JP2006290761A - 炎症性疾患の予防又は治療剤 - Google Patents

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Abstract

【課題】 炎症性サイトカインの過剰分泌によって誘導される敗血症等の疾患の予防又は治療剤の提供。
【解決手段】 制御性樹状細胞を含む、炎症性サイトカインの過剰分泌により誘導される疾患(敗血症等)の予防又は治療剤、IL−10産生促進剤、アポトーシス抑制剤等。
【選択図】 なし

Description

本発明は炎症性疾患の予防又は治療剤に関し、特に制御性樹状細胞を有効成分として含む、炎症性疾患の予防又は治療剤に関する。具体的には、炎症性サイトカインの過剰分泌によって誘導される敗血症等の疾患の予防又は治療剤に関する。さらに本発明は、IL−10産生促進剤、アポトーシス抑制剤及びリンパ球のアポトーシスにより誘導される疾患の予防又は治療剤に関する。
樹状細胞(DC)は、炎症のみならずT細胞応答をも増強することによって自然免疫系と獲得免疫系を繋ぐ決定的な要素である。幾つかのタイプの樹状細胞がT細胞免疫寛容の誘導を介して獲得免疫系の制御因子として働いていることが報告されている(非特許文献1〜5)。しかしながら、宿主の炎症応答の制御については明らかにされていないのが現状である。本発明者らは、近年、T細胞アナジー誘導能と制御性T(T)細胞誘導能とを有する強力な免疫寛容誘導性の樹状細胞集団、制御性樹状細胞(DCreg)を樹立した(非特許文献4)。さらに、DCregを用いた免疫療法がマウス異系骨髄移植モデル(BMT)での急性移植片対宿主病(GVDH)の抑制に効果的であることも報告されている(非特許文献4)。
一方、敗血症は、全身性炎症反応症候群(SIRS)の代表的なものであり、新生児ICU等における罹患率及び死亡率の主要な原因となっている。しかしながら現在のところ、敗血症を予防・治療するのに効果的な手段は存在しない。敗血症は菌体成分(例えばリポポリサッカライド(LPS))による宿主の免疫細胞、特にマクロファージの過剰な刺激によって、様々な炎症性サイトカインが産生されることによって発症する(非特許文献6〜8)。敗血症による致死に、増加したリンパ球の、特に胸腺でのアポトーシスが寄与し、このアポトーシスを妨害することにより敗血症マウスの生存率を改善できることを示した報告がある(非特許文献9)。さらにアデノウイルス導入により強制的にIL−10を発現させることにより敗血症(実験的)マウスの生存率が改善されることが報告されている(非特許文献10及び11)。
また、特許文献1には、ヒト免疫制御性樹状細胞の調製方法;ヒト免疫制御性樹状細胞を含む医薬組成物;移植片拒絶反応、移植片対宿主病、自己免疫疾患、アレルギー性疾患、関節リウマチ又は多発性硬化症の治療に用いるヒト免疫制御性樹状細胞を含む医薬組成物が開示されている。
特開2004−298181号公報 Banchereau J, Briere F, Caux C, Davoust J, Lebecque S, Liu YJ, Pulendran B, Palucka K. Immunobiology of dendritic cells. Annu Rev Immunol. 2000;18:767-811. Steinman RM, Nussenzweig MC. Avoiding horror autotoxicus: the importance of dendritic cells in peripheral T cell tolerance. Proc Natl Acad Sci U S A. 2002 Jan 8;99(1):351-8. Morelli AE, Thomson AW. Dendritic cells: regulators of alloimmunity and opportunities for tolerance induction. Immunol Rev. 2003 Dec;196:125-46. Sato K, Yamashita N, Yamashita N, Baba M, Matsuyama T. Regulatory dendritic cells protect mice from murine acute graft-versus-host disease and leukemia relapse. Immunity. 2003 Mar;18(3):367-79. Wakkach A, Fournier N, Brun V, Breittmayer JP, Cottrez F, Groux H. Characterization of dendritic cells that induce tolerance and T regulatory 1 cell differentiation in vivo. Immunity. 2003 May;18(5):605-17. Efron P, Moldawer LL. Sepsis and the dendritic cell. Shock. 2003 Nov;20(5):386-401. Yan JJ, Jung JS, Lee JE, Lee J, Huh SO, Kim HS, Jung KC, Cho JY, Nam JS, Suh HW, Kim YH, Song DK. Therapeutic effects of lysophosphatidylcholine in experimental sepsis. Nat Med. 2004 Feb;10(2):161-7. Alexander S, Bramson J, Foley R, Xing Z. Protection from endotoxemia by adenoviral-mediated gene transfer of human bactericidal/permeability-increasing protein. Blood. 2004 Jan 1;103(1):93-9. Hotchkiss RS, Chang KC, Swanson PE, Tinsley KW, Hui JJ, Klender P, Xanthoudakis S, Roy S, Black C, Grimm E, Aspiotis R, Han Y, Nicholson DW, Karl IE. Caspase inhibitors improve survival in sepsis: a critical role of the lymphocyte. Nat Immunol. 2000 Dec;1(6):496-501. Oberholzer C, Oberholzer A, Bahjat FR, Minter RM, Tannahill CL, Abouhamze A, LaFace D, Hutchins B, Clare-Salzler MJ, Moldawer LL. Targeted adenovirus-induced expression of IL-10 decreases thymic apoptosis and improves survival in murine sepsis. Proc Natl Acad Sci U S A. 2001 Sep 25;98(20):11503-8. Oberholzer A, Oberholzer C, Bahjat KS, Ungaro R, Tannahill CL, Murday M, Bahjat FR, Abouhamze Z, Tsai V, LaFace D, Hutchins B, Moldawer LL, Clare-Salzler MJ. Increased survival in sepsis by in vivo adenovirus-induced expression of IL-10 in dendritic cells. J Immunol. 2002 Apr 1;168(7):3412-8.
