JP2004303104A - 資産対策システム,資産対策方法,資産対策装置及び資産対策プログラム - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明の目的は、財産や収支・損益の状況を明確にするとともに、相続税等の節税対策に対するシミュレーションを行うことを可能とする、資産対策システム,資産対策方法,資産対策装置及び資産対策プログラムを提供を提供する。
【解決手段】資産に関する情報を収集し、この情報に基づいて最適な税務対策を提示する資産対策システムであって、所定の所有者が有する各資産に関する情報を収集し、各資産についての流動性または収益性を評価し、各資産より発生する相続税に対し、各資産の流動性または収益性に基づいて納税の可否を検討し、資産に関して、土地の有効活用、財産贈与、資産売却、資産取得、資産交換、資産買換、資産分割、納税猶予、会社設立、土地貸付、保険活用、養子縁組、給与分配を含む節税対策を行った場合と行わなかった場合それぞれについて、所有者の損益、収支、推定相続税額を算出するように構成されている。
【選択図】 図1
【解決手段】資産に関する情報を収集し、この情報に基づいて最適な税務対策を提示する資産対策システムであって、所定の所有者が有する各資産に関する情報を収集し、各資産についての流動性または収益性を評価し、各資産より発生する相続税に対し、各資産の流動性または収益性に基づいて納税の可否を検討し、資産に関して、土地の有効活用、財産贈与、資産売却、資産取得、資産交換、資産買換、資産分割、納税猶予、会社設立、土地貸付、保険活用、養子縁組、給与分配を含む節税対策を行った場合と行わなかった場合それぞれについて、所有者の損益、収支、推定相続税額を算出するように構成されている。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は資産対策システムに係り、特に、相続税などの課税対象となる資産について最適な資産対策を提供することが可能な、資産対策システム,資産対策方法,資産対策装置及び資産対策プログラムに関する。
【0002】
【従来の技術】
税金は、大きく分けて国税(国が課税するもの)と、地方税(地方自治体が課税するもの)に分けられるが、特に国税については、所得税,法人税,相続税,贈与税が根本となっており、税収のなかで大きなウェイトを占めている。
【0003】
相続税は財産を次世代に承継する際に課税される。相続税の納税は、申告期限までに現金で一括納付することが原則となっている。このとき、財産のなかで不動産の占める割合が高い場合は、課税される相続税に対して現金で納税することが困難になっている。
【0004】
そこで、分割で納税する延納や、物で納税する物納といった方法をとる場合もあるが、その結果、普段の生活が圧迫されたり、財産を減らしてしまうというケースが多かった。
【0005】
さらに、バブル崩壊により、不動産の実勢価格が下落したにもかかわらず、相続税評価額や固定資産税評価額が、それに伴わず依然として高い水準にあるため、相続税、固定資産税に対する負担感が強くなってきている。
【0006】
また、市場の冷え込み、或いは供給過剰により、相続税の納税のために不動産を売却しようとしても、価格が大幅に下落していたり、売却が困難な状況となっている。
【0007】
従来より、ユーザーの不動産情報に基づいて、相続税評価額や固定資産税評価額、総資産額、債務額、公租公課等の項目について算出及び表示する資産管理システムが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0008】
【0009】
【特許文献1】
特開平11−96217号公報(第3頁)
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
上記資産管理システムにより、不動産情報を確認することができ、相続税額などを把握することが可能となる。
【0011】
しかし、上記従来のシステムでは、一覧として表示された情報を確認するとともに、これらの情報に基づいて相続税申告書の作成等を行うことは可能であるが、資産の価値や収益率に関する情報については提示することができないため、より効果的な資産活用、節税対策に利用することはできなかった。
【0012】
また、生活環境のライフサイクルは毎年変化し、事業を行っている場合であれば、その損益・収支は毎年異なるものとなる。このように変動する環境の中で、画一的でない資産対策が望まれている。
【0013】
本発明の目的は、財産や収支・損益の状況を明確にするとともに、相続税等の節税対策に対するシミュレーションを行うことを可能とする、資産対策システム,資産対策方法,資産対策装置及び資産対策プログラムを提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記課題は、本発明の請求項1に係る資産対策システムによれば、資産に関する情報を収集し、該情報に基づいて最適な税務対策を提示する資産対策システムであって、所定の所有者が有する各資産に関する情報を収集し、前記各資産についての流動性または収益性を評価し、前記各資産より発生する相続税に対し、前記各資産の流動性または収益性に基づいて納税の可否を検討し、前記資産に関して、土地の有効活用、財産贈与、資産売却、資産取得、資産交換、資産買換、資産分割、納税猶予、会社設立、土地貸付、保険活用、養子縁組、給与分配を含む節税対策を行った場合と行わなかった場合それぞれについて、前記所有者の損益、収支、推定相続税額を算出する、ことにより解決される。
【0015】
上記課題は、本発明の請求項2に係る資産対策システムによれば、資産に関する情報を収集し、該情報に基づいて最適な税務対策を提示する資産対策システムであって、前記資産に関する情報として、各資産の相続税評価額,現預金額を含む資産総額、債務総額、前記資産の所有者の家族構成、各資産による収入額を含む総収入額、各資産に係る支出額を含む総支出額、を収集し、節税対策を行った場合と行わなかった場合それぞれについて、資産総額、債務総額、総収入額の予測推移額を算出し、節税対策を行った場合と行わなかった場合それぞれについて、前記資産総額の予測推移額及び債務総額の予測推移額に基づいて課税遺産総額の予測推移額を算出し、該課税遺産総額の予測推移額と前記家族構成に基づいて推定相続税額の予測推移額を算出するとともに、前記総収入額の予測推移額及び総支出額の予測推移額に基づいて内部留保金額の予測推移額を算出し、節税対策を行った場合と行わなかった場合について、少なくとも前記推定相続税額の予測推移額と、内部留保金額の予測推移額との比較結果を提示する、ことにより解決される。
【0016】
本発明の資産対策システムによれば、資産状況と相続税額が提示されるとともに、節税についての各種シミュレーションを行い、将来的にどのような対策を行うのが最も効果的であるか、具体的数値に基づいて検討することが可能となる。
【0017】
前記節税対策としては、具体的には、土地活用として土地への賃貸建物の建築または自宅の建築が含まれる。また、前記土地活用を行うために土地の利用区分の変更を行うこともある。
【0018】
なお、各資産による収入額の予測推移額と、各資産による支出額の予測推移額より、課税所得額の予測推移額を算出すること、前記総収入額の予測推移額に基づいて、所得税額の予測推移額について算出すること、も可能である。
【0019】
本発明の資産対策方法は、各資産の相続税評価額,現預金額を含む資産総額、債務総額、前記資産の所有者の家族構成、各資産による収入額を含む総収入額、各資産に係る支出額を含む総支出額、のいずれか一つまたは二つ以上の組合せを収集する第1の工程と、節税対策を行った場合と行わなかった場合それぞれについて、資産総額、債務総額、総収入額の予測推移額を算出する第2の工程と、節税対策を行った場合と行わなかった場合それぞれについて、前記資産総額の予測推移額及び債務総額の予測推移額に基づいて課税遺産総額の予測推移額を算出し、該課税遺産総額の予測推移額と前記家族構成に基づいて推定相続税額の予測推移額を算出する第3の工程と、前記総収入額の予測推移額及び総支出額の予測推移額に基づいて内部留保金額の予測推移額を算出する第4の工程と、節税対策を行った場合と行わなかった場合それぞれについて、少なくとも前記推定相続税額の予測推移額と、内部留保金額の予測推移額との比較結果を提示する第5の工程と、を備えたことを特徴とする。
【0020】
なお、本発明の資産対策方法において、前記第2の工程の後に、前記各資産による収入額の予測推移額と、各資産による支出額の予測推移額より、課税所得額の予測推移額を算出する工程、または前記総収入額の予測推移額に基づいて所得税額の予測推移額が算出される工程を備えた構成としても良い。
【0021】
本発明の資産対策装置は、各資産の相続税評価額,現預金額を含む資産総額、債務総額、前記資産の所有者の家族構成、各資産による収入額を含む総収入額、各資産に係る支出額を含む総支出額を含む情報を記憶する記憶部と、前記情報を入力する入力部と、前記情報に基づいて節税対策を行った場合と行わなかった場合それぞれについて、資産総額の予測推移額、債務総額の予測推移額、総収入額の予測推移額,課税遺産総額の予測推移額、推定相続税額の予測推移額、内部留保金額の予測推移額のいずれか一つまたは二つ以上の組合せを生成するとともに、節税対策を行った場合と行わなかった場合について、少なくとも前記推定相続税額の予測推移額と、内部留保金額の予測推移額との比較を行う制御部と、該制御部により生成された結果が出力される出力部とを備えたことを特徴とする。
【0022】
前記制御部は、前記資産総額の予測推移額及び債務総額の予測推移額に基づいて課税遺産総額の予測推移額を算出する処理、該課税遺産総額の予測推移額と前記家族構成に基づいて推定相続税額の予測推移額を算出する処理、前記総収入額の予測推移額及び総支出額の予測推移額に基づいて内部留保金額の予測推移額を算出する処理、前記各資産による収入額の予測推移額と、各資産による支出額の予測推移額より、課税所得額の予測推移額を算出する処理、前記総収入額の予測推移額に基づいて所得税額の予測推移額を算出する処理、のいずれか一つまたは二つ以上の組合せを行う。また、前記出力部からは帳票イメージの画面表示またはプリント出力がなされる
【0023】
本発明の資産対策プログラムは、各資産の相続税評価額,現預金額を含む資産総額、債務総額、前記資産の所有者の家族構成、各資産による収入額を含む総収入額、各資産に係る支出額を含む総支出額、のいずれか一つまたは二つ以上の組合せを収集するステップと、節税対策を行った場合と行わなかった場合それぞれについて、資産総額、債務総額、総収入額の予測推移額を算出するステップと、節税対策を行った場合と行わなかった場合それぞれについて、前記資産総額の予測推移額及び債務総額の予測推移額に基づいて課税遺産総額の予測推移額を算出し、該課税遺産総額の予測推移額と前記家族構成に基づいて推定相続税額の予測推移額を算出するステップと、前記総収入額の予測推移額及び総支出額の予測推移額に基づいて内部留保金額の予測推移額を算出するステップと、節税対策を行った場合と行わなかった場合それぞれについて、少なくとも前記推定相続税額の予測推移額と、内部留保金額の予測推移額との比較結果を提示するステップと、をコンピュータに実行させるものである。
【0024】
なお、前記節税対策を行った場合と行わなかった場合それぞれについて、資産総額、債務総額、総収入額の予測推移額を算出するステップの後に、各資産による収入額の予測推移額と、各資産による支出額の予測推移額より、課税所得額の予測推移額を算出するステップ、または資産総額、債務総額、総収入額の予測推移額を算出するステップの後に、前記総収入額の予測推移額に基づいて所得税額の予測推移額が算出されるステップを備えた構成としても良い。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施の形態を図面に基づいて説明する。なお、以下に説明する処理ステップ、装置等は本発明を限定するものでなく、本発明の趣旨の範囲内で種々改変することができるものである。
【0026】
1.システム概略
本例に係るシステムは、不動産をはじめ、現預金、有価証券、生命保険、ゴルフ会員権など、相続税の対象となる財産の現状把握と評価を行い、いくらの相続税がかかるのかを試算し、納税が可能かどうかを確認するものである。
【0027】
そして、問題点の抽出を行い、相続税や所得税への対策と、最適な総合資産対策を立案し、提案するものである。ユーザーは、本例の資産管理システムにより提案された企画に基づいて、対策を実行、実現するものである。
【0028】
図1に、システムの概略図を示す。
図示されているように、本例のシステムでは、ユーザーであるオーナー会員から会員情報と、資産情報を収集し、収集された情報に基づいて、現状処理とシミュレーション処理を行うように構成されている。
【0029】
現状処理として、日報入力、現状把握、提案書(資産明細書)作成が行われる。日報入力は、サービス提供者側で、日々の業務内容と、ユーザーへの訪問履歴及び各種提案内容を入力・蓄積し、ユーザーへのアフターフォローなどに役立てる処理である。
【0030】
現状把握は、ユーザーから収集した情報を、被相続人情報、相続人情報、法人情報、土地情報、建物情報、その他資産情報に分類し、各種現状を示す帳票、現状の損益計算書、現状の収支計算書、現状の相続税予想表を作成する処理である。
【0031】
提案書作成は、上記現状把握で作成された各種帳票類を出力し、ファイリングしてユーザーに提示する処理である。ユーザーは、現状資産内容について説明を受け、今後の対策について検討する。
【0032】
シミュレーション処理では、被相続人・法人の節税対策シミュレーション、遺産分割シミュレーション、相続人の納税対策シミュレーションが行われる。
節税を行うためには、土地の有効活用、等価交換、土地交換、土地売却、土地購入、居住用財産の贈与、自宅建築、投資物件、法人への土地売却、自社株の贈与、養子縁組、現金贈与、買い換え、など種々の手法があるが、ここでは、これらの節税対策にパターン別にシミュレーションを行い、結果を提示する。
【0033】
シミュレーションの結果としては、シミュレーション内容一覧表、対策後損益計算書、対策後収支計算書、対策後相続税予想表が提示される。これらの提示を受けて、ユーザーは、各種対策内容について検討し、対策実施の判断を行う。
なお、シミュレーションにあたり、税理士を交えて、より確実で有効な節税対策案を検討しても良い。
【0034】
遺産分割シミュレーションでは、ユーザーからの遺産分割方法の要望等を受けて、節税対策後の被相続人の資産情報に基づいて、遺産分割指示を入力し、相続人毎の遺産分割情報を算出する。
【0035】
相続人の納税対策シミュレーションでは、相続人の資産情報と、相続人毎の遺産分割情報に基づいて、相続を行った場合の相続人別の損益計算書、収支計算書を作成する。
【0036】
さらに、相続税について、売却、物納、延納、借入など、どのような納付方法にするのが最も得策なのかについてシミュレーションを行う。相続人の納税対策シミュレーションによって、納税対策後の損益計算書、納税対策後の収支計算書、納税対策後の相続税予想表が提示される。
なお、ユーザーから収集した情報や、各シミュレーションの結果情報については、順次集積し、分析を行って、今後の資産対策やユーザーへの提案に活用する。
【0037】
2.ハード構成
本例のシステムは、図2に示すコンピュータ装置10から構成されている。
コンピュータ装置10は、情報を入力する入力部11と、情報に基づいて演算処理を行う制御部13と、制御部13での演算結果を出力する出力部14と、を備えている。また、コンピュータ装置10は、情報を記憶する記憶部を有しているが、本例では、記憶部が別のサーバーに置かれ、この記憶部にユーザーの情報が記憶されるように構成されている。これにより、情報の秘匿性が確保されるとともに、大量のデータを格納することが可能となる。
【0038】
入力部11は、キーボードやマウス、スキャナー等からなり、ユーザー情報と資産情報を入力する。ユーザー情報は、被相続人情報、相続人情報、法人情報、ライフプラン情報を含み、資産情報は、土地情報、建物情報、その他資産情報、を含むものである。なお、借入金情報、3年内贈与情報、があれば、これらの情報も入力する。
【0039】
被相続人情報として、氏名、住所、生年月日、電話番号、FAX番号、携帯番号、メールアドレス、職業、勤務先、現預金額、生命保険の加入状況等の情報が入力される。また、趣味や特記事項があればその情報を入力する。
【0040】
相続人情報として、氏名、被相続人との続柄、同居か否か、相続人扶養控除があるか否か、住所、生年月日、電話番号、FAX番号、携帯番号、メールアドレス、職業、勤務先が入力される。また、趣味や特記事項があればその情報を入力する。
【0041】
上記被相続人情報と相続人情報については、基本的にユーザーへヒアリングを行うことにより情報収集する。さらに、確定申告書の情報に基づいて、個人損益・収支情報を入力する。
【0042】
また、被相続人と相続人のライフプラン情報を収集する。ライフプラン情報としては、自宅増改築、アパートリフォーム、世界一周旅行等、多額の支出があり、ユーザーの資産に影響を与える予定が入力される。
【0043】
法人情報は、登記簿,法人決算書,法人名寄帳,法人税申告書,有価証券報告書等を参照して入力される。法人情報として、名称、所在地、設立年月日、業種、電話番号、FAX番号、従業員数、株式保有割合、土地保有割合、代表者名、配当金額、利益金額、純資産価額、株式上昇率が入力される。さらに、類似業種の前年度株価平均値、配当金額、利益金額、純資産価額が入力される。さらに、財務諸表(貸借対照表、損益計算書)に基づいて、法人損益・収支情報を入力する。
【0044】
資産情報は、土地情報、建物情報、その他資産情報、を含む。土地情報と建物情報は、登記簿を参照して入力される。資産情報については、さらに市区町村が発行する名寄帳(固定資産税課税台帳)の情報、国税庁が発行する路線価図の情報を入力する。名寄帳の情報には、地番、地目、地積、固定資産税評価額、固定資産税課税標準額、都市計画税課税標準額が含まれている。その他資産情報は、ユーザーからのヒアリングにより入力される。
【0045】
土地情報について、筆、利用筆、区画の関係を図3に示す。筆(登記)とは、登記簿の単位であり、図3の筆1,筆2を指すものである。利用筆とは土地利用の都合上、実際の筆(登記)を細分化した単位であり、図3の筆1−1、筆1−2を指すものである。区画とは、利用筆を土地利用する単位で括った単位であり、図3の区画(あ)、区画(い)を指すものである。
【0046】
なお、筆(登記)情報、名寄帳情報、路線価情報、後述する区画編成情報は、家族全体(被相続人、相続人、同族法人)を一括で入力する。これは、共有土地の場合、データを重複して入力することになること、名寄帳情報は代表者(納税義務のある人)毎の情報であるため、共有土地の場合、代表者の情報を入手して、且つ、持分割合を考慮して入力する必要があるため、各人が所有する土地のみで区画を作成するとは限らず、家族全体の登記(筆)情報を考慮しなければ区画編成は行えないと考えられるため、路線価は区画単位に取得するので、各人毎の区画に対して入力することは難しいため、名寄帳・路線価情報は、毎年決まった時期に家族全体の情報を収集し、いっきに更新することが考えられるため、等の理由によるものである。
【0047】
筆情報(登記簿情報)として、登記簿より筆毎に、地番、地積、地目等が入力される。また、所有者毎に、名前、権利持分割合が入力される。さらに、利用者毎に、名前、利用割合、利用権利、用途、収入地代、収入先、支払地代、支払先等を入力する。なお、区画を編成して土地利用が行われている場合は、それぞれの区画に対して情報が入力される。収入先を入力するのは、その不動産収入が、権利関係を持たない家族へ計上されるケースがあるためである。また、支払先については、その支払先が家族のケースがあるためである。
【0048】
筆情報(利用単位)の入力とは、筆情報(登記簿)を分割、利用する場合について入力するものであり、筆情報(登記簿)より、筆情報(利用単位)を作成する。
【0049】
建物情報の入力については、登記簿、目視等により、建物毎に建物名称等を入力する。建物情報についても、収入先及び支払先を入力する。
また、名寄帳情報の入力については、名寄帳情報を筆(登記簿)、建物毎に入力する。
【0050】
借入金情報は、被相続人、相続人、法人のそれぞれの借入金情報が入力される。借入金情報は、借入金の残高明細書,返済の償還表、或いは被相続人または相続人からのヒアリングにより収集され、入力される。このとき、借入に伴う担保物件及び債務物件(借入対象となった物件)の情報も入力する。
【0051】
なお、借入金が、複数の区画又は建物に関係している場合、借入金を分割し、それぞれの区画又は建物情報に結び付けて管理する。区画と建物情報及び借入金の関係を図4に示す。図示されているように、建物情報は1つの区画に複数紐付いている。
【0052】
借入金情報は、人に付く情報のため、区画・建物とは切離して考えるが、区画・建物との紐付けは管理する。また、借入金の担保情報も管理する。図4における借入金1のように、共同担保のケースも考慮する。また、借入金2のように、複数の建物(資産)に紐付くケースは、システム上便宜的に借入金を分割して、各々の建物と紐付くようにする。
【0053】
債務(借入金)の入力については、債務(借入金)を被相続人、相続人、法人毎に入力する。なお、保証金、敷金等、債務とみなされる情報については、区画、建物毎に入力を行い、債務情報として保存する。
【0054】
相続や遺贈で財産をもらった人が、相続開始前3年以内に被相続人から贈与を受けていた財産は、相続税の課税対象となる。このため、3年内贈与に関する情報もシステムに登録される。
【0055】
区画編成情報としては、区画と利用筆の紐付けを示す情報、区画と建物の紐付けを示す情報、建物と借入金の紐付けを示す情報、区画と借入金の紐付けを示す情報、等が入力される。
【0056】
区画の入力については、筆情報(利用単位)を選択する。このとき、地番、地目等は、選択した筆情報(利用単位)の代表をデフォルト表示し、地積、固定資産税課税標準額等は計算して表示する。
【0057】
代表利用権利は、被相続人に権利のない場合はブランクとする。さらに、作成(選択)区画に存在する建物を指定し、代表建物を選択する。さらに、建物に対する借入金を指定する。さらに、区画に対する借入金を指定する。
【0058】
上記情報は、コンピュータ装置10に設けられた入力部11を使用しても良いが、他のコンピュータ装置に設けられた入力部から情報を入力し、送受信部15に接続された通信回線網を介して、コンピュータ装置10に送信する構成としても良い。このとき、通信回線網としては、インターネット、電話線、ISDN回線、専用線、無線などが使用される。
【0059】
入力された情報は、記憶部12に記憶される。記憶部12は、HDD,ROM,RAMから構成されており、入力情報はHDDに記憶される。ROMは、コンピュータシステムのハードウェア制御のための基本的な各種プログラムについても格納している。RAMは、コンピュータ制御のためのワークエリアとして機能するように構成されている。
【0060】
記憶部12には、入力情報を格納するための複数のマスタが形成されており、本例の資産管理システムは、被相続人マスタ、相続人マスタ、法人マスタ、土地マスタ、建物マスタ、その他資産マスタを備えている。
また、記憶部12には、入力情報に基づいて作成された各種帳票や計算書を格納する場所として、提案書記憶部が形成されている。
【0061】
資産管理システムは、上記入力情報に基づいて、演算処理を行う。演算処理は、制御部13においてプログラムに従って行われる。制御部では、ユーザーの資産に関して現状の把握を行うための処理と、その資産について対策を立案するための処理が行われる。
【0062】
上記制御部13での演算結果は、出力部14に出力される。出力部14とは、例えばコンピュータ装置のモニター、プリンタ、スピーカーである。なお、通信回線網を介して外部に出力される構成としても良い。
【0063】
制御部での演算結果として、現状の把握に関しては、「(1)資産明細書」が出力される。また、対策の立案に関しては、「(2)税務企画提案書」が出力される。
【0064】
なお、システムを構成するコンピュータには、ユーザーの個人情報が記憶されているため、万全のセキュリティ対策を行う。セキュリティ対策としては、ログオン時のDNA、網膜、声紋、指紋等による認証、ログオン時のID及びパスワードによる認証、取扱者の権限レベルによる利用可能な機能の限定、データベースコネクト時のパスワード設定、データ内容の暗号化、プリント出力帳票を最低限枚数のみ行う等の対策が考えられる。
【0065】
2.帳票
(1)資産明細書
「資産明細書」は、ユーザーの現在の相続人構成や、ユーザーが所有している資産の現状を把握するための帳票である。
【0066】
資産明細書は、家系図、不動産一覧表、現在の資産状況、土地評価表、相続税推移予想表、損益・収支推移予想表、現在の損益・収支の状況、相続税の支払資金調達方法の検討、不動産収入・支出一覧表、金融資産一覧表、債務一覧表、減価償却一覧表、ライフプラン一覧表、不動産明細表、の各帳票から構成されている。
【0067】
・家系図
図5は、資産明細書における家系図を示すものである。家系図には、被相続人の氏名及び年令と、各相続人の氏名・年令・法定相続割合が記載されている。
【0068】
・不動産一覧表
