JP2004294748A - 偏向ヨーク装置及び垂直偏向方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】ミスコンバーゼンス補正残量の少ない偏向ヨーク装置を得る。
【解決手段】垂直偏向コイル13をピンクッション磁界発生用の第1のコイル部15とバレル磁界発生用の第2のコイル部16の2対2組のコイルに分割して、コア12にトロイダル巻に巻回する。第1のコイル部15に互いに逆極性に並列接続した2個のダイオード24,25を直列接続し、画面の中央領域でダイオード24,25をオフさせてピンクッション磁界の発生を抑制し、バレル磁界を強調する。さらに垂直走査の立ち上がりにおいて、第1のコイル部15と第2のコイル部16に流れる偏向電流が略等しくなるように設定する。
【選択図】 図2
【解決手段】垂直偏向コイル13をピンクッション磁界発生用の第1のコイル部15とバレル磁界発生用の第2のコイル部16の2対2組のコイルに分割して、コア12にトロイダル巻に巻回する。第1のコイル部15に互いに逆極性に並列接続した2個のダイオード24,25を直列接続し、画面の中央領域でダイオード24,25をオフさせてピンクッション磁界の発生を抑制し、バレル磁界を強調する。さらに垂直走査の立ち上がりにおいて、第1のコイル部15と第2のコイル部16に流れる偏向電流が略等しくなるように設定する。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、インライン型電子銃を備えたカラー陰極線管用偏向ヨーク装置に関し、特に垂直偏向コイルを、本来の垂直偏向のための磁界を発生する機能の他に、ピンクッション磁界発生機能を有するコイル部とバレル磁界発生機能を有するコイル部の2組に分割して構成し、それら磁界によってコンバーゼンスを補正するようにした垂直偏向コイルを備えた偏向ヨーク装置及び垂直偏向方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
インライン型電子銃を備えたカラー陰極線管に適用される偏向ヨーク装置は、例えば図7に示すように構成されており、コイルセパレータ71の外側に、垂直偏向コイル72がトロイダル巻に巻回されたコア73が配設され、コイルセパレータ71の内部に、サドル巻に巻回された水平偏向コイル74が配設されている。コイルセパレータ71の端部は、複数の片に分割されており、偏向ヨーク装置70は、その部分で図示しないカラー陰極線管のネック部に、取り付けバンド75によって取り付けられる。
【0003】
このような偏向ヨーク装置70でインライン型電子銃を備えたカラー陰極線管の電子ビームを偏向した場合、一般的に図8に示すような傾向のミスコンバーゼンスが発生する。
すなわち、画面中央部領域1の画面上側において、赤電子ビーム(R)の画面照射位置(以下単にRと略称する)が右方向に回転して、青電子ビーム(B)の画面照射位置(以下単にBと略称する)に対して、画面右の領域では、画面垂直中心軸(Y軸)から離れるにしたがって画面水平中心軸(X軸)に近づき、画面左領域では、逆にBに対してY軸から離れるにしたがってX軸から離れる方向に変移し、また、画面中央部領域1の画面下側において、Bが右方向に回転して、Rに対して、画面右の領域では、Y軸から離れるにしたがってX軸から離れ、画面左領域では、逆にRに対してY軸から離れるにしたがってX軸に近づく方向に変移するいわゆる正のクロスが発生する。
【0004】
さらにまた、画面端部の領域2では、画面上端側でBが右回転し、画面下端側で、Rが右回転するいわゆる負のクロスが発生する。
このように、画面の中央部領域1と端部領域2で、RとBのクロスの方向が逆になっているために、それを補正することは容易ではなく、従来から種々の提案がなされている。
例えば、特許文献1には、水平磁界中間部をバレル傾向にすることで、特に領域1の正のクロスを改善し、さらに水平偏向コイルあるいは垂直偏向コイルの少なくとも一方において、水平軸Xから約35°傾斜した角度範囲(画面のコーナ付近に対応)に巻線が施されない中抜き部分を設けて、特に領域2における負のクロス量を改善することが示されている。
【0005】
すなわち、図9に示すように、水平磁界の中間部分をバレル傾向にした場合、画面の第1象限では、RがBに対して、より画面上方向(+Y方向)の力(ローレンツ力)を受け、第4象限ではRがBに対して、より画面下方向(−Y方向)の力を受ける。さらに、第2象限では、BがRに対して、より+Y方向の力を受け、第3象限ではBがRに対して、より−Y方向の力を受ける。その現象は、領域1において顕著に現れ、結局、領域1の正クロスミスコンバーゼンスが改善されるようになる。
【0006】
また、垂直偏向コイルにおいて、水平軸Xから約35゜傾斜した角度範囲に巻線が施されない中抜き部分を設けると、図10に示すように、画面の第1及び第4象限では、BビームがFB>FRの力を受け、画面の第2及び第3象限では、RビームがFR>FBの力を受ける。その現象は、領域2において顕著に現れ、結果、領域2の負クロスミスコンバーゼンスが改善されることになる。
【0007】
しかしながら、そのような内容の提案は磁界分布を妥協的に調整するものに過ぎず、正負クロスミスコンバーゼンスを完全に除去し得るものではない。そこで、さらにこの特許文献1では、垂直偏向コイルを、X軸に対して0〜60°の角度範囲に巻回したバレル磁界を発生するコイル部分と、60〜90°の角度範囲に巻回したピンクッション磁界を発生するコイル部分との2対2組に分割して構成し、さらにピンクッション磁界を発生するコイル部分に、逆極性に並列接続された2個のダイオードを直列接続し、垂直偏向コイルに供給される信号電圧値によってダイオードをオンあるいはオフさせるように構成している。
【0008】
