JP2004298736A - 排気ガス浄化装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】PM、HC、CO等を浄化する排気ガス浄化触媒装置の触媒担体において、上流側にルイス酸物質のコート層を、下流側にルイス塩基物質のコート層を設けて、PM、HC、COをコート層に吸着し、各コート層上に担持した酸化触媒と反応させて、PM、HC、COを効率よく浄化する排気ガス浄化触媒装置を提供する。
【解決手段】エンジン2の粒子状物質、炭化水素、一酸化炭素を浄化する排気ガス浄化触媒装置10において、排気ガスの通路の上流側に酸化触媒23aを担持したルイス酸物質22aを配置し、下流側に酸化触媒23bを担持したルイス塩基物質22bを配置する。
【選択図】 図1
【解決手段】エンジン2の粒子状物質、炭化水素、一酸化炭素を浄化する排気ガス浄化触媒装置10において、排気ガスの通路の上流側に酸化触媒23aを担持したルイス酸物質22aを配置し、下流側に酸化触媒23bを担持したルイス塩基物質22bを配置する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ディーゼルエンジンの粒子状物質(PM)、炭化水素(HC)、一酸化炭素(CO)を浄化する排気ガス浄化触媒装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
ディーゼルエンジンから排出される排気ガス中に粒子状物質(PM:パティキュレート・マター:以下PMとする)、炭化水素(HC)、一酸化炭素(CO)、窒素酸化物(NOx)等が含まれており、これらを浄化する必要がある。
【0003】
NOxについては選択還元触媒装置等が開発されており、また、PMについてはディーゼルパティキュレートフィルタ(DPF:Diesel Particulate Filter :以下DPFとする)と呼ばれるフィルタが開発されている。
【0004】
NOx,HC,COに対しては、過剰酸素のもとで炭化水素の存在下で炭化水素を酸化しかつNOxを還元する選択還元型触媒と、その下流側に酸化触媒や三元触媒等の酸化機能を有する触媒を配置し、未燃HC,COを2段構えで浄化する圧縮着火式内燃機関が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0005】
また、HCに関しては、HC吸着材の表面に三元触媒又は酸化触媒を担持させた2層コート触媒とその下流側に三元触媒又は酸化触媒を担持させた下流側触媒を配置し、エンジン始動等の触媒の未活性時にはHC吸着材でHCを吸着し、触媒が活性化した時には上流側の触媒と下流側の触媒で浄化する内燃機関の排ガス浄化装置が提案されている(例えば、特許文献2参照。)。
【0006】
そして、PMに関しては、セラミック製のモノリスハニカム型ウオールフロータイプのフィルタや、セラミックや金属を繊維状にした繊維型タイプのフィルタ等がPMを捕集するDPFとして提案され、図7に示すように、これらのDPFを用いた排気ガス浄化装置40は、他の排気ガス浄化装置と同様に、エンジン41の排気通路42の途中に設置され、エンジンで発生する排気ガスGを浄化している。
【0007】
しかしながら、このDPFは、その装置を正常に運転するためには、PMの詰まり具合などを検出したり、捕集したPMを除去して再生するために、DPFを加熱するヒータや排気ガスを昇温させる燃料噴射が必要であり、使用過程車(DPF装置が付いていない既に使用中の車)に装着することが困難であるという問題がある。
【0008】
そして、DPFに捕集されたPMの燃焼温度を下げるために、DPFの上流側に酸化触媒を、下流側にNOx吸収材を配置し、酸化触媒でNOをNO2 に転換して、このNO2 でDPFに捕集された煤を燃焼させ、反応により生成したNOをNOx吸着剤で吸収するディーゼル機関の排気浄化方法が提案されている(例えば、特許文献3参照。)。
【0009】
この酸化触媒とDPFを組み合わせて、捕集したPMを酸化燃焼させる連続再生方式のDPFにおいても、都市内走行では酸化燃焼温度に排気ガスが到達しない場合が多いため、燃料噴射等の制御による排気昇温が必要になり、使用過程車には装着が困難であるという問題がある。
【0010】
【特許文献1】
特開平11−294144号公報 (第8頁)
【特許文献2】
特開2001−164930号公報 (第3頁、第5頁、第6頁)
【特許文献3】
特開平9−53442号公報 (第2頁)
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
そして、フロースルータイプのハニカム状セラミックス担体を用いて、この担体に設けたγアルミナのコート層に酸化触媒を担持した酸化触媒装置においても、HC、CO、及びPM中の有機溶剤可溶成分(SOF)に関しては60%〜90%程度を浄化できるが、煤(Soot)成分に関しては十分に酸化燃焼できず10%以下の浄化率に留まるという問題がある。
【0012】
このSoot成分の酸化が難しい原因として、Sootがルイス酸物質であり、その周りにルイス塩基物質であるSOFが付着しているため、ルイス酸物質であるγアルミナのコート層の酸化触媒では、SOFを酸化できるが、SOFが酸化された後のSootは、温度が高ければ一部は燃焼するが、同じルイス酸であるため大部分がγアルミナのコート層から離脱するので、γアルミナのコート層の酸化触媒では、Sootの酸化は難しく、そのため、Sootの浄化が不十分となると考えられる。
