JP2004308787A - 摩擦ローラ式変速機 - Google Patents

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Atsushi Oshima
淳 大島
Hiroyuki Ito
裕之 伊藤
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Abstract

【課題】高速側シャフト(又は低速側の外輪)が微小にチルトした場合であっても、ローラ(可動ローラ又はガイドローラ)のスキューの生起を極力防止すること。
【解決手段】一端部に外輪32を設けた低速側シャフト3と、外輪32に対して偏心してハウジング1,2に回転自在に支持された高速側シャフト17と、外輪32と高速側シャフト17との間に回転自在に支持されたガイドローラ37aと可動ローラと、とからなる摩擦ローラ式変速機を備え、可動ローラ(38,38a,38b)と、ガイドローラ(37a、37b,37)とは、軸方向に2分割して、並列に配置してある。即ち、可動ローラ(38,38a,38b)と、ガイドローラ(37a、37b,37)とは、それぞれ、2分割して形成した2個のセグメントローラSRa,SRbからなる。
【選択図】 図6

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば、自動車の駆動部や補機、工作機械、半導体製造装置、水車、風車、過給機など、各種機械装置の回転駆動部分等に組み込み、駆動軸側の回転を減速或いは増速しつつ被駆動側に伝達して、上記工作機械等を回転駆動する、くさび作用を利用した摩擦ローラ式変速機に関する。
【0002】
【従来の技術】
トラクションドライブ式変速機は、静かで滑らかであることから産業上の各種用途に開発され、さらに近年は自動車や自転車といったパーソナルユースに応用する試みがなされ、次世代の動力伝達方式として注目されている。
【0003】
トラクションドライブ式変速機とは、歯車伝動とは異なり、滑らかな表面をもつ少なくとも2個の回転体を強く押し付け、これらの間に潤滑油膜(例えばEHL油膜)を介在させて、動力を伝達する機構であり、その基礎式は、Ft=μ・Fcという簡単な摩擦の式で表される(Ft:トラクション力)。ここで、Fcは、押し付け力と呼び、この発生に様々な方法が開発されている。
【0004】
このトラクションドライブ式変速機の一つとして、特許文献1に開示してあるように、くさび作用を利用した摩擦ローラ式変速機(以後本明細書中では、くさびローラ式変速機と記す)がある。くさびローラ式変速機とは、高速側シャフトの先端部の周囲に、該高速側シャフトに対し偏心した状態で、回転自在に設けられた外輪と、該高速側シャフトの外周面である動力伝達用円筒面と前記外輪の内周面である動力伝達用円筒面との間に存在して、径方向に関する幅が円周方向に関して不同である環状空間内に配置される、それぞれの外周面を動力伝達用円筒面とした、少なくとも1個のガイドローラおよび少なくとも1個の可動ローラとを備えた変速機のことを言う。又、可動ローラとは、くさび作用により押付け力を発生するローラであり、半径方向、円周方向に動くローラのことを言う。
【0005】
このくさびローラ式変速機では、正転時には、可動ローラは、高速側シャフトと外輪との間で「くさび」に食い込む方向に移動し、押し付け力Fcを発生する。このFcによりトラクション力が発生し、トルクを伝達することができる。
【0006】
一方、逆転時には、可動ローラは、「くさび」から離れる方向に移動し、押し付け力Fc=0となり、入力側の回転が出力側へ伝わるのを停止する。
【0007】
くさびローラ式変速機は、低速側シャフト(外輪側)を入力側とした場合には、高速側シャフトを出力側とした増速機として作用し、低速側シャフト(外輪側)を出力側とした場合には、高速側シャフトを入力側とした減速機として作用する。
【0008】
また、くさびローラ式変速機において、正転時には、トルクを伝達する一方、逆転時には、空転してトルクを伝達しないワンウェイクラッチ機能を有しているものと、正逆両方向の回転時に、トルクを伝達することができるものとがある。
【0009】
【特許文献1】
