効果を得ることができる。上記式(1)より、この条件は次式
σDON/q[cm-2]> 3.9×1012×y2+1.7×1013×y (2)
のようになる。より好ましくは、σDONをσPOLの1/2倍以上とする。つまり、次式
σDON/q[cm-2]> 5.8×1012×y2+2.6×1013×y (3)
のように設定する。また、n形キャップ層をGaNより電子親和力の大きいInGaNによって形成すると、オーミック電極金属とInGaN間の電子に対するポテンシャルバリヤを低く、コンタクト抵抗を低くすることができ、更なる低抵抗化を図ることができる。
このように、本発明第1の視点のヘテロ接合電界効果トランジスタによると、n形キャップ層と電子供給層との界面における分極負電荷を相殺し、n形キャップ層とチャネル層との間における伝導帯バリヤ(電子に対するポテンシャルバリヤ)を低下させ、電子がn形キャップ層とチャネル層との間を透過する際のトンネル確率を高めることができる。
ここで、本発明の好ましいヘテロ接合電界効果トランジスタによると、前記中間層のn形不純物層に含まれるn形不純物の面密度Nsが、Ns[cm-2] > 3.9×1012×y2+1.7×1013×y(yはAlの組成比)を満たす。この場合、n形キャップ層とチャネル層間のコンタクト抵抗を10-5Ωcm2台まで低減することができる。
また、前記中間層のn形不純物層がn形AlzGa1-zN(z=y)層から成ることも好ましい態様である。この場合、n形キャップ層とチャネル層間のコンタクト抵抗を10-5Ωcm2台まで低減することができる。
或いは、上記に代えて、前記中間層を、第1のn形不純物層、AlzGa1-zN(0<z<y)層、及び第2のn形不純物層をこの順に有する積層構造とすることも好ましい態様である。この場合、n形キャップ層とチャネル層間のコンタクト抵抗を10-6Ωcm2台まで低減することができる。
或いは、上記に代えて、前記中間層のn形不純物層をn形AlzGa1-zN(0<z<y)層で構成することも好ましい態様である。この場合、n形キャップ層とチャネル層間のコンタクト抵抗を10-6Ωcm2台まで低減することができる。
前記中間層における組成比zが、前記電子供給層から前記n形キャップ層に向かうにつれてyから0に向かって徐々に減少することが好ましい。この場合、電子供給層とn形キャップ層との間で伝導帯が滑らかに繋がり、n形キャップ層とチャネル層とのコンタクト抵抗を10-7Ωcm2台以下まで低減することができる。
或いは、上記に代えて、前記中間層における組成比zが、前記電子供給層から前記n形キャップ層に向かうにつれてyから0に向かって段階的に変化することも好ましい態様である。この場合、電子供給層とn形キャップ層との間で伝導帯が鋸歯状に繋がり、n形キャップ層とチャネル層とのコンタクト抵抗を10-7Ωcm2台以下まで低減することができる。
また、前記中間層は、膜厚t1のAlz1Ga1-z1N層(0<z1≦1)と膜厚t2のGaN層とが交互に積層された超格子構造を有し、組成比z1と膜厚比t1/(t1+t2)との積が、前記電子供給層から前記n形キャップ層に向かうにつれてyから0に向かって減少することも好ましい態様である。この場合、n形キャップ層とチャネル層間のコンタクト抵抗率を10-7Ωcm2台以下まで低減することができる。
更に、前記中間層は、膜厚t1のAlz1Ga1-z1N層(0<z1≦1)と膜厚t2のGaN層とが交互に積層された超格子構造を有し、組成比z1が一定値で、膜厚比t1/(t1+t2)が前記電子供給層から前記n形キャップ層に向かうにつれてy/z1から0に向かって減少することが好ましい。この場合、n形キャップ層とチャネル層間のコンタクト抵抗率を10-7Ωcm2台以下まで低減することができる。また、結晶成長では、通常、膜厚の制御は組成の制御よりも高精度にできるので、組成比を徐々に変化させる場合よりも、結晶成長が容易になる。
更に、前記中間層は、膜厚t1のAlz1Ga1-z1N層(0<z1≦1)と膜厚t2のGaN層とが交互に積層された超格子構造を有し、膜厚比t1/(t1+t2)が一定値Γであり、組成比z1が、前記電子供給層から前記n形キャップ層に向かうにつれてy/Γから0に向かって減少することが好ましい。この場合、n形キャップ層とチャネル層間のコンタクト抵抗率を10-7Ωcm2台以下まで低減することができる。
更に、本発明第2の視点のヘテロ接合電界効果トランジスタは、基板上に順次に形成された、InxGa1-xN(0≦x≦1)から成るチャネル層、AlyGa1-yN(0<y≦1)から成る電子供給層、中間層、及び、InuGa1-uN(0<u≦1)から成るn形キャップ層を有し、前記電子供給層に接してゲート電極が、前記n形キャップ層に接してソース電極及びドレイン電極が夫々形成されたヘテロ接合電界効果トランジスタであって、前記中間層が、1層のn形不純物層、又は、少なくとも1層のn形不純物層を含む積層膜として形成されることを特徴とする。
本発明第2の視点のヘテロ接合電界効果トランジスタによっても、前述した第2の視点のヘテロ接合電界効果トランジスタと同様の効果を得ることができる。更に、n形キャップ層をGaNよりも電子親和力の大きいInGaNで形成することにより、オーミック電極金属とInGaNとの間における電子に対するポテンシャルバリヤを低くし、オーミック電極とn形キャップ層間のコンタクト抵抗を低くできるので、更なる低抵抗化を図ることができる。これにより、ソース抵抗及びドレイン抵抗を低減し、電力性能及び雑音性能に大きく貢献することができる。
ここで、前記中間層に含まれるn形不純物の面密度Nsが、 Ns[cm-2] > 3.9×1012×y2+1.7×1013×y(yはAlの組成比)を満たすことが好ましい。この場合、n形キャップ層とチャネル層間のコンタクト抵抗率を10-5Ωcm2台まで低減することができる。
また、前記中間層が、順次に形成された、第1のn形不純物層、Inz2Alz1Ga1-z1-z2N(0≦z1+z2≦1)、及び第2のn形不純物層から成ることも好ましい態様である。この場合、n形キャップ層とチャネル層間のコンタクト抵抗率を10-6Ωcm2台まで低減することができる。
或いは、上記に代えて、前記中間層がn形Inz2Alz1Ga1-z1-z2N(0≦z1+z2≦1)から成ることも好ましい態様である。この場合、n形キャップ層とチャネル層間のコンタクト抵抗率を10-6Ωcm2台まで低減することができる。
更に、前記中間層における組成比z1と組成比z2との差(z1−z2)が、前記電子供給層から前記n形キャップ層に向かうにつれてyから−u(uはInの組成比)に向かって変化することが好ましい。この場合、n形キャップ層とチャネル層間のコンタクト抵抗率を10-7Ωcm2台以下まで低減することができる。
更に、前記電子供給層から前記n形キャップ層に向かうにつれて、組成比z1がyから0に向かって、組成比z2が0からu(uはInの組成比)に向かって夫々変化することが好ましい。この場合、n形キャップ層とチャネル層間のコンタクト抵抗率を10-7Ωcm2台以下まで低減することができる。
また、前記中間層は、順次に積層されたAlz1Ga1-z1N層(0≦z1≦y)とInz2Ga1-z2N層(0≦z2≦u)とを有し、組成比z1が、前記電子供給層から前記Inz2Ga1-z2N層に向かうにつれてyから0に向かって変化し、且つ、組成比z2が、前記Alz1Ga1-z1N層から前記n形キャップ層に向かうにつれて0からuに向かって変化することも好ましい態様である。この場合、n形キャップ層とチャネル層間のコンタクト抵抗率を10-7Ωcm2台まで低減できるという効果が得られる。また、Alz1Ga1-z1NとInz2Ga1-z2Nの何れも三元混晶のため、四元混晶であるInz2Alz1Ga1-z1-z2Nを用いる場合よりも組成比の制御が簡単で、結晶成長が容易になる。