【0013】
本発明は、この知見を得て、上述の問題を解決するべくなされたものであり、その目的は、PM、HC、CO等を浄化する排気ガス浄化触媒装置の触媒担体において、上流側にルイス酸物質のコート層を、下流側にルイス塩基物質のコート層を設けて、PM、HC、COをコート層に吸着し、各コート層上に担持した酸化触媒と反応させて、PM、HC、COを効率よく浄化する排気ガス浄化触媒装置を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
以上のような目的を達成するための排気ガス浄化触媒装置は、エンジンの粒子状物質、炭化水素、一酸化炭素を浄化する排気ガス浄化触媒装置において、排気ガスの通路の上流側に酸化触媒を担持したルイス酸物質を配置し、下流側に酸化触媒を担持したルイス塩基物質を配置したことを特徴とする。
【0015】
そして、前記排気ガス浄化触媒装置を構成する触媒担持体の上流側のコート層をルイス酸物質で、下流側のコート層をルイス塩基物資でそれぞれ形成し、該コート層のそれぞれに酸化触媒を担持させたことを特徴とする。
【0016】
または、前記排気ガス浄化触媒装置を複数の触媒担持体で構成すると共に、上流側の触媒担持体のコート層をルイス酸物質で、下流側の触媒担持体のコート層をルイス塩基物質でそれぞれ形成し、該コート層のそれぞれに酸化触媒を担持させたことを特徴とする。
【0017】
あるいは、前記排気ガス浄化触媒装置を構成する触媒担持体にルイス酸物質で形成したコート層と、ルイス塩基物質で形成したコート層を混在させて構成し、該コート層のそれぞれに酸化触媒を担持させたことを特徴とする。
【0018】
そして、前記触媒担持体の材料として、コーディエライトセラミックス、炭化ケイ素セラミクッス、耐熱金属の少なくとも一つを用いることができ、また、前記触媒担持体を、ハニカム状、フォーム状、繊維フィルタ状、ペレット状の少なくとも一つで形成することができる。
【0019】
また、このルイス酸物質は電子対受容体であり、金属酸化物、硫酸塩、硝酸塩、炭酸塩、リン酸塩、塩化物等の電子対を受け取ることができる物質のうちの少なくとも1種を用いることができる。この金属酸化物には、γアルミナ(Al2 O3 ),シリカ−アルミナ(SiO2 −Al2 O3 ),シリカ−マグネシア(SiO2 −MgO)、シリカ−ボリヤ(SiO−BO)等があり、硫酸塩には、硫酸カルシウム(CaSO4 ),硫酸マンガン(MnSO4 ),硫酸ニッケル(NiSO4 ),硫酸銅(CuSO4 ),硫酸コバルト(CoSO4 ),硫酸ストロンチウム(SrSO4 ),硫酸亜鉛(ZnSO4 ),硫酸アルミニウム(Al2 (SO4 )),硫酸第2鉄(Fe2 (SO4 )3 )等がある。また,これらの硫酸塩の代りの硝酸塩や炭酸塩や塩化物やハロゲン化物もある。また、酸性白土、クラリット、ベントナイト、カオリン、モンモリロナイト、フロリジン、ゼオライト等もある。
【0020】
また、ルイス塩基物質は電子対供給体であり、アルカリ金属酸化物、炭酸塩の電子対を与えることができる物質のうちの少なくとも1種を用いることできる。このアルカリ金属酸化物には、セリア(CeO2 ),チタニア(TiO2 ),ジルコニア(ZrO2 )等があり、炭酸塩には、La2 O2 CO3 があり、また、タングステン酸ナトリウム(Na2 WO4 )、水酸化カリウム(KOH)処理シリカゲル,水酸化カリウム(KOH)処理アルミナ、亜酸化窒素賦活炭,アンモニア賦活炭等がある。
【0021】
そして、酸化触媒としては、白金(Pt)や銅(Cu)−カリウム(K)−白金(Pt)系触媒等がある。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る実施の形態の排気ガス浄化触媒装置について、図面を参照しながら説明する。
【0023】
本発明の第1の実施の形態の排気ガス浄化触媒装置10は、図1〜図4に示すように、コーディエライトを材料にして形成したフロースルータイプのハニカム担持体(触媒担持体:コーディエライト多孔体)20を第1ハニカム担持体20aと第2ハニカム担持体20bで構成し、このハニカム担持体20a,20bを触媒収納容器30に、インターラムマット等のハニカム保持材40を介して保持する。
【0024】
この上流側の第1ハニカム担持体20aの壁面21aには、ルイス酸物質であるγアルミナで形成した第1コート層(第1担体コート:ウオッシュコート)22aを設け、下流側の第2ハニカム担持体20bの壁面21bには、ルイス塩基物資であるタングステン酸ナトリウム(Na2 WO4 )で形成した第2コート層(第2担体コート:ウオッシュコート)22bを設ける。
【0025】
更に、第1コート層22aに、白金(Pt)リッチの第1酸化触媒23aを担持させ、第2コート層22bに銅(Cu)−カリウム(K)−白金(Pt)系触媒の第2酸化触媒23bを担持させる。これらの触媒23a,23bにより,HC,CO,Sootを浄化する酸化触媒を構成する。
【0026】
