JP2004298783A - 化学物質分離膜及びその製造方法、並びに化学物質の検出方法及び化学物質検出装置 - Google Patents

化学物質分離膜及びその製造方法、並びに化学物質の検出方法及び化学物質検出装置 Download PDF

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豊喜 国武
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Abstract

【課題】本発明は、化学物質の吸着能が高く迅速に分離・検出することができるとともに選択性に優れ、さらに繰り返し使用可能な省資源性に優れる化学物質分離膜を提供することを目的とする。また、本発明は、化学物質分離膜の製造方法、並びに化学物質の検出方法及び化学物質検出装置を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明の化学物質分離膜は、基板の表面に1層又は複数層形成された金属酸化物層と、前記金属酸化物層の表面又は層内に固定化され所定の化学物質を包接するホスト化合物と、を備える。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、化学物質分離膜及びその製造方法、並びに化学物質の検出方法及び化学物質検出装置に関するものであり、特に、水溶液中の特定の化学物質に対して分解能を有し検出できる化学物質分離膜及びその製造方法、並びに環境中等に存在する化学物質を高感度でかつ簡便に検出する化学物質の検出方法及び化学物質検出装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、環境中に存在するいくつかの化学汚染物質をはじめとする外因性内分泌撹乱物質(環境ホルモン)、例えば17β−エストラジオール、ビスフェノールA、ノニルフェノール、DDT、ダイオキシン類、ビンフロゾリン、DDE、TCDD、PCB等の有機化学物質が、動物の体内のホルモン作用を攪乱し、生殖機能を阻害したり悪性腫瘍を引き起こすなどの悪影響を及ぼしている可能性があると指摘されている。これら有機化学物質は動物の生体内に取り込まれた場合に正常なホルモン作用に影響を与えることから重要な環境問題として議論されている。
その中でも特にエストロゲンの正常な作用に与える影響は大きく、例えば、1960〜1970年代に流産の防止等の目的で最初に合成されたジエチルスチルベステロール(DES)は、胎児期に曝露された女性の生殖器に遅発性のがん等が発生することが確認されている。また、DDTなどによる野生動物の生殖行動や生殖器の異常、ノニルフェノールによる乳がん細胞の増殖などもエストロゲン類似作用を起こす内分泌撹乱物質によるものと推定されている。
しかし、これら有機化学物質等の化学物質の分析には、極微量の対象化合物を分離、濃縮するために膨大な時間と労力を要するなど、様々な問題点が指摘されている。従って、環境中に多種多様に存在する化合物の中から環境ホルモン等の化学物質がどの程度存在しているかを煩雑な操作や標識物質を必要とせずに、短時間で簡便に検出できる技術の開発が望まれている。
【0003】
このような化学物質を検出する従来の技術としては、(非特許文献1)に記載の放射受容体検定法、(非特許文献2)に記載の免疫検定法、(非特許文献3)に記載の蛍光偏向解消法等が知られている。また、高精度のガスクロマトグラフィー質量分析計(GC−MS)を使用する化学分析手法が、当該有機化学物質の分析に主に利用されてきた。
最近では、分子鋳型法を用いてエストロゲン化合物及びエストロゲン様物質のいずれかに対する鋳型構造を有する高分子粒子またはシリカ粒子からなる分離剤の開発が行われ、このような化学物質の有効な分離・分析手段として期待されている。なお、高分子粒子からなる分離剤については(非特許文献4)に、シリカ粒子からなる分離剤については(非特許文献5)に記載されている。
【0004】
【非特許文献1】
Endocrine, 138(3);863−870(1997)
【非特許文献2】
Reproductive Toxicology, del Mazo eds., Plenum Press, New York(1998)
【非特許文献3】
Environmental Health Respectives., 106(9);551−557(1998)
【非特許文献4】
Chemistry Letters,p555,1997
【非特許文献5】
Journal of American Chemical Society, p14838, 2002
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら上記従来の技術においては、以下のような課題を有していた。
(1)(非特許文献1)乃至(非特許文献3)に記載の技術は、放射性物質や組換え酵母を利用するため操作が煩雑で操作性と作業性に欠けるという課題を有していた。
(2)(非特許文献2)に記載の技術は、抗原抗体反応を用いるので抗体を固定化する必要があるが、抗体は生体なので寿命を有し使用期限が限定されるとともに、繰り返し使用性に欠けるという課題を有していた。
