JP2004298181A - 免疫制御性樹状細胞の調製法およびその用途 - Google Patents

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Abstract

【課題】 IL-10, TGF-β双方を含む培養条件によって誘導した樹状細胞(DC)或いは当該DCに更に炎症性刺激(例えばTNF-α, LPSなど)を加えたものに、必要に応じて対象疾患関連抗原を付与した、移植片拒絶、移植片対宿主病、自己免疫疾患あるいはアレルギー性疾患などの治療剤の提供。
【解決手段】 ヒト樹状細胞またはその前駆細胞をin vitroで少なくともIL-10およびTGF-βを含むサイトカイン類と共に培養し、ヒト免疫制御性樹状細胞を誘導する方法および該方法により得られたヒト免疫制御性樹状細胞、ならびに該ヒト免疫制御性樹状細胞を含む医薬組成物。
【選択図】 なし

Description

本発明は、少なくともIL-10, TGF-β双方を含む培養条件によって誘導した樹状細胞(DC)或いは当該DCに更に炎症性刺激(例えばTNF-α, LPSなど)を加えたものに、必要に応じて対象疾患関連抗原を付与した移植片拒絶、移植片対宿主病、自己免疫疾患あるいはアレルギー性疾患などの治療剤に関する。
樹状細胞(Dendritic cell: DC)は生体内で最も強力な抗原提示細胞であり、T細胞に抗原を提示することにより免疫応答を誘導する事が知られている。また、DCはT細胞のみでなくB細胞、NK細胞、NKT細胞などとも直接作用し、免疫反応における中枢的役割を担う細胞である事が明らかとなっている(Hart, D. N. J., Blood 1997; 90: 3245-3278)。未成熟DCは末梢組織に存在し、抗原取り込み能が高い反面T細胞刺激能が低い。未成熟DCは感染や炎症性の刺激を受けることによって、CD40, CD80, CD86などの共刺激分子の発現上昇を伴い高いT細胞刺激能を獲得すると共に末梢リンパ組織に移行して、取り込んだ抗原に特異的なT細胞を活性化することによって免疫応答を誘導する(Banchereau, J. et al., Annu. Rev. Immunol. 2000; 18: 767-811)。In vitroでのDC誘導法が確立されつつあること、および癌特異的な抗原が次々と同定された事などにより、DCの強い免疫誘導能を癌治療に応用していこうとする研究が大きな広がりをみせている。このような新しい細胞医療は、次世代医療として注目されており、その発展が期待されている。
健常な生体においては外来の非自己抗原或いは腫瘍に対してはそれらを排除する免疫応答機構が働く一方で、生体を形成する正常自己抗原或いは無害な外来抗原に対しては免疫寛容が成立しており排除免疫応答機構が働かないことが知られている。自己免疫疾患やアレルギー疾患などはこの制御機構が何らかの原因で破綻したものと考えられる。DCは、感染や癌などに対する免疫応答成立において抗原提示細胞として中心的な役割を果たしているのみならず、免疫寛容誘導においても重要な役割を担っていることが明らかとなりつつある(Steinman, R. M., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 2002; 99: 351-358)。免疫寛容は、中枢寛容と呼ばれる胸腺における自己反応性T cell cloneの排除および末梢寛容と呼ばれる機構による自己反応性T cellの胸腺外での制御に大別される。特に後者は、細胞死や自己抗原に対する不応答性(anergy)の誘導および免疫制御性T細胞による能動的な抑制の機構が知られている(Roncarolo, M. G. and Levings M. K., 2000. Curr. Opinion Immunol. 12: 676-683)。DCはT細胞に対する細胞死、不応答性の誘導能および免疫制御性T細胞の誘導能を有することが明らかとなってきている。このようなDCの免疫応答制御における機能的多面性は、DCの成熟段階における差異、機能的に異なるDC細胞亜集団の存在、或いはサイトカイン、病原体等の刺激の種類に依存してDCが獲得するといったような観点から解明が進んでいる。これら知見に基づいて、自己免疫疾患治療や移植拒絶抑制にDCの免疫寛容誘導能を応用する研究がなされている(Jonuleit, H. et al., Trends in Immunol. 2001; 22: 394-400、Hackstein, H. et al., Trends in Immunol. 2001; 22: 437-442)。
ヒト単球からGM-CSFおよびIL-4で誘導された未成熟 DCをさらに2日間GM-CSFおよびIL-10で培養したDCは、共刺激分子であるCD58、CD86およびCD83の発現が減少しており、異系混合白血球反応(allo-MLR)によるCD4陽性 T細胞の増殖を抑制する(Steinbrink, K. et. al., J. Immunol. 1997; 159: 4772-4780)。更に、ヒト単球からGM-CSFおよびIL-4で誘導された未成熟 DCをさらに2日間GM-CSFおよびIL-10で培養したDCは、抗原刺激に対して不応答性でかつ免疫抑制活性を有するCD4陽性およびCD8陽性T細胞を誘導する(Steinbrink, K. et. al., Blood 2002; 99: 2468-2476)。ナイーブCD4 陽性T細胞をヒト未成熟 DCで繰り返し刺激すると、CD4陽性CD25陽性かつIL-10高産生の免疫制御性T細胞が誘導される。このT細胞は活性化Th1細胞(type I helper T細胞)の抗原特異的な増殖およびサイトカイン産生をin vitroで抑制する(Jonuleit, H. et al., J. Exp. Med. 2000; 192: 1213-1222)。更に、インフルエンザウイルスマトリックス蛋白由来ペプチドを付与したヒト未成熟DCの健常人への投与によって該抗原特異的なCD8陽性T細胞の抑制と該抗原特異的なCD8陽性IL-10産生免疫制御性T細胞が誘導された。但しこの抑制効果はDC投与後6ヶ月で消失した。(Dhodapkar, M. V. et al., J. Exp. Med. 2001; 193: 233-238, Dhodapkar, M. V. et al., Blood 2002; 100: 174-177)。以上のようにヒト単球からGM-CSFおよびIL-4で誘導された未成熟 DC或いは該細胞をIL-10処理して未成熟状態を維持したDCは、抗原特異的な免疫抑制を誘導することが示唆されている。しかしながら、自己免疫疾患などの病態の炎症環境においては、未成熟DCは成熟が誘導され免疫調節機能を維持できるかに関しては問題視されている。
GM-CSFおよびTGF-β1で誘導したマウス骨髄由来DCは、未成熟DCの特性を有しており、異系ナイーブCD4陽性T細胞の増殖を促進する作用が減弱している(Yamaguchi, Y. et al., Stem Cells. 1997;15(2):144-53)。異系心移植モデルマウスへの該細胞の投与によって移植生着を延長させた(Lu, L. et. al., Transplantation 1997; 64: 1808-1815)。同様にGM-CSFで誘導されたマウス骨髄由来未成熟DCおよびGM-CSFで誘導されたマウス肝由来未成熟DCは、異系移植モデルにおける生着延長効果を有する(Lutz, M. et al., Eur. J. Immunol. 2000; 30: 1813-1822、Fu, F. et al., Transplantation 1996; 62: 659-665、Rastellini, C. et al. Transplantation 1995; 60: 1366-1370)。一方、マウス脾臓由来CD8陽性DCは、その成熟段階の如何によらず異系移植モデルにおける生着延長効果を有する(O'Connell, P. J. et al. J. Immunol. 2002; 168: 143-154)。NODマウスにおける自己免疫性糖尿病発症抑制効果は、未成熟DCではなく成熟DCの投与によってのみ観察された(Feili-Hariri, M. et al., Eur. J. Immunol. 2002; 32: 2021-2030)。多発性硬化症モデルであるEAEにおいては、TNF-αで短時間処理した半成熟DCによる抑制効果が報告されている(Menges, M. et al., J. Exp. Med. 2002; 195: 15-21)。このようにマウスDCを用いた研究では、DCの成熟段階による免疫抑制特性の判別が困難である。また、マウスDCではFasL, CTLA-4-Ig, IL-10, TGF-β, IL-4などの免疫応答抑制および調節に関与する分子の遺伝子を導入したマウスDCによる移植モデル、自己免疫疾患モデルでの抑制効果についても報告がある(Hackstein, H. et al., Trends in Immunol. 2001; 22: 437-442)。マウス骨髄細胞よりGM-CSFおよびIL-4によって誘導されたDCを用いて、IL-10遺伝子導入DCとTGF-β遺伝子導入DCを混和して門脈内投与により異系腎臓移植モデルにおいて生着延長効果が見られた(Gorczynski, R. M. et al., Clin. Immunol. 2000; 95: 182-189)。
Jonuleit, H. et al., Trends in Immunol. 2001; 22: 394-400 Hackstein, H. et al., Trends in Immunol. 2001; 22: 437-442 Steinbrink, K. et. al., J. Immunol. 1997; 159: 4722-4780 Steinbrink, K. et. al., Blood 2002; 99: 2468-2476 Jonuleit, H. et al., J. Exp. Med. 2000; 192: 1213-1222 Dhodapkar, M. V. et al., J. Exp. Med. 2001; 193: 233-238 Dhodapkar, M. V. et al., Blood 2002; 100: 174-177 Yamaguchi, Y. et al., Stem Cells. 1997;15(2):144-53 Lutz, M. et al., Eur. J. Immunol. 2000; 30: 1813-1822 Fu, F. et al., Transplantation 1996; 62: 659-665 Rastellini, C. et al. Transplantation 1995; 60: 1366-1370 O’Connell, P. J. et al. J. Immunol. 2002; 168: 143-154 Feili-Hariri, M. et al., Eur. J. Immunol. 2002; 32: 2021-2030 Menges, M. et al., J. Exp. Med. 2002; 195: 15-21 Hackstein, H. et al., Trends in Immunol. 2001; 22: 437-442 Gorczynski, R. M. et al., Clin. Immunol. 2000; 95: 182-189
本発明は、病態の炎症環境においても免疫制御性を有するヒト免疫制御性樹状細胞、該免疫制御性樹状細胞の誘導方法、該免疫制御性樹状細胞を含む医薬組成物の提供を目的とする。具体的には、少なくともIL-10およびTGF-βを含むサイトカイン類の存在下でヒト樹状細胞またはその前駆細胞を培養してヒト免疫制御性樹状細胞を誘導する方法、該方法により誘導されたヒト免疫制御性樹状細胞、該免疫制御性樹状細胞の移植片拒絶に対する使用、移植片対宿主病の治療、自己免疫疾患、アレルギー性疾患への治療への使用の提供を目的とする。
前述のように、従来より免疫抑制活性を有する樹状細胞(Dendritic cell、DC)を得ようとする試みはなされていた。しかし、それは未成熟状態を維持した樹状細胞であり、炎症環境においては成熟が誘導され免疫抑制活性が維持できるかどうか疑問であった。本発明者は、病態の炎症環境においても機能が十分発揮できる樹状細胞を誘導することについて、鋭意検討を行い、IL-10およびTGF-βを組み合わせて誘導された免疫制御性DCが免疫応答の誘導および疾患モデルにおける強力な抑制効果を有することを見出した。さらに、本発明者は、移植片拒絶や免疫が関連する疾患の治療への前記免疫制御性DCの有用性について検討を行い、該DCが移植片拒絶の抑制や免疫性疾患の治療に効果を有することを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は以下の通りである。
[1] ヒト樹状細胞またはその前駆細胞をin vitroでIL-10およびTGF-βと共に培養し、ヒト免疫制御性樹状細胞を調製する方法、
[2] ヒト樹状細胞がヒト単球由来樹状細胞である、[1]のヒト免疫制御性樹状細胞を調製する方法、
