JP2004296012A - 不揮発性半導体記憶装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】不揮発性半導体メモリセルの劣化を検出して記憶装置の信頼性を高める。
【解決手段】各ワードに劣化判定用のビットを1ビット追加して設ける。各ワードのデータを書換える度にこの劣化判定ビットの書換えも必ず行ない、浮遊ゲートに電子を蓄積させる。この劣化判定ビットの浮遊ゲートに電子が蓄積されていることのセンスアンプによる判定条件を、同じワードの他のビットよりも厳しく設定する。劣化判定ビットの内容を、そのワードのデータ読出しの都度、同時に行い、浮遊ゲートに電子が蓄積されているにも関わらず、蓄積されていないようにセンスアンプで検出された時にそのワードのメモリセルの書換え寿命と判定して、以後、そのワードの使用を止める。
【選択図】 図1
【解決手段】各ワードに劣化判定用のビットを1ビット追加して設ける。各ワードのデータを書換える度にこの劣化判定ビットの書換えも必ず行ない、浮遊ゲートに電子を蓄積させる。この劣化判定ビットの浮遊ゲートに電子が蓄積されていることのセンスアンプによる判定条件を、同じワードの他のビットよりも厳しく設定する。劣化判定ビットの内容を、そのワードのデータ読出しの都度、同時に行い、浮遊ゲートに電子が蓄積されているにも関わらず、蓄積されていないようにセンスアンプで検出された時にそのワードのメモリセルの書換え寿命と判定して、以後、そのワードの使用を止める。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、メモリセルに対して電気的に情報の書込み、消去及び読出しが可能な不揮発性半導体メモリセルを使用した不揮発性半導体記憶装置に関し、特にメモリセルの劣化を事前に検出して信頼性を向上させる技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
メモリセルに対して電気的に情報の書込み、消去及び読出しが可能な不揮発性半導体メモリセルはEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)として知られており、代表的なものとしてフラッシュメモリ(フラッシュ型EEPROM)、従来型EEPROMがある。このEEPROMは、図3に示すように、浮遊ゲートと制御ゲートを有するスタックゲートMOS型トランジスタをメモリセルとして使用している。
【0003】
情報の書込みは、消去して電荷を取り去った浮遊ゲートに何らかの手段により新たな電荷を蓄積させるか否かによって行なう。たとえば電子を新たに蓄積させた状態を論理“1 ”データの書込みとすれば、電子が蓄積されていない消去の状態は論理“0 ”データの書込みとなる。浮遊ゲートに電子が蓄積されているか否かによって制御ゲートを基準にした場合のしきい値電圧が変化するので、これを利用して書き込まれている情報の読出しが行なわれる。
【0004】
浮遊ゲートへの電子の蓄積は、シリコン基板と浮遊ゲート間に設けたゲート絶縁膜を通って電子を浮遊ゲートに注入する方法で行なわれる。この電子を注入する方法としてホットエレクトロンによる注入方法と、FN(ファウラー−ノルドハイム)トンネリングによる注入方法とがある。蓄積された電子の消去は、ゲート絶縁膜を通してシリコン基板にトンネル効果を使って電子を引き抜くことによって行なわれる。
【0005】
しかし、このように浮遊ゲートへの電子の注入、消去を繰り返し実行すると、ゲート絶縁膜の特性が徐々に劣化していく。劣化は、ゲート絶縁膜を通過する電流によってゲート絶縁膜中にホールや電子が蓄積することが原因と言われ、制御ゲートから見たしきい値電圧の変化として現れる。図4は、メモリセルへのこのような情報の消去/書込みの書換え回数によってしきい値電圧が変化していく様子を例示したものである。書換え回数が増加するにつれ、書込み時(電子の蓄積時)のしきい値電圧は低下し、消去時のしきい値電圧は逆に上昇し、その差は次第に狭まっていく。この差である動作マージンが小さくなりすぎると、情報の読出し時にエラーが発生する。これが、EEPROMには100万回程度の書き換え限界があると言われる理由である。
【0006】
このようなEEPROMの劣化を判断するための対策としては、従来より種々の方法が提案されている。例えば、メモリセルのブロック毎に書換え回数を計数するカウンタを設け、該カウンタにより計数された書換え回数によりメモリセルの書換え寿命を判断する方法がある(特許文献1、2参照)。しかし、この方法は書換え回数が制限値に達したことで書換え寿命と判断するため、メモリセルがまだ十分に機能できるにも関わらず寿命と判断してしまう場合が生ずる欠点がある。
【0007】
また、別の方法としてメモリセルに対し消去/書込みを行なった直後に、制御ゲートに劣化判定用の特別の電圧を印加して読出しを行い、書き込んだ情報と読み出した情報とを比較して書換え寿命を判断する方法も提案されている(特許文献3、4参照)。しかし、この方法は、消去/書込みに続いて毎回劣化判定のため読出し動作を行なうために、消去/書込み時間が長くなる欠点がある。
【0008】
更に別の方法として、浮遊ゲートに蓄積された電荷の消去に要した消去時間を計測し、予めメモリに記憶された基準消去時間と比較することで、メモリセルの劣化程度を判断する方法も提案されている(特許文献5参照)。しかし、この方法も消去時間の計測回路を必要とするため回路が複雑になり、また消去時間比較のためのソフトウェアが必要になるなどの問題がある。
【0009】
【特許文献1】
特開平03−25798号公報
【0010】
【特許文献2】
特開平06−28899号公報
【0011】
【特許文献3】
特開2000−215697号公報
【0012】
【特許文献4】
特開2002−208291号公報
【0013】
【特許文献5】
特開2002−208286号公報
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、従来技術のこうした問題点を解決するためになされたもので、その目的は、書換え回数の制限を予め設定することなく、また複雑な寿命判定回路や複雑なソフトウェアを必要とすることもなく、不揮発性半導体メモリセルの書換え寿命を判定することのできる不揮発性半導体記憶装置を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するための請求項1に記載の発明は、電気的に情報の書込み、消去及び読出しが可能な不揮発性半導体メモリセルを使用した不揮発性半導体記憶装置であって、データの書込み単位であるワード毎に1ビットの劣化判定ビットを追加してある。そして、該ワードのデータの消去/書き込みの都度、該劣化判定ビットも消去した後に消去状態(論理“0 ”)と反対のデータ(論理“1 ”)の書込みを行なうと共に、該ワードのデータ読出し時には該劣化判定ビットの内容も同時に読み出す。そして、読み出し内容が消去状態と反対のデータ(論理“1” )ではないと判定された場合に、該ワードの書換え寿命と判断するように構成されたものであって、その劣化判定ビットから読み出したデータが消去状態と反対のデータ(論理“1 ”)であることの判定条件を、他のビットに対する判定条件よりも厳しく設定したことを特徴とする不揮発性半導体記憶装置である。
【0016】
このような構成によれば、劣化判定ビットの書換え回数が各ワードの中で最も多くなるため、劣化が一番速く進行する。更に、該劣化判定ビットの読出しの際に、読み出されたデータが消去状態と反対のデータ(論理“1 ”)と判定される判定条件が他のビットよりも厳しく設定されているため、同じ書換え回数に対する劣化の進行程度に多少のバラツキがあったとしても劣化判定ビットがそのワードの中では最も速く書換え寿命と判定される。こうして寿命と判定された以後は、そのワードの使用を止めるようにすることで不揮発性半導体装置の信頼性を向上させることができる。
【0017】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記ワードの各ビットからの読み出しデータが消去状態と反対のデータ(論理“1 ”)であることの判定を、各ビットのメモリセルに選択ゲートを挟んで直列に負荷抵抗を接続して両端に定電圧(Vd)を印加し、データ読出し時に該メモリセルと選択ゲートにかかる電圧をコンパレータ(Q1)にて基準電圧(Vref)と比較して行なうように構成されたものである。その上で、前記消去状態と反対のデータ(論理“1 ”)の状態を前記メモリセル(M1)の浮遊ゲートに電子が存在する状態に対応させ、前記劣化判定ビットに対応するセンスアンプの基準電圧(Vref)を、他のビットに対応するセンスアンプの基準電圧(Vref)よりも高く設定したことを特徴とする不揮発性半導体記憶装置である。
