JP2004297707A - 電気音響変換再生器とその非線形歪低減方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】音信号は補聴器のマイクロホン1により電気信号に変換され、A/D変換器2によりディジタル信号に変換された後、補聴器を使う難聴者の特性に合わせた聴覚補正フィルタ3に入力される。この後、信号は本発明に係るアダプティブ位相可変フィルタ4に印加される。ここで、アダプティブ位相可変フィルタは、位相変化により信号のピーク値を低減するフィルタである。フィルタ4でピーク値を低減された後、D/A変換器5によりアナログ信号に変換され小型のイヤホン6に入力され音信号に変換される。
【選択図】 図10
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電気音響変換再生器とその非線形歪低減方法に関し、特に補聴器のような小型の電気音響変換再生器とその非線形歪低減方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
現在、様々な機器の小型化が進行している。電気音響関連では、補聴器、携帯電話、ノートパソコン、小型テープ再生器などに搭載するためにスピーカ、ヘッドフォン、イヤホンが小型化されている。特に、小型化が著しい補聴器では、重度難聴者のために大きな増幅率を持つ増幅器とイヤホン、および信号処理装置が一体となった装置が耳に入ってしまうほどの大きさになっている。
【0003】
しかしながら、これらの電気音響再生器の原理はあまり進歩しておらず、小型化によって、非線形歪が増加することが知られている(例えば、非特許文献1参照)。さらに、一般的な補聴器は高周波領域の増幅率を大きくする処理を行っているため、高周波領域におけるイヤホンの非線形歪が問題となる。このような非線形性により、信号に含まれない周波数に歪が発生し、ある周波数範囲では、元々の信号よりも歪の方が大きくなることもある。図1に実際の補聴器に、広帯域複合音を入力した場合の非線形ひずみ率を示す。入力レベルが70dBSPL(sound pressure level)を超えると、急激に歪が増大することが分かる。この歪により使用者には非常に大きな音が入力されるとうるさく、不快に感じられる。
【0004】
このような非線形歪の低減法としては、従来より、難聴者の狭いダイナミックレンジに合わせて信号の振幅を圧縮する手法(例えば、非特許文献2参照)、電気音響変換器の非線形特性を測定してその逆フィルタあるいはそれと等価なフィルタを使って歪を低減する方法(例えば、非特許文献3参照)が提案されている。
【0005】
【非特許文献1】
信学技報 TECHNICAL REPORT OF IEICE. SP2001−153(2002−03) pp.59−65
【非特許文献2】
信学技報 TECHNICAL REPORT OF IEICE. EA2001−48(2001−9) pp.23−30
【非特許文献3】
日本音響学会誌 56巻6号 (2000), pp.384−395
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上記のこれまでの方法のうち、信号の振幅圧縮は、大きな信号に対し増幅率を下げる非線形処理を行うものであるが、この方法では、非線形処理により信号のパワースペクトルが変化するとともに信号以外の周波数成分に不要な信号成分が発生する。特に、多くの補聴器では、高域成分の増幅率を大きくしているため、聴覚上感度の良い中低域において、信号に対する歪のレベルが大きくなってしまう恐れがある。
【0007】
電気音響変換器の非線形特性を測定してその逆フィルタあるいはそれと等価なフィルタを使って歪を低減する方法では、電気音響変換器の非線形特性を測定しなければならないが、非線形特性は入力される信号の大きさ、周波数に依存し、これを測定するには極めて時間がかかり、その処理は膨大なものになる。また、電気音響変換器の種類によって、非線形特性が異なるため、使用する変換器に応じて非線形特性を測定しておかなければならない。従って、コストダウンの激しい現在の小型音響機器にこのような方法を適用することは現実的ではない。