[3] ヒト単球をGM-CSF、IL-4、IL-10およびTGF-βの存在下で培養する、ヒト免疫制御性樹状細胞を調製する方法、
[4] さらに、TNF-αおよびLPSのいずれかまたは両方の存在下で培養する、[3]のヒト免疫制御性樹状細胞を調製する方法、
[5] さらに、治療しようとする疾患と関連する組織または臓器に存在する抗原の存在下で培養する、[1]〜[4]のいずれかのヒト免疫制御性樹状細胞を調製する方法、
[6] 疾患が、自己免疫疾患またはアレルギー性疾患である、[5]のヒト免疫制御性樹状細胞を調製する方法、
[7] 疾患が、関節リウマチまたは多発性硬化症である、[5]のヒト免疫制御性樹状細胞を調製する方法、
[8] [1]〜[7]のいずれかの方法で調製されたヒト免疫制御性樹状細胞、
[9] IL-10およびTGF-βの両方の存在下で培養していないヒト成熟樹状細胞と比べて有意にCD83、CD40、CD80およびCD86の発現が少ない[8]のヒト免疫制御性樹状細胞、
[10] in vitroにおいて異系CD4陽性T細胞に抗原不応答性を誘導する機能、活性化異系 CD4陽性T細胞およびCD8陽性T細胞の再活性化を抑制する機能、異系ナイーブCD4陽性T細胞およびCD8陽性T細胞に対してそれぞれCD4陽性CD25陽性免疫制御性T細胞およびCD8陽性CD28陰性免疫制御性T細胞を誘導する機能、またはヒトT細胞移植免疫不全マウスでの異種移植片対宿主病が異種抗原を付与された当該細胞移入により抑制されるなどの免疫抑制応答を誘導する機能を有する、[8]または[9]のヒト免疫制御性樹状細胞、
[11] [8]〜[10]のいずれかのヒト免疫制御性樹状細胞を含む医薬組成物、
[12] 細胞、臓器または組織移植に伴う移植片拒絶反応を抑制する[11]の医薬組成物、
[13] 移植片対宿主病の治療に用い得る[11]の医薬組成物、
[14] 自己免疫疾患またはアレルギー性疾患の治療に用い得る[11]の医薬組成物、ならびに
[15] 関節リウマチまたは多発性硬化症の治療に用い得る[11]の医薬組成物。
実施例が示すように、IL-10およびTGF-βで刺激した免疫制御性DCは、T細胞に抗原不応答性を誘導し、かつ活性化T細胞の再活性化を抑制する(実施例2)。また、前記免疫制御性DCはT細胞による異種移植片対宿主病を抑制する(実施例5等)。さらに、免疫制御性DCは免疫疾患を抑制する(実施例14等)。これらの実施例が示すように、本発明の免疫制御性DCは、細胞、臓器または組織移植における拒絶反応を抑制し、移植片対白血病効果を保持しながら移植片対宿主病に対する治療効果があり、さらに自己免疫疾患およびアレルギー性疾患に対する治療効果がある。
以下、本発明を詳細に説明する。
1.ヒト免疫制御性DCの調製
本発明は、ヒト由来樹状細胞(DC)またはその前駆細胞を少なくともIL-10およびTGF-βを含むサイトカイン類の存在下で培養しヒト免疫制御性DCを調製する方法であり、また得られたヒト免疫制御性DCである。例えば、ヒト単球にGM-CSF, IL-4, IL-10, TGF-β1を添加して誘導されるDCおよび当該DCに更に炎症性刺激(例えばTNF-α, LPSなど)を加えたものがヒト免疫制御性DCとして調製される。ここで、ヒト単球をGM-CSFおよびIL-4の存在下でin vitroで培養することによりヒト単球はDCに分化し、DCがIL-10およびTGF-βにより未成熟な免疫制御性DCになる。この際、ヒト単球を最初にGM-CSFおよびIL-4で刺激しDCに分化させた後にIL-10およびTGF-βで刺激してもよいし、GM-CSF, IL-4, IL-10およびTGF-β1で同時に刺激してもよい。さらに、TNF-αやLPS等により炎症性刺激を与えることにより、成熟したヒト免疫制御性細胞となる。また、ヒト由来樹状細胞(DC)またはその前駆細胞を少なくともIL-10およびTGF-βを含むサイトカイン類の存在下で培養しヒト免疫制御性DCを調製する際にCD40アゴニストを添加してもよい。CD40アゴニストとは、免疫細胞表面に発現するCD40抗原に作用することにより、CD40を介した細胞内へシグナルを伝達し得る物質を意味する。CD40アゴニストは、CD40抗原に対する天然または合成のリガンド、すなわちCD40を介してシグナルを誘導するあらゆる分子、およびCD40抗原に対する抗体を包含する。かかる抗体は、CD40のいずれの部位を認識するものであっても、CD40を介するシグナルを誘導するものであればよい。抗CD40抗体は、DCを成熟させることが報告されており(Z.H.Zhou et al., Hybridoma, 18:471 1999)、本発明において使用される抗体は、特に限定されないが、好ましい抗CD40抗体としてWO 2002/099196公報に記載の抗体が挙げられる。また、抗体分子の抗原認識部位を保持する抗CD40抗体フラグメントも、CD40アゴニストとして有用である。
ヒトDCは前述のようにヒト単球をGM-CSFおよびIL-4の存在下で培養することにより得られる。この際の単球はヒト末梢血由来でも、ヒト骨髄由来でも、ヒト脾臓細胞由来でも、ヒト臍帯血由来でもよい。さらに、これらの組織、器官から樹状細胞をFACS(Fluorescent activated cell sorter)またはフローサイトメーター等によりCD1a等のDC特異的な表面抗原の発現を指標に単離することもできる。FACSによる特定の細胞集団の単離は公知の方法により行なえばよい。FACS、フローサイトメーターとしては例えばFACS vantage(ベクトン・ディッキンソン社製)、FACS Calibur(ベクトン・ディッキンソン社製)等を用いることができる。
ヒト単球、DCの培養は、周知のヒトリンパ系細胞の培養技術により行なうことができる。培養液としては例えばRPMI1640やDMEMを用いることができ、これらの基本培地に適当な抗生物質や動物血清等を添加して培養すればよい。培養容器も限定されず、培養規模に応じて市販のプレート、ディッシュ、フラスコを適宜選択して用いることができる。
培養に用いるGM-CSF、IL-4、IL-10、TGF-β1、TNF-α、LPSの濃度は、1ng/mL〜1000ng/mL、好ましくは10ng/mL〜100ng/mLである。また、CD40アゴニストを添加する場合、例えば抗CD40抗体の濃度は、0.1μg/mL〜100μg/mL、好ましくは1μg/mL〜10μg/mLである。刺激に必要な培養日数は、限定されないが、例えばヒト単球をGM-CSF、IL-4、IL-10、TGF-β1、TNF-α、LPSと共に数日から10日間程度培養すればよい。ヒト単球またはヒトDCの表面抗原の発現をFACS等で調べることにより、目的の分化程度の細胞が得られる培養期間を適宜決定することができる。刺激に用いるGM-CSF、IL-4、IL-10、TGF-β1、TNF-α、LPSの濃度、刺激期間等の条件は、異系CD4陽性T細胞の抗原不応答性の誘導やDC表現型を指標として条件を決定できる。
ヒト免疫制御性DCは、in vitroにおいて異系CD4陽性T細胞に抗原不応答性を誘導すること、活性化異系 CD4陽性T細胞およびCD8陽性T細胞の再活性化を抑制すること、異系ナイーブCD4陽性T細胞およびCD8陽性T細胞に対してそれぞれCD4陽性CD25陽性免疫制御性T細胞およびCD8陽性CD28陰性免疫制御性T細胞を誘導すること、更にはヒトT細胞移植免疫不全マウスでの異種移植片対宿主病が異種抗原を付与された当該細胞移入により抑制されるなどの免疫抑制応答を誘導する機能を有することを特徴とする細胞である。細胞がこれらの特徴を有しているか否かは後記の実施例に記載の方法により決定することがきでる。
これらヒト免疫制御性DCは未成熟細胞のみならず更にTNF-αなどの炎症性サイトカインによって処理された状態でも同様の機能を発揮することから、病態の炎症環境においても機能を十分に発揮できることが示唆された。すなわち、本発明の免疫制御性DCには成熟したものも未成熟のものも含まれる。DCが成熟しているか未成熟かは、例えばDC表面にCD83が発現しているか否かを調べることによりわかり、成熟DC表面にはCD83が発現している。
2.ヒト免疫制御性DCの用途
本発明のヒト免疫制御性DCは上述のように、in vitroにおいて異系CD4陽性T細胞に抗原不応答性を誘導し、活性化異系 CD4陽性T細胞およびCD8陽性T細胞の再活性化を抑制し、異系ナイーブCD4陽性T細胞およびCD8陽性T細胞に対してそれぞれCD4陽性CD25陽性免疫制御性T細胞およびCD8陽性CD28陰性免疫制御性T細胞を誘導し、更にはヒトT細胞移植免疫不全マウスでの異種移植片対宿主病が異種抗原を付与された当該細胞移入により抑制されるなどの免疫抑制応答を誘導する機能を有する。
また、ヒト免疫制御性樹状細胞と同様にIL-10とTGF-β1を組み合わせて誘導されたマウス免疫制御性DCは、異系移植片対宿主病、異種移植片対宿主病の抑制効果に加え、移植片対白血病効果を維持した異系移植片対宿主病の抑制効果、更にはマウス自己免疫性関節炎疾患モデルでの発症後抑制効果を示した。これらマウス免疫制御性DCの機能は、上記ヒト免疫制御性DCの機能と以下の点において同等であり、マウス免疫制御性DCで示された疾患治療にヒト樹状細胞が有効であることが示唆された。1)細胞表面分子表現型:共刺激分子(CD40, CD80, CD86)低発現、MHC分子発現、2)異系CD4陽性T細胞への抗原不応答性の誘導、3)活性化異系 CD4陽性T細胞の再活性化抑制、4)ヒトT細胞移植免疫不全マウスでの異種移植片対宿主病抑制、5)In vitroでのCD4陽性CD25陽性CD152陽性T細胞誘導、6)マウス免疫制御性DCの異系移植片対宿主病抑制に関与するCD4陽性CD25陽性免疫制御性T細胞と同様の細胞をヒト免疫制御性DCはin vitroで誘導する。
従来技術としてIL-10単独或いはTGF-β単独で誘導した免疫制御性DCの知見があるが、IL-10とTGF-βを組み合わせて誘導された本発明のヒト免疫制御性DCは、各サイトカイン単独で誘導されたDCに比較して、異系CD4陽性T細胞に対して顕著な抗原不応答性を誘導した。このことは、本発明当該ヒト免疫制御性DCが各サイトカイン単独で誘導されたDCと比較して顕著な治療効果を有することを示唆する。
以上より、ヒト免疫制御性DCは、CD4陽性あるいはCD8陽性T細胞の免疫応答を抑制的に制御することが可能であることが明らかである。従って本発明のヒト免疫制御性DCをCD4陽性あるいはCD8陽性T細胞が関与する免疫反応を病因とする種々の疾患に対する新規の治療に用いることができる。
本発明の対象となる疾患として、遅延型過敏症(DTH反応)が関与する臓器特異的自己免疫疾患が挙げられる。遅延型過敏症(DTH反応)は、典型的なTh1応答であり、臓器特異的自己免疫疾患における慢性炎症のベースとなる反応と考えられている。Th1免疫応答が関与する臓器特異的自己免疫疾患としては、主として多発性硬化症、関節リウマチ、I型糖尿病ぶどう膜炎、自己免疫性心筋炎、クローン病が挙げられ、アレルギーとしては、接触過敏症などが挙げられる。
さらに、本発明の対象となる疾患は、細胞あるいは臓器・組織移植に伴う移植片拒絶、移植片対宿主病の他、関節リウマチ、多発性硬化症、I型糖尿病、ぶどう膜炎、自己免疫性心筋炎、重症筋無力症、全身性エリテマトーデス、自己免疫性溶血性貧血、全身性強皮症、潰瘍性大腸炎、クローン病、シェーグレン症候群、自己免疫性肝疾患(例えば、原発性胆汁性肝硬変)、乾癬、突発性血小板減少性紫斑病、Goodpasture症候群(例えば、糸球体腎炎)、悪性貧血、橋本病、尋常性白斑、ベーチェット病、自己免疫性胃炎、天疱瘡、ギラン・バレー症候群、HTLV-1関連脊髄症のような自己免疫疾患、あるいは接触過敏症、アレルギー性鼻炎、食物アレルギー、喘息のようなアレルギー性疾患である。
本発明は、本発明の方法により誘導されたヒト免疫制御性DCを含む上記疾患の治療用医薬組成物を包含する。本発明のヒト免疫制御性DCを疾患の治療に用いる場合、治療しようとする疾患に関連した抗原で刺激する。抗原としては、自己免疫疾患やアレルギー性疾患であれば、疾患と関連する組織・臓器に存在する抗原タンパク、またはペプチド、また、それらをコードするRNA, DNA類、およびその改変体を用いる。移植片拒絶や移植片対宿主病であれば、DCが内在的に異系抗原を発現しているため抗原を改めて付与する必要はないが、ドナーあるいはレシピエント由来の抗原を用いる場合も有り得る。この際の刺激は、本発明のヒト免疫制御性DCをin vitro で抗原と共に培養すればよい。
治療用医薬組成物に用いるヒトDCの種類としては、ヒト単球由来DC(Bwatrice Thurner, Gerold Schuler et al, J. Exp. Med. 1999 190(11):1669-1678, Axel Heiser, Eli Gilboa el al, J. Clin. Invest. 2002 109(3) 409-417)またはヒト末血DC(Small EJ., L Clin Oncol. 2000 18(23):3894-3903) あるいはヒトCD34陽性細胞由来DC(Caux C, Jacques Banchereau et al Blood 1997 90(4); 1458-1470)、好ましくはヒト単球由来DCを含むヒト DCとする。
