JP3649080B2 - 水中曝気撹拌装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、汚水処理場や汚水中継ポンプ場あるいは河川等に設置して汚水を撹拌させて浄化する水中曝気撹拌装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、下水、工場廃水やその他の汚水処理に筒状ケーシングに配設した軸流または斜流の羽根車を回転させて撹拌水流を発生させ、汚水を流動させて浄化する装置は公知である。そして、これらの撹拌装置に酸素含有気体を吐出流路に流出させて気液混合流を発生させ、微生物を利用して汚水を好気的に浄化処理する水中浸漬型の曝気装置は、例えば、特公平2−25677号公報に記載してあるようによく知られている。
【0003】
【発明が解決しょうとする課題】
しかしながら、従来の水中曝気撹拌装置は撹拌水流を発生させる羽根車が一枚設置してあり、羽根車の吐出側に整流用の吐出流路を形成して効率を向上させているがこれも限界がある。また、羽根車が一枚の場合、所定の撹拌容量を得るためには、その羽根車の外形が大きくなり、装置全体も大きくなる欠点があった。有機物を多量に含有する下水処理、屎尿処理等の生物処理には、多くの酸素が必要であり多量のエネルギーを消費する。また、河川水等は処理水量が多いため、同様に多くの酸素が必要である。したがって、この処理エネルギーをどのように効率よく少なくするかが技術革新の変遷である。この発明は、この発明の出願人が特願平11−133746号において提案した水中曝気撹拌装置の改良であって、より少ない動力で撹拌及び分散効果を向上させ、撹拌装置全体を小さくした水中曝気撹拌装置を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
この発明の要旨とするところは、駆動軸の下端に止着した羽根車を筒型状のケーシングに垂下させ、この羽根車を囲繞するケーシングに散気装置を配設して、汚水を曝気撹拌する装置において、上記駆動軸の外周に外筒駆動軸を設け、この駆動軸と外筒駆動軸の先端部にそれぞれ第一羽根車と第二羽根車を止着して二重羽根車とすると共に、水平状に配設した駆動機の入力軸に水平ベベルギヤーを連結し、この水平ベベルギヤーの上下に噛合せた上部ベベルギヤーと下部ベベルギヤーを駆動軸と外筒駆動軸にそれぞれ連結し、駆動軸と外筒駆動軸を互いに逆回転させて、前段の羽根車で加圧された水流を、後段の羽根車の前面に流入させるようにしたもので、槽外に設置した駆動機の高さが低くなり、装置全体を小さくした水中曝気撹拌装置とすることができる。そして、二重羽根車を逆回転させるので、流体の流入迎角が大きくなり、後段の対水周速が高まり、吐出水量が多くなるものである。
【0005】
上記散気装置は、後段の駆動軸に止着した第一羽根車の後方に、あるいは、駆動軸に止着した第一羽根車と外筒駆動軸に止着した第二羽根車の間に配設すれば、水流の撹拌と同時に汚水の曝気も行えるものである。具体的には、上記散気装置が、羽根車ケーシングの周部に設けた空気室と、この空気室に連結して駆動軸に止着した羽根車の近傍に突設させた散気管とからなり、撹拌流動する汚水中に散気孔から気泡を混入させるようにしたものである。なお、上記散気装置が、第一羽根車の後方の吐出ケーシングと同心状に配設され、空気供給管に連結した空気ケーシングと、空気ケーシングの周部に張設した多数の散気孔を有する可撓シートで構成すれば、可撓シートを膨張させて散気孔から空気が供給され、可撓シートが伸縮して散気孔の目詰まりが防止できるものである。
【0006】
【発明の実施の形態】
この発明に係る水中曝気撹拌装置は上記のように構成してあり、駆動軸と外筒駆動軸の先端部に止着した第一羽根車と第二羽根車を互いに逆回転させると、前段の羽根車の回転により汚水はケーシング内に吸引され、前段の第二羽根車で加圧された旋回流を後段の第一羽根車の前面に大きい流入迎角で流入させ、後段の第一羽根車が対抗水流を逆方向に旋回させて対水周速が高められ、水流を加速しながらケーシングから噴出させ、汚水はケーシングの周囲を循環しながら撹拌される。そして、第一羽根車と第二羽根車の間に、あるいは、後段の第一羽根車の後方に空気を供給すれば、二重羽根車で加圧され、撹拌された吐出水に空気が混入されて、汚水中への空気の溶け込みが良くなるものであり、微生物の好気性処理が活発に行えるものである。
