JP2004295164A - 設計支援方法及びシステム、及び性能見積りシステム - Google Patents

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JP2004295164A JP2003082561A JP2003082561A JP2004295164A JP 2004295164 A JP2004295164 A JP 2004295164A JP 2003082561 A JP2003082561 A JP 2003082561A JP 2003082561 A JP2003082561 A JP 2003082561A JP 2004295164 A JP2004295164 A JP 2004295164A
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佳也 樋口
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Abstract

【課題】部品の形状などを規定する数十から数百に及ぶ設計パラメータを決定する多変量設計を支援し、設計パラメータの決定作業を大幅に短縮するシステムを提供する。また、多変量のパラメータに対する応答特性を瞬時に予測し、瞬時に性能の見積り近似値を求める。
【解決手段】過去に設計した実績装置の設計パラメータ及び性能試験結果(又は計算結果)を保存したデータベースと、多変量の設計パラメータからなる設計データを、各設計パラメータを軸とする多次元空間上の点として扱い、実績装置の設計パラメータの集合を多次元空間上に分布する点群上の性能値と見なし、新規の設計点における性能値を、これら点群上の性能値を内挿して求める。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は設計支援方法及びシステム、及び性能見積りシステムに係り、特に多変量のパラメータに対する性能を予測する設計支援方法及びシステム、及び性能見積りシステムに関する。
【0002】
【従来の技術】
特許文献1には、過去に納められた類似したシステムの実績データを蓄積し、この実績データを用いて、ある特性の近似カーブを計算し、新たな設計値における性能を予測する技術が開示されている。具体的には、石炭焚きボイラのガス温度と燃空比との関係、及び加熱管への灰の堆積の影響による加熱管下流でのガス温度上昇と灰分との関係を求める。次いで、これを近似カーブで表現し、炭種を変更したときの加熱管周囲の温度を正確に予測して、加熱管の材料を適切に選定している。
【0003】
また、特許文献2には、設計パラメータや考慮すべき特性値が多い装置の設計において、最適な設計パラメータを正確かつ短時間に求める設計支援方法が開示されている。すなわち、特性シミュレータと特性計算プログラムを用いてある設計パラメータに対する総合特性評価値を計算する。次に、この結果から一定の規則に従って次の設計パラメータを求める。さらに、この設計パラメータに対する総合特性評価値を計算するという操作を繰返すことによって、最適な設計パラメータを求めようとしている。
【0004】
さらに、特許文献3には、設計パラメータ空間にサンプル点が入力される度に、このサンプル点に対応する目評機能値を評価し、目標機能を満足する多数の点の中から合理的に最適点の選択を支援するシステムが開示されている。
【0005】
【特許文献1】
特開2000−81202号公報(要約、そのほか全体)
【特許文献2】
特開2001−325318号公報(段落番号0007,8ほか)
【特許文献3】
特開2001−52041号公報(要約、そのほか全体)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
特許文献1に開示された技術では、性能に影響する1つあるいは2つの特性の近似カーブを計算し、これを用いて新規設計の性能を予測する。しかし、部品の形状などを規定する数十から数百に及ぶ設計パラメータを決定する多変量設計の支援は想定されておらず、適用できないという問題がある。
【0007】
一般に、設計支援システム、或いはこれに含まれる応力計算などの各種CAEでは、物体の形状その他の物理条件を入力として数値計算を行う。この際、設計パラメータとなる形状パラメータ、及びその他の物理パラメータは一般に数十〜数百という多変量となる。従って、これらのいくつかについてパラメータサーベイ計算を実施しても、その他の多くのパラメータに対する応答は同時には調べることができない。
【0008】
また、データベースに保存した過去のパラメータサーベイ計算の結果(特性)を参照しても、今回設計する設計点と他のパラメータが異なるために、一般にその特性は一致しない。設計計算における最適化プロセスでは、あるパラメータを動かした後に別のパラメータを動かす。あるいは複数のパラメータを同時に動かすことも多く、過去の最適化プロセスを参照しても、これから今回設計する設計点近傍のパラメータ応答特性を予測することは難しいという問題があった。
