JP2004303592A - 電界発光素子及び電界発光素子の製造方法 - Google Patents

電界発光素子及び電界発光素子の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2004303592A
JP2004303592A JP2003095940A JP2003095940A JP2004303592A JP 2004303592 A JP2004303592 A JP 2004303592A JP 2003095940 A JP2003095940 A JP 2003095940A JP 2003095940 A JP2003095940 A JP 2003095940A JP 2004303592 A JP2004303592 A JP 2004303592A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
emitting layer
light emitting
layer
semiconductor
ultrafine particles
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2003095940A
Other languages
English (en)
Inventor
Tomohide Murase
友英 村瀬
Haruhiro Asami
晴洋 浅見
Itaru Kamiya
格 神谷
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Chemical Corp
Original Assignee
Mitsubishi Chemical Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsubishi Chemical Corp filed Critical Mitsubishi Chemical Corp
Priority to JP2003095940A priority Critical patent/JP2004303592A/ja
Publication of JP2004303592A publication Critical patent/JP2004303592A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Abstract

【課題】優れた発光特性を示す半導体超微粒子から形成された発光層を有する電界発光素子及びその製造方法を提供すること。
【解決手段】ガラス板等の基板101と、基板101上に設けられた陽極102と、正孔輸送層103と、半導体結晶とこれに配位した有機化合物からなる配位子とを有する半導体超微粒子から形成された少なくとも15μm以上の連続領域を有する均質膜からなる発光層104と、電子輸送層105と、陰極106と、から構成され、発光層104は、半導体超微粒子を構成する配位子と相溶する溶媒に溶解した溶液を塗布して形成された電解発光素子。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電界発光素子及び電界発光素子の製造方法に関し、より詳しくは、半導体超微粒子からなる発光層を有する電界発光素子及びこの電界発光素子を再現性良く製造することができる電界発光素子の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、量子効果による制御された吸光や発光特性を有する半導体超微粒子は、新しい発光材料として注目されている。最近、このような半導体超微粒子の製造法として、従来から知られた真空製造プロセスに加え、溶液法により、半導体結晶の表面に有機化合物からなる配位子を有する半導体超微粒子を製造する方法が開発されている。例えば、トリオクチルホスフィン(TOPO)等のホスフィンオキシド類を溶媒兼配位子とした反応(非特許文献1、非特許文献2)、カルボン酸誘導体を配位子とした反応(非特許文献3)等が挙げられる。
【0003】
このような半導体結晶の表面が配位子に覆われた半導体超微粒子は、既存の無機蛍光体と比して、溶媒に可溶であるために、この配位子に覆われた半導体超微粒子を含む素子等の作成時に湿式プロセスが適用可能である等の特徴を有している。また、既存の有機蛍光体と比して、シャープな発光スペクトルを示し、さらに、無機物ならではの高い耐久性を示すという特徴を有することから、電界発光素子中の発光体として利用する試みが報告されている(非特許文献4、非特許文献5、非特許文献6、特許文献1)。
【0004】
【特許文献1】
米国特許第5537000号明細書
【非特許文献1】
「ジャーナル・オブ・フィジカルケミストリ(Journal ofPhysical Chemistry)」,(米国),1994年,第98巻,p.4109−4117
【非特許文献2】
「ジャーナル・オブ・フィジカルケミストリ(Journal ofPhysical Chemistry)」,(米国),1997年,B−第101巻,p.9463−9475
【非特許文献3】
「ジャーナル・オブ・フィジカルケミストリ(Journal ofPhysical Chemistry)」,(米国),1999年,B−第103巻,p.9854−9858
【非特許文献4】
「ジャーナル・オブ・アプライド・フィジックス(Journal of Applied Physics)」,(米国),1997年,第82巻,p.5837
【非特許文献5】
「アプライド・フィジックス・レター(Applied Physics Letter)」,(米国),1995年,第66巻,p.1316
【非特許文献6】
「ネイチャー(Nature)」,(英国),2002年,第402巻,p.800−803
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、特許文献1や非特許文献4〜5の例では、外部量子効率が極めて低いため、半導体超微粒子の特徴を十分に引き出しているとは言い難い。また、非特許文献6の例は、正孔輸送層と電子輸送層との間に発光層を挟んだ機能分離型構造の電界発光素子として外部量子効率が幾分改善されたものの、半導体超微粒子からなる発光層は均質な膜が形成されず、クラックや不連続なドメイン構造が存在する不均質な状態であることが、原子間力顕微鏡にて観測されている。このような不均質な膜が形成される原因としては、半導体超微粒子を正孔輸送性材料と共に基板上に塗布し、その後、析出させて多層構造を形成する製造方法であることが考えられ、このため、均一な発光層を再現性良く製造する方法が得られていないのが現状である。また、このような製造方法は、複数種の半導体超微粒子を使用する素子の製造に応用が難しいと考えられ、簡便で均質な発光層の作製やその大面積化、また複数種の半導体超微粒子を含む発光層の実現等に向けて技術的進歩が望まれていると言える。
【0006】
本発明は、このような半導体結晶の表面が配位子により覆われた半導体微粒子からなる発光層を有する電界発光素子を開発する際に浮き彫りになった問題を解決すべくなされたものである。即ち、本発明の目的は、優れた発光特性を示す半導体超微粒子から形成された発光層を有する電界発光素子及びその製造方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
かかる課題を解決するために、本発明においては、有機化合物からなる配位子により覆われた半導体超微粒子の均質な膜で形成した発光層を有する構成を採用している。即ち、本発明が適用される電界発光素子は、基板上に設けられた陽極と、この陽極の上層に直接又は他の層を介して設けられ、陽極から注入された正孔を輸送する正孔輸送層と、この正孔輸送層の上層に設けられ、注入された正孔と電子との再結合により発光する半導体超微粒子から形成された均質膜からなる発光層と、この発光層の上層に直接又は他の層を介して設けられ、発光層に電子を輸送する電子輸送層と、この電子輸送層の上層に設けられ、電子輸送層に電子を注入する陰極と、を備えることを特徴とするものである。
【0008】
特に、本発明が適用される電界発光素子における発光層は、半導体超微粒子から形成された少なくとも15μmの連続領域を有する均質膜からなることを特徴とすれば、安定した性能を有する電界発光素子を得ることができる。また、発光層は、半導体超微粒子から形成された表面粗さが25nm未満である均質膜からなるものであることが好ましい。
【0009】
さらに、本発明が適用される電界発光素子には、発光層の上層に設けられ、正孔輸送層から移動する正孔が電子輸送層に到達するのを阻止する正孔阻止層をさらに備えることが好ましい。また、発光層は、半導体結晶と半導体結晶に配位する配位子とを有する半導体超微粒子から形成された均質膜からなることを特徴とするものである。この場合、半導体結晶は、周期表第13族元素と周期表第15族元素との化合物、周期表第12族元素と周期表第16族元素との化合物及び周期表第2族元素と周期表第16族元素との化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物によりシェルが形成されたコア−シェル構造を有することが好ましい。
【0010】
次に、本発明の電界発光素子の製造方法は、基板上に陽極を形成する工程と、形成された陽極の上層に、直接又は他の層を介して、正孔輸送層を形成する工程と、形成された正孔輸送層の上層に、半導体超微粒子を溶解した溶液を用いて発光層を形成する工程と、形成された発光層の上層に、直接又は他の層を介して、電子輸送層を形成する工程と、形成された電子輸送層の上層に陰極を形成する工程と、を有することを特徴とするものである。
【0011】
本発明が適用される電界発光素子の製造方法における発光層を形成する工程は、半導体結晶と半導体結晶に配位する配位子とからなる半導体超微粒子を、配位子と相溶する溶媒に溶解した溶液を用いることを特徴とすれば、均質膜からなる発光層を有する電界発光素子を簡便な方法により製造することができる。この場合、半導体超微粒子を溶解した溶液は、正孔輸送層を溶解しない溶媒に半導体超微粒子を溶解した溶液であることが好ましい。また、半導体超微粒子の溶液を正孔輸送層の上面に塗布することが好ましい。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下に、本実施の形態が適用される電界発光素子について説明する。
