JP2004300043A - にがりを配合した薬剤 - Google Patents
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Abstract
【課題】現代人に不足しがちなミネラル分を含ませることで現代病等の病状を改善し、また、そのような効果を奏する薬剤を、安価で容易な手段で調製・製造することを目的とする。
【解決手段】主成分として、身体の健康維持に必須なものを含めて約80種の天然のミネラル分を含有するにがりを配合して、これを人体に経皮吸収的に摂取させ、かつ製造容易で、大量生産可能な薬剤を提供する。また、前記薬剤を口腔治療用もしくは発毛育毛促進用のものとすれば、特有の顕著な作用効果が得られる。
【解決手段】主成分として、身体の健康維持に必須なものを含めて約80種の天然のミネラル分を含有するにがりを配合して、これを人体に経皮吸収的に摂取させ、かつ製造容易で、大量生産可能な薬剤を提供する。また、前記薬剤を口腔治療用もしくは発毛育毛促進用のものとすれば、特有の顕著な作用効果が得られる。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、現代人の健康維持に必要なミネラル分を補給することを目的として、該ミネラル分を含有するにがりを配合した薬剤に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
飽食の時代である現代においては、以前と比べて不自由がなく、多様な機会に必要な栄養を摂取することができる。つまり、現代人は健康維持の機会が保証されているといえる。しかし、近年、歯周病、脱毛症、花粉症、アトピー性皮膚炎や肥満などに代表される、いわゆる現代病と呼ばれる症状に苛まれている人は多い。これらの症状には、現代人の不規則な生活習慣や、公害等の生活環境が以前と比べて激変したことが原因であると考えられる。
【0003】
その一方で、前記症状は身体の健康維持に必要なミネラル分やビタミンが不足していることが原因であり、これを天然成分から補充しようとする試みがなされるようになってきた。つまり、あらゆる効用を有する製品が開発されている今日においても、依然として天然成分には人工化合物によっても創出すことのできない特異な有用性があるものと考えられるようになったのである。自然恵みがもたらす恩恵に与り、生活の知恵として天然成分を有効活用し、利便性を見出してきた従来の生活様式を見直そうというのである。
【0004】
そこで、上述のような観点から天然成分の有用性に着目し、また、近頃の消費者における自然物嗜好のニーズに応えるべく、いろいろな天然成分を配合した食品(自然食品、健康食品等)、化粧品、生活用品(石鹸、シャンプー、消臭剤等)、ドリンク剤、医薬品等が開発、販売されている。
具体的には、口腔用組成物としてケンポナシの果実又は種子、ウイキョウ植物又はカンゾウ植物からの抽出エキスを配合したものや(特許文献1参照)、発毛育毛促進剤として自然界に存在するノコギリヤシのエキスを生薬として主成分としたもの(特許文献2参照)等が提案されている。
【0005】
【特許文献1】
特開平7−309733公報
【特許文献2】
特開平9−100220公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上述したように、食料事情が貧しかった時代にはミネラル分やビタミンが豊富に含まれていたひじきや野菜といった食材が主食とされていたが、食が豊かになった昨今の生活においては、これらが食卓から消えてしまった。そのため、慢性的に身体の健康維持に必要なミネラル分が不足しがちであり、ひいては現代病を引き起こす起因となり得ると考えられるもの先に述べた通りである。
【0007】
そして、該ミネラル分を補給する手段としては、前記特許文献に示したような従来の天然成分を配合した薬剤等によっても十分に担保することは困難であった。つまり、生薬を主成分とするものは生薬自体の入手自体が高価で困難であったのである。また、化学的方法によって同様の作用効果を有する化合物を製造することが困難であり、副作用やその他の影響が問題となった。さらに、上述した天然成分を配合した薬剤等においていずれも顕著な効果を示すものではなく、学術的に見ても効能の疑わしいものも少なくなかった。
