JP2004308498A - 風力発電装置 - Google Patents

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幸丸 清水
Yasunari Kamata
泰成 鎌田
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Abstract

【課題】油圧ポンプや油圧シリンダ機構等の大掛かりな装置を必要とすることなく簡単な機構により、しかも落雷等による発電機の損傷が発生した場合にも有効に、過回転防止効果が安定して発揮され得る、新規な構造の風力発電装置を提供すること。
【解決手段】ブレード16を回転軸部材10に対してピッチフラップ支軸18の中心線26回りで回動可能に取り付けると共に、該ブレード16を回動中心線26回りでピッチ角がプラス側に大きくなる方向に付勢するピッチ方向付勢手段36を設ける一方、ブレード16に作用せしめられる風力と遠心力の少なくとも一方を利用して該ブレード16をピッチ方向付勢手段36による付勢力に抗して回動中心線26回りに回動せしめてピッチ角をマイナス方向とすることで過大な回転速度を抑えるピッチ角調節手段を設けた。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【技術分野】
本発明は、風力エネルギーを利用した揚力型の風車を備えた風力発電装置に係り、特に風速が大きくなった場合の過回転を防止する新規な機構を備えた風力発電装置に関するものである。
【0002】
【背景技術】
従来から、風力エネルギーを利用した風車を用いて風力発電を行う装置として、略水平に配した回転軸部材に対して略軸直角方向外方に延び出す複数枚のブレードを取り付けて、それらブレードに作用せしめられる風力により回転軸部材をその中心線回りに回転駆動せしめ、該回転軸部材の回転駆動力で発電装置を稼働せしめるようにした風力発電装置が、知られている。例えば、特許文献1(特開2000−199473号公報)や特許文献2(特開2002−303255号公報)等に記載のものが、それである。
【0003】
ところで、風力発電装置は、風車を用いて自然風の運動エネルギーを機械エネルギーに変換して発電機を駆動するようになっているが、自然風の風速や風向は絶えず変化していることから、状況によっては、風速が過大となって風車や発電機が損傷を受けるおそれがある。
【0004】
そこで、風力発電装置の風車では、従来から、風車の過回転を抑える機構が検討されている。具体的には、上記特許文献1に記載されている如き発電機を利用してその出力を短絡させることで発生する発電機の回転抵抗力を風車に及ぼす短絡型の過回転防止機構や、上記特許文献2に記載されている如き油圧ディスクブレーキを新たに採用して風車対して直接的に制動力を及ぼす機械ブレーキ型の過回転防止機構が、提案されている。
【0005】
しかしながら、前者の短絡型の過回転防止機構では、その作動時において、発電機の定格回転数以上の回転時に出力端子が短絡されることにより発電機のコイルに瞬間的な過大電流が流れることに起因して、コイルが損傷を受けたり、永久磁石が減磁してしまうおそれがある。加えて、風力発電装置は鉄塔等の高所に設置されるのが一般的であり、そのために落雷に見舞われることの多いことは周知の事実であるが、発電機を利用した短絡型の過回転防止機構の大きな問題は、落雷によって発電機が破損すると過回転防止機構が働かなくなることにあり、強風を伴うことの多い雷雨の際に過回転防止機構が作動せずに、風車を含む風力発電機全体が非常に大きなダメージを被る可能性が大きいという問題を有していたのである。
【0006】
また、後者の機械ブレーキ型の過回転防止機構は、油圧ポンプや油圧シリンダ機構等を含む油圧機構が必要となることから、装置が非常に大掛かりとなって、風力発電機の大型化とコストの増大が避けられないという問題がある。特に、風車の回転数は、その直径に略逆比例することから、小型の風車を備えた風力発電機において、大きな風力エネルギの作用に起因する過回転の問題が発生し易いが、少なくともそのような小型の風車に対して、大掛かりな油圧機構を採用することは現実的でない。
【0007】
なお、特許文献3(特開2003−42053号公報)には、風車回転中心線に直交して延びるブレード軸回りに回動可能にブレードを弾性支持せしめて、かかるブレードが正面(風上側の面)において受ける受風(風圧)により、ブレード軸よりも風車回転方向後方側をブレード軸回りでフラップ状に回動させることにより、強風時にはブレードのピッチを大きくなる方向に変化させて風車回転速度を調節する機構が、提案されている。
【0008】
ところが、かかる特許文献3に記載の構造は、風圧でピッチを自動的に変化させることによりブレードに作用する風圧を逃がすことを考えているようであるが、その文献内容を読む限り現実的ではなく、流体力学等の理論上からも当該文献に記載されているような作用効果を充分に発揮し得るものとは考え難い。蓋し、単なるフラットな平板形状のブレードに対して、風上から作用する風圧だけを考慮して論じている点において有効な揚力型の風車とは考え難く、風上から作用する風圧だけを考慮してピッチ角の変化と回転速度の調節を論じている点において理論的に正確な作動を認め難いのである。
【0009】
【特許文献1】
特開2000−199473号公報
【特許文献2】
特開2002−303255号公報
【特許文献3】
特開2003−042053号公報
【0010】
【解決課題】
ここにおいて、本発明は、上述の如き事情を背景として為されたものであって、その解決課題とするところは、風速が大きくなった場合の過回転を簡単な構造で効果的に抑えることの出来る、新規な構造の風力発電装置を提供することにある。
【0011】
【解決手段】