図6は、資産明細書における不動産一覧表を示すものである。不動産一覧表には、不動産の名称、所在地、利用用途、現状地目、持分率、地積、1m2当たり評価額、土地の相続税評価額(更地の場合、現在の利用方法の場合)、建物の評価額(固定資産税評価額、現状建物の相続税評価額、残存簿価)、総資産額、債務額、純評価額、負担相続税額(1件当たりの相続税額)、公租公課、不動産収入額、キャッシュフロー(1件当り内部留保金額)、総資産収益率、時価収益率、相続税収益率が表示されている。
【0069】
不動産の名称、所在地、利用用途、現状地目、持分率、地積、1m2当たり評価額、土地の相続税評価額(更地の場合、現状の場合)、建物の評価額(固定資産税評価額、現状建物の相続税評価額、残存簿価)、総資産額、債務額、純評価額、負担相続税額、公租公課、不動産収入額には、土地マスタ及び建物マスタに記憶されている情報が入力され、表示されている。
【0070】
キャッシュフロー、総資産収益率、時価収益率、相続税収益率については、次の計算式に基づいて数値が算出される。
総資産収益率=(不動産収入−公租公課)÷総資産
キャッシュフロー(1件当り内部留保金額)=内部留保金×不動産収入比率
*不動産収入比率=1件当り不動産収入額/不動産収入総額
時価収益率=キャッシュフロー÷更地相続税評価額
相続税収益率=キャッシュフロー÷負担相続税額
【0071】
キャッシュフロー、時価収益率、相続税収益率は、収入物件についてのみ表示される。また、キャッシュフローのない物件については、総資産収益率は必然的にマイナスとなる。
【0072】
・現在の資産状況
図7は、現在の資産状況を示すものである。現在の資産状況は、上記不動産一覧表に示された情報を、表とグラフにして分かり易く示すものである。ここでは、ユーザーの所有している資産の利用度,活用度の割合が円グラフで示される。
【0073】
また、ユーザーの所有している資産について、資産、債務、控除額に分類し、相続が発生した際の遺産総額、課税遺産総額、推定相続税額が表示される。
そして、ユーザーの理解を助けるために、相続税の計算方法が表示される。
【0074】
相続税総額は、
各相続人毎の相続税額=課税遺産総額×各人の法定相続割合×税率
相続税総額=各相続人毎の相続税額の総計
の式より算出される。
そして、配偶者軽減がある場合は、相続税総額から軽減分を減算する。
【0075】
・土地評価表
図8は、資産明細書における土地評価表を示すものである。土地評価表では、ユーザーが所有している資産のうち、土地についての現状が表示される。ここでは、土地について、事業用更地評価、事業用評価減有、収益無評価減無、自用地の4種類に分類される。
【0076】
事業用更地評価とは、収益を上げているが、評価減のない土地のことであり、例えば、駐車場、資材置場が含まれる。
事業用評価減有とは、収益を上げていて、評価減のある土地のことであり、例えば貸宅地(本人名義の土地に他人名義の建物が建っていて、借地権等の権利関係が生じている土地)、貸家建付地(本人名義の土地に本人名義の建物が建っていて他人に貸し付け、それによる収入を受けている土地)、無償返還(本人が所有する土地に、対価なく法人が借り受ける土地)が含まれる。
【0077】
収益無評価減無とは、収益も評価減もない土地のことであり、例えば更地が含まれる。
自用地とは、居住の用に供されていた土地であり、評価減がある。自用地には、自宅、使用貸借(本人名義の土地・建物を所有するために、対価なく親族等が借り受ける土地)が含まれる。
【0078】
上記4パターンに分類された土地それぞれについて、区画数、面積、
の現状を示す項目として、区画数、面積、相続税評価額、各土地の構成比、事業用土地とその他土地の比率が示される。
【0079】
・相続税推移予想表
図9は、資産明細書における相続税推移予想表を示すものである。相続税推移予想表は、過去と現在の相続税の実績値と、今後10年の相続税の予想値を示すものである。なお、図9では10年分の数値が示されているが、本例では基本的に20年分の予想値を示すものであり、必要に応じて所定期間の予測値を表示する。
ここでは、資産合計額、債務合計額、課税遺産総額、推定相続税額、推定相続税額(配偶者軽減適用後)、税負担率、に関する実績値と予測値が示される。
【0080】
資産合計額の予測値は、地価の上昇率や、金利の上昇率や、或いは有価証券の上昇率等に基づいて算出される。また、債務総額の予測値は、金利上昇率等に基づいて算出される。
【0081】
推定相続税額は、資産合計額の予測値から、債務合計額の予測値を減算して課税遺産総額の予測値を算出し、この課税遺産総額の予測値に基づいて算出される。
なお、税負担率は、推定相続税額を資産総額で按分することにより算出される。
【0082】
・損益・収支推移予想表
図10は、資産明細書における損益・収支予想表を示すものである。損益・収支推移予想表は、現在の損益・収支の実績値と、今後10年の損益・収支の予想値を示すものである。なお、図10では10年分の数値が示されているが、本例では基本的に20年分の予想値を示すものであり、必要に応じて所定期間の予測値を表示する。
【0083】
損益に関しては、総収入、課税所得、税額、に関する実績値と予測値が示される。
総収入の予測値は、賃料の上昇率や、所得の上昇率等に基づいて算出される。また、総支出額の予測値は、物価上昇率等に基づいて算出される。
課税所得の予測値は、総収入の予測値に基づいて算出される。
【0084】
収支に関しては、総収入、総支出、内部留保金、に関する実績値と予測値が示される。内部留保金は、総収入と総支出の差額として求められる。
【0085】
・現在の損益・収支の状況
図11は、現在の損益・収支の状況を示すものである。現在の損益・収支の状況では、上記損益・収支推移予測表から、現在の損益・収支の情報のみを取り出し、より理解し易いようにグラフ化して示している。
【0086】
・相続税の支払資金調達方法の検討
図12は、資産明細書における相続税の支払資金調達方法の検討を示すものである。ここでは、一次相続とする場合と、二次相続する場合とに分けて検討した結果が示される。
【0087】
相続税の支払資金調達方法の検討では、相続時にどのくらいの相続税が発生するのか、現金納付する場合の資金源、納付不足額、延納額、延納する場合の資金源、物納額、一次相続及び二次相続を合わせて支払わなければならない場合の相続税の推定額等が示される。
【0088】
先ず、一次相続に関する支払資金調達方法の検討について説明する。
ここで、相続資産合計額、推定相続税額については、「現在の資産状況」で示された数値が採用される。
【0089】
被相続人からの支払税源内訳は、現金、有価証券、生命保険、その他からなり、ここでは、「現在の資産状況」で示された現金預金の額が表示されている。
また、相続人からの支払税源がある場合は、その額も表示される。
【0090】
そして、これらの支払税源で相続税を支払った場合、どのくらいの不足額が出るのかが表示される。
相続税の納付は、申告書の提出期限までに、金銭で一次に納付することが原則であるが、延納の制度があり、相続税額が10万円を超え、金銭で一次に納付することが困難な場合は、年賦納付をすることができる。
【0091】
本例の場合では、不足額のうち、161,429千円を延納するとし、残りの43,338千円を物納により支払っている。なお、延納の場合は、利子税(利子税率7.0%;利子税2.0%+元金返済を20年間でした場合)の納付も必要となる。
【0092】
次に、二次相続に関する支払資金調達方法の検討について説明する。
推定相続税額は、
各相続人毎の相続税額=課税遺産総額×各人の法定相続割合×税率
相続税総額=各相続人毎の相続税額の総計
の式より算出される。
【0093】
本例では、相続税支払いの原資として、配偶者からの支払税源も、相続人からの支払税源もないため、延納と物納で相続税の支払いを行う例が示されている。
【0094】
・不動産収入・支出一覧表
図13は、資産明細書における不動産収入・支出一覧表を示すものである。不動産収入・支出一覧表では、ユーザーの所有している各不動産に関して、一年間の収入及び支出が示されている。
【0095】
例えば、更地−1では、土地の活用を行っていないため、固定資産税のみが発生していることを読み取ることができる。
また、例えば、物販店舗として賃貸している不動産では、年間で4,879千円の賃貸料収入があり、年間41千円の支出(固定資産税)があることを読み取ることができる。
そして、全ての不動産の収入・支出の合計額を見ることにより、不動産による収支がどれくらいになっているのかを把握することが可能となる。
【0096】
・金融資産一覧表
図14は、資産明細書における金融資産一覧表を示すものである。金融資産一覧表では、現預金に関する情報と、株式に関する情報が表示される。
現預金に関する情報としては、現預金の額の他に、定期預金の期間、定期預金の期限、金利、外貨預金であれば通貨国名、外貨金額、換算値、換算日が表示されるように構成されている。
【0097】
株式に関する情報としては、銘柄、取扱金融機関名、支店名、所有株数、額面、金額、1株当たり市場価格、算定日、配当額、外国株式で有れば通貨国名、外貨金額、換算値、換算日が表示されるように構成されている。
【0098】
・債務一覧表
図15は、資産明細書における債務一覧表を示すものである。債務一覧表では、債務に関する情報が表示される。
債務に関する情報としては、債務の用途を示す名称、借入先、返済開始年月日、債務金額、返済方法、金利、返済期間、据置期間金利、据置期間、当初金利、当初金利期間、借入残高、委託先が表示されるように構成されている。
【0099】
・減価償却一覧表
図16は、資産明細書における減価償却一覧表を示すものである。減価償却は、各期間の損益を正確に計算するために、資産の取得原価から残存価格を差し引いた額を、その年の費用として配分するものである。
減価償却一覧表では、資産のうち建物等の減価償却が発生するものに関して、減価償却に関する情報が表示される。
減価償却に関する情報としては、対象物件の名称、区分、法定耐用年数、償却方法、償却率、取得年月、取得価格、残存簿価、当年償却費が表示されるように構成されている。区分は減価償却の内訳を示すものであり、本体、給排水設備、構築物、修理費、市納金、融資保証金、火災保険金等がある。
【0100】
・ライフプラン一覧表
図17は、資産明細書におけるライフプラン一覧表を示すものである。ライフプラン一覧表では、ユーザーの今後の予定が表示される。ここでは、自宅増改築、アパートリフォーム、世界一周旅行等、多額の支出があり、ユーザーの資産に影響を与える予定のみが表示される。
【0101】
・不動産明細表
図18は、資産明細書における不動産明細表を示すものである。不動産明細表では、ユーザーの所有するそれぞれの不動産に関する詳細情報が表示される。不動産明細表は、主に、市区町村が発行する名寄帳(固定資産税課税台帳)、国税庁が発行する路線価図倍率表の情報を反映して作成される。
【0102】
詳細情報としては、区画名称、区画概要情報、法制限情報、公示地価情報、基準地価情報、固定資産税路線価情報、区画評価情報、債務一覧、資産権利者一覧がある。
【0103】
区画概要情報としては、区画名称、所在地、登記地目、利用形態、使用状況、駐車台数、現況地積、現況地目、最適と思われる用途、造成費負担の有無、が表示される。
【0104】
法制限情報としては、区域、建蔽率、用途地域、容積率、が表示される。
公示地価情報または基準地価情報としては、番号、1m2当たり価格、正面路線価、比率、が表示される。
固定資産税路線価情報としては、土地正面、裏面、両側面についての路線価が表示される。
【0105】
区画評価情報としては、評価方法、路線価図年度、形状区分、土地の正面路線価、土地の裏面路線価、土地の各側面の路線価、土地の間口及び奥行、土地を整形した場合の想定間口及び奥行、崖地地積、無道路地道路面積(道路に出るまでに隣地を必要とする道路面積)、1m2当たり宅地造成費、更地相続税評価額、定期借地権が設定されている場合、土地評価額に対する底地の割合、借地権の割合、想定時価、その他評価減率、その他評価減理由が表示される。
【0106】
また、地域種別、課税台帳年度、固定資産税評価額、倍率、固定資産税支払方法、固定資産税課税標準額、固定資産税課税上昇率、固定資産税課税税率、都市計画税課税標準額、都市計画税課税上昇率、都市計画税課税税率が表示される。
【0107】
さらに、1m2当たり宅地固定資産税評価額、相続税評価額上昇率、借家権割合に関する情報が表示される。
【0108】
債務一覧には、「債務一覧表」に基づき、代表(主となる借入金)、持分率、経費(金利が不動産所得の経費として算入されるか否かの区分)、返済開始日、元金、返済方法、返済期間、金利、据置期間及び金利、当初期間及び金利、借入先、支店名、委託先、に関する情報が表示される。
【0109】
資産権利者一覧には、代表、持分率、権利者名(利用者名)、利用用途、相続税評価額、事業用か否か、売却希望の有無、交換希望の有無、企業名(屋号名)、貸借契約をしている場合、その契約の開始日、契約期間、賃料、契約賃料の上昇率及び改訂年、保証金、敷金、権利金、返済方法、金利、に関する情報が表示される。
【0110】
(2)税務企画提案書
「税務企画提案書」は、ユーザーの現在の相続人構成や、ユーザーが所有している資産構成に基づいて、収支の状況を分析し、各種の税務対策シミュレーションを行うものである。
【0111】
相続税は、現金納付が原則であるが、金銭で一時に納付することが困難である場合は、延納や物納ができるようになっている。本例の税務企画提案書は、相続税の納税資金である現金を増やしたり、延納をするために必要な収益力を得るために、どのような対策を行えば良いかをユーザーに示すものである。
【0112】
税務企画提案書は、図19乃至図26に示すように、対策結果一覧表、相続税支払方法一覧表、対策結果比較表、個別損益・収支明細書、対策効果確認書、損益・収支確認書から構成されている。
【0113】
・対策結果一覧表
図19は、税務企画提案書における対策結果一覧表を示すものである。ここでは、相続税対策として、現在、貸家と駐車場がある被相続人所有の土地に、被相続人所有の賃貸マンションを建築して節税する例を示す。図19は、節税対策を行った際の、相続税額と、ユーザーの収支に関してシミュレーションした結果を示すものである。
【0114】
この場合、土地が貸家建付地となるため、相続税評価額が低減する。
また、賃貸マンションに対する相続税についても、賃貸マンションは貸家評価であるため、評価減が適用される。
【0115】
また、土地が事業の用に供された宅地となるため、小規模宅地等の減額特例の対象となる。さらに、賃貸マンションを建設するために借入金が発生するため、借入金全額が債務控除される。このようにして、対策後の数字に示されているように、相続税額を大幅に低減することが可能となる。
【0116】
本例の資産管理システムでは、相続税額を予測するだけではなく、賃貸マンションを建てた場合の所得税・住民税・事業税の額、キャッシュフロー、延納可能額についてもシミュレーションすることができ、所定の節税対策を行った場合に、相続税額だけでなくユーザーのトータルの収支状況について把握することが可能となるものである。
【0117】
・相続税支払方法一覧表
図20は、相続税支払方法一覧表であり、相続税の支払い方法に関するシミュレーションを示すものである。
ここでは、現状のケースと、賃貸マンションを建築したケースと、賃貸マンションを建築し贈与したケースについてシミュレーションを行っている。
【0118】
現状のままでは、図示されているように、多額の相続税が発生するため、手持ちの現預金で支払った場合、多額の納付不足金が発生してしまう。
【0119】
賃貸マンションを建築したケースでは、対策実行後から相続税額が大幅に減額されるため、手持ちの現預金で支払いをした場合、納付不足金が出るものの、現状に比して少ない額で済むようになる。
なお、賃貸マンションを建築したケースでは、マンションの建築費として、所定の期間において現預金がマイナスになっている。
【0120】
賃貸マンションを建築するとともに、贈与を行うケースは、賃貸マンションを建築することによる節税対策を行う他に、贈与税の基礎控除枠を利用して相続税の対象となる相続財産を減らし、結果として相続税額を減らすという節税対策を行うものである。
【0121】
贈与手取額とは、贈与によって手取りとして得た額である。贈与は現預金等の流動資産で行われれば、相続税納付に充当することができ好適である。贈与により、相続財産が減額され、相続税額が少なくて済むことになる。3年前(例えば2007年)にした贈与額は、3年後の2010年から差し引かれて計算される。
【0122】
・対策結果比較表
図21及び図22は、対策結果比較表であり、図21は、賃貸マンションを建築して相続税対策を行った例、図22は自宅住居を建築して相続税対策を行った例を示している。
【0123】
対策結果比較表は、現状の状態で相続を行った場合と、何らかの相続税対策を行った場合とで、損益推移、収支推移、相続税推移についてどのような違いが出るか比較できるように、データを一覧表示する帳票である。
【0124】
図21に示す対策結果比較表には、対策に関する土地や、この土地に建築される建物の情報が示される。土地の情報としては、土地名称、住所、地積、用途地域等が示される。建物の情報としては、建物名称、建物用途、構造、延床面積、階数、戸数、間取り等が示される。
【0125】
また、賃貸借契約、投資、借入金、創業費に関する情報が表示される。賃貸借契約に関する情報としては、開始日、期間、保証金、敷金、賃料、賃料改定年、賃料上昇率、入居率等の情報が表示される。
【0126】
投資に関する情報としては、建物本体、設備、外構にかかった各費用と、耐用年数、償却方法、償却率、割増償却期間、割増償却倍率等に関する情報が表示される。
【0127】
借入金に関する情報としては、賃貸マンション建設費用について、自己資金と、借入金額が表示される。借入金については、借入期間、返済方法、利率、借入当初の返済期間と利率等の情報が表示される。
さらに、固定資産税評価額、火災保険料、維持管理費、管理委託費、その他経費等の情報が表示される。
【0128】
損益推移の比較によれば、賃貸マンションを建築することにより、不動産収入とともに経費も増加し、結果として課税所得税額が減少していることが分かる。
収支推移予想表によれば、収入と支出の差額から、内部留保金の額を把握することができる。本例では、賃貸マンションによる不動産収入が増加するため、内部留保金が増加している。なお、対策を行う場合、賃貸マンションを建築するときに、自己資金支出があったため、現金残額はマイナスとなっている。
【0129】
相続税推移予想表には、資産合計額及び負債合計額、資産合計額から負債合計額を減算した差引正味財産額、差引正味財産額から控除額を減算した課税遺産総額、課税遺産総額に基づいて算出された推定相続税額が表示されている。
【0130】
そして、対策を行ったことによる効果として、対策を行わなかった場合と、対策を行った場合での課税所得額の差額、内部留保金の差額、推定相続税額の差額が表示される。
【0131】
図22に示す対策結果比較表は、土地を現状のままにしている場合と、居住用として使用した場合とで、相続税額にどれくらいの差額が発生するかを示すものである。
居住用の土地の場合は、小規模宅地用の評価減があるため、資産合計額が減少している。そして、結果として相続税額が減少している。
【0132】
・個別損益・収支明細書
図23及び図24は、税務企画提案書における個別損益・収支明細書を示すものである。個別損益・収支明細書は、対策を行わない場合と、対策を行った場合との両方のケースについて作成される。個別損益・収支明細書は、「対策結果比較表」の元データとなるものである。
個別損益・収支明細書では、不動産所得、収支、残存額、評価額についてより詳細な内訳が示されるとともに、20年分のシミュレーションが行われる。
【0133】
・対策効果確認書、損益・収支確認書
図25及び図26は、税務企画提案書における対策効果確認書を示すものである。上記シミュレーション結果を、ユーザーにより分かりやすく提示するために、対策効果確認書、損益・収支確認書が作成される。
対策効果確認書では、資産合計額、債務合計額、推定相続税額、税負担率の推移を棒グラフ及び折線グラフで表示し、対策前と対策後とで税負担がどのように変化するかが一目で理解できるようになっている。
【0134】
損益・収支確認書では、損益について総収入、課税所得、税額の各推移、収支について収入、支出、内部留保金の各推移を棒グラフ及び折線グラフで表示し、対策前と対策後とで損益及び収支がどのように変化するかが一目で理解できるようになっている。
【0135】
なお、本例のシステムでは、上記ケースの他にも様々なケースについてシミュレーションを行うことが可能である。他のシミュレーションを行う場合、次の考え方に基づいてシミュレーションを行うものとする。
【0136】
・2次相続について
本例のシステムでは、被相続人の資産について、子供の世代(図27のBの段階)までの資産相続(2次相続)までシミュレーションすることができるように構成されている。
【0137】
1次相続の場合は、遺産分割の方法として、「法定相続割合での分割」と、「全資産に対して相続者、割合を指示して分割」の方法が選択可能である。全ての資産について、いずれか一方の方法により分割処理する。
【0138】
2次相続の場合は、被相続人からの相続資産と、相続以前に配偶者が自ら所有していた資産が対象となる。このとき、1次相続において、配偶者への相続資産が生じない場合にも、相続シミュレーションを行えるようにする。
【0139】
なお、1次相続で法定相続割合で分割を行った場合には、2次相続も法定相続割合で処理するものとする。
【0140】
・納税猶予について
本システムにおける納税猶予の考え方を、図28に示す。
図中、1は路線価方式又は倍率方式により求めた宅地評価額である。2は倍率方式又は比準方式により求めた農地評価額である。3は農業投資価格を使用して求めた農地評価額である。
【0141】
図28の(い)の部分についての相続税額を納税猶予額とする。例えば、図28に示すケースのように、被相続人から5年前に相続したときに納税猶予を受け、現在から3年経過後に農業をやめるものとして、土地の有効利用のシミュレーションを行う
【0142】
この場合、3年後の時点で、猶予を受けている納税額(納税猶予額と利子税額)を支払うこととなる。この支払金額については、控除出来ないその他の経費として扱うことで対応する。
【0143】
・自己資金について
本システムにおいて、「投資金額」から「借入金」を差引いた結果生じる「不足金額」は、保有する現預金から自己資金として充当するものとする。
【0144】
・3年内贈与について
住宅取得資金の贈与を除く贈与シミュレーションにおいて、収益・収支計算書・相続税予想表の出力範囲は、個別シミュレーションについては、当年より3年間、総括シミュレーションについては、当年の3年前から20年後まで出力可能範囲とする。これは、3年内贈与を考慮するためであり、4年目以降より相続税評価額から、贈与財産分を減額した値を表示することになる。
【0145】
住宅取得資金の贈与シミュレーションにおいて、収益・収支計算書・相続税予想表の出力範囲は、基本的には上記と同様であるが、贈与した年から3年以内に相続が発生した場合は、贈与額について3年内贈与とみなす。また、4年目以降に相続が発生した場合は、3年内贈与とみなさない。
【0146】
3.画面遷移
本例の資産管理システムでは、入力された情報に基づいて、資産の現状を把握するための「資産明細書」と、各種の税務対策シミュレーションに関する「税務企画提案書」の各帳票が作成される。
【0147】
データ入力は、「(1)本人及び家族のデータ入力」、「(2)確定申告入力」、「(3)筆入力(登記簿入力)」、「(4)区画入力(編成)」、「(5)建物入力」、「(6)その他入力」の各入力がある。
【0148】
以下、データ入力する際の画面遷移と、各帳票を作成する際の画面遷移について説明する。
なお、データ入力と、各帳票の作成はコンピュータ装置において行われる。
コンピュータ装置にアクセスする際のセキュリティ対策は、例えばIDとパスワードを入力することにより行う。
【0149】
(1)本人及び家族のデータ入力
図29は、被相続人のデータを入力するための画面である。この画面において、相続人氏名、住所、生年月日、趣味、電話番号、職業、生活費額、前回相続日、前回相続時の相続額、前回相続時の税額、現預金、現預金金利、有価証券額、退職金、その他資産、保険支払額、一次債務額、経年債務額、経年債務金利等のデータが入力される。
【0150】
図30は、相続人のデータを入力するための画面である。相続人についても、被相続人と同様に、相続人氏名、住所、生年月日、趣味、電話番号、職業、生活費額、前回相続日、前回相続時の相続額、前回相続時の税額、現預金、現預金金利、有価証券額、退職金、その他資産、保険支払額、一次債務額、経年債務額、経年債務金利等のデータが入力される。
なお、生活費、有価証券、その他資産については、2回目以降の情報入力である場合は、前回入力した際の金額と比較した上昇率が表示される。
【0151】
(2)確定申告入力
図31に示す画面において、被相続人の確定申告書に記載された情報が入力される。確定申告書に記載された情報が入力されることにより、被相続人の現状の損益と収支について正確な数値を把握することが可能となる。
【0152】
(3)筆入力(登記簿入力)
図32に示す画面において、登記簿に記載された情報が入力される。
ここでは、登記されている土地の地番、その他住所、課税台帳年度、登記地積、登記地目、現況地積、現況地目、根抵当区分の有無、固定資産税評価額、固定資産税課税標準額、都市計画税課税標準額、資産権利者等の情報が入力される。
