JP2004306513A - 飽和ポリエステル中空体の結晶化装置におけるコアー打込み装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】コアー打込み装置1は、ノックアウト片543がリング12を相対的に押下しても、口部12がコアー533から外れないとき、口部12に打ち込まれたコアー533を強制的に引き抜く強制取り外し手段として、ノックアウト片543がリング12と当接するタイミングより遅れて、プリフォーム10の本体と当接し該本体を相対的に押下する強制ノックアウト片72を、筒体542に設けた構成としてある。
【選択図】 図1
Description
【産業上の利用分野】
本発明は、飽和ポリエステル中空体の結晶化装置におけるコアー打込み装置に関し、さらに詳しくは、ポリエチレンテレフタレート等の飽和ポリエステルよりなる有底プリフォームもしくはボトル,カップ等の、キャップ等で密封されるべき口頸部を結晶化する結晶化装置の、口頸部の形状精度を低下させることなく結晶化を促進するためのプリフォーム保持用の打込みコアー装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
飽和ポリエステルよりなるボトルは、通常射出成形等による形成された無定形組織の有底プリフォームを、口頸部となるべき部分を残して、2軸延伸ブロー成形することによって製造される。
この種のボトルは、肩部,胴部及び底部が分子配向されており、透明性,ガスバリヤー性,強度,耐衝撃性等の容器特性に優れ、さらに、これらの肩部,胴部及び底部をヒートセットしたボトルは、熱間充填した場合に、これらの部分が収縮による変形が起こり難いという利点を有している。
【0003】
ところで、容器の口頸部は無定形組織のままであるので、熱間充填の際に口頸部全体もしくはねじ部等は変形し、密封性が損なわれやすい。
この欠点を解消するため、プリフォーム又は容器の口頸部を加熱して結晶化することにより、口頸部の硬度や耐熱性を向上させる技術が提案されている。さらに、この際、口頸部を外部乃至内部から加熱し結晶化させてから、内径規制のコアーを挿入して(打込み)冷却する、コアー打込み装置の技術がある(特許文献1)。図3に示すように、上記コアー打込み装置530は、上方から筒体542を降下させ、コアー533が打ち込まれた口部11のリング12にノックアウト片543を当接させ、リング12を押し下げることで、プリフォーム10の口部11をコアー533から取り外す構成としてある。
この技術によれば、結晶化の進行にともない、口頸部の密度が増加し体積が減少したとき、口頸部が不規則に変形することを防止して、キャップの打栓を確実にし、結果として良好な密封性を確保することができる。
【0004】
【特許文献1】
特公平6−22876号公報 (第3−5頁、第6−10図)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の技術で結晶化させると、ラインが万一停止すると結晶化がさらに進行して、口頸部がより収縮し、口頸部内周面とコアー外周面がより契合した状態となる。このとき、コアーを口頸部から抜き出すことが著しく困難になり、無理に抜き出そうとすると、プリフォーム若しくは容器が破損することがある。たとえば、図4に示すように、ノックアウト片543がリング12を押し下げる際、リング12aが破断して、破断したリング12aだけが押し下げられる場合がある。
すなわち、ラインが停止したとき、確実かつ容易にコアーをプリフォーム若しくは容器から取り外すことができないといった問題があった。
【0006】
本発明は、上記問題を解決すべく、ライントラブル時に確実かつ容易にコアーをプリフォーム若しくは容器から取り外すことが可能なポリエステル製中空体の結晶化装置におけるコアー打込み装置の提供を目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
この目的を達成するために、本発明の請求項1記載の飽和ポリエステル中空体の結晶化装置におけるコアー打込み装置は、ペットボトルのプリフォームの口部を結晶化させる飽和ポリエステル中空体の結晶化装置におけるコアー打込み装置であって、前記口部のリングと当接し該リングを相対的に押下することにより、前記口部に打ち込まれたコアーから該口部を取り外すノックアウト片と、このノックアウト片が前記リングを相対的に押下しても、前記コアーから前記口部が外れないとき、前記コアーから前記口部を強制的に取り外す強制取り外し手段とを具備した構成としてある。
このようにすると、作業者が結晶化装置を停止し、工具を用いて手動にてプリフォームをコアーから取り外さなくてもすむので、結晶化装置の稼働率の低下を防ぎ、生産性の向上を図ることができる。
【0008】
また、本発明の請求項2記載の飽和ポリエステル中空体の結晶化装置におけるコアー打込み装置は、前記強制取り外し手段を、前記ノックアウト片が前記リングと当接するタイミングより遅れて、前記プリフォームの本体と当接し該本体を相対的に押下する強制ノックアウト片とした構成としてある。
