JP2004299437A - ブレーキ制御装置 - Google Patents

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Ken Suai
謙 須合
Yoshihiko Ishida
善彦 石田
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Abstract

【課題】EBD失陥時だけでなく、EBDを設定していなくても、制動時に確実に車両を安定させることができるブレーキ制御装置を提供すること。
【解決手段】各輪7,8,14,15へのブレーキ液圧を制御するブレーキシステムと、前後軸の差動を制限するトランスファクラッチ9を制御する差動制限システムと、を搭載した車両において、制動中であるか否かを判断する制動中判断ステップS8と、該制動中判断ステップS8により制動中であると判断された場合、前記差動制限システムによる前後軸差動制限を実施する制動対応差動制限制御手段と、を有する。
【選択図】 図2

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ブレーキシステムと前後軸の差動制限システムを搭載した車両に適用されるブレーキ制御装置の技術分野に属する。
【0002】
【従来の技術】
自動車の前後制動力配分を制御するシステムとしては、プロポーショニングバルブやロードセンシングバルブを用いた周知のシステム以外に、ABSシステムを応用し、左右後輪に関してはABS制御しきい値以外にEBD制御しきい値を設定しておき、制動時に前輪液圧に対し後輪液圧を緩増圧することで、積載荷重(乗車人数)の違いに応じて後輪の制動力を電子制御により適正化する電子制御制動力配分システム(EBD:Electoric Brake Force Distribution)が知られている。
【0003】
このEBDは、ABSシステムを使用して電子制御にて制動力配分をコントロールするため、部品の追加もなく、安価であることと、制動力の前後配分比を細かく制御できるという理由から、現在、前後制動力配分制御システムの主流となっている。
【0004】
従来のABS/EBDシステムは、車輪速センサ、液圧制御バルブやポンプモータ等の油圧制御ユニット、ECUユニット(電子制御ユニット)等から構成されている。液圧制御バルブやポンプモータが故障した場合、または、1つでの車輪速センサが故障した場合、ABS制御は禁止となるが、EBD制御は、車輪速センサが前後の各輪、または、車軸に複数設けられているため、全ての車輪速センサが故障しなければ、残りの正常な車輪速センサで補って制御継続可能である(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
【特許文献1】
特開平10−203334号公報。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来のABS/EBDシステムにあっては、ABSシステムをベースとして制動力配分を制御するものであり、液圧制御バルブやポンプモータが故障した場合、または、全ての車輪速センサが故障した場合、EBD制御を維持できないため、EBD制御禁止後の制動時において、後輪先ロック等により車両を安定させて制動できないおそれがある。
【0007】
ここで、ABSシステムの液圧制御バルブやポンプモータや全ての車輪速センサが故障または断線・電圧異常等が発生することで、EBD制御が禁止される状態を、以下、「EBD失陥」と定義する。
【0008】
本発明は、上記問題に着目してなされたもので、EBD失陥時だけでなく、EBDを設定していなくても、制動時に確実に車両を安定させることができるブレーキ制御装置を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明では、
ブレーキシステムと前後軸の差動制限システムとを搭載した車両において、
制動中であるか否かを判断する制動中判断手段と、