本発明は、炎症性疾患、特に炎症性サイトカインの過剰分泌によって誘導される敗血症等の疾患の予防又は治療剤を提供することを目的とする。さらに本発明は、IL−10産生促進剤、アポトーシス抑制剤及びリンパ球のアポトーシスにより誘導される疾患の予防及び/又は治療剤の提供を目的とする。
本発明者らは、上記課題に鑑み、鋭意検討を行った結果、T細胞アナジー誘導能と制御性T細胞誘導能とを有する強力な免疫寛容誘導性の樹状細胞集団である制御性樹状細胞が、炎症性サイトカインの過剰分泌により誘導される疾患、特に敗血症等の細菌感染を伴う全身性炎症反応症候群(SIRS)に対して、IL−10産生を促進し、また、リンパ球のアポトーシス抑制作用を有することを見出して本発明を完成するに至った。即ち本発明は以下の通りである。
〔1〕制御性樹状細胞を含む、IL−10産生促進剤。
〔2〕制御性樹状細胞がヒト由来である、上記〔1〕記載のIL−10産生促進剤。
〔3〕制御性樹状細胞を含む、炎症性サイトカインの過剰分泌により誘導される疾患の予防又は治療剤。
〔4〕炎症性サイトカインの過剰分泌により誘導される疾患が全身性炎症反応症候群(SIRS)である、上記〔3〕記載の予防又は治療剤。
〔5〕全身性炎症反応症候群(SIRS)が、敗血症及び細菌性髄膜炎からなる群より選択される少なくとも1種の細菌感染を伴う全身性炎症であるか、又は細菌感染を伴わない全身性炎症である、上記〔4〕記載の予防又は治療剤。
〔6〕炎症性サイトカインの過剰分泌により誘導される疾患が敗血症又は細菌性髄膜炎である、上記〔3〕記載の予防又は治療剤。
〔7〕炎症性サイトカインの過剰分泌により誘導される疾患が炎症性腸疾患である、上記〔3〕記載の予防又は治療剤。
〔8〕炎症性腸疾患が、クローン病又は大腸炎である、上記〔7〕記載の予防又は治療剤。
〔9〕大腸炎が、潰瘍性結腸炎、肉芽腫性結腸炎、虚血性結腸炎、放射性結腸炎及び感染性結腸炎からなる群より選択される少なくとも1種である、上記〔8〕記載の予防又は治療剤。
〔10〕制御性樹状細胞がヒト由来である、上記〔3〕〜〔9〕のいずれかに記載の予防又は治療剤。
〔11〕制御性樹状細胞を含む、アポトーシス抑制剤。
〔12〕制御性樹状細胞がヒト由来である、上記〔11〕記載のアポトーシス抑制剤。
〔13〕制御性樹状細胞を含む、リンパ球のアポトーシスにより誘導される疾患の予防又は治療剤。
〔14〕リンパ球のアポトーシスにより誘導される疾患が全身性炎症反応症候群(SIRS)である、上記〔13〕記載の予防又は治療剤。
〔15〕全身性炎症反応症候群(SIRS)が、敗血症及び細菌性髄膜炎からなる群より選択される少なくとも1種の細菌感染を伴う全身性炎症であるか、又は細菌感染を伴わない全身性炎症である、上記〔14〕記載の予防又は治療剤。
〔16〕リンパ球のアポトーシスにより誘導される疾患が敗血症又は細菌性髄膜炎である、上記〔13〕記載の予防又は治療剤。
〔17〕リンパ球のアポトーシスにより誘導される疾患が炎症性腸疾患である、上記〔13〕記載の予防又は治療剤。
〔18〕炎症性腸疾患が、クローン病又は大腸炎である、上記〔17〕記載の予防又は治療剤。
〔19〕大腸炎が、潰瘍性結腸炎、肉芽腫性結腸炎、虚血性結腸炎、放射性結腸炎及び感染性結腸炎からなる群より選択される少なくとも1種である、上記〔18〕記載の予防又は治療剤。
〔20〕制御性樹状細胞がヒト由来である、上記〔13〕〜〔19〕のいずれかに記載の予防又は治療剤。
本発明に有効成分として含められる制御性樹状細胞は、敗血症及び他の全身性及び局所性の炎症性疾患の予防能及び治療能を有し、従って、これらの疾患の細胞免疫療法に有用である。
本発明に有効成分として含められる制御性樹状細胞とは、T細胞アナジー誘導能と制御性T細胞誘導能とを有する強力な免疫寛容誘導性の樹状細胞集団を意味する。例えば樹状細胞又はその前駆細胞をインビトロでIL−10及びTGF−βと共に培養することによって調製することができる。より具体的には、単球にGM−CSF、IL−4、IL−10及びTGF−βを添加して誘導される樹状細胞及び当該樹状細胞に更に炎症性刺激(例えばTNF−α、LPS等)を加えたものが制御性樹状細胞として調製される。ここで、ヒト単球をGM−CSFおよびIL−4の存在下でin vitroで培養することによりヒト単球はDCに分化し、DCがIL−10およびTGF−βにより未成熟な免疫制御性DCになる。この際、ヒト単球を最初にGM−CSFおよびIL−4で刺激しDCに分化させた後にIL−10およびTGF−βで刺激してもよいし、GM−CSF、IL−4、IL−10およびTGF−βで同時に刺激してもよい。さらに、TNF−αやLPS等により炎症性刺激を与えることにより、成熟したヒト免疫制御性細胞となる。
ヒトDCは前述のようにヒト単球をGM−CSFおよびIL−4の存在下で培養することにより得られる。この際の単球はヒト末梢血由来でも、ヒト骨髄由来でも、ヒト脾臓細胞由来でも、ヒト臍帯血由来でもよい。さらに、これらの組織、器官から樹状細胞をFACS(Fluorescent activated cell sorter)またはフローサイトメーター等によりCD1a等のDC特異的な表面抗原の発現を指標に単離することもできる。FACSによる特定の細胞集団の単離は公知の方法により行なえばよい。FACS、フローサイトメーターとしては例えばFACS vantage(ベクトン・ディッキンソン社製)、FACS Calibur(ベクトン・ディッキンソン社製)等を用いることができる。
