JP2004309215A - 膜厚測定装置および膜厚測定方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】専門家による定期保守などを行う必要がなく、容易に膜厚測定を行うことが可能な膜厚測定装置および膜厚測定方法を提供する。
【解決手段】塗膜が形成された被測定シート10の塗膜の膜厚を測定する膜厚測定装置であり、被測定シート10にライン状に光を照射するライン状照明装置11と、被測定シート10を透過した光を受光する測定用ラインCCDカメラ12と、測定用ラインCCDカメラ12からの信号を数値化し、得られた数値データを記憶する測定カメラ画像入力ボード15と、測定カメラ画像入力ボード15からの数値データを処理して被測定シート10の塗膜の膜厚を算出するコンピュータ14とを具備する膜厚測定装置を用いる。
【選択図】 図1
【解決手段】塗膜が形成された被測定シート10の塗膜の膜厚を測定する膜厚測定装置であり、被測定シート10にライン状に光を照射するライン状照明装置11と、被測定シート10を透過した光を受光する測定用ラインCCDカメラ12と、測定用ラインCCDカメラ12からの信号を数値化し、得られた数値データを記憶する測定カメラ画像入力ボード15と、測定カメラ画像入力ボード15からの数値データを処理して被測定シート10の塗膜の膜厚を算出するコンピュータ14とを具備する膜厚測定装置を用いる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、フィルムまたはシート上に塗膜が形成された、移動する測定対象物の塗膜の膜厚を測定する膜厚測定装置および膜厚測定方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の膜厚測定装置としては、レーザービームを利用した膜厚分布検査装置が、特開昭59−148806号公報に開示されている。
この膜厚分布検査装置においては、2種類のレーザービームを被検査シート状物の幅方向に反射ミラーを可動させることにより走査させ、そのレーザーの照射位置を1次元イメージセンサで検出し、1次元イメージセンサの出力差を判定基準値と比較して膜厚を測定している。
【0003】
この膜厚分布検査装置は、反射ミラーを可動させることにより被検査シート状物の全幅にわたる膜厚測定を実現している。しかしながら、この膜厚分布検査装置は、反射ミラーの可動部の調整、および1次元イメージセンサの軸調整を容易に行うことができず、専門家による定期保守などが必要であった。
【0004】
【特許文献1】
特開昭59−148806号公報(第1−5頁)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
よって、本発明の目的は、専門家による定期保守などを行う必要がなく、容易に膜厚測定を行うことが可能な膜厚測定装置および膜厚測定方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明の膜厚測定装置は、フィルムまたはシート上に塗膜が形成された測定対象物の塗膜の膜厚を測定する膜厚測定装置であり、測定対象物に、ライン状に光を照射するライン状照明装置と、測定対象物を透過した光を受光する測定用ラインCCDカメラと、ラインCCDカメラからの信号を数値化し、得られた数値データを記憶する記憶手段と、記憶手段に記憶された数値データを処理して測定対象物の塗膜の膜厚を算出するデータ処理手段とを具備することを特徴とするものである。
【0007】
また、本発明の膜厚測定装置は、さらに、測定対象物と同じフィルムまたはシート上に膜厚既知の塗膜が形成された基準シートを透過した光を受光する基準用ラインCCDカメラを具備し、前記データ処理手段が、基準用ラインCCDカメラからの信号を数値化した基準数値データと、測定用ラインCCDカメラからの信号を数値化した測定数値データとを比較することによって、測定対象物の塗膜の膜厚を算出するものであることが望ましい。
【0008】
また、本発明の膜厚測定方法は、フィルムまたはシート上に塗膜が形成された測定対象物の塗膜の膜厚を測定する方法であり、ライン状照明装置からライン状に照射され、測定対象物を透過した光を測定用ラインCCDカメラで受光するステップと、ラインCCDカメラからの信号を数値化し、得られた数値データを記憶するステップと、記憶された数値データを処理して測定対象物の塗膜の膜厚を算出するステップとを有することを特徴とする。
【0009】
また、本発明の膜厚測定方法は、さらに、測定対象物と同じフィルムまたはシート上に膜厚既知の塗膜が形成された基準シートを透過した光を基準用ラインCCDカメラで受光するステップを有し、前記測定対象物の塗膜の膜厚を算出するステップが、基準用ラインCCDカメラからの信号を数値化した基準数値データと、測定用ラインCCDカメラからの信号を数値化した測定数値データとを比較することによって、測定対象物の塗膜の膜厚を算出するステップであることが望ましい。
【0010】
また、本発明の膜厚測定方法は、さらに、測定対象物の塗膜の膜厚を測定する前に、基準シートを透過した光を、基準用ラインCCDカメラおよび測定用ラインCCDカメラで受光し、基準用ラインCCDカメラからの信号の出力レベルと、測定用ラインCCDカメラからの信号の出力レベルとを比較して補正係数をあらかじめ算出するステップと、前記測定対象物の塗膜の膜厚を算出するステップの直前に、測定用ラインCCDカメラからの信号を数値化した測定数値データを、補正係数によって補正するステップとを有することが望ましい。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態を図を参照して詳しく説明する。
図1は、本発明の膜厚測定装置は、製造ラインを一定方向に移動する被測定シート10(測定対象物)および被測定シート10の横に配置された基準シート20にライン状に光を照射するライン状照明装置11と、被測定シート10を透過した透過光を受光して、その画像信号を得る複数の測定用ラインCCDカメラ12a、12b、12c、12d(以下、測定用ラインCCDカメラ12とも記す)と、基準シート20を透過した透過光を受光して、その画像信号を得る基準用ラインCCDカメラ13と、測定用ラインCCDカメラ12および基準用ラインCCDカメラ13からの画像信号を処理するコンピュータ14と、処理結果を出力する出力装置30とを具備して概略構成されるものである。
【0012】
被測定シート10は、連続シート状の透明または半透明のフィルムまたはシート上に、透明または半透明の塗膜が形成されたものであり、ライン状照明装置11および各ラインCCDカメラが配置された製造ライン上を移動している。透明または半透明のフィルムまたはシートとしては、樹脂フィルムまたはシートなどが挙げられる。ここでいう、透明または半透明とは、ライン状照明装置11からの光を透過できることである。
【0013】
ライン状照明装置11は、被測定シート10への光の照射範囲の長手方向が被測定シート10の移動方向に直交するように配置されたライン状の照明装置であり、例えば、高周波点灯の蛍光灯点灯装置、ロッド照明、ライン状に配置された光ファイバ照明、LED照明などが挙げられる。ライン状照明装置11は、被測定シート10および基準シート20を挟んで、測定用ラインCCDカメラ12および基準用ラインCCDカメラ13の反対側の位置に配置される。なお、本実施形態では、ライン状照明装置11が被測定シート10への光の照射範囲の長手方向が被測定シート10の移動方向に直交するように配置されているが、これに限定されるものではない。
【0014】
測定用ラインCCDカメラ12は、複数のCCD素子が1次元に配置されたカメラである。測定用ラインCCDカメラ12は、撮像範囲の長手方向が被測定シート10の移動方向に直交するように配置されるものであり、ライン状照明装置11から照射され、被測定シート10を透過した光をCCD素子で受光し、被測定シート10の移動方向に直交するラインで被測定シート10の透過光の光強度分布に応じた画像信号を出力するものである。なお、本実施形態では、測定用ラインCCDカメラ12が撮像範囲の長手方向が被測定シート10の移動方向に直交するように配置されているが、これに限定されるものではない。
【0015】
基準用ラインCCDカメラ13は、複数のCCD素子が1次元に配置されたカメラである。基準用ラインCCDカメラ13は、ライン状照明装置11から照射され、基準シート20を透過した光をCCD素子で受光し、基準シート20の透過光の光強度分布に応じた画像信号を出力するものである。