【0018】
このような構成によれば、読み出したデータが消去状態と反対のデータ(論理“1)と判定される条件が、劣化判定ビットのみ他のビットより厳しく設定されていることとなるため、請求項1に記載の発明の効果と同様の効果を得ることができる。
【0019】
また、請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記ワードの各ビットからの読み出しデータが消去状態と反対のデータ(論理“1 ”)であることの判定を、各ビットのメモリセルに選択ゲートを挟んで直列に負荷抵抗を接続して両端に定電圧(Vd)を印加し、データ読出し時に該メモリセルと選択ゲートにかかる電圧をコンパレータ(Q1)にて基準電圧(Vref)と比較して行なうように構成されたものである。その上で、前記消去状態と反対のデータ(論理“1 ”)の状態を前記メモリセル(M1)の浮遊ゲートに電子が存在しない状態に対応させ、前記劣化判定ビットに対応するセンスアンプの基準電圧(Vref)を、他のビットに対応するセンスアンプの基準電圧(Vref)よりも低く設定したことを特徴とする不揮発性半導体記憶装置である。
【0020】
このような構成によれば、読み出したデータが消去状態と反対のデータ(論理“1)と判定される条件が、劣化判定ビットのみ他のビットより厳しく設定されていることとなるため、請求項1に記載の発明の効果と同様の効果を得ることができる。
【0021】
また、請求項4に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記ワードの各ビットからの読み出しデータが消去状態と反対のデータ(論理“1 ”)であることの判定を、各ビットのメモリセルに選択ゲートを挟んで直列に負荷抵抗を接続して両端に定電圧(Vd)を印加し、データ読出し時に該メモリセルと選択ゲートにかかる電圧を基準電圧と比較して行なうように構成したものである。その上で、前記消去状態と反対のデータ(論理“1 ”)の状態を前記メモリセル(M1)の浮遊ゲートに電子が存在する状態に対応させ、前記負荷抵抗として機能するPMOSトランジスタ(M3)の面積を、他のビットに対応する負荷抵抗として機能するPMOSトランジスタ(M3)の面積よりも小さくして抵抗値が高くなるように形成したことを特徴とする不揮発性半導体記憶装置である。
【0022】
なお、データ読出し時におけるメモリセルと選択ゲートにかかる電圧と基準電圧との比較は、コンパレータで行なってもよいし、ゲート回路を使用して行なってもよい。ゲート回路を使用して比較する場合には、基準電圧の語は、ゲート回路が入力信号を論理“1 ”あるいは論理“0 ”と判断するスレショールド電圧を指すものとする。以下、同様。
【0023】
このような構成によれば、読み出したデータが消去状態と反対のデータ(論理“1)と判定される条件が、劣化判定ビットのみ他のビットより厳しく設定されていることとなるため、請求項1に記載の発明の効果と同様の効果を得ることができる。
【0024】
また、請求項5に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記ワードの各ビットからの読み出しデータが消去状態と反対のデータ(論理“1 ”)であることの判定を、各ビットのメモリセルに選択ゲートを挟んで直列に負荷抵抗を接続して両端に定電圧(Vd)を印加し、データ読出し時に該メモリセルと選択ゲートにかかる電圧を基準電圧と比較して行なうように構成したものである。その上で、前記消去状態と反対のデータ(論理“1 ”)の状態を前記メモリセル(M1)の浮遊ゲートに電子が存在しない状態に対応させ、前記負荷抵抗として機能するPMOSトランジスタ(M3)の面積を、他のビットに対応する負荷抵抗として機能するPMOSトランジスタ(M3)の面積よりも大きくして抵抗値が低くなるように形成したことを特徴とする不揮発性半導体記憶装置である。
【0025】
このような構成によれば、読み出したデータが消去状態と反対のデータ(論理“1)と判定される条件が、劣化判定ビットのみ他のビットより厳しく設定されていることとなるため、請求項1に記載の発明の効果と同様の効果を得ることができる。
【0026】
また、請求項6に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記ワードの各ビットからの読み出しデータが消去状態と反対のデータ(論理“1 ”)であることの判定を、各ビットのメモリセルに選択ゲートを挟んで直列に負荷抵抗を接続して両端に定電圧(Vd)を印加し、データ読出し時に該メモリセルと選択ゲートにかかる電圧を基準電圧と比較して行なうように構成したものである。その上で、前記消去状態と反対のデータ(論理“1 ”)の状態を前記メモリセル(M1)の浮遊ゲートに電子が存在する状態に対応させ、前記劣化判定ビットに対応する定電圧(Vd)の値を、他のビットに対応する定電圧(Vd)よりも低くしたことを特徴とする不揮発性半導体記憶装置である。
【0027】
このような構成によれば、読み出したデータが消去状態と反対のデータ(論理“1)と判定される条件が、劣化判定ビットのみ他のビットより厳しく設定されていることとなるため、請求項1に記載の発明効果と同様の効果を得ることができる。
【0028】
また、請求項7に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記ワードの各ビットからの読み出しデータが消去状態と反対のデータ(論理“1 ”)であることの判定を、各ビットのメモリセルに選択ゲートを挟んで直列に負荷抵抗を接続して両端に定電圧(Vd)を印加し、データ読出し時に該メモリセルと選択ゲートにかかる電圧を基準電圧と比較して行なうように構成したものである。その上で、前記消去状態と反対のデータ(論理“1 ”)の状態を前記メモリセル(M1)の浮遊ゲートに電子が存在しない状態に対応させ、前記劣化判定ビットに対応する定電圧(Vd)の値を、他のビットに対応する定電圧(Vd)よりも高くしたことを特徴とする不揮発性半導体記憶装置である。
【0029】
このような構成によれば、読み出したデータが消去状態と反対のデータ(論理“1)と判定される条件が、劣化判定ビットのみ他のビットより厳しく設定されていることとなるため、請求項1に記載の発明効果と同様の効果を得ることができる。
【0030】
【発明の実施の形態】
図1に、本発明に係る不揮発性半導体記憶装置(以下、単に記憶装置という)の全体の回路構成を、図2には同回路におけるメモリセル内の情報読出し回路の1ビット分の回路を示す。図1では、簡単のためデータの書込み単位である1ワードが16ビットで構成され、全体のワード数が16ワードで構成される記憶装置の構成を示したものである。
【0031】
本実施形態の記憶装置は、メモリアレイ1と、アドレスバッファ2と、行デコーダ3と、列デコーダ4と、入出力バッファ5と、センスアンプ/書換え回路6と、マルチプレクサ7を具備して構成されている。メモリアレイ1は、(16ビット+1ビット)×2列×8行で構成される。本実施形態では、1ワード当たりの有効データ16ビットに対して更に1ビット余分にメモリセルを追加割り当てしている。この追加した1ビットは、後述する方法でメモリセルの劣化判定用に使用するビットである。以下、この追加割り当てしたビットを劣化判定ビットと呼ぶ。
【0032】
次に、このように構成された記憶装置の動作を説明する。データの書込みは、最初に書き込むメモリエリアのデータを消去した後に行なわれる。消去は、従来型EEPROMではバイト単位あるいはワード単位で行なわれるが、フラッシュメモリではメモリアレイ一括あるいはブロック単位で行なわれる。
【0033】
図1の記憶装置では、メモリセルとしてフラッシュメモリを想定しており、消去は1列、8ワードを1ブロックとするブロック単位で行なう。アドレスバッファ2に入力されたアドレス信号A0〜A3の最上位ビットA0が列デコーダ4に送られてデコードされ、マルチプレクサ7に送られて消去するブロックが選択される。なお、本実施形態の場合は、列数が2しかないため列デコーダ4は不要とも考えられるが、通常の記憶装置では列数が更に多く、また列デコーダはデコードと同時に電圧変換も行なうために記載したものである。
【0034】
最上位ビットA0により消去するブロックが選択された後、図示しないコントロール回路からセンスアンプ/書換え回路6に消去指令信号が送られると、同回路内の消去回路が動作して選択されたブロックの8ワード分のメモリセルのデータが一括して消去され、消去状態となる。
【0035】
