JP2004300556A - Ornament with metal-pattern and its manufacturing method - Google Patents
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Abstract
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、チタニウム系金属からなるベース材の表面層に、共融合金を所定の模様に形成した金属模様付き装飾品およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、ベース材となる金属に他種金属の模様を形成した装飾品を製造する手法として、象眼(=はめ込み)、溶接、ろう付け、めっき、印刷あるいは接着による手法が知られている。しかし、象眼および溶接は、加飾部を別体で構成する必要から、模様によっては高度な加工を要する。また、ろう付け、めっきおよび印刷では、ベース材の模様以外の領域をマスキングする必要から、模様が複雑になればマスキングが困難となる。このため、装飾品のコストが高くなる。さらに、ろう付け、めっき、印刷および接着は、模様の部分がベース材からはがれやすく、耐久性に劣る。
【0003】
このような問題に鑑みて、本発明者は、先に、ベース材となる金属に、ベース材の金属の融点よりも低融点を有する別の金属を溶着させ、この結果形成される反応物を模様とする金属模様付き装飾品およびその製造方法を開発した(特開2001−105797号公報参照)。この結果、それまで知られていた技法によって製造された装飾品よりも、簡易、かつ低コストにて耐久性の高い装飾品を得ることができた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、先の発明者により開発された装飾品およびその製造方法にも、さらなる改善が望まれている。ベース材となる金属の種類によっては、そのベース材よりも低い融点を有する低融点金属を所定の模様に形成する場合、その低融点金属がベース材上を流れ、所定の模様が形成されにくくなることがある。このため、装飾品の歩留まりが低くなり、装飾品の価格が高くなるという問題がある。特に、ベース材にチタニウム系金属を用いた場合には、低融点金属が所定の模様を維持できずに流れるという状況が顕著になる。また、ベース材に凹凸の模様を形成すると、光沢が無くなると共に、汚れやすいという問題もある。
【0005】
本発明は、上記の問題を解消するべくなされたもので、模様が所定の形状に綺麗に維持され、かつ光沢があって汚れにくい金属模様付き装飾品およびその製造方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明は、チタニウム系金属からなるベース材の表面層に、ベース材の融点よりも低い融点をもつ低融点金属の一部または全部と、ベース材の表面において所定の模様にその低融点金属を保持させるために用いられる、ウルシオールを含むバインダーの一部と、ベース材との内、少なくとも低融点金属の一部または全部とベース材とからなる共融合金を、所定の模様に形成した金属模様付き装飾品としている。
【0007】
このように、チタニウム系金属からなるベース材の表面層に共融合金の模様を形成することによって、綺麗な模様を持った装飾品ができあがる。また、共融合金の模様は、少なくとも、低融点金属とベース材自体との反応によって形成されている。この結果、ベース材の表面に単に付着している模様と異なり、容易に消えない。模様を形成している共融合金は、低融点金属が合金である場合には、その合金を構成する少なくとも一種類の金属を構成成分としている。また、当該共融合金は、バインダーに含まれる少なくとも一種の成分を構成成分とすることもある。
【0008】
また、別の本発明は、先の発明において、共融合金がバインダーの一部の成分を含む場合において、バインダーの一部を、鉄または炭素とした金属模様付き装飾品としている。このため、ベース材、低融点金属を構成する金属、および鉄若しくは炭素の3元系あるいはそれ以上の系の合金で形成される模様が得られる。
【0009】
また、別の本発明は、先の発明において、低融点金属を、金、銀または白金を含むろう材とした金属模様付き装飾品としている。このため、装飾に高級感がでる。なお、これらの貴金属製のろう材を使用すると、貴金属の結晶と他の金属の結晶とが緊密に混合した共融合金が形成されやすい。
【0010】
また、別の本発明は、チタニウム系金属からなるベース材の表面層に、共融合金を所定の模様に形成した金属模様付き装飾品を製造する方法であって、ベース材の表面に、所定の模様の形に、ウルシオールを含むバインダーを付着させる工程と、そのバインダーに、ベース材の融点よりも低い融点をもつ低融点金属を供給する工程と、そのバインダーに低融点金属を供給した状態のベース材を所定の焼成温度まで加熱する焼成工程と、焼成工程後のベース材の表面にある付着物を除去する工程とを含む、金属模様付き装飾品の製造方法としている。
【0011】
エポキシ樹脂等からなるバインダーを使用した場合、加熱しても、その炭化が進まず、炭化水素系のガス等の発生が見られるだけである。しかし、ウルシオールを含むバインダーに低融点金属を供給したベース材を加熱していくと、ウルシオール中の大部分の炭素が、炭素あるいは炭化物の状態でベース材上に残存する。この残存した炭素あるいは炭化物は、バインダー中の低融点金属を保持し、低融点金属が模様の部分からはみ出して流出することを防止する。一方、ウルシオールの構成元素である水素と酸素は、ウルシオール中の一部の炭素と結びついて気化する。この結果、ベース材上の所定の模様が綺麗な状態に維持できる。焼成工程の後に、ベース材上にある炭素あるいは炭化物と低融点金属から成る付着物を除去すると、ベース材の表面層に形成された共融合金だけが残される。なお、模様を綺麗に仕上げるためには、バインダーに低融点金属を複数回供給すると良い。
【0012】
また、別の本発明は、チタニウム系金属からなるベース材の表面層に、共融合金を所定の模様に形成した金属模様付き装飾品を製造する方法であって、ベース材の表面に、ウルシオール、およびベース材の融点よりも低い融点をもつ低融点金属を含むバインダーを、所定の模様の形に付着させる工程と、そのバインダーを付着したベース材を所定の焼成温度まで加熱する焼成工程と、焼成工程後のベース材の表面にある付着物を除去する工程とを含む、金属模様付き装飾品の製造方法としている。
【0013】
このように、最初からバインダー中に低融点金属を混ぜたものをベース材に塗布することにより、低融点金属を何度もバインダー中に供給する手間がなくなるので、製造コストを低減できる。
【0014】
また、別の本発明は、先の発明において、鉄または鉄の化合物を含むバインダーを用いた金属模様付き装飾品の製造方法としている。このため、バインダーに含まれる鉄は、ベース材の加熱によって、低融点金属およびベース材と反応し、共融合金の構成成分となり得る。
【0015】
また、別の本発明は、先の発明において、金、銀または白金を含む金属ろうを用いた金属模様付き装飾品の製造方法としている。このため、装飾に高級感がでる。なお、これらの貴金属製のろう材を使用すると、貴金属の結晶と他の金属の結晶とが緊密に混合した共融合金が形成されやすい。
