JP2004309314A - 蛍光検出ヘッド、蛍光検出装置および蛍光検出システム - Google Patents
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Abstract
【課題】暗室を不要とし、被試験物に押し付けるだけで容易に励起光に対する蛍光を検出することができる蛍光検出ヘッドを提供する。
【解決手段】外殻21は、検出作業者が片手で保持可能に構成し、その先端部に設けた測定穴212を容易に被試験物9に押し付けられるようにする。外殻21に内蔵した励起光源22からの励起光は、集光光学系23によって外殻21の測定穴212に集光される。被試験物9が発した蛍光を受光する受光光学系24は、前記測定穴を狙うように位置決めされる。受光光学系24が受光した蛍光は、光ファイバー25によって蛍光検出ヘッド2の外部に取り出される。
【選択図】 図2
【解決手段】外殻21は、検出作業者が片手で保持可能に構成し、その先端部に設けた測定穴212を容易に被試験物9に押し付けられるようにする。外殻21に内蔵した励起光源22からの励起光は、集光光学系23によって外殻21の測定穴212に集光される。被試験物9が発した蛍光を受光する受光光学系24は、前記測定穴を狙うように位置決めされる。受光光学系24が受光した蛍光は、光ファイバー25によって蛍光検出ヘッド2の外部に取り出される。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、被試験物に励起光を照射したときに発せられる蛍光を検出するための蛍光検出ヘッド、蛍光検出装置および蛍光検出システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
合成樹脂等の高分子材料に各種の蛍光物質を含有させ、これに励起光を照射したときに放射される蛍光と、高分子材料の種類情報、製造履歴情報、真偽判別情報等を予め関連付けておくことで、高分子材料等に各種の情報を付与する方法等が提案されている(特許文献1、特許文献2)。
【0003】
このような方法において、高分子材料等に付与された情報の判別は、被試験物となる高分子材料に励起光を照射し、この励起光に対して放射される蛍光をスペクトル分析することが想定されている。
【0004】
【特許文献1】
特開2002−332414号公報
【0005】
【特許文献2】
特開2002−336798号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、情報の判別のために十分な蛍光を被試験物から受光するには、外乱光の影響を避けるために暗室内で検出しなければならなかった。
【0007】
さらに、被試験物から蛍光を放射させるには励起光を集光させなければならない。このため、励起光源および励起光を集光する光学系と被試験物とを正確に位置決めしなければならず、また、蛍光を受光する側の光学系においても、励起光を受けて蛍光を放射している部分を狙うために、被試験物に対して正確に位置決めをしなければならなかった。
【0008】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、被試験物からの蛍光の検出を容易に行うことができる蛍光検出ヘッド、蛍光検出装置および蛍光検出システムを提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明にかかる蛍光検出ヘッドは、遮光性を有し、先端部に測定穴が設けられ、検出作業者が片手あるいは両手で保持可能に構成された外殻と、前記外殻に内蔵された励起光源と、前記励起光源からの励起光を前記測定穴に集光する集光光学系と、前記測定穴を狙うように位置決めされ、前記測定穴に押し付けられた被試験物が前記励起光を受けることによって発する蛍光を受光する受光光学系と、前記受光光学系が受光する蛍光を外部に取り出す光ファイバーと、を備えたことを特徴とするものである。
【0010】
このような蛍光検出ヘッドによると、外殻は片手あるいは両手で保持でき、また測定穴は外殻の先端部に設けられているため、検出作業者は外殻の測定穴を容易に被試験物に押し付けることができる。そして、外殻の測定穴を被試験物に押し付けると、外殻によって外部からの外乱光が遮蔽されるため、暗室内ではない任意の場所であっても被試験物から発せられる微弱な蛍光が外乱光の影響を受けることがない。さらに、励起光源から発せられる励起光は測定穴に集光され、受光光学系はこの測定穴を狙うように予め位置決めされているので、外殻の測定穴を被試験物に密着させるだけで、被試験物に確実に蛍光を放射させ、かつこの蛍光を検出するための位置決めが完了する。したがって、被試験物からの蛍光の検出を容易に行うことができる。
【0011】
また、このような蛍光検出ヘッドにおいては、前記外殻は前記先端部が先細形状に構成されていることが望ましい。
【0012】
このようにすると、検出作業者はさらに容易に外殻の測定穴を被試験物に押し付けることが可能となるため、被試験物からの蛍光の検出をさらに容易に行うことができる。
【0013】
また、このような蛍光検出ヘッドにおいては、前記集光光学系は、前記励起光を集光する焦点位置が、前記測定穴より前記外殻の外側または内側にずれた位置となるように構成されていることが望ましい。
【0014】
このようにすると、励起光は外殻の測定穴を通過するときに若干の広がりを持ち、測定穴が押し付けられた被試験物の表面では若干の広がりを有する領域に励起光が照射されることとなるため、被試験物に十分な蛍光を放射させることができる。
【0015】
また、このような蛍光検出ヘッドにおいては、前記集光光学系によって前記励起光が集光される焦点位置を、前記励起光の照射方向について移動可能な焦点位置移動機構を備えたことが望ましい。
【0016】
このようにすると、外殻の測定穴を通過するときの励起光の広がりの程度や、励起光が集光する焦点を被試験物表面からどの程度の深さ位置にするかなど、励起光の照射条件を調整することができるため、被試験物の種類やその他の条件に対応して適切に試験物から蛍光を放射させることができる。
【0017】
また、このような蛍光検出ヘッドにおいては、前記受光光学系および光ファイバーを複数組備え、各受光光学系は前記測定穴を互いに異なる方向から狙うように配置されていることが望ましい。
【0018】
このようにすると、励起光が照射されることで被試験物から全方向に放射される蛍光のより多くを受光して、高い検出感度を得ることができる。
【0019】
また、このような蛍光検出ヘッドにおいては、前記複数の受光光学系は、それぞれが前記測定穴を狙う方向が前記測光穴を取り囲むように配置されていることが望ましい。
【0020】
このようにすると、各受光光学系が干渉することを軽減しながら測定穴周りのスペースを効率的に利用してより多くの蛍光を受光することができる。
【0021】
また、このような蛍光検出ヘッドにおいては、前記受光光学系は、前記測光穴から取り込まれる蛍光を前記光ファイバーの一端の受光面に集光することが望ましい。
【0022】
このようにすると、光ファイバーによって外部に取り出される光量を効率的に高めることができる。
【0023】
また、このような蛍光検出ヘッドにおいては、前記光ファイバーは、その一端の受光面が前記測定穴を直接狙うように前記測定穴に近接して配置されることにより、前記受光光学系を兼ねることが望ましい。
【0024】
このようにすると、光ファイバーとは別個の受光光学系を必要とせず、より簡素な構成で蛍光を検出することができる。
【0025】
また、このような蛍光検出ヘッドにおいては、前記測定穴に前記被試験物が押し付けられたことを検出する検出手段と、前記検出手段において前記測定穴に被試験物が押し付けられたことが検出されている時にのみ、前記励起光源を発光可能に制御する制御手段と、を備えることが望ましい。
【0026】
このようにすると、外殻の外部に励起光や蛍光が漏れることを防止でき、検出作業者がこれらの光を浴びることを防止することができる。
【0027】
また、本発明にかかる蛍光検出装置は、前記のいずれかの蛍光検出ヘッドと、前記蛍光検出ヘッドが備える前記光ファイバーの他端が接続され、前記被試験物が発した蛍光を分光する分光器と、を備えたことを特徴とするものである。
【0028】
このような蛍光検出装置によると、蛍光検出ヘッドで受光した蛍光を分光器で分析することができる。また、蛍光検出ヘッドが分光器とは別体に構成されるため、検出作業者は蛍光検出ヘッドを容易に取り回すことができる。
【0029】
また、このような蛍光検出装置においては、前記分光器によって検出される前記被試験物が発した蛍光のスペクトル情報から、前記スペクトル情報に関連付けられた情報を判別する判別手段と、前記判別結果を出力する出力手段と、を備えたことが望ましい。
【0030】
このようにすると、被試験物の種類情報、製造履歴情報、真偽判別情報等の各種情報が蛍光のスペクトル情報に予め関連付けられることで被試験物に付与されている場合等には、この被試験物に付与されている各種情報等を判別することができる。
【0031】
また、このような蛍光検出装置においては、前記スペクトル情報に関連付けられた情報を判別する判別手段を備えた所定のサーバに対し、前記分光器によって検出される前記被試験物が発した蛍光のスペクトル情報をネットワーク回線を介して送信し、前記サーバにおける前記判別手段の判別結果をネットワーク回線を介して受信する送受信手段と、前記判別結果を出力する出力手段と、を備えたことが望ましい。
【0032】
