JP2004303607A - 太陽電池 - Google Patents
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Abstract
【課題】曲げ等の外力が加えられた際に、基板にシワが発生しにくく、電極間距離を一定に保つことができ、さらに高い耐久性を備えたフレキシブル太陽電池を提供すること。
【解決手段】第1の可撓性基板1、該可撓性基板1上に設けられた表層導電膜2、該表層導電膜2上に設けられた酸化物半導体多孔質層3が設けられ、これらの可撓性基板1、表層導電膜2及び酸化物半導体多孔質層3が窓極4を構成し、酸化物半導体多孔質層3上には電解質層8が存在し、該電解質層8と接する側に対極触媒層6が設けられた第2の可撓性基板5が設けられ、第2の可撓性基板5及び対極触媒層6が対極7を構成している太陽電池において、酸化物半導体多孔質層3の凹部10に、第2の可撓性基板5の凸部11を嵌合させる。
【選択図】 図1
【解決手段】第1の可撓性基板1、該可撓性基板1上に設けられた表層導電膜2、該表層導電膜2上に設けられた酸化物半導体多孔質層3が設けられ、これらの可撓性基板1、表層導電膜2及び酸化物半導体多孔質層3が窓極4を構成し、酸化物半導体多孔質層3上には電解質層8が存在し、該電解質層8と接する側に対極触媒層6が設けられた第2の可撓性基板5が設けられ、第2の可撓性基板5及び対極触媒層6が対極7を構成している太陽電池において、酸化物半導体多孔質層3の凹部10に、第2の可撓性基板5の凸部11を嵌合させる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は太陽電池に関する。
【0002】
【従来の技術】
太陽電池は、太陽光のエネルギーを電気エネルギーに変換する、化石燃料を用いる発電や原子力発電に比べて環境負荷が小さい発電デバイスとして注目されている。現在実用化されている太陽電池は主としてシリコン等の半導体のpn接合を利用した結晶系シリコン太陽電池であるが、資源的制約があり、製造に高真空・高温が必要であるなど、製造コストが高く、普及が妨げられていた。
【0003】
しかし最近、スイスのグレッツェルらにより、薄膜の表面を、光エネルギーの変換効率を高めるための増感色素で表面を修飾した二酸化チタン等の酸化物半導体多孔質電極を備えた色素増感太陽電池が報告されている。この色素増感太陽電池は、結晶系シリコン太陽電池よりも安価で容易に製造でき、高い光電変換効率を達成可能な太陽電池として注目を集めている。
【0004】
図2は、色素増感太陽電池の一例を示す模式図である。この色素増感太陽電池は、基板21上に酸化物半導体多孔質層23を有する窓極24と、対極27とを備えており、これらの窓極24と対極27との間には電解質層28が形成されている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
基板21は、ガラス板などの透明な基板であり、この基板21の表層にはスズをドープした酸化インジュウム(略称:ITO)、フッ素をドープした酸化スズ(略称:FTO)などの透明な表層導電膜22が設けられている。
この表層導電膜22上には、光増感色素が坦持された酸化チタン、酸化ニオブなどの酸化物半導体微粒子からなり、光増感色素の坦持量を高めるために多孔質となっている酸化物半導体多孔質層23が設けられている。これらの基板21、表層導電膜22及び酸化物半導体多孔質層23が、窓極24を構成している。酸化物半導体多孔質膜23は、上記酸化物半導体微粒子を分散した分散液を表層導電膜22上に塗布して焼結するなどの方法によって作製されている。
【0006】
また、基板25は、ガラス板などの透明な基板であり、この基板25の表層には、白金コーティング等により対極触媒層26が設けられている。これらの基板25及び対極触媒層26が、対極27を構成している。
窓極24と対極27とは、間隔をおいて対向配置されており、これらの電極の間には、ヨウ素/ヨウ素イオンなどのレドックス対を含む電解液が満たされ、電解質層28となっている。また、電解質層28に代えて、ヨウ化銅などのp型半導体からなるホール輸送層を設けるものもある。
窓極24と対極27の間の周辺部には、エポキシ樹脂などからなる封止剤29が設けられ、電解質層28中の電解液が漏出したり、揮発性成分が揮発したりするのを防いでいる。
【0007】
この色素増感太陽電池においては、太陽光などの光が透明基板21側から入射されると、酸化物半導体多孔質層23に吸着している増感色素に吸収される。光を吸収し励起状態となった増感色素から酸化物半導体に電子が注入され、この電子が酸化物半導体中を伝導し、さらに外部回路を経由して対極27に移動する。そして、対極27に移動した電子が、電解質層28の酸化還元反応を介して、電子を放出して酸化状態となっている増感色素に再び戻る。このサイクルの繰り返しにより、表層導電膜22と対極27との間に起電力が生じる。この色素増感太陽電池は、一般的には電子の授受のためにヨウ素電解液が必要であり、該電解液が内部に封入されているため、湿式太陽電池とも呼ばれている。
【0008】
また、最近、凹凸や曲面を有する構造物上にも設置可能な太陽電池として、ガラス基板に代えて、プラスチックフィルム等の可撓性を有する基板を用いた「フレキシブル」な太陽電池の開発が進んでいる(例えば、特許文献2)。