【0016】
また、別の本発明は、先の発明において、900〜1000℃の範囲の所定の焼成温度で焼成する焼成工程を有する、金属模様付き装飾品の製造方法としている。このため、低融点金属として、金ろう、銀ろうまたは白金ろうを用いた場合、ベース材に影響を与えることなく、少なくともベース材と低融点金属との反応による共融合金を形成できる。また、昇温の過程において、ベース材が200〜350℃になると、バインダー中のウルシオールが炭化しはじめる。すると、炭素が低融点金属をしっかりと保持し、焼成工程まで模様を維持できる。したがって、ベース材の金属模様が、歩留まり良く綺麗に仕上がる。
【0017】
また、別の本発明は、先の発明において、所定の焼成温度に至る前に、所定の焼成温度より低い温度で一旦保持する保持過程を有する、金属模様付き装飾品の製造方法としている。保持過程の温度は、200〜350℃の範囲の温度、70〜80℃の範囲の温度の内、少なくともいずれか一方の温度としている。
【0018】
200〜350℃にて保持すると、炭素成分が炭化水素系のガスとして必要以上に気化することを防止でき、もってウルシオールの炭化を促進できる。したがって、低融点金属を炭素あるいは炭化物により確実に保持でき、よりいっそう綺麗な金属模様を得ることができる。また、70〜80℃にて保持すると、バインダーが流動しやすくなる。このため、余分なバインダーを、模様の領域から流出させることができる。この結果、その後の焼成工程において、低融点金属がバインダーと共に模様の領域からはみ出して流出する危険性が低くなるので、模様の仕上がりがいっそう綺麗になる。また、70〜80℃および200〜350℃の2段階で保持する過程を採用すると、余分なバインダーの除去と、ウルシオールの確実な炭化との両作用を期待でき、よりいっそう綺麗な模様を形成できる。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、図面に基づいて説明する。
【0020】
(第1の実施の形態)
まず、第1の実施の形態について、図1から図9に基づいて説明する。
【0021】
図1は、本発明に係る金属模様付き装飾品1の第1の実施の形態を示す図であり、図1Aは、その正面図を、図1Bは、当該正面図のX−X線断面図をそれぞれ示す図である。
【0022】
図1に示す金属模様付き装飾品1は、腕時計の裏蓋2に蝶の模様3(以後、「所定の模様3」という)を形成したものである。この腕時計の裏蓋2は、チタニウム系金属からなる。ここで、チタニウム系金属とは、純チタニウム金属と、他の金属成分(例えば、鉄)を含むチタニウム合金とを総称したものである。
【0023】
所定の模様3は、図1Bに示すように、腕時計の裏蓋2の表面に付着する付着物ではなく、腕時計の裏蓋2の表面層と反応してできた反応生成物である。このため、所定の模様3は、容易に消えず、腕時計の裏蓋2に長期間保持される。
【0024】
図2は、本発明に係る金属模様付き装飾品の製造方法の第1の実施の形態(図1に示す金属模様付き装飾品1の製造工程)を示すフローチャートである。
【0025】
図1に示す金属模様付き装飾品1の製造は、腕時計の裏蓋2にバインダーを塗布する塗布工程(ステップS1)、金属のろう材(=金属ろう)の粉末を、バインダーの上から供給する蒔粉工程(ステップS2)、バインダーと金属ろうを付着させた腕時計の裏蓋2を焼成する焼成工程(ステップS3)、焼成後の腕時計の裏蓋2の表面をブラッシングして、表面を平滑にするブラッシング工程(ステップS4)の順に進行する。以下、各工程で用いられる材料、装置および製造条件について説明する。
【0026】
ステップ1の塗布工程に用いられるバインダーは、漆(うるし)と塩化第二鉄との混合物である。この実施の形態では、2%塩化第二鉄が用いられている。ただし、塩化第二鉄の濃度は、2%に限定されない。また、塩化第二鉄の代替物として、鉄の微粉末を用いても良い。また、バインダーには、塩化第二鉄の他に、硼酸を加えても良い。塗布工程において、バインダーは、筆書きあるいは印刷等の手法によって、腕時計の裏蓋2にバインダー所定形状の模様に塗布される。これを、パターン描写という。漆の主成分は、ウルシオール(分子式:CXHYO2,X:20〜23,Y:31〜36)である。このウルシオールが、後述するように、図1に示す金属模様付き装飾品1の製造上、重要な役割を有する。
【0027】
ステップS2の蒔粉工程では、ベース材よりも低い融点を有する低融点金属の一例として、金ろうの粉末、銀ろうの粉末または白金ろうの粉末が、蒔絵に用いられる技法によって、バインダー上に蒔粉される。金ろうの粉末は、純金粉末と、金と銀の合金粉末とに大別される。また、合金粉末には、金と銀の含有比率が異なるものがある。K14、K16、K18というように、「K」以降の数字が大きくなるほど、金の含有比率が高くなる。また、金の含有比率が高いほど、金ろうの融点が高くなる。このため、金の含有比率が高い金ろうを用いると、焼成温度を高くする必要がある。この実施の形態では、金と銀の重量比率9:1の金ろうの合金粉末が用いられている。ただし、他の金ろうの粉末、銀ろうの粉末、白金ろうの粉末あるいは他の金属ろうの粉末を用いても良い。なお、金属ろう以外の形態の金属を用いても良い。
【0028】
ステップS3の焼成工程は、蒔粉工程後の腕時計の裏蓋2を焼成炉に入れて行われる。焼成温度には、ベース材が溶けたり軟化せずに、金ろうの粉末を溶かすのに適切な温度が選ばれる。この実施の形態で使用されるベース材および金ろうは、それぞれ、融点約1670℃の高純度チタニウム金属および融点800〜868℃の金ろうの粉末である。このため、焼成温度は、金ろうの粉末のみが溶け、かつベース材の高純度チタニウム金属が水素脆性を生じないように、900℃以上に設定されている。
【0029】
図3は、図2の焼成工程(ステップS3)に用いられるバッチ式焼成炉10を示す図である。
【0030】
蒔粉工程後の腕時計の裏蓋2は、セラミックス製の容器11(単に、「容器11」という。)に入れられて、バッチ式焼成炉10内で焼成される。バッチ式焼成炉10は、炉内を加熱するためのヒータ12と、炉内に不活性ガスあるいは還元性のガスを入れるためのガス導入管13と、炉内のガスを外部に排気するための排気管14と、炉内を真空に排気するための排気管15とを備えている。
【0031】
ガス導入管13は、バルブ16を介してガスボンベ17と接続されている。ガスボンベ17には、アルゴン若しくは窒素等の不活性ガス、あるいは水素ガスに代表される還元性のガス(以後、「不活性ガス等」という。)が充填されている。排気管15は、バルブ18を介して真空ポンプ19と接続されている。また、排気管14には、バルブ20が接続されている。
【0032】
真空下で焼成を行う場合には、バルブ16およびバルブ20を閉じ、バルブ18を開けて、真空ポンプ19が起動される。炉内が十分に真空となった後に、真空ポンプ19で排気を継続しながら、焼成工程が行われる。一方、不活性ガス等の雰囲気下で焼成工程を行う場合には、上記手順にて炉内を真空とした後に、ガスボンベ17から不活性ガス等を炉内に導入し、炉内圧力が大気圧を超えてから、バルブ20を開ける。すると、炉内に充満している不活性ガス等が、排気管14を通じて炉外に排気される。このように、炉内を不活性ガス等の雰囲気にした後に、焼成工程が開始される。なお、炉内を真空にせずに、不活性ガス等を炉内に導入して、炉内の空気を不活性ガス等に自然置換させるようにしても良い。
