JP2004300503A - 蒸発源、蒸発方法、蒸発源を用いた成膜装置および蒸発源を用いた有機電界発光装置の製造方法。 - Google Patents

蒸発源、蒸発方法、蒸発源を用いた成膜装置および蒸発源を用いた有機電界発光装置の製造方法。 Download PDF

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茂雄 藤森
Takeshi Arai
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Abstract

【課題】有機電界発光装置の製造に好適に用いられる昇華性有機材料などの蒸発材料に対して熱負荷が小さく、しかも、大量の蒸発材料を長時間安定に蒸発させることが可能な蒸発源、蒸発方法および成膜装置を提供する。さらに、有機材料の選択幅が広く、生産性の高い有機電界発光装置の製造方法を提供する。
【解決手段】蒸発材料を収容する収容部と、収容部の一部に開口を設けた蒸発部と、蒸発部を蒸発材料の蒸発温度に加熱する加熱手段と、蒸発材料を収容部から蒸発部に供給する供給手段を備えることを特徴とする蒸発源である。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、真空蒸着法などの薄膜形成技術や昇華精製法などの材料精製技術に利用可能な、材料を加熱して蒸発させるための蒸発源と蒸発方法および前記蒸発源を用いた成膜装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
有機電界発光装置は、陰極から注入する電子と、陽極から注入する正孔とを、両電極にはさまれた有機蛍光体内で再結合させて発光させる原理のものである。構造が簡素で、低電圧での高輝度発光が可能なので、薄型の小型ディスプレイとして活用されはじめている。
【0003】
有機電界発光装置を作製するためには、金属からなる電極や有機材料からなる有機層を基板上に形成することが必要である。この膜形成方法として、減圧下にて蒸発材料を加熱して、その蒸気を基板上に付着させることで膜を形成する手法である真空蒸着法がよく利用される。特に有機層の成膜では、数nmのレベルで膜厚を制御し、さらに、発光層を形成するためにホスト材料に微量のゲスト材料をドーピングする際などには、成膜速度を0.01nm/sのレベルで制御する必要があった。
【0004】
一方、有機電界発光装置に用いられる有機材料の多くは昇華性であり、その形態は粉末状であることが多いので、熱伝導性が非常に低い。したがって、材料そのものを均一に加熱することが難しく、これまで上記のような精密な制御を行うことは一般的に難しかった。さらに製造工程では精密な制御を長時間安定に行うことも要求される。
【0005】
これまでは下記に挙げられるような形成方法があり、例えば、蒸発ボートを用いた抵抗加熱法がある(例えば特許文献1参照)。本手法は小規模な設備で少量の有機材料を蒸着するのによく用いられる方法であるが、金属からなる蒸発ボートに通電して蒸発ボート自体を加熱するので、蒸発ボートが真空中において密閉状態のまま電極に固定され、蒸発材料を途中で補給することが困難である。また、通電時に金属の抵抗値変化や抵抗値ムラにより温度ムラも発生し、有機材料の望ましくない熱分解が発生する。このように、本手法は生産には適用できなかった。
【0006】
また通常のるつぼ法(例えば特許文献2参照)があるが、熱伝導率の低い昇華性の有機材料をるつぼの外側から加熱する場合には、内壁部に接触している有機材料から先に蒸発が始まり、中心付近の有機材料はるつぼ内に留まるので、有機材料の消費が不均一になる。さらに、生産時には大量の有機材料が長時間加熱されるので、有機材料の望ましくない熱分解が発生する。このように、本手法は熱分解耐性の著しく高い、ごく一部の有機材料にしか適用できなかった。
【0007】
さらにるつぼ法における加熱の不均一性を抑制する改良るつぼ法(例えば特許文献3参照)があるが、加熱時の均一性は改善されるが、有機材料を長時間加熱することによる熱分解の発生は解決されなかった。さらに、セラミック粉体などが存在する分だけ、るつぼ内に収容できる蒸発材料の量が少なくなる。
