JP2004309402A - 干渉測定装置及び位相シフト縞解析装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】取得したデータを有効活用して高精度に位相シフト縞を解析し、ワークの寸法等を測定する。
【解決手段】マイケルソン型干渉計本体1はレーザ光源10、光学楔28、ベースプレート34、ワーク36及び干渉縞画像を取得するCCDカメラ42を備え、干渉縞画像をPC2へ供給する。PC2は、干渉縞画像の任意の画素位置における光学楔28の移動に伴う濃淡変化から位相角を算出し、ワーク36の寸法を測定する。干渉縞画像の任意の画素位置における濃淡変化は、得られた実データのフーリエ解析により算出される。フーリエ解析は、FFT、1次直線近似、2次曲線近似あるいは3次曲線近似が用いられる。
【選択図】 図1
【解決手段】マイケルソン型干渉計本体1はレーザ光源10、光学楔28、ベースプレート34、ワーク36及び干渉縞画像を取得するCCDカメラ42を備え、干渉縞画像をPC2へ供給する。PC2は、干渉縞画像の任意の画素位置における光学楔28の移動に伴う濃淡変化から位相角を算出し、ワーク36の寸法を測定する。干渉縞画像の任意の画素位置における濃淡変化は、得られた実データのフーリエ解析により算出される。フーリエ解析は、FFT、1次直線近似、2次曲線近似あるいは3次曲線近似が用いられる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は干渉測定装置及び位相シフト縞解析装置に関し、特に干渉計により形成された被測定物の干渉縞あるいは格子パターン等を被測定物に投影して形成された被測定物の縞画像等の位相をシフトさせて解析し、被測定物に関する情報を得る装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、ブロックゲージ等のワークの寸法を測定する装置としてマイケルソン型干渉測定装置が知られている。マイケルソン型干渉測定装置では、下面にベースプレートを密着させたワークを干渉計の一方の光路中に挿入し、ワーク及びベースプレートで反射した光を他方の光路からの光と干渉させ、干渉縞の端数値からワークの寸法を測定する。ワークの寸法Lは、一般に
【数1】
L=(λ/2n)(N+b/a) ・・・(1)
で示される。ここで、λは干渉光の波長、nは干渉光路の空気屈折率、Nは干渉縞の正数部(干渉次数)、b/aは干渉縞の端数値である。なお、ワークの温度膨張等は無視している。
【0003】
干渉縞の端数値b/aを求めるには、例えば以下の方法が用いられる。すなわち、干渉計の2つの光路のいずれか一方に光学楔を挿入し、光学楔を移動させながら干渉縞を観察する。そして、干渉縞の濃淡変化を光学楔の移動量の関数として算出する。当該関数は周期関数であり、一般に三角関数y=Acos(ωx+φ)+Bで表現される。yは濃淡値、Aは振幅、xは光学楔の移動量、φは位相角、Bはオフセットである。ベースプレートからの干渉縞の位相角とワークにおける干渉縞の位相角の差分から干渉縞の端数値b/aが算出される。
【0004】
濃淡変化y=Acos(ωx+φ)+Bにおける位相角φを求めるための方法の一つとして、一般にHariharan法が用いられる。Hariharan法においては、干渉縞画像の所定の画素位置において得られた濃淡データ群の中から光学楔の移動量(位相シフト量)が等しい5個の実データを取り出し、5個の実データについての公式を用いて振幅A及び位相角φを求める。具体的には、5個の実データの濃淡値をI1、I2、I3、I4、I5とし、実サンプル間の位相シフトピッチをD(D≒π/2)とすると、位相角φは、
【数2】
φ=tan−1{2sin(D)・(I2−I4)/(2I3−I5−I4)}・・・(2)
により算出される。
【0005】
図16には、Hariharan法において用いられる5個の実データの一例が示されている。図において、横軸は位相シフト量であり、光学楔の移動量と等価である。位相基準波形はベースプレートにおける干渉縞画像の実データである。互いにD1,D2,D3,D4だけ位相が離れた5個の実データが黒丸で示されている。
【0006】
【特許文献1】
特開平6−341809号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、Hariharan法においては、実際に得られた実データ群(光学楔を移動させながら干渉縞画像を例えば32枚取得した場合、画像の所定の位置における実データは画像の枚数分32個存在する)の中から5個の実データを抽出して位相角φを算出しているため、他の実データが無駄となる。また、Hariharan法は、算出に用いる実データ間の位相シフトピッチが等間隔であることを前提としており、外部からの振動による光学系の光路長の変動やデータ入力タイミングの誤差等により実データ間の位相シフトピッチにバラツキが生じた場合に位相角算出の精度が低下する問題がある。
【0008】
本発明の目的は、Hariharan法を用いることなく、実際に得られたデータを有効に活用して高精度に干渉縞その他の縞画像の位相を解析することができる干渉測定装置及び位相シフト縞解析装置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の干渉測定装置は、平行光線を2分割した一方の光の光路中にベースプレートを密着させた被測定物を挿入し、前記被測定物及び前記ベースプレートで反射した光を前記2分割した他方の光と干渉させるとともに、いずれか片方の光路中に挿入した光学楔等の位相シフト手段により干渉縞を移動させながら干渉縞の端数値を求め、この端数値に基づき前記被測定物を測定する干渉測定装置であって、前記位相シフト手段の移動に伴って前記干渉縞画像を順次取得する画像取得手段と、前記干渉縞画像内の任意の位置における濃淡レベルを前記位相シフト手段の移動量の周期関数として算出する際に、取得した干渉縞画像から得られた濃淡レベルデータを非等間隔な実データピッチでフーリエ解析して算出し、得られた前記周期関数に基づき前記端数値を算出する演算手段とを有することを特徴とする。実際に取得したデータの間隔は必ずしも等間隔ではないが、本発明ではこれらの実データのフーリエ解析により周期関数を算出し、さらに端数値を求める。
【0010】
フーリエ解析の近似の次数は任意であるが、例えば離散フーリエ解析、1次直線近似、2次曲線近似、3次曲線近似等が用いられる。フーリエ解析を行う演算装置の処理能力や測定すべき被測定物の種類に応じて次数を決定してもよい。
【0011】
本発明において、さらに、前記演算手段で算出された前記周期関数に基づき、前記干渉縞画像から得られた濃淡レベルデータの位相シフト補正量を算出する位相シフト補正量算出手段と、前記位相シフト補正量を用いて前記濃淡レベルデータの位相を補正する位相補正手段とを有し、前記演算手段は、位相が補正された濃淡レベルデータを用いて前記周期関数を再度算出してもよい。何らかの原因により位相誤差が生じた実データの位相を補正し、位相補正された実データを用いて再度周期関数が算出される。再度算出された周期関数は、位相補正された実データに基づくため、最初に算出された周期関数よりも一般に精度が高くなる。実データの位相誤差の補正も、演算装置の処理能力や測定すべき被測定物の種類に応じて実行するか否かを設定してもよい。
【0012】
また、本発明の位相シフト縞解析装置は、被測定物の縞画像の位相をシフトさせる位相シフト手段と、前記位相シフト手段により位相シフトされた縞画像を順次取得する画像取得手段と、前記縞画像の任意の位置における濃淡レベルを前記位相シフト手段のシフト量の周期関数として算出する際に、取得した画像から得られた濃淡レベルデータを非等間隔な実データピッチでフーリエ解析する演算手段とを有することを特徴とする。位相シフトされた縞画像の濃淡レベルを非等間隔な実データピッチでフーリエ解析することで、実データを有効活用するとともに、通常のフーリエ解析のような等間隔ピッチ条件を排除することで位相シフト手段と画像取得手段との正確な同期制御等が不要となる。被測定物の縞画像は、任意の方法で形成できる。これらを例示すると、干渉計による方法、格子パターン投影法による方法等である。格子パターン投影法は、格子パターンを被測定物に投影し、投影方向とは異なる方向から観察することで得るものである。