【0033】
図4は、図3に示されるバッチ式焼成炉10の焼成プログラムの一例を示す図である。図4における横軸および縦軸は、それぞれ、時間(分)および焼成温度(℃)である。
【0034】
図4に示す焼成プログラムは、室温Te0(℃)から昇温を開始し、t1(分)経過した時に、温度Te1(℃)で時間(t2−t1)(分)だけ保持される。この実施の形態では、温度Te1(℃)は、70〜80℃の範囲の温度である。また、昇温開始から時間t2(分)経過後、再び昇温され、昇温開始後t3経過した時に、温度Te2(℃)で時間(t4−t3)(分)だけ保持される。この実施の形態では、温度Te2(℃)は、200〜350℃の範囲の温度である。また、昇温開始から時間t4(分)経過後、再び昇温され、昇温開始後t5経過した時に、温度Te3(℃)で時間(t6−t5)(分)だけ保持される。この実施の形態では、温度Te3(℃)は、900℃以上の温度である。その後、昇温開始から時間t6(分)経過後、降温が行われる。
【0035】
バッチ式焼成炉10を使用すると、比較的、正確な温度制御が可能となり、温度Te1(℃)および温度Te2(℃)における保持も正確に行われる。Te1(℃)で保持すると、後述するように、余分なバインダーの除去が可能となる。また、Te2(℃)で保持すると、ウルシオールの十分な炭化が可能となる。この結果、より綺麗な金属模様付きの装飾品1を得ることができる。なお、所定温度での保持は、完全に同一温度を保持する状態のみを指すものではない。
【0036】
図2に示すステップS4のブラッシング工程は、焼成後の腕時計の裏蓋2の表面に付着する付着物を、研削または研磨にて除去する工程である。これによって、腕時計の裏蓋2の表面が平滑になる。腕時計の裏蓋2の表面層には、共融合金が所定の模様3の形で存在するので、ブラッシング工程を経ても、その所定の模様3は消えない。なお、所定の模様3は、金属ろう、ベース材およびバインダーの選択によっては、共融合金以外の形態をとる合金の場合もある。
【0037】
次に、図1に示す金属模様付き装飾品1の製造過程における所定の模様3の部分の状態変化について、説明する。
【0038】
図5は、図2に示す塗布工程(ステップS1)および蒔粉工程(ステップS2)における模様の状態を経時的に示す図である。また、図6は、蒔粉工程(ステップS2)において、複数蒔扮した時の模様の状態を経時的に示す図である。図7は、焼成工程(ステップS3)における模様の状態を経時的に示す図である。なお、図5から図7は、図1AのX−X線断面の拡大図として示されている。
【0039】
バインダー21を腕時計の裏蓋2に塗布すると、図5Aに示すような状態となる。このバインダー21の部分に金ろうの粉末30を蒔粉し、超音波にて振動すると、金ろうの粉末30は、図5Bに示すように、バインダー21の表面からバインダー21の内部に向かって沈んでいく。その後、図5Cに示すように、金ろうの粉末30の内、比較的大きな粉末30aは、バインダー21の底に沈む。一方、金ろうの粉末30の内、比較的小さな粉末30bは、バインダー21の表面近傍に浮いた状態となる。なお、超音波による振動は、蒔粉しながら行っても、蒔粉終了後に行っても良い。さらに、超音波以外の手段による振動を行っても良い。
【0040】
図5Cの状態にある模様の部分に、再度、金ろうの粉末30を蒔粉すると、当該模様の部分の状態は、図6Aのような状態となる。すると、図6Bに示すように、比較的大きな粉末30aは、バインダー21の底に沈む一方で、比較的小さな粉末30bは、バインダー21の表面近傍に浮いた状態となる。このように、金ろうの粉末30の蒔粉を繰り返すと、図6Cに示すように、バインダー21内部に多くの金ろうの粉末30が沈殿した状態が得られる。
【0041】
図6Cの状態にある模様の部分をもった腕時計の裏蓋2を焼成すると、図7(A)に示すように、70〜80℃の範囲の温度で、バインダー21が流動化しやすくなる。これは、バインダー21の主成分が漆の主成分(ここでは、ウルシオール)であることに起因する。この結果、バインダー21は、矢印Xで示すように、模様の部分の周囲に流出する。
【0042】
続いて、腕時計の裏蓋2が200〜350℃の範囲の温度に達すると、ウルシオールから揮発成分が抜けていき、ウルシオールの炭化が始まる。ウルシオールの炭化によって、模様の部分には、炭素または炭化物が生成する。この結果、模様の部分は、図7(B)に示すように、金ろうの粉末30が炭素あるいは炭化物によって固定された状態となり、金ろうの粉末30が流動しにくい状態になる。
【0043】
続いて、模様の部分が図7(B)に示す状態にある腕時計の裏蓋2が約900℃に達すると、図7(C)に示すように、腕時計の裏蓋2の表面層に共融合金からなる所定の模様3が生成する。この共融合金は、金ろうの粉末30とチタニウム金属とバインダー21中の鉄との反応によって生成した合金である。また、腕時計の裏蓋2が、鉄を含むチタニウム合金である場合には、共融合金は、金ろうの粉末30と、チタニウム金属と、チタニウム合金中の鉄との反応によって生成した合金である。ただし、バインダー21あるいは腕時計の裏蓋2に鉄が含まれない場合には、共融合金は、鉄を含まない共融合金になり得る。また、バインダー21、腕時計の裏蓋2の成分あるいは金ろうの粉末30に硼素が含まれる場合には、硼素を含む共融合金が形成可能である。
【0044】
図8は、図7(C)の状態にある所定の模様3の部分の一部模様3aを拡大した図である。
【0045】
図8中の一点鎖線で囲まれた部分にある一部模様3aは、領域Zに部分的に図示されるように、金ろうの粉末30と炭素または炭化物40が入りくんで一体化した状態で、腕時計の裏蓋2に付着している。かかる付着物は、200〜350℃においてウルシオールが炭化を開始した時から形成されてきたものである。かかる付着物は、金ろうの粉末30を模様の部分に固定するためには重要な存在であるが、焼成工程後には不要になる。このため、かかる付着物は、ブラッシング工程で除去される。
【0046】
図9は、ブラッシング工程後の金属模様付き装飾品1の拡大断面図である。
【0047】
図9に示すように、付着物の除外後、腕時計の裏蓋2の表面層に、共融合金からなる所定の模様3が形成されている。このように、共融合金は、模様の形で腕時計の裏蓋2の表面下に形成されているので、種々の物と接触しても容易に消えない。したがって、装飾品の耐久性は極めて高い。しかも、金属模様付きの装飾品1の表面に凹凸がないので、所定の模様3の部分は汚れにくい。
【0048】
(第2の実施の形態)
次に、本発明に係る金属模様付きの装飾品の製造方法の第2の実施の形態について、図10および図11に基づいて説明する。ただし、第2の実施の形態において、先に説明した第1の実施の形態と共通する内容については、適宜省略されるものとする。
【0049】
図10は、本発明に係る金属模様付きの装飾品の製造工程を示すフローチャートである。
【0050】
図10に示す製造工程で製造される金属模様付き装飾品自体は、図1に示される金属模様付き装飾品1と同じものである。しかし、図10に示される製造工程は、最初から、金属ろうを混合したバインダー21を腕時計の裏蓋2に塗布する点で、図2に示す製造工程と異なる。第2の実施の形態では、第1の実施の形態と同様、金属ろう材として金ろうの粉末30を用いている。以後、金ろうの粉末30を混合したバインダー21を、金ろう入りバインダー50と称する。