本発明の課題は、上述した従来技術の問題点を解決することであって、その目的は、信号の線形処理のみにより、小型電気音響変換器の非線形歪を低減できるようにすることである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、本発明によれば、入力アナログ信号を正弦波信号に分解する周波数分解手段と、形成された正弦波信号の中の1または複数の周波数の信号の位相を所定の角度移相する移相手段と、正弦波信号を合波する合波信号形成手段と、合波信号のピーク値を検出するピーク値検出手段と、複数の合波信号の中からピーク値の低い合波信号を選択して出力する低ピーク値信号選択手段と、アナログ信号を機械的な振動に変換する音響変換器と、を有する電気音響変換再生器、が提供される。
そして、好ましくは、前記周波数分解手段が、高速フーリエ変換(FFT)を行うフーリエ変換手段であり、前記合波信号形成手段が、逆高速フーリエ変換(IFFT)を行う逆フーリエ変換手段である。
また、上記の目的を達成するため、本発明によれば、入力ディジタル信号を特定のフィルタ係数に従って通過させる全波パスフィルタと、全波パスフィルタを通過した信号のピーク値を検出するピーク値検出手段と、異なるフィルタ係数の全波パスフィルタを通過した複数の信号の中からピーク値の低い信号を選択する低ピーク値信号選択手段と、ディジタル信号をアナログ信号に変換するD/A変換器と、アナログ信号を機械的な振動に変換する音響変換器と、を有する電気音響変換再生器、が提供される。
そして、好ましくは、前記全波パスフィルタは、FIRフィルタまたはIIRフィルタである。
【0009】
また、上記の目的を達成するため、本発明によれば、入力された入力アナログ信号を正弦波信号に分解する周波数分解過程と、形成された正弦波信号の中の1または複数の周波数の信号の位相を所定の角度移相する移相過程と、正弦波信号を合波する合波信号形成過程と、合波信号のピーク値を検出するピーク値検出過程と、複数の合波信号の中からピーク値の低い合波信号を選択して出力させる低ピーク値信号選択過程と、アナログ信号を機械的な振動に変換する音響変換過程と、を有する電気音響変換再生器の非線形歪低減方法、が提供される。
また、上記の目的を達成するため、本発明によれば、入力された入力ディジタル信号を、特定のフィルタ係数に設定された全波パスフィルタを通過させて変調を加える変調過程と、全波パスフィルタを通過した信号のピーク値を検出するピーク値検出過程と、異なるフィルタ係数の全波パスフィルタを通過した複数の信号の中からピーク値の低い信号を選択して出力させる低ピーク値信号選択過程と、ディジタル信号をアナログ信号に変換するD/A変換過程と、アナログ信号を機械的な振動に変換する音響変換過程と、を有する電気音響変換再生器の非線形歪低減方法、が提供される。
【0010】
[作用]
本発明は、人間の聴覚特性を使用し、入力された信号のピーク値を信号処理によって低減し、電気音響変換再生器の非線形歪を低減しようとするものである。具体的には、人間の聴覚が位相の変化に対し鈍感であることを用いて、信号の位相成分のみを変化させて電気音響変換再生器に入力する信号のピーク値を低減し、非線形歪を低減させる。この方法は、信号の位相成分のみを変化させパワースペクトルを変化させないため、音質の変化が小さい。
【0011】
この方法は、信号のピーク値を位相制御のみで下げることにより非線形歪を低減するものであるから、電気音響変換再生器の非線形特性の測定を必要としない。また、線形処理であるからこの処理によって従来信号に含まれていなかった周波数成分は発生しない。さらに、ディジタル信号処理部のハードウェア化によりコストダウンと小型化が可能であるという特徴を持つ。
【0012】
