JP2004306281A - 導電性シート、導電性部材およびそれらを用いてなる包装材 - Google Patents

導電性シート、導電性部材およびそれらを用いてなる包装材 Download PDF

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Abstract

【課題】導電性シート、導電性部材およびそれらを用いてなる包装材を提供する。
【解決手段】数平均分子量が16000以上であって、分子量1000以下の割合が2.0wt%以下のポリエステルからなり引張衝撃強度が30KJ/m以上のポリエステル基材シート上に導電層を設けることによって、これまでにない真空成型後の導電塗膜との密着性(延伸後)、成形性や導電性の低下がなく内容物である電子部品の保護のために十分な導電性性能と十分な機械的強度を有することができる。

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、基材シートに材質劣化を起こさせることなく均一に導電性を付与してなる導電性シートおよび導電性部材と、それらを用いてなる静電気障害の防止された包装材に関する。
【0002】
【従来の技術】
静電気は、絶縁性材料に発生する帯電現象であり、日常生活や産業界における種々の分野で障害を引き起こす。その障害を防ぐために、静電気管理用材料が開発されているが、産業界の進歩に合わせて高品質でしかも低コストの材料開発が望まれている。とりわけ、近年は、情報技術(IT)革命が進んでおりIC、LSI等使用の「ESDに敏感な電気/電子装置類(Electro− Static DischargeSensitive Items: ESDS アイテム)」を完全に保護する包装材への要望が高い。
【0003】
ESDSアイテムのための包装材料は、その内容物を静電気帯電から保護する機能を有し、かつ他の化学的および物理的特性や、シールド特性等が損なわれることがあってはならない、ことが要求される。静電気管理用包装材料は、一般に(1)導電性タイプ、(2)静電気拡散性タイプ、(3)ラミネートタイプ、(4)(透明)静電気シールドタイプ、(5)導電性ポリマータイプに分類されており、それぞれの特徴を有する(包装技術平成2年4月号)。このなかでも、導電性タイプは基材にカーボンブラックや金属フィラーなどの導電性物質を与えて、その導電性により静電気防止効果を保持させたものであり、比較的広く使用されている。この中で、導電性の付与を目的としたカーボンブラックとして、粒子中に中空シェル構造を有するケッチェンブラック(ケッチェン・ブラック・インターナシュナル製)が開発されており、このものは吸油量と表面積が増加しており、他のカーボンブラックよりも少量添加量でも高い導電性を付与できることが紹介されている(非特許文献1)。
【0004】
一方、従来、基材に導電性物質を与える方法は、練り込み方式または塗工方式で行なわれている。
【0005】
練り込み方式は、導電性物質を樹脂素材に添加したのち、シートに加工する方法である。この方式によると、樹脂にとっては狭雑物である導電性物質を内部に含むことになり、強度劣化や成型性の点で問題を生ずることが多い。例えば、通常のカーボンブラックを添加して導電性を付与しようとするときには、10〜50%もの添加量が必要であり、このために基材強度を著しく弱める。ケッチェンブラックの場合、比較的に少量添加でよいとされているが、樹脂素材を弱める方向に作用することは否定できないと考えられる。また、シート加工時において練り込み剤と共に樹脂混練押出することによる機器損傷の恐れが高いこと、汚染された機内を清掃パージする必要がありこれによる樹脂ロスが発生すること、多量ロットにしか適用し難く少量多種生産に適さないこと、などの問題点もある。
【0006】
一方、塗工方式は、基材シートの表面に導電性塗工剤を塗布し被膜を形成する方法である。この方式によると、ピンホールや塗工ムラの発生を完全に避けることが難しく品質性能が低いうえに不安定になりがちであり、また基材タック性の強い溶剤型塗工剤を使用することから基材を劣化させることも多い。従来の導電性シートの作製法には上記のような問題点があり、今日の産業界で要望されているような静電気管理用包装材、例えばESDS アイテムを適切に保護するための包装材を品質よく低コストで提供できる状況には至っていない。
【0007】
そこで本発明の目的は、基材シートに材質劣化を起こさせることなく均一に導電性を付与してなる導電性シートおよび導電性部材と、それらを用いてなる静電気障害の防止された包装材を提供することにある。また、特開平2002−103531号公報では、導電コート層との真空成形後(延伸後)の密着性や導電性が低下する問題がある(特許文献1)。
【0008】
練り込み方式は、導電性物質を樹脂素材に添加したのち、シートに加工する方法である。この方式によると、樹脂にとっては狭雑物である導電性物質を内部に含むことになり、強度劣化や成型性の点で問題を生ずることが多い。例えば、通常のカーボンブラックを添加して導電性を付与しようとするときには、10〜50%もの添加量が必要であり、このために基材強度を著しく弱める。ケッチェンブラックの場合、比較的に少量添加でよいとされているが、樹脂素材を弱める方向に作用することは否定できないと考えられる。また、シート加工時において練り込み剤と共に樹脂混練押出することによる機器損傷の恐れが高いこと、汚染された機内を清掃パージする必要がありこれによる樹脂ロスが発生すること、多量ロットにしか適用し難く少量多種生産に適さないこと、などの問題点もある。
【0009】
一方、塗工方式は、基材シートの表面に導電性塗工剤を塗布し被膜を形成する方法である。この方式によると、ピンホールや塗工ムラの発生を完全に避けることが難しく品質性能が低いうえに不安定になりがちであり、また基材タック性の強い溶剤型塗工剤を使用することから基材を劣化させることも多い。従来の導電性シートの作製法には上記のような問題点があり、今日の産業界で要望されているような静電気管理用包装材、例えばESDS アイテムを適切に保護するための包装材を品質よく低コストで提供できる状況には至っていない。
また、特開平2002−103531では、導電コート層との真空成形後(延伸後)の密着性や導電性が低下する問題がある。
【0010】
【非特許文献】
包装技術、平成2年4月号、第24頁
【特許文献1】
特開平2002−103531号公報
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