特開平10−316081号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、くさびローラ式変速機は、高速側シャフトの外径(又は低速側の外輪の内径)と、変速比とが仕様等により定まると、ローラ(可動ローラ又はガイドローラ)の外径の大きさは、自動的に決まってしまう。
【0011】
そのため、伝達トルクを大きくするためには、ローラが軸方向に長くなるように設定する必要がある。このように、ローラが軸方向に長くなるように設定した場合、最適な設計により、くさびローラ式変速機を用いているときには、特に、問題はない。
【0012】
しかしながら、ローラが軸方向に長くなるように設定した場合、ローラの強度等において限界設計によりくさびローラ式変速機を用いているときには、例えば、軸受の隙間や外輪の爪部のガタ等により、高速側シャフト(又は低速側の外輪)が微小にチルトすると、このチルトに伴って、ローラもスキューを生起する虞れがる。
【0013】
このローラがスキューを生起していない時には、ローラと、高速側シャフト等とは、線接触で接触して、互いに押付力を受けることができる。
【0014】
しかし、ローラがスキューを生起すると、ローラと、高速側シャフト等との接触面積が小さくなり、両者の間の面圧は、線接触の場合に比べて、比較的高くなるといったことがある。
【0015】
本発明は、上述したような事情に鑑みてなされたものであって、高速側シャフト(又は低速側の外輪)が微小にチルトした場合であっても、ローラ(可動ローラ又はガイドローラ)のスキューの生起を極力防止することができる摩擦ローラ式変速機を提供することを目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、本発明の請求項1に係る摩擦ローラ式変速機は、ハウジングに回転自在に支持され、一端部に外輪を設けた低速側シャフトと、前記低速側シャフト及び前記外輪に対して偏心して、ハウジングに回転自在に支持された高速側シャフトと、前記外輪と前記高速側シャフトとの間に回転自在に支持された、少なくとも1個のガイドローラと少なくとも1個の可動ローラとから成るくさび作用を利用した摩擦ローラ式変速機において、
前記ガイドローラ又は可動ローラは、軸方向に少なくとも2分割して、並列に配置してあることを特徴とする。
【0017】
このように、本発明によれば、ガイドローラ又は可動ローラは、軸方向に少なくとも2分割して、並列に配置してあることから、高速側シャフト(又は低速側の外輪)が微小にチルトした場合であっても、ローラ(可動ローラ又はガイドローラ)にスキューを生起させる力(モーメント)を比較的小さくすることができ、従って、ローラのスキューの生起を極力防止することができる。
【0018】
また、加工の面においても,特に小型の場合、ローラが少なくとも2分割されているため、軸方長さが小さいので、内径の加工性を向上することができる。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態に係る摩擦ローラ式変速機を図面を参照しつつ説明する。
【0020】
先ず、くさびローラ式変速機の内部構造について詳述し、次いで、実施の形態について説明する。
【0021】
また、説明の便宜上、1個の可動ローラを用いたくさびローラ式変速機を説明し、その後、2個の可動ローラを用いた両方向動力伝達型のくさびローラ式変速機について説明する。
【0022】
また、動力の伝達の方法を説明する時は、くさびローラ式変速機が減速機として作用する場合を代表して記述している。減速機において、正回転とは、高速側シャフト17から外輪32に動力を伝える方向であり、逆回転とは、高速側シャフト17が空転し、外輪32へのトルク(動力)伝達を停止する方向である。
【0023】
(くさびローラ式変速機の内部構造)
図1は、くさびローラ式変速機の縦断面図である。
【0024】
図2は、ハウジングを取り外した状態における、くさびローラ式変速機の要部の横断面図であって、ワンウェイクラッチ機能を有するくさびローラ式変速機の断面図である。
【0025】
図3は、減速機としてのくさびローラ式変速機の作用を説明する図である。
【0026】
図5は、ハウジングを取り外した状態における、くさびローラ式変速機の要部の横断面図であって、正逆両方向の回転時にトルク(動力)を伝達可能なくさびローラ式変速機の断面図である。
【0027】