なお、データの消去状態とは、メモリセルの浮遊ゲートに蓄積されていた電子が電気的に引き抜かれ、存在していない状態を指す場合と、メモリセルの浮遊ゲートに電子が注入され、蓄積されている状態を指す場合とがある。本実施形態では、浮遊ゲートに電子が蓄積されていない状態を消去状態と呼び、この状態を論理“0 ”データが保持されている状態として説明する。本記憶装置では、消去に際し、各ワードに追加割り当てされた前述の劣化判定ビットのメモリセルも同時に消去され、論理“0” データが保持されている状態となる。
【0036】
データの書込みは、消去されたブロックのメモリセルに対し、本実施形態の場合はワード単位で行なわれる。データの書込みを行なうワードは、4ビットのアドレス信号A0〜A3で指定される。アドレスの最上位ビットA0は、列デコーダ4に送られ、その出力でマルチプレクサ7の切り換えが行なわれて列が選択される。アドレスの下位3ビットA1〜A3は行デコーダ3に送られ、その出力により行が選択される。この列と行の選択により、データの書込みを行なうワードが決定される。
【0037】
データの書込みを行なうワードが決定すると、図示しないコントロール回路からセンスアンプ/書換え回路6に書込み指令信号が送られる。センスアンプ/書換え回路6は指令を受けて、入出力バッファ5に格納されている1ワード、16ビットのデータを、ワード単位で選択されたワードのメモリセルに書き込む。この時、書き込む16ビットデータの内のデータが論理“1” であるビットに対応するメモリセルに対してのみ、その浮遊ゲートに電子の注入が行なわれ、データが論理“0” であるビットに対応するメモリセルには電子の注入は行なわれない。電子の注入が行なわれたメモリセルは、その制御ゲートを基準としたしきい値電圧が上昇する。注入されなかったメモリセルのしきい値電圧は、消去された状態の値のままである。
【0038】
本発明の特徴は、このデータを書き込む際に、劣化判定ビットに必ず論理“1” データを書き込む点である。このようにすれば、各ワードの16ビット+劣化判定ビットの17ビットの中では、劣化判定ビットを構成するメモリセルに対する消去/書込み回数、即ち、書換え回数がもっとも多くなる。従って、各ワードの劣化判定ビットを含む17ビットの中では、劣化判定ビットを構成するメモリセルに一番早く劣化現象が現れる。そこで、劣化判定ビットの劣化の進行程度を判定し、それが許容限度を越えたと判定された場合に、それ以後そのワードの使用を停止することで記憶装置の信頼性を高めることができる。
【0039】
この判定ビットの劣化度の判定は、各ワードに書き込まれているデータを読み出す際に、劣化判定ビットの内容も同時に読出し、読み出したデータが以前に書き込んだ論理“1” データであるか否かで判定する。劣化判定ビットを含む1ワードデータの読出しは、書込みの場合と同じく、最初にアドレスバッファ2の内容を行デコーダ3と列デコーダ4でデコードし読み出すワードを選択する。続いて、図示しないコントロール回路からセンスアンプ/書換え回路6に読出し指令信号を送る。指令を受けたセンスアンプ/書換え回路6は、マルチプレクサ7を介して選択されたワードの劣化判定ビットを含む1ワード、17ビットのメモリセルにアクセスする。そして、内部のセンスアンプで各ビットに書き込まれていたデータが論理“1” データであるか論理“0” データであるかを判定し、その結果を入出力バッファ5に読出しデータとして格納する順序で行なわれる。
【0040】
図2は、このデータ読出しに使用する1ビット分の読出し回路の構成を示したものである。図中のM1は、データを記憶している浮遊ゲート型のメモリセルである。メモリセルM1の制御ゲートには、行デコーダ3の出力である行選択線(ワード線)が接続されている。データの読出しを行なう際には、制御ゲートには通常、論理“1” データ が書き込まれている場合のしきい値電圧Vth1と、論理“0” データが書き込まれている場合(消去状態)のしきい値電圧Vth0との、中間の電圧Vthmが印加される。
【0041】
図中のM2は、列を選択するNMOSトランジスタの選択ゲートであり、この選択ゲートが集まったものマルチプレクサ7である。選択ゲートM2のゲートには、列デコーダ4の出力である列選択線が接続されており、選択時にはM2を導通させるに十分な電圧が印加される。即ち、選択した行の行選択線(ワード線)と選択した列の列選択線にそれぞれ所定の電圧を印加することで、読み出しを行なう1ワード、17ビットのメモリセルが選択される。
【0042】
図中のM3は、メモリセルM1のデータ読出しを行なう際に、メモリセルM1の負荷抵抗となるPMOSトランジスタである。ゲートはドレインに接続されており負荷抵抗として機能する。Vdは、所定の定電圧である。
【0043】
列選択線を介して選択ゲートM2のゲートに所定の電圧が印加されて選択ゲートM2が導通状態にされ、更にメモリセルM1の制御ゲートに行選択線(ワード線)を介して、前述の中間の電圧Vthmが印加される。メモリセルM1に論理“1” データが書き込まれている場合には、そのしきい値電圧Vth1が中間電圧Vthmより高いためメモリセルM1は導通せず、電流は流れない。論理“0” データが書き込まれている場合には、そのしきい値電圧Vth0が中間電圧Vthmより低いためメモリセルM1は導通して、定電圧Vdより負荷抵抗として動作するトランジスタM3、選択ゲートM2、メモリセルM1を通って接地線Veに電流が流れる。
【0044】
このような動作により、選択ゲートM2とトランジスタM3の相互接続ノードN1には、メモリセルM1に書き込まれているデータにより値が変化する出力電圧Voが現れる。出力電圧V0は、コンパレータQ1の非反転入力端子に入力され、反転入力端子に入力された基準電圧Vrefと比較される。基準電圧Vrefは、定電圧Vdのほぼ1/2の電圧に設定されている。従って、メモリセルM1に記憶されているデータが論理“1” の場合には、コンパレータQ1の出力電圧はHレベルとなり、論理“0” の場合にはLレベルとなる。その結果は入出力バッファ5に出力される。それゆえ、入出力バッファ5の内容を読むことでメモリセルM1に書き込まれていたデータを知ることができる。このコンパレータQ1とトランジスタM3からなる回路がセンスアンプであり、データの読出しはワード単位で行なわれるため、このセンスアンプは劣化判定用を含めて17個準備される。
【0045】
ここで、メモリセルM1に論理“1” データが書き込まれていて非導通である場合の出力電圧Voの値は、次の式で計算される。
Vo=Rc・Vd/(Rc+R3) (1)式
RcはメモリセルM1の非導通時の抵抗値、R3は負荷抵抗として機能しているトランジスタM3の抵抗値を表わす。選択ゲートM2の導通時の抵抗値は、Rc、R3に比べて小さいので無視して考える。
【0046】
コンパレータQ1の反転入力端子には基準電圧Vrefが入力されているので、メモリセルM1に論理“1” データが書き込まれていて非導通の場合に、そのデータがコンパレータQ1により論理“1” と判定されるための条件は次式で表わされる。
Rc・Vd/(Rc+R3)>Vref (2)式
この式よりメモリセルM1の非導通時の抵抗Rcは、次式を満たしている必要がある。
Rc>R3/(Vd/Vref−1) (3)式
この(3)式が満足されない場合には、本来論理“1” であるデータが、コンパレータQ1により論理“0” と誤って検出されることになる。
【0047】
メモリセルM1に論理“1” データが書き込まれている状態、即ち、浮遊ゲートに電子が蓄積されている状態のしきい値電圧Vth1は、従来技術の項で引用した図4に示すように書換え回数によって次第に減少する。そのしきい値電圧Vth1が、読出し時に浮遊ゲートに加えられる前述の中間電圧Vthmより下回ると、読出し時に電流が流れる。電流が流れると、その抵抗Rcは急激に減少して(3)式が満たされなくなり、論理“1” であるべきデータが論理“0” と誤って検出される。
【0048】
実際の記憶装置ではノイズがあるためノイズマージンを考慮して、非導通時抵抗Rcの値が(3)式を満たさなくなる前に、書換え寿命と判定してそのメモリセルの使用を停止する必要がある。このノイズマージンを考慮したしきい値抵抗の値をRc1とすると、Rc1は次のような関係にある。
Rc1>Rc (4)式
非導通時の抵抗値がRc1以下になった時点で書換え寿命と判定することは、論理“1” データが書き込まれている状態のしきい値電圧Vth1と、制御ゲートに印加される前記中間電圧Vthmとの差にまだある程度の余裕がある段階で書換え寿命と判定することを意味する。即ち、しきい値電圧Vth1が、初期値から大きくは低下していない段階で書換え寿命と判定することを意味する。このようにある程度の余裕を残した段階で書換え寿命と判定して使用を中止すれば、記憶装置の信頼性を大幅に向上させることができる。
【0049】