そこで本発明の目的は、基材シートに材質劣化を起こさせることなく均一に導電性を付与してなる導電性シートおよび導電性部材と、それらを用いてなる静電気障害の防止された包装材を提供することにあり、真空成形後(延伸後)の密着性や導電性が低下し難い導電性シート、導電性部材およびそれらを用いてなる包装材を提供する。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために、本発明者らは基材シートに密着性が良好でなおかつ真空成形加工後(延伸後)密着性、導電性が低下しにくい導電シートを模索していたところ、ポリエステル組成物からなる基材シートの少なくとも片面に導電性組成物からなるコート層を設けた導電性ポリエステルシートであって、前記ポリエステル基材シートの数平均分子量が16000以上であって、重量平均分子量1000以下の割合が2.0wt%以下であって、基材シートの引張衝撃強度が30KJ/m以上ある基材シートを用いることによって、導電コート層との真空成形後(延伸後)の密着性や導電性の低下しないことを見いだし本発明に到達した。
【0013】
上記目的を達成するために、本発明は、ポリエステル組成物からなる基材シートの少なくとも片面に導電性組成物からなるコート層を設けた導電性ポリエステルシートであって、前記ポリエステル基材シートは数平均分子量が16000以上であって、重量平均分子量1000以下の割合が2.0wt%以下、導電性組成物コート層側の表面抵抗値が1×10Ω未満であることを特徴とする導電性ポリエステルシートである。
【0014】
この場合において、前記ポリエステルが芳香族ジカルボン酸成分とからなることを特徴とする請求項1記載の導電性ポリエステルシートであることができる。
【0015】
この場合において、前記ポリエステルが、主としてテレフタル酸とグリコールとから誘導される構成単位を繰り返し単位とすることを特徴とする上記の導電性ポリエステルシートであることができる。
【0016】
この場合において、前記基材シートの少なくとも片面に導電性コート層を少なくとも一層以上形成してなることを特徴とする上記記載の導電性ポリエステルシートであることができる。
【0017】
この場合において、前記基材シートの少なくとも片面にアンカーコート層を形成させ、その上に導電性コート層を少なくとも一層以上形成してなることを特徴とする上記記載の導電性ポリエステルシートであることができる。
【0018】
この場合において、前記導電性コート層上に、トップコート層を形成してなることを特徴とする上記記載の導電性ポリエステルシートであることができる。
【0019】
【発明に実施の形態】
以下、本発明の導電性ポリエステルシートおよびそれからなる電子部品用包装容器の実施の形態を具体的に説明する。
【0020】
上記ポリエステル基材シートは数平均分子量が16000以上であって、分子量1000以下の割合が2.0wt%以下のポリエステルからなり、このポリエステルは主として芳香族ジカルボン酸成分とグリコール成分とからなることを特徴とし、例えばポリエチレンテレフタレート、PEN,PTTなどが例示される。
【0021】
上記ポリエステルの数平均分子量が16000より小さい場合は、本発明に係るポリエステル樹脂組成物を溶融シート成形して得られた基材シートの耐衝撃性、引張衝撃強度特性が充分満足されないことがある。また、数平均分子量が30000より大きくなるに従ってシート成形性が低下する傾向にある。
【0022】
上記ポリエステルの重量平均分子量1000以下の割合が2.0wt%以下で好ましくは1.8wt%以下さらに好ましくは1.5wt%で2.0wt%を超えると、本発明に係るポリエステル樹脂組成物を溶融シート成形して得られたシートの透明性や導電性塗膜との密着性が充分満足されない傾向にある。
【0023】
前記ポリエステル中に共重合するトリエチレングリコール以外のグリコ−ル成分としては、具体的にはエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール,1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1、5−ペンタンジオール,2−メチル−1、5−ペンタンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、ジエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ジテトラエチレングリコール、トリテトラエチレングリコール、ポリテトラエチレングリコールなどが挙げられる。脂環族グリコールとしては1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,2−シクロヘキサンジメタノール、3,8−ビスビドロキシメチルトリシクロジシカン、水素添加ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールF、TCDグリコールなどが挙げられ、これらを単独又は2種類以上併用して使用できる。好ましくはエチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノールが基材シートの引張衝撃強度が向上する傾向ある。
【0024】
前記ポリエステル中に共重合して使用されるジカルボン酸としては、テレフタル酸、イソフタル酸、オルソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、ジフェニル−4,4’−ジカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸及びその機能的誘導体、p−オキシ安息香酸、オキシカプロン酸等のオキシ酸及びその機能的誘導体、アジピン酸、セバシン酸、コハク酸、グルタル酸、ダイマー酸などの脂肪族ジカルボン酸及びその機能的誘導体、ヘキサヒドロテレフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環族ジカルボン酸及びその機能的誘導体などが挙げられ、好ましくはテレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸がコーティング時の塗布適性が良好な傾向にある。
【0025】
本発明の内容を損なわない範囲で、ポリエステル樹脂にカルボン酸を付与しても良い、カルボキシル基を導入する方法としては、上記ポリエステル樹脂を重合した後に無水トリメリット酸、無水フタル酸、無水ピロメリット酸、無水コハク酸、無水1,8−ナフタル酸、無水1,2−シクロヘキサンジカルボン酸などを後付加して酸価を付与、変性ポリエステルとしては、ジメチロールプロピオン酸、ジメチロールブタン酸等で鎖延長する方法が挙げられる。
【0026】
さらに、本発明で用いるポリエステル中に共重合して使用されるその他の共重合成分として、多官能化合物として、酸成分として、トリメリット酸、ピロメリット酸等を挙げることができ、グリコール成分として、グリセリン、ペンタエリスリトールを挙げることができる。
【0027】
前記のポリエステルは、従来公知の製造方法によって製造することが出来る。即ち、PETの場合には、テレフタール酸とエチレングリコール及び必要により他の共重合成分を直接反応させて水を留去しエステル化した後、重縮合触媒としてGe、Sb、Ti、またはAlの化合物のうち少なくとも一つの化合物および安定剤としてリン酸系化合物、亜リン酸系化合物、ホスホン酸系化合物、ホスフィン酸系化合物、ホスフィンオキサイド系化合物、亜ホスホン酸系化合物、亜ホスフィン酸系化合物、ホスフィン系化合物のうち少なくとも一つの化合物を用いて、減圧下に重縮合を行う直接エステル化法、または、エステル交換触媒としてマグネシウム化合物、カルシウム化合物、コバルト化合物、マンガン化合物、亜鉛化合物などの化合物のうち少なくとも一つの化合物を用いてテレフタル酸ジメチルとエチレングリコール及び必要により他の共重合成分を反応させてメチルアルコールを留去しエステル交換させた後、前記の重縮合触媒や安定剤を用いて減圧下に重縮合を行うエステル交換法により製造される。