自己免疫疾患やアレルギー性疾患治療におけるDCへの抗原付与については培養最終日を含む10日間から1日間の期間、蛋白抗原の場合、1ng/ml〜10mg/ml、好ましくは10ng/ml〜5mg/mlの濃度でin vitroで付与する。TNF-αやLPS等の炎症性刺激によって更に刺激したヒト免疫制御性DCを用いる場合は、好ましくは炎症性刺激と同時或いは刺激前に抗原を付与する。
本発明のヒト免疫制御性DCを含む医薬組成物を治療に用いる場合、それぞれのDCのDC画分換算で0.5 x 105〜109を、静脈内あるいは皮下、皮内(好ましくは静脈内)で投与することとする。
また、患者への投与に関しては随時(好ましくは寛解期)におこなえる。特に臓器・組織移植に伴う移植片拒絶、移植片対宿主病については、発症が予想される処置以前での投与が好ましい。
ヒト免疫制御性DCの投与時期、投与量は、疾患の種類、疾患の重篤度、患者の状態等に応じて適宜決定することができる。
本発明は、本発明のヒト免疫制御性DCを投与することを含む遅延型過敏症(DTH反応)が関与する臓器特異的自己免疫疾患を治療する方法を包含する。遅延型過敏症(DTH反応)は、典型的なTh1応答であり、臓器特異的自己免疫疾患における慢性炎症のベースとなる反応と考えられている。Th1免疫応答が関与する臓器特異的自己免疫疾患としては、主として多発性硬化症、関節リウマチ、I型糖尿病ぶどう膜炎、自己免疫性心筋炎、クローン病が挙げられ、アレルギーとしては、接触過敏症などが挙げられる。さらに、本発明は、本発明のヒト免疫制御性DCを投与することを含む細胞あるいは臓器・組織移植に伴う移植片拒絶、移植片対宿主病の他、関節リウマチ、多発性硬化症、I型糖尿病、ぶどう膜炎、自己免疫性心筋炎、重症筋無力症、全身性エリテマトーデス、自己免疫性溶血性貧血、全身性強皮症、潰瘍性大腸炎、クローン病、シェーグレン症候群、自己免疫性肝疾患(例えば、原発性胆汁性肝硬変)、乾癬、突発性血小板減少性紫斑病、Goodpasture症候群(例えば、糸球体腎炎)、悪性貧血、橋本病、尋常性白斑、ベーチェット病、自己免疫性胃炎、天疱瘡、ギラン・バレー症候群、HTLV-1関連脊髄症のような自己免疫疾患、あるいは接触過敏症、アレルギー性鼻炎、食物アレルギー、喘息のようなアレルギー性疾患を治療する方法をも包含する。この際、患者に投与するヒト免疫制御性DCは患者自身の単球またはDCをin vitroで刺激して調製したものでもよいし、患者以外の第三者の単球またはDCをin vitroで刺激して調製したものでもよい。さらに、本発明は、本発明のヒト免疫制御性DCの上記疾患の治療用薬剤の製造への使用をも包含する。
本発明を以下の実施例によって具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
以下に本発明の具体的態様と効果を例示した実施例を記載する。但し、本発明はこれら実施例にその技術が限定されるものではない。
A. ヒト免疫制御性DCを用いた実施例
3種類のヒト修飾DC(modified DC):IL-10誘導DC(IL-10-induced DC)、TGF-β1誘導DC(TGF-β1-induced DC)、IL-10/TGF-β1誘導DC(IL-10/TGF-β1-induced DC)を作製し、実施例2の結果より一番強力なT細胞機能制御能を示すIL-10/TGF-β1誘導DCをヒト免疫制御性DC(regulatory DC)と定義した。
実施例1:ヒト修飾DCの表現型
ヒトDCは以下のように調製した。ヒト末梢血由来単核細胞を細胞培養用ディッシュ(Becton Dickinson)に2時間付着させ単球を付着細胞として得る(>90% CD14陽性細胞)。この単球をヒトGM-CSF(Pepro Tech, 50 ng/ml)およびヒトIL-4(Pepro Tech, 50 ng/ml)共存下にて7日間培養後、非付着細胞を回収し、磁気ビーズを結合させた抗CD2単クローン抗体(Dynal)および抗CD19単クローン抗体(Dynal)にてネガティブセレクションを行い、混入T細胞、NK細胞およびB細胞を除去する。除去後の細胞を通常未成熟(normal immature) DCとした。同様に、ヒト修飾DCは単球をヒトGM-CSF(50 ng/ml)およびヒトIL-4(50 ng/ml)存在下に、ヒトIL-10(Pepro Tech, 50 ng/ml)単独(IL-10誘導DC)、ヒトTGF-β1(Pepro Tech, 50 ng/ml)単独(TGF-β1誘導DC)、あるいはヒトIL-10(Pepro Tech, 50 ng/ml)+ヒトTGF-β1(IL-10/TGF-β1誘導DC)で7日間培養し、上記未成熟DC同様に混入T細胞、NK細胞およびB細胞を除去して調製した。ヒトIL-10処理(IL-10-treated)未成熟DCは上記と同様の未成熟DCにヒトIL-10(Pepro Tech, 50 ng/ml)を3日間作用させることで得た。成熟 (mature)DCは以下のように調製した。サイトカインの混入を避けるために上記細胞をPBSにて3回洗浄し、ヒトTNF-α(Pepro Tech, 50 ng/ml)共存下にてさらに3日間培養し、これを成熟DCとした。得られたDCをFACScan flow cytometer (Becton Dickinson)を用いて解析すると、95%以上がHLA-DR発現細胞であり、T細胞、B細胞、NK細胞および単球/マクロファージの混入は0.1%以下であった。このようにして調製した、未成熟・成熟ヒトDCおよび未成熟・成熟ヒトIL-10誘導DCおよび未成熟・成熟ヒトTGFβ1誘導DC および未成熟・成熟ヒトIL-10/ TGFβ1誘導DCの表現型についてフローサイトメーターを用いた解析を行った。結果は、10回の異なる実験の代表的なデータである。図1Aでは抗CD1a抗体、抗CD14抗体、抗CD11c抗体、抗CD83抗体、抗E-cad抗体およびそれぞれのアイソタイプコントロール(すべてBD pharmingen由来)を用いた染色結果を示す。また、図1Bでは抗CD40抗体、抗CD80抗体、抗CD86抗体、抗HLA-A/B/C抗体、抗HLA-DR抗体、およびそれぞれのアイソタイプコントロール(すべてBD pharmingen由来)を用いた染色結果を示す。図中の右上の数値はそれぞれの抗体で染色したときの平均蛍光強度(mean fluorescence intensity)を示す。その結果、未成熟DCについては、すべてのDCマーカーであるCD1a、CD11cについては発現が見られているが、ランゲルハンス細胞のマーカーである E-cadherin(E-cad)についてはIL-10誘導DCでは通常DCと同様、発現が見られていない。また、IL-10誘導DCではCD14について、他のDCには見られない発現が観察された。一方、HLA-A/B/CおよびHLA-DRについてはIL-10誘導DCおよびTGFβ1誘導DCおよび IL-10/ TGFβ1誘導DCでは通常未成熟DCと比較して若干低いものの中程度の発現が見られていたが、CD40, CD80, CD86については発現が非常に低いことが示された。またTNF-αで成熟させたDCでは、IL-10/TGF-β1誘導DCは、DCの活性化マーカーであるCD83の発現が上昇するが、DCマーカーであるCD1aおよびCD11cとランゲルハンス細胞のマーカーであるE-cadの発現は減弱する。IL-10誘導DCおよびTGFβ1誘導DCおよび IL-10/ TGFβ1誘導DCでは通常成熟DCと比較してCD83, CD40, CD80, CD86の発現が低く、特にIL-10/ TGFβ1誘導DCで顕著に低いことが示された。HLAおよび共刺激因子の発現について、陽性細胞の比率を10回の異なる実験の平均±SDで図1Cに示す。同様に、図1DにはMFI±SDを示す。
実施例2:ヒト修飾DCのうちIL-10/TGF-β1誘導DCは免疫制御性DCとしてT細胞に抗原不応答性を誘導すると共に活性化T細胞の再活性化を抑制する
修飾DCが異系CD4陽性T細胞にアナジーを誘導するかどうかを検討した。ヒト末梢血よりT細胞をネガティブ選択キット(Dynal)を用いて単離し、さらに抗CD8抗体およびCD45RO抗体(ともにBD PharMingen)を用いてCD8陰性かつCD45RO陰性細胞として単離したナイーブCD4陽性T細胞(105)を異系DCあるいは異系修飾DC(103〜104)と5日間共培養し、細胞増殖試験を行った。別の実験では、ナイーブCD4陽性T細胞(5x106)をX線(15 Gy)照射した異系DCあるいは異系修飾DC(4x104〜5x105)と3日間共培養後、抗CD11c抗体および磁気ビーズ結合ヤギ抗マウスIgG抗体を用いてネガティブセレクションを行い、CD4陽性細胞を回収した。そのCD4陽性細胞(105)を1回目の刺激に用いたのと同じドナー由来の異系ヒト通常成熟DC(104)あるいは1回目の刺激に用いたのと異なるドナー由来の異系ヒト通常成熟DC(104)と2回目の共培養をIL-2存在、非存在下にて行い、細胞増殖試験を5日目に行った。細胞増殖試験は、[3H]thymidineを18時間パルスし、細胞内への取り込みを指標にした。図2Aに示すように、IL-10誘導DC、TGF-β1誘導DC、IL-10/TGFβ1誘導DCあるいはIL-10処理DCを用いて行ったところ、未成熟DCの場合、一次刺激における異系CD4陽性T細胞を活性化する能力は何れの修飾DCも低いが、とりわけ未成熟IL-10/TGFβ1誘導DCが最も低かった。一方成熟DCを用いた場合には一次刺激における異系CD4陽性T細胞を活性化する能力はIL-10/TGFβ1誘導DCでのみ顕著に低かった。更に各DCで一次刺激したのちに成熟通常DCで二次刺激した場合には、未成熟IL-10/TGFβ1誘導DCあるいは成熟IL-10/TGFβ1誘導DCにおいてのみ顕著な抑制が見られた。IL-10処理未成熟DCでは一次刺激、二次刺激いずれの実験系においても強い抑制作用を示したが、IL-10/TGFβ1誘導DCの抑制作用には及ばなかった。図2Bでは、IL-10/TGFβ1誘導DCで刺激後の二次刺激時にIL-2を添加することでその抑制作用が解除される傾向が見られた。また二次刺激時に第三者ドナー(unrelated donor)由来の成熟通常DCを用いた場合には抑制の程度は僅かであった。以上の結果によりIL-10/TGFβ1誘導DCはナイーブCD4陽性細胞に抗原特異的に抗原不応答性を誘導することが示された。同様の結果は、全CD4陽性T細胞をレスポンダーとして用いた時にも観察され、その抑制の度合いはIL-10処理未成熟DCよりも強かった(図2C)。この成熟通常DCで二次刺激した場合の抑制効果は一次刺激の際に添加したIL-10/TGFβ1誘導DCの用量依存性がみられた(図2D)。二次刺激後の細胞増殖について経時変化を調べた所、その効果は少なくとも2週間続いた(図2E)。さらに、異系成熟DCによって活性化されたナイーブCD4陽性細胞に対するIL-10/TGFβ1誘導DCの作用を検討したところ、IL-10/TGFβ1誘導DCは用量依存的にその増殖を抑制した(図2F)。続いて抗原特異的CD8陽性T細胞の細胞障害活性に対するIL-10/TGF-β1誘導DCの作用について検討した(図2G)。ナイーブCD8陽性T細胞は、ヒト末梢血よりT細胞をネガティブ選択キット(Dynal)を用いて単離し、さらに抗CD4抗体およびCD45RO抗体(共にBD PharMingen)を用いてCD4陰性かつCD45RO陰性細胞として単離した。抗原特異的CD8陽性T細胞は、X線(15Gy)照射した異系線維芽細胞(donor#1)とPBMCを2週間培養(IL-2 100U/mL添加)後、CD8陽性T細胞をポジティブセレクションすることによって得た。この抗原特異的CD8陽性細胞を異系DC(donor#1あるいは #2)存在下、非存在下にて3日間共培養した。細胞障害性試験は、このCD8陽性T細胞(5x105)をNa2 51CrO4 (100 μCi/106 cells, NENTM Life Science product, Boston, MA)でラベルした異系線維芽細胞(ドナー#1あるいは#2)と4時間培養し、培養上清の放射活性を測定することで行った。その結果、CD8陽性T細胞は刺激に用いられた異系線維芽細胞(ドナー#1)に特異的に、すなわち抗原特異的に細胞障害活性を示した。この時、通常未成熟DC ではなく、通常成熟DCで刺激を加えておくと細胞障害活性は増大した。一方、IL-10/TGFβ1誘導DCは細胞障害活性を用量依存的に抑制した。無関係のドナー由来のDCを用いた場合、細胞障害活性は殆ど影響を受けなかった。すなわち、IL-10/TGFβ1誘導DCによる免疫制御活性は特異的であると考えられる。以上の結果より、IL-10/TGF-β1誘導DCは全てのエフェクターT細胞の活性を制御する能力を有する事が明らかとなった。以下、IL-10/TGFβ1誘導DCを免疫制御性DC(regulatory DC)と呼ぶ。
実施例3:ヒト免疫制御性DCはCD4陽性CD25陽性免疫制御性T細胞を誘導する
