JP2004296937A - セラミックグリーンシートの積層方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】ハンドリングによるセラミックグリーンシートの支持フィルムからの剥離を防ぎつつ、転写工程におけるセラミックグリーンシートからの支持フィルムの剥離が確実に行われることにより、セラミックグリーンシートの破損や変形を防ぐことができるとともに、生産性を向上できるセラミックグリーンシートの積層方法を提供する。
【解決手段】(a)支持フィルム20上に形成されたセラミックグリーンシート2を支持台板23(被積層体)上に搬送する搬送工程と、(c)支持フィルム20側から加圧加熱することにより、セラミックグリーンシート2を支持台板23に転写する転写工程と、(d)支持フィルム20のみを剥離する剥離工程を繰り返すことにより、(e)大型積層体を形成するセラミックグリーンシート2の積層方法において、(b)セラミックグリーンシート2が形成された支持フィルム20に貫通孔21を形成する。
【選択図】図1
【解決手段】(a)支持フィルム20上に形成されたセラミックグリーンシート2を支持台板23(被積層体)上に搬送する搬送工程と、(c)支持フィルム20側から加圧加熱することにより、セラミックグリーンシート2を支持台板23に転写する転写工程と、(d)支持フィルム20のみを剥離する剥離工程を繰り返すことにより、(e)大型積層体を形成するセラミックグリーンシート2の積層方法において、(b)セラミックグリーンシート2が形成された支持フィルム20に貫通孔21を形成する。
【選択図】図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、セラミックグリーンシートの積層方法に関するものであり、特に積層セラミック電子部品を製造するために実施されるセラミックグリーンシートの積層方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
代表的な積層セラミック電子部品である積層セラミックコンデンサは、積層体と、積層体の一対の端面に形成した外部電極とから構成されている。また、積層体は、複数の誘電体層と一対の内部電極とが積層されて構成されている。さらに、一方の外部電極は、積層体の一方の端面に露出する内部電極に電気的に接続している。また、他方の外部電極は、積層体の他方の端面に露出する内部電極に電気的に接続している。
【0003】
積層セラミックコンデンサの製造方法は、誘電体層となるセラミックグリーンシートを形成し、このセラミックグリーンシートと内部電極となる内部電極パターンとが交互に積層してなる大型積層体を形成する。次に、この大型積層体を各素子領域に切断し、焼成処理して積層体を形成する。そして、積層体の端面に、一対の外部電極を形成する。
【0004】
このような積層セラミックコンデンサにおいて、大きな静電容量を得ようとする場合、内部電極間の距離を小さくするとともに、所定の寸法範囲内において内部電極の積層数を増大させるために、できるだけ薄いセラミックグリーンシートを用いることが有利である。
【0005】
このように、薄いセラミックグリーンシートを積層する場合、積層時のハンドリングが難しく、しわが生じたり、積層ずれが生じるという問題点があった。
【0006】
そこで、支持フィルム上に形成されたセラミックグリーンシートを支持台板(被積層体)上に搬送する搬送工程と、支持フィルム側から加圧加熱することにより、セラミックグリーンシートを支持台板に転写する転写工程と、支持フィルムのみを剥離する剥離工程を繰り返すことにより、大型積層体を形成するセラミックグリーンシートの積層方法が用いられている。
【0007】
【特許文献1】
特開平10−22165号公報(2頁、図11)
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記セラミックグリーンシートの積層方法によれば、支持フィルムのみを剥離する際に、支持フィルム−セラミックグリーンシート間の剥離強度が支持台板上に積層されたセラミックグリーンシート間の剥離強度に比べて十分小さくないと、支持フィルムを確実に剥離することができず、セラミックグリーンシートの一部が支持フィルムにくっついた状態で剥離が行われ、セラミックグリーンシートに破損や変形が生じるという問題点があった。特に、セラミックグリーンシート同士の剥離強度に比べて、内部電極パターンの剥離強度は小さいため、取り個数増大のために、セラミックグリーンシート上に内部電極パターンの面積の割合を大きくした場合、上記支持フィルムを確実に剥離することがさらに困難になっていた。
【0009】
また、上記支持台板上に積層されたセラミックグリーンシート間の剥離強度を大きくするためには、転写を高温高圧下で行う必要があり、セラミックグリーンシートの伸びが生じやすくなることにより、エンドマージンやサイドマージンが小さくなってしまうことから、取り個数増大には限界があった。さらに、転写後に支持フィルムを確実に剥離するためには、支持フィルムを冷却する必要があり、冷却時間が追加されることにより、生産性低下の原因となっていた。
【0010】
一方、支持フィルムとセラミックグリーンシート間の剥離強度を小さくするために、支持フィルムの離型性を高くする方法が考えられるが、支持フィルムの離型性が高すぎると、内部電極パターンの形成などのセラミックグリーンシートのハンドリングにより、セラミックグリーンシートが支持フィルムから剥離してしまうという問題点があった。特に、セラミックグリーンシートが形成された支持フィルムをロール状に巻き取って取り扱う場合、再度巻き出す際に、セラミックグリーンシートが支持フィルムの裏面に張り付いて剥離してしまうという不具合が発生していた。
【0011】
本発明は、上述の問題に鑑みて案出されたものであり、その目的は、ハンドリングによるセラミックグリーンシートの支持フィルムからの剥離を防ぎつつ、転写工程におけるセラミックグリーンシートからの支持フィルムの剥離が確実に行われることにより、セラミックグリーンシートの破損や変形を防ぐことができるとともに、生産性を向上できるセラミックグリーンシートの積層方法を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明は、支持フィルム上に形成されたセラミックグリーンシートを被積層体上に転写する工程、前記支持フィルムのみを剥離する工程を繰り返すセラミックグリーンシートの積層方法において、