このようにすると、被試験物の種類情報、製造履歴情報、真偽判別情報等の各種情報が蛍光のスペクトル情報に予め関連付けられることで被試験物に付与されている場合等には、この被試験物に付与されている各種情報等を判別することができる。また、被試験物の各種情報と蛍光のスペクトル情報との関係をサーバ側で管理するため、この関係を秘匿化することができる。また、蛍光検出装置には判別手段を必要としないため、その構成を簡素なものとすることができる。
【0033】
また、本発明にかかる蛍光検出システムは、前記の蛍光検出装置およびサーバを備えたことを特徴とするものである。
【0034】
このような蛍光検出システムによると、被試験物の種類情報、製造履歴情報、真偽判別情報等の各種情報が蛍光のスペクトル情報に予め関連付けられることで被試験物に付与されている場合等には、この被試験物に付与されている各種情報等を判別することができる。また、被試験物の各種情報と蛍光のスペクトル情報との関係をサーバ側で管理するため、この関係を秘匿化することができる。また、蛍光検出装置には判別手段を必要としないため、その構成を簡素なものとすることができる。
【0035】
【発明の実施の形態】
以下、具体的な実施形態に基づいて本発明を説明する。なお、以下の実施形態では、意図的に各種の蛍光物質を含有された被試験物を想定しており、蛍光物質を含有することで放射する蛍光のスペクトルには、予め設定されたルールに従い、被試験物の種類情報、製造履歴情報、真偽判別情報等が関連付けられているものとする。
【0036】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態にかかる蛍光検出装置の全体外観図である。この蛍光検出装置1は、蛍光検出ヘッド2と装置本体3とからなる。
【0037】
蛍光検出ヘッド2は、検出作業者に手に持たれて被試験物9に直接押し付けられ、励起光に対して被試験物9が放射する蛍光を取り込むものである。
【0038】
図2は、この蛍光検出ヘッド2の断面図である。この蛍光検出ヘッド2は、外殻21と、励起光源22と、集光光学系23と、受光光学系24と、光ファイバー25と、照射スイッチ26と、を備えている。以下、各部について順に説明する。
【0039】
外殻21は、蛍光検出ヘッド2の各部品が取り付けられる基体となるものである。また、外殻21は遮光性を有する材料から構成され、その内部に外乱光が侵入することを防止するものである。具体的には、外殻21は3次元切削加工したアルミニウム材から形成されている。
【0040】
外殻21は、全体として、検出作業者が片手で軽く保持できる大きさに構成されている。また、外殻21は、ペン等と同じように保持できる太さおよび長さに構成されており、ペン先を押し付けるようにして、その先端を被試験物に押し付けられる形状および大きさに構成されている。具体的には、この実施形態では、外形寸法が直径約40mm、全長が約120mmの略円筒形状に構成されている。
【0041】
図3は、外殻21の斜視図である。
【0042】
外殻21の先端側は先細の略円錐部211が形成され、その先端部に外殻21の内外を貫通する測定穴212が設けられている。このような先細形状の先端に測定穴212が設けられることで、検出作業者は測定穴211を被試験物9の表面に容易に押し付けることができるようになっている。また、この測定穴212を被試験物9に押し付けたとき十分に密着させることができ、測定穴212から外乱光が侵入することを防止することができる。
【0043】
測定穴212のサイズは被試験物9に押し付けたときに外乱光が外殻21の内部に進入しない程度のサイズであることが望ましい。この実施形態では測定穴212は、直径4mmの円形孔となっている。
【0044】
外殻21の略円錐形状の周面の一部には、光ファイバー25が接続された受光光学系24を取り付けるための受光光学系取付部212が設けられている。この受光光学系取付部212は、外殻21の内外を貫通している。
【0045】
外殻21の長手方向中央は、円筒形状の胴部214が形成され、検出作業者が掴みやすい形状となっている。この胴部214には、照射スイッチ26を取り付けるための照射スイッチ取付部215が設けられている。
【0046】
外殻21の後端側には、長手方向中央の胴部214より若干小径の円筒形状に部からなる光源収容部216が形成されている。
【0047】
励起光源22は、被試験物9に照射する励起光を発するものである。この実施形態では、励起光源22は、キセノンフラッシュランプから構成されている。
【0048】
図2に示すように、この励起光源22は、外殻21の光源収容部216に内蔵され、外殻21内の所定位置に固定されている。
【0049】
励起光源22を転倒するための高圧電源ケーブル221は、外殻21の後端部の光源収容部216の後端面から装置本体3に接続されている。
【0050】
集光光学系23は、励起光源22が発する励起光を外殻21の先端部に設けられた測定穴212に集光するものである。この実施形態では、集光光学系23は、外殻21の後端部の光源収容部215に収容された集光ミラーから構成されている。
【0051】
図2に示すように、この集光光学系23は、励起光を集光した焦点位置Fが、測定穴212より外殻21の外側にずれた位置となるように構成され、配置されている。
【0052】
図4は、集光光学系の焦点位置の説明図である。この図4において、Sは外殻21の下端面、すなわち測定穴212が押し付けられた被試験物9の表面の高さ位置を示している。またDは、測定穴212の直径を示している。
【0053】
この図4に示すように、集光光学系23による励起光の焦点位置Fは、被試験物9の表面高さ位置Sよりも下方にずれており、励起光が測定穴212を通るときの形(広がり)は測定穴212の径Dとほぼ同一となっている。
【0054】
このことにより被試験物9の表面のうち測定穴212の内側領域全体が励起光の照射を受けることになるため、この領域全体が蛍光を放射することになる。したがって、励起光の焦点位置Fが被試験物9の表面の高さ位置にある場合には励起光が照射される非常に小さい領域のみからのみ蛍光が放射されることとなることと比較して、より多くの蛍光を放射させうることになる。
【0055】
また、励起光の径は測定穴212の径Dとほぼ同一であるから、測定穴212の周囲に遮られて励起光が被試験物9に到達せず損失することもない。
【0056】
受光光学系24は、測定穴212に押し付けられた被試験物が励起光を受けることによって発する蛍光を受光して、これを光ファイバー25の一端の受光面251に集光するものである。この受光光学系24は、測定穴211を狙うように位置決めされている。
【0057】
図5は、受光光学系24の断面説明図である。この図5に示すように、受光光学系24は、コリメートレンズ241と、コリメートレンズ241が取り付けられるレンズホルダー242と、光ファイバー25が取り付けられる光ファイバーホルダー243とを備えている。
【0058】
コリメートレンズ241は、この実施形態では、平凸レンズから構成されており、受光した平行光を一点に集光する。この集光した一点に、光ファイバー25の一端の受光面251が位置するようになっている。具体的には、光ファイバー25は、その被覆された本体部253が光ファイバーホルダー243で支持されているが、その芯部はレンズホルダー242に挿し込まれ、コリメートレンズ241に平行光が入射すれば、光ファイバー25の受光面に集光するようになっている。
【0059】
レンズホルダー242は、外殻21の受光光学系取付部213に嵌め込まれ、接着あるいはネジ止め等の固定手段によって固定される。レンズホルダー242は、こうして外殻21に装着されたとき、コリメートレンズ241の位置および向きが測定穴212を狙うようになっている。
【0060】
コリメートレンズ241は、その直径が測定穴212の直径とほぼ同一の4mmとなっている。このため、測定穴212から受光光学系25の方向に向かって放射された蛍光を、十分に受光することができる。
【0061】
光ファイバー25は、受光光学系24が受光する蛍光を外部に取り出すものである。
【0062】
光ファイバー25の一端の受光面251は、図5に示すように、集光光学系24のコリメートレンズ241によって蛍光が集光される集光点に位置している。また光ファイバー25の他端252は、後述する図6に示すように、検出装置本体3の分光器31に接続されている。
【0063】
照射スイッチ26は、検出作業者が励起光源22の点灯と消灯を操作するものである。
【0064】
この実施形態では、照射スイッチ26は、押圧時にのみONとなり、押圧解除時には自動的にOFFとなる押しボタンスイッチから構成されている。これにより、必要なときにのみ励起光源22を点灯させることができるようになっている。
【0065】
図2に示すように、照射スイッチ26は、外殻21の胴部214に取り付けられている。これにより、検出作業者がこの蛍光検出ヘッド2を保持している手で容易に励起光源22のON/OFF操作ができるようになっている。
【0066】
検出装置本体3は、蛍光検出ヘッド2によって取り込まれる被試験物9が放射した蛍光を分光処理するものである。この実施形態における検出装置本体3は、蛍光を分光して得たスペクトルから、さらにこの蛍光のスペクトルに関連付けられた各種の情報、すなわちこの被試験物9に与えられた情報を判別する機能をも果たすようになっている。
【0067】
この検出装置本体3は、図1に示すように、持ち運びのためのハンドル36を備え、蛍光検出ヘッド2とともに持ち運び可能となっており、任意の場所で被試験物9の蛍光検出作業を行うことができるようになっている。
【0068】