実施例2と同等の方法で単離したヒトナイーブCD4陽性T細胞(5x106)を異系DCあるいは異系免疫制御性DC(5x105)と5日間共培養し、得られたT細胞についてFACSを用いて細胞表面抗原および細胞内サイトカイン産生について解析を行った。細胞内サイトカイン産生については以下の様に解析した。プレートに固相化した抗ヒトCD3抗体(10μg/ml; BD Pharmingen)および可溶化抗ヒトCD28抗体(10μg/ml; BD Pharmingen)によって6時間刺激した細胞を浸透化および固定化し、抗ヒトIL-2, IL-4, IL-10およびinterferon(IFN)-γ(全てBD PharMingen)にて染色し、FACSを用いて解析した。結果は異なる5つの実験のうち典型的な1つを示している。異系通常DCを用いた場合、CD4陽性CD25陽性およびCD4陽性CD154陽性の細胞が誘導されているのに対し、異系免疫制御性DCはCD4陽性CD25陽性およびCD4陽性CD152陽性の細胞が誘導されていた(図3A)。一方細胞内サイトカインの産生をみてみると、異系通常DCで刺激するとIFN-γおよびIL-2産生細胞が増加するのに対し、異系免疫制御性DCで刺激を行うとIL-10を産生する細胞が増加していた(図3B)。さらに、異系免疫制御性DCによって誘導されたCD4陽性CD25陽性T細胞の機能について解析した(図3C)。方法は以下の通りである。ヒトナイーブCD4陽性T細胞(5x106)をX線(15 Gy)照射した異系マウス通常成熟DC(5x105)と3日間共培養した後、抗CD11c抗体および磁気ビーズ結合ヤギ抗マウスIgG抗体を用いてネガティブセレクションを行い、抗原刺激されたCD4陽性細胞を得た。ヒトCD4陽性CD25陽性T細胞は、ナイーブCD4陽性T細胞(5x106)を異系免疫制御性未成熟DC(5x105)と5日間共培養し、抗CD25抗体(BD PharMingen)および磁気ビーズ結合ヤギ抗マウスIgG抗体を用いて単離した。FACS解析の結果、純度は95%以上であった。得られた抗原刺激されたCD4陽性細胞とCD4陽性CD25陽性T細胞を異なる細胞比で混合し、さらに異系通常成熟DC(104)と5日間共培養し、細胞増殖を調べた。抗原刺激されたCD4陽性細胞単独は異系通常成熟DCに反応して旺盛に増殖をするのに対して、CD4陽性CD25陽性T細胞単独は殆ど反応しなかった。また、CD4陽性CD25陽性T細胞は抗原刺激されたCD4陽性細胞と共培養した時、抗原刺激されたCD4陽性細胞の増殖を用量依存的に抑制した。しかし、CD4陽性CD25陽性T細胞の数を一定にし、抗原刺激されたCD4陽性細胞の数を増加させても抑制効果は解除されないことから、単純に異系抗原に対する競合阻害によるものではないと考えられる。また、この抑制効果はCD4陽性CD25陽性T細胞と抗原刺激されたCD4陽性細胞をトランスウェル内で分離すると抑制活性は消失し、IL-2添加により抑制活性は一部消失する。IL-10あるいはTGF-βに対する中和抗体は抑制活性に影響を与えなかった(データ非表示)。さらに、CD4陽性CD25陽性T細胞(ドナーA(異系B 免疫制御性DCにより誘導))は、異系通常成熟DC(C)によるナイーブCD4陽性T細胞(ドナーA)の活性化抑制よりも異系通常成熟DC(ドナーB)によるナイーブCD4陽性T細胞(ドナーA)の活性化抑制の方が2倍ほど強く、CD4陽性CD25陽性T細胞による抑制活性は抗原特異的なものと非特異的なものの両方を有している事を示している(データ非表示)。以上の結果は免疫制御性DCが効率的にCD4陽性CD25陽性免疫制御性T細胞を誘導することを示す。
実施例4:ヒト免疫制御性DCはCD8陽性CD28陰性免疫制御性T細胞を誘導する
実施例2と同様の方法で単離したヒトナイーブCD8陽性T細胞(5x106)をX線(15 Gy)照射した異系通常DCあるいは異系免疫制御性DC(5x105)と5日間共培養後、抗CD11c抗体および磁気ビーズ結合ヤギ抗マウスIgG抗体を用いてネガティブセレクションを行い、CD8陽性T細胞を回収した。それら細胞について、細胞表面抗原の解析(図4A左)および細胞内サイトカイン産生について調べた。細胞表面抗原の解析は実施例1に準ずる。細胞内サイトカインの測定は以下の様に行った。PMA(20 ng/ml; Sigma)およびCa2+ ionophore A23187(500 ng/ml; Sigma)によって6時間刺激した細胞を浸透化および固定化し、抗ヒトIL-10およびIFN-γにて染色しFACSを用いて解析した。その結果、ナイーブCD8陽性T細胞と異系通常DCとを共培養した場合はCD8陽性CD28陽性の細胞を誘導したが、ナイーブCD8陽性T細胞と異系免疫制御性DCを共培養した場合はCD8陽性CD28陰性の細胞を誘導した(図4A)。細胞内サイトカインを調べてみると、ナイーブCD8陽性T細胞と異系通常DCとを共培養した場合はINF-γ産生細胞が増加したが、ナイーブCD8陽性T細胞と異系免疫制御性DCを共培養した場合はIL-10産生細胞が増加した(図4A)。さらに上記の方法を用いて異系成熟DCとの共培養により得られたCD8陽性CD28陽性および異系免疫制御性未成熟DCとの共培養により得られたCD8陽性CD28陰性細胞の機能について解析した。CD8陽性CD28陽性T細胞あるいはCD8陽性CD28陰性T細胞(104〜105)とX線照射した異系通常成熟DC(104)、さらに実施例3と同様な方法で調製した抗原刺激を受けたCD4陽性T細胞(105)を共培養し、5日目に細胞増殖試験を行った。24穴プレートを用いたトランスウェル実験では、CD8陽性CD28陽性T細胞あるいはCD8陽性CD28陰性T細胞(106)にX線照射した異系通常成熟DC(105)を加え、そこに抗原刺激されたCD4陽性T細胞(105)およびX線照射した異系マウス通常成熟DC(105)を直接加えるか、あるいはトランスウェルで仕切り、5日間共培養した。
5日目にDCを実施例2と同様の方法を用いて除き、T細胞(105)を96穴プレートに移して細胞増殖試験を行った。CD8陽性CD28陽性T細胞と異系通常成熟DCを共培養した場合、あるいは抗原刺激を受けたCD4陽性T細胞と異系通常成熟DCを共培養した場合にはCD4陽性細胞あるいはCD8陽性CD28陽性T細胞の増殖がみられるが、CD8陽性CD28陰性T細胞と異系マウス通常成熟DCを共培養した場合にはCD8陽性CD28陰性T細胞の増殖は殆どみられなかった(図4B)。更に、CD8陽性CD28陰性T細胞は、異系通常成熟DCによる CD4陽性T細胞の細胞増殖を用量依存的に抑制した(図4B)。トランスウェル分離実験より、この抑制作用にはCD4陽性T細胞とCD8陽性CD28陰性細胞との接触が必要なことも明らかとなった(図4B)。以上の結果は、免疫制御性DCはナイーブCD8陽性T細胞よりCD8陽性CD28陰性の免疫制御性T細胞を誘導することが明らかとなった。
実施例5:ヒト免疫制御性DCはヒトT細胞による異種移植片対宿主病を抑制する
異種移植片対宿主病(GvHD)モデル(実施例7に方法記載)においてヒト免疫制御性DCの効果について検討した。ヒト免疫制御性DCは実施例1と同様の方法で誘導した。ヒト通常未成熟DCあるいはヒト免疫制御性未成熟DCに細胞壊死(ネクローシス)を起こしたBALB/cマウスの脾臓細胞(105)を24時間パルスし、その後TNF-α(50 ng/ml)で3日間培養し、成熟させた。ネクローシスは細胞を4回凍結溶解して調製した。実施例7と同様の方法にて異種GvHD反応を惹起し、惹起後2日目に上記細胞(4x106)を経尾静脈で投与した。結果、対照群に比し、ヒト通常成熟DCの投与でその死亡は有意に早まり、ヒト免疫制御性成熟DCの投与で有意な生存延長が観察された(図5A)。実施例6と同様の方法にて、移入後10日目の脾臓細胞よりヒトT細胞を分離し、マウス成熟通常DCに対する反応性を測定したところ、ヒト通常成熟DCの投与を受けたマウス由来のヒトT細胞は対照群に比し有意に高い反応性を示し、ヒト免疫制御性マウス通常成熟DCの投与を受けたマウス由来のヒトT細胞は対照群に比し有意に低い反応を示した(図5B)。
B. マウス免疫制御性DCを用いた実施例
実施例6:マウスDCとマウスT細胞の調製法およびマウス生体内におけるT細胞刺激方法とそれらT細胞を用いた実験方法
マウス通常成熟DC(mDC)は、BALB/c、C57BL/6、DBA/1あるいはCBA/1の各系統のマウスから取得した骨髄細胞を培養用プラスティック製容器内で組換えマウスGM-CSF(20ng/ml:Pepro tech, London, England)存在下において6日間培養した後、LPS(1μg/ml:Sigma, St.Louis, MO)存在下において2日間再培養する事によって調製した。マウス免疫制御性DC(rDC)は、マウス通常成熟DCと同様の系統から取得したマウス骨髄細胞を培養用プラスティック製容器内で組換えマウスGM-CSF(20ng/ml:Pepro tech, London, England)、組換えマウスIL-10(20ng/ml:Pepro tech, London, England)、組換えヒトTGF-β1(20ng/ml:Pepro tech, London, England)共存在下において6日間培養した後、LPS(1μg/ml:Sigma, St.Louis, MO)存在下において2日間再培養する事によって調製した。ジヒドロキシビタミンD3誘導DCは、マウス通常成熟DCと同様の系統から取得したマウス骨髄細胞を培養用プラスティック製容器内で組換えマウスGM-CSF(20ng/ml:Pepro tech, London, England)、ジヒドロキシビタミンD3 (10nM:Sigma, St.Louis, MO)共存在下において6日間培養した後、LPS(1μg/ml:Sigma, St.Louis, MO)存在下において2日間再培養する事によって調製した。
T細胞の各画分は以下のように調製した。即ち、正常マウス(H-2d、H-2bあるいはH-2k)の脾臓単核細胞画分をPBSに懸濁し、Ly-76、B220、Ly-6GおよびI-A/I-Eに対するラット抗体(全てBD-Pharmingen, San Diego, CA)を添加し、30分4℃においてインキュベーションした後、細胞をPBSで洗浄し、磁気ビーズ結合抗ラットIgGヒツジ抗体(Dynal, Oslo, Norway)を添加し、30分4℃において再インキュベーションした後、細胞をPBSで洗浄し、ネガティブセレクションにてT細胞画分を取得した。CD4陽性T細胞あるいはCD8陽性T細胞は上述の方法と同様の方法でそれぞれCD8あるいはCD4に対するラット抗体(いずれもBD-Pharmingen, San Diego, CA)および磁気ビーズ結合抗ラットIgGヒツジ抗体を付加し、ネガティブセレクションにより、それぞれCD4陽性T細胞画分およびCD8陽性T細胞画分を取得した。なお、フローサイトメーターFACScan(Beckton Dickinson, Mountain View, CA)によって解析したところ、これらのT細胞画分の純度はいずれも97%以上であった。
致死量のX線照射、10Gy/マウスを施したレシピエントマウスに異系ドナーマウス由来骨髄細胞(1.5x107個/マウス)および同脾臓単核細胞(1.5x107個/マウス)(BMS)を静脈から投与し、移植した。なお、レシピエントマウス対ドナーマウスの組合せは、1)BALB/c(H-2d)対C57BL/6(H-2b)、2)C57BL/6(H-2b)対BALB/c(H-2d)、および3)DBA/1(H-2q)対BALB/c(H-2d)のそれぞれで実施した。移植後5日目に脾臓単核細胞を回収し、これより抗レシピエント型I-Kマウス抗体および抗マウスIgGマイクロビースを用いてレシピエント型I-K発現細胞をネガティブセレクションによって除去し、ドナー型I-K陽性脾臓単核細胞画分を調製した。なお、この画分の回収量は2x107個/マウス以下であり、そのドナー型I-K陽性細胞の含有量は95%以上であった。また、CD4陽性T細胞画分およびCD8陽性T細胞画分は、実施例6と同様の方法を用いて調製し、その回収量は4x106個/マウスであった。
同様に、マウス通常成熟DCあるいはマウス免疫制御性DCを処理した異系移植レシピエントマウス脾臓単核細胞画分からドナー由来CD4陽性T細胞およびCD8陽性T細胞を回収した。それぞれの回収量は、1x107個/マウスあるいは3x107個/マウス以下であった。回収した細胞は、組換えマウスIL-2(10ng/ml)存在下において3日間培養した後、試験に用いた。
実施例7:マウス免疫制御性DCはヒトT細胞の異種反応を抑制する
マウス成熟通常DCおよびマウス免疫制御性DCは実施例6と同様の方法で調製した。表現型についてフローサイトメーターを用いた解析を行った。染色する抗体として抗CD11c抗体、抗CD40抗体、抗CD80抗体、抗CD86抗体、抗I-Kd抗体、抗I-A/I-E抗体およびそれぞれのアイソタイプコントロール(すべてBD pharmingen由来)を用いた。図6Aの右上の数値はそれぞれの抗体で染色したときの平均蛍光強度(mean fluorescence intensity)を示す。その結果、マウス修飾DCではマウス通常成熟DCと比較して、I-A/I-K分子の発現に大きな差は見られないが、CD40, CD80, CD86(共刺激分子)の発現が低いことが示された。
