JP2004309251A - 計量装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】温度センサの温度検出信号と、重量センサが感じている温度とに間に差がある場合にも、この差を考慮して温度補償を行う。
【解決手段】載荷された荷重に対応した重量信号を重量センサ2が出力し、当該重量信号は、周囲温度の変化に従って変動する。この重量センサ2が感じている温度を間接的に温度センサ8が測定し、温度信号を発生する。この温度信号は重量センサ2が実際に感じている温度と異なった特性を有している。重量信号と温度信号とを入力し、温度信号を重量センサ2が実際に感じている温度を表す信号に変換し、この変換信号によって重量信号を温度補償して、演算手段16、18、20、24、28、30、32が出力する。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、計量装置に関し、特に、計量装置が備えている重量検出手段が発生する重量信号の温度変化を補償するものに関する。
【0002】
【従来の技術】
計量装置としては、例えばロードセルのような重量センサ、測定回路及びA/D変換回路等を含む重量検出手段を備えるものがある。これらの部分は、電源の供給によって発熱する。上述した重量センサ等に含まれる抵抗器、半導体等の温度が上昇することによって、重量信号の零点やスパンに変動が生じる。
【0003】
このような重量信号の変動を補償する計量装置の例が、特許文献1に開示されている。
【0004】
【特許文献1】
特開平6−307965号公報
【0005】
特許文献1の技術では、計量装置の重量センサの内部の温度を検出する温度センサを設け、電源投入後の重量測定信号の零点出力の変化量を、センサ内部の温度と、経過時間との関数として捉えている。重量センサの調整モードにおいて、予め重量センサの異なる内部温度ごとに、電源投入時から経過時間に応じて変化する零点出力を測定して、メモリに記憶させる。測定出力に対して重量センサの内部温度と経過時間とを変数としたテーブルを作成し、計量装置の使用モードにおいて、重量センサの内部温度と電源投入時からの経過時間とを測定して、これらに対応する測定記憶値をテーブルから読み出して、現在の測定値から読み出した値を減算して、零点のドリフトを補償している。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
特許文献1の技術では、様々な温度ごとに電源投入時からの経過時間と、様々な時間ごとの零点測定値を記憶しなければならず、テーブルの構成が複雑になり、メモリに多くの容量が必要になる。
【0007】
また、温度センサと重量センサとの間には、熱容量や熱伝達特性に差があるので、重量センサの周囲の温度が変化するとき、温度の変化過程において温度センサが感じている温度と、重量センサが感じている温度との間には、差が生じている。従って、特許文献1の技術では、温度センサと重量センサとが完全に周囲の温度に熱平衡し、同じ温度になっている場合には、温度センサの出力によって零点の温度変化を補償することができる。しかし、温度が変化している過程では、正確な温度補償を行うことができず、大きな測定誤差を生じる。上記の説明は、零点の変動に関するものであるが、実際にはスパンも温度変化によって変動することがある。従って、気温変化が激しい場合には、重量信号の零点やスパンが変動する。
【0008】
この現象の対策として、温度センサと重量センサとの温度応答速度を一致させるように、温度センサの取付位置や温度センサを取り付ける物体を選択したり、温度センサを樹脂で保護したりすることが行われている。しかし、これらの方法は、手間がかかる上に、重量センサの構造によっては完全な対策をとることができなかった。
【0009】
一般に、重量センサの信号は、演算増幅器等の増幅手段によって増幅され、その後にA/D変換器によってデジタル化されることがある。この場合、演算増幅器の出力信号も温度変化の影響を受けて、変動するので、この出力も温度補償する必要がある。しかし、1台の温度センサによって、測定した温度と、重量センサが感じている温度及び演算増幅器が感じている温度とが異なっていることがある。このような場合には、さらに、温度補償を正確に行うことができない。
【0010】
本発明は、温度センサのような温度検出手段の温度検出信号と、重量センサや演算増幅器等を含む重量検出手段が感じている温度とに間に差がある場合にも、この差を考慮して温度補償を簡単な構成で行うことができる計量装置を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明による計量装置は、重量検出手段を有している。重量検出手段は、これに載荷された荷重に対応した重量信号を出力する。当該重量信号は、重量検出手段の周囲温度の変化に従って変動する。即ち、重量信号は、周囲温度を変数(引数)とする関数で表される。この関数には、例えば周囲温度を変数とする零点の変動分を表す項と、周囲温度を変数とするスパン係数を表す項とが含まれることがある。重量検出手段としては、重量センサ、例えばロードセルや、増幅手段、例えば演算増幅器等を含む重量測定系を使用することができる。この重量検出手段が感じている温度を間接的に測定した温度信号を温度検出手段が発生する。この温度信号は、前記重量検出手段が実際に感じている温度よりも速く変化する特性を有している。この特性は、例えば伝達関数で表した場合、遅れ要素を含むもの、例えば一次遅れ要素、高次遅れ要素または一次遅れ要素プラス無駄時間要素を含むものとして表すことができる。