【0007】
【実施例】
この発明を実施例に基づき詳述すると、まず、図1において、符号1は汚水中に垂下させた駆動軸であって、駆動軸1の下端に第一羽根車2が止着してある。駆動軸1には外筒駆動軸3が外挿してあり、外筒駆動軸3の下端に第二羽根車4が止着してあり、駆動軸1に止着した第一羽根車2の上方近傍に配設してある。符号5は駆動軸1と外筒駆動軸7に止着した第一羽根車2と第二羽根車4を囲繞する筒型状のケーシングであって、このケーシング5は槽外上方の架台6から垂下させた吊設杆7に連結されて汚水中に没水させてある。そして、駆動軸1に止着した第一羽根車2の近傍のケーシング5には散気装置8が配設してある。符号9は架台6に水平状に配設した駆動機であって、駆動機9に連結した入力軸10が減速機11を介して駆動軸1と外筒駆動軸3に連結してある。
【0008】
減速機11について、図2に基づき詳述すると、駆動機9に連結した入力軸10が減速機ケース12に設けた軸受ケース13に軸支され、入力軸10の先端部に水平ベベルギヤー14が嵌着してある。駆動軸1の上端には出力軸15が連結してあり、その上端部が減速機ケース12の上部に設けた軸受ケース16に軸支されている。そして、出力軸15に嵌入した上部ベベルギャー17が入力軸10に嵌着した水平ベベルギヤー14の上側から噛合せてあり、駆動機9の作動による入力軸10の回転と逆方向に駆動軸1が回転するようにしてある。また、駆動軸1に外挿した外筒駆動軸3の上端に外筒出力軸18が連結してあり、その中間部が減速機ケース12の下端部に軸支されている。この外筒出力軸18に嵌入した下部ベベルギャー19が入力軸10に嵌着した水平ベベルギヤー14に下側から噛合せてあり、入力軸10の回転と同方向に外筒出力軸18が回転するようにしてある。そして、駆動機9を作動して水平ベベルギヤー14を回転させると、水平ベベルギヤー14に噛合した上部ベベルギャー17と下部ベベルギャー19は互いに逆方向に回動し、駆動軸1に止着した第一羽根車2と外筒駆動軸3に止着した第二羽根車4が互いに逆方向に回転するようになっている。水平ベベルギヤー14に上部ベベルギャー17と下部ベベルギャー19を噛合せて水平状に駆動機9を配設したので撹拌装置全体を小さくすることができる。
【0009】
散気装置8を配設したケーシング5について、図3に基づき詳述すると、ケーシング5は第一羽根車2と第二羽根車4を囲繞する羽根車ケーシング20と、羽根車ケーシング20の上端に連結して上部を拡開した吸込ケーシング21と、羽根車ケーシング20の下端に連結した吐出ケーシング22とから構成されている。羽根車ケーシング20の内周下部に軸受ケース23が支持板24で連結されており、軸受ケース23の軸受25で駆動軸1の第一羽根車2の下端部が軸支されている。羽根車ケーシング20には空気の供給管26を連結した環状の空気室27と、空気室27に接続して駆動軸1の第一羽根車2の下方近傍に配設した散気管28とで構成された散気装置8が設けてある。そして、上下の第二羽根車4と第一羽根車2を互いに逆回転させると、第二羽根車4と第一羽根車2の吸引力により吸込ケーシング21の上端から汚水が吸引され、外筒駆動軸3に止着した第二羽根車4で加圧した水流を、後段の駆動軸1に止着した第一羽根車2の前面に移送して、後段の第一羽根車2への流入迎角を大きくして対水周速を高め、第一羽根車2の下方近傍の散気管28から噴射した空気を撹拌混合して汚水中に溶解させ、吐出ケーシング22の下端から噴出させて溶解空気を含有する汚水を流動循環させるようにしてある。汚水中に噴射した空気を一対の羽根車で加速撹拌させるので、発生させる気泡は微細となり、酸素移動効率が高く、設備の消費電力が軽減できるものである。上記散気管28の散気ノズル29を可撓性のゴムノズルとすれば空気圧により散気ノズル29が伸縮して散気管28の目詰まりを防止できるものである。尚、循環させる水流は下向流としても、あるいは上向流としてもよいものである。
【0010】