図1(A)〜図1(C)は、本実施の形態が適用される電界発光素子を説明するための図である。図1(A)は、本実施の形態が適用される電界発光素子の第1の実施形態を示し、図1(B)は、本実施の形態が適用される電界発光素子の第2の実施形態を示し、図1(C)は、本実施の形態が適用される電界発光素子の第3の実施形態を示している。
【0013】
図1(A)に示された第1の実施形態の電界発光素子100aは、支持体としてのガラス板等の基板101と、基板101上に設けられた陽極102と、陽極102の上層に設けられ、陽極102から注入された正孔を輸送する正孔輸送層103と、正孔輸送層103の上層に設けられ、注入された正孔と電子との再結合により発光する半導体超微粒子から形成された均質膜からなる発光層104と、発光層104の上層に設けられ、発光層104に電子を輸送する電子輸送層105と、電子輸送層105の上層に設けられ、電子輸送層105に電子を注入する陰極106と、を有する。
【0014】
基板101は、電界発光素子100aの支持体となるものであり、石英、ガラスの板、金属板、金属箔、プラスチックフィルム、プラスチックシート等が用いられる。中でも、ガラス板、ポリエステル、ポリメタクリレート、ポリカーボネート、ポリスルホン製等の透明な合成樹脂基板が好ましい。但し、合成樹脂基板を使用する場合にはガスバリア性が高いことが必要である。基板101のガスバリヤ性が過度に低いと、基板101を通過した外気により電界発光素子100aが劣化することがあるので好ましくない。このため、合成樹脂基板の少なくとも片面に緻密なシリコン酸化膜等を設け、ガスバリア性を確保することが好ましい。
【0015】
陽極102は、基板101の上層に設けられ、発光層104への正孔注入の役割を果たすものである。陽極102を形成する材料は、無機化合物及び有機化合物が挙げられ、特に限定されないが、通常、無機化合物としては、例えば、アルミニウム、金、銀、ニッケル、パラジウム、白金等の金属;インジウム及び/またはスズの酸化物等の金属酸化物;ヨウ化銅等のハロゲン化金属、カーボンブラック等が挙げられる。また、有機化合物としては、例えば、ポリ(3−メチルチオフェン)、ポリピロール、ポリアニリン等の導電性高分子が挙げられる。
【0016】
陽極102を形成する方法は、通常、スパッタリング法、真空蒸着法等が挙げられる。また、陽極102を形成する材料として、銀等の金属微粒子、ヨウ化銅等の微粒子、カーボンブラック、導電性の金属酸化物微粒子、導電性高分子微粉末等を用いる場合は、これらを適当なバインダー樹脂に分散させた溶液を基板101上に塗布することにより形成することもできる。尚、陽極102は異なる物質を積層させて形成することも可能である。陽極102の厚さは、必要とされる光透過性により適宜選択され特に限定されないが、例えば、可視光の透過率が60%以上、好ましくは80%以上の場合は、通常、5〜1000nm、好ましくは10〜500nm程度である。光透過性が必要とされない場合は、陽極102を形成する材料は基板101と同一の材料を使用することができる。また、さらに、陽極102の上面に陽極102とは異なる導電材料を積層することも可能である。
【0017】
正孔輸送層103は、陽極102の上層に設けられ、陽極102から注入された正孔を発光層104に輸送する役割を果たすものである。正孔輸送層103を形成する正孔輸送性物質としては、陽極102から注入された正孔の注入効率が高く、且つ、注入された正孔を発光層104に効率よく輸送することができる材料であれば特に限定されない。また、イオン化ポテンシャルが小さく、正孔移動度が大きく、さらに安定性に優れ、トラップとなる不純物が製造時や使用時に発生しにくいことが要求される。さらに、発光を消光する物質が含まれていないことが望ましい。
【0018】
このような正孔輸送性物質としては、例えば、4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル等の2個以上の3級アミンを含み2個以上の縮合芳香族環が窒素原子に置換した芳香族ジアミン;4,4’,4”−トリス(1−ナフチルフェニルアミノ)トリフェニルアミン等のスターバースト構造を有する芳香族アミン化合物;トリフェニルアミンの四量体から成る芳香族アミン化合物;2,2’,7,7’−テトラキス−(ジフェニルアミノ)−9,9’−スピロビフルオレン等のスピロ化合物等が挙げられる。また、ポリ(p−フェニレンビニレン)、ポリ[2−メトキシ−5−(2−エチルヘキシルオキシ)−1,4−フェニレンビニレン]、ポリ(3−アルキルチオフェン)、ポリビニルカルバゾール(PVK)等の高分子材料;PVK等の高分子材料に電子移動材料を混合した系等が挙げられる。さらに、ポリビニルトリフェニルアミン;テトラフェニルベンジジンを含有するポリアリーレンエーテルサルホン等の高分子材料が挙げられる。尚、正孔輸送性物質としては、例えば、電界発光素子の応用分野として車載表示用の用途においては耐熱性が要求されるため、ガラス転移温度が85℃以上の材料が望ましい。
【0019】
正孔輸送層103を形成する方法は、陽極102の上層に正孔輸送性材料を塗布法又は真空蒸着法により積層する方法が挙げられる。正孔輸送層103の厚さは、通常1〜300nm、好ましくは5〜100nmである。
【0020】
発光層104は、正孔輸送層103の上層に設けられ、電界を与えられた電極間において、陽極102から正孔輸送層103を介して注入された正孔と陰極106から電子輸送層105を介して注入された電子とを効率よく再結合し、且つ、再結合により効率よく発光する半導体超微粒子から形成される。発光層104には一種類のみの半導体超微粒子が含まれてもよく、複数種を混在させることも可能である。
【0021】
電界発光素子100aの発光層104を形成する半導体超微粒子は、半導体結晶を主体とし、この半導体結晶の表面に、有機化合物からなる配位子が配位した構造を有するものである。この主体となる半導体結晶の大きさをナノメートル(nm)レベルとすることで、量子効果によって生ずる量子化された準位エネルギーギャップを生じ、その結果、この量子化された準位エネルギーギャップに起因する電磁波の吸収および発生現象が観測される。電界発光素子として応用する上で、特に有用な発光波長範囲は、遠紫外〜赤外領域の光であり、通常150〜10000nm、好ましくは180〜8000nm、更に好ましくは200〜6000nm、最も好ましくは220〜4000nm程度の範囲である。尚、量子化された準位エネルギーギャップの大きさは、半導体超微粒子の粒径に依存する。
【0022】
(半導体結晶)
発光層104を形成する半導体超微粒子における半導体結晶は、特に限定されず、例えば、半導体単結晶、複数半導体結晶組成が相分離した混晶、相分離の観察されない混合半導体結晶のいずれからも構成することができる。また、後述するコア−シェル構造とすることも可能である。半導体結晶の粒径は、吸発光能等の電磁気学的特性の観点から、数平均粒径として、通常0.5〜20nm、好ましくは1〜15nm、更に好ましくは2〜12nm、最も好ましくは2〜10nmである。半導体結晶の粒径が過度に小さい場合は、独立した半導体結晶としての機能(例えば、発光能を与えるバンド構造の形成等)が低下したり、製造時の単離収率が極端に低下する場合がある。また、半導体結晶の粒径が過度に大きい場合は、凝集性が極端に増大したり、量子効果によるエキシトン吸発光の制御性が低下する場合がある。
【0023】
半導体結晶の量子効果による発光特性は、このような半導体結晶の粒径により制御される。この粒径は、通常、透過型電子顕微鏡(TEM)による観察で測定することが可能である。尚、半導体結晶に含有される元素の原子番号が小さいために電子線によるコントラストが得にくい場合には、半導体超微粒子の原子間力顕微鏡(AFM)による観察、溶液中の光散乱、中性子散乱測定と元素分析等の組成分析結果を組み合わせて測定することができる。
【0024】
半導体結晶の粒径分布は特に限定されないが、半導体結晶の量子効果による発光特性を利用する場合、このような粒径分布を変えて、必要とする発光波長幅を変化させることができる。例えば、粒径分布を、通常、標準偏差として±40%以内、好ましくは±30%以内、更に好ましくは±20%以内、最も好ましくは±10%以内として狭くすることにより、発光波長幅を狭くすることができる。
【0025】
(半導体結晶の組成)
半導体結晶の組成は、特に限定されないが、具体例としては、例えば、炭素、ケイ素、ゲルマニウム、錫等の周期表第14族元素の単体;リン(黒リン)等の周期表第15族元素の単体;セレン、テルル等の周期表第16族元素の単体;炭化ケイ素(SiC)等の複数の周期表第14族元素からなる化合物;周期表第14族元素と周期表第16族元素との化合物:周期表第13族元素と周期表第15族元素との化合物(又はIII−V族化合物半導体);周期表第13族元素と周期表第16族元素との化合物;周期表第13族元素と周期表第17族元素との化合物:周期表第12族元素と周期表第16族元素との化合物(又はII−VI族化合物半導体);周期表第15族元素と周期表第16族元素との化合物;周期表第11族元素と周期表第16族元素との化合物;周期表第11族元素と周期表第17族元素との化合物;周期表第10族元素と周期表第16族元素との化合物;周期表第9族元素と周期表第16族元素との化合物;周期表第8族元素と周期表第16族元素との化合物;周期表第7族元素と周期表第16族元素との化合物;周期表第6族元素と周期表第16族元素との化合物;周期表第5族元素と周期表第16族元素との化合物;周期表第4族元素と周期表第16族元素との化合物;周期表第2族元素と周期表第16族元素との化合物;カルコゲンスピネル類;バリウムチタネート(BaTiO)等が挙げられる。
【0026】