【0008】
例えば、脱毛症に苛まれている者にとっては、かつらの着用による処置は即効性があり、緊急を要する場合においてその効力を有するが、脱着が困難であり、不意に離脱してしまうこともある。また、どうしても見かけ上自然な毛髪とは異なってしまう。そのため、従来においては、頭皮に振りかけて使用する天然成分を配合した養毛剤の使用を試みるものの、これを長期間使用してもとくに目立った効果が現れないのが通常であった。そして、当該養毛剤は先述したように高価であり、一般の者にとっては気安く購入しづらいという問題があった。
【0009】
そこで、本発明は以上のような従来の課題に着目してなされたものであり、現代人に不足しがちなミネラル分を含ませることで現代病等の症状を少しでも改善し、また、これを安価で容易な手段で製造できる薬剤を提供することを目的とするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、日頃の注意深い洞察により鋭意検討を重ねた結果、身体の健康維持に必須のミネラル分を含有するにがりの特性に注目した。従来の薬剤に当該にがりを配合することで、人体の健康や衛生の維持増進を促す薬剤を提案しようという見地に至ったのである。
【0011】
本発明の薬剤は、にがりを主成分としたものであるが、該にがりには天然にがりを用いることが有用となるものである。なお、身体に必要な栄養素として挙げられるのが糖質、脂質およびタンパク質で、これらを3大栄養素といい、これにビタミンおよびミネラル分を加えたものが5大栄養素といわれている。このうち身体の新陳代謝を促すものがタンパク質、ビタミン、そしてミネラル分である。
【0012】
天然にがりは、海水を濃縮等して製塩したものであって、多種多様なミネラル分を含んでいる。元来海水には約80種の天然のミネラル分が含有しているとされており、その主成分は、無機塩類としては塩化マグネシウム、硫酸マグネシウム等のマグネシウム塩であり、その他に塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム等を含有している。また、塩素、臭素、さらにはリン、鉄、コバルト、ニッケル銅および亜鉛等の微量金属も含有されている。かかる微量軽金属は、適量であれば身体の健康維持に好ましいものである。つまり、このようなミネラル分豊富な海水を製塩した天然にがりは、極めて高純度のミネラル分を含有しており、また、身体に欠かすことのできないミネラル分をすべて含んでいるのである。
【0013】
さらに、ひじき等にも多分のミネラル分が含まれており、食の薄かった時代にこれらが主に食されていたという事実と、これらをあまり食さなくなった現代において以前に見られなかった前記現代病の諸症状が見られるようになった事とは、何らかの関連性を有するであろうと容易に推考されるのである。
【0014】
そこで、本発明者は、上述のようににがりが多様なミネラル分を含有しており、また、食の薄い時代においては、好んでミネラル分の豊富な食材が用いられていたことに鑑み、にがりを含有させた薬剤がいわゆる現代病等に良い影響を与えるものであると想到するに至ったのである。
【0015】
また、本発明者は、塩の歯周疾患に対する予防、改善する効果に加えてにがりのミネラル分により、特に口腔治療に用いられる薬剤ににがりを配合することで、かかる症状に対して顕著な治療、予防の効果を発揮することを見出した。
【0016】
さらに、本発明者は、優れた発毛効果を有する育毛剤を待望し、また、かかる育毛剤の開発を思案していた。脱毛のメカニズムは未だ不明な点が多く、遺伝的要因や生活リズムが不安定であること等に起因すると考えられていた。そして、幾つか考えられている原因の中でも、頭皮の血行不良や、毛根に皮脂が詰まって毛根の育成が阻害されてしまうことによるとされている点に着目したのである。そこで、ミネラル分を豊富に含有するにがりを頭皮に供給することで、かかる発毛育毛促進剤としても顕著な作用効果を有することを確認したのである。
【0017】
【発明の実施の形態】
