JP2004306687A - 車両用電動ミラー装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】簡素な構成で予め設定された再生目標位置へ早急に戻すことができる車両用電動ミラー装置を得る。
【解決手段】本車両用電動ミラー装置では、現在位置Xc、Ycから再生目標位置Xd、Ydにミラーを復帰させる際に、駆動するモータの切替位置Xc、Ydと切替位置Xd、Ycの何れが可動範囲Cの中心Xo、Yoから遠いかを判定し、切替位置Xc、Ydの方が遠い場合には、上下軸周りにミラーを回動させるモータから駆動する。これにより、モータの駆動量が可動範囲Cから外れることがなく、しかも、現在位置Xc、Ycから再生目標位置Xd、Ydにミラーを復帰させる際に検出する値は現在位置Xc、Ycだけであるから演算も素早くでき、装置の構成の簡素化も図れる。
【選択図】 図3
【解決手段】本車両用電動ミラー装置では、現在位置Xc、Ycから再生目標位置Xd、Ydにミラーを復帰させる際に、駆動するモータの切替位置Xc、Ydと切替位置Xd、Ycの何れが可動範囲Cの中心Xo、Yoから遠いかを判定し、切替位置Xc、Ydの方が遠い場合には、上下軸周りにミラーを回動させるモータから駆動する。これにより、モータの駆動量が可動範囲Cから外れることがなく、しかも、現在位置Xc、Ycから再生目標位置Xd、Ydにミラーを復帰させる際に検出する値は現在位置Xc、Ycだけであるから演算も素早くでき、装置の構成の簡素化も図れる。
【選択図】 図3
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両のドアミラーやフェンダーミラーの反射面の向きをモータ等の駆動力で変える車両用電動ミラー装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
車両の左右両後方側を確認するための所謂ドアミラー(アウタービューミラーと称する場合もある)には、ミラーの反射面の向きの調整を車両室内にて容易に行なえるようにするため、ドアミラーの鏡をモータの駆動力で回動させ、これにより、反射面の向きを調整しうる車両用電動ドアミラー装置が採用されている。
【0003】
この種の車両用電動ドアミラー装置は、一対のモータを備えている。一方のモータは駆動力で略車両上下方向を軸方向(以下、便宜上、この軸方向を「上下軸」と称する)とする軸周りに鏡を回動させ、他方のモータは略車両左右方向を軸方向(以下、便宜上、この軸方向を「左右軸」と称する)とする軸周りに鏡を回動させる構造となっている。各モータは、制御回路を介して車両室内に設けられたスイッチに接続されており、スイッチを操作することで各モータを適宜に駆動させ、又は、適宜に停止させることができるようになっている。
【0004】
さらに、この種の車両用電動ドアミラー装置には、ミラーの所定の回動位置をメモリ等に予め記憶させておき、この所定の回動位置とは異なる回動位置にミラーが位置している状態で、復帰スイッチ等の所定のスイッチを操作することで所定の回動位置までミラーを回動させる構造としたものも考案されている。
【0005】
このような構造の車両用電動ドアミラー装置では、例えば、車両の所有者等、基本的に通常車両を運転する運転者に最適なミラーの回動位置をメモリに記憶させておくことで、仮に、他の人が車両を使用した際にミラーの回動位置を変更したり、又は、車庫入れ等で車両を後方に移動させる際に車両下方(特に、車両の後輪近傍等)を確認するためにミラーを回動させても、容易に通常の運転者にとって最適な回動位置へミラーを復帰させることができるというメリットがある。
【0006】
ところで、一般的に車両用電動ドアミラー装置の場合、ミラーをピボット軸で支持しているため、ミラーの可動範囲はピボット軸を中心とした略円形状の一定範囲内に限定されている。上記の車両用電動ドアミラー装置では、変更した回動位置(以下、この回動位置を便宜上「現在位置」と称する)からメモリに記憶させた回動位置(以下、この回動位置を便宜上、「再生目標位置」と称する)までミラーを回動させるにあたり、上記の一対のモータの何れか一方を先ず駆動させてこの一方のモータの駆動が終了してから他方のモータを駆動させる構造となっている。このため、再生目標位置と現在位置との位置関係によっては最初に駆動させるモータにとって必要な駆動量がミラーの可動範囲を超えてしまうことがある。
【0007】
このように、モータにとって必要な駆動量がミラーの可動範囲を超えた場合には、ミラーの可動範囲の限界位置にて所謂「突き当て動作」(又は、「スリップ」)が生じる。このような突き当て動作が生じることでモータに過剰が負荷がかかったり、また、突き当て動作にて生じる音や再生目標位置に戻らないといった状況が車両乗員に不快感を与えることが考えられる。
【0008】
このような突き当て動作を防止するための対策を施した車両用電動ドアミラー装置が下記特許文献1に開示されている。
【0009】
【特許文献1】
特開2000−127854号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
この特許文献1に開示された車両用電動ドアミラー装置は、作動限界領域(ミラーの可動範囲)の外縁よりも内側に作動規制範囲の外縁を形成しており、現在位置における左右軸周りの作動規制範囲よりも外側に再生目標位置がある場合には、先ず、上下軸周りにミラーを回動させ、その後に左右軸周りにミラーを回動させて再生目標位置にミラーを移動させる構成である。
【0011】
しかしながら、上述したように、作動限界領域、すなわち、ミラーの可動範囲は略円形である。したがって、当然のことながら上下軸周りのミラーの回動位置によって左右軸周りの作動限界領域が異なる。このため、特許文献1に開示された構成では、上下軸周りのミラーの回動位置毎に左右軸周りの作動限界領域をデータテーブルとして予めメモリ等に記憶させておくか、または、ミラーを再生目標位置に移動させる際に左右軸周りの作動限界領域を検出しなくてはならない。
【0012】
作動限界領域を上下軸周りの回動位置毎にメモリ等に記憶させておく構成の場合には、データテーブル用にメモリが必要になる等、構造が複雑になったり装置が大型化する等の問題が生じる。
【0013】
また、ミラーを再生目標位置に移動させる際に左右軸周りの作動限界領域を検出する構成の場合には、実際にミラーを駆動させる前に作動限界領域を検出することになるため、再生目標位置へミラーを戻す操作を行なってからミラーが再生目標位置に到達するまでの時間がかかるという問題が生ずる。
【0014】
本発明は、上記事実を考慮して、簡素な構成で予め設定された再生目標位置へ早急に戻すことができる車両用電動ミラー装置を得ることが目的である。
【0015】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の本発明に係る車両用電動ミラー装置は、少なくとも使用状態で反射面が略車両後方へ向けられたミラーと、前記ミラーに直接又は間接的に連結されて、駆動力により略車両上下方向を軸方向とする上下軸周りに左右に前記ミラーを回動させる第1駆動手段と、前記ミラーに直接又は間接的に連結されて、駆動力により略車両左右方向を軸方向とする左右軸周りに上下に前記ミラーを回動させる第2駆動手段と、前記上下軸周り及び前記左右軸周りの現在の前記ミラーの回動位置である現在位置を検出する位置検出手段と、予め設定された前記上下軸周り及び前記左右軸周りの前記ミラーの回動位置を再生目標位置として記憶する記憶手段と、前記第1駆動手段及び前記第2駆動手段の各々の駆動力による前記ミラーの可動範囲の中心位置に対する前記現在位置の前記上下軸周り及び前記左右軸周りの各偏心量と、前記中心位置に対する前記再生目標位置の前記上下軸周り及び前記左右軸周りの各偏心量とに基づき、前記現在位置から前記再生目標位置までの前記可動範囲を超えずに前記第1駆動手段及び前記第2駆動手段をそれぞれ1回ずつ駆動させ、前記現在位置から前記再生目標位置に前記ミラーを復帰移動させる復帰制御手段と、を備えている。
【0016】
請求項1に記載の本発明に係る車両用電動ミラー装置では、少なくとも使用状態でミラーの反射面が略車両後方へ向けられており、反射光により形成される反射像を視認することによって略車両後方の状態を確認できる。
【0017】
また、本発明に係る車両用電動ミラー装置では、第1駆動手段及び第2駆動手段が設けられており、第1駆動手段を駆動させるとミラーが略車両上下方向を軸方向とする上下軸周りに回動させられる。さらに、第2駆動手段を駆動させるとミラーが略車両左右方向を軸方向とする左右軸周りに回動させられる。
【0018】
したがって、第1駆動手段及び第2駆動手段を適宜に駆動させて上下軸周り及び左右軸周りに左右方向及び上下方向に適宜にミラーを回動させることでミラーの反射面の向きを適宜に変えることができる。これにより、例えば、運転席の乗員から略車両後方側を最も見やすい角度にミラーの反射面の向きを調節できる。
【0019】
一方、上記のように、ミラーは第1駆動手段及び第2駆動手段の駆動力により上下軸周り及び左右軸周りに回動させられるが、ミラーの回動位置(現在のミラーの回動位置で、以下、この回動位置を便宜上「現在位置」と称する)は位置検出手段によって検出される。
【0020】
これに対して、本発明に係る車両用電動ミラー装置では予め設定されたミラーの回動位置(以下、この回動位置を便宜上「再生目標位置」と称する)が記憶手段に記憶されており、この再生目標位置にミラーが位置した状態から第1駆動手段及び第2駆動手段を駆動させてミラーを回動させた後に、例えば、所定の復帰操作を行なうと復帰制御手段によって第1駆動手段及び第2駆動手段が駆動されてミラーが再生目標位置に復帰移動する。
【0021】
したがって、例えば、本発明に係る車両用電動ミラー装置を搭載した車両を通常運転する運転者にとって最も略車両後方を確認しやすいミラーの回動位置を再生目標位置に設定しておき、車庫入れ等でミラーの反射面を略車両下方側へ回動させた後や、他の運転者が最も略車両後方を確認しやすい回動位置にミラーを回動させた後に復帰制御手段によってミラーを回動させれば、容易に通常運転する運転者にとって最も略車両後方を確認しやすい状態にミラーを戻すことができる。