前記セラミックグリーンシートが形成された支持フィルムに、該支持フィルムの剥離前に、該支持フィルムとセラミックグリーンシートとの界面に気体を導入する貫通孔を形成することを特徴とするセラミックグリーンシートの積層方法である。
【0013】
また、前記被積層体は、支持台板、該支持台板上に載置されたセラミックグリーンシート、あるいは前記支持台板上に載置されたセラミックグリーンシート及び内部電極パターンのいずれかである。
【0014】
【作用】
本発明によれば、支持フィルム上にセラミックグリーンシートを形成した後、被積層体に該セラミックグリーンシートを転写し、支持フィルムを剥離するまでの間に、セラミックグリーンシートが形成された支持フィルムに貫通孔を形成するため、支持フィルムのみを剥離する際に、支持フィルムとセラミックグリーンシートの間に貫通孔から空気が入り込み、空気膜を形成することから、支持フィルムを押すように働く大気圧を小さくすることができる。このため、支持フィルムとセラミックグリーンシートとの界面の剥離強度を小さくすることができ、転写工程後のセラミックグリーンシートからの支持フィルムの剥離が確実に行われ、セラミックグリーンシートの破損や変形を防ぐことができる。ここで、支持フィルムに貫通孔を形成する前は、支持フィルムとセラミックグリーンシートは密着しているため、ハンドリングによるセラミックグリーンシートの支持フィルムからの剥離が問題になることはない。
【0015】
また、転写工程を従来に比べて低温低圧下で行うことができるため、セラミックグリーンシートの伸びにより、エンドマージンやサイドマージンが小さくなってしまうことを防止でき、取り個数を増大できるとともに、支持フィルムを冷却する時間を短縮できることから、生産性を向上させることができる。ここで、搬送工程、転写工程、転写工程後剥離工程前のいずれかにおいて、セラミックグリーンシートが形成された支持フィルムに貫通孔を形成するため、これらの工程と貫通孔の形成が同時に行われるように調節することにより、上記貫通孔の形成が追加されても、生産性が低下することはない。また、転写工程と同時に貫通孔を形成することにより、貫通孔を形成する機構を別途設ける必要がないため、簡単且つ安価な工程となる。一方、転写工程後剥離工程前に貫通孔を形成することにより、支持フィルムに貫通孔を形成する際に発生した切断屑が、転写時にセラミックグリーンシートに付着し、セラミックグリーンシート間にかみ込まれるという問題点を解決できる。
【0016】
また、本発明は、被積層体が、支持台板、支持台板上に載置されたセラミックグリーンシート、あるいは支持台板上に載置されたセラミックグリーンシート及び内部電極パターンのいずれかである場合に有効である。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のセラミックグリーンシートの積層方法を図面に基づいて説明する。
【0018】
代表的な積層セラミック電子部品として、積層セラミックコンデンサを用いて説明する。
【0019】
図1は、本発明のセラミックグリーンシートの積層方法を示す断面図であり、(a)支持フィルム上に形成されたセラミックグリーンシートを被積層体上に搬送する搬送工程、(b)支持フィルムに貫通孔を形成する工程、(c)セラミックグリーンシート及び内部電極パターンを支持台板上に転写する転写工程、(d)支持フィルムのみを剥離する剥離工程、(e)形成された大型積層体である。図2は、本発明のセラミックグリーンシートの積層方法を用いた積層セラミックコンデンサを示す図であり、(a)は外観斜視図、(b)は縦断面図である。
【0020】
図2(a)において、積層セラミックコンデンサ10は、積層体1と、積層体1の一対の端面に形成した外部電極5、6とから構成されている。この積層体1は、図2(b)に示すように、複数の誘電体層2と一対の内部電極3、4とが積層されて構成されている。また、一方の外部電極5は、積層体1の一方の端面に露出する内部電極3に電気的に接続している。また、他方の外部電極6は、積層体1の他方の端面に露出する内部電極4に電気的に接続している。
【0021】
次に、本発明の積層セラミックコンデンサ10の製造方法について、図を用いて説明する。なお、符号は、焼成の前後で区別しないことにする。
【0022】
まず、図1(a)に示すように、まず、支持フィルム(キャリアフィルム)20上にセラミックスラリを塗布して、誘電体層となるセラミックグリーンシート2を形成する。支持フィルム20の材料としては、ポリエチレンテレフタラート(PET)、ポリプロピレン(PP)、ポリイミド(PI)、ポリエチレンナフタレート(PEN)などが用いられる。また、支持フィルム20の厚みは5〜100μm、好ましくは20〜50μmの範囲にあることが望ましい。すなわち、支持フィルム20の厚みが5μm未満である場合、形成されたセラミックグリーンシート2を安定な状態で搬送することが困難であり、一方、支持フィルム20の厚みが100μmより大きい場合、コストが高くつくとともに、貫通孔21を形成しにくくなる。さらに、セラミックグリーンシート2の厚みは、小型、大容量化という理由から、1.5〜4μmであることが望ましい。
【0023】
次に、このセラミックグリーンシート2の一方主面上に導電性ペーストを印刷して、内部電極となる内部電極パターン3、4を形成する。この内部電極パターン3、4の厚みは、0.5〜1.5μmであることが望ましい。
【0024】
次に、図1(b)に示すように、支持フィルム20上に形成されたセラミックグリーンシート2を支持台板23上に搬送する搬送工程において、支持フィルム20の上側から、支持フィルム20に貫通孔21を形成する。
【0025】