【0028】
また必要に応じて、極限粘度を増大させために固相重合を行うことができる。固相重合前の結晶化促進のため、溶融重縮合ポリエステルを吸湿させたあと加熱結晶化させたり、また水蒸気を直接ポリエステルチップに吹きつけて加熱結晶化させたりしてもよい。さらに必要に応じて水による接触処理を行なってもよい。
【0029】
前記、ポリエステル樹脂の溶融重縮合反応は、回分式反応装置で行っても良いしまた連続式反応装置で行っても良い。これらいずれの方式においても、溶融重縮合反応は1段階で行っても良いし、また多段階に分けて行っても良い。固相重合反応は、溶融重縮合反応と同様、回分式装置や連続式装置で行うことが出来る。溶融重縮合と固相重合は連続で行っても良いし、分割して行ってもよい。
【0030】
直接エステル化法による場合は、重縮合触媒としてGe、Sb、Tiの化合物が用いられるが、特にGe化合物またはこれとTi化合物の混合使用が好都合である。
【0031】
Ge化合物としては、無定形二酸化ゲルマニウム、結晶性二酸化ゲルマニウム粉末またはエチレングリコールのスラリー、結晶性二酸化ゲルマニウムを水に加熱溶解した溶液またはこれにエチレングリコールを添加加熱処理した溶液等が使用されるが、特に本発明で用いるポリエステルを得るには二酸化ゲルマニウムを水に加熱溶解した溶液、またはこれにエチレングリコールを添加加熱した溶液を使用するのが好ましい。これらの重縮合触媒はエステル化工程中に添加することができる。Ge化合物を使用する場合、その使用量はポリエステル樹脂中のGe残存量として好ましくは10〜150ppm、より好ましくは13〜100ppm、更に好ましくは15〜70ppmである。
【0032】
Ti化合物としては、テトラエチルチタネ−ト、テトライソプロピルチタネ−ト、テトラ−n−プロピルチタネ−ト、テトラ−n−ブチルチタネ−ト等のテトラアルキルチタネ−トおよびそれらの部分加水分解物、蓚酸チタニル、蓚酸チタニルアンモニウム、蓚酸チタニルナトリウム、蓚酸チタニルカリウム、蓚酸チタニルカルシウム、蓚酸チタニルストロンチウム等の蓚酸チタニル化合物、トリメリット酸チタン、硫酸チタン、塩化チタン等が挙げられる。Ti化合物は、生成ポリマ−中のTi残存量として好ましくは0.1〜10ppmの範囲になるように添加する。
【0033】
Al化合物としては、具体的には、ギ酸アルミニウム、酢酸アルミニウム、塩基性酢酸アルミニウム、プロピオン酸アルミニウム、蓚酸アルミニウム、アクリル酸アルミニウム、ラウリン酸アルミニウム、ステアリン酸アルミニウム、安息香酸アルミニウム、トリクロロ酢酸アルミニウム、乳酸アルミニウム、クエン酸アルミニウム、サリチル酸アルミニウムなどのカルボン酸塩、塩化アルミニウム、水酸化アルミニウム、水酸化塩化アルミニウム、ポリ塩化アルミニウム、硝酸アルミニウム、硫酸アルミニウム、炭酸アルミニウム、リン酸アルミニウム、ホスホン酸アルミニウムなどの無機酸塩、アルミニウムメトキサイド、アルミニウムエトキサイド、アルミニウムn−プロポキサイド、アルミニウムiso−プロポキサイド、アルミニウムn−ブトキサイド、アルミニウムt−ブトキサイドなどアルミニウムアルコキサイド、アルミニウムアセチルアセトネート、アルミニウムアセチルアセテート、アルミニウムエチルアセトアセテート、アルミニウムエチルアセトアセテートジiso−プロポキサイドなどのアルミニウムキレート化合物、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウムなどの有機アルミニウム化合物およびこれらの部分加水分解物、酸化アルミニウムなどが挙げられる。これらのうちカルボン酸塩、無機酸塩およびキレート化合物が好ましく、これらの中でもさらに塩基性酢酸アルミニウム、塩化アルミニウム、水酸化アルミニウム、水酸化塩化アルミニウムおよびアルミニウムアセチルアセトネートがとくに好ましい。Al化合物は、生成ポリマー中のAl残存量として5〜200ppmの範囲になるように添加する。
【0034】
Sb化合物としては、三酸化アンチモン、酢酸アンチモン、酒石酸アンチモン、酒石酸アンチモンカリ、オキシ塩化アンチモン、アンチモングリコレ−ト、五酸化アンチモン、トリフェニルアンチモン等が挙げられる。Sb化合物は、生成ポリマー中のSb残存量として好ましくは50〜250ppmの範囲になるように添加する。
【0035】
また、安定剤として、燐酸、ポリ燐酸やトリメチルフォスフェート等の燐酸エステル類等を使用するのが好ましい。これらの安定剤はテレフタル酸とエチレングリコールのスラリー調合槽からエステル化反応工程中に添加することができる。P化合物は、生成ポリマ−中のP残存量として好ましくは5〜100ppmの範囲になるように添加する。
【0036】
また、ポリエステル中のジエチレングリコール(以下、「TEG含有量」ということがある)やTEG含量を制御するためにエステル化工程に塩基性化合物、たとえば、トリエチルアミン、トリ−n−ブチルアミン等の第3級アミン、水酸化テトラエチルアンモニウム等の第4級アンモニウム塩等を加えることが出来る。
【0037】
本発明に係るポリエステル組成物は、前記のポリエステルから選ばれる少なくとも一種のポリエステルでも良好な性能を有するが、非晶性ポリエステルとの混合物であることが好ましい。非晶性ポリエステルの添加量は本発明の目的とする導電性ポリエステルシートの特性を損なわない範囲であることが必要である。
【0038】
非結晶性ポリエステル樹脂とは、そのポリエステル樹脂のガラス転移温度(以下、Tgと記す)以上からTg+150℃以下の加熱温度で結晶化しない樹脂をいう。非結晶性ポリエステル樹脂としては、PETとの溶融混合時に非相溶であると成形品が白濁するので、PETとの相溶性が必要であるためPET系の共重合樹脂が好ましく、その中でも機械的強度の良いシクロへキサンジメタノール共重合PETやネオペンチルグリコール共重合PETが好ましい。非結晶性樹脂としてのPET系の共重合樹脂としては、例えばグリコール成分に10モル%以上、好ましくは20モル%以上で、最も好ましくは25モル%以上でシクロヘキサンジメタノール、ネオペンチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、ペンタメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、1,4−ビスヒドロキシベンゼンやポリアルキレングリコール、例えばポリエチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリプロピレングリコール等の一種または二種以上等を共重合せしめた樹脂があげられる。また、酸成分に10モル%以上、好ましくは20モル%、最も好ましくは30モル%以上で、エチレン−2,6−ナフタレート、イソフタル酸、オルソフタル酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸、ヒドロキシ安息香酸、ジフェニルジカルボン酸、ジフェニルエーテルジカルボン酸、ジフェニルスルホンジカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸、3,5−ジカルボキシベンゼンスルホン酸、アジピン酸、アゼライン酸、シュウ酸、コハク酸、グルタル酸、セバシン酸等及びそれらのエステル形成誘導体の一種または二種以上等を共重合せしめた樹脂があげられる。さらに、グリコール成分と酸成分の両方を20モル%、好ましくは30モル%以上を共重合せしめた樹脂があげられる。