【0009】
次に、特許文献2に開示された技術は、繰返し頻度に応じた適切さのパラメータが得られるため、最適な設計パラメータを得るためには、パラメータに対する総合特性評価値の計算を数多く繰返すことが必要である。
【0010】
さらに、特許文献3においては、与えられた目標機能を満たす多数の点を計算するとしているが、1個の計算時間が長い場合は全点を計算するのに膨大な時間が掛かる、また評価点がランダムなため、良い性能が出ない点も多数含めて評価点を計算することになり無駄が生じる、という問題があった。
【0011】
本発明の目的は、部品の形状などを規定する数十から数百に及ぶ設計パラメータを決定する多変量設計を支援し、設計パラメータの決定作業を大幅に短縮する設計支援方法及びシステムを提供することである。
【0012】
また、本発明の他の目的は、多変量のパラメータに対する応答特性を瞬時に予測でき、パラメータサーベイの回数を大幅に低減できる設計支援方法及びシステムを提供することにある。
【0013】
さらに、本発明の他の目的は、顧客の要求に対応した設計パラメータにおける性能の予想値を、瞬時に概算して顧客に提示できる性能見積りシステムを提供することである。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明の望ましい一実施形態においては、データ記憶媒体と、計算機、及びメモリを有するシステムにおいて、次のステップにより、新規に設計する機種に要求された設計パラメータにおける性能値を予測する。
【0015】
1.まず、過去に設計した実績装置の設計パラメータ及び性能計算結果あるいは性能試験結果をデータベースに保存する。
【0016】
2.多変量の設計パラメータからなるこれらの設計データは、各設計パラメータを軸とする多次元空間上の1点で表されると考え、実績装置毎の設計パラメータの集合を多次元空間上に分布する点と見なす。したがって、多次元空間上には、複数の実績装置数に応じた数の、複数の実績点が、それぞれ性能値を持った形で蓄積される。
【0017】
3.ここで、新規に設計する機種に要求される設計パラメータを、前記多次元空間上の新たな点として表現する。
【0018】
4.この新たな点における性能値を、多次元空間上に分布する実績点群上の性能値内挿(補完:interpolation)演算することにより予測する。
【0019】
また、この予測結果をディスプレイに表示する。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明による第1の実施形態を、図1から図8を参照して説明する。
【0021】
図1は、本発明の第1の実施形態による設計支援システムの概略構成図である。データベース(記憶媒体)1に、設計対象装置であって、過去に設計した実績装置の設計パラメータ及び性能の計算結果、あるいは性能の試験結果を蓄積する。計算機2のメモリ3にはこのデータがロードされる。計算機2のデータ入力装置4から、新規に設計する機種の設計パラメータを入力する。この図では、図示が可能な3つのパラメータP,P及びPの場合の3次元空間を例示している。実際には、これら多数のパラメータ数に見合った多次元空間を想定し、新規設計パラメータの表す多次元空間上の新規設計点5について考える。この多次元空間上には、過去に設計した実績装置の設計パラメータに基く実績点列6が蓄積されている。ここで、計算機2による演算装置(演算手段)は、新規設計点5と、実績装置の設計点6との距離を多次元空間上のそれぞれの軸で計算し、内挿距離を求める。この内挿距離と、実績装置の性能の計算結果あるいは性能の試験結果とから、新規に設計する機種の性能値を多次元空間における内挿計算7によって予測する。
【0022】
以下に、この内挿計算の詳細を1次元、2次元を例にとって説明し、多次元へ一般化する方法について述べる。
【0023】
図2は、パラメータPの変化に伴って変化する性能Q(P)の様子を、データベースの実績点列6と線形補間線8で模式的に表現した概念図である。このとき、新規の設計点5は、パラメータPの1次元上のP(x)点である。この設計点5における性能値はQ(x)である。
【0024】
図3は、新設計点5における性能値Q(x)を内挿によって計算する方法を示す。同図(a)は、2点P(1)とP(2)との間にある新設計点P(x)における性能値Q(x)を計算する方法で、これはよく知られるように(1)式で表現される。
【0025】
【数1】
Figure 2004295164
【0026】
ここに、Q(1)は点P(1)における性能値、Q(2)は点P(2)における性能値、d1は点P(1)と点P(x)間の距離、d2は点P(2)と点P(x)間の距離である。即ち、性能値Q(1)とQ(2)にはそれぞれP(x)までの距離に反比例する重みが掛けられ、この重みは合計で1となるように規格化してある。
【0027】