【0013】
また、本発明の位相シフト縞解析装置は、干渉計により形成された被測定物の干渉縞の位相をシフトさせる位相シフト手段と、前記位相シフト手段により位相シフトされた干渉縞画像を順次取得する画像取得手段と、前記干渉縞の任意の位置における濃淡レベルを前記位相シフト手段のシフト量の周期関数として算出する際に、取得した画像から得られた濃淡レベルデータを非等間隔な実データピッチでフーリエ解析する演算手段とを有することを特徴とする。本発明においても、位相シフトされた縞画像の濃淡レベルを非等間隔な実データピッチでフーリエ解析することで、実データを有効活用するとともに、通常のフーリエ解析のような等間隔ピッチ条件を排除することで位相シフト手段と画像取得手段との正確な同期制御等が不要となる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づき本発明の実施形態について、干渉計により被測定物の干渉縞を形成し、干渉縞の位相を光学楔の移動によりシフトさせる場合を例にとり説明する。
【0015】
図1には、本実施形態に係る干渉測定装置の一例としてマイケルソン型干渉測定装置の構成が示されている。本測定装置は、干渉計本体1とコンピュータ(PC)2から構成される。
【0016】
干渉計本体1は、レーザ光を射出するレーザ光源10、干渉系、及び干渉縞を画像として撮影するCCDカメラ42を含む。He−Neレーザ光源などのレーザ光源10から射出した波長λのレーザ光は対物レンズ16で集光され、直径10μm程度のピンホールが形成されたフィルタ18を透過した後、レンズ20で平行光とされてミラー22に入射する。ミラー22で反射されたレーザ光はハーフミラー24にて2つの光路に分割される。一方の光路は参照鏡26に向かう光路であり、ハーフミラー24で反射したレーザ光は参照鏡26で反射され、再びハーフミラー24に入射する。他方の光路は被測定物であるワーク36に向かう光路であり、ハーフミラー24を透過したレーザ光は光学楔(ウエッジガラス)28を透過してワーク36及びこのワーク36の下面に密着させたベースプレート34に入射する。ワーク36あるいはベースプレート34で反射したレーザ光は光学楔28を透過して再びハーフミラー24に入射する。光学楔28は送りモータ30により略一定の速度で光路に対して略垂直に駆動される。光学楔28は、その楔角が例えば1°に設定される。光学楔28の移動量は変位センサ32で検出され、検出信号としてPC2に供給される。
【0017】
参照鏡26で反射しハーフミラー24に入射レーザ光とワーク36あるいはベースプレート34で反射しハーフミラー24に入射したレーザ光は互いに干渉し、干渉光はレンズ38及び40を透過してCCDカメラ42に入射する。CCDカメラ42は、干渉光の画像、すなわち干渉縞画像を所定の撮像タイミングで撮像し、画像信号としてPC2に供給する。撮像タイミングは、例えば光学楔28を30μm/secで移動させた場合に15フレーム/secの間隔で撮影する。PC2は、CCDカメラ42から供給された複数の画像(本実施形態では例えば合計32フレームとする)のデータをデジタル値に変換し、メモリに格納する。そして、PC2の演算装置(CPU)は、メモリに格納された画像データを用いて後述する方法により干渉縞画像の任意の画素位置において位相角φを算出する。
【0018】
図2には、PC2で干渉縞画像を取得するまでの処理フローチャートが示されている。まず、光学楔(ウェッジガラス)28の送り速度とフレームレートを設定する(S11)。次に、光学楔28を送りモータ30により光路と略垂直に移動させ(S12)、光学楔28の移動速度が安定するまで待機する(S13)。待機時間は固定でもよい。移動速度が安定した後、CCDカメラ42から干渉縞画像を入力し(S14)、PC2のメモリに干渉縞画像をストアして(S15)、
次フレームまで待機する(S16)。S14〜S16の処理を全てのフレーム取得まで繰り返し実行し、全ての干渉縞画像を取得した後に(S17にて終了)、光学楔28を当初の位置に戻す(S18)。
【0019】
図3には、以上のようにして取得された合計32フレーム分の干渉縞画像における任意の画素位置での濃淡変化が示されている。図中横軸は1〜32のフレームであり、これは時間軸、あるいは光学楔28の移動量(光学楔28の光路長)、あるいは既述したように位相シフト量と等価である。縦軸はCCDカメラ42における受光強度(濃淡)レベルである。光学楔28を移動させるに従い、光学楔内の光路長が変化して干渉縞がシフトし、ある画素位置における濃淡も周期的に変化する。濃淡値yは上述したようにy=Acos(ωx+φ)により表現することができる。PC2では、図3に示されたような実データ群を用いて任意の画素位置における周期関数の振幅A及び位相角φを算出する。
【0020】
図4には、PC2における任意の画素位置での振幅A及び位相角φの算出処理フローチャートが示されている。まず、干渉縞画像内における任意の画素位置(x,y)における合計32フレーム分の実データをメモリから取得する(S101)。これらの実データは、図3に示されるように一般に波形データを示す。次に、PC2は、これら32個の実データに対してフーリエ解析する。すなわち、所定区間2nπ(n=1,2,・・)においてフーリエ積分し(S102)、フーリエ積分の結果から位相角φと振幅Aを算出する(S103)。
【0021】
図5には、S102におけるフーリエ積分の様子が示されている。図において、横軸は位相シフト量であり、縦軸は濃淡値である。フーリエ積分は、部分積分の和として算出され、部分積分は実データの値を有する矩形領域面積で近似される。
【0022】
これは、一般にFFTあるいは離散フーリエ解析として知られるものであるが、一般のフーリエ解析では位相シフト量のピッチは等間隔で、かつピッチは2nπ/mでなければならないところ、本実施形態においては非等間隔な実データの間隔でフーリエ積分される点が相違する。ここで、nは自然数であり、mは4以上の整数である。ピッチと区間がこのような条件に拘束されないため、位相シフトとカメラの同期制御等が不要で、外部環境の振動等による位相シフトのふらつきがあってもよいため、装置制御や除振構造も簡易化される。部分積分は
【数3】
ΔFi=(θi+1−θi)・gi・ exp(iθi) ・・・(3)
である。giはi番目のデータの濃淡値である。θi+1−θiは、必ずしも一定ではない。これを所定の区間2nπにわたり積分する。すなわち、
【数4】
F=ΣΔFi ・・・(4)
但し、最後の部分積分の区間については、θi+1は2nπより大きくなるため、この区間の部分積分はΔFi=(2nπ−θi)・gi・exp(iθi)となる。
【0023】
以上のようにして得られた積分結果における実部Re(F)と虚部Im(F)から、位相角φと振幅Aが以下のように算出される。
【0024】
【数5】
位相角φ=tan−1(Im(F)/Re(F)) ・・・(5)
【数6】
振幅A=|F| ・・・(6)
また、オフセットBについては、オフセットの部分積分ΔBi=(θi+1−θi)・giを行い、これを2nπ分の区間だけ積算し、区間幅で除算して算出する。すなわち、B=ΣΔBi/2nπで算出される。但し、最後のオフセットの部分積分の区間については、θi+1は2nπより大きくなるため、この区間のオフセットの部分積分はΔBi=(2nπ−θi)・giとなる。
【0025】
再び図4に戻り、以上のようにして位相角φと振幅Aを算出した後、算出した振幅Aが所定の下限しきい値Athを越えているか否かを判定する(S104)。算出された振幅Aが下限しきい値Ath以下である場合には、ノイズに埋もれているデータであり、ワーク36の寸法を算出するためのデータとして採用せず無効データと見なす(S107)。一方、振幅Aが下限しきい値Athを越える場合には有効なデータであると見なし、S103で算出された位相角φを当該画素位置(x、y)における位相角φに決定する(S105)。位相角φが決定された後、この位相角φに基づき当該画素位置における端数値、さらにはワーク36の寸法L(x,y)を算出する(S106)。具体的には、当該画素位置(x,y)における端数値は、ベースプレート34の位相角を0とした場合に、