前記制動中判断手段により制動中であると判断された場合、前記差動制限システムによる前後軸差動制限を実施する制動対応差動制限制御手段と、
を有する。
【0010】
【発明の効果】
よって、本発明のブレーキ制御装置にあっては、制動対応差動制限制御手段において、制動中、前後軸差動制限が実施されるため、差動制限作用により4輪のうち1輪がロックすると同時に他の3輪もロックするというように理想制動力配分により目指す4輪同時ロックを実現でき、EBD失陥時だけでなく、EBDを設定していなくても、制動時に確実に車両を安定させることができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のブレーキ制御装置を実現する実施の形態を、図面に示す第1実施例〜第3実施例に基づいて説明する。
【0012】
(第1実施例)
まず、構成を説明する。
図1は第1実施例のブレーキ制御装置が適用された後輪駆動ベースの4輪駆動車を示す全体システム図である。
図1において、1はエンジン、2は自動変速機、3はリヤプロペラシャフト、4はリヤディファレンシャル、5,6はリヤドライブシャフト、7は左後輪、8は右後輪、9はトラスファクラッチ(前後軸の差動制限手段)、10はフロントプロペラシャフト、11はフロントディファレンシャル、12,13はフロントドライブシャフト、14は左前輪、15は右前輪であり、これらにより駆動系が構成される。
【0013】
前記エンジン1は、エンジンコントローラ16からの指令により燃料噴射制御等が行われ、前記自動変速機2は、自動変速コントローラ17からの指令によりにより変速制御等が行われる。
【0014】
前記トランスファクラッチ9の締結制御を行う前後差動制限システムは、前後差動制限アクチュエータ19と、該前後差動制限アクチュエータ19に対し締結指令または解放指令を出力する差動制限コントローラ20と、を有して構成される。
【0015】
前記トランスファクラッチ9としては、例えば、電磁多板クラッチや油圧多板クラッチ等が適用され、締結により左右後輪7,8と左右前輪14,15の差動を制限する前後差動制限機能を有する。つまり、トランスファクラッチ9の締結によりトルク(駆動トルク・制動トルク)が、左右後輪7,8からトランスファクラッチ9を介して左右前輪14,15へ伝達されるというトルク配分作用により左右後輪7,8と左右前輪14,15の差動を制限する。
【0016】
前記差動制限コントローラ20には、アクセル開度センサ21,前後加速度センサ22,モード切替スイッチ23等からの情報が入力される。前記モード切替スイッチ23は、2WD固定モードと4WD固定モードとオートモードとの切り替えを手動により行う手段である。そして、モード切替スイッチ23の4WD固定モードを選択すると前後輪の差動制限作用が最も強くなる。また、モード切替スイッチ23のオートモードを選択すると、例えば、前後輪回転速度差やアクセル開度や前後加速度等に応じ付与されるクラッチ締結トルクが大きいと前後輪の差動許容量が小さくて強い差動制限作用を示し、クラッチ締結トルクが小さくなるほど前後輪の差動許容量が次第に大きくなる。
【0017】
図1において、30はブレーキペダル、31はブースタ、32はマスタシリンダ、33,34はマスタシリンダ液圧パイプ、35はABSアクチュエータ、36は左後輪ホイールシリンダ液圧パイプ、37は右後輪ホイールシリンダ液圧パイプ、38は左前輪ホイールシリンダ液圧パイプ、39は右前輪ホイールシリンダ液圧パイプ、40は左後輪ホイールシリンダ、41は右後輪ホイールシリンダ、42は左前輪ホイールシリンダ、43は右前輪ホイールシリンダ、44はブレーキコントローラであり、これらにより前記各輪7,8,14,15をブレーキ液圧により制動するアンチロックブレーキシステムが構成される。
【0018】
前記ABSアクチュエータ35は、オイルポンプや液圧制御バルブ等により構成され、通常制動時には、マスタシリンダ液圧パイプ33,34に対応して分けられた2つのブレーキ液圧系統を介して各輪7,8,14,15にブレーキ液圧を供給する。ABS作動時には、各輪7,8,14,15の制動ロックを抑えるように、減圧・保持・増圧の3モードによりブレーキ液圧を制御する。