【0051】
本発明に係る金属模様付きの装飾品の製造方法の第2の実施の形態は、金ろうの粉末30とバインダー21とを混合する混合工程(ステップS11)、腕時計の裏蓋2に金ろう入りバインダー50を塗布する塗布工程(ステップS12)、塗布工程後の腕時計の裏蓋2を焼成する焼成工程(ステップS13)、焼成後の腕時計の裏蓋2の表面をブラッシングして、表面を平滑にするブラッシング工程(ステップS14)の順に進行する。ステップS13およびステップS14は、図2に示されるステップS3およびステップS4と、それぞれ同一の工程である。なお、金ろう入りバインダー50が市販されている場合には、ステップS11は不要である。
【0052】
図11は、図10に示す塗布工程(ステップS12)における模様の状態を経時的に示す図である。
【0053】
金ろう入りバインダー50を腕時計の裏蓋2に塗布すると、図11Aに示すような状態となる。金ろう入りバインダー50に十分な量の金ろうが含まれている場合には、一度の塗布で済む。もし、金ろうが十分含まれていない場合でも、二度塗り程度で済ませることが可能である。したがって、金ろうの粉末30をバインダー21上に何度も蒔粉する場合と比べて、製造工程の簡略化ができる。
【0054】
ステップS12の塗布工程後の模様の部分の状態は、図11Bに示すように、比較的大きな粉末30aが沈み、比較的小さな粉末30bが分離したバインダー21の表面近傍に浮いた状態となる。この状態の腕時計の裏蓋2は、次の焼成工程(ステップS13)に供される。ステップS13以降は、先に説明した第1の実施の形態の説明と重複するので、その説明を省略する。
【0055】
(第3の実施の形態)
次に、本発明に係る金属模様付きの装飾品の製造方法の第3の実施の形態について、図12に基づいて説明する。ただし、第3の実施の形態において、先に説明した第1の実施の形態と共通する内容については、適宜省略されるものとする。
【0056】
図12は、本発明に係る金属模様付きの装飾品の製造方法の第3の実施の形態の焼成工程にて用いられる連続式焼成炉60を示す図である。
【0057】
蒔粉工程後の腕時計の裏蓋2は、容器11に入れられた状態で、連続式焼成炉60内で焼成される。連続式焼成炉10は、炉本体61と、炉本体61を覆うフード62と、炉本体61に備えられる複数のヒータ63と、容器11を炉本体61の入口から出口の方向に運ぶための複数のローラ64と、容器11を押すプッシャー65と、炉本体61の内部に不活性ガス等を入れるためのガス導入管66とを備えている。ガス導入管66は、バルブ67を介して、不活性ガス等を充填したガスボンベ68に接続されている。
【0058】
ヒータ63は、炉本体61の中央から入口および出口に向かって複数配置されている。各ヒータ63への通電を制御することによって、炉内の温度および温度分布を適宜変更することができる。ローラ64は、炉本体61の内部下面に複数配置されている。各ローラ64は、容器11が炉本体61の入口から出口に向かって容易に移動できるように、図中、時計回りに空転可能となっている。
【0059】
プッシャー65は、容器11を炉本体61の出口に向けて押し出す機能を有する。炉本体61の入口に配置された容器11は、プッシャー65の押し動作によって、炉本体61の入口から出口方向に移動する。図12では、炉本体61中の一部の容器11しか図示されていないが、容器11は、炉本体61の入口から出口に向かって、隙間無く並べられている。したがって、炉内の容器11は、プッシャー65の押し動作が行われる度に、順々に炉内を進行する。なお、炉内に容器11をセッティングする動作は、人手によると機械によるとを問わない。
【0060】
フード62は、焼成時の排ガスを排気するために設けられている。焼成時の排ガスは、フード62の上部に設けられる図示されない排風機によって、矢印Yのように排気される。また、ガス導入管66は、不活性ガス等を炉本体61の内部に供給可能な配管である。バルブ67を開けて、ガスボンベ68からの不活性ガス等を炉内に充満させた状態で焼成を行うと、腕時計の裏蓋2の表面および金ろうの粉末30の表面に存在する酸素が容易に除去される。この結果、共融合金が容易に形成される。焼成炉として連続式焼成炉60を用いる以外の条件は、先に説明した第1の実施の形態の説明と重複するので、その説明を省略する。なお、第3の実施の形態は、第2の実施の形態で使用される焼成炉を、連続式焼成炉60とした製造方法であっても良い。
【0061】
以上、本発明に係る金属模様付き装飾品および金属模様付き装飾品の製造方法の実施の形態を説明したが、本発明は、上記実施の形態に限定されず、種々の変更を施した形態にて実施可能である。
【0062】
例えば、ベース材は、腕時計の裏蓋2以外の物でも良い。また、ベース材は、チタニウム系金属以外に、アルミニウム系金属あるいは貴金属(金、銀、白金あるいはこれらの内2種金属以上から成る合金等)であっても良い。アルミニウム系金属は、純アルミニウム金属の他に、アルミニウム合金も含む。また、バインダー21には、漆の主成分の一種であるウルシオールが含まれているが、ウルシオール以外の漆成分を含むものでも良い。例えば、バインダー21に、ベトナムおよび台湾を産地とする漆の主成分であるラッコール、またはミャンマーを産地とする漆の主成分であるチチオールを含めても良い。さらに、バインダー21は、まつやに、あるいはゴムの原液を含むものでも良い。
【0063】
また、焼成工程において、所定の焼成温度に至る前に一旦保持する過程の一つに、450〜600℃で保持する過程を含めても良い。かかる温度での保持過程は、漆の主成分の炭化をより確実にならしめる作用を有するからである。したがって、70〜80℃での保持過程、200〜350℃での保持過程および450〜600℃での保持過程の3つの保持過程をもった焼成プログラムを採用することもできる。また、上記3つの保持過程の内の少なくとも1つを含む焼成プログラムを採用することもできる。また、バッチ式焼成炉10あるいは連続式焼成炉60を用いた焼成工程の前に、乾燥機を用いて、70〜80℃での加熱を行っても良い。
【0064】
また、金属ろうには、金ろう、銀ろうまたは白金ろう以外の貴金属ろうが採用されても良い。また、蒔粉工程の際あるいは蒔粉工程後に、腕時計の裏蓋2を超音波にて振動させずに、静置して、金ろうの粉末30がバインダー21中で自然に沈降するのを待っても良い。
【0065】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、模様が所定の形状に綺麗に維持され、かつ光沢があって汚れにくい金属模様付き装飾品およびその製造方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る金属模様付き装飾品の第1の実施の形態を示す図であり、図1Aは、その正面図を、図1Bは、当該正面図のX−X線断面図を、それぞれ示す図である。
【図2】本発明に係る金属模様付き装飾品の製造方法の第1の実施の形態を示すフローチャートである。
【図3】図2の焼成工程(ステップS3)に用いられるバッチ式焼成炉を示す図である。
