JP2004296257A - 偏向ヨーク装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】ミスコンバーゼンス補正残量の少ない偏向ヨーク装置を得る。
【解決手段】垂直偏向コイル13をピンクッション磁界発生用の第1のコイル部15とバレル磁界発生用の第2のコイル部16の2対2組のコイルに分割して、コア12に対してトロイダル巻に巻回する。第1のコイル部15に互いに逆極性に並列接続した2個のダイオード24,25を直列接続し、画面の中央領域で、ダイオード24,25をオフさせてピンクッション磁界の発生を抑制し、バレル磁界を強調する。さらに第2のコイル部16の巻回領域を、画面X軸に対して50°を越えないように設定する。
【選択図】 図1
【解決手段】垂直偏向コイル13をピンクッション磁界発生用の第1のコイル部15とバレル磁界発生用の第2のコイル部16の2対2組のコイルに分割して、コア12に対してトロイダル巻に巻回する。第1のコイル部15に互いに逆極性に並列接続した2個のダイオード24,25を直列接続し、画面の中央領域で、ダイオード24,25をオフさせてピンクッション磁界の発生を抑制し、バレル磁界を強調する。さらに第2のコイル部16の巻回領域を、画面X軸に対して50°を越えないように設定する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、インライン型電子銃を備えたカラー陰極線管用偏向ヨーク装置に関し、特に垂直偏向コイルを、本来の垂直偏向のための磁界を発生する機能の他に、ピンクッション磁界発生機能を有するコイル部とバレル磁界発生機能を有するコイル部の2組に分割して構成し、それら磁界によってコンバーゼンスを補正するようにした垂直偏向コイルを備えた偏向ヨーク装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
インライン型電子銃を備えたカラー陰極線管に適用される偏向ヨーク装置は、例えば図8に示すように構成されており、コイルセパレータ81の外側に、垂直偏向コイル82がトロイダル巻に巻回されたコア83が配設され、コイルセパレータ81の内部に、サドル巻に巻回された水平偏向コイル84が配設されている。コイルセパレータ81の端部は、複数の片に分割されており、偏向ヨーク装置80は、その部分で図示しないカラー陰極線管のネック部に、取り付けバンド85によって取り付けられる。
【0003】
このような偏向ヨーク装置80でインライン型電子銃を備えたカラー陰極線管の電子ビームを偏向した場合、一般的に図9に示すような傾向のミスコンバーゼンスが発生する。
すなわち、画面中央部領域1の画面上側において、赤電子ビーム(R)の画面照射位置(以下単にRと略称する)が右方向に回転して、青電子ビーム(B)の画面照射位置(以下単にBと略称する)に対して、画面右の領域では、画面垂直中心軸(Y軸)から離れるにしたがって画面水平中心軸(X軸)に近づき、画面左領域では、逆にBに対してY軸から離れるにしたがってX軸から離れる方向に変移し、また、画面中間部領域1の画面下側において、Bが右方向に回転して、Rに対して、画面右の領域では、Y軸から離れるにしたがってX軸から離れ、画面左領域では、逆にRに対してY軸から離れるにしたがってX軸に近づく方向に変移するいわゆる正のクロスが発生する。
【0004】
さらにまた、画面端部の領域2では、画面上端側でBが右回転し、画面下端側で、Rが右回転するいわゆる負のクロスが発生する。
このように、画面の中央部領域と端部領域で、RとBのクロスの方向が逆になっているために、それを補正することは容易ではなく、従来から種々の提案がなされている。
例えば、特許文献1には、水平磁界中間部をバレル傾向にすることで、特に領域1の正のクロスを改善し、さらに水平偏向コイルあるいは垂直偏向コイルの少なくとも一方において、水平軸Xから約35°傾斜した角度範囲(画面のコーナ付近に対応)に巻線が施されない中抜き部分を設けて、特に領域2における負のクロス量を改善することが示されている。
【0005】
すなわち、図10に示すように、水平磁界の中間部分をバレル傾向にした場合、画面の第1象限では、RがBに対して、より画面上方向(+Y方向)の力(ローレンツ力)を受け、第4象限ではRがBに対して、より画面下方向(−Y方向)の力を受ける。さらに、第2象限では、BがRに対して、より+Y方向の力を受け、第3象限ではBがRに対して、より−Y方向の力を受ける。その現象は、領域1において顕著に現れ、結局、領域1の正クロスミスコンバーゼンスが改善されるようになる。
【0006】
また、垂直偏向コイルにおいて、水平軸Xから約35゜傾斜した角度範囲に巻線が施されない中抜き部分を設けると、図11に示すように、画面の第1及び第4象限では、BビームがFB>FRの力を受け、画面の第2及び第3象限では、RビームがFR>FBの力を受ける。その現象は、領域2において顕著に現れ、結果、領域2の負クロスミスコンバーゼンスが改善されることになる。
【0007】
しかしながら、そのような内容の提案は磁界分布を妥協的に調整するものにすぎず、正負クロスミスコンバーゼンスを完全に除去し得るものではない。そこで、さらにこの特許文献1では、垂直偏向コイルを、X軸に対して0〜60°の角度範囲に巻回したバレル磁界を発生するコイル部分と、60〜90°の角度範囲に巻回したピンクッション磁界を発生するコイル部分との2対2組に分割して構成し、さらにピンクッション磁界を発生するコイル部分に、逆極性に並列接続された2個のダイオードを直列接続して、垂直偏向コイルに供給される信号電圧値によってダイオードをオンあるいはオフさせるように構成している。
【0008】
垂直偏向コイルに供給される電圧は、偏向開始点(画面上端)で高く、画面中央に向かって徐々に低くなって中央でゼロとなり、その後極性が反転して、徐々に高くなり、偏向終了点(画面下端)では開始点に対して逆極性で略同じ値の電圧が供給される。