【0008】
その他の方法としてフラッシュ蒸着法(例えば特許文献4参照)、改良フラッシュ蒸着法(例えば特許文献5参照)があるが、フラッシュ蒸着法では蒸発温度よりもかなり高温に加熱された発熱体に直接蒸発材料が接触するので、その部分で材料の分解が起きやすく、改良フラッシュ蒸着法では金属など溶融性の蒸発材料に対しては均一な加熱が可能であるが、昇華性の有機材料では均一な加熱は困難であり、安定な蒸発が実現できなかった。
【0009】
【特許文献1】
特開2000−246175号公報(段落番号45〜47、図4)
【0010】
【特許文献2】
特開平10−251838号公報(段落番号13〜22、図7、図8)
【0011】
【特許文献3】
特開2001−323367号公報(請求項1、図2)
【0012】
【特許文献4】
特開平7−263144号公報(段落番号35〜38)
【0013】
【特許文献5】
特開2000−248358号公報(請求項1、図6)
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、有機電界発光装置の製造に好適に用いられる昇華性有機材料などの蒸発材料に対して熱負荷が小さく、しかも、大量の蒸発材料を長時間安定に蒸発させることが可能な蒸発源、蒸発方法および成膜装置を提供することにある。さらに、有機材料の選択幅が広く、生産性の高い有機電界発光装置の製造方法を提供することである。
【0015】
【課題を解決するための手段】
すなわち本発明は、蒸発材料を収容する収容部と、収容部の一部に開口を設けた蒸発部と、蒸発部を蒸発材料の蒸発温度に加熱する加熱手段と、蒸発材料を収容部から蒸発部に供給する供給手段とを備えることを特徴とする蒸発源であり、それを用いた蒸着方法、成膜方法、有機電界発光装置の製造方法である。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、上記発明の好ましい一実施形態を図面などに基づいて説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0017】
図1は本発明の蒸発源の一例を示す全体概略斜視図である。蒸発材料1は収容部2の内部に収容される。収容部2は先端に向かって徐々に細くなっており、先端は開口部3が設けられた蒸発部4となっている。蒸発部4の周囲には電熱線による加熱手段5が設けられ、蒸発部4を加熱できるようになっている。蒸発材料1は収容部2から供給手段6を通じて蒸発部4に供給される。供給手段6は収容部2の一部であり、重力を利用して蒸発材料1を下方へ移動させる傾斜部である。
【0018】
図2は本発明の蒸発源の別の一例を示す全体概略斜視図である。図1の例との相違点は、収容部2の先端が上方を向いて開いており、これが開口部3になっている点である。本発明の蒸発源は、溶融状態で蒸発する溶融性材料と固体状態で蒸発する昇華性材料の、いずれの蒸発材料にも適用可能であり、特に材料を選ぶものではないが、図2の蒸発源は収容部の先端を上方に向けることで、液体が開口部から溢れ出ることを防止できるので、溶融性材料の蒸発に好適に用いられる。
【0019】
いずれの例においても、蒸発材料の多くは積極的に加熱されていない低温の収容部に存在し、その一部が加熱された高温の蒸発部に順次供給されながら蒸発する、すなわち外部空間に放出されるので、蒸発材料が加熱される時間が短くて済む。蒸発材料を所望の速度で蒸発させるために必要な温度を蒸発温度とすると、蒸発部は蒸発温度の90%以上に加熱された領域と定義される。
【0020】
蒸発材料の加熱時間を短くするという観点から、蒸発部の容積は収容部の容積より小さいことが好ましい。蒸発部の容積が収容部の容積の10%以下であれば、蒸発材料への熱負荷が大きく軽減されるので、より好ましいといえる。蒸発部の容積が小さいと、内部に存在する蒸発材料の温度ムラを小さくできるので、蒸発速度の制御性が向上する。さらに、蒸発に必要な投入熱量を少なくできるので、蒸着装置や基板などへの放射が低く抑えられる。また、蒸発部の熱容量が小さいと、投入熱量に対する蒸発速度の変化割合を大きくできるので、蒸発速度を制御する際の応答性が向上する。
