JP2004308548A - 動力機関の煤煙除去方法及び動力機関の煤煙除去装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】内燃機関1の始動時から定常運転に達するまでの間には燃料の不完全燃焼によって煤煙が発生し、この煤煙が煙道2を経由して煙突4から排出されるため、煤煙によって環境汚染を惹き起こす。
【解決手段】本発明の煤煙除去方法は、内燃機関20の排ガスを、煙道30を介して煙突50から排出するに先立って内燃機関20の始動時に発生する煤煙を排気ガスから除去する際に、煙道30を遮断して煤煙除去装置10に煤煙を含む排ガスを導入した後、煤煙除去装置10の筐体11内において排ガスの流れと逆方向に水Wを供給して煤煙を除去し、この排ガスを蛇行させる間に水Wを供給して煤煙を更に除去した後、残余の煤煙をフィルタ17によって濾過するようにしたため、始動時の内燃機関20から発生する煤煙を確実に除去する。
【選択図】 図2

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、動力機関の煤煙除去装置に関し、更に詳しくは、例えば動力機関の始動時に多く発生する煤煙を煙突に達する前に除去する動力機関の煤煙除去装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から種々の建物や設備に自家発電用等の動力機関として例えばディーゼルエンジン等の内燃機関が設置されている。内燃機関では排ガスを発生するため、排ガスを煙突から排気している。例えば図3は内燃機関と煙突との関係を示す模式図である。同図に示すように、内燃機関1の稼動中に発生する排ガスは煙道2を通り、煙道2に配置した消音器3によって消音された後、煙突4から外部へ排気される。排ガス中に可燃物が含まれていると煙突2を通る排ガスは例えば500℃以上の高温に達して燃焼するため、煙突4の頂部には炎発生防止用の金網5が設けられている。そして、内燃機関1が始動した後定常運転に達すると、燃料は略完全燃焼するため、煤煙を殆ど発生することがなく、煙突4から煤煙を排出することがない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、内燃機関1の始動時から定常運転に達するまでの間には燃料の不完全燃焼等によって煤煙が発生し、この煤煙が煙道2を経由して煙突4から排出されるため、煤煙によって環境汚染を惹き起こすという課題があった。内燃機関1の始動時から定常運転までの時間は短時間ではあるが、内燃機関1が始動する度毎に煤煙が発生するため、内燃機関1が例えば住宅区域等に設置されている場合には、このような煤煙による環境汚染が特に問題になることが多い。
【0004】
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、動力機関から発生する煤煙を確実に除去し、常に清浄な排ガスのみを煙突から排出する動力機関の煤煙除去方法及び動力機関の煤煙除去装置を提供することを目的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1に記載の動力機関の煤煙除去方法は、動力機関の排ガスを、煙道を介して煙突から排出するに先立って上記動力機関の始動時に発生する煤煙を上記排気ガスから除去する方法であって、上記煙道を遮断して煤煙除去装置に上記煤煙を含む排ガスを導入する工程と、上記煤煙除去装置内において上記排ガスの流れに向けて水を供給して上記煤煙を除去する工程と、上記煤煙除去装置内で上記排ガスを蛇行させる工程と、残余の煤煙を濾過する工程とを備えたことを特徴とするものである。
【0006】
また、本発明の請求項2に記載の動力機関の煤煙除去装置は、動力機関の排ガスを、煙道を介して煙突から排出するに先立って上記動力機関の始動時に発生する煤煙を上記排気ガスから除去する装置であって、上記煙道に配設された弁機構と、上記煙道から分岐する分岐路に流入口を介して接続された筐体と、この筐体内を複数の部屋に分割し且つ上記排ガスを上記流入口から流出口まで上記各部屋を通して蛇行させる複数の仕切板と、これらの仕切板のうち、少なくとも上記流入口側に位置する仕切板の近傍において上記排気ガスに対して水を吹き付けて上記煤煙を除去する水供給手段と、この水供給手段によって上記煤煙が除去された排ガスから残余の煤煙を除去するフィルタと、このフィルタの下流側において上記排ガスを上記筐体の外側へ排出する排気手段とを備えたことを特徴とするものである。