【数7】
b/a=φ/2π ・・・(7)
で算出されるから、上記の(1)式に基づき当該画素位置におけるワーク36の寸法L(x,y)が算出できる。
【0026】
なお、S106において、ワーク36の寸法自体ではなく、ワークの寸法分布あるいはワーク36の表面分布を算出することもできる。具体的には、ワークの寸法分布h(x,y)は、干渉次数N等を無視して
【数8】
h(x,y)=λ/2π・φ ・・・(8)
により算出される。ワーク36の寸法を「高さ」とみなすと、(8)式によりワーク36の高さ分布が得られる。(7)式あるいは(8)式を用いて干渉縞画像の全ての画素位置においてワーク寸法あるいはワーク寸法分布を算出することで、単にワーク36の寸法を算出するのではなくその凹凸の状況を測定することができる。
【0027】
このように、本実施形態においてはHariharan法を用いるのではなく、実データの非等間隔ピッチのフーリエ解析により位相角φを決定するため、実データの位相シフトピッチが等間隔でなくても位相角φを高精度に算出することができる。また、所定区間2nπにおける実データのフーリエ積分により位相角φを算出するため、より多くの実データを用いて位相角φを高精度に決定できる。
【0028】
なお、本実施形態において、所定区間2nπを所定ピッチずつずらして全実データにわたってフーリエ積分を演算し、個々のフーリエ積分により得られた位相角の平均値を算出することで最終的な位相角φを決定することも好適であり、これにより全実データを用いて位相角φを決定できる。
【0029】
図6には、図5に示されたフーリエ積分区間を1実データだけシフトさせた積分区間が示されており、図7にはさらに1実データだけシフトさせた他のフーリエ積分区間が示されている。このように1実データだけ順次シフトさせてフーリエ積分を実行し、各フーリエ積分の結果から算出された位相角φを平均して最終的な位相角φとする。
【0030】
また、本実施形態においては離散フーリエ解析により実データから位相角φを算出しているが、より高近似のフーリエ解析を用いて算出することもできる。すなわち、離散フーリエ解析の代わりに、1次直線近似のフーリエ解析、2次曲線近似のフーリエ解析、さらには3次曲線近似のフーリエ解析等を用いて振幅A及び位相角φを算出することもできる。
【0031】
図8には1次直線近似のフーリエ解析におけるフーリエ積分が示されている。フーリエ積分区間は、離散フーリエ解析の実施形態と同様に2nπ分の区間である。近似直線は、
【数9】
gi=aiθ+bi
ai=(gi−gi+1)/(θi−θi+1)
bi=(θi・gi+1−θi+1・gi)/(θi−θi+1) ・・・(9)
であり、部分積分は、
【数10】
となる。これを2nπ分の区間だけ積分する。すなわち、
【数11】
F=ΣΔFi ・・・(11)
そして、得られたフーリエ積分の結果から振幅Aと位相角φを算出する。振幅Aが所定の下限しきい値Ath以下の場合にはノイズに埋もれていると見なし無効データとする。
【0032】
オフセットBについては、オフセットの部分積分ΔBi=∫(aiθ+bi)dθを行い、これを離散フーリエ解析の実施形態と同様に2nπ分の区間だけ積算し、区間幅で除算して算出する。すなわち、B=ΣΔBi/2nπで算出される。1次直線近似の場合にも、離散フーリエ解析と同様にフーリエ積分区間を1実データずつシフトさせて複数回行い、得られた複数個の位相角の平均値をもって最終的な位相角φとすることもできる。
【0033】
図9には2次曲線近似のフーリエ解析が示されている。2次曲線近似は、
【数12】
gi=aiθ2+biθ+ci ・・・(12)
である。ここで、
【数13】
であり、3元連立方程式を解いて、ai、bi、ciを求める。
【0034】
【数14】
部分積分は、
【数15】
となり、離散フーリエ解析の実施形態と同様に2nπの区間だけ積分する。
【0035】
【数16】
F=ΣΔFi ・・・(16)
そして、フーリエ積分結果から、振幅Aと位相角φを算出する。オフセットBについては、オフセットの部分積分ΔBi=∫(aiθ2+biθ+ci)dθを行い、これを離散フーリエ解析の実施形態と同様に2nπ分の区間だけ積算し、区間幅で除算して算出する。すなわち、B=ΣΔBi/2nπで算出される。フーリエ積分区間を1実データずつシフトさせて行い、それぞれのフーリエ積分から得られた位相角の平均を算出してもよい。
【0036】
図10には、3次曲線近似のフーリエ解析が示されている。3次曲線近似は、
【数17】
gi=aiθ3+biθ2+ciθ+di ・・・(17)
である。ここで、
【数18】
であり、4元連立方程式を解いてai,bi,ci,diを求める。
【0037】
【数19】
部分積分は、
【数20】
となり、これを離散フーリエ解析の実施形態と同様に2nπの区間だけ積分する。
【0038】
【数21】
F=ΣFi ・・・(21)
そして、フーリエ積分結果から、振幅Aと位相角φを算出する。オフセットBについては、オフセットの部分積分ΔBi=∫(aiθ3+biθ2+ciθ+di)dθを行い、これを離散フーリエ解析の実施形態と同様に2nπ分の区間だけ積算し、区間幅で除算して算出する。すなわち、B=ΣΔBi/2nπで算出される。フーリエ積分区間を1実データずつシフトさせて行い、それぞれのフーリエ積分から得られた位相角の平均を算出してもよい。
【0039】
離散フーリエ解析、1次直線近似、2次曲線近似、3次曲線近似と高次の近似となるに従い精度が向上するが、同時に計算量も増大する。したがって、PC2はその処理能力に応じて適当な近似のフーリエ解析を用いて位相角φさらにはワーク36の寸法を算出することが好適である。PC2が十分な処理能力を備えている場合、測長すべきワーク36の種類に応じてフーリエ解析の近似度を選択することも好適である。例えば、ワーク36がブロックゲージの場合には、離散フーリエ解析あるいは1次直線近似のフーリエ解析を用い、モアレトポグラフィーを利用した3次元形状測定法等の縞と縞の間隔が数mm等と大きい場合の位相シフト法による位相角を算出するときには2次曲線近似あるいは3次曲線近似のフーリエ解析を用いることができる。干渉計本体1あるいはPC2に測長精度を選択するための選択スイッチあるいは選択メニューを用意し、ユーザがワーク36の種類に応じて適宜、測長精度を選択できるように構成しても良い。
【0040】
以上のようにして、実データのフーリエ解析により位相角φさらにはワーク36の寸法を画素位置(x,y)毎に算出することができるが、外部からの振動による光学系の光路長の変動や撮像タイミングの誤差による撮像間隔の不均一等が原因で実データが必ずしも本来あるべき周期関数上に存在していない場合も生じ得る。
【0041】
図11には実データの一例が示されている。実データ群は、本来であれば周期関数y=Acos(ωx+φ)上に存在するはずであるが、上述した原因により周期関数から乖離した実データ100が得られる場合がある。実データ100が得られた撮像タイミングt1では本来図中白丸で示すデータ102が得られるはずであるが、実データ100が得られたのである。この実データ100の濃淡値は、周期関数上では撮像タイミングt2におけるデータ104となるべきデータである。そこで、図12に模式的に示されるように、実データ100の位相をデータ104の位相にεi、x、yだけ補正する位相シフト補正処理を行って実データ波形を補正し、補正後のデータから周期関数の位相角φを求めることが好適である。位相シフト補正は、本来あるべき周期関数を求めることが必要となるが、この本来あるべき周期関数を仮に算出し、仮算出された周期関数を基準として実データの位相シフトを補正し、補正後のデータを用いて再び周期関数を求める処理を繰り返すことで徐々に真の周期関数に近い関数が得られる。