重量信号と温度信号とが演算手段に入力され、演算手段は、温度信号を重量検出手段が実際に感じている温度を表す信号に変換し、この変換信号によって重量信号を温度補償して出力する。演算手段での温度補償は、例えば或る基準温度における荷重を表す信号となるように、重量信号を変換することによって行われる。例えば零点の変動を補償する場合、現在の重量信号の零点出力を或る基準温度における零点出力との偏差として推定される温度補償信号を生成し、これと現在の重量信号との代数和を求めるという補償演算を行う。この場合、重量検出手段に、重量センサの他に、増幅手段が含まれている場合、この増幅手段における零点の変動も同様にして補償される。また、例えばスパンを補償する場合、現在のスパンを或る基準温度におけるスパンに変換するための変換係数を求め、この変換係数を現在の重量信号に乗算する。
【0012】
このように構成した計量装置では、演算手段では、温度検出手段からの温度信号を、重量検出手段が実際に感じている温度を表す信号に変換して、この変換信号を用いて重量信号の温度補償を行っているので、正確に温度補償を行うことができる。
【0013】
前記演算手段は、温度検出手段からの温度信号が供給される信号処理手段を有するものとできる。この信号処理手段は、デジタル処理を行うものを使用することもできるし、アナログ処理を行うものを使用することもできる。この信号処理手段は、温度信号が入力され、温度信号を前記重量検出手段が実際に感じている温度を表す信号に変換して出力する伝達関数を有している。温度信号も伝達関数を有することがある。信号処理手段が有する伝達関数は、この伝達関数と温度信号との伝達関数とを加算した伝達特性が、重量検出手段が実際に感じている温度を表す信号が持つ伝達特性に一致するように、設定されている。
【0014】
さらに、第1の温度の状態から第2の温度の状態に重量検出手段の温度がステップ的に変化させられたとき、重量検出手段が実際に感じている温度は、第1の温度から第2の温度に時間経過と共に変化する第1の過渡応答特性を示す第1の伝達関数を有することがある。このとき、第1の温度の状態から第2の温度の状態にステップ的に温度検出手段の温度が変化させられたとき、温度信号は、第1の温度から第2の温度に時間経過と共に変化する第2の過渡応答特性を示す第2の伝達関数を有している。第1の伝達関数と第2の伝達関数とは通常には異なったものである。信号処理手段は、第2の伝達関数とカスケード接続したとき第1の伝達関数にほぼ等しい伝達関数となる第3の伝達関数を、信号処理手段の伝達関数として有している。信号処理手段は、デジタルフィルタによって第3の伝達関数を有する手段を実現することができ、デジタルフィルタとしてはその構成の簡易さから巡回形デジタルフィルタを使用することが望ましい。
【0015】
演算手段は、前記変換信号を入力し、この変換信号を引数として前記重量信号の推定変化分を算出する関数手段を有するものとできる。例えば零点の変化分を推定することもできるし、或いはスパンの変化を推定することもできるし、或いは両者を推定することもできる。この関数手段の出力によって重量信号を補償する補償演算手段が設けられている。補償演算手段としては、零点の変化に対しては加算または減算手段を使用することができ、スパンの変化に対して乗算または除算手段を使用することもできる。
【0016】
重量検出手段は、複数の部品から構成されることもある。上述したように、重量センサと、増幅手段とから構成されることもある。この場合、重量信号には各部品が感じている温度に従ってそれぞれ異なる変動が生じる。例えば、重量センサが感じる温度に基づいて零点変動が生じ、増幅手段が感じる温度に従ってスパンが変動する。温度検出手段は1台設けられている。温度信号と各部品が感じている温度とが異なっており、信号処理手段は、各部品が感じている温度に、前記温度信号を変換する複数の伝達関数を有している。温度信号を変換した各変換信号に基づいて、例えば零点変動を補償するための補償信号、スパン変動を補償するための補償信号を、それぞれ生成する関数手段が、信号処理手段に設けられている。
【0017】
【発明の実施の形態】
本発明の1実施形態の計量装置について説明する前に、その基礎となる計量装置について、図8を参照しながら説明する。
【0018】
この計量装置は、重量検出手段として、重量センサ2、例えばストレインゲージ式ロードセルを有し、さらに、重量検出手段として、増幅手段、例えば演算増幅器4も有している。演算増幅器4は、重量センサ2とは離れた位置、例えば測定装置5内に収容されている。重量センサ2は、載荷された荷重に対応する重量信号、例えば電圧信号を発生する。この重量信号と荷重との変換係数をK1とする。演算増幅器4は、重量センサ2の重量信号をゲインK2で増幅し、A/D変換器6に供給する。重量センサ2は、無負荷の状態でも、零点信号Wzを出力する。演算増幅器4も、重量センサ2から重量信号が供給されていない状態でも、オフセット信号Ezを発生する。載荷された荷重がWであるとすると、演算増幅器4の出力電圧V0は、
V0=K2(K1W+Wz+Ez)
となる。演算増幅器4のゲインK2は温度変化に対して充分に安定であるとすると、重量センサの変換係数K1の温度ドリフト、零点Wzの温度ドリフト、演算増幅器4のオフセット電圧Ezの温度ドリフトが、計量精度の上で問題となる。そのため、補償が必要である。
【0019】
変換係数K1、重量センサ2の零点wz、演算増幅器4のオフセット電圧Ezが、重量センサ2及び演算増幅器4の周囲温度θを変数とする関数であり、それぞれK1(θ)、Wz(θ)、Ez(θ)と表される。従って、演算増幅器4の出力電圧V(θ)は、