【0019】
前記ブレーキコントローラ44には、ブレーキランプスイッチ45(ブレーキ操作検出手段),左前輪速センサ46(車輪速検出手段),右前輪速センサ47(車輪速検出手段),左後輪速センサ48(車輪速検出手段),右後輪速センサ49(車輪速検出手段)等からの情報が入力される。
【0020】
そして、このブレーキコントローラ44では、推定車体速と車輪速との対比により各輪の制動ロック状況を監視し、少なくとも1つの車輪の車輪速がABS制御開始しきい値を下回るとABS作動を開始し、その後、全ての車輪速がABS制御終了しきい値を上回るとABS作動を終了するというようにABS制御が実行される。
【0021】
さらに、このABSシステムを応用し、左右後輪7,8に関してはABS制御しきい値以外にEBD制御しきい値を設定しておき、制動時に前輪液圧に対し後輪液圧を緩増圧(保持モードと増圧モード)することで、積載荷重(乗車人数)の違いに応じて後輪の制動力を電子制御により適正化するEBD制御が実行される。
【0022】
なお、エンジンコントローラ16と自動変速コントローラ17と差動制限コントローラ20とブレーキコントローラ44とは、情報交換を行う双方向通信線50により互いに連結されている。
【0023】
次に、作用を説明する。
【0024】
[制動対応差動制限制御処理]
図2は第1実施例の差動制限コントローラ20にて実行される制動対応差動制限制御処理の流れを示すフローチャートで、以下、各ステップについて説明する(制動対応差動制限制御手段)。
【0025】
ステップS1では、ABSユニットの故障状態を監視し、ステップS2へ移行する。ここで、ABSユニットの故障状態は、ブレーキコントローラ44から受信されるオイルポンプ故障フラグや液圧制御バルブ故障フラグや車輪速センサ故障フラグ等に基づいて、差動制限コントローラ20にて監視する。
【0026】
ステップS2では、ステップS1で監視された故障状態がEDB制御を維持できないEBD失陥か否かが判断され、YESの場合はステップS6へ移行し、NOの場合はステップS3へ移行する(電子制御制動力配分システム失陥検出手段)。
【0027】
ステップS3では、加速スリップ(前後輪回転速度差)やアクセル開度等による4WD要求が有るか否かが判断され、YESの場合はステップS4へ移行し、NOの場合はステップS5へ移行する。
【0028】
ステップS4では、ステップS3での4WD要求に応じて可変4WDを得る差動制限量(クラッチ締結トルク)を算出し、差動制限制御を実施し、リターンへ至る。
【0029】
ステップS5では、ステップS3での4WD非要求に応じて差動制限制御を実施することなく、リターンへ至る。
【0030】
ステップS6では、ブレーキランプスイッチ45のスイッチ信号状態またはブレーキランプの点灯・消灯状態を判断し、ステップS7へ移行する。
【0031】
ステップS7では、各車輪速センサ46,47,48,49に基づく各車輪速の変化状態を判断し、ステップS8へ移行する。
【0032】
ステップS8では、制動中であるか否かを判断し、YESの場合はステップS9へ移行し、NOの場合はステップS3へ移行する(制動中判断手段)。ここで、制動中判断は、ブレーキランプON(ブレーキ操作中)で、かつ、車輪速低下状態(減速中)であるか否かにより判断する。
【0033】
ステップS9では、リジッド4WDが得られる差動制限量(クラッチ締結トルク)を算出し、ステップS10へ移行する。
【0034】
ステップS10では、リジッド4WDを得る差動制限制御が実施され、リターンへ至る。
【0035】
[定義/解説]
以下の説明で用いる重要語句の定義と解説を述べる。
【0036】
1.理想制動力配分特性
理想制動力配分特性とは、図3に示す前後輪制動力線図において、空車時理想制動力配分特性と積車時理想制動力配分特性として表されるように、制動時に前輪と後輪とが同時にロックする特性をいい、最も前後の制動力配分バランスが良く、かつ、停止距離も最短となる。