以上説明したように、本発明のヘテロ接合電界効果トランジスタによると、ソース抵抗及びドレイン抵抗を低減し、高出力特性及び雑音特性に優れた構造を得ることができる。
以下、図面を参照し、本発明の実施形態例に基づいて本発明を更に詳細に説明する。
(第1の実施形態例)図1は、本実施形態例に係るHJFETの概略を示す図であり、(a)はHJFETの断面構造を示す。このHJFETは、サファイア基板10上に順次に積層された、アンドープ・窒化アルミニウム(AlN)バッファ層11、アンドープGaNチャネル層12、n形AlGaN電子供給層13、Si単原子層14、及び、n形GaNキャップ層15を有している。
ここで、Si単原子層14は中間層を構成する。GaNチャネル層12のAlGaN電子供給層13との界面近傍には2次元電子ガスが生成される。n形GaNキャップ層15に接してソース電極8S、ドレイン電極8Dが夫々形成され、オーム性接触がとられている。また、半導体層15、14、13の一部を除去して形成されたリセス部17には、n形AlGaN電子供給層13に接してゲート電極9が形成され、ショットキー性接触がとられている。
本実施形態例に係るHJFETでは、ゲート電極9に負電圧が印加された状態でゲート電極9側からn形AlGaN電子供給層13内に生じる空乏層によってソース電極8S及びドレイン電極8Dを相互に絶縁し、ゲート電極9に正電圧が印加された状態で空乏層の広がりを抑えソース電極8S、ドレイン電極8D間の電流を制御する。この動作は、後述の第2実施形態例以降のHJFETでも同様である。
上記構成のHJFETは以下のように作製する。まず、(100)サファイア基板10上に、例えば分子線エピタキシャル(Molecular Beam Epitaxy:MBE)成長法により、下記〔1〕〜〔5〕の手順で、夫々に示す膜厚で順次に成長する。
〔1〕アンドープAlN層バッファ11…20nm
〔2〕アンドープGaNチャネル層12…2μm
〔3〕n形Al0.2Ga0.8N層(n形不純物濃度2×1018/cm3)13…40nm
〔4〕Si単原子層(n形不純物の面密度1.1×1013/cm2)14
〔5〕n形GaN層(n形不純物濃度5×1018/cm3)15…50nm
ここで、AlGaNとGaNとは格子定数が異なるが、Al0.2Ga0.8N層13の膜厚40nmは転位発生の臨界膜厚以下である。
次いで、エピタキシャル層構造の一部をGaNチャネル層12が露出するまでエッチング除去することにより、素子間分離メサを形成する。更に、n形GaN層15上に、例えばTi/Alなどの金属を蒸着、アロイ処理することにより、ソース電極8S及びドレイン電極8Dを夫々形成し、オーム性接触をとる。
最後に、半導体層15、14、13の一部をエッチング除去することによって露出したAlGaN層上に、例えばNi/Auなどの金属を蒸着することでゲート電極9を形成し、ショットキー接触をとる。このようにして、図1のようなHJFETを作製する。
このようなHJFETのキャップ層15とチャネル層12との間における電荷分布を図1(b)に示す。本実施形態例では、ピエゾ分極効果と自発性分極効果とに基づき、チャネル側へテロ界面に正電荷+σPOLが、キャップ側ヘテロ界面に負電荷−σPOLが夫々発生する。Si単原子層14ではSiのイオン化による正電荷+σDONが、チャネル側へテロ界面では2次元電子ガスによる負電荷−σ2DEGが夫々発生する。
図1(c)は、図1(b)に対応する伝導帯エネルギー分布を示すエネルギーバンド図である。縦軸はエネルギー、横軸は深さを夫々示す。横軸に記載した数字12〜15は各層の符号に対応する。AlGaN層13のAl組成比yが0.2である本実施形態例では、前述した式 σPOL/q[cm-2]=1.16×1013×y2+5.24×1013×y (1)より、σPOL/q=1.1×1013/cm2である。一方、σDON/q=1.1×1013/cm2であるので、キャップ側へテロ界面では、分極負電荷−σPOLがイオン化正電荷+σDONにより相殺される。
このため、キャップ側ヘテロ界面に2次元電子ガスが生成されて、量子井戸が形成される。数値計算によると、この時のキャップ側へテロ界面の電子に対するポテンシャルバリヤ高さは0.3eVと見積もられた。Si単原子層14が無い場合(0.9eV)に比べて、電子に対するポテンシャルバリヤが低下し、電子がキャップ層15とチャネル層12との間を透過する際のトンネル確率が増加する。これにより、キャップ層15とチャネル層12との間のコンタクト抵抗が低減されて、ソース抵抗及びドレイン抵抗が低減される。
(第2実施形態例)図2は、本実施形態例に係るHJFETの概略を示す図であり、(a)〜(c)が夫々表す対象は図1と同様である。このHJFETは、炭化珪素(SiC)基板20上に順次に積層された、アンドープGaNバッファ層21、n形GaNチャネル層(n形不純物濃度5×1017/cm3、膜厚30nm)22、アンドープAl0.2Ga0.8N電子供給層(膜厚30nm)23、n形Al0.2Ga0.8N層(n形不純物濃度1.1×1019/cm3、膜厚10nm)24、及び、n形GaNキャップ層(n形不純物濃度5×1018/cm3、膜厚50nm)25を有する。
ここで、n形Al0.2Ga0.8N層24は中間層を構成する。AlGaNとGaNとは格子定数が異なるが、Al0.2Ga0.8N層(23、24)の膜厚和40nmは転位発生の臨界膜厚以下である。GaNチャネル層22のAlGaN電子供給層23との界面近傍には、2次元電子ガスが生成される。n形GaNキャップ層25に接してソース電極8S、ドレイン電極8Dが夫々形成され、オーム性接触がとられている。また、半導体層25、24、23の一部を除去して形成したリセス部17には、AlGaN電子供給層23に接してゲート電極9が形成され、ショットキー性接触がとられている。
このようなHJFETは、(100)SiC基板20上に、例えば有機金属気相エピタキシ(Metal-Organic Vapor Phase Epitaxy:MOVPE)成長法により、以上のエピタキシャル層構造を成長した後に、第1実施形態例と同様の作製プロセスを用いることによって作製される。
図2(b)に示すように、本実施形態例では、ピエゾ分極効果と自発性分極効果とに基づき、チャネル側へテロ界面に正電荷+σPOLが、キャップ側ヘテロ界面に負電荷−σPOLが夫々発生する。Al0.2Ga0.8N層24内にはn形不純物のイオン化による正電荷+σDONが、チャネル側へテロ界面には2次元電子ガスによる負電荷−σ2DEGが夫々発生する。
ここで、図2(c)を参照する。AlGaN層23のAl組成比yが0.2である本実施形態例では、式(1)より、σPOL/q=1.1×1013/cm2である。一方、σDON/q=1.1×1019/cm3×10nm=1.1×1013/cm2であるので、キャップ側へテロ界面近傍では、分極負電荷−σPOLがイオン化正電荷+σDONにより相殺される。これにより、空乏層がAl0.2Ga0.8N層24の膜厚10nm以下まで薄くなり、電子がキャップ層25とチャネル層22との間を透過する際のトンネル確率が増加して、第1実施形態例と同様の効果が得られる。