【0007】
また、本発明の請求項3に記載の動力機関の煤煙除去装置は、請求項2に記載の発明において、上記複数の部屋をそれぞれ複数に分割する整流板を複数設け、これらの整流板によって上記排ガスの流れを整えることを特徴とするものである。
【0008】
また、本発明の請求項4に記載の動力機関の煤煙除去装置は、請求項2または請求項3に記載の発明において、上記水供給手段の下流側で上記フィルタの上流側に第2の水供給手段を設け、この水供給手段によって上記煤煙を除去することを特徴とするものである。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、図1及び図2に示す実施形態に基づいて本発明を説明する。尚、各図中、図1は本発明の煤煙除去装置の一実施形態を適用した内燃機関及び排気システムを示す模式図、図2は図1に示す煤煙除去装置を示す模式図で、(a)は煤煙の流れ方向に沿う断面図、(b)は煤煙除去装置の背面図である。
【0010】
本実施形態の動力機関の煤煙除去装置(以下、単に「煤煙除去装置」と称す。)10は、例えば図1に示すように、ディーゼル機関等の内燃機関20の排ガスを、煙道30及び消音器40を介して煙突50から排出するに先立って内燃機関20の始動時に発生する煤煙を除去する装置として構成されている。
【0011】
即ち、本実施形態の煤煙除去装置10は、図1に示すように、消音器40の下流側に位置させて煙道30に配設された弁機構10Aと、煙道30から分岐する分岐路31に流入口11Aを介して接続された筐体(ハウジング)11とを備え、煤煙を除去する場合には、第1の弁機構10Aを閉じて分岐路31Aに排ガスを導くようにしてある。排ガスの流入口11Aはハウジング11の前面(同図では左側面)の下端部に設けられ、排ガスの流出口11Bはハウジングの背面(同図では右側面)の上端部に設けられている。この分岐路31には第2、第3の弁機構10B、10Cが前後して配設され、これらの弁機構10A、10Bを開いて分岐路31Aに導入された排ガスをハウジング11内へ供給するようにしてある。
【0012】
また、ハウジング11内には、図2の(a)に示すように、上下に複数(本実施形態では、7室)の部屋に分割する6枚の仕切板12が配設され、これらの仕切板12によって排ガスを流入口11Aから流出口11Bまで蛇行させている。つまり、筐体11内の下側から奇数番の仕切板12Aはそれぞれハウジング11の前面(図2の(a)の左側面)から背面(図2の(a)の右側面)に向けて水平に配置されている。これらの仕切板12Aの基端は前面にそれぞれ接続され、それぞれの先端は背面との間に隙間が形成されている。この隙間が排ガスの流路になっている。また、筐体11内の下側から偶数番の仕切板12Bはそれぞれハウジング11の背面から前面に向けて水平に配置されている。これらの仕切板12Bの基端は背面にそれぞれ接続され、それぞれの先端は前面との間に隙間が形成されている。この隙間が排ガスの流路になっている。
【0013】
従って、流入口11Aから流入した排ガスは、図2の(a)に矢印で示すように、ハウジング11の流入口11Aから流出口11Bまで仕切板12Aと仕切板12Bの間の各部屋を通って蛇行した後、流出口11Bから筐体11の外側へ流出する。尚、図示してないが、これらの仕切板12は支持柱によって水平を保持するように支持されている。
【0014】
また、上下の仕切板12の間に形成された各部屋には、図2の(b)に示すように、これらの部屋を複数(本実施形態では、4室)の小部屋に分割する整流板13が3枚等間隔を空けて配設され、これらの整流板13によって碁盤の目状に形成された各小部屋に排ガスが極力均等に流入するように整流している。
【0015】
図2の(b)に示すように最下段の部屋の整流板13前方には例えば金網14が配設され、この金網14を介して流入口11Aから流入した排ガスを各小部屋に分散して流入させるようにしてある。また、この金網14は、排ガス中に含まれる煤煙を部分的に除去すると共に筐体11内での煤煙の燃焼を防止するようにしてある。
【0016】
最下段の仕切板12のやや後方には給水管15が金網14と対向して配設されている。この給水管15には複数のノズル(図示せず)が長手方向に等間隔を空けて配設され、これらのノズルから排ガスの流れとは逆向きに水Wを噴霧して排ガス中の煤煙を除去するようにしてある。隣り合うノズルからの噴霧水は互いに重なり、排ガスの流路と重なるようにしてある。つまり、排ガスが噴霧水と漏れなく接触し、排ガス中の煤煙をより確実に除去できるようにしてある。