ヒト単球、DCの培養は、周知のヒトリンパ系細胞の培養技術により行なうことができる。培養液としては例えばRPMI1640やDMEMを用いることができ、これらの基本培地に適当な抗生物質や動物血清等を添加して培養すればよい。培養容器も限定されず、培養規模に応じて市販のプレート、ディッシュ、フラスコを適宜選択して用いることができる。
培養に用いるGM−CSF、IL−4、IL−10、TGF−β、TNF−α、LPSの濃度は、1ng/mL〜1000ng/mL、好ましくは10ng/mL〜100ng/mLである。また、刺激に必要な培養日数は、限定されないが、例えばヒト単球をGM−CSF、IL−4、IL−10、TGF−β、TNF−α、LPSと共に数日から10日間程度培養すればよい。ヒト単球またはヒトDCの表面抗原の発現をFACS等で調べることにより、目的の分化程度の細胞が得られる培養期間を適宜決定することができる。刺激に用いるGM−CSF、IL−4、IL−10、TGF−β、TNF−α、LPSの濃度、刺激期間等の条件は、異系CD4陽性T細胞の抗原不応答性の誘導やDC表現型を指標として決定できる。
より詳細な調製方法が特許文献1及び非特許文献4に記載され、それらの記載に準じて本発明で用いる制御性樹状細胞を調製することができる。制御性樹状細胞は好ましくはヒト、サル、マウス、ラット、ウサギ、ネコ、ウシ、イヌ、ウマ、ヤギ等の哺乳動物由来であり、特に好ましくはヒト由来である。
制御性樹状細胞にLPS等の炎症刺激を与えても炎症性サイトカインの産生が見られず、また、IL−10を多く産生する。さらに制御性樹状細胞を投与された投与対象は、LPS等の炎症性刺激負荷時に観察される炎症性サイトカイン産生の上昇が抑制され、且つIL−10の産生が増強される。従って、本発明の制御性樹状細胞を含むIL−10産生促進剤とは、投与対象に投与された場合、炎症性刺激負荷時の投与対象のIL−10産生能を促進することが可能な剤であって、促進の程度は対照(制御性樹状細胞を投与していない投与対象)のIL−10産生能と比較して有意差があれば特に制限されない。
本発明において「炎症性サイトカインの過剰分泌により誘導される疾患」とは、大腸菌、クレブシェラ菌、緑膿菌、腸球菌等のグラム陰性桿菌、黄色ブドウ球菌、表皮性ブドウ球菌、MRSA等のグラム陽性球菌、カンジダ等の真菌等の細菌やそれらから遊離される毒素(エンドトキシン・エキソトキシン)並びにそれらの成分(例えばLPS)などの感染及び/又は刺激によって投与対象が各種炎症性サイトカインを過剰に分泌することによって誘導される疾患、並びに外傷、熱傷、膵炎、侵襲の強い術後等により投与対象が各種炎症性サイトカインを過剰に分泌することによって誘導される疾患である。炎症性サイトカインとしては、IL−1α、IL−1β、IL−2、IL−6、IL−8、IL−12、IL−15、IL−18、IL−23、TNF−α、TNF−β、IFN−α、IFN−β、IFN−γ、M−CSF、G−CSF、GM−CSF、MCP−1、MIP−1α、RANTES、IP−10等が例示され、好ましくはIL−1β、IL−12、TNF−α、IL−6である。
対象となる疾患としては例えば、高サイトカイン血症を示すSIRS(全身性炎症反応症候群)や炎症性腸疾患等の全身性及び局所性の炎症性疾患が挙げられる。SIRSには、感染に起因するBacteremia、Fungemia、Parasitemia、Viremia等の敗血症や細菌性髄膜炎の全身性炎症と外傷、熱傷、膵炎、侵襲の強い術後等の感染を伴わない全身性炎症が挙げられる。炎症性腸疾患にはクローン病や潰瘍性・肉芽腫性・虚血性・放射性・感染性結腸炎等の大腸炎が挙げられる。
さらに後述の実施例からも明らかなように、本発明に含められる制御性樹状細胞は、リンパ球のアポトーシス、特に敗血症誘導時に観察される胸腺でのアポトーシスに対して保護作用を有する。従って、本発明の制御性樹状細胞を含むアポトーシス抑制剤、特にリンパ球のアポトーシス抑制剤とは、投与対象に投与された場合、細菌感染時等に観察される胸腺でのリンパ球アポトーシスを抑制し得る剤を意味し、抑制の程度は対照(制御性樹状細胞を投与していない投与対象)のリンパ球アポトーシスの程度と比較して有意差があれば特に制限されない。
制御性樹状細胞の投与対象への投与がリンパ球の胸腺でのアポトーシス抑制作用をもたらすことから、当該制御性樹状細胞はリンパ球のアポトーシス、特に胸腺でのアポトーシスにより誘導される疾患の予防又は治療剤として用いることができる。
対象となる疾患としては例えば、高サイトカイン血症を示すSIRS(全身性炎症反応症候群)や炎症性腸疾患等の全身性及び局所性の炎症性疾患が挙げられる。SIRSには、感染に起因するBacteremia、Fungemia、Parasitemia、Viremia等の敗血症や細菌性髄膜炎の全身性炎症と外傷、熱傷、膵炎、侵襲の強い術後等の感染を伴わない全身性炎症が挙げられる。炎症性腸疾患にはクローン病や潰瘍性・肉芽腫性・虚血性・放射性・感染性結腸炎等の大腸炎が挙げられる。
投与する制御性樹状細胞は、投与対象自身の単球または樹状細胞をインビトロで刺激し調製したものでもよいし、投与対象以外の同種の第三者の単球又は樹状細胞をインビトロで刺激し調製したものでもよい。好ましくは投与対象自身のものである。