これにより、エンジンのPM、HC、COを浄化する排気ガス浄化触媒装置10において、排気ガスGが通過するセル(通路)の上流側部分24aに酸化触媒23aを担持したルイス酸物質を配置し、下流側部分24bに酸化触媒23bを担持したルイス塩基物質を配置する。
【0027】
また、本発明の第2の実施の形態の排気ガス浄化触媒装置10Aでは、図5に示すように、コーディエライトを材料にして形成したフロースルータイプのハニカム担持体(触媒担持体)を一つのハニカム担持体20Aで構成し、このハニカム担持体20Aの上流側の第1コート層22aをルイス酸物質であるγアルミナで形成し、下流側の第2コート層22bをルイス塩基物質であるタングステン酸ナトリウムで形成する。
【0028】
更に、第1コート層22aに、Ptリッチの第1酸化触媒23aを担持させ、第2コート層22bにCu−K−Pt系触媒の第2酸化触媒を担持させる。これらの触媒23a,23bにより,HC,CO,Sootを浄化できる酸化触媒を構成する。
【0029】
これにより、エンジンのPM、HC、COを浄化する排気ガス浄化触媒装置10Aにおいて、排気ガスGが通過するセル(通路)24Aの上流側部分に酸化触媒23aを担持したルイス酸物質を配置し、下流側部分に酸化触媒23bを担持したルイス塩基物質を配置する。
【0030】
更に、本発明の第3の実施の形態の排気ガス浄化触媒装置10Bは、図6に示すように、第1の実施の形態で使用した第1ハニカム担持体20aと第2ハニカム担持体20bを交互に積層した積層体で構成したものであり、これにより、エンジンのPM、HC、COを浄化する排気ガス浄化触媒装置10Bにおいて、排気ガスGの通路の上流側に酸化触媒23aを担持したルイス酸物質を配置し、下流側に酸化触媒23bを担持したルイス塩基物質を配置する。
【0031】
なお、特に図示しないが、第2の実施の形態と同様に、ハニカム担持体(触媒担持体)を一つのハニカム担持体20Aで構成し、このハニカム担持体20Aの上流側から下流側に向かって第1コート層22aと第2コート層22bを交互に複数回繰り返して構成し、これにより、エンジンのPM、HC、COを浄化する排気ガス浄化触媒装置において、排気ガスの通路の上流側に酸化触媒23aを担持したルイス酸物質を配置し、下流側に酸化触媒23bを担持したルイス塩基物質を配置する。
【0032】
更に、第1の実施の形態における第1ハニカム担持体20aと第2ハニカム担持体20bを、別々の触媒収納容器に、ハニカム保持材を介して保持し、これを排気ガス通路の上流側と下流側に配置する構成としてもよい。
【0033】
次の上記の構成の排気ガス浄化触媒装置10,10A,10Bにおける排気ガス中のCO,HC,PMの浄化について説明する。
【0034】
これらの構成によれば、上流側において、CO,HC,PMの表面に吸着している有機溶剤可溶成分(SOF)がルイス酸であるγアルミナの第1コート層22aに吸着し、この第1コート層22aに担持された酸化触媒23aであるPtとの反応してCO2 やH2 Oに変化する。
【0035】
つまり、PMの主成分であるSootはルイス酸で、その周りにルイス塩基であるSOF成分を吸着しているので、ルイス酸であるγアルミナの第1コート層22aに吸着され、吸着されたSOFは、第1コート層22a内を拡散してこの第1コート層22aに担持された第1酸化触媒23aのPtに接触して反応する。このSOFから生成されたCO2 やH2 Oはこの第1コート層22aから乖離して、排気ガス中に放出される。また、この時、温度が高ければ一部のSootは燃焼するが、第1コート層22aと同じルイス酸であるため大部分は反応しないでγアルミナから離脱する。
【0036】
下流側においては、Sootの周囲のSOFは上流側で酸化されているので、ルイス酸であるSootはルイス塩基物質であるタングステン酸ナトリウムの第2コート層22bに吸着され、この第2コート層22bに担持されたK−Cu−Ptの第2酸化触媒23bによりCO2 に酸化される。
【0037】
従って、第1酸化触媒23aを担持した第1コート層22aと第2酸化触媒23bを担持した第2コート層22bによりCO,HC,SOF,Sootを浄化できる。
【0038】
なお、上記の実施の形態では、触媒担持体にフロースルータイプのハニカム担持体を用い、ルイス酸物質のコート層を形成する材料としてはγアルミナを、ルイス塩基物質のコート層を形成する材料としてはタングステン酸ナトリウムを用い、酸化触媒としてはPt及びCu−K−Pt系触媒を用いたが、これ以外にも下記のようなものを用いることができる。
【0039】
触媒担持体としては、フロースルータイプ以外にも、ウオールフロータイプやフロースルーとウオールフローを組み合わせたタイプを使用でき、ハニカム状、フォーム状、繊維フィルタ状、ペレット状の内の少なくとも1種を用いることができる。
【0040】
このウオールフロータイプの触媒担持体を用いた場合には、多孔質壁面の両面に第1コート層を設けた部分と、多孔質壁面の両面に第2コート層部分とを設けた部分を形成して、第1コート層22a側を上流側に第2コート層22b側を下流側に配置してもよいが、多孔質壁面の上流側の表面に第1コート層22aを設け、同じ多孔質壁面の下流側の表面に第2コート層22bを設ける構成にしてもよい。
【0041】