以下、このような課題を解決するために為された本発明の態様を記載する。なお、以下に記載の各態様において採用される構成要素は、可能な限り任意の組み合わせで採用可能である。また、本発明の態様乃至は技術的特徴は、以下に記載のものに限定されることなく、明細書全体および図面に記載され、或いはそれらの記載から当業者が把握することの出来る発明思想に基づいて認識されるものであることが理解されるべきである。
【0012】
(本発明の態様1)
本発明の態様1は、略水平に配した回転軸部材に対して略軸直角方向外方に延び出す複数枚のブレードを取り付けて、それらブレードに作用せしめられる風力により該回転軸部材をその中心線回りに回転駆動せしめ、該回転軸部材の回転駆動力で発電装置を稼働せしめるようにした風力発電装置において、前記各ブレードから前記回転軸部材の略回転中心線に向かって突出するピッチフラップ支軸を設けて、該ブレードを該回転軸部材に対して該ピッチフラップ支軸の中心線回りで回動可能に取り付けると共に、該ブレードを該ピッチフラップ支軸の回動中心線回りでピッチ角がプラス側に大きくなる回動方向に付勢するピッチ方向付勢手段を設けて該ブレードが所定の初期ピッチ角度に設定保持されるようにする一方、かかるブレードに作用せしめられる風力と遠心力の少なくとも一方を利用して該ブレードを該ピッチ方向付勢手段による付勢力に抗して該ピッチフラップ支軸の回動中心線回りに回動せしめてピッチ角をマイナス方向とすることで過大な回転速度を抑えるピッチ角調節手段を設けた風力発電装置を、特徴とする。
【0013】
本態様に従う構造とされた風力発電装置においては、ブレードに作用する風力が大きくなった場合、或いはブレード(回転軸部材)の回転速度が大きくなった場合に、ブレードのピッチ角がマイナス方向とされる。これにより、ブレードの背面において空気の流れがブレード表面から剥離して揚力が大幅に低下することとなり、ブレードの前面に作用する風圧によるエアブレーキ的な作用と相俟って、ブレード(回転軸部材)が効果的に失速せしめられて過回転が防止される。
【0014】
それ故、かかる風力発電装置においては、油圧ポンプや油圧シリンダ機構等の大掛かりな装置を必要とすることなく簡単な機構により、しかも落雷等による発電機の損傷に拘わらず、有効な過回転防止効果が安定して発揮され得るのである。
【0015】
なお、ブレードのピッチ角:θpは、回転軸部材の回転中心線に対して直交する面(回転面)に対する翼弦線の迎角(回転面に対して回転方向前方側に向かって風上側に傾斜する側をプラスとし、風下側に傾斜する側をマイナスとする角度)であって、一般的な条件下では、0<θp≦15度の範囲で初期値が設定されることが望ましく、本態様に係るピッチ角調節手段によって、θp<0度となるまでピッチ角が調節可能とされる。また、翼弦線は、ブレードの横断面において回転方向の前縁部と後縁部を繋ぐ直線として把握される。なお、多くのブレードにおいては、回転軸部材への接続部位である翼根部から翼端部に至るまでの間で適当なねじり角でピッチ角を変化させた形状が採用されることとなるが、その場合には、翼端断面における翼弦線の回転面に対する傾斜角度をピッチ角とする。
【0016】
(本発明の態様2)
本発明の態様2は、前記態様1に係る風力発電装置において、前記ブレードに作用する前記風力の作用中心点を前記ピッチフラップ支軸の回動中心線よりも前記回転軸部材の回転方向前方に離隔位置せしめることによって前記ピッチ角調節手段を構成したことを、特徴とする。
【0017】
本態様に従う構造とされた風力発電装置においては、回転軸部材の軸方向前方から後方に向かう風速と、回転軸部材の回転中心線回りにおけるブレードの回転速度との、合成に相当する方向と速度をもってブレードに及ぼされる風力(主として揚力)が大きくなった場合に、ブレードに作用する風力そのものによってブレードがピッチフラップ支軸の回動中心線回りに回動せしめられることとなる。そして、風力が過大となった場合には、ブレードのピッチ角がマイナス方向に変化せしめられることによって、過回転が防止され得るのである。
【0018】
(本発明の態様3)
本発明の態様3は、前記態様2に係る風力発電装置において、前記ブレードの回転方向の前方側端部近くにおいて前記回転軸部材の回転中心線から略軸直角方向に向かって直線的に延びる翼軸線に対して、前記ピッチフラップ支軸の回動中心線を、該ブレードの回転方向の後方に所定角度だけ離隔位置せしめると共に、該ブレードの回転方向において該ブレードの翼軸線と該ピッチフラップ支軸の回動中心線の間に前記風力の作用中心点を設定位置せしめたことを、特徴とする。
【0019】
本態様に従う構造とされた風力発電装置においては、ブレードに作用せしめられる風力が過大となってブレードがピッチフラップ支軸の回動中心線回りに回動せしめられた際、翼軸も回転軸部材の回転中心線回りに変位せしめられることにより、ピッチ角をより大きく変化させることが可能となる。なお、翼軸線とは、ブレードの各部位に作用せしめられる揚力を全長に亘って同時に変化させることの出来る、ブレード長手方向に延びる中心線であって、一般に、ブレードの前方端縁部より僅かに回転方向後方に位置して、前方端縁部と略平行に延びる直線として把握される。なお、従来構造のブレードでは、一般に、この翼軸線を中心としてブレードのピッチを変更設定するようにされている。
【0020】
(本発明の態様4)
本発明の態様4は、前記態様1に係る風力発電装置において、前記回転軸部材の回転に伴って前記ブレードに作用せしめられる遠心力の該ブレードの重心を通る作用線に対して、該回転軸部材の回転方向後方に所定距離だけ隔たった位置で該回転軸部材の回転中心と略平行に且つ前記ピッチフラップ支軸の回動中心線に対して略直交する方向に延びるリードラグ支軸を設けて、該リードラグ支軸の中心線回りで該ピッチフラップ支軸を揺動可能に支持せしめると共に、該ブレードを該リードラグ支軸の揺動中心線回りで回転方向前方に付勢するリード方向付勢手段を設けて、該ブレードが所定の逃げ角度に設定保持されるようにして、前記回転軸部材の回転速度が大きくなった際に該ブレードに及ぼされる遠心力が該ブレードを該リード方向付勢手段による付勢力に抗して該リードラグ支軸の揺動中心線回りで回転方向後方に向かって変位させるようにする一方、該ピッチフラップ支軸と該回転軸部材の間に歯車機構を設けて、該ブレードにおける該リードラグ支軸の揺動中心線回りでの変位に際して該歯車機構により該ピッチフラップ支軸がその回動中心線回りに回動せしめられて、該ブレードが該リードラグ支軸の揺動中心線回りで回転方向後方に変位せしめられた際に該ブレードのピッチ角がマイナス方向に変化せしめられるようにすることによって、前記ピッチ角調節手段を構成したことを、特徴とする。