(3)(非特許文献1)乃至(非特許文献5)に記載の技術では感度が低く、環境中に極微量に存在する環境ホルモン等の化学物質の検出精度が低いという課題を有していた。
【0006】
本発明は上記従来の課題を解決するもので、化学物質の吸着能が高く迅速に分離・検出することができ、また選択性に優れ、さらに繰り返し使用可能な省資源性に優れる化学物質分離膜を提供することを目的とする。
また、本発明は、高価な製造設備を要さず穏和な条件下かつ簡単な操作で、種々の形状や大面積の基板の表面に化学物質の分離能を有するナノメートル単位の厚さの薄膜を形成することができ操作性に優れるとともに自在性に優れる化学物質分離膜の製造方法を提供することを目的とする。
また、本発明は、煩雑な操作や標識物質を要せずに短時間で簡便に検出でき操作性に優れるとともに極低濃度の化学物質の検出を行うことができ感度が著しく高い化学物質の検出方法を提供することを目的とする。
また、本発明は、従来の2電極式や3電極式の電気化学検出器と同様の簡単な構成なので汎用性に優れるとともに操作性に優れ、さらに検出感度が著しく高い化学物質検出装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記従来の課題を解決するために本発明の化学物質分離膜及びその製造方法、並びに化学物質の検出方法及び化学物質検出装置は、以下の構成を有している。
【0008】
本発明の請求項1に記載の化学物質分離膜は、基板の表面に1層又は複数層形成された金属酸化物層と、前記金属酸化物層の表面又は層内に固定化され所定の化学物質を包接するホスト化合物と、を備えた構成を有している。
この構成により、以下のような作用が得られる。
(1)金属酸化物層の表面又は層内に固定化され所定の化学物質を包接するホスト化合物を備えているので、化学物質分離膜をゲストとなる化学物質の溶液中に浸漬すると、化学物質は金属酸化物層の表面又は層内に固定化されたホスト化合物の空間に取り込まれる。化学物質の化学構造に応じて選択的な包接が進行し、それら化学物質の分離・検出が可能となる。このため、著しく高い吸着能が得られるとともに、迅速に分離・検出することができる。
(2)ホスト化合物の種類やゲスト化合物との吸着構造を選択することによりゲストとなる化学物質の種類を選択することができ、選択的に所定の化学物質を分離することができる。
(3)ホスト化合物に包接された化学物質を、化学物質の可溶化能力を有する溶媒で溶出して除去することができるので、繰り返し使用が可能である。
【0009】
ここで、基板としては、金属製、セラミック製、合成樹脂製等で形成されたものを用いることができる。導電性を有する基板を用いると、電極として用いることができるので好適である。導電性を有する基板としては、例えば、白金、金、銀、銅等の金属製、インジウムスズ酸化物(ITO)、グラファイト等が好適に用いられる。
基板は、表面に水酸基,カルボキシル基,アミノ基,アルデヒド基,カルボニル基,ニトロ基,炭素炭素二重結合,芳香族環等の官能基を有していると、反応性に優れ化学結合が容易に行われ膜厚の非常に薄い薄膜を形成することができ好ましい。なかでも、水酸基,カルボキシル基が好適に用いられる。金属化合物としての金属アルコキシド等との反応性が優れているからである。
なお、基板の表面への水酸基等の官能基の導入は、公知の方法が特に制限なく採用される。例えば、金の表面にはメルカプトエタノールなどの吸着により水酸基を導入することができ、また、ITOの表面には過酸化水素を接触させることにより水酸基を導入することができる。
【0010】
ホスト化合物としては、検出対象となる環境ホルモン物質等の化学物質と包接化合物を形成する有機化合物や金属錯体等が用いられ、例えば、シクロデキストリン類,カリックスアレン類,ポルフィリン化合物等のポルフィン類等の環状ホスト化合物、多糖類、デンドリマー化合物、エチレンジアミン,エチレンジアミン四酢酸等のエチレンジアミン類等を用いることができるが、これらに限定されるものではない。
【0011】
化学物質としては、ホスト化合物に包接されて包接化合物を形成するビスフェノールA,ノニルフェノール等のフェノール化合物、アセトニトリル、βエストラジオール等のステロイド化合物、ドーパミン,アドレナリン等の生理活性物質等の有機化合物、HS,SO,HCN,HCl,HBr等の無機化合物等のゲスト化合物が用いられる。
【0012】
請求項2に記載の化学物質分離膜の製造方法は、基板に金属化合物の溶液を接触させて前記基板の表面に金属化合物層を形成する金属化合物層形成工程と、前記金属化合物層形成工程で形成された前記金属化合物層を加水分解・重縮合して金属酸化物層を形成する金属酸化物層形成工程と、前記金属酸化物層形成工程で形成された前記金属酸化物層の表面に所定の化学物質を包接するホスト化合物を固定化し受容層を形成する第1受容層形成工程と、を備えた構成を有している。
この構成により、以下のような作用が得られる。
(1)金属化合物層を加水分解・重縮合するゾルゲル法を利用しているので、穏和な条件下かつ簡単な操作で、種々の形状や大面積の基板の表面に化学物質の分離能を付与することができる。