これらラインCCDカメラは、幅方向の測定分解能が細かく、幅方向に対する平均化処理を行うものであれば、CCD素子間のばらつきを軽減することができ、さらに測定精度を高くすることが可能である。
【0016】
コンピュータ14は、図1および図2に示すように、測定用ラインCCDカメラ12a、12b、12c、12dの各CCD素子からの画像信号を、各画素ごとに数値化し、得られた被測定シートデータ(測定数値データ)を記憶する測定カメラ画像入力ボート15a、15b、15c、15d(以下、測定カメラ画像入力ボード15とも記す)(記憶手段)と、基準用ラインCCDカメラ13の各CCD素子からの画像信号を、画素ごとに数値化し、得られた基準シートデータ(基準数値データ)を記憶する基準カメラ画像入力ボート16(記憶手段)と、測定カメラ画像入力ボード15に記憶された被測定シートデータと基準カメラ画像入力ボード16に記憶された基準シートデータとを比較することによって、被測定シート10の塗膜の膜厚の指標となる相対透過率を算出する相対透過率算出処理部17(データ処理手段)とを具備して概略構成されるものである。
【0017】
測定カメラ画像入力ボード15aは、図3に示すように、測定用ラインCCDカメラ12aからの画像信号(電気信号)を、各画素ごとに例えば256段階の数値データに変換して、スキャン(1〜m)ごとに、各画素(1〜n)ごとの被測定シートデータ(Da1 〜Dan )としてメモリ上に一時的に記憶するものである。同じく、測定カメラ画像入力ボード15b、・・・は、測定用ラインCCDカメラ12b、・・・からの画像信号を、各画素ごとに数値データに変換して、スキャン(1〜m)ごとに、各画素(1〜n)ごとの被測定シートデータ(Db1 〜Dbn 、・・・)としてメモリ上に一時的に記憶するものである。
【0018】
測定カメラ画像入力ボード15には、通常、数十MByteのメモリが実装されており、各測定用ラインCCDカメラ12で測定された複数のスキャンの被測定シートデータを常に記憶しておくことができる。また、被測定シートデータは、メモリにリング形式で記憶され、全メモリにデータが記憶された場合、最も古いスキャンのデータに対して最新のスキャンのデータが上書きされる。ここで、メモリは、例えば、RAM(Random Access Memory)のような揮発性のメモリ、またはハードディスク装置、光磁気ディスク装置、フラッシュメモリ等の不揮発性のメモリ、あるいはこれらの組み合わせにより構成される。
【0019】
基準カメラ画像入力ボード16は、図3に示すように、基準用ラインCCDカメラ13からの画像信号(電気信号)を、各画素ごとに例えば256段階の数値データに変換して、各画素(1〜n)ごとの基準シートデータ(D1 〜Dn )をメモリ上に一時的に記憶するものである。また、基準カメラ画像入力ボード16は、スキャンごとに、各画素ごとの被測定シートデータとしてメモリ上に一時的に記憶させるようにしてもよい。
【0020】
相対透過率算出処理部17は、図2に示すように、基準シート平均値算出部21と、被測定シート透過量算出部22と、相対透過率算出部23とを有して概略構成されるものである。
基準シート平均値算出部21は、基準カメラ画像入力ボード16に記憶された基準シートデータ(D1 〜Dn )を読み込み、これらをすべて合計し、合計値を画素数nで除算し、基準シート平均値A0 を算出するものである。
【0021】
被測定シート透過量算出部22は、測定カメラ画像入力ボード15a、15b、・・・に記憶された被測定シートデータ(Da1 〜Dan 、Db1 〜Dbn 、・・・)を読み込み、必要に応じて複数のスキャンにおける各画素ごとの各被測定シートデータの平均値を求め、後述の補正係数算出処理部で算出された各測定用ラインCCDカメラ12a、12b、・・・における各画素(1〜n)に対する補正係数(Ka1 〜Kan 、Kb1 〜Kbn 、・・・)を、各画素ごとの被測定シートデータに乗算することによって、各画素(1〜n)の透過光量(La1 〜Lan 、Lb1 〜Lbn 、・・・)を算出するものである。
【0022】
相対透過率算出部23は、被測定シート透過量算出部22で算出された各測定用ラインCCDカメラ12a、12b、・・・における各画素(1〜n)ごとの透過光量(La1 〜Lan 、Lb1 〜Lbn 、・・・)を、基準シート平均値算出部21で算出された基準シート平均値A0 で除算し、各測定用ラインCCDカメラ12a、12b・・・における各画素(1〜n)ごとの相対透過率(Ra1 〜Ran 、Rb1 〜Rbn 、・・・)を算出するものである。
【0023】
また、コンピュータ14は、相対透過率算出処理部23によって算出された相対透過率(Ra1 〜Ran 、Rb1 〜Rbn 、・・・)を、あらかじめ作成された膜厚と相対透過率との関係式をもとに膜厚に変換する膜厚変換部(図示略)を有していてもよい。
【0024】
また、コンピュータ14は、基準用ラインCCDカメラ13と、各測定用ラインCCDカメラ12a、12b、・・・との間の画像信号の出力レベルの誤差を補正するために、図4に示すように、測定カメラ画像入力ボード15a、15b、・・・に記憶された測定カメラデータ(D’a1 〜D’an 、D’b1 〜D’bn 、・・・)と、基準カメラ画像入力ボード16に記憶された基準カメラデータ(D’1 〜D’n )とを比較することによって、各測定用ラインCCDカメラ12a、12b・・・における各画素(1〜n)に対する補正係数(Ka1 〜Kan 、Kb1 〜Kbn 、・・・)を算出する補正係数算出部18(データ処理手段)を有していてもよい。
【0025】
ここで、測定カメラデータ(D’a1 〜D’an 、D’b1 〜D’bn 、・・・)は、基準シートを透過した光を、測定用ラインCCDカメラ12a、12b、・・・で受光し、測定カメラ画像入力ボード15a、15b、・・・において各測定用ラインCCDカメラからの画像信号(電気信号)を各画素(1〜n)ごとに数値データに変換して、メモリ上に一時的に記憶したものである。
また、基準カメラデータ(D’1 〜D’n )は、基準シートを透過した光を、基準用ラインCCDカメラ13で受光し、基準カメラ画像入力ボード16において画像信号(電気信号)を各画素(1〜n)ごとに数値データに変換して、メモリ上に一時的に記憶したものである。
【0026】
補正係数算出部18は、図4に示すように、基準カメラ平均値算出部24と、補正係数算出部25とを有して概略構成されるものである。
基準カメラ平均値算出部24は、基準カメラ画像入力ボード16に記憶された各画素(1〜n)ごとの基準カメラデータ(D’1 〜D’n )を読み込み、これらをすべて合計し、合計値を画素数nで除算し、基準カメラ平均値Aを算出するものである。
【0027】
補正係数算出部25は、測定カメラ画像入力ボード15a、15b、・・・に記憶された、各測定用ラインCCDカメラ12a、12b、・・・における各画素(1〜n)ごとの測定カメラデータ(D’a1 〜D’an 、D’b1 〜D’bn 、・・・)を読み込み、これらで基準カメラ平均値算出部で算出された基準カメラ平均値Aを除算し、各測定用ラインCCDカメラ12a、12b、・・・における各画素(1〜n)ごとの補正係数(Ka1 〜Kan 、Kb1 〜Kbn 、・・)を算出するものである。
【0028】
上述したコンピュータ14は、メモリおよび中央演算装置(CPU)によって構成され、上述の機能を実現するためのプログラムをメモリにロードして実行するものであってもよく、上述の機能をそれぞれ専用のハードウエアにより実現させるものであってもよい。
また、コンピュータ14には、ディスプレイタッチパネル、スイッチパネル、キーボード等の入力装置などの周辺機器を接続してもよい。
【0029】
出力装置30は、コンピュータ14にて算出された各画素(1〜n)ごとの相対透過率(Ra1 〜Ran 、Rb1 〜Rbn 、・・・)を、図5に示すようなグラフとして表示するものである。また、相対透過率(Ra1 〜Ran 、Rb1 〜Rbn 、・・・)を変換して得られた膜厚を表示してもよい。出力装置30としては、CRTモニター、液晶表示装置、プリンタなどを用いることができる。
【0030】
次に、本発明の膜厚測定方法について説明する。なお、測定用ラインCCDカメラ12a、12b、・・・については、測定用ラインCCDカメラ12aのみを例にとり、説明する。