【0042】
図13には、位相シフト補正を考慮した処理フローチャートが示されている。図13の処理は、図4に示された処理の一部、あるいはサブルーチンとして実行されるものである。図4に示された処理により、実データの適当な近似のフーリエ解析により位相角φを決定する(S105)。位相角φを決定した後、位相角φ及び振幅Aで決定される周期関数(この周期関数が仮の周期関数に相当する)に対して各画像フレームにおける各画素の実データの位相シフト補正量εi、x、yを算出する(S1051)。実データの位相シフト補正量εi、x、yをそれぞれ算出した後、フレーム毎に全画素の実データにわたる位相シフト補正量の加重平均ψiを算出する(S1052)。この加重平均は、振幅と位相角によって重み付けられた加重平均であり、具体的には、
【数22】
ψi=ΣΣεi、x、y(Ai、x、ycosφi、x、y)2/ΣΣ(Ai、x、ycosφi、x、y)2 ・・・・(22)
である。ΣΣはそれぞれx、yについての和であり、フレームiにおける全画素(x,y)についての和であることを示す。以上のようにしてフレーム毎の平均位相シフト補正量ψiを算出した後、このψiが所定のしきい値ψth以下であるか否かを判定する(S1053)。しきい値以下であれば位相シフト補正は完了したとみなし、図4におけるS106以下の処理を実行して端数値、さらにはワーク36の寸法を測定する。一方、位相シフト補正量ψiがしきい値を越える場合、未だ位相シフト補正が十分でないとみなしてそのフレームの各画素の実データにそれぞれψiを加算して実データを補正し、補正後のデータを用いて再度フーリエ積分を行い(S1054)、位相角φと振幅Aを再算出する(S1055)。位相角φと振幅Aを算出した後、S1051の処理を繰り返し、位相シフト補正量の加重平均値を算出してしきい値と大小を比較する。位相シフト補正量ψiが十分小さくなるまで位相シフト補正を繰り返すことで、次第に真の周期関数に近づき、位相角φ及び振幅Aを高精度に算出できる。
【0043】
図14及び図15には、それぞれ位相シフト補正前の実データ波形及び位相補正後の実データ波形が示されている。両図において、干渉縞画像内の3つの画素位置における3つの実データ波形が示されている。両図において、例えば位置A及びBに着目すると、位相補正前においては基準周期関数から乖離した実データが位相補正後には基準周期関数上に存在していることがわかる。位相シフト補正を施すことで、全実データを有効活用しつつ、かつ、高精度にワーク36の寸法を算出することができる。
【0044】
なお、位相シフト補正を行うか否かは、フーリエ解析の近似の次数と同様にワーク36の種類に応じて設定することができる。例えば、要求される位相角の算出精度により、または干渉縞の種類(間隔)等により設定する。位相シフト補正は、フレーム毎の全実データの位相シフト補正量の加重平均値が所定のしきい値以下となるまで繰り返し実行されるが、所定回数だけ実行するようにPC2をプログラミングしてもよい。ワーク36の種類に応じて実行回数を設定することも好適である。さらに、位相シフト補正を所定回数繰り返しても、加重平均が所定のしきい値以下とならない場合には、装置の異常振動等が生じたことを検出でき、異常データであることをユーザに報知することもできる。フーリエ解析の近似次数と位相シフト補正の有無の組み合わせは任意に選択できる。最も精度の低い組み合わせは、(離散フーリエ解析)+(位相シフト補正なし)であり、最も精度の高い組み合わせは、(3次あるいはそれ以上の高次のフーリエ解析)+(位相シフト補正あり)である。ユーザあるいはPC2は、ワーク36の種類、PC2の処理能力その他、必要に応じて可能な組み合わせのいずれかを選択して測定できる。
【0045】
本実施形態では、マイケルソン型干渉計を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、寸法や表面形状等を測定する場合に用いられる位相シフト法の位相を算出するときに広く適用することができる。このような干渉計には、トワイマン−グリーン干渉計やフィゾー型干渉計がある。また、位相シフト手段としては、光学楔の他に参照鏡をPZT等の圧電素子で移動させてもよい。さらに、本実施形態では干渉計により縞画像を形成する場合について説明したが、被測定物の縞画像は任意の方法で形成でき、格子パターン投影法やモアレトポグラフィーにも適用することができる。
【0046】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、得られたデータを有効に活用して高精度に位相シフト縞を解析することができる。また、解析結果により例えば被測定物の寸法や表面形状等の被測定物情報を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態にかかるマイケルソン型干渉測定装置の構成図である。
【図2】干渉縞画像取得処理フローチャートである。
【図3】干渉縞画像におけるある画素位置の実データ波形説明図である。
【図4】ワーク寸法算出処理フローチャートである。
【図5】離散フーリエ解析におけるフーリエ積分説明図(その1)である。
【図6】離散フーリエ解析におけるフーリエ積分説明図(その2)である。
【図7】離散フーリエ解析におけるフーリエ積分説明図(その3)である。
【図8】1次直線近似のフーリエ解析におけるフーリエ積分説明図である。
【図9】2次曲線近似のフーリエ解析におけるフーリエ積分説明図である。
【図10】3次曲線近似のフーリエ解析におけるフーリエ積分説明図である。
【図11】実データの位相シフト誤差説明図である。
【図12】実データの位相シフト誤差補正説明図である。
【図13】位相シフト誤差補正を施したワーク寸法算出処理フローチャートである。
【図14】位相シフト誤差補正前の実データ波形説明図である。
【図15】位相シフト誤差補正後の実データ波形説明図である。
【図16】Hariharan法の説明図である。
【符号の説明】
10 レーザ光源、28 光学楔(ウェッジガラス)、34 ベースプレート、36 ワーク、42 CCDカメラ、1 干渉計本体、2 コンピュータ(PC)。
【発明の属する技術分野】
本発明は干渉測定装置及び位相シフト縞解析装置に関し、特に干渉計により形成された被測定物の干渉縞あるいは格子パターン等を被測定物に投影して形成された被測定物の縞画像等の位相をシフトさせて解析し、被測定物に関する情報を得る装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、ブロックゲージ等のワークの寸法を測定する装置としてマイケルソン型干渉測定装置が知られている。マイケルソン型干渉測定装置では、下面にベースプレートを密着させたワークを干渉計の一方の光路中に挿入し、ワーク及びベースプレートで反射した光を他方の光路からの光と干渉させ、干渉縞の端数値からワークの寸法を測定する。ワークの寸法Lは、一般に
【数1】
L=(λ/2n)(N+b/a) ・・・(1)
で示される。ここで、λは干渉光の波長、nは干渉光路の空気屈折率、Nは干渉縞の正数部(干渉次数)、b/aは干渉縞の端数値である。なお、ワークの温度膨張等は無視している。
【0003】
干渉縞の端数値b/aを求めるには、例えば以下の方法が用いられる。すなわち、干渉計の2つの光路のいずれか一方に光学楔を挿入し、光学楔を移動させながら干渉縞を観察する。そして、干渉縞の濃淡変化を光学楔の移動量の関数として算出する。当該関数は周期関数であり、一般に三角関数y=Acos(ωx+φ)+Bで表現される。yは濃淡値、Aは振幅、xは光学楔の移動量、φは位相角、Bはオフセットである。ベースプレートからの干渉縞の位相角とワークにおける干渉縞の位相角の差分から干渉縞の端数値b/aが算出される。
【0004】