図2は、本発明の原理を説明するための波形図である。音のような信号は、一般に多数の正弦波の重ね合わせで与えられる。始めの元波形が図2(a)に与えられた波形とする。この波形を分解した正弦波も同図に示してある。すなわち、元波形は、正弦波A、B、C、Dに分解可能である。この各正弦波の位相のみを変化させそれらの正弦波を合成すると図2(b)のような波形が得られる。図2の(a)と(b)を比較すると合成波形のピーク値が図2(b)の場合は図2(a)に比較して3/4に減少していることが分かる。
ここで、図2(a)の波形が図1の特性を有する補聴器に80dBSPLに対応するレベルで入力されたとすると、この補聴器は約 −7 dBの大きな歪を発生する。一方、図2(b)の波形が入力された場合、ピーク値は約2.5dB低下しているため、歪は約6〜7 dB低下する。
【0013】
以上のように、音信号を分解した時に得られる各正弦波成分の位相を適切に変化させることにより、ピーク値を低減することができ、したがって大信号入力時の非線形歪を低減することができる。この方法は、特に衝撃的な音に対し有効である。一方、純粋な正弦波のような持続的な音に対してはあまり有効では無い。ただし、純粋な正弦波のような音は自然界にはあまり存在しない。
【0014】
この方法では、位相の変化があまり大きくない場合は、先に述べたように人間の聴覚が位相変化に比較的鈍感であることから、音質変化は少ない。また、線形処理であるため、この処理によって、信号成分以外の成分を発生する恐れが無い。また、信号処理のみで歪を低減しようとするものであるから、電気音響変換器の変換特性を測定する必要も無い。さらに、LSI化が可能であり、大量生産によるコストダウンが可能である。
【0015】
本発明の装置および方法の有効性を実証するために、5つの正弦波の合成からなる信号を実際に補聴器に入力して、歪を測定した。入力信号の合成に用いた正弦波の周波数は、それぞれ880 Hz、1320 Hz、1760 Hz、2200 Hz、2640 Hzである。この実証例では、5つの正弦波の位相をピークが最大になるように調整した信号〔図3(a)〕、およびピークが最小になるように調整した信号〔図3(b)〕を補聴器に入力し、補聴器からの出力音を測定した。図4に入力信号のパワースペクトルを示す。図4(a)は、図3(a)の信号のパワースペクトル、図4(b)は、図3(b)の信号のパワースペクトルである。当然、どちらの信号のパワースペクトルも同じになる。また、線形性の良い電気音響変換器に双方の信号を入力した場合、音色の違いはほとんど分からない。
【0016】
図5にそれぞれの入力信号に対する補聴器の出力音信号のパワースペクトルを示す。図5(a)は、図3(a)の信号を入力した場合のパワースペクトル、図5(b)は、図3(b)の信号を入力した場合のパワースペクトルである。いずれも、入力信号レベルを80dBSPL(実行値)になるようにして入力した場合の測定結果である。信号に含まれる5つの周波数成分以外に非線形歪により多くの周波数成分が発生しているのが分かる。この歪による不要周波数成分(すなわち、880 Hz、1320 Hz、1760 Hz、2200 Hz、2640 Hz以外の周波数成分)の全てが、図5(a)に対し、図5(b)の方が小さくなっている。特に、高度難聴者に重要な低域に出ている歪成分(440 Hz)では、図5(b)の方が図5(a)に比較して約10 dB小さくなっている。
【0017】
図5に示した結果から、位相の調整のみで、音色をあまり変化させずに、非線形歪を減少させることが可能であることを実証できた。
さて、このように音信号を構成する正弦波の位相を変化させ、音信号のピーク値を低減し、電気音響変換器の非線形歪を低減するためのフィルタを、本願明細書においてはアダプティブ位相可変フィルタと呼ぶ。
【0018】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。本発明の重要な構成はアダプティブ位相可変フィルタ部にあり、その余の構成は特別従来例と変わるところはないので、第1〜第4の実施の形態では、アダプティブ位相可変フィルタ部についてのみ説明する。