【0037】
2.前輪先ロック特性
前輪先ロック特性とは、図3に示す前後輪制動力線図において、例えば、前輪先ロックの特性で表されるように、制動時に前輪が後輪よりも先にロックする特性をいい、後輪が先にロックしないため、理想制動力配分特性よりは停止距離が伸びるが、車両は真っ直ぐな安定した状態で停止する。
【0038】
3.後輪先ロック特性
後輪先ロック特性とは、図3に示す前後輪制動力線図において、例えば、後輪先ロックの特性で表されるように、制動時に後輪が前輪よりも先にロックする特性をいい、後輪が先にロックするために車両挙動が不安定になりやすいが、停止距離は前輪先ロックよりも短くなる。
【0039】
4.EBD特性(正常時)
正常時におけるEBD特性は、図3に示す前後輪制動力線図において、後輪先ロックの特性に沿って理想制動力配分特性と交差する点まで移行し、理想制動力配分特性との交差点からは後輪液圧が抑えられて理想制動力配分特性に沿うように移行する特性をいう。
【0040】
ここで、なぜ、後輪先ロック特性を選択しているかの理由を説明すると、理想制動力配分特性は、図3に示すように、車両重量が変わると変化する。これに対し、制動力配分特性は1つの特性でしか設定できないため、常に理想制動力配分特性にすることはできない。したがって、停止距離を短縮しつつ、車両の安定性を確保するために、後輪先ロックの傾向としつつ、EBDで後輪先ロックを防止する方法を採用している。
【0041】
5.リジッド4WD
リジッド4WDとは、トランスファクラッチ9の滑りが無く、前軸と後軸が直結で繋がっている状態をいう。したがって、前輪(前軸)の回転数と後輪(後軸)の回転数とは同じになり、これにより、制動時においても、前輪先ロックや後輪先ロックが発生せず、4輪同時ロックに至り、理想制動力配分特性と等価の制動力配分特性を得ることができる。
【0042】
6.可変4WD
可変4WDとは、トランスファクラッチ9が滑りを許容する状態で前軸と後軸とが繋がっている状態をいう。したがって、リジッド4WDのように4輪同時ロックとはならないが、僅かに後輪先ロック傾向による制動力特性を得ることができる。停止距離は、トランスファクラッチ9を強く締結するほど短くなり、前輪(前軸)と後輪(後軸)との差動による旋回性は、トランスファクラッチ9の締結トルクを小さくするほど向上するため、停止距離、旋回性のどちらを重視するかで締結トルクを選択すればよい。
【0043】
[EBD正常時]
EBD正常時であって、4WD要求が無いときには、図2のフローチャートにおいて、ステップS1→ステップS2→ステップS3→ステップS5へと進む流れとなり、差動制限制御は実施されず、後輪駆動状態での走行となる。そして、ブレーキ操作を行うと、図3の後輪先ロックを防止するEBD特性により、停止距離が短く、かつ、安定した車両挙動による停車が確保される。
【0044】
EBD正常時であって、4WD要求が有るときには、図2のフローチャートにおいて、ステップS1→ステップS2→ステップS3→ステップS4へと進む流れとなり、差動制限制御が実施され、加速性や旋回安定性が高い4WD状態での走行となる。そして、ブレーキ操作を行うと、図3の後輪先ロックを防止するEBD特性により、停止距離が短く、かつ、安定した車両挙動による停車が確保される。
【0045】
なお、EBD失陥状態での非制動時においても、図2のフローチャートにおいて、ステップS1→ステップS2→ステップS6→ステップS7→ステップS8からステップS3へと進み、上記のように、4WD要求の有無により差動制限制御が実施または非実施とされる。
【0046】
[EBD失陥状態での制動時]
EBD失陥状態での制動時には、図2のフローチャートにおいて、ステップS1→ステップS2→ステップS6→ステップS7→ステップS8→ステップS9→ステップS10へと進む流れとなり、ステップS10では、リジッド4WDを得る差動制限制御が実施される。
【0047】