【0039】
また本発明に係るポリエステル基材シートは、前記ポリエステル組成物からなる単層シートであっても二種以上のポリエステルを積層した多層シートであってもよい。
【0040】
基材シートの製造方法については特に限定しないが、単軸押出機や二軸押出機によるTダイ押出法により前記ポリエステル組成物を溶融し、ダイスから押出して所定の幅、厚さの未延伸シートとして得ることが出来る。
【0041】
本発明に係るポリエステル組成物よりなる基材シートの少なくとも片面には、カーボンブラックを含む導電性組成物からなるコート剤がコーティングされる。前記ポリエステル基材シートと導電性組成物層との間に充分な密着強度が得られない場合は、基材シート塗布面にコロナ処理を行ったり、別のアンカーコート剤でプライマー処理等を行っても差し支えない。また、導電性ポリエステルシートの保護、電子部品用包装容器を製造する際などでの導電性シートの滑り性の向上、あるいはブロッキング防止などのために前記導電性組成物からなる層の上にトップコート層を設けることが好ましい。
【0042】
本発明において用いられる導電性コート剤は、樹脂、カーボンブラックを主成分とする導電性物質、分散剤、有機溶剤などを主成分として含有する。
【0043】
樹脂としては、アクリル系樹脂、メタクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリエステルウレタン系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、エポキシ系樹脂等が用いられ、公知の硬化剤あるいは促進剤を併用することもできる。
【0044】
導電性カーボンブラックとしては、ケッチェンブラック、アセチレンブラック、ファーネスブラック、チャンネルブラック、グラファイト、カーボンナノチューブ、フラーレンなどが挙げられる。特に好ましいカーボンブラックとしては、ライオン社製ケッチェンブラックEC、キャボット社製バルカンXC−72、電気化学工業社デンカブラックなどが挙げられ、その他、ナフサなどの炭化水素を水素及び酸素の存在下で部分酸化して、水素及び一酸化炭素を含む合成ガスを製造する際に副生するカーボンブラック、あるいはこれを酸化または還元処理したカーボンブラックなどが好ましい。
【0045】
またアルカリ金属化合物を添加することで、さらに電気特性を向上させることができる。特に好ましいアルカリ金属化合物としては、リチウム化合物であり、例えばLiCl、LiBr、Lil、LiSCN、LiBF 、LiAsF 、LiClO 、LiCFSO 、LiC12SO 、LiHgl 、LiAlH 、LiBH 、Li COなどの無機化合物のほか、カルボキシル基、フェノール基、スルホン酸基、リン酸基、亜リン酸基などの酸基を有する有機化合物のリチウム塩を用いることができ、これらの例としてラウリル酸リチウム、ステアリン酸リチウム、ロジン酸リチウムなどが挙げられる。これらのリチウム化合物のうち、好ましくはLiClである。リチウム化合物の配合量は、リチウム原子換算で10〜50,000ppm、好ましくは50〜10,000ppm、さらに好ましくは100〜1,000ppmである。
【0046】
導電性カーボンブラックの平均粒子径が0.1mm未満のものが好ましく使用される。カーボンブラックのBET比表面積 (m/g)は、100〜5000が好ましい。
【0047】
副次的に用いられる導電性物質としては、白艶華、酸化錫で被覆した酸化チタン粒子、ニッケル、銅、ステンレス、アルミ、酸化スズ、亜鉛、銀、金属コートガラス粉または金属コートガラスビーズ、酸化亜鉛ウィスカー、金属コート酸化亜鉛ウィスカーなどの導電性化合物などが用いられる。
【0048】
本発明に用いられるカーボンブラック用の分散剤としては、カルボン酸アマイド系が用いられるが、その中でも下記一般式(1)で示されるテトラアミド化合物を含有するカルボン酸アマイド系が好ましく、テトラアミド化合物を少なくとも10重量%以上含有するカルボン酸アマイド系がより好ましい。
R4−CONH−R2−HNOC−R1−CONH−R3−HNOC−R5 (1)
(上記一般式(1)において、R1 は二価の有機基、R2 およびR3 はそれぞれ同じかまたは異なる二価の有機基、R4 およびR5 はそれぞれ同じかまたは異なる一価の有機基で表されるテトラアミド化合物である。)
上記一般式(1)で表されるテトラアミド化合物としては、例えばエチレンジアミン−ステアリン酸−セバシン酸重縮合物、エチレンジアミン−ステアリン酸−アジピン酸重縮合物及びメタキシレンジアミン−ステアリン酸−セバシン酸重縮合物等が挙げられる。本発明に用いられるカルボン酸アマイド中には、下記一般式(2)で示される化合物を含んでいてもよい。
R7−CONH−R6−HNOC−R8 (2)
上記一般式(2)において、R6 は二価の有機基、R7 およびR8 はそれぞれ同じかまたは異なる一価の有機基で表されるジアミド化合物である。
【0049】
上記一般式(2)で表されるジアミド化合物としては、例えばエチレン−ビス−ステアリン酸アミド、エチレン−ビス−パルミチン酸アミド及びエチレン−ビス−オレイン酸アミド等が挙げられる。
【0050】
また有機溶剤としては、シクロヘキサン、トルエン、キシレン、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸イソブチル、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトン、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ジメチルホルムアミドなどが挙げられる。
【0051】
各主成分の含有量は樹脂分が1〜50重量%、カーボンブラックが1〜15重量%、及び溶剤が35〜90重量%の範囲である。
【0052】
導電性コート剤にはこれらの主成分以外に添加物として可塑剤等を適宜使用してもよい。
【0053】
導電性コート剤は、後記する方法によって基材シート、または基材シート上のアンカーコート層の上にコートされるが、表面抵抗値が1×10Ω以下のような高導電性を要求される場合には、導電性コート層の上にさらに少なくとも一層の導電性組成物をコートすることが好ましい。この場合、一層目と二層目の導電性コート剤の組成は、同じであってもまた異なっていてもよい。