このようなフレキシブル太陽電池は、現在までのところ、実験室レベルでその技術的な検討が進められている段階であり、サイズも小さいことから、曲げ等の外力を受けた際の影響についてはほとんど検討が加えられていなかった。しかしながら、今後、フレキシブル太陽電池を大型化する場合には、大面積化が必須であることから、以下のような問題が発生するおそれがある。
(1)曲げ等の外力を受けた際に生じる曲げ応力により、基板にシワが発生する、
(2)(1)で発生したシワにより、窓極−対極間の距離が不均一になり、性能が劣化する、
(3)(1)により、太陽電池の末端部分、すなわち封止剤と窓極又は対極との界面部分に剪断応力が集中し、破壊が生じる。
【0009】
【特許文献1】
特公平8−15097号公報
【特許文献2】
特開平11−288745号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、曲げ等の外力が加えられた際に、基板にシワが発生しにくく、電極間距離を一定に保つことができ、さらに高い耐久性を備えたフレキシブル太陽電池を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決する本発明は、第1の可撓性基板上に、酸化物半導体多孔質層、電解質層、及び第2の可撓性基板が順に重ねて設けてなる太陽電池において、前記酸化物半導体多孔質層は凹部を、前記第2の可撓性基板は凸部をそれぞれ備えてなり、前記凹部に前記凸部を嵌合させた構造を備えることを特徴とする太陽電池である。
前記凹部に前記凸部を嵌合させた構造を備えることにより、該凸部がアンカーの役割を果たすので、曲げた際に基板にシワが発生しにくく、電極間距離が均一に保たれる。また、曲げ等の外力により生じる剪断応力が、電極と封止剤との界面部分に集中することなく分散するので、接合部分の耐久性も向上する。なお、上記嵌合をなす凹部と凸部との間隙に接着部材を介するように配置し、一体化した状態としてもかまわない。
【0012】
本発明においては、前記構造は複数個設けられていることが好ましく、また、該構造が分散配置されていることが好ましい。これにより、前記凸部が1個の場合や、複数個が1箇所に集中している場合よりも、曲げた際にさらにシワが発生しにくく、電極間距離が均一で、耐久性も向上する。
また、前記凸部が熱可塑性樹脂を含有することが好ましい。これにより、第2の可撓性基板表面に凸部を設けるための複雑な加工を施す必要がなく、簡単な手順で太陽電池の製造を行うことができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、実施の形態に基づいて、本発明を詳しく説明する。
図1に、本発明の第1実施形態の太陽電池の模式図を示す。第1実施形態の太陽電池は、第1の可撓性基板1、該可撓性基板1上に設けられた表層導電膜2、該表層導電膜2上に設けられた酸化物半導体多孔質層3が設けられており、これらの可撓性基板1、表層導電膜2及び酸化物半導体多孔質層3が、窓極4を構成している。また、酸化物半導体多孔質層3上には電解質層8が存在し、該電解質層8と接する側に対極触媒層6が設けられた第2の可撓性基板5が設けられており、第2の可撓性基板5及び対極触媒層6が対極7を構成している。窓極4と対極7の間の周辺部には、封止剤9が設けられている。
【0014】
また、酸化物半導体多孔質層3には凹部10が設けられており、第2の可撓性基板5の対極触媒層6上には凸部11が設けられており、凹部10に凸部11が嵌合した構造(以下、接合部という)が形成されている。
接合部の数に特に制限はなく、1個でもよいが、複数個設けられていると、曲げ等の外力を加えた際に生じる応力が分散されるので、さらに基板にシワが寄りにくく、耐久性が高まるため好ましい。また、複数個の接合部が分散配置されていると、該応力がより細かく分散されるので、さらに基板にシワが寄りにくく、耐久性が高まるため好ましい。また、同様の理由により、各接合部が分散配置されている場合の各接合部間の間隔は一定であることが好ましい。
接合部の形状に特に制限はなく、ドット状、ストライプ状、格子状など任意の形状であってよいが、円柱形〜多角柱形等のドット状であると、製造時に電解液を注入する際に電解液の流れを妨げにくいため、好ましい。
接合部の大きさに特に制限はないが、封止剤9が設けられた部分を除いた基板面積の0.01%以上を占めることが好ましい。また、太陽電池としての性能を考慮すると、10%以下であることが好ましい。
【0015】
なお、図1では、凹部10が酸化物半導体多孔質層3を貫通しており、凸部11が該凹部10に完全に嵌合しているが、本発明はこれに限定されない。
例えば、接合部は、上記嵌合をなす凹部10と凸部11との間隙に接着部材を介するように配置し、一体化した状態であってもかまわない。
また、凹部10は酸化物半導体多孔質層3を貫通していなくてもよく、凸部11が該凹部10に部分的に嵌合し、凹部の側壁部分や底部に空隙部があってもよい。
また、接合部が複数個設けられている場合に、各凹部10及び凸部11の形状や大きさは同じでも異なっていてもよい。
【0016】
第1の可撓性基板1の材料としては、透光性が良好であり、可塑性を有するものであれば特に制限されないが、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリカーボネート(PC)、ポリエーテルスルホン(PES)などの透明プラスチックシート等から適宜選択して用いることができる。