なお、図4には、参考のため、増速機としてのくさびローラ式変速機の作用の説明図を示す。
【0028】
くさびローラ式変速機Aは、低速側シャフト3(外輪側)を出力側とした場合には、高速側シャフト17を入力側とした減速機として作用する。
【0029】
なお、図4に示すように、低速側シャフト3(外輪側)を入力側とした場合には、高速側シャフト17を出力側とした増速機として作用する。
【0030】
また、図2に示すように、1個の可動ローラ38を用いたくさびローラ式変速機Aは、正転時には、トルク(動力)を伝達する一方、逆転時には、空転してトルク(動力)を伝達しないワンウェイクラッチ機能を有しているが、図5に示すように、2個の可動ローラ38a,38bを用いたくさびローラ式変速機Aは、正逆両方の回転時にトルク(動力)を伝達することができる。
【0031】
くさびローラ式変速機Aは、図1、図2において、略円筒状のハウジング1に、仕切板であるハウジング2が固定してある。ハウジング1には、低速側シャフト3が回転自在に支持してあり、ハウジング1内の低速側シャフト3の端部に、円盤状部材4が設けてあり、この円盤状部材4の外縁部に、外輪32が取付けてある。
【0032】
仕切板であるハウジング2には、高速側シャフト17が低速側シャフト3及び外輪32に対して偏心(オフセット)して回転自在に設けてある。
【0033】
図2に示すように、外輪32と、高速側シャフト17との間には、大径のガイドローラ37aと、小径のガイドローラ37bと、トルク(動力)伝達時に移動する可動ローラ38とが介装してある。
【0034】
可動ローラ38を回転自在に支持する支持軸39bは、図3に示すように、減速機の場合、高速側シャフト17と外輪32との間で「くさび」に食い込む方向に移動できるように構成してあり、また、この「くさび」に食い込む方向にシリンダ孔46に設置した圧縮ばね等の弾性材47(予圧ばね、図2参照)により付勢してある。
【0035】
これにより、正転時には、可動ローラ38は、高速側シャフト17と外輪32との間で「くさび」に食い込む方向に移動し、押し付け力Fcを発生する。このFcによりトラクション力が発生し、トルク(動力)を伝達することができる。
【0036】
一方、逆転時には、可動ローラ38は、「くさび」から離れる方向に移動し、押し付け力Fc=0となり、入力側の回転が出力側へ伝わるのを停止する。
【0037】
図2に示すように、外輪32の内周面と高速側シャフト17の先端部外周面との間には、径方向に関する幅が円周方向に関して不同である環状空間36が設けられる。
【0038】
この様な環状空間36内には、2個のガイドローラ37a、37bと1個の可動ローラ38とを設置して、上記くさびローラ式変速機Aを構成している。図2において、可動ローラ38は切欠いて部分的に示している。これら各ローラ37a、37b、38を設置する為に上記環状空間36部分には、3本の支持軸39a、39a、39bを設けている。これら3本の支持軸39a、39a、39bのうち、2本の支持軸39a,39aは、それぞれの両端部をハウジング2及び連結板14に形成した嵌合孔40、40に圧入固定している。従って、上記2本の支持軸39a,39aが、上記環状空間36内で円周方向或は直径方向に変位する事はない。これに対して、上記3本の支持軸39a、39a、39bのうち、残り1本の支持軸39bは、両端部を上記ハウジング2及び連結板14に対し、上記外輪32の円周方向及び直径方向に関する若干の変位可能に支持している。この為に、上記ハウジング2及び連結板14の一部で上記1本の支持軸39bの両端部に整合する部分に、この支持軸39bの外径よりも大きな内径を有する支持孔41を形成し、これら各支持孔41に、上記支持軸39bの両端部を緩く係合させている。
【0039】
そして、上述の様に支持した各支持軸39a、39a、39bの中間部周囲に、それぞれ上記各ガイドローラ37a、37b及び可動ローラ38を、それぞれラジアルニードル軸受42、42等の軸受により、回転自在に支持している。尚、上記連結板14を上記ハウジング2に結合固定する為、この連結板14の片面に突設した、前記各突部27、27は、この連結板14の円周方向に関して、上記各ガイドローラ37a、37b及び可動ローラ38同士の間に存在する。言い換えれば、上記環状空間36内に上記各突部27、27と上記各ガイドローラ37a、37b又は可動ローラ38とが、上記環状空間36の円周方向に関して交互に存在する。又、これら各ガイドローラ37a、37b又は可動ローラ38の外周面と上記各突部27、27の円周方向側面とが干渉する(擦れ合う)事はない。