【0054】
導電性組成物からなるコート層の厚みは、0.5〜30μmである。
また、本名発明において用いられるアンカーコート剤は、前述のように、基材シートへの導電性コート剤の密着性向上と導電性コート剤中の有機溶剤から保護するために、基材シートの表面に最初に施しておくことが好ましい。
アンカーコート剤としては、樹脂、硬化剤、カーボンブラックを主成分とする導電性物質、分散剤、有機溶剤などを主成分として含有する。
【0055】
樹脂としては、基材シートとの接着力が大きく、キャリヤテープの熱成形時に基材シートと共に延伸されるため、延伸性のある樹脂から選択するのが好ましいく、例えば、アクリル系樹脂、メタクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリエステルウレタン系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂等が用いられる。この中でも、ポリエーテル系樹脂、ポリエーテルウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリエステルウレタン系樹脂、ポリエーテルエステルウレタン系樹脂と硬化剤からなるコート剤が用いられる。必要によりそれぞれ単独、または併用して使用することができる。
【0056】
導電性カーボンブラックとしては、前記と同じものを用いることができる。
また分散剤としては、前記と同じものを用いることができる。
【0057】
また有機溶剤としては、シクロヘキサン、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸イソブチル、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ジメチルホルムアミドなどが挙げられる。
【0058】
各主成分の含有量は樹脂分が1〜50重量%、カーボンブラックが1〜15重量%、及び溶剤が35〜90重量%の範囲である。
【0059】
本発明の導電性ポリエステルシートにおいては、アンカーコート剤としては樹脂、硬化剤を主剤とし、カーボンブラックを含有するコート剤が最適である。
【0060】
本発明で用いられる硬化剤としては、アルキルエーテル化アミノホルムアルデヒド樹脂、エポキシ化合物およびイソシアネート化合物などが挙げられる。
アルキルエーテル化アミノホルムアルデヒド樹脂とは、たとえばメタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノールなどの炭素原子数1〜4のアルコールによってアルキルエーテル化されたホルムアルデヒドあるいはパラホルムアルデヒドなどと尿素、N,N−エチレン尿素、ジシアンジアミド、アミノトリアジン等との縮合生成物であり、メトキシ化メチロール−N,N−エチレン尿素、メトキシ化メチロールジシアンジアミド、メトキシ化メチロールベンゾグアナミン、ブトキシ化メチロールベンゾグアナミン、メトキシ化メチロールメラミン、ブトキシ化メチロールメラミン、メトキシ化/ブトキシ化混合型メチロールメラミン、ブトキシ化メチロールベンゾグアナミンなどが挙げられるが、加工性の面から好ましいのは、メトキシ化メチロールメラミン、ブトキシ化メチロールメラミン、またはメトキシ化/ブトキシ化混合型メチロールメラミンであり、それぞれ単独、または併用して使用することができる。
エポキシ化合物としてはビスフェノールAのジグリシジルエーテルおよびそのオリゴマー、水素化ビスフェノールAのジグリシジルエーテルおよびそのオリゴマー、オルソフタル酸ジグリシジルエステル、イソフタル酸ジグリシジルエステル、テレフタル酸ジグリシジルエステル、p−オキシ安息香酸ジグリシジルエステル、テトラハイドロフタル酸ジグリシジルエステル、ヘキサハイドロフタル酸ジグリシジルエステル、コハク酸ジグリシジルエステル、アジピン酸ジグリシジルエステル、セバシン酸ジグリシジルエステル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、1、4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、1、6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテルおよびポリアルキレングリコールジグリシジルエーテル類、トリメリット酸トリグリシジルエステル、トリグリシジルイソシアヌレート、1、4−ジグリシジルオキシベンゼン、ジグリシジルプロピレン尿素、グリセロールトリグリシジルエーテル、トリメチロールエタントリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールテトラグリシジルエーテル、グリセロールアルキレンオキサイド付加物のトリグリシジルエーテルなどを挙げることができる。
【0061】
さらにイソシアネート化合物としては芳香族、脂肪族、脂環族のジイソシアネート、3価以上のポリイソシアネートがあり、低分子化合物、高分子化合物のいずれでもよい。たとえば、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トルエンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、水素化ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、水素化キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートあるいはこれらのイソシアネート化合物の3量体、およびこれらのイソシアネート化合物の過剰量と、たとえばエチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチロールプロパン、グリセリン、ソルビトール、エチレンジアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンなどの低分子活性水素化合物または各種ポリエステルポリオール類、ポリエーテルポリオール類、ポリアミド類の高分子活性水素化合物などとを反応させて得られる末端イソシアネート基含有化合物が挙げられる。
【0062】
イソシアネート化合物としてはブロック化イソシアネートであってもよい。イソシアネートブロック化剤としては、例えばフェノール、チオフェノール、メチルチオフェノール、エチルチオフェノール、クレゾール、キシレノール、レゾルシノール、ニトロフェノール、クロロフェノールなどのフェノール類、アセトキシム、メチルエチルケトオキシム、シクロヘキサノンオキシムなそのオキシム類、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールなどのアルコール類、エチレンクロルヒドリン、1、3−ジクロロ−2−プロパノールなどのハロゲン置換アルコール類、t−ブタノール、t−ペンタノール、などの第3級アルコール類、ε−カプロラクタム、δ−バレロラクタム、γ−ブチロラクタム、β−プロピロラクタムなどのラクタム類が挙げられ、その他にも芳香族アミン類、イミド類、アセチルアセトン、アセト酢酸エステル、マロン酸エチルエステルなどの活性メチレン化合物、メルカプタン類、イミン類、尿素類、ジアリール化合物類重亜硫酸ソーダなども挙げられる。ブロック化イソシアネートは上記イソシアネート化合物とイソシアネートブロック化剤とを従来公知の適宜の方法より付加反応させて得られる。