まず、EBD失陥状態での制動時に差動制限制御を実施しない場合には、図3に示す前後輪制動力線図において、点線特性で示す後輪先ロック特性となり、車両挙動が不安定になりやすい。
【0048】
これに対し、制動開始点であるA点にて差動制限制御の実施を開始すると、図3に示す前後輪制動力線図において、制動開始から車両停止までの全域にて、差動制限が強い程、後輪先ロック特性から理想制動力配分特性へと近づいて行く制動力配分特性を示す。
【0049】
よって、第1実施例のように、制動開始点Aからリジッド4WDを得る差動制限制御を実施すると、前後輪同時ロックによる理想制動力配分特性を得ることができ、旋回性能は劣るものの、停止距離を最短にすることができる。
【0050】
また、制動開始点Aから可変4WDを得る差動制限制御を実施すると、図3のハッチングに示す領域を経過する制動力配分特性となり、理想制動力配分特性に近似する弱い後輪先ロック特性を示し、制動時の車両挙動安定性が確保される。
【0051】
次に、効果を説明する。
第1実施例のブレーキ制御装置にあっては、下記に列挙する効果を得ることができる。
【0052】
(1)各輪7,8,14,15へのブレーキ液圧を制御するブレーキシステムと、前後軸の差動を制限するトランスファクラッチ9を制御する差動制限システムと、を搭載した車両において、制動中であるか否かを判断する制動中判断ステップS8と、該制動中判断ステップS8により制動中であると判断された場合、前記差動制限システムによる前後軸差動制限を実施する制動対応差動制限制御手段と、を有するため、EBD失陥時だけでなく、EBDを設定していなくても、制動時において、確実に車両を安定させることができる。
【0053】
(2)積載荷重の違いに応じて後輪制動力を電子制御により適正化するEBDシステムと、該EBDシステムの失陥を検出する電子制御制動力配分システム失陥検出ステップS2と、を設け、前記制動対応差動制限制御手段は、EBDシステムの失陥検出時であって、制動中であると判断された場合、前記差動制限システムによる前後軸差動制限を実施するため、EBD失陥時、EBD正常時と同様の制動力配分特性を得ることができる。
【0054】
(3)ブレーキ操作を検出するブレーキランプスイッチ45と、車輪速を検出する車輪速センサ46,47,48,49と、を設け、前記制動中判断ステップS8は、ブレーキ操作検出時で、かつ、車輪速低下時に制動中であると判断するため、制動中であることの誤判断を確実に防止することができる。ちなみに、ブレーキ操作検出のみでも、車両減速検出のみでも制動中であることを判断できるが、例えば、車両減速検出のみで制動中を判断した場合、登坂時の車両減速において制動中であると誤判断してしまう。
【0055】
(4)制動対応差動制限制御手段は、制動中であると判断された場合、制動操作の開始領域にて差動制限システムによる前後軸差動制限の実施を開始するため、制動開始タイミングにてリジッド4WDを得る差動制限制御を実施すると、前後輪同時ロックによる理想制動力配分特性が得られるというように、停止距離を最短にすることができる。
【0056】
(第2実施例)
第2実施例は、制動中であると判断された場合、制動力理想配分線とブレーキ特性線とが交差する領域にて差動制限システムによる前後軸差動制限の実施を開始するようにした例である。なお、構成的には第1実施例の図1と同様であるので、図示並びに説明を省略する。
【0057】
[制動対応差動制限制御処理]
図4は第2実施例の差動制限コントローラ20にて実行される制動対応差動制限制御処理の流れを示すフローチャートで、以下、各ステップについて説明する(制動対応差動制限制御手段)。なお、ステップS1〜ステップS10は、第1実施例の図2と同様の処理であるので説明を省略する。
【0058】
ステップS11では、ステップS8において制動中であると判断された場合、前輪車輪速(Fr−C)が後輪車輪速Rrを超えているか否かが判断され、YESの場合はステップS9へ移行し、NOの場合はステップS5へ移行する。