(2)ゾルゲル法を利用して膜を形成しているので、表面にホスト化合物が固定化され数ナノメートルの範囲で制御された厚さの膜を安定して形成することができ製品得率を高めることができる。また、高価な製造設備を要しないとともに生産性に優れる。
【0013】
ここで、金属化合物としては、基板の表面と化学結合する金属化合物であって、加水分解により水酸基等の官能基を生成する金属化合物が用いられる。例えば、チタニウムアルコキシド,ジルコニウムアルコキシド,アルミニウムアルコキシド,ニオビウムアルコキシド,アルコキシシラン等の金属アルコキシド、チタニウムオキソアセテート等のアセチルアセトナト、ペンタカルボニル鉄等の金属カルボニル化合物、塩化コバルト等の遷移金属系ハロゲン化合物、硝酸塩等が用いられる。
金属化合物の溶液の溶媒としては、特に制限されないが、メタノール,エタノール,プロパノール等のアルコール類、トルエン、四塩化炭素、ベンゼン等の1種又は2種以上を混合して用いることができる。また、溶液中に2種以上の金属化合物を溶解することにより、1回の操作で基板の表面に2種以上の金属化合物が存在する金属化合物層を形成することも可能である。
【0014】
金属化合物層形成工程において、基板に金属化合物の溶液を接触させる方法としては、金属アルコキシド等金属化合物の溶液に基板を浸漬した後に引き上げてコーティングするディップコーティング法、スピンコーティング法、表面ゾルゲル法等を用いることができる。これにより、金属アルコキシド等の金属化合物と基板の表面とを化学結合させて金属化合物層を形成することができる。
なお、ディップコーティング法、スピンコーティング法等の場合、厚い金属化合物層を形成することができる。表面ゾルゲル法の場合、厚さの薄い金属化合物層を形成することができるので、化学物質分離膜を電極の表面に形成して化学物質検出素子を得る際に有用である。薄膜化することにより電解速度を向上させ検出感度を高めることができるからである。表面ゾルゲル法は、基板の表面に形成された金属化合物層を、所定の時間及び温度で所定の溶剤を用いて洗浄する工程を有する方法であり、基板の表面と化学結合するのみならず弱い物理吸着種として過剰に吸着した金属化合物層の内、弱い物理吸着種を洗浄して除去して基板の表面に化学結合したオングストローム乃至はナノメートル単位の厚さの超薄膜の金属化合物層を形成することができ検出感度を高めることができる。
【0015】
金属酸化物層形成工程としては、金属化合物層が形成された基板を所定温度の水に所定時間浸漬する方法、金属化合物層が形成された基板を水蒸気を含んだ空気中に曝す方法、金属化合物層が形成された基板に熱風を吹き付ける熱風乾燥法等を用いることができる。これにより、基板の表面に吸着した金属アルコキシド等の金属化合物を加水分解し重縮合することで、薄膜の金属酸化物層を形成することができる。
【0016】
第1受容層形成工程において、ホスト化合物を固定化する方法としては、金属酸化物層にホスト化合物の溶液を接触させるものが用いられる。
ホスト化合物の溶液の濃度としては、0.1〜10mmol/L好ましくは1〜10mmol/Lが好適に用いられる。濃度が1mmol/Lより薄くなるにつれホスト化合物の固定化に時間を要し生産性が低下する傾向がみられる。特に、0.1mmol/Lより薄くなるとこの傾向が著しいため好ましくない。10mmol/Lより高くなるにつれ金属酸化物層の表面やホスト化合物同士の過剰吸着が起こり操作中に脱離し易く再現性が低下する傾向がみられるため好ましくない。
また、金属酸化物層とホスト化合物の溶液との接触時間や、ホスト化合物の溶液の温度としては、ホスト化合物の吸着活性や反応活性等にもよるが、1分〜24時間、−20〜100℃の範囲で選択することができる。
【0017】
ホスト化合物と金属酸化物層との固定化の形態としては、特に制限されるものではなく、例えば、ホスト化合物の水酸基や力ルボキシル基等の酸素原子やアミノ基の窒素原子が金属酸化物層の金属原子に配位結合する化学吸着や、金属酸化物層に存在する水酸基と縮合反応して生じる化学結合等を用いることができる。また、疎水性相互作用や弱い水素結合による物理吸着等を用いることもできる。
【0018】
なお、金属化合物層形成工程と金属酸化物層形成工程は、1回乃至複数回繰り返して行うことができる。これらの工程を複数回繰り返して行うことにより、金属酸化物層を複数層積層し金属酸化物層の厚さを増加させたり金属酸化物層の表面積を広げることができる。この結果、ホスト化合物を固定化できる金属酸化物層の面積を広げホスト化合物を多数固定化させることができ、化学物質分離膜における化学物質の包接量を増加させることができる。
【0019】
なお、基板、ホスト化合物、化学物質は、請求項1で説明したものと同様のものなので、説明を省略する。
【0020】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の化学物質分離膜の製造方法であって、前記第1受容層形成工程に代えて、前記金属酸化物層の表面にホスト化合物に化学物質が包接した包接化合物を固定化する包接化合物固定化工程と、前記包接化合物固定化工程で固定化された前記包接化合物の前記化学物質を溶出して受容層を形成する第2受容層形成工程と、を備えた構成を有している。