本発明のIL−10産生促進剤、(リンパ球)アポトーシス抑制剤並びに各種疾患の予防又は治療剤に含められる制御性樹状細胞の量は、投与対象に所望する効果が認められる用量で投与対象に投与され得るように適宜設定され、具体的には、投与対象に対して0.5×10〜10細胞程度の制御性樹状細胞が、静脈内あるいは皮下、皮内(好ましくは静脈内)に投与される。投与対象としては、ヒト、サル、マウス、ラット、ウサギ、ネコ、ウシ、イヌ、ウマ、ヤギ等の哺乳動物が挙げられ、特に好ましくはヒトである。
投与対象へのIL−10産生促進剤、(リンパ球)アポトーシス抑制剤並びに各種疾患の予防又は治療剤の投与時期に関しては特に限定されず随時行うことができるが、本発明の対象となる疾患の多くが急性であり、また致死性であることを考慮すると、原因となる細菌が同定されていなくても細菌感染が認められた時点で予防的に投与することが好ましい。
必要に応じて、制御性樹状細胞以外の、医薬上許容し得る添加物を本発明に含めても良く、それらは当分野で通常用いられているものが利用できる。
以下、実施例にそって本発明をさらに詳細に説明するが、これら実施例は本発明の範囲を何ら限定するものではない。本出願全体を通して引用されたすべての刊行物は参照として本明細書に組み入れられる。また、本発明において使用する試薬や装置、材料は特に言及されない限り、商業的に入手可能である。
実施例1:LPS刺激時のサイトカイン産生における比較
各種の樹状細胞を用いてLPS刺激によるサイトカイン産生に与える影響について調べた。
1.細胞調製
非特許文献4に準じて各種樹状細胞を調製した。雌性C57/BL6マウスあるいはBALB/cマウスから得られた骨髄細胞を、マウスGM−CSF(20ng/ml)で8日間培養することによって未成熟樹状細胞(iDC)を得た。成熟樹状細胞(mDC)は、iDCをLPS(1μg/ml)で2日間刺激することによって得た。制御性樹状細胞前駆細胞(pDCreg)は、雌性C57/BL6マウスから得られた骨髄細胞を、マウスGM−CSF(20ng/ml)、マウスIL−10(20ng/ml)及びヒトTGF−β1(20ng/ml)で8日間培養することによって得た。制御性樹状細胞は(DCreg)は、pDCregの集団をLPS(1μg/ml)で2日間処理することによって得た。
2.LPS刺激
上記で得られた各種樹状細胞(10細胞)を24穴プレート(Becton Dickinson,Franklin Lakes,NJ)に入れ、LPS(1μg/ml)で6時間又は24時間刺激した。対照にはLPSで刺激しなかったものを用いた。
3.サイトカイン測定
LPS刺激した(あるいはしていない)細胞の培養上清を回収しサイトカイン測定時迄−80℃で保存した。
培養上清中のサイトカインの測定は、それぞれのサイトカイン(TNF−α、IL−1β、IL−6、IL−12p40、IL−10)についてELISAキット(BioSource,International Camarillo,CA)を用いて測定した。
4.結果
結果を図1に示す。各データは2サンプルの平均±標準偏差で示した。同じ実験を4回繰り返したが同様の結果であった。
iDCをLPSで刺激すると顕著なTNF−α、IL−β、IL−6及びIL−12p40の産生増加を認めたが、pDCregにおけるこれらの炎症性サイトカインの産生は著しく低かった。mDCでは本質的にIL−6及びIL−12p40の産生量が多くTNF−α及びIL−βの産生量は低かった。加えて、mDCのIL−6及びIL−12p40産生量はiDCに比べると僅かに低い程度であったが、TNF−α及びIL−β産生量についてはmDCはiDCに比べ顕著に低かった。対照的にDCregではLPS誘導性の炎症性サイトカインの産生が見られなかった。IL−10についてはpDCreg及びDCregにおける産生量は他に比べて多かった。
実施例2:実験的内毒素血症時の炎症性サイトカイン産生における樹状細胞の効果
実験的内毒素血症マウスにおけるLPS誘導性の炎症性サイトカイン産生における樹状細胞の効果について調べた。
1.サンプル調製
C57BL/6マウスを用いて実験的内毒素血症を誘発させた。各種樹状細胞(10細胞/マウス)を腹腔内投与して2時間後にLPS(1μg/マウス)とD−ガラクトサミン(D−GalN;10mg/マウス)との混合物を腹腔内投与してマウスにLPS誘導性の内毒素血症を誘発した。LPS投与後所定の時間で、内毒素血症を誘発させたD−GalN感作マウスから血液を採取した。血液から血清を回収しサイトカイン測定時迄−80℃で保存した。
2.サイトカイン測定
実施例1と同様にしてそれぞれのサイトカインのELISAキットを用いて測定した。
3.結果
結果を図2に示す。各データは2サンプルの平均±標準偏差で示した。同じ実験を4回繰り返したが同様の結果であった。
D−GalNで感作されたマウスに低用量のLPS(1μg/マウス)を投与することによって血清中のTNF−α、IL−β、IL−6及びIL−12p40濃度の一過的な上昇を誘導した。LPSを投与する2時間前にmDCを1回投与すると血清中のTNF−α、IL−β及びIL−6の産生が僅かに減少した。一方で、この処置によって血清中のIL−12p40の産生は増加した。対照的にDCregの1回投与は血清中のLPS誘導性の炎症性サイトカイン産生を顕著に抑制しIL−10の産生を増強した。
実施例3:内毒素血症及び細菌性腹膜炎による致死に対する樹状細胞の保護効果
