JP2004297208A - 表面実装型圧電発振器 - Google Patents

表面実装型圧電発振器 Download PDF

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英文 畠中
Hiroyuki Miura
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Abstract

【課題】信頼性及び生産性に優れた表面実装型圧電発振器を提供する。
【解決手段】内部に圧電振動素子5が収容された容器体1の下面に複数個の第1接合電極8c及び複数個の電極パッド8bを形成するとともに、前記容器体1の下面に、電極パッド8bに対し導電性接合材11を介して電気的に接続される接続パッド7aを有した発振制御用のIC素子7と、前記第1接合電極8cに電気的に接続される第2接合電極9aを上面に有し、下面に外部端子9bが設けられた実装用基体6a,6bとを取着してなる表面実装型圧電発振器であって、前記容器体1及びIC素子7間の間隙に樹脂材12を充填させるとともに、該樹脂材12の外周部を前記実装用基体6a,6bの取着領域まで延在させて容器体1及び実装用基体6a、6b間の間隙に充填せしめる。
【選択図】図2

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、携帯用通信機器等の電子機器に用いられる表面実装型圧電発振器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、携帯用通信機器等の電子機器に圧電発振器が用いられている。
【0003】
かかる従来の圧電発振器としては、例えば図4に示す如く、下面に複数個の外部端子22が被着されている枠状基体21の上面に、内部に水晶振動素子等の圧電振動素子24が収容されている容器体23を取着させるとともに、前記枠状基体21の内壁面と容器体23の下面とで囲まれるキャビティ部25に前記圧電振動素子24の振動に基づいて発振出力を制御するIC素子26やコンデンサ等の電子部品素子27を配設し、これらのIC素子26や電子部品素子27を前記容器体23の下面に搭載した構造のものが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
尚、前記容器体23は、その内部に収容されている圧電振動素子24を大気と遮断して気密封止するためのものであり、電気絶縁性材料から成る基板の上面にシールリングを、該シールリングの内側に圧電振動素子24をそれぞれ取着させ、前記シールリングの上面に金属製の蓋体をシーム溶接(抵抗溶接)等で接合することによって圧電振動素子24が収容される空間を気密封止している。
【0005】
また、このような容器体23の基板や上述した枠状基体21は、通常、アルミナセラミックスやガラス−セラミック等のセラミック材料によって一体的に形成されており、その内部及び表面には配線導体が形成され、従来周知のセラミックグリーンシート積層法等を採用することによって製作されていた。
【0006】
【特許文献1】
特開2000―151283号公報(図2、図5)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した従来の表面実装型圧電発振器においては、IC素子26の接合部が容器体23の下面と枠状基体21の内壁面とで完全に囲まれており、しかも容器体23及び枠状基体21は間に隙間が設けられることなく一体的に形成されていることから、IC素子26としてフリップチップ型のIC素子を用いる場合には、IC素子26の接続パッドを容器体下面の対応する電極パッドに半田等の導電性接合材で接合させる際、外部からの熱がIC素子26−容器体23間の導電性接合材に伝達されにくく、IC素子26の搭載作業に長時間を要したり、容器体23に対するIC素子26の接合強度が不足気味になる等の不都合があり、これによって表面実装型圧電発振器の信頼性及び生産性の低下を招く欠点を有していた。
【0008】