【0022】
また、本発明に係る車両用電動ミラー装置では、上記の現在位置から再生目標位置にミラーを復帰移動させるにあたり、復帰制御手段は第1駆動手段及び第2駆動手段の各々の駆動力によるミラーの可動範囲の中心位置に対する現在位置の上下軸周り及び左右軸周りの各偏心量(すなわち、左右方向及び上下方向の各偏心量)及び上記の中心位置に対する再生目標位置の上下軸周り及び左右軸周りの各偏心量が算出される。
【0023】
この各偏心量が算出されることで、現在位置から再生目標位置にミラーを回動させるにあたり、第1駆動手段から第2駆動手段に駆動切り替えを行なう際の切り替え位置と、第2駆動手段から第1駆動手段に駆動切り替えを行なう際の切り替え位置と、の何れがミラーの可動範囲の中心から離れているかを容易に求めることができる。
【0024】
したがって、切り替え位置がミラーの可動範囲の中心に近い方を選択することで、ミラーの再生目標位置に回動させるにあたり、第1駆動手段及び第2駆動手段をそれぞれ1回ずつ駆動させるだけであっても第1駆動手段の駆動量又は第2駆動手段の駆動量がミラーの可動範囲を超えることを防止できる。
【0025】
このように、本発明に係る車両用電動ミラー装置では、第1駆動手段及び第2駆動手段が上記の可動範囲内で駆動されるため、第1駆動手段及び第2駆動手段の駆動途中に所謂「突き当て動作(スリップ)」が生じることがない。
【0026】
しかも、ミラーを復帰移動させるにあたり、第1駆動手段及び第2駆動手段はそれぞれ1回ずつしか駆動されない。このため、幾度となく第1駆動手段及び第2駆動手段の何れか一方の駆動手段から他方に駆動手段に駆動を切り替えてミラーを復帰移動させる構成に比べて、切り替え回数を低減できる。これにより、上記の切り替えを幾度となく行なうことで生ずる不快感や機械的なストレスを解消できる。
【0027】
また、本発明に係る車両用電動ドアミラー装置では、ミラーの可動範囲の中心位置に対する現在位置の上下軸周り方向及び左右軸周り方向の各偏心量及び上記の中心位置に対する再生目標位置の上下軸周り方向及び左右軸周り方向の各偏心量に基づいて第1駆動手段及び第2駆動手段の何れか一方が先ず駆動され、その後に何れか他方が駆動される。
【0028】
ここで、ミラーの可動範囲の中心位置は変化する値ではなく、また、再生目標位置は予め設定される値である。したがって、中心位置や再生目標位置、更には、中心位置に対する再生目標位置の偏心量が基本的に定数になる。このため、本発明に係る車両用電動ミラー装置では、実際に検出する値は現在位置だけとなる。したがって、各偏心量の計算も容易になるため、装置の構造を簡素化でき、しかも、再生目標位置への復帰操作を開始してから早急にミラーを再生目標位置へ復帰させることができる。
【0029】
請求項2に記載の本発明に係る車両用電動ミラー装置は、請求項1に記載の本発明において、前記復帰制御手段は、前記中心位置に対する前記現在位置の前記上下軸周りの偏心量をX1、前記中心位置に対する前記現在位置の前記左右軸周りの偏心量をY1、前記中心位置に対する前記再生目標位置の前記上下軸周りの偏心量をX2、前記中心位置に対する前記再生目標位置の前記左右軸周りの偏心量をY2、として、下記式(1)及び下記式(2)から値V及び値Hを算出し、前記値Vが前記値Hよりも大きい場合には、前記現在位置に対する前記再生目標位置の前記上下軸周りの変位量だけ前記第1駆動手段を駆動させた後に、前記現在位置に対する前記再生目標位置の前記左右軸周りの変位量だけ前記第2駆動手段を駆動させ、前記値Vが前記値H以下である場合には、前記現在位置に対する前記再生目標位置の前記左右軸周りの変位量だけ前記第2駆動手段を駆動させた後に、前記現在位置に対する前記再生目標位置の前記上下軸周りの変位量だけ前記第1駆動手段を駆動させる、ことを特徴としている。
【0030】
値V=X12+Y22・・・式(1)
値H=X22+Y12・・・式(2)
請求項2に記載の本発明に係る車両用電動ミラー装置によれば、現在位置から再生目標位置にミラーを復帰移動させるにあたり、上述した可動範囲の中心位置に対する現在位置の上下軸周りの偏心量をX1、可動範囲の中心位置に対する現在位置の左右軸周りの偏心量をY1、可動範囲の中心位置に対する再生目標位置の上下軸周りの偏心量をX2、可動範囲の中心位置に対する再生目標位置の左右軸周りの偏心量をY2とした場合、復帰制御手段では次の式(1)に基づいて値Vが算出される。
値V=X12+Y22・・・式(1)
この値Vの演算に前後して、次の式(2)に基づいて値Hが算出される。
値H=X22+Y12・・・式(2)
次いで、復帰制御手段では、以上の式(1)、式(2)に基づき算出された値V及び値Hが比較される。
【0031】
このように比較した結果、値Vが値Hよりも大きい場合(すなわち、V>Hの場合)には、復帰制御手段によって、先ず、第1駆動手段が駆動されて、再生目標位置に対する現在位置の上下軸周りの変位量だけミラーが回動される。この第1駆動手段の駆動が終了した後に、第2駆動手段が駆動されて再生目標位置に対する現在位置の左右軸周りの変位量だけミラーが回動される。これにより、ミラーが再生目標位置に復帰する。
【0032】
これに対して、値Vが値H以下の場合(すなわち、V≦Hの場合)には、復帰制御手段によって、先ず、第2駆動手段が駆動されて、再生目標位置に対する現在位置の左右軸周りの変位量だけミラーが回動される。この第2駆動手段の駆動が終了した後に、第1駆動手段が駆動されて再生目標位置に対する現在位置の上下軸周りの変位量だけミラーが回動される。これにより、ミラーが再生目標位置に復帰する。
【0033】
【発明の実施の形態】
先ず、本発明の一実施の形態に係る車両用電動ミラー装置としてのドアミラー装置10の機械的な構成について説明する。
【0034】
図5には、本ドアミラー装置10の全体構成が分解斜視図によって示されている。
【0035】
この図に示されるように、ドアミラー装置10は、車両のサイドドアのコーナー部に取り付けられる略三角形状のドアミラーベース12と、このドアミラーベース12に対して略車両水平面内で回転可能に支持されたドアミラー本体14とによって構成されている。
【0036】
ドアミラー本体14は、ドアミラー装置10の外郭を構成する樹脂製のドアミラーバイザー16を備えている。ドアミラーバイザー16は前後二分割(2ピース)構造とされており、ドアミラー本体14の前部外郭を構成しかつ車両後方側が開放された略箱体形状のバイザーカバー18と、ドアミラー本体14の後部外郭を構成しかつバイザーカバー18の開口側端部に被嵌される略枠体形状のバイザーリム20と、によって構成されている。
【0037】
バイザーカバー18とバイザーリム20との間には、略矩形平板状に形成された金属製又は樹脂製のフレーム22が配設されている。フレーム22の正面側(車両後方側)には、電動格納ユニット24並びに後述する鏡駆動ユニット42といった駆動部が取り付けられる。なお、フレーム22の略中央部には一対の開口26が形成されており、これらの開口26を通して2本の配線(図示省略)が鏡駆動ユニット42の背面側(車両前方側)に接続される。また、鏡駆動ユニット42の正面側(車両後方側)には、後述するミラーホルダ50が取り付けられる。
【0038】
フレーム22に対して車両後方側に配置されるバイザーリム20は、その外形(意匠面)を構成する枠体28と、当該枠体28の中間部に形成されかつ中央部に比較的大きな開口30が形成された隔壁32と、によって概ね構成されている。隔壁32の四隅には挿通孔34が形成されており、これらの挿通孔34内へ図示しないスクリュウが螺入されることで、バイザーリム20がフレーム22に固定されている。
【0039】
また、バイザーリム20における隔壁32の後方側には、略車両後方確認用のミラー36が配設されている。ミラー36は、隔壁32に形成された開口30を通して鏡駆動ユニット42のミラーホルダ50と連結されている。
【0040】
一方、フレーム22に対して車両前方側に配置されるバイザーカバー18の底部四隅には、リブで補強された樹脂爪38が立設されている。これに対応して、フレーム22の四隅にも長孔40が形成されており、これらの長孔40内へ樹脂爪38が弾性的に係止されることで、バイザーカバー18がバイザーリム20に嵌合された状態でフレーム22に固定されている。
【0041】
次に、図6及び図7に基づいて上記の鏡駆動ユニット42の構成について説明する。
【0042】
これらの図に示されるように、鏡駆動ユニット42は、全体的には比較的薄型の方形平板形状をなすハウジング44を備えている。ハウジング44は、鏡駆動ユニット42の組付状態において車両前方側に配置されるフロントハウジング46と車両後方側に配置されるリヤハウジング48とによって構成されており、両者が嵌合されて一体化されることによりユニット外郭が構成されている。
【0043】
鏡駆動ユニット42の中央側の角部には、略矩形平板状に形成されたミラーホルダ50(図5にも図示)を揺動可能に支持するためのピボット部52が設けられている。ピボット部52は、概略的には、リヤハウジング48に一体形成された有底半球状の凹部である球面受部54と、この球面受部54よりも一回り小さく形成されて球面受部54の内側に装着される有底半球状のリテーナ56と、このリテーナ56を球面受部54側へ押圧付勢する圧縮コイルスプリング58及びスクリュウ60と、によって構成されている。
【0044】
細部構成について補足すると、球面受部54は比較的浅底に形成された有底円筒状の保持部54Aと、この保持部54Aの軸心部に形成された細長い円筒状のボス54Bと、保持部54Aから径方向外側へ延出された球面支持部54Cと、によって構成されている。一方、リテーナ56は、球面受部54の保持部54Aに挿入される有底円筒状の軸部56Aと、当該軸部56Aの中間部から径方向外側へ延出された球面押圧部56Bと、によって構成されている。そして、球面受部54の球面支持部54Cとリテーナ56の球面押圧部56Bとの間に、ミラーホルダ50の略中央部に形成された半球状の軸支部62が挟持されている。
【0045】
