JP2004299084A - 射出成形用金型およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】射出成形用金型において、小型かつ薄肉の成形品であっても、キャビティ内に発生するガスを簡単な構造で良好に排出させることができると共に、バリが生じるのを防止する。
【解決手段】溶融樹脂が充填されるキャビティ4を形成する射出成形用金型1において、通気性を有する多孔質金属体からなる通気部18を備えるガス抜き部材16が、通気部18によってキャビティ4の表面の一部が形成されるように配置されるとともに、通気部18を介してキャビティ4内部と型外とを連通させる通気孔15が設けられている。
【選択図】 図1
【解決手段】溶融樹脂が充填されるキャビティ4を形成する射出成形用金型1において、通気性を有する多孔質金属体からなる通気部18を備えるガス抜き部材16が、通気部18によってキャビティ4の表面の一部が形成されるように配置されるとともに、通気部18を介してキャビティ4内部と型外とを連通させる通気孔15が設けられている。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、溶融樹脂をキャビティに充填して所望形状の成形品を形成する射出成形用金型およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、型内にキャビティを形成する射出成形金型では、キャビティ内に溶融樹脂を射出して所望形状の部品を製造する際に、溶融樹脂から発生するガスがキャビティ内に残留すると成形不良となるため、型合わせ面やコアピン、エジェクタピン外周に形成される小さな隙間を通じて、キャビティ内部から金型の外部にガスを放出させる構造となっている(たとえば特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開2000−028955号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、近年、各種装置の小型化、薄型化が進んでおり、これに伴って機器の部品や筐体の一層の小型化、薄肉化が要求されている。
しかしながら、薄肉部品を射出成形によって製造する場合、溶融樹脂を高圧で射出すれば薄いキャビティの隅々まで溶融樹脂を行き渡らせやすい一方で、充填時間が短くなることによりキャビティ内にガスが残留しやすくなるという問題が生じる。
【0005】
これに対して、型合わせ面間の隙間や、コアピン、エジェクタピン外周の隙間等からガスを逃がす構造では、ガス抜き性を向上させるためには隙間の寸法を大きくすることが考えられる。しかしながら、大きい隙間には溶融樹脂が入り込みやすく、成形品にバリが発生する虞がある。
【0006】
また、バリの発生を抑えるために隙間の寸法を小さくすると、ガス抜き性能が期待通りに得られず、不十分となり、さらにこの隙間にガス化した樹脂が固化して付着するという問題が生じる。
【0007】
この発明は、このような事情を考慮してなされたもので、射出成形用金型において、小型かつ薄肉の成形品であっても、キャビティ内に発生するガスを簡単な構造で良好に排出させることができると共に、バリが生じるのを防止することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明の請求項1に係る射出成形用金型は、溶融樹脂が充填されるキャビティを形成する射出成形用金型において、通気性を有する多孔質金属体からなる通気部を備えるガス抜き部材が、通気部によってキャビティの金型面の一部が形成されるように配置されるとともに、通気部を介してキャビティ内部と型外とを連通させる通気孔が設けられていることを特徴としている。
【0009】
この発明によれば、溶融樹脂の充填時、キャビティ内のガスを、型合わせ面等の隙間だけでなく、多孔質の通気部から通気孔を介して型外に放出させることができる。
【0010】
請求項2の発明に係る射出成形用金型は、溶融樹脂が充填されるキャビティを形成する射出成形用金型であって、キャビティ内と型外とを連通させるピン挿通孔と、このピン挿通孔を塞ぐように配置されるガス抜きピンとを有し、このガス抜きピンが少なくともその先端に通気性を有する多孔質金属体からなる通気部を備えており、この通気部を介して前記キャビティ内部と型外とを連通させる通気孔が設けられていることを特徴としている。
【0011】
この発明によれば、キャビティ内のガスを型外に排出するために設けられるガス抜きピンの先端に通気部を設けることにより、ピン外周に形成される隙間からガスを排出させる場合よりも大きな面積でガスを通過させることができるので、圧力抵抗が小さくなり、ガス抜きを円滑に行うことができる。
【0012】
請求項3の発明に係る射出成形用金型は、請求項1または2の射出成形用金型において、通気部が、キャビティに近いほど気孔率が低い多層構造となっていることを特徴としている。
【0013】
この発明によれば、溶融樹脂の通気部内部への流入が阻止されるので、通気部の詰まりが防止されるとともに、キャビティ内から型外へガスを円滑に排出することができる。
【0014】
請求項4の発明に係る射出成形用金型は、請求項1から3の射出成形用金型において、通気部は、微細気孔を有する緻密層と、この緻密層より大きな気孔を有する高通気層とを有し、緻密層がキャビティに面して配置されることを特徴としている。
【0015】
この発明によれば、気孔が微細な緻密層をキャビティに面して配置することにより、通気部の気孔内に溶融樹脂が侵入しにくく、緻密層と成形品とが噛み合ったりせずに円滑な表面を形成することができる。また、この緻密層の背面に大きな気孔を有する高通気層を配することにより、良好なガス抜き性を得ることができる。
【0016】
請求項5の発明は、請求項1から4の射出成形用金型の製造方法であって、金属粉末を含むスラリーをドクターブレード法によりキャリアシート上に延ばしてスラリー層を形成するスラリー層形成工程と、このスラリー層を乾燥させてグリーンシートとする乾燥工程と、得られたグリーンシートを脱脂・焼結して焼成体とする焼成工程と、焼成体あるいはグリーンシートを加工成形して通気部としての形状を付与する成形工程とを行うことにより、通気部を製造することを特徴としている。
【0017】
この発明によれば、金属粉末を圧縮せずに焼結することができるので、ガスを通過させるのに十分な気孔を有する多孔質金属体を製造することができる。
【0018】
請求項6の発明に係る射出成形用金型の製造方法は、請求項5の射出成形用金型の製造方法において、スラリー層形成工程の後に、スラリーとは異なる成分からなるスラリーをスラリー層上にドクターブレード法により延ばしてスラリー層を積層するスラリー積層工程を有し、このスラリー積層工程を1回以上行うことを特徴としている。
【0019】
この発明によれば、成分が異なる多層の多孔質金属体を製造することができるので、通気部の気孔径や気孔率、硬度等の性質を、使用する溶融樹脂に応じて適宜調節し、適切な成形性やガス抜き性を有する通気部を製造することができる。
【0020】
請求項7の発明に係る射出成形用金型の製造方法は、請求項3または4の射出成形用金型の製造方法であって、金属粉末を含むスラリーをドクターブレード法によりキャリアシート上に延ばしてスラリー層を形成するスラリー層形成工程と、前記スラリーとは異なる成分からなるスラリーを前記スラリー層上にドクターブレード法により延ばしてスラリー層を積層する工程を1回以上行うスラリー層積層工程と、成分が異なる各スラリーからなる各スラリー層のうち、高通気層を形成するスラリー層に含有させた発泡剤を発泡させて発泡グリーンシートとする発泡工程と、発泡グリーンシートを乾燥させてグリーンシートとする乾燥工程と、グリーンシートを脱脂・焼結して焼成体とする焼成工程と、この焼成体あるいはグリーンシートを加工成形して通気部としての形状を付与する成形工程とを行うことにより、緻密層および前記高通気層を有する前記通気部を製造することを特徴としている。
【0021】
この発明によれば、発泡剤を含有させて発泡させることにより、より大きな気孔を形成することができるので、たとえばキャビティに面しては溶融樹脂を通過させない緻密な気孔を有する緻密層を形成して平滑な成形面の成形を可能とする一方、キャビティから遠い側(型外側)ほど大きな気孔を有する高通気層を形成してガス抜き性を向上させる構造の通気部を製造することが可能となる。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照し、この発明の実施の形態について説明する。図1から図4はこの発明の第1の実施の形態に係る射出成形用金型を示す図であって、図1は射出成形用金型の概略図、図2は同じく射出成形用金型の要部を示す拡大図、図3はガス抜き部材の通気部を形成するのに用いるグリーンシート製造装置を示す説明図、図4はガス抜き部材の通気部の断面構成を概略的に示す拡大説明図である。