更に上述した従来の表面実装型圧電発振器においては、容器体23と枠状基体21とがセラミック材料により一体成形されていることから、かかる一体成形物をセラミックグリーンシート積層法等によって製作する際、セラミックグリーンシートの積層数が多くなることに起因してセラミックグリーンシート同士の位置合わせに困難を要したり、焼成後に反りを生じたりすることがあり、また上述の一体成形物は構造が複雑で取り扱いにくいことから、容器体23の内部に圧電振動素子24を搭載してこれを蓋体で塞いだり、枠状基体21の内側にIC素子26を搭載する際には一体成形体の複雑な構造に対応した特殊な治具が必要となる上に、その作業性が悪く、生産性の向上に供しないという欠点も有していた。
【0009】
本発明は上記欠点に鑑み案出されたもので、その目的は、信頼性及び生産性に優れた表面実装型圧電発振器を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明の表面実装型圧電発振器は、内部に圧電振動素子が収容された容器体の下面に複数個の第1接合電極及び複数個の電極パッドを形成するとともに、前記容器体の下面に、前記電極パッドに対し導電性接合材を介して電気的に接続される接続パッドを有した発振制御用のIC素子と、前記第1接合電極に電気的に接続される第2接合電極を上面に有し、下面に外部端子が設けられた実装用基体とを取着してなる表面実装型圧電発振器であって、前記容器体及びIC素子間の間隙に樹脂材を充填させるとともに、該樹脂材の外周部を前記実装用基体の取着領域まで延在させて前記容器体及び実装用基体間の間隙に充填せしめたことを特徴とするものである。
【0011】
また本発明の表面実装型圧電発振器は、前記導電性接合材の表面が前記樹脂材によって被覆されていることを特徴とするものである。
【0012】
更に本発明の表面実装型圧電発振器は、前記樹脂材が、前記実装用基体の取着領域において実装用基体上面、前記容器体下面の双方に対し被着されていることを特徴とするものである。
【0013】
また更に本発明の表面実装型圧電発振器は、前記実装用基体が前記IC素子の両側に配置される一対の脚部により構成されており、該脚部の側面と対向するIC素子の2個の側面を前記脚部の側面に近接配置させるとともに、前記IC素子の前記側面と直交する2個の側面を一対の脚部の端面間より露出させたことを特徴とするものである。
【0014】
更にまた本発明の表面実装型圧電発振器は、前記IC素子の2個の露出側面が前記容器体の外周部に沿って配されていることを特徴とするものである。
【0015】
また更に本発明の表面実装型圧電発振器は、前記容器体の基板がセラミック材料から成り、前記実装用基体が樹脂材料から成ることを特徴とするものである。
【0016】
本発明の表面実装型圧電発振器によれば、内部に圧電振動素子が収容された容器体の下面に、フリップチップ型の発振制御用IC素子と、下面に外部端子を有した実装用基体とを導電性接合材を介して取着させてあり、前記IC素子を容器体の下面に搭載する際、容器体と実装用基体との間で導電性接合材の存在しない部位には隙間が存在しているため、IC素子の接合に必要な熱を前述の隙間より容器体−IC素子間の導電性接合材に良好に伝達させることができるようになり、IC素子が確実に、かつ効率良く搭載されるようになる。これにより、表面実装型圧電発振器の信頼性及び生産性を向上させることが可能となる。
【0017】
しかも本発明の表面実装型圧電発振器によれば、前記容器体と前記IC素子との間にできる間隙に樹脂材を充填し、かかる樹脂材の外周部を実装用基体の取着領域まで延在させるとともに、該延在部で前記樹脂材を実装用基体上面、容器体下面の双方に対し被着させておくことにより、IC素子の回路形成面(上面)を樹脂材の被覆により良好に保護することができるとともに、前記容器体に対する実装用基体及びIC素子の取着強度を前記樹脂材によって補強することができ、表面実装型圧電発振器の機械的強度を高く維持することが可能となる。
【0018】