本実施形態の場合、各ワードに追加付加した劣化判定ビットには、書換えの度に論理“1” データが書き込まれるので、劣化判定ビットに対応するメモリセルの書換え回数がそのワードの中では最も多くなる。従って、劣化判定ビットが最も早く劣化が進行すると考えられる。それゆえ、劣化判定ビットの読出しデータをチェックし、読み出したデータが論理“1” ではないと判定された時点でそのワードの書換え寿命と判断する。他の有効データを記憶するビットの書換え回数は劣化判定ビットより少ないので、このように判断することで、有効データが誤って読み出されることを未然に防止することができる。
【0050】
以上説明したように、劣化判定ビットの読出しデータをチェックしていれば、一応、劣化の判定をすることができる。しかし、ここでもう一つ考慮しなければないことは、劣化判定ビットの書換え回数がそのワードの中で一番多数回になるとしても、書込みデータによっては他のビットに対しても劣化判定ビットと殆ど変わらない回数の書換えが行なわれる場合があり得る点である。書換え回数がほぼ同じ程度であると、劣化の進行度合いにはバラツキがあるため、劣化判定ビットよりも先にそのビットのメモリセルが書換え寿命に達する場合があり得る。
【0051】
そこで、本実施形態ではこのような事態を避けるため、書換え寿命と判断する非導通時のノイズマージンを考慮したメモリセルM1の抵抗値Rc1の値を、劣化判定ビットに対してのみ他のビットよりも厳しく設定するようにしている。劣化判定ビットについての書換え寿命と判定するしきい値抵抗の値をRc2とすると、次のような関係にする。
Rc2>Rc1>Rc (5)式
【0052】
劣化判定ビットの読出し時の抵抗値がRc2以下であるか否かを判定するためには、コンパレータQ1の基準電圧Vref、定電圧Vd、トランジスタM3の導通時抵抗R3の値を、次式を満たすように決定しておく。このようにしておいて、コンパレータQ1で判断された読出しデータが論理“1” データであるか否かをみれば、劣化判定ビットが書換え寿命に達したか否かを判定できる。
Rc2=R3/(Vd/Vref−1) (6)式
【0053】
このような判定方法をとれば、同じ書換え回数に対する劣化進行程度が同じワード内のビットにより異なるとしても、劣化判定ビットに一番早く誤読出しが発生することになる。その結果、劣化判定ビットの劣化判定条件を他のビットと同じ条件とした場合に比べて、記憶装置の信頼性を一層向上させることができる。
【0054】
劣化判定ビットの劣化判定条件をこのように他のビットより厳しく設定するには、(6)式から次の3つの手段が考えられる。第1は、電源電圧Vd、抵抗値R3の値は他のビットと同じにして、基準電圧Vrefの値を劣化判定ビットのみ高く設定する方法である。第2は、電源電圧Vd、基準電圧Vrefの値は同じにして、抵抗値R3の値を劣化判定ビットのみ高くする方法である。トランジスタM3の抵抗値R3を高くするには、トランジスタM3を他のビットのトランジスタよりも小型に形成すればよい。第3の方法は、抵抗値R3、基準電圧Vrefの値は同じにして、電源電圧Vdの値を劣化判定ビットのみ低くする方法である。これらの何れかの手段をとることで、劣化判定ビットの劣化判定条件を他のビットが誤読出しを起こす条件よりも厳しく設定することができる。
【0055】
以上説明したように、本実施形態の構成によれば、同じ書換え回数に対する劣化の進行程度が同じワード内でビットにより異なるとしても、劣化判定ビットにもっとも早く誤読出しが発生することになる。従って、劣化判定ビットに誤読出しが発生した段階でそのワードの書換え寿命と判定して、以後、そのワードの使用を止めることで記憶装置の信頼性を向上させることができる。
【0056】
なお、上記の実施形態においては、センスアンプ内の相互接続ノードN1の電圧レベルの判定にコンパレータQ1を使用したが、コンパレータの代わりにゲート回路、例えば非反転バッファ回路を使用してもよい。この場合には、相互接続ノードN1の電圧が基準電圧Vrefより大であることは、相互接続ノードN1の電圧が非反転バッファ回路がその入力を論理“Hレベル ”と判定するスレショールド電圧より大であることに相当し、相互接続ノードN1の電圧が基準電圧Vrefより小であることは、相互接続ノードN1の電圧が非反転バッファ回路がその入力を論理“Lレベル ”と判定するスレショールド電圧より小であることに相当する。
【0057】
また、上記実施形態では、メモリセルの浮遊ゲートに電子が蓄積されていない状態を消去状態と呼び、この状態を論理“0 ”データが保持されている状態としてきた。これとは反対に、メモリセルの浮遊ゲートに電子が蓄積されている状態を消去状態と呼ぶことにし、この状態を論理“0 ”データが蓄積されている状態としてもよい。
【0058】
この場合には、浮遊ゲートに電子が蓄積されていない状態が論理“1 ”となり、その状態におけるメモリセルのしきい値電圧は、論理“0 ”のしきい値電圧より低い値である。そして論理“1 ”のしきい値電圧は、書込み回数が増えるに従って上昇する。従って、メモリセルの劣化判定は、劣化判定ビットのデータを読み出した際における図2の回路における相互接続ノードN1の電圧が所定の電圧より大きいか否かで判定すればよく、所定の電圧以上であれば寿命と判定する。
【0059】
この場合に劣化判定ビットのみ、論理“1 ”と判定される条件を厳しくするには、前記実施形態とは反対に、基準電圧Vrefを他のビットより低く設定するか、トランジスタM3の面積を他のビットより小さく形成して抵抗を低くするか、又は定電圧Vdの値を他のビットより高くすればよい。このようにすれば、前述の実施形態の場合と同様に、劣化判定ビットにもっとも早く誤読出しが発生することになる。従って、その時点でそのワードの書換え寿命と判定して、以後、そのワードの使用を止めることで記憶装置の信頼性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置の全体構成図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置のデータ読出し時の1ビット分の読出し回路である。
【図3】浮遊ゲート型不揮発性半導体メモリセルの構成例である。
【図4】書換え回数の増加によるしきい値電圧の変化の一例である。
【符号の説明】
図面中、1はメモリアレイ、2はアドレスバッファ、3は行デコーダ、4は列デコーダ、5は入出力バッファ、6はセンスアンプ/書換え回路、7はマルチプレクサ、Q1はコンパレータ、M1は不揮発性半導体メモリセル、M2は選択ゲート、M3はPMOSトランジスタ(負荷抵抗)、N1は相互接続ノード、Vdは定電圧、Vrefは基準電圧を示す。
【発明の属する技術分野】
本発明は、メモリセルに対して電気的に情報の書込み、消去及び読出しが可能な不揮発性半導体メモリセルを使用した不揮発性半導体記憶装置に関し、特にメモリセルの劣化を事前に検出して信頼性を向上させる技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
メモリセルに対して電気的に情報の書込み、消去及び読出しが可能な不揮発性半導体メモリセルはEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)として知られており、代表的なものとしてフラッシュメモリ(フラッシュ型EEPROM)、従来型EEPROMがある。このEEPROMは、図3に示すように、浮遊ゲートと制御ゲートを有するスタックゲートMOS型トランジスタをメモリセルとして使用している。
【0003】
情報の書込みは、消去して電荷を取り去った浮遊ゲートに何らかの手段により新たな電荷を蓄積させるか否かによって行なう。たとえば電子を新たに蓄積させた状態を論理“1 ”データの書込みとすれば、電子が蓄積されていない消去の状態は論理“0 ”データの書込みとなる。浮遊ゲートに電子が蓄積されているか否かによって制御ゲートを基準にした場合のしきい値電圧が変化するので、これを利用して書き込まれている情報の読出しが行なわれる。
【0004】
浮遊ゲートへの電子の蓄積は、シリコン基板と浮遊ゲート間に設けたゲート絶縁膜を通って電子を浮遊ゲートに注入する方法で行なわれる。この電子を注入する方法としてホットエレクトロンによる注入方法と、FN(ファウラー−ノルドハイム)トンネリングによる注入方法とがある。蓄積された電子の消去は、ゲート絶縁膜を通してシリコン基板にトンネル効果を使って電子を引き抜くことによって行なわれる。
【0005】