図1および図2に示す射出成形用金型(以下、金型と略称す)1は、固定金型2と可動金型3とから構成され、両型2、3間に溶融樹脂が充填されて成形品を得るためのキャビティ4が形成されている。
【0023】
固定金型2は、概略的には、固定側取付板5の表面に固定金型板6が取り付けられ、固定金型板6の表面にキャビティ4が形成されている。可動金型3は、可動側取付板7の上に配置された可動金型板8と、可動金型板8を貫通してキャビティ4の表面の一部を形成するガス抜きピン(ガス抜き部材)16とを備えている。
【0024】
ここで、ガス抜きピン16について説明する。ガス抜きピン16は、可動金型板8を型開閉方向に貫通するピン挿通孔14に対して、先端面がキャビティ4表面と面一となるように嵌合保持されている。ガス抜きピン16およびピン挿通孔14は、長手方向に垂直な断面が円形で、キャビティ4に向かい段階的に径が縮小された形状を有している。ガス抜きピン16の基端側(可動側取付板7)側において、ガス抜きピン16の外周面とピン挿通孔14の内周面との間にはガスが通過できる空間15aが形成されており、この空間15aはさらに、可動側取付板7と可動金型板8との間に設けられ型外に連通する溝15bに連通している。なお、通気孔15の金型1外側の端部は、大気に開放されていてもよく、また排気ポンプ等の排気装置(図示せず)と接続されていてもよい。
【0025】
ガス抜きピン16は、中実の鋼材等によって一体に成形された段付円柱状の基部17と、多孔質金属体により形成されて基部17の先端面にロウ付けされた通気部18とを備えている。通気部18は、その先端面がキャビティ4の表面(金型面)と同一平面をなし、成形品の表面の一部を形成する。また、通気部18の基端側は、空間15a内まで延びている。
【0026】
ガス抜きピン16の基部17は、ガス抜きピン16の長手方向に延在する4本の溝部17aが周方向に等間隔を空けて離間して設けられている小径部17Aと、この小径部17Aよりも大径の大径部17Bとを有している。各溝部17aは、通気部18に連通する深さで設けられている。また、大径部17Bの外周面とピン挿通孔14の内周面との間には空間が形成されている。
すなわち、ガス抜きピン16の基部17は、小径部17Aの外周面がピン挿通孔14の内周面に嵌合支持されており、各溝部17aおよび大径部17Bとピン挿通孔14との間が空間15aとなっている。
【0027】
ガス抜きピン16の通気部18は、全体に連通する気孔を有しており、キャビティ4と空間15aとの間でのガスの流通を可能としている。つまり、空間15aと溝15bとからなる通気孔15は、通気部18を介してキャビティ4の内部に連通している。
【0028】
さらに、通気部18は図2に示すように、微細気孔を有する緻密層18Aと、緻密層18Aの気孔よりも大きい気孔を有し通気性が高い高通気層18Bとを備えた2層構造となっており、いずれもガスが通過する連続的な空孔を有している。緻密層18Aは、キャビティ4に面して配置され、ガスは通過させるが溶融樹脂は侵入できない大きさ(たとえば平均気孔径10μm以下)の気孔が、キャビティ4側から高通気層18B側まで連通している。一方高通気層18Bは、緻密層18Aよりも通気性が高く、その気孔が緻密層18A側から空間15a側まで連通している。なお、高通気層18Bの平均孔径は、50μm以下であることが望ましい。
この通気部18は、図3に示すグリーンシート製造装置21を用いて製造されたグリーンシートを焼成して形成される。
【0029】
そして、このように構成された金型1において、溶融樹脂が図示しない射出機構によって、スプールブッシュ10およびランナ11を通じて、キャビティ4の上部中央部に設けられたゲート12からキャビティ4内に注入される。
このとき、キャビティ4内のガスは、ゲート12から可動金型板8へ向かって流れる溶融樹脂に押されて、ガス抜きピン16から通気孔15を介して金型1外部へと排出される。このガス抜きピン16(通気部18)の表面が形成する溶融樹脂の表面は、気孔が微細で溶融樹脂が通過できない構成の緻密層18Aによって、平滑に形成される。
【0030】
このように、キャビティ4内に溶融樹脂が充填されることで、キャビティ4の形状に沿った成形品が得られるようになっている。
なお、キャビティ4内に充填された樹脂が硬化した後、可動機構によって可動金型3が固定金型2から離れるとともに、図示しないエジェクタピン(突き出しピン)が突出して成形品を突き出すことで、金型1から成形品が抜けるようになっている。
【0031】
ここで、緻密層18Aおよび高通気層18Bを有する通気部18の製造方法を説明する。
まず、図3に示すグリーンシート製造装置21は、グリーンシートを形成するための下地としてキャリアシート22を用いるものであって、キャリアシート22が巻き回された巻き出しリール23と、巻き出しリール23からキャリアシート22を巻き取る巻き取りリール24と、巻き出しリール23と巻き取りリール24との間で巻き出しリール23から引き出されたキャリアシート22の少なくとも一部区間を水平状態に保持する複数の支持ロール25とを有しており、キャリアシート22において支持ロール25によって保持される区間が、グリーンシート形成に供されるシート形成区間とされる。
【0032】
シート形成区間には、緻密層18Aの原料となる第一スラリーをキャリアシート22上に連続的に供給する第一のホッパー26が設けられている。この第一のホッパー26の下流側には、第一のホッパー26からキャリアシート22上に供給されてキャリアシート22とともに下流側に移動する第一スラリーを、所望の厚みの第一スラリー層L1に成形する第一のドクターブレード27が設けられている。
【0033】
ここで、第一スラリーとしては、原料粉末(金属粉末)とバインダーとの混合体、または必要に応じてこの混合体に界面活性剤を添加したものが用いられる。本実施形態では、第一スラリーの成分は、原料粉末としてSUS316Lの粉末(平均粒径12μm)30〜70重量%、バインダーとしてメチルセルロース0.5〜20重量%、グリセリン0.1〜15重量%を含み、残りが水となっている。この第一スラリーに界面活性剤を添加する場合には、界面活性剤としてドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムが用いられる。
【0034】
さらに、シート形成区間において、第一のドクターブレード27の下流側には、高通気層18Bの原料となる第二スラリーをキャリアシート22上の第一スラリー層L1上に連続的に供給する第二のホッパー28が設けられている。この第二のホッパー28の下流側には、第二のホッパー28から第一スラリー層L1上に供給されてキャリアシート22とともに下流側に移動する第二スラリーを、所望の厚みの第二のスラリー層L2に成形する第二のドクターブレード29が設けられている。
【0035】
ここで、第二スラリーとしては原料粉末(金属粉末)、バインダー、界面活性剤および発泡剤の混合体からなるものが用いられる。
本実施形態では、第二スラリーは、原料粉末としてSUS316Lの粉末(平均粒径12μm)を30〜80重量%、バインダーとしてメチルセルロース0.5〜20重量%、グリセリン0.1〜15重量%および界面活性剤としてドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムを0.05〜5重量%、発泡剤としてヘキサン0.5〜10重量%含み、残りが水となっている。
【0036】
シート形成区間において第二のドクターブレード29の下流側には、キャリアシート22とともに下流側に移動する第一、第二のスラリー層L1,L2を、高湿度雰囲気下で加熱する恒温・高湿度槽31が設けられている。恒温・高湿度槽31の下流側には、キャリアシート22とともに下流側に移動する第一、第2スラリー層L1,L2からなる複合スラリー層Lを乾燥させて複合グリーンシートSとする乾燥槽32が設けられている。
【0037】
つまり、グリーンシート製造装置21は、巻き取りリール24によって巻き出しリール23からキャリアシート22を巻き取ってシート形成区間でキャリアシート22を移動させることで、キャリアシート22上に第一、第二スラリー層L1,L2を連続的に形成して、グリーンシートとするものである。
【0038】
そして、通気部18は、このように形成されたグリーンシートを加工・成形して所望の形状を付与し、脱脂・焼結することにより、2層の多孔質金属体(焼成体)として製造される。
【0039】
つぎに通気部18の製造方法について、工程を順に追いながら説明する。
〔スラリー層形成工程〕
まず、キャリアシート22の移動に伴って、第一のホッパー26からキャリアシート22上に第一スラリーが連続的に供給され、この第一スラリーが第一のドクターブレード27によって所望の厚み(本実施形態では200μm)の第一スラリー層L1に成形される。
【0040】
〔スラリー層積層工程〕
シート形成区間において第一のドクターブレード27よりも下流側で、キャリアシート22とともに下流側に移動する第一スラリー層L1上に、第二のホッパー28から発泡剤を含有する第二スラリーが連続的に供給され、この第二スラリーが第二のドクターブレード29によって所望の厚み(本実施形態では200μm)の第二スラリー層L2が成形され、2層に積層された複合スラリー層Lが形成される。