また本発明の表面実装型圧電発振器によれば、容器体と実装用基体とが導電性接合材や樹脂材によって接合されており、容器体と実装用基体とを別々に準備して後で組み立てるようになっている。従って、容器体の内部に圧電振動素子を搭載した後で実装用基体とIC素子とを容器体に取着させることにより、組み立ての作業性は良好となり、特殊な製造設備等は一切不要となる上に、容器体をセラミックグリーンシート積層法等によって製作する場合であっても、その積層数は少なくて済むことから、セラミックグリーンシート同士の位置合わせは比較的簡単で、焼成後に反りを生じたりすることも殆どなく、これによっても表面実装型圧電発振器の生産性が向上されるようになる。
【0019】
更に本発明の表面実装型圧電発振器によれば、前記導電性接合材の表面を前記樹脂材によって被覆しておくことにより、大気中に含まれている水分等の接触による導電性接合材の腐食等が有効に防止され、導電性接合材が樹脂材でもって良好に保護されるようになる。
【0020】
また更に本発明の表面実装型圧電発振器によれば、前記実装用基体をIC素子の両側に配される2個の脚部によって構成し、かかる脚部の側面と対向するIC素子の2個の側面を前記脚部の側面に近接配置させるとともに、前記IC素子の前記側面と直交する2個の側面を一対の脚部の端面間より露出させておくことにより、表面実装型圧電発振器の全体構造を小型化することができるようになる。
【0021】
更にこの場合、前記樹脂材を導電性接合材を透視し得る程度の透光性を有した樹脂で形成しておけば、IC素子と容器体との接合部の状態や樹脂材の被着状態を目視等によって容易に確認することができるため、製品の検査等が簡単になり、これによっても表面実装型水晶発振器の生産性を向上させることが可能となる。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を添付図面に基づいて詳細に説明する。
【0023】
図1は本発明の表面実装型圧電発振器を表面実装型水晶発振器に適用した実施形態を示す斜視図、図2は図1の表面実装型水晶発振器の断面図、図3は図1の表面実装型水晶発振器を下方より見た平面図であり、これらの図に示す表面実装型水晶発振器は、内部に圧電振動素子としての水晶振動素子5を収容した容器体1の下面に、実装用基体6と、IC素子7とを取着させた構造を有している。
【0024】
前記容器体1は、例えば、ガラス−セラミック、アルミナセラミックス等のセラミック材料から成る基板2と、42アロイやコバール,リン青銅等の金属から成るシールリング3と、該シールリング3と同様の金属から成る蓋体4とから成り、前記基板2の上面にシールリング3を取着させ、その上面に蓋体4を載置・固定させることによって容器体1が構成され、シールリング3の内側に位置する基板2の上面に水晶振動素子5が実装される。
【0025】
前記容器体1は、その内部、具体的には、基板2の上面とシールリング3の内面と蓋体4の下面とで囲まれる空間内に水晶振動素子5を収容して気密封止するためのものであり、基板2の上面には水晶振動素子5の振動電極に接続される一対の搭載パッド8a等が、基板2の下面には後述する脚部6a,6bの接合電極9aに接続される複数個の接合電極8c(以下、第1接合電極という。)やIC素子7の接続パッド7aに接続される複数個の電極パッド8b等がそれぞれ設けられ、これらのパッドは基板表面の配線パターンや基板内部に埋設されているビアホール導体等によって、対応するパッド同士、相互に電気的に接続されている。
【0026】
尚、前記容器体1の基板2は、ガラス−セラミック等のセラミック材料から成る場合、例えば、セラミック材料粉末に適当な有機溶剤等を添加・混合して得たセラミックグリーンシートの表面等に配線導体8となる導体ペーストを所定パターンに印刷・塗布するとともに、これを複数枚積層してプレス成形した後、高温で焼成することによって製作される。この場合、セラミックグリーンシートの積層数はせいぜい2層程度と少ないため、セラミックグリーンシート同士の位置合わせは比較的簡単で、焼成後に反りを生じたりすることも殆どない。
【0027】