【0040】
この様にして、上記各支持軸39a、39a、39bにより上記ハウジング2と連結板14との間に回転自在に支持した、上記各ガイドローラ37a、37b及び可動ローラ38の外周面である、動力伝達用円筒面43a、43a、43bは、それぞれ前記高速側シャフト17の先端部の外周面である動力伝達用円筒面44と前記外輪32の内周面である動力伝達用円筒面45とに当接させている。前述した通り、上記各ガイドローラ37a、37b及び可動ローラ38を設置した上記環状空間36の径方向に関する幅は、円周方向に関して不同である。この様に、この環状空間36の幅寸法を円周方向に関して不同にした分、上記ガイドローラ37a、37b及び可動ローラ38の外径を異ならせている。即ち、上記ガイドローラ37a、37b及び可動ローラ38のうち、それぞれ上記外輪32に対し高速側シャフト17の先端部が偏心している側に位置する可動ローラ38及びガイドローラ37bの外径を、互いに同じにすると共に比較的小径にしている。これに対し、上記外輪32に対し高速側シャフト17の先端部が偏心しているのと反対側に位置するガイドローラ37aの外径を、上記可動ローラ38及びガイドローラ37bの外径よりも大きくしている。そして、上記ガイドローラ37a、37b及び可動ローラ38の外周面である上記各動力伝達用円筒面43a、43a、43bを、それぞれ上記動力伝達用円筒面44、45に当接させている。
【0041】
尚、上記各ガイドローラ37a、37b及び可動ローラ38のうち、各ガイドローラ37a、37bを支持した支持軸39a、39aの両端部は、前述の様に、前記ハウジング2及び連結板14に対し(環状空間36内に)固定している。これに対して、上記可動ローラ38を支持した支持軸39bは、やはり前述した様に上記ハウジング2及び連結板14に対し(環状空間36内に)、円周方向及び直径方向に関する若干の変位を可能に支持している。従って、上記可動ローラ38も、上記環状空間36内で円周方向及び直径方向に若干の変位可能である。そして、前記ハウジング2及び連結板14のシリンダ孔46内に設置した、圧縮ばね等の弾性材47(予圧ばね)により、上記可動ローラ38を支持した支持軸39bを、これら支持軸39bに回転自在に支持した可動ローラ38を前記環状空間36の幅の狭い部分に向け移動させるべく、弾性的に軽く押圧している。
【0042】
上述の様に構成するくさびローラ式変速機により回転軸を回転駆動する場合(減速機の場合)には、正転時、高速側シャフト17に駆動力を入力することにより、高速側シャフト17を図3の矢印方向に回転させる。この高速側シャフト17の回転は、各ガイドローラ37a、37b及び可動ローラ38を介して、外輪32に伝わり、外輪32を図3の矢印方向に回転させる。
【0043】
外輪32とガイドローラ37a、37b及び可動ローラ38との間の動力伝達、並びに、これらガイドローラ37a、37b及び可動ローラ38と高速側シャフト17との間の動力伝達は、何れも摩擦伝達により行なわれる為、動力伝達時に発生する騒音並びに振動は低い。
【0044】
又、可動ローラ38は、高速側シャフト17から外輪32に伝達するトルクの大きさに応じた力で、環状空間36の幅が狭い部分に食い込む傾向となる。この為、外輪32の内周面である動力伝達用円筒面45とガイドローラ37a、37b及び可動ローラ38の外周面である動力伝達用円筒面43a、43a、43bとの当接部、並びに、これら各動力伝達用円筒面43a、43a、43bと高速側シャフト17の外周面である動力伝達用円筒面44との当接部の面圧は、何れも、上記トルクが大きくなる程高くなる。逆に言えば、このトルクが小さい場合には、各当接部の面圧が低い状態となる。この為、これら各当接部の面圧を、伝達すべきトルクに合わせた適正値にして、トルク伝達を効率良く行なえる。
【0045】
即ち、高速側シャフト17を図3の矢印方向に回転させる際には、可動ローラ38が、外輪32の内周面である動力伝達用円筒面45及び高速側シャフト17の外周面である動力伝達用円筒面44から、弾性材47(予圧ばね)による押圧力と同方向の力を受けて、環状空間36の幅の狭い部分に向け移動する傾向となる。