【0041】
なお、本実施形態では2層からなる通気部18を製造するため、グリーンシート製造装置21に備えられたホッパーおよびドクターブレードは2個であり、スラリー層積層工程は1回のみ行う。たとえば3層以上の多層の通気部を製造する場合には、グリーンシート製造装置21に備えるホッパーおよびドクターブレードの設置数を増やして、このスラリー層積層工程を繰り返せばよい。
【0042】
〔発泡工程〕
このようにしてキャリアシート22上に積層された複合スラリー層Lは、キャリアシート22の移動に伴って恒温・高湿度槽31内に搬入されて、高湿度雰囲気下での熱処理(本実施形態では湿度90%、温度40℃で20分間)が施される。この熱処理により、複合スラリー層Lの一方の表面をなす第二スラリー層L2に含まれる発泡剤が気化し、第二スラリー層L2が発泡してスポンジ状となった発泡グリーンシートが得られる。
なお、この加熱処理は高湿度雰囲気下で行われているので、第一、第二スラリー層L1,L2に含まれるバインダー(メチルセルロース)は揮発せず、第一、第二スラリー層L1,L2内に留まる。したがって、第二スラリー層L2は、容易に塑性変形可能な状態で発泡され、ひび割れ等を生じずにスポンジ状となる。
【0043】
〔乾燥工程〕
第二スラリー層L2の発泡が行われた発泡グリーンシート(複合スラリー層)Lは、キャリアシート22の移動に伴って乾燥槽32に搬入されて、加熱処理(本実施形態では空気中で温度80℃、15分間)により各スラリー層に含まれる水分が飛ばされ、複合グリーンシートSとなる。
【0044】
〔成形工程〕
ここで、複合グリーンシートSを加工・成形して、通気部18としての形状を付与する。本実施形態では、通気部18は円柱状材であるから、複合グリーンシートSから円柱状の部材をたとえばワイヤーカット等により切り出せばよい。
【0045】
〔焼成工程〕
通気部18の形状を有する複合グリーンシートSを、図示しない脱脂装置および焼結炉に順次送り込み、脱脂・焼結処理を行って焼成体とする。この焼成体は、原料粉末の粒子同士が圧縮されずに焼結により結合されたものであるから、発泡剤を含まない第一スラリーからなる層では微細な気孔が形成され、発泡剤を含む第二スラリーからなる層では発泡により大きく間隔が空けられた粒子間に大きな気孔が形成された状態となり、各層の気孔が互いに連通した多孔質金属体である。
【0046】
脱脂装置は、たとえば空気中で温度500℃、15分間の熱処理を行うものであり、この処理によって複合グリーンシートS中に含まれるバインダー(糊成分)が飛ばされ、原料粉末の粒子間に空隙が形成された状態となる。
焼結炉としては、たとえば真空炉が用いられるが、真空炉による焼結では酸化する虞のある材質を原料粉末として用いている場合には還元雰囲気下、たとえば5%の水素分子ガスを含む窒素ガス雰囲気下で処理を行うものとする。本実施形態では、真空雰囲気下で温度1200℃、100分間の熱処理を行うことにより、各スラリーの原料粉末を焼結させる。
【0047】
このようにして得られた焼成体は、図4に示すように第一スラリー層L1によって構成される部分が微細気孔を有する緻密層18A,第二スラリー層L2によって構成される部分がより大きな気孔を有する高通気層18Bとなる。
【0048】
この時点で、第一スラリー層L1によって構成される部分の空隙率は20〜60%の範囲内であり、第二スラリー層L2によって構成される部分の空隙率は85〜98%の範囲内である。このようにして得られた焼成体に、必要に応じて圧延処理を施して所望の厚みあるいは空隙率を得ることができる。なお、焼成体を圧延しても、各層は厚み方向に圧縮されるだけであって、いびつな形状に変形することはなく、内部の連続気孔は維持される。
【0049】
このようにして得られた、表面から背面まで連通した気孔を有する通気部18を、射出成形用金型1のキャビティ4においてガス抜きピン9の先端部に配置したことにより、射出充填時のキャビティ4内のガスを、通気部18から金型1外部に円滑に排出させることができ、ガス抜き不全による充填不良等を防止することができる。また、通気部18のキャビティ4を形成する面を、微細な気孔を有する緻密層18Aとしたことにより、溶融樹脂が気孔内に入り込んで噛み合ったりバリとなったりすることがなく、平滑な成形面を有する成形体を得ることができる。
【0050】
なお、通気部18の原料として用いられる金属粉末は、上述したSUS316Lのほかにも、通気部として要求される特性に応じて任意の材料の粉末を用いるころができる。たとえば、射出成形の原料として腐食性ガスを発生させる樹脂を用いる場合には、少なくとも緻密層18Aの原料粉末として、耐食性を有する材料、例えばニッケル基合金、特にハステロイ(登録商標)C−22の粉末を用いればよい。また、耐磨耗性を向上させたい場合には、緻密層18Aの原料粉末として、耐磨耗性を有する材料、例えば超硬合金の粉末を用いればよい。
【0051】
このようにして得られた、表面から背面まで連通した気孔を有する通気部18を、射出成形金型1のキャビティ4の金型面の一部を形成するようにガス抜きピン)の先端部に配置した金型1によれば、従来のようにピンと金型とのわずかな隙間のみからガスを抜くのではなく、ピン自体に通気部として多孔質状のガス抜き構造を与え、ここから型外へとガスを排出させることができるので、隙間に溶融樹脂が侵入することによるバリの発生を防止することができる。また、キャビティ4から溶融樹脂が漏れ出すことがないように緻密層18Aの気孔率を調整したことにより、溶融樹脂の詰まりが防止される。これにより、射出成形機を停止させてピン挿通孔14やガス抜きピン9の清掃を行う頻度が従来に比べて格段に低くなるので、生産性を大幅に向上することができる。
【0052】
つぎに、本発明の第2の実施形態について図5を参照して説明する。本実施形態の射出成形用金型1の構成は、ガス抜き部材(ガス抜きピン)40の構造を除いて第1の実施形態と同様の構成であるので、ここではガス抜きピン40およびガス抜き構造についてのみ説明し、他は説明を省略する。
【0053】
本実施形態のガス抜きピン40は、段付円柱状の鋼材からなり、可動金型板8に固定された基部41と、この基部41の先端に被着された多孔質金属体からなる通気部42とで構成されている。
【0054】
基部41は、ピン挿通孔14に対して長手方向の移動を規制するように配置された円柱状の大径部41Aと、ピン挿通孔14の内周面に嵌合され径方向の移動を規制するように配置された円柱状の小径部41Bと、小径部41Bの先端側からキャビティ4側へ突出する円柱状の突出部41Cとが、軸線を一致させて形成された段付円柱状の部材である。この基部41において、大径部41Aおよび小径部41Bには、第一の実施形態と同様の4本の溝部40aが設けられており、ピン挿通孔14の内面と、小径部41Bの端面、各溝部40a、大径部41Aの外面との間にそれぞれ空間43a,43b,43cが形成されている。さらに、可動金型板8と可動側取付板7との間に、空間43cに連通する溝43dが形成されており、順次連通する空間43a,43b,43cおよび溝43dによって通気孔43が構成されている。
【0055】
通気部42は、キャビティ4の金型面の一部を形成する緻密層42Aと、その背面に配置された高通気層42Bからカップ状に形成され、基部41の突出部41Cに被せられてピン挿通孔14のキャビティ4側開口部を塞いでいる。そしてこの通気部42は、第1の実施形態と同様に、図3に示すグリーンシート製造装置21を用いて製造されたグリーンシートを焼成して形成され、基部41に対してロウ付けにより固定されている。
【0056】
この通気部42をカップ状に製造するには、たとえば、グリーンシートの状態で、微細な気孔を有する層と大きな気孔を有する層の2層からなる構造の円板状の天板部42aと、大きな気孔を有する筒状部42bとを別々に成形しておく。そして、これらを一体に焼成工程を行い、接合すればよい。なお、筒状部42bは、1層のグリーンシートを帯状に切り出して、円筒状に丸めれば成形できる。
また、天板部42aと筒状部42bとは、それぞれの形状で焼成体とした後に、拡散接合等により接合することも可能である。
【0057】
このように製造された通気部42は、キャビティ4に面する緻密層42Aが、ガスは通過させるが溶融樹脂は通過させない微細な気孔を有しており、その背面に位置する高通気層42Bが、ガスを容易に通過させる大きな気孔を有している。各層の気孔は連通しているので、通気部42は、キャビティ4と空間43aとの間を、溶融樹脂は侵入させずガスは通過させる構造となっている。
【0058】
以上説明したガス抜きピン40を備えた金型1によれば、キャビティ4内のガスを、通気部42を通過させた後、通気孔43から型外へ円滑に排出させることができる。