また、触媒担体の材料としては、コーディエライトセラミックス以外にも、炭化ケイ素セラミックス、耐熱金属の内の少なくとも1種を用いることができる。
【0042】
そして、ルイス酸物質の第1コート層22aを形成する材料としては、金属酸化物、硫酸塩、硝酸塩、炭酸塩、リン酸塩、塩化物等の電子対を受け取ることができる物質のうちの少なくとも1種を用いることができる。
【0043】
この金属酸化物には、Al2 O3 ,SiO2 −Al2 O3 ,SiO2 −MgO、SiO−BO等があり、硫酸塩には、CaSO4 ,MnSO4 ,NiSO4 ),CuSO4 ,CoSO4 ,SrSO4 ,ZnSO4 ,Al2 (SO4 ),Fe2 (SO4 )3 等がある。また,これらの硫酸塩の代りの硝酸塩や炭酸塩や塩化物やハロゲン化物もある。また、その他にも酸性白土、クラリット、ベントナイト、カオリン、モンモリロナイト、フロリジン、ゼオライト等の珪藻土類がある。
【0044】
また、ルイス塩基物質の第2コート層23aを形成する材料としては、アルカリ金属酸化物、炭酸塩の電子対を与えることができる物質のうちの少なくとも1種を用いることできる。このアルカリ金属酸化物には、CeO2 ,TiO2 ,ZrO2 等があり、炭酸塩にはLa2 O2 CO3 があり、また、Na2 WO4 、水酸化カリウム(KOH)処理シリカゲル,水酸化カリウム(KOH)処理アルミナ、亜酸化窒素賦活炭,アンモニア賦活炭等がある。
【0045】
〔実施例〕
実施例として、図7に示すように、第1の実施の形態の排気ガス浄化触媒装置10を準備し、この排気ガス浄化触媒装置10を使用過程車の4.8Lディーゼルエンジン2の後方の排気ガス通路4に配置して、排気ガス中のHC,CO,PMの浄化率を計測した。また、比較例として、従来のγアルミナのコート層に白金を担持した排気ガス浄化触媒装置における排気ガスの浄化率も計測した。これらの計測結果を表1に示す。
【0046】
この実施例としての排気ガス浄化装置は、400セル/インチ2 、φ7インチ×L7.5インチのフロースルータイプに形成したコーディエライトハニカムの触媒担持体20a,20bをインターラムマット等のハニカム保持材40で巻回して機械的強度を補強し、容器30に入れている。
【0047】
この前段のハニカム担持体20aにはγアルミナの第1コート層22aを設け、この第1コート層22aに白金を第1酸化触媒23aとして1g/l(リットル)担持した。また、後段のハニカム担持体20bにはNa2 WO4 の第2コート層22bを設け、この第2コート層22bにCuO、KCl、Pt等を1:1:1の重量比で配合したCu−K−Pt系触媒を第2酸化触媒23bとして合計3g/l(リットル)担持した。
【0048】
【表1】
表1から分かるように、本発明の排気ガス浄化触媒装置(実施例)はPMを従来の排気ガス浄化触媒装置(比較例)に比べて大幅に低減することができる。
【0049】
【発明の効果】
以上に説明をしたように、本発明の排気ガス浄化触媒装置によれば、CO,HC,PMの表面に吸着している有機溶剤可溶成分(SOF)をルイス酸で形成された第1コート層に吸着し、この第1コート層に担持された酸化触媒で酸化して二酸化炭素や水にすることができ、更に、周囲のSOFが酸化されて残った、ルイス酸であるSootはルイス塩基物質で形成された第2コート層に吸着し、この第2コート層に担持された酸化触媒によりCO2 に酸化することができる。従って、従来の排気ガス浄化触媒装置に比べてディーゼルエンジンの排気ガス中のPMを効率よく浄化できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る第1の実施の形態の排気ガス浄化触媒装置の構成を示す図である。
【図2】図1のハニカム担持体の構成を示す側断面図である。
【図3】図2のハニカム担持体の構成を示す正面図である。
【図4】ハニカム担持体の構成を示す図2の拡大図である。
【図5】本発明に係る第2の実施の形態の排気ガス浄化触媒装置の構成を示す図である。
【図6】本発明に係る第3の実施の形態の排気ガス浄化触媒装置の構成を示す図である。
【図7】排気ガス浄化装置をディーゼルエンジンの排気ガス経路に設定した場合の構成を示す図である。
【符号の説明】
10,10A,10B 排気ガス浄化触媒装置
20,20a,20b ハニカム担持体(触媒担持体)
21,21a,21b 壁面
22a 第1コート層(γアルミナ:ルイス酸物質)
22b 第2コート層(タングステン酸ナトリウム:ルイス塩基物質)
23a 第1酸化触媒(Pt)
23b 第2酸化触媒(Cu−K−Pt系触媒)
24,24a,24b セル(通路)
【発明の属する技術分野】
本発明は、ディーゼルエンジンの粒子状物質(PM)、炭化水素(HC)、一酸化炭素(CO)を浄化する排気ガス浄化触媒装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
ディーゼルエンジンから排出される排気ガス中に粒子状物質(PM:パティキュレート・マター:以下PMとする)、炭化水素(HC)、一酸化炭素(CO)、窒素酸化物(NOx)等が含まれており、これらを浄化する必要がある。
【0003】