ここで、前輪車輪速Frが後輪車輪速Rrを超えているかどうかを判断するのは、理想制動力配分時には、前後輪の車輪速がほぼ同じとなる。これに対し、設定されているブレーキ特性では、後輪先ロック傾向であるため、Fr>Rrとなると、理想制動力配分を超えたと判断することができる(図5のB点)。さらに、路面外乱等の影響を考慮し、誤判断を防止するため、前輪車輪速Frに補正定数Cを組み合わせている。
【0059】
[EBD失陥状態での制動時]
EBD失陥状態での制動時には、制動開始から理想制動力配分特性と後輪先ロックによるブレーキ特性との交点Bに至るまでは、図2のフローチャートにおいて、ステップS1→ステップS2→ステップS6→ステップS7→ステップS8→ステップS11→ステップS3→ステップS5へと進む流れとなり、差動制限制御が非実施とされる。
【0060】
次に、理想制動力配分特性と後輪先ロックによるブレーキ特性との交点Bからは、図2のフローチャートにおいて、ステップS1→ステップS2→ステップS6→ステップS7→ステップS8→ステップS11→ステップS9→ステップS10へと進む流れとなり、差動制限制御が実施とされる。
【0061】
理想制動力配分特性と後輪先ロック特性との交点であるB点にて差動制限制御の実施を開始すると、図5に示す前後輪制動力線図において、交点Bに至るまでは後輪先ロック特性に沿った制動力配分特性となり、交点B以降は差動制限が強い程、理想制動力配分特性に近づいて行く制動力配分特性を示す。
【0062】
よって、第2実施例のように、理想制動力配分特性と後輪先ロック特性との交点であるB点からリジッド4WDを得る差動制限制御を実施すると、ほぼEBD特性に一致する制動力配分特性を得ることができ、制動開始から交点Bまで差動制限制御を行わないことによる旋回性能の確保と、交点Bからリジッド4WDを得る差動制限制御を実施することによる短い停止距離の確保と、の両立を図ることができる。
【0063】
また、理想制動力配分特性と後輪先ロック特性との交点であるB点から可変4WDを得る差動制限制御を実施すると、図5のハッチングに示す領域を経過する制動力配分特性となり、B点以降のハッチング領域では理想制動力配分特性に近似する弱い後輪先ロック特性を示し、制動時の車両挙動安定性が確保される。
【0064】
次に、効果を説明する。
第2実施例のブレーキ制御装置にあっては、第1実施例の(1),(2),(3)の効果に加え、下記の効果を得ることができる。
【0065】
(5)制動対応差動制限制御手段は、制動中であると判断された場合、制動力理想配分線とブレーキ特性線とが交差する領域にて差動制限システムによる前後軸差動制限の実施を開始するため、制動力理想配分線とブレーキ特性線との交点に達するタイミングにてリジッド4WDを得る差動制限制御を実施すると、旋回性能の確保と短い停止距離の確保との両立を図ることができる。
【0066】
(第3実施例)
第3実施例は、制動中であると判断された場合、後輪先ロック線とブレーキ特性線とが交差する直前領域にて差動制限システムによる前後軸差動制限の実施を開始するようにした例である。なお、構成的には第1実施例の図1と同様であるので、図示並びに説明を省略する。
【0067】
[制動対応差動制限制御処理]
図6は第3実施例の差動制限コントローラ20にて実行される制動対応差動制限制御処理の流れを示すフローチャートで、以下、各ステップについて説明する(制動対応差動制限制御手段)。なお、ステップS1〜ステップS10は、第1実施例の図2と同様の処理であるので説明を省略する。
【0068】
ステップS12では、ステップS8において制動中であると判断された場合、車体速に対し後輪速が80%以上のスリップ率であるか(もしくは、車体速が5km/h以下であるか)否かが判断され、YESの場合はステップS9へ移行し、NOの場合はステップS5へ移行する。
ここで、「車体速に対し後輪速が80%以上のスリップ率」、もしくは、「車体速5km/h以下」の条件を判断するようにしたのは、後輪がロック傾向であり、かつ、安定性を確保可能なほぼ限界状態であることを判断できることによる。
【0069】
