JP4919453B2 - 炎症性疾患の予防又は治療剤 - Google Patents
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一方、敗血症は、全身性炎症反応症候群(SIRS)の代表的なものであり、新生児ICU等における罹患率及び死亡率の主要な原因となっている。しかしながら現在のところ、敗血症を予防・治療するのに効果的な手段は存在しない。敗血症は菌体成分(例えばリポポリサッカライド(LPS))による宿主の免疫細胞、特にマクロファージの過剰な刺激によって、様々な炎症性サイトカインが産生されることによって発症する(非特許文献6〜8)。敗血症による致死に、増加したリンパ球の、特に胸腺でのアポトーシスが寄与し、このアポトーシスを妨害することにより敗血症マウスの生存率を改善できることを示した報告がある(非特許文献9)。さらにアデノウイルス導入により強制的にIL−10を発現させることにより敗血症(実験的)マウスの生存率が改善されることが報告されている(非特許文献10及び11)。
また、特許文献1には、ヒト免疫制御性樹状細胞の調製方法;ヒト免疫制御性樹状細胞を含む医薬組成物;移植片拒絶反応、移植片対宿主病、自己免疫疾患、アレルギー性疾患、関節リウマチ又は多発性硬化症の治療に用いるヒト免疫制御性樹状細胞を含む医薬組成物が開示されている。
〔2〕制御性樹状細胞がヒト由来である、上記〔1〕記載のIL−10産生促進剤。
〔3〕制御性樹状細胞を含む、炎症性サイトカインの過剰分泌により誘導される疾患の予防又は治療剤。
〔4〕炎症性サイトカインの過剰分泌により誘導される疾患が全身性炎症反応症候群(SIRS)である、上記〔3〕記載の予防又は治療剤。
〔5〕全身性炎症反応症候群(SIRS)が、敗血症及び細菌性髄膜炎からなる群より選択される少なくとも1種の細菌感染を伴う全身性炎症であるか、又は細菌感染を伴わない全身性炎症である、上記〔4〕記載の予防又は治療剤。
〔6〕炎症性サイトカインの過剰分泌により誘導される疾患が敗血症又は細菌性髄膜炎である、上記〔3〕記載の予防又は治療剤。
〔7〕炎症性サイトカインの過剰分泌により誘導される疾患が炎症性腸疾患である、上記〔3〕記載の予防又は治療剤。
〔8〕炎症性腸疾患が、クローン病又は大腸炎である、上記〔7〕記載の予防又は治療剤。
〔9〕大腸炎が、潰瘍性結腸炎、肉芽腫性結腸炎、虚血性結腸炎、放射性結腸炎及び感染性結腸炎からなる群より選択される少なくとも1種である、上記〔8〕記載の予防又は治療剤。
〔10〕制御性樹状細胞がヒト由来である、上記〔3〕〜〔9〕のいずれかに記載の予防又は治療剤。
〔11〕制御性樹状細胞を含む、アポトーシス抑制剤。
〔12〕制御性樹状細胞がヒト由来である、上記〔11〕記載のアポトーシス抑制剤。
〔13〕制御性樹状細胞を含む、リンパ球のアポトーシスにより誘導される疾患の予防又は治療剤。
〔14〕リンパ球のアポトーシスにより誘導される疾患が全身性炎症反応症候群(SIRS)である、上記〔13〕記載の予防又は治療剤。
〔15〕全身性炎症反応症候群(SIRS)が、敗血症及び細菌性髄膜炎からなる群より選択される少なくとも1種の細菌感染を伴う全身性炎症であるか、又は細菌感染を伴わない全身性炎症である、上記〔14〕記載の予防又は治療剤。
〔16〕リンパ球のアポトーシスにより誘導される疾患が敗血症又は細菌性髄膜炎である、上記〔13〕記載の予防又は治療剤。
〔17〕リンパ球のアポトーシスにより誘導される疾患が炎症性腸疾患である、上記〔13〕記載の予防又は治療剤。
〔18〕炎症性腸疾患が、クローン病又は大腸炎である、上記〔17〕記載の予防又は治療剤。
〔19〕大腸炎が、潰瘍性結腸炎、肉芽腫性結腸炎、虚血性結腸炎、放射性結腸炎及び感染性結腸炎からなる群より選択される少なくとも1種である、上記〔18〕記載の予防又は治療剤。
〔20〕制御性樹状細胞がヒト由来である、上記〔13〕〜〔19〕のいずれかに記載の予防又は治療剤。
制御性樹状細胞の投与対象への投与がリンパ球の胸腺でのアポトーシス抑制作用をもたらすことから、当該制御性樹状細胞はリンパ球のアポトーシス、特に胸腺でのアポトーシスにより誘導される疾患の予防又は治療剤として用いることができる。
実施例1:LPS刺激時のサイトカイン産生における比較
各種の樹状細胞を用いてLPS刺激によるサイトカイン産生に与える影響について調べた。
1.細胞調製