これらのうち、発光能の点で実用的に重要なものを組成式で示すと、例えば、SnS、SnS、SnSe、SnTe、PbS、PbSe、PbTe等の周期表第14族元素と周期表第16族元素との化合物;GaN、GaP、GaAs、GaSb、InN、InP、InAs、InSb等のIII−V族化合物半導体;Ga、Ga、GaSe、GaTe、In、In、InSe、InTe等の周期表第13族元素と周期表第16族元素との化合物;ZnO、ZnS、ZnSe、ZnTe、CdO、CdS、CdSe、CdTe、HgO、HgS、HgSe、HgTe等のII−VI族化合物半導体;As、As、AsSe、AsTe、Sb、Sb、SbSe、SbTe、Bi、Bi、BiSe、BiTe等の周期表第15族元素と周期表第16族元素との化合物;MgS、MgSe等の周期表第2族元素と周期表第16族元素との化合物が挙げられる。これらの中でも、GaN、GaP、InN、InP、Ga、Ga、In、In、ZnO、ZnS、CdO、CdS等は、毒性の高い陰性元素を含まないので耐環境汚染性や生物への安全性の点で好ましく、この観点でZnO及びZnSは更に好ましく、安全性、原料の経済性等の点でZnSは最も好ましい。また、CdSeとZnSeは発光の安定性の点で非常に好ましい。
【0027】
(コア−シェル構造)
発光層104を形成する半導体超微粒子における半導体結晶は、内核(コア)と外殻(シェル)からなるいわゆるコア−シェル構造とすると、コアを成す半導体結晶の量子効果による発光能が改良されるので好適である。コア−シエル構造の場合、コアを形成する半導体結晶構造よりもバンドギャップエネルギーの大きな半導体結晶構造をシェルとして起用することにより、コア形成する半導体結晶の発光効率を減衰させる表面準位や結晶格子欠陥準位等を経由するエネルギー損失を防ぐことが可能である。
【0028】
このようなコア−シエル構造におけるシェルに好適に用いられる半導体結晶としては、コアを形成する半導体結晶のバンドギャップエネルギーにもよるが、通常、温度300Kのバルク状態におけるバンドギャップが、2.0eV以上、好ましくは、2.3eV以上、さらに好ましくは2.5eV以上であるものが挙げられる。具体的には、例えば、周期表第13族元素と周期表第15族元素との化合物(III−V族化合物半導体);周期表第12族元素と周期表第16族元素との化合物(II−VI族化合物半導体);周期表第2族元素と周期表第16族元素との化合物等が好適に用いられる。これらの中、好ましいシェルとなる半導体結晶組成は、BN、BAs、GaN等のIII−V族化合物半導体;ZnO、ZnS、ZnSe、CdS等のII−VI族化合物半導体;MgS、MgSe等の周期表第2族元素と周期表第16族元素との化合物等が挙げられる。また、最も好ましいのは、BN、BAs、GaN、ZnO、ZnS、ZnSe、MgS、MgSe等である。
【0029】
尚、上述した半導体結晶には、必要に応じて微量の各種元素をドープ物質(故意に添加する不純物の意味)として加えることができる。このようなドープ物質を添加することにより半導体結晶の発光特性を大きく向上させることができる。
【0030】
(配位子)
発光層104を形成する半導体超微粒子は、半導体結晶の表面に配位する有機化合物の配位子を有する。半導体結晶と配位子との結合様式は、特に限定されないが、例えば、配位結合、共有結合、イオン結合等の比較的強い化学結合、ファンデルワールス力、水素結合、疎水−疎水相互作用、分子鎖の絡み合い効果等の比較的弱い可逆的な引力相互作用等が例示される。
【0031】
このような半導体超微粒子の表面に、後述する配位子交換反応によって導入される有機化合物からなる配位子を機能配位子と称する。機能配位子は、半導体超微粒子の均質膜からなる発光層104を形成する際に、湿式プロセスにおいて使用する溶媒と相溶する性質を有することが必要である。そのために、機能配位子の分子構造には、半導体超微粒子を溶媒中に分散させる機能を担う部位が存在することが好ましい。例えば、機能配位子の分子構造として、パーフルオロアルキル基が含まれている場合は、機能配位子とフッ素系溶媒とは相溶し、このような機能配位子を有する半導体超微粒子は、フッ素系溶媒に可溶になる場合が多い。また、機能配位子の分子構造として、ポリアルキレングリコール基が含まれている場合は、機能配位子とアルコール又はケトン系溶媒とは相溶し、このような機能配位子を有する半導体超微粒子は、アルコール又はケトン系溶媒に可溶になることが多い。さらに、機能配位子の分子構造として、例えば、多価ヒドロキシル基等の親水性構造又はイオン構造が含まれている場合は、このような機能配位子を有する半導体超微粒子は、水に可溶になることが多いことが知られている。
【0032】
有機化合物からなる機能配位子は、機能配位子を半導体結晶の表面に配位させるための配位官能基(アンカー)を有する。このような配位官能基としては、特に限定されないが、例えば、周期表第15又は16族元素を含有する官能基が挙げられる。具体的には、周期表第15族元素を含有する官能基としては、1級アミノ基、2級アミノ基、3級アミノ基、ニトリル基、イソシアネート基等の含窒素多重結合を有する官能基;ピリジン環、トリアジン環等の含窒素芳香環等の窒素含有官能基;1級ホスフィン基、2級ホスフィン基、3級ホスフィン基、1級ホスフィンオキシド基、2級ホスフィンオキシド基、3級ホスフィンオキシド基、1級ホスフィンセレニド基、2級ホスフィンセレニド基、3級ホスフィンセレニド基、ホスホン酸等のリン含有官能基等が挙げられる。これらの中、好ましく利用されるのは、ピリジン環等の窒素含有官能基;1級アミノ基、3級ホスフィン基、3級ホスフィンオキシド基、3級ホスフィンセレニド基、ホスホン酸基等のリン含有官能基が挙げられる。
【0033】
周期表第16族元素を含有する官能基としては、水酸基、メチルエーテル基、フェニルエーテル基、カルボキシル基等の酸素含有官能基;メルカプト基(別称はチオール基)、メチルスルフィド基、エチルスルフィド基、フェニルスルフィド基、メチルジスルフィド基、フェニルジスルフィド基、チオ酸基、ジチオ酸基、キサントゲン酸基、キサンテート基、イソチオシアネート基、チオカルバメート基、スルホ基、スルホキシド、チオフェン環等の硫黄含有官能基;−SeH、−SeCH、−SeC等のセレン含有官能基;−TeH、−TeCH、−TeC等のテルル含有官能基等が挙げられる。これらの中でも、好ましくは、メルカプト基、メチルスルフィド基等の硫黄含有官能基が挙げられる。
【0034】
尚、半導体ナノ結晶に代表される半導体結晶に配位するこのような有機化合物からなる配位子の具体的な配位化学構造は十分に解明されていないが、本実施の形態においては、半導体超微粒子表面に上述した有機化合物が存在する限り、配位子官能基は必ずしもそのままの構造を保持していなくても良い。
【0035】
(補助的配位子)
発光層104を形成する半導体超微粒子は、必要に応じて機能配位子と共に補助的配位子を任意の割合で併用することにより、機能配位子によって覆われた半導体超微粒子の溶剤への分散性又は溶解性を向上させ、半導体超微粒子の電子物性をさらに高めることができる。補助的配位子としては、特に限定されないが、例えば、半導体超微粒子の合成の際に使用される液相媒質の構成成分、配位子、界面活性剤等の有機化合物、又はこれらの有機化合物が何らかの化学変化を受けて生成する化合物等の有機成分が挙げられる。
【0036】
このような補助的配位子の具体例としては、例えば、トリアルキルホスフィン類、トリアルキルホスフィンオキシド類、アルカンスルホン酸類、アルカンホスホン酸類、アルキルアミン類、ジアルキルスルホキシド類等が挙げられる。これらの中、トリオクチルホスフィンオキシド、テトラデカンホスホン酸、ヘキサデシルアミンは、後述するホットソープ法による半導体超微粒子の合成に使用する反応溶媒としても兼用でき、また、配位子に覆われた半導体超微粒子の発光効率上昇に寄与し、溶剤に対する溶解度向上に寄与する等の補助的機能を有するので極めて好適である。
【0037】
(配位子の含有量)
発光層104を形成する半導体超微粒子が有する機能配位子及び補助的配位子の含有量は、使用される半導体結晶の粒径により適宜選択することができ、特に限定されないが、半導体超微粒子を分散させる溶媒、樹脂バインダ等の有機マトリクス物質への分散性及び化学的安定性を考慮すると、後述する単離精製工程を経て十分に精製された状態で、半導体超微粒子中、通常、1〜90重量%、好ましくは5〜80重量%、更に好ましくは10〜70重量%、最も好ましくは15〜60重量%程度である。
【0038】
有機化合物からなる機能配位子及び補助的配位子の含有量は、例えば、各種元素分析や熱重量分析等により測定される。また、配位子を構成する有機化合物の化学種や化学的環境についての情報は、赤外吸収スペクトル(IR)や核磁気共鳴(NMR)スペクトルから得られる。尚、半導体超微粒子における機能配位子と補助的配位子とのモル比は、通常、0.01〜100、好ましくは0.05〜50、更に好ましくは0.1〜10である。
【0039】
(半導体超微粒子の製造方法)
発光層104を形成する半導体超微粒子の製造方法としては、従来行われている下記の半導体超微粒子の製造方法等、公知の任意の方法が挙げられる。例えば、高真空プロセスとしては、(a)分子ビームエピタキシー法、CVD法等;液相製造方法としては、(b)原料水溶液を、例えば、n−ヘプタン、n−オクタン、イソオクタン等のアルカン類、又はベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素等の非極性有機溶媒中の逆ミセルとして存在させ、この逆ミセル相中にて結晶成長させる逆ミセル法、(c)熱分解性原料を高温の液相有機媒体に注入して結晶成長させるホットソープ法、さらに、(d)ホットソープ法と同様に、酸塩基反応を駆動力として比較的低い温度で半導体結晶成長を伴う溶液反応法等が挙げられる。これらの中でも、(b)〜(d)に例示した液相製造方法が好ましい。
【0040】
尚、(b)〜(d)に例示した液相製造方法において、半導体超微粒子の合成に際して表面に存在することとなる有機化合物を、初期配位子と呼ぶ。例えば、ホットソープ法における初期配位子の例としては、トリアルキルホスフィン類、トリアルキルホスフィンオキシド類、アルキルアミン類、ジアルキルスルホキシド類、アルカンホスホン酸等が挙げられる。