ヒトT細胞に対する活性化能を検討したところ、マウス免疫制御性DCはマウス通常成熟DCに比べ低いヒトT細胞活性化能を有していることが明らかとなった(データ非表示)。また、マウス通常成熟DCによる活性化を受けたヒトT細胞はマウス通常成熟DCにより再活性化されるのに対し、マウス免疫制御性DCによる活性化を受けたヒトT細胞はマウス通常成熟DCによって再活性化されなかった(データ非表示)。
さらに異種GvHDにおけるマウス免疫制御性DCの機能について検討した。異種GvHDは以下の方法で誘導した。PBL(5x107)およびX線(15 Gy)照射したマウス通常成熟DC、あるいはマウス免疫制御性DC(H-2d)(5x106)をヒトIL-2(100 U/ml)存在あるいは非存在化にて3日間共培養した後、抗I-Kd抗体(BD PharMingen)および磁気ビーズ結合ヤギ抗マウスIgG抗体を用いてネガティブセレクションを行い、ヒトIL-2(10 U/ml)存在化にてさらに3日間培養し異種抗原で刺激されたヒトT細胞を得た。細胞移入の1日前にanti-asialo GM1 抗血清 10 mg/ml(和光純薬工業株式会社)をレシピエントのC.B.-17-scidマウス(H-2d)に20 μl投与し、細胞移入日に亜致死量のX線照射(5 Gy)を行った。続いて、異種抗原で刺激されたヒトT細胞あるいは無刺激のヒトT細胞(4x107)をマウス尾静脈より投与した。ヒトT細胞投与の2日後に、実施例6と同様の方法で得られたマウス通常成熟DC(4x106)あるいはマウス免疫制御性DC(4x106)の投与を行った。マウス免疫制御性DCと同時にヒトIL-2(104 U)をday 3、5および7に投与する群も設定した。その結果、ヒトT細胞を移入したマウス(対照群)では異種GvHD反応により細胞移入の24日以内に死亡した。マウス通常成熟DCで刺激されたヒトT細胞を移入すると、対照群に比べてその死亡が有意(P<0.01)に早まった。一方、マウス免疫制御性DCで刺激を受けたヒトT細胞を移入するとマウスの生存が延長された。しかし、IL-2(100 U/ML)の存在下にてマウス免疫制御性DCで刺激を受けたヒトT細胞を移入したマウスでは、その生存延長は短縮された(図6B)。移植10日後にレシピエントマウスの脾臓細胞からヒトT細胞を回収し、マウス通常成熟DCに対する反応性について検討した。方法は以下の通りである。脾臓細胞よりHISTOPAQUE-1080(SIGMA)を用いて単核細胞を回収し、抗I-K<SUP>b抗体および磁気ビーズ結合ヤギ抗マウスIgG抗体を用いてネガティブセレクションにてヒトT細胞を調製し、ヒトIL-2(10 U/ml)存在下にて3日間培養した。このヒトT細胞(105)をマウス通常成熟DC(103〜5x104)と5日間共培養し、細胞増殖試験を行った。その結果、マウス通常成熟DCによって刺激を受けたヒトT細胞の移植を行ったマウス由来のヒトT細胞は、ヒトT細胞のみの移植を行った対照群に比べてマウス通常成熟DCに対する反応性が上昇していた(図6C)。一方、マウス免疫制御性DCによって刺激を受けたヒトT細胞の移植を行ったマウス由来のヒトT細胞はマウス通常成熟DCに対して低い反応性を示した(図6C)。また、この異種GvHDのモデルにおいてヒトT細胞移入後にマウス免疫制御性DCを投与すると生存延長がみられ、その生存延長はIL-2の投与によって解除された(図6D)。
SCID マウスを用いた異系骨髄移植における急性GvHDに対するマウス 免疫制御性 DCの治療的効果を解析するために、異系骨髄細胞および脾臓単核球(H-2b)の移植を受けたレシピエントマウス(H-2d)に発症する致死的GvHDに対するマウス 免疫制御性 DC (H-2 d)一回投与の影響を調べた。SCID マウス (H-2 d)は致死量の全身放射線照射(10G/マウス)を行い、前述の通りに調製したC57BL/6マウス由来骨髄細胞 (H-2 b, 2x107/マウス)とC57BL/6マウス由来脾臓単核細胞(H-2 b, 2x107/マウス)を投与した。2日後、前述の通りに調製したマウス通常成熟DC(4x106/マウス)またはマウス免疫制御性 DC (4x106/マウス)を投与する群あるいはDC 非投与群を作成し、その後の生存率(%)を観察した。その結果、DC 非投与群においては18日までに、マウス通常成熟DC投与群においてはさらに早期(12日まで)に全例が死亡に至ったのに対し、マウス 免疫制御性 DC投与群では、移植120日後においても全例の生存維持が観察され、マウス 免疫制御性 DCがSCID マウスを用いた異系骨髄移植時に発症する急性移植片対宿主病に対する治療的効果を示すことが明らかとなった(図6E)。
実施例8:マウス免疫制御性DCおよびマウス通常成熟DCの細胞表面分子発現の比較およびマウス免疫制御性DCの機能
実施例6の方法に従って調製したマウス通常成熟DCあるいはマウス免疫制御性DCをPBSで洗浄した後、各種蛍光色素が標識されたDCマーカー(CD11c)、共刺激分子(CD40、CD80、CD86)あるいはMHC分子(I-KdおよびI-A/I-E)に対する特異抗体を添加し、氷冷下において30分間インキュベーションした。PBSで洗浄した後、フローサイトメーター(Beckton Dickinson)において各分子の発現を調べた。マウス通常成熟DC(H-2d)はCD11c、CD40、CD80、CD86、I-KdおよびI-A/I-Eを高強度かつ高率に発現し、その一方で、マウス免疫制御性DCはCD11cおよびMHC分子を高発現するが、CD40、CD80およびCD86の発現は著しく低いレベルにあった(表1および図7A)。なお、検討した全てのマウス系統(H-2d、H-2bおよびH-2q)由来のマウス免疫制御性DCの細胞表面分子発現パターンはいずれも同じ傾向を示した(表1)。
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組織適合抗原の異なるリンパ球(抗原提示細胞とT細胞)を混合培養することで異系抗原に対するT細胞の活性化・増殖をin vitroにおいて調べることができる。そこで、マウス免疫制御性DCおよびマウス通常成熟DCの異系T細胞活性化能を以下の方法で調べた。即ち、未刺激あるいは刺激済みCD4陽性T細胞(2x105)と15GyのX線照射を施した異系のマウス通常成熟DC、マウス免疫制御性DCあるいはジヒドロキシビタミンD3誘導DC103〜2x105個を組換えマウスIL-2存在下あるいは非存在下において37℃、5%CO2存在下、96ウェル培養プレート中で3日間培養した。その後、3Hチミジン(Amarsham Life Science, Buchinghamshire, UK) 1μCi/ウェルを添加し、さらに37℃、5%CO2存在下、96ウェル培養プレート中で16時間培養した。本培養プレートからセルハーベスターを用いて細胞に取り込まれた3Hチミジンをグラスフィルターに回収し、乾燥させた後アクアゾルをよく浸透させ、専用フィルムにパッケージング、β線量をβカウンターで測定する事によって、DCによるT細胞増殖活性化を調べた。その結果、マウス通常成熟DC(H-2d)は、異系CD4陽性T細胞(H-2bあるいはH-2k)を強く活性化した。一方、マウス免疫制御性DCの異系CD4陽性T細胞活性化能は、マウス通常成熟DCあるいは免疫寛容誘導性DCとして知られるジヒドロキシビタミンD3誘導DCのそれと比較して低レベルであった(表1および図7B)。なお、検討した全てのマウス系統(H-2d、H-2bおよびH-2q)由来のマウス免疫制御性DCの異系T細胞活性化能はいずれも同じ傾向を示した(表1)。
マウス免疫制御性DCが生体内で異系刺激されたCD4陽性T細胞に与える影響を調べた。即ち、実施例6の方法に従って異系骨髄移植を受けたレシピエントマウスからCD4陽性T細胞(I-Kb陽性CD4陽性)とその異系統マウス由来通常成熟DCあるいはマウス免疫制御性DC(H-2d)を培養用プラスティックプレート内で共培養し、CD4陽性T細胞の活性化を調べた。マウス通常成熟DC(H-2d)をI-Kb陽性CD4陽性T細胞とマウス通常成熟DC(H-2d)との共培養にさらに添加した場合、I-Kb陽性CD4陽性T細胞の活性化はわずかに増強されるのに対して、マウス免疫制御性DC(H-2d)を同様の共培養に添加した場合は、マウス通常成熟DC(H-2d)によって誘導されるそれはむしろマウス免疫制御性DCの添加細胞数に依存して抑制された。一方、I-Kb陽性CD4陽性T細胞と第三者系統(H-2q)のマウスから調製したマウス通常成熟DCを添加した場合、I-Kb陽性CD4陽性T細胞は強力に活性化されるのに対して、第三者系統(H-2q)由来マウス免疫制御性DCを添加した場合には、I-Kb陽性CD4陽性T細胞のマウス通常成熟DC(H-2d)による活性化は殆どあるいは全く影響を受けなかった(図7C)。以上の結果から、マウス免疫制御性DCによって誘導されるCD4陽性T細胞における活性化抑制は、抗原特異的な反応である事が示唆された。なお、上記と異なる系統のDCおよびT細胞の組合せにおいても、同様の実験結果が取得された(図7D)。
マウス免疫制御性DCが生体内で異系刺激されたCD8陽性T細胞の活性に与える影響を調べた。即ち、実施例6の方法に従って異系骨髄移植を受けたレシピエントマウスからCD8陽性T細胞(I-Kb陽性CD8陽性)とその異系統マウス由来通常成熟DCあるいはマウス免疫制御性DC(H-2d)を培養用プラスティックプレート内で共培養、CD8陽性T細胞の活性化を調べた。なお、生体内刺激CD8陽性T細胞の細胞障害活性は以下の方法で実施した。即ち、生体内及び生体外で刺激したCD8陽性T細胞とNa51CrO4で放射線ラベルされたP815細胞、EL4細胞、Con A-blast細胞(各104個)とを種々の比率で混和、4時間共培養した後、その培養上清を回収し、そこに含まれる放射性物質の活性を測定した。生体内で異系刺激を受けたI-Kb陽性CD8陽性T細胞は、その刺激と同系の細胞株P815(H-2d)に対して強力な細胞障害活性を示したが、それとは異なる系統の細胞株EL4(H-2b)およびCon A-blast(H-2q)に対しては全くその活性を示さなかった(図7E)。このことから生体内でH-2d刺激を受けたCD8陽性T細胞において誘導される細胞障害活性はH-2dに特異的であることが示唆された。さらに、生体内刺激を受けたI-Kb陽性CD8陽性T細胞をマウス免疫制御性DC(H-2d)と共培養した場合において、そのP815に対する細胞障害活性は、顕著に抑制されるが、同系マウス免疫制御性DC(H-2b)あるいは第三者マウス免疫制御性DC(H-2q)と共培養した場合においては、その活性は殆ど影響を受けなかった(図7E)。これらの結果から、マウス免疫制御性DCによるCTL活性の制御は、抗原特異的であることが示唆された。なお、他の系統マウスの組合せにおいても同様の結果が取得された(図7F)。
マウス免疫制御性DCの異系CD4陽性T細胞に対する免疫寛容の誘導能を調べた。
1次培養においてマウス通常成熟DC(H-2d)の刺激を受けた異系CD4陽性T細胞(H-2b)は、マウス通常成熟DC(H-2d)による再刺激に対して強く反応した。しかし、マウス免疫制御性DC(H-2d)からの1次刺激を受けた異系CD4陽性T細胞(H-2b)はマウス通常成熟DC(H-2d)による再刺激に対して低反応性を示したが、2次刺激時にIL-2を添加する事でCD4陽性T細胞の増殖が回復した。一方、マウス通常成熟DC(H-2d)の1次刺激を受けたCD4陽性T細胞(H-2b)は、第三者マウス由来の通常成熟DC(H-2qあるいはH-2k)の再刺激に対して、1次刺激を受けないCD4陽性T細胞(H-2b)の反応と同等の反応性を示したが、マウス免疫制御性DC(H-2d)の1次刺激を受けたCD4陽性T細胞は第三者マウス通常成熟DC(H-2qあるいはH-2k)に対してわずかに弱い反応性を示した(図7G)。また、他の系統マウスの組合せにおいても同様の結果が取得された(図7H)。
実施例9:異系急性GvHDに対するマウス免疫制御性DCの治療的効果