貫通孔21の径は、100〜300μm程度であることが望ましい。また、貫通孔21は、1個形成しても良く、複数個形成しても良い。このとき、支持フィルム20−セラミックグリーンシート2間の剥離強度を小さくするためには、内部電極パターン3、4が複数個形成されたセラミックグリーンシート2の中央付近に、貫通孔21を形成することが望ましい。また、切断線Cとなる部分や、切断後に積層セラミックコンデンサ10とはならない部分に、貫通孔21を形成することが望ましい。このことにより、貫通孔21を形成する際に、セラミックグリーンシート2に傷をつけてしまった場合も、傷がついた部分は除去されるため、最終製品としての積層セラミックコンデンサ10については、問題となることはない。さらに、内部電極パターン3、4を形成するためのスクリーン製版として、一部内部電極パターン3、4が形成されない部分を設け、この部分に貫通孔21を形成するようにしても良い。このことにより、傷がついた部分が除去されるとともに、セラミックグリーンシート2の任意の部分に比較的径の大きい貫通孔21を形成することができ、且つ貫通孔21を形成する際の位置ずれによる問題点を解決することができる。なおこのとき、切断後に内部電極パターン3、4が形成されない未焼成状態の積層体1が形成されるが、印をつけておくことなどにより切断直後に除去しても良く、他の内部電極パターン3、4が形成された未焼成状態の積層体1と一緒に、焼成及び外部電極5、6を形成した後、特性選別により除去するようにしても良い。
【0026】
また、貫通孔21を形成する方法は、マイクロドリル、パンチング、レーザを用いる方法などが挙げられる。このとき、セラミックグリーンシート2の厚みが十分薄く、且つ透明な支持フィルム20を用いた場合、支持フィルム20の上側から内部電極パターン3、4が透けて見えるため、画像認識装置(図示せず)により内部電極パターン3、4の位置を確認しながら貫通孔21を形成することにより、上記切断線Cとなる部分や、内部電極パターン3、4が形成されない部分に確実に貫通孔21を形成することができる。
【0027】
次に、図1(c)に示すように、支持フィルム20上に形成されたセラミックグリーンシート2及び内部電極パターン3、4を支持台板23上に載置するとともに、支持フィルム20側から金型22により加圧加熱することにより、セラミックグリーンシート2を支持台板23(被積層体)上に転写する。
【0028】
このとき、まず積層セラミックコンデンサ10の一方のトップマージン部となる、複数枚のセラミックグリーンシート2をあらかじめ形成しておき、支持台板23上に載置しておく。そして、このセラミックグリーンシート2上に、支持フィルム20上に形成されたセラミックグリーンシート2及び内部電極パターン3、4を転写していく。また、転写工程の前に、支持フィルム20上に形成されたセラミックグリーンシート20をあらかじめ所定の寸法に切断しておく。
【0029】
次に、図2(d)に示すように、支持台板23が下降することにより、支持台板23上に転写されたセラミックグリーンシート2から支持フィルム20のみを剥離する。
【0030】
このとき、支持フィルム20とセラミックグリーンシート2の間に貫通孔21から空気が入り込み、空気膜を形成することから、支持フィルム20を押すように働く大気圧を小さくすることができる。このため、支持フィルム20−セラミックグリーンシート2間の剥離強度を小さくすることができ、転写後のセラミックグリーンシート2からの支持フィルム20の剥離が確実に行われ、セラミックグリーンシート2の破損や変形を防ぐことができる。ここで、支持フィルム20に貫通孔21を形成する前は、支持フィルム20とセラミックグリーンシート2は密着しているため、ハンドリングによるセラミックグリーンシート2の支持フィルム20からの剥離が問題になることはない。
【0031】
また、転写工程を従来に比べて低温低圧下で行うことができるため、セラミックグリーンシート2の伸びにより、エンドマージンやサイドマージンが小さくなってしまうことを防止でき、取り個数を増大できるとともに、支持フィルム20を冷却する時間を短縮できることから、生産性を向上させることができる。ここで、搬送工程、転写工程、転写工程後剥離工程前のいずれかにおいて、セラミックグリーンシート2が形成された支持フィルム20に貫通孔21を形成するため、これらの工程と貫通孔21の形成が同時に行われるように調節することにより、上記貫通孔21の形成が追加されても、生産性が低下することはない。
【0032】
また、本発明は、被積層体が、支持台板23、支持台板23上に載置されたセラミックグリーンシート2、あるいは支持台板23上に載置されたセラミックグリーンシート2及び内部電極パターン3、4のいずれかである場合に有効である。
【0033】
さらに、図1(b)〜(d)の工程を繰り返した後、他方のトップマージン部となる複数枚のセラミックグリーンシート2を積層し、静水圧プレスなどにより転写時より高温・高圧下で加圧加熱することにより、図1(e)に示すような大型積層体11を形成する。
【0034】
この後、この大型積層体11を切断線Cにより各素子領域毎に切断して、未焼成状態の積層体1を得る。
【0035】
さらに、この未焼成状態の積層体1を所定の雰囲気及び温度条件下で焼成して、積層体1を得る。この積層体1は、複数の誘電体層2と内部電極3、4とが積層されているとともに、一対の端面に内部電極3、4が露出している。
【0036】
次に、外部電極となる導体膜5、6を積層体1の一対の端面にディップ法により形成する。さらに、導体膜は、所定の雰囲気、温度、時間を加えて焼成、外部電極5、6を形成する。そして、外部電極5、6表面にNiメッキ/Snメッキを形成する。
【0037】
このようにして、図1に示すような積層コンデンサ10が得られる。
【0038】
なお、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内での種々の変更や改良などは何ら差し支えない。
【0039】
例えば、上記実施の形態では、本発明を積層セラミックコンデンサの製造方法に用いた例について説明したが、本発明は、他の電子部品や、半導体部品などの他のセラミック電子部品にも適用できる。
【0040】