このようにすると、リングが破損した場合であっても、プリフォーム本体を直接押下できるので、確実にプリフォームをコアーから取り外すことができる。
【0009】
また、本発明の請求項3記載の飽和ポリエステル中空体の結晶化装置におけるコアー打込み装置は、前記ノックアウト片と強制ノックアウト片を同一の筒体に設けた構成としてある。
このようにすると、強制ノックアウト片を昇降させるための専用の昇降手段を設けなくてもすむので、コアー打込み装置の構成を単純化でき、設備費のコストダウンを図ることができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な実施形態について、図面を参照して説明する。
図1は、本発明にかかるコアー打込み装置の実施形態における要部の構成を説明するための概略図であり、(a)は断面図を、(b)はA−A断面における断面図を示している。
同図において、コアー打込み装置1は、ノックアウト部材541の筒体542の最下端にノックアウト片543が形成され、さらに、筒体542の内面に強制ノックアウト片72を突設した構成としてある。
なお、本実施形態のコアー打込み装置1は、上記従来のプリフォーム結晶化装置のコアー打込み装置530として使用される。
【0011】
また、同図(b)において、理解しやすいように、支杆532及びコアー533に形成された冷却水の案内路は省略してある。
さらに、コアー533は、シリンダ又はカム(図示せず)のストローク調整により、口部11に打ち込まれる位置が設定されており、コアー533の最上部が口部11内に入り込むまで打ち込まれることはない。
【0012】
コアー打込み装置1は、筒体542の最下端に、口部11のリング12と当接し、リング12を相対的に押下することにより、口部11に打ち込まれたコアー533から口部11を取り外すノックアウト片543を備えている。
なお、「相対的に押下する」とは、固定されたコアー533に対し、ノックアウト片543が降下する場合の他、固定されたノックアウト片543に対し、コアー533が上昇する場合、及びコアー533が上昇し、かつ、ノックアウト片543が降下する場合をも含めて、ノックアウト片543がリング12を押すことをいう。
【0013】
また、筒体542の内面に、強制取り外し手段として、強制ノックアウト片72を配設してある。
この強制ノックアウト片72は、コアー533の直径(φd)より大きく、かつ、口部11の外径より小さい内径(φD)を有しており、通常、φDは、φdより0.数mm〜数mm大きく設定される。なお、口部11の外径は、ねじ山13を含まない、プリフォーム10本体の外径としてある。
【0014】
また、強制ノックアウト片72は、リング12から口部11の最上部までの距離が‘h’であるとき、ノックアウト片543の上方‘H(=h+0.数mm〜数mm)’の位置に設けられている。
このようにすることにより、筒体542を降下させ、かつ、リング12が破損した場合、強制ノックアウト片72は、ノックアウト片543がリング12と当接したタイミングより遅れて、プリフォーム10本体と当接しプリフォーム10を押下する。すなわち、リング12が破損した場合であっても、プリフォーム10本体を直接押下できる。
【0015】
コアー打込み装置1は、口部11をコアー533から取り外すとき、強制ノックアウト片72がコアー533の下端まで降下する構成としてあり、プリフォーム10を確実にコアー533から取り外すことができる。
【0016】
上記構成のコアー打込み装置1の動作について、図面を参照して説明する。
コアー打込み装置1は、図1(a)に示すように、支杆532が降下し、ホルダー210に収納されたプリフォーム10の口部11に、コアー533が打ち込まれる。
この状態で、コアー533に冷却水(図示せず)が注入され、口部11を冷却する。
続いて、口部11の冷却が終わると、支杆532が上昇する。この際、口部11は冷却により収縮しているので、支杆532が上昇すると、コアー533とともにプリフォーム10も上昇し、プリフォーム10は、ホルダー210から取り出される。
【0017】
次に、図2は、本発明にかかるコアー打込み装置の実施形態における取り外し状態を説明するための、図1(a)におけるE−E断面における概略図であり、(a)は正常時における断面図を、(b)はリング破損時における断面図を示している。
同図(a)において、ノックアウト部材541に降下用エアが注入されたり又はカムにより、筒体542が降下する。この際、ノックアウト片543は、リング12と当接し、リング12を押下する。ここで、リング12の物理的強度が正常である場合、リング12の降下にともない、口部11がコアー533から取り外され、プリフォーム10が落下する。この間、口部11上端と強制ノックアウト片72とは接触しない。
【0018】
これに対し、リング12の物理的強度が不足していると、同図(b)に示すように、ノックアウト片543により押下されたリング12が、破損しプリフォーム10の本体から脱落する場合がある。かかる場合には、ノックアウト片543が降下しても、脱落したリング12aを下に移動させるだけで、プリフォーム10本体をコアー533から取り外すことはできない。ここで、筒体542がさらに降下すると、強制ノックアウト片72が口部11の最上部と当接し、この最上部を下方に強制的に押下し、プリフォーム10をコアー533から確実に取り外すことができる。