【0041】
(配位子交換反応)
発光層104を形成する半導体超微粒子は、前述した液相製造方法において半導体結晶の表面に配位した初期配位子を、配位子交換反応により機能配位子に交換することが好ましい。具体的には、例えば、前述したホットソープ法により得られるトリオクチルホスフィンオキシド等の初期配位子は、機能配位子を含有する液相中で行う配位子交換反応により、機能配位子と交換することが可能である。この場合、必要に応じて溶剤を使用した液相としても良く、使用する機能配位子が反応条件において液体である場合には、それ自身を溶媒とし他の溶剤を添加しない反応形式も可能である。例えば、メタノール等アルコール類中で行う方法、ジメチルスルホキシドとメタノール等アルコール類の混合溶媒中で行う方法、クロロホルム等ハロゲン化溶剤中で行う方法等が挙げられる。また、ホットソープ法により半導体結晶の表面に配位したトリオクチルホスフィンオキシド等の配位性有機化合物は、この半導体結晶をピリジン等の弱配位性化合物を含有する液相に分散させて除去する方法も応用可能である。この場合、通常、ピリジン等の弱配位性化合物中で配位性有機化合物を除去する第一工程と機能配位子を加える第二工程とからなる二段階反応で行われる。
【0042】
このような配位子交換反応に用いられる溶剤は、配位子に覆われた半導体超微粒子又はその生成物等の溶解度調整等の必要に応じ、任意の種類・組み合わせ・混合比を適宜選択することができ、特に限定されない。配位子交換反応が行われる反応温度は、有機物の熱劣化や交換反応の未完結を避けることを考慮すると、通常、−10〜250℃、好ましくは0〜200℃、更に好ましくは10〜150℃、最も好ましくは20〜120℃程度の温度範囲である。また、配位子交換反応が行われる反応時間は、原料や反応温度により適宜選択されるが、通常、1分〜100時間、好ましくは5分〜70時間、更に好ましくは10分〜50時間、最も好ましくは10分〜30時間程度である。尚、配位子交換反応において、初期配位子に覆われた半導体結晶と機能配位子とを反応系に加える順序に制限はない。
【0043】
配位子交換反応は、酸化等の副反応を避けるため、窒素やアルゴン等の不活性気体雰囲気において行うのが望ましい。また、配位子交換反応だけでなく、超微粒子製造の後処理工程は、遮光された条件下で行われることが好ましい。
【0044】
配位子交換反応により生成した生成物は、通常、濾過、沈殿法と遠心分離法との併用、蒸留、昇華等の任意の方法により単離することができる。特に、半導体結晶の比重が通常の有機化合物より大きいことを利用した沈殿法と遠心分離法との併用が好ましい。遠心分離法は、配位子交換反応後の生成物を含有する溶液を、機能配位子が表面に存在する半導体超微粒子にとって貧溶媒となる溶媒中に投入し、生成する沈殿を含む懸濁液を遠心分離して行われる。得られた沈殿は、デカンテーション等により上澄み液と分離し、必要に応じ溶媒洗浄や再溶解と再沈殿/遠心分離を繰り返して精製度を向上させることも可能である。
【0045】
発光層104に使用される半導体超微粒子は一種のみでもよく、複数種を併用することも可能である。さらに、同種の半導体結晶からなる半導体超微粒子でも、例えば、粒径分布を必要に応じて二山分布等その任意に変化させても構わない。
【0046】
本実施の形態が適用される電界発光素子100aにおける発光層104は、前述した半導体結晶とこれに配位する配位子とを有する半導体超微粒子からなる均質膜から形成される。ここで、均質膜とは、半導体超微粒子からなる発光層104の表面を、原子間力顕微鏡(AFM)により直接観察した場合に、少なくとも、15μm以上、好ましくは20μm以上、更に好ましくは25μm以上の連続領域が観察され、ドメイン構造が存在しないことをいう。
【0047】
また、本実施の形態が適用される電界発光素子100aにおける発光層104の上面の表面粗さ(Ra)は、面内の任意の5μmの領域において、通常、25nm未満、好ましくは、10nm未満、更に好ましくは、5nm未満である。尚、表面粗さ(Ra)は、原子間力顕微鏡による直接観察、または、触針型膜厚計を用いて求めることが出来る。
【0048】
発光層104は、塗布法により正孔輸送層103の上層に形成される。例えば、半導体超微粒子の所定量を、必要によりバインダー樹脂や塗布性改良剤等の添加剤を添加し、半導体超微粒子を構成する配位子と相溶する溶媒に溶解して塗布溶液を調製し、スプレー法、印刷法、スピンコート法、ディップコート法、ダイコート法等の通常のコーティング法、インクジェット法等により正孔輸送層103上に塗布し、乾燥して発光層104を形成する。バインダー樹脂の添加量は特に限定されないが、通常、50重量%以下が好ましい。バインダー樹脂の添加量が過度に多いと、キャリア移動度を低下させるおそれがあるので好ましくない。また、フィルム、支持基板、ロール等の媒体に、前述の薄膜形成法によってあらかじめ薄膜を形成しておき、媒体上に形成されたこの薄膜を正孔輸送層103上に熱転写または圧力転写することにより発光層104を形成することも出来る。尚、発光層104の厚さは、通常2〜130nm、好ましくは5〜100nmである。
【0049】
尚、発光層104を、塗布法により正孔輸送層103の上層に形成する場合、半導体超微粒子は、正孔輸送層103を構成する材料を溶解しない溶媒に溶解した塗布溶液を調製し、これをスピンコート法等により正孔輸送層103の上に塗布することが好ましい。ここで、正孔輸送層103を構成する材料を溶解しない溶媒とは、正孔輸送層103を構成する材料1mgを溶媒100mlに浸漬し、常温において12時間攪拌した後、溶解度が10%以下のものをいう。
【0050】
また、発光層104には、正孔輸送性物質または電子輸送をさらに促進するために電子輸送性物質をさらに添加しても良い。このような電子輸送性物質としては、陰極106からの電子注入が容易で、電子の輸送能力がさらに大きいことが要求される。具体例としては、例えば、8−ヒドロキシキノリンのアルミニウム錯体等の金属錯体、10−ヒドロキシベンゾ[h]キノリンの金属錯体、オキサジアゾール誘導体、ジスチリルビフェニル誘導体、シロール誘導体、3−または5−ヒドロキシフラボン金属錯体、ベンズオキサゾール金属錯体、ベンゾチアゾール金属錯体、トリスベンズイミダゾリルベンゼン、キノキサリン化合物、フェナントロリン誘導体、2−t−ブチル−9,10−N,N’−ジシアノアントラキノンジイミン、n型水素化非晶質炭化シリコン、n型ZnS、n型ZnSe等が挙げられる。
【0051】
本実施の形態が適用される電界発光素子100aにおける電子輸送層105は、発光層104の上層に設けられ、発光層104に電子を輸送する役割を果たす。電子輸送層105を形成する材料としては上述した電子輸送性物質が挙げられる。電子輸送層105の厚さは、通常、5〜200nm、好ましくは10〜100nmである。電子輸送層105は、発光層104の上層に、電子輸送性物質を、塗布法、真空蒸着法により積層して形成される。
【0052】
陰極106は、電子輸送層105の上層に設けられ、電子輸送層105に電子を注入する役割を果たす。陰極106として用いられる材料は、陽極102に使用される材料と同様な材料を用いることが可能である。電子注入を効率よく行なうためには、仕事関数の低い金属が好ましく、例えば、スズ、マグネシウム、インジウム、カルシウム、アルミニウム、銀等の適当な金属またはそれらの合金が用いられる。具体例としては、マグネシウム−銀合金、マグネシウム−インジウム合金、アルミニウム−リチウム合金等の低仕事関数合金電極が挙げられる。陰極106の厚さは、陽極102と同様に、通常、5〜1000nm、好ましくは10〜500nmである。さらに、低仕事関数金属からなる陰極106を保護する目的で、陰極106の上に、仕事関数が高く大気に対して安定な金属層を積層することにより電界発光素子100aの安定性を向上させることができる。このような金属層を形成するための金属としては、例えば、アルミニウム、銀、銅、ニッケル、クロム、金、白金等が挙げられる。
【0053】
図1(B)に示された第2の実施形態としての電界発光素子100bは、第1の実施形態の電界発光素子100aを構成する各層に加えて、陽極102の上層に形成された陽極バッファ層107を有する。陽極バッファ層107は、正孔注入の効率をさらに向上させ、かつ、有機層全体の陽極102への付着力を改善する。陽極バッファ層107を設けた電界発光素子100bは、電界発光素子100aに比べて、初期の駆動電圧が下がり、同時に、電界発光素子100bを定電流で連続駆動したときの電圧上昇が抑制される。陽極バッファ層107に用いられる材料としては、陽極102のコンタクトがよく、均一な薄膜が形成でき、熱的に安定であり、融点が300℃以上、ガラス転移温度が100℃以上であり、さらに、イオン化ポテンシャルが低く、陽極102からの正孔注入が容易であり、正孔移動度が大きい材料が使用される。
【0054】
陽極バッファ層107を形成するための材料としては、例えば、銅フタロシアニン等のフタロシアニン化合物、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリ(エチレンジオキシチオフェン)/ポリスチレンスルフォネート等の有機化合物、スパッタ・カーボン膜、バナジウム酸化物、ルテニウム酸化物、モリブデン酸化物等の金属酸化物等が挙げられる。陽極バッファ層107は、真空蒸着法又は塗布法を用いて薄膜を形成することが可能であり、さらに、無機物を用いる場合は、スパッタ法、電子ビーム蒸着法、プラズマCVD法等が用いられる。陽極バッファ層107の厚さは、通常、3〜100nm、好ましくは5〜50nmである。
【0055】
図1(C)に示された第3の実施形態としての電界発光素子100cは、第2の実施形態の電界発光素子100bを構成する各層に加えて、発光層104の上層に形成された正孔阻止層108を有する。正孔阻止層108は、正孔と電子とを発光層104内に閉じこめて、発光効率を向上させる機能を有する。正孔阻止層108は、正孔輸送層103から移動してくる正孔が電子輸送層105に到達するのを阻止し、陰極106から注入された電子を効率よく発光層104の方向に輸送することができる化合物より形成される。また、正孔阻止層108を形成する材料には、電子移動度が高く、正孔移動度が低いことが必要とされる。