垂直偏向コイルに供給される電圧は、偏向開始点(画面上端)で高く、画面中央に向かって徐々に低くなって中央でゼロとなり、その後極性が反転して、徐々に高くなり、偏向終了点(画面下端)では開始点に対して逆極性で略同じ値の電圧が供給される。
【0009】
したがって、画面中央付近ではダイオードがオフとなって、ピンクッション磁界の発生が抑制され、バレル磁界を発生するコイル部分の作用が主体となり、バレル磁界が強調されるようになる。その結果、画面中央部(領域1)での正クロスミスコンバーゼンスが改善される。また、画面の上下端部においては、ダイオードがオンとなり、ピンクッション磁界を発生するコイル部分も作用して、画面上下端部(領域2)の負クロスミスコンバーゼンスが改善される。
【0010】
以上のように、特許文献1に示された提案は、一方のコイル部から発生されるピンクッション磁界を画面の上下端部と中央部で切換えて発生させるように構成されているが、他方のコイル部で生成されるバレル磁界との組合わせによってミスコンバーゼンスを補正するように作用するものであり、両方の磁界を協調させることが重要である。
【0011】
しかしながら、このような偏向ヨーク装置において、バレル磁界を発生するコイル部に、図11(a)に示す偏向電流が流れ、ピンクッション磁界を発生するコイル部に、図11(b)に示すように、図11(a)の波形に対して実効値(RMS)で30%以上大きい偏向電流が流れるように設定されていると、偏向立ち上がり時の電流は、バレル磁界発生用コイル部では、0.5[A](p−p)で、ピンクッション磁界発生用コイル部では1.5[A](p−p)となり、その差60%の突出した電流がピンクッション磁界発生用コイル部に流れることになり、逆にバレル磁界発生用のコイル部に流れる偏向電流は垂直偏向立ち上がり点で鈍ってしまう。
【0012】
そのため、垂直偏向立ち上がりにおいて、強いピンクッション磁界が生成されることになり、画面上端で図12に示すような水平方向プラスのミスコンバーゼンスが発生してしまうという問題があった。
【特許文献1】
特開平1−225045号公報(第1頁〜第5頁、図1,2,6)
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
以上のように、従来の偏向ヨーク装置は、ピンクッション磁界を発生するコイル部とバレル磁界を発生するコイル部に流れる偏向電流が大きく異なると偏向開始点においてミスコンバーゼンスが発生することがあった。
本発明は、以上の点に対処してなされたものであり、垂直偏向コイルをピンクッション磁界発生部とバレル磁界発生部とに分割してそれぞれトロイダル巻に構成し、画面中央部でピンクッション磁界を抑制してバレル磁界を強調するようにした偏向ヨーク装置において、垂直走査開始から少なくとも所定期間の間、ピンクッション磁界発生用のコイル部とバレル磁界発生用のコイル部に流れる偏向電流を略等しくなるように設定することでミスコンバーゼンスを的確に補正できるようにしたものである。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明の偏向ヨーク装置は、インライン型電子銃を備えたカラー陰極線管の画面の水平軸方向内側において前記カラー陰極線菅画面の垂直軸方向に対向するようにコアにトロイダル巻に巻回された一対のコイルでなる第1のコイル部と、前記カラー陰極線管画面の水平軸方向の前記第1のコイル部よりも外側において当該水平軸方向に対向するように前記コアにトロイダル巻に巻回された一対のコイルでなる第2のコイル部とで構成された垂直偏向コイルと、
【0015】
前記第1のコイル部に直列接続された逆極性に並列接続された2個のダイオードと、
前記第2のコイル部と、前記第1のコイル部と前記2個のダイオードの直列接続との並列接続回路配置を有し、該第1及び第2のコイル部に流れる垂直偏向電流が垂直偏向の開始から少なくとも所定期間略等しくなるように設定する偏向電流設定手段と、
【0016】
を具備したことを特徴とする。
本発明によれば、垂直偏向の立ち上がり点において、第1及び第2のコイル部に略等しい偏向電流が流れるようになるので、ミスコンバーゼンスを確実に補正することができるものである。
また、本発明の偏向ヨーク装置は、インライン型電子銃を備えたカラー陰極線管に装着される偏向ヨーク装置において、
ピンクッション磁界発生用のコイル部と、バレル磁界発生用のコイル部分との少なくとも2対2組のコイル部を構成するようにコアにトロイダル巻きで分割巻回された垂直偏向コイルと、
前記ピンクッション磁界発生用のコイル部に直列接続された逆極性に並列接続された2個のダイオードと、
前記バレル磁界発生用のコイル部と、前記ピンクッション磁界発生用のコイル部と前記並列接続された2個のダイオードの直列接続との並列接続回路配置を有し、前記バレル磁界発生用のコイル部と前記ピンクッション磁界発生用のコイル部に垂直偏向の開始から少なくとも所定期間略等しい偏向電流が流れるように設定する偏向電流設定手段と、
【0017】
を具備したことを特徴とする。
本発明によれば、垂直偏向の立ち上がり点において、ピンクッション磁界発生用コイル部とバレル磁界発生用コイル部に略等しい偏向電流が流れるようになるので、ミスコンバーゼンスを確実に補正することができるものである。
さらに、本発明の垂直偏向方法は、インライン型電子銃を備えたカラー陰極線管に第1のコイルによって垂直偏向磁界と共にピンクッション磁界を生成し、第2のコイルによって垂直偏向磁界と共にバレル磁界を生成するステップと、
各垂直走査の略中央部において、前記ピンクッション磁界に比してバレル磁界を強調するステップと、
前記各垂直走査の開始から少なくとも所定期間において前記第1及び第2のコイルに流れる偏向電流の値を略等しくするステップと、