しかし、このように浮遊ゲートへの電子の注入、消去を繰り返し実行すると、ゲート絶縁膜の特性が徐々に劣化していく。劣化は、ゲート絶縁膜を通過する電流によってゲート絶縁膜中にホールや電子が蓄積することが原因と言われ、制御ゲートから見たしきい値電圧の変化として現れる。図4は、メモリセルへのこのような情報の消去/書込みの書換え回数によってしきい値電圧が変化していく様子を例示したものである。書換え回数が増加するにつれ、書込み時(電子の蓄積時)のしきい値電圧は低下し、消去時のしきい値電圧は逆に上昇し、その差は次第に狭まっていく。この差である動作マージンが小さくなりすぎると、情報の読出し時にエラーが発生する。これが、EEPROMには100万回程度の書き換え限界があると言われる理由である。
【0006】
このようなEEPROMの劣化を判断するための対策としては、従来より種々の方法が提案されている。例えば、メモリセルのブロック毎に書換え回数を計数するカウンタを設け、該カウンタにより計数された書換え回数によりメモリセルの書換え寿命を判断する方法がある(特許文献1、2参照)。しかし、この方法は書換え回数が制限値に達したことで書換え寿命と判断するため、メモリセルがまだ十分に機能できるにも関わらず寿命と判断してしまう場合が生ずる欠点がある。
【0007】
また、別の方法としてメモリセルに対し消去/書込みを行なった直後に、制御ゲートに劣化判定用の特別の電圧を印加して読出しを行い、書き込んだ情報と読み出した情報とを比較して書換え寿命を判断する方法も提案されている(特許文献3、4参照)。しかし、この方法は、消去/書込みに続いて毎回劣化判定のため読出し動作を行なうために、消去/書込み時間が長くなる欠点がある。
【0008】
更に別の方法として、浮遊ゲートに蓄積された電荷の消去に要した消去時間を計測し、予めメモリに記憶された基準消去時間と比較することで、メモリセルの劣化程度を判断する方法も提案されている(特許文献5参照)。しかし、この方法も消去時間の計測回路を必要とするため回路が複雑になり、また消去時間比較のためのソフトウェアが必要になるなどの問題がある。
【0009】
【特許文献1】
特開平03−25798号公報
【0010】
【特許文献2】
特開平06−28899号公報
【0011】
【特許文献3】
特開2000−215697号公報
【0012】
【特許文献4】
特開2002−208291号公報
【0013】
【特許文献5】
特開2002−208286号公報
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、従来技術のこうした問題点を解決するためになされたもので、その目的は、書換え回数の制限を予め設定することなく、また複雑な寿命判定回路や複雑なソフトウェアを必要とすることもなく、不揮発性半導体メモリセルの書換え寿命を判定することのできる不揮発性半導体記憶装置を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するための請求項1に記載の発明は、電気的に情報の書込み、消去及び読出しが可能な不揮発性半導体メモリセルを使用した不揮発性半導体記憶装置であって、データの書込み単位であるワード毎に1ビットの劣化判定ビットを追加してある。そして、該ワードのデータの消去/書き込みの都度、該劣化判定ビットも消去した後に消去状態(論理“0 ”)と反対のデータ(論理“1 ”)の書込みを行なうと共に、該ワードのデータ読出し時には該劣化判定ビットの内容も同時に読み出す。そして、読み出し内容が消去状態と反対のデータ(論理“1” )ではないと判定された場合に、該ワードの書換え寿命と判断するように構成されたものであって、その劣化判定ビットから読み出したデータが消去状態と反対のデータ(論理“1 ”)であることの判定条件を、他のビットに対する判定条件よりも厳しく設定したことを特徴とする不揮発性半導体記憶装置である。
【0016】
このような構成によれば、劣化判定ビットの書換え回数が各ワードの中で最も多くなるため、劣化が一番速く進行する。更に、該劣化判定ビットの読出しの際に、読み出されたデータが消去状態と反対のデータ(論理“1 ”)と判定される判定条件が他のビットよりも厳しく設定されているため、同じ書換え回数に対する劣化の進行程度に多少のバラツキがあったとしても劣化判定ビットがそのワードの中では最も速く書換え寿命と判定される。こうして寿命と判定された以後は、そのワードの使用を止めるようにすることで不揮発性半導体装置の信頼性を向上させることができる。
【0017】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記ワードの各ビットからの読み出しデータが消去状態と反対のデータ(論理“1 ”)であることの判定を、各ビットのメモリセルに選択ゲートを挟んで直列に負荷抵抗を接続して両端に定電圧(Vd)を印加し、データ読出し時に該メモリセルと選択ゲートにかかる電圧をコンパレータ(Q1)にて基準電圧(Vref)と比較して行なうように構成されたものである。その上で、前記消去状態と反対のデータ(論理“1 ”)の状態を前記メモリセル(M1)の浮遊ゲートに電子が存在する状態に対応させ、前記劣化判定ビットに対応するセンスアンプの基準電圧(Vref)を、他のビットに対応するセンスアンプの基準電圧(Vref)よりも高く設定したことを特徴とする不揮発性半導体記憶装置である。
【0018】
このような構成によれば、読み出したデータが消去状態と反対のデータ(論理“1)と判定される条件が、劣化判定ビットのみ他のビットより厳しく設定されていることとなるため、請求項1に記載の発明の効果と同様の効果を得ることができる。
【0019】
また、請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記ワードの各ビットからの読み出しデータが消去状態と反対のデータ(論理“1 ”)であることの判定を、各ビットのメモリセルに選択ゲートを挟んで直列に負荷抵抗を接続して両端に定電圧(Vd)を印加し、データ読出し時に該メモリセルと選択ゲートにかかる電圧をコンパレータ(Q1)にて基準電圧(Vref)と比較して行なうように構成されたものである。その上で、前記消去状態と反対のデータ(論理“1 ”)の状態を前記メモリセル(M1)の浮遊ゲートに電子が存在しない状態に対応させ、前記劣化判定ビットに対応するセンスアンプの基準電圧(Vref)を、他のビットに対応するセンスアンプの基準電圧(Vref)よりも低く設定したことを特徴とする不揮発性半導体記憶装置である。
【0020】
このような構成によれば、読み出したデータが消去状態と反対のデータ(論理“1)と判定される条件が、劣化判定ビットのみ他のビットより厳しく設定されていることとなるため、請求項1に記載の発明の効果と同様の効果を得ることができる。
【0021】
また、請求項4に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記ワードの各ビットからの読み出しデータが消去状態と反対のデータ(論理“1 ”)であることの判定を、各ビットのメモリセルに選択ゲートを挟んで直列に負荷抵抗を接続して両端に定電圧(Vd)を印加し、データ読出し時に該メモリセルと選択ゲートにかかる電圧を基準電圧と比較して行なうように構成したものである。その上で、前記消去状態と反対のデータ(論理“1 ”)の状態を前記メモリセル(M1)の浮遊ゲートに電子が存在する状態に対応させ、前記負荷抵抗として機能するPMOSトランジスタ(M3)の面積を、他のビットに対応する負荷抵抗として機能するPMOSトランジスタ(M3)の面積よりも小さくして抵抗値が高くなるように形成したことを特徴とする不揮発性半導体記憶装置である。
【0022】
なお、データ読出し時におけるメモリセルと選択ゲートにかかる電圧と基準電圧との比較は、コンパレータで行なってもよいし、ゲート回路を使用して行なってもよい。ゲート回路を使用して比較する場合には、基準電圧の語は、ゲート回路が入力信号を論理“1 ”あるいは論理“0 ”と判断するスレショールド電圧を指すものとする。以下、同様。
【0023】
このような構成によれば、読み出したデータが消去状態と反対のデータ(論理“1)と判定される条件が、劣化判定ビットのみ他のビットより厳しく設定されていることとなるため、請求項1に記載の発明の効果と同様の効果を得ることができる。
【0024】
また、請求項5に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記ワードの各ビットからの読み出しデータが消去状態と反対のデータ(論理“1 ”)であることの判定を、各ビットのメモリセルに選択ゲートを挟んで直列に負荷抵抗を接続して両端に定電圧(Vd)を印加し、データ読出し時に該メモリセルと選択ゲートにかかる電圧を基準電圧と比較して行なうように構成したものである。その上で、前記消去状態と反対のデータ(論理“1 ”)の状態を前記メモリセル(M1)の浮遊ゲートに電子が存在しない状態に対応させ、前記負荷抵抗として機能するPMOSトランジスタ(M3)の面積を、他のビットに対応する負荷抵抗として機能するPMOSトランジスタ(M3)の面積よりも大きくして抵抗値が低くなるように形成したことを特徴とする不揮発性半導体記憶装置である。