【0056】
正孔阻止層108を形成する材料としては、例えば、混合配位子錯体、二核金属錯体等の金属錯体;ジスチリルビフェニル誘導体等のスチリル化合物;トリアゾール誘導体、フェナントロリン誘導体等が挙げられる。
【0057】
さらに、陰極106と電子輸送層105との界面に、厚さ0.1〜5nmの、LiF、MgF、LiO等の極薄絶縁膜を挿入することにより、電界発光素子100cの効率を向上させることが可能である。
【0058】
尚、本実施の形態が適用される電界発光素子100a,100b,100cの構造は、上述した構造に限定されるものではない。例えば、基板101上に陰極106、電子輸送層105、発光層104、正孔輸送層103、陽極102の順に積層することも可能である。この場合は、発光層104は電子輸送層105上に、塗布法等の方法により製膜される。また、少なくとも一方が透明性の高い2枚の基板の間に電界発光素子を設けることも可能である。また、各層間に前述した層以外の任意の層が形成されていても良い。
【0059】
本実施の形態が適用される電界発光素子100a,100b,100cは、半導体結晶の励起状態からの発光を有する半導体超微粒子を機能分離型素子の発光層104として用いることにより、簡便な製造方法により製造することができる。また、駆動電圧が低く、駆動安定性が改善される。さらに、量子サイズ効果等による半導体超微粒子からの発光波長のコントロール技術と組み合わせることで、フルカラーあるいはマルチカラーのパネルへの応用において優れた性能を発揮できる。
【0060】
【実施例】
以下に実施例を挙げて、本実施の形態をより具体的に説明する。尚、本実施の形態は、実施例に限定されるものではない。また、合成例、実施例中の%は、特に断らない限り総て重量基準である。
(測定装置と条件等)
(1)赤外吸収(IR)スペクトル
日本分光工業(株)製FT/IR−8000型FT−IRを使用して、23℃にて測定した。
(2)吸収スペクトル
ヒューレットパッカード社製HP8453型紫外・可視吸光光度計を使用して、光路長1cmの石英製セルを用いて室温で測定した。
(3)光励起発光(PL)スペクトル
日立製作所(株)製F−2500型分光蛍光光度計にて、スキャンスピード60nm/分、励起側スリット5nm、蛍光側スリット5nm、フォトマル電圧400Vの条件で、光路長1cmの石英製セルを用いて測定した。
(4)原子間力顕微鏡(AFM)観察
セイコーインスツルメント(株)製SPA300/SPI3800を使用し、窒化シリコン製三角形カンチレバー(ピラミダル形状探針)を用い、コンタクトモードで測定を行った。
(5)表面粗さ(Ra)
ケーエルエー・テンコール社製断面・表面あらさ微細形状測定装置P−15を使用し、走査長さ5μm、走査速度0.2mm/秒、針圧0.2〜2.0mgの条件で測定を行った。数値が小さいほど表面が平滑である(単位:nm)。
【0061】
(合成例1:初期配位子を有するCdSe超微粒子の合成)
無色透明のガラス製3口フラスコにトリオクチルホスフィンオキシド(TOPO)4gを入れ、乾燥Arガス雰囲気でマグネチックスターラーで攪拌しながら350℃に加熱した。別途、乾燥窒素雰囲気下で、セレン(単体の黒色粉末)0.05gをトリブチルホスフィン(TBP)2.19gに溶解した液体に、さらにジメチルカドミウムの10%n−ヘキサン溶液1.09gを混合溶解した原料溶液Aを、ゴム栓で封をしアルミニウム箔ですき間なく包んで遮光したガラス瓶中に調製した。
【0062】
次に、原料溶液A2.0mlを、前記のTOPOの入ったフラスコに注入した。注入直後、設定温度を300℃とし、反応開始10分後に熱源を除去し約60℃に冷却された時点で無水メタノール10mlを注入して不溶物を生じさせた。この不溶物を遠心分離(3000rpm)し、デカンテーションにより上澄み液を除去して分離し、固形粉末を得た。この固形粉末をトルエン2mlに溶解したトルエン溶液を調製し、このトルエン溶液を無水メタノール20ml中に注入し、室温で5分間撹拌し、遠心分離とデカンテーションにより固体沈殿を分離し、さらに、この固体を室温にて一晩真空乾燥して赤色固形粉体77mgを得た。
【0063】
こうして得た赤色固体粉末をトルエンに溶解し、吸収スペクトルを測定したところピーク波長が548nmに観測された。また、励起光366nmによる発光スペクトルを測定したところ、緑色の発光帯(ピーク波長560nm)が観測された。さらに、この赤色固体粉末のIRスペクトルを測定したところ、TOPOに由来する吸収が観測され、このCdSe半導体結晶の表面には初期配位子としてTOPOが存在していることが確認された(CdSe−TOPOと略記する)。尚、CdSe半導体結晶の粒径は、3.9nmであった。
【0064】
(合成例2:初期配位子を有するCdSe(コア)−ZnS(シェル)超微粒子の合成)
褐色のガラス製3口フラスコにTOPO3gおよびテトラデカンホスホン酸(TDPA)0.060gを入れ、内部をAr置換し、100℃に昇温した。次に、フラスコ中に合成例1で得られたCdSe−TOPOの固形粉体0.03gとトリオクチルホスフィン(TOP)0.3gとn−ヘキサン0.5mlを加え、CdSe−TOPOを含有する溶液を調製した。これを100℃の減圧下で更に約1時間攪拌後、温度を160℃に昇温し、乾燥Arガスを用いて大気圧に復圧した。
【0065】
別途、乾燥窒素雰囲気下で、ジエチル亜鉛の1N濃度n−ヘキサン溶液0.42mlとビス(トリメチルシリル)スルフィド0.089mlをTOP3mlに溶解した原料溶液Bを、ゴム栓で封をしアルミニウム箔ですき間なく包んで遮光したガラス瓶中に調製した。
【0066】
続いて、この原料溶液Bを、160℃に昇温したCdSe−TOPOを含有する溶液に30分間かけて滴下し、90℃に降温後約2時間攪拌を継続し、さらに室温にて約14時間静置後、再び90℃に昇温して4時間加熱撹拌を行った。次に、熱源を除去し、無水n−ブタノール2mlを反応液に加え、室温まで冷却した後に、さらに約90分間撹拌した。この反応液を、室温で無水メタノール20ml中に滴下し、20分間攪拌することにより沈殿操作により赤色不溶物を生じさせた。
【0067】
この赤色不溶物を、合成例1と同様に、遠心分離及びデカンテーションにより分離したのち、トルエン2mlに溶解してトルエン溶液を調製し、このトルエン溶液を、濾過後、無水メタノール20ml中に室温で注入し、5分間撹拌した後、遠心分離し、上澄みをデカンテーションにより除去し、赤色固体粉末を得た。この固体を室温で一晩真空乾燥して、赤色固体粉末40mgを得た。
【0068】
こうして得た赤色固体粉末をクロロホルムに溶解し、吸収スペクトルを測定したところ、ピーク波長が556nmに観測された。また、励起光366nmにより発光スペクトルを測定したところ、緑色の発光帯(ピーク波長569nm)が観測された。この発光は、同程度の溶液濃度において、合成例1で得たCdSe−TOPOの場合よりも明らかに発光強度が大きいことから、原料のCdSe超微粒子を用いてCdSe(コア)−ZnS(シェル)超微粒子が合成されたことが確認された。CdSe−TOPOの場合よりも発光強度が大きいのは、ZnSシェルが形成されたことにより、表面準位等を経由する非発光過程の寄与が抑制されたものと考えられる。尚、CdSe(コア)−ZnS(シェル)超微粒子の粒径は、5.5nmであった。
【0069】
また、この赤色固体粉末のIRスペクトルを測定したところ、TOPOに由来する吸収が観測されたことから、このCdSe(コア)−ZnS(シェル)超微粒子の表面に、初期配位子としてTOPOが存在していることが確認された(CdSe/ZnS−TOPOと略記する)。
【0070】
尚、CdSe結晶の価電子帯における最高の電子準位のエネルギーは6.7eVであり、光学的バンドギャップが2.2eVであることから、CdSe結晶の伝導帯の中の最低の電子準位のエネルギーは、4.5eVである。
【0071】
(合成例3:機能配位子として1H,1H,2H,2H−パーフルオロデカンチオールを有するCdSe(コア)−ZnS(シェル)型半導体超微粒子の合成)以下の操作により、合成例2において得られたCdSe/ZnS−TOPOの初期配位子であるTOPOを、1H,1H,2H,2H−パーフルオロデカンチオール(F8H2)に交換し、半導体超微粒子(1)を合成した。
合成例2で得たCdSe/ZnS−TOPO(20mg)とF8H2(400mg)とを、アルミニウム箔で隙間なく包んで遮光したナスフラスコ内で、乾燥窒素雰囲気下、90℃で3時間攪拌して反応懸濁液を調製した。これにトルエン3mlを加えて混合し、得られた不溶物を精製操作により固体生成物21.3mgを得た。
【0072】
この固体生成物は、クロロホルム、トルエン等の溶媒に対しては不溶であり、一方、ヘキサフルオロベンゼン、COC(3M社製HFE−7200DL NOVEC)、CFCFCClHとCFClCFCClFHとの混合物(旭硝子社製AK−225)等のフッ素系溶媒に容易に分散した。また、この固体生成物のIRスペクトルにより、フルオロアルカンに由来する吸収が観測され、ZnSシェルを有するCdSe超微粒子の表面にF8H2が配位子したことが確認された。この固体生成物のフッ素系溶媒の溶液の吸収スペクトルは、ピーク波長が550nmに観測された。また、発光スペクトルを測定したところ、励起光366nmによる発光スペクトルは、黄緑色の発光帯(ピーク波長566nm)が観測された(半導体超微粒子(1))。
【0073】
(実施例:半導体超微粒子(1)を発光層に含む電界発光素子)
以下の方法により、合成例3で合成した半導体超微粒子(1)を発光層中における発光体として用い、図3に示した電界発光素子と同様な構造を有する有機電界発光素子を作製した。