を具備したことを特徴とする。
本発明によれば、垂直偏向の立ち上がり点において、ピンクッション磁界発生用コイル部とバレル磁界発生用コイル部に略等しい偏向電流が流れるようになるので、ミスコンバーゼンスを確実に補正することができるものである。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態を詳細に説明する。
図1は、本発明の偏向ヨーク装置10を、カラー陰極線管の電子ビーム照射方向に対して交わる方向に切断した断面図で示すものである。
すなわち、コイルセパレータ11の外側に、垂直偏向コイル用の環状のコア12が配設され、コア12に垂直偏向コイル13がトロイダル巻に巻回されている。さらにコイルセパレータ11内側にはサドル巻に巻回された水平偏向コイル14が配設されている。
【0019】
垂直偏向コイル13は、画面のX軸を間にして対向するようにコア12巻回された1対のコイルでなる第1のコイル部(内側コイル部)15と、画面のY軸を間にして対向するようにコア12に巻回された1対のコイルでなる第2のコイル部(外側コイル部)16と構成され、第2のコイル部16は、X軸に対して50°を越えない領域に巻回されており、第1のコイル部15は、X軸に対して50°〜90°の角度範囲に巻回されている。
【0020】
図2は、図1に示す偏向ヨーク装置10の垂直偏向コイル13の結線状態を示す回路図である。図において、図1と同じ部分に同じ符号を付す。
図2において、端子21に、第1のコイル部15を構成する一対のコイル15a,15bが直列に接続され、さらに各コイル15a,15bと並列に抵抗22,23がそれぞれ接続されている。また、コイル15bのコイル15aとの接続点とは反対側の端には、互いにアノードとカソードが接続された2個のダイオード24,25の2つの接続点のうちの一方の接続点が接続されている。すなわち互いに逆極性に並列に接続された2個のダイオード24,25がコイル15bと直列に接続されている。さらにダイオード24,25と並列に抵抗26が接続されている。
【0021】
端子21には、さらに第2のコイル部16を構成する一対のコイル16a,16bが直列に接続され、各コイル16aと16bに対して、それぞれ抵抗27,28が並列に接続されている。
ダイオード24,25のコイル15bとの接続点とは反対側の接続点と、第2のコイル部16におけるコイル16bのコイル16aとの接続点とは反対側の端とが接続され、その接続点がダイオード29のアノードとダイオード30のカソードに共通に接続されている。
【0022】
ダイオード29と30には、それぞれ並列に抵抗31,32が接続され、さらにダイオード29のカソードとダイオード30のアノードには、それぞれ垂直等方性非点収差補正コイル33、34が接続され、各垂直等方性非点収差補正コイル33,34のダイオード29,30との接続点とは反対側の端は共通に接続されている。
【0023】
垂直等方性非点収差補正コイル33,34の共通接続点は、2つの垂直コマ収差補正コイル35,36を直列に介して端子37に接続されている。
端子21と端子37間には、垂直偏向電圧が供給されるもので、端子21には、垂直偏向の前半(画面上側)では、その開始点が最も高く、画面中央にかけて徐々に減少し最終的にゼロ(基準電位)になる電圧が供給される。その際、端子37は基準電位点に接続され、偏向電流は、端子21から端子37方向に流れる。したがって、端子21はいわゆる(High)端子である。
【0024】
垂直偏向の後半(画面下側)では、その開始点が基準電位で最も低く、画面下端で最も高くなるように変化する電圧が端子37に供給される。その際、端子21は基準電位点に接続され、偏向電流は端子37から端子21に向かって流れる。したがって、端子37はいわゆる(Low)端子である。
【0025】
垂直等方性非点収差補正コイル33,34は、カラー陰極線管画面Y軸上に発生する垂直等方性非点収差を補正するもので、偏向ヨーク装置10のカラー陰極線管のネック部側の開口部付近にコイルセパレータを介して取り付けられる。
垂直等方性非点収差とは、図3(a)(b)に示すように、画面Y軸の端部において、B及びRがX軸方向に互いに離れるように生ずるコンバーゼンスずれであり、垂直等方性非点収差補正コイル33,34で発生させる磁界によって補正されるものである。すなわち、画面端部(領域2)付近では、偏向電圧が高いため、ダイオード29,30がオンとなり、コイル33,34に流れる電流が増加するため、垂直等方性非点収差補正コイル33,34から発生される磁界も強くなり、垂直等方性非点収差が修正されるように作用する。その結果、図3(c)に示すようにBとGがY軸上で略一致するようになる。
【0026】
また、垂直コマ収差補正コイル35,36は、カラー陰極線管画面のX軸上に発生する垂直コマ収差を補正するもので、偏向ヨーク装置10のカラー陰極線管のネック部側の開口部付近にコイルセパレータを介して取り付けられており、ピンクッション磁界を発生するように作用する。
【0027】
垂直コマ収差とは、図4(a)に示すように、R,Bに対して緑の電子ビーム(以下Gと略称する)がY軸方向内側に位置するように生ずるコンバーゼンスずれであり、垂直コマ収差補正コイル35,36で発生されるピンクッション磁界によって、それが補正され、図4(b)に示すように、GがBとRに略一致するようになる。
【0028】
次に、本発明を構成する垂直偏向コイル13について詳細に説明する。本発明は、図2の回路において、第1のコイル部15に流れる電流と、第2のコイル部16に流れる電流が、少なくとも垂直偏向の立ち上がりから所定期間の間、実効値で略等しくなるように設定するものである。
【0029】