被測定シート10の塗膜の膜厚を測定する前に、基準用ラインCCDカメラ13と、測定用ラインCCDカメラ12aとの間の画像信号の出力レベルの誤差を補正するために、基準シートを透過した光を、基準用ラインCCDカメラ13および測定用ラインCCDカメラ12aで受光し、基準用ラインCCDカメラ13からの画像信号の出力レベルと、測定用ラインCCDカメラ12aからの画像信号の出力レベルとを比較して補正係数をあらかじめ算出する。
【0031】
具体的には、まず、ライン状照明装置11から照射され、基準シートを透過した光を、基準用ラインCCDカメラ13で受光し、基準カメラ画像入力ボード16において画像信号(電気信号)を各画素(1〜n)ごとに数値データに変換し、これを基準カメラデータ(D’1 〜D’n )として基準カメラ画像入力ボード16のメモリ上に一時的に記憶する。
ここで、基準用ラインCCDカメラ13から基準カメラ画像入力ボード16に取り込む画像信号は、図6に示すように、所定以上の出力レベルが得られるように、あらかじめ指定された視野範囲WにあるCCD素子からの画像信号のみであり、この範囲内の画素に1〜nの数字を順に付与する。
【0032】
ついで、基準カメラ画像入力ボード16に記憶された各画素(1〜n)ごとの基準カメラデータ(D’1 〜D’n )を基準カメラ平均値算出部24に読み込み、これらをすべて合計し、合計値を画素数nで除算し、基準カメラ平均値Aを算出する。
平均値A=(D’1 +D’2 +・・・+D’n−1 +D’n )/n
このとき、基準用ラインCCDカメラ13に受光された1スキャン分の基準カメラデータでは、外乱光およびノイズなどが含まれている可能性があるので、複数スキャン分の基準カメラデータで平均値Aを算出することが望ましい。
【0033】
ついで、上記基準シートを測定用ラインCCDカメラ12の下に移し、ライン状照明装置11から照射され、基準シートを透過した光を、測定用ラインCCDカメラ12aで受光し、測定カメラ画像入力ボード15aにおいて測定用ラインCCDカメラ12aからの画像信号(電気信号)を各画素(1〜n)ごとに数値データに変換し、これを測定カメラデータ(D’a1 〜D’an )として、測定カメラ画像入力ボード15aのメモリ上に一時的に記憶する。
【0034】
ついで、測定カメラ画像入力ボード15aに記憶された各画素(1〜n)ごとの測定カメラデータ(D’a1 〜D’an )を補正係数算出部25に読み込み、これらで基準カメラ平均値算出部24で算出された基準カメラ平均値Aを除算し、各画素(1〜n)ごとの補正係数(Ka1 〜Kan )を算出する。
補正係数Kan =A/D’an
このとき、測定用ラインCCDカメラ12aに受光された1スキャン分の測定カメラデータでは、外乱光およびノイズなどが含まれている可能性があるので、複数スキャン分の測定カメラデータの平均値を用いて、補正係数(Ka1 〜Kan )を算出することが望ましい。
【0035】
補正係数を算出した後、被測定シート10の塗膜の膜厚を測定する。
まず、ライン状照明装置11から照射され、膜厚既知の基準シート20を透過した光を、基準用ラインCCDカメラ13で受光し、基準カメラ画像入力ボード16において画像信号(電気信号)を各画素(1〜n)ごとに数値データに変換し、これを基準シートデータ(D1 〜Dn )として基準カメラ画像入力ボード16のメモリ上に一時的に記憶する。
ここで、基準用ラインCCDカメラ13から基準カメラ画像入力ボード16に取り込む画像信号は、図6に示すように、所定以上の出力レベルが得られるように、あらかじめ指定された視野範囲WにあるCCD素子からの画像信号のみであり、この範囲内の画素に1〜nの数字を順に付与する。
【0036】
ついで、基準カメラ画像入力ボード16に記憶された各画素(1〜n)ごとの基準シートデータ(D1 〜Dn )を基準シート平均値算出部21に読み込み、これらをすべて合計し、合計値を画素数nで除算し、基準シート平均値A0 を算出する。
平均値A0 =(D1 +D2 +・・・+Dn−1 +Dn )/n
このとき、基準用ラインCCDカメラ13に受光された1スキャン分の基準シートデータでは、外乱光およびノイズなどが含まれている可能性があるので、複数スキャン分の基準シートデータで平均値A0 を算出することが望ましい。
【0037】
ついで、ライン状照明装置11から照射され、一定方向に移動する膜厚未知の被測定シート10を透過した光を、測定用ラインCCDカメラ12aで受光し、測定カメラ画像入力ボード15aにおいて測定用ラインCCDカメラ12aからの画像信号(電気信号)を各画素(1〜n)ごとに数値データに変換し、これを測定カメラデータ(Da1 〜Dan )として、測定カメラ画像入力ボード15aのメモリ上に一時的に記憶する。
【0038】
ついで、測定カメラ画像入力ボード15aに記憶された被測定シートデータ(Da1 〜Dan )を被測定シート透過量算出部22に読み込み、上述の各画素(1〜n)に対する補正係数(Ka1 〜Kan )を、各画素ごとの被測定シートデータに乗算することによって、各画素(1〜n)の透過光量(La1 〜Lan )を算出する。
透過光量Lan =Dan ×Kan
このとき、測定用ラインCCDカメラ12aに受光された1スキャン分の被測定シートデータでは、外乱光およびノイズなどが含まれている可能性があるので、複数スキャン分の被測定シートデータの平均値を用いて、透過光量(La1 〜Lan )を算出することが望ましい。
【0039】
ついで、被測定シート透過量算出部22で算出された各画素(1〜n)ごとの透過光量(La1 〜Lan )を、相対透過率算出部23において、基準シート平均値算出部21で算出された基準シート平均値A0 で除算し、各画素(1〜n)ごとの相対透過率(Ra1 〜Ran )を算出する。
相対透過率Ran =Lan /A0
相対透過率は、被測定シート10の一定移動距離または一定時間ごとに、被測定シート10表面を測定用ラインCCDカメラ12aでスキャンして算出してもよい。
【0040】
ついで、膜厚変換部(図示略)において、相対透過率算出処理部23によって算出された相対透過率(Ra1 〜Ran )を、あらかじめ作成された膜厚と相対透過率との関係式をもとに膜厚に変換し、結果を出力装置30に出力する。
なお、必ず相対透過率から膜厚に変換する必要はなく、相対透過率を最終結果としてもよい。
【0041】
以上説明した本発明の膜厚測定装置および膜厚測定方法にあっては、照明装置としてライン状照明装置11を用い、透過光の受光手段としてライン状の測定用ラインCCDカメラ12を用いているので、照明装置および受光手段に可動部分がなく、専門家による定期保守などを行う必要がない。これにより、専門家がいなくても容易に膜厚測定を行うことが可能となる。
【0042】
また、基準シート20の透過光を受光した基準用ラインCCDカメラ13からの画像信号を数値化した基準シートデータと、被測定シート10の透過光を受光した測定用ラインCCDカメラ12からの画像信号を数値化した被測定シートデータとを比較することによって、測定対象物の塗膜の膜厚を算出しているので、簡単な設備で容易に、正確な膜厚を測定することができる。
【0043】
【実施例】
以下、具体的な実施例について説明する。
被測定シート10としては、幅1000mm、巻長8000m、膜厚0.2μm〜0.8μmの磁気フィルムを用いた。
ライン状照明装置11としては、三菱レイヨン株式会社製のロッド照明装置(型名:RDN1500)を使用した。このロッド照明装置は、ロッド長1500mmで、ロッドの両側からハロゲンランプの光を入れて照明するものである。
ラインCCDカメラとしては、三菱レイヨン株式会社製のラインCCDカメラ(型名:SCD−2048B−20)を使用した。このラインCCDカメラは、CCD素子数が2048素子であり、駆動周波数20MHzで動作するものである。また、カメラの分解能は、幅方向0.13mm/画素、流れ方向2.0mm/スキャンである。
【0044】
画像入力ボードとしては、株式会社マイクロテクニカ製の画像入力ボード(型名:MT98−LMR)を使用した。この画像入力ボードは、32Mbyteのメモリを実装し、2048画素のラインCCDカメラの場合、約16000回のスキャンのデータを常に保持することが可能である。
コンピュータ14としては、日本電気株式会社製の型名:FC−98Xaを使用し、表示装置としては、日本電気株式会社製の型名:X510を使用した。
【0045】