[EBD失陥状態での制動時]
EBD失陥状態での制動時には、制動開始から後輪先ロック線とブレーキ特性線(図7の点線にて示す後輪先ロックの特性線)との交差直前の点Cに至るまでは、図2のフローチャートにおいて、ステップS1→ステップS2→ステップS6→ステップS7→ステップS8→ステップS12→ステップS3→ステップS5へと進む流れとなり、差動制限制御が非実施とされる。
【0070】
次に、後輪先ロック線とブレーキ特性線との交差直前の点Cからは、図2のフローチャートにおいて、ステップS1→ステップS2→ステップS6→ステップS7→ステップS8→ステップS12→ステップS9→ステップS10へと進む流れとなり、差動制限制御が実施とされる。
【0071】
後輪先ロック線とブレーキ特性線との交差直前の点Cにて差動制限制御の実施を開始すると、図7に示す前後輪制動力線図において、点Cに至るまでは後輪先ロック特性に沿った制動力配分特性となり、点C以降は差動制限が強い程、より理想制動力配分特性に近づいて行く制動力配分特性を示す。
【0072】
よって、第3実施例のように、後輪先ロック線とブレーキ特性線との交差直前の点Cからリジッド4WDを得る差動制限制御を実施すると、制動開始点から点Cまでは後輪先ロック特性に沿った制動力配分特性となり、点C以降は直ちに理想制動力配分特性に沿う特性を得ることができ、制動開始から点Cまで差動制限制御を行わないことによるタイトコーナ・燃費悪化・操安性悪化を、第2実施例より広範囲で防止することができ、点Cからのリジッド4WDを得る差動制限制御を実施することで4輪同時ロックによる車両安定性を得ることができる。
【0073】
また、後輪先ロック線とブレーキ特性線との交差直前の点Cから可変4WDを得る差動制限制御を実施すると、図7のハッチングに示す領域を経過する制動力配分特性となり、C点以降のハッチング領域では後輪先ロックが弱められ、制動時の車両挙動安定性が確保される。
【0074】
次に、効果を説明する。
第3実施例のブレーキ制御装置にあっては、第1実施例の(1),(2),(3)の効果に加え、下記の効果を得ることができる。
【0075】
(5)制動対応差動制限制御手段は、制動中であると判断された場合、後輪先ロック線とブレーキ特性線とが交差する直前領域にて差動制限システムによる前後軸差動制限の実施を開始するため、タイトコーナ・燃費悪化・操安性悪化を、第2実施例より広範囲で防止することができる。
【0076】
以上、本発明のブレーキ制御装置を第1実施例〜第3実施例に基づき説明してきたが、具体的な構成については、これらの実施例に限られるものではなく、特許請求の範囲の各請求項に係る発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更や追加等は許容される。
【0077】
例えば、第1実施例〜第3実施例では、後輪駆動ベースの4輪駆動車への適用例を示したが、前輪駆動ベースの4輪駆動車へも適用することもできる。
【0078】
第1実施例〜第3実施例では、EBDシステムの故障時に差動制限制御を実施する例を示したが、EBDシステムを搭載していない車両に適用することもでき、この場合、制動時にEBD機能を発揮する差動制限制御を実施する。
【0079】
また、特開平10−203334号公報のステップM18として差動制限制御を使用しても良いし、ABSシステム関連ユニットの故障時に即使用しても良いし、さらに、組み合わせて使用しても良い。
【図面の簡単な説明】
【図1】
第1実施例のブレーキ制御装置を示す全体システム図である。
【図2】
第1実施例の差動制限コントローラにて実行される制動対応差動制限制御処理の流れを示すフローチャートである。
【図3】
第1実施例装置における制動力配分特性線を示す前輪制動力−後輪制動力線図である。
【図4】
第2実施例の差動制限コントローラにて実行される制動対応差動制限制御処理の流れを示すフローチャートである。
【図5】第2実施例装置における制動力配分特性線を示す前輪制動力−後輪制動力線図である。