非特許文献4に準じて各種樹状細胞を調製した。雌性C57/BL6マウスあるいはBALB/cマウスから得られた骨髄細胞を、マウスGM−CSF(20ng/ml)で8日間培養することによって未成熟樹状細胞(iDC)を得た。成熟樹状細胞(mDC)は、iDCをLPS(1μg/ml)で2日間刺激することによって得た。制御性樹状細胞前駆細胞(pDCreg)は、雌性C57/BL6マウスから得られた骨髄細胞を、マウスGM−CSF(20ng/ml)、マウスIL−10(20ng/ml)及びヒトTGF−β1(20ng/ml)で8日間培養することによって得た。制御性樹状細胞は(DCreg)は、pDCregの集団をLPS(1μg/ml)で2日間処理することによって得た。
2.LPS刺激
上記で得られた各種樹状細胞(106細胞)を24穴プレート(Becton Dickinson,Franklin Lakes,NJ)に入れ、LPS(1μg/ml)で6時間又は24時間刺激した。対照にはLPSで刺激しなかったものを用いた。
3.サイトカイン測定
LPS刺激した(あるいはしていない)細胞の培養上清を回収しサイトカイン測定時迄−80℃で保存した。
培養上清中のサイトカインの測定は、それぞれのサイトカイン(TNF−α、IL−1β、IL−6、IL−12p40、IL−10)についてELISAキット(BioSource,International Camarillo,CA)を用いて測定した。
4.結果
結果を図1に示す。各データは2サンプルの平均±標準偏差で示した。同じ実験を4回繰り返したが同様の結果であった。
iDCをLPSで刺激すると顕著なTNF−α、IL−β、IL−6及びIL−12p40の産生増加を認めたが、pDCregにおけるこれらの炎症性サイトカインの産生は著しく低かった。mDCでは本質的にIL−6及びIL−12p40の産生量が多くTNF−α及びIL−βの産生量は低かった。加えて、mDCのIL−6及びIL−12p40産生量はiDCに比べると僅かに低い程度であったが、TNF−α及びIL−β産生量についてはmDCはiDCに比べ顕著に低かった。対照的にDCregではLPS誘導性の炎症性サイトカインの産生が見られなかった。IL−10についてはpDCreg及びDCregにおける産生量は他に比べて多かった。
実験的内毒素血症マウスにおけるLPS誘導性の炎症性サイトカイン産生における樹状細胞の効果について調べた。
1.サンプル調製
C57BL/6マウスを用いて実験的内毒素血症を誘発させた。各種樹状細胞(106細胞/マウス)を腹腔内投与して2時間後にLPS(1μg/マウス)とD−ガラクトサミン(D−GalN;10mg/マウス)との混合物を腹腔内投与してマウスにLPS誘導性の内毒素血症を誘発した。LPS投与後所定の時間で、内毒素血症を誘発させたD−GalN感作マウスから血液を採取した。血液から血清を回収しサイトカイン測定時迄−80℃で保存した。
2.サイトカイン測定
実施例1と同様にしてそれぞれのサイトカインのELISAキットを用いて測定した。
3.結果
結果を図2に示す。各データは2サンプルの平均±標準偏差で示した。同じ実験を4回繰り返したが同様の結果であった。
D−GalNで感作されたマウスに低用量のLPS(1μg/マウス)を投与することによって血清中のTNF−α、IL−β、IL−6及びIL−12p40濃度の一過的な上昇を誘導した。LPSを投与する2時間前にmDCを1回投与すると血清中のTNF−α、IL−β及びIL−6の産生が僅かに減少した。一方で、この処置によって血清中のIL−12p40の産生は増加した。対照的にDCregの1回投与は血清中のLPS誘導性の炎症性サイトカイン産生を顕著に抑制しIL−10の産生を増強した。
インビボでの炎症性応答における制御性樹状細胞の役割を明確にするために、本発明者らは実験的内毒素血症及び細菌性腹膜炎によって誘発された敗血症における制御性樹状細胞の効果を調べた。
1.内毒素血症及び細菌性腹膜炎モデルの作成
内毒素血症及び細菌性腹膜炎を誘発させるためにC57BL/6マウスを用いた。各種濃度の樹状細胞(105〜106細胞/マウス)を腹腔内投与して2時間後に低用量のLPS(1μg/マウス)とD−GalN(10mg/マウス)との混合物を腹腔内投与し(実験的内毒素血症)、あるいは高用量のLPS(1mg/マウス)を腹腔内投与し(内毒素血症)、2時間後に各種樹状細胞(106細胞/マウス)を腹腔内投与して、マウスにLPS誘導性の内毒素血症を誘発した。細菌性腹膜炎を誘発させるためには、熱殺菌(95℃、30分間)した大腸菌(E.coli DH5α、Invitrogen Corp.,Carlsbad,CA;5×108細胞/マウス)を腹腔内投与してから2時間後に各種樹状細胞(106細胞/マウス)を腹腔内投与した。