図6は、検出装置本体3の内部構成の機能ブロック図である。この図6に示すように、検出装置本体3は、分光器31および励起光源22のための高圧電源部35を内蔵したコンピュータから構成されている。このコンピュータは、CPU、RAM、ROM、ハードディスク装置等の記憶手段および外部入出力装置等を備えている。このコンピュータは、機能的に、スペクトルパターン記憶手段32と、比較判断手段33と、モニタ34とを備えている。
【0069】
分光器31は、蛍光検出ヘッド2において検出された蛍光を分光して、蛍光のスペクトル波形を得るものである。この分光器31には、蛍光検出ヘッド2が備える光ファイバー25の他端252が接続されている。この分光器31によって得られる蛍光のスペクトル波形は、これを比較判断手段33に送られ、このスペクトル波形に関連付けられた情報が判別される。
【0070】
スペクトルパターン記憶手段32は、意図的に各種の蛍光物質を含有された被試験物が発する蛍光の種々のスペクトルパターンと、各スペクトルパターンに関連付けられた被試験物の種類情報、製造履歴情報、真偽判別情報等の種々の情報とを記憶するものである。すなわち、被試験物9に蛍光のスペクトルを介して種々の情報を担わせるための予め設定されたルールを記憶するものである。このスペクトルパターン記憶手段32は、比較判断手段33とともに判別手段として機能する。
【0071】
この実施形態では、このスペクトルパターン記憶手段32は、スペクトル波形そのものをスペクトルパターンとして記憶している。
【0072】
比較判断手段33は、被試験物9が発した蛍光のスペクトル波形(スペクトル情報)から、このスペクトル波形(スペクトル情報)に関連付けられた各種の情報、すなわちこの被試験物9に与えられた情報を判別するものである。この比較判断手段33は、スペクトルパターン記憶手段32とともに判別手段として機能する。
【0073】
この実施形態では、比較判断手段33は、スペクトルパターン記憶手段32に予め記憶されている多数のスペクトルパターンと、被試験物9が発した蛍光のスペクトル波形(スペクトル情報)とを順次比較し、一致するスペクトルパターンに関連付けられた情報をスペクトルパターン記憶手段32から読み出すようになっている。
【0074】
図7は、スペクトル波形の分析の一例を示す説明図である。図7(a)は、スペクトルパターン記憶手段32に予め記憶されてるスペクトルパターンの一例、図7(b)は、被試験物9から検出したスペクトル波形の一例を示している。
【0075】
図7(a)に示すスペクトルパターンと、図7(b)に示すスペクトル波形とは厳密には一致していない。しかしながら、実際に被試験物9から検出されたスペクトル波形(図7(b))は、ノイズ等の影響を受けている可能性があるため、ここでは、いくつかの(具体的には3つ)のピーク波長が一致することをもって両者が一致すると判断する。そうすると、図7(a)、(b)は、ともにピーク波長はa,b,cであるため、両者は一致していると判断される。
【0076】
したがって、この場合、図7(a)に示したスペクトルパターンに関連付けられ、スペクトルパターン記憶手段32に記憶されている情報が、判別結果となる。
【0077】
モニタ33は、比較判断手段33における判別結果(判別された情報)を出力し、検出作業者に伝達するものである。このモニタ34は、出力手段として機能する。
【0078】
高圧電源部35は、蛍光検出ヘッド2の励起光源22に発光のための高圧電源を供給するものである。この高圧電源部35には、高圧電源ケーブル221およびスイッチ信号線261が接続されており、検出作業者が照射スイッチ26をON操作したときに、励起光源22に高圧電源を供給するようになっている。
【0079】
以上のように構成された蛍光検出装置1によると、このような蛍光検出ヘッド1を片手で保持して測定穴212を容易に被試験物9に押し付け、暗室内ではない任意の場所であっても、外乱光の影響を受けることなく、被試験物9から発せられる微弱な蛍光を検出することができる。
【0080】
さらに、励起光源22から発せられる励起光は測定穴212に集光され、受光光学系24はこの測定穴212を狙うように予め位置決めされているので、外殻21の測定穴212を被試験物9に密着させるだけで、被試験物9に確実に蛍光を放射させ、かつこの蛍光を検出するための位置決めが完了する。したがって、被試験物9からの蛍光の検出を容易に行うことができる。
【0081】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態について説明する。
【0082】
図8は、第2実施形態にかかる蛍光検出ヘッド4の断面説明図である。
【0083】
なお、以下の実施形態では重複説明を避けるため、上記第1実施形態と実質的に同じ機能を果たす構成要素には原則として同符号を付し、特に言及しない構成は上記第1実施形態と実質的に同じとする。
【0084】
この第2実施形態にかかる蛍光検出ヘッド4は、複数組の受光光学系44…および光ファイバー25…を備え、各受光光学系44…が測定穴212を互いに異なる方向から狙うように配置したものである。
【0085】
図9は、複数の受光光学系44…の配置を概念的に表現した説明図である。この図9に概念的に示すように、複数の受光光学系44…は、測定穴212の周囲を取り囲むように配置され、測定穴212の周囲からそれぞれ測定穴212を狙うようになっている。
【0086】
このような蛍光検出ヘッド4によると、励起光が照射されることで被試験物9から全方向に放射される蛍光を効率的に受光して高い検出精度を得ることができる。
【0087】
特に10以上の受光光学系44…によって、測定穴212から取り込まれる蛍光を受光するようにすると、放射される蛍光が微弱であっても、これを十分に受光することが可能となる。
【0088】
また、各受光光学系44…が干渉することを軽減しながら測定穴212周りのスペースを効率的に利用することができる。
【0089】
なお、この第2実施形態では、集光光学系43がコリメートレンズから構成され、励起光源22から照射される励起光を測定穴212に集光するようになっている。
【0090】
また、集光光学系43が励起光を集光した焦点位置Fは、測定穴212と同じ高さ位置、すなわち被試験物9の表面高さ位置に調整されている。このようにすると、焦点位置Fに非常に強い励起光を照射することができるため、蛍光放射のために十分に強い励起光の照射が必要とする場合には好適である。
【0091】
さらに、この場合、蛍光は、集光光学系43による焦点位置Fが位置する被試験物9表面上の一点のみから照射されるため、複数の受光光学系44…はこの1点からの光を効率的に受光して光ファイバー25に集光できるように、両凸のコリメータレンズから構成されている。
【0092】
(第3実施形態)
次に、第3実施形態について説明する。
【0093】
図10は、第3実施形態にかかる蛍光検出ヘッド5の先端部分の断面図である。
【0094】
この第3実施形態にかかる蛍光検出ヘッド5は、複数の光ファイバー55…がその一端の受光面551で測定穴212を直接狙うように測定穴212に近接して配置したものである。
【0095】
このようにすると、各光ファイバー55…が、自身の受光面551…に被試験物からの蛍光を受光する受光光学系を兼ねることとなり、光ファイバー55…とは別個のコリメートレンズのような受光光学系を必要とないため、簡素な構成が実現できる。
【0096】
(第4実施形態)
次に、第4実施形態について説明する。
【0097】
図11は、第4実施形態にかかる蛍光検出ヘッド6の斜視斜視図である。
【0098】
この第4実施形態にかかる蛍光検出ヘッド6は、集光光学系23によって励起光が集光される焦点位置Fを、励起光の照射方向について移動可能な焦点位置移動機構を備えたものである。
【0099】
具体的には、この焦点位置移動機構は、励起光源22および集光光学系23を収容する光源収容部66を、測定穴212が形成された外殻61に対してネジ止めによって結合させたネジ結合部67から構成されており、光源収容部66を外殻61に対して回転させることで、励起光源22および集光光学系23を測定穴212に対して接離させる方向に移動できるようになっている。
【0100】
このような焦点移動機構を備えることにより、外殻61の測定穴212を通過するときの励起光の広がりの程度を変更したり、励起光が集光する焦点Fを被試験物よりも手前のF’位置にしたり、被試験物の表面から内部に入り込んだ深い位置Fにするなど、励起光の照射条件を調整することができるため、被試験物の種類やその他の条件に対応して適切に試験物から蛍光を放射させることができる。
【0101】
(第5実施形態)
次に、第5実施形態について説明する。
【0102】
図12は、第5実施形態にかかる蛍光検出ヘッド7の先端部分の断面図である。
【0103】
この第5実施形態は、測定穴212が被試験物9に押し付けられたことを検出する検出手段を備え、この検出手段において測定穴212に被試験物9が押し付けられたことが検出されている時にのみ、励起光源22を発光させるようにしたものである。
【0104】
具体的には、この検出手段は、外殻71の下面の測定穴212に近接する位置に配置され、被試験物9と接触して押し込まれるリミットスイッチ77として構成されており、測定穴212が被試験物9に押し付けられたことを検知するようになっている。
【0105】
そして、検出装置本体3の高圧電源部35は、このリミットスイッチ(検出手段)77が被試験物9を検知し、かつ照射スイッチ26が検出作業者によってON操作されている場合に限り、励起光源22を点灯するようになっている。
【0106】