(第3実施形態例)図3は、本実施形態例に係るHJFETの概略を示す図であり、(a)〜(c)が夫々表す対象は図1と同様である。このHJFETは、サファイア基板30上に順次に積層された、アンドープAlNバッファ層31、アンドープGaNチャネル層32、n形Al0.2Ga0.8N電子供給層(n形不純物濃度2×1018/cm3、膜厚30nm)33、Si単原子層(n形不純物の面密度5.5×1012/cm2)34a、アンドープAl0.1Ga0.9N層(膜厚5nm)34b、Si単原子層(n形不純物の面密度5.5×1012/cm2)34c、及び、n形GaNキャップ層(n形不純物濃度5×1018/cm3、膜厚50nm)35を有する。
ここで、Si単原子層34a、アンドープAl0.1Ga0.9N層34b、及びSi単原子層34cによって中間層が構成される。AlGaNとGaNとは格子定数が異なるが、AlGaN層(33、34b)の膜厚和35nmは転位発生の臨界膜厚以下である。GaNチャネル層32のAlGaN層33との界面近傍には2次元電子ガスが生成される。n形GaNキャップ層35に接してソース電極8S、ドレイン電極8Dが夫々形成され、オーム性接触がとられている。また、半導体層35、34c、34b、34a、33の一部を除去したリセス部17には、AlGaN層33に接してゲート電極9が形成され、ショットキー性接触がとられている。
このようなHJFETは、(100)サファイア基板30上に、例えばMBE成長法により、以上のエピタキシャル層構造を成長した後に、第1実施形態例と同様の作製プロセスで作製される。
図3(b)に示すように、ピエゾ分極効果と自発性分極効果とに基づき、Al0.2Ga0.8N電子供給層33とGaNチャネル層32との界面に正電荷+σPOLが、Al0.1Ga0.9N層34bとAl0.2Ga0.8N電子供給層33との間に負電荷(〜−σPOL/2)が、GaN層35とAl0.1Ga0.9N層34bとの間に負電荷(〜−σPOL/2)が夫々発生する。Si単原子層34a、34cではSiのイオン化による正電荷+σDONが夫々に発生し、チャネル側へテロ界面では2次元電子ガスによる負電荷−σ2DEGが発生する。
ここで、図3(c)を参照する。AlGaN層13のAl組成比yが0.2である本実施形態例では、式(1)より、σPOL/q=1.1×1013/cm2である。一方、σDON/q=+5.5×1012/cm2であるので、キャップ側の各へテロ界面では、分極負電荷−σPOL/2がイオン化正電荷+σDONにより相殺される。このため、キャップ側の各ヘテロ界面に2次元電子ガスが生成されて、量子井戸が形成される。数値計算によると、この時のキャップ側へテロ界面の電子に対するポテンシャルバリヤ高さは0.1eVと見積もられる。電子に対するポテンシャルバリヤが低下して、電子がキャップ層35とチャネル層32との間を透過する際のトンネル確率が増加する。これにより、キャップ層35とチャネル層32との間のコンタクト抵抗が低減され、ソース抵抗及びドレイン抵抗が低減される。
(第4実施形態例)図4は、本実施形態例に係るHJFETの概略を示す図であり、(a)〜(c)が夫々表す対象は図1と同様である。このHJFETは、SiC基板40上に順次に積層された、アンドープGaNバッファ層41、n形GaNチャネル層(n形不純物濃度5×1017/cm3、膜厚30nm)42、アンドープAl0.2Ga0.8N電子供給層(膜厚35nm)43、n形Al0.1Ga0.9N層(n形不純物濃度2×1019/cm3、膜厚5.5nm)44、及び、n形GaNキャップ層(n形不純物濃度5×1018/cm3、膜厚50nm)45を有する。
ここで、n形Al0.1Ga0.9N層44は中間層を構成する。AlGaNとGaNとは格子定数が異なるが、AlGaN層(43、44)の膜厚和40.5nmは転位発生の臨界膜厚以下である。GaNチャネル層42のAlGaN電子供給層43との界面近傍には2次元電子ガスが生成される。n形GaNキャップ層45に接してソース電極8S、ドレイン電極8Dが夫々形成され、オーム性接触がとられている。また、半導体層45、44、43の一部を除去したリセス部17には、AlGaN電子供給層43に接してゲート電極9が形成されて、ショットキー性接触がとられている。
このようなHJFETは、(100)SiC基板40上に、例えばMOVPE成長法により、以上のエピタキシャル層構造を成長した後に、第1実施形態例と同様の作製プロセスで作製される。
図4(b)に示すように、本実施形態例では、ピエゾ分極効果と自発性分極効果とに基づき、Al0.2Ga0.8N電子供給層43とGaNチャネル層42との界面に正電荷+σPOLが、Al0.1Ga0.9N層44とAl0.2Ga0.8N電子供給層43との界面に負電荷(〜−σPOL/2)が、GaN層45とAl0.1Ga0.9N層44との界面に負電荷(〜−σPOL/2)が夫々発生する。Al0.1Ga0.9N層44内には、n形不純物のイオン化による正電荷+σDONが発生し、チャネル側へテロ界面には2次元電子ガスによる負電荷−σ2DEGが発生する。
ここで、図4(c)を参照する。キャップ側各へテロ界面に発生する分極負電荷の和は−σPOLとなる。AlGaN電子供給層43のAl組成比yが0.2である本実施形態例では、式(1)より、σPOL/q=1.1×1013/cm2である。一方、σDON/q=2×1019/cm3×5.5nm =1.1×1013/cm2であるので、キャップ側へテロ界面では、分極負電荷の和−σPOLがイオン化正電荷+σDONにより相殺される。空乏層がAl0.1Ga0.9N層44の膜厚5.5nm以下まで薄くなり、電子がキャップ層45とチャネル層42との間を透過する際のトンネル確率が増加する。このため、キャップ層45とチャネル層42との間のコンタクト抵抗が低減されて、ソース抵抗及びドレイン抵抗が低減される。
(第5実施形態例)図5は、本実施形態例に係るHJFETの概略を示す図であり、(a)〜(c)が夫々表す対象は図1と同様である。このHJFETは、サファイア基板50上に順次に積層された、アンドープAlNバッファ層51、アンドープGaNチャネル層52、n形Al0.2Ga0.8N電子供給層(n形不純物濃度2×1018/cm3、膜厚20nm)53、n形AlzGa1-zNグレーディッド組成層(Al組成比z:0.2→0、n形不純物濃度:5.5×1018/cm3、膜厚:22nm)54、及び、n形GaNキャップ層(n形不純物濃度5×1018/cm3、膜厚50nm)55を有する。
ここで、n形AlGaNグレーディッド組成層54は中間層を構成する。AlGaNとGaNとは格子定数が異なるが、AlGaN層(53、54)の膜厚和42nmは転位発生の臨界膜厚以下である。GaNチャネル層52のAlGaN電子供給層53との界面近傍には2次元電子ガスが生成される。n形GaNキャップ層55に接してソース電極8S、ドレイン電極8Dが夫々形成され、オーム性接触がとられている。また、半導体層55、54、53の一部を除去したリセス部17には、AlGaN電子供給層53に接してゲート電極9が形成されて、ショットキー性接触がとられている。
このようなHJFETは、(100)サファイア基板50上に、例えばMBE成長法により、以上のエピタキシャル層構造を成長した後に、第1実施形態例と同様の作製プロセスで作製される。
図5(b)に示すように、本実施形態例では、ピエゾ分極効果と自発性分極効果とに基づき、Al0.2Ga0.8N電子供給層53とGaNチャネル層52との界面に正電荷+σPOLが発生する。AlGaNグレーディッド組成層54内には、負電荷−σPOLが分布して発生する。AlGaNグレーディッド組成層54内には、n形不純物のイオン化に起よる正電荷+σDONが分布して発生し、チャネル側へテロ界面には2次元電子ガスによる負電荷−σ2DEGが発生する。