図4に示す水中曝気撹拌装置に用いる散気装置8は他の実施例であって、空気室27に接続した散気管28を駆動軸1に止着した第一羽根車2と外筒駆動軸3に止着した第二羽根車4の間に配設したものであって、散気管28から発生させた気泡を第二羽根車4の撹拌流で分散させ、第一羽根車2の撹拌を利用してさらに微細な気泡とすることができる。図5に示す散気装置8は他の実施例であって、駆動軸1に止着した羽根車2の後方に、吐出ケーシング22と同心状に配設した空気ケーシング30が配設してあり、この空気ケーシング30の周部に多数の散気孔を有する可撓シート31が張設してある。羽根車ケーシング20に設けた空気室27と空気ケーシング30を空気供給管32で連結してある。そして、空気供給管32から圧入した空気を可撓シート31を膨張させて多量の空気を汚水中に噴射して、第二羽根車4と第一羽根車2で加圧撹拌した水流で気泡を更に微細化させ、多量の空気を汚水中に供給するようにしてある。なお、図1に示す符号33は、軸受ケース23の下端に止着して、その下端を吐出ケーシング22から突出させる汚水の案内ケーシングである。
【0011】
【発明の効果】
この発明は、上記のように構成してあり、水中曝気装置に二重反転羽根車を設けたので、羽根車を一つ設置した従来装置と比較して、空気の汚水への溶け込みがよく省エネルギーとなるものである。即ち、この発明にあっては、二重羽根車を互いに逆回転させて、必要とする撹拌容量を2つの羽根車で分担させ、前段の羽根車で加圧した水流を、後段の羽根車の前面に流入させるようにしたので、流体の流入迎角が大きくなり、後段の対水周速が高まり、吐出水量が多くなるものである。そして、駆動軸に止着した羽根車の後方に、あるいは、駆動軸に止着した羽根車と外筒駆動軸に止着した羽根車の間に空気を供給するので、発生させる気泡は微細となり、酸素移動効率も高くなり、設備の消費電力が軽減できるものである。しかも、駆動機を水平状に配設したので、撹拌装置全体を小さくして、大容量処理が可能な水中曝気撹拌装置となるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明に係る水中曝気撹拌装置の一部縦断側面図である。
【図2】この発明の水中曝気撹拌装置に係る減速機の縦断側面図である。
【図3】この発明に係る撹拌装置の部分の縦断側面図である。
【図4】この発明の他の実施例に係る散気装置の縦断側面図である。
【図5】この発明の他の実施例に係る散気装置の縦断側面図である。
【符号の説明】
1 駆動軸
2 第一羽根車
3 外筒駆動軸
4 第二羽根車
5 ケーシング
8 散気装置
9 駆動機
10 入力軸
14 水平ベベルギヤー
17 上部ベベルギヤー
19 下部ベベルギヤー
20 羽根車ケーシング
22 吐出ケーシング
27 空気室
28 散気管
29 散気ノズル
30 空気ケーシング
31 可撓シート
32 空気供給管
Claims (6)
- 駆動軸(1)の下端に止着した羽根車(2)を筒型状のケーシング(5)に垂下させ、この羽根車(2)を囲繞するケーシング(5)に散気装置(8)を配設して、汚水を曝気撹拌する装置において、上記駆動軸(1)の外周に外筒駆動軸(3)を設け、この駆動軸(1)と外筒駆動軸(3)の先端部にそれぞれ第一羽根車(2)と、第二羽根車(4)を止着して二重羽根車とすると共に、水平状に配設した駆動機(9)の入力軸(10)に水平ベベルギヤー(14)を連結し、この水平ベベルギヤー(14)の上下に噛合せた上部ベベルギヤー(17)と下部ベベルギヤー(19)を駆動軸(1)と外筒駆動軸(3)にそれぞれ連結したことを特徴とする水中曝気撹拌装置。
- 上記駆動軸(1)に止着した第一羽根車(2)の後方に散気装置(8)を配設したことを特徴とする請求項1記載の水中曝気撹拌装置。
- 上記駆動軸(1)に止着した第一羽根車(2)と外筒駆動軸(3)に止着した第二羽根車(4)の間に散気装置(8)を配設したことを特徴とする請求項1記載の水中曝気撹拌装置。
- 上記散気装置(8)が、筒型状のケーシング(5)を形成する羽根車ケーシング(20)の周部に空気室(27)を設け、この空気室(27)に連結して第一羽根車(2)の近傍に突設させた散気管(28)であることを特徴とする請求項2または3記載の水中曝気撹拌装置。
- 上記散気管(28)の散気ノズル(29)を可撓性のゴムとしたことを特徴とする請求項4記載の水中曝気撹拌装置。
- 上記散気装置(8)が、第一羽根車(2)の後方の吐出ケーシング(22)と同心状に配設され、空気供給管(32)に連結した空気ケーシング(30)と、空気ケーシング(30)の周部に張設した多数の散気孔を有する可撓シート(31)とからなることを特徴とする請求項2記載の水中曝気撹拌装置。
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