第1の可撓性基板1の厚さは、特に制限はないが、曲げた際の耐久性を考慮すると、200μm以下であることが好ましい。
【0017】
表層導電膜2としては、例えば、ITO、FTO、酸化スズ(SnO2)等の導線性金属酸化物を用いることができる。あるいは透光性を有する範囲の厚みのPt、Ag、Cu、Alなどの金属も利用可能であるが、電解質層がヨウ素/ヨウ化物イオンを含む場合はPtが好ましく利用される。
表層導電膜2を第1の可撓性基板1上に形成する方法としては、表層導電膜2の材料に応じた公知の適切な方法を用いればよいが、例えば、スパッタ法、蒸着法などが挙げられる。そして、透光性と導電性を考慮して、通常0.001μm〜10μm程度、好ましくは0.1〜2μm、より好ましくは0.5〜1.5μmの膜厚に形成される。
表層導電膜2の上には、メッキ法などの方法によって、金、白金などからなる金属配線層を形成してもよい。金属配線層は、可撓性基板1の透光性を著しく損ねないため、各配線の幅を500μm以下と細くし、格子状や縞状などの構造とすることが好ましい。金属配線層の各配線の厚さ(高さ)は、特に制限されないが、0.1〜10μmとすることが好ましい。
【0018】
酸化物半導体多孔質層3は、酸化チタン(TiO2)、酸化スズ(SnO2)、酸化タングステン(WO3)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化ニオブ(Nb2O5)などの1種または2種以上を複合させた平均粒径1〜1000nmの酸化物半導体微粒子等を含有する多孔質の薄膜である。
酸化物半導体多孔質層3の厚さは、曲げた際の耐久性を考慮すると、50μm以下であることが好ましく、15μm以下であることがより好ましい。また、光電変換効率を考慮すると、5μm以上であることが好ましい。
また、酸化物半導体多孔質膜3の厚さが、太陽電池全体の厚さの33%以上100%未満であると、中立軸の位置を確実に酸化物半導体多孔質層3の内部にすることができるので好ましい。
【0019】
酸化物半導体多孔質層3に担持される増感色素としては、ビピリジン構造、ターピリジン構造などを含む配位子を有するルテチウム錯体や鉄錯体、ポルフィリン系やフタロシアニン系の金属錯体をはじめ、エオシン、ローダミン、メロシアニンなどの有機色素なども特に制限なく用いることができる。
【0020】
酸化物半導体多孔質層3を形成するためには、例えば、市販の酸化物半導体微粒子を所望の分散媒に分散させた分散液、あるいは、ゾル−ゲル法により調整できるコロイド溶液を、必要に応じて所望の添加剤を添加した後、スクリーンプリント法、インクジェットプリント法、ロールコート法、ドクターブレード法、スピンコート法、スプレー塗布法など公知の塗布法により塗布するほか、コロイド溶液中に第1の可撓性基板1を浸漬して電気泳動により酸化物半導体微粒子を可撓性基板1上に付着させる泳動電着法、コロイド溶液や分散液に発泡剤を混合して塗布した後、焼結して多孔質化する方法、ポリマーマイクロビーズを混合して塗布した後、このポリマーマイクロビーズを加熱処理や化学処理により除去して空隙を形成させ多孔質化する方法などを適用することができる。
【0021】
凹部9は、例えば、酸化物半導体多孔質層3を形成する際に、スクリーンプリント法、インクジェットプリント法等の塗布法により凹部を除いたパターンを印刷して酸化物半導体多孔質層3を形成することにより形成できる。
また、例えば凹部9が酸化物半導体多孔質層3を貫通していない場合、ロールコート法、ドクターブレード法、スピンコート法、スプレー塗布法などの塗布法により酸化物半導体多孔質層3の一部を形成した後、さらに上述のようにしてパターンを印刷することにより形成できる。
【0022】
電解質層8を形成するための電解液としては、酸化還元対(レドックス対)を含む有機溶媒や室温溶融塩などを用いることができる。前記有機溶媒としては、アセトニトリル、メトキシアセトニトリル、プロピオニトリル、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジエチルカーボネート、γ−ブチロラクトンなどが例示される。また、室温溶融塩としては、四級化イミダゾリウム系カチオンとヨウ化物イオンまたはビストリフルオロメチルスルホニルイミドアニオンなどからなる塩類が例示される。
前記電解液に含有されるレドックス対としては、特に限定されることなく、ヨウ素/ヨウ化物イオン、臭素/臭化物イオンなどのペアを添加して得ることができる。ヨウ化物イオンまたは臭化物イオンの供給源としては、リチウム塩、四級化イミダゾリウム塩、テトラブチルアンモニウム塩などを単独または複合して用いることができる。
前記電解液には、必要に応じてtert−ブチルピリジンなどの添加物を添加することができる。
【0023】
また、電解質層8としては、前記電解液を適当なゲル化剤によりゲル化させて流動性を抑制したものを用いてもよい。
また、電解質層8に代えて、p型半導体などからなる固体の電荷移送層を用いることもできる。前記p型半導体としては、例えば、ヨウ化銅、チオシアン化銅などの一価銅化合物を好適に用いることができる。電荷移送層の形成方法は特に制限されず、公知の方法を適用することができるが、例えば、キャスティング法、スパッタ法、蒸着法などが例示される。また、この電荷移送層には、層形成の必要に応じて添加物を含んでいてもよい。
【0024】