異系骨髄移植において発症する急性GvHDに対するマウス免疫制御性DCの治療的効果を解明するために、異系骨髄細胞および脾臓単核細胞の移植を受けたレシピエントマウスに発症する致死的急性GvHDに対するマウス免疫制御性DCの影響を調べた。その方法は、以下の通りである。致死量のX線照射、10Gy/マウスを施したレシピエントマウス(H-2dあるいはH-2b、各群5匹)に異系ドナーマウス由来骨髄細胞(1.5x107個/マウス)のみを含むPBS(0.2ml)、あるいはそれおよび同脾臓単核細胞(1.5x107個/マウス)を含むPBS(0.4ml)を尾静脈から移植した。さらに、そのレシピエントマウスに対して移植後2日目あるいは5日目にそれと同系統あるいは異系統のマウス通常成熟DC、マウス免疫制御性DCあるいはジヒドロキシビタミンD3誘導DCをそれぞれ1.5x104個〜5.0x106個/0.2ml/マウス、1回あるいは2回の投与を行った。なお、上述の移植を受けたレシピエントマウスについては、GvHDの発症によって死亡するまであるいは移植後60日目まで毎日1回の観察を行い、その生存期間および体重変動を調べた。異系骨髄細胞および脾臓単核細胞移植(H-2b)を受けたレシピエントマウス(H-2d)は移植後6日目までに顕著な立毛、運動性低下および体重減少といった急性GvHD症状を認め、全ての個体が移植後8日目までに死亡した。一方、骨髄移植後2日目にマウス通常成熟DC(H-2d)の1.5x106個/マウスを一回投与を受けた群においては急性GvHDに起因するより早期の死亡が観察された。しかしながら、骨髄移植後2日目にレシピエントマウス同系マウス免疫制御性DC(H-2d)の1.5x106個/マウスを一回投与を受けた群においてはレシピエントマウスの死亡は認められず、移植後60日まで生存した。この時、急性GvHD症状は殆どあるいは全く認められなかった(図8A)。また、マウス免疫制御性DCは、ジヒドロキシビタミンD3誘導DCと比較してより強力な急性GvHDに対する治療的効果を示した(図8B)。なお、他の系統マウスの組合せにおいても同様の結果が取得された(図8C)。
骨髄移植後2日目に1.5x104個/マウス、1.5x105個/マウスあるいは1.5x106個/マウスの異なる細胞数のマウス免疫制御性DCをそれぞれ1回投与したところ、その投与量依存的に急性GvHDの治療効果が認められた(図8D)。また、移植後2日目あるいは移植後2日目と5日目にマウス免疫制御性DC(1.5×104個/マウスあるいは1.5x105個/マウス)を投与した場合及び移植後5日目にマウス免疫制御性DC(1.5x106個/マウス)を投与した場合においてもレシピエントマウスの生存率が向上した(図8D)。一方、骨髄移植後5日目におけるマウス免疫制御性DC(1.5x106個/マウス)1回投与によってその治療効果の顕著な低下が認められたが、マウス免疫制御性DC(5.0x106個/マウス)1回投与ではレシピエントを全て生存させる結果を得た(図8D)。
実施例10:異系骨髄移植レシピエントの免疫応答に対する投与されたマウス免疫制御性DCの影響および半減期
骨髄移植後5日目のレシピエントマウス脾臓単核細胞中におけるドナー由来I-Kb陽性T細胞の解析を行った。骨髄移植後マウス通常成熟DCの投与を受けたレシピエントマウス脾臓単核細胞におけるI-Kb陽性CD3陽性T細胞、I-Kb陽性CD4陽性T細胞およびI-Kb陽性CD8陽性T細胞の割合はDC非投与レシピエントマウスのそれらと比較していずれも有意な増加を示した一方で、マウス免疫制御性DCの投与を受けたレシピエントマウスにおいては、DC非投与レシピエントマウスと比較してI-Kb陽性CD3陽性T細胞およびI-Kb陽性CD8陽性T細胞は有意に、またI-Kb陽性CD4陽性T細胞においては有意な差はないものの顕著な減少を示した(図9A)。
骨髄移植を受けたレシピエントマウスにおけるI-Kb陽性CD4陽性T細胞のマウス通常成熟DCに対する異系反応性を調べた。DC非投与あるいはマウス通常成熟DC投与の各レシピエントマウスから調製したI-Kb陽性CD4陽性T細胞はマウス通常成熟DC(H-2d)に対して強力に反応した。それに対して、マウス免疫制御性DCを投与されたレシピエントマウスから調製したそれはマウス通常成熟DC(H-2d)に対して低反応性を示し、組換えマウスIL-2の添加によってその反応性は回復した。第三者マウス通常成熟DC(H-2q)に対するそのI-Kb陽性CD4陽性T細胞の反応性は、他のレシピエントのそれと比較して低い傾向が認められた(図9B)。
骨髄移植レシピエントにおけるドナー由来I-Kb陽性CD8陽性T細胞のレシピエント組織(H-2d)に対する細胞障害活性を調べる目的で、レシピエントから調製したI-Kb陽性CD8陽性T細胞のP815およびEL4に対する障害活性を調べた。マウス通常成熟DC投与レシピエント由来I-Kb陽性CD8陽性T細胞はDC非投与レシピエント由来のそれと比較して、P815に対してより高い細胞障害活性を示したが、マウス免疫制御性DC投与レシピエント由来I-Kb陽性CD8陽性T細胞のP815に対して細胞障害活性は顕著に弱いことが示された。一方、これらのI-Kb陽性CD8陽性T細胞のEL4に対する細胞障害活性は殆どあるいは全く認められず、I-Kb陽性CD8陽性T細胞の細胞障害活性はH-2dに特異的であることが示唆された(図9C)。
骨髄移植後5日目のレシピエント血清中炎症性サイトカイン量を調べた。マウス通常成熟DC投与レシピエントおけるIFN-γ、TNF-αおよびIL-12 p40の血清中濃度は、DC非投与レシピエントにおけるそれらと比較していずれも有意に高い一方で、マウス免疫制御性DC投与レシピエントにおけるIFN-γ、TNF-αおよびIL-12 p40の血清中濃度は、DC非投与レシピエントにおけるそれらと比較して有意に低い事が示された(図9D)。
レシピエントマウスに投与したマウス免疫制御性DCの半減期を調べることを目的として、carboxyfluorescein diacetate-succinimidyl estate (CFSE)を付加したマウス免疫制御性DC(H-2d)を骨髄移植レシピエントに投与し、その脾臓への移行をフローサイトメーターを用いて調べた。その結果、DC投与後1日目の脾臓単核細胞において、その約4%のCFSE陽性マウス免疫制御性DCが検出され、投与したマウス免疫制御性DCの半減期は、投与後約18日程度であった(図9E)。生体内移入後の炎症誘起条件下におけるマウス免疫制御性DCの安定性を調べる事を目的として、骨髄(H-2q)移植およびマウス免疫制御性DC(H-2d)投与を受けたレシピエントマウス(H-2b)から移植後5日目に調製したマウス免疫制御性DCの細胞表面分子の発現および異系T細胞活性化能を調べた(表1)。これらの事から、マウス免疫制御性DCの性状は、生体内移入によっては殆どあるいは全く変化せず、生体内における炎症誘起条件下においてもマウス免疫制御性DCの性状が維持されていることが示唆された。
実施例11:異系GvHDにおける投与されたマウス免疫制御性DCの治療効果における免疫制御性T細胞誘導関与に関する検証
異系骨髄細胞および脾臓単核細胞(H-2b)移植後、あるいはそれに引き続いて各種DC(H-2d)移入を行ったマウス(H-2d)の脾臓から移植後5日目にドナー由来CD4陽性T細胞(H-2b)を調製し、CD25, CD152, CD154発現の陽性率をFACSにて解析し、移植を行っていない正常マウス(H-2b, Normal mice(H-2b))の陽性率と比較した(図10A)。移植、DCの移入およびドナー由来CD4陽性T細胞の調製は実施例6の方法で行った。異系骨髄細胞および脾臓単核細胞移植のみ行った群(Recipients(H-2d) of BMS(H-2b))、並びにそれに引き続いてマウス通常成熟DCの移入を行った群(mDC(H-2d)-treated recipients(H-2d) of BMS(H-2b))においては正常マウスと較べ、CD25陽性率およびCD154陽性率が上昇していた。これに対し、異系骨髄細胞および脾臓単核細胞移植に引き続いてマウス免疫制御性DC移入を行った群(rDC(H-2d)-treated recipients(H-2d) of BMS(H-2b))ではCD25陽性率およびCD152陽性率が上昇していた。
前述の方法で異系骨髄細胞および脾臓単核細胞(H-2b)移植、あるいはそれに引き続いて各種DC(H-2d)移入を行ったマウス(H-2d)脾臓から移植後5日目にドナー由来CD4陽性T細胞(H-2b)を調製し、前述の方法で再刺激後の細胞内サイトカインをFACS解析した(図10B)。移植、DCの移入、ドナー由来CD4陽性T細胞の調製、および細胞内サイトカインの解析は前述の方法で行った。異系骨髄細胞および脾臓単核細胞移植のみ行った群(Recipients(H-2d) of BMS(H-2b))、並びにその後にマウス通常成熟DCの移入を行った群(mDC(H-2d)-treated recipients(H-2d) of BMS(H-2b))においては正常マウス(Normal mice(H-2b))と較べ、IFN-γ産生細胞およびIL-2産生細胞の割合が上昇していた。これに対して、異系骨髄細胞および脾臓単核細胞移植の後にマウス免疫制御性DC移入をおこなった群(rDC(H-2d)-treated recipients(H-2d) of BMS(H-2b))ではIL-10産生細胞の割合が上昇していた。
異系骨髄細胞および脾臓単核細胞(H-2b)移植とその後に各種DC(H-2d)を移入したマウス(H-2d)の脾臓単核細胞中のドナー由来CD4陽性CD25陽性T細胞(H-2b)を取得し、CD152とCD154の発現について正常マウスのCD4陽性CD25陽性T細胞と比較した(図10C)。移植、DCの移入は前述の方法で行った。正常マウスのCD4陽性CD25陽性T細胞は、前述の方法で得た脾臓細胞のCD4陽性T細胞から抗CD25抗体(clonePC61, BD PharMingen)と抗ラットIgGヒツジ抗体結合磁気ビーズ(Dynal)を用いて調製した。移植および各種DC移入を行ったマウスのドナー由来CD4陽性CD25陽性T細胞は、前述の方法で得たドナー由来CD4陽性T細胞から抗CD25抗体と抗ラットIgGヒツジ抗体結合磁気ビーズを用いて同様にして調製した。調製後のCD4陽性CD25陽性細胞の純度はFACS解析により90%以上であった。こうして得られた細胞のCD154とCD152の発現をFACSを用いて解析した。正常マウス(H-2b, Normal mice(H-2b))から得られた未刺激CD4陽性CD25陽性T細胞では、既に報告されているように(Takahashi et al., 2000. J. Exp. Med. 192:303-309)一部の細胞でCD152を構成的に発現していたがCD154の発現は見られなかった。これに対し、異系骨髄細胞および脾臓単核細胞移植の後にマウス通常成熟DCを移入したマウス(mDC(H-2d)-treated recipients(H-2d) of BMS(H-2b))のドナー由来CD4陽性CD25陽性T細胞では大部分がCD154陽性であった。一方、異系骨髄細胞および脾臓単核細胞移植の後にマウス免疫制御性DCを移入したマウス(rDC(H-2d)-treated recipients(H-2d) of BMS(H-2b))のドナー由来CD4陽性CD25陽性T細胞では大部分がCD152陽性であった。
異系骨髄細胞および脾臓単核細胞(H-2b)移植後にマウス免疫制御性DC(H-2d)を移入した(移植後2日目)マウス(H-2d)から移植後1, 3, 5,10, 30, 60日目に脾臓中のドナー由来CD4陽性CD25陽性T細胞(H-2b)を調製し、CD152陽性率の経時変化をFACSを用いて解析した(図10D)。移植、DC移入、およびドナー由来CD4陽性CD25陽性T細胞の調製は前述の方法で行った。正常マウスの未刺激CD4陽性CD25陽性T細胞(H-2b, Unprimed CD4+CD25+ T cells)に較べ、異系骨髄細胞および脾臓単核細胞移植の後にマウス免疫制御性DCを移入したマウス由来のCD4陽性CD25陽性T細胞(rDC(H-2d)-treated recipients(H-2d) of BMS(H-2b))ではマウス免疫制御性DC移入後にCD152陽性率は上昇し、移植後60日目まで高い陽性率が維持された。
マウス異系成熟DC(H-2d, mDCs(H-2d))で刺激した時のCD4陽性T細胞(H-2b, CD4+ T cells)、未刺激CD4陽性CD25陽性T細胞(H-2b, Unprimed CD4+CD25+ T cells)および異系骨髄細胞および脾臓単核細胞(H-2b)移植後にマウス免疫制御性DC(H-2d)を移入したマウス(H-2d)のドナー由来CD4陽性CD25陽性T細胞(H-2b, CD4+CD25+CD152+ T cells)の反応性を比較した(図10E)。実施例8と同様の方法で行った。T細胞とマウス異系成熟DCの細胞数比は10:1とした。異系骨髄細胞および脾臓単核細胞移植後に免疫制御性DCを移入したマウスのドナー由来CD4陽性CD25陽性T細胞はマウス異系成熟DC刺激に対して未刺激CD4陽性CD25陽性T細胞と同様に低反応性を示した。また、マウス異系免疫制御性DC(H-2d, rDCs(H-2d))の刺激に対してはいずれの細胞も反応しなかった。更に、CD4陽性CD25陽性T細胞の抑制活性を検討するために、前述のマウス異系成熟DC刺激(H-2d)に対するCD4陽性T細胞(H-2b)の混合培養系に各種CD4陽性CD25陽性T細胞(H-2b)をCD4陽性T細胞と同じ細胞数で添加して培養3日目の3Hチミジンの取り込みで評価した。異系骨髄細胞および脾臓単核細胞移植後に免疫制御性DCを移入したマウスのドナー由来CD4陽性CD25陽性T細胞は、未刺激CD4陽性CD25陽性T細胞同様にCD4陽性T細胞の増殖に対して抑制活性を示し、その抑制活性は未刺激CD4陽性CD25陽性T細胞よりも強力であった。また、刺激に用いるマウス異系成熟DCが移入したマウス免疫制御性DC(H-2d, rDCs(H-2d))と異なるハプロタイプ(H-2q, mDCs(H-2q))であるときにも同様に抑制活性を示したことから、異系骨髄細胞および脾臓単核細胞移植後にマウス免疫制御性DC移入を行ったマウス由来のCD4陽性CD25陽性T細胞の抑制活性は未刺激CD4陽性CD25陽性T細胞同様に抗原非特異的であることが判った。