ここで、図5(c)を参照する。AlGaN電子供給層53のAl組成比yが0.2である本実施形態例では、式(1)より、σPOL/q=1.1×1013/cm2である。一方、σDON/q=5.5×1018/cm3×22nm =1.1×1013/cm2であるので、AlGaNグレーディッド組成層54内では、分極負電荷−σPOLがイオン化正電荷+σDONにより相殺される。また、バンドギャップがAl0.2Ga0.8N層53からGaNキャップ層55に向かって緩やかに変化するため、Al0.2Ga0.8N電子供給層53とGaNキャップ層55との間で伝導帯が滑らかに繋がる。このため、電子に対するバリヤが消失して、電子がキャップ層55とチャネル層52との間を透過する際のトンネル確率が1に近付くことにより、キャップ層55とチャネル層52との間のコンタクト抵抗が低減され、ソース抵抗及びドレイン抵抗が低減される。
(第6実施形態例)図6は、本実施形態例に係るHJFETの概略を示す図であり、(a)〜(c)が夫々表す対象は図1と同様である。このHJFETは、SiC基板60上に順次に積層された、アンドープGaNバッファ層61、n形GaNチャネル層(n形不純物濃度5×1017/cm3、膜厚30nm)62、アンドープAl0.2Ga0.8N電子供給層(膜厚20nm)63、n形AlzGa1-zN階段状組成層(n形不純物濃度7×1018/cm3、16nm)64、及び、n形GaNキャップ層(n形不純物濃度5×1018/cm3、膜厚50nm)65を有する。
ここで、n形AlGaN階段状組成層64は中間層を形成する。AlGaNとGaNとは格子定数が異なるが、AlGaN層(63、64)の膜厚和36nmは転位発生の臨界膜厚以下である。GaNチャネル層62のAlGaN電子供給層63との界面近傍には2次元電子ガスが生成される。n形GaNキャップ層65に接してソース電極8S、ドレイン電極8Dが夫々形成され、オーム性接触がとられている。また、半導体層65、64、63の一部を除去したリセス部17には、AlGaN層63に接してゲート電極9が形成され、ショットキー性接触がとられている。
図6(b)に示すように、n形AlGaN層64は、Al0.16Ga0.84N層(n形不純物濃度7×1018/cm3、4nm)64a、Al0.12Ga0.88N層(n形不純物濃度7×1018/cm3、4nm)64b、Al0.08Ga0.92N層(n形不純物濃度7×1018/cm3、4nm)64c、及び、Al0.04Ga0.96N層(n形不純物濃度7×1018/cm3、4nm)64dをこの順に積層した構造を有する。
このようなHJFETは、(100)SiC基板60上に、例えばMOVPE成長法により、以上のエピタキシャル層構造を成長した後に、第1実施形態例と同様の作製プロセスで作製される。
ここで、図6(c)を参照する。本実施形態例におけるAlGaN階段状組成層64のシート不純物濃度は、7×1018/cm3×16nm=1.1×1013/cm2であり、第5実施形態例におけるAlGaNグレーディッド組成層54と同等である。このため、AlGaN階段状組成層64は、第5実施形態例のAlGaNグレーディッド組成層54と同様に、AlGaN階段状組成層64内の分極負電荷をイオン化正電荷により相殺するという効果を奏する。
また、バンドギャップがAl0.2Ga0.8N電子供給層63からGaNキャップ層65に向かって階段状(段階的)に変化するため、Al0.2Ga0.8N電子供給層63とGaNキャップ層65との間で伝導帯は鋸歯状になる。電子に対するバリヤが消失し、電子がキャップ層65とチャネル層62との間を透過する際のトンネル確率が1に近付く。このため、キャップ層65とチャネル層62との間のコンタクト抵抗が低減され、ソース抵抗及びドレイン抵抗が低減される。
(第7実施形態例)本実施形態例は、第6実施形態例におけるn形AlGaN階段状組成層64を、n形Al0.2Ga0.8N/GaNグレーディッド超格子層74(n形不純物濃度5.5×1018/cm3、膜厚20nm)に置き換えた点以外は、第6実施形態例と同様である。AlGaNとGaNとは格子定数が異なるが、AlGaN電子供給層63と超格子層74との膜厚和40nmは、転位発生の臨界膜厚以下である
図7は、本実施形態例におけるキャップ層65と電子供給層63との間におけるAl組成分布を示す図である。n形グレーディッド超格子74は、GaN層(n形不純物濃度5.5×1018/cm3、膜厚1nm)74a、Al0.2Ga0.8N層(n形不純物濃度5.5×1018/cm3、膜厚4nm)74b、GaN層(n形不純物濃度5.5×1018/cm3、膜厚2nm)74c、Al0.2Ga0.8N層(n形不純物濃度5.5×1018/cm3、膜厚3nm)74d、GaN層(n形不純物濃度5.5×1018/cm3、膜厚3nm)74e、Al0.2Ga0.8N層(n形不純物濃度5.5×1018/cm3、膜厚2nm)74f、GaN層(n形不純物濃度5.5×1018/cm3、膜厚4nm)74g、及び、Al0.2Ga0.8N層(n形不純物濃度5.5×1018/cm3、膜厚1nm)74hをこの順に積層した構造を有する。
本実施形態例では、グレーディッド超格子層74(中間層)は、膜厚t1のAlz1Ga1-z1N層(0<z1≦1)と、膜厚t2のGaN層とが交互に積層された超格子構造を有しており、組成比z1が一定値(0.2)で、膜厚比t1/(t1+t2)が、電子供給層63からキャップ層65に向かうにつれてy/z1(=0.2/0.2=1)から0に向かって減少する。ここで、y(0<y≦1)は電子供給層63のAl組成比である。その結果、組成比z1と膜厚比t1/(t1+t2)との積が、電子供給層63からキャップ層65に向かうにつれて、Al組成比y(=0.2)から0に向かって減少する。
また、グレーディッド超格子層74のシート不純物濃度は、GaN層74a〜Al0.2Ga0.8N層74hの膜厚の総和が20nmなので、5.5×1018/cm3×20nm=1.1×1013/cm2であり、第6実施形態例におけるn形AlGaN階段状組成層64と同等である。このため、グレーディッド超格子層74は、電子に対するバリヤが消失し、電子がキャップ層65とチャネル層62との間を透過する際のトンネル確率が1に近付くという、n形AlGaN階段状組成層64と同様の効果を奏する。これにより、キャップ層65とチャネル層62との間のコンタクト抵抗が低減され、ソース抵抗及びドレイン抵抗が低減される。
(第8実施形態例)本実施形態例は、第6実施形態例におけるn形AlGaN階段状組成層64を、n形AlN/GaNグレーディッド超格子84(n形不純物濃度3.4×1018/cm3、膜厚32nm)に置き換えた点以外は第6実施形態例と同様である。AlGaNとGaNとは格子定数が異なるが、AlGaN層63と超格子層84との膜厚和52nmは転位発生の臨界膜厚以下である。
図8は、本実施形態例におけるキャップ層65と電子供給層63との間におけるAl組成分布を示す図である。n形グレーディッド超格子84は、GaN層(n形不純物濃度3.4×1018/cm3、膜厚6.4nm)84a、AlN層(n形不純物濃度3.4×1018/cm3、膜厚1.6nm)84b、GaN層(n形不純物濃度3.4×1018/cm3、膜厚6.8nm)84c、AlN層(n形不純物濃度3.4×1018/cm3、膜厚1.2nm)84d、GaN層(n形不純物濃度3.4×1018/cm3、膜厚7.2nm)84e、AlN層(n形不純物濃度3.4×1018/cm3、膜厚0.8nm)84f、GaN層(n形不純物濃度3.4×1018/cm3、膜厚7.6nm)84g、及び、AlN層(n形不純物濃度3.4×1018/cm3、膜厚0.4nm)84hをこの順に積層した構造を有する。