【0153】
地番、その他住所、課税台帳年度、登記地積、登記地目、現況地積、現況地目、根抵当区分の有無、固定資産税評価額、固定資産税課税標準額、都市計画税課税標準額については、名寄せ帳に従って入力する。
【0154】
資産権利者については、共有者がいる場合は複数名が表示される。資産権利者の情報は、「(1)本人及び家族データ」にリンクしている。
なお、上記のようにして入力されたデータは、図33に示すようにコピーした上で、他の筆入力に利用することが可能である。
【0155】
(4)区画入力(編成)
ここでは、相続税の計算をより簡単且つ正確に行うために、利用形態毎に区画入力(編成)を行う。まず、図34に示すように、住宅地図と名寄せ帳を見比べ、図35に示すように、名寄せ帳の各区画について、どのような土地の利用状況となっているのかを確認する。
【0156】
各区画について利用状況が把握でき、区画編成の方針が決定したら、システムに登録されている情報を編集する。まず、図29に示す画面から、「資産(区画・建物)一覧」を選択する。
【0157】
次に、図36に示す画面で、「区画新規」を選択し、図37のように筆一覧が示されたら、そのなかから、区画編成する筆を選択する。このとき、複数の筆を選ぶ場合は、選択を繰り返す。
【0158】
このとき、図38に示すように、区画明細入力画面において、選択された区画についての明細情報を入力する。明細情報としては、取得方法、評価方法、地域種別、地目、利用形態、最適用途、形状区分、地区区分、崖地斜面等の情報が入力される。
【0159】
さらに、選択された区画について、定期借地権割合、定期借家権割合に関する情報が入力される。これらの情報は、図39に示すように、A〜Gのパターンの中から所定のものが選択されて入力される。
【0160】
さらに、図40に示す画面において、区域、用途地域、建蔽率、容積率、担保情報、債務情報に関する情報が入力される。区域、用途地域、建蔽率、容積率については、都市計画図から調べて入力する。
【0161】
なお、資産権利者一覧について、その区画が共有であるのに、一人の名前しか反映されていない場合は、図41に示す資産権利者明細画面を表示し、この画面において利用持分率を訂正する。
【0162】
図41に示す資産権利者明細画面では、上記利用持分率のほかに、権利者情報、利用者情報、契約情報が入力される。選択された区画について、賃料などが発生している場合は、事業用のチェックボックスをクリックした上で、契約日や契約期間、賃料などの情報を入力する。
そして、図42に示すように、利用持分率が100%になるように、他の権利者の情報を入力する。このようにして、利用形態毎に区画が編成される。
【0163】
次に、資産の利用用途の入力について説明する。資産の利用用途としては、自用(居住用)、自用(更地)、その他自用、貸宅地、貸家建付地、貸家建付借地、借地、一般定期借地(設定)、一般定期借地(設定・平成10年以降)、建物譲渡特約付借地(設定)、事業用借地(設定)、建物譲渡特約付借地(貸借)、事業用借地(貸借)、その他、無償返還(地主)、無償返還(法人)、使用貸借(地主)、使用貸借(法人)がある。
【0164】
資産の利用形態によって、入力される項目が変わってくる。
ここでは、図43に示すタイプ1〜タイプ7の例に基づいて、資産の利用状況の入力について説明する。
【0165】
資産の利用用途については、図32の筆情報の入力画面で行うことができる。
筆情報の入力画面を開くと、既に情報が入力されている場合は、土地の権利者名が入力されている。本例のシステムでは、タイプ1のように、土地の権利者と利用者が同一である場合は、利用者の入力は不要とする。
【0166】
タイプ2のように、共有または所有者の違う筆を合わせて区画を編成する場合は、持分割合を入力する。また、タイプ3及びタイプ4のように、被相続人と相続人との間で、土地について使用貸借がある場合、利用者側の利用用途の欄には、使用貸借(建物)が入力され、利用者でない側の利用用途の欄には、使用貸借(地主)が入力される。
【0167】
また、タイプ5のように、被相続人及び相続人と、同族法人との間で、土地について無償返還がある場合、利用者側(同族法人)の利用用途の欄には、無償返還(法人)が入力され、利用者でない側(被相続人及び相続人)の利用用途の欄には、無償返還(地主)が入力される。
【0168】
さらに、タイプ6のように、被相続人と相続人との間で土地の貸借をし、その土地に、土地を借りた側の所有する貸家が建築されている場合は、土地の権利者側の利用用途の欄には、貸宅地が入力され、利用者側の利用用途の欄には、貸家建付借地が入力される。
【0169】
さらに、タイプ7のように、土地の権利者と、この土地に建てられた貸家の権利者が同一である場合、土地権利者の利用用途の欄には、貸家建付地が入力される。
【0170】
(5)建物入力
建物に関する情報は、図44に示す画面から入力される。
建物に関する情報として、建物名、所在地のほか、固定資産税評価額、固定資産税課税標準額、都市計画税課税標準額、税率、建物用途、住宅比率、自用比率、借家権割合、構造、述床面積、代表間取、代表面積、施工者等の情報が入力される。
【0171】
(6)その他入力
・法人に関する入力
同族法人に関する情報は、図45に示す入力画面から入力される。ここでは、法人名称、住所、設立年月、業種、資本金、券面額、総資産額、取引金額、従業員数、株式保有割合、土地保有割合、年配当金額、年利益金額、純資産価格等の情報が入力される。
また、類似業種の前年度株価平均値、1株当たり年配当金額、年利益金額、純資産価格が入力される。
【0172】
また、図46の入力画面において、決算書に関する情報が入力される。決算書のうち、貸借対照表に関する情報として、流動資産については、現金及び預金、未収入金に関する情報、固定資産については、建物、構築物、土地、借地権等、投資有価証券、関係会社株式に関する情報、流動負債については、短期借入金、未払金、前受金、預かり金、社長借入金に関する情報、固定負債については、長期借入金、建設協力金、預かり敷金に関する情報、資本の部については、資本金、剰余金に関する情報がそれぞれ入力される。
【0173】
さらに、資産合計、負債合計、資本合計、負債・資本合計、が入力される。なお、これらの合計値については、入力されるのではなく、入力情報に基づいて計算される構成であっても良い。
【0174】
決算書のうち、損益計算書に関する情報として、営業損益の部について、売上高、売上原価、売上総利益、販売費および一般管理費、営業利益に関する情報が入力される。売上高については、家賃、駐車場、受取地代それぞれについて入力される。
【0175】
営業外損益の部については、営業外収益として受取利息、その他利益に関する情報、営業外費用として支払利息、その他費用に関する情報、経常利益が入力される。
【0176】
その他、特別収益、特別費用、税引前当期利益、法人税等充当金、法人事業税額、当期利益、前期繰越利益、当期未処分利益、配当、役員賞与、その他、次期繰越利益に関する情報が入力される。なお、売上総利益、営業利益、経常利益、、税引前当期利益、当期利益、当期未処分利益、次期繰越利益については、入力ではなく、入力された値に基づいて算出されるようにしても良い。
【0177】
・建物及び土地に付随していない資産の入力
車など、償却資産の台帳に載っているようなもので、建物や土地に付随していない資産の情報については、図47に示す画面から入力する。
【0178】
・減価償却の入力
減価償却に関する入力は、図48に示す画面で行う。
減価償却は、定額法または定率法のいずれかの計算方法で行われる。
減価償却は、通常は建物について行われるものであり、建物については、図48に示す画面の「建物選択」を選んで入力する。なお、本例のシステムでは、減価償却の入力画面に「区画選択」ボタンが設けられており、減価償却を土地にリンクできるように構成されている。これにより、定期借地・駐車場等の敷地上の建物以外の償却資産(アスファルト・ネットフェンス等)の入力が可能となる。
【0179】
減価償却の例外として、建物以外に、青空駐車場の砂利や、立体駐車場につく減価償却がある。この場合は、資産にダミーデータを作成する。その他、業務用の車についても減価償却が行われる。
【0180】
・担保・債務の入力
例えば、自分の所有している土地に建物を建築して、第三者に貸すときに、自宅と、同族の所有している自宅を抵当に入れ、借金をしたとする。
こうした場合、図49に示す画面において、抵当に入れる土地と、借金の目的物を入力する。
【0181】
なお、図49に示す画面において、返済期間について、「当初金利期間」や「据置期間」は、「返済期間」の中の何年なのかを入力することに注意する。また、担保物権、債務物件ともに、単数または複数(共同担保)の場合のどちらも、必ず一つづつ代表マークをつけるようにする。図50は、担保・債務情報の入力を行った後の、テナントビルと、貸地の区画明細を示すものである。
【0182】
上記入力情報に基づいて、家系図、不動産一覧表、現在の資産状況、土地評価表、相続税推移予想表、損益・収支推移予想表、現在の損益・収支の状況、相続税の支払資金調達方法の検討、不動産収入・支出一覧表、金融資産一覧表、債務一覧表、減価償却一覧表、ライフプラン一覧表、不動産明細表からなる資産明細書が作成される。
【0183】
また、対策結果一覧表、相続税支払方法一覧表、対策結果比較表、個別損益・収支明細書、対策効果確認書、損益・収支確認書からなる税務企画提案書が作成される。
これら資産明細書及び税務企画提案書を構成する各帳票は、それぞれ画面に表示され、必要であればプリント出力される。
【0184】
なお、本例のシステムでは、上記画面の他に、図51に示す画面を表示する機能を備えている。図51に示す画面は、複数者間でのお金の流れを示すように構成されている。例えば、被相続人の所有する土地に、被相続人の所有する賃貸建物があり、この賃貸建物を同族法人が賃貸借契約し、テナントに貸借しているケースがあるとする。
【0185】
この場合、権利者には被相続人の氏名、利用者(借主側1)には同族会社名、利用者(借主側2)には、テナント名が入力される。そして、契約情報1には、被相続人と同族会社間の賃貸借・管理契約情報が入力され、契約情報2には、同族会社とテナント間の賃貸借・管理契約情報が入力される。
図51に示す画面を備えていることにより、複数者が関わっている所定の資産について、現状をより明確に提示することが可能となる。
【0186】
4.プログラム
本例のシステムでは、「資産明細書」と「税務企画提案書」を作成するために、各種判断基準や計算式が格納されている。
以下、判断基準や計算式のうち、主なものについて説明する。
【0187】
区画の形状区分については、角地、準角地、一方路、二方路、三方路、四方路、袋地、不整形地、無道路地にそれぞれ分類されるように構成されている。また、土地評価額を算出する際には、土地が複数路線に面している場合は、一番高い路線価を正面路線化として計算する。また、裏路線価は、正面の反対側、側方路線化は正面の隣を指すものとして計算している。
【0188】
土地評価額の計算式は次の通りである。
・一方路の場合
土地評価単価=正面路線価×奥行価格補正値
土地評価額=土地評価単価×間口×奥行
【0189】
・二方路の場合
土地評価単価=正面路線価×奥行価格補正率×裏面路線価×奥行価格補正率×二方路線影響加算
土地評価額=土地評価単価×間口×奥行
【0190】
・三方路の場合
土地評価単価=正面路線価×奥行価格補正率+裏面路線価×奥行価格補正率×二方路線影響加算
土地評価額=土地評価単価×間口×奥行
なお、正面・裏・側方路線価が同一の場合は、
土地評価単価=正面路線価×奥行価格補正率+側方路線価×奥行価格補正率×側方路線影響加算+側方路線価×奥行価格補正率×側方路線影響加算
土地評価額=土地評価単価×間口×奥行
【0191】
・四方路の場合
土地評価単価=正面路線価×奥行価格補正率+裏面路線価×奥行価格補正率×二方路線影響加算+側方路線価×奥行価格補正率×側方路線影響加算+側方路線価×奥行価格補正率×側方線影響加算
土地評価額=土地評価単価×間口×奥行
【0192】
さらに、土地が角地にある場合、間口が狭い場合、間口に対して奥行が長い場合、三角形など形状が長方形や正方形でない場合、路線に接していない場合、がけ地である場合は、それぞれ評価単価が補正される。
【0193】
・角地・準角地の場合
二つの道路に接している土地を角地と呼ぶが、一本の道路が折れ曲がっていて、その内側に土地が接している場合は準角地といい、評価が角地より低くなる。
土地評価単価=正面路線価×奥行価格補正率+側方路線価×奥行価格補正率×側方路線影響加算
土地評価額=土地評価単価×間口×奥行
【0194】
・不整形地・袋地の場合
長方形でない土地には、想定整形地をとる。
想定整形地は、評価対象地の全域を囲む、正面路線に面する矩形(長方形または正方形)の土地をいうものである。
想定整形地のとり方を、図52に示す。
【0195】
図示されているように、まず、土地が接している路線のうち、路線価が大きい方の路線に垂直な線を引き、矩形に土地を囲む。このときの正面路線側の辺の長さと、角に接している二辺の合計の長さとを比較し、小さいほうが想定間口となる。
【0196】
なお、不整形地で、間口が狭いため、奥行きが想定整形奥行よりも長くなる場合は、想定整形奥行を採用する。
不整形地の土地評価額を求める計算式は次の通りである。
不整形地評価=土地評価額×不整形地補正率
【0197】
また、不整形地補正率の「かげ地割合」の求め方は次の通りである。
かげ地割合=(想定整形地の面積の地積―不整形地の地積)/想定整形地の地積
となる。
【0198】
間口が狭い場合は、
不整形地評価=土地評価額×不整形地補正率×間口狭小補正率
または
不整形地評価=土地評価額×間口狭小補正率×奥行長大補正率
となる。
【0199】
・「資産明細書」の作成プログラム
以下、「資産明細書」を作成するための、主なプログラム処理について説明する。
【0200】
資産明細書を作成する前提として、被相続人情報、相続人情報、法人情報、被相続人のライフプラン情報、債務情報、3年内贈与情報、土地情報、建物情報、その他資産情報、固定資産税課税標準額を含む名寄せ帳情報、路線価情報、各資産による収入額を含む総収入額情報、各資産に係る支出額を含む総支出額情報を収集する。
【0201】
先ず、図53において、土地の分類処理について説明する。ステップS1で、それぞれの土地について、収益を上げている土地なのか否かが判定される。収益を上げている場合、ステップS2で、評価減のある土地なのか否かが判定される。
【0202】
評価減のある土地である場合、その土地をグループ1に分類する。評価減のない土地である場合、その土地をグループ2に分類する。
【0203】
収益を上げていない場合、ステップS3で、評価減のある土地なのか否かが判定される。評価減のある土地である場合、その土地をグループ3に分類する。評価減のない土地である場合、その土地をグループ4に分類する。そして、ステップS4で、各グループの全体に対する割合を算出する。
【0204】
次に、図54において、前記被相続人情報と相続人情報に基づいて家系図を作成する処理について説明する。先ず、ステップS11で、被相続人に配偶者がいるか否かを判定する。配偶者がいる場合(ステップS11;Yes)、第1順位に配偶者の名前を登録する処理を行う。
【0205】
次いで、ステップS12に進む。ステップS12では、被相続人に子供がいるか否かを判定する。子供がいる場合(ステップS12;Yes)、第1順位に子供の名前を登録する処理を行う。
【0206】
さらに、ステップS13に進む。ステップS13では、被相続人に父母がいるか否かを判定する。父母がいる場合(ステップS13;Yes)、第2順位に父母の名前を入力する処理を行う。
【0207】
次いで、ステップS14に進む。ステップS14では、被相続人に兄弟姉妹がいるか否かを判定する。兄弟姉妹がいる場合(ステップS14;Yes)、第3順位に兄弟姉妹の名前を入力する処理を行う。
【0208】
次に、図55において、推定相続税額を算出する処理について説明する。
先ず、ステップS21で、土地情報から土地の相続税評価額を読み出す処理を行う。次いで、ステップS22で、建物情報から建物の相続税評価額を読み出す処理を行う。
【0209】
さらに、ステップS23で、その他資産情報から、現預金,有価証券等のその他資産の相続税評価額を読み出す処理を行う。そして、ステップS24で、ステップS21〜ステップS23で読み出した相続税評価額の合計値を算出する処理を行う。
【0210】
ステップS25では、債務情報から借入金等の債務額を読み出す処理を行う。そして、ステップS26で、相続税評価額の合計値から債務額を減算する処理を行う。
【0211】
さらに、ステップS27で、生命保険控除額や退職金控除額等の控除額があるか否かが判断される。控除額がある場合(ステップS27;Yes)、ステップS28で、ステップS26の算出結果から控除額を減算し、遺産総額を求める処理を行う。控除額がない場合(ステップS27;No)、ステップS26の算出結果が遺産総額となり、ステップS29に進む。
【0212】
ステップS29では基礎控除額を算出する処理を行う。基礎控除額は、「5,000万円+1,000万円×法定相続人の数」の式より求められる。ステップS30では、遺産総額から基礎控除額を減算し課税遺産総額を求める処理が行われる。
【0213】
ステップS31では、課税遺産総額に基づいて、推定相続税額を算出する処理が行われる。推定相続税額は、課税遺産総額を法定相続分で分け、これに税率をかけることにより求められる。
【0214】
さらに、ステップS32で、法定相続人に配偶者がいるか否かが判定される。配偶者がいる場合(ステップS32;Yes)、ステップS33で配偶者控除適用後の推定相続税額が求められる。配偶者がいない場合(ステップS32;No)、処理を終了する。
【0215】
将来発生する推定相続税額の予測値については、前記資産総額の予測推移額、債務総額の予想推移額に基づいて、上記したステップS21〜ステップS32と同様のフローに従って算出する。
【0216】
なお、資産総額の予測値は、地価の上昇率や、金利の上昇率や、或いは有価証券の上昇率等に基づいて算出される。また、債務総額の予測値は、金利上昇率等に基づいて算出される。
【0217】
次に、図56において、内部留保金を算出する処理について説明する。
先ず、ステップS41で、不動産収入額を読み出す処理を行う。次いで、ステップS42で、その他収入額を読み出す処理を行う。ステップS43で、ステップS41及びステップS42で読み出された額を合算する処理を行う。
【0218】
さらに、ステップS44で、不動産支出額を読み出す処理を行う。次いで、ステップS45で、その他支出額を読み出す処理を行う。ステップS46で、ステップS44及びステップS45で読み出された額を合算する処理を行う。
【0219】
そして、ステップS47で、ステップS43で算出された額から、ステップS46で算出された額を減算する処理を行い、内部留保金を算出する。
【0220】
将来発生する内部留保金の予測値については、各資産による収入額を含む総収入額の予測推移額と、各資産に係る支出額を含む総支出額の予測推移額に基づいて、上記したステップS41〜ステップS47と同様のフローに従って算出する。
【0221】
なお、総収入額の予測値は、賃料の上昇率や、所得の上昇率等に基づいて算出される。また、総支出額の予測値は、物価上昇率等に基づいて算出される。
【0222】
次に、図57及び図58において、納税方法を検討する処理について説明する。
はじめに、二次相続対策を行うか否か判定する。二次相続対策を行う場合、処理Aに進む。二次相続対策を行わない場合、処理Bに進む。
【0223】
処理Aでは、ステップS51で、所定年度の被相続人の流動資産、すなわち、即時に現金化できる資産額と、内部留保金額を取得する。ステップS52では、相続人の流動資産額と、内部留保金額を取得する。そして、ステップS53で、被相続人の流動資産額と、相続人の流動資産額を合算する。
【0224】
ステップS54で、一次相続での推定相続税額と、二次相続での推定相続税額の両方を確認する。ステップS55で、現時点での流動資産額で一次相続の相続税を支払い可能か否かを判定する。流動資産での相続税支払いが可能である場合(ステップS55;Yes)、ステップS56で、一次相続の相続税支払い後の流動資産で、さらに二次相続の相続税支払いが可能であるか否かを判定する。
【0225】
二次相続についても、流動資産での支払いが可能である場合(ステップS56;Yes)、処理を終了する。二次相続については、流動資産で全ての相続税の支払いができない場合(ステップS56;No)、ステップS61に進む。
【0226】
また、一次相続の相続税について、流動資産での相続税支払いができない場合(ステップS55;No)、ステップS57で不足額を算出する。さらに、ステップS58で、被相続人と相続人の内部留保金額を参照して、一次相続での延納可能額を算出する。
【0227】
ステップS59では、延納可能額で不足額をカバーできるか否かが判定される。不足額をカバーできると判定された場合(ステップS59;Yes)、処理を終了する。
【0228】
ステップS59で、延納可能額で不足分をカバーできないと判定された場合(ステップS59;No)、ステップS60で不足額が算出され、この不足額が物納分とされる。
【0229】
ステップS61では、二次相続の相続税について、流動資産で支払い不可能な不足分が算出される。さらに、ステップS62で、配偶者と相続人の内部留保金額を参照して、二次相続での延納可能額を算出する。
【0230】
ステップS63では、延納可能額で不足額をカバーできるか否かが判定される。不足額をカバーできると判定された場合(ステップS63;Yes)、処理を終了する。
【0231】
ステップS63で、延納可能額で不足分をカバーできないと判定された場合(ステップS63;No)、ステップS64で不足額が算出され、この不足額が物納分とされる。
【0232】
処理Bでは、ステップS71で、所定年度の被相続人の流動資産、すなわち、即時に現金化できる資産額と、内部留保金額を取得する。ステップS72では、相続人の流動資産額と、内部留保金額を取得する。そして、ステップS73で、被相続人の流動資産額と、相続人の流動資産額を合算する。
【0233】
ステップS74で、一次相続での推定相続税額を確認する。ステップS75で、現時点での流動資産額で一次相続の相続税を支払い可能か否かを判定する。流動資産での相続税支払いが可能である場合(ステップS75;Yes)、処理を終了する。
【0234】
一次相続の相続税について、流動資産での相続税支払いができない場合(ステップS75;No)、ステップS76で不足額を算出する。さらに、ステップS77で、被相続人と相続人の内部留保金額を参照して、一次相続での延納可能額を算出する。
【0235】
ステップS78では、延納可能額で不足額をカバーできるか否かが判定される。不足額をカバーできると判定された場合(ステップS78;Yes)、処理を終了する。
【0236】
ステップS78で、延納可能額で不足分をカバーできないと判定された場合(ステップS78;No)、ステップS79で不足額が算出され、この不足額が物納分とされる。
【0237】
・「税務企画提案書」の作成プログラム
以下、「税務企画提案書」を作成するための、主なプログラム処理について説明する。
【0238】
税務企画提案書を作成する前提として、各資産の相続税評価額,現預金額を含む資産総額、債務総額、前記資産の所有者の家族構成、各資産による収入額を含む総収入額、各資産に係る支出額を含む総支出額に関する情報を収集する。
【0239】
図59において、相続税を減少させるためのシミュレーション処理について説明する。
先ず、ステップS81で、シミュレーションを行う対象資産を選択する。
次いで、ステップS82で、どのようなシミュレーションを行うのかが判定される。シミュレーションとしては、大きく分けて、土地の有効活用、財産贈与、資産売却、資産取得、資産交換、資産買換、資産分割、納税猶予、会社設立、土地貸付、保険活用、養子縁組、給与分配がある。
【0240】
これらの対策は、一つだけ行っても良く、また、複数の対策を組合せて行っても良いが、ここでは、土地活用による対策を行うシミュレーションについて示す。
【0241】
先ず、どのような土地活用を行うのかを決定する。
ステップS83で、土地の合筆を行うか否かが判定される。土地の合筆を行う場合(ステップS83;Yes)、ステップS84で、どの土地を合筆するのか、土地の一覧が表示される。
【0242】
ステップS85で、選択された土地を合筆する。ステップS86で、既存建物の取り壊しがあるか否かが選択される。既存建物の取り壊しがある場合(ステップS86;Yes)、ステップS87で取り壊し費用が算出される。
【0243】
次いで、ステップS88で、賃貸建物の建築か、自宅建築かが判定される。賃貸建物の建築の場合(ステップS88;Yes)、ステップS89で、建物規模を選択する処理を行う。そして、ステップS90で、建物規模に応じた建築予算が算出される。
【0244】
ステップS88での判定が、賃貸建物の建築ではない場合(ステップS88;No)、ステップS91で、自宅建築予算が算出される。
【0245】
次に、図60において、シミュレーションでの損益・収支を算出する処理について説明する。
ステップS101では、節税対策を行った場合について、資産総額と債務総額の予測値を算出し、推定相続税額の予測値を算出する。なお、推定相続税額の算出は、図55のフローに示す手順で行う。