まず、本発明において薬剤に配合するにがりについては、その製造や入手経路を何ら制限するものではないが、次の点を充足するものであることが望ましい。
【0018】
今日我々が手にすることのできるにがりは、その製法により完全天日製のにがり、煎ごう製のにがり、電気分解製のにがり、および塩化ナトリウムを主成分としたにがり等からなるにがりに分類することができる。
具体的には、完全天日製のにがりは、海水から完全天日により長い時間をかけて濃縮されたものである。含有成分は、最も自然な状態に近く、火力や電気を使用しないので成分の変化が極めて少ないのを特徴とするものである。完全天日製において濃度と成分を調整したものもこれに含まれる。また、煎ごう製のにがりは、濃縮された海水あるいは原塩の水溶液を煮詰めて作られたものである。中でも、深層海水を煮詰めたものは、無色透明な液体であり、電気分解製のにがりとは一線を画する。また、電気分解製のにがりは、海水あるいは原塩を水で溶かし、電気分解により製造されるものである。近年でいう「天然にがり」の名称で無色透明の商品が市販されている。そして、塩化ナトリウムを主成分としたにがりは、主に電気分解により製造されているにがりから抽出されたものである。
【0019】
そして、一概ににがりといっても、上述したような製法環境により含有するミネラル分やフリーのマグネシウム分(作用効果を生じうるマグネシウム分)が増減し、産地によってはシアン化合物の混入も生じ得る場合がある。
以上のことから、本発明の効果を最大限にするためには、加熱等することなく製塩してミネラル分の損失を最小にしたものであって、かつ、生産ルートに信頼のおけるにがりを使用することが望ましいのである。また、目的に応じて適宜配合するにがりを選択・変更することも可能である。
【0020】
本発明に係る薬剤としては、大別すれば広く、化粧品、生活用品、医薬品・医薬部外品等に用いられるものが考えられる。具体的には、石鹸、液体ボディーシャンプー、シャンプー、消臭剤、化粧水、洗顔料、クリーム、ジェル、エッセンス、マスク、パック、入浴剤、育毛剤、毛髪仕上げ用化粧品、歯磨き粉、洗口剤等である。
【0021】
つまり、本発明における薬剤は、いわゆる医薬品に限定されるものではなく、医薬部外品を含めた、自然人の健康・保健に関して広く一般的に用いられる公序良俗に反しない品類をいうものである。そして、最近の薬剤用途の多種・多様化により、本発明の薬剤においても、薬剤としての定義を厳格に範囲限定する必要はない。したがって、本発明はにがりを配合したことを特徴とする一般的な品目に渡るものであり、にがりのミネラル分を体内摂取することにより、通常の薬剤の用途目的に相乗した作用効果を生ずるもの全般を含むものである。
【0022】
本発明はにがりを配合したことを特徴とするものであるが、上述した用途に合致した薬剤として用いるために、にがり以外のその他の成分を適宜配合することができるのはいうまでもない。また、該にがり自体の組成は、上述したような製造方法の違いだけでなく、塩の晶出温度や晶出濃度その他の条件によって変化するものである。そこで、具体的には本発明に係る薬剤における混合組成比を、にがりの主成分であるマグネシウム濃度を基準にしたモル比等で決定することが好ましい。
【0023】
なお、薬剤として物理的に独立した一つの固体物に配合される必要はなく、にがり成分のみとその他の成分をそれぞれ別個に配合した薬剤を含むものである。該薬剤は使用の際に混合して用いるようにしてもいい。また、薬剤の製造において複雑な工程を経る必要がないため、製造コストを削減することができる。また、にがり成分とその他の成分とを配合したことで、各成分間の相互作用によるミネラル分の変性を防ぐことができる点で有効である。
【0024】
このように、本発明に係る薬剤は、身体の健康維持に必要不可欠なミネラル分を約80種含み、一般の食生活において不足しがちなミネラル分を経皮吸収的に効率よく摂取することによって、薬剤本来の効能・効果に相乗して歯周病、脱毛症、花粉症、慢性鼻炎、眼精疲労、かすみ目、血行不良、アトピー性皮膚炎、肥満等の諸症状を効果的に改善するという作用を有するのである。
【0025】