【0046】
上述の様にして、可動ローラ38を環状空間36の幅の狭い部分に向け移動させようとする力は、高速側シャフト17から外輪32に伝達する回転駆動力の大きさに応じて変化する。そして、この力が大きくなる程、動力伝達用円筒面43a,43bと動力伝達用円筒面44との当接部である内側当接部48、及び、この動力伝達用円筒面43a,43bと動力伝達用円筒面45との当接部である外側当接部49の当接圧が高くなる。従って、この様な作用に基づき、上記伝達する回転駆動力に応じた当接圧を自動的に選定して、くさびローラ式変速機Aの伝達効率を確保できる。
【0047】
図2に示した例の場合には、くさびローラ式変速機Aは、ワンウェイクラッチ機能を備えており、減速機の場合、外輪32の回転速度が高速側シャフト17の回転速度に見合う速度、即ち、この高速側シャフト17の回転速度にくさびローラ式変速機Aの減速比を掛けた速度よりも速くなった場合には、このくさびローラ式変速機Aの接続が断たれる。即ち、この場合には、上記可動ローラ38が、前記弾性材47(予圧ばね)の弾力に抗して、上記環状空間36の幅の広い側に変位する。この結果、上記内側、外側両当接部48、49の当接圧が低下若しくは喪失して、高速側シャフト17の回転が外輪32にまでは伝わらなくなる。
【0048】
次に、図5に示す、正逆両方向の回転時にトルクを伝達可能なくさびローラ式変速機について説明する。
【0049】
図5は、高速側シャフト17を時計、反時計の両方向に回転駆動自在な構造について示している。
【0050】
この様な本例の構造の揚合には、くさびローラ式変速機Aを構成する3個のローラとして、1個のガイドローラ37と2個の可動ローラ38a,38bとを使用している。このうち、環状空間36のうちで最も幅が広くなった部分に設置したローラを、比較的大径で設置位置が変化しないガイドローラ37としている。これに対して、上記環状空間36の幅が最も狭くなった部分を挟んで設けた1対のローラを、それぞれ比較的小径で円周方向及び直径方向に関する若干の変位を可能にした可動ローラ38a,38bとしている。これら各可動ローラ38a,38bを支持した各支持軸39b,39bを、環状空間36の最も幅が狭くなった部分に向けそれぞれ弾性的に押圧している。
【0051】
上述の様に構成する本例の構造の場合には、高速側シャフト17が図5で時計方向に回転する場合には、可動ローラ38aが上記環状空間36の幅が狭くなった部分に食い込む。
【0052】
これに対して、高速側シャフト17が図5で反時計方向に回転する場合には、可動ローラ38bが上記環状空間36の幅が狭くなった部分に食い込む。
【0053】
又、本例の場合には、これら各可動ローラ38a,38bを支持した支持軸39b,39bの両端部を支持する為、ハウジング2及び連結板14に形成した支持孔41a,41a(長溝)の、上記環状空間36の円周方向に関する長さを規制している。具体的には、これら各支持孔41a,41a(長溝)のうち、上記環状空間36の幅が広い側の端部の位置を、前述した図2で示した場合よりも、この環状空間36の最も幅が狭くなった位置に近づけている。そして、上記各可動ローラ38a,38bが、上記環状空間36の幅の広い側に過度に退避しない様にしている。
【0054】
上述の様に構成する本例の場合には、減速機の場合、高速側シャフト17が時計、反時計の何れの方向に回転する場合でも、何れかの可動ローラ38a(38b)が上記環状空間36の幅の狭い部分に食い込み、当該可動ローラ38a(38b)に関する内側、外側各当接部48,49の当接圧を高める。一方、上記環状空間36の幅の狭い部分から退避する方向に変位する可動ローラ38b(38a)に関しても、その退避量は限られる。この結果、両可動ローラ38a,38b及び前記ガイドローラ37に関して、内側、外側各当接部48,49の当接圧が十分に上昇し、高速側シャフト17から外輪32にまで、動力を効率良く伝達できる。この様に、高速側シャフト17から外輪32への時計、反時計の両方向の動力伝達を可能にした点以外は、図2に前述した場合と同様であるから、同等部分に関する図示並びに説明は省略する。
【0055】
(本発明の実施の形態)
図6は、本発明の実施の形態に係るくさびローラ式変速機の縦断面図である。
【0056】