図3は、本発明のセラミックグリーンシートの他の実施形態を示す図である。図のように、支持フィルム20上に内部電極パターン3、4を形成した後、セラミックスラリーを塗布する方法などにより、この内部パターン3、4を覆うようにセラミックグリーンシート2を形成し、この内部電極パターン3、4及びセラミックグリーンシート2を支持台板23上に転写するようにしても良い。このことにより、支持フィルム20上に内部電極パターン3、4が形成していない部分を埋めるように、セラミックグリーンシート2が形成されるため、得られる積層セラミックコンデンサ10の内部電極3、4の有無による段差を緩和することができる。また、支持フィルム20とセラミックグリーンシート2の間に内部電極パターン3、4が形成されているため、画像認識装置により内部電極パターン3、4の位置を確認しながら貫通孔21を形成しやすくなるという効果もある。
【0041】
図4は、本発明のセラミックグリーンシート2の積層方法のさらに他の実施形態を示す図である。図のように、セラミックグリーンシート2を支持フィルム20側から加圧加熱する際に、金型22に突起部22aを設け、この突起部22aにより支持フィルム20に貫通孔21を形成するようにしても良い。このことにより、支持フィルム20に貫通孔21を形成する機構を別途設ける必要がないため、簡単且つ安価な工程となる。
【0042】
図5は、本発明のセラミックグリーンシート2の積層方法のさらに他の実施形態を示す図である。図のように、セラミックグリーンシート2及び内部電極パターン3、4を支持台板23上に転写する工程の後で、支持フィルム20に貫通孔21を形成するようにしても良い。このことにより、支持フィルム20に貫通孔21を形成する際に発生した切断屑が、転写時にセラミックグリーンシート2に付着し、セラミックグリーンシート2間にかみ込まれるという問題点を解決できる。
【0043】
また、図1、3〜5のセラミックグリーンシートの積層方法において、支持フィルム20上にセラミックグリーンシート2及び内部電極パターン3、4を複数層形成した後、支持台板23上に一度に転写するようにしても良い。このことにより、セラミックグリーンシート2の破損や変形をさらに防止することができる。
【0044】
図6は、本発明のセラミックグリーンシート2の積層方法のさらに他の実施形態を示す図である。図のように、(a)支持フィルム20上に形成されたセラミックグリーンシート2aを、支持フィルム20側から仮プレスすることにより、支持台板23上に転写する工程と、(b)支持フィルム20のみを剥離する工程と、(c)転写されたセラミックグリーンシート2a上に導体パターン3、4を形成する工程と、(d)導体パターン3、4が形成されたセラミックグリーンシート2a上に、別のセラミックグリーンシート2bを搭載する工程とを繰り返すことにより、(e)大型積層体11を配置しても良い。この製造方法によれば、積層精度が良好になり、容量ばらつきを低減できるとともに、サイドマージンやエンドマージンを小さくできることから、積層セラミックコンデンサ10の小型化に対応できる。
【0045】
また、上記実施の形態では、金型22を用いて加圧加熱を行っているが、ローラを用いて加圧加熱を行うようにしても良い。このことにより、転写に必要な圧力を小さくできるとともに、圧力のばらつきを小さくでき、且つ大型積層体11の空気のかみ込みによるデラミネーションなどの発生を防止できる。
【0046】
【発明の効果】
本発明によれば、搬送工程、転写工程、転写工程後剥離工程前のいずれかにおいて、セラミックグリーンシートが形成された支持フィルムに貫通孔を形成するため、支持フィルム−セラミックグリーンシート間の剥離強度を小さくすることができ、転写工程後のセラミックグリーンシートからの支持フィルムの剥離が確実に行われ、セラミックグリーンシートの破損や変形を防ぐことができる。ここで、支持フィルムに貫通孔を形成する前は、支持フィルムとセラミックグリーンシートは密着しているため、ハンドリングによるセラミックグリーンシートの支持フィルムからの剥離が問題になることはない。
【0047】
また、転写工程を従来に比べて低温低圧下で行うことができるため、セラミックグリーンシートの伸びにより、エンドマージンやサイドマージンが小さくなってしまうことを防止でき、取り個数を増大できるとともに、支持フィルムを冷却する時間を短縮できることから、生産性を向上させることができる。ここで、搬送工程、転写工程、転写工程後剥離工程前のいずれかにおいて、セラミックグリーンシートが形成された支持フィルムに貫通孔を形成するため、これらの工程と貫通孔の形成が同時に行われるように調節することにより、上記貫通孔の形成が追加されても、生産性が低下することはない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のセラミックグリーンシートの積層方法を示す断面図であり、(a)支持フィルム上に形成されたセラミックグリーンシート及び内部電極パターンを被積層体上に搬送する搬送工程、(b)支持フィルムに貫通孔を形成する工程、(c)セラミックグリーンシート及び内部電極パターンを支持台板上に転写する転写工程、(d)支持フィルムのみを剥離する剥離工程、(e)形成された大型積層体である。
【図2】本発明のセラミックグリーンシートの積層方法を用いた積層セラミックコンデンサを示す図であり、(a)は外観斜視図、(b)は縦断面図である。
【図3】本発明のセラミックグリーンシートの積層方法の他の実施の形態を示す断面図であり、セラミックグリーンシート及び内部電極パターンを支持台板上に転写する転写工程である。
【図4】本発明のセラミックグリーンシートの積層方法のさらに他の実施の形態を示す断面図であり、セラミックグリーンシート及び内部電極パターンを支持台板上に転写する転写工程である。
【図5】本発明のセラミックグリーンシートの積層方法のさらに他の実施の形態を示す断面図であり、(a)支持フィルム上に形成されたセラミックグリーンシート及び内部電極パターンを被積層体上に搬送する搬送工程、(b)セラミックグリーンシート及び内部電極パターンを支持台板上に転写する転写工程、(c)支持フィルムに貫通孔を形成する工程、(d)支持フィルムのみを剥離する剥離工程、(e)形成された大型積層体である。
【図6】本発明のセラミックグリーンシートの積層方法のさらに他の実施の形態を示す断面図であり、(a)セラミックグリーンシートを支持台板上に転写する転写工程、(b)支持フィルムのみを剥離する剥離工程、(c)セラミックグリーンシート2上に導体パターン3、4を形成する工程、(d)別のセラミックグリーンシート2を転写する転写工程、(e)形成された大型積層体である。
【符号の説明】
10 積層セラミックコンデンサ