ガラス基板上に、幅5mmのストライプにパターニングされたインジウム・スズ酸化物(ITO)の透明導電膜(シート抵抗15Ω)150nmを堆積し陽極を形成した。次に、この陽極を堆積したITO基板を、アセトンによる超音波洗浄後、窒素ブローで乾燥させ、陽極の上面に、ポリ(エチレンジオキシチオフェン)/ポリ(スチレンサルフォネート)の1:1混合物を下記の条件でスピンコートし、厚さ約30nmの均一な薄膜からなる陽極バッファ層を形成した。
溶媒:純水
塗布液濃度:0.4%
スピナ回転数:1000rpm
スピナ回転時間:60秒
乾燥条件:真空下、40℃で1時間乾燥
【0074】
次いで、この陽極バッファ層の上面に、ポリ−N−ビニルカルバゾール(PVK;数平均分子量20,000、重量平均分子量40,000、分子量分布2.0)を下記の条件でスピンコートし、厚さ約80nmの均一な薄膜からなる正孔輸送層を形成した。
溶媒:クロロホルム
塗布液濃度:110mg/ml
スピナ回転数:1000rpm
スピナ回転時間:60秒
乾燥条件:真空下、40℃で1時間乾燥
【0075】
次に、この正孔輸送層の上面に合成例3で得られた半導体超微粒子(1)を下記の条件でスピンコートし、厚さ約20nmの半導体超微粒子(1)の均質な薄膜からなる発光層を形成した。
溶媒:AK−225
塗布液濃度:5mg/ml
スピナ回転数:2000rpm
スピナ回転時間:60秒
乾燥条件:真空下、40℃で1時間乾燥
【0076】
この発光層の表面を原子間力顕微鏡(AFM)を用いて観測したところ、発光層は面積25μm以上の連続領域が存在した。また、この発光層上面の表面粗さ(Ra)は、任意の5μmの領域において、5nm未満であった。
【0077】
続いて、真空蒸着により、この発光層の上面に、厚さ30nmの2−(4―ビフェニル)―5−(4―tert−ブチルフェニル)―1,3,4−オキサジアゾールからなる電子輸送層を形成し、さらにこの電子輸送層の上面に陰極を形成し、サイズ5mm×3mmの発光面積部分を有する電界発光素子を作製した。
【0078】
即ち、陽極、陽極バッファ層、正孔輸送層及び発光層が形成された基板を真空蒸着装置内に設置し、液体窒素トラップを備えた油拡散ポンプにより、装置内の真空度が2×10−6Torr(約2.7×10−4Pa)以下まで排気し、次いで、タングステンボートに入れた2−(4―ビフェニル)―5−(4―tert−ブチルフェニル)―1,3,4−オキサジアゾールを加熱し、真空度1.2×10−6Torr(約1.6×10−4Pa)、蒸着速度5nm/秒で蒸着を行なった。尚、真空蒸着する時の基板温度は40℃以下に保持した。
【0079】
次に、この基板を一旦装置内から大気中に取り出し、陰極蒸着用のマスクとして3mm幅のストライプ状シャドーマスクを、陽極のITOストライプと直交するように基板に密着させ、再度、真空蒸着装置内に設置し、装置内の真空度が2×10−6Torr(約2.7×10−4Pa)以下になるまで排気し、続いて、先ず、タングステンボートを用いて、蒸着速度0.1nm/秒、真空度4.0×10−6Torr(約5.3×10−4Pa)で、厚さ5nmのフッ化マグネシウム(MgF)層を成膜し、次に、タングステンボートにより加熱して、蒸着速度2nm/秒、真空度1×10−5Torr(約1.3×10−3Pa)で厚さ500nmのアルミニウム層を形成した。尚、陰極の蒸着時の基板温度は、40℃以下に保持した。
【0080】
図2は、このように作成した電界発光素子の電流電圧特性を表す図である。図2によれば、半導体超微粒子から形成された連続領域が25μm以上の均質膜からなる発光層を有する電界発光素子は、電流電圧特性において、比較的低電圧から電流の増加が認められることが分かる。また、作製した電界発光素子間において良好な再現性が得られた。
【0081】
また、図3は、この電界発光素子の発光スペクトルを表す図である。図3によれば、半導体超微粒子から形成された発光層を有する電界発光素子の発光スペクトルは、半導体超微粒子(1)の薄膜の蛍光スペクトルとほぼ一致したことから、発光層に含まれた半導体超微粒子に由来する発光スペクトルであることが確認された。また、この電界発光素子は、発光層が均質であることから、正孔輸送層や電子輸送層からの発光が観測されず、発光層からの発光のみが観測された。
【0082】
【発明の効果】
かくして本発明によれば、電子デバイス用材料として好適な半導体超微粒子を用いた電界発光素子が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】半導体超微粒子からなる発光層を有する電界発光素子を説明するための図である。
【図2】半導体超微粒子からなる発光層を有する電界発光素子の電流電圧特性を表す図である。
【図3】半導体超微粒子からなる発光層を有する電界発光素子の発光スペクトルを表す図である。
【符号の説明】
100a,100b,100c・・・電界発光素子、101・・・基板、102・・・陽極、103・・・正孔輸送層、104・・・発光層、105・・・電子輸送層、106・・・陰極、107・・・陽極バッファ層、108・・・正孔阻止層

Claims (10)

  1. 基板上に設けられた陽極と、
    前記陽極の上層に直接又は他の層を介して設けられ、当該陽極から注入された正孔を輸送する正孔輸送層と、
    前記正孔輸送層の上層に設けられ、注入された正孔と電子との再結合により発光する半導体超微粒子から形成された均質膜からなる発光層と、
    前記発光層の上層に直接又は他の層を介して設けられ、当該発光層に電子を輸送する電子輸送層と、
    前記電子輸送層の上層に設けられ、当該電子輸送層に電子を注入する陰極と、を備えることを特徴とする電界発光素子。
  2. 前記発光層は、前記半導体超微粒子から形成された少なくとも15μmの連続領域を有する前記均質膜からなることを特徴とする請求項1記載の電界発光素子。
  3. 前記発光層は、前記半導体超微粒子から形成された表面粗さが25nm未満である前記均質膜からなることを特徴とする請求項1記載の電界発光素子。
  4. 前記発光層の上層に設けられ、前記正孔輸送層から移動する正孔が前記電子輸送層に到達するのを阻止する正孔阻止層をさらに備えることを特徴とする請求項1記載の電界発光素子。
  5. 前記発光層は、半導体結晶と前記半導体結晶に配位する配位子とを有する前記半導体超微粒子から形成された前記均質膜からなることを特徴とする請求項1記載の電界発光素子。
  6. 前記半導体結晶は、周期表第13族元素と周期表第15族元素との化合物、周期表第12族元素と周期表第16族元素との化合物及び周期表第2族元素と周期表第16族元素との化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物によりシェルが形成されたコア−シェル構造を有することを特徴とする請求項5記載の電界発光素子。
  7. 基板上に陽極を形成する工程と、
    形成された前記陽極の上層に、直接又は他の層を介して、正孔輸送層を形成する工程と、
    形成された前記正孔輸送層の上層に、半導体超微粒子を溶解した溶液を用いて発光層を形成する工程と、
    形成された前記発光層の上層に、直接又は他の層を介して、電子輸送層を形成する工程と、
    形成された前記電子輸送層の上層に陰極を形成する工程と、を有することを特徴とする電界発光素子の製造方法。
  8. 前記発光層を形成する工程は、半導体結晶と前記半導体結晶に配位する配位子とからなる前記半導体超微粒子を前記配位子と相溶する溶媒に溶解した前記溶液を用いることを特徴とする請求項7記載の電界発光素子の製造方法。
  9. 前記発光層を形成する工程は、前記正孔輸送層を溶解しない溶媒に前記半導体超微粒子を溶解した前記溶液を用いることを特徴とする請求項7記載の電界発光素子の製造方法。
  10. 前記発光層を形成する工程は、前記半導体超微粒子の前記溶液を前記正孔輸送層の上面に塗布することを特徴とする請求項7記載の電界発光素子の製造方法。
JP2003095940A 2003-03-31 2003-03-31 電界発光素子及び電界発光素子の製造方法 Pending JP2004303592A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003095940A JP2004303592A (ja) 2003-03-31 2003-03-31 電界発光素子及び電界発光素子の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003095940A JP2004303592A (ja) 2003-03-31 2003-03-31 電界発光素子及び電界発光素子の製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2004303592A true JP2004303592A (ja) 2004-10-28

Family

ID=33408147

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2003095940A Pending JP2004303592A (ja) 2003-03-31 2003-03-31 電界発光素子及び電界発光素子の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2004303592A (ja)

Cited By (22)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005353595A (ja) * 2004-06-09 2005-12-22 Samsung Electronics Co Ltd ナノ結晶エレクトロルミネッセンス素子およびその製造方法
WO2006098540A1 (en) 2005-03-17 2006-09-21 Samsung Electronics Co., Ltd Quantum dot light -emitting diode comprising inorganic electron transport layer