図7(a)は、従来に係るローラと高速側シャフトの要部断面の模式図であり、(b)は、(a)で示した矢印bの矢視図であり、(c)は、高速側シャフトがスキューした時の模式図である。
【0057】
図8(a)は、従来に係るローラと高速側シャフトの要部断面の模式図(高速側シャフトがチルトした時)であり、(b)は、(a)で示した矢印bの矢視図である。
【0058】
図9(a)は、本発明の実施の形態に係るローラと高速側シャフトの要部断面の模式図(高速側シャフトがチルトした時)であり、(b)は、(a)で示した矢印bの矢視図である。
【0059】
本実施の形態では、図6に示すように、可動ローラ(38,38a,38b)と、ガイドローラ(37a、37b,37)とは、軸方向に少なくとも2分割して、並列に配置してある。
【0060】
即ち、可動ローラ(38,38a,38b)と、ガイドローラ(37a、37b,37)とは、それぞれ、2分割して形成した2個のセグメントローラSRa,SRbからなる。なお、各ローラは、2分割以上、3分割等であってもよい。
【0061】
なお、図7乃至図9においては、ガイドローラ37a(37)が図示してあるが、2分割するのは、ガイドローラ(37a、37b,37)だけでなく、可動ローラ(38,38a,38b)も、同様に2分割してある。
【0062】
図7(a)に示すように、従来、各ローラを分割していないときには、トラクションドライブ式変速機は、歯車伝動とは異なり、滑らかな表面をもつ少なくとも2個の回転体を強く押し付け、これらの間に潤滑油膜(例えばEHL油膜)を介在させて、動力を伝達する機構であり、その基礎式は、Ft=μ・Fcという簡単な摩擦の式で表される(Ft:トラクション力)。ここで、Fcは、押し付け力と呼び、この発生に様々な方法が開発されている。
【0063】
ところで、くさびローラ式変速機は、高速側シャフト17の外径(又は低速側の外輪32の内径)と、変速比とが仕様等により定まると、各ローラの外径の大きさは、自動的に決まってしまう。
【0064】
そのため、伝達トルクを大きくするためには、各ローラが軸方向に長くなるように設定する必要がある。このように、各ローラが軸方向に長くなるように設定した場合、最適な設計により、くさびローラ式変速機を用いているときには、特に、問題はない。
【0065】
しかしながら、各ローラが軸方向に長くなるように設定した場合、各ローラの強度等において限界設計によりくさびローラ式変速機を用いているときには、例えば、軸受の隙間や外輪32の爪部のガタ等により、高速側シャフト17(又は低速側の外輪32)が微小にチルトすると、このチルトに伴って、各ローラもスキューを生起する虞れがる。
【0066】
図7(b)に示すように、各ローラがスキューを生起していない時には、各ローラと、高速側シャフト17等とは、線接触で接触して、互いに押付力を受けることができる。即ち、図7(b)に示す接触面圧の分布は、均等になっている。
【0067】
しかしながら、図7(c)に示すように、高速側シャフト17が微小にチルトして、各ローラがスキューを生起すると、各ローラと、高速側シャフト17等との接触面積が小さくなり、両者の間の面圧は、線接触の場合に比べて、比較的高くなるといったことがある。
【0068】
図8(a)に示すように、各ローラがスキューを生起すると、押し付け力は、チルトの力がかかる部分の方が大きくなるように分布する。
【0069】
図8(b)に示すように、摩擦係数(μ)は殆ど変化しないため、押し付け力(Fc)がチルトの力がかかる部分の方が大きくなるように分布すると、トラクション力(Ft)も、チルトの力がかかる部分の方が大きくなるように分布して、勾配ができる。
【0070】
その結果、図8(b)に示すように、トラクション力(Ft)にモーメントが発生して、各ローラをスキューさせようとする。
【0071】
これに対して、本実施の形態では、可動ローラ(38,38a,38b)と、ガイドローラ(37a、37b,37)とは、軸方向に少なくとも2分割して、並列に配置してある。
【0072】
即ち、可動ローラ(38,38a,38b)と、ガイドローラ(37a、37b,37)とは、それぞれ、2分割して形成した2個のセグメントローラSRa,SRbからなる。
【0073】