また前記容器体1のシールリング3及び蓋体4は従来周知の金属加工法を採用し、42アロイ等の金属を所定形状に成形することによって製作され、得られたシールリング3を基板2の上面に予め被着させておいた導体層にロウ付けし、続いて水晶振動素子5を導電性接着剤10を用いて基板2の上面に実装・固定した後、上述の蓋体4を従来周知の抵抗溶接等によってシールリング3の上面に接合することによって容器体1が組み立てられる。このようにシールリング3と蓋体4とを抵抗溶接によって接合する場合、シールリング3や蓋体4の表面には予めNiメッキ層やAuメッキ層等が被着される。
【0028】
一方、前記容器体1の内部に収容される水晶振動素子5は、所定の結晶軸でカットした水晶片の両主面に一対の振動電極を被着・形成してなり、外部からの変動電圧が一対の振動電極を介して水晶片に印加されると、所定の周波数で厚みすべり振動を起こす。
【0029】
前記水晶振動素子5は、一対の振動電極を導電性接着材10を介して基板上面の対応する搭載パッド8aに電気的に接続させることによって基板2の上面に搭載され、これによって水晶振動素子5と容器体1との電気的接続及び機械的接続が同時になされる。
【0030】
ここで容器体1の金属製蓋体4を容器体1や実装用基体6の配線導体8,9を介して後述するグランド端子用の外部端子9bに接続させておけば、その使用時、蓋体4がアースされることによりシールド機能が付与されることとなるため、水晶振動素子5や後述するIC素子7を外部からの不要な電気的作用より良好に保護することができる。従って、容器体1の金属製蓋体4は容器体1や実装用基体6の配線導体8,9を介してグランド端子用の外部端子9bに接続させておくことが好ましい。
【0031】
そして、上述した容器体1の下面に取着される実装用基体6は一対の脚部6a,6bによって構成されており、かかる一対の脚部8a,6bの間の領域にIC素子7を配置させている。
【0032】
前記一対の脚部6a,6bは、各々がガラス布基材エポキシ樹脂やポリカーボネイト,エポキシ樹脂,ポリイミド樹脂等の樹脂材料やガラス−セラミック,アルミナセラミックス等のセラミック材料等によって矩形状をなすように形成されており、間にIC素子7を挟んで平行に配置される。
【0033】
また、これら一対の脚部6a,6bの上面には容器体下面の対応する第1接合電極8cに電気的・機械的に接続される複数個の接合電極9a(以下、第2接合電極という。)が、また下面には4つの外部端子9b(電源電圧端子、グランド端子、発振出力端子、発振制御端子)が2個の脚部6a,6bに分かれて2個ずつ設けられており、これらの第2接合電極9bと外部端子9aとは各脚部6a,6bの端面等に設けられた溝部内面の導体膜等を介して電気的に接続されている。
【0034】
上述した4個の外部端子9bは、表面実装型水晶発振器をマザーボード等の外部電気回路に搭載する際、外部電気回路の回路配線と電気的に接続されるようになっており、これら4個の外部端子9bのうち、グランド端子と発振出力端子を一方の脚部6aに、電源電圧端子と発振制御端子を他方の脚部6bに設けておくようにすれば、発振出力端子がグランド電位に接続されるグランド端子に近接して配置されることから、発振出力端子より出力される発振信号にノイズが干渉するのを有効に防止することができる。従って、グランド端子と発振出力端子は共通の脚部に隣接させて設けておくことが好ましい。
【0035】
尚、前記脚部6a,6bは、ガラス布基材エポキシ樹脂から成る場合、ガラス糸を編み込んで形成したガラス布基材にエポキシ樹脂の液状前駆体を含浸させるとともに、該前駆体を高温で重合させることによってベースが形成され、その表面に貼着される銅箔等の金属箔を従来周知のフォトエッチング等を採用し、所定パターンに加工することによって配線導体が形成される。そして、このようにして得られた脚部6a,6bは、その上面に設けられた第2接合電極9aを半田等の導電性接合材11を介して容器体下面の第1接合電極8cに対して当接させ、しかる後、前記導電性接合材11を熱の印加によって溶融させる等して両者を電気的・機械的に接続することにより容器体1の下面に取着される。
【0036】
このように、前記容器体1と前記脚部6a,6bとは別々に準備された後で導電性接合材11等によって一体化されるようになっており、しかも容器体単体の構造は極めて簡素であることから、水晶振動素子5を容器体1の内部に搭載したり、容器体1の下面にIC素子7や脚部6a,6bを取り付けるにあたり容器体1を保持しておくための特殊な治具等は一切不要であり、またこのような組み立て工程における組立作業の作業性も極めて良好なものとなる。