【0063】
これらの硬化剤には、その種類に応じて選択された公知の硬化剤あるいは促進剤を併用することもできる。
【0064】
また有機溶剤としては、シクロヘキサン、トルエン、キシレン、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸イソブチル、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトン、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ジメチルホルムアミドなどが挙げられる。
【0065】
さらにブロッキング防止のために、無機粒子、不活性粒子あるいはワックスなどを添加することが可能である。
【0066】
無機粒子としては、酸化ケイ素、タルク、マイカ、珪酸カルシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、リン酸カルシウム、リン酸マグネシウム等、また不活性粒子粒子としては、ジビニルベンゼン、スチレン、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸またはメタクリル酸のビニル系モノマーの単独または共重合体等の架橋高分子粒子等などが挙げられる。
【0067】
ワックスとしては、天然ワックスや炭化水素系ワックスが用いられる。天然ワックスとしては、ラノリン等の動物性ワックス、ひまし油水添ワックス等の植物性ワッスクス、モンタンロウ等の鉱物性ワックスが挙げられる。
【0068】
また炭化水素系ワックスとしては、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックスなどが挙げられる。
各主成分の含有量は樹脂分が1〜50重量%、カーボンブラックが1〜15重量%、硬化剤が1〜50重量%、ブロッキング防止剤及び溶剤が35〜90重量%の範囲である。
なお、アンカーコート剤で先にプライマー処理を行なう場合は、硬化剤は用いなくてもよい。
【0069】
導電性コート剤は、後記する方法によって多層基材シート、または多層基材シート上のアンカーコート層の上にコートされるが、表面抵抗値が1×10Ω以下のような高導電性を要求される場合には、導電性コート層の上にさらに少なくとも一層の導電性組成物をコートすることが好ましい。この場合、一層目と二層目の導電性コート剤の組成は、同じであってもまた異なっていてもよい。
導電性組成物からなるコート層の厚みは、0.5〜30μmである。
【0070】
また、本名発明において用いられるアンカーコート剤は、前述のように、多層基材シートへの導電性コート剤の密着性向上と導電性コート剤中の有機溶剤から保護するために、多層基材シートの表面に最初に施しておくことが好ましい。
アンカーコート剤としては、樹脂、硬化剤、カーボンブラックを主成分とする導電性物質、分散剤、有機溶剤などを主成分として含有する。
【0071】
樹脂としては、多層基材シートとの接着力が大きく、キャリヤテープの熱成形時に多層基材シートと共に延伸されるため、延伸性のある樹脂から選択するのが好ましいく、例えば、アクリル系樹脂、メタクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリエステルウレタン系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂等が用いられる。この中でも、ポリエーテル系樹脂、ポリエーテルウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリエステルウレタン系樹脂と硬化剤からなるコート剤が用いられる。必要によりそれぞれ単独、または併用して使用することができる。
【0072】
導電性カーボンブラックとしては、前記と同じものを用いることができる。
また分散剤としては、前記と同じものを用いることができる。
【0073】
また有機溶剤としては、シクロヘキサン、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸イソブチル、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ジメチルホルムアミドなどが挙げられる。
【0074】
硬化剤としては、導電性コート剤に用いられる前記の化合物が挙げられる。
各主成分の含有量は、樹脂分が1〜50重量%、硬化剤が1〜50重量%、カーボンブラックが1〜15重量%、及び溶剤が35〜90重量%の範囲である。
【0075】
本発明の導電性ポリエステルシートにおいては、アンカーコート剤としては、樹脂、硬化剤を主剤とし、カーボンブラックを含有するコート剤が最適である。アンカーコート層の厚みは、通常、0.01〜10μmとする。
【0076】
また本発明においては、導電性組成物コート層の上にさらにトップコート層を形成しておくことが好ましい。
【0077】
またトップコート層は、樹脂、無機粒子や不活性粒子、ワックスおよび有機溶剤からなるトップコート剤をなど導電性コート層の上に塗布する。
【0078】
樹脂としては、アクリル系樹脂、メタクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリエステルウレタン系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、エポキシ系樹脂等が用いられ、必要により公知の硬化剤あるいは促進剤を併用することもできる。
【0079】
無機粒子としては、酸化ケイ素、タルク、マイカ、珪酸カルシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、リン酸カルシウム、リン酸マグネシウム等、また不活性粒子としては、ジビニルベンゼン、スチレン、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸またはメタクリル酸のビニル系モノマーの単独または共重合体等の架橋高分子粒子等などが挙げられる。
【0080】
ワックスとしては、天然ワックスや炭化水素系ワックスが用いられる。天然ワックスとしては、ラノリン等の動物性ワックス、ひまし油水添ワックス等の植物性ワッスクス、モンタンロウ等の鉱物性ワックスが挙げられる。
また炭化水素系ワックスとしては、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックスなどが挙げられる。
【0081】