本実施形態例では、n形AlN/GaNグレーディッド超格子84(中間層)は、膜厚t1のAlz1Ga1-z1N層(0<z1≦1)と、膜厚t2のGaN層とが交互に積層された超格子構造を有しており、組成比z1が一定値(1)で、膜厚比t1/(t1+t2)が、電子供給層63からキャップ層65に向かうにつれてy/z1(=0.2/1=0.2)から0に向かって減少する。ここで、y(0<y≦1)は電子供給層63のAl組成比である。その結果、組成比z1と膜厚比t1/(t1+t2)との積が、電子供給層63からキャップ層65に向かうにつれて、Al組成比y(=0.2)から0に向かって減少する。
また、グレーディッド超格子層84のシート不純物濃度は、GaN層84a〜AlN層84hの膜厚の総和が32nmなので、3.4×1018/cm3×32nm=1.1×1013/cm2であり、第6実施形態例における階段状組成のn形AlGaN層64と同等である。このため、グレーディッド超格子層84は、第7実施形態例と同様の効果を奏する。
(第9実施形態例)本実施形態例は、第6実施形態例における階段状組成のn形AlGaN層64を、n形Alz1Ga1-z1N/GaNグレーディッド超格子94(n形不純物濃度5.5×1018/cm3、膜厚20nm)に置き換えた点以外は第6実施形態例と同様である。AlGaNとGaNとは格子定数が異なるが、AlGaN層63と超格子層94との膜厚和40nmは転位発生の臨界膜厚以下である。
図9は、本実施形態例におけるキャップ層65と電子供給層63との間におけるAl組成分布を示す図である。n形グレーディッド超格子94は、GaN層(n形不純物濃度5.5×1018/cm3、膜厚3.2nm)94a、AlN層(n形不純物濃度5.5×1018/cm3、膜厚0.8nm)94b、GaN層(n形不純物濃度5.5×1018/cm3、膜厚3.2nm)94c、Al0.8Ga0.2N層(n形不純物濃度5.5×1018/cm3、膜厚0.8nm)94d、GaN層(n形不純物濃度5.5×1018/cm3、膜厚3.2nm)94e、Al0.6Ga0.4N層(n形不純物濃度5.5×1018/cm3、膜厚0.8nm)94f、GaN層(n形不純物濃度5.5×1018/cm3、膜厚3.2nm)94g、Al0.4Ga0.6N層(n形不純物濃度5.5×1018/cm3、膜厚0.8nm)94h、GaN層(n形不純物濃度5.5×1018/cm3、膜厚3.2nm)94i、及び、Al0.2Ga0.8N層(n形不純物濃度5.5×1018/cm3、膜厚0.8nm)94jをこの順に積層した構造を有する。
本実施形態例では、n形Alz1Ga1-z1N/GaNグレーディッド超格子94(中間層)は、膜厚t1のAlz1Ga1-z1N層(0<z1≦1)と、膜厚t2のGaN層とが交互に積層された超格子構造を有しており、膜厚比t1/(t1+t2)が一定値Γ(=0.2)であり、組成比z1が、電子供給層63からキャップ層65に向かうにつれてy/Γ(=0.2/0.2=1)から0に向かって減少する。ここで、y(0<y≦1)は電子供給層63のAl組成比である。その結果、組成比z1と膜厚比t1/(t1+t2)との積が、電子供給層63からキャップ層65に向かうにつれて、Al組成比y(=0.2)から0に向かって減少する。
また、グレーディッド超格子層94のシート不純物濃度は、GaN層94a〜Al0.2Ga0.8N層94jの膜厚の総和が20nmなので、5.5×1018/cm3×20nm=1.1×1013/cm2であり、第6実施形態例における階段状組成のn形AlGaN層64と同等である。このため、グレーディッド超格子層94は、第7実施形態例と同様の効果を奏する。
(第10実施形態例)図10は、本実施形態例に係るHJFETの概略を示す図であり、(a)はHJFETの断面構造を示す。このHJFETは、サファイア基板100上に順次に積層された、アンドープAlNバッファ層101、アンドープGaNチャネル層102、n形Al0.4Ga0.6N電子供給層(n形不純物濃度4×1018/cm3、膜厚20nm)103、Si単原子層(n形不純物の面密度2.2×1013/cm2)104a、アンドープGaN層(10nm)104b、Si単原子層(n形不純物の面密度2.2×1013/cm2)104c、及び、n形In0.4Ga0.6Nキャップ層(n形不純物濃度5×1019/cm3、膜厚10nm)105を有する。
ここで、Si単原子層104a、GaN層104b、及びSi単原子層104cは中間層を構成する。AlGaNとGaNとは格子定数が異なるが、Al0.4Ga0.6N電子供給層103の膜厚20nmは転位発生の臨界膜厚以下である。また、InGaNとGaNも格子定数が異なるが、In0.4Ga0.6Nキャップ層105の膜厚10nmも転位発生の臨界膜厚以下である。GaNチャネル層102のAlGaN電子供給層103との界面近傍には2次元電子ガスが生成される。n形In0.4Ga0.6Nキャップ層105に接してソース電極8S及びドレイン電極8Dが夫々形成され、オーム性接触がとられている。また、半導体層105、104c、104b、104a、103の一部を除去して形成されたリセス部17には、AlGaN層103に接してゲート電極9が形成されて、ショットキー性接触がとられている。
つまり、本実施形態例における中間層(104a、104b、104c)は、第1のn形不純物層、Inz2Alz1Ga1-z1-z2N(0≦z1+z2≦1)、第2のn形不純物層の積層構造において、z1=z2=0とおいた場合に相当する。また、キャップ層105はInuGa1-uN(0<u≦1)において、u=0.4とおいた場合に相当する。このHJFETは、(100)サファイア基板100上に、例えばMBE成長法により、上記エピタキシャル層構造を成長した後に、第1実施形態例と同様の作製プロセスで作製される。
図10(b)は、本実施形態例におけるキャップ層105とチャネル層102との間におけるAl組成及びIn組成分布を示すグラフである。本実施形態例では、ピエゾ分極効果と自発性分極効果とに基づき、GaNチャネル層102とAl0.4Ga0.6N電子供給層103との界面に正電荷が、Al0.4Ga0.6N電子供給層103とGaN層104bとの界面に負電荷が夫々発生する。同様に、GaN層104bとIn0.4Ga0.6Nキャップ層105との界面に分極負電荷が発生する。Si単原子層104a、104cにはイオン化正電荷が夫々発生し、チャネル側へテロ界面には2次元電子ガスによる負電荷が発生する。
図10(c)は、図10(b)に対応する伝導帯エネルギー分布を示す図である。AlGaN層103のAl組成比yが0.4である本実施形態例では、分極電荷は、式(1)より、σPOL/q=2.2×1013/cm2である。一方、各Si単原子層104aのイオン化電荷はσDON/q=2.2×1013/cm2であるので、AlGaN電子供給層103とGaN層104bとのへテロ界面では、分極負電荷−σPOLがイオン化正電荷+σDONにより相殺される。同様に、GaN層104bとInGaNキャップ層105とのへテロ界面でも、分極負電荷がイオン化正電荷により相殺される。このため、各ヘテロ界面で2次元電子ガスが生成されて量子井戸が形成され、電子に対するバリヤが低下して、電子がキャップ層105とチャネル層102との間を透過する際のトンネル確率が増加する。これにより、キャップ層105とチャネル層102との間のコンタクト抵抗が低減され、ソース抵抗及びドレイン抵抗が低減される。