この構成により、請求項2に記載の作用に加え、以下のような作用が得られる。
(1)第2受容層形成工程を備えているので、金属酸化物層の表面等に対象となる化学物質の構造やサイズを反映したホスト化合物を確実に固定化することができ安定性に優れるとともに製品得率を高めることができる。
【0021】
ここで、包接化合物としては、ホスト化合物が形成する分子規模の空間に化学物質が包接されることによって生じる化合物が用いられ、検出対象となる化学物質(ゲスト化合物)やホスト化合物の大きさよって選択することができる。例えば、ホスト化合物がα−シクロデキストリンやβ−シクロデキストリンの場合は、包接化合物中におけるシクロデキストリン(ホスト化合物)とゲスト化合物のモル比は、一般に1:1である。一方、ホスト化合物がγ−シクロデキストリンの場合、空間は大きく2個のゲスト化合物を取り込むことが可能なので、ホスト化合物とゲスト化合物のモル比1:2の包接化合物も用いることができる。
【0022】
包接化合物固定化工程において、包接化合物を固定化する方法としては、金属酸化物層に包接化合物の溶液を接触させるものが用いられる。
なお、包接化合物の溶液の濃度、金属酸化物層と包接化合物の溶液との接触時間、包接化合物の溶液の温度、包接化合物と金属酸化物層との固定化の形態としては、請求項2で説明した第1受容層形成工程におけるホスト化合物の溶液の場合と同様なので、説明を省略する。
【0023】
第2受容層形成工程としては、包接化合物固定化工程において包接化合物が固定化された金属酸化物層を、所定の溶媒に接触させて化学物資を溶出するものが用いられる。溶媒としては、化学物質に対し適度の可溶化能力を有するとともにホスト化合物に対し非溶解性のものであれば、特に制限なく用いることができる。
金属酸化物層と溶媒との接触時間や溶媒の温度は、化学物質の種類によっても異なるが、請求項2で説明した第1受容層形成工程におけるホスト化合物の溶液の場合と同様なので、説明を省略する。
【0024】
本発明の請求項4に記載の発明は、請求項2又は3に記載の化学物質分離膜の製造方法であって、前記第1受容層形成工程又は前記第2受容層形成工程で形成された前記受容層に前記金属化合物の溶液を接触させて前記受容層の表面に前記金属化合物層を形成する工程と、前記工程で形成された前記金属化合物層を加水分解・重縮合して前記金属酸化物層を形成する工程と、(a)前記金属酸化物層の表面に前記ホスト化合物を固定化する工程と、又は、(b)前記金属酸化物層の表面に前記包接化合物を固定化する工程及び前記工程で固定化された前記包接化合物の前記化学物質を溶出する工程と、を備えた構成を有している。
この構成により、以下のような作用が得られる。
(1)ホスト化合物や包接化合物が固定化された金属酸化物層の表面に、金属酸化物層を複数層形成することができるので、ホスト化合物や包接化合物の周囲に金属酸化物層を形成して強固に固定化することができ、ホスト化合物が解離し難く耐久性に優れた化学物質分離膜を形成することができる。
【0025】
ここで、受容層の表面に金属化合物層を形成する工程、金属化合物層を固定化する工程、ホスト化合物を固定化する工程又は包接化合物を固定化する工程及び化学物質を溶出する工程を繰り返し行うこともできる。これにより、3次元的に包接化合物やホスト化合物を金属酸化物層の層内や表面にさらに強力に固定化することができ耐久性をさらに高めることができる。
【0026】
本発明の請求項5に記載の発明は、請求項2乃至4の内いずれか1に記載の化学物質分離膜の製造方法であって、前記化学物質が、環境ホルモン物質、生理活性物質のいずれか1種以上である構成を有している。
この構成により、請求項2乃至4の内いずれか1で得られる作用に加え、以下のような作用が得られる。
(1)環境ホルモン等はナノモル乃至はピコモル程度の極めて低濃度で存在する場合でも生体に悪影響を及ぼすとされているが、極めて低濃度で含有する試料でも環境ホルモン等を高い感度で検出・分離することができる化学物質分離膜を形成することができる。
【0027】
ここで、環境ホルモン物質としては、動物の生体内に取り込まれた場合に正常なホルモン作用に影響を与える物質が用いられ、例えば、17β−エストラジオール、ビスフェノールA、ノニルフェノール、DDT、ダイオキシン類、ビンフロゾリン、DDE、TCDD、PCB等が用いられる。
生理活性物質としては、ドーパミン,アドレナリン等が用いられる。
【0028】
本発明の請求項6に記載の発明は、請求項2乃至5の内いずれか1に記載の化学物質分離膜の製造方法であって、前記金属酸化物層が、チタニアゲル,ジルコニアゲル,アルミナゲル,シリカゲルの内の1種又は2種以上で形成された構成を有している。
この構成により、請求項2乃至5の内いずれか1で得られる作用に加え、以下のような作用が得られる。