本実施例では、膜厚の最終結果は、相対透過率とした。相対透過率の測定は、磁気フィルムを最大400m/分で移動させながら、100m間隔で行った。磁気フィルムの巻長が8000mであるので、相対透過率の測定は約80回行った。以下、約80回の測定のうちのある1回の測定結果のみを記述する。
【0046】
はじめに、基準用ラインCCDカメラ13の視野範囲に、膜厚が既知の基準磁気フィルムを通し、下方からライン状照明装置11からの照明を当てた状態で、基準磁気フィルムの表面を基準用ラインCCDカメラ13でスキャンし、その画像信号を画像入力ボートを経てコンピュータ14の補正係数算出処理部18に読み込み、基準カメラ平均値Aを算出した。視野範囲Wは200mmに設定した。このときの平均値Aは112レベルであった。
【0047】
ついで、測定用ラインCCDカメラ12a、12b、12c、12dの視野範囲に基準磁気フィルムを通し、下方からライン状照明装置11からの照明を当てた状態で、基準磁気フィルムの表面を各測定用ラインCCDカメラ12でスキャンし、その画像信号を画像入力ボートを経てコンピュータ14の補正係数算出処理部18に読み込み、補正係数を算出した。各測定用ラインCCDカメラ12の、1〜2048画素の補正係数の範囲は、測定用ラインCCDカメラ12aの補正係数Kan =0.86〜1.22、測定用ラインCCDカメラ12bの補正係数Kbn =0.83〜1.20、測定用ラインCCDカメラ12cの補正係数Kcn =0.88〜1.23、測定用ラインCCDカメラ12dの補正係数Kdn =0.87〜1.23であった。
【0048】
次に、基準用ラインCCDカメラ13の視野範囲内に膜厚が既知の基準磁気フィルムをおき、下方からライン状照明装置11からの照明を当てた状態で、基準磁気フィルムの表面を基準用ラインCCDカメラ13でスキャンし、その画像信号を画像入力ボートを経てコンピュータ14の補正係数算出処理部18に読み込み、基準カメラ平均値A0 を算出した。このときの平均値A0 は117レベルであった。
【0049】
ついで、測定用ラインCCDカメラ12a、12b、12c、12dの視野範囲に、膜厚未知の磁気フィルムを通し、下方からライン状照明装置11からの照明を当てた状態で、磁気フィルムの表面を各測定用ラインCCDカメラ12でスキャンし、その画像信号を画像入力ボートを経てコンピュータ14の補正係数算出処理部18に読み込み、透過光量を算出した。各測定用ラインCCDカメラ12の、1〜2048画素の透過光量の範囲は、測定用ラインCCDカメラ12aの透過光量Lan =125〜129レベル、測定用ラインCCDカメラ12bの透過光量Lbn =124〜130レベル、測定用ラインCCDカメラ12cの透過光量Lcn =121〜125レベル、測定用ラインCCDカメラ12dの透過光量Ldn =123〜128レベルであった。
【0050】
ついで、各測定用ラインCCDカメラ12の各画素の相対透過率を算出した。このときの相対透過率の範囲は、測定用ラインCCDカメラ12aの相対透過率Ran =107〜110%、測定用ラインCCDカメラ12bの相対透過率Rbn =106〜111%、測定用ラインCCDカメラ12cの相対透過率Rcn =103〜107%、測定用ラインCCDカメラ12dの相対透過率Rdn =105〜109%であった。
【0051】
【表1】
【0052】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の膜厚測定装置は、フィルムまたはシート上に塗膜が形成された測定対象物の塗膜の膜厚を測定する膜厚測定装置であり、測定対象物に、ライン状に光を照射するライン状照明装置と、測定対象物を透過した光を受光する測定用ラインCCDカメラと、ラインCCDカメラからの信号を数値化し、得られた数値データを記憶する記憶手段と、記憶手段に記憶された数値データを処理して測定対象物の塗膜の膜厚を算出するデータ処理手段とを具備するものであるので、専門家による定期保守などを行う必要がなく、容易に膜厚測定を行うことが可能である。
【0053】
また、本発明の膜厚測定装置が、さらに、測定対象物と同じフィルムまたはシート上に膜厚既知の塗膜が形成された基準シートを透過した光を受光する基準用ラインCCDカメラを具備し、前記データ処理手段が、基準用ラインCCDカメラからの信号を数値化した基準数値データと、測定用ラインCCDカメラからの信号を数値化した測定数値データとを比較することによって、測定対象物の塗膜の膜厚を算出するものであれば、簡単な設備で容易に、正確な膜厚を測定することができる。
【0054】
また、本発明の膜厚測定方法は、フィルムまたはシート上に塗膜が形成された測定対象物の塗膜の膜厚を測定する方法であり、ライン状照明装置からライン状に照射され、測定対象物を透過した光を測定用ラインCCDカメラで受光するステップと、ラインCCDカメラからの信号を数値化し、得られた数値データを記憶するステップと、記憶された数値データを処理して測定対象物の塗膜の膜厚を算出するステップとを有する方法であるので、専門家による定期保守などを行う必要がなく、容易に膜厚測定を行うことが可能である。
【0055】
また、本発明の膜厚測定方法が、さらに、測定対象物と同じフィルムまたはシート上に膜厚既知の塗膜が形成された基準シートを透過した光を基準用ラインCCDカメラで受光するステップを有し、前記測定対象物の塗膜の膜厚を算出するステップが、基準用ラインCCDカメラからの信号を数値化した基準数値データと、測定用ラインCCDカメラからの信号を数値化した測定数値データとを比較することによって、測定対象物の塗膜の膜厚を算出するステップであれば、簡単な設備で容易に、正確な膜厚を測定することができる。
【0056】
また、本発明の膜厚測定方法が、さらに、測定対象物の塗膜の膜厚を測定する前に、基準シートを透過した光を、基準用ラインCCDカメラおよび測定用ラインCCDカメラで受光し、基準用ラインCCDカメラからの信号の出力レベルと、測定用ラインCCDカメラからの信号の出力レベルとを比較して補正係数をあらかじめ算出するステップと、前記測定対象物の塗膜の膜厚を算出するステップの直前に、測定用ラインCCDカメラからの信号を数値化した測定数値データを、補正係数によって補正するステップとを有する方法であれば、基準用ラインCCDカメラ13と、測定用ラインCCDカメラ12aとの間の画像信号の出力レベルの誤差を補正することができ、さらに正確に膜厚を測定することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の膜厚測定装置の一例を示す概略図である。
【図2】本発明の膜厚測定装置におけるデータ処理手段の一例を示すブロック図である。
【図3】本発明の膜厚測定装置における記憶手段の一例を示す概略図である。
【図4】本発明の膜厚測定装置におけるデータ処理手段の他の例を示すブロック図である。
【図5】出力装置に出力される膜厚測定結果の一例を示すグラフである。
【図6】基準用ラインCCDカメラの読み込み範囲を示す図である。
【符号の説明】
10 被測定シート(測定対象物)
11 ライン状照明装置
12 測定用ラインCCDカメラ
13 基準用ラインCCDカメラ
14 コンピュータ(データ処理手段)
15 測定カメラ画像入力ボード(記憶手段)
16 基準カメラ画像入力ボード(記憶手段)
20 基準シート
【発明の属する技術分野】
本発明は、フィルムまたはシート上に塗膜が形成された、移動する測定対象物の塗膜の膜厚を測定する膜厚測定装置および膜厚測定方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の膜厚測定装置としては、レーザービームを利用した膜厚分布検査装置が、特開昭59−148806号公報に開示されている。
この膜厚分布検査装置においては、2種類のレーザービームを被検査シート状物の幅方向に反射ミラーを可動させることにより走査させ、そのレーザーの照射位置を1次元イメージセンサで検出し、1次元イメージセンサの出力差を判定基準値と比較して膜厚を測定している。
【0003】
この膜厚分布検査装置は、反射ミラーを可動させることにより被検査シート状物の全幅にわたる膜厚測定を実現している。しかしながら、この膜厚分布検査装置は、反射ミラーの可動部の調整、および1次元イメージセンサの軸調整を容易に行うことができず、専門家による定期保守などが必要であった。
【0004】
【特許文献1】