また、キャップ層105が、GaNより電子親和力の大きいInGaNで構成されるので、オーミック電極金属(8S、8D)とInGaNとの間における電子に対するポテンシャルバリヤを低くし、コンタクト抵抗を低くして、更なる低抵抗化を図ることができる。
(第11実施形態例)図11は、本実施形態例に係るHJFETの概略を示す図であり、(a)〜(c)が夫々表す対象は図10と同様である。このHJFETは、SiC基板110上に順次に積層された、アンドープAlNバッファ層111、アンドープGaNチャネル層112、n形Al0.4Ga0.6N電子供給層(n形不純物濃度4×1018/cm3、膜厚20nm)113、n形GaN層(n形不純物濃度4.4×1019/cm3、膜厚10nm)114、及び、n形In0.4Ga0.6Nキャップ層(n形不純物濃度5×1019/cm3、膜厚10nm)115を有する。
ここで、n形GaN層114は中間層を構成する。AlGaNとGaNとは格子定数が異なるが、Al0.4Ga0.6N層113の膜厚20nmは転位発生の臨界膜厚以下である。また、InGaNとGaNも格子定数が異なるが、In0.4Ga0.6Nキャップ層115の膜厚10nmも転位発生の臨界膜厚以下である。GaNチャネル層112のAlGaN電子供給層113との界面近傍には2次元電子ガスが生成される。n形In0.4Ga0.6Nキャップ層115に接してソース電極8S及びドレイン電極8Dが夫々形成され、オーム性接触がとられている。また、半導体層115、114、113の一部を除去して形成したリセス部17には、AlGaN層113に接してゲート電極9が形成され、ショットキー性接触がとられている。
つまり、本実施形態例における中間層114は、n形Inz2Alz1Ga1-z1-z2N(0≦z1+z2≦1)において、z1=z2=0とおいた場合に相当する。また、キャップ層115はn形InuGa1-uN(0<u≦1)において、u=0.4とおいた場合に相当する。このようなHJFETは、(100)SiC基板110上に、例えばMOVPE成長法により、以上のエピタキシャル層構造を成長した後に、第1実施形態例と同様の作製プロセスで作製される。
図11(b)は、本実施形態例におけるキャップ層115とチャネル層112との間におけるAl組成及びIn組成分布を示すグラフである。実施形態例では、ピエゾ分極効果と自発性分極効果とに基づき、GaNチャネル層112とAl0.4Ga0.6N電子供給層113との界面に正電荷が、Al0.4Ga0.6N電子供給層113とGaN層114との界面に負電荷が夫々発生する。同様に、GaN層114とIn0.4Ga0.6Nキャップ層115との界面には分極負電荷が発生する。n形GaN層114にはイオン化正電荷が、チャネル側へテロ界面には2次元電子ガスによる負電荷が夫々発生する。
ここで、図11(c)を参照する。AlGaN電子供給層113のAl組成比yが0.4である本実施形態例では、分極電荷は、式(1)より、σPOL/q=2.2×1013/cm2である。一方、n形GaN層114のイオン化電荷は、σDON/q=4.4×1019/cm3×10nm=4.4×1013/cm2であるので、AlGaN電子供給層113とGaN層114とのへテロ界面では、分極負電荷−σPOLがイオン化正電荷+σDONの一部により相殺される。同様に、GaN層114とInGaNキャップ層115とのへテロ界面でも、分極負電荷がイオン化正電荷+σDONの一部により相殺される。
このため、空乏層がGaN層114の膜厚10nm以下まで薄くなり、電子がキャップ層115とチャネル層112との間を透過する際のトンネル確率が増加する。これにより、キャップ層115とチャネル層112との間のコンタクト抵抗が低減され、ソース抵抗及びドレイン抵抗が低減される。また、In0.4Ga0.6Nの電子親和力がGaNより大きいため、InGaN層115とオーミック電極(8S、8D)との間のコンタクト抵抗も小さくなり、ソース抵抗及びドレイン抵抗が低減される。
(第12実施形態例)図12は、本実施形態例に係るHJFETの概略を示す図であり、(a)〜(c)が夫々表す対象は図10と同様である。このHJFETは、サファイア基板120上に順次に積層された、アンドープGaNバッファ層121、n形GaNチャネル層(n形不純物濃度5×1017/cm3、膜厚30nm)122、アンドープAl0.4Ga0.6N電子供給層(膜厚20nm)123、n形Alz1Ga1-z1Nグレーディッド組成層(Al組成比z1=0.4→0、n形不純物濃度4.4×1019/cm3、膜厚5nm)124a、n形Inz2Ga1-z2Nグレーディッド組成層(In組成比z2=0→0.4、n形不純物濃度4.4×1019/cm3、膜厚5nm)124b、及び、n形In0.4Ga0.6Nキャップ層(n形不純物濃度5×1019/cm3、膜厚10nm)125を有する。Al組成比z1は0<z1≦1であり、In組成比z2も0<z2≦1であるが、ここでは上記のように0.4と0の間で変化する。
ここで、n形AlGaNグレーディッド組成層124a及びn形InGaNグレーディッド組成層124bは中間層を構成する。AlGaNとGaNとは格子定数が相互に異なるが、AlGaN層(123、124a)の膜厚和25nmは転位発生の臨界膜厚以下である。また、InGaNとGaNも格子定数が異なるが、InGaN層(124b、125)の膜厚和15nmも転位発生の臨界膜厚以下である。GaN層122のAlGaN層123との界面近傍には、2次元電子ガスが生成される。n形In0.4Ga0.6Nキャップ層125に接してソース電極8S、ドレイン電極8Dが形成され、オーム性接触がとられている。更に、半導体層125、124b、124a、123の一部を除去して形成したリセス部17には、AlGaN層123に接してゲート電極9が形成され、ショットキー性接触がとられている。
このようなHJFETは、(100)サファイア基板120上に、例えばMBE成長法により、以上のエピタキシャル層構造を成長した後に、第1実施形態例と同様の作製プロセスで作製される。
図12(b)に示すように、本実施形態例におけるHJFETでは、中間層は、順次に積層されたAlz1Ga1-z1N層(0≦z1≦y)124aと、Inz2Ga1-z2N層(0≦z2≦u)124bとを有し、組成比z1が、電子供給層123からInz2Ga1-z2N層124bに向かうにつれてy(=0.4)から0に向かって変化し、組成比z2が、Alz1Ga1-z1N層124aからキャップ層125に向かうにつれて0からu(=0.4)に向かって変化する。ここで、y(0<y≦1)は電子供給層123のAl組成比、u(0<u≦1)はキャップ層125におけるIn組成比である。その結果、中間層におけるAl組成比z1とIn組成比z2との差(z1−z2)が、電子供給層123からキャップ層125に向かうにつれて、y(=0.4)から−u(=−0.4)に向かって変化する。
本実施形態例では、ピエゾ分極効果と自発性分極効果とに基づき、Al0.4Ga0.6N電子供給層123とGaNチャネル層122との界面には正電荷が、AlGaNグレーディッド組成層124a内には負電荷が夫々分布して発生する。同様に、InGaNグレーディッド組成層124b内には分極負電荷が分布して発生する。n形AlGaNグレーディッド組成層124a内、InGaNグレーディッド組成層124b内には夫々、イオン化正電荷が分布して発生し、チャネル側へテロ界面には2次元電子ガスによる負電荷が発生する。