(1)チタニウムアルコキシド,ジルコニウムアルコキシド,アルミニウムアルコキシド,シリコンアルコキシド等の金属アルコキシドの金属化合物を用いて金属化合物層を形成した後、加水分解・縮重合によって1層あたり1〜数nmの厚さの薄い金属酸化物層を容易に形成することができるので操作性に優れる。
【0029】
本発明の請求項7に記載の化学物質の検出方法は、請求項1に記載の化学物質分離膜又は請求項2乃至6の内のいずれか1に記載の化学物質分離膜の製造方法で得られた化学物質分離膜を化学物質が溶解又は分散した水溶液に接触させ、前記化学物質分離膜と前記水溶液の界面のインピーダンス又はキャパシタンスを測定する構成を有している。
この構成により、以下のような作用が得られる。
(1)ホスト化合物が金属酸化物層に固定化された化学物質分離膜とホスト化合物に包接される化学物質が存在する水溶液との界面の反応を、表面分極制御法を利用したインピーダンス又はキャパシタンス測定によって検出するという簡便な操作で、従来の約10〜1000倍以上の高感度で検出することができる。基板にnmオーダーの表面修飾を施すことにより化学物質分離膜の界面での吸着によるインピーダンス等の応答速度や変化量を大きくすることができるからである。
【0030】
測定時間及び温度は、用いたホスト化合物や化学物質等の種類によっても異なるが、請求項2で説明した第1受容層形成工程におけるホスト化合物の場合と同様なので、説明を省略する。
【0031】
本発明の請求項8に記載の化学物質検出装置は、検体用セルと、前記検体用セルに配設された作用電極と、(a)前記検体用セルに配設された参照電極と、前記検体用セルに配設された補助電極と、を備えた化学物質検出装置、又は、(b)前記検体用セルに配設された対極と、を備えた化学物質検出装置、であって、前記補助電極を前記参照電極の電位を基準として所定電位に変化させる、又は前記対極の電位を所定電位に変化させる電位規制回路と、前記作用電極に接続され前記作用電極と前記水溶液の界面のインピーダンス又はキャパシタンスを測定する測定器と、を備え、前記作用電極が、請求項1に記載の化学物質分離膜又は請求項2乃至6の内のいずれか1に記載の化学物質分離膜の製造方法で得られた化学物質分離膜を備えた構成を有している。
この構成により、以下のような作用が得られる。
(1)金属酸化物層に固定化されたホスト化合物に包接された化学物質の検出を、表面分極制御法を利用し電極電位を制御しながら化学物質分離膜と水溶液との界面の電気化学的インピーダンス又はキャパシタンスを測定する事で行うことができるので、検出感度を著しく高めることができるとともに化学物質の定性分析も行うことができる。包接された化学物質の分子と化学物質分離膜との相互作用は、電極表面の分極状態に強く依存するため、電気電位に対するインピーダンス又はキャパシタンスの変化の状態を分析することで化学物質の識別と定量を行うことができるからである。
(2)従来の2電極式や3電極式の電気化学検出器と同様の構成で、作用電極として化学物質分離膜を備えた電極を用いるだけで高感度の検出装置が得られるので、汎用性に優れる。
【0032】
ここで、参照電極としては、銀−塩化銀電極、カロメル電極、硫酸水銀電極等の電極電位の基準となる電極が用いられる。
補助電極としては、白金製、ステンレス製、銀−塩化銀製、金−白金製等で形成され作用電極と一対で電流を流す役目をする電極が用いられる。
対極としては、作用電極と対極とが検体用セルに配設された2電極式の化学物質検出装置において、補助電極と参照電極の役割を兼ねた白金製、銀−塩化銀製、金−白金製等で形成された電極が用いられる。
検体用セルとしては、内部を水溶液等の検体溶液が流れるフローセル、検体が貯留されるセル等が用いられる。
【0033】
【実施例】
以下、本発明を実施例により具体的に説明する。なお、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
白金製の板状の基板を用い、平均粒子径が50nmのアルミナ研磨剤で基板の表面を研磨した。超音波洗浄後、窒素ガスを吹き付けて十分に乾燥させ、次いで、表面を清浄化するためバーナーを用いてアニーリングした。この基板を10mmol/Lメルカプトエタノールのエタノール溶液に12時間浸漬し表面に水酸基を導入した後、エタノールで洗浄後、窒素ガスを吹き付けて十分に乾燥させた。
次いで、トルエンとエタノールの容積比2:1混合溶媒にチタニウムアルコキシドとしてのチタンブトキシド(Ti(O−nBu))を溶解した30 ℃の100mmol/Lチタンブトキシド溶液に、表面に水酸基を導入した白金製の基板を10分間浸漬し、基板の表面にチタンブトキシド層を形成した。次いで、基板を30℃の洗浄溶媒(エタノール)に1分間浸漬して洗浄後、窒素ガスを吹き付けて乾燥させた(金属化合物層形成工程)。
次いで、30℃の洗浄溶媒(水)に1分間浸漬して加水分解・重縮合した後、窒素ガスを吹き付けて乾燥させることにより、基板の表面にチタニアゲルで形成された金属酸化物層を形成した(金属酸化物層形成工程)。