ミラーホルダ50における軸支部62の中心には、リテーナ56の軸部56Aの外径よりも大径とされた貫通孔64が形成されている。また、リテーナ56における軸部56Aの底部にはボス54Bを挿通させるためのボス挿入孔66が形成されている。そして、ボス挿入孔66内へボス54Bが挿入された状態で、リテーナ56の軸部56Aの内周側に圧縮コイルスプリング58が巻装され、更にワッシャ68を介してスクリュウ60がボス54Bに螺入されている。
【0046】
上記により、ワッシャ68がスプリングシートとしての役割を果たし、リテーナ56を介してミラーホルダ50の軸支部62に圧縮コイルスプリング58の付勢力を作用させ、これによりミラーホルダ50の軸支部62を球面受部54に揺動可能に支持させる構成である。なお、ピボット部52によるミラーホルダ50(ひいてはミラー36)の保持位置は、ミラー36の重心とされている。
【0047】
また、上述した鏡駆動ユニット42の側方側の角部には、ミラー36のピボット部52周りの左右方向の角度を調整するため、すなわち、略車両上下方向おを軸方向とする上下軸周りのミラー36の角度を調整するためのドライブロッド70が配設されている。ドライブロッド70は、フロントハウジング46とリヤハウジング48との間に形成されたモータ収容部88内の第1駆動手段としてのモータ90の駆動力を受けることで軸方向に移動する構造となっており、その先端部はミラーホルダ50の裏面側に形成された軸支部72に回動自在に軸支(連結)されている。
【0048】
さらに、上述した鏡駆動ユニット42の上方側の角部には、ミラー36のピボット部52周りの上下方向の角度を調整するため、すなわち、略車両左右方向を軸方向とする左右軸周りのミラー36の角度を調整するためのドライブロッド74が配設されている。ドライブロッド74の駆動機構は、上述したドライブロッド70の駆動機構と同様で、詳細な図示は省略するが、ドライブロッド74に対応した第2駆動手段としてのモータ92(図1参照)を備えており、このモータ92の駆動力でドライブロッド74が軸方向に移動する構造となっている。
【0049】
図1のブロック図に示されるように、これらのモータ90、92は各々に対応して設けられた駆動制御用のドライバ94、96を介して電源98(車両に搭載されたバッテリー)に接続されていると共に、モータ制御装置100の復帰制御手段としての制御部102を構成するCPU104に接続されている。
【0050】
制御部102のCPU104は、車両の運転席近傍に設けられた調整スイッチ106に接続されている。調整スイッチ106に関する詳細な説明は省略するが、調整スイッチ106は、傾動部材がピボット軸周りに十字方向に傾動可能な構造となっており、この傾動部材の傾動方向に対応した電気的な調整信号が調整スイッチ106のスイッチ本体から出力される構造となっている。
【0051】
調整スイッチ106から出力された調整信号は、直接或いは適宜に変換された後にCPU104に入力され、CPU104では入力された調整信号に基づいて各ドライバ94、96に対して電気的な制御信号を出力する。各ドライバ94、96では入力された制御信号に基づいて、対応するモータ90、92に対して電力を供給し、又は、電力供給を停止する。
【0052】
また、図6に示されるように、本ドアミラー装置10は、位置検出手段としてのミラー角度検出装置86を備えている。図7に示されるように、ミラー角度検出装置86は左右方向角度検出用のシャフト78を備えている。
【0053】
図7に示されるように、シャフト78はその軸方向(長手方向)に沿ってスライド可能に設けられていると共に、圧縮コイルスプリング76によってミラーホルダ50側に付勢されている。また、シャフト78の先端にはボール82が設けられている。ボール78は圧縮コイルスプリング76の付勢力を受けたシャフト78によってミラーホルダ50の裏面に圧接されている。
【0054】
さらに、ミラー角度検出装置86は所定の抵抗値を有する抵抗と可変抵抗とによって構成されたブリッジ回路を有する検出部108(図1参照)を備えている。検出部108を構成する可変抵抗は、シャフト78の移動量に応じて抵抗値が変化するように設けられている。
【0055】
モータ90の駆動力でドライブロッド70がミラーホルダ50を押し上げ、軸支部62周りにミラーホルダ50が回動すると、シャフト78がミラーホルダ50によって押し下げられる。また、モータ90の駆動力でドライブロッド70が下降すると、圧縮コイルスプリング76の付勢力でシャフト78がミラーホルダ50を押し上げて軸支部62周りにミラーホルダ50を回動させる。
【0056】
このときのシャフト78の移動により変化した検出部108の可変抵抗の抵抗値の変化を、可変抵抗を含めて構成されるブリッジ回路の出力電圧Xの変化として検出し、この検出結果に基づきミラーホルダ50の回動角度、ひいては、ミラー36の回動角度を検出する構成となっている。
【0057】
また、図1に示されるように、検出部108はミラー角度検出装置86の制御部102を構成するCPU104に接続されており、検出部108のブリッジ回路における出力電圧Xの変化はCPU104に入力される。
【0058】
さらに、図6に示されるように、ミラー角度検出装置86は、上下方向角度検出用のシャフト80を備えている。シャフト80もまた基本的にはシャフト78と同じ構造で、シャフト80に対応して設けられた圧縮コイルスプリング76によってミラーホルダ50側に付勢されて先端に設けられたボール82をミラーホルダ50の裏面に圧接している。
【0059】
さらに、ミラー角度検出装置86は検出部110を備えている。検出部110は基本的に検出部108と同じ構造で、所定の抵抗値を有する抵抗と、シャフト78の移動量に応じて抵抗値が変化する可変抵抗とにより構成されたブリッジ回路を備えている。
【0060】
モータ92の駆動力でドライブロッド74がミラーホルダ50を押し上げ、軸支部62周りにミラーホルダ50が回動するとシャフト80がミラーホルダ50によって押し下げられる。また、モータ92の駆動力でドライブロッド74が下降すると、圧縮コイルスプリング76の付勢力でシャフト80がミラーホルダ50を押し上げて軸支部62周りにミラーホルダ50を回動させる。
【0061】
このときのシャフト80の移動により変化した検出部110の可変抵抗の抵抗値の変化を、可変抵抗を含めて構成されるブリッジ回路の出力電圧Yの変化として検出し、この検出結果に基づきミラーホルダ50の回動角度、ひいては、ミラー36の回動角度を検出する構成となっている。
【0062】
一方、図1のブロック図に示されるように、本ドアミラー装置10は、調整スイッチ106とは別に登録−復帰スイッチ112が設けられている。登録−復帰スイッチ112は、例えば、調整スイッチ106の近傍に設けられており、調整スイッチ106と同様に制御部102を構成するCPU104に電気的に接続されている。
【0063】
登録−復帰スイッチ112は、例えば、通常のプッシュスイッチによって構成されている。CPU104では、登録−復帰スイッチ112の押圧時間が所定時間未満であれば、CPU104と共に制御部102を構成するROM114から復帰操作プログラムを読み込んで実行し、登録−復帰スイッチ112の押圧時間が所定時間以上であれば、ROM114から登録プログラムを読み込んで実行しつつ、後述する再生目標位置をCPU104やROM114と共に制御部102を構成する記憶手段としてのRAM116に記憶させる構成となっている。
【0064】
次に、本実施の形態の作用並びに効果について説明する。
【0065】
本ドアミラー装置10では、調整スイッチ106が傾動操作されることで調整スイッチ106から出力された調整信号は直接又は適宜に変換された後に制御部102のCPU104に入力される。調整信号がCPU104に入力されるとCPU104では調整スイッチ106の傾動方向に対応した制御信号を生成し、この傾動方向に対応したドライバ94又はドライバ96に対して制御信号を出力する。
【0066】
例えば、制御信号がドライバ94に入力されると、ドライバ94はモータ90に対して電力を供給する。これにより、モータ90が正転駆動又は逆転駆動されると、ドライブロッド70に駆動力が付与される。
【0067】
ドライブロッド70に駆動力が付与されると、ドライブロッド70がその軸方向に移動する。ドライブロッド70の先端部はミラーホルダ50の裏面側に形成された軸支部72に回動自在に軸支(連結)されているため、ドライブロッド70がその軸方向に移動すると、そのストロークに応じた角度だけミラーホルダ50がピボット部52周りに左右方向へ揺動される(すなわち、上下軸周りにミラーホルダ50が回動される)。
【0068】
これにより、ミラーホルダ50と連結されたミラー36の左右方向への鏡面角度が所望の角度に調整される。
【0069】
これに対し、制御信号がドライバ96に入力されると、ドライバ96はモータ92に対して電力を供給する。これにより、モータ92が正転駆動又は逆転駆動されると、ドライブロッド74に駆動力が付与される。
【0070】
ドライブロッド74に駆動力が付与されると、ドライブロッド74がその軸方向に移動する。ドライブロッド74の先端部はミラーホルダ50の裏面側に形成された軸支部に回動自在に軸支(連結)されているため、ドライブロッド74がその軸方向に移動すると、そのストロークに応じた角度だけミラーホルダ50がピボット部52周りに上下方向へ揺動される(すなわち、左右軸周りにミラーホルダ50が回動される)。
【0071】
これにより、ミラーホルダ50と連結されたミラー36の上下方向への鏡面角度が所望の角度に調整される。
【0072】
このように、本ドアミラー装置10では、モータ90の駆動力でミラー36を左右軸周りに上下に回動させ、モータ92の駆動力でミラー36を上下軸周りに左右に回動させることで、ミラー36の角度を調整している。但し、上記の回動はあくまでもピボット軸52周りの回動であるため、ミラー36の可動範囲Cは略円形となる。
【0073】