このような蛍光検出ヘッド7によると、測定穴212が被試験物9に押し付けられているときにのみ励起光源22が点灯するようになるから、外殻71の外部励起光が漏れることを防止して、検出作業者がこれらの光を意図せず浴びてしまうような事態を防止することができる。
【0107】
(第6実施形態)
次に、第6実施形態について説明する。
【0108】
図13は、第6実施形態にかかる蛍光検出システム8の全体構成図である。
【0109】
上述した第1実施形態等では、蛍光検出ヘッド2において検出した被試験物の蛍光を直接光ファイバ25で接続された検出装置本体3で分光し、さらに被試験物9が担う各種の情報を判別するようにしていた。これに対し、この第6実施形態にかかる蛍光検出システム8は、検出装置本体3で分光して得られたスペクトル情報を、ネットワーク回線を介して遠隔地のサーバコンピュータに送信し、このサーバコンピュータにおいて被試験物9が担う各種の情報の判別を行うように構成したものである。ネットワーク回線とは、遠隔地での情報の送受を担う媒体であればよく、たとえばインターネット、携帯電話網等を挙げることができる。
【0110】
具体的には、この蛍光検出システム8は、被試験物から蛍光を検出する蛍光検出装置81と、サーバコンピュータ84とを備えている。
【0111】
蛍光検出装置81は、蛍光検出ヘッド82と、検出装置本体83とを備え、被試験物がある現場近傍にある。蛍光検出ヘッド82は、上述した第1〜第5実施形態のいずれかと同様の構成を備えている。検出装置本体83は、被試験物が放射した蛍光を分光してスペクトル情報を得る分光器831と、被試験物9が担う各種情報を検出作業者等に提示するためのモニタ834と、高圧電源を供給する高圧電源部835に加え、スペクトル情報をサーバコンピュータ84に送信し、判別結果を受信する送受信手段836を備えている。
【0112】
サーバコンピュータ84は、検出装置本体83からスペクトル情報を受信し、判別結果を送信する送受信手段841と、スペクトルパターン記憶手段842と、比較判断手段843とを備えており、受信したスペクトル情報をスペクトルパターン記憶手段842に記憶している予め設定されたスペクトルパターンと比較して、一致するスペクトルパターンに関連付けられた情報を特定し、これを判別結果として検出装置本体83に送信するようになっている。具体的な方法は、上述した第1実施形態において検出装置本体3にて行われる方法と同様である。
【0113】
このような蛍光検出システム8によると、蛍光検出装置81(検出装置本体83)には、検出した蛍光のスペクトルを分析して、判断するための判別手段を必要としないため、その構成を簡素なものとすることができる。また、被試験物に関する各種情報と蛍光のスペクトル情報との関係をサーバコンピュータ側で管理できるため、この関係を秘匿化することができる。
【0114】
(その他の実施形態)
以上、本発明を実施形態に基づいて説明したが、本発明は上記構成に限定されるものではなく、たとえば以下のように構成してもよい。
【0115】
(1)上記実施形態では、蛍光検出ヘッドを片手で保持できる大きさとしたが、検出作業者が両手で保持することを想定した大きさや形状であってもよい。
【0116】
(2)測定穴211の形状は円形でなくてもよい。
【0117】
(3)上記実施形態では、励起光源22としてハロゲンランプを例示したが、被試験物9から蛍光を引き出す励起光を照射できるものであれば、その種類は問わない。
【0118】
(4)上記実施形態では、図4に示したように、集光光学系23による励起光の焦点位置Fを測定穴212よりも外角21の外側になるようにしたが、図4にS’で示す焦点位置Fを含む高さ位置に外殻21の下面を位置させたり、あるいは、図4にS”で示す焦点位置Fよりも下側に外殻21の下面を位置させるようにしてもよい。
【0119】
(5)上記実施形態では、光ファイバー25の受光面251に蛍光を集光する受光光学系としてコリメートレンズを用いた構成を例示したが、集光ミラーなどを用いてもよい。
【0120】
(6)上記第2実施形態(図8,図9)では、複数の受光光学系44…を測定穴212を1重に取り囲むように配置したが、測定穴212を2重、3重に取り囲むように配置してもよい。被試験物9からの蛍光は全方向に放射されるため、このようにすると、より多くの蛍光を受光することができる。
【0121】
(7)被試験物9が発した蛍光のスペクトル情報からこれに関連付けられた情報を判別する方法は、上記一例(図7)に限定されない。
【0122】
また、判別に供されるスペクトル情報は、スペクトル波形そのものでなく、スペクトル波形から取り出される特定の特徴でもよい。具体的には、スペクトル波形における1または複数のピーク波長、ピーク波長における光強度、ピーク波長近傍の波形(半値幅)、複数のピーク波長における光強度比など、種々の情報を挙げることができる。
【0123】
また、これと比較するためのスペクトルパターンについても、被試験物から検出されたスペクトル情報と比較することができる情報であればよい。
【0124】
また、被試験物9から検出されたスペクトル情報と予め設定されているスペクトルパターンとが一致するか否かの判断も、その判別対象とする情報の重要性や、判断手法の信頼性(誤認率)等を考慮して、任意の公知の方法から適宜採用すればよい。
【0125】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、蛍光検出ヘッドの外殻は片手あるいは両手で保持でき、また測定穴は外殻の先端部に設けられているため、検出作業者は外殻の測定穴を容易に被試験物に押し付けることができる。そして、外殻の測定穴を被試験物に押し付けると、外殻によって外部からの外乱光が遮蔽されるため、暗室内ではない任意の場所であっても被試験物から発せられる微弱な蛍光が外乱光の影響を受けることがない。さらに、励起光源から発せられる励起光は測定穴に集光され、受光光学系はこの測定穴を狙うように予め位置決めされているので、外殻の測定穴を被試験物に密着させるだけで、被試験物に確実に蛍光を放射させ、かつこの蛍光を検出するための位置決めが完了する。したがって、被試験物からの蛍光の検出を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施形態にかかる蛍光検出装置の全体外観図である。
【図2】蛍光検出ヘッドの断面図である。
【図3】外殻の斜視図である。
【図4】集光光学系の焦点位置の説明図である。
【図5】受光光学系の断面説明図である。
【図6】検出装置本体の内部構成の機能ブロック図である。
【図7】スペクトル波形の分析の一例を示す説明図であり、(a)は、予め記憶されてるスペクトルパターンサンプルの一例、(b)は、被試験物から検出したスペクトル波形の一例を示している。
【図8】第2実施形態にかかる蛍光検出ヘッドの断面説明図である。
【図9】複数の受光光学系の配置を概念的に表現した説明図である。
【図10】第3実施形態にかかる蛍光検出ヘッドの先端部分の断面図である。
【図11】第4実施形態にかかる蛍光検出ヘッドの斜視斜視図である。
【図12】第5実施形態にかかる蛍光検出ヘッドの先端部分の断面図である。
【図13】第6実施形態にかかる蛍光検出システムの全体構成図である。
【符号の説明】
1蛍光検出装置
2 蛍光検出ヘッド
21 外殻
212 測定穴
22 励起光源
23 集光光学系
24 受光光学系
241 コリメートレンズ
25 光ファイバー
251 受光面
26 照射スイッチ
3 検出装置本体
31 分光器31
32 スペクトルパターン記憶部(判別手段)
33 比較判断手段(判別手段)
34 モニタ(出力手段)
35 高圧電源部
9 被試験物
【発明の属する技術分野】
本発明は、被試験物に励起光を照射したときに発せられる蛍光を検出するための蛍光検出ヘッド、蛍光検出装置および蛍光検出システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
合成樹脂等の高分子材料に各種の蛍光物質を含有させ、これに励起光を照射したときに放射される蛍光と、高分子材料の種類情報、製造履歴情報、真偽判別情報等を予め関連付けておくことで、高分子材料等に各種の情報を付与する方法等が提案されている(特許文献1、特許文献2)。
【0003】
このような方法において、高分子材料等に付与された情報の判別は、被試験物となる高分子材料に励起光を照射し、この励起光に対して放射される蛍光をスペクトル分析することが想定されている。
【0004】
【特許文献1】
特開2002−332414号公報
【0005】
【特許文献2】
特開2002−336798号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、情報の判別のために十分な蛍光を被試験物から受光するには、外乱光の影響を避けるために暗室内で検出しなければならなかった。
【0007】
さらに、被試験物から蛍光を放射させるには励起光を集光させなければならない。このため、励起光源および励起光を集光する光学系と被試験物とを正確に位置決めしなければならず、また、蛍光を受光する側の光学系においても、励起光を受けて蛍光を放射している部分を狙うために、被試験物に対して正確に位置決めをしなければならなかった。