【0009】
したがって、画面中央付近ではダイオードがオフとなって、ピンクッション磁界の発生が抑制され、バレル磁界を発生するコイル部分の作用が主体となり、バレル磁界が強調されるようになる。その結果、画面中央部(領域1)での正クロスミスコンバーゼンスが改善される。また、画面の上下端部においては、ダイオードがオンとなり、ピンクッション磁界を発生するコイル部分も作用して、画面上下端部(領域2)の負クロスミスコンバーゼンスが改善される。
【0010】
従来、以上のような、正負クロスミスコンバーゼンスを改善する提案がなされており、それなりの効果は得られるが、その技術を昨今主流となっているフラットブラウン管用の偏向ヨークに適用した場合、ミスコンバーゼンスを充分に除去することができず、とくに画面領域1においてミスコンバーゼンスの補正残りが発生してしまうという問題があった。
【0011】
【特許文献1】
特開平1−225045号公報(第1頁〜第5頁、図1,2,6)
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
以上のように、従来の偏向ヨーク装置は、コンバーゼンス補正残りが生ずることがあり改善の余地があった。
本発明は、以上の点に対処してなされたものであり、垂直偏向コイルを2対2組のトロイダル分割巻コイルで構成し、さらに、バレル磁界を発生するコイル部分の巻回範囲をX軸に対して50°以内に収めるようにすることで、正負クロスミスコンバーゼンスを大きな補正残りを発生させることなく的確に補正することを可能にした偏向ヨーク装置を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明の偏向ヨーク装置は、インライン型電子銃を備えたカラー陰極線管に装着される偏向ヨークの垂直偏向コイルが、前記カラー陰極線管画面の水平軸方向内側において前記カラー陰極線菅画面の垂直軸方向に対向するように配設される1対のコイルでなる第1のコイル部と、前記カラー陰極線管画面の水平軸方向の前記第1のコイル部よりも外側において、当該水平軸方向に対向するように配設される1対のコイルでなる第2のコイル部とに分割されてそれぞれコアにトロイダル巻回されて形成されると共に前記第2のコイル部分の巻回範囲が前記カラー陰極線管画面の水平軸に対して略50゜以内に設定されていることを特徴とする。
【0014】
本発明によれば、画面中央領域の正クロスミスコンバーゼンスを充分に除去することができる。
本発明の偏向ヨーク装置は、インライン型電子銃を備えたカラー陰極線管に装着される偏向ヨークの垂直偏向コイルが、ピンクッション磁界発生用のコイル部分と、バレル磁界発生用のコイル部分との少なくとも2対2組のコイル部分にトロイダル巻きでコアに分割巻回されると共に、前記バレル磁界発生用のコイル部分の巻回領域が前記カラー陰極線管画面の水平軸に対して略50°以内に設定されていることを特徴とする。
【0015】
本発明によれば、画面中央領域の正クロスミスコンバーゼンスを充分に除去することができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態を詳細に説明する。
図1は、本発明の偏向ヨーク装置10を、カラー陰極線管の電子ビーム照射方向に対して交わる方向に切断した断面図で示すものである。
すなわち、コイルセパレータ11の外側に、垂直偏向コイル用の環状のコア12が配設され、コア12に垂直偏向コイル13がトロイダル巻に巻回されている。さらにコイルセパレータ11内側にはサドル巻に巻回された水平偏向コイル14が配設されている。
【0017】
垂直偏向コイル13は、画面のX軸を間にして対向するようにコア12に巻回された1対のコイルでなる第1のコイル部(内側コイル部)15と、画面のY軸を間にして対向するようにコア12に巻回された1対のコイルでなる第2のコイル部(外側コイル部)16とで構成され、第2のコイル部16は、X軸に対して50°を越えない領域に巻回されている。
【0018】
図2は、図1に示す偏向ヨーク装置10の垂直偏向コイル13の結線状態を示す回路図である。図において、図1と同じ部分に同じ符号を付す。
図2において、端子21に、第1のコイル部15を構成する一対のコイル15a,15bが直列に接続され、さらに各コイル15a,15bと並列に抵抗22,23がそれぞれ接続されている。また、コイル15bの、コイル15aとの接続点とは反対側の端には、互いにアノードとカソードが接続された2個のダイオード24,25の2つの接続点のうちの一方の接続点が接続されている。すなわち互いに逆極性に並列に接続された2個のダイオード24,25がコイル15bと直列に接続されている。さらにダイオード24,25と並列に、抵抗26が接続されている。
【0019】
端子21には、さらに第2のコイル部16を構成する一対のコイル16a,16bが直列に接続され、各コイル16aと16bに対して、それぞれ抵抗27,28が並列に接続されている。
ダイオード24,25のコイル15bとの接続点とは反対側の接続点と、第2のコイル部16におけるコイル16bの、コイル16aとの接続点とは反対側の端とが接続され、その接続点がダイオード29のアノードとダイオード30のカソードに共通に接続されている。
【0020】
ダイオード29とダイオード30には、それぞれ並列に抵抗31,32が接続され、さらにダイオード29のカソードとダイオード30のアノードには、それぞれ垂直等方性非点収差補正コイル33、34が接続され、各垂直等方性非点収差補正コイル33,34のダイオード29,30との接続点とは反対側の端は共通に接続されている。
【0021】
垂直等方性非点収差補正コイル33,34の共通接続点は、2つの垂直コマ収差補正コイル35,36を直列に介して端子37に接続されている。