一方、登録−復帰スイッチ112が押圧操作されると、登録−復帰スイッチ112から出力された登録復帰信号がCPU104に入力される。CPU104では登録復帰信号の連続入力時間が所定時間以上であれば、ROM114から登録プログラムが読み込まれて再生記憶位置の更新が行なわれる。この再生記憶位置の更新では、RAM116に記憶させていたそれまでの再生記憶位置が消去され、新たに、検出部108からの出力電圧Xcと検出部110からの出力電圧Ycが再生記憶位置Xd、YdとしてRAM116に記憶される。
【0074】
これに対して、登録−復帰スイッチ112から出力された登録復帰信号がCPU104に入力される。CPU104では登録復帰信号の連続入力時間が所定時間未満であれば、ROM114から復帰操作プログラムが読み込まれて実行される。
【0075】
以下、図2のフローチャートと図3及び図4の模式図に基づいて復帰操作について説明する。
【0076】
図2のフローチャートに示されるように、ステップ150で復帰操作プログラムが実行されると、ステップ152で初期設定が行なわれた後、ステップ154で検出部108からの出力電圧Xcと、検出部108からの出力電圧Ycとが読み込まれると共に、ミラー36の可動範囲Cの中心に対応して予めROM114に記憶されていた中心電圧値Xo及び中心電圧値Yoが読み込まれる。この出力電圧Xcと出力電圧Xcとは、検出部108、110において検出したミラー36の現在の回動位置(現在位置Xc、Yc)である。
【0077】
次いで、ステップ156では、以下の式(1)に基づいて値Vが算出されると共に以下の式(2)に基づいて値Hが算出される。
値V=X12+Y22=(Xc−Xo)2+(Yd−Yo)2・・・式(1)
値H=X22+Y12=(Xd−Xo)2+(Yc−Yo)2・・・式(2)
なお、X1は上下軸周り(すなわち、左右方向)の中心Xoに対する現在位置Xcの偏心量(Xc−Xo)、Y1は左右軸周り(すなわち、上下方向)の中心Yoに対する現在位置Ycの偏心量(Yc−Yo)、X2は上下軸周りの中心Xoに対する再生目標位置Xdの偏心量(Xd−Xo)、Y1は左右軸周りの中心Yoに対する現在位置Ydの偏心量(Yd−Yo)である。
【0078】
以上の値Vと値Hとが算出されるとステップ158で値Vが値Hよりも大きいか否か(すなわち、V>Hであるか否か)が判定される。
【0079】
値Vが値Hよりも大きいと判定された場合には、ステップ160で、先ず、モータ90の駆動制御が開始される。このステップ160でのモータ90の駆動制御では、CPU104がドライバ94に対して制御信号を出力し、ドライバ94は入力された制御信号に基づきモータ90に電力を供給する。これにより、モータ90が駆動されてミラー36が上下軸周りに(左右に)回動される。
【0080】
このようにミラー36が回動している状態では、上記のように検出部108から出力電圧XがCPU104に入力される。次いで、以上のようにモータ90の駆動力でミラー36が回動し、検出部108からCPU104に入力される出力電圧がXcになると、CPU104は制御信号をドライバ94に出力してモータ90への電力供給を停止させる。
【0081】
次に、ステップ162では、モータ92の駆動制御が開始される。このステップ162でのモータ92の駆動制御では、CPU104がドライバ96に対して制御信号を出力し、ドライバ96は入力された制御信号に基づきモータ92に電力を供給する。これにより、モータ92が駆動されてミラー36が左右軸周り(上下に)に回動される。
【0082】
このようにミラー36が回動している状態では、上記のように検出部110から出力電圧YがCPU104に入力される。次いで、以上のようにモータ92の駆動力でミラー36が回動し、検出部110からCPU104に入力される出力電圧がYcになると、CPU104は制御信号をドライバ96に出力してモータ92への電力供給を停止させる。
【0083】
このようにして、ミラー36は再生目標位置Xd、Ydまで回動させられる。
【0084】
一方、ステップ158で値Vが値H以下(すなわち、V≦H)であると判定された場合には、ステップ166でステップ162と同じモータ92の駆動制御が開始される。次いで、ステップ166でのモータ92の制御が終了すると、ステップ168でステップ160と同じモータ90の駆動制御が開始される。
【0085】
ここで、図3及び図4に示されるように、ミラー36の可動範囲Cを円形とみなすと、上記の式(1)で求められる値Vは、ステップ160でのモータ90の駆動が終了してステップ162でのモータ92の駆動の開始時におけるミラー36の回動位置Xc、Ydから可動範囲Cの中心Xo、Yoまでの直線距離の自乗となる。
【0086】
これに対し、上記の式(2)で求められる値Hは、ステップ166でのモータ92の駆動が終了してステップ168でのモータ90の駆動の開始時におけるミラー36の回動位置Xd、Ycから可動範囲Cの中心Xo、Yoまでの直線距離の自乗となる。
【0087】
すなわち、ステップ158では、最初にモータ92を駆動して次にモータ90を駆動した際のモータ92からモータ90への駆動切替地点Xc、Ydから可動範囲Cの中心Xo、Yoまでの距離Rvと、最初にモータ90を駆動して次にモータ92を駆動した際のモータ90からモータ92への駆動切替地点Xd、Ycから可動範囲Cの中心Xo、Yoまでの距離RHの何れが長いかを判定していることになる。
【0088】
さらに、ステップ158では、この判定結果に基づき、駆動切替地点Xc、Ydが駆動切替地点Xd、Ycよりも可動範囲Cの中心から遠ければ、駆動切替地点Xd、Ycを経由するように先ずモータ90を駆動させてから次にモータ92を駆動させるようにモータ90、92が制御され、駆動切替地点Xc、Ydが駆動切替地点Xd、Ycよりも可動範囲Cの中心と同じか或いは近ければ、駆動切替地点Xc、Ydを経由するように先ずモータ92を駆動させてから次にモータ90を駆動させるようにモータ90、92が制御される。
【0089】
ここで、図4に示されるように、駆動切替地点Xc、Ydが駆動切替地点Xd、Ycよりも可動範囲Cの中心に近い場合には、基本的に駆動切替地点Xc、Ydが可動範囲C内にある。しかしながら、図3に示されるように、駆動切替地点Xc、Ydが駆動切替地点Xd、Ycよりも可動範囲Cの中心から遠い場合には、駆動切替地点Xc、Ydは可動範囲Cの外側にある。
【0090】
このため、本ドアミラー装置10では、このような場合には、可動範囲C内に位置する駆動切替地点Xd、Ycを経由するようにモータ90、92が駆動されるので、所謂「突き当て動作(スリップ)」が生じることがない。
【0091】
しかも、上記のように本ドアミラー装置10では、ミラー36を現在位置Xc、Ycから再生目標位置Xd、Ydに復帰させるにあたり、モータ90及びモータ92はそれぞれ1回ずつしか駆動されない。このため、モータ90とモータ92とを交互に幾度も切り替えてミラー36を復帰移動させる構成に比べて、切り替え回数を低減できる。
【0092】
これにより、モータ90、92の駆動の切り替えを幾度となく行なうことで生ずる不快感や機械的なストレスを解消できる。
【0093】
また、本発明に係るドアミラー装置10では、ミラー36の可動範囲Cの中心位置Xo、Yoに対する現在位置Xc、Yc並びに再生目標位置Xd、Ydの各上下軸周り方向及び左右軸周り方向の各偏心量X1、Y1、X2、Y2に基づいてモータ90及びモータ92の何れか一方が先ず駆動され、その後に何れか他方が駆動される。
【0094】
ここで、ミラー36の可動範囲Cの中心位置Xo、Yoは変化する値ではなく、また、再生目標位置Xd、Ydは予め設定される値である。したがって、中心位置Xo、Yoや再生目標位置Xd、Yd、更には、偏心量X2、Y2は基本的に定数になる。このため、本ドアミラー装置10では、ステップ158での判定にあたって実際に検出しなくてはならない値が現在位置Xc、Ycだけになる。
【0095】
このため、比較的にCPU104の処理能力が低くても素早く計算を行なうことができる。これにより、装置の構造を簡素化でき、しかも、再生目標位置Xd、Ydへの復帰操作を開始してから早急にミラー36を再生目標位置Xd、Ydへ復帰させることができる。
【0096】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係る車両用電動ミラー装置では、ミラーを再生目標位置に復帰させるにあたり、第1駆動手段の駆動量又は第2駆動手段の駆動量がミラーの可動範囲を超えることを防止できる。しかも、ミラーを再生目標位置に復帰させるにあたって実際に検出する値は現在位置だけとなるため、演算も容易になり、再生目標位置への復帰操作を開始してから早急にミラーを再生目標位置へ復帰させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態に係る車両用電動ミラー装置のシステムの概略を示すブロック図である。
【図2】再生目標位置にミラーを復帰させる際のプログラムの概略を示すフローチャートである。
【図3】現在位置から再生目標位置までのミラーが回動する際の回動軌跡と、ミラーの可動範囲を示す図で、値Vが値Hよりも大きい場合の図である。
【図4】現在位置から再生目標位置までのミラーが回動する際の回動軌跡と、ミラーの可動範囲を示す図で、値Vが値H以下の場合の図である。
【図5】本発明の一実施の形態に係る車両用電動ミラー装置の分解斜視図である。
【図6】本発明の一実施の形態に係る車両用電動ミラー装置の要部の平面図である。
【図7】図6の7−7線に沿った断面図である。
【符号の説明】
10 ドアミラー装置(車両用電動ミラー装置)
36 ミラー
86 ミラー角度検出装置(位置検出手段)
90 モータ(第1駆動手段)
92 モータ(第2駆動手段)
102 制御部(復帰制御手段)
116 RAM(記憶手段)
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両のドアミラーやフェンダーミラーの反射面の向きをモータ等の駆動力で変える車両用電動ミラー装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