特開昭59−148806号公報(第1−5頁)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
よって、本発明の目的は、専門家による定期保守などを行う必要がなく、容易に膜厚測定を行うことが可能な膜厚測定装置および膜厚測定方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明の膜厚測定装置は、フィルムまたはシート上に塗膜が形成された測定対象物の塗膜の膜厚を測定する膜厚測定装置であり、測定対象物に、ライン状に光を照射するライン状照明装置と、測定対象物を透過した光を受光する測定用ラインCCDカメラと、ラインCCDカメラからの信号を数値化し、得られた数値データを記憶する記憶手段と、記憶手段に記憶された数値データを処理して測定対象物の塗膜の膜厚を算出するデータ処理手段とを具備することを特徴とするものである。
【0007】
また、本発明の膜厚測定装置は、さらに、測定対象物と同じフィルムまたはシート上に膜厚既知の塗膜が形成された基準シートを透過した光を受光する基準用ラインCCDカメラを具備し、前記データ処理手段が、基準用ラインCCDカメラからの信号を数値化した基準数値データと、測定用ラインCCDカメラからの信号を数値化した測定数値データとを比較することによって、測定対象物の塗膜の膜厚を算出するものであることが望ましい。
【0008】
また、本発明の膜厚測定方法は、フィルムまたはシート上に塗膜が形成された測定対象物の塗膜の膜厚を測定する方法であり、ライン状照明装置からライン状に照射され、測定対象物を透過した光を測定用ラインCCDカメラで受光するステップと、ラインCCDカメラからの信号を数値化し、得られた数値データを記憶するステップと、記憶された数値データを処理して測定対象物の塗膜の膜厚を算出するステップとを有することを特徴とする。
【0009】
また、本発明の膜厚測定方法は、さらに、測定対象物と同じフィルムまたはシート上に膜厚既知の塗膜が形成された基準シートを透過した光を基準用ラインCCDカメラで受光するステップを有し、前記測定対象物の塗膜の膜厚を算出するステップが、基準用ラインCCDカメラからの信号を数値化した基準数値データと、測定用ラインCCDカメラからの信号を数値化した測定数値データとを比較することによって、測定対象物の塗膜の膜厚を算出するステップであることが望ましい。
【0010】
また、本発明の膜厚測定方法は、さらに、測定対象物の塗膜の膜厚を測定する前に、基準シートを透過した光を、基準用ラインCCDカメラおよび測定用ラインCCDカメラで受光し、基準用ラインCCDカメラからの信号の出力レベルと、測定用ラインCCDカメラからの信号の出力レベルとを比較して補正係数をあらかじめ算出するステップと、前記測定対象物の塗膜の膜厚を算出するステップの直前に、測定用ラインCCDカメラからの信号を数値化した測定数値データを、補正係数によって補正するステップとを有することが望ましい。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態を図を参照して詳しく説明する。
図1は、本発明の膜厚測定装置は、製造ラインを一定方向に移動する被測定シート10(測定対象物)および被測定シート10の横に配置された基準シート20にライン状に光を照射するライン状照明装置11と、被測定シート10を透過した透過光を受光して、その画像信号を得る複数の測定用ラインCCDカメラ12a、12b、12c、12d(以下、測定用ラインCCDカメラ12とも記す)と、基準シート20を透過した透過光を受光して、その画像信号を得る基準用ラインCCDカメラ13と、測定用ラインCCDカメラ12および基準用ラインCCDカメラ13からの画像信号を処理するコンピュータ14と、処理結果を出力する出力装置30とを具備して概略構成されるものである。
【0012】
被測定シート10は、連続シート状の透明または半透明のフィルムまたはシート上に、透明または半透明の塗膜が形成されたものであり、ライン状照明装置11および各ラインCCDカメラが配置された製造ライン上を移動している。透明または半透明のフィルムまたはシートとしては、樹脂フィルムまたはシートなどが挙げられる。ここでいう、透明または半透明とは、ライン状照明装置11からの光を透過できることである。
【0013】
ライン状照明装置11は、被測定シート10への光の照射範囲の長手方向が被測定シート10の移動方向に直交するように配置されたライン状の照明装置であり、例えば、高周波点灯の蛍光灯点灯装置、ロッド照明、ライン状に配置された光ファイバ照明、LED照明などが挙げられる。ライン状照明装置11は、被測定シート10および基準シート20を挟んで、測定用ラインCCDカメラ12および基準用ラインCCDカメラ13の反対側の位置に配置される。なお、本実施形態では、ライン状照明装置11が被測定シート10への光の照射範囲の長手方向が被測定シート10の移動方向に直交するように配置されているが、これに限定されるものではない。
【0014】
測定用ラインCCDカメラ12は、複数のCCD素子が1次元に配置されたカメラである。測定用ラインCCDカメラ12は、撮像範囲の長手方向が被測定シート10の移動方向に直交するように配置されるものであり、ライン状照明装置11から照射され、被測定シート10を透過した光をCCD素子で受光し、被測定シート10の移動方向に直交するラインで被測定シート10の透過光の光強度分布に応じた画像信号を出力するものである。なお、本実施形態では、測定用ラインCCDカメラ12が撮像範囲の長手方向が被測定シート10の移動方向に直交するように配置されているが、これに限定されるものではない。
【0015】
基準用ラインCCDカメラ13は、複数のCCD素子が1次元に配置されたカメラである。基準用ラインCCDカメラ13は、ライン状照明装置11から照射され、基準シート20を透過した光をCCD素子で受光し、基準シート20の透過光の光強度分布に応じた画像信号を出力するものである。
これらラインCCDカメラは、幅方向の測定分解能が細かく、幅方向に対する平均化処理を行うものであれば、CCD素子間のばらつきを軽減することができ、さらに測定精度を高くすることが可能である。
【0016】
コンピュータ14は、図1および図2に示すように、測定用ラインCCDカメラ12a、12b、12c、12dの各CCD素子からの画像信号を、各画素ごとに数値化し、得られた被測定シートデータ(測定数値データ)を記憶する測定カメラ画像入力ボート15a、15b、15c、15d(以下、測定カメラ画像入力ボード15とも記す)(記憶手段)と、基準用ラインCCDカメラ13の各CCD素子からの画像信号を、画素ごとに数値化し、得られた基準シートデータ(基準数値データ)を記憶する基準カメラ画像入力ボート16(記憶手段)と、測定カメラ画像入力ボード15に記憶された被測定シートデータと基準カメラ画像入力ボード16に記憶された基準シートデータとを比較することによって、被測定シート10の塗膜の膜厚の指標となる相対透過率を算出する相対透過率算出処理部17(データ処理手段)とを具備して概略構成されるものである。
【0017】
測定カメラ画像入力ボード15aは、図3に示すように、測定用ラインCCDカメラ12aからの画像信号(電気信号)を、各画素ごとに例えば256段階の数値データに変換して、スキャン(1〜m)ごとに、各画素(1〜n)ごとの被測定シートデータ(Da1 〜Dan )としてメモリ上に一時的に記憶するものである。同じく、測定カメラ画像入力ボード15b、・・・は、測定用ラインCCDカメラ12b、・・・からの画像信号を、各画素ごとに数値データに変換して、スキャン(1〜m)ごとに、各画素(1〜n)ごとの被測定シートデータ(Db1 〜Dbn 、・・・)としてメモリ上に一時的に記憶するものである。
【0018】
測定カメラ画像入力ボード15には、通常、数十MByteのメモリが実装されており、各測定用ラインCCDカメラ12で測定された複数のスキャンの被測定シートデータを常に記憶しておくことができる。また、被測定シートデータは、メモリにリング形式で記憶され、全メモリにデータが記憶された場合、最も古いスキャンのデータに対して最新のスキャンのデータが上書きされる。ここで、メモリは、例えば、RAM(Random Access Memory)のような揮発性のメモリ、またはハードディスク装置、光磁気ディスク装置、フラッシュメモリ等の不揮発性のメモリ、あるいはこれらの組み合わせにより構成される。
【0019】