また、歯科医療の分野における塩の効能、効果は長い歴史と実績があり、例えば、口腔医療分野においても歯肉炎や歯槽膿漏などの歯周疾患に対して、塩の抗菌、抗炎作用により、かかる症状の予防、治療効果があることが知られているところである。そこで、例えば練り歯磨き等に、本発明に係る身体の健康維持に必要なミネラル分を多く含むにがりを配合した薬剤を用いることで、練り歯磨き本来の作用である歯垢除去や歯表面の研磨に加えて、口腔内からミネラル分を吸収することができる。つまり、歯周病、歯槽膿漏、口臭、ヤニの除去、口内炎、歯肉の痛みや腫れ、虫歯予防等に対する口腔治療一般に有用となるのである。
なお、本発明に係る口腔治療用の薬剤としては、上述のようににがりを歯磨き粉に配合したものに限定されず、歯肉マッサージクリーム、口内洗浄剤、チューインガム、うがい薬等に使用されるものでもよい。
【0026】
さらに、頭毛の脱毛メカニズムは不明な点が多いものの、頭皮の血行不良や、毛根に皮脂が詰まって毛根の育成が阻害されることによると考えられている。そこで、発毛育毛促進用としてにがりを配合した薬剤を用いることで、洗髪やマッサージ効果に加えて、毛根に付着した油脂や細菌を除去し、毛根から直接ミネラル分を頭皮に供給することができる。また、発毛育毛促進用の薬剤については、ヘアートニック、ヘアーローション、ヘアークリーム、シャンプーリンス等に使用されるものを含む。
なお、上記の本発明の必須成分であるにがり以外の他の配合成分としては、頭皮に振りかけて使用する従来の養毛剤の製造に用いられる公知の配合成分を使用することができる。具体的には、基材として蒸留水、アルコール類、多価アルコール類、油脂類、界面活性剤などを配合することができ、さらに薬用成分としてレゾルシン、ホルモン類、ビタミン類、ニコチン酸誘導体、感光色素、アミノ酸類等である。
【0027】
【実施例】
以下、本発明の実施例を具体的に説明する。なお、本発明の技術的範囲は以下の実施例に限定されるものではなく、本明細書に記載した事項から明らかになる技術的思想の範囲全体に、広く及ぶものである。
【0028】
(実施例1)
通常の歯磨き粉とにがりをそれぞれ50重量%配合した混合薬剤を用いて、毎食後10分間歯を磨いた。直後に舌苔が滑らかになり、味覚が鋭くなったと感じた。また、後味がよく、爽快な気持ちになった。数日後には歯茎がピンク色になって腫れもおさまり、歯が浮くような感覚や歯茎の痛みがなくなった。
【0029】
(実施例2)
通常の水とにがりをそれぞれ90重量%と10重量%配合した混合薬剤を調製した。毎入浴後にヘアートニックと該混合薬剤を頭皮に塗り込み、入念にマッサージを行った。使用数日後には地肌が白く綺麗になり、使用3ヶ月後には他人にも認められるほどに、毛髪が太くなり、硬くなった。また、頭皮をマッサージする指先に弾力が感じられるようになった。
同時に、該混合薬剤を用いて洗顔を行っていたところ、顔の表面がつるつるになり、ひげを剃るのが楽になった。
【0030】
【発明の効果】
本発明は、以上のように構成したので、以下に示すような効果を奏する。
すなわち、主成分として、身体の健康維持に必須のミネラル分を含有するにがりを配合したので、薬剤本来の作用効果に加えて、にがりに含有するミネラル分を経皮吸収的に摂取することで、歯周病、脱毛症、花粉症、アトピー性皮膚炎や肥満などの現代病の症状を改善し、軽減することができる。にがりは容易に入手することができ、また、低コストかつ比較的単純な製造工程で製塩できるため、当該にがりを配合した薬剤においても、低価格のものを大量に生産できる。そのため、前記症状に苛まれる者において、かかる薬剤を使用する機会が増える。
【0031】
また、前記薬剤を口腔治療用としたので、歯周病や歯槽膿漏等に対して優れた治療・予防効果を奏する。特に、歯磨き粉ににがりを含有させることで、口腔治療の本来の作用である歯垢除去や歯表面の研磨に加えて、口腔内からミネラル分を直接吸収することができるため、歯槽膿漏等の患部に効果的に作用し、歯茎をひきしめ、口腔内を除菌することができる。
【0032】