端子21と端子37間には、垂直偏向電圧が供給されるもので、端子21には、垂直偏向の前半(画面上側)では、その開始点が最も高く、画面中央にかけて徐々に減少し最終的にゼロ(基準電位)になる電圧が供給される。その際、端子37は基準電位点に接続され、偏向電流は、端子21から端子37方向に流れる。したがって、端子21はいわゆる(High)端子である。
【0022】
垂直偏向の後半(画面下側)では、その開始点が基準電位で最も低く、画面下端で最も高くなるように変化する電圧が端子37に供給される。その際、端子21は基準電位点に接続され、偏向電流は端子37から端子21に向かって流れる。したがって、端子37はいわゆる(Low)端子である。
【0023】
垂直等方性非点収差補正コイル33,34は、カラー陰極線管画面のY軸上に発生する垂直等方性非点収差を補正するもので、偏向ヨーク装置10のカラー陰極線管のネック部側の開口部付近にコイルセパレータを介して取り付けられる。
垂直等方性非点収差とは、図3(a)(b)に示すように、画面Y軸の端部において、B及びRがX軸方向に互いに離れるように生ずるコンバーゼンスずれであり、垂直等方性非点収差補正コイル33,34で発生される磁界によって補正されるものである。すなわち、画面端部(領域2)付近では、偏向電圧が高いため、ダイオード29,30がオンとなり、コイル33,34に流れる電流が増加するため、垂直等方性非点収差補正コイル33,34から発生される磁界も強くなり、垂直等方性非点収差が修正されるように作用する。その結果、図3(c)に示すようにBとGがY軸上で略一致するようになる。
【0024】
また、垂直コマ収差補正コイル35,36は、カラー陰極線管画面のX軸上に発生する垂直コマ収差を補正するもので、偏向ヨーク装置10のカラー陰極線管のネック部側の開口部付近にコイルセパレータを介して取り付けられており、ピンクッション磁界を発生するように作用する。
【0025】
垂直コマ収差とは、図4(a)に示すように、R,Bに対して緑の電子ビーム(以下Gと略称する)がY軸方向内側に位置するように生ずるコンバーゼンスずれであり、垂直コマ収差補正コイル35,36で発生されるピンクッション磁界によって、それが補正され、図4(b)に示すように、GがBとRに略一致するようになる。
【0026】
次に、本発明を構成する垂直偏向コイル13について、詳細に説明する。今、図2の回路の端子21と端子37との間に、図5(a)に示す波形の垂直偏向電圧を供給すると、端子21と端子37との間に図5(b)に示す電流が流れる。
図5(a)において、V1と−V1は、それ以上高い電圧及びそれ以下の低い電圧でダイオード24,25が導通してオンとなり、V1と−V1の間の電圧(期間t1)では、ダイオード24,25が非道通となってオフするものである。
図5(b)に示す電流は、垂直偏向コイル13を構成する第1のコイル部15と第2のコイル部16を流れる電流の総計であり、第1のコイル部15に直列に接続されたダイオード24,25の働きにより、第1のコイル部15と第2のコイル部16には、非対称の電流が流れることになる。
【0027】
すなわち、図5(a)のt1期間において、ダイオード24,25が非導通になるため、第1のコイル部分15においては、図5(c)に示すようにその期間で電流がほとんど流れず、偏向電流はもっぱら第2のコイル部分16を流れることになる。
【0028】
また、t1期間以外においては、垂直偏向電流は図5(d)に示す第2のコイル部16に流れる電流分と、図5(c)に示す第1のコイル部15に流れる電流分を足し合わせたものとなる。
ダイオード24,25がオフとなる期間t1においては、ピンクッション磁界を発生する第1のコイル部15に電流が流れないため、第2のコイル部16によって発生されるバレル磁界が強調されることになり、画面中央部分(領域1)における正クロスミスコンバーゼンスが補正されることになる。
【0029】
また、期間t1以外においては、ダイオード24,25がオンになるため、第1のコイル部15によって生成されるピンクッション磁界によって、画面の上下端部分(領域2)における負クロスミスコンバーゼンスが補正されるものである。さらに、本発明では、第2のコイル部16の巻線巻回領域をX軸に対して50°を越えない範囲に設定するようにしたものであり、その効果について図6及び図7を参照して詳細に説明する。
図6は、第2のコイル部16の巻線巻回領域のX軸に対する角度と、ミスコンバーゼンス量を特定するために一般的に用いられる各種パラメータの関係を実験によって求めて示すものである。
すなわち、第2のコイル部16のX軸に対する巻回領域の角度を、54°、50°及び47°した際に、XH、YH、PQH、PQV、T、S3、B3、S3−PQV及びB3−PQHの各値を測定して表に纏めたものである。なお、XH〜B3−PQHがそれぞれいかなるものであるかについて、図7を用いて説明しておく。図7では、Rを○で示し、Bを×で示している。
【0030】
YHは、Y軸上の水平方向のRとBのずれを示すもので、RがBに対して左側に位置する状態を+(プラス)で表し、数値はずれ量を示す。図7においては、Rが左に位置しているので、+パターンであることを示している。なお、図7において、水平方向のずれは、各象限共通にRがBの左に位置している状態が+であり、垂直方向のずれについては、第1、第3象限では、BがRに対して垂直方向上側にあるのが+で、第2、第4象限では、逆にRがBに対して垂直方向上側にあるのが+である。
【0031】
XHは、X軸上の水平方向のRとBのずれを示すもので、PQHは、画面コーナ部におけるRとBの水平方向のずれを表し、PQVは、同じく画面コーナ部におけるRとBの垂直方向のずれを表す。また、Tはトリレンマを表すものであり、T=PQV+XH−YHなる式で表すことができる。さらにS3は、画面上側あるいは下側のY軸方向中央部付近におけるRとBの垂直方向のずれであり、B3は同じく画面上側あるいは下側のY軸方向中央部付近におけるRとBの水平方向のずれである。さらに、S3−PQVは、S3とPVQ間の差の絶対値を示し、B3−PQHはB3とPQH間の差の絶対値を示す。