【0021】
本態様に従う構造とされた風力発電装置においては、回転軸部材の回転中心線回りの回転速度が過大となった場合に、ブレードに作用する遠心力が増大してピッチフラップ支軸が回動中心線回りに回動せしめられてブレードの逃げ角:θrが大きくなる方向(回転方向後方に傾く方向)に変化するのに伴い、歯車機構で連動せしめられて、ブレードのピッチ角:θpがマイナス側に変化せしめられる。特に、このような風力発電装置においては、例えば、何等かの原因で風車(回転軸部材)がフリーで回転することにより、風力がそれ程大きくない場合でも、風車の回転速度が大きくなった場合には過回転防止機能が有効に発揮されることとなる。
【0022】
(本発明の態様5)
本発明の態様5は、前記態様4に係る風力発電装置において、前記ブレードの回転方向の前方側端部近くにおいて前記回転軸部材の回転中心線から略軸直角方向に向かって直線的に延び出す翼軸に対して、前記ピッチフラップ支軸の回動中心線を、該ブレードの回転方向の後方に所定角度だけ離隔位置せしめると共に、該ブレードの回転方向において該ブレードの翼軸と該ピッチフラップ支軸の回動中心線の間に該ブレードにおける前記重心を設定位置せしめたことを、特徴とする。
【0023】
本態様に従う構造とされた風力発電装置においては、ブレードに作用せしめられる遠心力が過大となってブレードがピッチフラップ支軸の回動中心線回りに回動せしめられた際、翼軸も回転軸部材の回転中心線回りに変位せしめられることにより、ピッチ角をより大きく変化させることが可能となる。なお、本態様における翼軸線は、前記態様3における翼軸線と同義である。
【0024】
(本発明の態様6)
本発明の態様6は、前記態様1に係る風力発電装置において、前記ピッチフラップ支軸による前記ブレードの前記回転軸部材に対する支持中心点を通り該回転軸部材の回転中心線に直交して延びる軸直角方向線に対して、該ピッチフラップ支軸を該回転中心線の風上方向に所定角度だけ傾斜せしめると共に、それら軸直角方向線とピッチフラップ支軸の間に該ブレードの重心を設定位置せしめ、更に、該ブレードの重心を該ピッチフラップ支軸に対して該回転軸部材の回転方向前方に所定距離だけ離隔して設定位置せしめたことを、特徴とする。
【0025】
本態様に従う構造とされた風力発電装置においては、回転軸部材における回転中心線回りの回転速度が過大となった際に、ブレードに及ぼされる遠心力が、該ブレードを、そのピッチフラップ支軸の回動中心線回りで、該ブレードのピッチ角:θpがマイナス方向に変化せしめられる方向に駆動するように作用せしめられることとなる。要するに、ブレードの回転軸部材による支持中心点に対して、ピッチフラップ支軸とブレードの重心を、上述の如き特定位置乃至は方向に設定したことにより、ブレードに働く遠心力を、ブレードのピッチ角:θpが小さくなる方向への回動駆動力として有利に作用せしめることが出来るのであり、ブレードのピッチ角:θpがマイナス側に変化せしめられることによりブレードの過回転が防止されるのである。
【0026】
(本発明の態様7)
本発明の態様7は、前記態様1に係る風力発電装置において、上述の態様2,態様4および態様6に係る風力発電装置の構成のうち少なくとも二つを互いに組み合わせて採用したことを、特徴とする。このような本態様に従う構造とされた風力発電装置においては、風速乃至は回転速度の増大に起因する風車(回転軸部材)の過回転を一層効果的に防止することが可能となる。
【0027】
【発明の実施形態】
以下、本発明を更に具体的に明らかにするために、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ、詳細に説明する。
【0028】
先ず、図1は、本発明に従う構造とされた風力発電装置の第一の実施形態における要部の正面説明図である。なお、本発明は、風力発電装置における風車部分に特徴を有するものであって、発電装置やタワー等の設置構造体などについては、従来から公知のものが何れも採用可能であることから、ここでは説明を省略する。即ち、本実施形態の風力発電装置は、図示しない発電装置を駆動するための出力軸を構成する回転軸部材10を備えており、この回転軸部材10が、タワー等の天端に取り付けられる風車本体ハウジング(図示せず)によって、その中心線(回転中心線)12回りで回転可能に支持されている。なお、風車本体ハウジングは、回転軸部材10を略水平方向に支持すると共に、例えば風向板等で風向きに応じて方向調節されることにより、回転軸部材10の一方の軸方向端部が、常時風上に向かうように調節されるようになっている。そして、回転軸部材10の風上に向けられる方の先端部分には、風車支持部14が設けられており、この風車支持部14に対して、周方向に略等間隔に配設された3枚のブレード16,16,16が取り付けられている。また、回転軸部材10の風下に向けられる方の端部には、発電装置の駆動軸が連結されており、ブレード16,16,16に及ぼされる風力で回転軸部材10が回転中心線12の回りで回転されることによって発電装置が作動せしめられるようになっている。
【0029】
より詳細には、本実施形態の風力発電装置において、各ブレード16は、全体として航空機の翼のように略紡錘形断面で延びる長手板形状を有している。また、各ブレード16には、長手方向一方の端部に固着されて突出するピッチフラップ支軸18が固設されている。そして、このピッチフラップ支軸18において回転軸部材10の風車支持部14に取り付けられることにより、各ブレード16は、回転軸部材10の回転中心線12から略軸直角方向に延び出すように組み付けられている。