【0037】
また上述した一対の脚部6a,6bは、ガラス布基材エポキシ樹脂等の樹脂材料で形成しておくのが好ましく、かかる樹脂材料で脚部6a,6bを形成しておくことにより、外形切断加工等を容易に行うことができる。
【0038】
一方、一対の脚部6a,6b間に配置されるIC素子7としては、上面に前記容器体1の電極パッド8bに接続される複数個の接続パッド7aを有した矩形状のフリップチップ型ICが用いられ、その上面には、周囲の温度状態を検知する感温素子(サーミスタ)、水晶振動素子5の温度特性を補償する温度補償データを有し、該温度補償データに基づいて前記水晶振動素子5の振動特性を温度変化に応じて補正する温度補償回路、該温度補償回路に接続されて所定の発振出力を生成する発振回路等が設けられている。このようなIC素子7の発振回路で生成された発振出力は、外部に出力された後、例えば、クロック信号等の基準信号として利用されることとなる。
【0039】
前記IC素子7は、その上面に設けた複数の接続パッド7aを、容器体下面の対応する電極パッド8bに半田や金バンプ等の導電性接合材11を介して電気的に接続させることによって容器体1の下面に取着され、これによってIC素子7内の電子回路が容器体1の配線導体8や脚部6a,6bの配線導体9等を介して水晶振動素子5や脚部6a,6bの外部端子9b等と電気的に接続される。
【0040】
尚、前記IC素子7の温度補償回路に温度補償データを書き込むための書込制御端子(図示せず)は前記脚部6a,6bの側面等に設けられ、これらの書込制御端子にデータ書込装置のプローブ針を当て、IC素子7の温度補償回路内に設けられているメモリに水晶振動素子5の温度特性に応じた温度補償データを書き込むことによって温度補償回路内に温度補償データが格納される。また、このような書込制御端子は、脚部6a,6b等と一体的に設けられる外部の捨代部に配置させておき、温度補償データの書き込みが終了した後でこの捨代部を脚部6a,6b等から切り離すようにしても良く、そのようにして表面実装型水晶発振器を製造することにより、全体構造を小型化して、構成を簡素化することができる。
【0041】
また更に上述したIC素子7は、4個の側面のうち平行に配置されている2個の側面が、その全面にわたり、上述した脚部6a,6bの側面に対向して近接配置されるようになっており、この2個の側面と直交する残りの2個の側面を一対の脚部6a,6bの端面間より露出させている。ここで、前記IC素子7の側面と前記脚部6a,6bの側面との間にできる間隙の幅は、例えば10μm〜500μmに設定される。
【0042】
そして、前記IC素子7の2個の露出側面は、容器体1の外周部よりも若干内側、例えば、容器体1の外周より1μm〜500μmだけ内側に、容器体1の外周部に沿って配されている。
【0043】
このように、前記IC素子7の露出側面と直交する方向に係る容器体1や脚部6a,6bの幅寸法はIC素子7の一辺の長さと略等しくなるように設計され、またIC素子7の露出側面と平行な方向に係る容器体1の幅寸法はIC素子7の一辺の長さと脚部6a,6bの幅との和と略等しくなるように設計されているため、表面実装型水晶発振器の全体構造を縦・横いずれの方向にも小型に構成することができるようになる。
【0044】
また前記IC素子7の2個の側面は一対の脚部6a,6bの側面間に露出させてあることから、IC素子7を半田等の導電性接合材11を介して容器体1の下面に搭載する際、該接合に必要な熱を一対の脚部6a,6bの側面間より容器体1−IC素子7間の導電性接合材11に対して良好に伝達させることができ、IC素子7を効率良く、確実に搭載することが可能となる。これにより、表面実装型水晶発振器の信頼性及び生産性を向上させることができる。
【0045】