【0021】
収容部の容量は特に限定されるものではないが、小さすぎると大量の蒸発材料を収容できないし、必要以上に大きすぎると設置スペースがかさみ、取り扱いも難しくなるので、製造条件や蒸発材料の補給頻度などに応じて最適な値を選択すればよい。好ましい容量の範囲として2〜10000cc、さらに10〜5000cc、さらに100〜3000ccを例示することができる。なお、ここに記載した好ましい容量は、下記に定義するように蒸発部も含めた範囲を示すものである。
【0022】
本発明の蒸発源は、収容部の一部が蒸発部、すなわち収容部と蒸発部が実質的に連続である。このような構成にすることで、蒸発材料が低温の収容部から高温の蒸発部へと移動する間に、蒸発材料が徐々に予備加熱されることになり、突沸やスプラッシュ現象のない安定した蒸発が実現できる。具体的には収容部から蒸発部の間に20℃/mm以下の緩やかな温度勾配を有する予備加熱部を備えることが好ましい。図1および図2に例示した蒸発源では、加熱手段5によって加熱された蒸発部4の熱が、収容部1に向かって伝導しながら放熱していくことで、蒸発部4と収容部1の間に前記の予備加熱部7を自然形成させることが可能である。
【0023】
収容部や蒸発部の材質としては、石英やソーダ石灰、鉛、ホウケイ酸、アルミノホウケイ酸、アルミノケイ酸塩などのガラス材料、酸化ベリリウム、酸化ジルコニウム、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化ケイ素、炭化ケイ素などのセラミック材料、タンタル、タングステン、モリブデン、チタン、銅、白金、インバー合金、コバール合金などの金属材料、その他にも樹脂材料やグラファイトカーボンなど公知の材料が利用できる。特に蒸発部は、蒸発温度に加熱しても安定で、かつ、蒸発材料との反応や蒸発材料自身の分解や重合に対する触媒作用を及ぼさない材質からなることが好ましい。
【0024】
収容部と蒸発部は一体である必要はない。例えば図3に示すように、収容部2と先端部8を別々に形成して、両者を接続するカートリッジ方式にすることができる。蒸発部4は、長時間加熱されたり、蒸発材料に含まれる不純物や変質物が堆積することなどにより、徐々に劣化することがある。カートリッジ方式にしておけば、先端部8のみを交換することができるので、蒸発源のメンテナンスが簡素化できる。なお、収容部の上部にはフタ(図示せず)を設置してもよい。また、蒸発部内部の蒸発材料の温度ムラを小さくするために、蒸着部の内部にガラスやセラミック、金属製の粒子を混入させてもよい。
【0025】
収容部2と先端部8の材質は同じであっても、そうでなくてよい。両者ともガラス材料でもよいし、収容部2は蒸発材料1の残量確認が容易にできるように透明なガラス材料で形成し、先端部8は熱伝導性に優れ、加工性に富む金属材料で形成するなど、任意の組み合わせを利用できる。両者の材質が異なる場合には、熱膨張率の違いなどを十分考慮して、それらの形状などを設計する。先端部8の大きさは特に限定されないが、蒸着材料1の予備加熱をスムーズに行うという観点からは、先端部8が予備加熱部7を含むように形成することが好ましい。
【0026】
収容部2と蒸発部4が一体であるかどうかにかかわらず、図4および図5に示すように、蒸発部4の先端または下部に排出口9を設けることができる。蒸発部4の内部に不純物や変質物などが堆積した際に、排出口9からそれらを排出することが可能になる。
【0027】
蒸発材料の在留物や上記の不純物や変質物を除去して、蒸発源、特に蒸発部を洗浄するためには、ジクロロメタンやクロロホルムなど有機溶剤を用いることができる。場合によっては塩酸や硫酸、酢酸などの酸性液を使用することもできる。特に、後述の正孔輸送材料や電子輸送材料の除去には酢酸の利用が効果的である。
【0028】
開口部の数や形状などは特に限定されない。図1に例示した蒸発源のように、開口部3の近傍に加熱手段5が位置する場合には、基板に対して加熱手段5が開口部3の影にならないように配置することが好ましい。開口部の数や断面形状を工夫すれば、蒸発の指向性を制御することが可能である。図2に例示した蒸着源では、開口部3の内径と深さ、加熱手段5との位置関係を変化させることで、蒸発の指向性を制御することができる。