【0246】
ステップS102では、節税対策を行わなかった場合について、資産総額と債務総額の予測値を算出し、推定相続税額の予測値を算出する。そして、ステップS103で、対策を行った場合と行わなかった場合の、推定相続税額の予測値の違いを提示する。
【0247】
ステップS104では、節税対策を行った場合について、総収入額と総支出額の予測値を算出し、内部留保金額の予測値を算出する。なお、内部留保金の算出は、図56のフローに示す手順で行う。
【0248】
ステップS105では、節税対策を行わなかった場合について、総収入額と総支出額の予測値を算出し、内部留保金額の予測値を算出する。そして、ステップS106で、対策を行った場合と行わなかった場合の、内部留保額の予測値の違いを提示する。
【0249】
なお、上記処理の後に、総収入額の予測額に基づいて所得税額の予測額を算出するステップを設けても良い。
【0250】
5.他のシミュレーション
相続税対策として、上記では、土地に賃貸マンションを建築して土地からの収入をあげながら、税法上の評価減により、資産を増やしながら相続評価の圧縮をするケースについて説明した。
【0251】
本例のシステムでは、上記したように、土地有効活用の一例として、被相続人の所有する土地に、被相続人の所有する賃貸マンションを建築するケースを示したが、これに限らず、他のケースについてのシミュレーションをすることが可能である。
【0252】
図61は、既に所有している土地について、土地活用を行うシミュレーションの例を示すものである。図61には、4つのパターンが例示されている。パターンAは、被相続人の所有する土地に、同族法人の所有する賃貸建物を建築するものである。パターンBは、相続人の所有する土地に、同族法人の所有する賃貸建物を建築するケースである。パターンCは、被相続人と相続人の土地を合筆した後、同族法人の所有する賃貸建物を建築するケースである。また、パターンDは、相続人の所有する土地に、被相続人の所有する賃貸建物を建築するものである。
【0253】
本例のシステムでは、さらに以下のようなシミュレーションを行うことが可能である。
(1)配偶者への居住用財産の贈与
一定の条件のもとに、2000万円までの居住用財産を無税で配偶者に贈与できるという制度を利用し、このことを組み入れたシミュレーションを行う。これにより、資産を減らさずに、相続評価を下げることが可能となる。
【0254】
(2)土地、建物の売却
収益性の悪い不動産を売却するシミュレーションを行う。このシミュレーションでは、売却による資金をもとに、現金の運用もしくは収益性の高い不動産の購入に関するシミュレーションも行う。また、同族法人に売却することにより、資産を実質減らさずに、相続評価を圧縮することも可能であるため、同族法人への売却シミュレーションも行う。
【0255】
図62は、土地購入シミュレーションの一例を示すものである。図62のパターンEは、被相続人または相続人または同族法人が土地を購入し、この購入した土地に、同族法人の所有する賃貸建物が建築されるケースが示されている。
図62に示すパターンFは、被相続人または相続人が土地を購入し、この購入した土地に、被相続人の所有する賃貸建物が建築されるケースである。
【0256】
図63は、土地売却シミュレーションの一例を示すものである。図63のパターンGは、被相続人または相続人の所有する土地に、被相続人または相続人の所有する賃貸建物が建築されている物件を第三者へ売却し、この売却益で被相続人または相続人の所有する土地を購入し、この土地に同族法人の所有する賃貸建物が建築されるケースである。
【0257】
図63のパターンHは、被相続人または相続人の所有する土地に、同族法人の所有する賃貸建物が建築されている物件について、土地を同族法人に売却するケースである。
【0258】
また、被相続人または相続人の所有する土地に、同族法人の所有する賃貸建物が建築されている物件を第三者に売却し、売却益で新規土地を購入し、その土地に、同族法人の所有する賃貸建物を建築するケース(パターンI)または被相続人の所有する賃貸建物を建築するケース(パターンJ)が示されている。
【0259】
(3)小規模宅地等の減額特例の活用
200m2までの土地については、居住用で80%、事業用で50%の評価減ができることが税法上認められているため、該当する土地について住居または事業に使用できるか否かについてシミュレーションを行う。
【0260】
(4)土地の利用区分の変更(土地の分筆)
一定の大きさの土地を分筆し、それぞれの利用形態を異なるものとすることにより、土地の評価が下がることがあるので、分割して住居や事業に使用できるか否かについてシミュレーションを行う。
【0261】
(5)土地の利用区分の変更(土地の合筆)
利用区分の異なる連続する土地を一つにして、大型の土地活用を行うシミュレーションを行う。多額の債務控除により、相続評価の圧縮が可能となる。
【0262】
これは、図61で既に示したように、例えば、被相続人の所有する土地と、相続人の所有する土地を合筆し、この合筆した土地に、同族法人の所有する賃貸建物を建築するケースである。
【0263】
なお、土地の合筆シミュレーションは、図64に示す画面で行うことができる。図64に示す画面では、先ず「区画追加」を選択すると、区画一覧画面が出てくるので、合筆したい筆を選択する。
【0264】
すると、区画一覧画面に、選択した全ての筆が表示される。区画一覧画面に表示された筆の面積及び利用持分率から、個人別の利用持分率が計算される。
なお、持分追加及び持分変更がある場合は、持分追加画面、持分変更画面から随時行う。
【0265】
(6)納税猶予の活用
農業後継者がいる場合には、農地を農地として相続すると、農業相続人は相続税の農地に対応する部分の金額の納税が猶予される。この制度を利用したシミュレーションを行う。
【0266】
(7)資産の贈与(相続人)
相続人に生前に贈与を行うシミュレーションを行い、計画的な資産の移行と圧縮を検討する。このとき、相続税の実務税率と贈与税の実務税率を対比してシミュレーションを行う。
【0267】
(8)財産の贈与(相続人以外)
相続人以外(孫等)に生前に贈与を行うシミュレーションを行い、計画的な資産の移行と圧縮を検討する。このとき、相続税の実務税率と贈与税の実務税率を対比してシミュレーションを行う。
【0268】
(9)住宅取得資金の贈与
相続人や相続人以外に通常の贈与より低い贈与税額で、住宅取得用の資金を贈与することは税法上認められている。この制度を利用して、住宅取得資金の贈与についてシミュレーションを行う。ただし、この贈与を行った年から5年間は、贈与した相手方に他の贈与を行うと、効果がなくなってしまうので注意が必要である。
【0269】
(10)会社の設立
同族法人を設立して不動産賃貸業を営むことにより、資産の圧縮、所得の分散による所得の軽減を図ることができる。このとき、被相続人の所有分は所有資産になるので、所有持分の検討も行う。
【0270】
(11)現物出資による会社設立
所有の土地・建物を現物出資して会社を設立するシミュレーションを行う。これにより、資産の圧縮を図ることが可能となる。また、会社が借り入れ等を起こすことにより、資産圧縮を行い、株式評価を下げ、株式の親族への譲渡を容易にするシミュレーションを行う。ただし、現物出資に際しては、譲渡所得税が発生するので、譲渡取得税についても検討する。
【0271】
(12)固定資産(土地)の交換
一定の要件のもとに、同一固定資産を無税で交換することができる。これにより、小規模土地を一つにまとめて有効活用を図る、貸地と借地の交換により更地を得られる、等を行うことが可能となる。
【0272】
(13)相当の地代による土地の貸付け
同族法人に対して、相当の地代による土地の貸付を行うシミュレーションを行う。地価の上昇が見込まれる地域においては、権利金の授受なしに、土地の借地権を同族法人に移行することが可能となる。
【0273】
(14)無償返還
「無償返還の届出」をし、同族法人に対して相当の地代に満たない地代で土地を貸し付けることにより、権利金の認定なしに土地の評価を20%低くすることができる。このとき、その20%は同族法人の株式評価に際し資産として加算されるので、その処理も行う。
【0274】
(15)等価交換
一定の条件のもとに、デベロッパーに対し土地を提供することにより、資金なしに建物を取得することができる。これにより、資産の評価圧縮と収入の確保をすることが可能となる。
【0275】
(16)定期借地
「定期借地権」を設定することにより、従来の貸地と違い、将来確実に返ってくる前提で土地を他人に貸すことができる。これにより、資産の評価圧縮と収入の確保をすることができる。また、他人の土地に「定期借地権」を設定することにより、土地の初期投資を抑えて、不動産事業を展開することが可能となる。
【0276】
(17)買換の特例
一定の条件のもとに、事業用資産を売却して新たに購入することについて、譲渡所得税の軽減特例が適用される。これにより、低利用地を高利用地に買い換えることができる。この制度を利用してシミュレーションを行う。ただし、この制度は毎年見直しが行われており、制度の確認と実施のタイミングが重要となる。
【0277】
(18)建物の取り壊し
採算性の良い建物を建築するために、既存建物の取り壊しをシミュレーションする。
【0278】
(19)自宅の新築
自宅の新築に関するシミュレーションを行う。自宅新築について現金を利用することにより、資産評価の圧縮を行うことができる。また、現自宅地が事業用に好立地である場合は、自宅地を事業用に転用することにより、収益の増大と資産評価の圧縮を行うことが可能となる。
【0279】
(20)不動産の取得
手持ちの現預金を使い、またそれに借入を加えることにより、総資産の増加と、相続評価を圧縮するシミュレーションを行う。
【0280】
(21)保険の活用(被相続人)
被相続人が生命保険に加入するシミュレーションを行う。生命保険の非課税枠を活用して、相続発生時に納税財源として利用するものである。
【0281】
(22)保険の活用(相続人)
被相続人が契約者となって、相続人に対して生命保険をかけるシミュレーションを行う。この場合、現金を所有しているよりも評価が圧縮される。また相続発生時には解約して、解約返戻金を納税財源として利用するものである。
【0282】
(23)保険の活用(法人)
被相続人が役員を務めている同族法人が、被相続人に生命保険をかけるシミュレーションを行う。相続発生時まで被相続人が役員を務めていれば、会社よりこの保険から退職金、弔慰金が支払われ、納税資金として利用できるからである。この場合は、退職金、弔慰金に関する規定を会社が整備しておくことが必要である。
【0283】
(24)養子縁組
被相続人に子供がいる場合は一人、子供がいない場合は二人まで、税法上養子を迎えることが可能である。この養子を迎えるシミュレーションを行う。養子を迎えることにより、基礎控除が増え、相続税の適用税率を下げることがあるためである。
【0284】
(25)給与の分配
家族を同族法人の役員または従業員として給与分配するシミュレーションを行う。給与分配をすることにより、所得の分散による税負担の軽減と、家族の生活費の確保が可能となる。そして、給与分配により納税を所得税で実施することが可能となるためである。
【0285】
6.投資シミュレーション
以上のように、本例のシステムによれば、ユーザーの現在の相続人構成や、ユーザーが所有している資産の現状を把握することができる。そして、資産の現状に基づいて、相続税及びユーザーの損益・収支に関するシミュレーションを行うことができる。
【0286】
本例のシステムは、さらに、資産対策のために資産を売却したいユーザーがいる場合、その物件について会員のなかから投資者を選出する機能を有している。すなわち、投資物件を提供する側と、投資を行う側の最適の組合せを見つける機能を有している。
【0287】
以下、投資物件に関するシミュレーション機能について説明する。
図65に示すように、この投資物件シミュレーションは、あるユーザーが自分の土地を売却したいと考えたときに、その土地を購入可能な別なユーザーを自動でピックアップし、表示するものである。
【0288】
そして、ピックアップされた所定のユーザーが、投資物件を購入したとき、そのユーザーの収支がどのようになるかについても、シミュレーションすることが可能である。
【0289】
(1)投資物件シミュレーション指示
まず、登録済みのデータから、投資物件データを選出する。
登録済みデータの中から、投資物件データを選出するために、投資物件をマークしておくようにする。投資物件には、所定のユーザーが売却を希望している資産や、税務対策シミュレーションにより売却した方が良いと判定された資産が含まれる。
【0290】
そして、上記マークがなされているか否かによって、登録済みデータを分類し、マークがなされているものを、投資対象の資産として表示する。
【0291】
(2)投資物件シミュレーション処理
投資物件データが選出されたら、投資物件データの各種情報(自己投資金額、購入口数、建物用途等)と、各会員の資金情報を元に、各会員について購入可否の判断を行う。そして、購入可能な場合、購入可能者の一覧表示と購入後の損益・収支計算書を作成する。
【0292】
(3)シミュレーション結果確認
最後に、シミュレーション処理で作成された結果を確認する。シミュレーションの結果は、画面表示することも可能であり、また、帳票の形式でプリント出力することも可能である。
【0293】
ここで、投資物件シミュレーション処理の流れを説明する。
まず、図66において、投資物件の確定処理について説明する。
ステップS111で、その物件が投資物件であるか否かが判定される。
投資物件と判定された場合、ステップS112で、その物件がマークされる。
投資物件と判定されなかった場合は、処理を終了する。
【0294】
次に、図67において、投資物件の選出処理について説明する。
ステップS121で、全データの中から、投資物件としてマークされたものがあるかどうかが判定される。投資物件としてマークされたものがある場合、ステップS122で投資物件が表示される。
投資物件としてマークされたものがない場合は、後述する投資物件組成処理に移行する。
【0295】
次に、図68において、選出された投資物件について、投資可能なユーザーを確定する処理について説明する。先ず、ステップS131では、選出された投資物件の売却金額が確認される。
【0296】
次いで、ステップS132で、各ユーザーの現預金額、収入額が確認される。そして、ステップS133で、投資物件を購入する場合に最低限必要な頭金額と、月々の支払を行うための収入額を備えたユーザーが選出される。
【0297】
さらに、ステップS134で、選出されたユーザーについて、投資物件を購入した際の損益・収支、及び相続税額を算出する。損益は、不動産収入を含む総収入と、減価償却費,公租公課等の経費と、所得税,住民税,事業税を減算して算出される課税所得と、税額と、により把握される。
【0298】
収支は、不動産収入を含む総収入と、経費及び税額を含む総支出と、総収入から総支出を減算した内部留保金と、により把握される。なお、損益・収支については、投資を行った時点から数年間の推移予測値が算出される。
【0299】
相続税額について、投資後の額は、資産合計額に投資物件が付加され、債務合計額に借入金が付加された状態で算出される。相続税についても、投資を行った時点から数年間の推移予測値が算出される。
【0300】
ステップS135では、ステップS134で算出された損益・収支の結果、及び相続税額と、投資物件を購入しなかった場合(現状)の損益・収支の結果、及び相続税額とが比較され、投資した場合の方が、良い結果が得られるか否かが判定される。
【0301】
ステップS135で、投資した場合の方が、損益・収支が良くなると判定された場合、ステップS136で、さらに他の投資が可能か否かが判定される。また、ステップS135で、投資した場合の方が、損益・収支が悪くなると判定された場合、ステップS137で投資を行わないことが決定され、処理を終了する。
【0302】
ステップS136では、他の投資について投資可能するか否かが判定される。
さらに、他の投資を行うと判定された場合、ステップS131からステップS135の処理を繰り返す。2回目の投資シミュレーションでは、1回目の投資シミュレーションで得られた投資後の財産状況をベースに試算が行われる。
ステップS136で、他の投資物件について投資しないと判定された場合、処理を終了する。
【0303】
なお、登録データの中に、投資物件についての具体的な案件がない場合には、次の要領で投資物件の必要条件の抽出を行っても良い。
先ず、「資産明細書」の「現在の資産状況」や、「損益・収支推移予想表」より、多くの資産を有するユーザー、所得に余裕のあるユーザーを把握する。
そして、税務対策シミュレーションにより、各ユーザーに対する効果的な所得、収支、評価減を推定する。
【0304】
上記税務対策シミュレーションにより、売却資産をピックアップする。さらに、ピックアップされた物件について、購入時の最低頭金額、月々の支払額を算出するとともに、投資物件による収益性等を予測する。
そして、上記予測された前提条件により、すべての会員にシミュレーションを行い、購入可能者一覧を出力する。
【0305】
【発明の効果】
以上のように、資産対策システムは、ユーザーの現状での資産状況と相続税額が提示されるとともに、節税についての各種シミュレーションを行う。そして、シミュレーション結果として、対策後の資産状況と収益状況及び相続税額が提示される。したがって、所有する資産の対策について、最も効果的で確実な方法を検討することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るシステムの概念図である。
【図2】本発明に係るシステムのハード構成を示す説明図である。
【図3】土地に関して、筆、利用筆、区画の関係を示す説明図である。
【図4】区画と建物情報及び借入金の関係を示す説明図である。
【図5】本発明のシステムで作成される家系図を示す説明図である。
【図6】本発明のシステムで作成される不動産一覧表を示す説明図である。
【図7】本発明のシステムで作成される現在の資産状況を示す説明図である。
【図8】本発明のシステムで作成される土地評価表を示す説明図である。
【図9】本発明のシステムで作成される相続税推移予想表を示す説明図である。
【図10】本発明のシステムで作成される損益・収支予想表を示す説明図である。
【図11】本発明のシステムで作成される現在の損益・収支の状況を示す説明図である。
【図12】本発明のシステムで作成される相続税の支払資金調達方法の検討を示す説明図である。
【図13】本発明のシステムで作成される不動産収入・支出一覧表を示す説明図である。
【図14】本発明のシステムで作成される金融資産一覧表を示す説明図である。
【図15】本発明のシステムで作成される債務一覧表を示す説明図である。
【図16】本発明のシステムで作成される減価償却一覧表を示す説明図である。
【図17】本発明のシステムで作成されるライフプラン一覧表を示す説明図である。
【図18】本発明のシステムで作成される不動産明細表を示す説明図である。
【図19】本発明のシステムで作成される対策結果一覧表を示す説明図である。
【図20】本発明のシステムで作成される相続税支払方法一覧表を示す説明図である。
【図21】本発明のシステムで作成される対策結果比較表を示す説明図である。
【図22】本発明のシステムで作成される対策結果比較表を示す説明図である。
【図23】本発明のシステムで作成される個別損益・収支明細書(対策前)を示す説明図である。
【図24】本発明のシステムで作成される個別損益・収支明細書(対策後)を示す説明図である。
【図25】本発明のシステムで作成される対策効果確認書を示す説明図である。
【図26】本発明のシステムで作成される対策効果確認書を示す説明図である。
【図27】システムにおける2次相続の考え方を示す説明図である。
【図28】システムにおける納税猶予の考え方を示す説明図である。
【図29】被相続人のデータ入力画面を示す説明図である。
【図30】相続人のデータ入力画面を示す説明図である。
【図31】被相続人の確定申告書データ入力画面を示す説明図である。
【図32】筆(登記簿)情報の入力画面を示す説明図である。
【図33】筆(登記簿)情報の入力画面を示す説明図である。
【図34】区画編成入力で使用する画面を示す説明図である。
【図35】土地の利用状況の確認画面を示す説明図である。
【図36】区画編成情報の入力画面を示す説明図である。
【図37】区画編成情報の入力画面を示す説明図である。
【図38】区画編成情報の入力画面を示す説明図である。
【図39】区画編成情報の入力画面を示す説明図である。
【図40】区画編成情報の入力画面を示す説明図である。
【図41】区画編成情報の入力画面を示す説明図である。
【図42】区画編成情報の入力画面を示す説明図である。
【図43】土地の利用形態の主なパターンを示す説明図である。
【図44】建物情報の入力画面を示す説明図である。
【図45】法人情報の入力画面を示す説明図である。
【図46】法人情報の入力画面を示す説明図である。
【図47】建物及び土地に付随していない資産の入力画面を示す説明図である。
【図48】減価償却の入力画面を示す説明図である。
【図49】担保・債務情報の入力画面を示す説明図である。
【図50】担保・債務情報が入力された後の土地及び建物の区画明細を示す説明図である。
【図51】複数者間でのお金の流れを示す画面の説明図である。
【図52】土地評価における想定整形地のとり方の説明図である。
【図53】土地の分類処理を示すフローチャートである。
【図54】家系図作成処理を示すフローチャートである。
【図55】推定相続税額の算出処理を示すフローチャートである。
【図56】内部留保金の算出処理を示すフローチャートである。
【図57】納税方法を検討する処理を示すフローチャートである。
【図58】納税方法を検討する処理を示すフローチャートである。
【図59】相続税を減少させるためのシミュレーション処理を示すフローチャートである。
【図60】シミュレーションでの損益・収支を算出する処理を示すフローチャートである。
【図61】所有している土地に関するシミュレーションの例を示す説明図である。
【図62】土地を購入して行うシミュレーションの例を示す説明図である。
【図63】土地を売却して行うシミュレーションの例を示す説明図である。
【図64】土地の合筆シミュレーションを行う画面を示す説明図である。
【図65】投資物件シミュレーションの概略図である。
【図66】投資物件シミュレーションの処理を示すフローチャートである。
【図67】投資物件シミュレーションの処理を示すフローチャートである。
【図68】投資物件シミュレーションの処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
10 コンピュータ装置
11 入力部
12 記憶部
13 制御部
14 出力部
15 送受信部
【発明の属する技術分野】
本発明は資産対策システムに係り、特に、相続税などの課税対象となる資産について最適な資産対策を提供することが可能な、資産対策システム,資産対策方法,資産対策装置及び資産対策プログラムに関する。
【0002】
【従来の技術】
税金は、大きく分けて国税(国が課税するもの)と、地方税(地方自治体が課税するもの)に分けられるが、特に国税については、所得税,法人税,相続税,贈与税が根本となっており、税収のなかで大きなウェイトを占めている。
【0003】
相続税は財産を次世代に承継する際に課税される。相続税の納税は、申告期限までに現金で一括納付することが原則となっている。このとき、財産のなかで不動産の占める割合が高い場合は、課税される相続税に対して現金で納税することが困難になっている。
【0004】
そこで、分割で納税する延納や、物で納税する物納といった方法をとる場合もあるが、その結果、普段の生活が圧迫されたり、財産を減らしてしまうというケースが多かった。
【0005】
さらに、バブル崩壊により、不動産の実勢価格が下落したにもかかわらず、相続税評価額や固定資産税評価額が、それに伴わず依然として高い水準にあるため、相続税、固定資産税に対する負担感が強くなってきている。
【0006】
また、市場の冷え込み、或いは供給過剰により、相続税の納税のために不動産を売却しようとしても、価格が大幅に下落していたり、売却が困難な状況となっている。
【0007】
従来より、ユーザーの不動産情報に基づいて、相続税評価額や固定資産税評価額、総資産額、債務額、公租公課等の項目について算出及び表示する資産管理システムが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0008】
【0009】
【特許文献1】
特開平11−96217号公報(第3頁)
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
上記資産管理システムにより、不動産情報を確認することができ、相続税額などを把握することが可能となる。
【0011】
しかし、上記従来のシステムでは、一覧として表示された情報を確認するとともに、これらの情報に基づいて相続税申告書の作成等を行うことは可能であるが、資産の価値や収益率に関する情報については提示することができないため、より効果的な資産活用、節税対策に利用することはできなかった。
【0012】
また、生活環境のライフサイクルは毎年変化し、事業を行っている場合であれば、その損益・収支は毎年異なるものとなる。このように変動する環境の中で、画一的でない資産対策が望まれている。
【0013】