さらに、前記薬剤を発毛育毛促進用としたので、優れた発毛・育毛効果を奏する。洗髪やマッサージ効果に加えて、毛根に付着した油脂や細菌を除去し、ミネラル分を毛根から直接供給することができるため、髪の毛を太く硬くすることができる。また、頭皮の血行を良くすることができる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、現代人の健康維持に必要なミネラル分を補給することを目的として、該ミネラル分を含有するにがりを配合した薬剤に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
飽食の時代である現代においては、以前と比べて不自由がなく、多様な機会に必要な栄養を摂取することができる。つまり、現代人は健康維持の機会が保証されているといえる。しかし、近年、歯周病、脱毛症、花粉症、アトピー性皮膚炎や肥満などに代表される、いわゆる現代病と呼ばれる症状に苛まれている人は多い。これらの症状には、現代人の不規則な生活習慣や、公害等の生活環境が以前と比べて激変したことが原因であると考えられる。
【0003】
その一方で、前記症状は身体の健康維持に必要なミネラル分やビタミンが不足していることが原因であり、これを天然成分から補充しようとする試みがなされるようになってきた。つまり、あらゆる効用を有する製品が開発されている今日においても、依然として天然成分には人工化合物によっても創出すことのできない特異な有用性があるものと考えられるようになったのである。自然恵みがもたらす恩恵に与り、生活の知恵として天然成分を有効活用し、利便性を見出してきた従来の生活様式を見直そうというのである。
【0004】
そこで、上述のような観点から天然成分の有用性に着目し、また、近頃の消費者における自然物嗜好のニーズに応えるべく、いろいろな天然成分を配合した食品(自然食品、健康食品等)、化粧品、生活用品(石鹸、シャンプー、消臭剤等)、ドリンク剤、医薬品等が開発、販売されている。
具体的には、口腔用組成物としてケンポナシの果実又は種子、ウイキョウ植物又はカンゾウ植物からの抽出エキスを配合したものや(特許文献1参照)、発毛育毛促進剤として自然界に存在するノコギリヤシのエキスを生薬として主成分としたもの(特許文献2参照)等が提案されている。
【0005】
【特許文献1】
特開平7−309733公報
【特許文献2】
特開平9−100220公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上述したように、食料事情が貧しかった時代にはミネラル分やビタミンが豊富に含まれていたひじきや野菜といった食材が主食とされていたが、食が豊かになった昨今の生活においては、これらが食卓から消えてしまった。そのため、慢性的に身体の健康維持に必要なミネラル分が不足しがちであり、ひいては現代病を引き起こす起因となり得ると考えられるもの先に述べた通りである。
【0007】
そして、該ミネラル分を補給する手段としては、前記特許文献に示したような従来の天然成分を配合した薬剤等によっても十分に担保することは困難であった。つまり、生薬を主成分とするものは生薬自体の入手自体が高価で困難であったのである。また、化学的方法によって同様の作用効果を有する化合物を製造することが困難であり、副作用やその他の影響が問題となった。さらに、上述した天然成分を配合した薬剤等においていずれも顕著な効果を示すものではなく、学術的に見ても効能の疑わしいものも少なくなかった。
【0008】
例えば、脱毛症に苛まれている者にとっては、かつらの着用による処置は即効性があり、緊急を要する場合においてその効力を有するが、脱着が困難であり、不意に離脱してしまうこともある。また、どうしても見かけ上自然な毛髪とは異なってしまう。そのため、従来においては、頭皮に振りかけて使用する天然成分を配合した養毛剤の使用を試みるものの、これを長期間使用してもとくに目立った効果が現れないのが通常であった。そして、当該養毛剤は先述したように高価であり、一般の者にとっては気安く購入しづらいという問題があった。
【0009】