【0008】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、被試験物からの蛍光の検出を容易に行うことができる蛍光検出ヘッド、蛍光検出装置および蛍光検出システムを提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明にかかる蛍光検出ヘッドは、遮光性を有し、先端部に測定穴が設けられ、検出作業者が片手あるいは両手で保持可能に構成された外殻と、前記外殻に内蔵された励起光源と、前記励起光源からの励起光を前記測定穴に集光する集光光学系と、前記測定穴を狙うように位置決めされ、前記測定穴に押し付けられた被試験物が前記励起光を受けることによって発する蛍光を受光する受光光学系と、前記受光光学系が受光する蛍光を外部に取り出す光ファイバーと、を備えたことを特徴とするものである。
【0010】
このような蛍光検出ヘッドによると、外殻は片手あるいは両手で保持でき、また測定穴は外殻の先端部に設けられているため、検出作業者は外殻の測定穴を容易に被試験物に押し付けることができる。そして、外殻の測定穴を被試験物に押し付けると、外殻によって外部からの外乱光が遮蔽されるため、暗室内ではない任意の場所であっても被試験物から発せられる微弱な蛍光が外乱光の影響を受けることがない。さらに、励起光源から発せられる励起光は測定穴に集光され、受光光学系はこの測定穴を狙うように予め位置決めされているので、外殻の測定穴を被試験物に密着させるだけで、被試験物に確実に蛍光を放射させ、かつこの蛍光を検出するための位置決めが完了する。したがって、被試験物からの蛍光の検出を容易に行うことができる。
【0011】
また、このような蛍光検出ヘッドにおいては、前記外殻は前記先端部が先細形状に構成されていることが望ましい。
【0012】
このようにすると、検出作業者はさらに容易に外殻の測定穴を被試験物に押し付けることが可能となるため、被試験物からの蛍光の検出をさらに容易に行うことができる。
【0013】
また、このような蛍光検出ヘッドにおいては、前記集光光学系は、前記励起光を集光する焦点位置が、前記測定穴より前記外殻の外側または内側にずれた位置となるように構成されていることが望ましい。
【0014】
このようにすると、励起光は外殻の測定穴を通過するときに若干の広がりを持ち、測定穴が押し付けられた被試験物の表面では若干の広がりを有する領域に励起光が照射されることとなるため、被試験物に十分な蛍光を放射させることができる。
【0015】
また、このような蛍光検出ヘッドにおいては、前記集光光学系によって前記励起光が集光される焦点位置を、前記励起光の照射方向について移動可能な焦点位置移動機構を備えたことが望ましい。
【0016】
このようにすると、外殻の測定穴を通過するときの励起光の広がりの程度や、励起光が集光する焦点を被試験物表面からどの程度の深さ位置にするかなど、励起光の照射条件を調整することができるため、被試験物の種類やその他の条件に対応して適切に試験物から蛍光を放射させることができる。
【0017】
また、このような蛍光検出ヘッドにおいては、前記受光光学系および光ファイバーを複数組備え、各受光光学系は前記測定穴を互いに異なる方向から狙うように配置されていることが望ましい。
【0018】
このようにすると、励起光が照射されることで被試験物から全方向に放射される蛍光のより多くを受光して、高い検出感度を得ることができる。
【0019】
また、このような蛍光検出ヘッドにおいては、前記複数の受光光学系は、それぞれが前記測定穴を狙う方向が前記測光穴を取り囲むように配置されていることが望ましい。
【0020】
このようにすると、各受光光学系が干渉することを軽減しながら測定穴周りのスペースを効率的に利用してより多くの蛍光を受光することができる。
【0021】
また、このような蛍光検出ヘッドにおいては、前記受光光学系は、前記測光穴から取り込まれる蛍光を前記光ファイバーの一端の受光面に集光することが望ましい。
【0022】
このようにすると、光ファイバーによって外部に取り出される光量を効率的に高めることができる。
【0023】
また、このような蛍光検出ヘッドにおいては、前記光ファイバーは、その一端の受光面が前記測定穴を直接狙うように前記測定穴に近接して配置されることにより、前記受光光学系を兼ねることが望ましい。
【0024】
このようにすると、光ファイバーとは別個の受光光学系を必要とせず、より簡素な構成で蛍光を検出することができる。
【0025】
また、このような蛍光検出ヘッドにおいては、前記測定穴に前記被試験物が押し付けられたことを検出する検出手段と、前記検出手段において前記測定穴に被試験物が押し付けられたことが検出されている時にのみ、前記励起光源を発光可能に制御する制御手段と、を備えることが望ましい。
【0026】
このようにすると、外殻の外部に励起光や蛍光が漏れることを防止でき、検出作業者がこれらの光を浴びることを防止することができる。
【0027】
また、本発明にかかる蛍光検出装置は、前記のいずれかの蛍光検出ヘッドと、前記蛍光検出ヘッドが備える前記光ファイバーの他端が接続され、前記被試験物が発した蛍光を分光する分光器と、を備えたことを特徴とするものである。
【0028】
このような蛍光検出装置によると、蛍光検出ヘッドで受光した蛍光を分光器で分析することができる。また、蛍光検出ヘッドが分光器とは別体に構成されるため、検出作業者は蛍光検出ヘッドを容易に取り回すことができる。
【0029】
また、このような蛍光検出装置においては、前記分光器によって検出される前記被試験物が発した蛍光のスペクトル情報から、前記スペクトル情報に関連付けられた情報を判別する判別手段と、前記判別結果を出力する出力手段と、を備えたことが望ましい。
【0030】
このようにすると、被試験物の種類情報、製造履歴情報、真偽判別情報等の各種情報が蛍光のスペクトル情報に予め関連付けられることで被試験物に付与されている場合等には、この被試験物に付与されている各種情報等を判別することができる。
【0031】
また、このような蛍光検出装置においては、前記スペクトル情報に関連付けられた情報を判別する判別手段を備えた所定のサーバに対し、前記分光器によって検出される前記被試験物が発した蛍光のスペクトル情報をネットワーク回線を介して送信し、前記サーバにおける前記判別手段の判別結果をネットワーク回線を介して受信する送受信手段と、前記判別結果を出力する出力手段と、を備えたことが望ましい。
【0032】
このようにすると、被試験物の種類情報、製造履歴情報、真偽判別情報等の各種情報が蛍光のスペクトル情報に予め関連付けられることで被試験物に付与されている場合等には、この被試験物に付与されている各種情報等を判別することができる。また、被試験物の各種情報と蛍光のスペクトル情報との関係をサーバ側で管理するため、この関係を秘匿化することができる。また、蛍光検出装置には判別手段を必要としないため、その構成を簡素なものとすることができる。
【0033】
また、本発明にかかる蛍光検出システムは、前記の蛍光検出装置およびサーバを備えたことを特徴とするものである。
【0034】
このような蛍光検出システムによると、被試験物の種類情報、製造履歴情報、真偽判別情報等の各種情報が蛍光のスペクトル情報に予め関連付けられることで被試験物に付与されている場合等には、この被試験物に付与されている各種情報等を判別することができる。また、被試験物の各種情報と蛍光のスペクトル情報との関係をサーバ側で管理するため、この関係を秘匿化することができる。また、蛍光検出装置には判別手段を必要としないため、その構成を簡素なものとすることができる。
【0035】
【発明の実施の形態】
以下、具体的な実施形態に基づいて本発明を説明する。なお、以下の実施形態では、意図的に各種の蛍光物質を含有された被試験物を想定しており、蛍光物質を含有することで放射する蛍光のスペクトルには、予め設定されたルールに従い、被試験物の種類情報、製造履歴情報、真偽判別情報等が関連付けられているものとする。
【0036】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態にかかる蛍光検出装置の全体外観図である。この蛍光検出装置1は、蛍光検出ヘッド2と装置本体3とからなる。
【0037】
蛍光検出ヘッド2は、検出作業者に手に持たれて被試験物9に直接押し付けられ、励起光に対して被試験物9が放射する蛍光を取り込むものである。
【0038】
図2は、この蛍光検出ヘッド2の断面図である。この蛍光検出ヘッド2は、外殻21と、励起光源22と、集光光学系23と、受光光学系24と、光ファイバー25と、照射スイッチ26と、を備えている。以下、各部について順に説明する。
【0039】
外殻21は、蛍光検出ヘッド2の各部品が取り付けられる基体となるものである。また、外殻21は遮光性を有する材料から構成され、その内部に外乱光が侵入することを防止するものである。具体的には、外殻21は3次元切削加工したアルミニウム材から形成されている。
【0040】
外殻21は、全体として、検出作業者が片手で軽く保持できる大きさに構成されている。また、外殻21は、ペン等と同じように保持できる太さおよび長さに構成されており、ペン先を押し付けるようにして、その先端を被試験物に押し付けられる形状および大きさに構成されている。具体的には、この実施形態では、外形寸法が直径約40mm、全長が約120mmの略円筒形状に構成されている。
【0041】
図3は、外殻21の斜視図である。
【0042】
外殻21の先端側は先細の略円錐部211が形成され、その先端部に外殻21の内外を貫通する測定穴212が設けられている。このような先細形状の先端に測定穴212が設けられることで、検出作業者は測定穴211を被試験物9の表面に容易に押し付けることができるようになっている。また、この測定穴212を被試験物9に押し付けたとき十分に密着させることができ、測定穴212から外乱光が侵入することを防止することができる。