本発明の目的は、財産や収支・損益の状況を明確にするとともに、相続税等の節税対策に対するシミュレーションを行うことを可能とする、資産対策システム,資産対策方法,資産対策装置及び資産対策プログラムを提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記課題は、本発明の請求項1に係る資産対策システムによれば、資産に関する情報を収集し、該情報に基づいて最適な税務対策を提示する資産対策システムであって、所定の所有者が有する各資産に関する情報を収集し、前記各資産についての流動性または収益性を評価し、前記各資産より発生する相続税に対し、前記各資産の流動性または収益性に基づいて納税の可否を検討し、前記資産に関して、土地の有効活用、財産贈与、資産売却、資産取得、資産交換、資産買換、資産分割、納税猶予、会社設立、土地貸付、保険活用、養子縁組、給与分配を含む節税対策を行った場合と行わなかった場合それぞれについて、前記所有者の損益、収支、推定相続税額を算出する、ことにより解決される。
【0015】
上記課題は、本発明の請求項2に係る資産対策システムによれば、資産に関する情報を収集し、該情報に基づいて最適な税務対策を提示する資産対策システムであって、前記資産に関する情報として、各資産の相続税評価額,現預金額を含む資産総額、債務総額、前記資産の所有者の家族構成、各資産による収入額を含む総収入額、各資産に係る支出額を含む総支出額、を収集し、節税対策を行った場合と行わなかった場合それぞれについて、資産総額、債務総額、総収入額の予測推移額を算出し、節税対策を行った場合と行わなかった場合それぞれについて、前記資産総額の予測推移額及び債務総額の予測推移額に基づいて課税遺産総額の予測推移額を算出し、該課税遺産総額の予測推移額と前記家族構成に基づいて推定相続税額の予測推移額を算出するとともに、前記総収入額の予測推移額及び総支出額の予測推移額に基づいて内部留保金額の予測推移額を算出し、節税対策を行った場合と行わなかった場合について、少なくとも前記推定相続税額の予測推移額と、内部留保金額の予測推移額との比較結果を提示する、ことにより解決される。
【0016】
本発明の資産対策システムによれば、資産状況と相続税額が提示されるとともに、節税についての各種シミュレーションを行い、将来的にどのような対策を行うのが最も効果的であるか、具体的数値に基づいて検討することが可能となる。
【0017】
前記節税対策としては、具体的には、土地活用として土地への賃貸建物の建築または自宅の建築が含まれる。また、前記土地活用を行うために土地の利用区分の変更を行うこともある。
【0018】
なお、各資産による収入額の予測推移額と、各資産による支出額の予測推移額より、課税所得額の予測推移額を算出すること、前記総収入額の予測推移額に基づいて、所得税額の予測推移額について算出すること、も可能である。
【0019】
本発明の資産対策方法は、各資産の相続税評価額,現預金額を含む資産総額、債務総額、前記資産の所有者の家族構成、各資産による収入額を含む総収入額、各資産に係る支出額を含む総支出額、のいずれか一つまたは二つ以上の組合せを収集する第1の工程と、節税対策を行った場合と行わなかった場合それぞれについて、資産総額、債務総額、総収入額の予測推移額を算出する第2の工程と、節税対策を行った場合と行わなかった場合それぞれについて、前記資産総額の予測推移額及び債務総額の予測推移額に基づいて課税遺産総額の予測推移額を算出し、該課税遺産総額の予測推移額と前記家族構成に基づいて推定相続税額の予測推移額を算出する第3の工程と、前記総収入額の予測推移額及び総支出額の予測推移額に基づいて内部留保金額の予測推移額を算出する第4の工程と、節税対策を行った場合と行わなかった場合それぞれについて、少なくとも前記推定相続税額の予測推移額と、内部留保金額の予測推移額との比較結果を提示する第5の工程と、を備えたことを特徴とする。
【0020】
なお、本発明の資産対策方法において、前記第2の工程の後に、前記各資産による収入額の予測推移額と、各資産による支出額の予測推移額より、課税所得額の予測推移額を算出する工程、または前記総収入額の予測推移額に基づいて所得税額の予測推移額が算出される工程を備えた構成としても良い。
【0021】
本発明の資産対策装置は、各資産の相続税評価額,現預金額を含む資産総額、債務総額、前記資産の所有者の家族構成、各資産による収入額を含む総収入額、各資産に係る支出額を含む総支出額を含む情報を記憶する記憶部と、前記情報を入力する入力部と、前記情報に基づいて節税対策を行った場合と行わなかった場合それぞれについて、資産総額の予測推移額、債務総額の予測推移額、総収入額の予測推移額,課税遺産総額の予測推移額、推定相続税額の予測推移額、内部留保金額の予測推移額のいずれか一つまたは二つ以上の組合せを生成するとともに、節税対策を行った場合と行わなかった場合について、少なくとも前記推定相続税額の予測推移額と、内部留保金額の予測推移額との比較を行う制御部と、該制御部により生成された結果が出力される出力部とを備えたことを特徴とする。
【0022】
前記制御部は、前記資産総額の予測推移額及び債務総額の予測推移額に基づいて課税遺産総額の予測推移額を算出する処理、該課税遺産総額の予測推移額と前記家族構成に基づいて推定相続税額の予測推移額を算出する処理、前記総収入額の予測推移額及び総支出額の予測推移額に基づいて内部留保金額の予測推移額を算出する処理、前記各資産による収入額の予測推移額と、各資産による支出額の予測推移額より、課税所得額の予測推移額を算出する処理、前記総収入額の予測推移額に基づいて所得税額の予測推移額を算出する処理、のいずれか一つまたは二つ以上の組合せを行う。また、前記出力部からは帳票イメージの画面表示またはプリント出力がなされる
【0023】
本発明の資産対策プログラムは、各資産の相続税評価額,現預金額を含む資産総額、債務総額、前記資産の所有者の家族構成、各資産による収入額を含む総収入額、各資産に係る支出額を含む総支出額、のいずれか一つまたは二つ以上の組合せを収集するステップと、節税対策を行った場合と行わなかった場合それぞれについて、資産総額、債務総額、総収入額の予測推移額を算出するステップと、節税対策を行った場合と行わなかった場合それぞれについて、前記資産総額の予測推移額及び債務総額の予測推移額に基づいて課税遺産総額の予測推移額を算出し、該課税遺産総額の予測推移額と前記家族構成に基づいて推定相続税額の予測推移額を算出するステップと、前記総収入額の予測推移額及び総支出額の予測推移額に基づいて内部留保金額の予測推移額を算出するステップと、節税対策を行った場合と行わなかった場合それぞれについて、少なくとも前記推定相続税額の予測推移額と、内部留保金額の予測推移額との比較結果を提示するステップと、をコンピュータに実行させるものである。
【0024】
なお、前記節税対策を行った場合と行わなかった場合それぞれについて、資産総額、債務総額、総収入額の予測推移額を算出するステップの後に、各資産による収入額の予測推移額と、各資産による支出額の予測推移額より、課税所得額の予測推移額を算出するステップ、または資産総額、債務総額、総収入額の予測推移額を算出するステップの後に、前記総収入額の予測推移額に基づいて所得税額の予測推移額が算出されるステップを備えた構成としても良い。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施の形態を図面に基づいて説明する。なお、以下に説明する処理ステップ、装置等は本発明を限定するものでなく、本発明の趣旨の範囲内で種々改変することができるものである。
【0026】
1.システム概略
本例に係るシステムは、不動産をはじめ、現預金、有価証券、生命保険、ゴルフ会員権など、相続税の対象となる財産の現状把握と評価を行い、いくらの相続税がかかるのかを試算し、納税が可能かどうかを確認するものである。
【0027】
そして、問題点の抽出を行い、相続税や所得税への対策と、最適な総合資産対策を立案し、提案するものである。ユーザーは、本例の資産管理システムにより提案された企画に基づいて、対策を実行、実現するものである。
【0028】
図1に、システムの概略図を示す。
図示されているように、本例のシステムでは、ユーザーであるオーナー会員から会員情報と、資産情報を収集し、収集された情報に基づいて、現状処理とシミュレーション処理を行うように構成されている。
【0029】
現状処理として、日報入力、現状把握、提案書(資産明細書)作成が行われる。日報入力は、サービス提供者側で、日々の業務内容と、ユーザーへの訪問履歴及び各種提案内容を入力・蓄積し、ユーザーへのアフターフォローなどに役立てる処理である。
【0030】
現状把握は、ユーザーから収集した情報を、被相続人情報、相続人情報、法人情報、土地情報、建物情報、その他資産情報に分類し、各種現状を示す帳票、現状の損益計算書、現状の収支計算書、現状の相続税予想表を作成する処理である。
【0031】
提案書作成は、上記現状把握で作成された各種帳票類を出力し、ファイリングしてユーザーに提示する処理である。ユーザーは、現状資産内容について説明を受け、今後の対策について検討する。
【0032】
シミュレーション処理では、被相続人・法人の節税対策シミュレーション、遺産分割シミュレーション、相続人の納税対策シミュレーションが行われる。
節税を行うためには、土地の有効活用、等価交換、土地交換、土地売却、土地購入、居住用財産の贈与、自宅建築、投資物件、法人への土地売却、自社株の贈与、養子縁組、現金贈与、買い換え、など種々の手法があるが、ここでは、これらの節税対策にパターン別にシミュレーションを行い、結果を提示する。
【0033】
シミュレーションの結果としては、シミュレーション内容一覧表、対策後損益計算書、対策後収支計算書、対策後相続税予想表が提示される。これらの提示を受けて、ユーザーは、各種対策内容について検討し、対策実施の判断を行う。
なお、シミュレーションにあたり、税理士を交えて、より確実で有効な節税対策案を検討しても良い。
【0034】
遺産分割シミュレーションでは、ユーザーからの遺産分割方法の要望等を受けて、節税対策後の被相続人の資産情報に基づいて、遺産分割指示を入力し、相続人毎の遺産分割情報を算出する。
【0035】
相続人の納税対策シミュレーションでは、相続人の資産情報と、相続人毎の遺産分割情報に基づいて、相続を行った場合の相続人別の損益計算書、収支計算書を作成する。
【0036】
さらに、相続税について、売却、物納、延納、借入など、どのような納付方法にするのが最も得策なのかについてシミュレーションを行う。相続人の納税対策シミュレーションによって、納税対策後の損益計算書、納税対策後の収支計算書、納税対策後の相続税予想表が提示される。
なお、ユーザーから収集した情報や、各シミュレーションの結果情報については、順次集積し、分析を行って、今後の資産対策やユーザーへの提案に活用する。
【0037】
2.ハード構成
本例のシステムは、図2に示すコンピュータ装置10から構成されている。
コンピュータ装置10は、情報を入力する入力部11と、情報に基づいて演算処理を行う制御部13と、制御部13での演算結果を出力する出力部14と、を備えている。また、コンピュータ装置10は、情報を記憶する記憶部を有しているが、本例では、記憶部が別のサーバーに置かれ、この記憶部にユーザーの情報が記憶されるように構成されている。これにより、情報の秘匿性が確保されるとともに、大量のデータを格納することが可能となる。
【0038】
入力部11は、キーボードやマウス、スキャナー等からなり、ユーザー情報と資産情報を入力する。ユーザー情報は、被相続人情報、相続人情報、法人情報、ライフプラン情報を含み、資産情報は、土地情報、建物情報、その他資産情報、を含むものである。なお、借入金情報、3年内贈与情報、があれば、これらの情報も入力する。
【0039】
被相続人情報として、氏名、住所、生年月日、電話番号、FAX番号、携帯番号、メールアドレス、職業、勤務先、現預金額、生命保険の加入状況等の情報が入力される。また、趣味や特記事項があればその情報を入力する。
【0040】
相続人情報として、氏名、被相続人との続柄、同居か否か、相続人扶養控除があるか否か、住所、生年月日、電話番号、FAX番号、携帯番号、メールアドレス、職業、勤務先が入力される。また、趣味や特記事項があればその情報を入力する。
【0041】
上記被相続人情報と相続人情報については、基本的にユーザーへヒアリングを行うことにより情報収集する。さらに、確定申告書の情報に基づいて、個人損益・収支情報を入力する。
【0042】
また、被相続人と相続人のライフプラン情報を収集する。ライフプラン情報としては、自宅増改築、アパートリフォーム、世界一周旅行等、多額の支出があり、ユーザーの資産に影響を与える予定が入力される。
【0043】
法人情報は、登記簿,法人決算書,法人名寄帳,法人税申告書,有価証券報告書等を参照して入力される。法人情報として、名称、所在地、設立年月日、業種、電話番号、FAX番号、従業員数、株式保有割合、土地保有割合、代表者名、配当金額、利益金額、純資産価額、株式上昇率が入力される。さらに、類似業種の前年度株価平均値、配当金額、利益金額、純資産価額が入力される。さらに、財務諸表(貸借対照表、損益計算書)に基づいて、法人損益・収支情報を入力する。
【0044】
資産情報は、土地情報、建物情報、その他資産情報、を含む。土地情報と建物情報は、登記簿を参照して入力される。資産情報については、さらに市区町村が発行する名寄帳(固定資産税課税台帳)の情報、国税庁が発行する路線価図の情報を入力する。名寄帳の情報には、地番、地目、地積、固定資産税評価額、固定資産税課税標準額、都市計画税課税標準額が含まれている。その他資産情報は、ユーザーからのヒアリングにより入力される。
【0045】
土地情報について、筆、利用筆、区画の関係を図3に示す。筆(登記)とは、登記簿の単位であり、図3の筆1,筆2を指すものである。利用筆とは土地利用の都合上、実際の筆(登記)を細分化した単位であり、図3の筆1−1、筆1−2を指すものである。区画とは、利用筆を土地利用する単位で括った単位であり、図3の区画(あ)、区画(い)を指すものである。
【0046】
なお、筆(登記)情報、名寄帳情報、路線価情報、後述する区画編成情報は、家族全体(被相続人、相続人、同族法人)を一括で入力する。これは、共有土地の場合、データを重複して入力することになること、名寄帳情報は代表者(納税義務のある人)毎の情報であるため、共有土地の場合、代表者の情報を入手して、且つ、持分割合を考慮して入力する必要があるため、各人が所有する土地のみで区画を作成するとは限らず、家族全体の登記(筆)情報を考慮しなければ区画編成は行えないと考えられるため、路線価は区画単位に取得するので、各人毎の区画に対して入力することは難しいため、名寄帳・路線価情報は、毎年決まった時期に家族全体の情報を収集し、いっきに更新することが考えられるため、等の理由によるものである。
【0047】
筆情報(登記簿情報)として、登記簿より筆毎に、地番、地積、地目等が入力される。また、所有者毎に、名前、権利持分割合が入力される。さらに、利用者毎に、名前、利用割合、利用権利、用途、収入地代、収入先、支払地代、支払先等を入力する。なお、区画を編成して土地利用が行われている場合は、それぞれの区画に対して情報が入力される。収入先を入力するのは、その不動産収入が、権利関係を持たない家族へ計上されるケースがあるためである。また、支払先については、その支払先が家族のケースがあるためである。
【0048】
筆情報(利用単位)の入力とは、筆情報(登記簿)を分割、利用する場合について入力するものであり、筆情報(登記簿)より、筆情報(利用単位)を作成する。
【0049】
建物情報の入力については、登記簿、目視等により、建物毎に建物名称等を入力する。建物情報についても、収入先及び支払先を入力する。
また、名寄帳情報の入力については、名寄帳情報を筆(登記簿)、建物毎に入力する。
【0050】
借入金情報は、被相続人、相続人、法人のそれぞれの借入金情報が入力される。借入金情報は、借入金の残高明細書,返済の償還表、或いは被相続人または相続人からのヒアリングにより収集され、入力される。このとき、借入に伴う担保物件及び債務物件(借入対象となった物件)の情報も入力する。
【0051】
なお、借入金が、複数の区画又は建物に関係している場合、借入金を分割し、それぞれの区画又は建物情報に結び付けて管理する。区画と建物情報及び借入金の関係を図4に示す。図示されているように、建物情報は1つの区画に複数紐付いている。
【0052】
借入金情報は、人に付く情報のため、区画・建物とは切離して考えるが、区画・建物との紐付けは管理する。また、借入金の担保情報も管理する。図4における借入金1のように、共同担保のケースも考慮する。また、借入金2のように、複数の建物(資産)に紐付くケースは、システム上便宜的に借入金を分割して、各々の建物と紐付くようにする。
【0053】
債務(借入金)の入力については、債務(借入金)を被相続人、相続人、法人毎に入力する。なお、保証金、敷金等、債務とみなされる情報については、区画、建物毎に入力を行い、債務情報として保存する。
【0054】
相続や遺贈で財産をもらった人が、相続開始前3年以内に被相続人から贈与を受けていた財産は、相続税の課税対象となる。このため、3年内贈与に関する情報もシステムに登録される。
【0055】
区画編成情報としては、区画と利用筆の紐付けを示す情報、区画と建物の紐付けを示す情報、建物と借入金の紐付けを示す情報、区画と借入金の紐付けを示す情報、等が入力される。
【0056】
区画の入力については、筆情報(利用単位)を選択する。このとき、地番、地目等は、選択した筆情報(利用単位)の代表をデフォルト表示し、地積、固定資産税課税標準額等は計算して表示する。
【0057】
代表利用権利は、被相続人に権利のない場合はブランクとする。さらに、作成(選択)区画に存在する建物を指定し、代表建物を選択する。さらに、建物に対する借入金を指定する。さらに、区画に対する借入金を指定する。
【0058】
上記情報は、コンピュータ装置10に設けられた入力部11を使用しても良いが、他のコンピュータ装置に設けられた入力部から情報を入力し、送受信部15に接続された通信回線網を介して、コンピュータ装置10に送信する構成としても良い。このとき、通信回線網としては、インターネット、電話線、ISDN回線、専用線、無線などが使用される。
【0059】
入力された情報は、記憶部12に記憶される。記憶部12は、HDD,ROM,RAMから構成されており、入力情報はHDDに記憶される。ROMは、コンピュータシステムのハードウェア制御のための基本的な各種プログラムについても格納している。RAMは、コンピュータ制御のためのワークエリアとして機能するように構成されている。
【0060】
記憶部12には、入力情報を格納するための複数のマスタが形成されており、本例の資産管理システムは、被相続人マスタ、相続人マスタ、法人マスタ、土地マスタ、建物マスタ、その他資産マスタを備えている。
また、記憶部12には、入力情報に基づいて作成された各種帳票や計算書を格納する場所として、提案書記憶部が形成されている。
【0061】
資産管理システムは、上記入力情報に基づいて、演算処理を行う。演算処理は、制御部13においてプログラムに従って行われる。制御部では、ユーザーの資産に関して現状の把握を行うための処理と、その資産について対策を立案するための処理が行われる。
【0062】
上記制御部13での演算結果は、出力部14に出力される。出力部14とは、例えばコンピュータ装置のモニター、プリンタ、スピーカーである。なお、通信回線網を介して外部に出力される構成としても良い。
【0063】
制御部での演算結果として、現状の把握に関しては、「(1)資産明細書」が出力される。また、対策の立案に関しては、「(2)税務企画提案書」が出力される。
【0064】
なお、システムを構成するコンピュータには、ユーザーの個人情報が記憶されているため、万全のセキュリティ対策を行う。セキュリティ対策としては、ログオン時のDNA、網膜、声紋、指紋等による認証、ログオン時のID及びパスワードによる認証、取扱者の権限レベルによる利用可能な機能の限定、データベースコネクト時のパスワード設定、データ内容の暗号化、プリント出力帳票を最低限枚数のみ行う等の対策が考えられる。
【0065】
2.帳票
(1)資産明細書
「資産明細書」は、ユーザーの現在の相続人構成や、ユーザーが所有している資産の現状を把握するための帳票である。
【0066】
資産明細書は、家系図、不動産一覧表、現在の資産状況、土地評価表、相続税推移予想表、損益・収支推移予想表、現在の損益・収支の状況、相続税の支払資金調達方法の検討、不動産収入・支出一覧表、金融資産一覧表、債務一覧表、減価償却一覧表、ライフプラン一覧表、不動産明細表、の各帳票から構成されている。
【0067】
・家系図
図5は、資産明細書における家系図を示すものである。家系図には、被相続人の氏名及び年令と、各相続人の氏名・年令・法定相続割合が記載されている。
【0068】
・不動産一覧表
図6は、資産明細書における不動産一覧表を示すものである。不動産一覧表には、不動産の名称、所在地、利用用途、現状地目、持分率、地積、1m2当たり評価額、土地の相続税評価額(更地の場合、現在の利用方法の場合)、建物の評価額(固定資産税評価額、現状建物の相続税評価額、残存簿価)、総資産額、債務額、純評価額、負担相続税額(1件当たりの相続税額)、公租公課、不動産収入額、キャッシュフロー(1件当り内部留保金額)、総資産収益率、時価収益率、相続税収益率が表示されている。
【0069】
不動産の名称、所在地、利用用途、現状地目、持分率、地積、1m2当たり評価額、土地の相続税評価額(更地の場合、現状の場合)、建物の評価額(固定資産税評価額、現状建物の相続税評価額、残存簿価)、総資産額、債務額、純評価額、負担相続税額、公租公課、不動産収入額には、土地マスタ及び建物マスタに記憶されている情報が入力され、表示されている。
【0070】
キャッシュフロー、総資産収益率、時価収益率、相続税収益率については、次の計算式に基づいて数値が算出される。
総資産収益率=(不動産収入−公租公課)÷総資産
キャッシュフロー(1件当り内部留保金額)=内部留保金×不動産収入比率
*不動産収入比率=1件当り不動産収入額/不動産収入総額
時価収益率=キャッシュフロー÷更地相続税評価額
相続税収益率=キャッシュフロー÷負担相続税額
【0071】
キャッシュフロー、時価収益率、相続税収益率は、収入物件についてのみ表示される。また、キャッシュフローのない物件については、総資産収益率は必然的にマイナスとなる。
【0072】
・現在の資産状況
図7は、現在の資産状況を示すものである。現在の資産状況は、上記不動産一覧表に示された情報を、表とグラフにして分かり易く示すものである。ここでは、ユーザーの所有している資産の利用度,活用度の割合が円グラフで示される。
【0073】
また、ユーザーの所有している資産について、資産、債務、控除額に分類し、相続が発生した際の遺産総額、課税遺産総額、推定相続税額が表示される。
そして、ユーザーの理解を助けるために、相続税の計算方法が表示される。
【0074】
相続税総額は、
各相続人毎の相続税額=課税遺産総額×各人の法定相続割合×税率
相続税総額=各相続人毎の相続税額の総計
の式より算出される。
そして、配偶者軽減がある場合は、相続税総額から軽減分を減算する。
【0075】
・土地評価表
図8は、資産明細書における土地評価表を示すものである。土地評価表では、ユーザーが所有している資産のうち、土地についての現状が表示される。ここでは、土地について、事業用更地評価、事業用評価減有、収益無評価減無、自用地の4種類に分類される。
【0076】
事業用更地評価とは、収益を上げているが、評価減のない土地のことであり、例えば、駐車場、資材置場が含まれる。
事業用評価減有とは、収益を上げていて、評価減のある土地のことであり、例えば貸宅地(本人名義の土地に他人名義の建物が建っていて、借地権等の権利関係が生じている土地)、貸家建付地(本人名義の土地に本人名義の建物が建っていて他人に貸し付け、それによる収入を受けている土地)、無償返還(本人が所有する土地に、対価なく法人が借り受ける土地)が含まれる。
【0077】
収益無評価減無とは、収益も評価減もない土地のことであり、例えば更地が含まれる。
自用地とは、居住の用に供されていた土地であり、評価減がある。自用地には、自宅、使用貸借(本人名義の土地・建物を所有するために、対価なく親族等が借り受ける土地)が含まれる。
【0078】
上記4パターンに分類された土地それぞれについて、区画数、面積、
の現状を示す項目として、区画数、面積、相続税評価額、各土地の構成比、事業用土地とその他土地の比率が示される。
【0079】
・相続税推移予想表
図9は、資産明細書における相続税推移予想表を示すものである。相続税推移予想表は、過去と現在の相続税の実績値と、今後10年の相続税の予想値を示すものである。なお、図9では10年分の数値が示されているが、本例では基本的に20年分の予想値を示すものであり、必要に応じて所定期間の予測値を表示する。
ここでは、資産合計額、債務合計額、課税遺産総額、推定相続税額、推定相続税額(配偶者軽減適用後)、税負担率、に関する実績値と予測値が示される。
【0080】
資産合計額の予測値は、地価の上昇率や、金利の上昇率や、或いは有価証券の上昇率等に基づいて算出される。また、債務総額の予測値は、金利上昇率等に基づいて算出される。
【0081】
推定相続税額は、資産合計額の予測値から、債務合計額の予測値を減算して課税遺産総額の予測値を算出し、この課税遺産総額の予測値に基づいて算出される。