第2の可撓性基板5の材料及び厚さとしては、第1の可撓性基板1の材料及び厚さと同様であってよい。また、第2の可撓性基板5の材料及び厚さは、第1の可撓性基板1と同じであっても異なっていてもよい。
対極触媒層6の材料としては、ITOやFTO等の導電性酸化物半導体、あるいは、金、白金、炭素系材料などの導電性材料を用いることができる。
対極触媒層6は、例えば、第2の可撓性基板5上に塩化白金酸塗布した後、熱処理することにより、白金層を形成する方法が挙げられる。または、蒸着法やスパッタ法によって形成してもよい。
また、電解質層8を電荷移送層とする場合は、該電荷移送層上に導電性材料を直接スパッタや塗布などの方法により層形成する方法を用いることもできる。
【0025】
第2の可撓性基板5に凸部11を形成するための材料(凸部材料)としては、熱可塑性樹脂、それ以外のプラスチック、金属、セラミック等が挙げられるが、熱圧着を行い軟化させることにより、容易に凹部10内に嵌合させることができ、また表面導電膜2に接着できるため、熱可塑性樹脂が好ましく用いられる。
凸部11は、例えば、スクリーンプリント法、インクジェットプリント法等の塗布法により、凹部10に対応した位置に凸部材料を塗布することにより形成できる。
【0026】
本実施形態の太陽電池は、例えば以下のようにして製造することができる。まず、上述のようにして凹部10が設けられた酸化物半導体多孔質層3が第1の可撓性基板1の一方の面に形成された窓極4を用意する。
次いで、対極7の電解液注入口部分を残してその他の周辺部をふさぐように封止剤9を設け、その内側の前記凹部10に対応した位置に、上述のようにして凸部11を形成する。
次いで、窓極4と対極7とを、封止剤9により設けられた3〜75μm程度の間隔をおいて重ね、固定する。封止剤9が熱可塑性樹脂製の場合は熱圧着で固定することもでき、スペーサー素材が何であってもエポキシ樹脂などで固定することもできる。
次いで電解液注入口部分から、窓極4と対極7の間に電解液を充填し、電解液注入口部分も含め、窓極4と対極7の間のすべての周辺部をエポキシ樹脂などの封止剤を用いて封止することにより太陽電池セルが得られる。
【0027】
以下、本発明を具体例を示してより詳しく説明する。
実施例1
以下の手順で太陽電池を作製した。
まず、王子トービ「OTEC」フィルム(導電性PET、抵抗:10Ω/□、15cm×15cm、膜厚1μm)上に、酸化チタン膜を25nmの厚さにてスパッタ法により形成し、導電性フレキシブル基板を得た。該酸化チタン膜上に、図3(a)の斜線部のパターンで、P25酸化チタンナノ粒子スラリーをスクリーン印刷塗布し、150℃で3時間焼成することにより、φ3mmの円形の凹部を備えた多孔質層(膜厚10μm)を形成した後、該多孔質層にルテニウム錯体色素(N3)を担持させることにより窓極を作製した。
次いで、窓極に用いたのと同じ「OTEC」フィルム上に、白金をRFスパッタにより塗布して対極を作製した後、図3(b)のパターン(ドット間隔d=10mm(図3(c)参照))で、ホットメルト接着剤ペーストをスクリーン印刷塗布し、φ1mmの円形のドットを形成した。
対極の、電解液注入口以外の周辺部に封止剤を設け、該対極と窓極とを対向させた状態でクリップにて固定し、熱板(100℃)で上下からプレスし、封止を行った後、窓極と対極との間に、ヨウ素/ヨウ化物イオンレドックス対を含有する電解液を注入し、電解液注入口を封止して、太陽電池を得た。
得られた太陽電池は、180°の角度で折り曲げても、基板に目立ったシワがなく、封止部分の破壊が生じない耐久性に優れたものであった。
【0028】
比較例1
実施例1において、ドット及び凹部を形成しなかった以外は実施例1と同様にして太陽電池を作製した。
得られた太陽電池は、30°の角度で折り曲げると、基板に大きなシワが生じ、封止剤による封止部分が破壊されて電解液の漏出が見られた。
【0029】
試験例1
接合部の面積の変化による曲げに対する耐久性の変化を調べるために、ドット密度を10%、0.5%、0.01%、0.005%、0.001%(面積%)として、実施例1と同様にして太陽電池を作製し、JIS C5016(フレキシブルプリント配線板試験方法)の8.7「耐折性」に準拠して耐折性試験を行い、封止部分の破壊(亀裂や剥離等)が発生するまでの回数を調べた。
その結果を表1に示す。この結果から、ドット密度が0.01%以上であると、顕著に曲げに対する耐久性が向上することが明らかとなった。
【0030】
【表1】
【0031】
試験例2
ドット間隔の変化による曲げに対する耐久性の変化を調べるために、ドット間隔dを1、5、25、50、100mmとして実施例1と同様にして太陽電池を作製し、JIS C5016(フレキシブルプリント配線板試験方法)の8.7「耐折性」に準拠して耐折性試験を行い、封止部分の破壊(亀裂や剥離等)が発生するまでの回数を調べた。
その結果を表2に示す。この結果から、ドット間隔が25mm以下であると、顕著に曲げに対する耐久性が向上することが明らかとなった。
【0032】
【表2】
【0033】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の太陽電池は、曲げ等の外力が加えられた際に、基板にシワが発生しにくく、電極間距離を一定に保つことができ、さらに高い耐久性を備えたものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の太陽電池の第1実施形態を示す概略断面図である。