WO2007010880A1 (en) * 2005-07-15 2007-01-25 Seiko Epson Corporation Light emitting device and electronic equipment provided with the light emitting device
WO2008023716A1 (fr) * 2006-08-25 2008-02-28 Idemitsu Kosan Co., Ltd. Substrat de transfert pour dispositif d'affichage à électroluminescence organique
WO2008032630A1 (fr) * 2006-09-15 2008-03-20 Idemitsu Kosan Co., Ltd. Composition pour élément convertissant les couleurs et procédé pour la production d'un substrat convertissant les couleurs en utilisant la composition
JP2008530802A (ja) * 2005-02-16 2008-08-07 マサチューセッツ・インスティテュート・オブ・テクノロジー 半導体ナノクリスタルを含む発光デバイス
WO2009041596A1 (ja) * 2007-09-28 2009-04-02 Dai Nippon Printing Co., Ltd. エレクトロルミネッセンス素子
EP2283342A2 (en) * 2008-04-03 2011-02-16 QD Vision, Inc. Light-emitting device including quantum dots
JP2011256106A (ja) * 2004-11-11 2011-12-22 Samsung Electronics Co Ltd 多層構造のナノ結晶およびその製造方法
JP2012231154A (ja) * 2006-02-09 2012-11-22 Qd Vision Inc 半導体ナノ結晶およびドープされた有機材料を含む層を含むデバイスおよび方法
US8472758B2 (en) 2006-05-21 2013-06-25 Massachusetts Institute Of Technology Optical structures including nanocrystals
US8535758B2 (en) 2002-11-07 2013-09-17 Massachusetts Institute Of Technology Materials including semiconductor nanocrystals
US8941299B2 (en) 2006-05-21 2015-01-27 Massachusetts Institute Of Technology Light emitting device including semiconductor nanocrystals
US9096425B2 (en) 2006-06-24 2015-08-04 Qd Vision, Inc. Methods for depositing nanomaterial, methods for fabricating a device, methods for fabricating an array of devices and compositions
US9120149B2 (en) 2006-06-24 2015-09-01 Qd Vision, Inc. Methods and articles including nanomaterial
US9349975B2 (en) 2006-09-12 2016-05-24 Qd Vision, Inc. Composite including nanoparticles, methods, and products including a composite
US9574134B2 (en) 2009-05-07 2017-02-21 Massachusetts Institute Of Technology Light emitting device including semiconductor nanocrystals
US9637682B2 (en) 2004-11-11 2017-05-02 Samsung Electronics Co., Ltd. Interfused nanocrystals and method of preparing the same
US9755172B2 (en) 2008-04-03 2017-09-05 Qd Vision, Inc. Device including quantum dots
JP2020015802A (ja) * 2018-07-24 2020-01-30 Dic株式会社 インクおよび発光素子
JP2020193249A (ja) * 2019-05-27 2020-12-03 信越化学工業株式会社 量子ドット、量子ドット組成物、波長変換材料、波長変換フィルム、バックライトユニット及び画像表示装置
WO2023073783A1 (ja) * 2021-10-25 2023-05-04 シャープディスプレイテクノロジー株式会社 発光素子、発光素子の製造方法、表示装置

Cited By (43)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US8535758B2 (en) 2002-11-07 2013-09-17 Massachusetts Institute Of Technology Materials including semiconductor nanocrystals
JP2005353595A (ja) * 2004-06-09 2005-12-22 Samsung Electronics Co Ltd ナノ結晶エレクトロルミネッセンス素子およびその製造方法
US10202545B2 (en) 2004-11-11 2019-02-12 Samsung Electronics Co., Ltd. Interfused nanocrystals and method of preparing the same
JP2011256106A (ja) * 2004-11-11 2011-12-22 Samsung Electronics Co Ltd 多層構造のナノ結晶およびその製造方法
US9637682B2 (en) 2004-11-11 2017-05-02 Samsung Electronics Co., Ltd. Interfused nanocrystals and method of preparing the same
US8232722B2 (en) 2005-02-16 2012-07-31 Massachusetts Institute Of Technology Light emitting devices including semiconductor nanocrystals
US9550614B2 (en) 2005-02-16 2017-01-24 Massachusetts Institute Of Technology Light emitting device including semiconductor nanocrystals
JP2008530802A (ja) * 2005-02-16 2008-08-07 マサチューセッツ・インスティテュート・オブ・テクノロジー 半導体ナノクリスタルを含む発光デバイス
JP2012023388A (ja) * 2005-02-16 2012-02-02 Massachusetts Inst Of Technol <Mit> 半導体ナノクリスタルを含む発光デバイス
US10014438B2 (en) 2005-02-16 2018-07-03 Massachusetts Institute Of Technology Light emitting device including semiconductor nanocrystals
WO2006098540A1 (en) 2005-03-17 2006-09-21 Samsung Electronics Co., Ltd Quantum dot light -emitting diode comprising inorganic electron transport layer
EP1859489A4 (en) * 2005-03-17 2010-07-28 Samsung Electronics Co Ltd QUANTOMOTOT LIGHT EMISSION DIODE WITH INORGANIC ELECTRON TRANSPORT LIGHT
EP1859489A1 (en) * 2005-03-17 2007-11-28 Samsung Electronics Co., Ltd. Quantum dot light -emitting diode comprising inorganic electron transport layer
JP2007027355A (ja) * 2005-07-15 2007-02-01 Seiko Epson Corp 発光素子および電子機器
US8212471B2 (en) 2005-07-15 2012-07-03 Seiko Epson Corporation Light emitting device and electronic equipment provided with the light emitting device
WO2007010880A1 (en) * 2005-07-15 2007-01-25 Seiko Epson Corporation Light emitting device and electronic equipment provided with the light emitting device
JP2012231154A (ja) * 2006-02-09 2012-11-22 Qd Vision Inc 半導体ナノ結晶およびドープされた有機材料を含む層を含むデバイスおよび方法