本実施形態では、多孔質金属体からなる通気部42が、強度の高い鋼材からなる突出部41Cの外側に被せられているので、多孔質金属体の厚みが小さく、全体に対して占める体積比率が小さくなっている。したがって、より強度の高いガス抜きピン40を得ることができる。
【0059】
つぎに、本発明の第3の実施形態を図6および図7を参照して説明する。なお、上記各実施形態において既に説明した構成要素には、同一符号を付して説明を省略する。
本実施形態において、ガス抜き部材(ガス抜きピン)50は、鋼材からなる円柱状の基部51と、基部51の先端に配置された多孔質金属体からなる通気部52とを有し、通気部52の表面をキャビティ4に向けて、可動金型板8に設けられたピン挿通孔14内に嵌合されている。
【0060】
通気部52は、上記各実施形態と同様に、ガスは通過させるが溶融樹脂を通過させない微細な気孔を有する緻密層52Aと、それよりも大きな気孔を有し容易にガスを通過させる高通気層52Bとを備えている。この通気部52は、緻密層52Aの表面でもってキャビティ4の金型面の一部を構成するように配置されており、その気孔は緻密層52Aの表面から高通気層52Bの背面まで連通している。
この通気部52は、上記各実施形態と同様に、図3に示すグリーンシート製造装置21を用いて製造されたグリーンシートを焼成して形成され、基部51の上端面51aにロウ付けにより固定されている。
【0061】
基部51は、図7に示すように、上端面51aに形成され径方向に延びる4本の溝部51bと、これら溝部51bに連通して下端側で部材外に開放される通気孔51cとを有しており、上端面51a側と下端側とが溝部51bおよび通気孔51cを介して連通されている。
【0062】
すなわち、本実施形態のガス抜きピン50は、キャビティ4内のガスを、通気部52から各溝部51bおよび通気孔51cを介して、型外へ放出させることができる構造となっている。この構造は、基部51と通気部52とが同一径の円柱状となっているのでピン挿通孔14に対して軸方向に摺動可能であり、可動金型板8に対して進退するエジェクタピン等にも適用することができる。
【0063】
図8に本発明の第4の実施形態を示す。この実施形態のガス抜き部材(ガス抜きピン)60は、鋼材からなる基部61と、その先端部に配置された通気部62とを有している。
基部61は、先端面に設けられた凹部61aと、この凹部61aの底面に形成された径方向に延びる4本の溝部61bと、これら溝部61bから基部61の長手方向に延びてガス抜きピン60の外部へ連通する通気孔61cとを有する円柱状の部材である。
通気部62は、上記各実施形態の各通気部と同様の気孔を有する緻密層62Aおよび高通気層62Bの2層からなり、緻密層62Aをキャビティ4に向けて凹部61aに埋め込まれている。
【0064】
本実施形態のガス抜きピン60を備えた金型1では、基部61の先端面およびその内側の通気部62の表面がキャビティ4に面して配置されている。そして、ガス抜きピン60の先端面を含む金型面に沿って、キャビティ4内に射出された溶融樹脂が成形される。キャビティ4内のガスは、キャビティ4を満たす溶融樹脂に押されて通気部62を通り、溝部61bから通気孔61cを通過して型外へと排出される。
【0065】
以上、第1〜第4の実施形態を示して説明したように、本発明の射出成形用金型によれば、キャビティの成形面をなすピンの先端に通気性を有する部材を設けることによりガスが流出できる面積を大きくし、キャビティ内のガスを型外へ円滑に排出できるので、充填不良を防ぎ生産性のよい射出成形が可能となる。
【0066】
なお、上記各実施形態では緻密層の背面に通気性が高い高通気層を配置して通気孔に連通させたが、緻密層に通気孔を連通させることができれば、緻密層のみあればよく、高通気層は必ずしも配置しなくてもよい。また、粘度が高い溶融樹脂を用いる場合等、使用される溶融樹脂の性状によっては、溶融樹脂が気孔内へ侵入しにくいので、ガス抜けのよい1層の通気部を設ければ足りる場合もある。さらに、ガスの抜けの善し悪しを調整する意味を含めて通気部を3層以上の多層構造としてもよい。
【0067】
さらに、本実施形態においてはガス抜きピンの基部を中実の鋼材としたが、たとえば一般的な焼結金属によってこれを製造してもよい。この場合、ガスがガス抜きピン全体の内部を通過できるようであれば、より高いガス抜き性を得ることができる。
【0068】
本実施形態では、ガス抜き部材としてガス抜きピンを配置したが、たとえばキャビティ内に突出する雄型として用いられるコアピンをガス抜き部材として用いてもよい。上記実施形態のようにガス抜きピンを配置する場合は、金型1におけるガス抜きピンの設置位置を、キャビティ4の形状等から予測できる溶融樹脂の最終充填箇所(溶融樹脂が最後に充填されるところ)とすることが望ましい。
【0069】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の請求項1に係る射出成形用金型によれば、溶融樹脂の充填時、キャビティ内のガスを、型合わせ面等の隙間だけでなく、多孔質の通気部から通気孔を介して型外に放出させることができる。
【0070】
請求項2の発明に係る射出成形用金型によれば、キャビティ内のガスを型外に排出するために設けられるガス抜きピンの先端に通気部を設けることにより、ピン外周に形成される隙間からガスを排出させる場合よりも大きな面積でガスを通過させることができるので、圧力抵抗が小さくなり、ガス抜きを円滑に行うことができる。
【0071】
請求項3の発明に係る射出成形用金型によれば、溶融樹脂の通気部内部への流入が阻止されるので、通気部の詰まりが防止されるとともに、キャビティ内から型外へガスを円滑に排出することができる。
【0072】
請求項4の発明に係る射出成形用金型によれば、気孔が微細な緻密層をキャビティに面して配置することにより、通気部の気孔内に溶融樹脂が侵入しにくく、緻密層と成形品とが噛み合ったりせずに円滑な表面を形成することができる。また、この緻密層の背面に大きな気孔を有する高通気層を配することにより、良好なガス抜き性を得ることができる。
【0073】
請求項5の発明に係る射出成形用金型の製造方法によれば、金属粉末を圧縮せずに焼結することができるので、ガスを通過させるのに十分な気孔を有する多孔質金属体を製造することができる。
【0074】
請求項6の発明に係る射出成形用金型の製造方法によれば、成分が異なる多層の多孔質金属体を製造することができるので、通気部の気孔径や気孔率、硬度等の性質を、使用する溶融樹脂に応じて適宜調節し、適切な成形性やガス抜き性を有する通気部を製造することができる。
【0075】
請求項7の発明に係る射出成形用金型の製造方法によれば、発泡剤を含有させて発泡させることにより、より大きな気孔を形成することができるので、たとえばキャビティに面しては溶融樹脂を通過させない緻密な気孔を有する緻密層を形成して平滑な成形面の成形を可能とする一方、キャビティから遠い側(型外側)ほど大きな気孔を有する高通気層を形成してガス抜き性を向上させる構造の通気部を製造することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態を示す図であって、射出成形用金型の概略構成を示す縦断面図である。
【図2】図1に示す金型におけるガス抜き部材周辺の構造を示す断面図である。
【図3】ガス抜き部材を形成するのに用いるグリーンシート製造装置を示す説明図である。
【図4】本発明のガス抜き部材の断面構成を概略的に示す拡大説明図である。
【図5】本発明の第2の実施形態に係る射出成形用金型の概略構成を示す縦断面図である。
【図6】本発明の第3の実施形態に係る射出成形用金型に備えられたガス抜き部材の構成を示す図である。
【図7】図6におけるVI−VI線を示す矢視断面図である。
【図8】本発明のさらに他の実施形態に係る射出成形用金型に備えられたガス抜き部材の構成を示す図である。
【符号の説明】
1 射出成形用金型
2 可動金型
3 固定金型
4 キャビティ
10 ガス抜きピン
14 ピン挿通孔
15 通気孔
16 ガス抜き部材
18 通気部
【発明の属する技術分野】
本発明は、溶融樹脂をキャビティに充填して所望形状の成形品を形成する射出成形用金型およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、型内にキャビティを形成する射出成形金型では、キャビティ内に溶融樹脂を射出して所望形状の部品を製造する際に、溶融樹脂から発生するガスがキャビティ内に残留すると成形不良となるため、型合わせ面やコアピン、エジェクタピン外周に形成される小さな隙間を通じて、キャビティ内部から金型の外部にガスを放出させる構造となっている(たとえば特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開2000−028955号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、近年、各種装置の小型化、薄型化が進んでおり、これに伴って機器の部品や筐体の一層の小型化、薄肉化が要求されている。