【0032】
以上ような、各パラメータは、偏向ヨーク装置のミスコンバーゼンスの状況を特定するために一般的に用いられているものである。
さて、今、XH及びYHの値を+1.0に設定した際に、第2のコイル部16の巻回範囲を画面X軸に対して54°に設定した場合には、PQHが+0.30、PQVが−0.30で、Tが−0.30となっている。また、S3が+0.70、B3が+0.80で、S3−PQVとB3−PQHがそれぞれ1.00と0.50となっている。
【0033】
これら数値は、小さいほどRとBのずれが小さいことを示しており、それだけコンバーゼンスずれ残量が少ないことを示している。
次に、巻回範囲を50°に設定すると、XHとYHを+0.10とした場合、PQHが+0.20で、PQVが−0.30、Tが−0.30でS3とB3がそれぞれ+0.30sと+0.20であり、S3−PQVとB3−PQHがそれぞれ0.65と0.00になっている。
【0034】
第2のコイル部16の巻線巻回領域をX軸に対して50°に設定した場合、54°とした場合に比べて、悪化している項目なく、全般を通して改善が見られ、特にS3、B3、S3−PQVとB3−PQHにおいては著しく改善されていることが明確に表れている。
【0035】
さらに、巻回領域を画面X軸に対して47°に設定して、XHとYHを+0.10とした場合、PQHとPQVが+0.10と−0.25であり、T、S3、B3がそれぞれ−0.25、+0.25、+0.05であり、S3−PQVとB3−PQHがそれぞれ0.50と0.05になっている。
【0036】
この、47°においては、50°に設定した場合と比較すると、B3−PQHで若干悪化しているものの、他の項目では全て改善されており、実用上何ら問題ない程度のミスコンバーゼンス残量しか生じていないことが明白に表れている。
第2のコイル部16の巻回領域がX軸に対して50°を越えた場合、第2のコイル部16で生成されるバレル磁界が弱くなって、S3、B3、S3−PQV及びB3−PQHが悪化することが予測される。
これに対して、巻回領域が50°、47では、S3、B3、S3−PQV及びB3−PQHが著しく改善されていることが明白である。
結局、最終評価として、54°では劣で実際に偏向ヨークとして構成するには適当でなく、50°では良で、47°では優となりいずれも実際に偏向ヨークとして構成した場合、実用に絶えられるものとなっている。
以上のように、本発明の偏向ヨーク装置においては、垂直偏向コイルを、ピンクッション磁界を発生するコイル部とバレル磁界を発生するコイル部の2対2組のコイル部に分割してそれぞれコアにトロイダル巻回するようにし、ピンクッション磁界を発生するコイル部に流れる電流を、画面の中央部を偏向するタイミングで抑制させることで、その抑制期間にバレル磁界を強調するようにし、さらにバレル磁界を発生するコイル部の巻回領域をX軸に対して50°を越えないようにしたので、ミスコンバーゼンスの補正残留量を極めて少なくすることができる偏向ヨーク装置を得ることができるものである。
【0037】
【発明の効果】
以上のように、本発明の偏向ヨーク装置においては、垂直偏向コイルを、ピンクッション磁界を発生するコイル部とバレル磁界を発生するコイル部の2対2組のコイル部に分割してそれぞれコアにトロイダル巻回するようにし、ピンクッション磁界を発生するコイル部を、ダイオードでスイッチングして、画面中央部付近の領域おいて、バレル磁界を強調するようにし、さらにバレル磁界を発生するコイル部の巻回領域をX軸に対して50°を越えないようにしたので、ミスコンバーゼンスの補正残留量を極めて少なくすることができるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る偏向ヨーク装置の断面図。
【図2】図1に示す偏向ヨーク装置の一実施の形態の回路構成を示す回路図。
【図3】図2に示す回路の動作を説明するための図。
【図4】図2に示す回路の動作を説明するための図。
【図5】図2に示す回路の動作を説明するための図。
【図6】本発明の偏向ヨーク装置のミスコンバーゼンス補正残量を説明するための図。
【図7】図6に示すミスコンバーゼンス補正残量を説明するための図。
【図8】一般的な偏向ヨーク装置の構成を示す図。
【図9】インライン電子銃を備えたカラー陰極線管のミスコンバーゼンスを説明するための図。
【図10】従来の偏向ヨーク装置において、コンバーゼンスを補正する過程を説明するための図。
【図11】従来の偏向ヨーク装置において、コンバーゼンスを補正する過程を説明するための図。
【符号の説明】
10…偏向ヨーク装置
11…コイルセパレータ
12…コア
13…垂直偏向コイル
14…水平偏向コイル
15…第1のコイル部
16…第2のコイル部
21…端子(High)
22,23…抵抗
24,25…ピンクッション磁界切換え用ダイオード
26,27,28…抵抗
29,30…垂直等方性収差補正用切換えダイオード
31,32…抵抗
33,34…垂直等方性収差補正コイル
35,36…垂直コマ収差補正コイル
37…端子(Low)
【発明の属する技術分野】
本発明は、インライン型電子銃を備えたカラー陰極線管用偏向ヨーク装置に関し、特に垂直偏向コイルを、本来の垂直偏向のための磁界を発生する機能の他に、ピンクッション磁界発生機能を有するコイル部とバレル磁界発生機能を有するコイル部の2組に分割して構成し、それら磁界によってコンバーゼンスを補正するようにした垂直偏向コイルを備えた偏向ヨーク装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
インライン型電子銃を備えたカラー陰極線管に適用される偏向ヨーク装置は、例えば図8に示すように構成されており、コイルセパレータ81の外側に、垂直偏向コイル82がトロイダル巻に巻回されたコア83が配設され、コイルセパレータ81の内部に、サドル巻に巻回された水平偏向コイル84が配設されている。コイルセパレータ81の端部は、複数の片に分割されており、偏向ヨーク装置80は、その部分で図示しないカラー陰極線管のネック部に、取り付けバンド85によって取り付けられる。