【0029】
図1〜図5では、加熱手段5として、電熱線を蒸発部4の開口部3周辺に巻き付ける例を挙げたが、加熱手段は特に限定されるものではない。例えば、図6に示すように、電熱線を蒸着部4の先端部に巻き付けてもよいし、図7に示すように、電熱線を蒸発部4から離して設置して、輻射熱により加熱してもよい。
【0030】
電熱線を用いずに、赤外線や電子線を蒸発部に照射して加熱することができる。蒸発部を赤外線に対して透明な材質で形成し、その内部に赤外線吸収体を混入させれば、蒸発部4の内部から加熱することもできる。電子線を利用する場合には、電子線が蒸発材料に直接照射されることによる蒸発材料の劣化を抑制する適切な手段が講じられる。
【0031】
蒸発部4を金属材料で形成して、そこに直接電流を流す抵抗加熱法により、蒸発部4を加熱してもよい。この場合には、蒸発部4の厚みに変化をつけることで、蒸発部の温度分布を制御することができる。その他の手法として誘導加熱法を利用することもできる。上記いずれの加熱手段においても、加熱手段5と蒸発部4との相対位置を移動させることで、加熱ムラを低減させたり、加熱位置を積極的に変化させたりすることができる。
【0032】
図1〜図3では、供給手段6として下方への傾斜を利用する例を示した。蒸発材料1は収容部2から蒸発部4に向かって重力に従い移動していく。スムーズな移動を助長するために、収容部2を揺動させたり、収容部2の内部に整流板やメッシュなどを設置することができる。傾斜部の傾斜角や内径を調節することで、蒸発材料1の供給速度を変化させることができる。このように重力を利用すると蒸発源の構造をシンプルにできるので、蒸発部よりも上方に収容部4が位置することが好ましい。蒸発部と同レベルかそれより下方に収容部4が位置する場合には、必要に応じてスクリューポンプやコンベア、押し出し機構などの供給手段を設置することができる。
【0033】
本発明で使用される蒸発材料は特に限定されないが、有機電界発光装置に用いられる有機材料(有機EL材料)が好ましく用いられる。有機EL材料としては以下のものを例示できる。
【0034】
正孔注入材料および正孔輸送材料として、N,N’−ジフェニル−N,N’−ジ(3−メチルフェニル)−4,4’−ジフェニル−1,1’−ジアミン(TPD)、N,N’−ジナフチル−N,N’−ジフェニル−4,4’−ジフェニル−1,1’−ジアミン(NPDまたはNPB)、テトラナフチル−4,4’−ジフェニル−1,1’−ジアミン(TPB)などのトリフェニルアミン類、ビス(N−アリルカルバゾール)またはビス(N−アルキルカルバゾール)類、ピラゾリン誘導体、スチルベン系化合物、ヒドラゾン系化合物、オキサジアゾール誘導体やフタロシアニン誘導体、ポルフィリン誘導体に代表される複素環化合物などが挙げられる。
【0035】
発光材料はホスト材料とゲスト材料に大別できる。ゲスト材料として、ナフタレン、アントラセン、フェナンスレン、ピレン、トリフェニレン、ペリレン、フルオレン、インデンなどの芳香族炭化水素化合物やその誘導体、フラン、ピロール、チオフェン、シロール、9−シラフルオレン、9,9’−スピロビシラフルオレン、ベンゾチオフェン、ベンゾフラン、インドール、ジベンゾチオフェン、ジベンゾフラン、イミダゾピリジン、フェナントロリン、ピラジン、ナフチリジン、キノキサリン、ピロロピリジン、チオキサンテンなどの芳香族複素環化合物やその誘導体、ジスチリルベンゼン誘導体、テトラフェニルブタジエン誘導体、スチルベン誘導体、アルダジン誘導体、クマリン誘導体、イミダゾール、チアゾール、チアジアゾール、カルバゾール、オキサゾール、オキサジアゾール、トリアゾールなどのアゾール誘導体およびその金属錯体、TPDやNPDなどのトリフェニルアミン類、フタルイミド誘導体、ペリノン誘導体、ピロロピロール誘導体、シクロペンタジエン誘導体、アクリドン誘導体、キナクリドン誘導体、ルブレンなどのナフタセン誘導体、ピロメテン誘導体、ビス(ジイソプロピルフェニル)ペリレンテトラカルボン酸イミドなどのナフタルイミド誘導体、ペリノン誘導体、アセチルアセトンやベンゾイルアセトンとフェナントロリンなどを配位子とするEu錯体などの希土類錯体、4−(ジシアノメチレン)−2−メチル−6−(p−ジメチルアミノスチリル)−4H−ピラン(DCM)やその類縁体、マグネシウムフタロシアニン、アルミニウムクロロフタロシアニンなどの金属フタロシアニン誘導体、ローダミン化合物、デアザフラビン誘導体、フェノキサジン誘導体、オキサジン誘導体、キナゾリン誘導体、ピロロピリジン誘導体、スクアリリウム誘導体、ビオラントロン誘導体、フェナジン誘導体、フェノキサゾン誘導体、チアジアゾロピレン誘導体などが挙げられる。