図10Eで示したCD4陽性CD25陽性T細胞の抑制活性強度を更に詳細に検討するために、マウス異系成熟DC(H-2d)とCD4陽性T細胞(H-2b)の混合培養に添加するCD4陽性CD25陽性T細胞(H-2b)の細胞数を変化させ、活性を見た(図10F)。移植、DCの移入は前述の方法で行った。異系骨髄細胞および脾臓単核細胞(H-2b)移植後にマウス免疫制御性DC(H-2d)を移入したマウス(H-2d)からのドナー由来CD4陽性CD25陽性T細胞(H-2b)の調製は前述の方法で移植後5日目に行った。未刺激CD4陽性CD25陽性T細胞(unprimed CD4+CD25+ T cells)に較べ、異系骨髄細胞および脾臓単核細胞移植後に免疫制御性DCを移入したマウスのドナー由来CD4陽性CD25陽性T細胞(CD4+CD25+CD152+ T cells)はより少ない細胞数で強い抑制活性を示し、マウス免疫制御性DC移入処置による免疫制御性T細胞活性の向上が確認された。
異系骨髄細胞および脾臓単核細胞(H-2b)移植後の免疫制御性DC(H-2d)移入によってみられるドナー由来CD4陽性CD25陽性T細胞の抑制活性の向上がどのような経時変化を伴って起こっているかを検討した(図10G)。移植、DCの移入は前述の方法で行った。異系骨髄細胞および脾臓単核細胞(H-2b)移植後2日目にマウス免疫制御性DC(H-2d)を移入したマウス(H-2d)から移植後1, 3, 5, 10, 30, 60日目にドナー由来CD4陽性CD25陽性T細胞(H-2b, CD4+CD25+ T cells from rDC(H-2d)-treated recipients(H-2d) of BMS(H-2b))を前述の方法で調製し、図10Eと同様の方法で抑制活性を検討した。Day 1では未処置CD4陽性CD25陽性T細胞(Unprimed CD4+CD25+ T cells)と同等の抑制活性であったが、免疫制御性DC移入後抑制活性が向上し、移植後60日目まで高い抑制活性を維持した。
異系骨髄細胞および脾臓単核細胞(H-2b)移植後にマウス通常成熟DC(H-2d)を移入したマウス(H-2d)のドナー由来のCD4陽性CD25陽性T細胞(H-2b)の反応性および抑制活性を図10Eと同様の方法で検討した(図10H)。マウス免疫制御性DCを移入したマウスのドナー由来CD4陽性CD25陽性T細胞(H-2b, CD4+CD25+CD152+ T cells)と異なり、マウス通常成熟DCを移入したマウスのドナー由来CD4陽性CD25陽性T細胞(H-2b, CD4+CD25+CD154+ T cells)はマウス異系成熟DC(H-2d, mDCs)刺激に対してCD4陽性T細胞(H-2b, CD4+ T cells)よりも強い増殖反応を示した。また、マウス異系成熟DCとCD4陽性T細胞の混合培養系に添加したときのCD4陽性T細胞の増殖に対する抑制活性もみられなかった。次に、異系骨髄細胞および脾臓単核細胞(H-2b)移植後に免疫制御性DC(H-2d)を移入したマウス(H-2d)のドナー由来CD4陽性CD25陽性T細胞(H-2b)にみられる抑制活性の性質を検討するために以下の実験を行った。まず100U/mlのIL-2存在下で図10Eと同様の抑制アッセイを行い、IL-2が抑制活性に与える影響を検討した。IL-2存在下では異系骨髄細胞および脾臓単核細胞移植後にマウス免疫制御性DCを移入したマウスのドナー由来CD4陽性CD25陽性T細胞の抑制活性は部分的に減弱した。更に抑制活性の細胞接触依存性を検討するためにトランスウェルを用いた実験を行った。実験は以下のようにして行った。24穴プレートでマウス異系成熟DC(H-2d,105cells/well)、CD4陽性T細胞(H-2b, 106 cells/well)、異系骨髄細胞および脾臓単核細胞移植後にマウス免疫制御性DCを移入したマウスのドナー由来CD4陽性CD25陽性T細胞(H-2b, 106 cells/well)を混合して(coculture)、あるいはトランスウェルを用いてCD4陽性T細胞+マウス異系成熟DCとCD4陽性CD25陽性T細胞+マウス異系成熟DCを隔離した状態で(separated culture)4日間培養し、その後マウス通常成熟DCを除去して残ったT細胞を105cells/wellで96穴プレートに移し、培養開始から5日目の3Hチミジンの取り込みを評価した。トランスウェルを用いてCD4陽性T細胞とCD4陽性CD25陽性T細胞の細胞接触を阻害すると抑制活性は消失した。このことから抑制活性は細胞接触依存的であることが判った。
異系骨髄移植において発症する急性GvHDに対するマウス免疫制御性DCの治療、改善効果におけるIL-10産生CD4陽性T細胞およびCD4陽性CD25陽性T細胞の役割を調べた(図10I)。その方法は以下の通りである。実施例9に従ってレシピエントマウス(H-2d)に異系骨髄細胞および脾臓単核細胞(H-2b)を移植した後、2日目にマウス免疫制御性DC(1.5x106個/マウス)を投与した。その後、抗CD25抗体(clonePC61, BD-PharMigen)、抗IL-10中和ポリクローナル抗体(model AB-417-NA, R&D Systems, Minneapolis, MN)、抗TGF-β中和抗体(clone1D11, R&D Systems, Minneapolis, MN)あるいはコントロールラットIgGをそれぞれ500μg/マウス、移植後3日目、5日目、7日目、9日目、10日目、13日目および15日目に静脈から投与した。なお、上述抗CD25抗体投与によって、移植後16日目においてマウス免疫制御性DC投与レシピエントマウス脾臓CD4陽性CD25陽性T細胞の98%以上が消失した。その結果、抗CD25抗体投与あるいは抗IL-10抗体投与によってマウス免疫制御性DCの急性GvHD改善効果は有意に阻害されるが、抗TGF-β抗体投与あるいはコントロールラットIgG投与によってその効果は全く影響を受けなかった。また、抗CD25抗体および抗IL-10抗体の同時投与によってより強力なマウス免疫制御性DCの急性GvHD改善効果に対する抑制が認められた(図10I)。異系骨髄移植を受けたレシピエントマウスへのCD4陽性CD25陽性免疫制御性T細胞、CD4陽性CD25陽性CD154陽性T細胞およびCD4陽性CD25陽性CD152陽性T細胞1回投与の効果を調べた。実施例9に従ってレシピエントマウス(H-2d)に異系骨髄細胞および脾臓単核細胞(H-2b)を移植した後、2日目に調製した未刺激CD4陽性CD25陽性免疫制御性T細胞、CD4陽性CD25陽性CD154陽性T細胞およびCD4陽性CD25陽性CD152陽性T細胞(いずれもH-2b)を一回、静脈から投与した。その結果、CD4陽性CD25陽性CD152陽性T細胞は未刺激CD4陽性CD25陽性免疫制御性T細胞と比較して急性GvHDに対してより強力な抑制効果を示した。一方、CD4陽性CD25陽性CD154陽性T細胞はむしろそれを有意に増悪する傾向を示した(図10J)。
実施例12:インビトロでマウス免疫制御性DCを用いて異系CD4陽性CD25陰性 T細胞から誘導される細胞表現系の解析
C57BL/6マウス (H-2 b)の脾臓CD4陽性単核細胞を前述の方法で調製し、これにラット抗CD25抗体およびヤギ抗ラットIgG抗体結合磁気ビーズを用いてCD25陽性細胞を除去することにより95%以上の純度のCD4陽性CD25陰性T細胞を調製した。これをBALB/cマウス(H-2d)より前述の方法で調製したマウス通常成熟DCまたはマウス免疫制御性DCと混合比 (T細胞:DC)10:1で混合培養することにより刺激した。混合培養開始5日後、マウス抗I-Kd抗体とヤギ抗マウスIgG抗体結合磁気ビーズを用いてDC画分を除去することによってT細胞画分を調製し、これをフローサイトメトリーで解析した。図11に示すように、マウス通常成熟DCで刺激したT細胞ではCD154陽性細胞の割合が高く、CD152陽性細胞の割合が低いのに対し、マウス免疫制御性DCで刺激したT細胞ではマウス通常成熟DCで刺激したT細胞と比較してCD154陽性細胞の割合が有意に低く、CD152陽性細胞の割合が有意に高いことが示された。このことから、マウス免疫制御性DCはインビトロにおいてもCD152陽性細胞を誘導しうることが示された。
実施例13:担癌マウスへの骨髄細胞および脾臓単核球細胞移植時にみられる移植片対白血病効果に対するマウス免疫制御性DCの影響
BALB/cマウス (H-2 d,各群5匹)に肥満細胞腫P815 (2x105/0.2ml, H-2 d, RIKEN Cell Bank, Tsukuba, Japan)を静脈内投与した。その2日後に致死量の全身放射線照射 (10Gy/マウス, 線源:60Co, MBR-1505R2, Hitachi Medical, Tokyo, Japan)、および、前述の方法により調製した宿主不適合骨髄有核細胞(BM) (1.5x107 個を0.2ml リン酸緩衝生理食塩液に懸濁)の投与または宿主不適合骨髄有核細胞と脾臓単核細胞(BMS)(それぞれ1.5x107 個を混和したものを0.4mLリン酸緩衝生理食塩液に懸濁)の投与を尾静脈より行った群を作成した。マウス免疫制御性DC (rDC)の移植片対白血病効果に対する影響については宿主不適合骨髄有核細胞(BM)と脾臓単核細胞(BMS)(それぞれ1.5x107 個を混和したものを0.4mLリン酸緩衝生理食塩液に懸濁)を投与した群にマウス免疫制御性DC投与を2日目に行うことによって観察した。
図12にはマウスの生存率(図12A)および体重変化(図12B)について、さらに肝臓または脾臓の重量(図12C)について観察した結果を示した。全身放射線照射のみを行った群では12日目までに全例死亡し体重減少が見られ、肝脾腫が見られていた。一方、BMのみ投与群では30日目までの延命効果が見られたが、白血病によるものと思われる肝脾腫を伴う死亡が観察された。さらに、BMおよびBMS投与群で8日目まで全例死亡したのに対し、マウス免疫制御性DCをさらに投与した群においては60日以上の延命効果が見られ、肝脾重量の増加が認められたことから、マウス免疫制御性DC投与では抗移植片対宿主病効果がみられ、さらに移植片対白血病効果を保持しうることが示された。
実施例14:マウス免疫制御性DCは発症後II型コラーゲン誘発関節炎を抑制する
II型コラーゲン誘発関節炎におけるマウス免疫制御性DCの作用について検討した。DBA/1マウスに100μgのウシII型コラーゲン(CII)を皮下に投与する事で関節炎を惹起した。感作に用いたCIIはフロイント完全アジュバント(Difco, Detroit, MI)と共にエマルジョンとして投与した。関節炎を1日おきに観察し、スコア化した。基準は、スコア0=変化なし、1=微弱な紅斑および浮腫、2=進行した紅斑および浮腫、3=関節の屈曲を伴う変形とした。4肢の合計で最大スコア12となる。関節炎が発症した日をday 1とし、その日にマウス通常成熟DCあるいはマウス免疫制御性DCを尾静脈より投与した。対照としてDC非投与群を設けた。マウス通常成熟DCは実施例6のように調製し、CII(1μg/mL)存在下にて24時間培養し、投与に用いた。その結果、マウス免疫制御性DCは対照群、マウス通常成熟DC投与群と比べ、関節炎の発症を有意に抑制した(図13A)。関節炎発症10日後にマウス鼠経リンパ節および膝下リンパ節由来T細胞を単離し、CIIと共培養したマウス通常成熟DCに対する反応を検討した。方法は以下の通りである。マウス鼠経リンパ節および膝下リンパ節よりリンパ球をLympholyte-M(Cedarlane)を用いて単離し、単離したリンパ球を抗Ly76, B220, Ly-6G, I-A/I-Eおよび磁気ビーズ結合抗ラットIgG抗体を用いてT細胞をネガティブセレクションしてT細胞を調製した。CII pulsed DCは以下の方法により調製した。マウスiDCをCII(1μg/ml)存在下にて24時間培養し、さらに得られたDCをさらにLPS(1μg/ml)存在下にて3日間培養した。得られたT細胞(105)と15 GyのX線を照射したマウス通常成熟DC(103〜5x104)を96穴プレートにて5日間培養し、細胞増殖試験を行った。結果、対照群に比し、マウス通常成熟DCの投与を行ったマウス由来T細胞はその反応性が有意に上昇しており、マウス免疫制御性DCを投与したマウス由来T細胞はその反応性が低下していた(図13B)。
実施例15:実験的自己免疫性脳脊髄炎(EAE)に対する免疫制御性DCの抑制効果