【0003】
このような偏向ヨーク装置80でインライン型電子銃を備えたカラー陰極線管の電子ビームを偏向した場合、一般的に図9に示すような傾向のミスコンバーゼンスが発生する。
すなわち、画面中央部領域1の画面上側において、赤電子ビーム(R)の画面照射位置(以下単にRと略称する)が右方向に回転して、青電子ビーム(B)の画面照射位置(以下単にBと略称する)に対して、画面右の領域では、画面垂直中心軸(Y軸)から離れるにしたがって画面水平中心軸(X軸)に近づき、画面左領域では、逆にBに対してY軸から離れるにしたがってX軸から離れる方向に変移し、また、画面中間部領域1の画面下側において、Bが右方向に回転して、Rに対して、画面右の領域では、Y軸から離れるにしたがってX軸から離れ、画面左領域では、逆にRに対してY軸から離れるにしたがってX軸に近づく方向に変移するいわゆる正のクロスが発生する。
【0004】
さらにまた、画面端部の領域2では、画面上端側でBが右回転し、画面下端側で、Rが右回転するいわゆる負のクロスが発生する。
このように、画面の中央部領域と端部領域で、RとBのクロスの方向が逆になっているために、それを補正することは容易ではなく、従来から種々の提案がなされている。
例えば、特許文献1には、水平磁界中間部をバレル傾向にすることで、特に領域1の正のクロスを改善し、さらに水平偏向コイルあるいは垂直偏向コイルの少なくとも一方において、水平軸Xから約35°傾斜した角度範囲(画面のコーナ付近に対応)に巻線が施されない中抜き部分を設けて、特に領域2における負のクロス量を改善することが示されている。
【0005】
すなわち、図10に示すように、水平磁界の中間部分をバレル傾向にした場合、画面の第1象限では、RがBに対して、より画面上方向(+Y方向)の力(ローレンツ力)を受け、第4象限ではRがBに対して、より画面下方向(−Y方向)の力を受ける。さらに、第2象限では、BがRに対して、より+Y方向の力を受け、第3象限ではBがRに対して、より−Y方向の力を受ける。その現象は、領域1において顕著に現れ、結局、領域1の正クロスミスコンバーゼンスが改善されるようになる。
【0006】
また、垂直偏向コイルにおいて、水平軸Xから約35゜傾斜した角度範囲に巻線が施されない中抜き部分を設けると、図11に示すように、画面の第1及び第4象限では、BビームがFB>FRの力を受け、画面の第2及び第3象限では、RビームがFR>FBの力を受ける。その現象は、領域2において顕著に現れ、結果、領域2の負クロスミスコンバーゼンスが改善されることになる。
【0007】
しかしながら、そのような内容の提案は磁界分布を妥協的に調整するものにすぎず、正負クロスミスコンバーゼンスを完全に除去し得るものではない。そこで、さらにこの特許文献1では、垂直偏向コイルを、X軸に対して0〜60°の角度範囲に巻回したバレル磁界を発生するコイル部分と、60〜90°の角度範囲に巻回したピンクッション磁界を発生するコイル部分との2対2組に分割して構成し、さらにピンクッション磁界を発生するコイル部分に、逆極性に並列接続された2個のダイオードを直列接続して、垂直偏向コイルに供給される信号電圧値によってダイオードをオンあるいはオフさせるように構成している。
【0008】
垂直偏向コイルに供給される電圧は、偏向開始点(画面上端)で高く、画面中央に向かって徐々に低くなって中央でゼロとなり、その後極性が反転して、徐々に高くなり、偏向終了点(画面下端)では開始点に対して逆極性で略同じ値の電圧が供給される。
【0009】
したがって、画面中央付近ではダイオードがオフとなって、ピンクッション磁界の発生が抑制され、バレル磁界を発生するコイル部分の作用が主体となり、バレル磁界が強調されるようになる。その結果、画面中央部(領域1)での正クロスミスコンバーゼンスが改善される。また、画面の上下端部においては、ダイオードがオンとなり、ピンクッション磁界を発生するコイル部分も作用して、画面上下端部(領域2)の負クロスミスコンバーゼンスが改善される。
【0010】
従来、以上のような、正負クロスミスコンバーゼンスを改善する提案がなされており、それなりの効果は得られるが、その技術を昨今主流となっているフラットブラウン管用の偏向ヨークに適用した場合、ミスコンバーゼンスを充分に除去することができず、とくに画面領域1においてミスコンバーゼンスの補正残りが発生してしまうという問題があった。
【0011】
【特許文献1】
特開平1−225045号公報(第1頁〜第5頁、図1,2,6)
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
以上のように、従来の偏向ヨーク装置は、コンバーゼンス補正残りが生ずることがあり改善の余地があった。
本発明は、以上の点に対処してなされたものであり、垂直偏向コイルを2対2組のトロイダル分割巻コイルで構成し、さらに、バレル磁界を発生するコイル部分の巻回範囲をX軸に対して50°以内に収めるようにすることで、正負クロスミスコンバーゼンスを大きな補正残りを発生させることなく的確に補正することを可能にした偏向ヨーク装置を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明の偏向ヨーク装置は、インライン型電子銃を備えたカラー陰極線管に装着される偏向ヨークの垂直偏向コイルが、前記カラー陰極線管画面の水平軸方向内側において前記カラー陰極線菅画面の垂直軸方向に対向するように配設される1対のコイルでなる第1のコイル部と、前記カラー陰極線管画面の水平軸方向の前記第1のコイル部よりも外側において、当該水平軸方向に対向するように配設される1対のコイルでなる第2のコイル部とに分割されてそれぞれコアにトロイダル巻回されて形成されると共に前記第2のコイル部分の巻回範囲が前記カラー陰極線管画面の水平軸に対して略50゜以内に設定されていることを特徴とする。