有機溶剤としては、シクロヘキサン、トルエン、キシレン、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸イソブチル、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトン、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ジメチルホルムアミドなどが挙げられる。
【0082】
各主成分の含有量は、樹脂分が1〜50重量%、粒子分やワックス分が0.1〜10重量%及び溶剤が35〜90重量%の範囲である。
本発明の導電性ポリエステルシートにおいては、トップコート剤としてはアクリル系樹脂を主剤とするコート剤が最も好ましく、必要により公知の硬化剤あるいは促進剤を併用することもできる。
【0083】
アクリル系樹脂の具体例としては、たとえば、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸tert−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸tert−ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ジグリシジルなどの(メタ)アクリル酸エステル類、アクリル酸、メタクリル酸などから選ばれた少なくとも一種からなるアクリル系樹脂、あるいは、これらの単量体と、スチレン、ビニルトルエン、1−メチルスチレン、酢酸ビニル、塩化ビニル、塩化ビリニデン、アクリロニトリル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、酢酸アリル、アジピン酸ジアリル、イタコン酸ジアリル、マレイン酸ジエチル、アクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−ブトキシメチルアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、エチレン、プロピレン、イソプレン、二重結合含有ポリエステル樹脂等から選ばれる少なくとも1種以上のエチレン性不飽和単量体との共重合体などが挙げられる。
【0084】
これらの樹脂は、アミノ基、エポキシ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基等の官能基を含有、変性しても良い。
【0085】
これらの(メタ)アクリル酸エステル単位を含有するアクリルは、水酸基は水酸基含有不飽和単量体を共重合して(メタ)アクリル酸エステル系樹脂に導入できる。水酸基含有不飽和単量体としては、例えば、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシプロピル、アリルアルコール、ホモアリルアルコール、ケイヒアルコール、クロトニルアルコール等の水酸基含有不飽和単量体、たとえば、エチレングリコール、エチレンオキサイド、プロピレングリコール、プロピレンオキサイド、ブチレングリコール、ブチレンオキサイド、1,4−ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン、フェニルグリシジルエーテル、グリシジルデカノエート、プラクセルFM−1(ダイセル化学工業株式会社製)等の2価アルコールまたはエポキシ化合物と、たとえば、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、イタコン酸等の不飽和カルボン酸との反応で得られる水酸基含有不飽和単量体等を挙げることができる。これらの水酸基含有不飽和単量体から選ばれる少なくとも1種以上を重合して水酸基含有有機樹脂を製造することができる。
【0086】
また、前記の各種コート剤には、前記の主成分以外に、導電性シートの成形性、ブロッキング性、導電性に影響を及ぼさない範囲で、1種以上の添加剤を適宜混合してもよい。使用する添加剤としては、特に制限はなく、たとえば、一般に使用される各種レベリング剤、染料、顔料、顔料分散剤、紫外線吸収剤、抗酸化剤、粘性改質剤、耐光安定剤、金属不活性化剤、過酸化物分解剤、充填剤、補強剤、可塑剤、潤滑剤、防食剤、防錆剤、乳化剤、鋳型脱色剤、蛍光性増白剤、有機防炎剤、無機防炎剤、滴下防止剤、溶融流改質剤、静電防止剤などを挙げることができる。
トップコート層の厚みは、0.01〜10μmである。
【0087】
これらのアンカーコート剤、導電性コート剤およびトップコート剤の多層基材シートへの塗布方法としては、従来公知の浸漬法、スプレ−法、グラビヤコーティング法、リバースロールコーティング法、ダイレクトロールコーティング法、カーテンフローコーティング法、エアナイフコーティング法、スクイズコーティング法、キスコーティング法、ブレードコーティング法、コンマコーティング法等で実施すればよいが、良好な導電性及び均一なコート層膜厚を得るためには、グラビヤコーティング法を用いることが望ましい。
【0088】
また導電性ポリエステルシートからなるキャリアテープは、比較的高価な電子部品を入れることが多いためにその部品の状態を監視するために画像処理をすることが多い。画像処理を行う場合にキャリアテープ表面に光沢があると光の反射により画像処理にエラーが出やすい。したがって、導電性コート層側の表面光沢度は40%以下、好ましくは30%以下である。表面光沢度を40%以下にする方法としては、マット加工する方法や粒子状物含有導電性コート剤を最表面層にコートする方法などが挙げられる。
【0089】
本発明の導電性ポリエステルシートは、LSI、コンデンサー等の電子部品を収納運搬及び実装工程を補助するために使用されるキャリヤテープやトレー等の電子部品用包装容器に用いられる。
【0090】
本発明の導電性ポリエステルシートを用いた電子部品包装用キャリアテープの作製方法としては特に限定しないが、従来よりキャリアテープの成形方法として用いられている真空成形法、圧空成形法、プレス成形法等により作製される。また、前記キャリアテープを用いて電子部品を包装した包装体の作製方法も特に限定しないが、テーピングマシンによりキャリアテープの成形ポケット部分に電子部品を挿入し、カバーテープでシールすることにより作製される。
【0091】
【実施例】
以下本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定させるものではない。なお、本明細書中における主な特性値の測定法を以下に説明する。
【0092】
(1)ポリエステルの数平均分子量(Mn)と分子量 1000以下の割合の算出
GPC法により平均分子量および分子量分率を求めた。
Figure 2004306281
【0093】
(2)表面抵抗値
JIS K6911の方法にしたがって、20±2℃、65±5%RHの雰囲気下で測定する。測定器は、三菱化学(株)のハイレスタMCP−HT450。
【0094】
(3)密着性