ここで、図12(c)を参照する。AlGaN層123のAl組成比yが0.4である本実施形態例では、分極電荷は、式(1)より、σPOL/q=2.2×1013/cm2である。一方、n形AlGaNグレーディッド組成層124aのイオン化電荷は、σDON/q=4.4×1019/cm3×5nm=2.2×1013/cm2であるので、AlGaNグレーディッド組成層124a内では、分極負電荷がイオン化正電荷により相殺される。同様に、n形InGaNグレーディッド組成層124b内でも、分極負電荷がイオン化正電荷により相殺される。
また、バンドギャップがIn0.4Ga0.6Nキャップ層125からAl0.4Ga0.6N電子供給層123に向かって緩やかに変化するため、In0.4Ga0.6Nキャップ層125とAl0.4Ga0.6N電子供給層123との間で伝導帯が滑らかに繋がる。これにより、電子に対するバリヤが消失して、電子がキャップ層125とチャネル層122との間を透過する際のトンネル確率が1に近付くので、キャップ層125とチャネル層122との間のコンタクト抵抗が低減され、ソース抵抗及びドレイン抵抗が低減される。更に、In0.4Ga0.6Nは電子親和力がGaNより大きいため、InGaN層125とオーミック電極(8S、8D)との間のコンタクト抵抗も小さくなり、ソース抵抗及びドレイン抵抗が低減される。
(第13実施形態例)図13は、本実施形態例に係るHJFETの概略を示す図であり、(a)〜(c)が夫々表す対象は図10と同様である。このHJFETは、SiC基板130上に順次に積層された、アンドープGaNバッファ層131、n形GaNチャネル層(n形不純物濃度5×1017/cm3、膜厚30nm)132、アンドープAl0.4Ga0.6N電子供給層(膜厚20nm)133、n形In0.4-zAlzGa0.6Nグレーディッド組成層(z=0.4→0、n形不純物濃度4.4×1019/cm3、膜厚10nm)134、及び、n形In0.4Ga0.6Nキャップ層(n形不純物濃度5×1019/cm3、膜厚10nm)135を有する。
ここで、n形InAlGaNグレーディッド組成層134は、つまりn形Inz2Alz1Ga1-z1-z2N(0≦z1+z2≦1)であり、中間層を構成する。AlGaNとGaNとは格子定数が異なるが、Al0.4Ga0.6N層133の膜厚20nmは転位発生の臨界膜厚以下である。また、InGaNとGaNも格子定数が相互に異なるが、In0.4Ga0.6N層135の膜厚10nmも転位発生の臨界膜厚以下である。GaN層132のAlGaN層133との界面近傍には2次元電子ガスが生成される。n形In0.4Ga0.6Nキャップ層135に接してソース電極8S、ドレイン電極8Dが形成され、オーム性接触がとられている。更に、半導体層135、134、133の一部を除去して形成したリセス部17には、AlGaN層133に接してゲート電極9が形成され、ショットキー性接触がとられている。
このようなHJFETは、(100)SiC基板130上に、例えばMOVPE成長法により、以上のエピタキシャル層構造を成長した後に、第1実施形態例と同様の作製プロセスで作製される。
図13(b)に示すように、本実施形態例におけるHJFETでは、電子供給層133からキャップ層135に向かうにつれて、n形Inz2Alz1Ga1-z1-z2N中間層134におけるAl組成比z1がy(=0.4)から0に向かって、In組成比z2が0からu(=0.4)に向かって夫々変化する。ここで、y(0<y≦1)は電子供給層133のAl組成比、u(0<u≦1)はキャップ層135におけるIn組成比である。その結果、中間層におけるAl組成比z1とIn組成比z2との差(z1−z2)が、電子供給層133からキャップ層135に向かうにつれて、y(=0.4)から−u(=−0.4)に向かって変化する。
本実施形態例では、ピエゾ分極効果と自発性分極効果とに基づき、Al0.4Ga0.6N電子供給層133とGaNチャネル層132との界面には正電荷が、InAlGaNグレーディッド組成層134内には負電荷が夫々分布して発生する。n形InAlGaNグレーディッド組成層134内にはイオン化正電荷が分布して発生し、チャネル側へテロ界面には2次元電子ガスによる負電荷が発生する。
ここで、図13(c)を参照する。本実施形態例におけるInAlGaNグレーディッド組成層134のシート不純物濃度は、4.4×1019/cm3×10nm=4.4×1013/cm2であり、第12実施形態例におけるグレーディッド組成層(124a、124b)と同等である。このため、InAlGaNグレーディッド組成層134では、第12実施形態例のグレーディッド組成層(124a、124b)と同様に、層内の分極負電荷がイオン化正電荷により相殺される。
また、バンドギャップがIn0.4Ga0.6N層135からAl0.4Ga0.6N層133に向かって緩やかに変化するため、In0.4Ga0.6N層135とAl0.4Ga0.6N層133との間で伝導帯が滑らかに繋がる。これにより、電子に対するバリヤが消失して、電子がキャップ層135とチャネル層132との間を透過する際のトンネル確率が1に近付き、第12実施形態例と同様の効果を奏する。
以上、第1〜第13実施形態例ではいずれも、チャネル層にInが含まれない例、つまりInの組成比が0である例を挙げたが、続く第14実施形態例以降では、チャネル層にInが含まれる例を挙げる。
(第14実施形態例)本実施形態例は、第1実施形態例におけるアンドープGaNチャネル層12を、アンドープIn0.1Ga0.9Nチャネル層(20nm)142に置き換えた点以外は第1実施形態例と同様である。InGaNとGaNとは格子定数が異なるが、In0.1Ga0.9Nチャネル層142の膜厚20nmは転位発生の臨界膜厚以下である。
図14は、本実施形態例におけるHJFETの断面図である。本実施形態例では、第1実施形態例と同様に、キャップ層15とチャネル層142との間のコンタクト抵抗が低減され、ソース抵抗及びドレイン抵抗が低減される。また、チャネルに用いたIn0.1Ga0.9Nは、GaNより電子有効質量が小さく、電子移動度が高いため、高周波性能が向上する。
(第15実施形態例)本実施形態例は、第2実施形態例におけるn形GaNチャネル層22を、n形In0.1Ga0.9Nチャネル層(n形不純物濃度1×1018cm-3、膜厚20nm)152に置き換えた点以外は第2実施形態例と同様である。InGaNとGaNとは格子定数が異なるが、In0.1Ga0.9N層152の膜厚20nmは転位発生の臨界膜厚以下である。
図15は、本実施形態例におけるHJFETの断面図である。本実施形態例では、第2実施形態例と同様に、キャップ層25とチャネル層152との間のコンタクト抵抗が低減され、ソース抵抗及びドレイン抵抗が低減される。また、チャネルに用いたIn0.1Ga0.9Nにより、前述と同様の効果が得られる。
(第16実施形態例)本実施形態例は、第3実施形態例におけるアンドープGaNチャネル層32を、アンドープIn0.1Ga0.9Nチャネル層(20nm)162に置き換えた点以外は第3実施形態例と同様である。InGaNとGaNとは格子定数が異なるが、In0.1Ga0.9N層162の膜厚20nmは転位発生の臨界膜厚以下である。
図16は、本実施形態例におけるHJFETの断面図である。このHJFETは、中間層が、順次に形成された、第1のn形不純物層34a、Inz2Alz1Ga1-z1-z2N(0≦z1+z2≦1)34b、及び第2のn形不純物層34cを有している。本実施形態例では、第3実施形態例と同様に、キャップ層35とチャネル層162との間のコンタクト抵抗が低減され、ソース抵抗及びドレイン抵抗が低減される。また、チャネルに用いたIn0.1Ga0.9Nにより、前述と同様の効果が得られる。