1 積層体
2 誘電体層(セラミックグリーンシート)
3、4 内部電極(内部電極パターン)
5、6 外部電極
11 大型積層体
20 支持フィルム
21 貫通孔
22 金型
23 支持台板
C 切断線
【発明の属する技術分野】
本発明は、セラミックグリーンシートの積層方法に関するものであり、特に積層セラミック電子部品を製造するために実施されるセラミックグリーンシートの積層方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
代表的な積層セラミック電子部品である積層セラミックコンデンサは、積層体と、積層体の一対の端面に形成した外部電極とから構成されている。また、積層体は、複数の誘電体層と一対の内部電極とが積層されて構成されている。さらに、一方の外部電極は、積層体の一方の端面に露出する内部電極に電気的に接続している。また、他方の外部電極は、積層体の他方の端面に露出する内部電極に電気的に接続している。
【0003】
積層セラミックコンデンサの製造方法は、誘電体層となるセラミックグリーンシートを形成し、このセラミックグリーンシートと内部電極となる内部電極パターンとが交互に積層してなる大型積層体を形成する。次に、この大型積層体を各素子領域に切断し、焼成処理して積層体を形成する。そして、積層体の端面に、一対の外部電極を形成する。
【0004】
このような積層セラミックコンデンサにおいて、大きな静電容量を得ようとする場合、内部電極間の距離を小さくするとともに、所定の寸法範囲内において内部電極の積層数を増大させるために、できるだけ薄いセラミックグリーンシートを用いることが有利である。
【0005】
このように、薄いセラミックグリーンシートを積層する場合、積層時のハンドリングが難しく、しわが生じたり、積層ずれが生じるという問題点があった。
【0006】
そこで、支持フィルム上に形成されたセラミックグリーンシートを支持台板(被積層体)上に搬送する搬送工程と、支持フィルム側から加圧加熱することにより、セラミックグリーンシートを支持台板に転写する転写工程と、支持フィルムのみを剥離する剥離工程を繰り返すことにより、大型積層体を形成するセラミックグリーンシートの積層方法が用いられている。
【0007】
【特許文献1】
特開平10−22165号公報(2頁、図11)
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記セラミックグリーンシートの積層方法によれば、支持フィルムのみを剥離する際に、支持フィルム−セラミックグリーンシート間の剥離強度が支持台板上に積層されたセラミックグリーンシート間の剥離強度に比べて十分小さくないと、支持フィルムを確実に剥離することができず、セラミックグリーンシートの一部が支持フィルムにくっついた状態で剥離が行われ、セラミックグリーンシートに破損や変形が生じるという問題点があった。特に、セラミックグリーンシート同士の剥離強度に比べて、内部電極パターンの剥離強度は小さいため、取り個数増大のために、セラミックグリーンシート上に内部電極パターンの面積の割合を大きくした場合、上記支持フィルムを確実に剥離することがさらに困難になっていた。
【0009】
また、上記支持台板上に積層されたセラミックグリーンシート間の剥離強度を大きくするためには、転写を高温高圧下で行う必要があり、セラミックグリーンシートの伸びが生じやすくなることにより、エンドマージンやサイドマージンが小さくなってしまうことから、取り個数増大には限界があった。さらに、転写後に支持フィルムを確実に剥離するためには、支持フィルムを冷却する必要があり、冷却時間が追加されることにより、生産性低下の原因となっていた。
【0010】
一方、支持フィルムとセラミックグリーンシート間の剥離強度を小さくするために、支持フィルムの離型性を高くする方法が考えられるが、支持フィルムの離型性が高すぎると、内部電極パターンの形成などのセラミックグリーンシートのハンドリングにより、セラミックグリーンシートが支持フィルムから剥離してしまうという問題点があった。特に、セラミックグリーンシートが形成された支持フィルムをロール状に巻き取って取り扱う場合、再度巻き出す際に、セラミックグリーンシートが支持フィルムの裏面に張り付いて剥離してしまうという不具合が発生していた。
【0011】
本発明は、上述の問題に鑑みて案出されたものであり、その目的は、ハンドリングによるセラミックグリーンシートの支持フィルムからの剥離を防ぎつつ、転写工程におけるセラミックグリーンシートからの支持フィルムの剥離が確実に行われることにより、セラミックグリーンシートの破損や変形を防ぐことができるとともに、生産性を向上できるセラミックグリーンシートの積層方法を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明は、支持フィルム上に形成されたセラミックグリーンシートを被積層体上に転写する工程、前記支持フィルムのみを剥離する工程を繰り返すセラミックグリーンシートの積層方法において、
前記セラミックグリーンシートが形成された支持フィルムに、該支持フィルムの剥離前に、該支持フィルムとセラミックグリーンシートとの界面に気体を導入する貫通孔を形成することを特徴とするセラミックグリーンシートの積層方法である。
【0013】
また、前記被積層体は、支持台板、該支持台板上に載置されたセラミックグリーンシート、あるいは前記支持台板上に載置されたセラミックグリーンシート及び内部電極パターンのいずれかである。
【0014】
【作用】
本発明によれば、支持フィルム上にセラミックグリーンシートを形成した後、被積層体に該セラミックグリーンシートを転写し、支持フィルムを剥離するまでの間に、セラミックグリーンシートが形成された支持フィルムに貫通孔を形成するため、支持フィルムのみを剥離する際に、支持フィルムとセラミックグリーンシートの間に貫通孔から空気が入り込み、空気膜を形成することから、支持フィルムを押すように働く大気圧を小さくすることができる。このため、支持フィルムとセラミックグリーンシートとの界面の剥離強度を小さくすることができ、転写工程後のセラミックグリーンシートからの支持フィルムの剥離が確実に行われ、セラミックグリーンシートの破損や変形を防ぐことができる。ここで、支持フィルムに貫通孔を形成する前は、支持フィルムとセラミックグリーンシートは密着しているため、ハンドリングによるセラミックグリーンシートの支持フィルムからの剥離が問題になることはない。