V0(θ)=K2(K1(θ)W+Wz(θ)+Ez(θ))
となる。このV0(θ)はA/D変換器6に入力されて、デジタル化される。従って、温度補償もデジタル演算で行われる。
【0020】
V(θ)を温度補償するために、重量センサ2の周囲温度を測定するために温度センサ8が設けられている。演算増幅器4を含む演算回路の周囲温度を測定するために温度センサ10が設けられている。これら温度センサ8、10は、これらが設置された場所の温度を検出して、温度θを得ている。
【0021】
この計量装置の製作及び調整時に、次のようにして、K1(θ)、Wz(θ)、Ez(θ)が求められている。
【0022】
まず、重量センサ2を無負荷の状態として、できるだけ重量信号が零に近い値に調整する。続いて、重量センサ2を温度θ1、θ2・・・θnのそれぞれ異なる温度に設定された温度槽(恒温槽)中にそれぞれ充分に長い時間にわたって置く。それぞれの温度における重量センサ2の無負荷状態の場合と、既知の重量Wmの物体を重量センサ2に載荷した場合の出力電圧V0を、温度が常に一定である位置に配置した測定装置5によって測定する。
【0023】
無負荷時の出力電圧V0zは、任意の温度θの場合、
V0z(θ)=Wz(θ)
で表される。またWm負荷時の出力電圧V0m(θ)は、任意の温度θの場合、
V0m(θ)=K1(θ)Wm+Wz(θ)
で表される。重量Wmの物体のみによる出力は、
V0m(θ)−V0z(θ)=K1(θ)Wm
であるので、温度θにおける変換係数K1(θ)は、
K1(θ)=(V0m(θ)−V0z(θ))/Wm
である。
【0024】
ここで、重量センサ2の使用可能な温度範囲のほぼ中間に相当する温度θmを基準温度として、重量センサ2の周囲温度がθmの場合の変換係数K1(θm)を測定し、この値をK1と定める。任意の温度における変換係数K1(θ)との比率を表す変換係数比率関数R1(θ)を、
R1(θ)=K1/K1(θ)
と定義する。
【0025】
温度θ1・・・θnにおける零点出力Wz(θ1)・・・Wz(θn)と、変換係数K1(θ1)・・・K1(θn)とが求められるので、これらを使用して任意の温度θにおける零点出力関数Wz’(θ)と、変換比率係数関数R1’(θ)を例えば最小自乗法等によって求める。例えばこれら関数を2次式に近似したとすると、
Wz’(θ)=a1θ+a2θ+a3
R1’(θ)=b1θ+b2θ+b3
のように表される。Wz’(θ)と、 R1’(θ)とを使用することによって、任意の温度θにおける重量センサ2の零点変動量と変換係数を推定することができる。
【0026】
測定装置5を温度がθ1、θ2・・・・θnである温度槽中に充分に長い時間にわたって置いて、それぞれの温度で演算増幅器4の入力を短絡した場合と、既知の標準電圧Emを供給した場合との出力電圧E0を測定する。
【0027】
任意温度θの場合、演算増幅器4の入力短絡時の出力電圧E0z(θ)は、
E0z(θ)=K2(θ)Ez(θ)
で表され、標準電圧Emを入力した時の演算増幅器4の出力電圧E0m(θ)は、
E0m(θ)=K2(θ)Em+K2(θ)Ez(θ)
で表される。電圧Emによる出力は、
E0m(θ)−E0z(θ)=K2(θ)Em
であるので、任意温度θにおける演算増幅器4のゲイン係数K2(θ)は、
K2(θ)=(E0m(θ)−E0z(θ))/Em
である。しかし、演算増幅器4のゲインは温度変化に対して安定に設計することが比較的容易であるので、演算増幅器4を安定に設計して、測定装置5の使用可能な温度範囲の中間的な温度θmのときのゲイン係数K2(θm)をゲイン係数K2として使用する。
【0028】
温度θ1・・・θnにおける演算増幅器4の入力短絡時の出力、即ち零点出力とゲイン係数K2とが求められたので、これらを使用して任意温度θにおける零点出力を最小自乗法などによって求める。例えば2次式に近似したなら、
K2Ez’(θ)=c1θ+c2θ+c3
のように任意温度θにおける演算増幅器4の零点出力を得ることができる。
【0029】
測定装置5では、温度センサ8、10の温度信号をA/D変換器12、14によってデジタル化する。温度センサ8が測定している重量センサ2の周囲温度をθx、温度センサ10が測定している演算増幅器4の周囲温度をθyとすると、重量センサ2に重量Wの物体が載荷されたときの演算増幅器4の出力電圧Vは、
V=K2(K1(θx)W+Wz(θx)+Ez(θy))
である。
【0030】
推定変換比率係数関数R1’(θ)、重量センサ推定零点変動量Wz’(θ)、演算増幅器推定零点変動量Ez’(θ)を、対応する温度信号θx、θyのデジタル信号が入力されることによって発生する関数発生器16、18、20が設けられ、更に演算増幅器のゲイン係数K2を記憶するメモリ22が設けられている。
【0031】
計量装置の使用時には、演算増幅器4の出力電圧Vをデジタル化した信号が補償演算回路24に供給される。関数発生器16、18には温度信号θxをデジタル化したものが供給され、関数発生器20には温度信号θyをデジタル化したものが供給される。関数発生器16はR1’(θx)を、関数発生器18はWz’(θx)を発生し、関数発生器20はEz’(θy)を発生し、これらを補償演算回路26に供給する。従って、補償演算回路24は、
Figure 2004309251
の演算を行って、重量信号Vから温度に影響を受けない重量信号を得る。
【0032】
