JP2004298733A - 曝気攪拌機の運転制御方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】モータ1に接続したシャフト2の先端に取り付けた攪拌スクリュー3と、この攪拌スクリュー3とモータ1との間に取り付け、汚水を飛散させるための遠心羽根4とより構成する曝気攪拌機Pの運転制御方法において、汚水の流入負荷量に対して複数の運転モード設定し、流入負荷量に見合ったモードで曝気攪拌機の運転を制御して汚水を処理する。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、曝気攪拌機の運転制御方法、特に、下水処理場に流入する生活排水等の汚水を活性汚泥により生物処理する際に、生物反応槽(汚水処理槽ともいい、本明細書において、「生物反応槽」という。)内に配設した曝気攪拌機を、少ない水量の汚水処理施設の供用開始時期の立上げ運転から計画水量に達するまでの長期な負荷変動及び季節や週単位の短期的な負荷変動に対して、適正に処理するようにした曝気攪拌機の運転制御方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、下水処理場に流入する生活排水等の汚水を活性汚泥により生物処理する際、生物反応槽内に設置した曝気攪拌機を運転して行っているが、この曝気攪拌機の運転を、汚水の流入負荷量と処理水質の分析結果から、処理に必要な酸素量を計算し、曝気時間(好気時間)を算出し、この曝気以外の時間を嫌気時間とし、嫌気攪拌運転と曝気運転が交互に行えるようにタイムチャートを予め設定し、このタイムチャートヘの割り付けは、維持管理者が、流入水濃度や流入水量を考慮して、経験に基づいて行っていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記従来の曝気攪拌機の運転制御方法においては、汚水処理施設の立上げ運転を行う供用開始時は少水量であるため、曝気攪拌機の運転時間をこの流入水量を考慮して短縮するようにしているが、この運転時間を短くするだけでは、生活排水等の汚水を適正に処理することが行えないという問題があった。
また、曝気攪拌機の運転方法が予め設定したタイムチャートに固定され、流入負荷の時間変動に対応できないため、適正な好気運転と嫌気運転が行えず、窒素がうまく除去できないという問題があった。
さらに、負荷変動量に合せて曝気攪拌機を運転するためには、頻繁にタイムチャートの設定や変更を行う必要があり、適正なタイムチャートの設定が難しく作業が煩雑になるという問題があった。
【0004】
本発明は、上記従来の曝気攪拌機の運転制御方法の有する問題点に鑑み、供用開始時期の立上げ運転から計画水量に達するまでの長期な負荷変動及び季節や週単位の短期的な負荷変動に対して効果があり、流入する汚水の負荷変動量が大きい場合においても曝気攪拌機の運転に過不足が生じることなく、流入負荷変動に対応して効果的に、かつ適正に処理することができる曝気攪拌機の運転制御方法を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明の曝気攪拌機の運転制御方法は、モータに接続したシャフトの先端に取り付けた攪拌スクリューと、該攪拌スクリューとモータとの間に取り付け、汚水を飛散させるための遠心羽根とより構成する曝気攪拌機の運転制御方法において、汚水の流入負荷量に対して複数の運転モード設定し、流入負荷量に見合ったモードで曝気攪拌機の運転を制御して汚水を処理するようにしたことを特徴とする。
【0006】
本発明の曝気攪拌機の運転制御方法は、汚水の流入負荷量に対して複数の運転モード設定し、流入負荷量に見合ったモードで運転を制御するようにしているから、流入汚水の負荷変動量に応じて曝気攪拌機を適正な能力に設定でき、かつ安定的に好気運転と嫌気運転を繰返して行えるため、簡便な操作で運転が可能で、流入する汚水の負荷変動量が大きい場合においても汚水中の有機成分ならびに窒素成分を効率的に処理することができる。
【0007】
また、この場合、流入負荷量に応じて、曝気攪拌機の運転台数、運転速度、及び自動運転を行うために必要な制御因子の制御値を運転モードに設定できるようにすることができる。
【0008】
これにより、流入する汚水の負荷変動量が大きく変動する場合にも簡易に、適正に対応することができる。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の曝気攪拌機の運転制御方法の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0010】
図3は、汚水の流入負荷量に対して複数の運転モード設定し、流入負荷量に見合ったモードで運転制御できるようにした曝気攪拌機の説明図で、(A)は嫌気運転時を、(B)は曝気運転時をそれぞれ示す。
【0011】
汚水を生物処理するために用いる曝気攪拌機Pとしては、特に限定されるものではないが、例えば、図3に示すように、正逆と逆転が可能なモータ1に、直接あるいは減速機(図示省略)などを介して間接的にシャフト2を接合してモータ1の回転力をシャフト2に伝達するようにし、このシャフト2の先端あるいは先端部分に攪拌スクリュー3を配備するとともに、さらにこの攪拌スクリュー3とモータ1との間に遠心羽根4を設け、モータ1の回転によりシャフト2を介して攪拌スクリュー3と遠心羽根4とが共に回転するように構成する。