そこで、本発明は以上のような従来の課題に着目してなされたものであり、現代人に不足しがちなミネラル分を含ませることで現代病等の症状を少しでも改善し、また、これを安価で容易な手段で製造できる薬剤を提供することを目的とするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、日頃の注意深い洞察により鋭意検討を重ねた結果、身体の健康維持に必須のミネラル分を含有するにがりの特性に注目した。従来の薬剤に当該にがりを配合することで、人体の健康や衛生の維持増進を促す薬剤を提案しようという見地に至ったのである。
【0011】
本発明の薬剤は、にがりを主成分としたものであるが、該にがりには天然にがりを用いることが有用となるものである。なお、身体に必要な栄養素として挙げられるのが糖質、脂質およびタンパク質で、これらを3大栄養素といい、これにビタミンおよびミネラル分を加えたものが5大栄養素といわれている。このうち身体の新陳代謝を促すものがタンパク質、ビタミン、そしてミネラル分である。
【0012】
天然にがりは、海水を濃縮等して製塩したものであって、多種多様なミネラル分を含んでいる。元来海水には約80種の天然のミネラル分が含有しているとされており、その主成分は、無機塩類としては塩化マグネシウム、硫酸マグネシウム等のマグネシウム塩であり、その他に塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム等を含有している。また、塩素、臭素、さらにはリン、鉄、コバルト、ニッケル銅および亜鉛等の微量金属も含有されている。かかる微量軽金属は、適量であれば身体の健康維持に好ましいものである。つまり、このようなミネラル分豊富な海水を製塩した天然にがりは、極めて高純度のミネラル分を含有しており、また、身体に欠かすことのできないミネラル分をすべて含んでいるのである。
【0013】
さらに、ひじき等にも多分のミネラル分が含まれており、食の薄かった時代にこれらが主に食されていたという事実と、これらをあまり食さなくなった現代において以前に見られなかった前記現代病の諸症状が見られるようになった事とは、何らかの関連性を有するであろうと容易に推考されるのである。
【0014】
そこで、本発明者は、上述のようににがりが多様なミネラル分を含有しており、また、食の薄い時代においては、好んでミネラル分の豊富な食材が用いられていたことに鑑み、にがりを含有させた薬剤がいわゆる現代病等に良い影響を与えるものであると想到するに至ったのである。
【0015】
また、本発明者は、塩の歯周疾患に対する予防、改善する効果に加えてにがりのミネラル分により、特に口腔治療に用いられる薬剤ににがりを配合することで、かかる症状に対して顕著な治療、予防の効果を発揮することを見出した。
【0016】
さらに、本発明者は、優れた発毛効果を有する育毛剤を待望し、また、かかる育毛剤の開発を思案していた。脱毛のメカニズムは未だ不明な点が多く、遺伝的要因や生活リズムが不安定であること等に起因すると考えられていた。そして、幾つか考えられている原因の中でも、頭皮の血行不良や、毛根に皮脂が詰まって毛根の育成が阻害されてしまうことによるとされている点に着目したのである。そこで、ミネラル分を豊富に含有するにがりを頭皮に供給することで、かかる発毛育毛促進剤としても顕著な作用効果を有することを確認したのである。
【0017】
【発明の実施の形態】
まず、本発明において薬剤に配合するにがりについては、その製造や入手経路を何ら制限するものではないが、次の点を充足するものであることが望ましい。
【0018】
今日我々が手にすることのできるにがりは、その製法により完全天日製のにがり、煎ごう製のにがり、電気分解製のにがり、および塩化ナトリウムを主成分としたにがり等からなるにがりに分類することができる。
具体的には、完全天日製のにがりは、海水から完全天日により長い時間をかけて濃縮されたものである。含有成分は、最も自然な状態に近く、火力や電気を使用しないので成分の変化が極めて少ないのを特徴とするものである。完全天日製において濃度と成分を調整したものもこれに含まれる。また、煎ごう製のにがりは、濃縮された海水あるいは原塩の水溶液を煮詰めて作られたものである。中でも、深層海水を煮詰めたものは、無色透明な液体であり、電気分解製のにがりとは一線を画する。また、電気分解製のにがりは、海水あるいは原塩を水で溶かし、電気分解により製造されるものである。近年でいう「天然にがり」の名称で無色透明の商品が市販されている。そして、塩化ナトリウムを主成分としたにがりは、主に電気分解により製造されているにがりから抽出されたものである。