本発明では、これを図3(b)のような多数点P(k)からの内挿に拡張するため、以下のようにする。(1)式を(2)式のように変形すると、右辺の各項が点P(1)に依存するものと点P(2)に依存するものに分けられる。
【0028】
【数2】
Figure 2004295164
【0029】
多数点P(k)による内挿に拡張するには、これらの項を増やして全体を規格化すればよい。即ち、(3)式となる。
【0030】
【数3】
Figure 2004295164
【0031】
ここで、dkは、点P(x)とP(k)間の距離である。
【0032】
図4は、これまで1次元で説明してきた内挿を2次元に拡張して示す概念図である。すなわち、パラメータPとPの2次元座標上の〔P(x),P(x)〕に新設計点5があり、この新設計点5における性能値Q(x,x)を2次元空間上の実績点列6、線形補完面9に基く内挿によって計算する。
【0033】
図5は、2次元空間上の内挿計算の概念図である。同図(a)は、2点間の内挿計算の概念図であり、このときの内挿計算は、(4)式のようになる。
【0034】
【数4】
Figure 2004295164
【0035】
これを、同図(b)のような多数点の内挿に拡張するには、(3)式と同様に(5)式とする。
【0036】
【数5】
Figure 2004295164
【0037】
図6は、本発明による3次元内挿の概念及び本発明の一実施形態におけるパラメータ探索の状況を示す概念図である。3次元の内挿では、性能値を表す第4軸が図示できなくなるため、性能値は各点上に内包されると考え、図6のように表現する。すなわち、新設計点5は、3次元空間上の〔P(x),P(x),P(x)〕に在り、その性能値は、Q(x)である。
【0038】
図7は、本発明による4次元以上の内挿計算の概念図である。前述の3次元内挿を、さらに拡張してN次元の内挿とすると、各軸が図示できなくなるため、各軸を省略して図7のようなパラメータ空間10の状況を想像する。
【0039】
パラメータ数がNでN次元空間における実績点n個のデータからの内挿は、(5)式の拡張から(6)式のようになる。
【0040】
【数6】
Figure 2004295164
【0041】
図8は、データベース1のテーブルから、(6)式により性能値Q(x)を計算する内挿処理を示す概念図である。
【0042】
多次元パラメータのセットである新規設計値データ11を入力すると、データベース1の入力データテーブル12を参照し、同種の入力データとそれぞれ各次元のパラメータ空間ごとの距離、即ち内挿距離dj(k)を求める。次に、出力データテーブル13から、参照した入力データに対応する出力データQ(k)〜Qn(k)を参照し、(6)式によって内挿値Q(x)〜Qn(x)を求める。この際、入力データテーブル12の代わりに実績装置設計データテーブル14を、出力データテーブル13の代わりに実績装置試験データテーブル15を使用することもできる。このようにして、予測設計性能データ16が得られる。
【0043】
本発明のシステムを用いると過去の設計データ、あるいはパラメータサーベイの結果は、多次元パラメータ空間の点群で表現される。そこで今回の設計点近傍における性能を、内挿によって算出すれば、設計点近傍における特性を瞬時に予測することができる。この予測に基づいてパラメータ設定に狙いをつけ、実際の数値計算を実行すれば、最適解の探索までに行うパラメータサーベイの回数を大幅に減らすことができる。
【0044】
本発明により、顧客を前にして行う営業用性能見積りシステムを構築することもできる。ノート型PCのような携帯端末あるいは独立計算機に本システムを実装し、顧客の要求に対応した設計パラメータにおける性能の予想値を、複雑な設計計算を行うことなしに、過去の実績装置のデータから内挿して瞬時に概算し、画面に表示する。
【0045】
図9は、本発明の一実施形態による性能見積りシステムの画面例である。ノート型パーソナルコンピュータに前述システムを組み込み、顧客の求めるP(x)、P(x)・・・を入力すると、パーソナルコンピュータに内蔵したデータベース、あるいはWEB上にあるデータベースにアクセスして(6)式により性能値Q(x)、Q(x)・・・Q(x)を計算する。この結果で得られる性能を、画面17上に、例えば、データテーブル171とレーダーチャート172として表示する。
【0046】
これにより顧客の前で、性能見積りを瞬時に行えるようになる。これを用いることで顧客との交渉、共同開発のスピードを大幅に上げ、新規の受注に貢献できるようになる。
【0047】
【発明の効果】
本発明によれば、部品の形状などを規定する数十から数百に及ぶ設計パラメータの決定作業を大幅に短縮できる設計支援方法又はシステムを提供できる。
【0048】
また、多変量のパラメータに対する応答特性を瞬時に予測することで、パラメータサーベイの回数を大幅に低減することができる。
【0049】