NOxについては選択還元触媒装置等が開発されており、また、PMについてはディーゼルパティキュレートフィルタ(DPF:Diesel Particulate Filter :以下DPFとする)と呼ばれるフィルタが開発されている。
【0004】
NOx,HC,COに対しては、過剰酸素のもとで炭化水素の存在下で炭化水素を酸化しかつNOxを還元する選択還元型触媒と、その下流側に酸化触媒や三元触媒等の酸化機能を有する触媒を配置し、未燃HC,COを2段構えで浄化する圧縮着火式内燃機関が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0005】
また、HCに関しては、HC吸着材の表面に三元触媒又は酸化触媒を担持させた2層コート触媒とその下流側に三元触媒又は酸化触媒を担持させた下流側触媒を配置し、エンジン始動等の触媒の未活性時にはHC吸着材でHCを吸着し、触媒が活性化した時には上流側の触媒と下流側の触媒で浄化する内燃機関の排ガス浄化装置が提案されている(例えば、特許文献2参照。)。
【0006】
そして、PMに関しては、セラミック製のモノリスハニカム型ウオールフロータイプのフィルタや、セラミックや金属を繊維状にした繊維型タイプのフィルタ等がPMを捕集するDPFとして提案され、図7に示すように、これらのDPFを用いた排気ガス浄化装置40は、他の排気ガス浄化装置と同様に、エンジン41の排気通路42の途中に設置され、エンジンで発生する排気ガスGを浄化している。
【0007】
しかしながら、このDPFは、その装置を正常に運転するためには、PMの詰まり具合などを検出したり、捕集したPMを除去して再生するために、DPFを加熱するヒータや排気ガスを昇温させる燃料噴射が必要であり、使用過程車(DPF装置が付いていない既に使用中の車)に装着することが困難であるという問題がある。
【0008】
そして、DPFに捕集されたPMの燃焼温度を下げるために、DPFの上流側に酸化触媒を、下流側にNOx吸収材を配置し、酸化触媒でNOをNO2 に転換して、このNO2 でDPFに捕集された煤を燃焼させ、反応により生成したNOをNOx吸着剤で吸収するディーゼル機関の排気浄化方法が提案されている(例えば、特許文献3参照。)。
【0009】
この酸化触媒とDPFを組み合わせて、捕集したPMを酸化燃焼させる連続再生方式のDPFにおいても、都市内走行では酸化燃焼温度に排気ガスが到達しない場合が多いため、燃料噴射等の制御による排気昇温が必要になり、使用過程車には装着が困難であるという問題がある。
【0010】
【特許文献1】
特開平11−294144号公報 (第8頁)
【特許文献2】
特開2001−164930号公報 (第3頁、第5頁、第6頁)
【特許文献3】
特開平9−53442号公報 (第2頁)
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
そして、フロースルータイプのハニカム状セラミックス担体を用いて、この担体に設けたγアルミナのコート層に酸化触媒を担持した酸化触媒装置においても、HC、CO、及びPM中の有機溶剤可溶成分(SOF)に関しては60%〜90%程度を浄化できるが、煤(Soot)成分に関しては十分に酸化燃焼できず10%以下の浄化率に留まるという問題がある。
【0012】
このSoot成分の酸化が難しい原因として、Sootがルイス酸物質であり、その周りにルイス塩基物質であるSOFが付着しているため、ルイス酸物質であるγアルミナのコート層の酸化触媒では、SOFを酸化できるが、SOFが酸化された後のSootは、温度が高ければ一部は燃焼するが、同じルイス酸であるため大部分がγアルミナのコート層から離脱するので、γアルミナのコート層の酸化触媒では、Sootの酸化は難しく、そのため、Sootの浄化が不十分となると考えられる。
【0013】
本発明は、この知見を得て、上述の問題を解決するべくなされたものであり、その目的は、PM、HC、CO等を浄化する排気ガス浄化触媒装置の触媒担体において、上流側にルイス酸物質のコート層を、下流側にルイス塩基物質のコート層を設けて、PM、HC、COをコート層に吸着し、各コート層上に担持した酸化触媒と反応させて、PM、HC、COを効率よく浄化する排気ガス浄化触媒装置を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
以上のような目的を達成するための排気ガス浄化触媒装置は、エンジンの粒子状物質、炭化水素、一酸化炭素を浄化する排気ガス浄化触媒装置において、排気ガスの通路の上流側に酸化触媒を担持したルイス酸物質を配置し、下流側に酸化触媒を担持したルイス塩基物質を配置したことを特徴とする。
【0015】
そして、前記排気ガス浄化触媒装置を構成する触媒担持体の上流側のコート層をルイス酸物質で、下流側のコート層をルイス塩基物資でそれぞれ形成し、該コート層のそれぞれに酸化触媒を担持させたことを特徴とする。
【0016】
または、前記排気ガス浄化触媒装置を複数の触媒担持体で構成すると共に、上流側の触媒担持体のコート層をルイス酸物質で、下流側の触媒担持体のコート層をルイス塩基物質でそれぞれ形成し、該コート層のそれぞれに酸化触媒を担持させたことを特徴とする。
【0017】
あるいは、前記排気ガス浄化触媒装置を構成する触媒担持体にルイス酸物質で形成したコート層と、ルイス塩基物質で形成したコート層を混在させて構成し、該コート層のそれぞれに酸化触媒を担持させたことを特徴とする。