【0015】
また、転写工程を従来に比べて低温低圧下で行うことができるため、セラミックグリーンシートの伸びにより、エンドマージンやサイドマージンが小さくなってしまうことを防止でき、取り個数を増大できるとともに、支持フィルムを冷却する時間を短縮できることから、生産性を向上させることができる。ここで、搬送工程、転写工程、転写工程後剥離工程前のいずれかにおいて、セラミックグリーンシートが形成された支持フィルムに貫通孔を形成するため、これらの工程と貫通孔の形成が同時に行われるように調節することにより、上記貫通孔の形成が追加されても、生産性が低下することはない。また、転写工程と同時に貫通孔を形成することにより、貫通孔を形成する機構を別途設ける必要がないため、簡単且つ安価な工程となる。一方、転写工程後剥離工程前に貫通孔を形成することにより、支持フィルムに貫通孔を形成する際に発生した切断屑が、転写時にセラミックグリーンシートに付着し、セラミックグリーンシート間にかみ込まれるという問題点を解決できる。
【0016】
また、本発明は、被積層体が、支持台板、支持台板上に載置されたセラミックグリーンシート、あるいは支持台板上に載置されたセラミックグリーンシート及び内部電極パターンのいずれかである場合に有効である。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のセラミックグリーンシートの積層方法を図面に基づいて説明する。
【0018】
代表的な積層セラミック電子部品として、積層セラミックコンデンサを用いて説明する。
【0019】
図1は、本発明のセラミックグリーンシートの積層方法を示す断面図であり、(a)支持フィルム上に形成されたセラミックグリーンシートを被積層体上に搬送する搬送工程、(b)支持フィルムに貫通孔を形成する工程、(c)セラミックグリーンシート及び内部電極パターンを支持台板上に転写する転写工程、(d)支持フィルムのみを剥離する剥離工程、(e)形成された大型積層体である。図2は、本発明のセラミックグリーンシートの積層方法を用いた積層セラミックコンデンサを示す図であり、(a)は外観斜視図、(b)は縦断面図である。
【0020】
図2(a)において、積層セラミックコンデンサ10は、積層体1と、積層体1の一対の端面に形成した外部電極5、6とから構成されている。この積層体1は、図2(b)に示すように、複数の誘電体層2と一対の内部電極3、4とが積層されて構成されている。また、一方の外部電極5は、積層体1の一方の端面に露出する内部電極3に電気的に接続している。また、他方の外部電極6は、積層体1の他方の端面に露出する内部電極4に電気的に接続している。
【0021】
次に、本発明の積層セラミックコンデンサ10の製造方法について、図を用いて説明する。なお、符号は、焼成の前後で区別しないことにする。
【0022】
まず、図1(a)に示すように、まず、支持フィルム(キャリアフィルム)20上にセラミックスラリを塗布して、誘電体層となるセラミックグリーンシート2を形成する。支持フィルム20の材料としては、ポリエチレンテレフタラート(PET)、ポリプロピレン(PP)、ポリイミド(PI)、ポリエチレンナフタレート(PEN)などが用いられる。また、支持フィルム20の厚みは5〜100μm、好ましくは20〜50μmの範囲にあることが望ましい。すなわち、支持フィルム20の厚みが5μm未満である場合、形成されたセラミックグリーンシート2を安定な状態で搬送することが困難であり、一方、支持フィルム20の厚みが100μmより大きい場合、コストが高くつくとともに、貫通孔21を形成しにくくなる。さらに、セラミックグリーンシート2の厚みは、小型、大容量化という理由から、1.5〜4μmであることが望ましい。
【0023】
次に、このセラミックグリーンシート2の一方主面上に導電性ペーストを印刷して、内部電極となる内部電極パターン3、4を形成する。この内部電極パターン3、4の厚みは、0.5〜1.5μmであることが望ましい。
【0024】
次に、図1(b)に示すように、支持フィルム20上に形成されたセラミックグリーンシート2を支持台板23上に搬送する搬送工程において、支持フィルム20の上側から、支持フィルム20に貫通孔21を形成する。
【0025】
貫通孔21の径は、100〜300μm程度であることが望ましい。また、貫通孔21は、1個形成しても良く、複数個形成しても良い。このとき、支持フィルム20−セラミックグリーンシート2間の剥離強度を小さくするためには、内部電極パターン3、4が複数個形成されたセラミックグリーンシート2の中央付近に、貫通孔21を形成することが望ましい。また、切断線Cとなる部分や、切断後に積層セラミックコンデンサ10とはならない部分に、貫通孔21を形成することが望ましい。このことにより、貫通孔21を形成する際に、セラミックグリーンシート2に傷をつけてしまった場合も、傷がついた部分は除去されるため、最終製品としての積層セラミックコンデンサ10については、問題となることはない。さらに、内部電極パターン3、4を形成するためのスクリーン製版として、一部内部電極パターン3、4が形成されない部分を設け、この部分に貫通孔21を形成するようにしても良い。このことにより、傷がついた部分が除去されるとともに、セラミックグリーンシート2の任意の部分に比較的径の大きい貫通孔21を形成することができ、且つ貫通孔21を形成する際の位置ずれによる問題点を解決することができる。なおこのとき、切断後に内部電極パターン3、4が形成されない未焼成状態の積層体1が形成されるが、印をつけておくことなどにより切断直後に除去しても良く、他の内部電極パターン3、4が形成された未焼成状態の積層体1と一緒に、焼成及び外部電極5、6を形成した後、特性選別により除去するようにしても良い。
【0026】
また、貫通孔21を形成する方法は、マイクロドリル、パンチング、レーザを用いる方法などが挙げられる。このとき、セラミックグリーンシート2の厚みが十分薄く、且つ透明な支持フィルム20を用いた場合、支持フィルム20の上側から内部電極パターン3、4が透けて見えるため、画像認識装置(図示せず)により内部電極パターン3、4の位置を確認しながら貫通孔21を形成することにより、上記切断線Cとなる部分や、内部電極パターン3、4が形成されない部分に確実に貫通孔21を形成することができる。