次いで、ホスト化合物としてのシクロデキストリンの群から選択されるβ−シクロデキストリン(10mmol/L)と、化学物質(ゲスト化合物)であるビスフェノールA(5mmol/L)の30℃の混合水溶液に、金属酸化物層が形成された基板を30分間浸漬した。これにより、ホスト化合物β−シクロデキストリン、化学物質ビスフェノールA、及びその包接化合物が固定化された金属酸化物層を形成した。本実施例の場合、ビスフェノールAとβ−シクロデキストリンのモル比1:2の包接化合物を用いたことになる。
次に、包接化合物が金属酸化物層に固定化された基板を30℃のアセトンに10分間浸漬して化学物質ビスフェノールAを溶出し、次いでアセトンで十分洗浄した後、窒素ガスを吹き付けて乾燥させ受容層を形成した(第2受容層形成工程)。
以上のようにして、実施例1の化学物質分離膜を備えた電極を得た。化学物質分離膜の厚さを水晶膜厚計(QCM)、走査型トンネル顕微鏡(AFM)を用いて算出し、エリプソメータを用いて確認したところ、1〜10nmの厚さの薄膜であることが確認された。
(比較例1)
ビスフェノールAとβ−シクロデキストリンの混合水溶液に金属酸化物層が形成された基板を浸漬した後、基板をアセトンに浸漬して化学物質ビスフェノールAを溶出しなかった以外は実施例1と同様にして、比較例1の化学物質分離膜を備えた電極を得た。
(比較例2)
白金製の板状の基板の表面を平均粒子径が50nmのアルミナ研磨剤で研磨し超音波洗浄後、窒素ガスを吹き付けて十分に乾燥させ、次いで、表面を清浄化するためバーナーを用いてアニーリングしたものを、比較例2の電極とした。
【0034】
(実施例1、比較例1、2の電極の評価)
実施例1、比較例1、2の電極を化学物質検出装置に装着して、ビスフェノールAに対する吸着(包接)特性を調べた。図1は本実施例における化学物質検出装置の模式図である。
図1において、1は3電極式の化学物質検出装置、2は化学物質(本実施例ではビスフェノールA)が溶解した水溶液が内部を流れるフローセル等の検体用セル、3は検体用セル2に配設された白金製の補助電極、4は検体用セル2に配設された銀−塩化銀製の参照電極、5は補助電極3を参照電極4の電位を基準として所定電位に変化させる電位規制回路、6は実施例1等の化学物質分離膜を備えた電極で形成された作用電極、7は作用電極6に接続され作用電極6の化学物質分離膜と検体用セル2内の水溶液の界面のインピーダンス又はキャパシタンスを測定する測定器である。
以上のように構成された化学物質検出装置1を用い、作用電極6に吸着する化学物質と作用電極6の表面の相互作用を参照電極4の電位に対するインピーダンスの変化又はキャパシタンスの変化を測定し分析することで化学物質の識別を行った。具体的には、本実施例では、−0.30Vから0.70Vの間で0.05Vステップで参照電極の電位を変化させながら、インピーダンスの実数成分Rpとキャパシタンスの実数成分Xpを測定した。測定器としてはFrequency response analyzer(FRA, NF Electronics Instruments 5020)を用いた。まず、基準となる10mmol/LのKCl水溶液を検体用セル内に入れ、電位制御を繰り返しながらRpとXpを測定して基準プロファイルをとり、次に試料溶液(本実施例ではビスフェノールAが溶解した水溶液)をビスフェノールAが2×10−8mol/L〜2×10−6mol/Lの濃度になるように添加し、基準プロファイルとの変化分(ΔRpまたはΔXp)を化学物質の吸着状態を示す指標として評価した。
【0035】
図2は実施例1の化学物質分離膜を備えた電極を用いたときのΔRpを示す図であり、図3は実施例1の化学物質分離膜を備えた電極を用いたときのΔXpを示す図であり、図4は比較例1の化学物質分離膜を備えた電極を用いたときのΔRpを示す図であり、図5は比較例1の化学物質分離膜を備えた電極を用いたときのΔXpを示す図であり、図6は比較例2の電極を用いたときのΔRpを示す図であり、図7は比較例2の電極を用いたときのΔXpを示す図である。
図2、3に示すように、実施例1の化学物質分離膜を備えた電極では、2×10−8mol/Lの低濃度でも変化を示すとともに、ビスフェノールAの濃度増加に対してΔRpの減少とΔXpの増加の定量的な変化を示した。
これに対して、図4、5に示すように比較例1の化学物質分離膜を備えた電極では、ビスフェノールAの濃度変化に対し応答が小さく、また図6、7に示すように比較例2の電極では、ΔRp又はΔXpの定量的な変化が見られなかった。比較例1の化学物質分離膜では、アセトンに浸漬して化学物質ビスフェノールAを溶出しなかったので、金属酸化物層の表面には、ホスト化合物の他、ビスフェノールAが包接された包接化合物も固定化されていると推察される。このため感度が低下し、比較例1のΔRp又はΔXpの変化は、実施例1のΔRp又はΔXpの変化と大きく異なったと推察している。
【0036】
以上のように本実施例によれば、化学物質分離膜を化学物質が溶解又は分散した水溶液に接触させ、化学物質分離膜と水溶液の界面のインピーダンス又はキャパシタンスを測定しΔRp又はΔXpを測定するという簡便な操作で、化学物質の識別と高感度の定量分析ができる化学物質の検出方法を提供できることが明らかになった。
【0037】