【図4】図3に示されるバッチ式焼成炉の焼成プログラムを示す図である。
【図5】図2に示す塗布工程(ステップS1)および蒔粉工程(ステップS2)における模様の状態を経時的に示す図である。
【図6】図6は、蒔粉工程(ステップS2)において、複数回、蒔扮した時の模様の状態を経時的に示す図である。
【図7】図7は、焼成工程(ステップS3)における模様の状態を経時的に示す図である。
【図8】図7(C)の状態にある所定の模様の部分の一部模様を拡大した正面図である。
【図9】図2のブラッシング工程(ステップS4)の後の金属模様付き装飾品の拡大断面図である。
【図10】本発明に係る金属模様付きの装飾品の製造方法の第2の実施の形態を示すフローチャートである。
【図11】図10に示す塗布工程(ステップS12)における所定の模様の状態を経時的に示す図である。
【図12】本発明に係る金属模様付きの装飾品の製造方法の第3の実施の形態における焼成工程にて用いられる連続式焼成炉を示す図である。
【符号の説明】
1 金属模様付きの装飾品
2 腕時計の裏蓋(ベース材)
3 蝶の模様(所定の模様)
21 バインダー
30 金属ろうの粉末(低融点金属、ろう材)[0001]
TECHNICAL FIELD OF THE INVENTION
The present invention relates to a decorative product with a metal pattern in which eutectic gold is formed in a predetermined pattern on a surface layer of a base material made of a titanium-based metal, and a method of manufacturing the same.
[0002]
[Prior art]
2. Description of the Related Art Conventionally, as a method of manufacturing a decorative article in which a pattern of another kind of metal is formed on a metal serving as a base material, a method of inlaying (= inset), welding, brazing, plating, printing, or bonding is known. However, inlaying and welding require a high degree of processing depending on the pattern, since the decorative portion needs to be formed separately. Also, in brazing, plating, and printing, it is necessary to mask an area other than the pattern of the base material, so that masking becomes difficult if the pattern becomes complicated. For this reason, the cost of the ornament increases. Further, in the brazing, plating, printing and bonding, the pattern portion is easily peeled off from the base material, resulting in poor durability.
[0003]
In view of such a problem, the present inventor first welds another metal having a melting point lower than the melting point of the metal of the base material to the metal serving as the base material, and removes a reactant formed as a result. A decorative article with a metal pattern as a pattern and a method of manufacturing the same have been developed (see Japanese Patent Application Laid-Open No. 2001-105797). As a result, it was possible to obtain a decorative article which is simpler, has lower cost, and is more durable than a decorative article manufactured by a conventionally known technique.
[0004]
[Problems to be solved by the invention]
However, there is a need for further improvements in the decorative article developed by the inventor and the method for manufacturing the same. Depending on the type of metal serving as the base material, when a low-melting metal having a lower melting point than the base material is formed in a predetermined pattern, the low-melting metal flows over the base material, making it difficult to form the predetermined pattern. Sometimes. For this reason, there is a problem that the yield of the ornaments is low and the price of the ornaments is high. In particular, when a titanium-based metal is used as the base material, a situation in which the low-melting-point metal flows without maintaining a predetermined pattern becomes remarkable. Further, when a pattern of irregularities is formed on the base material, there is a problem that gloss is lost and dirt is easily formed.