なお、その他の構成及び動作は、従来のコアー打込み装置530とほぼ同様としてある。
【0019】
このように、本実施形態のコアー打込み装置1によれば、リング12が破損した場合であっても、強制ノックアウト片72が、プリフォーム10の口部11の最上部を押下する構成としてあるので、プリフォーム10を確実にコアー533から取り外すことができる。すなわち、リング12が破損したために、プリフォーム10がコアー533から取り外されないといった不具合を防止することができる。
【0020】
さらに、筒体542にノックアウト片543と強制ノックアウト片72を設けてあり、筒体542を昇降させることにより、ノックアウト片543と強制ノックアウト片72を操作することができるので、昇降装置(ノックアウト部材541)を一つ設けるだけでよく、構造を単純化することができる。
【0021】
また、本実施形態では、強制ノックアウト片72を用いてプリフォーム10を強制的に取り外す構成としてあるが、本発明のコアー打込み装置は、この構成に限定されるものではなく、たとえば、強制取り外し手段として、シリンダと、このシリンダのロッド先端に設けられた挟持装置又は吸着装置とからなる強制取り外し装置を使用することもできる。
このような強制取り外し装置によれば、コアー533が打ち込まれたプリフォーム10にロッドが伸び、プリフォーム10を挟持又は吸着した後、ロッドが戻ることにより、プリフォーム10を強制的にコアー533から取り外すことができる。
【0022】
以上、本発明のコアー打込み装置について、好ましい実施形態を示して説明したが、本発明は、上述した実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の範囲で種々の変更実施が可能であることは言うまでもない。
また、加熱対象は、ペットボトルのプリフォーム10の口部11に限定されるものではなく、たとえば、ペットボトル以外の容器等の口頸部でもよい。
【0023】
【発明の効果】
以上詳細に説明したように、本発明における飽和ポリエステル中空体の結晶化装置におけるコアー打込み装置によれば、リングが破損しても、強制取り外し手段が、プリフォームを強制的にコアーから取り外すので、プリフォーム結晶化装置の稼働率が低下することはなく、その分生産性を向上させることができる。
また、本発明のコアー打込み装置によれば、ノックアウト片と強制ノックアウト片を同一の筒体に設けているので、強制ノックアウト片を昇降させるための専用の昇降手段を設けなくてもすみ、コアー打込み装置の構成を単純化でき、設備費のコストダウンを図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明にかかるコアー打込み装置の実施形態における要部の構成を説明するための概略図であり、(a)は断面図を、(b)はA−A断面における断面図を示している。
【図2】図2は、本発明にかかるコアー打込み装置の実施形態における取り外し状態を説明するための、図1(a)におけるE−E断面における概略図であり、(a)は正常時における断面図を、(b)はリング破損時における断面図を示している。
【図3】図3は、従来例におけるコアー打込み装置の、コアー引抜き状態を説明するための概略拡大側面図を示している。
【図4】図4は、従来例におけるコアー打込み装置において、リングが破損した状態を説明するための概略拡大側面図を示している。
【符号の説明】
1 コアー打込み装置
10 プリフォーム
11 口部
12 リング
12a 破断したリング
13 ねじ山
72 強制ノックアウト片
210 ホルダー
530 コアー打込み装置
532 支杆
533 コアー
541 ノックアウト部材
542 筒体
543 ノックアウト片
Claims (3)
- ペットボトルのプリフォームの口部を結晶化させる飽和ポリエステル中空体の結晶化装置におけるコアー打込み装置であって、
前記口部のリングと当接し該リングを相対的に押下することにより、前記口部に打ち込まれたコアーから該口部を取り外すノックアウト片と、
このノックアウト片が前記リングを相対的に押下しても、前記コアーから前記口部が外れないとき、前記コアーから前記口部を強制的に取り外す強制取り外し手段と
を具備したことを特徴とする飽和ポリエステル中空体の結晶化装置におけるコアー打込み装置。 - 前記強制取り外し手段を、前記ノックアウト片が前記リングと当接するタイミングより遅れて、前記プリフォームの本体と当接し該本体を相対的に押下する強制ノックアウト片としたことを特徴とする請求項1記載の飽和ポリエステル中空体の結晶化装置におけるコアー打込み装置。
- 前記ノックアウト片と強制ノックアウト片を同一の筒体に設けたことを特徴とする請求項2記載の飽和ポリエステル中空体の結晶化装置におけるコアー打込み装置。
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