すなわち、第1のコイル部15を構成する一対のコイル15a,15bと第2のコイル部16を構成する一対のコイル16a,16bの巻回数と、各コイル15a,15b,16a,16bに並列に接続された抵抗22,23,27,28及びダイオード24,25に並列に接続された抵抗26の抵抗値を所定の式から求められる論理値あるいは実験によって求められる測定値に基づいて決定することで、第1のコイル部15と第2のコイル部16に略等しい偏向電流が流れるようにしている。
【0030】
その結果、第1のコイル部15には、図5(a)に示す電流が流れ、第2のコイル部16には、図5(b)に示す電流が流れるようになる。すなわち、第1のコイル部15には実効値で0.49[A]、p−p値で0.7[A]の電流が流れ、第2のコイル部16には実効値で0.50[A]、p−p値で0.85[A]の電流が流れるようになる。
【0031】
第1のコイル部15と第2のコイル部16に、図5(a)(b)に示す電流が流れることにより、垂直偏向立ち上がり時の、ピンクッション磁界とバレル磁界が相互に最適な値となり、図6に示すように画面上端部におけるミスコンバーゼンスを的確に補正することができるようになるものである。
【0032】
なお、第1のコイル部15のコイル15a,15bと第2のコイル部16のコイル16a,16bの巻回数と、抵抗22,23,27,28の抵抗値について、一義的に検討すると、第2のコイル16のコイル16a,16bの巻回数は、第1のコイル15のコイル15a,15bの巻回数より少なく、抵抗27,28の直列抵抗値は、抵抗22,23の直列抵抗値より小さく設定されるものである。
【0033】
以上のように本発明の偏向ヨーク装置は、垂直偏向コイルを、ピンクッション磁界を発生するコイル部と、バレル磁界を発生するコイル部に分割して、各コイル部を並列接続すると共に、ピンクッション磁界発生用コイル部に逆極性に並列接続された2個のダイオードを直列接続して、画面中央部分で、ピンクッション磁界を抑制してバレル磁界を強調するようにした偏向ヨーク装置において、ピンクッション磁界発生用コイル部とバレル磁界発生用コイル部に、少なくとも垂直偏向の立ち上がり期間で略等しい偏向電流が流れるように偏向電流を設定するようにしたので、画面上端における画面水平方向のコンバーゼンスずれを、的確に補正することができるものである。
【0034】
【発明の効果】
以上のように、本発明の偏向ヨーク装置においては、垂直偏向コイルを、ピンクッション磁界を発生するコイル部とバレル磁界を発生するコイル部の2対2組のコイル部に分割してそれぞれコアにトロイダル巻回するようにし、ピンクッション磁界を発生するコイル部を、ダイオードでスイッチングして、画面中央部付近の領域おいて、バレル磁界を強調するように構成した偏向ヨーク装置において、垂直偏向の少なくとも立ち上がりで、ピンクッション磁界発生用のコイルとバレル磁界発生用のコイルに略等しい偏向電流が流れるように構成したので、画面上端のミスコンバーゼンスの補正残留量を極めて少なくすることができるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る偏向ヨーク装置の断面図。
【図2】図1に示す偏向ヨーク装置の一実施の形態の回路構成を示す回路図。
【図3】図2に示す回路の動作を説明するための図。
【図4】図2に示す回路の動作を説明するための図。
【図5】図2に示す回路の動作を説明するための波形図。
【図6】図に示す回路の動作を説明するための図。
【図7】一般的な偏向ヨーク装置の構成を示す図。
【図8】インライン電子銃を備えたカラー陰極線管のミスコンバーゼンスを説明するための図。
【図9】従来の偏向ヨーク装置において、コンバーゼンスを補正する過程を説明するための図。
【図10】従来の偏向ヨーク装置において、コンバーゼンスを補正する過程を説明するための図。
【図11】従来の偏向ヨーク装置の動作を説明するための偏向電流波形図。
【図12】図11に示す偏向電流によって発生されるミスコンバーゼンスを説明するための図。
【符号の説明】
10…偏向ヨーク装置
11…コイルセパレータ
12…コア
13…垂直偏向コイル
14…水平偏向コイル
15…第1のコイル部
16…第2のコイル部
21…端子(High)
22,23…抵抗
24,25…ピンクッション磁界切換え用ダイオード
26,27,28…抵抗
29,30…垂直等方性収差補正用切換えダイオード
31,32…抵抗
33,34…垂直等方性収差補正コイル
35,36…垂直コマ収差補正コイル
37…端子(Low)
【発明の属する技術分野】
本発明は、インライン型電子銃を備えたカラー陰極線管用偏向ヨーク装置に関し、特に垂直偏向コイルを、本来の垂直偏向のための磁界を発生する機能の他に、ピンクッション磁界発生機能を有するコイル部とバレル磁界発生機能を有するコイル部の2組に分割して構成し、それら磁界によってコンバーゼンスを補正するようにした垂直偏向コイルを備えた偏向ヨーク装置及び垂直偏向方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
インライン型電子銃を備えたカラー陰極線管に適用される偏向ヨーク装置は、例えば図7に示すように構成されており、コイルセパレータ71の外側に、垂直偏向コイル72がトロイダル巻に巻回されたコア73が配設され、コイルセパレータ71の内部に、サドル巻に巻回された水平偏向コイル74が配設されている。コイルセパレータ71の端部は、複数の片に分割されており、偏向ヨーク装置70は、その部分で図示しないカラー陰極線管のネック部に、取り付けバンド75によって取り付けられる。
【0003】
このような偏向ヨーク装置70でインライン型電子銃を備えたカラー陰極線管の電子ビームを偏向した場合、一般的に図8に示すような傾向のミスコンバーゼンスが発生する。