車両の左右両後方側を確認するための所謂ドアミラー(アウタービューミラーと称する場合もある)には、ミラーの反射面の向きの調整を車両室内にて容易に行なえるようにするため、ドアミラーの鏡をモータの駆動力で回動させ、これにより、反射面の向きを調整しうる車両用電動ドアミラー装置が採用されている。
【0003】
この種の車両用電動ドアミラー装置は、一対のモータを備えている。一方のモータは駆動力で略車両上下方向を軸方向(以下、便宜上、この軸方向を「上下軸」と称する)とする軸周りに鏡を回動させ、他方のモータは略車両左右方向を軸方向(以下、便宜上、この軸方向を「左右軸」と称する)とする軸周りに鏡を回動させる構造となっている。各モータは、制御回路を介して車両室内に設けられたスイッチに接続されており、スイッチを操作することで各モータを適宜に駆動させ、又は、適宜に停止させることができるようになっている。
【0004】
さらに、この種の車両用電動ドアミラー装置には、ミラーの所定の回動位置をメモリ等に予め記憶させておき、この所定の回動位置とは異なる回動位置にミラーが位置している状態で、復帰スイッチ等の所定のスイッチを操作することで所定の回動位置までミラーを回動させる構造としたものも考案されている。
【0005】
このような構造の車両用電動ドアミラー装置では、例えば、車両の所有者等、基本的に通常車両を運転する運転者に最適なミラーの回動位置をメモリに記憶させておくことで、仮に、他の人が車両を使用した際にミラーの回動位置を変更したり、又は、車庫入れ等で車両を後方に移動させる際に車両下方(特に、車両の後輪近傍等)を確認するためにミラーを回動させても、容易に通常の運転者にとって最適な回動位置へミラーを復帰させることができるというメリットがある。
【0006】
ところで、一般的に車両用電動ドアミラー装置の場合、ミラーをピボット軸で支持しているため、ミラーの可動範囲はピボット軸を中心とした略円形状の一定範囲内に限定されている。上記の車両用電動ドアミラー装置では、変更した回動位置(以下、この回動位置を便宜上「現在位置」と称する)からメモリに記憶させた回動位置(以下、この回動位置を便宜上、「再生目標位置」と称する)までミラーを回動させるにあたり、上記の一対のモータの何れか一方を先ず駆動させてこの一方のモータの駆動が終了してから他方のモータを駆動させる構造となっている。このため、再生目標位置と現在位置との位置関係によっては最初に駆動させるモータにとって必要な駆動量がミラーの可動範囲を超えてしまうことがある。
【0007】
このように、モータにとって必要な駆動量がミラーの可動範囲を超えた場合には、ミラーの可動範囲の限界位置にて所謂「突き当て動作」(又は、「スリップ」)が生じる。このような突き当て動作が生じることでモータに過剰が負荷がかかったり、また、突き当て動作にて生じる音や再生目標位置に戻らないといった状況が車両乗員に不快感を与えることが考えられる。
【0008】
このような突き当て動作を防止するための対策を施した車両用電動ドアミラー装置が下記特許文献1に開示されている。
【0009】
【特許文献1】
特開2000−127854号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
この特許文献1に開示された車両用電動ドアミラー装置は、作動限界領域(ミラーの可動範囲)の外縁よりも内側に作動規制範囲の外縁を形成しており、現在位置における左右軸周りの作動規制範囲よりも外側に再生目標位置がある場合には、先ず、上下軸周りにミラーを回動させ、その後に左右軸周りにミラーを回動させて再生目標位置にミラーを移動させる構成である。
【0011】
しかしながら、上述したように、作動限界領域、すなわち、ミラーの可動範囲は略円形である。したがって、当然のことながら上下軸周りのミラーの回動位置によって左右軸周りの作動限界領域が異なる。このため、特許文献1に開示された構成では、上下軸周りのミラーの回動位置毎に左右軸周りの作動限界領域をデータテーブルとして予めメモリ等に記憶させておくか、または、ミラーを再生目標位置に移動させる際に左右軸周りの作動限界領域を検出しなくてはならない。
【0012】
作動限界領域を上下軸周りの回動位置毎にメモリ等に記憶させておく構成の場合には、データテーブル用にメモリが必要になる等、構造が複雑になったり装置が大型化する等の問題が生じる。
【0013】
また、ミラーを再生目標位置に移動させる際に左右軸周りの作動限界領域を検出する構成の場合には、実際にミラーを駆動させる前に作動限界領域を検出することになるため、再生目標位置へミラーを戻す操作を行なってからミラーが再生目標位置に到達するまでの時間がかかるという問題が生ずる。
【0014】
本発明は、上記事実を考慮して、簡素な構成で予め設定された再生目標位置へ早急に戻すことができる車両用電動ミラー装置を得ることが目的である。
【0015】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の本発明に係る車両用電動ミラー装置は、少なくとも使用状態で反射面が略車両後方へ向けられたミラーと、前記ミラーに直接又は間接的に連結されて、駆動力により略車両上下方向を軸方向とする上下軸周りに左右に前記ミラーを回動させる第1駆動手段と、前記ミラーに直接又は間接的に連結されて、駆動力により略車両左右方向を軸方向とする左右軸周りに上下に前記ミラーを回動させる第2駆動手段と、前記上下軸周り及び前記左右軸周りの現在の前記ミラーの回動位置である現在位置を検出する位置検出手段と、予め設定された前記上下軸周り及び前記左右軸周りの前記ミラーの回動位置を再生目標位置として記憶する記憶手段と、前記第1駆動手段及び前記第2駆動手段の各々の駆動力による前記ミラーの可動範囲の中心位置に対する前記現在位置の前記上下軸周り及び前記左右軸周りの各偏心量と、前記中心位置に対する前記再生目標位置の前記上下軸周り及び前記左右軸周りの各偏心量とに基づき、前記現在位置から前記再生目標位置までの前記可動範囲を超えずに前記第1駆動手段及び前記第2駆動手段をそれぞれ1回ずつ駆動させ、前記現在位置から前記再生目標位置に前記ミラーを復帰移動させる復帰制御手段と、を備えている。
【0016】
請求項1に記載の本発明に係る車両用電動ミラー装置では、少なくとも使用状態でミラーの反射面が略車両後方へ向けられており、反射光により形成される反射像を視認することによって略車両後方の状態を確認できる。
【0017】
また、本発明に係る車両用電動ミラー装置では、第1駆動手段及び第2駆動手段が設けられており、第1駆動手段を駆動させるとミラーが略車両上下方向を軸方向とする上下軸周りに回動させられる。さらに、第2駆動手段を駆動させるとミラーが略車両左右方向を軸方向とする左右軸周りに回動させられる。
【0018】
したがって、第1駆動手段及び第2駆動手段を適宜に駆動させて上下軸周り及び左右軸周りに左右方向及び上下方向に適宜にミラーを回動させることでミラーの反射面の向きを適宜に変えることができる。これにより、例えば、運転席の乗員から略車両後方側を最も見やすい角度にミラーの反射面の向きを調節できる。
【0019】
一方、上記のように、ミラーは第1駆動手段及び第2駆動手段の駆動力により上下軸周り及び左右軸周りに回動させられるが、ミラーの回動位置(現在のミラーの回動位置で、以下、この回動位置を便宜上「現在位置」と称する)は位置検出手段によって検出される。
【0020】
これに対して、本発明に係る車両用電動ミラー装置では予め設定されたミラーの回動位置(以下、この回動位置を便宜上「再生目標位置」と称する)が記憶手段に記憶されており、この再生目標位置にミラーが位置した状態から第1駆動手段及び第2駆動手段を駆動させてミラーを回動させた後に、例えば、所定の復帰操作を行なうと復帰制御手段によって第1駆動手段及び第2駆動手段が駆動されてミラーが再生目標位置に復帰移動する。
【0021】
したがって、例えば、本発明に係る車両用電動ミラー装置を搭載した車両を通常運転する運転者にとって最も略車両後方を確認しやすいミラーの回動位置を再生目標位置に設定しておき、車庫入れ等でミラーの反射面を略車両下方側へ回動させた後や、他の運転者が最も略車両後方を確認しやすい回動位置にミラーを回動させた後に復帰制御手段によってミラーを回動させれば、容易に通常運転する運転者にとって最も略車両後方を確認しやすい状態にミラーを戻すことができる。
【0022】
また、本発明に係る車両用電動ミラー装置では、上記の現在位置から再生目標位置にミラーを復帰移動させるにあたり、復帰制御手段は第1駆動手段及び第2駆動手段の各々の駆動力によるミラーの可動範囲の中心位置に対する現在位置の上下軸周り及び左右軸周りの各偏心量(すなわち、左右方向及び上下方向の各偏心量)及び上記の中心位置に対する再生目標位置の上下軸周り及び左右軸周りの各偏心量が算出される。
【0023】
この各偏心量が算出されることで、現在位置から再生目標位置にミラーを回動させるにあたり、第1駆動手段から第2駆動手段に駆動切り替えを行なう際の切り替え位置と、第2駆動手段から第1駆動手段に駆動切り替えを行なう際の切り替え位置と、の何れがミラーの可動範囲の中心から離れているかを容易に求めることができる。
【0024】
したがって、切り替え位置がミラーの可動範囲の中心に近い方を選択することで、ミラーの再生目標位置に回動させるにあたり、第1駆動手段及び第2駆動手段をそれぞれ1回ずつ駆動させるだけであっても第1駆動手段の駆動量又は第2駆動手段の駆動量がミラーの可動範囲を超えることを防止できる。
【0025】
このように、本発明に係る車両用電動ミラー装置では、第1駆動手段及び第2駆動手段が上記の可動範囲内で駆動されるため、第1駆動手段及び第2駆動手段の駆動途中に所謂「突き当て動作(スリップ)」が生じることがない。
【0026】
しかも、ミラーを復帰移動させるにあたり、第1駆動手段及び第2駆動手段はそれぞれ1回ずつしか駆動されない。このため、幾度となく第1駆動手段及び第2駆動手段の何れか一方の駆動手段から他方に駆動手段に駆動を切り替えてミラーを復帰移動させる構成に比べて、切り替え回数を低減できる。これにより、上記の切り替えを幾度となく行なうことで生ずる不快感や機械的なストレスを解消できる。
【0027】