【0030】
また、そのような組付状態下において、各ブレード16には、それぞれ、図2に示すように、適当なピッチ角:θpが設定されており、回転に対して及ぼされる風力によって駆動力が及ぼされて、回転軸部材10を回転中心線12回りで一方向(図1中の右回り方向)に回転駆動せしめるようになっている。なお、本実施形態においては、ブレード16の軸根から軸端に至る略20度のねじり角が設定されており、ブレード16におけるピッチ角:θpは、回転中心線12に直交する回転面20に対する翼端翼弦線22の回転方向前方における傾斜角として与えられる。
【0031】
また、ブレード16に及ぼされる風力は、回転軸部材10の前方から吹き付けられる風の風速と、ブレード16の回転中心線12回りの回転による回転速度とに応じて、それらの合力としてブレード16の回転方向斜め前方から及ぼされる空気流の作用と考えられる。更に、ブレード16に及ぼされる風力は、主として揚力と考えることが出来るものであり、この揚力を有効に得るために、各ブレード16には、図示されているように、初期値としてプラス側のピッチ角:0°<θp≦20°の範囲で適当な値が設定されている。
【0032】
さらに、ブレード16のピッチフラップ支軸18は、風車支持部14に対して、その中心線(回動中心線)26の回りで回動可能に取り付けられている。しかも、ピッチフラップ支軸18は、ブレード16の翼軸線28に対して、ブレード16の回転中心線12回りでの回転方向後方に所定の偏倚角:θrだけ離隔位置せしめられている。なお、翼軸線28は、ブレード16の各部位に作用せしめられる揚力を全長に亘って同時に変化させることの出来る中心軸であって、ブレード16の回転方向前方の端縁部と略平行に延びる直線である。
【0033】
すなわち、図3〜6に示されているように、ブレード16の翼根部分には、ブラケット30が固着されており、このブラケット30に対して、ピッチフラップ支軸18の一端部分が回転不能に固着されている。このピッチフラップ支軸18は、ブレード16の翼根側端部において、翼軸線28から所定の偏倚角:θrをもって突出せしめられている。
【0034】
一方、回転軸部材10の風車支持部14は、軸方向で互いに所定距離を隔てて対向位置せしめられた一対の取付円板38,39を備えており、これらの取付円板38,39の対向面間には、各ブレード16の取付部位に相当する周上の3箇所(図3〜6では、理解を容易とするために一つのブレード16の取付部位だけを示す)において、それぞれ、第一及び第二のブレード取付金具40,42が組み付けられてボルト等で固着されている。
【0035】
そして、ブレード16に固設された上述のピッチフラップ支軸18が、風車支持部14における一対の取付円板38,39の間に差し入れられて、ブレード取付金具40で、ピッチフラップ支軸18の軸方向中間部分を支持されることによって、ブレード16が回転軸部材10に取り付けられている。ここにおいて、ブレード取付金具40は、ピッチフラップ支軸18を、スラスト軸受け43を介して支持している。これにより、ブレード16は、ピッチフラップ支軸18の回動中心線26回りで回動可能とされて、回転軸部材10に取り付けられている。なお、ピッチフラップ支軸18の突出先端部は、一対の取付円板38,39間に配設固定された取付補助金具42によって、回動を許容された状態で補助的に位置決め保持されている。
【0036】
また、ピッチフラップ支軸18の突出側先端部近くには、スリーブ状の作用金具32が外嵌されており、スプライン嵌合構造等によって周方向に相対回転不能に且つ軸方向にも相対移動不能に取り付けられている。この作用金具32には、外周面上に突出する作用突片34が固設されており、かかる作用突片34が一対の取付円板38,39の対向面間に延び出している。そして、作用突片34と一方の取付円板38の間には、ピッチ方向付勢手段としての圧縮コイルスプリング36が介装されており、かかる圧縮コイルスプリング36によって、ピッチフラップ支軸18が、回動中心線26回りで、常時、一方向(回動中心線26回りで翼軸線28が風上側に移動する方向であって、ピッチ各:θpがプラス側に大きくなる方向)に付勢されている。また、作用突片34と他方の取付円板39の間には、該取付円板39から突設されたストッパブロック44が位置せしめられている。そして、圧縮コイルスプリング36で付勢された作用突片34が、このストッパブロック44に当接せしめられて、当接位置で回動端が規定されることによって、ピッチフラップ支軸18ひいてはブレード16の回動位置が、弾性的に位置決め保持されており、以て、かかる位置決め状態下、ブレード16において前述のピッチ各:θpの初期値が発現されるようになっている。
【0037】
このような構造のブレード16を備えた風力発電装置における風車は、図2に示されているように、回転軸部材10の前方から風を受けることにより、各ブレード16の表面46と裏面48にそれぞれ沿って流れる空気流の作用に基づいて揚力が生ぜしめられ、この揚力を主とする風力の作用によって風車が回転中心線12回りで回転駆動せしめられることとなる。そこにおいて、本実施形態では、ブレード16に及ぼされる風力:Faの作用中心点50の位置が、図7に示されているように、ピッチフラップ支軸18の回動中心線26に対して、回転中心線12回りでの回転方向前方に所定距離:Lだけ離隔位置せしめられている。これにより、風力:Faが及ぼされることにより、ブレード16には、回動中心線26回りのモーメント力:M=Fa×Lが作用せしめられる。このモーメント力:Mは、ブレード16を回動中心線26回りに、圧縮コイルスプリング36による付勢力の作用方向と反対に回転させる方向に及ぼされる。なお、本態様において、作用中心点50は、翼軸線28より回転方向後方に位置せしめられている。
【0038】