基準カメラ画像入力ボード16は、図3に示すように、基準用ラインCCDカメラ13からの画像信号(電気信号)を、各画素ごとに例えば256段階の数値データに変換して、各画素(1〜n)ごとの基準シートデータ(D1 〜Dn )をメモリ上に一時的に記憶するものである。また、基準カメラ画像入力ボード16は、スキャンごとに、各画素ごとの被測定シートデータとしてメモリ上に一時的に記憶させるようにしてもよい。
【0020】
相対透過率算出処理部17は、図2に示すように、基準シート平均値算出部21と、被測定シート透過量算出部22と、相対透過率算出部23とを有して概略構成されるものである。
基準シート平均値算出部21は、基準カメラ画像入力ボード16に記憶された基準シートデータ(D1 〜Dn )を読み込み、これらをすべて合計し、合計値を画素数nで除算し、基準シート平均値A0 を算出するものである。
【0021】
被測定シート透過量算出部22は、測定カメラ画像入力ボード15a、15b、・・・に記憶された被測定シートデータ(Da1 〜Dan 、Db1 〜Dbn 、・・・)を読み込み、必要に応じて複数のスキャンにおける各画素ごとの各被測定シートデータの平均値を求め、後述の補正係数算出処理部で算出された各測定用ラインCCDカメラ12a、12b、・・・における各画素(1〜n)に対する補正係数(Ka1 〜Kan 、Kb1 〜Kbn 、・・・)を、各画素ごとの被測定シートデータに乗算することによって、各画素(1〜n)の透過光量(La1 〜Lan 、Lb1 〜Lbn 、・・・)を算出するものである。
【0022】
相対透過率算出部23は、被測定シート透過量算出部22で算出された各測定用ラインCCDカメラ12a、12b、・・・における各画素(1〜n)ごとの透過光量(La1 〜Lan 、Lb1 〜Lbn 、・・・)を、基準シート平均値算出部21で算出された基準シート平均値A0 で除算し、各測定用ラインCCDカメラ12a、12b・・・における各画素(1〜n)ごとの相対透過率(Ra1 〜Ran 、Rb1 〜Rbn 、・・・)を算出するものである。
【0023】
また、コンピュータ14は、相対透過率算出処理部23によって算出された相対透過率(Ra1 〜Ran 、Rb1 〜Rbn 、・・・)を、あらかじめ作成された膜厚と相対透過率との関係式をもとに膜厚に変換する膜厚変換部(図示略)を有していてもよい。
【0024】
また、コンピュータ14は、基準用ラインCCDカメラ13と、各測定用ラインCCDカメラ12a、12b、・・・との間の画像信号の出力レベルの誤差を補正するために、図4に示すように、測定カメラ画像入力ボード15a、15b、・・・に記憶された測定カメラデータ(D’a1 〜D’an 、D’b1 〜D’bn 、・・・)と、基準カメラ画像入力ボード16に記憶された基準カメラデータ(D’1 〜D’n )とを比較することによって、各測定用ラインCCDカメラ12a、12b・・・における各画素(1〜n)に対する補正係数(Ka1 〜Kan 、Kb1 〜Kbn 、・・・)を算出する補正係数算出部18(データ処理手段)を有していてもよい。
【0025】
ここで、測定カメラデータ(D’a1 〜D’an 、D’b1 〜D’bn 、・・・)は、基準シートを透過した光を、測定用ラインCCDカメラ12a、12b、・・・で受光し、測定カメラ画像入力ボード15a、15b、・・・において各測定用ラインCCDカメラからの画像信号(電気信号)を各画素(1〜n)ごとに数値データに変換して、メモリ上に一時的に記憶したものである。
また、基準カメラデータ(D’1 〜D’n )は、基準シートを透過した光を、基準用ラインCCDカメラ13で受光し、基準カメラ画像入力ボード16において画像信号(電気信号)を各画素(1〜n)ごとに数値データに変換して、メモリ上に一時的に記憶したものである。
【0026】
補正係数算出部18は、図4に示すように、基準カメラ平均値算出部24と、補正係数算出部25とを有して概略構成されるものである。
基準カメラ平均値算出部24は、基準カメラ画像入力ボード16に記憶された各画素(1〜n)ごとの基準カメラデータ(D’1 〜D’n )を読み込み、これらをすべて合計し、合計値を画素数nで除算し、基準カメラ平均値Aを算出するものである。
【0027】
補正係数算出部25は、測定カメラ画像入力ボード15a、15b、・・・に記憶された、各測定用ラインCCDカメラ12a、12b、・・・における各画素(1〜n)ごとの測定カメラデータ(D’a1 〜D’an 、D’b1 〜D’bn 、・・・)を読み込み、これらで基準カメラ平均値算出部で算出された基準カメラ平均値Aを除算し、各測定用ラインCCDカメラ12a、12b、・・・における各画素(1〜n)ごとの補正係数(Ka1 〜Kan 、Kb1 〜Kbn 、・・)を算出するものである。
【0028】
上述したコンピュータ14は、メモリおよび中央演算装置(CPU)によって構成され、上述の機能を実現するためのプログラムをメモリにロードして実行するものであってもよく、上述の機能をそれぞれ専用のハードウエアにより実現させるものであってもよい。
また、コンピュータ14には、ディスプレイタッチパネル、スイッチパネル、キーボード等の入力装置などの周辺機器を接続してもよい。
【0029】
出力装置30は、コンピュータ14にて算出された各画素(1〜n)ごとの相対透過率(Ra1 〜Ran 、Rb1 〜Rbn 、・・・)を、図5に示すようなグラフとして表示するものである。また、相対透過率(Ra1 〜Ran 、Rb1 〜Rbn 、・・・)を変換して得られた膜厚を表示してもよい。出力装置30としては、CRTモニター、液晶表示装置、プリンタなどを用いることができる。
【0030】
次に、本発明の膜厚測定方法について説明する。なお、測定用ラインCCDカメラ12a、12b、・・・については、測定用ラインCCDカメラ12aのみを例にとり、説明する。
被測定シート10の塗膜の膜厚を測定する前に、基準用ラインCCDカメラ13と、測定用ラインCCDカメラ12aとの間の画像信号の出力レベルの誤差を補正するために、基準シートを透過した光を、基準用ラインCCDカメラ13および測定用ラインCCDカメラ12aで受光し、基準用ラインCCDカメラ13からの画像信号の出力レベルと、測定用ラインCCDカメラ12aからの画像信号の出力レベルとを比較して補正係数をあらかじめ算出する。
【0031】
具体的には、まず、ライン状照明装置11から照射され、基準シートを透過した光を、基準用ラインCCDカメラ13で受光し、基準カメラ画像入力ボード16において画像信号(電気信号)を各画素(1〜n)ごとに数値データに変換し、これを基準カメラデータ(D’1 〜D’n )として基準カメラ画像入力ボード16のメモリ上に一時的に記憶する。
ここで、基準用ラインCCDカメラ13から基準カメラ画像入力ボード16に取り込む画像信号は、図6に示すように、所定以上の出力レベルが得られるように、あらかじめ指定された視野範囲WにあるCCD素子からの画像信号のみであり、この範囲内の画素に1〜nの数字を順に付与する。
【0032】
ついで、基準カメラ画像入力ボード16に記憶された各画素(1〜n)ごとの基準カメラデータ(D’1 〜D’n )を基準カメラ平均値算出部24に読み込み、これらをすべて合計し、合計値を画素数nで除算し、基準カメラ平均値Aを算出する。
平均値A=(D’1 +D’2 +・・・+D’n−1 +D’n )/n
このとき、基準用ラインCCDカメラ13に受光された1スキャン分の基準カメラデータでは、外乱光およびノイズなどが含まれている可能性があるので、複数スキャン分の基準カメラデータで平均値Aを算出することが望ましい。
【0033】
ついで、上記基準シートを測定用ラインCCDカメラ12の下に移し、ライン状照明装置11から照射され、基準シートを透過した光を、測定用ラインCCDカメラ12aで受光し、測定カメラ画像入力ボード15aにおいて測定用ラインCCDカメラ12aからの画像信号(電気信号)を各画素(1〜n)ごとに数値データに変換し、これを測定カメラデータ(D’a1 〜D’an )として、測定カメラ画像入力ボード15aのメモリ上に一時的に記憶する。
【0034】
ついで、測定カメラ画像入力ボード15aに記憶された各画素(1〜n)ごとの測定カメラデータ(D’a1 〜D’an )を補正係数算出部25に読み込み、これらで基準カメラ平均値算出部24で算出された基準カメラ平均値Aを除算し、各画素(1〜n)ごとの補正係数(Ka1 〜Kan )を算出する。