また、実施例1等の化学物質分離膜を備えた電極で形成された作用電極6を、2電極式の化学物質検出装置に装着して測定を行った場合も同様の結果が得られた。よって、本実施例によれば、補助電極を参照電極の電位を基準として所定電位に変化させる、又は対極の電位を所定電位に変化させる電位規制回路と、作用電極に接続され作用電極と水溶液の界面のインピーダンス又はキャパシタンスを測定する測定器と、を備えた化学物質検出装置を用いることによって、化学物質の検出が高感度でできることが明らかになった。
【0038】
なお、本実施例では、β−シクロデキストリンと、化学物質(ゲスト化合物)であるビスフェノールAの水溶液に浸漬し包接化合物を固定化した後に化学物質を溶出した場合について説明したが、ホスト化合物としてのβ−シクロデキストリンの水溶液に浸漬してホスト化合物のみを固定化した場合も、図2、3に示す関係とは異なるが、電位に対するΔRp又はΔXpは、ビスフェノールAの濃度変化に対し大きな変化が観察された。以上のことから、包接化合物を固定化した後に化学物質を溶出した場合だけでなく、ホスト化合物だけを固定化した場合も、化学物質の識別と高感度の定量分析ができる化学物質の検出方法を提供できることが明らかになった。
【0039】
【発明の効果】
以上のように、本発明の化学物質分離膜及びその製造方法、並びに化学物質の検出方法及び化学物質検出装置によれば、以下のような有利な効果が得られる。
請求項1に記載の発明によれば、
(1)金属酸化物層の表面に固定化され所定の化学物質を包接するホスト化合物を備えているので、ホスト化合物が有する分子規模の空間にゲストとなる所定の化学物質を包接して分離することができ著しく高い吸着能が得られ、化学物質検出装置の電極として用いることで微量の化学物質の検出も可能な高感度の化学物質検出膜を提供することができる。
(2)ホスト化合物の種類やゲスト化合物との吸着構造を選択することによりゲストとなる化学物質の種類を選択することができるので、選択的に所定の化学物質を分離することができ、化学物質検出装置の電極として用いることで選択的に微量の化学物質の検出も可能で定性分析もできる化学物質検出膜を提供することができる。
(3)ホスト化合物に包接された化学物質を、化学物質の可溶化能力を有する溶媒で溶出して除去することができるので、繰り返し使用が可能な省資源性に優れた化学物質検出膜を提供することができる。
【0040】
請求項2に記載の発明によれば、
(1)ゾルゲル法を利用しているので、穏和な条件下かつ簡単な操作で、種々の形状や大面積の基板の表面に化学物質の分離能を付与することができる化学物質分離膜の製造方法を提供することができる。
(2)ゾルゲル法を利用して膜を形成しているので、表面にホスト化合物が固定化され数ナノメートルの範囲で制御された厚さの膜を安定して形成することができ製品得率を高めることができる化学物質分離膜の製造方法を提供することができる。
(3)高価な製造設備を要しないとともに生産性に優れた化学物質分離膜の製造方法を提供することができる。そのため、環境、医薬、分子材料の分野の重要な基盤技術として、又はクロマトグラフィー担体等の製造方法として用いることができる。さらに、様々な分離機能膜を設計、製造する手段として、各種の情報変換素子(センサー)を構築する手段として、様々なタイプの有機・無機複合超薄膜材料を設計、製造する方法として適用することができる。
【0041】
請求項3に記載の発明によれば、請求項2の効果に加え、
(1)金属酸化物層の表面等に対象となる化学物質の構造やサイズを反映したホスト化合物を確実に固定化することができ安定性に優れるとともに製品得率を高めることができる化学物質分離膜の製造方法を提供することができる。
【0042】
請求項4に記載の発明によれば、請求項2又は3の効果に加え、
(1)ホスト化合物や包接化合物が固定化された金属酸化物層の表面に、金属酸化物層を複数層形成することができるので、ホスト化合物や包接化合物の周囲に金属酸化物層を形成して強固に固定化することができ、ホスト化合物が解離し難く耐久性に優れた化学物質分離膜を形成できる化学物質分離膜の製造方法を提供することができる。
【0043】
請求項5に記載の発明によれば、請求項2乃至4の内いずれか1の効果に加え、
(1)環境ホルモン等はナノモル乃至はピコモル程度の極めて低濃度で存在する場合でも生体に悪影響を及ぼすとされているが、極めて低濃度で含有する試料でも環境ホルモン等を高い感度で検出・分離することができる化学物質分離膜を形成できる化学物質分離膜の製造方法を提供することができる。
【0044】
請求項6に記載の発明によれば、請求項2乃至5の内いずれか1の効果に加え、
(1)チタニウムアルコキシド,ジルコニウムアルコキシド,アルミニウムアルコキシド,シリコンアルコキシド等の金属アルコキシドの金属化合物を用いて金属化合物層を形成した後、加水分解・縮重合によって金属酸化物層を容易に形成することができ操作性に優れた化学物質分離膜の製造方法を提供することができる。
【0045】
請求項7に記載の発明によれば、