しかし、温度センサ8、10と、温度補償の対象物である重量センサ2、演算増幅器4との間には、熱容量や熱伝達特性に差があるので、これらの周囲温度が変化したとき、温度の変化過程で温度センサ8、10が感じる温度と、重量センサ2、演算増幅器4が感じている実際の温度との間には、差がある。従って、温度センサ8と重量センサ2とが周囲温度に完全に熱平衡した状態、温度センサ10と演算増幅器4とが完全に熱平衡した状態であれば、図8の計量装置において温度補償を行うことができる。しかし、周囲温度が変化している過程では、重量センサ2と温度センサ8とが感じている温度に差があり、同様に演算増幅器4と温度センサ10とが感じている温度に差がある。この場合、図8の計量装置では、正確な温度補償ができず、大きな測定誤差が生じる。
【0033】
この点を改善したのが、本実施形態の計量装置で、計量装置の周囲温度が変化している状態において、温度センサ8、10の温度信号を、実際に重量センサ2、演算増幅器4が感じている温度を表す信号に変換するものである。
【0034】
そのため、計量装置の製作時または調整時に、温度補償対象物である重量センサ2、演算増幅器4、温度センサ8、10に温度変化のステップ入力を与える。そして、重量センサ2、演算増幅器4の零点の時間経過に伴う出力変化、温度センサ8、10の時間経過に伴う出力の変化を求める。温度変化のステップ入力は、第1の温度、例えば温度θ1に長い時間にわたって置いた状態から、第1の温度とは異なる第2の温度、例えば温度θ2の環境下に、計量装置を置くことによって、計量装置に与えられる。
【0035】
重量センサ2、演算増幅器4を、複数の異なる一定の温度環境下に置いて、重量センサ2、演算増幅器4が当該温度を感じている状態とし、重量センサ2、演算増幅器4に複数の異なる一定の温度を与えて、この複数の異なる一定温度に対する出力信号の変動量を求め、温度と変動量との関係を求める。この関係を基に、変動量から重量センサ2、演算増幅器4が実際に感じている温度の値を知る。
【0036】
そして、時間経過と重量センサ2、演算増幅器4の出力変動量との関係と、重量センサ2、演算増幅器4の出力変動量と重量センサ2、演算増幅器4が実際に感じている温度との関係から、重量センサ2、演算増幅器4に温度変化のステップ入力が加えられたときの時間経過に伴う重量センサ2、演算増幅器4が感じている温度値を求める。
【0037】
時間経過に伴って重量センサ2、演算増幅器4が実際に感じている温度の値が求まると、重量センサ2、演算増幅器4が周囲温度を感じる速度は、温度センサ8、10が周囲温度を感じる速度よりも速いので、温度センサ8、10の温度信号を遅れ要素を持つ伝達関数に入力することによって、温度センサ8、10の温度信号を、重量センサ2、演算増幅器4が時間経過に伴って実際に感じる温度を表す信号に変換している。
【0038】
これら変換信号を上述した関数発生器16、18、20のうち対応するものに供給することによって、以後、図8を参照して説明したのと同様にして温度補償が行われる。
【0039】
次に、重量センサ2を例として、重量センサ2の出力信号の零点変動の補償用温度信号の生成手段の作成法と、これを用いた補償法について説明する。
【0040】
まず、計量装置の製作時または調整時に、重量センサ2の零点出力と、温度センサ8の温度信号との温度ステップ入力に対する過渡応答特性を求める。
【0041】
重量センサ2と温度センサ8とを第1の温度θ1の雰囲気中に充分な長さの時間にわたって配置した後、無負荷の状態の重量センサ2の出力と、温度センサ8の出力とを測定する。このときの重量センサ2の零点出力をZ(θ1)と、温度センサ8の出力をθ1とする。無負荷の重量センサ2は、温度θ1で出力はほぼ零に調整されているので、Z(θ1)はほぼ零である。
【0042】
別に温度槽を準備し、温度槽の温度を、補償温度領域においてθ1とは充分に離れた第2の温度θ2としておき、重量センサ2と温度センサ8とを温度槽内に配置する。この時刻をt1とし、時刻t1から重量センサ2の零点出力と温度センサ8の温度信号とを、予め定めた時間間隔ごとに測定する。
【0043】
時刻t1での重量センサ2の零点出力をZ(t1)、温度センサ8の温度信号をθ(t1)とすると、温度槽内に重量センサ2と温度センサ8とを配置した瞬間には、重量センサ2と温度センサ8とは温度θ1を感じたままであるので、重量センサ2の零点出力Z(t1)=Z(θ1)であり、温度センサ8の温度信号θ(t1)=θ1である。
【0044】
やがて、時間の経過と共に、重量センサ2、温度センサ8が感じる温度は、周囲温度θ2に向かう。零点出力は、重量センサ2が感じる温度に従って変動する。また、温度信号も、温度センサ8が感じる温度に従って変動する。重量センサ2が実際に感じる温度がθ2に接近するに連れて、図2(a)に示すように、零点出力は飽和し始め、時刻t2において変動量はほぼ一定値に収束する。時刻t2での零点変動量をZ(t2)とすると、重量センサ2は時刻t2において、ほぼ温度θ2を感じているので、Z(t2)=Z(θ2)が成立する。このテストによって、図2(a)に示すような温度ステップ入力に対する重量センサ2の過渡応答特性が得られる。
【0045】
温度センサ2が実際に感じる温度θ2に接近するに連れて、温度信号も飽和し始め、図3(c)に示すように、時刻t2’においてほぼ温度θ2を感じているので、温度信号θ(t2’)=θ2が成立する。このテストによって、図3(c)に示すような温度ステップ入力に対する温度センサ8の過渡応答特性が得られる。
【0046】
次に、重量センサ2が感じている温度と、その温度における零点出力との関係を求める。
【0047】