なお、税負担率は、推定相続税額を資産総額で按分することにより算出される。
【0082】
・損益・収支推移予想表
図10は、資産明細書における損益・収支予想表を示すものである。損益・収支推移予想表は、現在の損益・収支の実績値と、今後10年の損益・収支の予想値を示すものである。なお、図10では10年分の数値が示されているが、本例では基本的に20年分の予想値を示すものであり、必要に応じて所定期間の予測値を表示する。
【0083】
損益に関しては、総収入、課税所得、税額、に関する実績値と予測値が示される。
総収入の予測値は、賃料の上昇率や、所得の上昇率等に基づいて算出される。また、総支出額の予測値は、物価上昇率等に基づいて算出される。
課税所得の予測値は、総収入の予測値に基づいて算出される。
【0084】
収支に関しては、総収入、総支出、内部留保金、に関する実績値と予測値が示される。内部留保金は、総収入と総支出の差額として求められる。
【0085】
・現在の損益・収支の状況
図11は、現在の損益・収支の状況を示すものである。現在の損益・収支の状況では、上記損益・収支推移予測表から、現在の損益・収支の情報のみを取り出し、より理解し易いようにグラフ化して示している。
【0086】
・相続税の支払資金調達方法の検討
図12は、資産明細書における相続税の支払資金調達方法の検討を示すものである。ここでは、一次相続とする場合と、二次相続する場合とに分けて検討した結果が示される。
【0087】
相続税の支払資金調達方法の検討では、相続時にどのくらいの相続税が発生するのか、現金納付する場合の資金源、納付不足額、延納額、延納する場合の資金源、物納額、一次相続及び二次相続を合わせて支払わなければならない場合の相続税の推定額等が示される。
【0088】
先ず、一次相続に関する支払資金調達方法の検討について説明する。
ここで、相続資産合計額、推定相続税額については、「現在の資産状況」で示された数値が採用される。
【0089】
被相続人からの支払税源内訳は、現金、有価証券、生命保険、その他からなり、ここでは、「現在の資産状況」で示された現金預金の額が表示されている。
また、相続人からの支払税源がある場合は、その額も表示される。
【0090】
そして、これらの支払税源で相続税を支払った場合、どのくらいの不足額が出るのかが表示される。
相続税の納付は、申告書の提出期限までに、金銭で一次に納付することが原則であるが、延納の制度があり、相続税額が10万円を超え、金銭で一次に納付することが困難な場合は、年賦納付をすることができる。
【0091】
本例の場合では、不足額のうち、161,429千円を延納するとし、残りの43,338千円を物納により支払っている。なお、延納の場合は、利子税(利子税率7.0%;利子税2.0%+元金返済を20年間でした場合)の納付も必要となる。
【0092】
次に、二次相続に関する支払資金調達方法の検討について説明する。
推定相続税額は、
各相続人毎の相続税額=課税遺産総額×各人の法定相続割合×税率
相続税総額=各相続人毎の相続税額の総計
の式より算出される。
【0093】
本例では、相続税支払いの原資として、配偶者からの支払税源も、相続人からの支払税源もないため、延納と物納で相続税の支払いを行う例が示されている。
【0094】
・不動産収入・支出一覧表
図13は、資産明細書における不動産収入・支出一覧表を示すものである。不動産収入・支出一覧表では、ユーザーの所有している各不動産に関して、一年間の収入及び支出が示されている。
【0095】
例えば、更地−1では、土地の活用を行っていないため、固定資産税のみが発生していることを読み取ることができる。
また、例えば、物販店舗として賃貸している不動産では、年間で4,879千円の賃貸料収入があり、年間41千円の支出(固定資産税)があることを読み取ることができる。
そして、全ての不動産の収入・支出の合計額を見ることにより、不動産による収支がどれくらいになっているのかを把握することが可能となる。
【0096】
・金融資産一覧表
図14は、資産明細書における金融資産一覧表を示すものである。金融資産一覧表では、現預金に関する情報と、株式に関する情報が表示される。
現預金に関する情報としては、現預金の額の他に、定期預金の期間、定期預金の期限、金利、外貨預金であれば通貨国名、外貨金額、換算値、換算日が表示されるように構成されている。
【0097】
株式に関する情報としては、銘柄、取扱金融機関名、支店名、所有株数、額面、金額、1株当たり市場価格、算定日、配当額、外国株式で有れば通貨国名、外貨金額、換算値、換算日が表示されるように構成されている。
【0098】
・債務一覧表
図15は、資産明細書における債務一覧表を示すものである。債務一覧表では、債務に関する情報が表示される。
債務に関する情報としては、債務の用途を示す名称、借入先、返済開始年月日、債務金額、返済方法、金利、返済期間、据置期間金利、据置期間、当初金利、当初金利期間、借入残高、委託先が表示されるように構成されている。
【0099】
・減価償却一覧表
図16は、資産明細書における減価償却一覧表を示すものである。減価償却は、各期間の損益を正確に計算するために、資産の取得原価から残存価格を差し引いた額を、その年の費用として配分するものである。
減価償却一覧表では、資産のうち建物等の減価償却が発生するものに関して、減価償却に関する情報が表示される。
減価償却に関する情報としては、対象物件の名称、区分、法定耐用年数、償却方法、償却率、取得年月、取得価格、残存簿価、当年償却費が表示されるように構成されている。区分は減価償却の内訳を示すものであり、本体、給排水設備、構築物、修理費、市納金、融資保証金、火災保険金等がある。
【0100】
・ライフプラン一覧表
図17は、資産明細書におけるライフプラン一覧表を示すものである。ライフプラン一覧表では、ユーザーの今後の予定が表示される。ここでは、自宅増改築、アパートリフォーム、世界一周旅行等、多額の支出があり、ユーザーの資産に影響を与える予定のみが表示される。
【0101】
・不動産明細表
図18は、資産明細書における不動産明細表を示すものである。不動産明細表では、ユーザーの所有するそれぞれの不動産に関する詳細情報が表示される。不動産明細表は、主に、市区町村が発行する名寄帳(固定資産税課税台帳)、国税庁が発行する路線価図倍率表の情報を反映して作成される。
【0102】
詳細情報としては、区画名称、区画概要情報、法制限情報、公示地価情報、基準地価情報、固定資産税路線価情報、区画評価情報、債務一覧、資産権利者一覧がある。
【0103】
区画概要情報としては、区画名称、所在地、登記地目、利用形態、使用状況、駐車台数、現況地積、現況地目、最適と思われる用途、造成費負担の有無、が表示される。
【0104】
法制限情報としては、区域、建蔽率、用途地域、容積率、が表示される。
公示地価情報または基準地価情報としては、番号、1m2当たり価格、正面路線価、比率、が表示される。
固定資産税路線価情報としては、土地正面、裏面、両側面についての路線価が表示される。
【0105】
区画評価情報としては、評価方法、路線価図年度、形状区分、土地の正面路線価、土地の裏面路線価、土地の各側面の路線価、土地の間口及び奥行、土地を整形した場合の想定間口及び奥行、崖地地積、無道路地道路面積(道路に出るまでに隣地を必要とする道路面積)、1m2当たり宅地造成費、更地相続税評価額、定期借地権が設定されている場合、土地評価額に対する底地の割合、借地権の割合、想定時価、その他評価減率、その他評価減理由が表示される。
【0106】
また、地域種別、課税台帳年度、固定資産税評価額、倍率、固定資産税支払方法、固定資産税課税標準額、固定資産税課税上昇率、固定資産税課税税率、都市計画税課税標準額、都市計画税課税上昇率、都市計画税課税税率が表示される。
【0107】
さらに、1m2当たり宅地固定資産税評価額、相続税評価額上昇率、借家権割合に関する情報が表示される。
【0108】
債務一覧には、「債務一覧表」に基づき、代表(主となる借入金)、持分率、経費(金利が不動産所得の経費として算入されるか否かの区分)、返済開始日、元金、返済方法、返済期間、金利、据置期間及び金利、当初期間及び金利、借入先、支店名、委託先、に関する情報が表示される。
【0109】
資産権利者一覧には、代表、持分率、権利者名(利用者名)、利用用途、相続税評価額、事業用か否か、売却希望の有無、交換希望の有無、企業名(屋号名)、貸借契約をしている場合、その契約の開始日、契約期間、賃料、契約賃料の上昇率及び改訂年、保証金、敷金、権利金、返済方法、金利、に関する情報が表示される。
【0110】
(2)税務企画提案書
「税務企画提案書」は、ユーザーの現在の相続人構成や、ユーザーが所有している資産構成に基づいて、収支の状況を分析し、各種の税務対策シミュレーションを行うものである。
【0111】
相続税は、現金納付が原則であるが、金銭で一時に納付することが困難である場合は、延納や物納ができるようになっている。本例の税務企画提案書は、相続税の納税資金である現金を増やしたり、延納をするために必要な収益力を得るために、どのような対策を行えば良いかをユーザーに示すものである。
【0112】
税務企画提案書は、図19乃至図26に示すように、対策結果一覧表、相続税支払方法一覧表、対策結果比較表、個別損益・収支明細書、対策効果確認書、損益・収支確認書から構成されている。
【0113】
・対策結果一覧表
図19は、税務企画提案書における対策結果一覧表を示すものである。ここでは、相続税対策として、現在、貸家と駐車場がある被相続人所有の土地に、被相続人所有の賃貸マンションを建築して節税する例を示す。図19は、節税対策を行った際の、相続税額と、ユーザーの収支に関してシミュレーションした結果を示すものである。
【0114】
この場合、土地が貸家建付地となるため、相続税評価額が低減する。
また、賃貸マンションに対する相続税についても、賃貸マンションは貸家評価であるため、評価減が適用される。
【0115】
また、土地が事業の用に供された宅地となるため、小規模宅地等の減額特例の対象となる。さらに、賃貸マンションを建設するために借入金が発生するため、借入金全額が債務控除される。このようにして、対策後の数字に示されているように、相続税額を大幅に低減することが可能となる。
【0116】
本例の資産管理システムでは、相続税額を予測するだけではなく、賃貸マンションを建てた場合の所得税・住民税・事業税の額、キャッシュフロー、延納可能額についてもシミュレーションすることができ、所定の節税対策を行った場合に、相続税額だけでなくユーザーのトータルの収支状況について把握することが可能となるものである。
【0117】
・相続税支払方法一覧表
図20は、相続税支払方法一覧表であり、相続税の支払い方法に関するシミュレーションを示すものである。
ここでは、現状のケースと、賃貸マンションを建築したケースと、賃貸マンションを建築し贈与したケースについてシミュレーションを行っている。
【0118】
現状のままでは、図示されているように、多額の相続税が発生するため、手持ちの現預金で支払った場合、多額の納付不足金が発生してしまう。
【0119】
賃貸マンションを建築したケースでは、対策実行後から相続税額が大幅に減額されるため、手持ちの現預金で支払いをした場合、納付不足金が出るものの、現状に比して少ない額で済むようになる。
なお、賃貸マンションを建築したケースでは、マンションの建築費として、所定の期間において現預金がマイナスになっている。
【0120】
賃貸マンションを建築するとともに、贈与を行うケースは、賃貸マンションを建築することによる節税対策を行う他に、贈与税の基礎控除枠を利用して相続税の対象となる相続財産を減らし、結果として相続税額を減らすという節税対策を行うものである。
【0121】
贈与手取額とは、贈与によって手取りとして得た額である。贈与は現預金等の流動資産で行われれば、相続税納付に充当することができ好適である。贈与により、相続財産が減額され、相続税額が少なくて済むことになる。3年前(例えば2007年)にした贈与額は、3年後の2010年から差し引かれて計算される。
【0122】
・対策結果比較表
図21及び図22は、対策結果比較表であり、図21は、賃貸マンションを建築して相続税対策を行った例、図22は自宅住居を建築して相続税対策を行った例を示している。
【0123】
対策結果比較表は、現状の状態で相続を行った場合と、何らかの相続税対策を行った場合とで、損益推移、収支推移、相続税推移についてどのような違いが出るか比較できるように、データを一覧表示する帳票である。
【0124】
図21に示す対策結果比較表には、対策に関する土地や、この土地に建築される建物の情報が示される。土地の情報としては、土地名称、住所、地積、用途地域等が示される。建物の情報としては、建物名称、建物用途、構造、延床面積、階数、戸数、間取り等が示される。
【0125】
また、賃貸借契約、投資、借入金、創業費に関する情報が表示される。賃貸借契約に関する情報としては、開始日、期間、保証金、敷金、賃料、賃料改定年、賃料上昇率、入居率等の情報が表示される。
【0126】
投資に関する情報としては、建物本体、設備、外構にかかった各費用と、耐用年数、償却方法、償却率、割増償却期間、割増償却倍率等に関する情報が表示される。
【0127】
借入金に関する情報としては、賃貸マンション建設費用について、自己資金と、借入金額が表示される。借入金については、借入期間、返済方法、利率、借入当初の返済期間と利率等の情報が表示される。
さらに、固定資産税評価額、火災保険料、維持管理費、管理委託費、その他経費等の情報が表示される。
【0128】
損益推移の比較によれば、賃貸マンションを建築することにより、不動産収入とともに経費も増加し、結果として課税所得税額が減少していることが分かる。
収支推移予想表によれば、収入と支出の差額から、内部留保金の額を把握することができる。本例では、賃貸マンションによる不動産収入が増加するため、内部留保金が増加している。なお、対策を行う場合、賃貸マンションを建築するときに、自己資金支出があったため、現金残額はマイナスとなっている。
【0129】
相続税推移予想表には、資産合計額及び負債合計額、資産合計額から負債合計額を減算した差引正味財産額、差引正味財産額から控除額を減算した課税遺産総額、課税遺産総額に基づいて算出された推定相続税額が表示されている。
【0130】
そして、対策を行ったことによる効果として、対策を行わなかった場合と、対策を行った場合での課税所得額の差額、内部留保金の差額、推定相続税額の差額が表示される。
【0131】
図22に示す対策結果比較表は、土地を現状のままにしている場合と、居住用として使用した場合とで、相続税額にどれくらいの差額が発生するかを示すものである。
居住用の土地の場合は、小規模宅地用の評価減があるため、資産合計額が減少している。そして、結果として相続税額が減少している。
【0132】
・個別損益・収支明細書
図23及び図24は、税務企画提案書における個別損益・収支明細書を示すものである。個別損益・収支明細書は、対策を行わない場合と、対策を行った場合との両方のケースについて作成される。個別損益・収支明細書は、「対策結果比較表」の元データとなるものである。
個別損益・収支明細書では、不動産所得、収支、残存額、評価額についてより詳細な内訳が示されるとともに、20年分のシミュレーションが行われる。
【0133】
・対策効果確認書、損益・収支確認書
図25及び図26は、税務企画提案書における対策効果確認書を示すものである。上記シミュレーション結果を、ユーザーにより分かりやすく提示するために、対策効果確認書、損益・収支確認書が作成される。
対策効果確認書では、資産合計額、債務合計額、推定相続税額、税負担率の推移を棒グラフ及び折線グラフで表示し、対策前と対策後とで税負担がどのように変化するかが一目で理解できるようになっている。
【0134】
損益・収支確認書では、損益について総収入、課税所得、税額の各推移、収支について収入、支出、内部留保金の各推移を棒グラフ及び折線グラフで表示し、対策前と対策後とで損益及び収支がどのように変化するかが一目で理解できるようになっている。
【0135】
なお、本例のシステムでは、上記ケースの他にも様々なケースについてシミュレーションを行うことが可能である。他のシミュレーションを行う場合、次の考え方に基づいてシミュレーションを行うものとする。
【0136】
・2次相続について
本例のシステムでは、被相続人の資産について、子供の世代(図27のBの段階)までの資産相続(2次相続)までシミュレーションすることができるように構成されている。
【0137】
1次相続の場合は、遺産分割の方法として、「法定相続割合での分割」と、「全資産に対して相続者、割合を指示して分割」の方法が選択可能である。全ての資産について、いずれか一方の方法により分割処理する。
【0138】
2次相続の場合は、被相続人からの相続資産と、相続以前に配偶者が自ら所有していた資産が対象となる。このとき、1次相続において、配偶者への相続資産が生じない場合にも、相続シミュレーションを行えるようにする。
【0139】
なお、1次相続で法定相続割合で分割を行った場合には、2次相続も法定相続割合で処理するものとする。
【0140】
・納税猶予について
本システムにおける納税猶予の考え方を、図28に示す。
図中、1は路線価方式又は倍率方式により求めた宅地評価額である。2は倍率方式又は比準方式により求めた農地評価額である。3は農業投資価格を使用して求めた農地評価額である。
【0141】
図28の(い)の部分についての相続税額を納税猶予額とする。例えば、図28に示すケースのように、被相続人から5年前に相続したときに納税猶予を受け、現在から3年経過後に農業をやめるものとして、土地の有効利用のシミュレーションを行う
【0142】
この場合、3年後の時点で、猶予を受けている納税額(納税猶予額と利子税額)を支払うこととなる。この支払金額については、控除出来ないその他の経費として扱うことで対応する。
【0143】
・自己資金について
本システムにおいて、「投資金額」から「借入金」を差引いた結果生じる「不足金額」は、保有する現預金から自己資金として充当するものとする。
【0144】
・3年内贈与について
住宅取得資金の贈与を除く贈与シミュレーションにおいて、収益・収支計算書・相続税予想表の出力範囲は、個別シミュレーションについては、当年より3年間、総括シミュレーションについては、当年の3年前から20年後まで出力可能範囲とする。これは、3年内贈与を考慮するためであり、4年目以降より相続税評価額から、贈与財産分を減額した値を表示することになる。
【0145】
住宅取得資金の贈与シミュレーションにおいて、収益・収支計算書・相続税予想表の出力範囲は、基本的には上記と同様であるが、贈与した年から3年以内に相続が発生した場合は、贈与額について3年内贈与とみなす。また、4年目以降に相続が発生した場合は、3年内贈与とみなさない。
【0146】
3.画面遷移
本例の資産管理システムでは、入力された情報に基づいて、資産の現状を把握するための「資産明細書」と、各種の税務対策シミュレーションに関する「税務企画提案書」の各帳票が作成される。
【0147】
データ入力は、「(1)本人及び家族のデータ入力」、「(2)確定申告入力」、「(3)筆入力(登記簿入力)」、「(4)区画入力(編成)」、「(5)建物入力」、「(6)その他入力」の各入力がある。
【0148】
以下、データ入力する際の画面遷移と、各帳票を作成する際の画面遷移について説明する。
なお、データ入力と、各帳票の作成はコンピュータ装置において行われる。
コンピュータ装置にアクセスする際のセキュリティ対策は、例えばIDとパスワードを入力することにより行う。
【0149】
(1)本人及び家族のデータ入力
図29は、被相続人のデータを入力するための画面である。この画面において、相続人氏名、住所、生年月日、趣味、電話番号、職業、生活費額、前回相続日、前回相続時の相続額、前回相続時の税額、現預金、現預金金利、有価証券額、退職金、その他資産、保険支払額、一次債務額、経年債務額、経年債務金利等のデータが入力される。
【0150】
図30は、相続人のデータを入力するための画面である。相続人についても、被相続人と同様に、相続人氏名、住所、生年月日、趣味、電話番号、職業、生活費額、前回相続日、前回相続時の相続額、前回相続時の税額、現預金、現預金金利、有価証券額、退職金、その他資産、保険支払額、一次債務額、経年債務額、経年債務金利等のデータが入力される。
なお、生活費、有価証券、その他資産については、2回目以降の情報入力である場合は、前回入力した際の金額と比較した上昇率が表示される。
【0151】
(2)確定申告入力
図31に示す画面において、被相続人の確定申告書に記載された情報が入力される。確定申告書に記載された情報が入力されることにより、被相続人の現状の損益と収支について正確な数値を把握することが可能となる。
【0152】
(3)筆入力(登記簿入力)
図32に示す画面において、登記簿に記載された情報が入力される。
ここでは、登記されている土地の地番、その他住所、課税台帳年度、登記地積、登記地目、現況地積、現況地目、根抵当区分の有無、固定資産税評価額、固定資産税課税標準額、都市計画税課税標準額、資産権利者等の情報が入力される。
【0153】
地番、その他住所、課税台帳年度、登記地積、登記地目、現況地積、現況地目、根抵当区分の有無、固定資産税評価額、固定資産税課税標準額、都市計画税課税標準額については、名寄せ帳に従って入力する。
【0154】
資産権利者については、共有者がいる場合は複数名が表示される。資産権利者の情報は、「(1)本人及び家族データ」にリンクしている。
なお、上記のようにして入力されたデータは、図33に示すようにコピーした上で、他の筆入力に利用することが可能である。
【0155】
(4)区画入力(編成)
ここでは、相続税の計算をより簡単且つ正確に行うために、利用形態毎に区画入力(編成)を行う。まず、図34に示すように、住宅地図と名寄せ帳を見比べ、図35に示すように、名寄せ帳の各区画について、どのような土地の利用状況となっているのかを確認する。
【0156】
各区画について利用状況が把握でき、区画編成の方針が決定したら、システムに登録されている情報を編集する。まず、図29に示す画面から、「資産(区画・建物)一覧」を選択する。
【0157】
次に、図36に示す画面で、「区画新規」を選択し、図37のように筆一覧が示されたら、そのなかから、区画編成する筆を選択する。このとき、複数の筆を選ぶ場合は、選択を繰り返す。
【0158】
このとき、図38に示すように、区画明細入力画面において、選択された区画についての明細情報を入力する。明細情報としては、取得方法、評価方法、地域種別、地目、利用形態、最適用途、形状区分、地区区分、崖地斜面等の情報が入力される。
【0159】
さらに、選択された区画について、定期借地権割合、定期借家権割合に関する情報が入力される。これらの情報は、図39に示すように、A〜Gのパターンの中から所定のものが選択されて入力される。
【0160】
さらに、図40に示す画面において、区域、用途地域、建蔽率、容積率、担保情報、債務情報に関する情報が入力される。区域、用途地域、建蔽率、容積率については、都市計画図から調べて入力する。
【0161】
なお、資産権利者一覧について、その区画が共有であるのに、一人の名前しか反映されていない場合は、図41に示す資産権利者明細画面を表示し、この画面において利用持分率を訂正する。
【0162】
図41に示す資産権利者明細画面では、上記利用持分率のほかに、権利者情報、利用者情報、契約情報が入力される。選択された区画について、賃料などが発生している場合は、事業用のチェックボックスをクリックした上で、契約日や契約期間、賃料などの情報を入力する。
そして、図42に示すように、利用持分率が100%になるように、他の権利者の情報を入力する。このようにして、利用形態毎に区画が編成される。
【0163】
次に、資産の利用用途の入力について説明する。資産の利用用途としては、自用(居住用)、自用(更地)、その他自用、貸宅地、貸家建付地、貸家建付借地、借地、一般定期借地(設定)、一般定期借地(設定・平成10年以降)、建物譲渡特約付借地(設定)、事業用借地(設定)、建物譲渡特約付借地(貸借)、事業用借地(貸借)、その他、無償返還(地主)、無償返還(法人)、使用貸借(地主)、使用貸借(法人)がある。
【0164】
資産の利用形態によって、入力される項目が変わってくる。
ここでは、図43に示すタイプ1〜タイプ7の例に基づいて、資産の利用状況の入力について説明する。
【0165】
資産の利用用途については、図32の筆情報の入力画面で行うことができる。
筆情報の入力画面を開くと、既に情報が入力されている場合は、土地の権利者名が入力されている。本例のシステムでは、タイプ1のように、土地の権利者と利用者が同一である場合は、利用者の入力は不要とする。
【0166】
タイプ2のように、共有または所有者の違う筆を合わせて区画を編成する場合は、持分割合を入力する。また、タイプ3及びタイプ4のように、被相続人と相続人との間で、土地について使用貸借がある場合、利用者側の利用用途の欄には、使用貸借(建物)が入力され、利用者でない側の利用用途の欄には、使用貸借(地主)が入力される。
【0167】
また、タイプ5のように、被相続人及び相続人と、同族法人との間で、土地について無償返還がある場合、利用者側(同族法人)の利用用途の欄には、無償返還(法人)が入力され、利用者でない側(被相続人及び相続人)の利用用途の欄には、無償返還(地主)が入力される。
【0168】