【0043】
測定穴212のサイズは被試験物9に押し付けたときに外乱光が外殻21の内部に進入しない程度のサイズであることが望ましい。この実施形態では測定穴212は、直径4mmの円形孔となっている。
【0044】
外殻21の略円錐形状の周面の一部には、光ファイバー25が接続された受光光学系24を取り付けるための受光光学系取付部212が設けられている。この受光光学系取付部212は、外殻21の内外を貫通している。
【0045】
外殻21の長手方向中央は、円筒形状の胴部214が形成され、検出作業者が掴みやすい形状となっている。この胴部214には、照射スイッチ26を取り付けるための照射スイッチ取付部215が設けられている。
【0046】
外殻21の後端側には、長手方向中央の胴部214より若干小径の円筒形状に部からなる光源収容部216が形成されている。
【0047】
励起光源22は、被試験物9に照射する励起光を発するものである。この実施形態では、励起光源22は、キセノンフラッシュランプから構成されている。
【0048】
図2に示すように、この励起光源22は、外殻21の光源収容部216に内蔵され、外殻21内の所定位置に固定されている。
【0049】
励起光源22を転倒するための高圧電源ケーブル221は、外殻21の後端部の光源収容部216の後端面から装置本体3に接続されている。
【0050】
集光光学系23は、励起光源22が発する励起光を外殻21の先端部に設けられた測定穴212に集光するものである。この実施形態では、集光光学系23は、外殻21の後端部の光源収容部215に収容された集光ミラーから構成されている。
【0051】
図2に示すように、この集光光学系23は、励起光を集光した焦点位置Fが、測定穴212より外殻21の外側にずれた位置となるように構成され、配置されている。
【0052】
図4は、集光光学系の焦点位置の説明図である。この図4において、Sは外殻21の下端面、すなわち測定穴212が押し付けられた被試験物9の表面の高さ位置を示している。またDは、測定穴212の直径を示している。
【0053】
この図4に示すように、集光光学系23による励起光の焦点位置Fは、被試験物9の表面高さ位置Sよりも下方にずれており、励起光が測定穴212を通るときの形(広がり)は測定穴212の径Dとほぼ同一となっている。
【0054】
このことにより被試験物9の表面のうち測定穴212の内側領域全体が励起光の照射を受けることになるため、この領域全体が蛍光を放射することになる。したがって、励起光の焦点位置Fが被試験物9の表面の高さ位置にある場合には励起光が照射される非常に小さい領域のみからのみ蛍光が放射されることとなることと比較して、より多くの蛍光を放射させうることになる。
【0055】
また、励起光の径は測定穴212の径Dとほぼ同一であるから、測定穴212の周囲に遮られて励起光が被試験物9に到達せず損失することもない。
【0056】
受光光学系24は、測定穴212に押し付けられた被試験物が励起光を受けることによって発する蛍光を受光して、これを光ファイバー25の一端の受光面251に集光するものである。この受光光学系24は、測定穴211を狙うように位置決めされている。
【0057】
図5は、受光光学系24の断面説明図である。この図5に示すように、受光光学系24は、コリメートレンズ241と、コリメートレンズ241が取り付けられるレンズホルダー242と、光ファイバー25が取り付けられる光ファイバーホルダー243とを備えている。
【0058】
コリメートレンズ241は、この実施形態では、平凸レンズから構成されており、受光した平行光を一点に集光する。この集光した一点に、光ファイバー25の一端の受光面251が位置するようになっている。具体的には、光ファイバー25は、その被覆された本体部253が光ファイバーホルダー243で支持されているが、その芯部はレンズホルダー242に挿し込まれ、コリメートレンズ241に平行光が入射すれば、光ファイバー25の受光面に集光するようになっている。
【0059】
レンズホルダー242は、外殻21の受光光学系取付部213に嵌め込まれ、接着あるいはネジ止め等の固定手段によって固定される。レンズホルダー242は、こうして外殻21に装着されたとき、コリメートレンズ241の位置および向きが測定穴212を狙うようになっている。
【0060】
コリメートレンズ241は、その直径が測定穴212の直径とほぼ同一の4mmとなっている。このため、測定穴212から受光光学系25の方向に向かって放射された蛍光を、十分に受光することができる。
【0061】
光ファイバー25は、受光光学系24が受光する蛍光を外部に取り出すものである。
【0062】
光ファイバー25の一端の受光面251は、図5に示すように、集光光学系24のコリメートレンズ241によって蛍光が集光される集光点に位置している。また光ファイバー25の他端252は、後述する図6に示すように、検出装置本体3の分光器31に接続されている。
【0063】
照射スイッチ26は、検出作業者が励起光源22の点灯と消灯を操作するものである。
【0064】
この実施形態では、照射スイッチ26は、押圧時にのみONとなり、押圧解除時には自動的にOFFとなる押しボタンスイッチから構成されている。これにより、必要なときにのみ励起光源22を点灯させることができるようになっている。
【0065】
図2に示すように、照射スイッチ26は、外殻21の胴部214に取り付けられている。これにより、検出作業者がこの蛍光検出ヘッド2を保持している手で容易に励起光源22のON/OFF操作ができるようになっている。
【0066】
検出装置本体3は、蛍光検出ヘッド2によって取り込まれる被試験物9が放射した蛍光を分光処理するものである。この実施形態における検出装置本体3は、蛍光を分光して得たスペクトルから、さらにこの蛍光のスペクトルに関連付けられた各種の情報、すなわちこの被試験物9に与えられた情報を判別する機能をも果たすようになっている。
【0067】
この検出装置本体3は、図1に示すように、持ち運びのためのハンドル36を備え、蛍光検出ヘッド2とともに持ち運び可能となっており、任意の場所で被試験物9の蛍光検出作業を行うことができるようになっている。
【0068】
図6は、検出装置本体3の内部構成の機能ブロック図である。この図6に示すように、検出装置本体3は、分光器31および励起光源22のための高圧電源部35を内蔵したコンピュータから構成されている。このコンピュータは、CPU、RAM、ROM、ハードディスク装置等の記憶手段および外部入出力装置等を備えている。このコンピュータは、機能的に、スペクトルパターン記憶手段32と、比較判断手段33と、モニタ34とを備えている。
【0069】
分光器31は、蛍光検出ヘッド2において検出された蛍光を分光して、蛍光のスペクトル波形を得るものである。この分光器31には、蛍光検出ヘッド2が備える光ファイバー25の他端252が接続されている。この分光器31によって得られる蛍光のスペクトル波形は、これを比較判断手段33に送られ、このスペクトル波形に関連付けられた情報が判別される。
【0070】
スペクトルパターン記憶手段32は、意図的に各種の蛍光物質を含有された被試験物が発する蛍光の種々のスペクトルパターンと、各スペクトルパターンに関連付けられた被試験物の種類情報、製造履歴情報、真偽判別情報等の種々の情報とを記憶するものである。すなわち、被試験物9に蛍光のスペクトルを介して種々の情報を担わせるための予め設定されたルールを記憶するものである。このスペクトルパターン記憶手段32は、比較判断手段33とともに判別手段として機能する。
【0071】
この実施形態では、このスペクトルパターン記憶手段32は、スペクトル波形そのものをスペクトルパターンとして記憶している。
【0072】
比較判断手段33は、被試験物9が発した蛍光のスペクトル波形(スペクトル情報)から、このスペクトル波形(スペクトル情報)に関連付けられた各種の情報、すなわちこの被試験物9に与えられた情報を判別するものである。この比較判断手段33は、スペクトルパターン記憶手段32とともに判別手段として機能する。
【0073】
この実施形態では、比較判断手段33は、スペクトルパターン記憶手段32に予め記憶されている多数のスペクトルパターンと、被試験物9が発した蛍光のスペクトル波形(スペクトル情報)とを順次比較し、一致するスペクトルパターンに関連付けられた情報をスペクトルパターン記憶手段32から読み出すようになっている。
【0074】
図7は、スペクトル波形の分析の一例を示す説明図である。図7(a)は、スペクトルパターン記憶手段32に予め記憶されてるスペクトルパターンの一例、図7(b)は、被試験物9から検出したスペクトル波形の一例を示している。
【0075】
図7(a)に示すスペクトルパターンと、図7(b)に示すスペクトル波形とは厳密には一致していない。しかしながら、実際に被試験物9から検出されたスペクトル波形(図7(b))は、ノイズ等の影響を受けている可能性があるため、ここでは、いくつかの(具体的には3つ)のピーク波長が一致することをもって両者が一致すると判断する。そうすると、図7(a)、(b)は、ともにピーク波長はa,b,cであるため、両者は一致していると判断される。
【0076】
したがって、この場合、図7(a)に示したスペクトルパターンに関連付けられ、スペクトルパターン記憶手段32に記憶されている情報が、判別結果となる。
【0077】
モニタ33は、比較判断手段33における判別結果(判別された情報)を出力し、検出作業者に伝達するものである。このモニタ34は、出力手段として機能する。
【0078】