即ち、無負荷状態の重量センサ2を温度槽内に入れて、まず重量センサ2を温度θ1に長時間保ち、充分に重量センサ2が温度θ1を感じている状態として、零点変動値Z(θ1)を測定する。次に、温度槽を、温度θ2までのそれぞれ異なる複数の温度とし、これら温度それぞれに重量センサ2を長時間保ち、これら温度をそれぞれ重量センサ2が感じている状態として、零点変動値をそれぞれ測定する。その結果、温度変化に対する零点変動値の変化の関係を図2(b)に示すように得る。
【0048】
重量センサ2の周囲温度をステップ状に変化させた場合に、重量センサ2が時間経過と共に感じる温度の過渡応答特性を求める。
【0049】
即ち、図2(a)、(b)より、大きさが(θ2−θ1)の温度ステップ入力を重量センサ2に加えたときの時間の経過に対する重量センサ2が感じる温度θの時間応答特性を求めることができる。重量センサ2は、温度θ1からθ2に向かって時間経過と共に、感じる温度が徐々に変化し、それに応じて零点も変動する。図2(b)は重量センサ2の零点変動と、重量センサ2が感じている温度との関係を示しているので、零点の変動値から、重量センサ2が感じている温度が判る。
【0050】
図2(a)は、時間経過に伴って、重量センサ2が感じる温度がθ1からθ2に変化するに従って重量センサ2の零点が変動する状態を示しているので、図2(a)、(b)に基づいて、重量センサ2の時間経過に従って、重量センサ2が感じる温度の変化を導くことができる。
【0051】
図2(a)において時刻t21での零点変動量Z(t21)は、重量センサ2が或る温度を感じた結果として出力されたもので、m21のように破線を延長すると、図2(b)の曲線と交点q21で交差し、この交点q21から温度軸上に垂線n21を立てると、温度軸との交点が零点変動量Z(t21)のときに、重量センサ2が感じている温度θ21を表す。
【0052】
図2(c)に示すように、時刻t1からの時間経過と重量センサ2が感じている温度との関係を表す座標を準備し、垂線n21を延長し、時間軸の時刻t21から垂線r21を立てると、垂線n21、r21の交点p21が求められる。交点p21は、時刻t21において重量センサ2が実際に感じている温度がθ21であることを表している。以下、同様にして、時刻t31、時刻t41、・・・時刻t2までの時刻ごとに交点p31、p41、・・・p2を求め、これらを結んで、曲線を得ると、この曲線は、時刻t1において大きさが(θ2−θ1)の温度ステップ入力を重量センサ2に加えたときの、時間経過に従って、重量センサ2が実際に感じている温度の変化を示した過渡応答特性となる。
【0053】
次に、温度センサ2の温度信号の過渡応答特性を、重量センサ2が実際に感じている温度の過渡応答特性に変換するための信号処理手段を作成する。
【0054】
実際に重量センサ2が感じている温度を求められ、これを図8に示す関数発生器18に入力すると、正確に零点変動量を推定できる。従って、重量センサ2の零点の温度補償もリアルタイムに正確に行える。
【0055】
しかし、図2(c)と図3(c)との比較から明らかなように、重量センサ2が実際に感じている温度の過渡応答特性と、温度センサ8の過渡応答特性とは、異なっている。従って、温度センサ8の出力を重量センサ2が実際に感じている温度を表す変換信号(温度補償信号)に変換する信号処理手段が設けられている。
【0056】
図3(a)は、図2(c)に示した重量センサ2が実際に感じる温度の過渡応答特性を再掲したもので、この特性は、遅れ要素を持つ伝達関数に近似している。最も簡単な事例として、この特性が、時定数Tの1次遅れ系の伝達関数H(s)に近似するものとすれば、
H(s)=1/(1+Ts)
と表される。1次遅れ系において、時定数をTすると、時刻Tにおける時間応答は、
1−exp(−t/T)=1−exp(−T/T)=1−exp(−1)
=1−0.368=0.632
であるので、図3(a)において、
θt−θ1=0.632(θ2−θ1)を満足するθtを温度軸上に取って、これを通り時間軸に平行な直線を引き、時間応答曲線との交点をptとし、ptに対応する時間軸上の値を、時定数Tと定める。この時定数Tを持つ1次遅れ系伝達関数の時間応答特性を図3(b)に示す。
【0057】
温度センサ8は周囲温度を速く感じるように製作されているので、一般に質量が大きく、熱容量の大きい重量センサ2よりも温度応答が速く、図3(c)に示すような過渡応答特性を示し、温度θ1から上述したθtに到達するのに時間T1だけかかる。温度センサ8の過渡応答特性も、下記の1次遅れ系伝達関数G1(s)に近似される。
G1(s)=1/(1+T1s)
【0058】
この過渡応答特性を持つ温度センサ8の温度信号を、伝達関数G2(s)を持つフィルタに入力し、その出力が上述した伝達関数H(s)に相当するものになるように信号処理手段がしている。ここで伝達関数G2(s)を例えば、時定数T2を持つ一次遅れ系の
G2(s)=1/(1+T2s)
とすると、
H(s)=G1(s)G2(s)=G(s)
が成立するように、時定数T2を定め、G2(s)、G(s)を決定する。厳密には、G(s)は2つの1次遅れ伝達関数の積であるので、1つの1次遅れの伝達関数H(s)とは完全に一致しないが、近似的には、次のようにすることでほぼ近い応答を得ることができる。
【0059】
1次遅れ伝達関数G1(s)、G2(s)の一般形を
G1(s)=p1/(s+p1)
G2(s)=p2/(s+p2)
と置いて、これらをカスケード接続した伝達関数G(s)を、時間応答関数g(t)に変換すると、
g(t)=1−(p2/(p2−p1))exp(−p1t)+(p1/(p2−p1))exp(−p2t)
と表される。横軸にp1tを取って、p2の値をp1のn倍に変化させたとき、1の大きさのステップ入力に対する時間応答は、図4のように示される。G1(s)、G2(s)は、