【0025】
このような構成によれば、読み出したデータが消去状態と反対のデータ(論理“1)と判定される条件が、劣化判定ビットのみ他のビットより厳しく設定されていることとなるため、請求項1に記載の発明の効果と同様の効果を得ることができる。
【0026】
また、請求項6に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記ワードの各ビットからの読み出しデータが消去状態と反対のデータ(論理“1 ”)であることの判定を、各ビットのメモリセルに選択ゲートを挟んで直列に負荷抵抗を接続して両端に定電圧(Vd)を印加し、データ読出し時に該メモリセルと選択ゲートにかかる電圧を基準電圧と比較して行なうように構成したものである。その上で、前記消去状態と反対のデータ(論理“1 ”)の状態を前記メモリセル(M1)の浮遊ゲートに電子が存在する状態に対応させ、前記劣化判定ビットに対応する定電圧(Vd)の値を、他のビットに対応する定電圧(Vd)よりも低くしたことを特徴とする不揮発性半導体記憶装置である。
【0027】
このような構成によれば、読み出したデータが消去状態と反対のデータ(論理“1)と判定される条件が、劣化判定ビットのみ他のビットより厳しく設定されていることとなるため、請求項1に記載の発明効果と同様の効果を得ることができる。
【0028】
また、請求項7に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記ワードの各ビットからの読み出しデータが消去状態と反対のデータ(論理“1 ”)であることの判定を、各ビットのメモリセルに選択ゲートを挟んで直列に負荷抵抗を接続して両端に定電圧(Vd)を印加し、データ読出し時に該メモリセルと選択ゲートにかかる電圧を基準電圧と比較して行なうように構成したものである。その上で、前記消去状態と反対のデータ(論理“1 ”)の状態を前記メモリセル(M1)の浮遊ゲートに電子が存在しない状態に対応させ、前記劣化判定ビットに対応する定電圧(Vd)の値を、他のビットに対応する定電圧(Vd)よりも高くしたことを特徴とする不揮発性半導体記憶装置である。
【0029】
このような構成によれば、読み出したデータが消去状態と反対のデータ(論理“1)と判定される条件が、劣化判定ビットのみ他のビットより厳しく設定されていることとなるため、請求項1に記載の発明効果と同様の効果を得ることができる。
【0030】
【発明の実施の形態】
図1に、本発明に係る不揮発性半導体記憶装置(以下、単に記憶装置という)の全体の回路構成を、図2には同回路におけるメモリセル内の情報読出し回路の1ビット分の回路を示す。図1では、簡単のためデータの書込み単位である1ワードが16ビットで構成され、全体のワード数が16ワードで構成される記憶装置の構成を示したものである。
【0031】
本実施形態の記憶装置は、メモリアレイ1と、アドレスバッファ2と、行デコーダ3と、列デコーダ4と、入出力バッファ5と、センスアンプ/書換え回路6と、マルチプレクサ7を具備して構成されている。メモリアレイ1は、(16ビット+1ビット)×2列×8行で構成される。本実施形態では、1ワード当たりの有効データ16ビットに対して更に1ビット余分にメモリセルを追加割り当てしている。この追加した1ビットは、後述する方法でメモリセルの劣化判定用に使用するビットである。以下、この追加割り当てしたビットを劣化判定ビットと呼ぶ。
【0032】
次に、このように構成された記憶装置の動作を説明する。データの書込みは、最初に書き込むメモリエリアのデータを消去した後に行なわれる。消去は、従来型EEPROMではバイト単位あるいはワード単位で行なわれるが、フラッシュメモリではメモリアレイ一括あるいはブロック単位で行なわれる。
【0033】
図1の記憶装置では、メモリセルとしてフラッシュメモリを想定しており、消去は1列、8ワードを1ブロックとするブロック単位で行なう。アドレスバッファ2に入力されたアドレス信号A0〜A3の最上位ビットA0が列デコーダ4に送られてデコードされ、マルチプレクサ7に送られて消去するブロックが選択される。なお、本実施形態の場合は、列数が2しかないため列デコーダ4は不要とも考えられるが、通常の記憶装置では列数が更に多く、また列デコーダはデコードと同時に電圧変換も行なうために記載したものである。
【0034】
最上位ビットA0により消去するブロックが選択された後、図示しないコントロール回路からセンスアンプ/書換え回路6に消去指令信号が送られると、同回路内の消去回路が動作して選択されたブロックの8ワード分のメモリセルのデータが一括して消去され、消去状態となる。
【0035】
なお、データの消去状態とは、メモリセルの浮遊ゲートに蓄積されていた電子が電気的に引き抜かれ、存在していない状態を指す場合と、メモリセルの浮遊ゲートに電子が注入され、蓄積されている状態を指す場合とがある。本実施形態では、浮遊ゲートに電子が蓄積されていない状態を消去状態と呼び、この状態を論理“0 ”データが保持されている状態として説明する。本記憶装置では、消去に際し、各ワードに追加割り当てされた前述の劣化判定ビットのメモリセルも同時に消去され、論理“0” データが保持されている状態となる。
【0036】
データの書込みは、消去されたブロックのメモリセルに対し、本実施形態の場合はワード単位で行なわれる。データの書込みを行なうワードは、4ビットのアドレス信号A0〜A3で指定される。アドレスの最上位ビットA0は、列デコーダ4に送られ、その出力でマルチプレクサ7の切り換えが行なわれて列が選択される。アドレスの下位3ビットA1〜A3は行デコーダ3に送られ、その出力により行が選択される。この列と行の選択により、データの書込みを行なうワードが決定される。
【0037】
データの書込みを行なうワードが決定すると、図示しないコントロール回路からセンスアンプ/書換え回路6に書込み指令信号が送られる。センスアンプ/書換え回路6は指令を受けて、入出力バッファ5に格納されている1ワード、16ビットのデータを、ワード単位で選択されたワードのメモリセルに書き込む。この時、書き込む16ビットデータの内のデータが論理“1” であるビットに対応するメモリセルに対してのみ、その浮遊ゲートに電子の注入が行なわれ、データが論理“0” であるビットに対応するメモリセルには電子の注入は行なわれない。電子の注入が行なわれたメモリセルは、その制御ゲートを基準としたしきい値電圧が上昇する。注入されなかったメモリセルのしきい値電圧は、消去された状態の値のままである。
【0038】
本発明の特徴は、このデータを書き込む際に、劣化判定ビットに必ず論理“1” データを書き込む点である。このようにすれば、各ワードの16ビット+劣化判定ビットの17ビットの中では、劣化判定ビットを構成するメモリセルに対する消去/書込み回数、即ち、書換え回数がもっとも多くなる。従って、各ワードの劣化判定ビットを含む17ビットの中では、劣化判定ビットを構成するメモリセルに一番早く劣化現象が現れる。そこで、劣化判定ビットの劣化の進行程度を判定し、それが許容限度を越えたと判定された場合に、それ以後そのワードの使用を停止することで記憶装置の信頼性を高めることができる。
【0039】
この判定ビットの劣化度の判定は、各ワードに書き込まれているデータを読み出す際に、劣化判定ビットの内容も同時に読出し、読み出したデータが以前に書き込んだ論理“1” データであるか否かで判定する。劣化判定ビットを含む1ワードデータの読出しは、書込みの場合と同じく、最初にアドレスバッファ2の内容を行デコーダ3と列デコーダ4でデコードし読み出すワードを選択する。続いて、図示しないコントロール回路からセンスアンプ/書換え回路6に読出し指令信号を送る。指令を受けたセンスアンプ/書換え回路6は、マルチプレクサ7を介して選択されたワードの劣化判定ビットを含む1ワード、17ビットのメモリセルにアクセスする。そして、内部のセンスアンプで各ビットに書き込まれていたデータが論理“1” データであるか論理“0” データであるかを判定し、その結果を入出力バッファ5に読出しデータとして格納する順序で行なわれる。
【0040】
図2は、このデータ読出しに使用する1ビット分の読出し回路の構成を示したものである。図中のM1は、データを記憶している浮遊ゲート型のメモリセルである。メモリセルM1の制御ゲートには、行デコーダ3の出力である行選択線(ワード線)が接続されている。データの読出しを行なう際には、制御ゲートには通常、論理“1” データ が書き込まれている場合のしきい値電圧Vth1と、論理“0” データが書き込まれている場合(消去状態)のしきい値電圧Vth0との、中間の電圧Vthmが印加される。