【0014】
本発明によれば、画面中央領域の正クロスミスコンバーゼンスを充分に除去することができる。
本発明の偏向ヨーク装置は、インライン型電子銃を備えたカラー陰極線管に装着される偏向ヨークの垂直偏向コイルが、ピンクッション磁界発生用のコイル部分と、バレル磁界発生用のコイル部分との少なくとも2対2組のコイル部分にトロイダル巻きでコアに分割巻回されると共に、前記バレル磁界発生用のコイル部分の巻回領域が前記カラー陰極線管画面の水平軸に対して略50°以内に設定されていることを特徴とする。
【0015】
本発明によれば、画面中央領域の正クロスミスコンバーゼンスを充分に除去することができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態を詳細に説明する。
図1は、本発明の偏向ヨーク装置10を、カラー陰極線管の電子ビーム照射方向に対して交わる方向に切断した断面図で示すものである。
すなわち、コイルセパレータ11の外側に、垂直偏向コイル用の環状のコア12が配設され、コア12に垂直偏向コイル13がトロイダル巻に巻回されている。さらにコイルセパレータ11内側にはサドル巻に巻回された水平偏向コイル14が配設されている。
【0017】
垂直偏向コイル13は、画面のX軸を間にして対向するようにコア12に巻回された1対のコイルでなる第1のコイル部(内側コイル部)15と、画面のY軸を間にして対向するようにコア12に巻回された1対のコイルでなる第2のコイル部(外側コイル部)16とで構成され、第2のコイル部16は、X軸に対して50°を越えない領域に巻回されている。
【0018】
図2は、図1に示す偏向ヨーク装置10の垂直偏向コイル13の結線状態を示す回路図である。図において、図1と同じ部分に同じ符号を付す。
図2において、端子21に、第1のコイル部15を構成する一対のコイル15a,15bが直列に接続され、さらに各コイル15a,15bと並列に抵抗22,23がそれぞれ接続されている。また、コイル15bの、コイル15aとの接続点とは反対側の端には、互いにアノードとカソードが接続された2個のダイオード24,25の2つの接続点のうちの一方の接続点が接続されている。すなわち互いに逆極性に並列に接続された2個のダイオード24,25がコイル15bと直列に接続されている。さらにダイオード24,25と並列に、抵抗26が接続されている。
【0019】
端子21には、さらに第2のコイル部16を構成する一対のコイル16a,16bが直列に接続され、各コイル16aと16bに対して、それぞれ抵抗27,28が並列に接続されている。
ダイオード24,25のコイル15bとの接続点とは反対側の接続点と、第2のコイル部16におけるコイル16bの、コイル16aとの接続点とは反対側の端とが接続され、その接続点がダイオード29のアノードとダイオード30のカソードに共通に接続されている。
【0020】
ダイオード29とダイオード30には、それぞれ並列に抵抗31,32が接続され、さらにダイオード29のカソードとダイオード30のアノードには、それぞれ垂直等方性非点収差補正コイル33、34が接続され、各垂直等方性非点収差補正コイル33,34のダイオード29,30との接続点とは反対側の端は共通に接続されている。
【0021】
垂直等方性非点収差補正コイル33,34の共通接続点は、2つの垂直コマ収差補正コイル35,36を直列に介して端子37に接続されている。
端子21と端子37間には、垂直偏向電圧が供給されるもので、端子21には、垂直偏向の前半(画面上側)では、その開始点が最も高く、画面中央にかけて徐々に減少し最終的にゼロ(基準電位)になる電圧が供給される。その際、端子37は基準電位点に接続され、偏向電流は、端子21から端子37方向に流れる。したがって、端子21はいわゆる(High)端子である。
【0022】
垂直偏向の後半(画面下側)では、その開始点が基準電位で最も低く、画面下端で最も高くなるように変化する電圧が端子37に供給される。その際、端子21は基準電位点に接続され、偏向電流は端子37から端子21に向かって流れる。したがって、端子37はいわゆる(Low)端子である。
【0023】
垂直等方性非点収差補正コイル33,34は、カラー陰極線管画面のY軸上に発生する垂直等方性非点収差を補正するもので、偏向ヨーク装置10のカラー陰極線管のネック部側の開口部付近にコイルセパレータを介して取り付けられる。
垂直等方性非点収差とは、図3(a)(b)に示すように、画面Y軸の端部において、B及びRがX軸方向に互いに離れるように生ずるコンバーゼンスずれであり、垂直等方性非点収差補正コイル33,34で発生される磁界によって補正されるものである。すなわち、画面端部(領域2)付近では、偏向電圧が高いため、ダイオード29,30がオンとなり、コイル33,34に流れる電流が増加するため、垂直等方性非点収差補正コイル33,34から発生される磁界も強くなり、垂直等方性非点収差が修正されるように作用する。その結果、図3(c)に示すようにBとGがY軸上で略一致するようになる。
【0024】
また、垂直コマ収差補正コイル35,36は、カラー陰極線管画面のX軸上に発生する垂直コマ収差を補正するもので、偏向ヨーク装置10のカラー陰極線管のネック部側の開口部付近にコイルセパレータを介して取り付けられており、ピンクッション磁界を発生するように作用する。
【0025】
垂直コマ収差とは、図4(a)に示すように、R,Bに対して緑の電子ビーム(以下Gと略称する)がY軸方向内側に位置するように生ずるコンバーゼンスずれであり、垂直コマ収差補正コイル35,36で発生されるピンクッション磁界によって、それが補正され、図4(b)に示すように、GがBとRに略一致するようになる。
【0026】
次に、本発明を構成する垂直偏向コイル13について、詳細に説明する。今、図2の回路の端子21と端子37との間に、図5(a)に示す波形の垂直偏向電圧を供給すると、端子21と端子37との間に図5(b)に示す電流が流れる。