それ故、風速が小さくてブレード16に及ぼされる風力:Faが予め設定された許容値以下の場合には、モーメント力:Mが作用しても、ブレード16は、圧縮コイルスプリング36によって及ぼされる付勢力でストッパブロック44への当接で規定される初期位置に保持されて、ピッチ角:θpも初期設定された値に保持されるようになっている。
【0039】
一方、風速が大きくなってブレード16に及ぼされる風力:Faに基づくモーメント力:Mが、圧縮コイルスプリング36で及ぼされる付勢力(モーメント力)を超えると、ブレード16は、回動中心線26回りで、圧縮コイルスプリング36による付勢力に抗して回動せしめられることとなる。その結果、図8に示された初期位置から、図9,10に示されているように、回動中心線26回りで、翼軸線28が風下側に変位する方向にブレード16が回動せしめられて、ブレード16のピッチ角:θpがマイナス方向に変化せしめられる。
【0040】
そして、風速が一層大きくなってブレード16に及ぼされる風力:Faがより大きくなると、ピッチ角:θpが回転面20を超えてマイナス値となり、特に本実施形態では、回動中心線26が風力:Faの作用中心点50よりも回転方向後方に設定されていることにより、ブレード16に対して風圧(抗力)もピッチ角:θpを減ずる方向に作用することとなって、ピッチ角:θpがマイナス側に一層大きく変化せしめられる。その結果、ブレード16の裏面48側では空気流の剥離も発生してブレード16に作用する風力が失効し、場合によっては風力による制動力も作用することとなり、以て、回転軸部材10の回転中心軸12回りでの回転速度の増大が抑えられることとなる。
【0041】
従って、上述の如き構造の風車を備えた本実施形態の風力発電装置においては、油圧機構等の特別な駆動源や複雑な機構を必要とすることなく、風速が過大となった場合の風車の過回転が効果的に防止され得るのであり、特に小型の風力発電装置に好適に採用されて有効な過回転防止機能が発揮されるのである。
【0042】
しかも、かかる過回転防止機能は、メカニカル的な機構によって実現されることから、発電装置における電気系統が落雷等で損傷した場合でも、有効に作動することとなり、目的とする作動効果が安定して発揮され得るのである。
【0043】
次に、図11〜15には、本発明の第二の実施形態としての風力発電装置が示されていると共に、図16〜18には、本発明の第三の実施形態として風力発電装置が示されている。なお、これら第二及び第三の実施形態としての風力発電装置は、何れも、第一の実施形態の風力発電装置に比して、ブレード16に設けられたピッチフラップ支軸18の回転軸部材10に対する取付部位の構造に関する別の構造例を示すものであることから、第一の実施形態と異なる構造とされた要部だけを図示して説明する。また、図11〜18において、第一の実施形態と同様な構造とされた部材および部位については、それぞれ、図中に、第一の実施形態と同一の符号を付することにより、それらの詳細な説明を省略する。
【0044】
すなわち、図11〜15に示された第二の実施形態としての風力発電装置においては、特に図12〜13に明示されているように、ブレード16に突設されたピッチフラップ支軸18を回動中心線26回りに回動可能に且つ軸方向で移動不能に支持せしめるブレード取付金具40と取付補助金具42が、回転軸部材10の取付円板38,39と別体形成された一対の保持板金具52,52間に組み付けられており、かかる一対の保持板金具52,52を相互に連結するようにして固着されている。そして、これら一対の保持板金具52,52とブレード取付金具40および取付補助金具42に、更に補助コイルスプリング36やストッパブロック44を組み合わせた、ピッチフラップ支軸18の支持機構の全体が、回転軸部材10から独立した一つの支持ユニット53とされている。
【0045】
そして、かかる支持ユニット53は、その全体が、取付円板38,39の対向面間に配設位置せしめられており、取付円板38,39に立設固定されたリードラグ支軸54,54が、回転軸部材10の回転中心線12と平行に一対の保持板金具52,52からブレード取付金具40に挿し入れられている。なお、図12中の符号55はベアリングなどの摺動部材である。これにより、支持ユニット53は、回転中心線12と平行に延びるリードラグ支軸54,54の中心線(揺動中心線)56の回りで、全体として揺動可能とされて回転軸部材10に組み付けられている。而して、この支持ユニット53でブレード16のピッチフラップ支軸18が支持されることにより、ブレード16は、回動中心線26回りで回動可能とされると共に、揺動中心線56回りでも揺動可能とされている。なお、本実施形態では、図12に示されているように、ブレード16のピッチフラップ支軸18が、回転中心線12に対して直交して延びるように設定されている。そして、ブレード16は、揺動中心線56回りで揺動変位せしめられることにより、ピッチフラップ支軸18の回動中心線26が、回転軸部材10の回転方向で周方向に変化するようになっている。
【0046】
また、回転軸部材10には、回転中心軸12回りで支持ユニット53の回転方向後方側に離隔位置して取付円板38,39の対向面間に跨がって延びる支持ロッド58が固設されており、この支持ロッド58と取付補助金具42の端縁部との回転中心軸12回りの対向部間に跨がって、リード方向付勢手段としての引張コイルスプリング60が組み付けられている。そして、この引張コイルスプリング60によって、ピッチフラップ支軸18を支持する支持ユニット53が、常時、リードラグ支軸54の揺動中心線56回りで一方(図11に示された正面視においてブレード16を時計方向に回転させる方向)に向かって付勢されている。また、支持ユニット53における揺動中心線56回りの一方の側には、取付円板39から突設されたストッパブロック62が位置せしめられている。そして、引張コイルスプリング60で付勢された支持ユニット53が、このストッパブロック62に当接せしめられて、当接位置で揺動端が規定されることによって、ピッチフラップ支軸18ひいてはブレード16の揺動位置(逃げ角≒偏倚角)が、弾性的に位置決め保持されており、以て、かかる位置決め状態下、ブレード16においてピッチフラップ支軸18(回動中心線)の逃げ角:θr′の初期値が発現されるようになっている。なお、逃げ角:θr′は、ブレード16の回転方向後方への傾きを表す。