【0027】
次に、図1(c)に示すように、支持フィルム20上に形成されたセラミックグリーンシート2及び内部電極パターン3、4を支持台板23上に載置するとともに、支持フィルム20側から金型22により加圧加熱することにより、セラミックグリーンシート2を支持台板23(被積層体)上に転写する。
【0028】
このとき、まず積層セラミックコンデンサ10の一方のトップマージン部となる、複数枚のセラミックグリーンシート2をあらかじめ形成しておき、支持台板23上に載置しておく。そして、このセラミックグリーンシート2上に、支持フィルム20上に形成されたセラミックグリーンシート2及び内部電極パターン3、4を転写していく。また、転写工程の前に、支持フィルム20上に形成されたセラミックグリーンシート20をあらかじめ所定の寸法に切断しておく。
【0029】
次に、図2(d)に示すように、支持台板23が下降することにより、支持台板23上に転写されたセラミックグリーンシート2から支持フィルム20のみを剥離する。
【0030】
このとき、支持フィルム20とセラミックグリーンシート2の間に貫通孔21から空気が入り込み、空気膜を形成することから、支持フィルム20を押すように働く大気圧を小さくすることができる。このため、支持フィルム20−セラミックグリーンシート2間の剥離強度を小さくすることができ、転写後のセラミックグリーンシート2からの支持フィルム20の剥離が確実に行われ、セラミックグリーンシート2の破損や変形を防ぐことができる。ここで、支持フィルム20に貫通孔21を形成する前は、支持フィルム20とセラミックグリーンシート2は密着しているため、ハンドリングによるセラミックグリーンシート2の支持フィルム20からの剥離が問題になることはない。
【0031】
また、転写工程を従来に比べて低温低圧下で行うことができるため、セラミックグリーンシート2の伸びにより、エンドマージンやサイドマージンが小さくなってしまうことを防止でき、取り個数を増大できるとともに、支持フィルム20を冷却する時間を短縮できることから、生産性を向上させることができる。ここで、搬送工程、転写工程、転写工程後剥離工程前のいずれかにおいて、セラミックグリーンシート2が形成された支持フィルム20に貫通孔21を形成するため、これらの工程と貫通孔21の形成が同時に行われるように調節することにより、上記貫通孔21の形成が追加されても、生産性が低下することはない。
【0032】
また、本発明は、被積層体が、支持台板23、支持台板23上に載置されたセラミックグリーンシート2、あるいは支持台板23上に載置されたセラミックグリーンシート2及び内部電極パターン3、4のいずれかである場合に有効である。
【0033】
さらに、図1(b)〜(d)の工程を繰り返した後、他方のトップマージン部となる複数枚のセラミックグリーンシート2を積層し、静水圧プレスなどにより転写時より高温・高圧下で加圧加熱することにより、図1(e)に示すような大型積層体11を形成する。
【0034】
この後、この大型積層体11を切断線Cにより各素子領域毎に切断して、未焼成状態の積層体1を得る。
【0035】
さらに、この未焼成状態の積層体1を所定の雰囲気及び温度条件下で焼成して、積層体1を得る。この積層体1は、複数の誘電体層2と内部電極3、4とが積層されているとともに、一対の端面に内部電極3、4が露出している。
【0036】
次に、外部電極となる導体膜5、6を積層体1の一対の端面にディップ法により形成する。さらに、導体膜は、所定の雰囲気、温度、時間を加えて焼成、外部電極5、6を形成する。そして、外部電極5、6表面にNiメッキ/Snメッキを形成する。
【0037】
このようにして、図1に示すような積層コンデンサ10が得られる。
【0038】
なお、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内での種々の変更や改良などは何ら差し支えない。
【0039】
例えば、上記実施の形態では、本発明を積層セラミックコンデンサの製造方法に用いた例について説明したが、本発明は、他の電子部品や、半導体部品などの他のセラミック電子部品にも適用できる。
【0040】
図3は、本発明のセラミックグリーンシートの他の実施形態を示す図である。図のように、支持フィルム20上に内部電極パターン3、4を形成した後、セラミックスラリーを塗布する方法などにより、この内部パターン3、4を覆うようにセラミックグリーンシート2を形成し、この内部電極パターン3、4及びセラミックグリーンシート2を支持台板23上に転写するようにしても良い。このことにより、支持フィルム20上に内部電極パターン3、4が形成していない部分を埋めるように、セラミックグリーンシート2が形成されるため、得られる積層セラミックコンデンサ10の内部電極3、4の有無による段差を緩和することができる。また、支持フィルム20とセラミックグリーンシート2の間に内部電極パターン3、4が形成されているため、画像認識装置により内部電極パターン3、4の位置を確認しながら貫通孔21を形成しやすくなるという効果もある。
【0041】
図4は、本発明のセラミックグリーンシート2の積層方法のさらに他の実施形態を示す図である。図のように、セラミックグリーンシート2を支持フィルム20側から加圧加熱する際に、金型22に突起部22aを設け、この突起部22aにより支持フィルム20に貫通孔21を形成するようにしても良い。このことにより、支持フィルム20に貫通孔21を形成する機構を別途設ける必要がないため、簡単且つ安価な工程となる。
【0042】
図5は、本発明のセラミックグリーンシート2の積層方法のさらに他の実施形態を示す図である。図のように、セラミックグリーンシート2及び内部電極パターン3、4を支持台板23上に転写する工程の後で、支持フィルム20に貫通孔21を形成するようにしても良い。このことにより、支持フィルム20に貫通孔21を形成する際に発生した切断屑が、転写時にセラミックグリーンシート2に付着し、セラミックグリーンシート2間にかみ込まれるという問題点を解決できる。
【0043】