更に上述した表面実装型水晶発振器は、平行に配されているIC素子7の2個の側面を一対の脚部6a,6bの側面間より露出させるようにしたことで、IC素子7の搭載領域がその両端部で外部に開放された形となっている。このため、IC素子7を容器体1に半田接合する場合のフラックス洗浄工程や、完成した表面実装型水晶発振器をマザーボード等の外部電気回路に搭載した後に行なわれる洗浄工程等においてIC素子7の表面や容器体1の下面に対して洗浄液を接触させる場合であっても、一対の脚部6a,6b間の領域への洗浄液の流入、及び流出は上述した搭載領域両側の開放端を介して極めてスムーズ、かつ良好になされるようになり、IC素子7の搭載領域に洗浄液が残留してしまうのを有効に防止して、上述の洗浄工程を効率良く行うことができる利点もある。
【0046】
また更に、上述したIC素子7と容器体1との間隙には、両者を接合している導電性接合材11を被覆するようにして樹脂材12が充填されており、該樹脂材12は、その外周部が一対の脚部6a,6bの取着領域まで延在されて脚部6a,6bと容器体1との間にも充填された上、この延在部で容器体1と脚部6a,6bとを接合している導電性接合材11を被覆している。
【0047】
前記樹脂材12は、エポキシ樹脂やポリイミド樹脂等から成り、IC素子7の上面、一対の脚部6a,6bの各上面、及び容器体1の下面の各面に対して接着され、前記容器体1に対する脚部6a,6bの取着強度、ならびにIC素子7の取着強度を補強して表面実装型水晶発振器の機械的強度を高く維持するとともに、IC素子7の回路形成面(上面)を良好に保護する作用を為す。
【0048】
またこの場合、一対の脚部6a,6bやIC素子7と容器体1とを接続する導電性接合材11の表面を前記樹脂材12によって被覆するようにしたことから、大気中に含まれている水分等の接触による導電性接合材11の腐食等が有効に防止されるようになり、導電性接合材11が樹脂材12でもって良好に保護されるようになる。これによっても表面実装型水晶発振器の信頼性を向上させることができる。
【0049】
しかもこの場合、前記IC素子7の2個の露出側面は一対の脚部6a,6bに遮られることなく露出させてあり、前記樹脂材12を導電性接合材11を透視し得る程度の透光性を有した樹脂で形成しておけば、IC素子7と容器体1との接合部の状態や樹脂材12の被着状態を目視等によって容易に確認することができるため、製品の検査等が簡単になり、これによって表面実装型水晶発振器の生産性を向上させることが可能となる。
【0050】
更に前記樹脂材12の材質として線膨張係数が100ppm/℃〜150ppm/℃(>Tg:ガラス転移温度)の樹脂材料を用いるようにすれば、IC素子7や容器体1の線膨張係数(例えば、10ppm/℃以下)の線膨張係数と樹脂材12に線膨張係数とが比較的近い値となるため、表面実装型水晶発振器の組み立てや使用に際して、表面実装型水晶発振器に熱が印加されても、樹脂材12が容器体1やIC素子7,脚部6a,6b等から剥離してしまったり、反りを生じたりすることが殆どなく、これによっても表面実装型水晶発振器の信頼性及び生産性を向上させることができる。従って、前記樹脂材12の材質として、線膨張係数が100ppm/℃〜150ppm/℃(>Tg:ガラス転移温度)の樹脂材料を用いることが好ましい。また前記樹脂材12の剥離や反り等をより確実に防止するには、樹脂材12の最大厚みを容器体1−IC素子7間の間隙の3倍以下に設定しておくことが好ましい。
【0051】
このような樹脂材12は、硬化剤を配合したエポキシ樹脂の液状体をディスペンサ等を用いて容器体1−IC素子7間の領域より容器体1−脚部6a,6b間の領域にかけて流し込み、これを高温で加熱・重合させることによって形成される。例えば、容器体1−IC素子7間の間隙や容器体1−脚部6a,6b間の間隙が10μm〜50μmの場合、液状樹脂を上記間隙に短時間で良好に浸透させるには、液状樹脂の粘度を10Pa・s〜30Pa・sの範囲内に調整しておくことが好ましい。
【0052】
尚、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更、改良等が可能である。
【0053】
例えば、上述した実施形態においては、圧電振動素子として水晶振動素子を用いた表面実装型水晶発振器を例にとって説明したが、これに代えて、圧電振動素子としてSAWフィルタ等の他の圧電振動素子を用いる場合にも本発明は適用可能である。