さらに、タイプ6のように、被相続人と相続人との間で土地の貸借をし、その土地に、土地を借りた側の所有する貸家が建築されている場合は、土地の権利者側の利用用途の欄には、貸宅地が入力され、利用者側の利用用途の欄には、貸家建付借地が入力される。
【0169】
さらに、タイプ7のように、土地の権利者と、この土地に建てられた貸家の権利者が同一である場合、土地権利者の利用用途の欄には、貸家建付地が入力される。
【0170】
(5)建物入力
建物に関する情報は、図44に示す画面から入力される。
建物に関する情報として、建物名、所在地のほか、固定資産税評価額、固定資産税課税標準額、都市計画税課税標準額、税率、建物用途、住宅比率、自用比率、借家権割合、構造、述床面積、代表間取、代表面積、施工者等の情報が入力される。
【0171】
(6)その他入力
・法人に関する入力
同族法人に関する情報は、図45に示す入力画面から入力される。ここでは、法人名称、住所、設立年月、業種、資本金、券面額、総資産額、取引金額、従業員数、株式保有割合、土地保有割合、年配当金額、年利益金額、純資産価格等の情報が入力される。
また、類似業種の前年度株価平均値、1株当たり年配当金額、年利益金額、純資産価格が入力される。
【0172】
また、図46の入力画面において、決算書に関する情報が入力される。決算書のうち、貸借対照表に関する情報として、流動資産については、現金及び預金、未収入金に関する情報、固定資産については、建物、構築物、土地、借地権等、投資有価証券、関係会社株式に関する情報、流動負債については、短期借入金、未払金、前受金、預かり金、社長借入金に関する情報、固定負債については、長期借入金、建設協力金、預かり敷金に関する情報、資本の部については、資本金、剰余金に関する情報がそれぞれ入力される。
【0173】
さらに、資産合計、負債合計、資本合計、負債・資本合計、が入力される。なお、これらの合計値については、入力されるのではなく、入力情報に基づいて計算される構成であっても良い。
【0174】
決算書のうち、損益計算書に関する情報として、営業損益の部について、売上高、売上原価、売上総利益、販売費および一般管理費、営業利益に関する情報が入力される。売上高については、家賃、駐車場、受取地代それぞれについて入力される。
【0175】
営業外損益の部については、営業外収益として受取利息、その他利益に関する情報、営業外費用として支払利息、その他費用に関する情報、経常利益が入力される。
【0176】
その他、特別収益、特別費用、税引前当期利益、法人税等充当金、法人事業税額、当期利益、前期繰越利益、当期未処分利益、配当、役員賞与、その他、次期繰越利益に関する情報が入力される。なお、売上総利益、営業利益、経常利益、、税引前当期利益、当期利益、当期未処分利益、次期繰越利益については、入力ではなく、入力された値に基づいて算出されるようにしても良い。
【0177】
・建物及び土地に付随していない資産の入力
車など、償却資産の台帳に載っているようなもので、建物や土地に付随していない資産の情報については、図47に示す画面から入力する。
【0178】
・減価償却の入力
減価償却に関する入力は、図48に示す画面で行う。
減価償却は、定額法または定率法のいずれかの計算方法で行われる。
減価償却は、通常は建物について行われるものであり、建物については、図48に示す画面の「建物選択」を選んで入力する。なお、本例のシステムでは、減価償却の入力画面に「区画選択」ボタンが設けられており、減価償却を土地にリンクできるように構成されている。これにより、定期借地・駐車場等の敷地上の建物以外の償却資産(アスファルト・ネットフェンス等)の入力が可能となる。
【0179】
減価償却の例外として、建物以外に、青空駐車場の砂利や、立体駐車場につく減価償却がある。この場合は、資産にダミーデータを作成する。その他、業務用の車についても減価償却が行われる。
【0180】
・担保・債務の入力
例えば、自分の所有している土地に建物を建築して、第三者に貸すときに、自宅と、同族の所有している自宅を抵当に入れ、借金をしたとする。
こうした場合、図49に示す画面において、抵当に入れる土地と、借金の目的物を入力する。
【0181】
なお、図49に示す画面において、返済期間について、「当初金利期間」や「据置期間」は、「返済期間」の中の何年なのかを入力することに注意する。また、担保物権、債務物件ともに、単数または複数(共同担保)の場合のどちらも、必ず一つづつ代表マークをつけるようにする。図50は、担保・債務情報の入力を行った後の、テナントビルと、貸地の区画明細を示すものである。
【0182】
上記入力情報に基づいて、家系図、不動産一覧表、現在の資産状況、土地評価表、相続税推移予想表、損益・収支推移予想表、現在の損益・収支の状況、相続税の支払資金調達方法の検討、不動産収入・支出一覧表、金融資産一覧表、債務一覧表、減価償却一覧表、ライフプラン一覧表、不動産明細表からなる資産明細書が作成される。
【0183】
また、対策結果一覧表、相続税支払方法一覧表、対策結果比較表、個別損益・収支明細書、対策効果確認書、損益・収支確認書からなる税務企画提案書が作成される。
これら資産明細書及び税務企画提案書を構成する各帳票は、それぞれ画面に表示され、必要であればプリント出力される。
【0184】
なお、本例のシステムでは、上記画面の他に、図51に示す画面を表示する機能を備えている。図51に示す画面は、複数者間でのお金の流れを示すように構成されている。例えば、被相続人の所有する土地に、被相続人の所有する賃貸建物があり、この賃貸建物を同族法人が賃貸借契約し、テナントに貸借しているケースがあるとする。
【0185】
この場合、権利者には被相続人の氏名、利用者(借主側1)には同族会社名、利用者(借主側2)には、テナント名が入力される。そして、契約情報1には、被相続人と同族会社間の賃貸借・管理契約情報が入力され、契約情報2には、同族会社とテナント間の賃貸借・管理契約情報が入力される。
図51に示す画面を備えていることにより、複数者が関わっている所定の資産について、現状をより明確に提示することが可能となる。
【0186】
4.プログラム
本例のシステムでは、「資産明細書」と「税務企画提案書」を作成するために、各種判断基準や計算式が格納されている。
以下、判断基準や計算式のうち、主なものについて説明する。
【0187】
区画の形状区分については、角地、準角地、一方路、二方路、三方路、四方路、袋地、不整形地、無道路地にそれぞれ分類されるように構成されている。また、土地評価額を算出する際には、土地が複数路線に面している場合は、一番高い路線価を正面路線化として計算する。また、裏路線価は、正面の反対側、側方路線化は正面の隣を指すものとして計算している。
【0188】
土地評価額の計算式は次の通りである。
・一方路の場合
土地評価単価=正面路線価×奥行価格補正値
土地評価額=土地評価単価×間口×奥行
【0189】
・二方路の場合
土地評価単価=正面路線価×奥行価格補正率×裏面路線価×奥行価格補正率×二方路線影響加算
土地評価額=土地評価単価×間口×奥行
【0190】
・三方路の場合
土地評価単価=正面路線価×奥行価格補正率+裏面路線価×奥行価格補正率×二方路線影響加算
土地評価額=土地評価単価×間口×奥行
なお、正面・裏・側方路線価が同一の場合は、
土地評価単価=正面路線価×奥行価格補正率+側方路線価×奥行価格補正率×側方路線影響加算+側方路線価×奥行価格補正率×側方路線影響加算
土地評価額=土地評価単価×間口×奥行
【0191】
・四方路の場合
土地評価単価=正面路線価×奥行価格補正率+裏面路線価×奥行価格補正率×二方路線影響加算+側方路線価×奥行価格補正率×側方路線影響加算+側方路線価×奥行価格補正率×側方線影響加算
土地評価額=土地評価単価×間口×奥行
【0192】
さらに、土地が角地にある場合、間口が狭い場合、間口に対して奥行が長い場合、三角形など形状が長方形や正方形でない場合、路線に接していない場合、がけ地である場合は、それぞれ評価単価が補正される。
【0193】
・角地・準角地の場合
二つの道路に接している土地を角地と呼ぶが、一本の道路が折れ曲がっていて、その内側に土地が接している場合は準角地といい、評価が角地より低くなる。
土地評価単価=正面路線価×奥行価格補正率+側方路線価×奥行価格補正率×側方路線影響加算
土地評価額=土地評価単価×間口×奥行
【0194】
・不整形地・袋地の場合
長方形でない土地には、想定整形地をとる。
想定整形地は、評価対象地の全域を囲む、正面路線に面する矩形(長方形または正方形)の土地をいうものである。
想定整形地のとり方を、図52に示す。
【0195】
図示されているように、まず、土地が接している路線のうち、路線価が大きい方の路線に垂直な線を引き、矩形に土地を囲む。このときの正面路線側の辺の長さと、角に接している二辺の合計の長さとを比較し、小さいほうが想定間口となる。
【0196】
なお、不整形地で、間口が狭いため、奥行きが想定整形奥行よりも長くなる場合は、想定整形奥行を採用する。
不整形地の土地評価額を求める計算式は次の通りである。
不整形地評価=土地評価額×不整形地補正率
【0197】
また、不整形地補正率の「かげ地割合」の求め方は次の通りである。
かげ地割合=(想定整形地の面積の地積―不整形地の地積)/想定整形地の地積
となる。
【0198】
間口が狭い場合は、
不整形地評価=土地評価額×不整形地補正率×間口狭小補正率
または
不整形地評価=土地評価額×間口狭小補正率×奥行長大補正率
となる。
【0199】
・「資産明細書」の作成プログラム
以下、「資産明細書」を作成するための、主なプログラム処理について説明する。
【0200】
資産明細書を作成する前提として、被相続人情報、相続人情報、法人情報、被相続人のライフプラン情報、債務情報、3年内贈与情報、土地情報、建物情報、その他資産情報、固定資産税課税標準額を含む名寄せ帳情報、路線価情報、各資産による収入額を含む総収入額情報、各資産に係る支出額を含む総支出額情報を収集する。
【0201】
先ず、図53において、土地の分類処理について説明する。ステップS1で、それぞれの土地について、収益を上げている土地なのか否かが判定される。収益を上げている場合、ステップS2で、評価減のある土地なのか否かが判定される。
【0202】
評価減のある土地である場合、その土地をグループ1に分類する。評価減のない土地である場合、その土地をグループ2に分類する。
【0203】
収益を上げていない場合、ステップS3で、評価減のある土地なのか否かが判定される。評価減のある土地である場合、その土地をグループ3に分類する。評価減のない土地である場合、その土地をグループ4に分類する。そして、ステップS4で、各グループの全体に対する割合を算出する。
【0204】
次に、図54において、前記被相続人情報と相続人情報に基づいて家系図を作成する処理について説明する。先ず、ステップS11で、被相続人に配偶者がいるか否かを判定する。配偶者がいる場合(ステップS11;Yes)、第1順位に配偶者の名前を登録する処理を行う。
【0205】
次いで、ステップS12に進む。ステップS12では、被相続人に子供がいるか否かを判定する。子供がいる場合(ステップS12;Yes)、第1順位に子供の名前を登録する処理を行う。
【0206】
さらに、ステップS13に進む。ステップS13では、被相続人に父母がいるか否かを判定する。父母がいる場合(ステップS13;Yes)、第2順位に父母の名前を入力する処理を行う。
【0207】
次いで、ステップS14に進む。ステップS14では、被相続人に兄弟姉妹がいるか否かを判定する。兄弟姉妹がいる場合(ステップS14;Yes)、第3順位に兄弟姉妹の名前を入力する処理を行う。
【0208】
次に、図55において、推定相続税額を算出する処理について説明する。
先ず、ステップS21で、土地情報から土地の相続税評価額を読み出す処理を行う。次いで、ステップS22で、建物情報から建物の相続税評価額を読み出す処理を行う。
【0209】
さらに、ステップS23で、その他資産情報から、現預金,有価証券等のその他資産の相続税評価額を読み出す処理を行う。そして、ステップS24で、ステップS21〜ステップS23で読み出した相続税評価額の合計値を算出する処理を行う。
【0210】
ステップS25では、債務情報から借入金等の債務額を読み出す処理を行う。そして、ステップS26で、相続税評価額の合計値から債務額を減算する処理を行う。
【0211】
さらに、ステップS27で、生命保険控除額や退職金控除額等の控除額があるか否かが判断される。控除額がある場合(ステップS27;Yes)、ステップS28で、ステップS26の算出結果から控除額を減算し、遺産総額を求める処理を行う。控除額がない場合(ステップS27;No)、ステップS26の算出結果が遺産総額となり、ステップS29に進む。
【0212】
ステップS29では基礎控除額を算出する処理を行う。基礎控除額は、「5,000万円+1,000万円×法定相続人の数」の式より求められる。ステップS30では、遺産総額から基礎控除額を減算し課税遺産総額を求める処理が行われる。
【0213】
ステップS31では、課税遺産総額に基づいて、推定相続税額を算出する処理が行われる。推定相続税額は、課税遺産総額を法定相続分で分け、これに税率をかけることにより求められる。
【0214】
さらに、ステップS32で、法定相続人に配偶者がいるか否かが判定される。配偶者がいる場合(ステップS32;Yes)、ステップS33で配偶者控除適用後の推定相続税額が求められる。配偶者がいない場合(ステップS32;No)、処理を終了する。
【0215】
将来発生する推定相続税額の予測値については、前記資産総額の予測推移額、債務総額の予想推移額に基づいて、上記したステップS21〜ステップS32と同様のフローに従って算出する。
【0216】
なお、資産総額の予測値は、地価の上昇率や、金利の上昇率や、或いは有価証券の上昇率等に基づいて算出される。また、債務総額の予測値は、金利上昇率等に基づいて算出される。
【0217】
次に、図56において、内部留保金を算出する処理について説明する。
先ず、ステップS41で、不動産収入額を読み出す処理を行う。次いで、ステップS42で、その他収入額を読み出す処理を行う。ステップS43で、ステップS41及びステップS42で読み出された額を合算する処理を行う。
【0218】
さらに、ステップS44で、不動産支出額を読み出す処理を行う。次いで、ステップS45で、その他支出額を読み出す処理を行う。ステップS46で、ステップS44及びステップS45で読み出された額を合算する処理を行う。
【0219】
そして、ステップS47で、ステップS43で算出された額から、ステップS46で算出された額を減算する処理を行い、内部留保金を算出する。
【0220】
将来発生する内部留保金の予測値については、各資産による収入額を含む総収入額の予測推移額と、各資産に係る支出額を含む総支出額の予測推移額に基づいて、上記したステップS41〜ステップS47と同様のフローに従って算出する。
【0221】
なお、総収入額の予測値は、賃料の上昇率や、所得の上昇率等に基づいて算出される。また、総支出額の予測値は、物価上昇率等に基づいて算出される。
【0222】
次に、図57及び図58において、納税方法を検討する処理について説明する。
はじめに、二次相続対策を行うか否か判定する。二次相続対策を行う場合、処理Aに進む。二次相続対策を行わない場合、処理Bに進む。
【0223】
処理Aでは、ステップS51で、所定年度の被相続人の流動資産、すなわち、即時に現金化できる資産額と、内部留保金額を取得する。ステップS52では、相続人の流動資産額と、内部留保金額を取得する。そして、ステップS53で、被相続人の流動資産額と、相続人の流動資産額を合算する。
【0224】
ステップS54で、一次相続での推定相続税額と、二次相続での推定相続税額の両方を確認する。ステップS55で、現時点での流動資産額で一次相続の相続税を支払い可能か否かを判定する。流動資産での相続税支払いが可能である場合(ステップS55;Yes)、ステップS56で、一次相続の相続税支払い後の流動資産で、さらに二次相続の相続税支払いが可能であるか否かを判定する。
【0225】
二次相続についても、流動資産での支払いが可能である場合(ステップS56;Yes)、処理を終了する。二次相続については、流動資産で全ての相続税の支払いができない場合(ステップS56;No)、ステップS61に進む。
【0226】
また、一次相続の相続税について、流動資産での相続税支払いができない場合(ステップS55;No)、ステップS57で不足額を算出する。さらに、ステップS58で、被相続人と相続人の内部留保金額を参照して、一次相続での延納可能額を算出する。
【0227】
ステップS59では、延納可能額で不足額をカバーできるか否かが判定される。不足額をカバーできると判定された場合(ステップS59;Yes)、処理を終了する。
【0228】
ステップS59で、延納可能額で不足分をカバーできないと判定された場合(ステップS59;No)、ステップS60で不足額が算出され、この不足額が物納分とされる。
【0229】
ステップS61では、二次相続の相続税について、流動資産で支払い不可能な不足分が算出される。さらに、ステップS62で、配偶者と相続人の内部留保金額を参照して、二次相続での延納可能額を算出する。
【0230】
ステップS63では、延納可能額で不足額をカバーできるか否かが判定される。不足額をカバーできると判定された場合(ステップS63;Yes)、処理を終了する。
【0231】
ステップS63で、延納可能額で不足分をカバーできないと判定された場合(ステップS63;No)、ステップS64で不足額が算出され、この不足額が物納分とされる。
【0232】
処理Bでは、ステップS71で、所定年度の被相続人の流動資産、すなわち、即時に現金化できる資産額と、内部留保金額を取得する。ステップS72では、相続人の流動資産額と、内部留保金額を取得する。そして、ステップS73で、被相続人の流動資産額と、相続人の流動資産額を合算する。
【0233】
ステップS74で、一次相続での推定相続税額を確認する。ステップS75で、現時点での流動資産額で一次相続の相続税を支払い可能か否かを判定する。流動資産での相続税支払いが可能である場合(ステップS75;Yes)、処理を終了する。
【0234】
一次相続の相続税について、流動資産での相続税支払いができない場合(ステップS75;No)、ステップS76で不足額を算出する。さらに、ステップS77で、被相続人と相続人の内部留保金額を参照して、一次相続での延納可能額を算出する。
【0235】
ステップS78では、延納可能額で不足額をカバーできるか否かが判定される。不足額をカバーできると判定された場合(ステップS78;Yes)、処理を終了する。
【0236】
ステップS78で、延納可能額で不足分をカバーできないと判定された場合(ステップS78;No)、ステップS79で不足額が算出され、この不足額が物納分とされる。
【0237】
・「税務企画提案書」の作成プログラム
以下、「税務企画提案書」を作成するための、主なプログラム処理について説明する。
【0238】
税務企画提案書を作成する前提として、各資産の相続税評価額,現預金額を含む資産総額、債務総額、前記資産の所有者の家族構成、各資産による収入額を含む総収入額、各資産に係る支出額を含む総支出額に関する情報を収集する。
【0239】
図59において、相続税を減少させるためのシミュレーション処理について説明する。
先ず、ステップS81で、シミュレーションを行う対象資産を選択する。
次いで、ステップS82で、どのようなシミュレーションを行うのかが判定される。シミュレーションとしては、大きく分けて、土地の有効活用、財産贈与、資産売却、資産取得、資産交換、資産買換、資産分割、納税猶予、会社設立、土地貸付、保険活用、養子縁組、給与分配がある。
【0240】
これらの対策は、一つだけ行っても良く、また、複数の対策を組合せて行っても良いが、ここでは、土地活用による対策を行うシミュレーションについて示す。
【0241】
先ず、どのような土地活用を行うのかを決定する。
ステップS83で、土地の合筆を行うか否かが判定される。土地の合筆を行う場合(ステップS83;Yes)、ステップS84で、どの土地を合筆するのか、土地の一覧が表示される。
【0242】
ステップS85で、選択された土地を合筆する。ステップS86で、既存建物の取り壊しがあるか否かが選択される。既存建物の取り壊しがある場合(ステップS86;Yes)、ステップS87で取り壊し費用が算出される。
【0243】
次いで、ステップS88で、賃貸建物の建築か、自宅建築かが判定される。賃貸建物の建築の場合(ステップS88;Yes)、ステップS89で、建物規模を選択する処理を行う。そして、ステップS90で、建物規模に応じた建築予算が算出される。
【0244】
ステップS88での判定が、賃貸建物の建築ではない場合(ステップS88;No)、ステップS91で、自宅建築予算が算出される。
【0245】
次に、図60において、シミュレーションでの損益・収支を算出する処理について説明する。
ステップS101では、節税対策を行った場合について、資産総額と債務総額の予測値を算出し、推定相続税額の予測値を算出する。なお、推定相続税額の算出は、図55のフローに示す手順で行う。
【0246】
ステップS102では、節税対策を行わなかった場合について、資産総額と債務総額の予測値を算出し、推定相続税額の予測値を算出する。そして、ステップS103で、対策を行った場合と行わなかった場合の、推定相続税額の予測値の違いを提示する。
【0247】
ステップS104では、節税対策を行った場合について、総収入額と総支出額の予測値を算出し、内部留保金額の予測値を算出する。なお、内部留保金の算出は、図56のフローに示す手順で行う。
【0248】
ステップS105では、節税対策を行わなかった場合について、総収入額と総支出額の予測値を算出し、内部留保金額の予測値を算出する。そして、ステップS106で、対策を行った場合と行わなかった場合の、内部留保額の予測値の違いを提示する。
【0249】
なお、上記処理の後に、総収入額の予測額に基づいて所得税額の予測額を算出するステップを設けても良い。
【0250】
5.他のシミュレーション
相続税対策として、上記では、土地に賃貸マンションを建築して土地からの収入をあげながら、税法上の評価減により、資産を増やしながら相続評価の圧縮をするケースについて説明した。
【0251】
本例のシステムでは、上記したように、土地有効活用の一例として、被相続人の所有する土地に、被相続人の所有する賃貸マンションを建築するケースを示したが、これに限らず、他のケースについてのシミュレーションをすることが可能である。
【0252】
図61は、既に所有している土地について、土地活用を行うシミュレーションの例を示すものである。図61には、4つのパターンが例示されている。パターンAは、被相続人の所有する土地に、同族法人の所有する賃貸建物を建築するものである。パターンBは、相続人の所有する土地に、同族法人の所有する賃貸建物を建築するケースである。パターンCは、被相続人と相続人の土地を合筆した後、同族法人の所有する賃貸建物を建築するケースである。また、パターンDは、相続人の所有する土地に、被相続人の所有する賃貸建物を建築するものである。
【0253】
本例のシステムでは、さらに以下のようなシミュレーションを行うことが可能である。
(1)配偶者への居住用財産の贈与
一定の条件のもとに、2000万円までの居住用財産を無税で配偶者に贈与できるという制度を利用し、このことを組み入れたシミュレーションを行う。これにより、資産を減らさずに、相続評価を下げることが可能となる。
【0254】
(2)土地、建物の売却
収益性の悪い不動産を売却するシミュレーションを行う。このシミュレーションでは、売却による資金をもとに、現金の運用もしくは収益性の高い不動産の購入に関するシミュレーションも行う。また、同族法人に売却することにより、資産を実質減らさずに、相続評価を圧縮することも可能であるため、同族法人への売却シミュレーションも行う。
【0255】
図62は、土地購入シミュレーションの一例を示すものである。図62のパターンEは、被相続人または相続人または同族法人が土地を購入し、この購入した土地に、同族法人の所有する賃貸建物が建築されるケースが示されている。
図62に示すパターンFは、被相続人または相続人が土地を購入し、この購入した土地に、被相続人の所有する賃貸建物が建築されるケースである。
【0256】
図63は、土地売却シミュレーションの一例を示すものである。図63のパターンGは、被相続人または相続人の所有する土地に、被相続人または相続人の所有する賃貸建物が建築されている物件を第三者へ売却し、この売却益で被相続人または相続人の所有する土地を購入し、この土地に同族法人の所有する賃貸建物が建築されるケースである。
【0257】
図63のパターンHは、被相続人または相続人の所有する土地に、同族法人の所有する賃貸建物が建築されている物件について、土地を同族法人に売却するケースである。
【0258】
また、被相続人または相続人の所有する土地に、同族法人の所有する賃貸建物が建築されている物件を第三者に売却し、売却益で新規土地を購入し、その土地に、同族法人の所有する賃貸建物を建築するケース(パターンI)または被相続人の所有する賃貸建物を建築するケース(パターンJ)が示されている。
【0259】
(3)小規模宅地等の減額特例の活用
200m2までの土地については、居住用で80%、事業用で50%の評価減ができることが税法上認められているため、該当する土地について住居または事業に使用できるか否かについてシミュレーションを行う。
【0260】
(4)土地の利用区分の変更(土地の分筆)