【図2】従来の色素増感太陽電池の一例を示す概略断面図である。
【図3】実施例1において形成された凹部及び凸部を示す模式図である。
【符号の説明】
1…第1の可撓性基板、2…表層導電膜、3…酸化物半導体多孔質層、4…窓極、5…第2の可撓性基板、6…対極触媒層、7…対極、8…電解質層、9…封止剤、10…凹部、11…凸部
【発明の属する技術分野】
本発明は太陽電池に関する。
【0002】
【従来の技術】
太陽電池は、太陽光のエネルギーを電気エネルギーに変換する、化石燃料を用いる発電や原子力発電に比べて環境負荷が小さい発電デバイスとして注目されている。現在実用化されている太陽電池は主としてシリコン等の半導体のpn接合を利用した結晶系シリコン太陽電池であるが、資源的制約があり、製造に高真空・高温が必要であるなど、製造コストが高く、普及が妨げられていた。
【0003】
しかし最近、スイスのグレッツェルらにより、薄膜の表面を、光エネルギーの変換効率を高めるための増感色素で表面を修飾した二酸化チタン等の酸化物半導体多孔質電極を備えた色素増感太陽電池が報告されている。この色素増感太陽電池は、結晶系シリコン太陽電池よりも安価で容易に製造でき、高い光電変換効率を達成可能な太陽電池として注目を集めている。
【0004】
図2は、色素増感太陽電池の一例を示す模式図である。この色素増感太陽電池は、基板21上に酸化物半導体多孔質層23を有する窓極24と、対極27とを備えており、これらの窓極24と対極27との間には電解質層28が形成されている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
基板21は、ガラス板などの透明な基板であり、この基板21の表層にはスズをドープした酸化インジュウム(略称:ITO)、フッ素をドープした酸化スズ(略称:FTO)などの透明な表層導電膜22が設けられている。
この表層導電膜22上には、光増感色素が坦持された酸化チタン、酸化ニオブなどの酸化物半導体微粒子からなり、光増感色素の坦持量を高めるために多孔質となっている酸化物半導体多孔質層23が設けられている。これらの基板21、表層導電膜22及び酸化物半導体多孔質層23が、窓極24を構成している。酸化物半導体多孔質膜23は、上記酸化物半導体微粒子を分散した分散液を表層導電膜22上に塗布して焼結するなどの方法によって作製されている。
【0006】
また、基板25は、ガラス板などの透明な基板であり、この基板25の表層には、白金コーティング等により対極触媒層26が設けられている。これらの基板25及び対極触媒層26が、対極27を構成している。
窓極24と対極27とは、間隔をおいて対向配置されており、これらの電極の間には、ヨウ素/ヨウ素イオンなどのレドックス対を含む電解液が満たされ、電解質層28となっている。また、電解質層28に代えて、ヨウ化銅などのp型半導体からなるホール輸送層を設けるものもある。
窓極24と対極27の間の周辺部には、エポキシ樹脂などからなる封止剤29が設けられ、電解質層28中の電解液が漏出したり、揮発性成分が揮発したりするのを防いでいる。
【0007】
この色素増感太陽電池においては、太陽光などの光が透明基板21側から入射されると、酸化物半導体多孔質層23に吸着している増感色素に吸収される。光を吸収し励起状態となった増感色素から酸化物半導体に電子が注入され、この電子が酸化物半導体中を伝導し、さらに外部回路を経由して対極27に移動する。そして、対極27に移動した電子が、電解質層28の酸化還元反応を介して、電子を放出して酸化状態となっている増感色素に再び戻る。このサイクルの繰り返しにより、表層導電膜22と対極27との間に起電力が生じる。この色素増感太陽電池は、一般的には電子の授受のためにヨウ素電解液が必要であり、該電解液が内部に封入されているため、湿式太陽電池とも呼ばれている。
【0008】
また、最近、凹凸や曲面を有する構造物上にも設置可能な太陽電池として、ガラス基板に代えて、プラスチックフィルム等の可撓性を有する基板を用いた「フレキシブル」な太陽電池の開発が進んでいる(例えば、特許文献2)。
このようなフレキシブル太陽電池は、現在までのところ、実験室レベルでその技術的な検討が進められている段階であり、サイズも小さいことから、曲げ等の外力を受けた際の影響についてはほとんど検討が加えられていなかった。しかしながら、今後、フレキシブル太陽電池を大型化する場合には、大面積化が必須であることから、以下のような問題が発生するおそれがある。
(1)曲げ等の外力を受けた際に生じる曲げ応力により、基板にシワが発生する、
(2)(1)で発生したシワにより、窓極−対極間の距離が不均一になり、性能が劣化する、
(3)(1)により、太陽電池の末端部分、すなわち封止剤と窓極又は対極との界面部分に剪断応力が集中し、破壊が生じる。
【0009】
【特許文献1】
特公平8−15097号公報
【特許文献2】
特開平11−288745号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、曲げ等の外力が加えられた際に、基板にシワが発生しにくく、電極間距離を一定に保つことができ、さらに高い耐久性を備えたフレキシブル太陽電池を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決する本発明は、第1の可撓性基板上に、酸化物半導体多孔質層、電解質層、及び第2の可撓性基板が順に重ねて設けてなる太陽電池において、前記酸化物半導体多孔質層は凹部を、前記第2の可撓性基板は凸部をそれぞれ備えてなり、前記凹部に前記凸部を嵌合させた構造を備えることを特徴とする太陽電池である。