G1(s)=p1/(s+p1)=1/(1+(1/p1)s)
G2(s)=p2/(s+p2)=1/(1+(1/p1)s)
と表されるので、T1=1/p1、T2=1/p2と置くと、図4は時定数がT1、T2の1次遅れ伝達関数のカスケード接続における大きさ1のステップ入力に対する時間応答を示している。
【0060】
図5では、時定数の異なる複数の伝達関数の時間応答関数をf(t)として縦軸に取り、p1tの値を横軸に取っている。ここで、大きさ1で重量センサ2及び温度センサ8の周囲温度がステップ状に変化した場合の温度信号の時間応答が、g1(t)であるとする。この曲線g1(t)は、p2=∞の場合、即ちT2=0、伝達関数G2(s)=1の場合の応答曲線であり、図3(c)に相当する。
【0061】
伝達関数H(s)の特性を持つ重量センサ2の周囲温度変化が1の大きさのステップ状に変化した場合に対応する温度の時間応答特性が曲線h(t)である。この曲線h(t)は、過渡応答値0.632を通り横軸に平行に引いた直線と曲線h(t)との交点をQとし、このQから横軸に立てた垂線と横軸との交点をA2とすると、p1t=0A2を時定数とする1次遅れ伝達関数で、図2(c)に相当するものである。
【0062】
温度センサ8の出力応答を重量センサ2が実際に感じている温度の応答に合わせるため、曲線g1(t)の時間応答特性を持つ伝達関数G1(s)に対して伝達関数G2(s)のフィルタをカスケード接続して、その結果G(s)=G1(s)G2(s)の時間応答g(t)が、上述した交点Qを通るようにする。
【0063】
図5の場合では、p2=2p1とした伝達関数G2(s)を持つフィルタに温度センサ8の温度信号を供給するようにすれば、G(s)=G1(s)G2(s)の時間応答特性がQ点を通るので、ほぼGs(s)とH(s)との時間応答特性は等しくなる。
【0064】
このようにして、温度センサ8の温度信号の過渡応答特性は、重量センサ2が実際に感じる温度の過渡応答特性に一致するように補償されている。この伝達関数G2(s)を持つフィルタが温度補償信号出力手段の一例である。
【0065】
伝達関数G2(s)は、以下のようにして実際には決定される。
【0066】
目的とする伝達関数H(s)の時間応答特性h(t)に近似した2次応答特性の時間応答曲線を得るため、図5に示す時間応答曲線g1(t)を基準にして、p2をいくらの値にするかを定めるための参照曲線を、図6に示すように作成する。
【0067】
この曲線は、図5の曲線に置いてp1tの値が1のラインをAとし、伝達関数g1(t)に、p2=4p1、p2=2p1、p2=p1を定数とする伝達関数を接続した伝達関数G(s)のステップ応答が、時定数を定める目標値0.632へ到達するタイミングラインA1、A2、A3を求める。
【0068】
AA1、AA2、AA3の長さをそれぞれx1、x2、x3とする。p2=4p1(p2/p1=4)のときx=x1、p2=2p1(p2/p1=2)のときx=x2、p2=p1(p2/p1=1)のときx=x3であるので、(x1、4)の点a1、(x2、2)の点a2、(x3、1)の点a3を図6上にプロットする。なお、図6の縦軸はp2/p1の値であり、横軸はp1tである。
【0069】
温度センサ2の伝達関数G1(s)が1/(1+T1s)と同定され、重量センサの伝達関数H(s)が1/(1+Tas)と同定されたとする。但し、Ta=mT1(Ta>T1。従って、m>1)であるとし、p1=1/T1とする。
【0070】
G1(s)、H(s)の時間応答特性g1(t)、h(t)は
g1(t)=1−exp(−t/T)=1−exp(−p1t)
h(t)=1−exp(−t/Ta)=1−exp(−t/(mT1))=1−exp(p1tm)
と表される。従って、図5の曲線において時間応答が0.632に到達するのは、g1(t)がp1t=1のとき、h(t)はp1t=mのときである。伝達関数G1(s)に対して伝達関数G2(s)をカスケード接続した伝達関数G(s)の時間応答特性g(t)では、p1t=mにおいて応答が0.632となるようにするために、図6の曲線を使用して、x=m−1を横軸に取り、横軸に垂線を立てて、この曲線との交点を取り、この交点の縦軸の値p2/p1がbとすると、
p2=bp1=1/T2
T2=1/bp1
として、接続すべき1次遅れ伝達関数G2(s)=1/(1+T2s)の時定数T2が決定される。
【0071】
なお、図5の事例を拡張して、図6の曲線の有効範囲を広げる場合には、次のようにする。例えばP2=(1/2)p1を持つG2(s)をG1(s)に接続した場合の時間応答関数を図5にプロットする。p2=(1/2)p1の場合には、
g(t)=1−{p2/(p2−p1))exp(p1t)+(p1/(p2−p1)}exp(−p2t)
であるので、この式にp1t=0.5、1、2、3・・・等の値を代入して求めたg(t)の値を図6にプロットする。求めた曲線の時間応答が0.632となるp1tを読み取って、この値から1を減算したxの値を求め、図6の座標上でxの値とp2/p1=0.5との交点をa4とし、a3−a4間に直線を引けばよい。
【0072】
さらに、p2=(1/10)p1等の場合のp1tからxの値を予め計算し、図6のグラフに加えておけば、さらに図6の曲線の有効範囲を広げることができる。
【0073】
上記のような方法の他に、a1、a2、a3等の各点を通る曲線を表す関数を最小自乗法によって求めて、その関数を表す曲線を使用することもできる。
【0074】