一定の大きさの土地を分筆し、それぞれの利用形態を異なるものとすることにより、土地の評価が下がることがあるので、分割して住居や事業に使用できるか否かについてシミュレーションを行う。
【0261】
(5)土地の利用区分の変更(土地の合筆)
利用区分の異なる連続する土地を一つにして、大型の土地活用を行うシミュレーションを行う。多額の債務控除により、相続評価の圧縮が可能となる。
【0262】
これは、図61で既に示したように、例えば、被相続人の所有する土地と、相続人の所有する土地を合筆し、この合筆した土地に、同族法人の所有する賃貸建物を建築するケースである。
【0263】
なお、土地の合筆シミュレーションは、図64に示す画面で行うことができる。図64に示す画面では、先ず「区画追加」を選択すると、区画一覧画面が出てくるので、合筆したい筆を選択する。
【0264】
すると、区画一覧画面に、選択した全ての筆が表示される。区画一覧画面に表示された筆の面積及び利用持分率から、個人別の利用持分率が計算される。
なお、持分追加及び持分変更がある場合は、持分追加画面、持分変更画面から随時行う。
【0265】
(6)納税猶予の活用
農業後継者がいる場合には、農地を農地として相続すると、農業相続人は相続税の農地に対応する部分の金額の納税が猶予される。この制度を利用したシミュレーションを行う。
【0266】
(7)資産の贈与(相続人)
相続人に生前に贈与を行うシミュレーションを行い、計画的な資産の移行と圧縮を検討する。このとき、相続税の実務税率と贈与税の実務税率を対比してシミュレーションを行う。
【0267】
(8)財産の贈与(相続人以外)
相続人以外(孫等)に生前に贈与を行うシミュレーションを行い、計画的な資産の移行と圧縮を検討する。このとき、相続税の実務税率と贈与税の実務税率を対比してシミュレーションを行う。
【0268】
(9)住宅取得資金の贈与
相続人や相続人以外に通常の贈与より低い贈与税額で、住宅取得用の資金を贈与することは税法上認められている。この制度を利用して、住宅取得資金の贈与についてシミュレーションを行う。ただし、この贈与を行った年から5年間は、贈与した相手方に他の贈与を行うと、効果がなくなってしまうので注意が必要である。
【0269】
(10)会社の設立
同族法人を設立して不動産賃貸業を営むことにより、資産の圧縮、所得の分散による所得の軽減を図ることができる。このとき、被相続人の所有分は所有資産になるので、所有持分の検討も行う。
【0270】
(11)現物出資による会社設立
所有の土地・建物を現物出資して会社を設立するシミュレーションを行う。これにより、資産の圧縮を図ることが可能となる。また、会社が借り入れ等を起こすことにより、資産圧縮を行い、株式評価を下げ、株式の親族への譲渡を容易にするシミュレーションを行う。ただし、現物出資に際しては、譲渡所得税が発生するので、譲渡取得税についても検討する。
【0271】
(12)固定資産(土地)の交換
一定の要件のもとに、同一固定資産を無税で交換することができる。これにより、小規模土地を一つにまとめて有効活用を図る、貸地と借地の交換により更地を得られる、等を行うことが可能となる。
【0272】
(13)相当の地代による土地の貸付け
同族法人に対して、相当の地代による土地の貸付を行うシミュレーションを行う。地価の上昇が見込まれる地域においては、権利金の授受なしに、土地の借地権を同族法人に移行することが可能となる。
【0273】
(14)無償返還
「無償返還の届出」をし、同族法人に対して相当の地代に満たない地代で土地を貸し付けることにより、権利金の認定なしに土地の評価を20%低くすることができる。このとき、その20%は同族法人の株式評価に際し資産として加算されるので、その処理も行う。
【0274】
(15)等価交換
一定の条件のもとに、デベロッパーに対し土地を提供することにより、資金なしに建物を取得することができる。これにより、資産の評価圧縮と収入の確保をすることが可能となる。
【0275】
(16)定期借地
「定期借地権」を設定することにより、従来の貸地と違い、将来確実に返ってくる前提で土地を他人に貸すことができる。これにより、資産の評価圧縮と収入の確保をすることができる。また、他人の土地に「定期借地権」を設定することにより、土地の初期投資を抑えて、不動産事業を展開することが可能となる。
【0276】
(17)買換の特例
一定の条件のもとに、事業用資産を売却して新たに購入することについて、譲渡所得税の軽減特例が適用される。これにより、低利用地を高利用地に買い換えることができる。この制度を利用してシミュレーションを行う。ただし、この制度は毎年見直しが行われており、制度の確認と実施のタイミングが重要となる。
【0277】
(18)建物の取り壊し
採算性の良い建物を建築するために、既存建物の取り壊しをシミュレーションする。
【0278】
(19)自宅の新築
自宅の新築に関するシミュレーションを行う。自宅新築について現金を利用することにより、資産評価の圧縮を行うことができる。また、現自宅地が事業用に好立地である場合は、自宅地を事業用に転用することにより、収益の増大と資産評価の圧縮を行うことが可能となる。
【0279】
(20)不動産の取得
手持ちの現預金を使い、またそれに借入を加えることにより、総資産の増加と、相続評価を圧縮するシミュレーションを行う。
【0280】
(21)保険の活用(被相続人)
被相続人が生命保険に加入するシミュレーションを行う。生命保険の非課税枠を活用して、相続発生時に納税財源として利用するものである。
【0281】
(22)保険の活用(相続人)
被相続人が契約者となって、相続人に対して生命保険をかけるシミュレーションを行う。この場合、現金を所有しているよりも評価が圧縮される。また相続発生時には解約して、解約返戻金を納税財源として利用するものである。
【0282】
(23)保険の活用(法人)
被相続人が役員を務めている同族法人が、被相続人に生命保険をかけるシミュレーションを行う。相続発生時まで被相続人が役員を務めていれば、会社よりこの保険から退職金、弔慰金が支払われ、納税資金として利用できるからである。この場合は、退職金、弔慰金に関する規定を会社が整備しておくことが必要である。
【0283】
(24)養子縁組
被相続人に子供がいる場合は一人、子供がいない場合は二人まで、税法上養子を迎えることが可能である。この養子を迎えるシミュレーションを行う。養子を迎えることにより、基礎控除が増え、相続税の適用税率を下げることがあるためである。
【0284】
(25)給与の分配
家族を同族法人の役員または従業員として給与分配するシミュレーションを行う。給与分配をすることにより、所得の分散による税負担の軽減と、家族の生活費の確保が可能となる。そして、給与分配により納税を所得税で実施することが可能となるためである。
【0285】
6.投資シミュレーション
以上のように、本例のシステムによれば、ユーザーの現在の相続人構成や、ユーザーが所有している資産の現状を把握することができる。そして、資産の現状に基づいて、相続税及びユーザーの損益・収支に関するシミュレーションを行うことができる。
【0286】
本例のシステムは、さらに、資産対策のために資産を売却したいユーザーがいる場合、その物件について会員のなかから投資者を選出する機能を有している。すなわち、投資物件を提供する側と、投資を行う側の最適の組合せを見つける機能を有している。
【0287】
以下、投資物件に関するシミュレーション機能について説明する。
図65に示すように、この投資物件シミュレーションは、あるユーザーが自分の土地を売却したいと考えたときに、その土地を購入可能な別なユーザーを自動でピックアップし、表示するものである。
【0288】
そして、ピックアップされた所定のユーザーが、投資物件を購入したとき、そのユーザーの収支がどのようになるかについても、シミュレーションすることが可能である。
【0289】
(1)投資物件シミュレーション指示
まず、登録済みのデータから、投資物件データを選出する。
登録済みデータの中から、投資物件データを選出するために、投資物件をマークしておくようにする。投資物件には、所定のユーザーが売却を希望している資産や、税務対策シミュレーションにより売却した方が良いと判定された資産が含まれる。
【0290】
そして、上記マークがなされているか否かによって、登録済みデータを分類し、マークがなされているものを、投資対象の資産として表示する。
【0291】
(2)投資物件シミュレーション処理
投資物件データが選出されたら、投資物件データの各種情報(自己投資金額、購入口数、建物用途等)と、各会員の資金情報を元に、各会員について購入可否の判断を行う。そして、購入可能な場合、購入可能者の一覧表示と購入後の損益・収支計算書を作成する。
【0292】
(3)シミュレーション結果確認
最後に、シミュレーション処理で作成された結果を確認する。シミュレーションの結果は、画面表示することも可能であり、また、帳票の形式でプリント出力することも可能である。
【0293】
ここで、投資物件シミュレーション処理の流れを説明する。
まず、図66において、投資物件の確定処理について説明する。
ステップS111で、その物件が投資物件であるか否かが判定される。
投資物件と判定された場合、ステップS112で、その物件がマークされる。
投資物件と判定されなかった場合は、処理を終了する。
【0294】
次に、図67において、投資物件の選出処理について説明する。
ステップS121で、全データの中から、投資物件としてマークされたものがあるかどうかが判定される。投資物件としてマークされたものがある場合、ステップS122で投資物件が表示される。
投資物件としてマークされたものがない場合は、後述する投資物件組成処理に移行する。
【0295】
次に、図68において、選出された投資物件について、投資可能なユーザーを確定する処理について説明する。先ず、ステップS131では、選出された投資物件の売却金額が確認される。
【0296】
次いで、ステップS132で、各ユーザーの現預金額、収入額が確認される。そして、ステップS133で、投資物件を購入する場合に最低限必要な頭金額と、月々の支払を行うための収入額を備えたユーザーが選出される。
【0297】
さらに、ステップS134で、選出されたユーザーについて、投資物件を購入した際の損益・収支、及び相続税額を算出する。損益は、不動産収入を含む総収入と、減価償却費,公租公課等の経費と、所得税,住民税,事業税を減算して算出される課税所得と、税額と、により把握される。
【0298】
収支は、不動産収入を含む総収入と、経費及び税額を含む総支出と、総収入から総支出を減算した内部留保金と、により把握される。なお、損益・収支については、投資を行った時点から数年間の推移予測値が算出される。
【0299】
相続税額について、投資後の額は、資産合計額に投資物件が付加され、債務合計額に借入金が付加された状態で算出される。相続税についても、投資を行った時点から数年間の推移予測値が算出される。
【0300】
ステップS135では、ステップS134で算出された損益・収支の結果、及び相続税額と、投資物件を購入しなかった場合(現状)の損益・収支の結果、及び相続税額とが比較され、投資した場合の方が、良い結果が得られるか否かが判定される。
【0301】
ステップS135で、投資した場合の方が、損益・収支が良くなると判定された場合、ステップS136で、さらに他の投資が可能か否かが判定される。また、ステップS135で、投資した場合の方が、損益・収支が悪くなると判定された場合、ステップS137で投資を行わないことが決定され、処理を終了する。
【0302】
ステップS136では、他の投資について投資可能するか否かが判定される。
さらに、他の投資を行うと判定された場合、ステップS131からステップS135の処理を繰り返す。2回目の投資シミュレーションでは、1回目の投資シミュレーションで得られた投資後の財産状況をベースに試算が行われる。
ステップS136で、他の投資物件について投資しないと判定された場合、処理を終了する。
【0303】
なお、登録データの中に、投資物件についての具体的な案件がない場合には、次の要領で投資物件の必要条件の抽出を行っても良い。
先ず、「資産明細書」の「現在の資産状況」や、「損益・収支推移予想表」より、多くの資産を有するユーザー、所得に余裕のあるユーザーを把握する。
そして、税務対策シミュレーションにより、各ユーザーに対する効果的な所得、収支、評価減を推定する。
【0304】
上記税務対策シミュレーションにより、売却資産をピックアップする。さらに、ピックアップされた物件について、購入時の最低頭金額、月々の支払額を算出するとともに、投資物件による収益性等を予測する。
そして、上記予測された前提条件により、すべての会員にシミュレーションを行い、購入可能者一覧を出力する。
【0305】
【発明の効果】
以上のように、資産対策システムは、ユーザーの現状での資産状況と相続税額が提示されるとともに、節税についての各種シミュレーションを行う。そして、シミュレーション結果として、対策後の資産状況と収益状況及び相続税額が提示される。したがって、所有する資産の対策について、最も効果的で確実な方法を検討することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るシステムの概念図である。
【図2】本発明に係るシステムのハード構成を示す説明図である。
【図3】土地に関して、筆、利用筆、区画の関係を示す説明図である。
【図4】区画と建物情報及び借入金の関係を示す説明図である。
【図5】本発明のシステムで作成される家系図を示す説明図である。
【図6】本発明のシステムで作成される不動産一覧表を示す説明図である。
【図7】本発明のシステムで作成される現在の資産状況を示す説明図である。
【図8】本発明のシステムで作成される土地評価表を示す説明図である。
【図9】本発明のシステムで作成される相続税推移予想表を示す説明図である。
【図10】本発明のシステムで作成される損益・収支予想表を示す説明図である。
【図11】本発明のシステムで作成される現在の損益・収支の状況を示す説明図である。
【図12】本発明のシステムで作成される相続税の支払資金調達方法の検討を示す説明図である。
【図13】本発明のシステムで作成される不動産収入・支出一覧表を示す説明図である。
【図14】本発明のシステムで作成される金融資産一覧表を示す説明図である。
【図15】本発明のシステムで作成される債務一覧表を示す説明図である。
【図16】本発明のシステムで作成される減価償却一覧表を示す説明図である。
【図17】本発明のシステムで作成されるライフプラン一覧表を示す説明図である。
【図18】本発明のシステムで作成される不動産明細表を示す説明図である。
【図19】本発明のシステムで作成される対策結果一覧表を示す説明図である。
【図20】本発明のシステムで作成される相続税支払方法一覧表を示す説明図である。
【図21】本発明のシステムで作成される対策結果比較表を示す説明図である。
【図22】本発明のシステムで作成される対策結果比較表を示す説明図である。
【図23】本発明のシステムで作成される個別損益・収支明細書(対策前)を示す説明図である。
【図24】本発明のシステムで作成される個別損益・収支明細書(対策後)を示す説明図である。
【図25】本発明のシステムで作成される対策効果確認書を示す説明図である。
【図26】本発明のシステムで作成される対策効果確認書を示す説明図である。
【図27】システムにおける2次相続の考え方を示す説明図である。
【図28】システムにおける納税猶予の考え方を示す説明図である。
【図29】被相続人のデータ入力画面を示す説明図である。
【図30】相続人のデータ入力画面を示す説明図である。
【図31】被相続人の確定申告書データ入力画面を示す説明図である。
【図32】筆(登記簿)情報の入力画面を示す説明図である。
【図33】筆(登記簿)情報の入力画面を示す説明図である。
【図34】区画編成入力で使用する画面を示す説明図である。
【図35】土地の利用状況の確認画面を示す説明図である。
【図36】区画編成情報の入力画面を示す説明図である。
【図37】区画編成情報の入力画面を示す説明図である。
【図38】区画編成情報の入力画面を示す説明図である。
【図39】区画編成情報の入力画面を示す説明図である。
【図40】区画編成情報の入力画面を示す説明図である。
【図41】区画編成情報の入力画面を示す説明図である。
【図42】区画編成情報の入力画面を示す説明図である。
【図43】土地の利用形態の主なパターンを示す説明図である。
【図44】建物情報の入力画面を示す説明図である。
【図45】法人情報の入力画面を示す説明図である。
【図46】法人情報の入力画面を示す説明図である。
【図47】建物及び土地に付随していない資産の入力画面を示す説明図である。
【図48】減価償却の入力画面を示す説明図である。
【図49】担保・債務情報の入力画面を示す説明図である。
【図50】担保・債務情報が入力された後の土地及び建物の区画明細を示す説明図である。
【図51】複数者間でのお金の流れを示す画面の説明図である。
【図52】土地評価における想定整形地のとり方の説明図である。
【図53】土地の分類処理を示すフローチャートである。
【図54】家系図作成処理を示すフローチャートである。
【図55】推定相続税額の算出処理を示すフローチャートである。
【図56】内部留保金の算出処理を示すフローチャートである。
【図57】納税方法を検討する処理を示すフローチャートである。
【図58】納税方法を検討する処理を示すフローチャートである。
【図59】相続税を減少させるためのシミュレーション処理を示すフローチャートである。
【図60】シミュレーションでの損益・収支を算出する処理を示すフローチャートである。
【図61】所有している土地に関するシミュレーションの例を示す説明図である。
【図62】土地を購入して行うシミュレーションの例を示す説明図である。
【図63】土地を売却して行うシミュレーションの例を示す説明図である。
【図64】土地の合筆シミュレーションを行う画面を示す説明図である。
【図65】投資物件シミュレーションの概略図である。
【図66】投資物件シミュレーションの処理を示すフローチャートである。
【図67】投資物件シミュレーションの処理を示すフローチャートである。
【図68】投資物件シミュレーションの処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
10 コンピュータ装置
11 入力部
12 記憶部
13 制御部
14 出力部
15 送受信部
Claims (15)
- 資産に関する情報を収集し、該情報に基づいて最適な税務対策を提示する資産対策システムであって、
所定の所有者が有する各資産に関する情報を収集し、
前記各資産についての流動性または収益性を評価し、
前記各資産より発生する相続税に対し、前記各資産の流動性または収益性に基づいて納税の可否を検討し、
前記資産に関して、土地の有効活用、財産贈与、資産売却、資産取得、資産交換、資産買換、資産分割、納税猶予、会社設立、土地貸付、保険活用、養子縁組、給与分配を含む節税対策を行った場合と行わなかった場合それぞれについて、前記所有者の損益、収支、推定相続税額を算出することを特徴とする資産管理システム。 - 資産に関する情報を収集し、該情報に基づいて最適な税務対策を提示する資産対策システムであって、
前記資産に関する情報として、各資産の相続税評価額,現預金額を含む資産総額、債務総額、前記資産の所有者の家族構成、各資産による収入額を含む総収入額、各資産に係る支出額を含む総支出額、を収集し、
節税対策を行った場合と行わなかった場合それぞれについて、資産総額、債務総額、総収入額、総支出額の予測推移額を算出し、
節税対策を行った場合と行わなかった場合それぞれについて、前記資産総額の予測推移額及び債務総額の予測推移額に基づいて課税遺産総額の予測推移額を算出し、該課税遺産総額の予測推移額と前記家族構成に基づいて推定相続税額の予測推移額を算出するとともに、
前記総収入額の予測推移額及び総支出額の予測推移額に基づいて内部留保金額の予測推移額を算出し、
節税対策を行った場合と行わなかった場合について、少なくとも前記推定相続税額の予測推移額と、内部留保金額の予測推移額との比較結果を提示することを特徴とする資産対策システム。 - 前記節税対策としての土地活用には、土地への賃貸建物の建築または自宅の建築が含まれることを特徴とする請求項1または2記載の資産対策システム。
- 前記土地活用を行うために土地の利用区分の変更を行うことを特徴とする請求項1または3記載の資産対策システム。
- 各資産による収入額の予測推移額と、各資産による支出額の予測推移額より、課税所得額の予測推移額を算出することを特徴とする請求項2記載の資産対策システム。
- 前記総収入額の予測推移額に基づいて所得税額の予測推移額が算出されることを特徴とする請求項2記載の資産対策システム。
- 各資産の相続税評価額,現預金額を含む資産総額、債務総額、前記資産の所有者の家族構成、各資産による収入額を含む総収入額、各資産に係る支出額を含む総支出額、のいずれか一つまたは二つ以上の組合せを収集する第1の工程と、
節税対策を行った場合と行わなかった場合それぞれについて、資産総額、債務総額、総収入額、総支出額の予測推移額を算出する第2の工程と、
節税対策を行った場合と行わなかった場合それぞれについて、前記資産総額の予測推移額及び債務総額の予測推移額に基づいて課税遺産総額の予測推移額を算出し、該課税遺産総額の予測推移額と前記家族構成に基づいて推定相続税額の予測推移額を算出する第3の工程と、
前記総収入額の予測推移額及び総支出額の予測推移額に基づいて内部留保金額の予測推移額を算出する第4の工程と、
節税対策を行った場合と行わなかった場合それぞれについて、少なくとも前記推定相続税額の予測推移額と、内部留保金額の予測推移額との比較結果を提示する第5の工程と、を備えたことを特徴とする資産対策方法。 - 前記第2の工程の後に、前記各資産による収入額の予測推移額と、各資産による支出額の予測推移額より、課税所得額の予測推移額を算出する工程を備えたことを特徴とする請求項7記載の資産対策方法。
- 前記第2の工程の後に、前記総収入額の予測推移額に基づいて所得税額の予測推移額を算出する工程を備えたことを特徴とする請求項7記載の資産対策方法。
- 各資産の相続税評価額,現預金額を含む資産総額、債務総額、前記資産の所有者の家族構成、各資産による収入額を含む総収入額、各資産に係る支出額を含む総支出額を含む情報を記憶する記憶部と、
前記情報を入力する入力部と、
前記情報に基づいて節税対策を行った場合と行わなかった場合それぞれについて、資産総額の予測推移額、債務総額の予測推移額、総収入額の予測推移額,総支出額の予測推移額,課税遺産総額の予測推移額、推定相続税額の予測推移額、内部留保金額の予測推移額のいずれか一つまたは二つ以上の組合せを生成するとともに、
節税対策を行った場合と行わなかった場合について、少なくとも前記推定相続税額の予測推移額と、内部留保金額の予測推移額との比較を行う制御部と、
該制御部により生成された結果が出力される出力部とを備えたことを特徴とする資産対策装置。 - 前記制御部は、前記資産総額の予測推移額及び債務総額の予測推移額に基づいて課税遺産総額の予測推移額を算出する処理、
該課税遺産総額の予測推移額と前記家族構成に基づいて推定相続税額の予測推移額を算出する処理、
前記総収入額の予測推移額及び総支出額の予測推移額に基づいて内部留保金額の予測推移額を算出する処理、
前記各資産による収入額の予測推移額と、各資産による支出額の予測推移額より、課税所得額の予測推移額を算出する処理、
前記総収入額の予測推移額に基づいて所得税額の予測推移額を算出する処理、のいずれか一つまたは二つ以上の組合せを行うことを特徴とする請求項10記載の資産対策装置。 - 前記出力部からは帳票イメージの画面表示またはプリント出力がなされることを特徴とする請求項10記載の資産管理装置。
- 各資産の相続税評価額,現預金額を含む資産総額、債務総額、前記資産の所有者の家族構成、各資産による収入額を含む総収入額、各資産に係る支出額を含む総支出額、のいずれか一つまたは二つ以上の組合せを収集するステップと、
節税対策を行った場合と行わなかった場合それぞれについて、資産総額、債務総額、総収入額、総支出額の予測推移額を算出するステップと、
節税対策を行った場合と行わなかった場合それぞれについて、前記資産総額の予測推移額及び債務総額の予測推移額に基づいて課税遺産総額の予測推移額を算出し、該課税遺産総額の予測推移額と前記家族構成に基づいて推定相続税額の予測推移額を算出するステップと、
前記総収入額の予測推移額及び総支出額の予測推移額に基づいて内部留保金額の予測推移額を算出するステップと、
節税対策を行った場合と行わなかった場合それぞれについて、少なくとも前記推定相続税額の予測推移額と、内部留保金額の予測推移額との比較結果を提示するステップと、をコンピュータに実行させるための資産対策プログラム。 - 前記節税対策を行った場合と行わなかった場合それぞれについて、資産総額、債務総額、総収入額の予測推移額を算出するステップの後に、各資産による収入額の予測推移額と、各資産による支出額の予測推移額より、課税所得額の予測推移額を算出するステップを備えたことを特徴とする請求項13記載の資産対策プログラム。
- 前記節税対策を行った場合と行わなかった場合それぞれについて、資産総額、債務総額、総収入額の予測推移額を算出するステップの後に、前記総収入額の予測推移額に基づいて所得税額の予測推移額が算出されるステップを備えたことを特徴とする請求項13記載の資産対策プログラム。
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