図6は、本発明の第1の実施の形態を示す概略構成図である。電気信号に変換された波形は高速フーリエ変換(FFT: Fast Fourier Transform)により、各正弦波成分に分解される。この正弦波の位相のみを変化させ、逆高速フーリエ変換(IFFT: Inverse Fast Fourier Transform)により、波形が合成される。この合成波のピーク値が最小になるまで、位相変化、IFFTを繰り返す。実際には、ある程度ピーク値が低減したところで、処理を打ち切り、その合成信号を電気音響変換器に出力する。ここで、純粋な正弦波のような持続音に対しては処理を行わないようにしてもよい。これはFFTを行った場合、基本正弦波に対して、他の成分の振幅は極端に小さいことを検出することにより判断できる。
また、入力信号のピーク値のレベルを監視して、ある一定レベル以下である場合にも処理を行わないようにしてもよい。
【0019】
本発明の方法においては、処理はある時間窓(例えば20msec)で信号を区切って処理が行われる。このとき、窓と窓の間の信号のつなぎ目で不連続が起こらないような処理が必要である。具体的には、少しオーバーラップして処理を行い、ゼロをクロスする部分で信号を繋ぐ、あるいは切り換える。オーバーラップ部分でクロスフェードを行うなどの方法が考えられる。
処理を時間窓ごとに信号を区切って行うのは第2〜第4の実施の形態においても同様である。
【0020】
図7は、本発明の第2の実施の形態を示す概略構成図である。本実施の形態では、高速フーリエ変換(FFT)により各正弦波成分に分解された後、複数の経路において位相変化を受け逆高速フーリエ変換(IFFT)によりそれぞれ一つの信号波に合成される。それぞれの経路の位相変化条件は異なっている。各逆高速フーリエ変換後の信号のピーク値が検出され、その比較を行って最もピーク値が低くなる信号が選択され出力される。本実施の形態によれば、信号を並行して処理するため第1の実施の形態と比較して高速処理が可能である。
【0021】
図8は、本発明の第3の実施の形態を示す概略構成図である。本実施の形態では、音信号から変換されたディジタル信号をIIR(無限インパルス応答:Infinite Impulse Response)あるいはFIR(有限インパルス応答:Finite Impulse Response)ディジタル全帯域通過フィルタ(All Pass Filter)に印加し、そのフィルタ係数を出力信号のピーク値を低減するように信号に応じ調整する。本実施の形態においてもピーク値が最小になるまで、全帯域通過フィルタ通過を繰り返すが、実際には、ある程度ピーク値が低減したところで、処理を打ち切る。本実施の形態によれば、第1の実施の形態に比較して、処理が高速になる。
【0022】
図9は、本発明の第4の実施の形態を示す概略構成図である。本実施の形態では、音信号から変換されたディジタル信号をIIRフィルタまたはFIRフィルタからなる一群の全帯域通過フィルタに印加する。図8に示される第3の実施の形態との違いは、本実施の形態においては各フィルタの係数はそれぞれのフィルタで異なってはいるが、固定してあることである。このフィルタ群の中で最もピーク値の低い出力を選択し、電気音響変換器に入力する。この方法は、第2、第3の実施の形態の方法よりもさらに高速であり、補聴器や携帯電話などの実時間処理を要求される場合に有効である。
【0023】
図6あるいは図8に示す第1、第3の実施の形態の方法で位相変化、フィルタ係数をピーク値を最小にするように最適化させる方法としては、遺伝的アルゴリズムを用いるのが高速化のために適している。すなわち、いままで処理を行った時間窓の信号波形とそのピーク値を最小とする位相変化、フィルタ係数を記憶しておき、似た信号波形が入力された場合には、記憶されていた位相変化、フィルタ係数を用いるかあるいはその近辺で位相、フィルタ係数を変化させてピーク値が低くなる条件を探索する。
次に、上記のアダプティブ位相可変フィルタを実際に補聴器、携帯電話、ノート型パソコンに適用する実施の形態について説明する。
【0024】
図10は、補聴器に係る実施の形態の概略構成図である。音信号は補聴器のマイクロホン1により電気信号に変換される。この電気信号は、A/D変換器2によりディジタル信号に変換された後、補聴器を使う難聴者の特性に合わせた聴覚補正フィルタ3に入力される。この後、信号は本発明で提案するアダプティブ位相可変フィルタ4に印加され、ピーク値を低減された後、D/A変換器5によりアナログ信号に変換され小型のイヤホン6に入力され音信号に変換される。