前記凹部に前記凸部を嵌合させた構造を備えることにより、該凸部がアンカーの役割を果たすので、曲げた際に基板にシワが発生しにくく、電極間距離が均一に保たれる。また、曲げ等の外力により生じる剪断応力が、電極と封止剤との界面部分に集中することなく分散するので、接合部分の耐久性も向上する。なお、上記嵌合をなす凹部と凸部との間隙に接着部材を介するように配置し、一体化した状態としてもかまわない。
【0012】
本発明においては、前記構造は複数個設けられていることが好ましく、また、該構造が分散配置されていることが好ましい。これにより、前記凸部が1個の場合や、複数個が1箇所に集中している場合よりも、曲げた際にさらにシワが発生しにくく、電極間距離が均一で、耐久性も向上する。
また、前記凸部が熱可塑性樹脂を含有することが好ましい。これにより、第2の可撓性基板表面に凸部を設けるための複雑な加工を施す必要がなく、簡単な手順で太陽電池の製造を行うことができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、実施の形態に基づいて、本発明を詳しく説明する。
図1に、本発明の第1実施形態の太陽電池の模式図を示す。第1実施形態の太陽電池は、第1の可撓性基板1、該可撓性基板1上に設けられた表層導電膜2、該表層導電膜2上に設けられた酸化物半導体多孔質層3が設けられており、これらの可撓性基板1、表層導電膜2及び酸化物半導体多孔質層3が、窓極4を構成している。また、酸化物半導体多孔質層3上には電解質層8が存在し、該電解質層8と接する側に対極触媒層6が設けられた第2の可撓性基板5が設けられており、第2の可撓性基板5及び対極触媒層6が対極7を構成している。窓極4と対極7の間の周辺部には、封止剤9が設けられている。
【0014】
また、酸化物半導体多孔質層3には凹部10が設けられており、第2の可撓性基板5の対極触媒層6上には凸部11が設けられており、凹部10に凸部11が嵌合した構造(以下、接合部という)が形成されている。
接合部の数に特に制限はなく、1個でもよいが、複数個設けられていると、曲げ等の外力を加えた際に生じる応力が分散されるので、さらに基板にシワが寄りにくく、耐久性が高まるため好ましい。また、複数個の接合部が分散配置されていると、該応力がより細かく分散されるので、さらに基板にシワが寄りにくく、耐久性が高まるため好ましい。また、同様の理由により、各接合部が分散配置されている場合の各接合部間の間隔は一定であることが好ましい。
接合部の形状に特に制限はなく、ドット状、ストライプ状、格子状など任意の形状であってよいが、円柱形〜多角柱形等のドット状であると、製造時に電解液を注入する際に電解液の流れを妨げにくいため、好ましい。
接合部の大きさに特に制限はないが、封止剤9が設けられた部分を除いた基板面積の0.01%以上を占めることが好ましい。また、太陽電池としての性能を考慮すると、10%以下であることが好ましい。
【0015】
なお、図1では、凹部10が酸化物半導体多孔質層3を貫通しており、凸部11が該凹部10に完全に嵌合しているが、本発明はこれに限定されない。
例えば、接合部は、上記嵌合をなす凹部10と凸部11との間隙に接着部材を介するように配置し、一体化した状態であってもかまわない。
また、凹部10は酸化物半導体多孔質層3を貫通していなくてもよく、凸部11が該凹部10に部分的に嵌合し、凹部の側壁部分や底部に空隙部があってもよい。
また、接合部が複数個設けられている場合に、各凹部10及び凸部11の形状や大きさは同じでも異なっていてもよい。
【0016】
第1の可撓性基板1の材料としては、透光性が良好であり、可塑性を有するものであれば特に制限されないが、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリカーボネート(PC)、ポリエーテルスルホン(PES)などの透明プラスチックシート等から適宜選択して用いることができる。
第1の可撓性基板1の厚さは、特に制限はないが、曲げた際の耐久性を考慮すると、200μm以下であることが好ましい。
【0017】
表層導電膜2としては、例えば、ITO、FTO、酸化スズ(SnO2)等の導線性金属酸化物を用いることができる。あるいは透光性を有する範囲の厚みのPt、Ag、Cu、Alなどの金属も利用可能であるが、電解質層がヨウ素/ヨウ化物イオンを含む場合はPtが好ましく利用される。
表層導電膜2を第1の可撓性基板1上に形成する方法としては、表層導電膜2の材料に応じた公知の適切な方法を用いればよいが、例えば、スパッタ法、蒸着法などが挙げられる。そして、透光性と導電性を考慮して、通常0.001μm〜10μm程度、好ましくは0.1〜2μm、より好ましくは0.5〜1.5μmの膜厚に形成される。
表層導電膜2の上には、メッキ法などの方法によって、金、白金などからなる金属配線層を形成してもよい。金属配線層は、可撓性基板1の透光性を著しく損ねないため、各配線の幅を500μm以下と細くし、格子状や縞状などの構造とすることが好ましい。金属配線層の各配線の厚さ(高さ)は、特に制限されないが、0.1〜10μmとすることが好ましい。