濃淡変化y=Acos(ωx+φ)+Bにおける位相角φを求めるための方法の一つとして、一般にHariharan法が用いられる。Hariharan法においては、干渉縞画像の所定の画素位置において得られた濃淡データ群の中から光学楔の移動量(位相シフト量)が等しい5個の実データを取り出し、5個の実データについての公式を用いて振幅A及び位相角φを求める。具体的には、5個の実データの濃淡値をI1、I2、I3、I4、I5とし、実サンプル間の位相シフトピッチをD(D≒π/2)とすると、位相角φは、
【数2】
φ=tan−1{2sin(D)・(I2−I4)/(2I3−I5−I4)}・・・(2)
により算出される。
【0005】
図16には、Hariharan法において用いられる5個の実データの一例が示されている。図において、横軸は位相シフト量であり、光学楔の移動量と等価である。位相基準波形はベースプレートにおける干渉縞画像の実データである。互いにD1,D2,D3,D4だけ位相が離れた5個の実データが黒丸で示されている。
【0006】
【特許文献1】
特開平6−341809号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、Hariharan法においては、実際に得られた実データ群(光学楔を移動させながら干渉縞画像を例えば32枚取得した場合、画像の所定の位置における実データは画像の枚数分32個存在する)の中から5個の実データを抽出して位相角φを算出しているため、他の実データが無駄となる。また、Hariharan法は、算出に用いる実データ間の位相シフトピッチが等間隔であることを前提としており、外部からの振動による光学系の光路長の変動やデータ入力タイミングの誤差等により実データ間の位相シフトピッチにバラツキが生じた場合に位相角算出の精度が低下する問題がある。
【0008】
本発明の目的は、Hariharan法を用いることなく、実際に得られたデータを有効に活用して高精度に干渉縞その他の縞画像の位相を解析することができる干渉測定装置及び位相シフト縞解析装置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の干渉測定装置は、平行光線を2分割した一方の光の光路中にベースプレートを密着させた被測定物を挿入し、前記被測定物及び前記ベースプレートで反射した光を前記2分割した他方の光と干渉させるとともに、いずれか片方の光路中に挿入した光学楔等の位相シフト手段により干渉縞を移動させながら干渉縞の端数値を求め、この端数値に基づき前記被測定物を測定する干渉測定装置であって、前記位相シフト手段の移動に伴って前記干渉縞画像を順次取得する画像取得手段と、前記干渉縞画像内の任意の位置における濃淡レベルを前記位相シフト手段の移動量の周期関数として算出する際に、取得した干渉縞画像から得られた濃淡レベルデータを非等間隔な実データピッチでフーリエ解析して算出し、得られた前記周期関数に基づき前記端数値を算出する演算手段とを有することを特徴とする。実際に取得したデータの間隔は必ずしも等間隔ではないが、本発明ではこれらの実データのフーリエ解析により周期関数を算出し、さらに端数値を求める。
【0010】
フーリエ解析の近似の次数は任意であるが、例えば離散フーリエ解析、1次直線近似、2次曲線近似、3次曲線近似等が用いられる。フーリエ解析を行う演算装置の処理能力や測定すべき被測定物の種類に応じて次数を決定してもよい。
【0011】
本発明において、さらに、前記演算手段で算出された前記周期関数に基づき、前記干渉縞画像から得られた濃淡レベルデータの位相シフト補正量を算出する位相シフト補正量算出手段と、前記位相シフト補正量を用いて前記濃淡レベルデータの位相を補正する位相補正手段とを有し、前記演算手段は、位相が補正された濃淡レベルデータを用いて前記周期関数を再度算出してもよい。何らかの原因により位相誤差が生じた実データの位相を補正し、位相補正された実データを用いて再度周期関数が算出される。再度算出された周期関数は、位相補正された実データに基づくため、最初に算出された周期関数よりも一般に精度が高くなる。実データの位相誤差の補正も、演算装置の処理能力や測定すべき被測定物の種類に応じて実行するか否かを設定してもよい。
【0012】
また、本発明の位相シフト縞解析装置は、被測定物の縞画像の位相をシフトさせる位相シフト手段と、前記位相シフト手段により位相シフトされた縞画像を順次取得する画像取得手段と、前記縞画像の任意の位置における濃淡レベルを前記位相シフト手段のシフト量の周期関数として算出する際に、取得した画像から得られた濃淡レベルデータを非等間隔な実データピッチでフーリエ解析する演算手段とを有することを特徴とする。位相シフトされた縞画像の濃淡レベルを非等間隔な実データピッチでフーリエ解析することで、実データを有効活用するとともに、通常のフーリエ解析のような等間隔ピッチ条件を排除することで位相シフト手段と画像取得手段との正確な同期制御等が不要となる。被測定物の縞画像は、任意の方法で形成できる。これらを例示すると、干渉計による方法、格子パターン投影法による方法等である。格子パターン投影法は、格子パターンを被測定物に投影し、投影方向とは異なる方向から観察することで得るものである。
【0013】
また、本発明の位相シフト縞解析装置は、干渉計により形成された被測定物の干渉縞の位相をシフトさせる位相シフト手段と、前記位相シフト手段により位相シフトされた干渉縞画像を順次取得する画像取得手段と、前記干渉縞の任意の位置における濃淡レベルを前記位相シフト手段のシフト量の周期関数として算出する際に、取得した画像から得られた濃淡レベルデータを非等間隔な実データピッチでフーリエ解析する演算手段とを有することを特徴とする。本発明においても、位相シフトされた縞画像の濃淡レベルを非等間隔な実データピッチでフーリエ解析することで、実データを有効活用するとともに、通常のフーリエ解析のような等間隔ピッチ条件を排除することで位相シフト手段と画像取得手段との正確な同期制御等が不要となる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づき本発明の実施形態について、干渉計により被測定物の干渉縞を形成し、干渉縞の位相を光学楔の移動によりシフトさせる場合を例にとり説明する。
【0015】
図1には、本実施形態に係る干渉測定装置の一例としてマイケルソン型干渉測定装置の構成が示されている。本測定装置は、干渉計本体1とコンピュータ(PC)2から構成される。
【0016】
干渉計本体1は、レーザ光を射出するレーザ光源10、干渉系、及び干渉縞を画像として撮影するCCDカメラ42を含む。He−Neレーザ光源などのレーザ光源10から射出した波長λのレーザ光は対物レンズ16で集光され、直径10μm程度のピンホールが形成されたフィルタ18を透過した後、レンズ20で平行光とされてミラー22に入射する。ミラー22で反射されたレーザ光はハーフミラー24にて2つの光路に分割される。一方の光路は参照鏡26に向かう光路であり、ハーフミラー24で反射したレーザ光は参照鏡26で反射され、再びハーフミラー24に入射する。他方の光路は被測定物であるワーク36に向かう光路であり、ハーフミラー24を透過したレーザ光は光学楔(ウエッジガラス)28を透過してワーク36及びこのワーク36の下面に密着させたベースプレート34に入射する。ワーク36あるいはベースプレート34で反射したレーザ光は光学楔28を透過して再びハーフミラー24に入射する。光学楔28は送りモータ30により略一定の速度で光路に対して略垂直に駆動される。光学楔28は、その楔角が例えば1°に設定される。光学楔28の移動量は変位センサ32で検出され、検出信号としてPC2に供給される。
【0017】
参照鏡26で反射しハーフミラー24に入射レーザ光とワーク36あるいはベースプレート34で反射しハーフミラー24に入射したレーザ光は互いに干渉し、干渉光はレンズ38及び40を透過してCCDカメラ42に入射する。CCDカメラ42は、干渉光の画像、すなわち干渉縞画像を所定の撮像タイミングで撮像し、画像信号としてPC2に供給する。撮像タイミングは、例えば光学楔28を30μm/secで移動させた場合に15フレーム/secの間隔で撮影する。PC2は、CCDカメラ42から供給された複数の画像(本実施形態では例えば合計32フレームとする)のデータをデジタル値に変換し、メモリに格納する。そして、PC2の演算装置(CPU)は、メモリに格納された画像データを用いて後述する方法により干渉縞画像の任意の画素位置において位相角φを算出する。