【0025】
図11は、ディジタル方式の携帯電話に係る実施の形態の概略構成図である。通話信号は電波として携帯電話に受信される。この信号は復調器7により復調された後アダプティブ位相可変フィルタ4に印加される。このフィルタによりピーク値を低減された信号がD/A変換器5によりアナログ信号に変換され小型スピーカ8に印加され音信号に変換される。
【0026】
図12は、ノート型パソコンに係る実施の形態の概略構成図である。ノートパソコンのハードディスク、CDドライブあるいはメモリに記憶された音楽のようなディジタル信号がアダプティブ位相可変フィルタ4に印加される。このフィルタによってピーク値を低減された信号がD/A変換器5によりアナログ信号に変換され小型スピーカ8に印加され音信号に変換される。この実施の形態の場合、処理に比較的時間をかけられること、強力なCPUにより高速な計算が実行できることなどから上記の図6、図8図に示す第1、第3の実施の形態の方法が適用可能である。
【0027】
【実施例】
図13は、本発明の第1の実施例を説明するためのフローチャートである。これは、第1の実施の形態に係る本実施例である。まず、ステップS101において、時間窓毎に区切られた信号が取り込まれ、一時記憶される。ステップS102において、nが0に設定される。nは、位相変化量を決定するパラメータであって、位相変化量は例えばnx10°で与えられる。ステップS103において、入力された信号のピーク値が所定値を越えているか否かがチェックされ、越えていない場合にはステップS115へ移り、入力された信号は位相変化を受けることなくそのまま出力される。ステップS103において、ピーク値が所定値を越えている場合にはステップS104へ移り、ステップS104で信号は高速フーリエ変換により正弦波に分解され、ステップS105において各正弦波はnx10°だけ位相が移動された後、ステップS106において逆高速フーリエ変換により波形合成される。ステップS107において、合成された信号のピーク値が検出される。この検出されたピーク値をBとする。ステップS108では、nが0であるか否かがチェックされ、0である場合には、ステップS109へ進み、n値とステップS107にて検出されたピーク値とがメモリに記憶される。記憶されたピーク値をAとする。ステップS110において、n=n+1になされた後、ステップS105へ移る。ステップS108においてnが0でない場合には、ステップS111へ移り、ステップS107にて検出されたピーク値(B)とメモリに記憶されたピーク値(A)とが比較され、A>Bである場合にはステップS112においてn値とピーク値の書き換えが行われた後ステップS113へ移り、またA>Bでない場合には直ちにステップS113へ移り、nがインクリメントされる。ステップS114では、nが予め定められた値Nを越えたか否かがチェックされ、越えている場合にはステップS115へ進み、メモリに記憶されたn値に応じた位相変化を行った信号を出力し、ステップS116にてメモリをリセットして当該時間窓の信号に対する処理を終了する。ステップS114において、n>Nでない場合には、ステップS105へ戻る。
【0028】
図14は、本発明の第2の実施例を説明するためのフローチャートである。本実施例は、第1の実施の形態に係るものである。本実施例においては、分解された正弦波の内振幅の大きい正弦波のみが位相変化される。また、ピーク値の極小値が見出された場合には、位相変化処理回数が所定回数(N1)を越えたという条件の下でその極小値を生じさせた位相変化条件で位相変化させて信号を出力する。また、本実施例においては、位相変化処理が少なくともN1回行われ、そして、N2回を越えることのないように処理が行われる。