【0019】
そして、一概ににがりといっても、上述したような製法環境により含有するミネラル分やフリーのマグネシウム分(作用効果を生じうるマグネシウム分)が増減し、産地によってはシアン化合物の混入も生じ得る場合がある。
以上のことから、本発明の効果を最大限にするためには、加熱等することなく製塩してミネラル分の損失を最小にしたものであって、かつ、生産ルートに信頼のおけるにがりを使用することが望ましいのである。また、目的に応じて適宜配合するにがりを選択・変更することも可能である。
【0020】
本発明に係る薬剤としては、大別すれば広く、化粧品、生活用品、医薬品・医薬部外品等に用いられるものが考えられる。具体的には、石鹸、液体ボディーシャンプー、シャンプー、消臭剤、化粧水、洗顔料、クリーム、ジェル、エッセンス、マスク、パック、入浴剤、育毛剤、毛髪仕上げ用化粧品、歯磨き粉、洗口剤等である。
【0021】
つまり、本発明における薬剤は、いわゆる医薬品に限定されるものではなく、医薬部外品を含めた、自然人の健康・保健に関して広く一般的に用いられる公序良俗に反しない品類をいうものである。そして、最近の薬剤用途の多種・多様化により、本発明の薬剤においても、薬剤としての定義を厳格に範囲限定する必要はない。したがって、本発明はにがりを配合したことを特徴とする一般的な品目に渡るものであり、にがりのミネラル分を体内摂取することにより、通常の薬剤の用途目的に相乗した作用効果を生ずるもの全般を含むものである。
【0022】
本発明はにがりを配合したことを特徴とするものであるが、上述した用途に合致した薬剤として用いるために、にがり以外のその他の成分を適宜配合することができるのはいうまでもない。また、該にがり自体の組成は、上述したような製造方法の違いだけでなく、塩の晶出温度や晶出濃度その他の条件によって変化するものである。そこで、具体的には本発明に係る薬剤における混合組成比を、にがりの主成分であるマグネシウム濃度を基準にしたモル比等で決定することが好ましい。
【0023】
なお、薬剤として物理的に独立した一つの固体物に配合される必要はなく、にがり成分のみとその他の成分をそれぞれ別個に配合した薬剤を含むものである。該薬剤は使用の際に混合して用いるようにしてもいい。また、薬剤の製造において複雑な工程を経る必要がないため、製造コストを削減することができる。また、にがり成分とその他の成分とを配合したことで、各成分間の相互作用によるミネラル分の変性を防ぐことができる点で有効である。
【0024】
このように、本発明に係る薬剤は、身体の健康維持に必要不可欠なミネラル分を約80種含み、一般の食生活において不足しがちなミネラル分を経皮吸収的に効率よく摂取することによって、薬剤本来の効能・効果に相乗して歯周病、脱毛症、花粉症、慢性鼻炎、眼精疲労、かすみ目、血行不良、アトピー性皮膚炎、肥満等の諸症状を効果的に改善するという作用を有するのである。
【0025】
また、歯科医療の分野における塩の効能、効果は長い歴史と実績があり、例えば、口腔医療分野においても歯肉炎や歯槽膿漏などの歯周疾患に対して、塩の抗菌、抗炎作用により、かかる症状の予防、治療効果があることが知られているところである。そこで、例えば練り歯磨き等に、本発明に係る身体の健康維持に必要なミネラル分を多く含むにがりを配合した薬剤を用いることで、練り歯磨き本来の作用である歯垢除去や歯表面の研磨に加えて、口腔内からミネラル分を吸収することができる。つまり、歯周病、歯槽膿漏、口臭、ヤニの除去、口内炎、歯肉の痛みや腫れ、虫歯予防等に対する口腔治療一般に有用となるのである。
なお、本発明に係る口腔治療用の薬剤としては、上述のようににがりを歯磨き粉に配合したものに限定されず、歯肉マッサージクリーム、口内洗浄剤、チューインガム、うがい薬等に使用されるものでもよい。
【0026】