さらに、トリス(2−フェニルピリジン)イリジウム(III)に代表されるイリジウムや白金を中心金属としたリン光性金属錯体も好適な例として挙げられる。
【0036】
ホスト材料として、アントラセンやピレンなどの縮合環誘導体、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム(Alq3)をはじめとする金属キレート化オキシノイド化合物、ビススチリルアントラセン誘導体やジスチリルベンゼン誘導体などのビススチリル誘導体、テトラフェニルブタジエン誘導体、クマリン誘導体、オキサジアゾール誘導体、ピロロピリジン誘導体、ペリノン誘導体、シクロペンタジエン誘導体、オキサジアゾール誘導体、チアジアゾロピリジン誘導体、ピロロピロール誘導体などが挙げられる。
【0037】
リン光性発光を示す発光層のホスト材料として、特に、4,4’−ビス(カルバゾリル−N−イル)ビフェニルに代表されるカルバゾール誘導体、トリアゾール、オキサジアゾール、イミダゾールなどのアゾール誘導体、フェナントロリン誘導体、キノリン誘導体、キノキサリン誘導体、ナフチリジン誘導体、ビピリジン、ターピリジンなどのオリゴピリジン誘導体などが挙げられる。
【0038】
上記ホスト材料をゲスト材料として使用しても、上記ゲスト材料をホスト材料として使用してもよい。リン光性発光材料の多くはイリジウムや白金を中心金属とする錯体分子である。このような原子半径の大きい金属の錯体分子は、金属と配位子との結合力が弱い傾向にあるので、長時間の加熱により分解が生じやすいが、そのような材料にも本発明の蒸着源は好ましく用いることができる。
【0039】
電子輸送材料および電子注入材料として、Alq3に代表されるキノリノール誘導体金属錯体、ターピリジン金属錯体、トロポロン金属錯体、フラボノール金属錯体、ペリレン誘導体、ペリノン誘導体、ナフタレン誘導体、クマリン誘導体、ベンズイミダゾール誘導体、ベンズオキサゾール誘導体、ベンズチアゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、チアジアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、アルダジン誘導体、ビススチリル誘導体、ピラジン誘導体、フェナントロリン誘導体、キノキサリン誘導体、キノリン誘導体、ベンゾキノリン誘導体、ビピリジンやターピリジンなどのオリゴピリジン誘導体、キノキサリン誘導体、ナフチリジン誘導体、ナフタルイミド誘導体、アントラキノンやジフェノキノンなどのキノン誘導体、リンオキサイド誘導体などが挙げられる。
蒸発温度は特に限定されないが、有機EL材料を蒸発させるのに好ましい温度として150〜500℃、さらに200〜400℃、さらに250〜350℃の範囲を例示することができる。
【0040】
本発明により期待される効果には以下のものが挙げられる。真空蒸着法による成膜工程においては、蒸発材料を補給するための真空解除回数が減少するので、生産性が向上する。また、熱伝導性が非常に低い、昇華性の有機EL材料を均一に加熱することが容易になるので、蒸発速度の制御性や応答性が向上する。さらに、蒸発材料が低温の収容部から高温の蒸発部へと移動する間に徐々に予備加熱されることにより、突沸やスプラッシュ現象のない安定な蒸発を長時間に渡り実現できる。これらにより、生産時の歩留まりが向上する。
【0041】
蒸発に必要な投入熱量を少なくできるので、蒸着装置や基板などへの放射が低く抑えられる。蒸着マスクを用いて発光層をパターニングする際に蒸着マスクの温度上昇が抑えられるので、熱膨張による蒸着マスクの歪みや寸法精度の悪化が低減され、高精度のパターニングが実現できる。さらに、従来は熱分解の問題で使用できなかった有機EL材料などが使用可能になるので、有機材料の選択幅が広がり、有機電界発光装置の高性能化や生産性向上が達成できる。