(1)ホスト化合物が金属酸化物層に固定化された化学物質分離膜とホスト化合物に包接される化学物質が存在する水溶液との界面の反応を、表面分極制御法を利用したインピーダンス又はインピーダンス測定によって検出するという簡便な操作で、従来の約10〜1000倍以上の高感度で検出することができる化学物質の検出方法を提供することができる。
【0046】
請求項8に記載の発明によれば、
(1)金属酸化物層に固定化されたホスト化合物に包接された化学物質を、表面分極制御法を利用し電極電位を制御しながら化学物質分離膜と水溶液との界面の電気化学的インピーダンス又はキャパシタンスを測定する事で行うことができるので、検出感度を著しく高めることができるとともに化学物質の定性分析も行うことができ、幅広い化学物質の分析に適用可能な化学物質検出装置を提供することができる。
(2)従来の2電極式や3電極式の電気化学検出器と同様の構成で、作用電極として化学物質分離膜を備えた電極を用いるだけで高感度の検出装置が得られるので、汎用性に優れた化学物質検出装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施例における化学物質検出装置の模式図
【図2】実施例1の化学物質分離膜を備えた電極を用いたときのΔRpを示す図
【図3】実施例1の化学物質分離膜を備えた電極を用いたときのΔXpを示す図
【図4】比較例1の化学物質分離膜を備えた電極を用いたときのΔRpを示す図
【図5】比較例1の化学物質分離膜を備えた電極を用いたときのΔXpを示す図
【図6】比較例2の化学物質分離膜を備えた電極を用いたときのΔRpを示す図
【図7】比較例2の化学物質分離膜を備えた電極を用いたときのΔXpを示す図
【符号の説明】
1 化学物質検出装置
2 検体用セル
3 補助電極
4 参照電極
5 電位規制回路
6 作用電極
7 測定器

Claims (8)

  1. 基板の表面に1層又は複数層形成された金属酸化物層と、前記金属酸化物層の表面又は層内に固定化され所定の化学物質を包接するホスト化合物と、を備えていることを特徴とする化学物質分離膜。
  2. 基板に金属化合物の溶液を接触させて前記基板の表面に金属化合物層を形成する金属化合物層形成工程と、前記金属化合物層形成工程で形成された前記金属化合物層を加水分解・重縮合して金属酸化物層を形成する金属酸化物層形成工程と、前記金属酸化物層形成工程で形成された前記金属酸化物層の表面に所定の化学物質を包接するホスト化合物を固定化し受容層を形成する第1受容層形成工程と、を備えていることを特徴とする化学物質分離膜の製造方法。
  3. 前記第1受容層形成工程に代えて、前記金属酸化物層の表面にホスト化合物に化学物質が包接した包接化合物を固定化する包接化合物固定化工程と、前記包接化合物固定化工程で固定化された前記包接化合物の前記化学物質を溶出して受容層を形成する第2受容層形成工程と、を備えていることを特徴とする請求項2に記載の化学物質分離膜の製造方法。
  4. 前記第1受容層形成工程又は前記第2受容層形成工程で形成された前記受容層に前記金属化合物の溶液を接触させて前記受容層の表面に前記金属化合物層を形成する工程と、
    前記工程で形成された前記金属化合物層を加水分解・重縮合して前記金属酸化物層を形成する工程と、
    (a)前記金属酸化物層の表面に前記ホスト化合物を固定化する工程と、又は、(b)前記金属酸化物層の表面に前記包接化合物を固定化する工程及び前記工程で固定化された前記包接化合物の前記化学物質を溶出する工程と、
    を備えていることを特徴とする請求項2又は3に記載の化学物質分離膜の製造方法。
  5. 前記化学物質が、環境ホルモン物質、生理活性物質のいずれか1種以上であることを特徴とする請求項2乃至4の内いずれか1に記載の化学物質分離膜の製造方法。
  6. 前記金属酸化物層が、チタニアゲル,ジルコニアゲル,アルミナゲル,シリカゲルの内の1種又は2種以上で形成されていることを特徴とする請求項2乃至5の内いずれか1に記載の化学物質分離膜の製造方法。
  7. 請求項1に記載の化学物質分離膜又は請求項2乃至6の内のいずれか1に記載の化学物質分離膜の製造方法で得られた化学物質分離膜を化学物質が溶解又は分散した水溶液に接触させ、前記化学物質分離膜と前記水溶液の界面のインピーダンス又はキャパシタンスを測定することを特徴とする化学物質の検出方法。
  8. 検体用セルと、前記検体用セルに配設された作用電極と、(a)前記検体用セルに配設された参照電極と、前記検体用セルに配設された補助電極と、を備えた化学物質検出装置、又は、(b)前記検体用セルに配設された対極と、を備えた化学物質検出装置、であって、
    前記補助電極を前記参照電極の電位を基準として所定電位に変化させる、又は前記対極の電位を所定電位に変化させる電位規制回路と、前記作用電極に接続され前記作用電極と前記水溶液の界面のインピーダンス又はキャパシタンスを測定する測定器と、を備え、前記作用電極が、請求項1に記載の化学物質分離膜又は請求項2乃至6の内のいずれか1に記載の化学物質分離膜の製造方法で得られた化学物質分離膜を備えていることを特徴とする化学物質検出装置。
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