【0018】
そして、前記触媒担持体の材料として、コーディエライトセラミックス、炭化ケイ素セラミクッス、耐熱金属の少なくとも一つを用いることができ、また、前記触媒担持体を、ハニカム状、フォーム状、繊維フィルタ状、ペレット状の少なくとも一つで形成することができる。
【0019】
また、このルイス酸物質は電子対受容体であり、金属酸化物、硫酸塩、硝酸塩、炭酸塩、リン酸塩、塩化物等の電子対を受け取ることができる物質のうちの少なくとも1種を用いることができる。この金属酸化物には、γアルミナ(Al2 O3 ),シリカ−アルミナ(SiO2 −Al2 O3 ),シリカ−マグネシア(SiO2 −MgO)、シリカ−ボリヤ(SiO−BO)等があり、硫酸塩には、硫酸カルシウム(CaSO4 ),硫酸マンガン(MnSO4 ),硫酸ニッケル(NiSO4 ),硫酸銅(CuSO4 ),硫酸コバルト(CoSO4 ),硫酸ストロンチウム(SrSO4 ),硫酸亜鉛(ZnSO4 ),硫酸アルミニウム(Al2 (SO4 )),硫酸第2鉄(Fe2 (SO4 )3 )等がある。また,これらの硫酸塩の代りの硝酸塩や炭酸塩や塩化物やハロゲン化物もある。また、酸性白土、クラリット、ベントナイト、カオリン、モンモリロナイト、フロリジン、ゼオライト等もある。
【0020】
また、ルイス塩基物質は電子対供給体であり、アルカリ金属酸化物、炭酸塩の電子対を与えることができる物質のうちの少なくとも1種を用いることできる。このアルカリ金属酸化物には、セリア(CeO2 ),チタニア(TiO2 ),ジルコニア(ZrO2 )等があり、炭酸塩には、La2 O2 CO3 があり、また、タングステン酸ナトリウム(Na2 WO4 )、水酸化カリウム(KOH)処理シリカゲル,水酸化カリウム(KOH)処理アルミナ、亜酸化窒素賦活炭,アンモニア賦活炭等がある。
【0021】
そして、酸化触媒としては、白金(Pt)や銅(Cu)−カリウム(K)−白金(Pt)系触媒等がある。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る実施の形態の排気ガス浄化触媒装置について、図面を参照しながら説明する。
【0023】
本発明の第1の実施の形態の排気ガス浄化触媒装置10は、図1〜図4に示すように、コーディエライトを材料にして形成したフロースルータイプのハニカム担持体(触媒担持体:コーディエライト多孔体)20を第1ハニカム担持体20aと第2ハニカム担持体20bで構成し、このハニカム担持体20a,20bを触媒収納容器30に、インターラムマット等のハニカム保持材40を介して保持する。
【0024】
この上流側の第1ハニカム担持体20aの壁面21aには、ルイス酸物質であるγアルミナで形成した第1コート層(第1担体コート:ウオッシュコート)22aを設け、下流側の第2ハニカム担持体20bの壁面21bには、ルイス塩基物資であるタングステン酸ナトリウム(Na2 WO4 )で形成した第2コート層(第2担体コート:ウオッシュコート)22bを設ける。
【0025】
更に、第1コート層22aに、白金(Pt)リッチの第1酸化触媒23aを担持させ、第2コート層22bに銅(Cu)−カリウム(K)−白金(Pt)系触媒の第2酸化触媒23bを担持させる。これらの触媒23a,23bにより,HC,CO,Sootを浄化する酸化触媒を構成する。
【0026】
これにより、エンジンのPM、HC、COを浄化する排気ガス浄化触媒装置10において、排気ガスGが通過するセル(通路)の上流側部分24aに酸化触媒23aを担持したルイス酸物質を配置し、下流側部分24bに酸化触媒23bを担持したルイス塩基物質を配置する。
【0027】
また、本発明の第2の実施の形態の排気ガス浄化触媒装置10Aでは、図5に示すように、コーディエライトを材料にして形成したフロースルータイプのハニカム担持体(触媒担持体)を一つのハニカム担持体20Aで構成し、このハニカム担持体20Aの上流側の第1コート層22aをルイス酸物質であるγアルミナで形成し、下流側の第2コート層22bをルイス塩基物質であるタングステン酸ナトリウムで形成する。
【0028】
更に、第1コート層22aに、Ptリッチの第1酸化触媒23aを担持させ、第2コート層22bにCu−K−Pt系触媒の第2酸化触媒を担持させる。これらの触媒23a,23bにより,HC,CO,Sootを浄化できる酸化触媒を構成する。
【0029】
これにより、エンジンのPM、HC、COを浄化する排気ガス浄化触媒装置10Aにおいて、排気ガスGが通過するセル(通路)24Aの上流側部分に酸化触媒23aを担持したルイス酸物質を配置し、下流側部分に酸化触媒23bを担持したルイス塩基物質を配置する。
【0030】
更に、本発明の第3の実施の形態の排気ガス浄化触媒装置10Bは、図6に示すように、第1の実施の形態で使用した第1ハニカム担持体20aと第2ハニカム担持体20bを交互に積層した積層体で構成したものであり、これにより、エンジンのPM、HC、COを浄化する排気ガス浄化触媒装置10Bにおいて、排気ガスGの通路の上流側に酸化触媒23aを担持したルイス酸物質を配置し、下流側に酸化触媒23bを担持したルイス塩基物質を配置する。
【0031】