補正係数Kan =A/D’an
このとき、測定用ラインCCDカメラ12aに受光された1スキャン分の測定カメラデータでは、外乱光およびノイズなどが含まれている可能性があるので、複数スキャン分の測定カメラデータの平均値を用いて、補正係数(Ka1 〜Kan )を算出することが望ましい。
【0035】
補正係数を算出した後、被測定シート10の塗膜の膜厚を測定する。
まず、ライン状照明装置11から照射され、膜厚既知の基準シート20を透過した光を、基準用ラインCCDカメラ13で受光し、基準カメラ画像入力ボード16において画像信号(電気信号)を各画素(1〜n)ごとに数値データに変換し、これを基準シートデータ(D1 〜Dn )として基準カメラ画像入力ボード16のメモリ上に一時的に記憶する。
ここで、基準用ラインCCDカメラ13から基準カメラ画像入力ボード16に取り込む画像信号は、図6に示すように、所定以上の出力レベルが得られるように、あらかじめ指定された視野範囲WにあるCCD素子からの画像信号のみであり、この範囲内の画素に1〜nの数字を順に付与する。
【0036】
ついで、基準カメラ画像入力ボード16に記憶された各画素(1〜n)ごとの基準シートデータ(D1 〜Dn )を基準シート平均値算出部21に読み込み、これらをすべて合計し、合計値を画素数nで除算し、基準シート平均値A0 を算出する。
平均値A0 =(D1 +D2 +・・・+Dn−1 +Dn )/n
このとき、基準用ラインCCDカメラ13に受光された1スキャン分の基準シートデータでは、外乱光およびノイズなどが含まれている可能性があるので、複数スキャン分の基準シートデータで平均値A0 を算出することが望ましい。
【0037】
ついで、ライン状照明装置11から照射され、一定方向に移動する膜厚未知の被測定シート10を透過した光を、測定用ラインCCDカメラ12aで受光し、測定カメラ画像入力ボード15aにおいて測定用ラインCCDカメラ12aからの画像信号(電気信号)を各画素(1〜n)ごとに数値データに変換し、これを測定カメラデータ(Da1 〜Dan )として、測定カメラ画像入力ボード15aのメモリ上に一時的に記憶する。
【0038】
ついで、測定カメラ画像入力ボード15aに記憶された被測定シートデータ(Da1 〜Dan )を被測定シート透過量算出部22に読み込み、上述の各画素(1〜n)に対する補正係数(Ka1 〜Kan )を、各画素ごとの被測定シートデータに乗算することによって、各画素(1〜n)の透過光量(La1 〜Lan )を算出する。
透過光量Lan =Dan ×Kan
このとき、測定用ラインCCDカメラ12aに受光された1スキャン分の被測定シートデータでは、外乱光およびノイズなどが含まれている可能性があるので、複数スキャン分の被測定シートデータの平均値を用いて、透過光量(La1 〜Lan )を算出することが望ましい。
【0039】
ついで、被測定シート透過量算出部22で算出された各画素(1〜n)ごとの透過光量(La1 〜Lan )を、相対透過率算出部23において、基準シート平均値算出部21で算出された基準シート平均値A0 で除算し、各画素(1〜n)ごとの相対透過率(Ra1 〜Ran )を算出する。
相対透過率Ran =Lan /A0
相対透過率は、被測定シート10の一定移動距離または一定時間ごとに、被測定シート10表面を測定用ラインCCDカメラ12aでスキャンして算出してもよい。
【0040】
ついで、膜厚変換部(図示略)において、相対透過率算出処理部23によって算出された相対透過率(Ra1 〜Ran )を、あらかじめ作成された膜厚と相対透過率との関係式をもとに膜厚に変換し、結果を出力装置30に出力する。
なお、必ず相対透過率から膜厚に変換する必要はなく、相対透過率を最終結果としてもよい。
【0041】
以上説明した本発明の膜厚測定装置および膜厚測定方法にあっては、照明装置としてライン状照明装置11を用い、透過光の受光手段としてライン状の測定用ラインCCDカメラ12を用いているので、照明装置および受光手段に可動部分がなく、専門家による定期保守などを行う必要がない。これにより、専門家がいなくても容易に膜厚測定を行うことが可能となる。
【0042】
また、基準シート20の透過光を受光した基準用ラインCCDカメラ13からの画像信号を数値化した基準シートデータと、被測定シート10の透過光を受光した測定用ラインCCDカメラ12からの画像信号を数値化した被測定シートデータとを比較することによって、測定対象物の塗膜の膜厚を算出しているので、簡単な設備で容易に、正確な膜厚を測定することができる。
【0043】
【実施例】
以下、具体的な実施例について説明する。
被測定シート10としては、幅1000mm、巻長8000m、膜厚0.2μm〜0.8μmの磁気フィルムを用いた。
ライン状照明装置11としては、三菱レイヨン株式会社製のロッド照明装置(型名:RDN1500)を使用した。このロッド照明装置は、ロッド長1500mmで、ロッドの両側からハロゲンランプの光を入れて照明するものである。
ラインCCDカメラとしては、三菱レイヨン株式会社製のラインCCDカメラ(型名:SCD−2048B−20)を使用した。このラインCCDカメラは、CCD素子数が2048素子であり、駆動周波数20MHzで動作するものである。また、カメラの分解能は、幅方向0.13mm/画素、流れ方向2.0mm/スキャンである。
【0044】
画像入力ボードとしては、株式会社マイクロテクニカ製の画像入力ボード(型名:MT98−LMR)を使用した。この画像入力ボードは、32Mbyteのメモリを実装し、2048画素のラインCCDカメラの場合、約16000回のスキャンのデータを常に保持することが可能である。
コンピュータ14としては、日本電気株式会社製の型名:FC−98Xaを使用し、表示装置としては、日本電気株式会社製の型名:X510を使用した。
【0045】
本実施例では、膜厚の最終結果は、相対透過率とした。相対透過率の測定は、磁気フィルムを最大400m/分で移動させながら、100m間隔で行った。磁気フィルムの巻長が8000mであるので、相対透過率の測定は約80回行った。以下、約80回の測定のうちのある1回の測定結果のみを記述する。
【0046】
はじめに、基準用ラインCCDカメラ13の視野範囲に、膜厚が既知の基準磁気フィルムを通し、下方からライン状照明装置11からの照明を当てた状態で、基準磁気フィルムの表面を基準用ラインCCDカメラ13でスキャンし、その画像信号を画像入力ボートを経てコンピュータ14の補正係数算出処理部18に読み込み、基準カメラ平均値Aを算出した。視野範囲Wは200mmに設定した。このときの平均値Aは112レベルであった。
【0047】
ついで、測定用ラインCCDカメラ12a、12b、12c、12dの視野範囲に基準磁気フィルムを通し、下方からライン状照明装置11からの照明を当てた状態で、基準磁気フィルムの表面を各測定用ラインCCDカメラ12でスキャンし、その画像信号を画像入力ボートを経てコンピュータ14の補正係数算出処理部18に読み込み、補正係数を算出した。各測定用ラインCCDカメラ12の、1〜2048画素の補正係数の範囲は、測定用ラインCCDカメラ12aの補正係数Kan =0.86〜1.22、測定用ラインCCDカメラ12bの補正係数Kbn =0.83〜1.20、測定用ラインCCDカメラ12cの補正係数Kcn =0.88〜1.23、測定用ラインCCDカメラ12dの補正係数Kdn =0.87〜1.23であった。
【0048】
次に、基準用ラインCCDカメラ13の視野範囲内に膜厚が既知の基準磁気フィルムをおき、下方からライン状照明装置11からの照明を当てた状態で、基準磁気フィルムの表面を基準用ラインCCDカメラ13でスキャンし、その画像信号を画像入力ボートを経てコンピュータ14の補正係数算出処理部18に読み込み、基準カメラ平均値A0 を算出した。このときの平均値A0 は117レベルであった。
【0049】
ついで、測定用ラインCCDカメラ12a、12b、12c、12dの視野範囲に、膜厚未知の磁気フィルムを通し、下方からライン状照明装置11からの照明を当てた状態で、磁気フィルムの表面を各測定用ラインCCDカメラ12でスキャンし、その画像信号を画像入力ボートを経てコンピュータ14の補正係数算出処理部18に読み込み、透過光量を算出した。各測定用ラインCCDカメラ12の、1〜2048画素の透過光量の範囲は、測定用ラインCCDカメラ12aの透過光量Lan =125〜129レベル、測定用ラインCCDカメラ12bの透過光量Lbn =124〜130レベル、測定用ラインCCDカメラ12cの透過光量Lcn =121〜125レベル、測定用ラインCCDカメラ12dの透過光量Ldn =123〜128レベルであった。