【0041】
図中のM2は、列を選択するNMOSトランジスタの選択ゲートであり、この選択ゲートが集まったものマルチプレクサ7である。選択ゲートM2のゲートには、列デコーダ4の出力である列選択線が接続されており、選択時にはM2を導通させるに十分な電圧が印加される。即ち、選択した行の行選択線(ワード線)と選択した列の列選択線にそれぞれ所定の電圧を印加することで、読み出しを行なう1ワード、17ビットのメモリセルが選択される。
【0042】
図中のM3は、メモリセルM1のデータ読出しを行なう際に、メモリセルM1の負荷抵抗となるPMOSトランジスタである。ゲートはドレインに接続されており負荷抵抗として機能する。Vdは、所定の定電圧である。
【0043】
列選択線を介して選択ゲートM2のゲートに所定の電圧が印加されて選択ゲートM2が導通状態にされ、更にメモリセルM1の制御ゲートに行選択線(ワード線)を介して、前述の中間の電圧Vthmが印加される。メモリセルM1に論理“1” データが書き込まれている場合には、そのしきい値電圧Vth1が中間電圧Vthmより高いためメモリセルM1は導通せず、電流は流れない。論理“0” データが書き込まれている場合には、そのしきい値電圧Vth0が中間電圧Vthmより低いためメモリセルM1は導通して、定電圧Vdより負荷抵抗として動作するトランジスタM3、選択ゲートM2、メモリセルM1を通って接地線Veに電流が流れる。
【0044】
このような動作により、選択ゲートM2とトランジスタM3の相互接続ノードN1には、メモリセルM1に書き込まれているデータにより値が変化する出力電圧Voが現れる。出力電圧V0は、コンパレータQ1の非反転入力端子に入力され、反転入力端子に入力された基準電圧Vrefと比較される。基準電圧Vrefは、定電圧Vdのほぼ1/2の電圧に設定されている。従って、メモリセルM1に記憶されているデータが論理“1” の場合には、コンパレータQ1の出力電圧はHレベルとなり、論理“0” の場合にはLレベルとなる。その結果は入出力バッファ5に出力される。それゆえ、入出力バッファ5の内容を読むことでメモリセルM1に書き込まれていたデータを知ることができる。このコンパレータQ1とトランジスタM3からなる回路がセンスアンプであり、データの読出しはワード単位で行なわれるため、このセンスアンプは劣化判定用を含めて17個準備される。
【0045】
ここで、メモリセルM1に論理“1” データが書き込まれていて非導通である場合の出力電圧Voの値は、次の式で計算される。
Vo=Rc・Vd/(Rc+R3) (1)式
RcはメモリセルM1の非導通時の抵抗値、R3は負荷抵抗として機能しているトランジスタM3の抵抗値を表わす。選択ゲートM2の導通時の抵抗値は、Rc、R3に比べて小さいので無視して考える。
【0046】
コンパレータQ1の反転入力端子には基準電圧Vrefが入力されているので、メモリセルM1に論理“1” データが書き込まれていて非導通の場合に、そのデータがコンパレータQ1により論理“1” と判定されるための条件は次式で表わされる。
Rc・Vd/(Rc+R3)>Vref (2)式
この式よりメモリセルM1の非導通時の抵抗Rcは、次式を満たしている必要がある。
Rc>R3/(Vd/Vref−1) (3)式
この(3)式が満足されない場合には、本来論理“1” であるデータが、コンパレータQ1により論理“0” と誤って検出されることになる。
【0047】
メモリセルM1に論理“1” データが書き込まれている状態、即ち、浮遊ゲートに電子が蓄積されている状態のしきい値電圧Vth1は、従来技術の項で引用した図4に示すように書換え回数によって次第に減少する。そのしきい値電圧Vth1が、読出し時に浮遊ゲートに加えられる前述の中間電圧Vthmより下回ると、読出し時に電流が流れる。電流が流れると、その抵抗Rcは急激に減少して(3)式が満たされなくなり、論理“1” であるべきデータが論理“0” と誤って検出される。
【0048】
実際の記憶装置ではノイズがあるためノイズマージンを考慮して、非導通時抵抗Rcの値が(3)式を満たさなくなる前に、書換え寿命と判定してそのメモリセルの使用を停止する必要がある。このノイズマージンを考慮したしきい値抵抗の値をRc1とすると、Rc1は次のような関係にある。
Rc1>Rc (4)式
非導通時の抵抗値がRc1以下になった時点で書換え寿命と判定することは、論理“1” データが書き込まれている状態のしきい値電圧Vth1と、制御ゲートに印加される前記中間電圧Vthmとの差にまだある程度の余裕がある段階で書換え寿命と判定することを意味する。即ち、しきい値電圧Vth1が、初期値から大きくは低下していない段階で書換え寿命と判定することを意味する。このようにある程度の余裕を残した段階で書換え寿命と判定して使用を中止すれば、記憶装置の信頼性を大幅に向上させることができる。
【0049】
本実施形態の場合、各ワードに追加付加した劣化判定ビットには、書換えの度に論理“1” データが書き込まれるので、劣化判定ビットに対応するメモリセルの書換え回数がそのワードの中では最も多くなる。従って、劣化判定ビットが最も早く劣化が進行すると考えられる。それゆえ、劣化判定ビットの読出しデータをチェックし、読み出したデータが論理“1” ではないと判定された時点でそのワードの書換え寿命と判断する。他の有効データを記憶するビットの書換え回数は劣化判定ビットより少ないので、このように判断することで、有効データが誤って読み出されることを未然に防止することができる。
【0050】
以上説明したように、劣化判定ビットの読出しデータをチェックしていれば、一応、劣化の判定をすることができる。しかし、ここでもう一つ考慮しなければないことは、劣化判定ビットの書換え回数がそのワードの中で一番多数回になるとしても、書込みデータによっては他のビットに対しても劣化判定ビットと殆ど変わらない回数の書換えが行なわれる場合があり得る点である。書換え回数がほぼ同じ程度であると、劣化の進行度合いにはバラツキがあるため、劣化判定ビットよりも先にそのビットのメモリセルが書換え寿命に達する場合があり得る。
【0051】
そこで、本実施形態ではこのような事態を避けるため、書換え寿命と判断する非導通時のノイズマージンを考慮したメモリセルM1の抵抗値Rc1の値を、劣化判定ビットに対してのみ他のビットよりも厳しく設定するようにしている。劣化判定ビットについての書換え寿命と判定するしきい値抵抗の値をRc2とすると、次のような関係にする。
Rc2>Rc1>Rc (5)式
【0052】
劣化判定ビットの読出し時の抵抗値がRc2以下であるか否かを判定するためには、コンパレータQ1の基準電圧Vref、定電圧Vd、トランジスタM3の導通時抵抗R3の値を、次式を満たすように決定しておく。このようにしておいて、コンパレータQ1で判断された読出しデータが論理“1” データであるか否かをみれば、劣化判定ビットが書換え寿命に達したか否かを判定できる。
Rc2=R3/(Vd/Vref−1) (6)式
【0053】
このような判定方法をとれば、同じ書換え回数に対する劣化進行程度が同じワード内のビットにより異なるとしても、劣化判定ビットに一番早く誤読出しが発生することになる。その結果、劣化判定ビットの劣化判定条件を他のビットと同じ条件とした場合に比べて、記憶装置の信頼性を一層向上させることができる。
【0054】
劣化判定ビットの劣化判定条件をこのように他のビットより厳しく設定するには、(6)式から次の3つの手段が考えられる。第1は、電源電圧Vd、抵抗値R3の値は他のビットと同じにして、基準電圧Vrefの値を劣化判定ビットのみ高く設定する方法である。第2は、電源電圧Vd、基準電圧Vrefの値は同じにして、抵抗値R3の値を劣化判定ビットのみ高くする方法である。トランジスタM3の抵抗値R3を高くするには、トランジスタM3を他のビットのトランジスタよりも小型に形成すればよい。第3の方法は、抵抗値R3、基準電圧Vrefの値は同じにして、電源電圧Vdの値を劣化判定ビットのみ低くする方法である。これらの何れかの手段をとることで、劣化判定ビットの劣化判定条件を他のビットが誤読出しを起こす条件よりも厳しく設定することができる。
【0055】
以上説明したように、本実施形態の構成によれば、同じ書換え回数に対する劣化の進行程度が同じワード内でビットにより異なるとしても、劣化判定ビットにもっとも早く誤読出しが発生することになる。従って、劣化判定ビットに誤読出しが発生した段階でそのワードの書換え寿命と判定して、以後、そのワードの使用を止めることで記憶装置の信頼性を向上させることができる。