なお、特に図示しないが、第2の実施の形態と同様に、ハニカム担持体(触媒担持体)を一つのハニカム担持体20Aで構成し、このハニカム担持体20Aの上流側から下流側に向かって第1コート層22aと第2コート層22bを交互に複数回繰り返して構成し、これにより、エンジンのPM、HC、COを浄化する排気ガス浄化触媒装置において、排気ガスの通路の上流側に酸化触媒23aを担持したルイス酸物質を配置し、下流側に酸化触媒23bを担持したルイス塩基物質を配置する。
【0032】
更に、第1の実施の形態における第1ハニカム担持体20aと第2ハニカム担持体20bを、別々の触媒収納容器に、ハニカム保持材を介して保持し、これを排気ガス通路の上流側と下流側に配置する構成としてもよい。
【0033】
次の上記の構成の排気ガス浄化触媒装置10,10A,10Bにおける排気ガス中のCO,HC,PMの浄化について説明する。
【0034】
これらの構成によれば、上流側において、CO,HC,PMの表面に吸着している有機溶剤可溶成分(SOF)がルイス酸であるγアルミナの第1コート層22aに吸着し、この第1コート層22aに担持された酸化触媒23aであるPtとの反応してCO2 やH2 Oに変化する。
【0035】
つまり、PMの主成分であるSootはルイス酸で、その周りにルイス塩基であるSOF成分を吸着しているので、ルイス酸であるγアルミナの第1コート層22aに吸着され、吸着されたSOFは、第1コート層22a内を拡散してこの第1コート層22aに担持された第1酸化触媒23aのPtに接触して反応する。このSOFから生成されたCO2 やH2 Oはこの第1コート層22aから乖離して、排気ガス中に放出される。また、この時、温度が高ければ一部のSootは燃焼するが、第1コート層22aと同じルイス酸であるため大部分は反応しないでγアルミナから離脱する。
【0036】
下流側においては、Sootの周囲のSOFは上流側で酸化されているので、ルイス酸であるSootはルイス塩基物質であるタングステン酸ナトリウムの第2コート層22bに吸着され、この第2コート層22bに担持されたK−Cu−Ptの第2酸化触媒23bによりCO2 に酸化される。
【0037】
従って、第1酸化触媒23aを担持した第1コート層22aと第2酸化触媒23bを担持した第2コート層22bによりCO,HC,SOF,Sootを浄化できる。
【0038】
なお、上記の実施の形態では、触媒担持体にフロースルータイプのハニカム担持体を用い、ルイス酸物質のコート層を形成する材料としてはγアルミナを、ルイス塩基物質のコート層を形成する材料としてはタングステン酸ナトリウムを用い、酸化触媒としてはPt及びCu−K−Pt系触媒を用いたが、これ以外にも下記のようなものを用いることができる。
【0039】
触媒担持体としては、フロースルータイプ以外にも、ウオールフロータイプやフロースルーとウオールフローを組み合わせたタイプを使用でき、ハニカム状、フォーム状、繊維フィルタ状、ペレット状の内の少なくとも1種を用いることができる。
【0040】
このウオールフロータイプの触媒担持体を用いた場合には、多孔質壁面の両面に第1コート層を設けた部分と、多孔質壁面の両面に第2コート層部分とを設けた部分を形成して、第1コート層22a側を上流側に第2コート層22b側を下流側に配置してもよいが、多孔質壁面の上流側の表面に第1コート層22aを設け、同じ多孔質壁面の下流側の表面に第2コート層22bを設ける構成にしてもよい。
【0041】
また、触媒担体の材料としては、コーディエライトセラミックス以外にも、炭化ケイ素セラミックス、耐熱金属の内の少なくとも1種を用いることができる。
【0042】
そして、ルイス酸物質の第1コート層22aを形成する材料としては、金属酸化物、硫酸塩、硝酸塩、炭酸塩、リン酸塩、塩化物等の電子対を受け取ることができる物質のうちの少なくとも1種を用いることができる。
【0043】
この金属酸化物には、Al2 O3 ,SiO2 −Al2 O3 ,SiO2 −MgO、SiO−BO等があり、硫酸塩には、CaSO4 ,MnSO4 ,NiSO4 ),CuSO4 ,CoSO4 ,SrSO4 ,ZnSO4 ,Al2 (SO4 ),Fe2 (SO4 )3 等がある。また,これらの硫酸塩の代りの硝酸塩や炭酸塩や塩化物やハロゲン化物もある。また、その他にも酸性白土、クラリット、ベントナイト、カオリン、モンモリロナイト、フロリジン、ゼオライト等の珪藻土類がある。
【0044】
また、ルイス塩基物質の第2コート層23aを形成する材料としては、アルカリ金属酸化物、炭酸塩の電子対を与えることができる物質のうちの少なくとも1種を用いることできる。このアルカリ金属酸化物には、CeO2 ,TiO2 ,ZrO2 等があり、炭酸塩にはLa2 O2 CO3 があり、また、Na2 WO4 、水酸化カリウム(KOH)処理シリカゲル,水酸化カリウム(KOH)処理アルミナ、亜酸化窒素賦活炭,アンモニア賦活炭等がある。
【0045】
〔実施例〕
実施例として、図7に示すように、第1の実施の形態の排気ガス浄化触媒装置10を準備し、この排気ガス浄化触媒装置10を使用過程車の4.8Lディーゼルエンジン2の後方の排気ガス通路4に配置して、排気ガス中のHC,CO,PMの浄化率を計測した。また、比較例として、従来のγアルミナのコート層に白金を担持した排気ガス浄化触媒装置における排気ガスの浄化率も計測した。これらの計測結果を表1に示す。