まず、ステップS201において、時間窓毎に区切られた信号が取り込まれ、一時記憶される。ステップS202において、nが0に設定される。nにより、ステップS203で信号は高速フーリエ変換により正弦波に分解され、ステップS204において分解された各正弦波の内、振幅の大きい方から複数個(例えば3個)の正弦波が位相変化を受ける正弦波として選択される。この選択された正弦波はステップS205においてそれぞれ例えばnx10°だけ位相が移動される。ステップS206において逆高速フーリエ変換により波形合成された後、ステップS207で、合成された信号のピーク値が検出される。この検出されたピーク値をBとする。ステップS208では、nが0であるか否かがチェックされ、0である場合には、ステップS209へ進み、n値とステップS207にて検出されたピーク値とがメモリに記憶される。記憶されたピーク値をAとする。ステップS210において、n=n+1になされた後、ステップS205へ移る。ステップS208においてnが0でない場合には、ステップS211へ移り、ステップS207において検出されたピーク値(B)とメモリに記憶されたピーク値(A)とが比較され、A>Bである場合には、ステップS212においてn値とピーク値の書き換えが行なわれた後、ステップS213においてnがインクリメントされる。次いで、ステップS214において、nが予め定められた値N2を越えたか否かがチェックされ、越えている場合にはステップS215へ進み、メモリに記憶されたn値に応じた位相変化を行った信号を出力し、ステップS216にてメモリをリセットして当該時間窓の信号に対する処理を終了する。ステップS214において、n>N2でない場合には、ステップS205へ戻る。ステップS211において、A>Bでない場合にはステップS217へ移りnがインクリメントされた後、ステップS218においてnが予め定められた値N1を越えたか否かがチェックされる。越えている場合にはステップS215へ進み、越えていない場合にはステップS205へ戻る。
【0029】
図15は、本発明の第3の実施例を説明するためのフローチャートである。本実施例は、第3の実施の形態に係るものである。まず、ステップS301において、時間窓毎に区切られた信号が取り込まれ、一時記憶される。ステップS302において、nが0に設定される。nは、FIRフィルタのフィルタ係数を決定するパラメータとして用いられる。ここで、nが0であるときFIRフィルタに入力された信号は変化を受けることなくそのまま通過する。ステップS303において、入力された信号はFIRフィルタを通過する。このとき、FIRフィルタはn値に対応したフィルタ係数の状態にある。次いで、ステップS304において信号のピーク値が検出される。この検出されたピーク値をBとする。ステップS305では、nが0であるか否かがチェックされ、0である場合には、ステップS306へ進み、n値とステップS304にて検出されたピーク値とがメモリに記憶される。記憶されたピーク値をAとする。ステップS307において、n=n+1になされた後、ステップS303へ移る。ステップS305においてnが0でない場合には、ステップS308へ移り、ステップS304において検出されたピーク値(B)とメモリに記憶されたピーク値(A)とが比較され、A>Bである場合には、ステップS309においてn値とピーク値の書き換えが行なわれた後、ステップS310においてnがインクリメントされる。次いで、ステップS311において、nが予め定められた値N2を越えたか否かがチェックされ、越えている場合にはステップS312へ進み、メモリに記憶されたn値に応じたフィルタ係数のFIRフィルタを通過した信号を出力し、ステップS313にてメモリをリセットして当該時間窓の信号に対する処理を終了する。ステップS311において、n>N2でない場合には、ステップS303へ戻る。ステップS308において、A>Bでない場合にはステップS314へ移りnがインクリメントされた後、ステップS315においてnが予め定められた値N1を越えたか否かがチェックされる。越えている場合にはステップS312へ進み、越えていない場合にはステップS303へ戻る。
FIRフィルタに代えIIRフィルタを用いてもよい。
【0030】