2.生存率の測定
生存率は、48時間(D−GalN感作による内毒素血症及び細菌性腹膜炎)あるいは1日1回6日間(内毒素血症)、モニタリングした。
3.結果
結果を図3に示す。同じ実験を4回繰り返したが同様の結果であった。
低用量のLPSを投与する2時間前にmDCを単回投与することによって、D−GalN感作マウスにおける致死率が僅かに減少した(図3a)。対照的にLPSを投与する2時間前にDCregを単回投与した場合にはD−GalN感作マウスにおけるLPS誘導性致死からは強く保護され、保護効果は濃度依存的であった(図3b)。内毒素血症に対するDCregの治療効果を調べる為に、マウスに高用量のLPS(マウスあたり1mg)を投与しDCregで処理し生存期間をモニタリングした(図3c)。LPS投与して2時間後にDCregを1回投与することによってマウスの生存期間は顕著に延長されたが、mDCによる処理では効果はなかった。著者らはまた、細菌性腹膜炎による致死に対するDCregの治療効果を調べた(図3d)。熱殺菌した大腸菌を投与して2時間後にmDCではなくDCregでマウスを処置することにより、生存期間が著しく延長した。
制御性樹状細胞による炎症反応の抑制の基礎となるメカニズムを明らかにするために、LPSによって誘導されるマクロファージにおけるTNF−α及びIL−12p40の産生に及ぼす各種樹状細胞の影響を調べた。
1.細胞の調製
mDC及びDCregは実施例1に準じて調製した。
マクロファージは以下のようにして調製した。C57/BL6マウスに1%チオグリコレート(DIFCO Becton Dickinson, Sparks,MD)1mLを腹腔内投与し、4日後、腹腔から腹腔滲出細胞(PEC)を単離した。PECをビオチニル化抗CD11bモノクローナル抗体とIMag Streptoavidin Particles Plus−DM(BD Bioscience)とを用いて選別した。
IL−10ノックアウトマウス(IL−10KOマウス;Kuhn R, Lohler J, Rennick D, Rajewsky K, Muller W. Interleukin-10-deficient mice develop chronic enterocolitis. Cell. 1993 Oct 22;75(2):263-74.)由来の樹状細胞は、以下のようにして調製した。IL−10KOマウスから得られた骨髄細胞を、マウスGM−CSF(20ng/ml)で8日間培養することによって未成熟樹状細胞(iDC)を得た。成熟樹状細胞(mDC)は、iDCをLPS(1μg/ml)で2日間刺激することによって得た。制御性樹状細胞前駆細胞(pDCreg)は、IL−10KOマウスから得られた骨髄細胞を、マウスGM−CSF(20ng/ml)、マウスIL−10(20ng/ml)及びヒトTGF−β1(20ng/ml)で8日間培養することによって得た。制御性樹状細胞(DCreg)は、pDCregの集団をLPS(1μg/ml)で2日間処理することによって得た。
IL−10KOマウス由来のmDCをmDC(IL−10KO)、DCregをDCreg(IL−10KO)とそれぞれ称する。
2.LPS刺激
実施例1と同様にしてmDC及びDCregをLPS(1μg/ml)で24時間刺激した。またマクロファージ(106細胞)を、樹状細胞(mDC又はDCreg;2×105〜106)、コントロールIg(10μg/mL:Chemicon International,Temecula,CA)あるいは抗IL−10抗体(10μg/mL:R&D Systems,Minneapolis,MN)の存在下又は非存在下、LPS(1μg/ml)で24時間刺激した。
3.サイトカイン測定
LPS刺激した(あるいはしていない)細胞の培養上清を回収し測定時迄−80℃で保存した。培養上清中のサイトカインの測定は、実施例1と同様にしてそれぞれのサイトカインのELISAキットを用いて測定した。
4.結果
結果を図4に示す。データは2サンプルの平均値±標準偏差で示し、4回実験を行って同様の同様の結果を得た。