C57BL/6マウス(8週齢)に、200μgのミエリンオリゴデンドロサイト糖タンパク質(Myelin Oligodendrocyte Glycoprotein)の部分ペプチド(MOG35-55:MEVGWYRSPFSRVVHLYRNGK:配列番号1)(Qiagen社)と600μgの結核菌(Mycobacterium tuberculosis H37Ra)加熱死菌(Difco社)を完全フロイントアジュバント(CFA)(Difco社)に加えて作製したエマルジョンを第0日目にマウスの背部皮内に免疫した後、第1日目に400ng/マウスの百日咳毒素(pertussis toxin)(生化学工業)をマウスの腹腔内に投与し、自己免疫性脳脊髄炎(EAE)を誘導した。EAEは多発性硬化症の実験動物モデルである。C57BL/6マウス由来の免疫制御性DC(2x105個)は第2日目に静脈内投与し、対照群にはリン酸緩衝生理食塩液(PBS)を投与した。実験には各群10匹のマウスを供した。免疫制御性DCはマウス骨髄細胞から実施例6に記載した方法で誘導した。なお、本実験では免疫制御性DC誘導を行う際にLPS刺激する最終の2日間の培養時に、培地中に26ng/mlのMOG35-55を添加した。EAEの症状の程度を、0(正常)、1(尾の麻痺)、2(正向反射不全)、3(部分的な後肢麻痺)、4(完全な後肢麻痺)、5(前後肢麻痺)および6(死亡)としスコア化した。EAEスコアについては、統計検定のため個体ごとの図の曲線下面積(AUC)を計算した。
図14に平均EAEスコアの推移を示す。対照群では、EAE誘導後、約1週間目からEAEの発症が認められ、その後約2週間目でピークに達し、その後4週間目までその状態が継続した。一方、免疫制御性DC投与群ではEAE誘導後1週間を過ぎた時点から少数例でEAEの発症がみられたが、その症状は対照群と比較すると軽微であった。表2に図14と同一の実験におけるEAE症状に関する各種パラメータの値を示す。免疫制御性DC投与群では、EAEスコア(AUC)、最高スコアおよび発症率において対照群と比較し有意な低下が認められた。以上のことから、免疫制御性DCの投与により多発性硬化症を抑制し得ることが示唆された。
Figure 2004298181
実施例16:遅延型過敏症(DTH)に対する免疫制御性DCの抑制効果
C57BL/6マウス(9週齢)に、100μgのニワトリ卵白アルブミン(OVA)を完全フロイントアジュバント(CFA)(Sigma社)に加えて作製したエマルジョンを第0日目にマウスの背部皮内に免疫して感作し、第10日目に耳介に20μLの10μgのOVA溶液(PBS中に溶解)を投与し遅延型過敏症(DTH)を惹起した。その翌日に、OVAを投与した部分を中心とした耳介の直径5mmを皮膚生検用パンチにて採取し、電子天秤にて重量測定を行い、DTHの程度を表す指標とした。C57BL/6マウス由来の免疫制御性DC(1.5x106個)は第1日目に静脈内投与し、対照群にはリン酸緩衝生理食塩液を投与した。本実験では、対照群の他、OVA非感作群を設けた。OVA非感作群には5匹、他の群には10匹のマウスを供した。免疫制御性DCはマウス骨髄細胞から実施例6に記載した方法でした方法で誘導した。なお、本実験では免疫制御性DC誘導を行う際にLPS刺激する最終の2日間の培養時に、培地中に2mg/mlのOVAを添加した。
図15にDTHの成績を示す。免疫制御性DCの投与により、対照群と比較して有意なDTHの抑制が認められた。DTHはTh1応答の代表的反応であることから、免疫制御性DCの投与によりTh1応答に基づく自己免疫疾患や過剰な炎症性反応を抑制し得ることが示唆された。
ヒト修飾DCの表現型を示す図である。 ヒト修飾DCの表現型を示す図である。 ヒト修飾DCの表現型を示す図である。 ヒト修飾DCの表現型を示す図である。 ヒト修飾DCのうちIL-10/TGF-β1誘導DCが免疫制御性DCとしてヒトT細胞に抗原不応答性を誘導すると共に活性化T細胞の再活性化を抑制することを示す図である。 ヒト修飾DCのうちIL-10/TGF-β1誘導DCが免疫制御性DCとしてヒトT細胞に抗原不応答性を誘導すると共に活性化T細胞の再活性化を抑制することを示す図である。 ヒト修飾DCのうちIL-10/TGF-β1誘導DCが免疫制御性DCとしてヒトT細胞に抗原不応答性を誘導すると共に活性化T細胞の再活性化を抑制することを示す図である。 ヒト修飾DCのうちIL-10/TGF-β1誘導DCが免疫制御性DCとしてヒトT細胞に抗原不応答性を誘導すると共に活性化T細胞の再活性化を抑制することを示す図である。 ヒト修飾DCのうちIL-10/TGF-β1誘導DCが免疫制御性DCとしてヒトT細胞に抗原不応答性を誘導すると共に活性化T細胞の再活性化を抑制することを示す図である。 ヒト修飾DCのうちIL-10/TGF-β1誘導DCが免疫制御性DCとしてヒトT細胞に抗原不応答性を誘導すると共に活性化T細胞の再活性化を抑制することを示す図である。 ヒト修飾DCのうちIL-10/TGF-β1誘導DCが免疫制御性DCとしてヒトT細胞に抗原不応答性を誘導すると共に活性化T細胞の再活性化を抑制することを示す図である。 ヒト免疫制御性DCが、CD4陽性CD25陽性のヒト免疫制御性T細胞を誘導することを示す図である。 ヒト免疫制御性DCが、CD4陽性CD25陽性のヒト免疫制御性T細胞を誘導することを示す図である。 ヒト免疫制御性DCが、CD4陽性CD25陽性のヒト免疫制御性T細胞を誘導することを示す図である。 ヒト免疫制御性DCが、CD8陽性CD28陰性のヒト免疫制御性T細胞を誘導することを示す図である。 ヒト免疫制御性DCが、CD8陽性CD28陰性のヒト免疫制御性T細胞を誘導することを示す図である。 ヒト免疫制御性DCが、ヒトT細胞による異種移植片対宿主病を抑制することを示す図である。 ヒト免疫制御性DCが、ヒトT細胞による異種移植片対宿主病を抑制することを示す図である。 マウス免疫制御性DCが、ヒトT細胞の異種反応を抑制することを示す図である。 マウス免疫制御性DCが、ヒトT細胞の異種反応を抑制することを示す図である。 マウス免疫制御性DCが、ヒトT細胞の異種反応を抑制することを示す図である。 マウス免疫制御性DCが、ヒトT細胞の異種反応を抑制することを示す図である。 マウス免疫制御性DCが、ヒトT細胞の異種反応を抑制することを示す図である。 マウス免疫制御性DCの表現型およびマウス免疫制御性DCがマウスT細胞に抗原不応答性を誘導すると共に活性化T細胞の再活性化を抑制することを示す図である。 マウス免疫制御性DCの表現型およびマウス免疫制御性DCがマウスT細胞に抗原不応答性を誘導すると共に活性化T細胞の再活性化を抑制することを示す図である。 マウス免疫制御性DCの表現型およびマウス免疫制御性DCがマウスT細胞に抗原不応答性を誘導すると共に活性化T細胞の再活性化を抑制することを示す図である。 マウス免疫制御性DCの表現型およびマウス免疫制御性DCがマウスT細胞に抗原不応答性を誘導すると共に活性化T細胞の再活性化を抑制することを示す図である。 マウス免疫制御性DCの表現型およびマウス免疫制御性DCがマウスT細胞に抗原不応答性を誘導すると共に活性化T細胞の再活性化を抑制することを示す図である。 マウス免疫制御性DCの表現型およびマウス免疫制御性DCがマウスT細胞に抗原不応答性を誘導すると共に活性化T細胞の再活性化を抑制することを示す図である。 マウス免疫制御性DCの表現型およびマウス免疫制御性DCがマウスT細胞に抗原不応答性を誘導すると共に活性化T細胞の再活性化を抑制することを示す図である。 マウス免疫制御性DCの表現型およびマウス免疫制御性DCがマウスT細胞に抗原不応答性を誘導すると共に活性化T細胞の再活性化を抑制することを示す図である。 マウス異系急性移植片対宿主病に対するマウス免疫制御性DCの治療効果を示す図である。 マウス異系急性移植片対宿主病に対するマウス免疫制御性DCの治療効果を示す図である。 マウス異系急性移植片対宿主病に対するマウス免疫制御性DCの治療効果を示す図である。 マウス異系急性移植片対宿主病に対するマウス免疫制御性DCの治療効果を示す図である。 マウス免疫制御性DCの異系骨髄移植レシピエント免疫応答に与える影響とマウス生体内での投与後半減期を示す図である。 マウス免疫制御性DCの異系骨髄移植レシピエント免疫応答に与える影響とマウス生体内での投与後半減期を示す図である。 マウス免疫制御性DCの異系骨髄移植レシピエント免疫応答に与える影響とマウス生体内での投与後半減期を示す図である。 マウス免疫制御性DCの異系骨髄移植レシピエント免疫応答に与える影響とマウス生体内での投与後半減期を示す図である。 マウス免疫制御性DCの異系骨髄移植レシピエント免疫応答に与える影響とマウス生体内での投与後半減期を示す図である。 マウス免疫制御性DCのマウス異系急性移植片対宿主病治療効果におけるマウス免疫制御性T細胞の関与を示す図である。 マウス免疫制御性DCのマウス異系急性移植片対宿主病治療効果におけるマウス免疫制御性T細胞の関与を示す図である。 マウス免疫制御性DCのマウス異系急性移植片対宿主病治療効果におけるマウス免疫制御性T細胞の関与を示す図である。 マウス免疫制御性DCのマウス異系急性移植片対宿主病治療効果におけるマウス免疫制御性T細胞の関与を示す図である。 マウス免疫制御性DCのマウス異系急性移植片対宿主病治療効果におけるマウス免疫制御性T細胞の関与を示す図である。 マウス免疫制御性DCのマウス異系急性移植片対宿主病治療効果におけるマウス免疫制御性T細胞の関与を示す図である。 マウス免疫制御性DCのマウス異系急性移植片対宿主病治療効果におけるマウス免疫制御性T細胞の関与を示す図である。 マウス免疫制御性DCのマウス異系急性移植片対宿主病治療効果におけるマウス免疫制御性T細胞の関与を示す図である。 マウス免疫制御性DCのマウス異系急性移植片対宿主病治療効果におけるマウス免疫制御性T細胞の関与を示す図である。 マウス免疫制御性DCのマウス異系急性移植片対宿主病治療効果におけるマウス免疫制御性T細胞の関与を示す図である。 マウス免疫制御性DCがインビトロにおいてCD4陽性CD25陰性T細胞を刺激して誘導する細胞の表現型を示す図である。 マウス免疫制御性DCが移植片対白血病効果を維持した上で、マウス異系急性移植片対宿主病を抑制することを示す図である。 マウス免疫制御性DCが移植片対白血病効果を維持した上で、マウス異系急性移植片対宿主病を抑制することを示す図である。 マウス免疫制御性DCが移植片対白血病効果を維持した上で、マウス異系急性移植片対宿主病を抑制することを示す図である。 マウス免疫制御性DCが、マウスII型コラーゲン誘発関節炎を抑制することを示す図である。 マウス免疫制御性DCが、マウスII型コラーゲン誘発関節炎を抑制することを示す図である。 EAEに対する免疫制御性DC投与の作用を示す図である。 DTH反応を示す図である。

Claims (15)

  1. ヒト樹状細胞またはその前駆細胞をin vitroでIL-10およびTGF-βと共に培養し、ヒト免疫制御性樹状細胞を調製する方法。
  2. ヒト樹状細胞がヒト単球由来樹状細胞である、請求項1に記載のヒト免疫制御性樹状細胞を調製する方法。
  3. ヒト単球をGM-CSF、IL-4、IL-10およびTGF-βの存在下で培養する、ヒト免疫制御性樹状細胞を調製する方法。
  4. さらに、TNF-αおよびLPSのいずれかまたは両方の存在下で培養する、請求項3記載のヒト免疫制御性樹状細胞を調製する方法。
  5. さらに、治療しようとする疾患と関連する組織または臓器に存在する抗原の存在下で培養する、請求項1〜4のいずれかに記載のヒト免疫制御性樹状細胞を調製する方法。
  6. 疾患が、自己免疫疾患またはアレルギー性疾患である、請求項5記載のヒト免疫制御性樹状細胞を調製する方法。
  7. 疾患が、関節リウマチまたは多発性硬化症である、請求項5記載のヒト免疫制御性樹状細胞を調製する方法。
  8. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法で調製されたヒト免疫制御性樹状細胞。
  9. IL-10およびTGF-βの両方の存在下で培養していないヒト成熟樹状細胞と比べて有意にCD83、CD40、CD80およびCD86の発現が少ない請求項8に記載のヒト免疫制御性樹状細胞。
  10. in vitroにおいて異系CD4陽性T細胞に抗原不応答性を誘導する機能、活性化異系 CD4陽性T細胞およびCD8陽性T細胞の再活性化を抑制する機能、異系ナイーブCD4陽性T細胞およびCD8陽性T細胞に対してそれぞれCD4陽性CD25陽性免疫制御性T細胞およびCD8陽性CD28陰性免疫制御性T細胞を誘導する機能、またはヒトT細胞移植免疫不全マウスでの異種移植片対宿主病が異種抗原を付与された当該細胞移入により抑制されるなどの免疫抑制応答を誘導する機能を有する、請求項8または9に記載のヒト免疫制御性樹状細胞。
  11. 請求項8〜10のいずれか1項に記載のヒト免疫制御性樹状細胞を含む医薬組成物。
  12. 細胞、臓器または組織移植に伴う移植片拒絶反応を抑制する請求項11記載の医薬組成物。
  13. 移植片対宿主病の治療に用い得る請求項11記載の医薬組成物。
  14. 自己免疫疾患またはアレルギー性疾患の治療に用い得る請求項11記載の医薬組成物。
  15. 関節リウマチまたは多発性硬化症の治療に用い得る請求項11記載の医薬組成物。

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