以上好ましい実施の形態、実施例について説明したが、本発明はこれらの実施の形態、実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において適宜の変更が可能なものである。
なお、本発明に係るアダプティブ位相可変フィルタに信号を入力するにあたり、大きな効果を得るためには、低周波の成分を予めハイパスフィルタなどにより除いておくことが重要である。元々、小型電気音響変換器により、低周波を再生することは困難であり、また、無理に再生しようとすれば大きな歪を生じてしまう。小型電気音響変換器の歪を低減するために低域成分を取り除くことは一般的である。
【0031】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明は、位相制御によって信号のピーク値を下げるものであるので、電気音響再生器の非線形特性の測定を必要とすることなくまた信号のパワースペクトルを変化させることなく、電気音響再生器の非線形歪を低減することができる。したがって、本発明によれば、音質を低下させることなく、小規模のハードウエアで非線形歪の低い小型の電気音響変換再生器を安価に提供することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】補聴器の入力レベルと出力レベルおよび非線形歪率との関係を示すグラフ。
【図2】本発明の原理を説明するための、位相変化による信号ピーク値の低減例を示すグラフ。
【図3】本発明の装置および方法の有効性を実証するために用いた信号の波形図。
【図4】図3のそれぞれの信号のパワースペクトル。
【図5】図3の信号を補聴器に入力した時の出力音のパワースペクトル。
【図6】本発明の第1の実施の形態のアダプティブ位相可変フィルタの概略構成図。
【図7】本発明の第2の実施の形態のアダプティブ位相可変フィルタの概略構成図。
【図8】本発明の第3の実施の形態のアダプティブ位相可変フィルタの概略構成図。
【図9】本発明の第4の実施の形態のアダプティブ位相可変フィルタの概略構成図。
【図10】本発明を補聴器へ適用した実施の形態を示す概略構成図。
【図11】本発明を携帯電話へ適用した実施の形態を示す概略構成図。
【図12】本発明をノートパソコンへ適用した実施の形態を示す概略構成図。
【図13】本発明の第1の実施例のアダプティブ位相可変フィルタの動作を説明するためのフローチャート。
【図14】本発明の第2の実施例のアダプティブ位相可変フィルタの動作を説明するためのフローチャート。
【図15】本発明の第3の実施例のアダプティブ位相可変フィルタの動作を説明するためのフローチャート。
【符号の説明】
1 マイクロホン
2 A/D変換器
3 聴覚補正フィルタ
4 アダプティブ位相可変フィルタ
5 D/A変換器
6 イヤホン
7 復調器
8 小型スピーカ
Claims (15)
- 入力アナログ信号を正弦波信号に分解する周波数分解手段と、形成された正弦波信号の中の1または複数の周波数の信号の位相を所定の角度移相する移相手段と、正弦波信号を合波する合波信号形成手段と、合波信号のピーク値を検出するピーク値検出手段と、複数の合波信号の中からピーク値の低い合波信号を選択して出力する低ピーク値信号選択手段と、アナログ信号を機械的な振動に変換する音響変換器と、を有する電気音響変換再生器。
- 前記周波数分解手段が、高速フーリエ変換(FFT)を行うフーリエ変換手段であり、前記合波信号形成手段が、逆高速フーリエ変換(IFFT)を行う逆フーリエ変換手段であることを特徴とする請求項1に記載の電気音響変換再生器。
- 入力ディジタル信号を特定のフィルタ係数に従って通過させる全波パスフィルタと、全波パスフィルタを通過した信号のピーク値を検出するピーク値検出手段と、異なるフィルタ係数の全波パスフィルタを通過した複数の信号の中からピーク値の低い信号を選択する低ピーク値信号選択手段と、ディジタル信号をアナログ信号に変換するD/A変換器と、アナログ信号を機械的な振動に変換する音響変換器と、を有する電気音響変換再生器。
- 前記全波パスフィルタが、FIRフィルタまたはIIRフィルタであることを特徴とする請求項3に記載の電気音響変換再生器。