インビボでの炎症性応答における制御性樹状細胞の役割を明確にするために、本発明者らは実験的内毒素血症及び細菌性腹膜炎によって誘発された敗血症における制御性樹状細胞の効果を調べた。
1.内毒素血症及び細菌性腹膜炎モデルの作成
内毒素血症及び細菌性腹膜炎を誘発させるためにC57BL/6マウスを用いた。各種濃度の樹状細胞(10〜10細胞/マウス)を腹腔内投与して2時間後に低用量のLPS(1μg/マウス)とD−GalN(10mg/マウス)との混合物を腹腔内投与し(実験的内毒素血症)、あるいは高用量のLPS(1mg/マウス)を腹腔内投与し(内毒素血症)、2時間後に各種樹状細胞(10細胞/マウス)を腹腔内投与して、マウスにLPS誘導性の内毒素血症を誘発した。細菌性腹膜炎を誘発させるためには、熱殺菌(95℃、30分間)した大腸菌(E.coli DH5α、Invitrogen Corp.,Carlsbad,CA;5×10細胞/マウス)を腹腔内投与してから2時間後に各種樹状細胞(10細胞/マウス)を腹腔内投与した。
2.生存率の測定
生存率は、48時間(D−GalN感作による内毒素血症及び細菌性腹膜炎)あるいは1日1回6日間(内毒素血症)、モニタリングした。
3.結果
結果を図3に示す。同じ実験を4回繰り返したが同様の結果であった。
低用量のLPSを投与する2時間前にmDCを単回投与することによって、D−GalN感作マウスにおける致死率が僅かに減少した(図3a)。対照的にLPSを投与する2時間前にDCregを単回投与した場合にはD−GalN感作マウスにおけるLPS誘導性致死からは強く保護され、保護効果は濃度依存的であった(図3b)。内毒素血症に対するDCregの治療効果を調べる為に、マウスに高用量のLPS(マウスあたり1mg)を投与しDCregで処理し生存期間をモニタリングした(図3c)。LPS投与して2時間後にDCregを1回投与することによってマウスの生存期間は顕著に延長されたが、mDCによる処理では効果はなかった。著者らはまた、細菌性腹膜炎による致死に対するDCregの治療効果を調べた(図3d)。熱殺菌した大腸菌を投与して2時間後にmDCではなくDCregでマウスを処置することにより、生存期間が著しく延長した。
実施例4:マクロファージにおける炎症性サイトカインの産生に及ぼす樹状細胞の効果
制御性樹状細胞による炎症反応の抑制の基礎となるメカニズムを明らかにするために、LPSによって誘導されるマクロファージにおけるTNF−α及びIL−12p40の産生に及ぼす各種樹状細胞の影響を調べた。
1.細胞の調製
mDC及びDCregは実施例1に準じて調製した。
マクロファージは以下のようにして調製した。C57/BL6マウスに1%チオグリコレート(DIFCO Becton Dickinson, Sparks,MD)1mLを腹腔内投与し、4日後、腹腔から腹腔滲出細胞(PEC)を単離した。PECをビオチニル化抗CD11bモノクローナル抗体とIMag Streptoavidin Particles Plus−DM(BD Bioscience)とを用いて選別した。
IL−10ノックアウトマウス(IL−10KOマウス;Kuhn R, Lohler J, Rennick D, Rajewsky K, Muller W. Interleukin-10-deficient mice develop chronic enterocolitis. Cell. 1993 Oct 22;75(2):263-74.)由来の樹状細胞は、以下のようにして調製した。IL−10KOマウスから得られた骨髄細胞を、マウスGM−CSF(20ng/ml)で8日間培養することによって未成熟樹状細胞(iDC)を得た。成熟樹状細胞(mDC)は、iDCをLPS(1μg/ml)で2日間刺激することによって得た。制御性樹状細胞前駆細胞(pDCreg)は、IL−10KOマウスから得られた骨髄細胞を、マウスGM−CSF(20ng/ml)、マウスIL−10(20ng/ml)及びヒトTGF−β1(20ng/ml)で8日間培養することによって得た。制御性樹状細胞(DCreg)は、pDCregの集団をLPS(1μg/ml)で2日間処理することによって得た。
IL−10KOマウス由来のmDCをmDC(IL−10KO)、DCregをDCreg(IL−10KO)とそれぞれ称する。
2.LPS刺激
実施例1と同様にしてmDC及びDCregをLPS(1μg/ml)で24時間刺激した。またマクロファージ(10細胞)を、樹状細胞(mDC又はDCreg;2×10〜10)、コントロールIg(10μg/mL:Chemicon International,Temecula,CA)あるいは抗IL−10抗体(10μg/mL:R&D Systems,Minneapolis,MN)の存在下又は非存在下、LPS(1μg/ml)で24時間刺激した。
3.サイトカイン測定
LPS刺激した(あるいはしていない)細胞の培養上清を回収し測定時迄−80℃で保存した。培養上清中のサイトカインの測定は、実施例1と同様にしてそれぞれのサイトカインのELISAキットを用いて測定した。
4.結果
結果を図4に示す。データは2サンプルの平均値±標準偏差で示し、4回実験を行って同様の同様の結果を得た。