すなわち、画面中央部領域1の画面上側において、赤電子ビーム(R)の画面照射位置(以下単にRと略称する)が右方向に回転して、青電子ビーム(B)の画面照射位置(以下単にBと略称する)に対して、画面右の領域では、画面垂直中心軸(Y軸)から離れるにしたがって画面水平中心軸(X軸)に近づき、画面左領域では、逆にBに対してY軸から離れるにしたがってX軸から離れる方向に変移し、また、画面中央部領域1の画面下側において、Bが右方向に回転して、Rに対して、画面右の領域では、Y軸から離れるにしたがってX軸から離れ、画面左領域では、逆にRに対してY軸から離れるにしたがってX軸に近づく方向に変移するいわゆる正のクロスが発生する。
【0004】
さらにまた、画面端部の領域2では、画面上端側でBが右回転し、画面下端側で、Rが右回転するいわゆる負のクロスが発生する。
このように、画面の中央部領域1と端部領域2で、RとBのクロスの方向が逆になっているために、それを補正することは容易ではなく、従来から種々の提案がなされている。
例えば、特許文献1には、水平磁界中間部をバレル傾向にすることで、特に領域1の正のクロスを改善し、さらに水平偏向コイルあるいは垂直偏向コイルの少なくとも一方において、水平軸Xから約35°傾斜した角度範囲(画面のコーナ付近に対応)に巻線が施されない中抜き部分を設けて、特に領域2における負のクロス量を改善することが示されている。
【0005】
すなわち、図9に示すように、水平磁界の中間部分をバレル傾向にした場合、画面の第1象限では、RがBに対して、より画面上方向(+Y方向)の力(ローレンツ力)を受け、第4象限ではRがBに対して、より画面下方向(−Y方向)の力を受ける。さらに、第2象限では、BがRに対して、より+Y方向の力を受け、第3象限ではBがRに対して、より−Y方向の力を受ける。その現象は、領域1において顕著に現れ、結局、領域1の正クロスミスコンバーゼンスが改善されるようになる。
【0006】
また、垂直偏向コイルにおいて、水平軸Xから約35゜傾斜した角度範囲に巻線が施されない中抜き部分を設けると、図10に示すように、画面の第1及び第4象限では、BビームがFB>FRの力を受け、画面の第2及び第3象限では、RビームがFR>FBの力を受ける。その現象は、領域2において顕著に現れ、結果、領域2の負クロスミスコンバーゼンスが改善されることになる。
【0007】
しかしながら、そのような内容の提案は磁界分布を妥協的に調整するものに過ぎず、正負クロスミスコンバーゼンスを完全に除去し得るものではない。そこで、さらにこの特許文献1では、垂直偏向コイルを、X軸に対して0〜60°の角度範囲に巻回したバレル磁界を発生するコイル部分と、60〜90°の角度範囲に巻回したピンクッション磁界を発生するコイル部分との2対2組に分割して構成し、さらにピンクッション磁界を発生するコイル部分に、逆極性に並列接続された2個のダイオードを直列接続し、垂直偏向コイルに供給される信号電圧値によってダイオードをオンあるいはオフさせるように構成している。
【0008】
垂直偏向コイルに供給される電圧は、偏向開始点(画面上端)で高く、画面中央に向かって徐々に低くなって中央でゼロとなり、その後極性が反転して、徐々に高くなり、偏向終了点(画面下端)では開始点に対して逆極性で略同じ値の電圧が供給される。
【0009】
したがって、画面中央付近ではダイオードがオフとなって、ピンクッション磁界の発生が抑制され、バレル磁界を発生するコイル部分の作用が主体となり、バレル磁界が強調されるようになる。その結果、画面中央部(領域1)での正クロスミスコンバーゼンスが改善される。また、画面の上下端部においては、ダイオードがオンとなり、ピンクッション磁界を発生するコイル部分も作用して、画面上下端部(領域2)の負クロスミスコンバーゼンスが改善される。
【0010】
以上のように、特許文献1に示された提案は、一方のコイル部から発生されるピンクッション磁界を画面の上下端部と中央部で切換えて発生させるように構成されているが、他方のコイル部で生成されるバレル磁界との組合わせによってミスコンバーゼンスを補正するように作用するものであり、両方の磁界を協調させることが重要である。
【0011】
しかしながら、このような偏向ヨーク装置において、バレル磁界を発生するコイル部に、図11(a)に示す偏向電流が流れ、ピンクッション磁界を発生するコイル部に、図11(b)に示すように、図11(a)の波形に対して実効値(RMS)で30%以上大きい偏向電流が流れるように設定されていると、偏向立ち上がり時の電流は、バレル磁界発生用コイル部では、0.5[A](p−p)で、ピンクッション磁界発生用コイル部では1.5[A](p−p)となり、その差60%の突出した電流がピンクッション磁界発生用コイル部に流れることになり、逆にバレル磁界発生用のコイル部に流れる偏向電流は垂直偏向立ち上がり点で鈍ってしまう。
【0012】
そのため、垂直偏向立ち上がりにおいて、強いピンクッション磁界が生成されることになり、画面上端で図12に示すような水平方向プラスのミスコンバーゼンスが発生してしまうという問題があった。
【特許文献1】
特開平1−225045号公報(第1頁〜第5頁、図1,2,6)
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
以上のように、従来の偏向ヨーク装置は、ピンクッション磁界を発生するコイル部とバレル磁界を発生するコイル部に流れる偏向電流が大きく異なると偏向開始点においてミスコンバーゼンスが発生することがあった。