(第17実施形態例)本実施形態例では、第4実施形態例におけるn形GaNチャネル層42を、n形In0.1Ga0.9Nチャネル層(n形不純物濃度1×1018cm-3、膜厚20nm)172に置き換えた点以外は第4実施形態例と同様である。InGaNとGaNとは格子定数が異なるが、In0.1Ga0.9N層172の膜厚20nmは転位発生の臨界膜厚以下である。
図17は、本実施形態例におけるHJFETの断面図である。本実施形態例では、第4実施形態例と同様に、キャップ層45とチャネル層172との間のコンタクト抵抗が低減され、ソース抵抗及びドレイン抵抗が低減される。また、チャネルに用いたIn0.1Ga0.9Nにより、前述と同様の効果が得られる。
(第18実施形態例)本実施形態例では、第10実施形態例におけるアンドープGaNチャネル層102を、アンドープIn0.2Ga0.8Nチャネル層(10nm)182に置き換えた点以外は第10実施形態例と同様である。InGaNとGaNとは格子定数が異なるが、In0.2Ga0.8N層182の膜厚10nmは転位発生の臨界膜厚以下である。
図18は、本実施形態例におけるHJFETの断面図である。本実施形態例では、第10実施形態例と同様に、キャップ層105とチャネル層182との間のコンタクト抵抗が低減され、ソース抵抗及びドレイン抵抗が低減される。また、チャネルに用いたIn0.2Ga0.8Nにより、前述と同様の効果が得られる。
(第19実施形態例)本実施形態例では、第11実施形態例におけるアンドープGaNチャネル層112を、アンドープIn0.2Ga0.8Nチャネル層(10nm)192に置き換えた点以外は第11実施形態例と同様である。InGaNとGaNとは格子定数が異なるが、In0.2Ga0.8N層192の膜厚10nmは転位発生の臨界膜厚以下である。
図19は、本実施形態例におけるHJFETの断面図である。本実施形態例では、第11実施形態例と同様に、キャップ層115とチャネル層192との間のコンタクト抵抗が低減され、ソース抵抗及びドレイン抵抗が低減される。また、チャネルに用いたIn0.2Ga0.8Nにより、前述と同様の効果が得られる。
以上、本発明をその好適な実施形態例に基づいて説明したが、本発明のヘテロ接合電界効果トランジスタは、上記実施形態例の構成にのみ限定されるものではなく、上記実施形態例の構成から種々の修正及び変更を施したヘテロ接合電界効果トランジスタも、本発明の範囲に含まれる。
本発明の第1実施形態例に係るHJFETの概略を示す図であり、(a)はHJFETの断面構造、(b)はキャップ層とチャネル層との間における電荷分布、(c)は(b)のグラフに対応する伝導帯エネルギー分布を夫々示す。 本発明の第2実施形態例に係るHJFETの概略を示す図であり、(a)はHJFETの断面構造、(b)はキャップ層とチャネル層との間における電荷分布、(c)は(b)のグラフに対応する伝導帯エネルギー分布を夫々示す。 本発明の第3実施形態例に係るHJFETの概略を示す図であり、(a)はHJFETの断面構造、(b)はキャップ層とチャネル層との間における電荷分布、(c)は(b)のグラフに対応する伝導帯エネルギー分布を夫々示す。 本発明の第4実施形態例に係るHJFETの概略を示す図であり、(a)はHJFETの断面構造、(b)はキャップ層とチャネル層との間における電荷分布、(c)は(b)のグラフに対応する伝導帯エネルギー分布を夫々示す。 本発明の第5実施形態例に係るHJFETの概略を示す図であり、(a)はHJFETの断面構造、(b)はキャップ層とチャネル層との間における電荷分布、(c)は(b)のグラフに対応する伝導帯エネルギー分布を夫々示す。 本発明の第6実施形態例に係るHJFETの概略を示す図であり、(a)はHJFETの断面構造、(b)はキャップ層とチャネル層との間におけるAl組成分布、(c)は(b)のグラフに対応する伝導帯エネルギー分布を夫々示す。 本発明の第7実施形態例に係るAl組成分布を示す図である。 本発明の第8実施形態例に係るAl組成分布を示す図である。 本発明の第9実施形態例に係るAl組成分布を示す図である。 本発明の第10実施形態例に係るHJFETの概略を示す図であり、(a)はHJFETの断面構造、(b)はキャップ層とチャネル層との間におけるAl組成とIn組成分布、(c)は(b)のグラフに対応する伝導帯エネルギー分布を夫々示す。 本発明の第11実施形態例に係るHJFETの概略を示す図であり、(a)はHJFETの断面構造、(b)はキャップ層とチャネル層との間におけるAl組成とIn組成分布、(c)は(b)のグラフに対応する伝導帯エネルギー分布を夫々示す。 本発明の第12実施形態例に係るHJFETの概略を示す図であり、(a)はHJFETの断面構造、(b)はキャップ層とチャネル層との間におけるAl組成とIn組成分布、(c)は(b)のグラフに対応する伝導帯エネルギー分布を夫々示す。 本発明の第13実施形態例に係るHJFETの概略を示す図であり、(a)はHJFETの断面構造、(b)はキャップ層とチャネル層との間におけるAl組成とIn組成分布、(c)は(b)のグラフに対応する伝導帯エネルギー分布を夫々示す。 本発明の第14実施形態例に係るHJFETの概略を示す図である。 本発明の第15実施形態例に係るHJFETの概略を示す図である。 本発明の第16実施形態例に係るHJFETの概略を示す図である。 本発明の第17実施形態例に係るHJFETの概略を示す図である。 本発明の第18実施形態例に係るHJFETの概略を示す図である。 本発明の第19実施形態例に係るHJFETの概略を示す図である。 従来のHJFETの概略を示す図であり、(a)はHJFETの断面構造、(b)はキャップ層とチャネル層との間における電荷分布、(c)は(b)のグラフに対応する伝導帯エネルギー分布を夫々示す。
符号の説明
8S:ソース電極
8D:ドレイン電極
9:ゲート電極
10、30、50、100、120、200:サファイ
ア基板
11、31、51、101、111:AlN層
12、15、21、22、25、32、35:GaN層
13、23、24、33、34b:AlGaN層
14、34a、34c、104a、104c:Si単原
子層
20、40、60、110、130:SiC基板
41、42、45、52、55、61、62、65:G
aN層
43、44、53、54、63、64:AlGaN層
74、84、94:超格子層
102、104b、112、114:GaN層
103、113、123、124a:AlGaN層
105、115、124b、125:InGaN層
121、122、131、132:GaN層
133、203:AlGaN層
134:InAlGaN層
135、142、152、162:InGaN層
172、182、192:InGaN層
201、202、205:GaN層

Claims (1)

  1. 基板上に順次に形成された、InxGa1-xN(0≦x≦1)から成るチャネル層、AlyGa1-yN(0<y≦1)から成る電子供給層、中間層、及び、GaNから成るn形キャップ層を有し、前記電子供給層に接してゲート電極が、前記n形キャップ層に接してソース電極及びドレイン電極が夫々形成されたヘテロ接合電界効果トランジスタであって、前記中間層が、1層のn形不純物層、又は、少なくとも1層のn形不純物層を含む積層膜として形成されることを特徴とするヘテロ接合電界効果トランジスタ。

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