高圧電源部35は、蛍光検出ヘッド2の励起光源22に発光のための高圧電源を供給するものである。この高圧電源部35には、高圧電源ケーブル221およびスイッチ信号線261が接続されており、検出作業者が照射スイッチ26をON操作したときに、励起光源22に高圧電源を供給するようになっている。
【0079】
以上のように構成された蛍光検出装置1によると、このような蛍光検出ヘッド1を片手で保持して測定穴212を容易に被試験物9に押し付け、暗室内ではない任意の場所であっても、外乱光の影響を受けることなく、被試験物9から発せられる微弱な蛍光を検出することができる。
【0080】
さらに、励起光源22から発せられる励起光は測定穴212に集光され、受光光学系24はこの測定穴212を狙うように予め位置決めされているので、外殻21の測定穴212を被試験物9に密着させるだけで、被試験物9に確実に蛍光を放射させ、かつこの蛍光を検出するための位置決めが完了する。したがって、被試験物9からの蛍光の検出を容易に行うことができる。
【0081】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態について説明する。
【0082】
図8は、第2実施形態にかかる蛍光検出ヘッド4の断面説明図である。
【0083】
なお、以下の実施形態では重複説明を避けるため、上記第1実施形態と実質的に同じ機能を果たす構成要素には原則として同符号を付し、特に言及しない構成は上記第1実施形態と実質的に同じとする。
【0084】
この第2実施形態にかかる蛍光検出ヘッド4は、複数組の受光光学系44…および光ファイバー25…を備え、各受光光学系44…が測定穴212を互いに異なる方向から狙うように配置したものである。
【0085】
図9は、複数の受光光学系44…の配置を概念的に表現した説明図である。この図9に概念的に示すように、複数の受光光学系44…は、測定穴212の周囲を取り囲むように配置され、測定穴212の周囲からそれぞれ測定穴212を狙うようになっている。
【0086】
このような蛍光検出ヘッド4によると、励起光が照射されることで被試験物9から全方向に放射される蛍光を効率的に受光して高い検出精度を得ることができる。
【0087】
特に10以上の受光光学系44…によって、測定穴212から取り込まれる蛍光を受光するようにすると、放射される蛍光が微弱であっても、これを十分に受光することが可能となる。
【0088】
また、各受光光学系44…が干渉することを軽減しながら測定穴212周りのスペースを効率的に利用することができる。
【0089】
なお、この第2実施形態では、集光光学系43がコリメートレンズから構成され、励起光源22から照射される励起光を測定穴212に集光するようになっている。
【0090】
また、集光光学系43が励起光を集光した焦点位置Fは、測定穴212と同じ高さ位置、すなわち被試験物9の表面高さ位置に調整されている。このようにすると、焦点位置Fに非常に強い励起光を照射することができるため、蛍光放射のために十分に強い励起光の照射が必要とする場合には好適である。
【0091】
さらに、この場合、蛍光は、集光光学系43による焦点位置Fが位置する被試験物9表面上の一点のみから照射されるため、複数の受光光学系44…はこの1点からの光を効率的に受光して光ファイバー25に集光できるように、両凸のコリメータレンズから構成されている。
【0092】
(第3実施形態)
次に、第3実施形態について説明する。
【0093】
図10は、第3実施形態にかかる蛍光検出ヘッド5の先端部分の断面図である。
【0094】
この第3実施形態にかかる蛍光検出ヘッド5は、複数の光ファイバー55…がその一端の受光面551で測定穴212を直接狙うように測定穴212に近接して配置したものである。
【0095】
このようにすると、各光ファイバー55…が、自身の受光面551…に被試験物からの蛍光を受光する受光光学系を兼ねることとなり、光ファイバー55…とは別個のコリメートレンズのような受光光学系を必要とないため、簡素な構成が実現できる。
【0096】
(第4実施形態)
次に、第4実施形態について説明する。
【0097】
図11は、第4実施形態にかかる蛍光検出ヘッド6の斜視斜視図である。
【0098】
この第4実施形態にかかる蛍光検出ヘッド6は、集光光学系23によって励起光が集光される焦点位置Fを、励起光の照射方向について移動可能な焦点位置移動機構を備えたものである。
【0099】
具体的には、この焦点位置移動機構は、励起光源22および集光光学系23を収容する光源収容部66を、測定穴212が形成された外殻61に対してネジ止めによって結合させたネジ結合部67から構成されており、光源収容部66を外殻61に対して回転させることで、励起光源22および集光光学系23を測定穴212に対して接離させる方向に移動できるようになっている。
【0100】
このような焦点移動機構を備えることにより、外殻61の測定穴212を通過するときの励起光の広がりの程度を変更したり、励起光が集光する焦点Fを被試験物よりも手前のF’位置にしたり、被試験物の表面から内部に入り込んだ深い位置Fにするなど、励起光の照射条件を調整することができるため、被試験物の種類やその他の条件に対応して適切に試験物から蛍光を放射させることができる。
【0101】
(第5実施形態)
次に、第5実施形態について説明する。
【0102】
図12は、第5実施形態にかかる蛍光検出ヘッド7の先端部分の断面図である。
【0103】
この第5実施形態は、測定穴212が被試験物9に押し付けられたことを検出する検出手段を備え、この検出手段において測定穴212に被試験物9が押し付けられたことが検出されている時にのみ、励起光源22を発光させるようにしたものである。
【0104】
具体的には、この検出手段は、外殻71の下面の測定穴212に近接する位置に配置され、被試験物9と接触して押し込まれるリミットスイッチ77として構成されており、測定穴212が被試験物9に押し付けられたことを検知するようになっている。
【0105】
そして、検出装置本体3の高圧電源部35は、このリミットスイッチ(検出手段)77が被試験物9を検知し、かつ照射スイッチ26が検出作業者によってON操作されている場合に限り、励起光源22を点灯するようになっている。
【0106】
このような蛍光検出ヘッド7によると、測定穴212が被試験物9に押し付けられているときにのみ励起光源22が点灯するようになるから、外殻71の外部励起光が漏れることを防止して、検出作業者がこれらの光を意図せず浴びてしまうような事態を防止することができる。
【0107】
(第6実施形態)
次に、第6実施形態について説明する。
【0108】
図13は、第6実施形態にかかる蛍光検出システム8の全体構成図である。
【0109】
上述した第1実施形態等では、蛍光検出ヘッド2において検出した被試験物の蛍光を直接光ファイバ25で接続された検出装置本体3で分光し、さらに被試験物9が担う各種の情報を判別するようにしていた。これに対し、この第6実施形態にかかる蛍光検出システム8は、検出装置本体3で分光して得られたスペクトル情報を、ネットワーク回線を介して遠隔地のサーバコンピュータに送信し、このサーバコンピュータにおいて被試験物9が担う各種の情報の判別を行うように構成したものである。ネットワーク回線とは、遠隔地での情報の送受を担う媒体であればよく、たとえばインターネット、携帯電話網等を挙げることができる。
【0110】
具体的には、この蛍光検出システム8は、被試験物から蛍光を検出する蛍光検出装置81と、サーバコンピュータ84とを備えている。
【0111】
蛍光検出装置81は、蛍光検出ヘッド82と、検出装置本体83とを備え、被試験物がある現場近傍にある。蛍光検出ヘッド82は、上述した第1〜第5実施形態のいずれかと同様の構成を備えている。検出装置本体83は、被試験物が放射した蛍光を分光してスペクトル情報を得る分光器831と、被試験物9が担う各種情報を検出作業者等に提示するためのモニタ834と、高圧電源を供給する高圧電源部835に加え、スペクトル情報をサーバコンピュータ84に送信し、判別結果を受信する送受信手段836を備えている。
【0112】
サーバコンピュータ84は、検出装置本体83からスペクトル情報を受信し、判別結果を送信する送受信手段841と、スペクトルパターン記憶手段842と、比較判断手段843とを備えており、受信したスペクトル情報をスペクトルパターン記憶手段842に記憶している予め設定されたスペクトルパターンと比較して、一致するスペクトルパターンに関連付けられた情報を特定し、これを判別結果として検出装置本体83に送信するようになっている。具体的な方法は、上述した第1実施形態において検出装置本体3にて行われる方法と同様である。
【0113】
このような蛍光検出システム8によると、蛍光検出装置81(検出装置本体83)には、検出した蛍光のスペクトルを分析して、判断するための判別手段を必要としないため、その構成を簡素なものとすることができる。また、被試験物に関する各種情報と蛍光のスペクトル情報との関係をサーバコンピュータ側で管理できるため、この関係を秘匿化することができる。
【0114】
(その他の実施形態)
以上、本発明を実施形態に基づいて説明したが、本発明は上記構成に限定されるものではなく、たとえば以下のように構成してもよい。
【0115】
(1)上記実施形態では、蛍光検出ヘッドを片手で保持できる大きさとしたが、検出作業者が両手で保持することを想定した大きさや形状であってもよい。
【0116】
(2)測定穴211の形状は円形でなくてもよい。
【0117】
(3)上記実施形態では、励起光源22としてハロゲンランプを例示したが、被試験物9から蛍光を引き出す励起光を照射できるものであれば、その種類は問わない。