【0050】
ついで、各測定用ラインCCDカメラ12の各画素の相対透過率を算出した。このときの相対透過率の範囲は、測定用ラインCCDカメラ12aの相対透過率Ran =107〜110%、測定用ラインCCDカメラ12bの相対透過率Rbn =106〜111%、測定用ラインCCDカメラ12cの相対透過率Rcn =103〜107%、測定用ラインCCDカメラ12dの相対透過率Rdn =105〜109%であった。
【0051】
【表1】
【0052】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の膜厚測定装置は、フィルムまたはシート上に塗膜が形成された測定対象物の塗膜の膜厚を測定する膜厚測定装置であり、測定対象物に、ライン状に光を照射するライン状照明装置と、測定対象物を透過した光を受光する測定用ラインCCDカメラと、ラインCCDカメラからの信号を数値化し、得られた数値データを記憶する記憶手段と、記憶手段に記憶された数値データを処理して測定対象物の塗膜の膜厚を算出するデータ処理手段とを具備するものであるので、専門家による定期保守などを行う必要がなく、容易に膜厚測定を行うことが可能である。
【0053】
また、本発明の膜厚測定装置が、さらに、測定対象物と同じフィルムまたはシート上に膜厚既知の塗膜が形成された基準シートを透過した光を受光する基準用ラインCCDカメラを具備し、前記データ処理手段が、基準用ラインCCDカメラからの信号を数値化した基準数値データと、測定用ラインCCDカメラからの信号を数値化した測定数値データとを比較することによって、測定対象物の塗膜の膜厚を算出するものであれば、簡単な設備で容易に、正確な膜厚を測定することができる。
【0054】
また、本発明の膜厚測定方法は、フィルムまたはシート上に塗膜が形成された測定対象物の塗膜の膜厚を測定する方法であり、ライン状照明装置からライン状に照射され、測定対象物を透過した光を測定用ラインCCDカメラで受光するステップと、ラインCCDカメラからの信号を数値化し、得られた数値データを記憶するステップと、記憶された数値データを処理して測定対象物の塗膜の膜厚を算出するステップとを有する方法であるので、専門家による定期保守などを行う必要がなく、容易に膜厚測定を行うことが可能である。
【0055】
また、本発明の膜厚測定方法が、さらに、測定対象物と同じフィルムまたはシート上に膜厚既知の塗膜が形成された基準シートを透過した光を基準用ラインCCDカメラで受光するステップを有し、前記測定対象物の塗膜の膜厚を算出するステップが、基準用ラインCCDカメラからの信号を数値化した基準数値データと、測定用ラインCCDカメラからの信号を数値化した測定数値データとを比較することによって、測定対象物の塗膜の膜厚を算出するステップであれば、簡単な設備で容易に、正確な膜厚を測定することができる。
【0056】
また、本発明の膜厚測定方法が、さらに、測定対象物の塗膜の膜厚を測定する前に、基準シートを透過した光を、基準用ラインCCDカメラおよび測定用ラインCCDカメラで受光し、基準用ラインCCDカメラからの信号の出力レベルと、測定用ラインCCDカメラからの信号の出力レベルとを比較して補正係数をあらかじめ算出するステップと、前記測定対象物の塗膜の膜厚を算出するステップの直前に、測定用ラインCCDカメラからの信号を数値化した測定数値データを、補正係数によって補正するステップとを有する方法であれば、基準用ラインCCDカメラ13と、測定用ラインCCDカメラ12aとの間の画像信号の出力レベルの誤差を補正することができ、さらに正確に膜厚を測定することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の膜厚測定装置の一例を示す概略図である。
【図2】本発明の膜厚測定装置におけるデータ処理手段の一例を示すブロック図である。
【図3】本発明の膜厚測定装置における記憶手段の一例を示す概略図である。
【図4】本発明の膜厚測定装置におけるデータ処理手段の他の例を示すブロック図である。
【図5】出力装置に出力される膜厚測定結果の一例を示すグラフである。
【図6】基準用ラインCCDカメラの読み込み範囲を示す図である。
【符号の説明】
10 被測定シート(測定対象物)
11 ライン状照明装置
12 測定用ラインCCDカメラ
13 基準用ラインCCDカメラ
14 コンピュータ(データ処理手段)
15 測定カメラ画像入力ボード(記憶手段)
16 基準カメラ画像入力ボード(記憶手段)
20 基準シート
Claims (5)
- フィルムまたはシート上に塗膜が形成された測定対象物の塗膜の膜厚を測定する膜厚測定装置であり、
測定対象物に、ライン状に光を照射するライン状照明装置と、
測定対象物を透過した光を受光する測定用ラインCCDカメラと、
ラインCCDカメラからの信号を数値化し、得られた数値データを記憶する記憶手段と、
記憶手段に記憶された数値データを処理して測定対象物の塗膜の膜厚を算出するデータ処理手段とを具備することを特徴とする膜厚測定装置。 - さらに、測定対象物と同じフィルムまたはシート上に膜厚既知の塗膜が形成された基準シートを透過した光を受光する基準用ラインCCDカメラを具備し、
前記データ処理手段が、基準用ラインCCDカメラからの信号を数値化した基準数値データと、測定用ラインCCDカメラからの信号を数値化した測定数値データとを比較することによって、測定対象物の塗膜の膜厚を算出するものであることを特徴とする請求項1記載の膜厚測定装置。 - フィルムまたはシート上に塗膜が形成された測定対象物の塗膜の膜厚を測定する方法であり、
ライン状照明装置からライン状に照射され、測定対象物を透過した光を測定用ラインCCDカメラで受光するステップと、
ラインCCDカメラからの信号を数値化し、得られた数値データを記憶するステップと、
記憶された数値データを処理して測定対象物の塗膜の膜厚を算出するステップとを有することを特徴とする膜厚測定方法。 - さらに、測定対象物と同じフィルムまたはシート上に膜厚既知の塗膜が形成された基準シートを透過した光を基準用ラインCCDカメラで受光するステップを有し、
前記測定対象物の塗膜の膜厚を算出するステップが、基準用ラインCCDカメラからの信号を数値化した基準数値データと、測定用ラインCCDカメラからの信号を数値化した測定数値データとを比較することによって、測定対象物の塗膜の膜厚を算出するステップであることを特徴とする請求項3記載の膜厚測定方法。 - さらに、測定対象物の塗膜の膜厚を測定する前に、基準シートを透過した光を、基準用ラインCCDカメラおよび測定用ラインCCDカメラで受光し、基準用ラインCCDカメラからの信号の出力レベルと、測定用ラインCCDカメラからの信号の出力レベルとを比較して補正係数をあらかじめ算出するステップと、
前記測定対象物の塗膜の膜厚を算出するステップの直前に、測定用ラインCCDカメラからの信号を数値化した測定数値データを、補正係数によって補正するステップとを有することを特徴とする請求項4記載の膜厚測定方法。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2006337310A (ja) * | 2005-06-06 | 2006-12-14 | Global Nuclear Fuel-Japan Co Ltd | 金属表面の酸化膜厚さ測定方法 |
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US8553228B2 (en) | 2011-09-30 | 2013-10-08 | 3M Innovative Properties Company | Web inspection calibration system and related methods |
CN106597712A (zh) * | 2017-02-21 | 2017-04-26 | 武汉华星光电技术有限公司 | 涂布检测装置 |
-
2003
- 2003-04-03 JP JP2003100330A patent/JP2004309215A/ja active Pending
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