【0017】
噴霧水を通過した排ガスは、図2の(a)に示すように、給水管15の後方の背面で折り返して最下段の部屋から一つ上段の部屋へ流入する。この際、整流板14の働きで排ガスが整流され、一つ上段の小部屋に均等に分散して流入するようになっている。排ガスは仕切板12で仕切られた最下段の部屋から最上段の部屋までそれぞれの小部屋を通って蛇行する。
【0018】
排ガスが蛇行して筐体11内の部屋を蛇行する間に、第2の給水管16を通過する。第2の給水管16は、図2の(a)、(b)に示すように、水をカーテン状に供給し、この水カーテンによって排ガス中の煤煙を除去するようにしてある。第2の給水管16の給水口(図示せず)は例えばスリット状に形成され、排ガスの流れに直交する方向に水カーテンを形成する。
【0019】
更に、図2の(a)に示すように最上段の部屋、つまり最上段の仕切板12の後部(筐体11の背面近傍)にはフィルタ17が配設され、このフィルタ17によって排ガス中の煤煙を確実に除去するようにしてある。このフィルタ17の下流側の流出口11Bには複数の排気ファン18が設けられ、排気ファン18によって排ガスを排出する。排気ファン18は同図の(b)に示すように最上段の各小部屋に個別に設けられている。筐体11背面にはその上端から隙間を空けて垂下する案内板19が取り付けられ、同図の(a)に矢印で示すようにこの案内板19によって排ガスを下方に向けて流出するようにしてある。また、筐体11前面の上部には掃気ファン18Aが配設され、掃気ファン18Aを用いて煤煙除去装置10を停止する直前に筐体11内に残存するガスを外部の空気と置換するようにしてある。
【0020】
尚、図2の(a)において、11Cは排水管で、この排水管11Cから煤煙除去後の水を排出し、この排水を所定の場所で回収する。この回収水は煤煙を濾過した後、給水管15及び第2の給水管16において繰り返し使用できるようにしてある。
【0021】
次に、上記煤煙除去装置10の動作について、本発明の煤煙除去方法と共に説明する。まず内燃機関20が始動すると、第1、第2、第3の弁機構10A、10B、10Cがそれぞれ作動し、第1の弁機構10Aによって煙道30を遮断すると共に第2、第3の弁機構10B、10Cによって分岐路31を開放し、内燃機関20と煤煙除去装置10とを連通させる。従って、内燃機関20の始動時に燃料の不完全燃焼によって煤煙が発生し、内燃機関20から煤煙が含まれた排ガスを排出すると、この排ガスは図1に矢印で示すように煙道30、消火器40及び分岐路31を経由して煤煙除去装置10に達する。
【0022】
排ガスが煤煙除去装置10の流入口11Aから筐体11内に流入すると、排ガスは金網14及び整流板13を介して最下段の部屋の各小部屋に分散して流入し、筐体11の背面側へ流れる。背面側では給水管15から水Wが噴霧しているため、排ガスは噴霧水を通過する間にその煤煙の多くが除去される。この排ガスは各小部屋を流出して背面側で一旦合流した後、背面で折り返して仕切板12で仕切られた一つ上段の部屋の各小部屋に均等に分散して流入し、筐体11の前面へ流れる。筐体11の前面では再び排ガスが合流した後、折り返して仕切板12で仕切られた更に一つ上段の各小部屋に均等に分散して流入し筐体11の背面へ流れる。
【0023】
このように排ガスは仕切板12で仕切られた筐体11内の上下の各部屋を蛇行しながら上方の部屋の整流板13で仕切られた各小部屋を順次通過し、第2の給水管16に達し水カーテンを通過する間に排ガス中の煤煙を更に除去する。そして、排ガスは最上段の部屋に達し各小部屋のフィルタ17を通過する間に排ガス中の残余の煤煙が除去された後、流出口11Bの排気ファン18によって筐体11の外側へ排気される。筐体11から流出した排気ガスは煤煙を殆ど含まない清浄なガスである。この排ガスは案内板19を介してダウンフローで筐体11から流出する。また、煤煙を含む水は排水管11Cから排出され、回収され、繰り返し使用される。そして、煤煙除去装置10を止める直前に掃気ファン18Aが作動して筐体11内の残存ガスを外部の空気で置換する。
【0024】