マクロファージをLPSで刺激するとmDCあるいはDCregを刺激した場合よりよりTNF−αの産生量が多かった(図4a)。一方、mDCにおけるLPS誘導性のIL−12p40の産生はマクロファージやDCregのそれに比べて多かった(図4b)。LPS刺激したマクロファージにmDCを添加すると、LPS刺激されたマクロファージによって産生される場合に比べてTNF−αの産生量が減少し(図4a)、一方、mDCの添加はIL−12p40の産生を増強した(図4b)。対照的に、LPS刺激したマクロファージにDCregを添加した場合にはTNF−αの産生もIL−12p40の産生も顕著に抑制された(図4a,4b)。
上記の知見及び実施例1(図1)よりDCregがLPSに応答して優先的にIL−10を産生したことが示唆される。そこで、LPSによって誘導されるマクロファージによるTNF−α及びIL−12p40産生のDCreg介在性の抑制効果におけるIL−10の役割について調べた。マクロファージ及びmDCをコントロールIgではなく抗IL−10抗体で処理したところTNF−α及びIL−12p40のLPS誘導性の産生が僅かに増強された(図4a,4b)。一方、抗IL−10抗体での処理は、LPS刺激されたマクロファージによるTNF−α及びIL−12p40の産生に及ぼすDCregの抑制効果を大きく阻害した(図4a,4b)。それらの抑制効果における、DCregによって分泌されたIL−10の直接的な役割を調べる為に、IL−10KOマウス由来DCregの、LPS刺激されたマクロファージによるTNF−α及びIL−12p40の産生における効果を調べた(図4c,4d)。mDCとmDC(IL−10KO)では同様なTNF−α及びIL−12p40を産生する能力が見られた。一方、DCreg(IL−10KO)ではLPSに応答したこれらの炎症性サイトカインの、DCregに比べて高い産生を示した。このことは、DCregによるIL−10のオートクリン産生が炎症性サイトカインの産生の欠損に部分的に関与しているということを示唆している。さらに、DCreg(IL−10KO)ではDCregに比べてLPS誘導性の炎症性サイトカイン産生に対する抑制効果が弱かった。
実施例5:複数細菌性敗血症に対する樹状細胞の治療効果
盲腸結紮穿刺(CLP)によって誘発させた,より臨床に近いモデルである複数細菌性敗血症(非特許文献7)に対するDCregの治療効果を評価した。
1.盲腸結紮穿刺(CLP)
C57BL/6マウスをペントバルビタール(1mg/マウス、i.p.)で麻酔し、腹部正中線を小さく切り開いて盲腸を露出させた。盲腸を切断、結紮し、18Gの針で1回、両表面に孔を開けた後腹部を閉じた。
2.樹状細胞の投与
CLP処置6時間後に、各種樹状細胞(10細胞/マウス)を、コントロールIg(1mg/マウス)あるいは抗IL−10抗体(1mg/マウス)と組み合わせて、あるいは単独で投与した(図5a,図5b)。また、別にIL−10KOマウス由来の樹状細胞(10細胞/マウス)をCLP処置マウスに腹腔内投与した(図5c)。IL−10KOマウス由来の樹状細胞であるmDC(IL−10KO)及びDCreg(IL−10KO)は実施例4に準じて調製した。
3.生存率の測定
生存率は、1日1回6日間、モニタリングした。
4.結果
結果を図5に示す。同じ実験を4回繰り返したが同様の結果であった。CLP6時間後でさえDCregを単回投与することによりCLPによる致死に対して保護効果があった。一方でmDCを用いた処置では効果がなかった(図5a)。
さらにCLPによって誘導される致死に対するDCregの保護効果におけるIL−10の役割を調べた。DCregのみを投与したCLP処置マウスに比べて、DCregと抗IL−10抗体(対照イムノグロブリンではない)とを同時に投与することにより生存期間が短縮された(図5b)。さらにDCreg(IL−10KO)は、通常マウス由来のDCregに比べてCLP誘導性の致死に対する保護効果が弱いことが示された(図5c)。
実施例6:アポトーシスに対する制御性樹状細胞の保護効果
胸腺でのリンパ球のアポトーシスが敗血症による致死に関与しているということ、アポトーシスの妨害が敗血症マウスの生存を改善するということが報告されている(非特許文献9)。一方、外因性のIL−10の全身投与とは異なり、胸腺におけるアデノウイルス導入性のIL−10の局所産生及びリンパ節ドレインが実験的敗血症マウスの生存を改善し、この生存における改善が、Bcl−2発現の増強及びカスパーゼ3活性の減少を通じたT細胞アポトーシスの抑制と関連していることが報告されている(非特許文献10及び11)。
本実施例では、CLP処置したマウスにおける敗血症誘導性の胸腺細胞のアポトーシスを調べた(図6a,6b)。
1.胸腺アポトーシスの検出
CLP処置24時間後に胸腺組織切片から胸腺細胞を調製した。胸腺細胞の総数をトリパンブルー色素排除法によって測定し、胸腺細胞のアポトーシスをアネキシン V−FITCアポトーシス検出キット(R&D Systems)を用いて測定した。
2.T細胞増殖及びサイトカイン産生
正常マウスあるいはCLP処置したマウス(CLP処置24時間後)由来のCD4T細胞(10)を、BALB/cマウスから得た放射線照射(線源137Cs、15Gy、Gammacell 40 Exactor,MDS Nordion,Ontario,Canada)した同種異系のmDCと一緒に96穴プレート(Becton Dickinson)で培養した。3日目の最後18時間に[H]チミジンの取り込みを測定した。サイトカインの測定のために培養上清を回収し、測定時迄−80℃で保存した。