【0056】
なお、上記の実施形態においては、センスアンプ内の相互接続ノードN1の電圧レベルの判定にコンパレータQ1を使用したが、コンパレータの代わりにゲート回路、例えば非反転バッファ回路を使用してもよい。この場合には、相互接続ノードN1の電圧が基準電圧Vrefより大であることは、相互接続ノードN1の電圧が非反転バッファ回路がその入力を論理“Hレベル ”と判定するスレショールド電圧より大であることに相当し、相互接続ノードN1の電圧が基準電圧Vrefより小であることは、相互接続ノードN1の電圧が非反転バッファ回路がその入力を論理“Lレベル ”と判定するスレショールド電圧より小であることに相当する。
【0057】
また、上記実施形態では、メモリセルの浮遊ゲートに電子が蓄積されていない状態を消去状態と呼び、この状態を論理“0 ”データが保持されている状態としてきた。これとは反対に、メモリセルの浮遊ゲートに電子が蓄積されている状態を消去状態と呼ぶことにし、この状態を論理“0 ”データが蓄積されている状態としてもよい。
【0058】
この場合には、浮遊ゲートに電子が蓄積されていない状態が論理“1 ”となり、その状態におけるメモリセルのしきい値電圧は、論理“0 ”のしきい値電圧より低い値である。そして論理“1 ”のしきい値電圧は、書込み回数が増えるに従って上昇する。従って、メモリセルの劣化判定は、劣化判定ビットのデータを読み出した際における図2の回路における相互接続ノードN1の電圧が所定の電圧より大きいか否かで判定すればよく、所定の電圧以上であれば寿命と判定する。
【0059】
この場合に劣化判定ビットのみ、論理“1 ”と判定される条件を厳しくするには、前記実施形態とは反対に、基準電圧Vrefを他のビットより低く設定するか、トランジスタM3の面積を他のビットより小さく形成して抵抗を低くするか、又は定電圧Vdの値を他のビットより高くすればよい。このようにすれば、前述の実施形態の場合と同様に、劣化判定ビットにもっとも早く誤読出しが発生することになる。従って、その時点でそのワードの書換え寿命と判定して、以後、そのワードの使用を止めることで記憶装置の信頼性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置の全体構成図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置のデータ読出し時の1ビット分の読出し回路である。
【図3】浮遊ゲート型不揮発性半導体メモリセルの構成例である。
【図4】書換え回数の増加によるしきい値電圧の変化の一例である。
【符号の説明】
図面中、1はメモリアレイ、2はアドレスバッファ、3は行デコーダ、4は列デコーダ、5は入出力バッファ、6はセンスアンプ/書換え回路、7はマルチプレクサ、Q1はコンパレータ、M1は不揮発性半導体メモリセル、M2は選択ゲート、M3はPMOSトランジスタ(負荷抵抗)、N1は相互接続ノード、Vdは定電圧、Vrefは基準電圧を示す。
Claims (7)
- 電気的に情報の書込み、消去及び読出しが可能な不揮発性半導体メモリセルを使用した不揮発性半導体記憶装置であって、データの書込み単位であるワード毎に1ビットの劣化判定ビットを追加し、該ワードのデータの消去/書き込みの都度、該劣化判定ビットも消去した後に消去状態(論理“0 ”)と反対のデータ(論理“1 ”)の書込みを行ない、該ワードのデータ読出し時には該劣化判定ビットの内容も同時に読み出し、該読み出し内容が消去状態と反対のデータ(論理“1” )ではないと判定された場合に、該ワードの書換え寿命と判断するように構成されたものであって、劣化判定ビットからの読み出しデータが消去状態と反対のデータ(論理“1 ”)であることの判定条件が、他のビットに対する同じ判定条件よりも厳しく設定されていることを特徴とする不揮発性半導体記憶装置。
- 前記ワードの各ビットからの読み出しデータが消去状態と反対のデータ(論理“1 ”)であることの判定は、各ビットのメモリセル(M1)に選択ゲート(M2)を挟んで直列に負荷抵抗を接続して両端に定電圧(Vd)を印加し、データ読出し時に該メモリセルと選択ゲートにかかる電圧をコンパレータ(Q1)にて基準電圧(Vref)と比較して行なうように構成されたものであって、前記消去状態と反対のデータ(論理“1 ”)の状態を前記メモリセル(M1)の浮遊ゲートに電子が存在する状態に対応させ、前記劣化判定ビットに対応するセンスアンプの基準電圧を、他のビットに対応するセンスアンプの基準電圧(Vref)よりも高く設定したことを特徴とする請求項1に記載の不揮発性半導体記憶装置。
- 前記ワードの各ビットからの読み出しデータが消去状態と反対のデータ(論理“1 ”)であることの判定は、各ビットのメモリセル(M1)に選択ゲート(M2)を挟んで直列に負荷抵抗を接続して両端に定電圧(Vd)を印加し、データ読出し時に該メモリセルと選択ゲートにかかる電圧をコンパレータ(Q1)にて基準電圧(Vref)と比較して行なうように構成されたものであって、前記消去状態と反対のデータ(論理“1 ”)の状態を前記メモリセル(M1)の浮遊ゲートに電子が存在しない状態に対応させ、前記劣化判定ビットに対応するセンスアンプの基準電圧を、他のビットに対応するセンスアンプの基準電圧(Vref)よりも低く設定したことを特徴とする請求項1に記載の不揮発性半導体記憶装置。
- 前記ワードの各ビットからの読み出しデータが消去状態と反対のデータ(論理“1 ”)であることの判定は、各ビットのメモリセル(M1)に選択ゲート(M2)を挟んで直列に負荷抵抗を接続して両端に定電圧(Vd)を印加し、データ読出し時に該メモリセルと選択ゲートにかかる電圧を基準電圧と比較して行なうように構成されたものであって、前記消去状態と反対のデータ(論理“1 ”)の状態を前記メモリセル(M1)の浮遊ゲートに電子が存在する状態に対応させ、前記負荷抵抗として機能するPMOSトランジスタ(M3)の面積を、他のビットに対応する負荷抵抗として機能するPMOSトランジスタ(M3)の面積よりも小さくして抵抗値が高くなるように形成したことを特徴とする請求項1に記載の不揮発性半導体記憶装置。
- 前記ワードの各ビットからの読み出しデータが消去状態と反対のデータ(論理“1 ”)であることの判定は、各ビットのメモリセル(M1)に選択ゲート(M2)を挟んで直列に負荷抵抗を接続して両端に定電圧(Vd)を印加し、データ読出し時に該メモリセルと選択ゲートにかかる電圧を基準電圧と比較して行なうように構成されたものであって、前記消去状態と反対のデータ(論理“1 ”)の状態を前記メモリセル(M1)の浮遊ゲートに電子が存在しない状態に対応させ、前記負荷抵抗として機能するPMOSトランジスタ(M3)の面積を、他のビットに対応する負荷抵抗として機能するPMOSトランジスタ(M3)の面積よりも大きくして抵抗値が低くなるように形成したことを特徴とする請求項1に記載の不揮発性半導体記憶装置。
- 前記ワードの各ビットからの読み出しデータが消去状態と反対のデータ(論理“1 ”)であることの判定は、各ビットのメモリセル(M1)に選択ゲート(M2)を挟んで直列に負荷抵抗を接続して両端に定電圧(Vd)を印加し、データ読出し時に該メモリセルと選択ゲートにかかる電圧を基準電圧と比較して行なうように構成されたものであって、前記消去状態と反対のデータ(論理“1 ”)の状態を前記メモリセル(M1)の浮遊ゲートに電子が存在する状態に対応させ、前記劣化判定ビットに対応する定電圧(Vd)の値を、他のビットに対応する定電圧(Vd)よりも低くしたことを特徴とする請求項1に記載の不揮発性半導体記憶装置。
- 前記ワードの各ビットからの読み出しデータが消去状態と反対のデータ(論理“1 ”)であることの判定は、各ビットのメモリセル(M1)に選択ゲート(M2)を挟んで直列に負荷抵抗を接続して両端に定電圧(Vd)を印加し、データ読出し時に該メモリセルと選択ゲートにかかる電圧を基準電圧と比較して行なうように構成されたものであって、前記消去状態と反対のデータ(論理“1 ”)の状態を前記メモリセル(M1)の浮遊ゲートに電子が存在しない状態に対応させ、前記劣化判定ビットに対応する定電圧(Vd)の値を、他のビットに対応する定電圧(Vd)よりも高くしたことを特徴とする請求項1に記載の不揮発性半導体記憶装置。
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2003
- 2003-03-27 JP JP2003087936A patent/JP2004296012A/ja not_active Withdrawn
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