さらに、顧客の要求に対応した設計パラメータにおける性能の予想値を、瞬時に概算して表示でき、顧客の要求に即答できる見積りシステムが得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態による設計支援システムの概略構成図。
【図2】本発明による1次元内挿の概念図。
【図3】本発明による1次元内挿の変数の概念図。
【図4】本発明による2次元内挿の概念図。
【図5】本発明による2次元内挿の変数の概念図。
【図6】本発明による3次元内挿の概念及び本発明の一実施形態におけるパラメータ探索の状況を示す概念図。
【図7】本発明による4次元以上の内挿の概念図。
【図8】本発明の一実施形態におけるデータの構成と内挿処理を示す概念図。
【図9】本発明の一実施形態における性能見積りシステムの表示画面例図。
【符号の説明】
1…記憶媒体(データベース)、2…計算機、3…メモリ、4…(データ)入力装置、5…新規設計点、6…実績点列、7…内挿(補完:Interpolation)計算、8…線形補完線、9…線形補完面、10…N次元パラメータ空間、11…新規設計値データ、12…入力データテーブル、13…出力データテーブル、14…実績装置設計データテーブル、15…実績装置試験データテーブル、16…予測設計性能データ、17…画面、171…データテーブル、172…レーダーチャート。

Claims (7)

  1. データ入力装置と、入力データをストアする記憶媒体と、演算装置及びメモリを有する計算機ハードウエアを用いる設計支援方法において、設計対象装置の複数の設計パラメータを、これらのパラメータ数に見合う多次元パラメータ空間の座標データとして前記記憶媒体にストアするステップと、このストアした座標データに対応した設計パラメータで設計した装置の性能データを,前記座標データに対応付けて前記記憶媒体にストアするステップと、前記座標データ及びそれに対応する前記性能データが複数個存在する状態で、新たな設計対象装置の複数の設計パラメータを前記多次元パラメータ空間の座標データとして入力するステップと、前記多次元パラメータ空間上の既存の座標データと性能データに基く内挿計算により、新規設計座標点における性能データを予測するステップを備えたことを特徴とする設計支援方法。
  2. 請求項1において、前記記憶媒体にストアする前記性能データは、該当する設計パラメータで設計した実績装置の実測データであることを特徴とする設計支援方法。
  3. 請求項1において、前記記憶媒体にストアする前記性能データは、該当する設計パラメータから設計計算によって求めた計算データであることを特徴とする設計支援方法。
  4. データ入力装置と、入力データをストアする記憶媒体と、演算装置及びメモリを有する計算機ハードウエアを備えた設計支援システムにおいて、複数の設計対象装置の複数の設計パラメータを、これらのパラメータ数に見合う多次元パラメータ空間の座標データとしてストアした記憶媒体と、これらのストアした座標データに対応した設計パラメータを用いて設計した複数の装置の性能データを,それぞれ該当する前記座標データに対応付けてストアした記憶媒体と、入力された新たな設計対象装置の複数の設計パラメータを前記多次元パラメータ空間の座標データとして取り込む手段と、この新規座標データを前記多次元パラメータ空間上の既存の座標データと性能データに基いて内挿計算することにより、この新規設計座標点における性能データを予測する手段を備えたことを特徴とする設計支援システム。
  5. 請求項4において、前記記憶媒体は、ストアした設計パラメータで設計した実績装置の実測データを前記性能データとしてストアした記憶媒体であることを特徴とする設計支援システム。
  6. 請求項4において、前記記憶媒体は、ストアした設計パラメータから設計計算によって求めた計算データを前記性能データとしてストアした記憶媒体であることを特徴とする設計支援システム。
  7. 複数の設計対象装置の複数の設計パラメータを、これらのパラメータ数に見合う多次元パラメータ空間の座標データとしてストアした記憶媒体と、これらのストアした座標データに対応した設計パラメータで設計した複数の装置の性能データを,それぞれ該当する前記座標データに対応付けてストアした記憶媒体と、入力された新たな設計対象装置の複数の設計パラメータを前記多次元パラメータ空間の座標データとして取り込む手段と、前記多次元パラメータ空間上の既存の座標データと性能データに基いて内挿計算することにより、新規設計座標点における性能データを予測する演算手段と、この予測結果を表示するディスプレイを備えたことを特徴とする性能見積りシステム。
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JP2017167967A (ja) * 2016-03-17 2017-09-21 株式会社豊田中央研究所 情報処理装置、方法、及びプログラム

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