【図6】第3実施例の差動制限コントローラにて実行される制動対応差動制限制御処理の流れを示すフローチャートである。
【図7】第3実施例装置における制動力配分特性線を示す前輪制動力−後輪制動力線図である。
【符号の説明】
1 エンジン
2 自動変速機
3 リヤプロペラシャフト
4 リヤディファレンシャル
5,6 リヤドライブシャフト
7 左後輪
8 右後輪
9 トラスファクラッチ(前後輪の差動制限手段)
10 フロントプロペラシャフト
11 フロントディファレンシャル
12,13 フロントドライブシャフト
14 左前輪
15 右前輪
16 エンジンコントローラ
17 自動変速コントローラ
19 前後差動制限アクチュエータ
20 差動制限コントローラ
21 アクセル開度センサ
22 前後加速度センサ
23 モード切替スイッチ
30 ブレーキペダル
31 ブースタ
32 マスタシリンダ
33,34 マスタシリンダ液圧パイプ
35 ABSアクチュエータ
36 左後輪ホイールシリンダ液圧パイプ
37 右後輪ホイールシリンダ液圧パイプ
38 左前輪ホイールシリンダ液圧パイプ
39 右前輪ホイールシリンダ液圧パイプ
40 左後輪ホイールシリンダ
41 右後輪ホイールシリンダ
42 左前輪ホイールシリンダ
43 右前輪ホイールシリンダ
44 ブレーキコントローラ
45 ブレーキランプスイッチ(ブレーキ操作検出手段)
46 左前輪速センサ(車輪速検出手段)
47 右前輪速センサ(車輪速検出手段)
48 左後輪速センサ(車輪速検出手段)
49 右後輪速センサ(車輪速検出手段)

Claims (6)

  1. 各輪へのブレーキ力を制御するブレーキシステムと、
    前後軸の差動を制限する差動制限手段を制御する差動制限システムと、
    を搭載した車両において、
    制動中であるか否かを判断する制動中判断手段と、
    前記制動中判断手段により制動中であると判断された場合、前記差動制限システムによる前後軸差動制限を実施する制動対応差動制限制御手段と、
    を有することを特徴とするブレーキ制御装置。
  2. 請求項1に記載されたブレーキ制御装置において、
    前後輪の制動力配分を電子制御により適正化する電子制御制動力配分システムと、
    前記電子制御制動力配分システムの失陥を検出する電子制御制動力配分システム失陥検出手段と、を設け、
    前記制動対応差動制限制御手段は、電子制御制動力配分システムの失陥検出時であって、制動中であると判断された場合、前記差動制限システムによる前後軸差動制限を実施することを特徴とするブレーキ制御装置。
  3. 請求項1または請求項2に記載されたブレーキ制御装置において、
    ブレーキ操作を検出するブレーキ操作検出手段と、
    車輪速を検出する車輪速検出手段と、を設け、
    前記制動中判断手段は、ブレーキ操作検出時で、かつ、車輪速低下時に制動中であると判断することを特徴とするブレーキ制御装置。
  4. 請求項1ないし請求項3の何れか1項に記載されたブレーキ制御装置において、
    前記制動対応差動制限制御手段は、制動中であると判断された場合、制動操作の開始領域にて差動制限システムによる前後軸差動制限の実施を開始することを特徴とするブレーキ制御装置。
  5. 請求項1ないし請求項3の何れか1項に記載されたブレーキ制御装置において、
    前記制動対応差動制限制御手段は、制動中であると判断された場合、制動力理想配分線とブレーキ特性線とが交差する領域にて差動制限システムによる前後軸差動制限の実施を開始することを特徴とするブレーキ制御装置。
  6. 請求項1ないし請求項3の何れか1項に記載されたブレーキ制御装置において、
    前記制動対応差動制限制御手段は、制動中であると判断された場合、後輪先ロック線とブレーキ特性線とが交差する直前領域にて差動制限システムによる前後軸差動制限の実施を開始することを特徴とするブレーキ制御装置。
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