また、本発明に係る車両用電動ドアミラー装置では、ミラーの可動範囲の中心位置に対する現在位置の上下軸周り方向及び左右軸周り方向の各偏心量及び上記の中心位置に対する再生目標位置の上下軸周り方向及び左右軸周り方向の各偏心量に基づいて第1駆動手段及び第2駆動手段の何れか一方が先ず駆動され、その後に何れか他方が駆動される。
【0028】
ここで、ミラーの可動範囲の中心位置は変化する値ではなく、また、再生目標位置は予め設定される値である。したがって、中心位置や再生目標位置、更には、中心位置に対する再生目標位置の偏心量が基本的に定数になる。このため、本発明に係る車両用電動ミラー装置では、実際に検出する値は現在位置だけとなる。したがって、各偏心量の計算も容易になるため、装置の構造を簡素化でき、しかも、再生目標位置への復帰操作を開始してから早急にミラーを再生目標位置へ復帰させることができる。
【0029】
請求項2に記載の本発明に係る車両用電動ミラー装置は、請求項1に記載の本発明において、前記復帰制御手段は、前記中心位置に対する前記現在位置の前記上下軸周りの偏心量をX1、前記中心位置に対する前記現在位置の前記左右軸周りの偏心量をY1、前記中心位置に対する前記再生目標位置の前記上下軸周りの偏心量をX2、前記中心位置に対する前記再生目標位置の前記左右軸周りの偏心量をY2、として、下記式(1)及び下記式(2)から値V及び値Hを算出し、前記値Vが前記値Hよりも大きい場合には、前記現在位置に対する前記再生目標位置の前記上下軸周りの変位量だけ前記第1駆動手段を駆動させた後に、前記現在位置に対する前記再生目標位置の前記左右軸周りの変位量だけ前記第2駆動手段を駆動させ、前記値Vが前記値H以下である場合には、前記現在位置に対する前記再生目標位置の前記左右軸周りの変位量だけ前記第2駆動手段を駆動させた後に、前記現在位置に対する前記再生目標位置の前記上下軸周りの変位量だけ前記第1駆動手段を駆動させる、ことを特徴としている。
【0030】
値V=X12+Y22・・・式(1)
値H=X22+Y12・・・式(2)
請求項2に記載の本発明に係る車両用電動ミラー装置によれば、現在位置から再生目標位置にミラーを復帰移動させるにあたり、上述した可動範囲の中心位置に対する現在位置の上下軸周りの偏心量をX1、可動範囲の中心位置に対する現在位置の左右軸周りの偏心量をY1、可動範囲の中心位置に対する再生目標位置の上下軸周りの偏心量をX2、可動範囲の中心位置に対する再生目標位置の左右軸周りの偏心量をY2とした場合、復帰制御手段では次の式(1)に基づいて値Vが算出される。
値V=X12+Y22・・・式(1)
この値Vの演算に前後して、次の式(2)に基づいて値Hが算出される。
値H=X22+Y12・・・式(2)
次いで、復帰制御手段では、以上の式(1)、式(2)に基づき算出された値V及び値Hが比較される。
【0031】
このように比較した結果、値Vが値Hよりも大きい場合(すなわち、V>Hの場合)には、復帰制御手段によって、先ず、第1駆動手段が駆動されて、再生目標位置に対する現在位置の上下軸周りの変位量だけミラーが回動される。この第1駆動手段の駆動が終了した後に、第2駆動手段が駆動されて再生目標位置に対する現在位置の左右軸周りの変位量だけミラーが回動される。これにより、ミラーが再生目標位置に復帰する。
【0032】
これに対して、値Vが値H以下の場合(すなわち、V≦Hの場合)には、復帰制御手段によって、先ず、第2駆動手段が駆動されて、再生目標位置に対する現在位置の左右軸周りの変位量だけミラーが回動される。この第2駆動手段の駆動が終了した後に、第1駆動手段が駆動されて再生目標位置に対する現在位置の上下軸周りの変位量だけミラーが回動される。これにより、ミラーが再生目標位置に復帰する。
【0033】
【発明の実施の形態】
先ず、本発明の一実施の形態に係る車両用電動ミラー装置としてのドアミラー装置10の機械的な構成について説明する。
【0034】
図5には、本ドアミラー装置10の全体構成が分解斜視図によって示されている。
【0035】
この図に示されるように、ドアミラー装置10は、車両のサイドドアのコーナー部に取り付けられる略三角形状のドアミラーベース12と、このドアミラーベース12に対して略車両水平面内で回転可能に支持されたドアミラー本体14とによって構成されている。
【0036】
ドアミラー本体14は、ドアミラー装置10の外郭を構成する樹脂製のドアミラーバイザー16を備えている。ドアミラーバイザー16は前後二分割(2ピース)構造とされており、ドアミラー本体14の前部外郭を構成しかつ車両後方側が開放された略箱体形状のバイザーカバー18と、ドアミラー本体14の後部外郭を構成しかつバイザーカバー18の開口側端部に被嵌される略枠体形状のバイザーリム20と、によって構成されている。
【0037】
バイザーカバー18とバイザーリム20との間には、略矩形平板状に形成された金属製又は樹脂製のフレーム22が配設されている。フレーム22の正面側(車両後方側)には、電動格納ユニット24並びに後述する鏡駆動ユニット42といった駆動部が取り付けられる。なお、フレーム22の略中央部には一対の開口26が形成されており、これらの開口26を通して2本の配線(図示省略)が鏡駆動ユニット42の背面側(車両前方側)に接続される。また、鏡駆動ユニット42の正面側(車両後方側)には、後述するミラーホルダ50が取り付けられる。
【0038】
フレーム22に対して車両後方側に配置されるバイザーリム20は、その外形(意匠面)を構成する枠体28と、当該枠体28の中間部に形成されかつ中央部に比較的大きな開口30が形成された隔壁32と、によって概ね構成されている。隔壁32の四隅には挿通孔34が形成されており、これらの挿通孔34内へ図示しないスクリュウが螺入されることで、バイザーリム20がフレーム22に固定されている。
【0039】
また、バイザーリム20における隔壁32の後方側には、略車両後方確認用のミラー36が配設されている。ミラー36は、隔壁32に形成された開口30を通して鏡駆動ユニット42のミラーホルダ50と連結されている。
【0040】
一方、フレーム22に対して車両前方側に配置されるバイザーカバー18の底部四隅には、リブで補強された樹脂爪38が立設されている。これに対応して、フレーム22の四隅にも長孔40が形成されており、これらの長孔40内へ樹脂爪38が弾性的に係止されることで、バイザーカバー18がバイザーリム20に嵌合された状態でフレーム22に固定されている。
【0041】
次に、図6及び図7に基づいて上記の鏡駆動ユニット42の構成について説明する。
【0042】
これらの図に示されるように、鏡駆動ユニット42は、全体的には比較的薄型の方形平板形状をなすハウジング44を備えている。ハウジング44は、鏡駆動ユニット42の組付状態において車両前方側に配置されるフロントハウジング46と車両後方側に配置されるリヤハウジング48とによって構成されており、両者が嵌合されて一体化されることによりユニット外郭が構成されている。
【0043】
鏡駆動ユニット42の中央側の角部には、略矩形平板状に形成されたミラーホルダ50(図5にも図示)を揺動可能に支持するためのピボット部52が設けられている。ピボット部52は、概略的には、リヤハウジング48に一体形成された有底半球状の凹部である球面受部54と、この球面受部54よりも一回り小さく形成されて球面受部54の内側に装着される有底半球状のリテーナ56と、このリテーナ56を球面受部54側へ押圧付勢する圧縮コイルスプリング58及びスクリュウ60と、によって構成されている。
【0044】
細部構成について補足すると、球面受部54は比較的浅底に形成された有底円筒状の保持部54Aと、この保持部54Aの軸心部に形成された細長い円筒状のボス54Bと、保持部54Aから径方向外側へ延出された球面支持部54Cと、によって構成されている。一方、リテーナ56は、球面受部54の保持部54Aに挿入される有底円筒状の軸部56Aと、当該軸部56Aの中間部から径方向外側へ延出された球面押圧部56Bと、によって構成されている。そして、球面受部54の球面支持部54Cとリテーナ56の球面押圧部56Bとの間に、ミラーホルダ50の略中央部に形成された半球状の軸支部62が挟持されている。
【0045】
ミラーホルダ50における軸支部62の中心には、リテーナ56の軸部56Aの外径よりも大径とされた貫通孔64が形成されている。また、リテーナ56における軸部56Aの底部にはボス54Bを挿通させるためのボス挿入孔66が形成されている。そして、ボス挿入孔66内へボス54Bが挿入された状態で、リテーナ56の軸部56Aの内周側に圧縮コイルスプリング58が巻装され、更にワッシャ68を介してスクリュウ60がボス54Bに螺入されている。
【0046】
上記により、ワッシャ68がスプリングシートとしての役割を果たし、リテーナ56を介してミラーホルダ50の軸支部62に圧縮コイルスプリング58の付勢力を作用させ、これによりミラーホルダ50の軸支部62を球面受部54に揺動可能に支持させる構成である。なお、ピボット部52によるミラーホルダ50(ひいてはミラー36)の保持位置は、ミラー36の重心とされている。
【0047】
また、上述した鏡駆動ユニット42の側方側の角部には、ミラー36のピボット部52周りの左右方向の角度を調整するため、すなわち、略車両上下方向おを軸方向とする上下軸周りのミラー36の角度を調整するためのドライブロッド70が配設されている。ドライブロッド70は、フロントハウジング46とリヤハウジング48との間に形成されたモータ収容部88内の第1駆動手段としてのモータ90の駆動力を受けることで軸方向に移動する構造となっており、その先端部はミラーホルダ50の裏面側に形成された軸支部72に回動自在に軸支(連結)されている。
【0048】
さらに、上述した鏡駆動ユニット42の上方側の角部には、ミラー36のピボット部52周りの上下方向の角度を調整するため、すなわち、略車両左右方向を軸方向とする左右軸周りのミラー36の角度を調整するためのドライブロッド74が配設されている。ドライブロッド74の駆動機構は、上述したドライブロッド70の駆動機構と同様で、詳細な図示は省略するが、ドライブロッド74に対応した第2駆動手段としてのモータ92(図1参照)を備えており、このモータ92の駆動力でドライブロッド74が軸方向に移動する構造となっている。