【0118】
(4)上記実施形態では、図4に示したように、集光光学系23による励起光の焦点位置Fを測定穴212よりも外角21の外側になるようにしたが、図4にS’で示す焦点位置Fを含む高さ位置に外殻21の下面を位置させたり、あるいは、図4にS”で示す焦点位置Fよりも下側に外殻21の下面を位置させるようにしてもよい。
【0119】
(5)上記実施形態では、光ファイバー25の受光面251に蛍光を集光する受光光学系としてコリメートレンズを用いた構成を例示したが、集光ミラーなどを用いてもよい。
【0120】
(6)上記第2実施形態(図8,図9)では、複数の受光光学系44…を測定穴212を1重に取り囲むように配置したが、測定穴212を2重、3重に取り囲むように配置してもよい。被試験物9からの蛍光は全方向に放射されるため、このようにすると、より多くの蛍光を受光することができる。
【0121】
(7)被試験物9が発した蛍光のスペクトル情報からこれに関連付けられた情報を判別する方法は、上記一例(図7)に限定されない。
【0122】
また、判別に供されるスペクトル情報は、スペクトル波形そのものでなく、スペクトル波形から取り出される特定の特徴でもよい。具体的には、スペクトル波形における1または複数のピーク波長、ピーク波長における光強度、ピーク波長近傍の波形(半値幅)、複数のピーク波長における光強度比など、種々の情報を挙げることができる。
【0123】
また、これと比較するためのスペクトルパターンについても、被試験物から検出されたスペクトル情報と比較することができる情報であればよい。
【0124】
また、被試験物9から検出されたスペクトル情報と予め設定されているスペクトルパターンとが一致するか否かの判断も、その判別対象とする情報の重要性や、判断手法の信頼性(誤認率)等を考慮して、任意の公知の方法から適宜採用すればよい。
【0125】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、蛍光検出ヘッドの外殻は片手あるいは両手で保持でき、また測定穴は外殻の先端部に設けられているため、検出作業者は外殻の測定穴を容易に被試験物に押し付けることができる。そして、外殻の測定穴を被試験物に押し付けると、外殻によって外部からの外乱光が遮蔽されるため、暗室内ではない任意の場所であっても被試験物から発せられる微弱な蛍光が外乱光の影響を受けることがない。さらに、励起光源から発せられる励起光は測定穴に集光され、受光光学系はこの測定穴を狙うように予め位置決めされているので、外殻の測定穴を被試験物に密着させるだけで、被試験物に確実に蛍光を放射させ、かつこの蛍光を検出するための位置決めが完了する。したがって、被試験物からの蛍光の検出を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施形態にかかる蛍光検出装置の全体外観図である。
【図2】蛍光検出ヘッドの断面図である。
【図3】外殻の斜視図である。
【図4】集光光学系の焦点位置の説明図である。
【図5】受光光学系の断面説明図である。
【図6】検出装置本体の内部構成の機能ブロック図である。
【図7】スペクトル波形の分析の一例を示す説明図であり、(a)は、予め記憶されてるスペクトルパターンサンプルの一例、(b)は、被試験物から検出したスペクトル波形の一例を示している。
【図8】第2実施形態にかかる蛍光検出ヘッドの断面説明図である。
【図9】複数の受光光学系の配置を概念的に表現した説明図である。
【図10】第3実施形態にかかる蛍光検出ヘッドの先端部分の断面図である。
【図11】第4実施形態にかかる蛍光検出ヘッドの斜視斜視図である。
【図12】第5実施形態にかかる蛍光検出ヘッドの先端部分の断面図である。
【図13】第6実施形態にかかる蛍光検出システムの全体構成図である。
【符号の説明】
1蛍光検出装置
2 蛍光検出ヘッド
21 外殻
212 測定穴
22 励起光源
23 集光光学系
24 受光光学系
241 コリメートレンズ
25 光ファイバー
251 受光面
26 照射スイッチ
3 検出装置本体
31 分光器31
32 スペクトルパターン記憶部(判別手段)
33 比較判断手段(判別手段)
34 モニタ(出力手段)
35 高圧電源部
9 被試験物
Claims (13)
- 遮光性を有し、先端部に測定穴が設けられ、検出作業者が片手あるいは両手で保持可能に構成された外殻と、
前記外殻に内蔵された励起光源と、
前記励起光源からの励起光を前記測定穴に集光する集光光学系と、
前記測定穴を狙うように位置決めされ、前記測定穴に押し付けられた被試験物が前記励起光を受けることによって発する蛍光を受光する受光光学系と、
前記受光光学系が受光する蛍光を外部に取り出す光ファイバーと、
を備えたことを特徴とする蛍光検出ヘッド。 - 前記外殻は前記先端部が先細形状に構成されていることを特徴とする請求項1に記載の蛍光検出ヘッド。
- 前記集光光学系は、前記励起光を集光する焦点位置が、前記測定穴より前記外殻の外側または内側にずれた位置となるように構成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の蛍光検出ヘッド。
- 前記集光光学系によって前記励起光が集光される焦点位置を、前記励起光の照射方向について移動可能な焦点位置移動機構を備えたことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の蛍光検出ヘッド。
- 前記受光光学系および光ファイバーを複数組備え、各受光光学系は前記測定穴を互いに異なる方向から狙うように配置されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の蛍光検出ヘッド。
- 前記複数の受光光学系は、それぞれが前記測定穴を狙う方向が前記測光穴を取り囲むように配置されていることを特徴とする請求項5に記載の蛍光検出ヘッド。
- 前記受光光学系は、前記測光穴から取り込まれる蛍光を前記光ファイバーの一端の受光面に集光することを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の蛍光検出ヘッド。
- 前記光ファイバーは、その一端の受光面が前記測定穴を直接狙うように前記測定穴に近接して配置されることにより、前記受光光学系を兼ねることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の蛍光検出ヘッド。
- 前記測定穴に前記被試験物が押し付けられたことを検出する検出手段と、
前記検出手段において前記測定穴に被試験物が押し付けられたことが検出されている時にのみ、前記励起光源を発光可能に制御する制御手段と、
を備えたことを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の蛍光検出ヘッド。 - 請求項1〜9のいずれかに記載の蛍光検出ヘッドと、
前記蛍光検出ヘッドが備える前記光ファイバーの他端が接続され、前記被試験物が発した蛍光を分光する分光器と、
を備えたことを特徴とする蛍光検出装置。 - 前記分光器によって検出される前記被試験物が発した蛍光のスペクトル情報から、前記スペクトル情報に関連付けられた情報を判別する判別手段と、
前記判別結果を出力する出力手段と、
を備えたことを特徴とする請求項10に記載の蛍光検出装置。 - 前記スペクトル情報に関連付けられた情報を判別する判別手段を備えた所定のサーバに対し、前記分光器によって検出される前記被試験物が発した蛍光のスペクトル情報をネットワーク回線を介して送信し、前記サーバにおける前記判別手段の判別結果をネットワーク回線を介して受信する送受信手段と、
前記判別結果を出力する出力手段と、
を備えたことを特徴とする請求項10に記載の蛍光検出装置。 - 請求項12に記載の蛍光検出装置およびサーバを備えたことを特徴とする蛍光検出システム。
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JP2003103431A JP2004309314A (ja) | 2003-04-07 | 2003-04-07 | 蛍光検出ヘッド、蛍光検出装置および蛍光検出システム |
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Cited By (2)
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JP2006275993A (ja) * | 2005-03-30 | 2006-10-12 | Taiyo Denki Kk | 蛍光検出装置 |
JP2013160511A (ja) * | 2012-02-01 | 2013-08-19 | Topcon Corp | 蓄光輝度測定器 |
-
2003
- 2003-04-07 JP JP2003103431A patent/JP2004309314A/ja not_active Withdrawn
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2006275993A (ja) * | 2005-03-30 | 2006-10-12 | Taiyo Denki Kk | 蛍光検出装置 |
JP2013160511A (ja) * | 2012-02-01 | 2013-08-19 | Topcon Corp | 蓄光輝度測定器 |
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