マクロファージをLPSで刺激するとmDCあるいはDCregを刺激した場合よりよりTNF−αの産生量が多かった(図4a)。一方、mDCにおけるLPS誘導性のIL−12p40の産生はマクロファージやDCregのそれに比べて多かった(図4b)。LPS刺激したマクロファージにmDCを添加すると、LPS刺激されたマクロファージによって産生される場合に比べてTNF−αの産生量が減少し(図4a)、一方、mDCの添加はIL−12p40の産生を増強した(図4b)。対照的に、LPS刺激したマクロファージにDCregを添加した場合にはTNF−αの産生もIL−12p40の産生も顕著に抑制された(図4a,4b)。
上記の知見及び実施例1(図1)よりDCregがLPSに応答して優先的にIL−10を産生したことが示唆される。そこで、LPSによって誘導されるマクロファージによるTNF−α及びIL−12p40産生のDCreg介在性の抑制効果におけるIL−10の役割について調べた。マクロファージ及びmDCをコントロールIgではなく抗IL−10抗体で処理したところTNF−α及びIL−12p40のLPS誘導性の産生が僅かに増強された(図4a,4b)。一方、抗IL−10抗体での処理は、LPS刺激されたマクロファージによるTNF−α及びIL−12p40の産生に及ぼすDCregの抑制効果を大きく阻害した(図4a,4b)。それらの抑制効果における、DCregによって分泌されたIL−10の直接的な役割を調べる為に、IL−10KOマウス由来DCregの、LPS刺激されたマクロファージによるTNF−α及びIL−12p40の産生における効果を調べた(図4c,4d)。mDCとmDC(IL−10KO)では同様なTNF−α及びIL−12p40を産生する能力が見られた。一方、DCreg(IL−10KO)ではLPSに応答したこれらの炎症性サイトカインの、DCregに比べて高い産生を示した。このことは、DCregによるIL−10のオートクリン産生が炎症性サイトカインの産生の欠損に部分的に関与しているということを示唆している。さらに、DCreg(IL−10KO)ではDCregに比べてLPS誘導性の炎症性サイトカイン産生に対する抑制効果が弱かった。
盲腸結紮穿刺(CLP)によって誘発させた,より臨床に近いモデルである複数細菌性敗血症(非特許文献7)に対するDCregの治療効果を評価した。
1.盲腸結紮穿刺(CLP)
C57BL/6マウスをペントバルビタール(1mg/マウス、i.p.)で麻酔し、腹部正中線を小さく切り開いて盲腸を露出させた。盲腸を切断、結紮し、18Gの針で1回、両表面に孔を開けた後腹部を閉じた。
2.樹状細胞の投与
CLP処置6時間後に、各種樹状細胞(106細胞/マウス)を、コントロールIg(1mg/マウス)あるいは抗IL−10抗体(1mg/マウス)と組み合わせて、あるいは単独で投与した(図5a,図5b)。また、別にIL−10KOマウス由来の樹状細胞(106細胞/マウス)をCLP処置マウスに腹腔内投与した(図5c)。IL−10KOマウス由来の樹状細胞であるmDC(IL−10KO)及びDCreg(IL−10KO)は実施例4に準じて調製した。
3.生存率の測定
生存率は、1日1回6日間、モニタリングした。
4.結果
結果を図5に示す。同じ実験を4回繰り返したが同様の結果であった。CLP6時間後でさえDCregを単回投与することによりCLPによる致死に対して保護効果があった。一方でmDCを用いた処置では効果がなかった(図5a)。
さらにCLPによって誘導される致死に対するDCregの保護効果におけるIL−10の役割を調べた。DCregのみを投与したCLP処置マウスに比べて、DCregと抗IL−10抗体(対照イムノグロブリンではない)とを同時に投与することにより生存期間が短縮された(図5b)。さらにDCreg(IL−10KO)は、通常マウス由来のDCregに比べてCLP誘導性の致死に対する保護効果が弱いことが示された(図5c)。
胸腺でのリンパ球のアポトーシスが敗血症による致死に関与しているということ、アポトーシスの妨害が敗血症マウスの生存を改善するということが報告されている(非特許文献9)。一方、外因性のIL−10の全身投与とは異なり、胸腺におけるアデノウイルス導入性のIL−10の局所産生及びリンパ節ドレインが実験的敗血症マウスの生存を改善し、この生存における改善が、Bcl−2発現の増強及びカスパーゼ3活性の減少を通じたT細胞アポトーシスの抑制と関連していることが報告されている(非特許文献10及び11)。