【0018】
酸化物半導体多孔質層3は、酸化チタン(TiO2)、酸化スズ(SnO2)、酸化タングステン(WO3)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化ニオブ(Nb2O5)などの1種または2種以上を複合させた平均粒径1〜1000nmの酸化物半導体微粒子等を含有する多孔質の薄膜である。
酸化物半導体多孔質層3の厚さは、曲げた際の耐久性を考慮すると、50μm以下であることが好ましく、15μm以下であることがより好ましい。また、光電変換効率を考慮すると、5μm以上であることが好ましい。
また、酸化物半導体多孔質膜3の厚さが、太陽電池全体の厚さの33%以上100%未満であると、中立軸の位置を確実に酸化物半導体多孔質層3の内部にすることができるので好ましい。
【0019】
酸化物半導体多孔質層3に担持される増感色素としては、ビピリジン構造、ターピリジン構造などを含む配位子を有するルテチウム錯体や鉄錯体、ポルフィリン系やフタロシアニン系の金属錯体をはじめ、エオシン、ローダミン、メロシアニンなどの有機色素なども特に制限なく用いることができる。
【0020】
酸化物半導体多孔質層3を形成するためには、例えば、市販の酸化物半導体微粒子を所望の分散媒に分散させた分散液、あるいは、ゾル−ゲル法により調整できるコロイド溶液を、必要に応じて所望の添加剤を添加した後、スクリーンプリント法、インクジェットプリント法、ロールコート法、ドクターブレード法、スピンコート法、スプレー塗布法など公知の塗布法により塗布するほか、コロイド溶液中に第1の可撓性基板1を浸漬して電気泳動により酸化物半導体微粒子を可撓性基板1上に付着させる泳動電着法、コロイド溶液や分散液に発泡剤を混合して塗布した後、焼結して多孔質化する方法、ポリマーマイクロビーズを混合して塗布した後、このポリマーマイクロビーズを加熱処理や化学処理により除去して空隙を形成させ多孔質化する方法などを適用することができる。
【0021】
凹部9は、例えば、酸化物半導体多孔質層3を形成する際に、スクリーンプリント法、インクジェットプリント法等の塗布法により凹部を除いたパターンを印刷して酸化物半導体多孔質層3を形成することにより形成できる。
また、例えば凹部9が酸化物半導体多孔質層3を貫通していない場合、ロールコート法、ドクターブレード法、スピンコート法、スプレー塗布法などの塗布法により酸化物半導体多孔質層3の一部を形成した後、さらに上述のようにしてパターンを印刷することにより形成できる。
【0022】
電解質層8を形成するための電解液としては、酸化還元対(レドックス対)を含む有機溶媒や室温溶融塩などを用いることができる。前記有機溶媒としては、アセトニトリル、メトキシアセトニトリル、プロピオニトリル、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジエチルカーボネート、γ−ブチロラクトンなどが例示される。また、室温溶融塩としては、四級化イミダゾリウム系カチオンとヨウ化物イオンまたはビストリフルオロメチルスルホニルイミドアニオンなどからなる塩類が例示される。
前記電解液に含有されるレドックス対としては、特に限定されることなく、ヨウ素/ヨウ化物イオン、臭素/臭化物イオンなどのペアを添加して得ることができる。ヨウ化物イオンまたは臭化物イオンの供給源としては、リチウム塩、四級化イミダゾリウム塩、テトラブチルアンモニウム塩などを単独または複合して用いることができる。
前記電解液には、必要に応じてtert−ブチルピリジンなどの添加物を添加することができる。
【0023】
また、電解質層8としては、前記電解液を適当なゲル化剤によりゲル化させて流動性を抑制したものを用いてもよい。
また、電解質層8に代えて、p型半導体などからなる固体の電荷移送層を用いることもできる。前記p型半導体としては、例えば、ヨウ化銅、チオシアン化銅などの一価銅化合物を好適に用いることができる。電荷移送層の形成方法は特に制限されず、公知の方法を適用することができるが、例えば、キャスティング法、スパッタ法、蒸着法などが例示される。また、この電荷移送層には、層形成の必要に応じて添加物を含んでいてもよい。
【0024】
第2の可撓性基板5の材料及び厚さとしては、第1の可撓性基板1の材料及び厚さと同様であってよい。また、第2の可撓性基板5の材料及び厚さは、第1の可撓性基板1と同じであっても異なっていてもよい。
対極触媒層6の材料としては、ITOやFTO等の導電性酸化物半導体、あるいは、金、白金、炭素系材料などの導電性材料を用いることができる。
対極触媒層6は、例えば、第2の可撓性基板5上に塩化白金酸塗布した後、熱処理することにより、白金層を形成する方法が挙げられる。または、蒸着法やスパッタ法によって形成してもよい。
また、電解質層8を電荷移送層とする場合は、該電荷移送層上に導電性材料を直接スパッタや塗布などの方法により層形成する方法を用いることもできる。
【0025】
第2の可撓性基板5に凸部11を形成するための材料(凸部材料)としては、熱可塑性樹脂、それ以外のプラスチック、金属、セラミック等が挙げられるが、熱圧着を行い軟化させることにより、容易に凹部10内に嵌合させることができ、また表面導電膜2に接着できるため、熱可塑性樹脂が好ましく用いられる。
凸部11は、例えば、スクリーンプリント法、インクジェットプリント法等の塗布法により、凹部10に対応した位置に凸部材料を塗布することにより形成できる。