従って、図9(a)に示すように、高速側シャフト17が微小にチルトして、各ローラがスキューを生起したとしても、図9(b)に示すように、トラクション力(Ft)の全体的な勾配分布は、同じであるが、各ローラが2分割してあるため、1つのローラにかかるモーメントは、小さくなる。
【0074】
その結果、各ローラをスキューさせようとする力が比較的小さくなることから、各ローラのスキューの生起を極力防止することができる。これにより、各ローラと、高速側シャフト17等とは、線接触で接触して、互いに押付力を受けることができる。
【0075】
また、加工の面においても,特に小型の場合、各ローラが少なくとも2分割されているため、軸方長さが小さいので、内径の加工性を向上することができる。
【0076】
なお、本発明は、上述した実施の形態に限定されず、種々変形可能である。
【0077】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、ガイドローラ又は可動ローラは、軸方向に少なくとも2分割して、並列に配置してあることから、高速側シャフト(又は低速側の外輪)が微小にチルトした場合であっても、ローラ(可動ローラ又はガイドローラ)にスキューを生起させる力(モーメント)を比較的小さくすることができ、従って、ローラのスキューの生起を極力防止することができる。
【0078】
また、加工の面においても,特に小型の場合、ローラが少なくとも2分割されているため、軸方長さが小さいので、内径の加工性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】くさびローラ式変速機の縦断面図である。
【図2】ハウジングを取り外した状態における、くさびローラ式変速機の要部の横断面図であって、ワンウェイクラッチ機能を有するくさびローラ式変速機の断面図である。
【図3】減速機としてのくさびローラ式変速機の作用を説明する図である。
【図4】増速機としてのくさびローラ式変速機の作用を説明する図である。
【図5】ハウジングを取り外した状態における、くさびローラ式変速機の要部の横断面図であって、正逆両方向の回転時にトルク(動力)を伝達可能なくさびローラ式変速機の断面図である。
【図6】本発明の実施の形態に係るくさびローラ式変速機の縦断面図である。
【図7】(a)は、従来に係るローラと高速側シャフトの要部断面の模式図であり、(b)は、(a)で示した矢印bの矢視図であり、(c)は、高速側シャフトがスキューした時の模式図である。
【図8】(a)は、従来に係るローラと高速側シャフトの要部断面の模式図(高速側シャフトがチルトした時)であり、(b)は、(a)で示した矢印bの矢視図である。
【図9】(a)は、本発明の実施の形態に係るローラと高速側シャフトの要部断面の模式図(高速側シャフトがチルトした時)であり、(b)は、(a)で示した矢印bの矢視図である。
【符号の説明】
1 ハウジング
2 ハウジング(仕切板)
3 低速側シャフト
4 円盤状部材(径方向部材)
4a 先端爪部
14 連結板(固定部材)
17 高速側シャフト
27 突部
32 外輪(低速側シャフト)
36 環状空間
37a、37b ガイドローラ
38 可動ローラ
37 ガイドローラ
38a、38b 可動ローラ
39a ガイドローラのための支持軸
39b 可動ローラのための支持軸
40 嵌合孔
41、41a 支持孔
42 ラジアルニードル軸受
43a ガイドローラのための動力伝達用円筒面
43b 可動ローラのための動力伝達用円筒面
44 動力伝達用円筒面
45 動力伝達用円筒面
46 シリンダ孔
47 弾性材(予圧ばね)
48 内側当接部
49 外側当接部
SRa,SRb セグメントローラ
A くさびローラ式変速機

Claims (1)

  1. ハウジングに回転自在に支持され、一端部に外輪を設けた低速側シャフトと、前記低速側シャフト及び前記外輪に対して偏心して、ハウジングに回転自在に支持された高速側シャフトと、前記外輪と前記高速側シャフトとの間に回転自在に支持された、少なくとも1個のガイドローラと少なくとも1個の可動ローラとから成るくさび作用を利用した摩擦ローラ式変速機において、
    前記ガイドローラ又は可動ローラは、軸方向に少なくとも2分割して、並列に配置してあることを特徴とする摩擦ローラ式変速機。
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