なお、この縦型の曝気攪拌機Pは、モータ1を正回転の一方向回転とし、変速機(図示省略)を介して攪拌スクリュー3を逆回転できるようにする構成することもでき、また、この攪拌スクリュー3、遠心羽根4の形状は、図示のものでは同形状としたが、特にこれに限定されるものではないが、攪拌スクリュー3は常に汚水中に浸る位置に、また遠心羽根4は水面上方位置になるよう配設する。
【0012】
さらに、この遠心羽根4の外周と、少なくとも該遠心羽根4を取り付けたシャフト2の外周部分とを覆うようにしてドラフトチューブ5を設けるが、このドラフトチューブ5の下端は常に汚水中に没するようにし、またドラフトチューブ5の上端は大気中に開口するようにし、その回転方向に関係なく、常に攪拌スクリュー3はこのドラフトチューブ5の下端より突出して、汚水を攪拌できるようにする。
なお、この場合、曝気攪拌機Pは、図3に示すように、攪拌スクリュー3と遠心羽根4の間に生物反応槽の水面位置がくるように設置する。
【0013】
嫌気攪拌をする場合には、モータ1を正転させて攪拌スクリュー3を回転させると、図3(A)に示すように、汚水中に攪拌スクリュー3から下向きの攪拌流が発生し、汚水中に酸素(空気)を供給にすることなく、生物反応槽内の汚水のみを攪拌し、これにより生物反応槽内を嫌気攪拌することができる。
【0014】
その後、予め設定した時間の経過により運転を停止し、モータ1の回転を変えて逆回転するように駆動すると、図3(B)に示すように、攪拌スクリュー3も逆回転し攪拌スクリュー附近の汚水に上向きの流れが発生し、この上向流によりドラフトチューブ5内の水面が上昇し、ドラフトチューブ5内で遠心羽根4が上向流の水中に没するようになる。
さらに、攪拌スクリュー3が逆回転することにより、ドラフトチューブ5内の上向流はドラフトチューブ内を上昇し、ドラフトチューブ上端開口部より飛び出すようになるが、この場合、ドラフトチューブ5内の遠心羽根4の回転による攪拌効果によりこの上向流汚水は、ドラフトチューブ5の上端開口部より水泡となってドラフトチューブ5の外周水面上方へ飛散する。この時、空気中の酸素が水泡及び汚水水面に溶解するようになって吸収し、生物反応槽に酸素を供給できる。
【0015】
なお、本発明に使用する曝気攪拌機Pは、このように、モータ1の正転と逆転の切り替え、及び停止とを組み合わせることにより汚水を効率的に処理することができるようにする。
【0016】
次に、本発明の曝気攪拌機の運転制御方法を、図2に基づいて説明する。
この実施例においては、汚水処理施設の計画流入水量に対して、4つのプログラム、即ち運転モードA,B,C,Dを用いて運転するようにしている。
先ず、流入負荷量が少ない、例えば、流入負荷が0〜25%の供用初期の状態では、運転モードAで自動運転を行う。この場合において、運転回転数I、制御条件イが設定されている。
運転モードAでは汚水を処理する活性汚泥微生物が少なく、かつ負荷量が少ないため、曝気を行うと短時間にDO値が上昇するためこれを避けるべく、曝気攪拌機Pの好気運転時の回転数を低速に設定することができる。
さらには、酸素濃度(DO)等の設定値や制御に必要な各種のタイマ値を運転モードAの中に予め割当てておくことができる。
【0017】
次に、流入水量が増加した場合、例えば、流入水量25〜50%の場合は、運転モードBで運転することができる。この運転モードBにおいても、同様に運転回転数II、制御条件ロが設定されている。
運転モードBでは、汚水を処理するために必要な酸素量が増加していることから、曝気攪拌機Pの能力を運転モードAより大きく設定し入力しておくことができる。
また、より最適な制御を行うために、運転モードBに見合った各種の制御値を設定することができる。
【0018】
同様にして、負荷量の増加に伴い、その負荷量に応じて運転モードCと運転モードDを用意する。この運転モードCの場合は、流入水量50〜75%とし、運転回転数III、制御条件ハを設定する。
また、運転モードDの場合は、流入水量75〜100%とし、運転回転数III、制御条件ニを設定する。この運転モードDの運転回転数IIIは、運転モードCの場合と同じである。
このように設定することで、それぞれの負荷量に応じてパターン運転を行うことができるようにする。
【0019】
次に、図1に示す運転制御フローに基づいて説明をする。
この図1に示すものは、先述した図2の4つのプログラムの実施例で、4つのプログラムは基本的に同じプログラムとすることができるが、プログラムの中の回転数や制御値は運転モードに応じて各々設定することができる。
【0020】
図1において、自動制御運転がスタートすると該曝気攪拌機Pは、先ず、好気運転時の回転数(1)が設定され、モータは逆回転をして好気運転が開始される。この場合、回転数は運転モードに対応して予め入力した値に自動的に設定することができる。
好気運転開始後は、DO設定値に達するまで好気運転を継続するが、DO設定値は負荷量や回転数に応じた値に設定できるようにしておくことができる。そして、DO値が所定の値に達した時、好気運転を終了させる。その後は、嫌気運転を行うことができる。この場合において、嫌気攪拌に最適な曝気攪拌機Pの回転数(2)を設定するとともに、タイマ(1)をオンする。
このようにして、曝気攪拌機Pの回転数(2)を設定することができるが、嫌気攪拌に必要な回転数は曝気槽の水容積によって決定されるため、運転モードに関係なく曝気攪拌機Pの固有値を入力しておくことができる。
嫌気運転は、モータを正回転させて行うが、タイマ(1)の設定値で運転することができる。また、嫌気運転終了後はタイマ(2)の設定値で曝気攪拌機Pを休止することができる。