しかしながら、薄肉部品を射出成形によって製造する場合、溶融樹脂を高圧で射出すれば薄いキャビティの隅々まで溶融樹脂を行き渡らせやすい一方で、充填時間が短くなることによりキャビティ内にガスが残留しやすくなるという問題が生じる。
【0005】
これに対して、型合わせ面間の隙間や、コアピン、エジェクタピン外周の隙間等からガスを逃がす構造では、ガス抜き性を向上させるためには隙間の寸法を大きくすることが考えられる。しかしながら、大きい隙間には溶融樹脂が入り込みやすく、成形品にバリが発生する虞がある。
【0006】
また、バリの発生を抑えるために隙間の寸法を小さくすると、ガス抜き性能が期待通りに得られず、不十分となり、さらにこの隙間にガス化した樹脂が固化して付着するという問題が生じる。
【0007】
この発明は、このような事情を考慮してなされたもので、射出成形用金型において、小型かつ薄肉の成形品であっても、キャビティ内に発生するガスを簡単な構造で良好に排出させることができると共に、バリが生じるのを防止することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明の請求項1に係る射出成形用金型は、溶融樹脂が充填されるキャビティを形成する射出成形用金型において、通気性を有する多孔質金属体からなる通気部を備えるガス抜き部材が、通気部によってキャビティの金型面の一部が形成されるように配置されるとともに、通気部を介してキャビティ内部と型外とを連通させる通気孔が設けられていることを特徴としている。
【0009】
この発明によれば、溶融樹脂の充填時、キャビティ内のガスを、型合わせ面等の隙間だけでなく、多孔質の通気部から通気孔を介して型外に放出させることができる。
【0010】
請求項2の発明に係る射出成形用金型は、溶融樹脂が充填されるキャビティを形成する射出成形用金型であって、キャビティ内と型外とを連通させるピン挿通孔と、このピン挿通孔を塞ぐように配置されるガス抜きピンとを有し、このガス抜きピンが少なくともその先端に通気性を有する多孔質金属体からなる通気部を備えており、この通気部を介して前記キャビティ内部と型外とを連通させる通気孔が設けられていることを特徴としている。
【0011】
この発明によれば、キャビティ内のガスを型外に排出するために設けられるガス抜きピンの先端に通気部を設けることにより、ピン外周に形成される隙間からガスを排出させる場合よりも大きな面積でガスを通過させることができるので、圧力抵抗が小さくなり、ガス抜きを円滑に行うことができる。
【0012】
請求項3の発明に係る射出成形用金型は、請求項1または2の射出成形用金型において、通気部が、キャビティに近いほど気孔率が低い多層構造となっていることを特徴としている。
【0013】
この発明によれば、溶融樹脂の通気部内部への流入が阻止されるので、通気部の詰まりが防止されるとともに、キャビティ内から型外へガスを円滑に排出することができる。
【0014】
請求項4の発明に係る射出成形用金型は、請求項1から3の射出成形用金型において、通気部は、微細気孔を有する緻密層と、この緻密層より大きな気孔を有する高通気層とを有し、緻密層がキャビティに面して配置されることを特徴としている。
【0015】
この発明によれば、気孔が微細な緻密層をキャビティに面して配置することにより、通気部の気孔内に溶融樹脂が侵入しにくく、緻密層と成形品とが噛み合ったりせずに円滑な表面を形成することができる。また、この緻密層の背面に大きな気孔を有する高通気層を配することにより、良好なガス抜き性を得ることができる。
【0016】
請求項5の発明は、請求項1から4の射出成形用金型の製造方法であって、金属粉末を含むスラリーをドクターブレード法によりキャリアシート上に延ばしてスラリー層を形成するスラリー層形成工程と、このスラリー層を乾燥させてグリーンシートとする乾燥工程と、得られたグリーンシートを脱脂・焼結して焼成体とする焼成工程と、焼成体あるいはグリーンシートを加工成形して通気部としての形状を付与する成形工程とを行うことにより、通気部を製造することを特徴としている。
【0017】
この発明によれば、金属粉末を圧縮せずに焼結することができるので、ガスを通過させるのに十分な気孔を有する多孔質金属体を製造することができる。
【0018】
請求項6の発明に係る射出成形用金型の製造方法は、請求項5の射出成形用金型の製造方法において、スラリー層形成工程の後に、スラリーとは異なる成分からなるスラリーをスラリー層上にドクターブレード法により延ばしてスラリー層を積層するスラリー積層工程を有し、このスラリー積層工程を1回以上行うことを特徴としている。
【0019】
この発明によれば、成分が異なる多層の多孔質金属体を製造することができるので、通気部の気孔径や気孔率、硬度等の性質を、使用する溶融樹脂に応じて適宜調節し、適切な成形性やガス抜き性を有する通気部を製造することができる。
【0020】
請求項7の発明に係る射出成形用金型の製造方法は、請求項3または4の射出成形用金型の製造方法であって、金属粉末を含むスラリーをドクターブレード法によりキャリアシート上に延ばしてスラリー層を形成するスラリー層形成工程と、前記スラリーとは異なる成分からなるスラリーを前記スラリー層上にドクターブレード法により延ばしてスラリー層を積層する工程を1回以上行うスラリー層積層工程と、成分が異なる各スラリーからなる各スラリー層のうち、高通気層を形成するスラリー層に含有させた発泡剤を発泡させて発泡グリーンシートとする発泡工程と、発泡グリーンシートを乾燥させてグリーンシートとする乾燥工程と、グリーンシートを脱脂・焼結して焼成体とする焼成工程と、この焼成体あるいはグリーンシートを加工成形して通気部としての形状を付与する成形工程とを行うことにより、緻密層および前記高通気層を有する前記通気部を製造することを特徴としている。
【0021】
この発明によれば、発泡剤を含有させて発泡させることにより、より大きな気孔を形成することができるので、たとえばキャビティに面しては溶融樹脂を通過させない緻密な気孔を有する緻密層を形成して平滑な成形面の成形を可能とする一方、キャビティから遠い側(型外側)ほど大きな気孔を有する高通気層を形成してガス抜き性を向上させる構造の通気部を製造することが可能となる。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照し、この発明の実施の形態について説明する。図1から図4はこの発明の第1の実施の形態に係る射出成形用金型を示す図であって、図1は射出成形用金型の概略図、図2は同じく射出成形用金型の要部を示す拡大図、図3はガス抜き部材の通気部を形成するのに用いるグリーンシート製造装置を示す説明図、図4はガス抜き部材の通気部の断面構成を概略的に示す拡大説明図である。
図1および図2に示す射出成形用金型(以下、金型と略称す)1は、固定金型2と可動金型3とから構成され、両型2、3間に溶融樹脂が充填されて成形品を得るためのキャビティ4が形成されている。
【0023】
固定金型2は、概略的には、固定側取付板5の表面に固定金型板6が取り付けられ、固定金型板6の表面にキャビティ4が形成されている。可動金型3は、可動側取付板7の上に配置された可動金型板8と、可動金型板8を貫通してキャビティ4の表面の一部を形成するガス抜きピン(ガス抜き部材)16とを備えている。
【0024】
ここで、ガス抜きピン16について説明する。ガス抜きピン16は、可動金型板8を型開閉方向に貫通するピン挿通孔14に対して、先端面がキャビティ4表面と面一となるように嵌合保持されている。ガス抜きピン16およびピン挿通孔14は、長手方向に垂直な断面が円形で、キャビティ4に向かい段階的に径が縮小された形状を有している。ガス抜きピン16の基端側(可動側取付板7)側において、ガス抜きピン16の外周面とピン挿通孔14の内周面との間にはガスが通過できる空間15aが形成されており、この空間15aはさらに、可動側取付板7と可動金型板8との間に設けられ型外に連通する溝15bに連通している。なお、通気孔15の金型1外側の端部は、大気に開放されていてもよく、また排気ポンプ等の排気装置(図示せず)と接続されていてもよい。
【0025】
ガス抜きピン16は、中実の鋼材等によって一体に成形された段付円柱状の基部17と、多孔質金属体により形成されて基部17の先端面にロウ付けされた通気部18とを備えている。通気部18は、その先端面がキャビティ4の表面(金型面)と同一平面をなし、成形品の表面の一部を形成する。また、通気部18の基端側は、空間15a内まで延びている。
【0026】
ガス抜きピン16の基部17は、ガス抜きピン16の長手方向に延在する4本の溝部17aが周方向に等間隔を空けて離間して設けられている小径部17Aと、この小径部17Aよりも大径の大径部17Bとを有している。各溝部17aは、通気部18に連通する深さで設けられている。また、大径部17Bの外周面とピン挿通孔14の内周面との間には空間が形成されている。
すなわち、ガス抜きピン16の基部17は、小径部17Aの外周面がピン挿通孔14の内周面に嵌合支持されており、各溝部17aおよび大径部17Bとピン挿通孔14との間が空間15aとなっている。