【0047】
更にまた、本実施形態では、ブレード16の重心64の位置が、図11に示されているように、ピッチフラップ支軸18の回動中心線26に対して、回転中心線12回りでの回転方向前方に所定角度:θδだけ離隔位置せしめられ、且つ翼軸線28より回転方向後方に位置せしめられている。これにより、風力が及ぼされてブレード16が回転中心線12回りに回転せしめられると、遠心力:Fbと向心力:Fcの合力としての外力:Fdがブレード16に及ぼされることとなる。そして、この外力:Fdに基づいてブレード16に作用せしめられるリードラグ支軸54回りのモーメント力の作用により、ブレード16は、リードラグ支軸54回りで、引張コイルスプリング60の付勢方向と反対の方向、即ちブレード16の回転中心線12回りで回転方向後方(図11中の左回り方向)に向けて変位せしめられるようになっている。
【0048】
それ故、回転軸部材10の回転速度が小さくてブレード16に及ぼされる遠心力:Fbが予め設定された許容値以下の場合には、外力:Fdが小さく、ブレード16は、引張コイルスプリング60によって及ぼされる付勢力でストッパブロック62への当接で規定される初期位置に保持されて、逃げ角:θr′も初期設定された値に保持されるようになっている。
【0049】
一方、回転軸部材10の回転速度が大きくなってブレード16に及ぼされる遠心力:Fbに基づくモーメント力が、引張コイルスプリング60で及ぼされる付勢力(モーメント力)を超えると、ブレード16は、揺動中心線56回りで、引張コイルスプリング60による付勢力に抗して回動せしめられることとなる。その結果、図11に示された初期位置から、重心64の離隔量:θδを0に近づけるようにブレードが回転面20上で変位せしめられるようになっている。
【0050】
さらに、支持ユニット53で支持されたブレード16のピッチフラップ支軸18は、その突出先端部分が取付補助金具42を貫通して内方に突出せしめられていると共に、かかる突出先端部分に対してかさ歯車65が取り付けられている。そして、このかさ歯車65が、回転軸部材10の取付円板38に固着されたラック状の受け歯車66に噛合されており、ピッチフラップ支軸18が揺動中心線56回りに揺動せしめられた場合でも、かかる噛合状態が維持され得るようになっている。
【0051】
これにより、上述の如く、過回転に伴って大きな遠心力:Fbがブレード16に及ぼされて、ピッチフラップ支軸18が揺動中心線56回りに揺動せしめられると、受け歯車66に対してかさ歯車65が相対変位せしめられて、かかる歯車機構により、ピッチフラップ支軸18がそれ自身の中心線(回動中心線26)回りに回動駆動せしめられる。その結果、ブレード16は、図14に示された初期状態から、図15に示されているように、回動中心線26回りで、翼軸線28が風下側(図15中の下方)に変位する方向にブレード16が回動せしめられて、前記実施形態において図10に示されたものと同様に、ブレード16のピッチ角:θpがマイナス方向に変化せしめられる。
【0052】
従って、このような構造のブレード16を備えた風力発電装置における風車は、回転軸部材10の前方から風を受けて回転中心線12回りに回転せしめられる際、風力が過大となったり発電機負荷が小さくなったりして回転速度が過大となった場合に、ブレード16のピッチ角:θpがマイナスとなるまで変化せしめられ得て、風力自体による有効な回転制動作用が発揮されることにより、過回転が効果的に防止され得るのである。
【0053】
さらに、図16〜18に示された第三の実施形態としての風力発電装置においては、基本的な構造を、第一の実施形態と同様としているが、以下の二つの構成点おいて、格別の構造を有している。
【0054】
第一の点は、ブレード16を風車支持部14に対して支持せしめるためのピッチフラップ支軸18が、回転軸部材10の回転中心線12に対して、軸方向で風上方向に所定角度だけ傾斜せしめられて、ブレード16の回転面20とピッチフラップ支軸18の間に傾斜角:θδ′が設定されている構成である。なお、ピッチフラップ支軸18のブレード16および回転軸部材10への取付角度が変更されており、ブレード16本体の回転軸部材10に対する取付角度、具体的には翼軸線28の回転軸部材10に対する取付方向などは、第一の実施形態と略同じとされている。
【0055】
第二の点は、ブレード16の重心64の位置が、図16に示されているように、ピッチフラップ支軸18の回動中心線26に対して、回転中心線12回りで回転方向前方に所定角度:θδ′だけ離隔位置し、且つ図17に示されているように、ピッチフラップ支軸18の回動中心線26に対して、回転中心線12の方向で風下側(図17中の下側)に所定距離:Taだけ離隔位置せしめられている構成である。なお、本実施形態では、特に、かかる重心64の位置が、ブレード16の回転軸部材10による支持点を通る回転面20に対して、回転中心線12の方向で風上側(図17中の上側)に所定距離:Tbだけ離隔位置せしめられている。
【0056】
これにより、本実施形態の風力発電装置においては、風力が及ぼされてブレード16が回転中心線12回りに回転せしめられると、ブレード16には、遠心力と向心力の合力としての外力が及ぼされることとなる。そして、この外力に基づいて、ブレード16がピッチフラップ支軸18の中心線(回動中心線26)回りに回動駆動せしめられる。その結果、ブレード16は、図17に示された初期状態から、図18に示されているように回動変位せしめられて、前記第一の実施形態において図10に示されたものと同様に、ブレード16のピッチ角:θpがマイナス方向に変化せしめられる。