【0018】
図2には、PC2で干渉縞画像を取得するまでの処理フローチャートが示されている。まず、光学楔(ウェッジガラス)28の送り速度とフレームレートを設定する(S11)。次に、光学楔28を送りモータ30により光路と略垂直に移動させ(S12)、光学楔28の移動速度が安定するまで待機する(S13)。待機時間は固定でもよい。移動速度が安定した後、CCDカメラ42から干渉縞画像を入力し(S14)、PC2のメモリに干渉縞画像をストアして(S15)、
次フレームまで待機する(S16)。S14〜S16の処理を全てのフレーム取得まで繰り返し実行し、全ての干渉縞画像を取得した後に(S17にて終了)、光学楔28を当初の位置に戻す(S18)。
【0019】
図3には、以上のようにして取得された合計32フレーム分の干渉縞画像における任意の画素位置での濃淡変化が示されている。図中横軸は1〜32のフレームであり、これは時間軸、あるいは光学楔28の移動量(光学楔28の光路長)、あるいは既述したように位相シフト量と等価である。縦軸はCCDカメラ42における受光強度(濃淡)レベルである。光学楔28を移動させるに従い、光学楔内の光路長が変化して干渉縞がシフトし、ある画素位置における濃淡も周期的に変化する。濃淡値yは上述したようにy=Acos(ωx+φ)により表現することができる。PC2では、図3に示されたような実データ群を用いて任意の画素位置における周期関数の振幅A及び位相角φを算出する。
【0020】
図4には、PC2における任意の画素位置での振幅A及び位相角φの算出処理フローチャートが示されている。まず、干渉縞画像内における任意の画素位置(x,y)における合計32フレーム分の実データをメモリから取得する(S101)。これらの実データは、図3に示されるように一般に波形データを示す。次に、PC2は、これら32個の実データに対してフーリエ解析する。すなわち、所定区間2nπ(n=1,2,・・)においてフーリエ積分し(S102)、フーリエ積分の結果から位相角φと振幅Aを算出する(S103)。
【0021】
図5には、S102におけるフーリエ積分の様子が示されている。図において、横軸は位相シフト量であり、縦軸は濃淡値である。フーリエ積分は、部分積分の和として算出され、部分積分は実データの値を有する矩形領域面積で近似される。
【0022】
これは、一般にFFTあるいは離散フーリエ解析として知られるものであるが、一般のフーリエ解析では位相シフト量のピッチは等間隔で、かつピッチは2nπ/mでなければならないところ、本実施形態においては非等間隔な実データの間隔でフーリエ積分される点が相違する。ここで、nは自然数であり、mは4以上の整数である。ピッチと区間がこのような条件に拘束されないため、位相シフトとカメラの同期制御等が不要で、外部環境の振動等による位相シフトのふらつきがあってもよいため、装置制御や除振構造も簡易化される。部分積分は
【数3】
ΔFi=(θi+1−θi)・gi・ exp(iθi) ・・・(3)
である。giはi番目のデータの濃淡値である。θi+1−θiは、必ずしも一定ではない。これを所定の区間2nπにわたり積分する。すなわち、
【数4】
F=ΣΔFi ・・・(4)
但し、最後の部分積分の区間については、θi+1は2nπより大きくなるため、この区間の部分積分はΔFi=(2nπ−θi)・gi・exp(iθi)となる。
【0023】
以上のようにして得られた積分結果における実部Re(F)と虚部Im(F)から、位相角φと振幅Aが以下のように算出される。
【0024】
【数5】
位相角φ=tan−1(Im(F)/Re(F)) ・・・(5)
【数6】
振幅A=|F| ・・・(6)
また、オフセットBについては、オフセットの部分積分ΔBi=(θi+1−θi)・giを行い、これを2nπ分の区間だけ積算し、区間幅で除算して算出する。すなわち、B=ΣΔBi/2nπで算出される。但し、最後のオフセットの部分積分の区間については、θi+1は2nπより大きくなるため、この区間のオフセットの部分積分はΔBi=(2nπ−θi)・giとなる。
【0025】
再び図4に戻り、以上のようにして位相角φと振幅Aを算出した後、算出した振幅Aが所定の下限しきい値Athを越えているか否かを判定する(S104)。算出された振幅Aが下限しきい値Ath以下である場合には、ノイズに埋もれているデータであり、ワーク36の寸法を算出するためのデータとして採用せず無効データと見なす(S107)。一方、振幅Aが下限しきい値Athを越える場合には有効なデータであると見なし、S103で算出された位相角φを当該画素位置(x、y)における位相角φに決定する(S105)。位相角φが決定された後、この位相角φに基づき当該画素位置における端数値、さらにはワーク36の寸法L(x,y)を算出する(S106)。具体的には、当該画素位置(x,y)における端数値は、ベースプレート34の位相角を0とした場合に、
【数7】
b/a=φ/2π ・・・(7)
で算出されるから、上記の(1)式に基づき当該画素位置におけるワーク36の寸法L(x,y)が算出できる。
【0026】
なお、S106において、ワーク36の寸法自体ではなく、ワークの寸法分布あるいはワーク36の表面分布を算出することもできる。具体的には、ワークの寸法分布h(x,y)は、干渉次数N等を無視して
【数8】
h(x,y)=λ/2π・φ ・・・(8)
により算出される。ワーク36の寸法を「高さ」とみなすと、(8)式によりワーク36の高さ分布が得られる。(7)式あるいは(8)式を用いて干渉縞画像の全ての画素位置においてワーク寸法あるいはワーク寸法分布を算出することで、単にワーク36の寸法を算出するのではなくその凹凸の状況を測定することができる。
【0027】
このように、本実施形態においてはHariharan法を用いるのではなく、実データの非等間隔ピッチのフーリエ解析により位相角φを決定するため、実データの位相シフトピッチが等間隔でなくても位相角φを高精度に算出することができる。また、所定区間2nπにおける実データのフーリエ積分により位相角φを算出するため、より多くの実データを用いて位相角φを高精度に決定できる。
【0028】
なお、本実施形態において、所定区間2nπを所定ピッチずつずらして全実データにわたってフーリエ積分を演算し、個々のフーリエ積分により得られた位相角の平均値を算出することで最終的な位相角φを決定することも好適であり、これにより全実データを用いて位相角φを決定できる。
【0029】
図6には、図5に示されたフーリエ積分区間を1実データだけシフトさせた積分区間が示されており、図7にはさらに1実データだけシフトさせた他のフーリエ積分区間が示されている。このように1実データだけ順次シフトさせてフーリエ積分を実行し、各フーリエ積分の結果から算出された位相角φを平均して最終的な位相角φとする。
【0030】
また、本実施形態においては離散フーリエ解析により実データから位相角φを算出しているが、より高近似のフーリエ解析を用いて算出することもできる。すなわち、離散フーリエ解析の代わりに、1次直線近似のフーリエ解析、2次曲線近似のフーリエ解析、さらには3次曲線近似のフーリエ解析等を用いて振幅A及び位相角φを算出することもできる。
【0031】
図8には1次直線近似のフーリエ解析におけるフーリエ積分が示されている。フーリエ積分区間は、離散フーリエ解析の実施形態と同様に2nπ分の区間である。近似直線は、
【数9】
gi=aiθ+bi
ai=(gi−gi+1)/(θi−θi+1)
bi=(θi・gi+1−θi+1・gi)/(θi−θi+1) ・・・(9)
であり、部分積分は、
【数10】
となる。これを2nπ分の区間だけ積分する。すなわち、
【数11】
F=ΣΔFi ・・・(11)
そして、得られたフーリエ積分の結果から振幅Aと位相角φを算出する。振幅Aが所定の下限しきい値Ath以下の場合にはノイズに埋もれていると見なし無効データとする。