US8472758B2 (en) 2006-05-21 2013-06-25 Massachusetts Institute Of Technology Optical structures including nanocrystals
US8941299B2 (en) 2006-05-21 2015-01-27 Massachusetts Institute Of Technology Light emitting device including semiconductor nanocrystals
US9120149B2 (en) 2006-06-24 2015-09-01 Qd Vision, Inc. Methods and articles including nanomaterial
US9096425B2 (en) 2006-06-24 2015-08-04 Qd Vision, Inc. Methods for depositing nanomaterial, methods for fabricating a device, methods for fabricating an array of devices and compositions
WO2008023716A1 (fr) * 2006-08-25 2008-02-28 Idemitsu Kosan Co., Ltd. Substrat de transfert pour dispositif d'affichage à électroluminescence organique
US9349975B2 (en) 2006-09-12 2016-05-24 Qd Vision, Inc. Composite including nanoparticles, methods, and products including a composite
WO2008032630A1 (fr) * 2006-09-15 2008-03-20 Idemitsu Kosan Co., Ltd. Composition pour élément convertissant les couleurs et procédé pour la production d'un substrat convertissant les couleurs en utilisant la composition
US7393618B2 (en) 2006-09-15 2008-07-01 Idemitsu Kosan Co., Ltd. Composition for color converting member and production method of color conversion substrate using the same
US8334527B2 (en) 2007-09-28 2012-12-18 Dai Nippon Printing Co., Ltd. Electroluminescent device
GB2466403B (en) * 2007-09-28 2012-05-23 Dainippon Printing Co Ltd Electroluminescent device
WO2009041596A1 (ja) * 2007-09-28 2009-04-02 Dai Nippon Printing Co., Ltd. エレクトロルミネッセンス素子
GB2466403A (en) * 2007-09-28 2010-06-23 Dainippon Printing Co Ltd Electroluminescent device
US9755172B2 (en) 2008-04-03 2017-09-05 Qd Vision, Inc. Device including quantum dots
US11005058B2 (en) 2008-04-03 2021-05-11 Samsung Research America, Inc. Light-emitting device including quantum dots
US9793505B2 (en) 2008-04-03 2017-10-17 Qd Vision, Inc. Light-emitting device including quantum dots
EP2283342A2 (en) * 2008-04-03 2011-02-16 QD Vision, Inc. Light-emitting device including quantum dots
US10164205B2 (en) 2008-04-03 2018-12-25 Samsung Research America, Inc. Device including quantum dots
EP2283342A4 (en) * 2008-04-03 2011-08-24 Qd Vision Inc LIGHT EMITTING DEVICE COMPRISING QUANTUM POINTS
US10333090B2 (en) 2008-04-03 2019-06-25 Samsung Research America, Inc. Light-emitting device including quantum dots
US9574134B2 (en) 2009-05-07 2017-02-21 Massachusetts Institute Of Technology Light emitting device including semiconductor nanocrystals
JP2020015802A (ja) * 2018-07-24 2020-01-30 Dic株式会社 インクおよび発光素子
JP7172238B2 (ja) 2018-07-24 2022-11-16 Dic株式会社 インクおよび発光素子
JP2020193249A (ja) * 2019-05-27 2020-12-03 信越化学工業株式会社 量子ドット、量子ドット組成物、波長変換材料、波長変換フィルム、バックライトユニット及び画像表示装置
WO2020241112A1 (ja) * 2019-05-27 2020-12-03 信越化学工業株式会社 量子ドット、量子ドット組成物、波長変換材料、波長変換フィルム、バックライトユニット及び画像表示装置
US11835815B2 (en) 2019-05-27 2023-12-05 Shin-Etsu Chemical Co., Ltd. Quantum dot, quantum dot composition, wavelength conversion material, wavelength conversion film, backlight unit and image display device
WO2023073783A1 (ja) * 2021-10-25 2023-05-04 シャープディスプレイテクノロジー株式会社 発光素子、発光素子の製造方法、表示装置

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2004303592A (ja) 電界発光素子及び電界発光素子の製造方法
US9887375B2 (en) Device including quantum dots and method for making same
US10014438B2 (en) Light emitting device including semiconductor nanocrystals
KR101625224B1 (ko) 반도체 나노결정 및 도핑된 유기 물질을 포함하는 층을 포함하는 소자 및 방법
JP6168372B2 (ja) 発光デバイス、及び発光デバイスの製造方法
US9093657B2 (en) White light emitting devices
US8334527B2 (en) Electroluminescent device
US20180013088A1 (en) Light-emitting device including quantum dots
CA2480518C (en) Light emitting device including semiconductor nanocrystals
US9505978B2 (en) Blue light emitting semiconductor nanocrystals and devices
CN110240896A (zh) 量子点以及包括其的电致发光器件和电子器件
KR101728575B1 (ko) 양자점을 포함하는 소자
US20100068468A1 (en) Composites and devices including nanoparticles
US20100051901A1 (en) Light emitting devices and displays with improved performance
US9722133B2 (en) Methods for processing quantum dots and devices including quantum dots
JP2006066395A (ja) 半導体ナノ結晶を含有する白色発光有機/無機ハイブリッド電界発光素子
JP2004315661A (ja) 半導体超微粒子及び電界発光素子
US20220416187A1 (en) Display device and light emitting device
JP7342679B2 (ja) インキ組成物、発光層及び電界発光素子
EP4203648A1 (en) Electroluminescent device, production method thereof, and display device including the same
EP4332197A1 (en) Light emitting device and display device including the same
JP2021096947A (ja) 電界発光素子