【0057】
従って、このような構造のブレード16を備えた風力発電装置における風車は、回転軸部材10の前方から風を受けて回転中心線12回りに回転せしめられる際、風力が過大となったり発電機負荷が小さくなったりして回転速度が過大となった場合に、ブレード16のピッチ角:θpがマイナスとなるまで変化せしめられ得て、風力自体による有効な回転制動作用が発揮されることにより、過回転が効果的に防止され得るのである。
【0058】
以上、本発明の幾つかの実施形態について詳述してきたが、これらはあくまでも例示であり、本発明はこれら実施形態における具体的な記載および後述する実施例の具体的データによって、何等、限定的に解釈されるものでなく、当業者に知識に基づいて種々なる変更,修正,改良等を加えた態様において実施され得るものであり、また、そのような実施態様が、本発明の趣旨を逸脱しない限り、何れも本発明の範囲内に含まれることは、言うまでもない。
【0059】
例えば、前記第一の実施形態における構成と、第二の実施形態における構成および第三の実施形態における構成を、各個別に採用するだけでなく、それら三つの実施形態の中から二つ或いは三つ全部を相互に組み合わせることにより、併せて複数の構成を採用して風力発電装置を構成することも可能である。具体的には、ブレード16に及ぼされる外力(風力)の作用点の位置と、ブレード16の重心の位置を、それぞれ、第一の実施形態における構成と第二の実施形態における構成を考慮して設定することにより、第一の実施形態と第二の実施形態の両方の特性を備えた風車が実現可能である。そして、かかる構成の風車においては、風力が大きくなった場合に第一の実施形態に従う構成に基づいて過回転が有効に防止され得ると共に、回転速度が大きくなった場合に第二の実施形態に従う構成に基づいて過回転が有効に防止され得る。
【0060】
また、ブレードの具体的な形状や回転軸部材への装着数などは、何等、限定されるものでない。更にまた、本発明は、特に小型の風車に対して有利に適用され得るが、中型や大型の風車に採用することも、勿論、可能である。
【0061】
更にまた、前記第二及び第三の実施形態においては、重心64の位置調節が、ブレード16自体の重量配分(例えば肉厚調節等による)や、ブレード16内部構造の調節(例えばマス部分を内部に設けること等による)によって実現されており、外的なマスが付加されていないことから、例えばマスの離脱による危険が防止され得るようになっていたが、そのような別体マスをブレード16に取り付けるようにしても良い。
【0062】
また、前記第二の実施形態および第三の実施形態においては、回転軸部材10の回転作動時にブレード16に及ぼされる遠心力によってブレード16が目的とする方向に変位せしめられるように重心が設定されていれば良く、具体的な重心の位置は、前記実施形態の記載によって限定的に解釈されるものでない。
【0063】
【実施例】
前記第一の実施形態に従う構造と、前記第二の実施形態に従う構成との、両者を共に満足するように構成した、図1に示されているように3枚のブレードを備えた風車を備えた風力発電装置を試作し、かかる風力発電装置について風洞実験を行った結果を、図19,20において、それぞれ実施例として示す。
【0064】
なお、風車の具体的構造は、図11〜15に示された第二実施形態に従う構造の風車において、各ブレードに作用する風力作用点を、第一実施形態に従う風車の条件を満足するように設定したものとした。なお、このような構造とされた本実施形態の風車では、ブレードに過大な風力が作用せしめられると、第一の実施形態に説明の通りにブレードがピッチフラップ支軸18の回動中心線回りに回動せしめられて、ピッチ角がマイナス側に大きくなるようにされるが、それと同時に、歯車機構の作用に基づいて、ブレード自体が回転中心線12回りで回転方向後方に変位せしめられることとなる。要するに、第一の実施形態におけるピッチ角の変更作動と第二の実施形態におけるピッチ角の変動作動が一体的に生ぜしめられることとなるのである。
【0065】
また、実験に用いた風力発電装置において、全てのブレードのピッチフラップ支軸を回動中心線回りに回動不能に固着せしめることによって比較例構造とし、かかる風力発電装置について同様な実験を行った結果を、図19,20に比較例として併せ示す。
【0066】
図19,20に示された実験結果からも、本発明に従う構造とされた風力発電装置においては、風速が過大となった場合にも、風車(回転軸部材)の回転数の上限が抑えられて、過回転による風車や発電機の損傷が防止されるという、本発明の効果が明らかである。
【0067】
【発明の効果】
上述の説明から明らかなように、本発明に従う構造とされた風力発電装置においては、油圧ポンプや油圧シリンダ機構等の大掛かりな装置を必要とすることなく簡単な機構により、しかも落雷等による発電機の損傷が発生した場合にも有効に、過回転防止効果が安定して発揮され得るのである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第一の実施形態としての風力発電装置における風車を示す正面図である。
【図2】図1に示された風車のブレードの構造とブレードに対する風力の作用を説明するための説明図である。
【図3】図1に示された第一の実施形態としての風力発電装置におけるブレードの回転軸部材に対する取付部位を拡大して示す説明図である。
【図4】図3におけるIV−IV断面に相当する縦断面説明図である。
【図5】図3に示されたブレードの回転軸部材に対する取付部位の側面図である。
【図6】図5におけるVI−VI断面図である。
【図7】図1に示された第一の実施形態としての風力発電装置におけるブレードの作動を説明するための正面説明図である。
【図8】図7に示されたブレードの側面説明図である。
【図9】図8に示されたブレードにおける回動中心線回りの回動作動を説明するための側面説明図である。