【0046】
この実施例としての排気ガス浄化装置は、400セル/インチ2 、φ7インチ×L7.5インチのフロースルータイプに形成したコーディエライトハニカムの触媒担持体20a,20bをインターラムマット等のハニカム保持材40で巻回して機械的強度を補強し、容器30に入れている。
【0047】
この前段のハニカム担持体20aにはγアルミナの第1コート層22aを設け、この第1コート層22aに白金を第1酸化触媒23aとして1g/l(リットル)担持した。また、後段のハニカム担持体20bにはNa2 WO4 の第2コート層22bを設け、この第2コート層22bにCuO、KCl、Pt等を1:1:1の重量比で配合したCu−K−Pt系触媒を第2酸化触媒23bとして合計3g/l(リットル)担持した。
【0048】
【表1】
表1から分かるように、本発明の排気ガス浄化触媒装置(実施例)はPMを従来の排気ガス浄化触媒装置(比較例)に比べて大幅に低減することができる。
【0049】
【発明の効果】
以上に説明をしたように、本発明の排気ガス浄化触媒装置によれば、CO,HC,PMの表面に吸着している有機溶剤可溶成分(SOF)をルイス酸で形成された第1コート層に吸着し、この第1コート層に担持された酸化触媒で酸化して二酸化炭素や水にすることができ、更に、周囲のSOFが酸化されて残った、ルイス酸であるSootはルイス塩基物質で形成された第2コート層に吸着し、この第2コート層に担持された酸化触媒によりCO2 に酸化することができる。従って、従来の排気ガス浄化触媒装置に比べてディーゼルエンジンの排気ガス中のPMを効率よく浄化できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る第1の実施の形態の排気ガス浄化触媒装置の構成を示す図である。
【図2】図1のハニカム担持体の構成を示す側断面図である。
【図3】図2のハニカム担持体の構成を示す正面図である。
【図4】ハニカム担持体の構成を示す図2の拡大図である。
【図5】本発明に係る第2の実施の形態の排気ガス浄化触媒装置の構成を示す図である。
【図6】本発明に係る第3の実施の形態の排気ガス浄化触媒装置の構成を示す図である。
【図7】排気ガス浄化装置をディーゼルエンジンの排気ガス経路に設定した場合の構成を示す図である。
【符号の説明】
10,10A,10B 排気ガス浄化触媒装置
20,20a,20b ハニカム担持体(触媒担持体)
21,21a,21b 壁面
22a 第1コート層(γアルミナ:ルイス酸物質)
22b 第2コート層(タングステン酸ナトリウム:ルイス塩基物質)
23a 第1酸化触媒(Pt)
23b 第2酸化触媒(Cu−K−Pt系触媒)
24,24a,24b セル(通路)
Claims (6)
- エンジンの粒子状物質、炭化水素、一酸化炭素を浄化する排気ガス浄化触媒装置において、排気ガスの通路の上流側に酸化触媒を担持したルイス酸物質を配置し、下流側に酸化触媒を担持したルイス塩基物質を配置したことを特徴とする排気ガス浄化触媒装置。
- 前記排気ガス浄化触媒装置を構成する触媒担持体の上流側のコート層をルイス酸物質で、下流側のコート層をルイス塩基物資でそれぞれ形成し、該コート層のそれぞれに酸化触媒を担持させたことを特徴とする請求項1記載の排気ガス浄化触媒装置。
- 前記排気ガス浄化触媒装置を複数の触媒担持体で構成すると共に、上流側の触媒担持体のコート層をルイス酸物質で、下流側の触媒担持体のコート層をルイス塩基物質でそれぞれ形成し、該コート層のそれぞれに酸化触媒を担持させたことを特徴とする請求項1記載の排気ガス浄化触媒装置。
- 前記排気ガス浄化触媒装置を構成する触媒担持体にルイス酸物質で形成したコート層と、ルイス塩基物質で形成したコート層を混在させて構成し、該コート層のそれぞれに酸化触媒を担持させたことを特徴とする請求項1記載の排気ガス浄化触媒装置。
- 前記触媒担持体の材料として、コーディエライトセラミックス、炭化ケイ素セラミクッス、耐熱金属の少なくとも一つを用いることを特徴とすることを特徴とする請求項2〜4のいずれか1項に記載の排気ガス浄化触媒装置。
- 前記触媒担持体を、ハニカム状、フォーム状、繊維フィルタ状、ペレット状の少なくとも一つで形成することを特徴とすることを特徴とする請求項2〜5のいずれか1項に記載の排気ガス浄化触媒装置。
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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US8361592B2 (en) | 2007-12-03 | 2013-01-29 | Ngk Insulators, Ltd. | Honeycomb structure, honeycomb catalytic body and manufacturing method of the same |
-
2003
- 2003-03-31 JP JP2003094282A patent/JP2004298736A/ja active Pending
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