図5(a)において、V1と−V1は、それ以上高い電圧及びそれ以下の低い電圧でダイオード24,25が導通してオンとなり、V1と−V1の間の電圧(期間t1)では、ダイオード24,25が非道通となってオフするものである。
図5(b)に示す電流は、垂直偏向コイル13を構成する第1のコイル部15と第2のコイル部16を流れる電流の総計であり、第1のコイル部15に直列に接続されたダイオード24,25の働きにより、第1のコイル部15と第2のコイル部16には、非対称の電流が流れることになる。
【0027】
すなわち、図5(a)のt1期間において、ダイオード24,25が非導通になるため、第1のコイル部分15においては、図5(c)に示すようにその期間で電流がほとんど流れず、偏向電流はもっぱら第2のコイル部分16を流れることになる。
【0028】
また、t1期間以外においては、垂直偏向電流は図5(d)に示す第2のコイル部16に流れる電流分と、図5(c)に示す第1のコイル部15に流れる電流分を足し合わせたものとなる。
ダイオード24,25がオフとなる期間t1においては、ピンクッション磁界を発生する第1のコイル部15に電流が流れないため、第2のコイル部16によって発生されるバレル磁界が強調されることになり、画面中央部分(領域1)における正クロスミスコンバーゼンスが補正されることになる。
【0029】
また、期間t1以外においては、ダイオード24,25がオンになるため、第1のコイル部15によって生成されるピンクッション磁界によって、画面の上下端部分(領域2)における負クロスミスコンバーゼンスが補正されるものである。さらに、本発明では、第2のコイル部16の巻線巻回領域をX軸に対して50°を越えない範囲に設定するようにしたものであり、その効果について図6及び図7を参照して詳細に説明する。
図6は、第2のコイル部16の巻線巻回領域のX軸に対する角度と、ミスコンバーゼンス量を特定するために一般的に用いられる各種パラメータの関係を実験によって求めて示すものである。
すなわち、第2のコイル部16のX軸に対する巻回領域の角度を、54°、50°及び47°した際に、XH、YH、PQH、PQV、T、S3、B3、S3−PQV及びB3−PQHの各値を測定して表に纏めたものである。なお、XH〜B3−PQHがそれぞれいかなるものであるかについて、図7を用いて説明しておく。図7では、Rを○で示し、Bを×で示している。
【0030】
YHは、Y軸上の水平方向のRとBのずれを示すもので、RがBに対して左側に位置する状態を+(プラス)で表し、数値はずれ量を示す。図7においては、Rが左に位置しているので、+パターンであることを示している。なお、図7において、水平方向のずれは、各象限共通にRがBの左に位置している状態が+であり、垂直方向のずれについては、第1、第3象限では、BがRに対して垂直方向上側にあるのが+で、第2、第4象限では、逆にRがBに対して垂直方向上側にあるのが+である。
【0031】
XHは、X軸上の水平方向のRとBのずれを示すもので、PQHは、画面コーナ部におけるRとBの水平方向のずれを表し、PQVは、同じく画面コーナ部におけるRとBの垂直方向のずれを表す。また、Tはトリレンマを表すものであり、T=PQV+XH−YHなる式で表すことができる。さらにS3は、画面上側あるいは下側のY軸方向中央部付近におけるRとBの垂直方向のずれであり、B3は同じく画面上側あるいは下側のY軸方向中央部付近におけるRとBの水平方向のずれである。さらに、S3−PQVは、S3とPVQ間の差の絶対値を示し、B3−PQHはB3とPQH間の差の絶対値を示す。
【0032】
以上ような、各パラメータは、偏向ヨーク装置のミスコンバーゼンスの状況を特定するために一般的に用いられているものである。
さて、今、XH及びYHの値を+1.0に設定した際に、第2のコイル部16の巻回範囲を画面X軸に対して54°に設定した場合には、PQHが+0.30、PQVが−0.30で、Tが−0.30となっている。また、S3が+0.70、B3が+0.80で、S3−PQVとB3−PQHがそれぞれ1.00と0.50となっている。
【0033】
これら数値は、小さいほどRとBのずれが小さいことを示しており、それだけコンバーゼンスずれ残量が少ないことを示している。
次に、巻回範囲を50°に設定すると、XHとYHを+0.10とした場合、PQHが+0.20で、PQVが−0.30、Tが−0.30でS3とB3がそれぞれ+0.30sと+0.20であり、S3−PQVとB3−PQHがそれぞれ0.65と0.00になっている。
【0034】
第2のコイル部16の巻線巻回領域をX軸に対して50°に設定した場合、54°とした場合に比べて、悪化している項目なく、全般を通して改善が見られ、特にS3、B3、S3−PQVとB3−PQHにおいては著しく改善されていることが明確に表れている。
【0035】
さらに、巻回領域を画面X軸に対して47°に設定して、XHとYHを+0.10とした場合、PQHとPQVが+0.10と−0.25であり、T、S3、B3がそれぞれ−0.25、+0.25、+0.05であり、S3−PQVとB3−PQHがそれぞれ0.50と0.05になっている。
【0036】
この、47°においては、50°に設定した場合と比較すると、B3−PQHで若干悪化しているものの、他の項目では全て改善されており、実用上何ら問題ない程度のミスコンバーゼンス残量しか生じていないことが明白に表れている。
第2のコイル部16の巻回領域がX軸に対して50°を越えた場合、第2のコイル部16で生成されるバレル磁界が弱くなって、S3、B3、S3−PQV及びB3−PQHが悪化することが予測される。
これに対して、巻回領域が50°、47では、S3、B3、S3−PQV及びB3−PQHが著しく改善されていることが明白である。