【0054】
また上述した実施形態においては、容器体1の蓋体4をシールリング3を介して基板2に接合させるようにしたが、これに代えて、基板2の上面に接合用のメタライズパターンを形成しておき、このメタライズパターンに対して蓋体4をダイレクトに溶接するようにしても構わない。
【0055】
更に上述した実施形態においては、容器体1の基板上面に直接シールリング3を取着させるようにしたが、これに代えて、基板2の上面に基板2と同材質のセラミック材料等から成る枠体を一体的に取着させた上、該枠体の上面にシールリング3を取着させるようにしても構わない。
【0056】
また更に上述した実施形態においては、実装用基体6として2個の脚部6a,6bを用いるようにしたが、これに代えて、IC素子7を取り囲む1個の枠状基体で実装用基体を構成しても良いし、或いは、上述の実施形態で用いた2個の脚部6a,6bをそれぞれ2個に分断して得た4個の脚部で実装用基体を構成したり、2個の脚部6a,6bのうち一方のみを2つに分断して得た3個の脚部で実装用基体を構成しても構わない。
【0057】
更にまた上述した実施形態においては、脚部6a,6bの形状を矩形状となしたが、このような脚部6a,6bの内側面や外側面,角部等に切り欠きを設け、この切り欠きと接する脚部6a,6bの表面に導体パターンを被着させたり、或いは、切り欠きによってできたスペースにチップ状コンデンサ等の小さな電子部品素子を配置させるようにしても構わない。
【0058】
また更に上述した実施形態において、IC素子7の側面と脚部6a,6bの側面との間にできる間隙に補強や封止等を目的として樹脂材等を充填するようにしても良いことは言うまでもない。
【0059】
【発明の効果】
本発明の表面実装型圧電発振器によれば、内部に圧電振動素子が収容された容器体の下面に、フリップチップ型の発振制御用IC素子と、下面に外部端子を有した実装用基体とを導電性接合材を介して取着させてあり、前記IC素子を容器体の下面に搭載する際、容器体と実装用基体との間で導電性接合材の存在しない部位には隙間が存在しているため、IC素子の接合に必要な熱を前述の隙間より容器体−IC素子間の導電性接合材に良好に伝達させることができるようになり、IC素子が確実に、かつ効率良く搭載されるようになる。これにより、表面実装型圧電発振器の信頼性及び生産性を向上させることが可能となる。
【0060】
しかも本発明の表面実装型圧電発振器によれば、前記容器体と前記IC素子との間にできる間隙に樹脂材を充填し、かかる樹脂材の外周部を実装用基体の取着領域まで延在させるとともに、該延在部で前記樹脂材を実装用基体上面、容器体下面の双方に対し被着させておくことにより、IC素子の回路形成面(上面)を樹脂材の被覆により良好に保護することができるとともに、前記容器体に対する実装用基体及びIC素子の取着強度を前記樹脂材によって補強することができ、表面実装型圧電発振器の機械的強度を高く維持することが可能となる。
【0061】
また本発明の表面実装型圧電発振器によれば、容器体と実装用基体とが導電性接合材や樹脂材によって接合されており、容器体と実装用基体とを別々に準備して後で組み立てるようになっている。従って、容器体の内部に圧電振動素子を搭載した後で実装用基体とIC素子とを容器体に取着させることにより、組み立ての作業性は良好となり、特殊な製造設備等は一切不要となる上に、容器体をセラミックグリーンシート積層法等によって製作する場合であっても、その積層数は少なくて済むことから、セラミックグリーンシート同士の位置合わせは比較的簡単で、焼成後に反りを生じたりすることも殆どなく、これによっても表面実装型圧電発振器の生産性が向上されるようになる。
【0062】
更に本発明の表面実装型圧電発振器によれば、前記導電性接合材の表面を前記樹脂材によって被覆しておくことにより、大気中に含まれている水分等の接触による導電性接合材の腐食等が有効に防止され、導電性接合材が樹脂材でもって良好に保護されるようになる。
【0063】