【0049】
図1のブロック図に示されるように、これらのモータ90、92は各々に対応して設けられた駆動制御用のドライバ94、96を介して電源98(車両に搭載されたバッテリー)に接続されていると共に、モータ制御装置100の復帰制御手段としての制御部102を構成するCPU104に接続されている。
【0050】
制御部102のCPU104は、車両の運転席近傍に設けられた調整スイッチ106に接続されている。調整スイッチ106に関する詳細な説明は省略するが、調整スイッチ106は、傾動部材がピボット軸周りに十字方向に傾動可能な構造となっており、この傾動部材の傾動方向に対応した電気的な調整信号が調整スイッチ106のスイッチ本体から出力される構造となっている。
【0051】
調整スイッチ106から出力された調整信号は、直接或いは適宜に変換された後にCPU104に入力され、CPU104では入力された調整信号に基づいて各ドライバ94、96に対して電気的な制御信号を出力する。各ドライバ94、96では入力された制御信号に基づいて、対応するモータ90、92に対して電力を供給し、又は、電力供給を停止する。
【0052】
また、図6に示されるように、本ドアミラー装置10は、位置検出手段としてのミラー角度検出装置86を備えている。図7に示されるように、ミラー角度検出装置86は左右方向角度検出用のシャフト78を備えている。
【0053】
図7に示されるように、シャフト78はその軸方向(長手方向)に沿ってスライド可能に設けられていると共に、圧縮コイルスプリング76によってミラーホルダ50側に付勢されている。また、シャフト78の先端にはボール82が設けられている。ボール78は圧縮コイルスプリング76の付勢力を受けたシャフト78によってミラーホルダ50の裏面に圧接されている。
【0054】
さらに、ミラー角度検出装置86は所定の抵抗値を有する抵抗と可変抵抗とによって構成されたブリッジ回路を有する検出部108(図1参照)を備えている。検出部108を構成する可変抵抗は、シャフト78の移動量に応じて抵抗値が変化するように設けられている。
【0055】
モータ90の駆動力でドライブロッド70がミラーホルダ50を押し上げ、軸支部62周りにミラーホルダ50が回動すると、シャフト78がミラーホルダ50によって押し下げられる。また、モータ90の駆動力でドライブロッド70が下降すると、圧縮コイルスプリング76の付勢力でシャフト78がミラーホルダ50を押し上げて軸支部62周りにミラーホルダ50を回動させる。
【0056】
このときのシャフト78の移動により変化した検出部108の可変抵抗の抵抗値の変化を、可変抵抗を含めて構成されるブリッジ回路の出力電圧Xの変化として検出し、この検出結果に基づきミラーホルダ50の回動角度、ひいては、ミラー36の回動角度を検出する構成となっている。
【0057】
また、図1に示されるように、検出部108はミラー角度検出装置86の制御部102を構成するCPU104に接続されており、検出部108のブリッジ回路における出力電圧Xの変化はCPU104に入力される。
【0058】
さらに、図6に示されるように、ミラー角度検出装置86は、上下方向角度検出用のシャフト80を備えている。シャフト80もまた基本的にはシャフト78と同じ構造で、シャフト80に対応して設けられた圧縮コイルスプリング76によってミラーホルダ50側に付勢されて先端に設けられたボール82をミラーホルダ50の裏面に圧接している。
【0059】
さらに、ミラー角度検出装置86は検出部110を備えている。検出部110は基本的に検出部108と同じ構造で、所定の抵抗値を有する抵抗と、シャフト78の移動量に応じて抵抗値が変化する可変抵抗とにより構成されたブリッジ回路を備えている。
【0060】
モータ92の駆動力でドライブロッド74がミラーホルダ50を押し上げ、軸支部62周りにミラーホルダ50が回動するとシャフト80がミラーホルダ50によって押し下げられる。また、モータ92の駆動力でドライブロッド74が下降すると、圧縮コイルスプリング76の付勢力でシャフト80がミラーホルダ50を押し上げて軸支部62周りにミラーホルダ50を回動させる。
【0061】
このときのシャフト80の移動により変化した検出部110の可変抵抗の抵抗値の変化を、可変抵抗を含めて構成されるブリッジ回路の出力電圧Yの変化として検出し、この検出結果に基づきミラーホルダ50の回動角度、ひいては、ミラー36の回動角度を検出する構成となっている。
【0062】
一方、図1のブロック図に示されるように、本ドアミラー装置10は、調整スイッチ106とは別に登録−復帰スイッチ112が設けられている。登録−復帰スイッチ112は、例えば、調整スイッチ106の近傍に設けられており、調整スイッチ106と同様に制御部102を構成するCPU104に電気的に接続されている。
【0063】
登録−復帰スイッチ112は、例えば、通常のプッシュスイッチによって構成されている。CPU104では、登録−復帰スイッチ112の押圧時間が所定時間未満であれば、CPU104と共に制御部102を構成するROM114から復帰操作プログラムを読み込んで実行し、登録−復帰スイッチ112の押圧時間が所定時間以上であれば、ROM114から登録プログラムを読み込んで実行しつつ、後述する再生目標位置をCPU104やROM114と共に制御部102を構成する記憶手段としてのRAM116に記憶させる構成となっている。
【0064】
次に、本実施の形態の作用並びに効果について説明する。
【0065】
本ドアミラー装置10では、調整スイッチ106が傾動操作されることで調整スイッチ106から出力された調整信号は直接又は適宜に変換された後に制御部102のCPU104に入力される。調整信号がCPU104に入力されるとCPU104では調整スイッチ106の傾動方向に対応した制御信号を生成し、この傾動方向に対応したドライバ94又はドライバ96に対して制御信号を出力する。
【0066】
例えば、制御信号がドライバ94に入力されると、ドライバ94はモータ90に対して電力を供給する。これにより、モータ90が正転駆動又は逆転駆動されると、ドライブロッド70に駆動力が付与される。
【0067】
ドライブロッド70に駆動力が付与されると、ドライブロッド70がその軸方向に移動する。ドライブロッド70の先端部はミラーホルダ50の裏面側に形成された軸支部72に回動自在に軸支(連結)されているため、ドライブロッド70がその軸方向に移動すると、そのストロークに応じた角度だけミラーホルダ50がピボット部52周りに左右方向へ揺動される(すなわち、上下軸周りにミラーホルダ50が回動される)。
【0068】
これにより、ミラーホルダ50と連結されたミラー36の左右方向への鏡面角度が所望の角度に調整される。
【0069】
これに対し、制御信号がドライバ96に入力されると、ドライバ96はモータ92に対して電力を供給する。これにより、モータ92が正転駆動又は逆転駆動されると、ドライブロッド74に駆動力が付与される。
【0070】
ドライブロッド74に駆動力が付与されると、ドライブロッド74がその軸方向に移動する。ドライブロッド74の先端部はミラーホルダ50の裏面側に形成された軸支部に回動自在に軸支(連結)されているため、ドライブロッド74がその軸方向に移動すると、そのストロークに応じた角度だけミラーホルダ50がピボット部52周りに上下方向へ揺動される(すなわち、左右軸周りにミラーホルダ50が回動される)。
【0071】
これにより、ミラーホルダ50と連結されたミラー36の上下方向への鏡面角度が所望の角度に調整される。
【0072】
このように、本ドアミラー装置10では、モータ90の駆動力でミラー36を左右軸周りに上下に回動させ、モータ92の駆動力でミラー36を上下軸周りに左右に回動させることで、ミラー36の角度を調整している。但し、上記の回動はあくまでもピボット軸52周りの回動であるため、ミラー36の可動範囲Cは略円形となる。
【0073】
一方、登録−復帰スイッチ112が押圧操作されると、登録−復帰スイッチ112から出力された登録復帰信号がCPU104に入力される。CPU104では登録復帰信号の連続入力時間が所定時間以上であれば、ROM114から登録プログラムが読み込まれて再生記憶位置の更新が行なわれる。この再生記憶位置の更新では、RAM116に記憶させていたそれまでの再生記憶位置が消去され、新たに、検出部108からの出力電圧Xcと検出部110からの出力電圧Ycが再生記憶位置Xd、YdとしてRAM116に記憶される。
【0074】
これに対して、登録−復帰スイッチ112から出力された登録復帰信号がCPU104に入力される。CPU104では登録復帰信号の連続入力時間が所定時間未満であれば、ROM114から復帰操作プログラムが読み込まれて実行される。
【0075】
以下、図2のフローチャートと図3及び図4の模式図に基づいて復帰操作について説明する。
【0076】
図2のフローチャートに示されるように、ステップ150で復帰操作プログラムが実行されると、ステップ152で初期設定が行なわれた後、ステップ154で検出部108からの出力電圧Xcと、検出部108からの出力電圧Ycとが読み込まれると共に、ミラー36の可動範囲Cの中心に対応して予めROM114に記憶されていた中心電圧値Xo及び中心電圧値Yoが読み込まれる。この出力電圧Xcと出力電圧Xcとは、検出部108、110において検出したミラー36の現在の回動位置(現在位置Xc、Yc)である。
【0077】
次いで、ステップ156では、以下の式(1)に基づいて値Vが算出されると共に以下の式(2)に基づいて値Hが算出される。
値V=X12+Y22=(Xc−Xo)2+(Yd−Yo)2・・・式(1)
値H=X22+Y12=(Xd−Xo)2+(Yc−Yo)2・・・式(2)
なお、X1は上下軸周り(すなわち、左右方向)の中心Xoに対する現在位置Xcの偏心量(Xc−Xo)、Y1は左右軸周り(すなわち、上下方向)の中心Yoに対する現在位置Ycの偏心量(Yc−Yo)、X2は上下軸周りの中心Xoに対する再生目標位置Xdの偏心量(Xd−Xo)、Y1は左右軸周りの中心Yoに対する現在位置Ydの偏心量(Yd−Yo)である。