[0005]
The present invention has been made in order to solve the above-described problems, and an object of the present invention is to provide a decorative article with a metal pattern in which a pattern is maintained in a predetermined shape neatly, and which is glossy and is not easily stained, and a manufacturing method thereof. I do.
[0006]
[Means for Solving the Problems]
In order to achieve the above object, the present invention provides a method for manufacturing a base material made of a titanium-based metal, comprising: a part or all of a low-melting metal having a melting point lower than the melting point of the base material; A part of the binder containing urushiol, which is used to hold the low melting point metal in the pattern, and the base material, at least a part or all of the low melting point metal and the eutectic alloy comprising the base material Decorative article with a metal pattern formed in a predetermined pattern.
[0007]
By forming the eutectic gold pattern on the surface layer of the base material made of titanium-based metal, a decorative product having a beautiful pattern is completed. Further, the pattern of the eutectic alloy is formed at least by the reaction between the low melting point metal and the base material itself. As a result, unlike the pattern simply attached to the surface of the base material, it does not disappear easily. When the low melting point metal is an alloy, the eutectic alloy forming the pattern has at least one kind of metal constituting the alloy as a component. In addition, the eutectic alloy may include at least one component contained in the binder as a component.
[0008]
Further, in another aspect of the present invention, in the above invention, when the eutectic alloy contains a part of the binder, a part of the binder is a decorative product with a metal pattern in which iron or carbon is used. Therefore, a pattern formed of a base material, a metal constituting the low melting point metal, and a ternary or higher alloy of iron or carbon can be obtained.
[0009]
In another aspect of the present invention, the low-melting-point metal is a decorative product with a metal pattern using a brazing material containing gold, silver or platinum in the above invention. For this reason, the decoration has a high-class feeling. When these noble metal brazing materials are used, a eutectic alloy in which a crystal of a noble metal and a crystal of another metal are intimately mixed is easily formed.
[0010]
Another aspect of the present invention is a method of manufacturing a decorative product with a metal pattern in which a eutectic alloy is formed in a predetermined pattern on a surface layer of a base material made of a titanium-based metal. Attaching a binder containing urushiol to the shape of the pattern, supplying a low-melting metal having a melting point lower than the melting point of the base material to the binder, and supplying the low-melting metal to the binder And a step of removing extraneous matter on the surface of the base material after the firing step.
[0011]
When a binder made of an epoxy resin or the like is used, even if heated, the carbonization does not proceed, and only the generation of a hydrocarbon-based gas or the like is observed. However, when the base material in which the low melting point metal is supplied to the binder containing urushiol is heated, most of the carbon in the urushiol remains on the base material in a state of carbon or carbide. The remaining carbon or carbide retains the low-melting-point metal in the binder and prevents the low-melting-point metal from protruding from the pattern portion and flowing out. On the other hand, hydrogen and oxygen, which are constituent elements of urushiol, are combined with some carbon in urushiol and vaporized. As a result, a predetermined pattern on the base material can be maintained in a beautiful state. After the firing step, when the deposits of carbon or carbide and the low melting point metal on the base material are removed, only the eutectic alloy formed on the surface layer of the base material is left. In order to finish the pattern neatly, it is preferable to supply the low melting metal to the binder a plurality of times.
[0012]
Another aspect of the present invention is a method of manufacturing a decorative product with a metal pattern in which a eutectic alloy is formed in a predetermined pattern on a surface layer of a base material made of a titanium-based metal. All, and a step of attaching a binder containing a low melting point metal having a melting point lower than the melting point of the base material in a predetermined pattern shape, and a firing step of heating the base material with the binder attached to a predetermined firing temperature And a step of removing extraneous matter on the surface of the base material after the firing step.
[0013]
As described above, by applying a material in which a low-melting-point metal is mixed in a binder to the base material from the beginning, it is not necessary to supply the low-melting-point metal into the binder many times, so that the manufacturing cost can be reduced.
[0014]
Another aspect of the present invention is a method for producing a decorative article with a metal pattern using a binder containing iron or an iron compound in the above invention. For this reason, iron contained in the binder reacts with the low-melting-point metal and the base material by heating the base material, and can be a component of the eutectic alloy.
[0015]
Another aspect of the present invention is a method for manufacturing a decorative article with a metal pattern using a metal braze containing gold, silver or platinum in the above invention. For this reason, the decoration has a high-class feeling. When these noble metal brazing materials are used, a eutectic alloy in which a crystal of a noble metal and a crystal of another metal are intimately mixed is easily formed.
[0016]
Another aspect of the present invention is a method for manufacturing a decorative article with a metal pattern, comprising a firing step of firing at a predetermined firing temperature in a range of 900 to 1000 ° C. in the above invention. For this reason, when gold brazing, silver brazing or platinum brazing is used as the low melting point metal, eutectic gold can be formed by at least the reaction between the base material and the low melting point metal without affecting the base material. Further, in the process of raising the temperature, when the temperature of the base material reaches 200 to 350 ° C., urushiol in the binder starts to be carbonized. Then, the carbon firmly holds the low melting point metal, and the pattern can be maintained until the firing step. Therefore, the metal pattern of the base material is finished with good yield and neatness.
[0017]
Another aspect of the present invention is the method for manufacturing a decorative article with a metal pattern according to the above-described invention, further comprising a holding step of temporarily holding at a temperature lower than the predetermined firing temperature before reaching a predetermined firing temperature. The temperature of the holding process is at least one of a temperature in the range of 200 to 350 ° C and a temperature in the range of 70 to 80 ° C.
[0018]
When the temperature is maintained at 200 to 350 ° C., it is possible to prevent the carbon component from being unnecessarily vaporized as a hydrocarbon-based gas, thereby promoting the carbonization of urushiol. Therefore, the low-melting-point metal can be securely held by carbon or carbide, and a more beautiful metal pattern can be obtained. Further, when the binder is maintained at 70 to 80 ° C., the binder easily flows. For this reason, excess binder can flow out of the pattern area. As a result, in the subsequent firing step, the risk of the low-melting-point metal protruding from the region of the pattern together with the binder and flowing out is reduced, so that the finish of the pattern is further refined. Also, by adopting a process of maintaining the temperature in two stages of 70 to 80 ° C. and 200 to 350 ° C., it is possible to expect both actions of removal of excess binder and reliable carbonization of urushiol, thereby forming a more beautiful pattern. it can.