【0026】
本実施形態の太陽電池は、例えば以下のようにして製造することができる。まず、上述のようにして凹部10が設けられた酸化物半導体多孔質層3が第1の可撓性基板1の一方の面に形成された窓極4を用意する。
次いで、対極7の電解液注入口部分を残してその他の周辺部をふさぐように封止剤9を設け、その内側の前記凹部10に対応した位置に、上述のようにして凸部11を形成する。
次いで、窓極4と対極7とを、封止剤9により設けられた3〜75μm程度の間隔をおいて重ね、固定する。封止剤9が熱可塑性樹脂製の場合は熱圧着で固定することもでき、スペーサー素材が何であってもエポキシ樹脂などで固定することもできる。
次いで電解液注入口部分から、窓極4と対極7の間に電解液を充填し、電解液注入口部分も含め、窓極4と対極7の間のすべての周辺部をエポキシ樹脂などの封止剤を用いて封止することにより太陽電池セルが得られる。
【0027】
以下、本発明を具体例を示してより詳しく説明する。
実施例1
以下の手順で太陽電池を作製した。
まず、王子トービ「OTEC」フィルム(導電性PET、抵抗:10Ω/□、15cm×15cm、膜厚1μm)上に、酸化チタン膜を25nmの厚さにてスパッタ法により形成し、導電性フレキシブル基板を得た。該酸化チタン膜上に、図3(a)の斜線部のパターンで、P25酸化チタンナノ粒子スラリーをスクリーン印刷塗布し、150℃で3時間焼成することにより、φ3mmの円形の凹部を備えた多孔質層(膜厚10μm)を形成した後、該多孔質層にルテニウム錯体色素(N3)を担持させることにより窓極を作製した。
次いで、窓極に用いたのと同じ「OTEC」フィルム上に、白金をRFスパッタにより塗布して対極を作製した後、図3(b)のパターン(ドット間隔d=10mm(図3(c)参照))で、ホットメルト接着剤ペーストをスクリーン印刷塗布し、φ1mmの円形のドットを形成した。
対極の、電解液注入口以外の周辺部に封止剤を設け、該対極と窓極とを対向させた状態でクリップにて固定し、熱板(100℃)で上下からプレスし、封止を行った後、窓極と対極との間に、ヨウ素/ヨウ化物イオンレドックス対を含有する電解液を注入し、電解液注入口を封止して、太陽電池を得た。
得られた太陽電池は、180°の角度で折り曲げても、基板に目立ったシワがなく、封止部分の破壊が生じない耐久性に優れたものであった。
【0028】
比較例1
実施例1において、ドット及び凹部を形成しなかった以外は実施例1と同様にして太陽電池を作製した。
得られた太陽電池は、30°の角度で折り曲げると、基板に大きなシワが生じ、封止剤による封止部分が破壊されて電解液の漏出が見られた。
【0029】
試験例1
接合部の面積の変化による曲げに対する耐久性の変化を調べるために、ドット密度を10%、0.5%、0.01%、0.005%、0.001%(面積%)として、実施例1と同様にして太陽電池を作製し、JIS C5016(フレキシブルプリント配線板試験方法)の8.7「耐折性」に準拠して耐折性試験を行い、封止部分の破壊(亀裂や剥離等)が発生するまでの回数を調べた。
その結果を表1に示す。この結果から、ドット密度が0.01%以上であると、顕著に曲げに対する耐久性が向上することが明らかとなった。
【0030】
【表1】
【0031】
試験例2
ドット間隔の変化による曲げに対する耐久性の変化を調べるために、ドット間隔dを1、5、25、50、100mmとして実施例1と同様にして太陽電池を作製し、JIS C5016(フレキシブルプリント配線板試験方法)の8.7「耐折性」に準拠して耐折性試験を行い、封止部分の破壊(亀裂や剥離等)が発生するまでの回数を調べた。
その結果を表2に示す。この結果から、ドット間隔が25mm以下であると、顕著に曲げに対する耐久性が向上することが明らかとなった。
【0032】
【表2】
【0033】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の太陽電池は、曲げ等の外力が加えられた際に、基板にシワが発生しにくく、電極間距離を一定に保つことができ、さらに高い耐久性を備えたものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の太陽電池の第1実施形態を示す概略断面図である。
【図2】従来の色素増感太陽電池の一例を示す概略断面図である。
【図3】実施例1において形成された凹部及び凸部を示す模式図である。
【符号の説明】
1…第1の可撓性基板、2…表層導電膜、3…酸化物半導体多孔質層、4…窓極、5…第2の可撓性基板、6…対極触媒層、7…対極、8…電解質層、9…封止剤、10…凹部、11…凸部
Claims (4)
- 第1の可撓性基板上に、酸化物半導体多孔質層、電解質層、及び第2の可撓性基板が順に重ねて設けてなる太陽電池において、前記酸化物半導体多孔質層は凹部を、前記第2の可撓性基板は凸部をそれぞれ備えてなり、前記凹部に前記凸部を嵌合させた構造を備えることを特徴とする太陽電池。
- 前記構造を複数個設けたことを特徴とする請求項1記載の太陽電池。
- 前記構造は分散配置されていることを特徴とする請求項2記載の太陽電池。
- 前記凸部が熱可塑性樹脂を含有することを特徴とする請求項1又は2記載の太陽電池。
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