本発明は、以上の点に対処してなされたものであり、垂直偏向コイルをピンクッション磁界発生部とバレル磁界発生部とに分割してそれぞれトロイダル巻に構成し、画面中央部でピンクッション磁界を抑制してバレル磁界を強調するようにした偏向ヨーク装置において、垂直走査開始から少なくとも所定期間の間、ピンクッション磁界発生用のコイル部とバレル磁界発生用のコイル部に流れる偏向電流を略等しくなるように設定することでミスコンバーゼンスを的確に補正できるようにしたものである。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明の偏向ヨーク装置は、インライン型電子銃を備えたカラー陰極線管の画面の水平軸方向内側において前記カラー陰極線菅画面の垂直軸方向に対向するようにコアにトロイダル巻に巻回された一対のコイルでなる第1のコイル部と、前記カラー陰極線管画面の水平軸方向の前記第1のコイル部よりも外側において当該水平軸方向に対向するように前記コアにトロイダル巻に巻回された一対のコイルでなる第2のコイル部とで構成された垂直偏向コイルと、
【0015】
前記第1のコイル部に直列接続された逆極性に並列接続された2個のダイオードと、
前記第2のコイル部と、前記第1のコイル部と前記2個のダイオードの直列接続との並列接続回路配置を有し、該第1及び第2のコイル部に流れる垂直偏向電流が垂直偏向の開始から少なくとも所定期間略等しくなるように設定する偏向電流設定手段と、
【0016】
を具備したことを特徴とする。
本発明によれば、垂直偏向の立ち上がり点において、第1及び第2のコイル部に略等しい偏向電流が流れるようになるので、ミスコンバーゼンスを確実に補正することができるものである。
また、本発明の偏向ヨーク装置は、インライン型電子銃を備えたカラー陰極線管に装着される偏向ヨーク装置において、
ピンクッション磁界発生用のコイル部と、バレル磁界発生用のコイル部分との少なくとも2対2組のコイル部を構成するようにコアにトロイダル巻きで分割巻回された垂直偏向コイルと、
前記ピンクッション磁界発生用のコイル部に直列接続された逆極性に並列接続された2個のダイオードと、
前記バレル磁界発生用のコイル部と、前記ピンクッション磁界発生用のコイル部と前記並列接続された2個のダイオードの直列接続との並列接続回路配置を有し、前記バレル磁界発生用のコイル部と前記ピンクッション磁界発生用のコイル部に垂直偏向の開始から少なくとも所定期間略等しい偏向電流が流れるように設定する偏向電流設定手段と、
【0017】
を具備したことを特徴とする。
本発明によれば、垂直偏向の立ち上がり点において、ピンクッション磁界発生用コイル部とバレル磁界発生用コイル部に略等しい偏向電流が流れるようになるので、ミスコンバーゼンスを確実に補正することができるものである。
さらに、本発明の垂直偏向方法は、インライン型電子銃を備えたカラー陰極線管に第1のコイルによって垂直偏向磁界と共にピンクッション磁界を生成し、第2のコイルによって垂直偏向磁界と共にバレル磁界を生成するステップと、
各垂直走査の略中央部において、前記ピンクッション磁界に比してバレル磁界を強調するステップと、
前記各垂直走査の開始から少なくとも所定期間において前記第1及び第2のコイルに流れる偏向電流の値を略等しくするステップと、
を具備したことを特徴とする。
本発明によれば、垂直偏向の立ち上がり点において、ピンクッション磁界発生用コイル部とバレル磁界発生用コイル部に略等しい偏向電流が流れるようになるので、ミスコンバーゼンスを確実に補正することができるものである。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態を詳細に説明する。
図1は、本発明の偏向ヨーク装置10を、カラー陰極線管の電子ビーム照射方向に対して交わる方向に切断した断面図で示すものである。
すなわち、コイルセパレータ11の外側に、垂直偏向コイル用の環状のコア12が配設され、コア12に垂直偏向コイル13がトロイダル巻に巻回されている。さらにコイルセパレータ11内側にはサドル巻に巻回された水平偏向コイル14が配設されている。
【0019】
垂直偏向コイル13は、画面のX軸を間にして対向するようにコア12巻回された1対のコイルでなる第1のコイル部(内側コイル部)15と、画面のY軸を間にして対向するようにコア12に巻回された1対のコイルでなる第2のコイル部(外側コイル部)16と構成され、第2のコイル部16は、X軸に対して50°を越えない領域に巻回されており、第1のコイル部15は、X軸に対して50°〜90°の角度範囲に巻回されている。
【0020】
図2は、図1に示す偏向ヨーク装置10の垂直偏向コイル13の結線状態を示す回路図である。図において、図1と同じ部分に同じ符号を付す。
図2において、端子21に、第1のコイル部15を構成する一対のコイル15a,15bが直列に接続され、さらに各コイル15a,15bと並列に抵抗22,23がそれぞれ接続されている。また、コイル15bのコイル15aとの接続点とは反対側の端には、互いにアノードとカソードが接続された2個のダイオード24,25の2つの接続点のうちの一方の接続点が接続されている。すなわち互いに逆極性に並列に接続された2個のダイオード24,25がコイル15bと直列に接続されている。さらにダイオード24,25と並列に抵抗26が接続されている。
【0021】
端子21には、さらに第2のコイル部16を構成する一対のコイル16a,16bが直列に接続され、各コイル16aと16bに対して、それぞれ抵抗27,28が並列に接続されている。
ダイオード24,25のコイル15bとの接続点とは反対側の接続点と、第2のコイル部16におけるコイル16bのコイル16aとの接続点とは反対側の端とが接続され、その接続点がダイオード29のアノードとダイオード30のカソードに共通に接続されている。
【0022】
ダイオード29と30には、それぞれ並列に抵抗31,32が接続され、さらにダイオード29のカソードとダイオード30のアノードには、それぞれ垂直等方性非点収差補正コイル33、34が接続され、各垂直等方性非点収差補正コイル33,34のダイオード29,30との接続点とは反対側の端は共通に接続されている。