結局、最終評価として、54°では劣で実際に偏向ヨークとして構成するには適当でなく、50°では良で、47°では優となりいずれも実際に偏向ヨークとして構成した場合、実用に絶えられるものとなっている。
以上のように、本発明の偏向ヨーク装置においては、垂直偏向コイルを、ピンクッション磁界を発生するコイル部とバレル磁界を発生するコイル部の2対2組のコイル部に分割してそれぞれコアにトロイダル巻回するようにし、ピンクッション磁界を発生するコイル部に流れる電流を、画面の中央部を偏向するタイミングで抑制させることで、その抑制期間にバレル磁界を強調するようにし、さらにバレル磁界を発生するコイル部の巻回領域をX軸に対して50°を越えないようにしたので、ミスコンバーゼンスの補正残留量を極めて少なくすることができる偏向ヨーク装置を得ることができるものである。
【0037】
【発明の効果】
以上のように、本発明の偏向ヨーク装置においては、垂直偏向コイルを、ピンクッション磁界を発生するコイル部とバレル磁界を発生するコイル部の2対2組のコイル部に分割してそれぞれコアにトロイダル巻回するようにし、ピンクッション磁界を発生するコイル部を、ダイオードでスイッチングして、画面中央部付近の領域おいて、バレル磁界を強調するようにし、さらにバレル磁界を発生するコイル部の巻回領域をX軸に対して50°を越えないようにしたので、ミスコンバーゼンスの補正残留量を極めて少なくすることができるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る偏向ヨーク装置の断面図。
【図2】図1に示す偏向ヨーク装置の一実施の形態の回路構成を示す回路図。
【図3】図2に示す回路の動作を説明するための図。
【図4】図2に示す回路の動作を説明するための図。
【図5】図2に示す回路の動作を説明するための図。
【図6】本発明の偏向ヨーク装置のミスコンバーゼンス補正残量を説明するための図。
【図7】図6に示すミスコンバーゼンス補正残量を説明するための図。
【図8】一般的な偏向ヨーク装置の構成を示す図。
【図9】インライン電子銃を備えたカラー陰極線管のミスコンバーゼンスを説明するための図。
【図10】従来の偏向ヨーク装置において、コンバーゼンスを補正する過程を説明するための図。
【図11】従来の偏向ヨーク装置において、コンバーゼンスを補正する過程を説明するための図。
【符号の説明】
10…偏向ヨーク装置
11…コイルセパレータ
12…コア
13…垂直偏向コイル
14…水平偏向コイル
15…第1のコイル部
16…第2のコイル部
21…端子(High)
22,23…抵抗
24,25…ピンクッション磁界切換え用ダイオード
26,27,28…抵抗
29,30…垂直等方性収差補正用切換えダイオード
31,32…抵抗
33,34…垂直等方性収差補正コイル
35,36…垂直コマ収差補正コイル
37…端子(Low)
Claims (9)
- インライン型電子銃を備えたカラー陰極線管に装着される偏向ヨークの垂直偏向コイルが、前記カラー陰極線管画面の水平軸方向内側において前記カラー陰極線菅画面の垂直軸方向に対向するように配設される1対のコイルでなる第1のコイル部と、前記カラー陰極線管画面の水平軸方向の前記第1のコイル部よりも外側において当該水平軸方向に対向するように配設される1対のコイルでなる第2のコイル部と、に分割されてそれぞれコアにトロイダル巻回されて形成されると共に、前記第2のコイル部分の巻回範囲が前記カラー陰極線管画面の水平軸に対して略50゜以内に設定されていることを特徴とする偏向ヨーク装置。
- 前記第1のコイル部と第2のコイル部は、それぞれのコイル対が直列接続され、さらに前記第1のコイル部に互いに逆極性に並列接続された2個のダイオードが直列接続され、前記第1のコイル部と前記ダイオードとの直列接続と、前記第2のコイル部が並列接続されてなることを特徴とする請求項1に記載の偏向ヨーク装置。
- 前記第2のコイル部分の巻回領域の境界が前記カラー陰極線管画面の水平軸に対して略47°〜50°の範囲にあることを特徴とする請求項1に記載の偏向ヨーク装置。
- 前記第1のコイル部と第2のコイル部の、前記コアに対する巻回領域の間にコイルが巻回されない領域が存在するものであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の偏向ヨーク装置。
- インライン型電子銃を備えたカラー陰極線管に装着される偏向ヨークの垂直偏向コイルが、ピンクッション磁界発生用のコイル部分と、バレル磁界発生用のコイル部分との少なくとも2対2組のコイル部分にトロイダル巻きでコアに分割巻回されると共に、前記バレル磁界発生用のコイル部分の巻回領域が前記カラー陰極線管画面の水平軸に対して略50°以内に設定されていることを特徴とする偏向ヨーク装置。
- 前記ピンクッション磁界発生用のコイル部とバレル磁界発生用のコイル部は、それぞれのコイル対が直列接続され、さらに前記ピンクッション磁界発生用のコイル部に、互いに逆極性に並列接続された2個のダイオードが直列接続され、前記ピンクッション磁界発生用のコイル部と前記ダイオードとの直列接続と、前記バレル磁界発生用のコイル部が並列接続されてなることを特徴とする請求項5に記載の偏向ヨーク装置。
- 前記バレル磁界発生用のコイル部分の巻回領域の境界が前記カラー陰極線管画面の水平軸に対して47〜50°の範囲にあることを特徴とする請求項5に記載の偏向ヨーク装置。
- 前記ピンクッション磁界発生用のコイル部とバレル磁界発生用のコイル部の、前記コアに対する巻回領域の間にコイルが巻回されない領域が存在するものであることを特徴とする請求項5に記載の偏向ヨーク装置。
- さらに前記垂直偏向コイルが巻回されたコアの内側に、サドル巻水平偏向コイルが配設されてなることを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載の偏向ヨーク装置。
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