JIS K 5400の碁盤目テープ法に基づいて行った。カッターナイフはオルファ(株)製L型(11SP)を用いた。セロハン粘着テープはニチバン製セロテープ(R)CT−24Fを用いた。切れ目は縦横各11本の2mm間隔の直交する切れ目とし、格子状に一辺の長さ2mmの正方形を100個作った。その他は、JISK 5400に準じて行った。剥がれずに残った升目の数を数えた。一部でも剥がれたものは剥がれた数に数えた。
【0095】
(4)シートの引張衝撃強度
引張衝撃強度試験テンサイルインパクトテスターを用いて、ASTM D−1822に従い、25℃で引張衝撃強度の測定を行った。
【0096】
(5)ポリエステル基材シートの製膜
ポリエステルを脱湿空気を用いた乾燥機で乾燥した。ベント式単軸シート製膜機で樹脂温度290℃で溶融押出し、厚さ0.3mm、幅640mmの単層ポリエステルシートを得た。
【0097】
(6)延伸後の密着性、導電性テスト
上記方法で得たシートを10cm角にカットして東洋精機製二軸延伸装置で横と縦に4倍延伸した。このサンプルを前記(2)(3)測定方法で表面抵抗、密着性を測定した。
【0098】
(7)コート法
先ず、グラビア印刷機(中島精器エンジニアリング製 GX−II型)を用いて、下記アンカーコート剤を基材シートに印刷し、約80℃で加熱処理してアンカーコート層を形成する。
次いで、印刷版としてグラビアダイレクトべた版(線画部;1インチ当たり175線、セルの深さ35μm)を使用し、グラビア印刷機(中島精器エンジニアリング製 GX−II型)を用いて、下記の導電性コート剤を版上で回転させ、コート剤バット中の溶剤を飛散させながらコート剤粘度を上げ印刷時にスクリーン目が出る状態を探し、印刷速度70m/分で上記基材シート上にべた印刷した。このときの導電性コート剤の粘度はザーンカップ法(3号)で27秒であった。次いで、導電性コート剤の印刷層を80℃で熱硬化し、第1層目の導電性コート剤層を形成した。この第1層上に位相をずらして、同様にして第2層目をそれぞれ行った。このとき、第2層目印刷時の導電性コート剤の粘度は23秒であった。
【0099】
次いで、第2層目の積層を終えた導電性コート層上に、下記のトップコート剤を上記の導電性コート剤の場合と同様のグラビア印刷法により印刷し、トップコート層を形成させて、本発明の導電性ポリエステルシートを得た。
アンカーコート剤:大阪インキ製造製のOYT−UDA黒
導電性コート剤: 大阪インキ製造製の導電性コート剤、OYT−EC
トップコート剤:大阪インキ製造製のトップコート剤OYT−MTメジウムB
【0100】
(8)導電性ポリエステルシートの成形性
キャリアテープ用成形機で圧空成形によりキャリアテープを作製し、ポケット部の賦形性や割れの状態を目視で観察し以下のように評価した。
コート面が剥離せず、割れがなく、賦形性非常に良い。 : ◎
コート面が剥離せず、割れがなく、賦形性が良い。 : ○
コート面が剥離せず、割れがないが、賦形性がやや悪い。 : △
コート面が剥離し、割れが生じ、賦形性も悪い。 : ×
【0101】
(9)ポリエステル合成例
ポリエステル樹脂(A)の合成例
攪拌機、コンデンサー、温度計を具備した反応容器にジメチルテレフタル酸 9700部、エチレングリコール 6067部、ネオペンチルグリコール 207部、三酸価アンチモン 4.365部、酢酸コバルト 1.05部を仕込み、160℃から240℃まで3時間かけてエステル交換反応を行った。次いで系内を徐々に減圧していき、50分かけて5mmHgまで減圧し、さらに0.3mmHg以下の真空下、250℃にて60分間重縮合反応を行った。このポリエステル樹脂を真空中(760mmHg)で125℃で2時間結晶化後、208℃まで温度を上げ、16時間、固相重合を実施した。得られたポリエステル樹脂(A)はNMR等の組成分析の結果、酸成分がモル比でテレフタル酸=100であり、グリコール成分がモル比でエチレングリコール/ネオペンチルグリコール/ジエチレングリコール/トリエチレングリコール=95.00/3.00/1.85/0.15で数平均分子量17000 重量平均分子量1000以下が1.0wt%であった。特性値を表1に示した。
【0102】
以下、上記合成例に準じた方法により表1に示す組成のポリエステル樹脂(B)〜(D)を合成した。上記合成例に準じた方法により表2に比較ポリエステル(E)〜(G)を合成した。
【0103】
【表1】
Figure 2004306281
【0104】
【表2】
Figure 2004306281
【0105】
(実施例1)
ポリエステル樹脂(A)を前記(6)記載の方法でシートを作成、前記(7)の方法で処理し、導電性シートを得た。表1に記載したように、導電性シートの表面抵抗値は1×10Ωと問題なく、延伸後の密着性、導電性共に問題なかった。また、本実施例の導電性ポリエステルシートを用いて、キャリアテープ用成形機で圧空成形によりキャリアテープを作製したが、特に問題はなく良好なキャリアテープが得られた。さらに得られたキャリアテープを用いて、テーピングマシンにより、成形ポケット部に電子部品としてICを挿入してカバーテープでシールしたところ、特に問題はなく電子部品用容器を作製できた。
【0106】
上記、ポリエステル樹脂(B)〜(D)と比較ポリエステル樹脂(E)〜(G)を用いて実施例1と同じように評価を実施した。評価結果を表3に示した。
【0107】
ポリエステル(B)〜(D)を用いて導電性ポリエステルシートを作り、キャリアテープ用成形機で真空成形によりキャリアテープを作製したが、特に問題はなく良好なキャリアテープが得られた。さらに得られたキャリアテープを用いて、テーピングマシンにより、成形ポケット部に電子部品としてICを挿入してカバーテープでシールしたところ、特に問題はなく電子部品用容器を作製できた。また、比較ポリエステル(E)を用いた導電性ポリエステルシートは延伸後の引張衝撃強度が低下した。比較ポリエステル(F)を用いた導電性ポリエステルシートは成形性の特性が低下した。比較ポリエステル(G)を用いた導電性ポリエステルシートは導電塗膜の密着性、表面抵抗が低下した。
【0108】
【表3】
Figure 2004306281
【0109】
【発明の効果】
本発明の導電性シートは、延伸加工した際にも衝撃強度、導電性、コート層の密着性の低下が少なく、内容物の保護生に優れた容器を得ることができる。

Claims (3)

  1. ポリエステル組成物からなる基材シートの少なくとも片面に導電性組成物からなるコート層を設けた導電性ポリエステルシートであって、前記ポリエステル基材シートは数平均分子量が16000以上であって、分子量1000以下の割合が2.0wt%以下のポリエステルからなり、導電性組成物コート層側の表面抵抗値が1×10Ω未満であることを特徴とする導電性ポリエステルシート。
  2. 前記基材シートの少なくとも片面にアンカーコート層を形成させ、その上に導電性コート層を少なくとも一層以上形成してなることを特徴とする請求項1に記載の導電性ポリエステルシート。
  3. 前記導電性コート層上に、トップコート層を形成してなることを特徴とする請求項1または2に記載の導電性ポリエステルシート。
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