【0032】
オフセットBについては、オフセットの部分積分ΔBi=∫(aiθ+bi)dθを行い、これを離散フーリエ解析の実施形態と同様に2nπ分の区間だけ積算し、区間幅で除算して算出する。すなわち、B=ΣΔBi/2nπで算出される。1次直線近似の場合にも、離散フーリエ解析と同様にフーリエ積分区間を1実データずつシフトさせて複数回行い、得られた複数個の位相角の平均値をもって最終的な位相角φとすることもできる。
【0033】
図9には2次曲線近似のフーリエ解析が示されている。2次曲線近似は、
【数12】
gi=aiθ2+biθ+ci ・・・(12)
である。ここで、
【数13】
であり、3元連立方程式を解いて、ai、bi、ciを求める。
【0034】
【数14】
部分積分は、
【数15】
となり、離散フーリエ解析の実施形態と同様に2nπの区間だけ積分する。
【0035】
【数16】
F=ΣΔFi ・・・(16)
そして、フーリエ積分結果から、振幅Aと位相角φを算出する。オフセットBについては、オフセットの部分積分ΔBi=∫(aiθ2+biθ+ci)dθを行い、これを離散フーリエ解析の実施形態と同様に2nπ分の区間だけ積算し、区間幅で除算して算出する。すなわち、B=ΣΔBi/2nπで算出される。フーリエ積分区間を1実データずつシフトさせて行い、それぞれのフーリエ積分から得られた位相角の平均を算出してもよい。
【0036】
図10には、3次曲線近似のフーリエ解析が示されている。3次曲線近似は、
【数17】
gi=aiθ3+biθ2+ciθ+di ・・・(17)
である。ここで、
【数18】
であり、4元連立方程式を解いてai,bi,ci,diを求める。
【0037】
【数19】
部分積分は、
【数20】
となり、これを離散フーリエ解析の実施形態と同様に2nπの区間だけ積分する。
【0038】
【数21】
F=ΣFi ・・・(21)
そして、フーリエ積分結果から、振幅Aと位相角φを算出する。オフセットBについては、オフセットの部分積分ΔBi=∫(aiθ3+biθ2+ciθ+di)dθを行い、これを離散フーリエ解析の実施形態と同様に2nπ分の区間だけ積算し、区間幅で除算して算出する。すなわち、B=ΣΔBi/2nπで算出される。フーリエ積分区間を1実データずつシフトさせて行い、それぞれのフーリエ積分から得られた位相角の平均を算出してもよい。
【0039】
離散フーリエ解析、1次直線近似、2次曲線近似、3次曲線近似と高次の近似となるに従い精度が向上するが、同時に計算量も増大する。したがって、PC2はその処理能力に応じて適当な近似のフーリエ解析を用いて位相角φさらにはワーク36の寸法を算出することが好適である。PC2が十分な処理能力を備えている場合、測長すべきワーク36の種類に応じてフーリエ解析の近似度を選択することも好適である。例えば、ワーク36がブロックゲージの場合には、離散フーリエ解析あるいは1次直線近似のフーリエ解析を用い、モアレトポグラフィーを利用した3次元形状測定法等の縞と縞の間隔が数mm等と大きい場合の位相シフト法による位相角を算出するときには2次曲線近似あるいは3次曲線近似のフーリエ解析を用いることができる。干渉計本体1あるいはPC2に測長精度を選択するための選択スイッチあるいは選択メニューを用意し、ユーザがワーク36の種類に応じて適宜、測長精度を選択できるように構成しても良い。
【0040】
以上のようにして、実データのフーリエ解析により位相角φさらにはワーク36の寸法を画素位置(x,y)毎に算出することができるが、外部からの振動による光学系の光路長の変動や撮像タイミングの誤差による撮像間隔の不均一等が原因で実データが必ずしも本来あるべき周期関数上に存在していない場合も生じ得る。
【0041】
図11には実データの一例が示されている。実データ群は、本来であれば周期関数y=Acos(ωx+φ)上に存在するはずであるが、上述した原因により周期関数から乖離した実データ100が得られる場合がある。実データ100が得られた撮像タイミングt1では本来図中白丸で示すデータ102が得られるはずであるが、実データ100が得られたのである。この実データ100の濃淡値は、周期関数上では撮像タイミングt2におけるデータ104となるべきデータである。そこで、図12に模式的に示されるように、実データ100の位相をデータ104の位相にεi、x、yだけ補正する位相シフト補正処理を行って実データ波形を補正し、補正後のデータから周期関数の位相角φを求めることが好適である。位相シフト補正は、本来あるべき周期関数を求めることが必要となるが、この本来あるべき周期関数を仮に算出し、仮算出された周期関数を基準として実データの位相シフトを補正し、補正後のデータを用いて再び周期関数を求める処理を繰り返すことで徐々に真の周期関数に近い関数が得られる。
【0042】
図13には、位相シフト補正を考慮した処理フローチャートが示されている。図13の処理は、図4に示された処理の一部、あるいはサブルーチンとして実行されるものである。図4に示された処理により、実データの適当な近似のフーリエ解析により位相角φを決定する(S105)。位相角φを決定した後、位相角φ及び振幅Aで決定される周期関数(この周期関数が仮の周期関数に相当する)に対して各画像フレームにおける各画素の実データの位相シフト補正量εi、x、yを算出する(S1051)。実データの位相シフト補正量εi、x、yをそれぞれ算出した後、フレーム毎に全画素の実データにわたる位相シフト補正量の加重平均ψiを算出する(S1052)。この加重平均は、振幅と位相角によって重み付けられた加重平均であり、具体的には、
【数22】
ψi=ΣΣεi、x、y(Ai、x、ycosφi、x、y)2/ΣΣ(Ai、x、ycosφi、x、y)2 ・・・・(22)
である。ΣΣはそれぞれx、yについての和であり、フレームiにおける全画素(x,y)についての和であることを示す。以上のようにしてフレーム毎の平均位相シフト補正量ψiを算出した後、このψiが所定のしきい値ψth以下であるか否かを判定する(S1053)。しきい値以下であれば位相シフト補正は完了したとみなし、図4におけるS106以下の処理を実行して端数値、さらにはワーク36の寸法を測定する。一方、位相シフト補正量ψiがしきい値を越える場合、未だ位相シフト補正が十分でないとみなしてそのフレームの各画素の実データにそれぞれψiを加算して実データを補正し、補正後のデータを用いて再度フーリエ積分を行い(S1054)、位相角φと振幅Aを再算出する(S1055)。位相角φと振幅Aを算出した後、S1051の処理を繰り返し、位相シフト補正量の加重平均値を算出してしきい値と大小を比較する。位相シフト補正量ψiが十分小さくなるまで位相シフト補正を繰り返すことで、次第に真の周期関数に近づき、位相角φ及び振幅Aを高精度に算出できる。
【0043】
図14及び図15には、それぞれ位相シフト補正前の実データ波形及び位相補正後の実データ波形が示されている。両図において、干渉縞画像内の3つの画素位置における3つの実データ波形が示されている。両図において、例えば位置A及びBに着目すると、位相補正前においては基準周期関数から乖離した実データが位相補正後には基準周期関数上に存在していることがわかる。位相シフト補正を施すことで、全実データを有効活用しつつ、かつ、高精度にワーク36の寸法を算出することができる。
【0044】
なお、位相シフト補正を行うか否かは、フーリエ解析の近似の次数と同様にワーク36の種類に応じて設定することができる。例えば、要求される位相角の算出精度により、または干渉縞の種類(間隔)等により設定する。位相シフト補正は、フレーム毎の全実データの位相シフト補正量の加重平均値が所定のしきい値以下となるまで繰り返し実行されるが、所定回数だけ実行するようにPC2をプログラミングしてもよい。ワーク36の種類に応じて実行回数を設定することも好適である。さらに、位相シフト補正を所定回数繰り返しても、加重平均が所定のしきい値以下とならない場合には、装置の異常振動等が生じたことを検出でき、異常データであることをユーザに報知することもできる。フーリエ解析の近似次数と位相シフト補正の有無の組み合わせは任意に選択できる。最も精度の低い組み合わせは、(離散フーリエ解析)+(位相シフト補正なし)であり、最も精度の高い組み合わせは、(3次あるいはそれ以上の高次のフーリエ解析)+(位相シフト補正あり)である。ユーザあるいはPC2は、ワーク36の種類、PC2の処理能力その他、必要に応じて可能な組み合わせのいずれかを選択して測定できる。