また更に本発明の表面実装型圧電発振器によれば、前記実装用基体をIC素子の両側に配される2個の脚部によって構成し、かかる脚部の側面と対向するIC素子の2個の側面を前記脚部の側面に近接配置させるとともに、前記IC素子の前記側面と直交する2個の側面を一対の脚部の端面間より露出させておくことにより、表面実装型圧電発振器の全体構造を小型化することができるようになる。
【0064】
更にこの場合、前記樹脂材を導電性接合材を透視し得る程度の透光性を有した樹脂で形成しておけば、IC素子と容器体との接合部の状態や樹脂材の被着状態を目視等によって容易に確認することができるため、製品の検査等が簡単になり、これによっても表面実装型水晶発振器の生産性を向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の表面実装型圧電発振器を表面実装型水晶発振器に適用した実施形態を示す斜視図である。
【図2】図1の表面実装型水晶発振器の断面図である。
【図3】図1の表面実装型水晶発振器を下方より見た平面図である。
【図4】(a)は従来の表面実装型圧電発振器の断面図、(b)は(a)の表面実装型圧電発振器を下方から見た平面図である。
【符号の説明】
1・・・容器体
2・・・基板
3・・・シールリング
4・・・蓋体
5・・・圧電振動素子(水晶振動素子)
6a,6b・・・実装用基体(一対の脚部)
7・・・IC素子
7a・・・接続パッド
8・・・容器体の配線導体
8a・・・搭載パッド
8b・・・電極パッド
8c・・・第1接合電極
9・・・実装用基体の配線導体
9a・・・第2接合電極
9b・・・外部端子
10、11・・・導電性接合材
12・・・樹脂材

Claims (6)

  1. 内部に圧電振動素子が収容された容器体の下面に複数個の第1接合電極及び複数個の電極パッドを形成するとともに、前記容器体の下面に、前記電極パッドに対し導電性接合材を介して電気的に接続される接続パッドを有した発振制御用のIC素子と、前記第1接合電極に電気的に接続される第2接合電極を上面に有し、下面に外部端子が設けられた実装用基体とを取着してなる表面実装型圧電発振器であって、
    前記容器体及びIC素子間の間隙に樹脂材を充填させるとともに、該樹脂材の外周部を前記実装用基体の取着領域まで延在させて前記容器体及び実装用基体間の間隙に充填せしめたことを特徴とする表面実装型圧電発振器。
  2. 前記導電性接合材の表面が前記樹脂材によって被覆されていることを特徴とする請求項1に記載の表面実装型圧電発振器。
  3. 前記樹脂材が、前記実装用基体の取着領域において実装用基体上面、前記容器体下面の双方に対し被着されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の表面実装型圧電発振器。
  4. 前記実装用基体が前記IC素子の両側に配置される一対の脚部により構成されており、該脚部の側面と対向するIC素子の2個の側面を前記脚部の側面に近接配置させるとともに、前記IC素子の前記側面と直交する2個の側面を一対の脚部の端面間より露出させたことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の表面実装型圧電発振器。
  5. 前記IC素子の2個の露出側面が前記容器体の外周部に沿って配されていることを特徴とする請求項4に記載の表面実装型圧電発振器。
  6. 前記容器体の基板がセラミック材料から成り、前記実装用基体が樹脂材料から成ることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の表面実装型圧電発振器。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2016072652A (ja) * 2014-09-26 2016-05-09 京セラクリスタルデバイス株式会社 水晶振動子
JP2016072645A (ja) * 2014-09-26 2016-05-09 京セラクリスタルデバイス株式会社 水晶振動子

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