【0023】
垂直等方性非点収差補正コイル33,34の共通接続点は、2つの垂直コマ収差補正コイル35,36を直列に介して端子37に接続されている。
端子21と端子37間には、垂直偏向電圧が供給されるもので、端子21には、垂直偏向の前半(画面上側)では、その開始点が最も高く、画面中央にかけて徐々に減少し最終的にゼロ(基準電位)になる電圧が供給される。その際、端子37は基準電位点に接続され、偏向電流は、端子21から端子37方向に流れる。したがって、端子21はいわゆる(High)端子である。
【0024】
垂直偏向の後半(画面下側)では、その開始点が基準電位で最も低く、画面下端で最も高くなるように変化する電圧が端子37に供給される。その際、端子21は基準電位点に接続され、偏向電流は端子37から端子21に向かって流れる。したがって、端子37はいわゆる(Low)端子である。
【0025】
垂直等方性非点収差補正コイル33,34は、カラー陰極線管画面Y軸上に発生する垂直等方性非点収差を補正するもので、偏向ヨーク装置10のカラー陰極線管のネック部側の開口部付近にコイルセパレータを介して取り付けられる。
垂直等方性非点収差とは、図3(a)(b)に示すように、画面Y軸の端部において、B及びRがX軸方向に互いに離れるように生ずるコンバーゼンスずれであり、垂直等方性非点収差補正コイル33,34で発生させる磁界によって補正されるものである。すなわち、画面端部(領域2)付近では、偏向電圧が高いため、ダイオード29,30がオンとなり、コイル33,34に流れる電流が増加するため、垂直等方性非点収差補正コイル33,34から発生される磁界も強くなり、垂直等方性非点収差が修正されるように作用する。その結果、図3(c)に示すようにBとGがY軸上で略一致するようになる。
【0026】
また、垂直コマ収差補正コイル35,36は、カラー陰極線管画面のX軸上に発生する垂直コマ収差を補正するもので、偏向ヨーク装置10のカラー陰極線管のネック部側の開口部付近にコイルセパレータを介して取り付けられており、ピンクッション磁界を発生するように作用する。
【0027】
垂直コマ収差とは、図4(a)に示すように、R,Bに対して緑の電子ビーム(以下Gと略称する)がY軸方向内側に位置するように生ずるコンバーゼンスずれであり、垂直コマ収差補正コイル35,36で発生されるピンクッション磁界によって、それが補正され、図4(b)に示すように、GがBとRに略一致するようになる。
【0028】
次に、本発明を構成する垂直偏向コイル13について詳細に説明する。本発明は、図2の回路において、第1のコイル部15に流れる電流と、第2のコイル部16に流れる電流が、少なくとも垂直偏向の立ち上がりから所定期間の間、実効値で略等しくなるように設定するものである。
【0029】
すなわち、第1のコイル部15を構成する一対のコイル15a,15bと第2のコイル部16を構成する一対のコイル16a,16bの巻回数と、各コイル15a,15b,16a,16bに並列に接続された抵抗22,23,27,28及びダイオード24,25に並列に接続された抵抗26の抵抗値を所定の式から求められる論理値あるいは実験によって求められる測定値に基づいて決定することで、第1のコイル部15と第2のコイル部16に略等しい偏向電流が流れるようにしている。
【0030】
その結果、第1のコイル部15には、図5(a)に示す電流が流れ、第2のコイル部16には、図5(b)に示す電流が流れるようになる。すなわち、第1のコイル部15には実効値で0.49[A]、p−p値で0.7[A]の電流が流れ、第2のコイル部16には実効値で0.50[A]、p−p値で0.85[A]の電流が流れるようになる。
【0031】
第1のコイル部15と第2のコイル部16に、図5(a)(b)に示す電流が流れることにより、垂直偏向立ち上がり時の、ピンクッション磁界とバレル磁界が相互に最適な値となり、図6に示すように画面上端部におけるミスコンバーゼンスを的確に補正することができるようになるものである。
【0032】
なお、第1のコイル部15のコイル15a,15bと第2のコイル部16のコイル16a,16bの巻回数と、抵抗22,23,27,28の抵抗値について、一義的に検討すると、第2のコイル16のコイル16a,16bの巻回数は、第1のコイル15のコイル15a,15bの巻回数より少なく、抵抗27,28の直列抵抗値は、抵抗22,23の直列抵抗値より小さく設定されるものである。
【0033】
以上のように本発明の偏向ヨーク装置は、垂直偏向コイルを、ピンクッション磁界を発生するコイル部と、バレル磁界を発生するコイル部に分割して、各コイル部を並列接続すると共に、ピンクッション磁界発生用コイル部に逆極性に並列接続された2個のダイオードを直列接続して、画面中央部分で、ピンクッション磁界を抑制してバレル磁界を強調するようにした偏向ヨーク装置において、ピンクッション磁界発生用コイル部とバレル磁界発生用コイル部に、少なくとも垂直偏向の立ち上がり期間で略等しい偏向電流が流れるように偏向電流を設定するようにしたので、画面上端における画面水平方向のコンバーゼンスずれを、的確に補正することができるものである。
【0034】
【発明の効果】
以上のように、本発明の偏向ヨーク装置においては、垂直偏向コイルを、ピンクッション磁界を発生するコイル部とバレル磁界を発生するコイル部の2対2組のコイル部に分割してそれぞれコアにトロイダル巻回するようにし、ピンクッション磁界を発生するコイル部を、ダイオードでスイッチングして、画面中央部付近の領域おいて、バレル磁界を強調するように構成した偏向ヨーク装置において、垂直偏向の少なくとも立ち上がりで、ピンクッション磁界発生用のコイルとバレル磁界発生用のコイルに略等しい偏向電流が流れるように構成したので、画面上端のミスコンバーゼンスの補正残留量を極めて少なくすることができるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る偏向ヨーク装置の断面図。