上記の説明は、重量センサ2の周囲温度を測定している温度センサ8の温度信号を、重量センサ2が実際に感じ、かつ零点変動に影響を及ぼす温度を表す信号に変換するためのものである。同じ重量センサ2であっても、例えばストレインゲージ式のロードセルの金属起歪体は、周囲温度の変化によってヤング率が変化し、スパンが変化する。また、起歪体の表面に貼付されているストレインゲージの温度変化によって出力信号の零点が変化するが、周囲温度に影響を受ける速度は、スパンよりも速い。このように、重量センサ2が実際に感じている温度の時間応答特性は、スパンに対するものと零点変動に対するものとでは異なる。従って、上述したものと同様にして、温度センサ8の温度信号を、零点変動補償用に使用する伝達関数と、スパン補償用に使用する伝達関数とは異なったものとなるが、上述した説明と同様にしてスパン補償用の伝達関数も決定することができる。また、演算増幅器4においても、零点変動が生じ、これも上述したのと同様にして、零点補償用に、温度センサ10からの温度信号を演算増幅器4が実際に感じている温度を表す信号に変換するための伝達関数が決定される。
【0075】
重量センサ2における零点の温度補償用に使用する伝達関数をG22(s)、重量センサにおけるスパンの温度補償用に使用する伝達関数をG23(s)、演算増幅器4における零点の温度補償用に使用する伝達関数をG32(s)とする。
【0076】
これら伝達関数G22(s)、G23(s)、G32(s)を決定し、これら伝達関数で、温度センサ8、10の温度信号を処理することによって、重量センサ2の零点変動に影響を与えている温度、重量センサ2のスパン変動に影響を与えている温度、演算増幅器4の零点変動に影響を与えている温度を、それぞれリアルタイムに得ることができ、これら温度に基づいてリアルタイムに温度補償を行うことができる。
【0077】
図1は、本発明の1実施形態の計量装置のブロック図で、図8に示した基本構成の計量装置と比較すると、上述した各伝達関数G22(s)、G23(s)、G32(s)を持つ信号処理手段、例えばデジタルフィルタ28、30、32が設けられている。他の構成は、図8の計量装置と同一であるので、同等部分には同一符号を付して、その説明を省略する。
【0078】
デジタルフィルタ28は、1/(1+T22s)で表される伝達関数G22(s)を持つもので、温度センサ8の温度信号をA/D変換器12によってデジタル化したデジタル温度信号を入力し、これを重量センサ2の零点変動の補償用の変換信号に変換して、重量センサ2の零点補償用の関数発生器18に供給する。デジタルフィルタ30は、1/(1+T23s)で表される伝達関数G23(s)を持つもので、温度センサ8の温度信号をA/D変換器12によってデジタル化したデジタル温度信号を入力し、これを重量センサ2のスパン変動の補償用の変換信号に変換して、重量センサ2のスパン補償用の関数発生器16に供給する。デジタルフィルタ32は、1/(1+T32s)で表される伝達関数G32を持つもので、温度センサ10の温度信号をA/D変換器14でデジタル化したデジタル温度信号を入力し、これを演算増幅器4の零点変動補償用の変換信号に変換して、演算増幅器4の零点補償用の関数発生器20に供給する。
【0079】
デジタルフィルタ28は、例えば図7に示すような巡回形とすることができる。デジタルフィルタ28の伝達関数G22(s)をH22(s)/F22(s)と表すと、F22(s)は、
F22(s)=(1+T22s)H22(s)
と表される。これの時間応答特性f22(t)は、
f22(t)=T22dh22(t)・dt+H22(t)
と表される。これを差分方程式に変換すると、
f22(nΔt)=T22(h22(nΔt)−h22((n−1)Δt)/Δt+h22(nΔt)
となる。これを移項して、整理すると、
h22(nΔt)=A22h22((n−1)Δt)+B22f22(nΔt)となる。但し、
A22=(T22/Δt)/((T22/Δt)+1)
B22=1/((T22/Δt)+1)
である。Δtは、所定時間間隔である。
【0080】
計量装置を使用するために計量装置へ電源を供給した時には、温度センサ8及び重量センサ2の温度は、周囲温度に一致していると考えられる。温度センサ8の計量信号をデジタル化したデジタル温度信号にB22を乗算した値B22f22(nΔt)をh22((n−1)Δt)として遅延用のメモリ34に記憶させると共に、出力h22(nΔt)として出力させる。以後、デジタル温度信号がf22(nΔt)として入力されるごとに、これに係数B22を乗算器36によって乗算し、かつメモリ34に記憶されている値に乗算器38によって係数A22を乗算し、これらを加算器40によって加算し、h22(nΔt)として出力すると共に遅延用メモリ34に記憶させることを繰り返す。
【0081】
他のデジタルフィルタ30、32も同様に構成する。
【0082】
このようなデジタルフィルタ28、30、32を使用すると、演算回路に演算を行わせるだけであるので、コストがかからず、しかも定量的に正確に遅れ要素の伝達関数の係数を求めることができるので、温度センサの上に遅れ伝熱特性を持った温度保護層を設けるなどの機械的な手段を施す方法に比べて、極めて容易に、しかも殆ど応答差がなく正確に温度補償を行うことができる。また、デジタルフィルタ28、30、32と同一の伝達関数を持つアナログフィルタを、デジタルフィルタ28、30、32に代えて使用することもできる。しかも、アナログフィルタでは、抵抗器やコンデンサ等の部品が必要になるが、過渡応答特性を数値的に合わせることができるので、温度保護層を設けるような機械的な手段を施す方法に比べて、正確でしかも調整範囲を広く取ることができる。
【0083】