【0078】
以上の値Vと値Hとが算出されるとステップ158で値Vが値Hよりも大きいか否か(すなわち、V>Hであるか否か)が判定される。
【0079】
値Vが値Hよりも大きいと判定された場合には、ステップ160で、先ず、モータ90の駆動制御が開始される。このステップ160でのモータ90の駆動制御では、CPU104がドライバ94に対して制御信号を出力し、ドライバ94は入力された制御信号に基づきモータ90に電力を供給する。これにより、モータ90が駆動されてミラー36が上下軸周りに(左右に)回動される。
【0080】
このようにミラー36が回動している状態では、上記のように検出部108から出力電圧XがCPU104に入力される。次いで、以上のようにモータ90の駆動力でミラー36が回動し、検出部108からCPU104に入力される出力電圧がXcになると、CPU104は制御信号をドライバ94に出力してモータ90への電力供給を停止させる。
【0081】
次に、ステップ162では、モータ92の駆動制御が開始される。このステップ162でのモータ92の駆動制御では、CPU104がドライバ96に対して制御信号を出力し、ドライバ96は入力された制御信号に基づきモータ92に電力を供給する。これにより、モータ92が駆動されてミラー36が左右軸周り(上下に)に回動される。
【0082】
このようにミラー36が回動している状態では、上記のように検出部110から出力電圧YがCPU104に入力される。次いで、以上のようにモータ92の駆動力でミラー36が回動し、検出部110からCPU104に入力される出力電圧がYcになると、CPU104は制御信号をドライバ96に出力してモータ92への電力供給を停止させる。
【0083】
このようにして、ミラー36は再生目標位置Xd、Ydまで回動させられる。
【0084】
一方、ステップ158で値Vが値H以下(すなわち、V≦H)であると判定された場合には、ステップ166でステップ162と同じモータ92の駆動制御が開始される。次いで、ステップ166でのモータ92の制御が終了すると、ステップ168でステップ160と同じモータ90の駆動制御が開始される。
【0085】
ここで、図3及び図4に示されるように、ミラー36の可動範囲Cを円形とみなすと、上記の式(1)で求められる値Vは、ステップ160でのモータ90の駆動が終了してステップ162でのモータ92の駆動の開始時におけるミラー36の回動位置Xc、Ydから可動範囲Cの中心Xo、Yoまでの直線距離の自乗となる。
【0086】
これに対し、上記の式(2)で求められる値Hは、ステップ166でのモータ92の駆動が終了してステップ168でのモータ90の駆動の開始時におけるミラー36の回動位置Xd、Ycから可動範囲Cの中心Xo、Yoまでの直線距離の自乗となる。
【0087】
すなわち、ステップ158では、最初にモータ92を駆動して次にモータ90を駆動した際のモータ92からモータ90への駆動切替地点Xc、Ydから可動範囲Cの中心Xo、Yoまでの距離Rvと、最初にモータ90を駆動して次にモータ92を駆動した際のモータ90からモータ92への駆動切替地点Xd、Ycから可動範囲Cの中心Xo、Yoまでの距離RHの何れが長いかを判定していることになる。
【0088】
さらに、ステップ158では、この判定結果に基づき、駆動切替地点Xc、Ydが駆動切替地点Xd、Ycよりも可動範囲Cの中心から遠ければ、駆動切替地点Xd、Ycを経由するように先ずモータ90を駆動させてから次にモータ92を駆動させるようにモータ90、92が制御され、駆動切替地点Xc、Ydが駆動切替地点Xd、Ycよりも可動範囲Cの中心と同じか或いは近ければ、駆動切替地点Xc、Ydを経由するように先ずモータ92を駆動させてから次にモータ90を駆動させるようにモータ90、92が制御される。
【0089】
ここで、図4に示されるように、駆動切替地点Xc、Ydが駆動切替地点Xd、Ycよりも可動範囲Cの中心に近い場合には、基本的に駆動切替地点Xc、Ydが可動範囲C内にある。しかしながら、図3に示されるように、駆動切替地点Xc、Ydが駆動切替地点Xd、Ycよりも可動範囲Cの中心から遠い場合には、駆動切替地点Xc、Ydは可動範囲Cの外側にある。
【0090】
このため、本ドアミラー装置10では、このような場合には、可動範囲C内に位置する駆動切替地点Xd、Ycを経由するようにモータ90、92が駆動されるので、所謂「突き当て動作(スリップ)」が生じることがない。
【0091】
しかも、上記のように本ドアミラー装置10では、ミラー36を現在位置Xc、Ycから再生目標位置Xd、Ydに復帰させるにあたり、モータ90及びモータ92はそれぞれ1回ずつしか駆動されない。このため、モータ90とモータ92とを交互に幾度も切り替えてミラー36を復帰移動させる構成に比べて、切り替え回数を低減できる。
【0092】
これにより、モータ90、92の駆動の切り替えを幾度となく行なうことで生ずる不快感や機械的なストレスを解消できる。
【0093】
また、本発明に係るドアミラー装置10では、ミラー36の可動範囲Cの中心位置Xo、Yoに対する現在位置Xc、Yc並びに再生目標位置Xd、Ydの各上下軸周り方向及び左右軸周り方向の各偏心量X1、Y1、X2、Y2に基づいてモータ90及びモータ92の何れか一方が先ず駆動され、その後に何れか他方が駆動される。
【0094】
ここで、ミラー36の可動範囲Cの中心位置Xo、Yoは変化する値ではなく、また、再生目標位置Xd、Ydは予め設定される値である。したがって、中心位置Xo、Yoや再生目標位置Xd、Yd、更には、偏心量X2、Y2は基本的に定数になる。このため、本ドアミラー装置10では、ステップ158での判定にあたって実際に検出しなくてはならない値が現在位置Xc、Ycだけになる。
【0095】
このため、比較的にCPU104の処理能力が低くても素早く計算を行なうことができる。これにより、装置の構造を簡素化でき、しかも、再生目標位置Xd、Ydへの復帰操作を開始してから早急にミラー36を再生目標位置Xd、Ydへ復帰させることができる。
【0096】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係る車両用電動ミラー装置では、ミラーを再生目標位置に復帰させるにあたり、第1駆動手段の駆動量又は第2駆動手段の駆動量がミラーの可動範囲を超えることを防止できる。しかも、ミラーを再生目標位置に復帰させるにあたって実際に検出する値は現在位置だけとなるため、演算も容易になり、再生目標位置への復帰操作を開始してから早急にミラーを再生目標位置へ復帰させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態に係る車両用電動ミラー装置のシステムの概略を示すブロック図である。
【図2】再生目標位置にミラーを復帰させる際のプログラムの概略を示すフローチャートである。
【図3】現在位置から再生目標位置までのミラーが回動する際の回動軌跡と、ミラーの可動範囲を示す図で、値Vが値Hよりも大きい場合の図である。
【図4】現在位置から再生目標位置までのミラーが回動する際の回動軌跡と、ミラーの可動範囲を示す図で、値Vが値H以下の場合の図である。
【図5】本発明の一実施の形態に係る車両用電動ミラー装置の分解斜視図である。
【図6】本発明の一実施の形態に係る車両用電動ミラー装置の要部の平面図である。
【図7】図6の7−7線に沿った断面図である。
【符号の説明】
10 ドアミラー装置(車両用電動ミラー装置)
36 ミラー
86 ミラー角度検出装置(位置検出手段)
90 モータ(第1駆動手段)
92 モータ(第2駆動手段)
102 制御部(復帰制御手段)
116 RAM(記憶手段)
Claims (2)
- 少なくとも使用状態で反射面が略車両後方へ向けられたミラーと、
前記ミラーに直接又は間接的に連結されて、駆動力により略車両上下方向を軸方向とする上下軸周りに左右に前記ミラーを回動させる第1駆動手段と、
前記ミラーに直接又は間接的に連結されて、駆動力により略車両左右方向を軸方向とする左右軸周りに上下に前記ミラーを回動させる第2駆動手段と、
前記上下軸周り及び前記左右軸周りの現在の前記ミラーの回動位置である現在位置を検出する位置検出手段と、
予め設定された前記上下軸周り及び前記左右軸周りの前記ミラーの回動位置を再生目標位置として記憶する記憶手段と、
前記第1駆動手段及び前記第2駆動手段の各々の駆動力による前記ミラーの可動範囲の中心位置に対する前記現在位置の前記上下軸周り及び前記左右軸周りの各偏心量と、前記中心位置に対する前記再生目標位置の前記上下軸周り及び前記左右軸周りの各偏心量とに基づき、前記現在位置から前記再生目標位置までの前記可動範囲を超えずに前記第1駆動手段及び前記第2駆動手段をそれぞれ1回ずつ駆動させ、前記現在位置から前記再生目標位置に前記ミラーを復帰移動させる復帰制御手段と、
を備える車両用電動ミラー装置。 - 前記復帰制御手段は、
前記中心位置に対する前記現在位置の前記上下軸周りの偏心量をX1、
前記中心位置に対する前記現在位置の前記左右軸周りの偏心量をY1、
前記中心位置に対する前記再生目標位置の前記上下軸周りの偏心量をX2、
前記中心位置に対する前記再生目標位置の前記左右軸周りの偏心量をY2、
として、下記式(1)及び下記式(2)から値V及び値Hを算出し、
前記値Vが前記値Hよりも大きい場合には、前記現在位置に対する前記再生目標位置の前記上下軸周りの変位量だけ前記第1駆動手段を駆動させた後に、前記現在位置に対する前記再生目標位置の前記左右軸周りの変位量だけ前記第2駆動手段を駆動させ、
前記値Vが前記値H以下である場合には、前記現在位置に対する前記再生目標位置の前記左右軸周りの変位量だけ前記第2駆動手段を駆動させた後に、前記現在位置に対する前記再生目標位置の前記上下軸周りの変位量だけ前記第1駆動手段を駆動させる、
ことを特徴とする請求項1に記載の車両用電動ミラー装置。
値V=X12+Y22・・・式(1)
値H=X22+Y12・・・式(2)
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