【0027】
ガス抜きピン16の通気部18は、全体に連通する気孔を有しており、キャビティ4と空間15aとの間でのガスの流通を可能としている。つまり、空間15aと溝15bとからなる通気孔15は、通気部18を介してキャビティ4の内部に連通している。
【0028】
さらに、通気部18は図2に示すように、微細気孔を有する緻密層18Aと、緻密層18Aの気孔よりも大きい気孔を有し通気性が高い高通気層18Bとを備えた2層構造となっており、いずれもガスが通過する連続的な空孔を有している。緻密層18Aは、キャビティ4に面して配置され、ガスは通過させるが溶融樹脂は侵入できない大きさ(たとえば平均気孔径10μm以下)の気孔が、キャビティ4側から高通気層18B側まで連通している。一方高通気層18Bは、緻密層18Aよりも通気性が高く、その気孔が緻密層18A側から空間15a側まで連通している。なお、高通気層18Bの平均孔径は、50μm以下であることが望ましい。
この通気部18は、図3に示すグリーンシート製造装置21を用いて製造されたグリーンシートを焼成して形成される。
【0029】
そして、このように構成された金型1において、溶融樹脂が図示しない射出機構によって、スプールブッシュ10およびランナ11を通じて、キャビティ4の上部中央部に設けられたゲート12からキャビティ4内に注入される。
このとき、キャビティ4内のガスは、ゲート12から可動金型板8へ向かって流れる溶融樹脂に押されて、ガス抜きピン16から通気孔15を介して金型1外部へと排出される。このガス抜きピン16(通気部18)の表面が形成する溶融樹脂の表面は、気孔が微細で溶融樹脂が通過できない構成の緻密層18Aによって、平滑に形成される。
【0030】
このように、キャビティ4内に溶融樹脂が充填されることで、キャビティ4の形状に沿った成形品が得られるようになっている。
なお、キャビティ4内に充填された樹脂が硬化した後、可動機構によって可動金型3が固定金型2から離れるとともに、図示しないエジェクタピン(突き出しピン)が突出して成形品を突き出すことで、金型1から成形品が抜けるようになっている。
【0031】
ここで、緻密層18Aおよび高通気層18Bを有する通気部18の製造方法を説明する。
まず、図3に示すグリーンシート製造装置21は、グリーンシートを形成するための下地としてキャリアシート22を用いるものであって、キャリアシート22が巻き回された巻き出しリール23と、巻き出しリール23からキャリアシート22を巻き取る巻き取りリール24と、巻き出しリール23と巻き取りリール24との間で巻き出しリール23から引き出されたキャリアシート22の少なくとも一部区間を水平状態に保持する複数の支持ロール25とを有しており、キャリアシート22において支持ロール25によって保持される区間が、グリーンシート形成に供されるシート形成区間とされる。
【0032】
シート形成区間には、緻密層18Aの原料となる第一スラリーをキャリアシート22上に連続的に供給する第一のホッパー26が設けられている。この第一のホッパー26の下流側には、第一のホッパー26からキャリアシート22上に供給されてキャリアシート22とともに下流側に移動する第一スラリーを、所望の厚みの第一スラリー層L1に成形する第一のドクターブレード27が設けられている。
【0033】
ここで、第一スラリーとしては、原料粉末(金属粉末)とバインダーとの混合体、または必要に応じてこの混合体に界面活性剤を添加したものが用いられる。本実施形態では、第一スラリーの成分は、原料粉末としてSUS316Lの粉末(平均粒径12μm)30〜70重量%、バインダーとしてメチルセルロース0.5〜20重量%、グリセリン0.1〜15重量%を含み、残りが水となっている。この第一スラリーに界面活性剤を添加する場合には、界面活性剤としてドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムが用いられる。
【0034】
さらに、シート形成区間において、第一のドクターブレード27の下流側には、高通気層18Bの原料となる第二スラリーをキャリアシート22上の第一スラリー層L1上に連続的に供給する第二のホッパー28が設けられている。この第二のホッパー28の下流側には、第二のホッパー28から第一スラリー層L1上に供給されてキャリアシート22とともに下流側に移動する第二スラリーを、所望の厚みの第二のスラリー層L2に成形する第二のドクターブレード29が設けられている。
【0035】
ここで、第二スラリーとしては原料粉末(金属粉末)、バインダー、界面活性剤および発泡剤の混合体からなるものが用いられる。
本実施形態では、第二スラリーは、原料粉末としてSUS316Lの粉末(平均粒径12μm)を30〜80重量%、バインダーとしてメチルセルロース0.5〜20重量%、グリセリン0.1〜15重量%および界面活性剤としてドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムを0.05〜5重量%、発泡剤としてヘキサン0.5〜10重量%含み、残りが水となっている。
【0036】
シート形成区間において第二のドクターブレード29の下流側には、キャリアシート22とともに下流側に移動する第一、第二のスラリー層L1,L2を、高湿度雰囲気下で加熱する恒温・高湿度槽31が設けられている。恒温・高湿度槽31の下流側には、キャリアシート22とともに下流側に移動する第一、第2スラリー層L1,L2からなる複合スラリー層Lを乾燥させて複合グリーンシートSとする乾燥槽32が設けられている。
【0037】
つまり、グリーンシート製造装置21は、巻き取りリール24によって巻き出しリール23からキャリアシート22を巻き取ってシート形成区間でキャリアシート22を移動させることで、キャリアシート22上に第一、第二スラリー層L1,L2を連続的に形成して、グリーンシートとするものである。
【0038】
そして、通気部18は、このように形成されたグリーンシートを加工・成形して所望の形状を付与し、脱脂・焼結することにより、2層の多孔質金属体(焼成体)として製造される。
【0039】
つぎに通気部18の製造方法について、工程を順に追いながら説明する。
〔スラリー層形成工程〕
まず、キャリアシート22の移動に伴って、第一のホッパー26からキャリアシート22上に第一スラリーが連続的に供給され、この第一スラリーが第一のドクターブレード27によって所望の厚み(本実施形態では200μm)の第一スラリー層L1に成形される。
【0040】
〔スラリー層積層工程〕
シート形成区間において第一のドクターブレード27よりも下流側で、キャリアシート22とともに下流側に移動する第一スラリー層L1上に、第二のホッパー28から発泡剤を含有する第二スラリーが連続的に供給され、この第二スラリーが第二のドクターブレード29によって所望の厚み(本実施形態では200μm)の第二スラリー層L2が成形され、2層に積層された複合スラリー層Lが形成される。
【0041】
なお、本実施形態では2層からなる通気部18を製造するため、グリーンシート製造装置21に備えられたホッパーおよびドクターブレードは2個であり、スラリー層積層工程は1回のみ行う。たとえば3層以上の多層の通気部を製造する場合には、グリーンシート製造装置21に備えるホッパーおよびドクターブレードの設置数を増やして、このスラリー層積層工程を繰り返せばよい。
【0042】
〔発泡工程〕
このようにしてキャリアシート22上に積層された複合スラリー層Lは、キャリアシート22の移動に伴って恒温・高湿度槽31内に搬入されて、高湿度雰囲気下での熱処理(本実施形態では湿度90%、温度40℃で20分間)が施される。この熱処理により、複合スラリー層Lの一方の表面をなす第二スラリー層L2に含まれる発泡剤が気化し、第二スラリー層L2が発泡してスポンジ状となった発泡グリーンシートが得られる。
なお、この加熱処理は高湿度雰囲気下で行われているので、第一、第二スラリー層L1,L2に含まれるバインダー(メチルセルロース)は揮発せず、第一、第二スラリー層L1,L2内に留まる。したがって、第二スラリー層L2は、容易に塑性変形可能な状態で発泡され、ひび割れ等を生じずにスポンジ状となる。
【0043】
〔乾燥工程〕
第二スラリー層L2の発泡が行われた発泡グリーンシート(複合スラリー層)Lは、キャリアシート22の移動に伴って乾燥槽32に搬入されて、加熱処理(本実施形態では空気中で温度80℃、15分間)により各スラリー層に含まれる水分が飛ばされ、複合グリーンシートSとなる。
【0044】
〔成形工程〕
ここで、複合グリーンシートSを加工・成形して、通気部18としての形状を付与する。本実施形態では、通気部18は円柱状材であるから、複合グリーンシートSから円柱状の部材をたとえばワイヤーカット等により切り出せばよい。
【0045】
〔焼成工程〕