[0019]
BEST MODE FOR CARRYING OUT THE INVENTION
Hereinafter, embodiments of the present invention will be described with reference to the drawings.
[0020]
(First Embodiment)
First, a first embodiment will be described with reference to FIGS.
[0021]
1: is a figure which shows 1st Embodiment of the
[0022]
The
[0023]
The
[0024]
FIG. 2 is a flowchart showing a first embodiment of the method for manufacturing a decorative article with a metal pattern according to the present invention (a manufacturing process of the
[0025]
In the manufacture of the
[0026]
The binder used in the coating step of
[0027]
In the sowing process of step S2, as an example of a low melting point metal having a lower melting point than the base material, a gold soldering powder, a silver soldering powder, or a platinum soldering powder is seeded on a binder by a technique used for lacquering. Powdered. Gold solder powder is roughly classified into pure gold powder and gold-silver alloy powder. Some alloy powders have different contents ratios of gold and silver. As K14, K16, and K18, the larger the number after “K”, the higher the gold content ratio. Also, the higher the gold content ratio, the higher the melting point of the gold solder. Therefore, if a gold brazing filler having a high gold content is used, it is necessary to raise the firing temperature. In this embodiment, an alloy powder of gold solder having a weight ratio of gold and silver of 9: 1 is used. However, other gold brazing powder, silver brazing powder, platinum brazing powder or other metal brazing powder may be used. Note that a metal in a form other than the metal brazing may be used.
[0028]
The firing step in step S3 is performed by placing the back cover 2 of the wristwatch after the seeding step in a firing furnace. As the firing temperature, a temperature suitable for melting the gold brazing powder without melting or softening the base material is selected. The base material and the gold solder used in this embodiment are high-purity titanium metal having a melting point of about 1670 ° C. and gold wax having a melting point of 800 to 868 ° C., respectively. For this reason, the firing temperature is set to 900 ° C. or higher so that only the gold brazing powder is melted and the high-purity titanium metal of the base material does not cause hydrogen embrittlement.
[0029]
FIG. 3 is a view showing a batch-
[0030]
The back cover 2 of the wristwatch after the sowing process is put in a ceramic container 11 (hereinafter simply referred to as “
[0031]
The
[0032]
When firing under vacuum, the
[0033]
FIG. 4 is a diagram showing an example of a firing program of the batch-
[0034]
In the baking program shown in FIG. 4, the temperature is raised from room temperature Te0 (° C.), and when t1 (minute) has elapsed, the temperature is maintained at temperature Te1 (° C.) for a time (t2−t1) (minute). In this embodiment, the temperature Te1 (° C.) is a temperature in the range of 70 to 80 ° C. Further, the temperature is raised again after a lapse of time t2 (minute) from the start of the temperature rise, and is maintained at the temperature Te2 (° C.) for the time (t4−t3) (minute) when t3 has elapsed after the start of the temperature rise. In this embodiment, the temperature Te2 (° C.) is a temperature in the range of 200 to 350 ° C. The temperature is raised again after a lapse of a time t4 (minute) from the start of the temperature rise, and is maintained at a temperature Te3 (° C.) for a time (t6-t5) (minute) when a lapse of t5 after the start of the temperature rise. In this embodiment, the temperature Te3 (° C.) is a temperature of 900 ° C. or higher. Then, after a lapse of time t6 (minutes) from the start of the temperature rise, the temperature is lowered.
[0035]
The use of the batch-
[0036]
The brushing step of step S4 shown in FIG. 2 is a step of removing the adhered substance adhered to the surface of the back cover 2 of the watch after firing by grinding or polishing. Thereby, the surface of the back cover 2 of the wristwatch becomes smooth. Since the eutectic alloy is present in the surface layer of the back cover 2 of the watch in the form of the
[0037]
Next, a description will be given of a state change of the
[0038]
FIG. 5 is a diagram showing the state of the pattern in the application step (step S1) and the seeding step (step S2) shown in FIG. 2 over time. FIG. 6 is a diagram showing the state of the pattern when a plurality of pieces are dressed in the sowing step (step S2) with time. FIG. 7 is a diagram showing the state of the pattern in the firing step (step S3) over time. 5 to 7 are shown as enlarged views of a cross section taken along line XX of FIG. 1A.
[0039]
When the
[0040]
When the
[0041]
When the back cover 2 of the wristwatch having the pattern portion in the state of FIG. 6C is baked, as shown in FIG. 7 (A), the
[0042]
Subsequently, when the back cover 2 of the wristwatch reaches a temperature in the range of 200 to 350 ° C., volatile components escape from urushiol, and carbonization of urushiol starts. Due to the carbonization of urushiol, carbon or carbide is generated in the pattern portion. As a result, as shown in FIG. 7B, the pattern portion is in a state where the
[0043]
Subsequently, when the back cover 2 of the wristwatch having the pattern portion shown in FIG. 7B reaches about 900 ° C., as shown in FIG. A
[0044]
FIG. 8 is an enlarged view of a part of the
[0045]
The
[0046]
FIG. 9 is an enlarged sectional view of the
[0047]
As shown in FIG. 9, after removing the deposits, a
[0048]
(Second embodiment)
Next, a second embodiment of the method for manufacturing a decorative article with a metal pattern according to the present invention will be described with reference to FIGS. However, in the second embodiment, the contents common to the first embodiment described above will be omitted as appropriate.
[0049]
FIG. 10 is a flowchart showing a process of manufacturing a decorative article with a metal pattern according to the present invention.
[0050]
The decorative article with a metal pattern manufactured in the manufacturing process shown in FIG. 10 is the same as the decorative article with a
[0051]
In the second embodiment of the method for manufacturing a decorative article with a metal pattern according to the present invention, a mixing step of mixing a
[0052]
FIG. 11 is a diagram showing the state of the pattern in the coating step (step S12) shown in FIG. 10 over time.
[0053]
When the
[0054]
11B, the relatively
[0055]
(Third embodiment)
Next, a third embodiment of a method for manufacturing a decorative article with a metal pattern according to the present invention will be described with reference to FIG. However, in the third embodiment, the contents common to the first embodiment described above will be omitted as appropriate.