【0042】
本発明は、有機化合物を利用した電子・光機能デバイスである有機薄膜トランジスター、有機光学非線形素子、有機光波長変換素子、有機フォトダイオード、有機(色素増感)太陽電池、有機電界発光装置などの有機機能装置の製造に好適に用いられる。その中でも、表示素子、フラットパネルディスプレイ、バックライト、照明、インテリア、標識、看板、電子写真機、時計などの分野に利用可能な、電気エネルギーを光に変換できる有機電界発光装置の製造に特に好適に用いられる。その場合には、セグメント型やパッシブ型、アクティブ型などのディスプレイ型式や、モノクロ、マルチカラー、フルカラーなど表示色数、3色独立画素方式やカラーフィルター方式、色変換方式などのカラー化方式を問わず、本発明の蒸発源を用いることができる。
【0043】
【実施例】
図8を参照して実施例を以下に説明する。
【0044】
実施例1
収容部2として、外径5mm、内径4.2mm、厚さ0.4mm、長さ180mmのホウケイ酸ガラスチューブを用意した。閉じられた側の先端から、4mmおきに直径1mmの穴を2つ設けて開口部3とした。加熱手段5として、直径0.5mmのタンタル線3本をより線とした電熱線をコイル状に成形したものを用意した。電熱線のコイル形状部分にガラスチューブの閉じられた側の先端を差し込んで蒸発源とした。開口部3と加熱手段5とは干渉しないように設計した。収容部2と蒸発部4の容積はそれぞれ2.4cc、0.2ccであった。
【0045】
真空蒸着法を利用した成膜装置に前記蒸発源を設置した。この成膜装置には、真空状態の空間を確保するための蒸着室、蒸着室内部を真空排気するための排気設備、蒸着室内に設置された前記蒸発源の加熱手段に電流を流すための電力供給制御手段、前記蒸発源から蒸発した蒸発材料の蒸発速度を検出するための水晶振動子式膜厚モニター、蒸着中に前記蒸発源の収容部2を揺動させるための揺動手段、成膜の対象となるガラス基板を保持する基板ホルダーなどが備えられている。
【0046】
蒸発材料1として昇華性の有機EL材料であるAlq3を収容部2に1.8g収容した。基板ホルダーにガラス基板をセットした後で、蒸着室内を4×10−4Pa以下の真空度まで排気した。
【0047】
加熱手段5に電流を流して蒸発部4を加熱することで、内部にあるAlq3を加熱し、開口部3を通じてAlq3を蒸発部外部に蒸発させた。蒸発させた蒸発材料をガラス基板上に付着させることで、Alq3からなる膜を形成した。成膜中は常に膜厚モニターで蒸発速度を検出し、ガラス基板上での成膜速度が0.2nm/sと一定になるように、加熱手段5に供給する電流量を調整した。蒸着中は収容部2を揺動させ、重力と傾斜部を利用した供給手段6により、収容部2の蒸発材料1を蒸発部4に供給し続けた。
【0048】
蒸発材料1がなくなるまで蒸着した後にガラス基板を取り出した。蒸着を継続できた時間は約150分であり、原子間力顕微鏡を用いて蒸着膜の段差部を測定したところ、Alq3膜の平均厚さは1.8μmであった。蒸発部4を含む収容部2内部の残留物や形成した膜には、Alq3の分解などにより新たに生成された変質物は認められなかった。
【0049】
なお図9に示すように、本実施例の収容部2に拡張部10を接続することで、収容部2の容積を容易に拡張できる。
【0050】
比較例
蒸発源として、タンタル製の昇華金属用ボート(バックスメタル社製、SS−1)を用い、Alq3を0.2g収容して抵抗加熱法により蒸着したこと以外は、実施例1と同様にしてAlq3膜を形成した。蒸着を継続できた時間は約17分であり、Alq3膜の平均厚さは0.2μmであった。新たに生成されたAlq3の変質物は認められなかったが、より長時間の蒸着を行うことはできなかった。
【0051】
実施例2