通気部18の形状を有する複合グリーンシートSを、図示しない脱脂装置および焼結炉に順次送り込み、脱脂・焼結処理を行って焼成体とする。この焼成体は、原料粉末の粒子同士が圧縮されずに焼結により結合されたものであるから、発泡剤を含まない第一スラリーからなる層では微細な気孔が形成され、発泡剤を含む第二スラリーからなる層では発泡により大きく間隔が空けられた粒子間に大きな気孔が形成された状態となり、各層の気孔が互いに連通した多孔質金属体である。
【0046】
脱脂装置は、たとえば空気中で温度500℃、15分間の熱処理を行うものであり、この処理によって複合グリーンシートS中に含まれるバインダー(糊成分)が飛ばされ、原料粉末の粒子間に空隙が形成された状態となる。
焼結炉としては、たとえば真空炉が用いられるが、真空炉による焼結では酸化する虞のある材質を原料粉末として用いている場合には還元雰囲気下、たとえば5%の水素分子ガスを含む窒素ガス雰囲気下で処理を行うものとする。本実施形態では、真空雰囲気下で温度1200℃、100分間の熱処理を行うことにより、各スラリーの原料粉末を焼結させる。
【0047】
このようにして得られた焼成体は、図4に示すように第一スラリー層L1によって構成される部分が微細気孔を有する緻密層18A,第二スラリー層L2によって構成される部分がより大きな気孔を有する高通気層18Bとなる。
【0048】
この時点で、第一スラリー層L1によって構成される部分の空隙率は20〜60%の範囲内であり、第二スラリー層L2によって構成される部分の空隙率は85〜98%の範囲内である。このようにして得られた焼成体に、必要に応じて圧延処理を施して所望の厚みあるいは空隙率を得ることができる。なお、焼成体を圧延しても、各層は厚み方向に圧縮されるだけであって、いびつな形状に変形することはなく、内部の連続気孔は維持される。
【0049】
このようにして得られた、表面から背面まで連通した気孔を有する通気部18を、射出成形用金型1のキャビティ4においてガス抜きピン9の先端部に配置したことにより、射出充填時のキャビティ4内のガスを、通気部18から金型1外部に円滑に排出させることができ、ガス抜き不全による充填不良等を防止することができる。また、通気部18のキャビティ4を形成する面を、微細な気孔を有する緻密層18Aとしたことにより、溶融樹脂が気孔内に入り込んで噛み合ったりバリとなったりすることがなく、平滑な成形面を有する成形体を得ることができる。
【0050】
なお、通気部18の原料として用いられる金属粉末は、上述したSUS316Lのほかにも、通気部として要求される特性に応じて任意の材料の粉末を用いるころができる。たとえば、射出成形の原料として腐食性ガスを発生させる樹脂を用いる場合には、少なくとも緻密層18Aの原料粉末として、耐食性を有する材料、例えばニッケル基合金、特にハステロイ(登録商標)C−22の粉末を用いればよい。また、耐磨耗性を向上させたい場合には、緻密層18Aの原料粉末として、耐磨耗性を有する材料、例えば超硬合金の粉末を用いればよい。
【0051】
このようにして得られた、表面から背面まで連通した気孔を有する通気部18を、射出成形金型1のキャビティ4の金型面の一部を形成するようにガス抜きピン)の先端部に配置した金型1によれば、従来のようにピンと金型とのわずかな隙間のみからガスを抜くのではなく、ピン自体に通気部として多孔質状のガス抜き構造を与え、ここから型外へとガスを排出させることができるので、隙間に溶融樹脂が侵入することによるバリの発生を防止することができる。また、キャビティ4から溶融樹脂が漏れ出すことがないように緻密層18Aの気孔率を調整したことにより、溶融樹脂の詰まりが防止される。これにより、射出成形機を停止させてピン挿通孔14やガス抜きピン9の清掃を行う頻度が従来に比べて格段に低くなるので、生産性を大幅に向上することができる。
【0052】
つぎに、本発明の第2の実施形態について図5を参照して説明する。本実施形態の射出成形用金型1の構成は、ガス抜き部材(ガス抜きピン)40の構造を除いて第1の実施形態と同様の構成であるので、ここではガス抜きピン40およびガス抜き構造についてのみ説明し、他は説明を省略する。
【0053】
本実施形態のガス抜きピン40は、段付円柱状の鋼材からなり、可動金型板8に固定された基部41と、この基部41の先端に被着された多孔質金属体からなる通気部42とで構成されている。
【0054】
基部41は、ピン挿通孔14に対して長手方向の移動を規制するように配置された円柱状の大径部41Aと、ピン挿通孔14の内周面に嵌合され径方向の移動を規制するように配置された円柱状の小径部41Bと、小径部41Bの先端側からキャビティ4側へ突出する円柱状の突出部41Cとが、軸線を一致させて形成された段付円柱状の部材である。この基部41において、大径部41Aおよび小径部41Bには、第一の実施形態と同様の4本の溝部40aが設けられており、ピン挿通孔14の内面と、小径部41Bの端面、各溝部40a、大径部41Aの外面との間にそれぞれ空間43a,43b,43cが形成されている。さらに、可動金型板8と可動側取付板7との間に、空間43cに連通する溝43dが形成されており、順次連通する空間43a,43b,43cおよび溝43dによって通気孔43が構成されている。
【0055】
通気部42は、キャビティ4の金型面の一部を形成する緻密層42Aと、その背面に配置された高通気層42Bからカップ状に形成され、基部41の突出部41Cに被せられてピン挿通孔14のキャビティ4側開口部を塞いでいる。そしてこの通気部42は、第1の実施形態と同様に、図3に示すグリーンシート製造装置21を用いて製造されたグリーンシートを焼成して形成され、基部41に対してロウ付けにより固定されている。
【0056】
この通気部42をカップ状に製造するには、たとえば、グリーンシートの状態で、微細な気孔を有する層と大きな気孔を有する層の2層からなる構造の円板状の天板部42aと、大きな気孔を有する筒状部42bとを別々に成形しておく。そして、これらを一体に焼成工程を行い、接合すればよい。なお、筒状部42bは、1層のグリーンシートを帯状に切り出して、円筒状に丸めれば成形できる。
また、天板部42aと筒状部42bとは、それぞれの形状で焼成体とした後に、拡散接合等により接合することも可能である。
【0057】
このように製造された通気部42は、キャビティ4に面する緻密層42Aが、ガスは通過させるが溶融樹脂は通過させない微細な気孔を有しており、その背面に位置する高通気層42Bが、ガスを容易に通過させる大きな気孔を有している。各層の気孔は連通しているので、通気部42は、キャビティ4と空間43aとの間を、溶融樹脂は侵入させずガスは通過させる構造となっている。
【0058】
以上説明したガス抜きピン40を備えた金型1によれば、キャビティ4内のガスを、通気部42を通過させた後、通気孔43から型外へ円滑に排出させることができる。
本実施形態では、多孔質金属体からなる通気部42が、強度の高い鋼材からなる突出部41Cの外側に被せられているので、多孔質金属体の厚みが小さく、全体に対して占める体積比率が小さくなっている。したがって、より強度の高いガス抜きピン40を得ることができる。
【0059】
つぎに、本発明の第3の実施形態を図6および図7を参照して説明する。なお、上記各実施形態において既に説明した構成要素には、同一符号を付して説明を省略する。
本実施形態において、ガス抜き部材(ガス抜きピン)50は、鋼材からなる円柱状の基部51と、基部51の先端に配置された多孔質金属体からなる通気部52とを有し、通気部52の表面をキャビティ4に向けて、可動金型板8に設けられたピン挿通孔14内に嵌合されている。
【0060】
通気部52は、上記各実施形態と同様に、ガスは通過させるが溶融樹脂を通過させない微細な気孔を有する緻密層52Aと、それよりも大きな気孔を有し容易にガスを通過させる高通気層52Bとを備えている。この通気部52は、緻密層52Aの表面でもってキャビティ4の金型面の一部を構成するように配置されており、その気孔は緻密層52Aの表面から高通気層52Bの背面まで連通している。
この通気部52は、上記各実施形態と同様に、図3に示すグリーンシート製造装置21を用いて製造されたグリーンシートを焼成して形成され、基部51の上端面51aにロウ付けにより固定されている。
【0061】
基部51は、図7に示すように、上端面51aに形成され径方向に延びる4本の溝部51bと、これら溝部51bに連通して下端側で部材外に開放される通気孔51cとを有しており、上端面51a側と下端側とが溝部51bおよび通気孔51cを介して連通されている。
【0062】
すなわち、本実施形態のガス抜きピン50は、キャビティ4内のガスを、通気部52から各溝部51bおよび通気孔51cを介して、型外へ放出させることができる構造となっている。この構造は、基部51と通気部52とが同一径の円柱状となっているのでピン挿通孔14に対して軸方向に摺動可能であり、可動金型板8に対して進退するエジェクタピン等にも適用することができる。
【0063】
図8に本発明の第4の実施形態を示す。この実施形態のガス抜き部材(ガス抜きピン)60は、鋼材からなる基部61と、その先端部に配置された通気部62とを有している。