CD4T細胞を、C57/BL6マウスの脾臓単核細胞からmouse CD4 T lymphocyte Enrichment Set−DM(BD Bioscience San Diego,CA)を用いてネガティブ選択した。
3.結果
胸腺細胞の顕著な減少及び目立った胸腺細胞のアポトーシスがCLPのあと何も処理しなかったマウスでは観察された。加えて、mDCではなく、DCregで処理した場合、CLP処置マウスにおける胸腺細胞の減少及び胸腺細胞のアポトーシスが改善された。
敗血症によって引き起こされた全身性の炎症性応答が、敗血症症候群に見られる全体的な免疫抑制を導く宿主のT細胞免疫応答に影響を与えると仮定された。さらに、CLP処置マウスにおいてCD4T細胞が増殖しサイトカインを産生する能力を調べた(図6c,6d)。CLP処置2日後の未処理マウス並びにmDC投与処理マウス由来のCD4T細胞は、同種異系のmDCで刺激した際の増殖応答及びIL−2及びIFN−γの著しい減少を示した。対照的にDCregは、CD4T細胞の増殖能力及びサイトカイン産生能力の敗血症による低下を抑制した。従って、DCregによる宿主の急性炎症性応答の抑制は敗血症によって誘導される胸腺アポトーシス及びCD4T細胞の機能障害の抑制に貢献し、そうして敗血症ショックに対する保護効果を誘導するのかもしれない。
LPS刺激時の各種樹状細胞のサイトカイン産生能を比較した結果を表す図である。縦軸は培養上清中の各サイトカインの濃度を示している〔Student’s paired t test;*p<0.01(iDCと比較して、あるいは2群間で)〕。 実験的内毒素血症時の炎症性サイトカイン産生における樹状細胞の効果を調べた結果を表す図である。縦軸はマウス血清中の各サイトカインの濃度を示している〔Student’s paired t test;*p<0.01(未処理マウスと比較して、あるいは2群間で)〕。Untreated:未処理(いずれの樹状細胞も投与していない)。 内毒素血症及び細菌性腹膜炎による致死に対する樹状細胞の保護効果を調べた結果を示す図である。aは、D−GalN感作マウスにおける内毒素血症の致死に対するmDCの保護効果について、生存期間をモニタリングした結果を示している。bは、D−GalN感作マウスにおける内毒素血症の致死に対するDCregの保護効果について、生存期間をモニタリングした結果を示している。cは、マウスに高用量のLPSを投与しDCregで処置した場合の生存期間をモニタリングした結果を示している。dは、細菌性腹膜炎の致死に対するmDC又はDCregの保護効果について、生存期間をモニタリングした結果を示している。〔Mann−Whitney’s U test;*p<0.01(未処理マウスと比較して)〕。Untreated:未処理(いずれの樹状細胞も投与していない)。 LPSによって誘導されるマクロファージにおけるTNF−α産生に及ぼす各種樹状細胞の影響を調べた結果を示す図である。横軸は培養上清中のTNF−αの濃度を示す。LPS(1μg/mL)で24時間刺激した、あるいは刺激していないマクロファージ、mDC又はDCreg(それぞれ10細胞)の培養上清中のTNF−αの濃度、あるいは、各種樹状細胞(2.5×10〜10細胞)、コントロールIg(10μg/mL)あるいは抗IL−10抗体(10μg/mL)の存在下又は非存在下、LPS(1μg/mL)で24時間刺激したマクロファージ(10細胞)の培養上清中のTNF−αを測定した結果である。〔Student’s paired t test;*p<0.01(マクロファージと比較して)〕。 LPSによって誘導されるマクロファージにおけるIL−12p40の産生に及ぼす各種樹状細胞の影響を調べた結果を示す図である。横軸は培養上清中のIL−12p40の濃度を示す。LPS(1μg/mL)で24時間刺激した、あるいは刺激していないマクロファージ、mDC又はDCreg(それぞれ10細胞)の培養上清中のIL−12p40の濃度、あるいは、各種樹状細胞(2.5×10〜10細胞)、コントロールIg(10μg/mL)あるいは抗IL−10抗体(10μg/mL)の存在下又は非存在下、LPS(1μg/mL)で24時間刺激したマクロファージ(10細胞)の培養上清中のIL−12p40の濃度を示す。〔Student’s paired t test;*p<0.01(マクロファージと比較して)〕。 LPSによって誘導されるマクロファージにおけるTNF−αの産生に及ぼす各種樹状細胞の影響を調べた結果を示す図である。横軸は培養上清中のTNF−αの濃度を示す。LPS(1μg/mL)で24時間刺激した、あるいは刺激していないマクロファージ、正常マウスのmDC又はDCreg、IL−10ノックアウトマウスのmDC又はDCreg(それぞれ10細胞)の培養上清中のTNF−αの濃度、あるいは、各種樹状細胞(2.5×10〜10細胞)の存在下又は非存在下、LPS(1μg/mL)で24時間刺激したマクロファージ(10細胞)の培養上清中のTNF−αの濃度を示す。〔Student’s paired t test;*p<0.01(マクロファージと比較して)〕。 LPSによって誘導されるマクロファージにおけるIL−12p40の産生に及ぼす各種樹状細胞の影響を調べた結果を示す図である。横軸は培養上清中のIL−12p40の濃度を示す。LPS(1μg/mL)で24時間刺激した、あるいは刺激していないマクロファージ、正常マウスのmDC又はDCreg、IL−10ノックアウトマウスのmDC又はDCreg(それぞれ10細胞)の培養上清中のIL−12p40の濃度、あるいは、各種樹状細胞(2.5×10〜10細胞)の存在下又は非存在下、LPS(1μg/mL)で24時間刺激したマクロファージ(10細胞)の培養上清中のIL−12p40の濃度を示す。