内燃機関20はその始動時から10秒前後の間に煤煙を大量に発生するが、その後定常運転に達すると、排ガスは煤煙を殆ど含まなくなる。そこで、内燃機関20の始動後、定常運転に達すると、第1、第2、第3の弁機構10A、10B、10Cが作動し、第1の弁機構10Aを開くと共に第2、第3の弁機構10B、10Cを閉じて煙突50を開放し、内燃機関20の排ガスを煙突から放出する。この排ガス中には煤煙が含まれていないため、排ガスによって環境を汚染することはない。その後、内燃機関20が停止し、再稼動する時には煤煙除去装置10が上述のように作動して煤煙を除去した後、清浄な排ガスを煙突から放出する。
【0025】
以上説明したように本実施形態によれば、内燃機関20の排ガスを、煙道30を介して煙突50から排出するに先立って内燃機関20の始動時に発生する煤煙を排気ガスから除去する際に、煙道30を遮断して煤煙除去装置10に煤煙を含む排ガスを導入した後、煤煙除去装置10の筐体11内において排ガスの流れと逆方向に水Wを供給して煤煙を除去し、この排ガスを蛇行させる間に水Wを供給して煤煙を更に除去した後、残余の煤煙をフィルタ17によって濾過するようにしたため、始動時の内燃機関20から発生する煤煙を確実に除去し、常に清浄な排ガスを煙突50から放出させることができる。従って、本実施形態の煤煙除去装置10を用いて煤煙除去方法を適用することにより、内燃機関20をいかなる環境下で使用しても常に環境を汚染することなく、近隣に煤煙による迷惑をかけることがない。
【0026】
尚、本発明の煤煙除去装置は上記実施形態に何等制限されるものではなく、必要に応じて各構成要素を適宜設計変更することができる。また、上記実施形態では内燃機関を例に挙げて説明したが、始動時に煤煙を発生する動力機関であれば本発明を適用することができる。
【0027】
【発明の効果】
本発明の請求項1〜請求項4に記載の発明によれば、動力機関から発生する煤煙を確実に除去し、常に清浄な排ガスのみを煙突から排出する動力機関の煤煙除去方法及び動力機関の煤煙除去装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の煤煙除去装置の一実施形態を適用した内燃機関及び排気システムを模式的に示す構成図である。
【図2】図1に示す煤煙除去装置を示す模式図で、(a)は煤煙の流れ方向に沿う断面図、(b)は煤煙除去装置の背面図である。
【図3】従来の内燃機関の排ガスを排出するガス排気系統を模式的に示す構成図である。
【符号の説明】
10 分離機構を有するタンク
11 タンク本体
12 分離機構
15 回転容器
15A ノズル(噴出部)
16 回転軸
17 整流機構
18 濾過機構
19 隔壁
20 冷却コイル(冷却機構)

Claims (4)

  1. 動力機関の排ガスを、煙道を介して煙突から排出するに先立って上記動力機関の始動時に発生する煤煙を上記排気ガスから除去する方法であって、上記煙道を遮断して煤煙除去装置に上記煤煙を含む排ガスを導入する工程と、上記煤煙除去装置内において上記排ガスの流れに向けて水を供給して上記煤煙を除去する工程と、上記煤煙除去装置内で上記排ガスを蛇行させる工程と、残余の煤煙を濾過する工程とを備えたことを特徴とする動力機関の煤煙除去方法。
  2. 動力機関の排ガスを、煙道を介して煙突から排出するに先立って上記動力機関の始動時に発生する煤煙を上記排気ガスから除去する装置であって、上記煙道に配設された弁機構と、上記煙道から分岐する分岐路に流入口を介して接続された筐体と、この筐体内を複数の部屋に分割し且つ上記排ガスを上記流入口から流出口まで上記各部屋を通して蛇行させる複数の仕切板と、これらの仕切板のうち、少なくとも上記流入口側に位置する仕切板の近傍において上記排気ガスに対して水を吹き付けて上記煤煙を除去する水供給手段と、この水供給手段によって上記煤煙が除去された排ガスから残余の煤煙を除去するフィルタと、このフィルタの下流側において上記排ガスを上記筐体の外側へ排出する排気手段とを備えたことを特徴とする動力機関の煤煙除去装置。
  3. 上記複数の部屋をそれぞれ複数に分割する整流板を複数設け、これらの整流板によって上記排ガスの流れを整えることを特徴とする請求項2に記載の動力機関の煤煙除去装置。
  4. 上記水供給手段の下流側で上記フィルタの上流側に第2の水供給手段を設け、この水供給手段によって上記煤煙を除去することを特徴とする請求項2または請求項3に記載の動力機関の煤煙除去装置。
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