[0056]
FIG. 12 is a view showing a
[0057]
The back cover 2 of the wristwatch after the sowing process is fired in a
[0058]
A plurality of
[0059]
The
[0060]
The
[0061]
As described above, the embodiments of the decorative article with a metal pattern and the method for manufacturing the decorative article with a metal pattern according to the present invention have been described. Can be implemented.
[0062]
For example, the base material may be something other than the back cover 2 of the watch. Further, the base material may be an aluminum-based metal or a noble metal (gold, silver, platinum, or an alloy composed of two or more of these metals) other than the titanium-based metal. The aluminum-based metal includes an aluminum alloy in addition to the pure aluminum metal. Further, the
[0063]
Further, in the firing step, one of the steps of temporarily holding the temperature before reaching a predetermined firing temperature may include a step of holding at 450 to 600 ° C. This is because the holding process at such a temperature has the effect of more reliably carbonizing the main component of the lacquer. Therefore, a baking program having three holding processes of a holding process at 70 to 80 ° C, a holding process at 200 to 350 ° C, and a holding process at 450 to 600 ° C can be adopted. Further, a baking program including at least one of the above three holding processes can be adopted. Before the firing step using the batch-
[0064]
Further, noble metal brazing other than gold brazing, silver brazing or platinum brazing may be adopted as the metal brazing. Also, at the time of or after the sowing process, the back cover 2 of the wristwatch is allowed to stand still without being vibrated by ultrasonic waves, and waits for the
[0065]
【The invention's effect】
As described above, according to the present invention, it is possible to provide a decorative article with a metal pattern, which has a beautifully maintained pattern in a predetermined shape, is glossy, and is not easily stained, and a method of manufacturing the same.
[Brief description of the drawings]
1 is a diagram showing a first embodiment of a decorative article with a metal pattern according to the present invention, FIG. 1A is a front view thereof, and FIG. 1B is a sectional view taken along line XX of the front view thereof. , Respectively.
FIG. 2 is a flowchart showing a first embodiment of a method for manufacturing a decorative article with a metal pattern according to the present invention.
FIG. 3 is a view showing a batch-type firing furnace used in a firing step (step S3) in FIG. 2;
4 is a diagram showing a firing program of the batch-type firing furnace shown in FIG.
FIG. 5 is a diagram showing the state of the pattern in the coating step (step S1) and the sowing step (step S2) shown in FIG. 2 over time.
FIG. 6 is a diagram showing, with time, the state of the pattern when the seeding is performed a plurality of times in the seeding step (step S2).
FIG. 7 is a diagram showing the state of the pattern in the firing step (step S3) over time.
FIG. 8 is an enlarged front view of a part of a predetermined pattern in the state of FIG. 7 (C).
9 is an enlarged sectional view of the decorative article with a metal pattern after the brushing step (step S4) of FIG. 2;
FIG. 10 is a flowchart showing a second embodiment of the method for manufacturing a decorative article with a metal pattern according to the present invention.
11 is a diagram showing the state of a predetermined pattern in the coating step (step S12) shown in FIG. 10 over time.
FIG. 12 is a view showing a continuous firing furnace used in a firing step in a third embodiment of the method for producing a decorative article with a metal pattern according to the present invention.
[Explanation of symbols]
1 Decorations with metal pattern
2 Watch back (base material)
3 Butterfly pattern (predetermined pattern)
21 Binder
30 Metal brazing powder (low melting point metal, brazing material)
Claims (7)
上記ベース材の融点よりも低い融点をもつ低融点金属の一部または全部と、
上記ベース材の表面において所定の模様にその低融点金属を保持させるために用いられる、ウルシオールを含むバインダーの一部と、
上記ベース材と、
の内、少なくとも上記低融点金属の一部または全部と、上記ベース材とからなる共融合金を、所定の模様に形成したことを特徴とする金属模様付き装飾品。In the surface layer of the base material made of titanium-based metal,
Part or all of the low melting point metal having a melting point lower than the melting point of the base material,
A part of a binder containing urushiol, which is used to hold the low melting point metal in a predetermined pattern on the surface of the base material,
Said base material,
A decorative article with a metal pattern, wherein a eutectic alloy comprising at least a part or all of the low melting point metal and the base material is formed in a predetermined pattern.
上記ベース材の表面に、ウルシオールを含むバインダーを、所定の模様の形に付着させる工程と、
そのバインダーに、上記ベース材の融点よりも低い融点をもつ低融点金属を供給する工程と、
そのバインダーに、上記低融点金属を供給した状態の上記ベース材を所定の焼成温度まで加熱する焼成工程と、
上記焼成工程後の上記ベース材の表面にある付着物を除去する工程と、
を含むことを特徴とする、金属模様付き装飾品の製造方法。A method for producing a decorative article with a metal pattern in which a eutectic alloy is formed in a predetermined pattern on a surface layer of a base material made of a titanium-based metal,
A step of attaching a binder containing urushiol to the surface of the base material in a predetermined pattern,
Supplying a low-melting metal having a melting point lower than the melting point of the base material to the binder;
A firing step of heating the base material in a state in which the low melting point metal is supplied to the binder to a predetermined firing temperature,
Removing the deposits on the surface of the base material after the firing step,
A method for producing a decorative article with a metal pattern, comprising:
上記ベース材の表面に、ウルシオールおよび上記ベース材の融点よりも低い融点をもつ低融点金属を含むバインダーを、所定の模様の形に付着させる工程と、
そのバインダーを付着した上記ベース材を所定の焼成温度まで加熱する焼成工程と、
上記焼成工程後の上記ベース材の表面にある付着物を除去する工程と、
を含むことを特徴とする、金属模様付き装飾品の製造方法。A method for producing a decorative article with a metal pattern in which a eutectic alloy is formed in a predetermined pattern on a surface layer of a base material made of a titanium-based metal,
A step of attaching a binder containing a low-melting metal having a melting point lower than the melting point of urushiol and the base material to the surface of the base material in a predetermined pattern,
A firing step of heating the base material to which the binder is attached to a predetermined firing temperature,
Removing the deposits on the surface of the base material after the firing step,
A method for producing a decorative article with a metal pattern, comprising:
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2003
- 2003-04-01 JP JP2003097554A patent/JP2004300556A/en not_active Withdrawn
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A300 | Withdrawal of application because of no request for examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300 Effective date: 20060606 |