〔Student’s paired t test;*p<0.01(マクロファージと比較して)〕。 CLP処置によって誘発される複数細菌性敗血症による致死に対する樹状細胞の保護効果を調べた結果を示す図である。aは、CLP処置後6時間でmDC又はDCregを腹腔内投与したマウスの生存期間をモニタリングした結果を示している。bは、CLP処置後6時間でコントロールIg(1mg/マウス)あるいは抗IL−10抗体(1mg/マウス)と組み合わせてmDC又はDCregを腹腔内投与したマウスの生存期間をモニタリングした結果を示している。cは、CLP処置後6時間で正常マウスあるいはIL−10ノックアウトマウスから得たmDC又はDCregを腹腔内投与したマウスの生存期間をモニタリングした結果を示している。〔Mann−Whitney’s U test;*p<0.01(未処理マウスと比較して)〕。Untreated:未処理(いずれの樹状細胞も投与していない)。DCreg/cont.Ig:制御性樹状細胞をコントロールIgと組み合わせて投与。DCreg/anti−IL−10Ab:制御性樹状細胞を抗IL−10抗体と組み合わせて投与。 CLP処置したマウスにおける敗血症誘導性の免疫制御異常に対する制御性樹状細胞の保護効果について調べた結果を示す図である。CLP処置後6時間でmDC又はDCreg(10細胞/マウス)をマウスに腹腔内投与した。続いて、CLP処置後24時間で胸腺細胞及び脾臓CD4T細胞を得た。(a,b)胸腺細胞を正常マウスあるいはCLP処置マウスから得た。胸腺細胞の総数(a)又はアポトーシスの出現頻度をフローサイトメトリーで測定した(b)。(c,d)正常マウス及びCLP処置したマウスから得られたCD4T細胞(10細胞)を種々の数(1.25×10〜10細胞)の放射線照射した同種異系mDCとともに3日間培養した。増殖反応(c)又は培養上清中のIL−2産生(左パネル)及びIFN−γ産生(右パネル)を測定した(d)。データは3サンプルの平均±標準偏差で表した。4回実験を行い、同様の結果を得た。〔Student’s paired t test;*p<0.01(正常マウスから得た胸腺細胞(a,b)又はCD4T細胞(c,d)と比較して)〕。Normal:CLP処置していない正常マウスに投与。Untreated:未処理(いずれの樹状細胞も投与していない状態)。

Claims (20)

  1. 制御性樹状細胞を含む、IL−10産生促進剤。
  2. 制御性樹状細胞がヒト由来である、請求項1記載のIL−10産生促進剤。
  3. 制御性樹状細胞を含む、炎症性サイトカインの過剰分泌により誘導される疾患の予防又は治療剤。
  4. 炎症性サイトカインの過剰分泌により誘導される疾患が全身性炎症反応症候群(SIRS)である、請求項3記載の予防又は治療剤。
  5. 全身性炎症反応症候群(SIRS)が、敗血症及び細菌性髄膜炎からなる群より選択される少なくとも1種の細菌感染を伴う全身性炎症であるか、又は細菌感染を伴わない全身性炎症である、請求項4記載の予防又は治療剤。
  6. 炎症性サイトカインの過剰分泌により誘導される疾患が敗血症又は細菌性髄膜炎である、請求項3記載の予防又は治療剤。
  7. 炎症性サイトカインの過剰分泌により誘導される疾患が炎症性腸疾患である、請求項3記載の予防又は治療剤。
  8. 炎症性腸疾患が、クローン病又は大腸炎である、請求項7記載の予防又は治療剤。
  9. 大腸炎が、潰瘍性結腸炎、肉芽腫性結腸炎、虚血性結腸炎、放射性結腸炎及び感染性結腸炎からなる群より選択される少なくとも1種である、請求項8記載の予防又は治療剤。
  10. 制御性樹状細胞がヒト由来である、請求項3〜9のいずれか1項に記載の予防又は治療剤。
  11. 制御性樹状細胞を含む、アポトーシス抑制剤。
  12. 制御性樹状細胞がヒト由来である、請求項11記載のアポトーシス抑制剤。
  13. 制御性樹状細胞を含む、リンパ球のアポトーシスにより誘導される疾患の予防又は治療剤。
  14. リンパ球のアポトーシスにより誘導される疾患が全身性炎症反応症候群(SIRS)である、請求項13記載の予防又は治療剤。
  15. 全身性炎症反応症候群(SIRS)が、敗血症及び細菌性髄膜炎からなる群より選択される少なくとも1種の細菌感染を伴う全身性炎症であるか、又は細菌感染を伴わない全身性炎症である、請求項14記載の予防又は治療剤。
  16. リンパ球のアポトーシスにより誘導される疾患が敗血症又は細菌性髄膜炎である、請求項13記載の予防又は治療剤。
  17. リンパ球のアポトーシスにより誘導される疾患が炎症性腸疾患である、請求項13記載の予防又は治療剤。
  18. 炎症性腸疾患が、クローン病又は大腸炎である、請求項17記載の予防又は治療剤。
  19. 大腸炎が、潰瘍性結腸炎、肉芽腫性結腸炎、虚血性結腸炎、放射性結腸炎及び感染性結腸炎からなる群より選択される少なくとも1種である、請求項18記載の予防又は治療剤。
  20. 制御性樹状細胞がヒト由来である、請求項13〜19のいずれか1項に記載の予防又は治療剤。
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