また、図1、3〜5のセラミックグリーンシートの積層方法において、支持フィルム20上にセラミックグリーンシート2及び内部電極パターン3、4を複数層形成した後、支持台板23上に一度に転写するようにしても良い。このことにより、セラミックグリーンシート2の破損や変形をさらに防止することができる。
【0044】
図6は、本発明のセラミックグリーンシート2の積層方法のさらに他の実施形態を示す図である。図のように、(a)支持フィルム20上に形成されたセラミックグリーンシート2aを、支持フィルム20側から仮プレスすることにより、支持台板23上に転写する工程と、(b)支持フィルム20のみを剥離する工程と、(c)転写されたセラミックグリーンシート2a上に導体パターン3、4を形成する工程と、(d)導体パターン3、4が形成されたセラミックグリーンシート2a上に、別のセラミックグリーンシート2bを搭載する工程とを繰り返すことにより、(e)大型積層体11を配置しても良い。この製造方法によれば、積層精度が良好になり、容量ばらつきを低減できるとともに、サイドマージンやエンドマージンを小さくできることから、積層セラミックコンデンサ10の小型化に対応できる。
【0045】
また、上記実施の形態では、金型22を用いて加圧加熱を行っているが、ローラを用いて加圧加熱を行うようにしても良い。このことにより、転写に必要な圧力を小さくできるとともに、圧力のばらつきを小さくでき、且つ大型積層体11の空気のかみ込みによるデラミネーションなどの発生を防止できる。
【0046】
【発明の効果】
本発明によれば、搬送工程、転写工程、転写工程後剥離工程前のいずれかにおいて、セラミックグリーンシートが形成された支持フィルムに貫通孔を形成するため、支持フィルム−セラミックグリーンシート間の剥離強度を小さくすることができ、転写工程後のセラミックグリーンシートからの支持フィルムの剥離が確実に行われ、セラミックグリーンシートの破損や変形を防ぐことができる。ここで、支持フィルムに貫通孔を形成する前は、支持フィルムとセラミックグリーンシートは密着しているため、ハンドリングによるセラミックグリーンシートの支持フィルムからの剥離が問題になることはない。
【0047】
また、転写工程を従来に比べて低温低圧下で行うことができるため、セラミックグリーンシートの伸びにより、エンドマージンやサイドマージンが小さくなってしまうことを防止でき、取り個数を増大できるとともに、支持フィルムを冷却する時間を短縮できることから、生産性を向上させることができる。ここで、搬送工程、転写工程、転写工程後剥離工程前のいずれかにおいて、セラミックグリーンシートが形成された支持フィルムに貫通孔を形成するため、これらの工程と貫通孔の形成が同時に行われるように調節することにより、上記貫通孔の形成が追加されても、生産性が低下することはない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のセラミックグリーンシートの積層方法を示す断面図であり、(a)支持フィルム上に形成されたセラミックグリーンシート及び内部電極パターンを被積層体上に搬送する搬送工程、(b)支持フィルムに貫通孔を形成する工程、(c)セラミックグリーンシート及び内部電極パターンを支持台板上に転写する転写工程、(d)支持フィルムのみを剥離する剥離工程、(e)形成された大型積層体である。
【図2】本発明のセラミックグリーンシートの積層方法を用いた積層セラミックコンデンサを示す図であり、(a)は外観斜視図、(b)は縦断面図である。
【図3】本発明のセラミックグリーンシートの積層方法の他の実施の形態を示す断面図であり、セラミックグリーンシート及び内部電極パターンを支持台板上に転写する転写工程である。
【図4】本発明のセラミックグリーンシートの積層方法のさらに他の実施の形態を示す断面図であり、セラミックグリーンシート及び内部電極パターンを支持台板上に転写する転写工程である。
【図5】本発明のセラミックグリーンシートの積層方法のさらに他の実施の形態を示す断面図であり、(a)支持フィルム上に形成されたセラミックグリーンシート及び内部電極パターンを被積層体上に搬送する搬送工程、(b)セラミックグリーンシート及び内部電極パターンを支持台板上に転写する転写工程、(c)支持フィルムに貫通孔を形成する工程、(d)支持フィルムのみを剥離する剥離工程、(e)形成された大型積層体である。
【図6】本発明のセラミックグリーンシートの積層方法のさらに他の実施の形態を示す断面図であり、(a)セラミックグリーンシートを支持台板上に転写する転写工程、(b)支持フィルムのみを剥離する剥離工程、(c)セラミックグリーンシート2上に導体パターン3、4を形成する工程、(d)別のセラミックグリーンシート2を転写する転写工程、(e)形成された大型積層体である。
【符号の説明】
10 積層セラミックコンデンサ
1 積層体
2 誘電体層(セラミックグリーンシート)
3、4 内部電極(内部電極パターン)
5、6 外部電極
11 大型積層体
20 支持フィルム
21 貫通孔
22 金型
23 支持台板
C 切断線
Claims (2)
- 支持フィルム上に形成されたセラミックグリーンシートを被積層体上に転写する工程と前記転写したセラミックグリーンシートから支持フィルムのみを剥離する工程とを繰り返すセラミックグリーンシートの積層方法において、
前記セラミックグリーンシートが形成された支持フィルムに、該支持フィルムとセラミックグリーンシートとの界面に気体を導入する貫通孔を形成することを特徴とするセラミックグリーンシートの積層方法。 - 前記被積層体は、支持台板、該支持台板上に載置されたセラミックグリーンシート、あるいは前記支持台板上に載置されたセラミックグリーンシート及び内部電極パターンのいずれかであることを特徴とする請求項1記載のセラミックグリーンシートの積層方法。
Priority Applications (1)
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2003
- 2003-03-27 JP JP2003089365A patent/JP2004296937A/ja active Pending
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