厚さ0.7mmの無アルカリガラス板上に、スパッタリング法によって厚さ130nmのITO(インジウム錫酸化物)からなる透明電極膜を形成した。このITOガラス板を120×100mmの大きさに切断して基板とした。通常のフォトリソグラフィ法とエッチング法によって、ITOを長さ90mm、幅270μmのストライプ形状にパターニングした。この第一電極は、300μmピッチで272本配置されている。
【0052】
この基板を洗浄した後に成膜装置にセットした。実施例1と同様にして有機EL材料を蒸着し、ITOガラス基板上に正孔注入層として銅フタロシアニン膜15nm、正孔輸送層としてビス(N−エチルカルバゾール)膜60nm、発光層兼電子輸送層としてAlq3膜50nmを順に形成した。上記3種類の材料の蒸着にはいずれも実施例1で使用した蒸発源を用いた。
【0053】
この後は、従来の抵抗加熱法により、前記有機積層膜をリチウム蒸気に曝してドーピング(膜厚換算量0.5nm)した。次に、第二電極を従来の抵抗加熱法により形成した。この際に、蒸着マスクを基板前方に配置して基板と密着させた状態でアルミニウムを200nmの厚さに蒸着することで、第二電極をパターニングした。第二電極は、第一電極と直交する配置で、ストライプ状に形成されている。
【0054】
このようにして、ITOストライプ状第一電極上に、有機EL材料からなる積層膜、さらにその上に、第一電極と直交する幅250μm、ピッチ300μmのストライプ状第二電極が200本配置された、パッシブ型有機電界発光装置を作製した。本発光装置は300μmピッチで272×200の緑色発光画素を有するものとなった。
【0055】
本実施例はパッシブ型緑色モノクロ発光装置の作製例であったが、アクティブ型フルカラー発光装置を作製することもできる。
【0056】
【発明の効果】
本発明の蒸発源と蒸発方法によれば、蒸発材料の多くを低温の収容部に保持し、必要量を加熱された高温の蒸発部に順次供給しながら蒸発させるので、蒸発材料を加熱する時間が短くて済む。蒸発材料に対する熱負荷が小さいので、大量の蒸発材料を熱分解させることなく長時間安定に蒸発することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の蒸発源の一例を示す全体概略斜視図。
【図2】本発明の蒸発源の別の一例を示す全体概略斜視図。
【図3】本発明の蒸発源の別の一例を示す全体概略斜視図。
【図4】本発明の蒸発源の蒸発部の一例を示す概略斜視図。
【図5】本発明の蒸発源の蒸発部の別の一例を示す概略斜視図。
【図6】本発明の蒸発源の蒸発部の別の一例を示す概略斜視図。
【図7】本発明の蒸発源の蒸発部の別の一例を示す概略斜視図。
【図8】実施例1で使用した蒸発源を示す全体概略斜視図。
【図9】実施例1で使用した蒸発源の収容部を拡張する一例を示す全体概略斜視図。
【符号の説明】
1 蒸発材料
2 収容部
3 開口部
4 蒸発部
5 加熱手段
6 供給手段
7 予備加熱部
8 先端部
9 排出口
10 拡張部

Claims (6)

  1. 蒸発材料を収容する収容部と、収容部の一部に開口を設けた蒸発部と、蒸発部を蒸発材料の蒸発温度に加熱する加熱手段と、蒸発材料を収容部から蒸発部に供給する供給手段とを備えることを特徴とする蒸発源。
  2. 蒸発部の容積が収容部の容積の10%以下である請求項1記載の蒸発源。
  3. 蒸発部よりも上方に収容部が位置する請求項1記載の蒸発源。
  4. 収容部から蒸発部にかけて20℃/mm以下の温度勾配を有する予熱加熱部を備える請求項1記載の蒸発源。
  5. 請求項1記載の蒸発源を用いて、減圧雰囲気下にて蒸発した蒸着材料を基板上に形成させる成膜装置。
  6. 蒸発材料が昇華性を有する有機化合物であり、請求項1〜4のいずれか一項に記載の蒸着源を用いることを特徴とする有機電界発光装置の製造方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN102747327A (zh) * 2011-04-21 2012-10-24 馗鼎奈米科技股份有限公司 抗污薄膜的常压蒸镀方法、常压蒸镀装置与制作设备
CN104746017A (zh) * 2015-04-13 2015-07-01 清华大学 电极蒸镀装置

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