【図10】図2に示されたブレードに対して過大な風力が作用した場合の作動状態を説明するための説明図である。
【図11】本発明の第二の実施形態としての風力発電装置における風車を示す、図7に対応する正面説明図である。
【図12】図11に示された第二の実施形態としての風力発電装置におけるブレードの回転軸部材に対する取付部位を拡大して示す説明図である。
【図13】図12におけるXIII−XIII断面図である。
【図14】図11に示されたブレードの側面説明図である。
【図15】図14に示されたブレードの揺動中心線回りの揺動に伴う回動中心線回りの回動作動を説明するための側面説明図である。
【図16】本発明の第三の実施形態としての風力発電装置における風車を示す、図7に対応する正面説明図である。
【図17】図16に示されたブレードの側面説明図である。
【図18】図17に示されたブレードの揺動中心線回りの揺動に伴う回動中心線回りの回動作動を説明するための側面説明図である。
【図19】本発明の第一の実施形態と第二の実施形態の条件を満足する風車において風速と発電量との関係を示したグラフである。
【図20】本発明の第一の実施形態と第二の実施形態の条件を満足する風車において風速と回転数との関係を示したグラフである。
【符号の説明】
10 回転軸部材
12 回転中心線
16 ブレード
18 ピッチフラップ支軸
20 回転面
26 回動中心線
28 翼軸線
36 圧縮コイルスプリング
50 風力作用点
54 リードラグ支軸
56 揺動中心線
60 引張コイルスプリング
64 重心
65 かさ歯車
66 受け歯車

Claims (7)

  1. 略水平に配した回転軸部材に対して略軸直角方向外方に延び出す複数枚のブレードを取り付けて、それらブレードに作用せしめられる風力により該回転軸部材をその中心線回りに回転駆動せしめ、該回転軸部材の回転駆動力で発電装置を稼働せしめるようにした風力発電装置において、
    前記各ブレードから前記回転軸部材の略回転中心線に向かって突出するピッチフラップ支軸を設けて、該ブレードを該回転軸部材に対して該ピッチフラップ支軸の中心線回りで回動可能に取り付けると共に、該ブレードを該ピッチフラップ支軸の回動中心線回りでピッチ角がプラス側に大きくなる回動方向に付勢するピッチ方向付勢手段を設けて該ブレードが所定の初期ピッチ角度に設定保持されるようにする一方、かかるブレードに作用せしめられる風力と遠心力の少なくとも一方を利用して該ブレードを該ピッチ方向付勢手段による付勢力に抗して該ピッチフラップ支軸の回動中心線回りに回動せしめてピッチ角をマイナス方向とすることで過大な回転速度を抑えるピッチ角調節手段を設けたことを特徴とする風力発電装置。
  2. 前記ブレードに作用する前記風力の作用中心点を前記ピッチフラップ支軸の回動中心線よりも前記回転軸部材の回転方向前方に離隔位置せしめることによって前記ピッチ角調節手段を構成した請求項1に記載の風力発電装置。
  3. 前記ブレードの回転方向の前方側端部近くにおいて前記回転軸部材の回転中心線から略軸直角方向に向かって直線的に延びる翼軸線に対して、前記ピッチフラップ支軸の回動中心線を、該ブレードの回転方向の後方に所定角度だけ離隔位置せしめると共に、該ブレードの回転方向において該ブレードの翼軸線と該ピッチフラップ支軸の回動中心線の間に前記風力の作用中心点を設定位置せしめた請求項2に記載の風力発電装置。
  4. 前記回転軸部材の回転に伴って前記ブレードに作用せしめられる遠心力の該ブレードの重心を通る作用線に対して、該回転軸部材の回転方向後方に所定距離だけ隔たった位置で該回転軸部材の回転中心と略平行に且つ前記ピッチフラップ支軸の回動中心線に対して略直交する方向に延びるリードラグ支軸を設けて、該リードラグ支軸の中心線回りで該ピッチフラップ支軸を揺動可能に支持せしめると共に、該ブレードを該リードラグ支軸の揺動中心線回りで回転方向前方に付勢するリード方向付勢手段を設けて、該ブレードが所定の逃げ角度に設定保持されるようにして、前記回転軸部材の回転速度が大きくなった際に該ブレードに及ぼされる遠心力が該ブレードを該リード方向付勢手段による付勢力に抗して該リードラグ支軸の揺動中心線回りで回転方向後方に向かって変位させるようにする一方、該ピッチフラップ支軸と該回転軸部材の間に歯車機構を設けて、該ブレードにおける該リードラグ支軸の揺動中心線回りでの変位に際して該歯車機構により該ピッチフラップ支軸がその回動中心線回りに回動せしめられて、該ブレードが該リードラグ支軸の揺動中心線回りで回転方向後方に変位せしめられた際に該ブレードのピッチ角がマイナス方向に変化せしめられるようにすることによって、前記ピッチ角調節手段を構成した請求項1に記載の風力発電装置。
  5. 前記ブレードの回転方向の前方側端部近くにおいて前記回転軸部材の回転中心線から略軸直角方向に向かって直線的に延び出す翼軸に対して、前記ピッチフラップ支軸の回動中心線を、該ブレードの回転方向の後方に所定角度だけ離隔位置せしめると共に、該ブレードの回転方向において該ブレードの翼軸と該ピッチフラップ支軸の回動中心線の間に該ブレードにおける前記重心を設定位置せしめた請求項4に記載の風力発電装置。
  6. 前記ピッチフラップ支軸による前記ブレードの前記回転軸部材に対する支持中心点を通り該回転軸部材の回転中心線に直交して延びる軸直角方向線に対して、該ピッチフラップ支軸を該回転中心線の風上方向に所定角度だけ傾斜せしめると共に、それら軸直角方向線とピッチフラップ支軸の間に該ブレードの重心を設定位置せしめ、更に、該ブレードの重心を該ピッチフラップ支軸に対して該回転軸部材の回転方向前方に所定距離だけ離隔して設定位置せしめたことを特徴とする請求項1に記載の風力発電装置。
  7. 請求項2,請求項4および請求項6に記載された風力発電装置の構成のうち少なくとも二つを互いに組み合わせて採用したことを特徴とする請求項1に記載の風力発電装置。
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