さらに、頭毛の脱毛メカニズムは不明な点が多いものの、頭皮の血行不良や、毛根に皮脂が詰まって毛根の育成が阻害されることによると考えられている。そこで、発毛育毛促進用としてにがりを配合した薬剤を用いることで、洗髪やマッサージ効果に加えて、毛根に付着した油脂や細菌を除去し、毛根から直接ミネラル分を頭皮に供給することができる。また、発毛育毛促進用の薬剤については、ヘアートニック、ヘアーローション、ヘアークリーム、シャンプーリンス等に使用されるものを含む。
なお、上記の本発明の必須成分であるにがり以外の他の配合成分としては、頭皮に振りかけて使用する従来の養毛剤の製造に用いられる公知の配合成分を使用することができる。具体的には、基材として蒸留水、アルコール類、多価アルコール類、油脂類、界面活性剤などを配合することができ、さらに薬用成分としてレゾルシン、ホルモン類、ビタミン類、ニコチン酸誘導体、感光色素、アミノ酸類等である。
【0027】
【実施例】
以下、本発明の実施例を具体的に説明する。なお、本発明の技術的範囲は以下の実施例に限定されるものではなく、本明細書に記載した事項から明らかになる技術的思想の範囲全体に、広く及ぶものである。
【0028】
(実施例1)
通常の歯磨き粉とにがりをそれぞれ50重量%配合した混合薬剤を用いて、毎食後10分間歯を磨いた。直後に舌苔が滑らかになり、味覚が鋭くなったと感じた。また、後味がよく、爽快な気持ちになった。数日後には歯茎がピンク色になって腫れもおさまり、歯が浮くような感覚や歯茎の痛みがなくなった。
【0029】
(実施例2)
通常の水とにがりをそれぞれ90重量%と10重量%配合した混合薬剤を調製した。毎入浴後にヘアートニックと該混合薬剤を頭皮に塗り込み、入念にマッサージを行った。使用数日後には地肌が白く綺麗になり、使用3ヶ月後には他人にも認められるほどに、毛髪が太くなり、硬くなった。また、頭皮をマッサージする指先に弾力が感じられるようになった。
同時に、該混合薬剤を用いて洗顔を行っていたところ、顔の表面がつるつるになり、ひげを剃るのが楽になった。
【0030】
【発明の効果】
本発明は、以上のように構成したので、以下に示すような効果を奏する。
すなわち、主成分として、身体の健康維持に必須のミネラル分を含有するにがりを配合したので、薬剤本来の作用効果に加えて、にがりに含有するミネラル分を経皮吸収的に摂取することで、歯周病、脱毛症、花粉症、アトピー性皮膚炎や肥満などの現代病の症状を改善し、軽減することができる。にがりは容易に入手することができ、また、低コストかつ比較的単純な製造工程で製塩できるため、当該にがりを配合した薬剤においても、低価格のものを大量に生産できる。そのため、前記症状に苛まれる者において、かかる薬剤を使用する機会が増える。
【0031】
また、前記薬剤を口腔治療用としたので、歯周病や歯槽膿漏等に対して優れた治療・予防効果を奏する。特に、歯磨き粉ににがりを含有させることで、口腔治療の本来の作用である歯垢除去や歯表面の研磨に加えて、口腔内からミネラル分を直接吸収することができるため、歯槽膿漏等の患部に効果的に作用し、歯茎をひきしめ、口腔内を除菌することができる。
【0032】
さらに、前記薬剤を発毛育毛促進用としたので、優れた発毛・育毛効果を奏する。洗髪やマッサージ効果に加えて、毛根に付着した油脂や細菌を除去し、ミネラル分を毛根から直接供給することができるため、髪の毛を太く硬くすることができる。また、頭皮の血行を良くすることができる。
Claims (5)
- 主成分としてにがりを配合した薬剤であって、経皮吸収的に摂取されることを特徴とするにがりを配合した薬剤。
- 前記薬剤を、口腔治療用薬剤としたことを特徴とする請求項1記載のにがりを配合した薬剤。
- 前記口腔治療用薬剤を、歯周病と歯槽膿漏の予防、治療のために用いられる歯磨き粉としたことを特徴とする請求項2記載のにがりを配合した薬剤。
- 前記薬剤を、発毛育毛促進用薬剤としたことを特徴とする請求項1記載のにがりを配合した薬剤。
- 前記にがりが天然にがりであることを特徴とする請求項1記載のにがりを配合した薬剤。
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