【0045】
本実施形態では、マイケルソン型干渉計を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、寸法や表面形状等を測定する場合に用いられる位相シフト法の位相を算出するときに広く適用することができる。このような干渉計には、トワイマン−グリーン干渉計やフィゾー型干渉計がある。また、位相シフト手段としては、光学楔の他に参照鏡をPZT等の圧電素子で移動させてもよい。さらに、本実施形態では干渉計により縞画像を形成する場合について説明したが、被測定物の縞画像は任意の方法で形成でき、格子パターン投影法やモアレトポグラフィーにも適用することができる。
【0046】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、得られたデータを有効に活用して高精度に位相シフト縞を解析することができる。また、解析結果により例えば被測定物の寸法や表面形状等の被測定物情報を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態にかかるマイケルソン型干渉測定装置の構成図である。
【図2】干渉縞画像取得処理フローチャートである。
【図3】干渉縞画像におけるある画素位置の実データ波形説明図である。
【図4】ワーク寸法算出処理フローチャートである。
【図5】離散フーリエ解析におけるフーリエ積分説明図(その1)である。
【図6】離散フーリエ解析におけるフーリエ積分説明図(その2)である。
【図7】離散フーリエ解析におけるフーリエ積分説明図(その3)である。
【図8】1次直線近似のフーリエ解析におけるフーリエ積分説明図である。
【図9】2次曲線近似のフーリエ解析におけるフーリエ積分説明図である。
【図10】3次曲線近似のフーリエ解析におけるフーリエ積分説明図である。
【図11】実データの位相シフト誤差説明図である。
【図12】実データの位相シフト誤差補正説明図である。
【図13】位相シフト誤差補正を施したワーク寸法算出処理フローチャートである。
【図14】位相シフト誤差補正前の実データ波形説明図である。
【図15】位相シフト誤差補正後の実データ波形説明図である。
【図16】Hariharan法の説明図である。
【符号の説明】
10 レーザ光源、28 光学楔(ウェッジガラス)、34 ベースプレート、36 ワーク、42 CCDカメラ、1 干渉計本体、2 コンピュータ(PC)。
Claims (15)
- 平行光線を2分割した一方の光の光路中にベースプレートを密着させた被測定物を挿入し、前記被測定物及び前記ベースプレートで反射した光を前記2分割した他方の光と干渉させるとともに、いずれか片方の光路中に挿入した光学楔等の位相シフト手段により干渉縞を移動させながら干渉縞の端数値を求め、この端数値に基づき前記被測定物を測定する干渉測定装置であって、
前記位相シフト手段の移動に伴って前記干渉縞画像を順次取得する画像取得手段と、
前記干渉縞画像内の任意の位置における濃淡レベルを前記位相シフト手段の移動量の周期関数として算出する際に、取得した干渉縞画像から得られた濃淡レベルデータを非等間隔な実データピッチでフーリエ解析して算出し、得られた前記周期関数に基づき前記端数値を算出する演算手段と、
を有することを特徴とする干渉測定装置。 - 請求項1記載の装置において、
前記演算手段は、離散フーリエ解析により前記周期関数を算出することを特徴とする干渉測定装置。 - 請求項1記載の装置において、
前記演算手段は、1次直線近似のフーリエ解析により前記周期関数を算出することを特徴とする干渉測定装置。 - 請求項1記載の装置において、
前記演算手段は、2次曲線近似のフーリエ解析により前記周期関数を算出することを特徴とする干渉測定装置。 - 請求項1記載の装置において、
前記演算手段は、3次曲線近似のフーリエ解析により前記周期関数を算出することを特徴とする干渉測定装置。 - 請求項1記載の装置において、
前記演算手段は、前記被測定物の種類に応じ、離散フーリエ解析、1次直線近似のフーリエ解析、2次曲線近似のフーリエ解析、3次曲線近似のフーリエ解析のいずれかを選択的に用いて前記周期関数を算出することを特徴とする干渉測定装置。 - 請求項1記載の装置において、
前記演算手段は、前記フーリエ解析に用いる前記濃淡レベルデータをシフトさせながら濃淡レベルデータ全体にわたって前記周期関数を複数算出し、複数算出された周期関数の平均値を算出することを特徴とする干渉測定装置。 - 請求項1〜7のいずれかに記載の装置において、さらに、
前記演算手段で算出された前記周期関数に基づき、前記干渉縞画像から得られた濃淡レベルデータの位相シフト補正量を算出する位相シフト補正量算出手段と、
前記位相シフト補正量を用いて前記濃淡レベルデータの位相を補正する位相補正手段と、
を有し、前記演算手段は、位相が補正された濃淡レベルデータを用いて前記周期関数を再度算出することを特徴とする干渉測定装置。 - 請求項8記載の装置において、
前記位相シフト補正量算出手段は、前記周期関数の振幅と位相角とで重み付けした各画素の位相シフト補正量を画像内の全画素について加重平均することで算出することを特徴とする干渉測定装置。 - 請求項8記載の装置において、
前記位相シフト補正量算出手段、前記位相補正手段及び前記演算手段は、前記位相シフト補正量が所定のしきい値以下となるまで繰り返し実行することを特徴とする干渉測定装置。 - 請求項1〜10のいずれかに記載の装置において、さらに、
前記干渉画像内の画素位置毎に算出された前記端数値に基づき、前記被測定物の寸法を前記画素毎に算出して前記被測定物の寸法分布として出力する手段と、
を有することを特徴とする干渉測定装置。 - 請求項1〜11のいずれかに記載の装置において、
前記演算手段は、前記周期関数の位相角と振幅を算出し、前記位相角に基づき前記端数値を算出することを特徴とする干渉測定装置。 - 請求項12記載の装置において、
前記演算手段は、前記振幅が所定のしきい値以下の場合には無効データとすることを特徴とする干渉測定装置。 - 被測定物の縞画像の位相をシフトさせる位相シフト手段と、
前記位相シフト手段により位相シフトされた縞画像を順次取得する画像取得手段と、
前記縞画像の任意の位置における濃淡レベルを前記位相シフト手段のシフト量の周期関数として算出する際に、取得した画像から得られた濃淡レベルデータを非等間隔な実データピッチでフーリエ解析する演算手段と、
を有することを特徴とする位相シフト縞解析装置。 - 干渉計により形成された被測定物の干渉縞の位相をシフトさせる位相シフト手段と、
前記位相シフト手段により位相シフトされた干渉縞画像を順次取得する画像取得手段と、
前記干渉縞の任意の位置における濃淡レベルを前記位相シフト手段のシフト量の周期関数として算出する際に、取得した画像から得られた濃淡レベルデータを非等間隔な実データピッチでフーリエ解析する演算手段と、
を有することを特徴とする位相シフト縞解析装置。
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JP2003106016A JP2004309402A (ja) | 2003-04-10 | 2003-04-10 | 干渉測定装置及び位相シフト縞解析装置 |
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- 2003-04-10 JP JP2003106016A patent/JP2004309402A/ja active Pending
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