本実施例では、CLP処置したマウスにおける敗血症誘導性の胸腺細胞のアポトーシスを調べた(図6a,6b)。
1.胸腺アポトーシスの検出
CLP処置24時間後に胸腺組織切片から胸腺細胞を調製した。胸腺細胞の総数をトリパンブルー色素排除法によって測定し、胸腺細胞のアポトーシスをアネキシン V−FITCアポトーシス検出キット(R&D Systems)を用いて測定した。
2.T細胞増殖及びサイトカイン産生
正常マウスあるいはCLP処置したマウス(CLP処置24時間後)由来のCD4+T細胞(105)を、BALB/cマウスから得た放射線照射(線源137Cs、15Gy、Gammacell 40 Exactor,MDS Nordion,Ontario,Canada)した同種異系のmDCと一緒に96穴プレート(Becton Dickinson)で培養した。3日目の最後18時間に[3H]チミジンの取り込みを測定した。サイトカインの測定のために培養上清を回収し、測定時迄−80℃で保存した。
CD4+T細胞を、C57/BL6マウスの脾臓単核細胞からmouse CD4 T lymphocyte Enrichment Set−DM(BD Bioscience San Diego,CA)を用いてネガティブ選択した。
3.結果
胸腺細胞の顕著な減少及び目立った胸腺細胞のアポトーシスがCLPのあと何も処理しなかったマウスでは観察された。加えて、mDCではなく、DCregで処理した場合、CLP処置マウスにおける胸腺細胞の減少及び胸腺細胞のアポトーシスが改善された。
敗血症によって引き起こされた全身性の炎症性応答が、敗血症症候群に見られる全体的な免疫抑制を導く宿主のT細胞免疫応答に影響を与えると仮定された。さらに、CLP処置マウスにおいてCD4+T細胞が増殖しサイトカインを産生する能力を調べた(図6c,6d)。CLP処置2日後の未処理マウス並びにmDC投与処理マウス由来のCD4+T細胞は、同種異系のmDCで刺激した際の増殖応答及びIL−2及びIFN−γの著しい減少を示した。対照的にDCregは、CD4+T細胞の増殖能力及びサイトカイン産生能力の敗血症による低下を抑制した。従って、DCregによる宿主の急性炎症性応答の抑制は敗血症によって誘導される胸腺アポトーシス及びCD4+T細胞の機能障害の抑制に貢献し、そうして敗血症ショックに対する保護効果を誘導するのかもしれない。
Claims (10)
- 制御性樹状細胞を含む、全身性炎症反応症候群(SIRS)の予防又は治療剤であって、該制御性樹状細胞は、単球を含む細胞をGM−CSF、IL−10及びTGF−βの存在下で培養し、さらにLPSの存在下で培養することによって得られたものである、予防剤又は治療剤。
- 全身性炎症反応症候群(SIRS)が、敗血症及び細菌性髄膜炎からなる群より選択される少なくとも1種の細菌感染を伴う全身性炎症であるか、又は細菌感染を伴わない全身性炎症である、請求項1記載の予防又は治療剤。
- 制御性樹状細胞がヒト由来である、請求項1又は2記載の予防又は治療剤。
- IL−10産生を促進する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の予防又は治療剤。
- アポトーシスを抑制する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の予防又は治療剤。
- 以下の(1)及び(2)の工程を含む、全身性炎症反応症候群(SIRS)の予防又は治療剤の製造方法:
(1)単球を含む細胞をGM−CSF、IL−10及びTGF−βの存在下で培養し、さらにLPSの存在下で培養して、全身性炎症反応症候群(SIRS)の予防又は治療作用を有する制御性樹状細胞を得る工程、
(2)前記制御性樹状細胞を剤中に含有させる工程。 - 全身性炎症反応症候群(SIRS)が、敗血症及び細菌性髄膜炎からなる群より選択される少なくとも1種の細菌感染を伴う全身性炎症であるか、又は細菌感染を伴わない全身性炎症である、請求項6記載の方法。
- 制御性樹状細胞がヒト由来である、請求項6又は7記載の方法。
- 予防又は治療剤がIL−10産生を促進する、請求項6〜8のいずれか1項に記載の方法。
- 予防又は治療剤がアポトーシスを抑制する、請求項6〜9のいずれか1項に記載の方法。
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