【図2】図1に示す偏向ヨーク装置の一実施の形態の回路構成を示す回路図。
【図3】図2に示す回路の動作を説明するための図。
【図4】図2に示す回路の動作を説明するための図。
【図5】図2に示す回路の動作を説明するための波形図。
【図6】図に示す回路の動作を説明するための図。
【図7】一般的な偏向ヨーク装置の構成を示す図。
【図8】インライン電子銃を備えたカラー陰極線管のミスコンバーゼンスを説明するための図。
【図9】従来の偏向ヨーク装置において、コンバーゼンスを補正する過程を説明するための図。
【図10】従来の偏向ヨーク装置において、コンバーゼンスを補正する過程を説明するための図。
【図11】従来の偏向ヨーク装置の動作を説明するための偏向電流波形図。
【図12】図11に示す偏向電流によって発生されるミスコンバーゼンスを説明するための図。
【符号の説明】
10…偏向ヨーク装置
11…コイルセパレータ
12…コア
13…垂直偏向コイル
14…水平偏向コイル
15…第1のコイル部
16…第2のコイル部
21…端子(High)
22,23…抵抗
24,25…ピンクッション磁界切換え用ダイオード
26,27,28…抵抗
29,30…垂直等方性収差補正用切換えダイオード
31,32…抵抗
33,34…垂直等方性収差補正コイル
35,36…垂直コマ収差補正コイル
37…端子(Low)
Claims (9)
- インライン型電子銃を備えたカラー陰極線管画面の水平軸方向内側において前記カラー陰極線菅画面の垂直軸方向に対向するようにコアにトロイダル巻に巻回された一対のコイルでなる第1のコイル部と、前記カラー陰極線管画面の水平軸方向の前記第1のコイル部よりも外側において当該水平軸方向に対向するように前記コアにトロイダル巻に巻回された一対のコイルでなる第2のコイル部とで構成された垂直偏向コイルと、
前記第1のコイル部に直列接続された逆極性に並列接続された2個のダイオードと、
前記第2のコイル部と、前記第1のコイル部と前記2個のダイオードの直列接続との並列接続回路配置を有し、該第1及び第2のコイル部に流れる垂直偏向電流が垂直偏向の開始から少なくとも所定期間略等しくなるように設定する偏向電流設定手段と、
を具備したことを特徴とする偏向ヨーク装置。 - 前記偏向電流設定手段は、前記第1及び第2のコイル部と、前記逆極性に並列接続された2個のダイオードとにそれぞれ並列に接続された抵抗含み、当該抵抗の抵抗値と前記第1及び第2のコイル部のコイルの巻回数を特定することで前記垂直偏向の開始から少なくとも所定期間前記第1及び第2のコイル部に流れる偏向電流が略等しくなるように設定するものであることを特徴とする請求項1に記載の偏向ヨーク装置。
- 前記偏向電流設定手段は、前記第2のコイル部のコイルの巻回数を前記第1のコイル部のコイルの巻回数より少なく設定するものであることを特徴とする請求項2に記載の偏向ヨーク装置。
- 前記偏向電流設定手段は、前記第1のコイル部に並列に接続された抵抗の抵抗値に比して、前記第2のコイル部に並列に接続された抵抗の抵抗値を小さく設定するものであることを特徴とする請求項2に記載の偏向ヨーク装置。
- インライン型電子銃を備えたカラー陰極線管に装着される偏向ヨーク装置において、
ピンクッション磁界発生用のコイル部と、バレル磁界発生用のコイル部分との少なくとも2対2組のコイル部を構成するようにコアにトロイダル巻きで分割巻回された垂直偏向コイルと、
前記ピンクッション磁界発生用のコイル部に直列接続された逆極性に並列接続された2個のダイオードと、
前記バレル磁界発生用のコイル部と、前記ピンクッション磁界発生用のコイル部と前記並列接続された2個のダイオードの直列接続との並列接続回路配置を有し、前記バレル磁界発生用のコイル部と前記ピンクッション磁界発生用のコイル部に垂直偏向の開始から少なくとも所定期間略等しい偏向電流が流れるように設定する偏向電流設定手段と、
を具備したことを特徴とする偏向ヨーク装置。 - 前記偏向電流設定手段は、前記ピンクッション磁界発生用のコイル部及び前記バレル磁界発生用のコイル部と、前記逆極性に並列接続された2個のダイオードとに、それぞれ並列に接続された抵抗を含み、当該抵抗の抵抗値と前記各コイル部のコイルの巻回数を特定することで前記垂直偏向の開始から少なくとも所定期間前記各コイル部に流れる偏向電流が略等しくなるように設定するものであることを特徴とする請求項5に記載の偏向ヨーク装置。
- 前記偏向電流設定手段は、前記バレル磁界発生用のコイル部のコイルの巻回数を前記ピンクッション磁界発生用のコイル部のコイルの巻回数より少なく設定するものであることを特徴とする請求項5に記載の偏向ヨーク装置。
- 前記偏向電流設定手段は、前記第ピンクッション磁界発生用のコイル部に並列に接続された抵抗の抵抗値に比して、前記バレル磁界発生用のコイル部に並列に接続された抵抗の抵抗値を小さく設定するものであることを特徴とする請求項6に記載の偏向ヨーク装置。
- インライン型電子銃を備えたカラー陰極線管に第1のコイルによって垂直偏向磁界と共にピンクッション磁界を生成し、第2のコイルによって垂直偏向磁界と共にバレル磁界を生成するステップと、
各垂直走査の略中央部において、前記ピンクッション磁界に比してバレル磁界を強調するステップと、
前記各垂直走査の開始から少なくとも所定期間において前記第1及び第2のコイルに流れる偏向電流の値を略等しくするステップと、
を具備したことを特徴とする垂直偏向方法。
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