基部61は、先端面に設けられた凹部61aと、この凹部61aの底面に形成された径方向に延びる4本の溝部61bと、これら溝部61bから基部61の長手方向に延びてガス抜きピン60の外部へ連通する通気孔61cとを有する円柱状の部材である。
通気部62は、上記各実施形態の各通気部と同様の気孔を有する緻密層62Aおよび高通気層62Bの2層からなり、緻密層62Aをキャビティ4に向けて凹部61aに埋め込まれている。
【0064】
本実施形態のガス抜きピン60を備えた金型1では、基部61の先端面およびその内側の通気部62の表面がキャビティ4に面して配置されている。そして、ガス抜きピン60の先端面を含む金型面に沿って、キャビティ4内に射出された溶融樹脂が成形される。キャビティ4内のガスは、キャビティ4を満たす溶融樹脂に押されて通気部62を通り、溝部61bから通気孔61cを通過して型外へと排出される。
【0065】
以上、第1〜第4の実施形態を示して説明したように、本発明の射出成形用金型によれば、キャビティの成形面をなすピンの先端に通気性を有する部材を設けることによりガスが流出できる面積を大きくし、キャビティ内のガスを型外へ円滑に排出できるので、充填不良を防ぎ生産性のよい射出成形が可能となる。
【0066】
なお、上記各実施形態では緻密層の背面に通気性が高い高通気層を配置して通気孔に連通させたが、緻密層に通気孔を連通させることができれば、緻密層のみあればよく、高通気層は必ずしも配置しなくてもよい。また、粘度が高い溶融樹脂を用いる場合等、使用される溶融樹脂の性状によっては、溶融樹脂が気孔内へ侵入しにくいので、ガス抜けのよい1層の通気部を設ければ足りる場合もある。さらに、ガスの抜けの善し悪しを調整する意味を含めて通気部を3層以上の多層構造としてもよい。
【0067】
さらに、本実施形態においてはガス抜きピンの基部を中実の鋼材としたが、たとえば一般的な焼結金属によってこれを製造してもよい。この場合、ガスがガス抜きピン全体の内部を通過できるようであれば、より高いガス抜き性を得ることができる。
【0068】
本実施形態では、ガス抜き部材としてガス抜きピンを配置したが、たとえばキャビティ内に突出する雄型として用いられるコアピンをガス抜き部材として用いてもよい。上記実施形態のようにガス抜きピンを配置する場合は、金型1におけるガス抜きピンの設置位置を、キャビティ4の形状等から予測できる溶融樹脂の最終充填箇所(溶融樹脂が最後に充填されるところ)とすることが望ましい。
【0069】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の請求項1に係る射出成形用金型によれば、溶融樹脂の充填時、キャビティ内のガスを、型合わせ面等の隙間だけでなく、多孔質の通気部から通気孔を介して型外に放出させることができる。
【0070】
請求項2の発明に係る射出成形用金型によれば、キャビティ内のガスを型外に排出するために設けられるガス抜きピンの先端に通気部を設けることにより、ピン外周に形成される隙間からガスを排出させる場合よりも大きな面積でガスを通過させることができるので、圧力抵抗が小さくなり、ガス抜きを円滑に行うことができる。
【0071】
請求項3の発明に係る射出成形用金型によれば、溶融樹脂の通気部内部への流入が阻止されるので、通気部の詰まりが防止されるとともに、キャビティ内から型外へガスを円滑に排出することができる。
【0072】
請求項4の発明に係る射出成形用金型によれば、気孔が微細な緻密層をキャビティに面して配置することにより、通気部の気孔内に溶融樹脂が侵入しにくく、緻密層と成形品とが噛み合ったりせずに円滑な表面を形成することができる。また、この緻密層の背面に大きな気孔を有する高通気層を配することにより、良好なガス抜き性を得ることができる。
【0073】
請求項5の発明に係る射出成形用金型の製造方法によれば、金属粉末を圧縮せずに焼結することができるので、ガスを通過させるのに十分な気孔を有する多孔質金属体を製造することができる。
【0074】
請求項6の発明に係る射出成形用金型の製造方法によれば、成分が異なる多層の多孔質金属体を製造することができるので、通気部の気孔径や気孔率、硬度等の性質を、使用する溶融樹脂に応じて適宜調節し、適切な成形性やガス抜き性を有する通気部を製造することができる。
【0075】
請求項7の発明に係る射出成形用金型の製造方法によれば、発泡剤を含有させて発泡させることにより、より大きな気孔を形成することができるので、たとえばキャビティに面しては溶融樹脂を通過させない緻密な気孔を有する緻密層を形成して平滑な成形面の成形を可能とする一方、キャビティから遠い側(型外側)ほど大きな気孔を有する高通気層を形成してガス抜き性を向上させる構造の通気部を製造することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態を示す図であって、射出成形用金型の概略構成を示す縦断面図である。
【図2】図1に示す金型におけるガス抜き部材周辺の構造を示す断面図である。
【図3】ガス抜き部材を形成するのに用いるグリーンシート製造装置を示す説明図である。
【図4】本発明のガス抜き部材の断面構成を概略的に示す拡大説明図である。
【図5】本発明の第2の実施形態に係る射出成形用金型の概略構成を示す縦断面図である。
【図6】本発明の第3の実施形態に係る射出成形用金型に備えられたガス抜き部材の構成を示す図である。
【図7】図6におけるVI−VI線を示す矢視断面図である。
【図8】本発明のさらに他の実施形態に係る射出成形用金型に備えられたガス抜き部材の構成を示す図である。
【符号の説明】
1 射出成形用金型
2 可動金型
3 固定金型
4 キャビティ
10 ガス抜きピン
14 ピン挿通孔
15 通気孔
16 ガス抜き部材
18 通気部
Claims (7)
- 溶融樹脂が充填されるキャビティを形成する射出成形用金型であって、
通気性を有する多孔質金属体からなる通気部を備えるガス抜き部材が、前記通気部によって前記キャビティの金型面の一部をなすように配置されるとともに、
前記通気部を介して前記キャビティ内部と型外とを連通させる通気孔が設けられていることを特徴とする射出成形用金型。 - 溶融樹脂が充填されるキャビティを形成する射出成形用金型であって、
前記キャビティ内と型外とを連通させるピン挿通孔と、該ピン挿通孔を塞ぐように配置されるガス抜きピンとを有し、該ガス抜きピンが少なくともその先端に通気性を有する多孔質金属体からなる通気部を備えるとともに、該通気部を介して前記キャビティ内部と型外とを連通させる通気孔が設けられていることを特徴とする射出成形用金型。 - 請求項1または2に記載の射出成形用金型において、
前記通気部が、前記キャビティに近いほど気孔率が低い多層構造となっていることを特徴とする射出成形用金型。 - 請求項1から3のいずれかに記載の射出成形用金型において、
前記通気部は、微細気孔を有する緻密層と、該緻密層より大きな気孔を有する高通気層とを有し、
前記緻密層が前記キャビティに面して配置されることを特徴とする射出成形用金型。 - 請求項1または2に記載の射出成形用金型の製造方法であって、
金属粉末を含むスラリーをドクターブレード法によりキャリアシート上に延ばしてスラリー層を形成するスラリー層形成工程と、
該スラリー層を乾燥させてグリーンシートとする乾燥工程と、
該グリーンシートを脱脂・焼結して焼成体とする焼成工程と、
該焼成体あるいは前記グリーンシートを加工成形して前記通気部としての形状を付与する成形工程とを行うことにより、前記通気部を製造することを特徴とする射出成形金型の製造方法。 - 請求項5に記載の射出成形用金型の製造方法において、
前記スラリー層形成工程の後に、前記スラリーとは異なる成分からなるスラリーを前記スラリー層上にドクターブレード法により延ばしてスラリー層を積層するスラリー積層工程を有し、
該スラリー積層工程を1回以上行うことを特徴とする射出成形用金型の製造方法。 - 請求項3または4に記載の射出成形用金型の製造方法であって、
金属粉末を含むスラリーをドクターブレード法によりキャリアシート上に延ばしてスラリー層を形成するスラリー層形成工程と、
前記スラリーとは異なる成分からなるスラリーを前記スラリー層上にドクターブレード法により延ばしてスラリー層を積層する工程を1回以上行うスラリー層積層工程と、
成分が異なる前記各スラリーからなる各スラリー層のうち、前記高通気層を形成するスラリー層に含有させた発泡剤を発泡させて発泡グリーンシートとする発泡工程と、
該発泡グリーンシートを乾燥させてグリーンシートとする乾燥工程と、
前記グリーンシートを脱脂・焼結して焼成体とする焼成工程と、
該焼成体あるいは前記グリーンシートを加工成形して前記通気部としての形状を付与する成形工程とを行うことにより、前記緻密層および前記高通気層を有する前記通気部を製造することを特徴とする射出成形用金型の製造方法。
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-
2003
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