- 入力アナログ信号または入力ディジタル信号を受ける入力部に低周波成分を除去するハイパスフィルタが配置されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の電気音響変換再生器。
- 入力された入力アナログ信号を正弦波信号に分解する周波数分解過程と、形成された正弦波信号の中の1または複数の周波数の信号の位相を所定の角度移相する移相過程と、正弦波信号を合波する合波信号形成過程と、合波信号のピーク値を検出するピーク値検出過程と、複数の合波信号の中からピーク値の低い合波信号を選択して出力させる低ピーク値信号選択過程と、アナログ信号を機械的な振動に変換する音響変換過程と、を有する電気音響変換再生器の非線形歪低減方法。
- ピーク値とそのピーク値を実現する位相変化条件を記憶するピーク値・位相変化条件メモリを備え、前記ピーク値検出過程と前記低ピーク値信号選択過程との間に、前記ピーク値検出過程において検出されたピーク値と前記ピーク値・位相変化条件メモリに記憶されたピーク値とを比較する比較プロセスと、前記比較プロセスにおいて前記ピーク値検出過程において検出されたピーク値の方が小さいことが判明した場合にはそのピーク値とそのピーク値を実現する位相変化条件とによって前記ピーク値・位相変化条件メモリの記憶内容を書き換える書換プロセスと、が挿入されることを特徴とする請求項6に記載の電気音響変換再生器の非線形歪低減方法。
- 前記低ピーク値信号選択過程においては、前記ピーク値・位相変化条件メモリに記憶された位相変化条件に従った条件により位相変化された信号を出力することを特徴とする請求項7に記載の電気音響変換再生器の非線形歪低減方法。
- 前記周波数分解過程においては単一の信号経路が設定され、前記移相過程、前記合波信号形成過程およびピーク値検出過程においては並行する複数の信号経路が設定されていることを特徴とする請求項6に記載の電気音響変換再生器の非線形歪低減方法。
- 入力された入力ディジタル信号を、特定のフィルタ係数に設定された全波パスフィルタを通過させて変調を加える変調過程と、全波パスフィルタを通過した信号のピーク値を検出するピーク値検出過程と、異なるフィルタ係数の全波パスフィルタを通過した複数の信号の中からピーク値の低い信号を選択して出力させる低ピーク値信号選択過程と、ディジタル信号をアナログ信号に変換するD/A変換過程と、アナログ信号を機械的な振動に変換する音響変換過程と、を有する電気音響変換再生器の非線形歪低減方法。
- ピーク値とそのピーク値を実現する変調条件を記憶するピーク値・位相変化条件メモリを備え、前記ピーク値検出過程と前記低ピーク値信号選択過程との間に、前記ピーク値検出過程において検出されたピーク値と前記ピーク値・位相変化条件メモリに記憶されたピーク値とを比較する比較プロセスと、前記比較プロセスにおいて前記ピーク値検出過程において検出されたピーク値の方が小さいことが判明した場合にはそのピーク値とそのピーク値を実現する変調条件とによって前記ピーク値・位相変化条件メモリの記憶内容を書き換える書換プロセスと、が挿入されることを特徴とする請求項10に記載の電気音響変換再生器の非線形歪低減方法。
- 前記低ピーク値信号選択過程においては、前記ピーク値・位相変化条件メモリに記憶された変調条件に従った条件により変調された信号を出力することを特徴とする請求項11に記載の電気音響変換再生器の非線形歪低減方法。
- 前記変調過程と前記ピーク値検出過程においては、並行する複数の信号経路が設定されていることを特徴とする請求項10に記載の電気音響変換再生器の非線形歪低減方法。
- 前記入力アナログ信号または前記入力ディジタル信号は、所定時間の時間窓単位に分割され時間窓単位で処理されることを特徴とする請求項6から13のいずれかに記載の電気音響変換再生器の非線形歪低減方法。
- 時間窓同士が時間的にオーバーラップしていることを特徴とする請求項14に記載の電気音響変換再生器の非線形歪低減方法。
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