タイマ(1)及びタイマ(2)は運転モード毎に最適な数値を予め入力しておくことができる。ここまで運転が終了した後は、再度、好気運転に戻って好気と嫌気の運転を繰返して行うことができる。
【0021】
このように、少水量時期の運転については、曝気攪拌機Pの曝気能力を低下させて運転することで解決を図ることができる。
また、窒素除去の問題については、水中に溶存する酸素濃度(DO)や酸化還元電位(ORP)やpHなどを測定し、曝気攪拌機Pヘフィードバックすることにより、適切な運転が行えるが、より適切に制御するために、負荷量に見合った各種の制御値を用いることで解決ができる。
さらに本発明は、曝気攪拌機Pの使用台数を複数台とし、流入負荷量に応じて、曝気攪拌機Pの運転台数やその運転速度、及びその他自動運転を行うために必要な制御因子の制御値を運転モードに設定できるようにすることも可能であり、これらを実施する手段として、負荷量に対して複数のモードを設定して別け、負荷量に応じて最適な曝気攪拌機Pの能力や制御値を入力したプログラムにより自動運転するものであり、安定的でかつ効率的な処理を実施し、作業の簡便化を図るようにすることができる。
【0022】
以上、本発明の曝気攪拌機の運転制御方法について、その実施例に基づいて説明したが、本発明は上記実施例に記載した構成に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において適宜その構成を変更することができるものである。
【0023】
本このように、発明の曝気攪拌機の運転制御方法においては、流入汚水の負荷変動量に応じて曝気機を適正な能力に設定でき、かつ安定的に好気運転と嫌気運転を繰返して行えるため、汚水中の有機成分ならびに窒素成分を効率的に処理できるととも簡便な操作で運転が可能となる。
【0024】
【発明の効果】
本発明の曝気攪拌機の運転制御方法によれば、汚水の流入負荷量に対して複数の運転モード設定し、流入負荷量に見合ったモードで運転を制御するようにしているから、流入汚水の負荷変動量に応じて曝気攪拌機を適正な能力に設定でき、かつ安定的に好気運転と嫌気運転を繰返して行えるため、簡便な操作で運転が可能で、流入する汚水の負荷変動量が大きい場合においても汚水中の有機成分ならびに窒素成分を効率的に処理することができる。
【0025】
また、流入負荷量に応じて、曝気攪拌機の運転台数、運転速度、及び自動運転を行うために必要な制御因子の制御値を運転モードに設定できるようにしているから、流入する汚水の負荷変動量が大きく変動する場合にも簡易に、適正に対応することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の曝気攪拌機の運転制御方法を示す運転制御フロー図である。
【図2】本発明の運転制御方法を示すプログラムである。
【図3】本発明を実施する運曝気攪拌機の説明図で、 (A)は嫌気運転時を、(B)は曝気運転時をそれぞれ示す。
【符号の説明】
P 曝気攪拌機
1 モータ
2 シャフト
3 攪拌スクリュー
4 遠心羽根
5 ドラフトチューブ
Claims (2)
- モータに接続したシャフトの先端に取り付けた攪拌スクリューと、該攪拌スクリューとモータとの間に取り付け、汚水を飛散させるための遠心羽根とより構成する曝気攪拌機の運転制御方法において、汚水の流入負荷量に対して複数の運転モード設定し、流入負荷量に見合ったモードで曝気攪拌機の運転を制御して汚水を処理するようにしたことを特徴とする曝気攪拌機の運転制御方法。
- 流入負荷量に応じて、曝気攪拌機の運転台数、運転速度、及び自動運転を行うために必要な制御因子の制御値を運転モードに設定できるようにしたことを特徴とする請求項1記載の曝気攪拌機の運転制御方法。
Priority Applications (1)
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JP2003094188A JP2004298733A (ja) | 2003-03-31 | 2003-03-31 | 曝気攪拌機の運転制御方法 |
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Publications (2)
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JP2003094188A Pending JP2004298733A (ja) | 2003-03-31 | 2003-03-31 | 曝気攪拌機の運転制御方法 |
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Cited By (2)
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JP2015098003A (ja) * | 2013-11-20 | 2015-05-28 | 住友重機械エンバイロメント株式会社 | 曝気撹拌システム |
JP2018051562A (ja) * | 2018-01-16 | 2018-04-05 | 住友重機械エンバイロメント株式会社 | 曝気攪拌システム |
-
2003
- 2003-03-31 JP JP2003094188A patent/JP2004298733A/ja active Pending
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