重量センサ2や演算増幅器4の感温時間応答特性が極めて遅く、時間応答曲線が高次遅れ系であると見なせる場合には、この時間応答曲線を高次遅れ系伝達関数に同定したり、無駄時間プラス1次遅れ系の形に同定したりすることもできる。
【0084】
温度センサ8を重量センサ2上に設置して、重量センサ2自身の感じる温度の時間応答に近い時間応答で周囲温度を感じるようにして、温度センサ8の出力に設けるフィルタ28、30の時定数が小さくなるようにすることもできる。
【0085】
上記の計量装置では、説明の便宜上、デジタルフィルタ28、30、32、関数発生器16、18、20、メモリ24、補償演算回路26の各ブロックに分けて説明した。しかし、実際には、これらブロックは、マイクロコンピュータ等によって構成される。
【0086】
上記の計量装置では、重量センサ2用の温度センサ8と、演算増幅器4等の演算回路用の温度センサ10とを設けたが、重量センサ2と演算増幅器4とが同じ温度である気体雰囲気中にあるときには、温度センサを1台だけ設け、重量センサ2と演算増幅器4とに共通に使用できる。
【0087】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、温度センサの温度信号を、実際に重量センサや増幅手段を含む重量検出手段が感じている温度を表す信号にリアルタイムに変換することができる。従って、この変換された信号を使用することによって、リアルタイムに且つ正確に重量信号を温度補償することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の計量装置の1実施例のブロック図である。
【図2】図1の重量センサに温度ステップ信号を入力したときの零点が時間経過と共に変化する状態を示す図と、図1の重量センサを様々な温度下での零点の変化を示す図と、図1の重量センサに温度ステップ信号を入力したときの重量センサが感じる温度が時間経過と共に変化する状態を示す図である。
【図3】図1の重量センサに温度ステップ信号を入力したときの重量センサが感じる温度が時間経過と共に変化する状態を示す図と、これに対応する過渡応答特性を示す図と、図1の温度センサに温度ステップ信号を入力したときの温度信号が時間経過と共に変化する状態を示す図とである。
【図4】図1の温度センサの温度信号をそれぞれ異なる伝達関数を持つフィルタに供給した場合の出力の変化状態を示す図である。
【図5】図1の温度センサの温度信号を重量センサが実際に感じている温度に変換するための伝達関数を定める過程の一部を示す図である。
【図6】図1の温度センサの温度信号を重量センサが実際に感じている温度に変換するための伝達関数を定める過程の他の部分を示す図である。
【図7】図1の計量装置に置いて使用されるデジタルフィルタのブロック図である。
【図8】図1の計量装置の前提となる計量装置のブロック図である。
【符号の説明】
2 重量センサ(重量検出手段)
4 演算増幅器(重量検出手段)
8 10 温度センサ(温度検出手段)
16 18 20 関数発生器(演算手段)
24 補償演算回路(演算手段)
28 30 32 デジタルフィルタ(演算手段)

Claims (5)

  1. 載荷された荷重に対応した重量信号を出力し、当該重量信号は、周囲温度の変化に従って変動する重量検出手段と、
    この重量検出手段が感じている温度を間接的に測定した温度信号を発生し、この温度信号は前記重量検出手段が実際に感じている温度よりも速く変化する特性を有している温度検出手段と、
    前記重量信号と前記温度信号とを入力し、前記温度信号を前記重量検出手段が実際に感じている温度を表す信号に変換し、この変換信号によって前記重量信号を温度補償して出力する演算手段とを、
    具備する計量装置。
  2. 請求項1記載の計量装置において、前記演算手段は、
    前記温度検出手段からの温度信号が供給される信号処理手段を有し、この信号処理手段は、前記温度信号を入力し、前記温度信号を前記重量検出手段が実際に感じている温度を表す信号に変換して出力する伝達関数を有する
    計量装置。
  3. 請求項2記載の計量装置において、第1の温度の状態から第2の温度の状態に前記重量検出手段の温度がステップ的に変化させられたとき、前記重量検出手段が実際に感じている温度は、第1の温度から第2の温度に時間経過と共に変化する第1の過渡応答特性を示す第1の伝達関数を有し、第1の温度の状態から第2の温度の状態にステップ的に前記温度検出手段の温度が変化させられたとき、前記温度信号は、第1の温度から第2の温度に時間経過と共に変化する第2の過渡応答特性を示す第2の伝達関数を有し、前記信号処理手段は、第2の伝達関数とカスケード接続したとき第1の伝達関数にほぼ相当する伝達関数となる第3の伝達関数を、前記信号処理手段の伝達関数として有する計量装置。
  4. 請求項1記載の計量装置において、前記演算手段は、前記変換信号を入力し、この変換信号を引数として前記重量信号の推定変化分を算出する関数手段を有し、この関数手段の出力によって前記重量信号を補償する補償演算手段を有する計量装置。
  5. 請求項2記載の計量装置において、前記重量検出手段は、複数の部品から構成され、前記重量信号には前記各部品が感じている温度に従ってそれぞれ異なる変動が生じ、前記温度検出手段は1台設けられ、前記温度信号と前記各部品が感じている温度とが異なっており、前記信号処理手段は、前記各部品が感じている温度に、前記温度信号を変換する複数の伝達関数を有している計量装置。
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